(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179340
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】脱輪防止装置
(51)【国際特許分類】
B60B 37/04 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
B60B37/04 K
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115163
(22)【出願日】2022-07-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2022092402
(32)【優先日】2022-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522226720
【氏名又は名称】助川 勝利
(74)【代理人】
【識別番号】100198498
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 靖
(72)【発明者】
【氏名】助川 勝利
(57)【要約】
【課題】 構成簡単で、しかも高速で回転する大型車輌の大重量のタイヤホイールの脱落防止に十分に耐えられる脱輪防止装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 大型車輌のアクスルハブ10に装着されるタイヤホイール20の脱輪防止装置100は、アクスルハブ10の凹状溝部11に嵌め込まれる駒部材110と、駒部材110が嵌め込まれたアクスルハブ10を外周から覆う筒部材120と、駒部材120を凹状溝部11に押し当てる固定ネジ130とからなる。凹状溝部11とハブキャップ14との間に生ずる段差Dに筒部材120が当接された状態で、駒部材110は固定ネジ130で固定される。筒部材120の下端には、電動レンチ30のソケット31が収容可能な切欠き部又は凹部が形成され、脱輪防止装置100装着時の締め付け作業が可能になる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる複数の凹状溝部が形成されたアクスルハブに装着されるタイヤホイールの脱輪防止装置であって、
前記凹状溝部の少なくとも1つに嵌め込まれる駒部材と、
前記駒部材が前記凹状溝部に嵌め込まれた状態で前記アクスルハブを外周から覆う筒部材と、
前記筒部材に取り付けられ、前記駒部材を前記凹状溝部に押し当てる押圧手段とからなることを特徴とする脱輪防止装置。
【請求項2】
前記アクスルハブにはハブキャップが取り付けられて、前記凹状溝部と前記ハブキャップとによって段差が形成され、
前記押圧手段は、前記筒部材に形成された取付孔に螺合される固定ネジにて構成され、
前記駒部材は、外側端部が前記段差に当接された状態で、前記固定ネジで前記凹状溝部の内壁に押し当てられて、前記筒部材が前記アクスルハブに固定されることを特徴とする請求項1に記載の脱輪防止装置。
【請求項3】
前記駒部材には窪みが形成され、
前記筒部材には、前記駒部材の前記外側端部が前記段差に当接する状態で、前記窪みと対応する位置に前記取付孔が設けられ、
前記押圧手段を構成する前記固定ネジが前記取付孔に螺合されることを特徴とする請求項2に記載の脱輪防止装置。
【請求項4】
前記アクスルハブと前記筒部材は、係止片によって互いに連結されていることを特徴とする請求項2に記載の脱輪防止装置。
【請求項5】
前記係止片は、一端が前記筒部材の外側天面に当接し、他端が前記ハブキャップの上面にネジ止めされていることを特徴とする請求項4に記載の脱輪防止装置。
【請求項6】
前記筒部材の内側底部に、前記アクスルハブのハブボルト位置に対応して切欠き部又は凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の脱輪防止装置。
【請求項7】
前記筒部材の外周面には、脱輪防止部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の脱輪防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型車輌の脱輪防止装置に関し、特にリアハブのハブボルトの損傷時に有用な脱輪防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大型車輌(例えば、大型貨物自動車)にあっては、車軸に設けられたハブ(アクスルハブ)にタイヤホイールを嵌め、このアクスルハブに設けられた取付用ボルト(ハブボルト)にタイヤホイール側の取付孔を挿入し、その後、ハブボルトにナットを螺合することで、アクスルハブにタイヤホイールを強固に固定している。
このような大型車輌にあっては、大重量のタイヤホイールが高速に回転するため、経時的な劣化(金属疲労等)で当該ハブボルトが折損することがある。
このハブボルトの折損が車輌の走行中に生じた場合、高速で回転しているタイヤホイールがアクスルハブから外れ、タイヤごと道路上を暴走し、他の車両に衝突したり、歩行者に当たる等、重大事故を発生する虞がある。
このためハブボルトの折損が生じた場合でも、アクスルハブからタイヤホイールが脱落(脱輪)しないようにした脱輪防止装置が、例えば、以下の特許文献により提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-75036号公報
【特許文献2】特開2009-274465号公報
【特許文献3】特許第3217724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このうち特許文献1は、ハブキャップを固定するためのシャフトボルト(取付ボルト)により脱輪防止金具をリアハブに取り付けてタイヤホイールの脱落を防止する技術を開示している。
また、特許文献2は、ホイールハブ(本願のアクスルハブ)の外周を囲む脱輪防止具を、2つのC字型ストッパ部材で構成し、2つのC字型ストッパ部材をボルトとナットでO字型でホイールハブに取り付ける技術を開示している。この脱輪防止具には内側に2つの凸部が形成され、この凸部がホイールハブ側の凹部(本願の凹状溝部)に嵌め込まれて脱落防止が図られている。
【0005】
また、特許文献3は、
図25に示すように、ハブ2を外側から覆う内筒3と外筒7によってタイヤホイールの脱落を防止する脱輪防止装置を開示している。
この特許文献3では、ハブ2に嵌合させる内筒3は、外径がタイヤホイールの内径よりも大きく形成され、該内筒3の周壁にはハブ2の外周面の凹部(本願の凹状溝部)に対応する位置に支持孔4が形成されている。この支持孔4に上記凹部に係合するストッパブロック(本願の駒部材に対応)6が着脱可能に支持される。
ストッパブロック6は上記凹部に係合させた状態ではストッパブロック6の上面が内筒3の外周面から突出し、この状態で、内筒3に外筒7が嵌装される。
外筒7の内径は、突出した状態のストッパブロック6の外径に等しく、よって、外筒7は、内筒3に嵌装された際にストッパブロック6に係合する。
ストッパブロック6はボルト(本願の固定ネジに対応)8により内筒3から抜けないように抜け止めが形成されている。
【0006】
上記した特許文献1は、単に脱輪防止金具をシャフトボルトによりリアハブに固定する構成である。
また、特許文献2は、単にストッパ部材となるリング状の脱輪防止具に2つの凸部を設け、この2つの凸部を凹部に嵌め合わせる構成であり、かかる脱落防止具によってタイヤホイールがホイールハブから脱落しないようにしている。
特許文献1、2の脱輪防止装置(脱輪防止金具、脱輪防止具)のいずれも構造が極めて簡単であるものの、走行時に高速で回転する大重量のタイヤホイールの脱輪防止装置としての強度を保つことが困難である。これは、特許文献1の脱落防止金具も、特許文献2の脱落防止具も、特許文献3の筒状の部材(金属製の筒)のような十分な強度が確保できる部材ではないからである。
【0007】
一方、特許文献3は、
図25に示すように、軸方向に十分な幅(高さ)のある内筒3と外筒7によってハブ2を覆う構成であり、かつ、ストッパブロック(駒部材)6が内筒3により軸方向に移動できない構造であるため、高速で回転する大重量のタイヤホイールの脱輪防止装置として十分に機能を発揮し得る。
しかし、この特許文献3の脱輪防止装置は、内筒3と外筒7の二重の筒構造であり、また、走行時(高速回転時)のストッパブロック6の軸方向の振動を防止するためには、ストッパブロック6の外側の面と外側7の内面とを精度良く一致させる必要があるなど、構造が複雑で設計も困難であり、部品点数も多く装置全体として高コストなものとなる。
また、ストッパブロック6が、依然として、内筒3の支持孔4内で振動し得る構造であるため、車輌の走行時に各部位にストレスがかかり得る構造となっており、脱輪防止装置自体に十分な耐久性を備えることが困難である。
本発明は、このような従来の文献に開示された脱輪防止装置の欠点を克服し、構成簡単で、しかも高速で回転する大重量のタイヤホイールの脱落を十分に防止でき、装置自体の耐久性も高められる脱輪防止装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本願の第1の発明は、軸方向に延びる複数の凹状溝部が形成されたアクスルハブに装着されるタイヤホイールの脱輪防止装置であって、前記凹状溝部の少なくとも1つに嵌め込まれる駒部材と、前記駒部材が前記凹状溝部に嵌め込まれた状態で前記アクスルハブを外周から覆う筒部材と、前記筒部材に取り付けられ、前記駒部材を前記凹状溝部に押し当てる押圧手段とからなる。
また、本願の第2の発明は、第1の発明において、前記アクスルハブにはハブキャップが取り付けられて、前記凹状溝部と前記ハブキャップとによって段差が形成され、前記押圧手段は、前記筒部材に形成された取付孔に螺合される固定ネジにて構成され、前記駒部材は、外側端部が前記段差に当接された状態で、前記固定ネジで前記凹状溝部の内壁に押し当てられて、前記筒部材が前記アクスルハブに固定される。
【0009】
また、本願の第3の発明は、第2の発明において、前記駒部材には窪みが形成され、前記筒部材には、前記駒部材の前記外側端部が前記段差に当接する状態で、前記窪みと対応する位置に前記取付孔が設けられ、前記押圧手段を構成する前記固定ネジが前記取付孔に螺合される。
また、本願の第4の発明は、第2の発明において、前記アクスルハブと前記筒部材は、係止片によって互いに連結されている。
また、本願の第5の発明は、第4の発明において、前記係止片は、一端が前記筒部材の外側天面に当接し、他端が前記ハブキャップの上面にネジ止めされている。
【0010】
また、本願の第6の発明は、第1から第5の発明において、前記筒部材の内側底部に、前記アクスルハブのハブボルト位置に対応して切欠き部又は凹部が形成されている。
また、本願の第7の発明は、第1から第4の発明において、前記筒部材の外周面には、脱輪防止部が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本願の第1の発明によれば、簡素な構成で脱輪防止装置を実現することができる。
本願の第2の発明によれば、脱輪防止装置が、駒部材と、筒部材と、押圧手段とからなり、前記筒部材と前記ハブキャップとで形成される段差に、前記駒部材の外側端部(先端部)が当接された状態で固定されるので、前記駒部材が凹状溝部内で軸方向にも周方向にも振動することがない。よって、走行時にタイヤホイールが高速で回転しても、前記駒部材の揺れを減らすことができ、各部位の破損を防ぐことができ脱輪防止装置自体の耐久性が向上する。
【0012】
本願の第3の発明によれば、固定ネジの先端が前記駒部材の窪みに食い込むので強固に、かつ、確実に駒部材を固定でき、大型車輌の大重量のタイヤホイールが高速で回転しても、駒部材自体が揺れ動くことがなく、各部位に与えるストレスを減らすことができ、各部位の破損を防ぐことができ、脱輪防止装置自体の耐久性が向上する。
本願の第4の発明によれば、前記係止片が前記取付ボルトによって前記ハブキャップの上面に固定されると共に筒部材を先端側から押さえ込むので、筒部材の軸方向の移動が制限され、前記駒部材が軸芯方向に抑えられるので、筒部材をアクスルハブに確実に固定できる。
【0013】
本願の第5の発明によれば、係止片による筒部材の軸方向への移動の制限を容易に行うことができる。
本願の第6の発明によれば、筒部材の内側底部(ハブ取付部の側)に切欠き部又は凹部が形成されているので、脱輪防止装置が装着された状態でのソケットを用いたレンチによるナットの締め付け作業が可能となる。
本願の第7の発明によれば、ハブ取付部のハブ穴の内径が、筒部材の外径より大きい場合であっても、筒部材の外周面に設けられた脱輪防止部により、タイヤホイールが外れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の脱輪防止装置100がアクスルハブ10に装着された状態を示す斜視図である。
【
図2】駒部材110、筒部材120、固定ネジ130からなる脱輪防止装置100の分解斜視図である。
【
図3】ハブボルト12と、凹状溝部11の相対的な位置関係を示すためアクスルハブ10を軸方向から見た正面図である。
【
図4】3箇所の凹状溝部11,11,11に3つの駒部材110,110,110を装着しても、ハブボルト12,…へのナット13,…の締め付け作業が可能な位置関係を示すためアクスルハブ10を軸方向から見た正面図である。
【
図5】アクスルハブ10にタイヤホイール20を取り付ける手順を示す斜視図である。
【
図6】タイヤホイール20が取り付けられたアクスルハブ10の凹状溝部11,11,11に駒部材110,110,110を装着する様子を示す斜視図、及び、アクスルハブ10のハブボルト12,12,12,…と3つの駒部材110,110,110の位置関係を示す正面図である。
【
図7】アクスルハブ10に脱輪防止装置100を装着する手順を示す斜視図である。
【
図8】
図6(b)のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図9】アクスルハブ10に脱輪防止装置100が装着された状態での電動レンチ30によるナット13の締め付け作業を示す斜視図である。
【
図10】2つの駒部材210,210と1つの係止片240で筒部材220をアクスルハブ10に取り付ける際の位置関係を示す正面図である。
【
図11】2つの駒部材210,210と1つの係止片240で筒部材220をアクスルハブ10に取り付ける手順を示す斜視図である。
【
図13】2つの駒部材210,210と1つの係止片240を有する脱輪防止装置200が取り付けられた状態での電動レンチ30によるナット13の締め付け作業を示す斜視図である。
【
図14】2つの駒部材310,310と2つの係止片340,340で筒部材320をアクスルハブ10に取り付ける際の位置関係を示す正面図である。
【
図15】2つの駒部材310,310と2つの係止片340,340で筒部材320をアクスルハブ10に取り付ける手順を示す斜視図である。
【
図16】アクスルハブ40のハブボルト42と凹状溝部41が同数の場合の両者の位置関係を示す正面図である。
【
図17】アクスルハブ40に脱輪防止装置400が装着された状態でのナット43の締め付け作業を示す斜視図である。
【
図18】切欠き部522を最大にして筒部材520の軽量化を図った脱輪防止装置500を示す斜視図である。
【
図19】ハブ取付部71のハブ穴71Aの内径(W1)がアクスルハブ60の主部60Aの外径(W2)より大きい場合に装着される脱輪防止装置600を示す斜視図である。
【
図20】アクスルハブ60に脱輪防止装置600が装着された状態での筒部材620と駒部材610とスカート部65,65,…の関係を示す平面図及び断面図である。
【
図21】アクスルハブ60に脱輪防止装置600が装着された状態での筒部材620と駒部材610と脱輪防止部640の関係を示す断面図及び断面図である。
【
図22】アクスルハブ60にタイヤホイール70のハブ取付部71を装着する様子を示す斜視図である。
【
図23】ハブ取付部71を装着したアクスルハブ60に脱輪防止装置600を取り付ける様子を示す斜視図である。
【
図24】筒部材720をアクスルハブ60に駒部材710と係止片740で固定する脱輪防止装置700を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について、
図1から
図18を用いて説明する。
図1は、本発明の脱輪防止装置100がアクスルハブ10に取り付けられている様子を示す斜視図、
図2は、脱輪防止装置100を示す分解斜視図である。
図1、
図2に示すように、脱輪防止装置100は、アクスルハブ10にタイヤホイール20のハブ取付部21が固定された状態で、該アクスルハブ10を車両のアウター側(
図1及び
図2中、左側)から取り付けられる。
アクスルハブ10の先端には、ハブキャップ14が取り付けられており、このハブキャップ14と、アクスルハブ10の凹状溝部11,11,11,…とで段差Dが形成される(
図8参照)。
【0016】
脱輪防止装置100は、
図2に示すように、アクスルハブ10の凹状溝部11,11,11,…に嵌め込まれる3つの駒部材110,110,110と、駒部材110,110,110が嵌め込まれたアクスルハブ10を外側から覆うように取り付けられる筒部材120と、筒部材120の雌ねじが切られた取付孔121,121,121に螺合されて、駒部材110,110,110を各凹状溝部11,11,11の内壁に押し当てる固定ネジ(押圧手段)130,130,130とからなる。
【0017】
このうち筒部材120は、アクスルハブ10を外周から覆うように固定され、ハブボルト12,12,12,…が折損してハブ取付部21がアクスルハブ10から離れた際に、この筒部材120がタイヤホイール20の脱落(脱輪)を防止する。
この筒部材120は、常時アクスルハブ10に取り付けられているため軽量であることが望まれるが、一方で、走行時に、ハブボルト12,12,12,…が折損して(ナット13が外れて)ハブ取付部21とアクスルハブ10が離れた場合に、タイヤホイール20を車輌から離脱(脱輪)させない強度が要求される。
【0018】
取付け時に筒部材120のアウター側の端部とタイヤホイール20との間に所定の間隔dが設けられる(
図8参照)。
これはハブボルト12,12,12,…が折損したり、ナット13,13,13,…が緩んだ場合に、これらの異常(ハブ取付部21とアクスルハブ10が離れたこと)が分かるようにするためである。
この隙間dを設けないと、ハブボルト12,12,12,…が折損したり、ナット13,13,13,…が緩んでも、筒部材120とハブ取付部21とが密着して固定されたままで、異常が検知できない。
【0019】
この隙間dが大きすぎると、タイヤホイール20(ハブ取付部21)がアクスルハブ10から外れた際、タイヤホイール20が筒部材120に当たるときの衝撃が大きくなり、筒部材120自体が外れたり、損傷する虞がある。
この実施の形態では隙間dは、アクスルハブ10の軸方向の高さ(例えば、150mm)の1/3程度(40mm~50mm)となっている。
【0020】
また、筒部材120の内側底部(車輌のインナー側の端部(
図2中、右側))には、
図2に示すように、ハブボルト12,12,12,…に対応する位置に、複数(8つ)の切欠き部122,122,122,…が形成されている。
この切欠き部122,122,122,…は、タイヤホイール20の取り付けに用いられる電動レンチ30のソケット31(
図8、
図9参照)が収容できる大きさ/形状となっている。
このように切欠き部122,122,122,…を、ソケット31が収容可能な大きさ/形状とすることで、脱輪防止装置100を装着したまま、ハブボルト12,12,12,…に螺合されたナット13,13,13,…の緩みを、適時点検し、電動レンチ30による締め付け作業を可能としている(
図9参照)。
【0021】
図3(a)は、凹状溝部11,11,11,…に3つの駒部材110を嵌め込むことができるアクスルハブ10のハブボルト12,12,12,…と、凹状溝部11,11,11,…の位置関係を示す正面図、
図3(b)は、凹状溝部11,11,11,…に2つの駒部材110を嵌め込むことができるアクスルハブ10のハブボルト12,12,12,…と、凹状溝部11,11,11,…の位置関係を示す正面図である。
【0022】
図3(a)では、3つの一点鎖線で囲む位置で3つの駒部材110を凹状溝部11に嵌め込んでも、すべてのハブボルト12及びナット13にソケット31を嵌め込むことができる。
一方、
図3(b)では、2つの一点鎖線で囲む位置で、凹状溝部11,11に2つの駒部材110,110を嵌め込むことができるだけで、残りの凹状溝部11,11,11,…に駒部材110を嵌め込むとハブボルト12が、取付ネジ130に隠れてしまい、ハブボルト12,12,12,…にソケット31を挿着できない。
このように、ハブボルト12,12,12,…の位置と凹状溝部11,11,11,…との位置によって、3つの駒部材110,110,110を凹状溝部11,11,11に装着可能であったり、2つの駒部材110,110しか凹状溝部11,11に装着できなかったりする。
【0023】
先ず、
図3(a)に示すように、3ヶ所の凹状溝部11,11,11に3つの駒部材110,110,110を嵌め込んで、脱輪防止装置100を取り付ける例について、
図4から
図9を用いて説明する。
なお、3つの駒部材110,110,110を3ヶ所の凹状溝部11,11,11に嵌め込んで脱輪防止装置100を装着する場合、凹状溝部11,11,11と固定ネジ130,130,130の位置関係は、
図4に示すようになる。
【0024】
脱輪防止装置100を取り付けるには、先ず、
図5に示すように、アクスルハブ10を先端からハブ取付部21のハブ穴21Aに通す。
このときハブ取付部21に形成された取付孔22a,22a,22a,…に、ハブボルト12,12,12,…が貫通するように位置合わせが行われ、該ハブボルト12,12,12,…にナット13,13,13,…が電動レンチ30等で螺合されて両者が固定される。
【0025】
この状態から脱輪防止装置100の取り付けが行われる(
図6、
図7)。
先ず、3つの駒部材110,110,110が、
図6(a)(b)に示すように、3ヶ所の凹状溝部11,11,11に嵌め込まれる。
この3ヶ所の凹状溝部11,11,11は、駒部材110を固定ネジ130で固定しても、固定ネジ130が、ナット13の締め込み作業の妨げにならない箇所である(
図6(b))。
【0026】
3ヶ所の凹状溝部11,11,11に3つの駒部材110,110,110が嵌め込まれた状態で、
図7に示すように、筒部材120が、アクスルハブ10の先端側(アウター側)からその外周を覆うように取り付けられる。
このとき駒部材110,110,110のアウター側の上端(外側端部)110A,110A,110Aは、
図8に示すように、凹状溝部11,11,11とハブキャップ14とで形成された段差Dに当接するように位置合わせが行われ、この状態で固定ネジ130で固定される。
【0027】
駒部材110には、ディンプル(窪み)111が形成されている。
このディンプル111は、駒部材110の上端110Aが段差Dに当接した状態で、螺着された固定ネジ130の先端が、その中心に位置するよう形成されている。
よって、固定ネジ130,130,130が、雌ねじが切られた取付孔121,121,121に螺着されると、固定ネジ130,130,130の先端はディンプル111,111,111を押すことになり、結果、駒部材110,110,110は、上端110Aが段差Dに当接されたまま、凹状溝部11,11,11内で軸芯側の内壁に強固に固定される(
図8)。
【0028】
車輌の走行時に大重量のタイヤホイール20が高速で回転しても、駒部材110,110,110、固定ネジ130,130,130の働きによって筒部材120は脱落しないばかりか、軸方向や周方向に振動することもなく、アクスルハブ10、脱輪防止装置100の各部位に余分なストレスを与えることがなくなり、これら各部位の破損を防ぐこともできる。
【0029】
図9に、脱輪防止装置100が装着された状態で行われる、電動レンチ30によるナット13の締め付け作業の様子を示す。
図6に示したように、3ヶ所の凹状溝部11,11,11に駒部材110,110,110を嵌め込んでも、固定ネジ130は、ナット13を締め付ける際にソケット31の妨げとならない。
【0030】
また、筒部材120の内側底部(ハブ取付部21側の端部)には切欠き部122,122,122,…が形成されているので、脱輪防止装置100を取り付けたまま、ナット13,13,13,…の緩み状態を点検する作業や、電動レンチ30による締め付け作業が可能になる。
【0031】
次に、
図10から
図13を用いて、2つの駒部材210,210と1つの係止片240で筒部材220が固定される脱輪防止装置200について説明する。
脱輪防止装置200を取り付けるに当たっては、2つの駒部材210,210が、
図10に示す2ヶ所の凹状溝部11,11に嵌め込まれる。
この2ヶ所の凹状溝部11,11の駒部材210は、雌ねじが切られた取付孔221,221に固定ネジ230,230を螺着することで固定される。このとき固定ネジ230は、ハブボルト12,12,12,…の位置と重ならないため、ナット13,13,…の締め込み作業の妨げにならない(
図10)。
また、筒部材220の内側底部(ハブ取付部21側の端部)にも、切欠き部222,222,222,…が設けられているため、脱輪防止装置200が取り付けられたままソケット31によるナット13の締め付け作業が可能となる(
図13参照)。
【0032】
駒部材210,210も、脱輪防止装置100の駒部材110と同様に、外側端部(上端)210A,210Aが、
図12に示すように、凹状溝部11,11,11とハブキャップ14とで形成された段差Dに当接された状態で固定ネジ230,230によって固定される。
【0033】
一方、係止片240を取り付けるに当たっては、
図11、
図12に示すように、取付ボルト14aが未だ螺合されていない取付孔14bと係止片240の一端に形成された貫通孔241との位置が合わされる。このとき係止片240の他端は、筒部材220の上端側の面(外側天面)に当接される。
この状態で、取付ボルト14aを取付孔14bに螺合させることで、係止片240は、一端がハブキャップ14の上面に固定され、他端が筒部材220を上端側の面(外側天面)から押さえ込む。
【0034】
このように脱輪防止装置200では、筒部材220は、係止片240によって上端がハブキャップ14側に押さえ込まれ、かつ、2つの駒部材210,210の作用によって軸芯方向に押さえ付けられる。
この脱輪防止装置200でも、車輌の走行時に大重量のタイヤホイール20が高速に回転しても、駒部材210,210や筒部材220が、アクスルハブ10の軸方向や軸芯方向への振動が抑えられ、アクスルハブ10、脱輪防止装置100の各部位に余分なストレスを与えることがなくなり、これら各部位の破損を防ぐこともできる。
【0035】
図13に、脱輪防止装置200が装着された状態で行われる、電動レンチ30によるナット13の締め付け作業の様子を示す。
この脱輪防止装置200を取り付けたままでも、筒部材220の内側底部(インナー側の端部)に切欠き部222,222,222,…が形成されているため、電動レンチ30による締め付ける作業が可能である。
【0036】
図14は、2つの駒部材310,310と、2つの係止片340,340とによって、筒部材320をアクスルハブ10に固定する脱輪防止装置300を示す正面図である。
脱輪防止装置300を取り付けるに当たっては、先ず、2つの駒部材310,310が、
図14、
図15に示す2ヶ所の凹状溝部11,11に嵌め込まれる。
【0037】
2つの駒部材310,310が嵌め込まれた状態から、
図15に示すように、筒部材320が、アクスルハブ10の外周を覆うように取り付けられる。
駒部材310,310も、上端が凹状溝部11,11,11とハブキャップ14とで形成された段差D(図示省略)に当接され、この状態で、固定ネジ330,330が、雌ねじが切られた取付孔321,321に螺着されると、該固定ネジ330,330の先端がディンプル311,311内に押し当てられる。
【0038】
係止片340は、一端に形成された貫通孔341に取付ボルト14aが挿入され、この取付ボルト14aが取付孔14bに螺着されて、ハブキャップ14に固定される。
このとき係止片340の他端は、筒部材320の上端側の面(外側天面)を押さえ込む。
一方で、筒部材320は、2つの駒部材310,310で軸芯に向かって押さえ付けられてアクスルハブ10に固定される。
なお、筒部材320の内側底部にも切欠き部222,222,222,…が形成されているため、脱輪防止装置300を取り付けたままで、電動レンチ30による締め付ける作業が可能となる。
【0039】
次に、
図16、
図17を用いて、10のハブボルト42,42,42,…が設けられたアクスルハブ40に装着される脱輪防止装置400について説明する。
10のハブボルト42,42,42,…を有するアクスルハブ40では、ハブボルト42,42,42,…は、中心とハブキャップ14の10の取付ボルト14a,14a,14a,…を結ぶ延長線上に位置する(
図16)。
【0040】
よって、アクスルハブ40のいずれの凹状溝部41,41,41,…に駒部材410,410,410を取り付けても、固定ネジ430がハブボルト42,42,42,…と重なることがない。なお、
図16中、符号421は、雌ねじが切られた取付孔である。
この脱輪防止装置400でも、筒部材420の下端に切欠き部422,422,422,…が形成されているため(
図17)、脱輪防止装置400を実装したまま、ナット43,43,43,…の緩みを点検したり、締め付けをすることが可能である。
【0041】
図18は、更なる軽量化を図った脱輪防止装置500を示す分解斜視図である。
この脱輪防止装置500は、脱輪防止装置100(
図7)と比較して、切欠き部522を可能な限り大きくして軽量化を図った点のみが異なる。
脱輪防止装置500の切欠き部522は、脱輪防止装置100の2つの切欠き部122,122を合わせて1つの大きな切欠き部としたものである。
【0042】
脱輪防止装置500の他の構成は、脱輪防止装置100と同じであるため、その詳細な説明は省略する。なお、図中、符号510は駒部材、符号511はディンプル、符号521は雌ねじが切られた取付孔、符号530は固定ネジ(押圧手段)である。
【0043】
なお、上記した脱輪防止装置100、200、300、400,500のいずれにも、ナットの締め付け作業で用いられるソケットを収容する切欠き部が形成されているが、ナットが収容可能であれば、切欠きに代えて、筒部材の外壁を削って凹部を形成するようにしてもよい。
【0044】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態に係る脱輪防止装置600について、
図19から
図23を用いて説明する。
図19は、本発明の脱輪防止装置600がアクスルハブ60に取り付けられている様子を示す斜視図である。
【0045】
脱輪防止装置600は、
図20、
図21に示すように、アクスルハブ60の凹状溝部61,61,61,…に嵌め込まれる3つの駒部材610,610,610と、アクスルハブ60を外側から覆うように取り付けられる筒部材620と、雌ねじが切られた取付孔621,621,621に螺合されて駒部材610,610,610を凹状溝部51,51,51,…に押し当てる固定ネジ(押圧手段)630,630,630と、筒部材620の外周面に設けられた脱輪防止部640とからなる。
この脱輪防止装置600は、ハブ取付部71のハブ穴71Aの内径W1が、アクスルハブ60の主部(スカート部65を除いた部分)60Aの外径W2より大きいタイヤホイール70の脱輪防止に用いられるものである(
図20(B)、
図21(B))。
アクスルハブ60は、その裾部分に複数(図示例では、10)のスカート部65,65,…が形成され、このスカート部65,65,…の外側がハブ穴71Aと接することで、ハブ取付部71がアクスルハブ60に固定可能になっている。
【0046】
このようにハブ取付部71のハブ穴71Aの内径W1が、主部60Aの外径W2より大きく、さらに脱輪防止装置600の筒部材620の外径W3よりも大きい場合には、筒部材620の本体でタイヤホイール60の脱輪を防止することができない。
そこで脱輪防止装置600では、筒部材620の外周面に複数(図示例では、5つ)の脱輪防止部(脱輪防止用凸部)640,640,…が設けられている。
この脱輪防止部640,640,…により、筒部材620の外周部が実質的に拡大し、ハブボルト62,62,62,…が折損した場合でも、タイヤホイール70のハブ取付部71が、この脱輪防止部640,640,…に引っかかって、タイヤホイール70の脱輪を防止することができる。
【0047】
この脱輪防止装置600では、筒部材620の軸方向の長さH2(高さ)が、アクスルハブ60の高さH1(図示例では、150mm)の1/3より長い(60mm程度)。
また、脱輪防止部640,640,…は、アウター側からインナー側(
図21(B)の左側から右側)に向けて広がる細長い箱型(側面が台形)となっている(
図21(B)、
図23)。
【0048】
脱輪防止部640,640,…は、
図21(B)に示す軸方向の長さD1は80mm程度であり、その半分(D2=40mm)が筒部材620に溶接されている。
このとき脱輪防止部640,640,…のインナー側の端部とハブ取付部71表面との隙間dは、40mm~50mm程度となる。
隙間dを必要以上に大きくすると、ハブボルト62,62,62,…が折損してアクスルハブ60からハブ取付部71が外れ際に筒部材620に生ずる衝撃が大きくなるため、脱輪防止部640,640,…の長さを調整して、間隔dを最適な値としている。
【0049】
なお、脱輪防止装置600でも、脱輪防止装置100と同様に3ヶ所の凹状溝部61,61,61に3つの駒部材610,610,610が嵌め込まれ、固定ネジ630,630,630で固定されている。
脱輪防止装置600の他の機能は、第1の実施の形態の脱輪防止装置100と同一であるため、その詳細な説明は、省略する。
【0050】
なお、脱輪防止装置600は、ハブ取付部71のハブ穴71Aの内径W1が、アクスルハブ60の主部60Aの外径W2より大きいタイヤホイール70の脱落防止に用いられるものであるが、かかるタイヤホイール70では筒部材620及び固定ネジ630は、ナット63,63,63…の締め込み作業の妨げにならないため、第1の実施の形態で設けた切欠き部は不要となる。
【0051】
なお、5つの脱輪防止部640,640,…は、10の凹状溝部61,61,61,…に対して1つおきの凹状溝部61,61,61,…に対応して、合計5つ形成されている。
よって、駒部材610,610,610は、脱輪防止部640,640,…と対応していない残りの5つの凹状溝部61,61,61,…の何れかに装着すればよい。
【0052】
なお、この第2の実施の形態でも、駒部材610と係止片640を併用して、アクスルハブ60と筒部材620とを固定することができる(
図24)。
【符号の説明】
【0053】
10,40,60 アクスルハブ
11,41,61 凹状溝部
12,42,62 ハブボルト
13,43,63 ナット
14 ハブキャップ
14a 取付ボルト
14b 取付孔
20,50,70 タイヤホイール
30 電動レンチ
31 ソケット
100,200,300,400,500,600,700 脱輪防止装置
110,210,310,410,510,610,710 駒部材
120,220,320,420,520,620,720 筒部材
121,221,321,421,521,621,721 取付孔
122,222,322,422,522 切欠き部
130,230,330,430,530,630,730 固定ネジ(押圧手段)
240,340,740 係止片
650 脱輪防止部(凸部)
【手続補正書】
【提出日】2022-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる複数の凹状溝部が形成されたアクスルハブに装着されるタイヤホイールの脱輪防止装置であって、
前記凹状溝部の少なくとも1つに嵌め込まれる駒部材と、
前記駒部材が前記凹状溝部に嵌め込まれた状態で前記アクスルハブを外周から覆う筒部材と、
前記筒部材に取り付けられ、前記駒部材を前記凹状溝部に押し当てる押圧手段とからなり、
前記アクスルハブにはハブキャップが取り付けられて、前記凹状溝部と前記ハブキャップとによって段差が形成され、
前記押圧手段は、前記筒部材に形成された取付孔に螺合される固定ネジにて構成され、
前記駒部材は、外側端部が前記段差に当接された状態で、前記固定ネジで前記凹状溝部の内壁に押し当てられて、前記筒部材が前記アクスルハブに固定されることを特徴とする脱輪防止装置。
【請求項2】
前記駒部材には窪みが形成され、
前記筒部材には、前記駒部材の前記外側端部が前記段差に当接する状態で、前記窪みと対応する位置に前記取付孔が設けられ、
前記押圧手段を構成する前記固定ネジが前記取付孔に螺合されることを特徴とする請求項1に記載の脱輪防止装置。
【請求項3】
前記アクスルハブと前記筒部材は、係止片によって互いに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の脱輪防止装置。
【請求項4】
前記係止片は、一端が前記筒部材の外側天面に当接し、他端が前記ハブキャップの上面にネジ止めされていることを特徴とする請求項3に記載の脱輪防止装置。
【請求項5】
前記筒部材の内側底部に、前記アクスルハブのハブボルト位置に対応して切欠き部又は凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の脱輪防止装置。
【請求項6】
前記筒部材の外周面には、脱輪防止部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の脱輪防止装置。
【請求項7】
中心にハブ穴が形成されたハブ取付部を有し、軸方向に延びる複数の凹状溝部が形成されたアクスルハブに装着されるタイヤホイールの脱輪防止装置であって、
前記凹状溝部の少なくとも1つに嵌め込まれる駒部材と、
前記駒部材が前記凹状溝部に嵌め込まれた状態で前記アクスルハブを外周から覆う筒部材と、
前記筒部材に取り付けられ、前記駒部材を前記凹状溝部に押し当てる押圧手段とからなり、
前記筒部材の外周面に、前記ハブ穴の内径が前記筒部材の外径よりも大きいタイヤホイールが装着された際に前記ハブ取付部を引っかけることが可能な凸部からなる脱輪防止部が設けられていることを特徴とする脱輪防止装置。