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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017936
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】部品実装方法及び部品実装ライン
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230131BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20230131BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20230131BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
H05K13/04 M
H05K13/08 D
H05K3/32 B
H01L21/60 311T
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178991
(22)【出願日】2022-11-08
(62)【分割の表示】P 2018041481の分割
【原出願日】2018-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】金子 仁
(72)【発明者】
【氏名】辻川 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】田栗 昭嘉
(57)【要約】
【課題】基板ごとに作業した設備構成に考慮した補正値を算出して部品の実装精度を向上させた部品実装方法及び部品実装ラインを提供することを目的とする。
【解決手段】基板を搬送させる搬送ステージが右側搬送ステージか左側搬送ステージかの情報である搬送ステージ情報に基づいて、2つの基板を右側搬送ステージと左側搬送ステージで部品圧着部に搬送し、左側搬送ステージで搬送されたの基板に搭載された部品を左側の圧着手段で圧着し、右側搬送ステージで搬送された基板に搭載された部品を右側の圧着手段で圧着し、基板に圧着された部品の位置を検査し、検査結果と検査した基板を識別する基板識別情報及び検査した基板の搬送ステージ情報とに基づいて、右側の搬送ステージで搬送される基板の部品の位置ずれの補正値データと左側の搬送ステージで搬送される基板の部品の位置ずれの補正値データとを算出する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を搭載する部品搭載部及び前記部品が搭載された2つの前記基板を右側搬送ステージと左側搬送ステージで搬送し右側圧着手段と左側圧着手段で前記部品を前記2つの基板それぞれに圧着する部品圧着部を備えた部品実装装置と、前記2つの基板それぞれに圧着された前記部品の位置を検査する検査装置とを有する部品実装ラインにおける部品実装方法であって、
前記部品搭載部に2つの前記基板を搬送する第1搬送工程と、
前記部品搭載部により2つの前記基板に前記部品を搭載する部品搭載工程と、
前記基板を搬送させる搬送ステージが前記右側搬送ステージか前記左側搬送ステージかの情報である搬送ステージ情報に基づいて、2つの前記基板を前記右側搬送ステージと前記左側搬送ステージで前記部品圧着部に搬送する第2搬送工程と、
前記左側搬送ステージで搬送された前記基板に搭載された前記部品を前記左側圧着手段で圧着する第1圧着工程と、
前記右側搬送ステージで搬送された前記基板に搭載された前記部品を前記右側圧着手段で圧着する第2圧着工程と、
前記基板に圧着された前記部品の位置を検査する検査工程と、
前記検査工程における検査結果と、検査した前記基板を識別する基板識別情報及び検査した前記基板の前記搬送ステージ情報とに基づいて、前記右側搬送ステージで搬送される前記基板の前記部品の位置ずれの補正値データと前記左側搬送ステージで搬送される前記基板の前記部品の位置ずれの補正値データとを算出する補正値算出工程とを含む部品実装方法。
【請求項2】
前記補正値データに基づいて前記右側搬送ステージと前記左側搬送ステージを制御する請求項1に記載の部品実装方法。
【請求項3】
基板に部品を搭載する部品搭載部及び前記基板に搭載された2つの前記部品を圧着する部品圧着部を備えた部品実装装置と、前記基板に圧着された前記部品の位置を検査する検査装置とを有する部品実装ラインであって、
前記部品実装装置は、
前記部品搭載部に2つの前記基板を搬送する第1搬送手段と、
右側搬送ステージと左側搬送ステージで前記部品圧着部に2つの前記基板を搬送する第2搬送手段とを備え、
前記部品圧着部は、前記右側搬送ステージで搬送された前記基板に搭載された前記部品を圧着する右側圧着手段と前記左側搬送ステージで搬送された前記基板に搭載された前記部品を圧着する左側圧着手段とを有し、
前記検査装置から検査情報を取得する検査情報取得部と、
前記検査情報取得部が取得した検査情報から補正値を算出する補正値算出部と、
搬送される搬送ステージの情報が関連づけられた前記基板を識別する基板識別情報を記憶する記憶部とを備え、
前記検査装置は、
前記基板に圧着された前記部品の位置を検査する検査部と、
前記検査部が前記部品の位置を検査した検査結果を前記基板識別情報と関連づけて検査情報として出力する検査情報出力部とを備え、
前記補正値算出部は、前記検査情報と、前記基板識別情報と、検査された前記基板を搬送した搬送ステージ情報とに基づいて、前記右側搬送ステージで搬送される前記基板の前記部品の位置ずれの補正値データと前記左側搬送ステージで搬送される前記基板の前記部品の位置ずれの補正値データとを算出する部品実装ライン。
【請求項4】
前記補正値データに基づいて前記右側搬送ステージと前記左側搬送ステージを制御する制御部をさらに備える請求項3に記載の部品実装ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に搭載した部品を圧着ツールにより圧着する部品実装方法及び部品実装ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル基板を製造するための装置では、基板に端部に接着として異方性導電部材のACF(Anisotropic Conductive Film)テープを貼着するACF貼着部、基板のACFテープが貼着された部分に部品を搭載する部品搭載部、部品搭載部において部品が搭載れた基板にその部品を圧着する部品圧着部を備えている。特許文献1には、部品実装装置の後側に連結される検査装置で検査した結果から基板に対する部品の搭載位置の位置ずれを補正する補正値を算出し、補正値を用いて部品搭載作業部で部品を搭載することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-17825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、生産性を向上させるために複数の基板を一度に搬送する搬送部や、複数基板を圧着できる圧着機構を有する部品圧着部を備える設備構成の部品実装装置では、基板ごとに作業した設備構成を考慮して補正値を算出しないと位置ずれ量が増加するおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、基板ごとに作業した設備構成に考慮した補正値を算出して部品の実装精度を向上させた部品実装方法及び部品実装ラインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装方法は、基板に部品を搭載する部品搭載部及び前記部品が搭載された2つの前記基板を右側搬送ステージと左側搬送ステージで搬送し右側圧着手段と左側圧着手段で前記部品を前記2つの基板それぞれに圧着する部品圧着部を備えた部品実装装置と、前記2つの基板それぞれに圧着された前記部品の位置を検査する検査装置とを有する部品実装ラインにおける部品実装方法であって、前記部品搭載部に2つの前記基板を搬送する第1搬送工程と、前記部品搭載部により2つの前記基板に前記部品を搭載する部品搭載工程と、前記基板を搬送させる搬送ステージが前記右側搬送ステージか前記左側搬送ステージかの情報である搬送ステージ情報に基づいて、2つの前記基板を前記右側搬送ステージと前記左側搬送ステージで前記部品圧着部に搬送する第2搬送工程と、前記左側搬送ステージで搬送された前記基板に搭載された前記部品を前記左側圧着手段で圧着する第1圧着工程と、前記右側搬送ステージで搬送された前記基板に搭載された前記部品を前記右側圧着手段で圧着する第2圧着工程と、前記基板に圧着された前記部品の位置を検査する検査工程と、前記検査工程における検査結果と、検査した前記基板を識別する基板識別情報及び検査した前記基板の前記搬送ステージ情報とに基づいて、前記右側搬送ステージで搬送される前記基板の前記部品の位置ずれの補正値データと前記左側搬送ステージで搬送される前記基板の前記部品の位置ずれの補正値データとを算出する補正値算出工程とを含む。
【0007】
本発明の部品実装ラインは、基板に部品を搭載する部品搭載部及び前記基板に搭載された2つの前記部品を圧着する部品圧着部を備えた部品実装装置と、前記基板に圧着された前記部品の位置を検査する検査装置とを有する部品実装ラインであって、前記部品実装装置は、前記部品搭載部に2つの前記基板を搬送する第1搬送手段と、右側搬送ステージと左側搬送ステージで前記部品圧着部に2つの前記基板を搬送する第2搬送手段とを備え、前記部品圧着部は、前記右側搬送ステージで搬送された前記基板に搭載された前記部品を圧着する右側圧着手段と前記左側搬送ステージで搬送された前記基板に搭載された前記部品を圧着する左側圧着手段とを有し、前記検査装置から検査情報を取得する検査情報取得部と、前記検査情報取得部が取得した検査情報から補正値を算出する補正値算出部と、搬送される搬送ステージの情報が関連づけられた前記基板を識別する基板識別情報を記憶する記憶部とを備え、前記検査装置は、前記基板に圧着された前記部品の位置を検査する検査部と、前記検査部が前記部品の位置を検査した検査結果を前記基板識別情報と関連づけて検査情報として出力する検査情報出力部とを備え、前記補正値算出部は、前記検査情報と、前記基板識別情報と、検査された前記基板を搬送した搬送ステージ情報とに基づいて、前記右側搬送ステージで搬送される前記基板の前記部品の位置ずれの補正値データと前記左側搬送ステージで搬送される前記基板の前記部品の位置ずれの補正値データとを算出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板ごとに作業した設備構成に考慮した補正値を算出して部品の実装精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態における部品実装ラインの平面図
図2】本発明の一実施の形態における部品実装ラインによる基板に部品を実装する作業の進行手順を示す図
図3】本発明の一実施の形態における部品実装ラインが備える基板移送体の斜視図
図4】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装ラインが備えるACF貼着部の斜視図
図5】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装ラインが備える部品搭載部の斜視図
図6】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装ラインが備える部品圧着部の斜視図
図7】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装ラインが備える検査部の斜視図
図8】本発明の一実施の形態における部品実装ラインの制御系統を示すブロック図
図9】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装ラインが備えるACF貼着部の動作説明図
図10】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装ラインが備える部品搭載部の動作説明図
図11】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装ラインが備える部品圧着装置の動作説明図
図12】本発明の一実施の形態における部品実装ラインが備える検査装置が実行する検査の流れを示すフローチャート
図13】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装ラインが備える検査装置の動作説明図
図14】本発明の一実施の形態における部品実装ラインの検査情報取得部が取得した検査情報の一例を示す図
図15】本発明の一実施の形態における部品実装ラインの補正値算出部が算出した搭載位置の補正値のデータの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態における部品実装ライン1を示している。部品実装ライン1は、部品実装装置1Aとその下流側の検査装置1Bが連結された構成を有しており、液晶パネル等の基板2に部品3を実装する(図2)。本実施の形態では説明の便宜上、作業者OPから見た部品実装ライン1の手前側を部品実装ライン1の前方と称し、作業者OPから見た部品実装ライン1の奥側を部品実装ライン1の後方と称する。また、作業者OPから見た部品実装ライン1の左方を部品実装ライン1の左方と称し、作業者OPから見た部品実装ライン1の右方を部品実装ラインの右方と称する。更に、部品実装ライン1の左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。
【0011】
図2において、基板2はその上面に複数の端子から構成される搭載位置2d(実装位置)をひとつ又は複数(ここでは2つ)備えており、各搭載位置2dを両側から挟む位置には一対の基板側マーク2mが設けられている。一方、部品3はその下面に搭載位置2dを構成する複数の端子に対応した複数の端子から構成される接合部位3Dを備えており、接合部位3Dを両側から挟む位置には一対の部品側マーク3Mを有している。一対の基板側マーク2mの間と一対の部品側マーク3Mの間は同一の間隔となっており、一対の基板側マーク2mと一対の部品側マーク3Mが平面視において一致するように部品3を基板2に取り付けることで、搭載位置2dと接合部位3Dとを合致させた状態で部品3を基板2に取り付けることができる。
【0012】
図1において、部品実装ライン1は、基台11の前方領域に基板移送機構12を有している。基台11の後方領域には、作業者OPから見た左側から順に、ACF貼着部13、部品搭載部14及び部品圧着部15が備えられている。基板移送機構12は、基台11の最前方領域をX軸方向に延びて設けられたガイドテーブル12T上を複数の基板移送体12MがそれぞれX軸方向に独立して移動自在な構成を有する。
【0013】
図3において、各基板移送体12Mは後方に延びた複数の吸着アーム21を有している。各吸着アーム21には吸着口を下方に向けた複数の吸着部22が設けられている。各基板移送体12Mは、吸着部22によって基板2を上方から吸着(ピックアップ)し、ガイドテーブル12Tに沿ってX軸方向に移動することにより基板2を移送する。各基板移送体12Mは2つの基板2を同時に搬送することができる。
【0014】
図4(a),(b)において、ACF貼着部13は、2つの貼着ツール31と2つの貼着支持台32を備えている。2つの貼着ツール31はX軸方向に並んで設けられており、それぞれ昇降自在となっている。各貼着ツール31の上方には、ACFテープ33が貼り付けられたテープ部材34が巻き付けられたテープ供給リール35が設けられている。2つの貼着支持台32はそれぞれ基台11から上方に突出してX軸方向に延びた形状を有している。2つの貼着支持台32はそれぞれ2つの貼着ツール31の下方に位置している。
【0015】
図1及び図4(a),(b)において、ACF貼着部13の前方には、ACF貼着部13に対して基板2を位置決めする基板移動機構36が設けられている。基板移動機構36は直交座標移動機構から構成されている。基板移動機構36は、X軸方向に延びた貼着ステージベース37をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させる。図4(a)に示すように、貼着ステージベース37は、X軸方向の両端に真空吸着口を備えた貼着ステージ38を備えており、これら2つの貼着ステージ38において2つの基板2を吸着して保持する。
【0016】
貼着ステージベース37は、基板移動機構36によって、「準備位置」(図4(a)に示す位置)とその後方の「作業位置」(図4(b)に示す位置)との間で移動される。ACF貼着部13が備える2つの貼着ツール31のX軸方向の間隔及び2つの貼着支持台32のX軸方向の間隔は、2つの貼着ステージ38に保持された2つの基板2のX軸方向の間隔と一致している。
【0017】
図1及び図5(a),(b)において、部品搭載部14は、部品供給部41、搭載ヘッド42、搭載支持台43及び位置合わせ用カメラ44を備えている。部品供給部41は基板2に搭載される部品3を供給する。搭載ヘッド42は下端に部品3を吸着する部品吸着口(図示せず)を備えている。搭載ヘッド42は直交座標移動機構から構成される搭載ヘッド移動機構42KによってX軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びZ軸回りの回転方向に移動される。搭載支持台43は基台11から上方に突出してX軸方向に延びた形状を有している。位置合わせ用カメラ44は搭載支持台43の近傍に設けられており、撮像光軸を上方に向けている。
【0018】
図6(a),(b)において、部品圧着部15は、2つの圧着ツール51と2つの圧着支持台52を備えている。2つの圧着ツール51はX軸方向に並んで設けられており、それぞれ昇降自在となっている。2つの圧着ツール51のうち、右側の圧着ツール51(右側圧着ツール51R)を第1圧着手段と称し、左側の圧着ツール51(左側圧着ツール51L)を第2圧着手段と称する。2つの圧着支持台52はそれぞれ基台11から上方に突出してX軸方向に延びた形状を有している。2つの圧着支持台52はそれぞれ2つの圧着ツール51の下方に位置している。
【0019】
図1図5(a),(b)及び図6(a),(b)において、部品搭載部14及び部品圧着部15の前方には、部品搭載部14及び部品圧着部15に対して基板2を位置決めするステージ移動機構53が設けられている。ステージ移動機構53は直交座標移動機構から構成されている。ステージ移動機構53は、X軸方向に延びた左右の2つの搬送ステージベース54をそれぞれX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させる。
【0020】
左側の搬送ステージベース54(左側搬送ステージベース54L。図1及び図5(a),(b))と、右側の搬送ステージベース54(右側搬送ステージベース54R。図1及び図6(a),(b))はそれぞれ、X軸方向の両端に真空吸着口を備えた搬送ステージ55を備えており、これら2つの搬送ステージ55において2つの基板2を吸着して保持する。ここでは2つの搬送ステージベース54のうち左側搬送ステージベース54Lを第1搬送手段と称し、右側搬送ステージベース54Rを第2搬送手段と称する。また、各搬送ステージベース54が備える2つの搬送ステージ55のうちの一方(右側)の搬送ステージ55(右側搬送ステージ55R)を第1搬送ステージと称し、他方(左側)の搬送ステージ55(左側搬送ステージ55L)を第2搬送ステージと称する。
【0021】
左側搬送ステージベース54Lは、ステージ移動機構53によって、「準備位置」(図5(a)に示す位置)とその後方の「作業位置」(図5(b)に示す位置)との間で移動される。同様に、右側搬送ステージベース54Rは、ステージ移動機構53によって、「準備位置」(図6(a)に示す位置)とその後方の「作業位置」(図6(b)に示す位置)との間で移動される。部品圧着部15が備える2つの圧着ツール51のX軸方向の間隔及び2つの圧着支持台52のX軸方向の間隔は、右側搬送ステージベース54Rが備える2つの搬送ステージ55に保持された2つの基板2のX軸方向の間隔と一致している。
【0022】
図7(a),(b)において、検査装置1Bは、カメラ61と基板移動部62を備えている。カメラ61は下方に撮像光軸に向けて設置されている。基板移動部62は直交座標移動機構から構成されている。基板移動部62は、X軸方向に延びた検査ステージベース63をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させる。検査ステージベース63は、X軸方向の両端に真空吸着口を備えた検査ステージ64を備えており、これら2つの検査ステージ64において2つの基板2を吸着して保持する。
【0023】
図8において、部品実装ライン1の各部の動作は、部品実装ライン1が備える制御装置70が制御する。制御装置70は基板移送制御部71、ACF貼着制御部72、搭載制御部73、圧着制御部74を備えている。基板移送制御部71は基板移送機構12による基板2の移送制御を行う。ACF貼着制御部72は、ACF貼着部13による基板2へのACFテープ33の貼着制御を行う。搭載制御部73は、部品搭載部14と第1搬送手段である左側搬送ステージベース54Lを相対的に制御して搭載位置を制御する。圧着制御部74は、部品圧着部15による基板2への部品3の圧着制御を行う。また、制御装置70は、検査情報取得部75、補正値算出部76及び記憶部77を備えており、検査装置1Bには検査部78及び検査情報出力部79が備えられている。
【0024】
次に、部品実装ライン1の各部の動作手順(部品実装ライン1による部品実装方法)を説明する。図1において、外部から同一種類の2つの基板2が供給されると、それら2つの基板2を最も左側に位置する基板移送体12Mが受け取り、準備位置に位置した貼着ステージベース37の2つの貼着ステージ38に受け渡す。2つの貼着ステージ38は、基板移送体12Mから受け取った2つの基板2を吸着して保持する。
【0025】
2つの貼着ステージ38が2つの基板2を保持したら、貼着ステージベース37が準備位置から作業位置に移動して2つの基板2をACF貼着部13に搬送する(図4(a)→図4(b))。これにより2つの貼着ステージ38に保持された2つの基板2それぞれの後端部(搭載位置2d)の下面が、ACF貼着部13の2つの貼着支持台32によって支持される(図4(b))。
【0026】
2つの基板2それぞれの後端部が2つの貼着支持台32によって支持されたら、2つの貼着ツール31がそれぞれ下降して、テープ供給リール35が供給するテープ部材34を押し下げる。これによりテープ部材34に貼り付けられているACFテープ33が基板2に押し付けられ、搭載位置2dに貼着される(図4(b)→図9(a)→図9(b)。図2も参照)。
【0027】
2つの貼着ツール31がそれぞれ、各基板2が備える2つの搭載位置2dのうちの一方にACFテープ33を貼着したら、貼着ステージ38がX軸方向に移動して、2つの基板2のもう一方の搭載位置2dを2つの貼着ツール31の下方に位置させる。そして、2つの貼着ツール31が下降し、そのもう一方の搭載位置2dにACFテープ33を貼着する。このようにして2つの基板2が備える2つの搭載位置2dそれぞれにACFテープ33が貼着されたら、貼着ステージベース37は作業位置から準備位置に移動(復帰)する。
【0028】
貼着ステージベース37が準備位置に復帰したら、2つの貼着ステージ38に保持されている2つの基板2が、最も左側に位置する基板移送体12Mによって、準備位置に位置している左側搬送ステージベース54Lの2つの搬送ステージ55に受け渡される。左側搬送ステージベース54Lの2つの搬送ステージ55は、基板移送体12Mから受け取った2つの基板2を吸着して保持する。
【0029】
左側搬送ステージベース54Lの2つの搬送ステージ55が2つの基板2を保持したら、左側搬送ステージベース54Lが部品搭載部14の前方の準備位置から作業位置に移動し、2つの基板2を部品搭載部14に搬送する(図5(a)→図5(b)。第1搬送工程)。2つの搬送ステージ55に保持された2つの基板2が部品搭載部14に搬送されたら、部品搭載部14は2つの基板2のそれぞれに部品3を搭載する(部品搭載工程)。
【0030】
部品搭載部14は、部品を搭載するときには先ず、ステージ移動機構53を作動させて、2つの基板2のうちの一方の基板2(例えば右側の基板2)の後端部を搭載支持台43に支持させる。そして、その基板2の後端部が搭載支持台43に支持されたら、搭載ヘッド42が部品供給部41の上方に移動し、部品供給部41が供給する部品3を吸着する。そして、搭載ヘッド42は搭載支持台43の上方に移動して部品3の接合部位3Dを搭載位置2dの上方に位置させる(図5(b)及び図10(a))。
【0031】
部品3の接合部位3Dが搭載位置2dの上方に位置したら搭載ヘッド42が下降し、基板2に貼着されたACFテープ33を介して基板2に部品3を搭載(仮圧着)する(図10(a)→図10(b))。このとき制御装置70は、位置合わせ用カメラ44に一対の基板側マーク2mと一対の部品側マーク3Mの双方を観察させ、得られる画像と後述する補正値に基づいて、搭載ヘッド42及び基板移動機構36を制御する。
【0032】
2つの搬送ステージ55に保持された2つの基板2のうちの一方の基板2に部品3が搭載されたら、搬送ステージベース54はX軸方向に移動し、2つの基板2のうちの他の一方の基板2(例えば左側の基板2)を搭載支持台43に支持させる。そして、同様の手順によってその基板2に部品3を搭載する。このようにして各基板2が備える2つの搭載位置2dそれぞれに部品3が搭載されたら、左側搬送ステージベース54Lは作業位置から準備位置に移動(復帰)する。
【0033】
左側搬送ステージベース54Lが準備位置に復帰したら、2つの搬送ステージ55に保持されている2つの基板2が、中央に位置する基板移送体12Mによって、準備位置に位置している右側搬送ステージベース54Rの2つの搬送ステージ55に受け渡される。右側搬送ステージベース54Rの2つの搬送ステージ55は、基板移送体12Mから受け取った2つの基板2を吸着して保持する。
【0034】
右側搬送ステージベース54Rの2つの搬送ステージ55が2つの基板2を保持したら、右側搬送ステージベース54Rが部品圧着部15の前方の準備位置から作業位置に移動し、2つの基板2を部品圧着部15に搬送する(図6(a)→図6(b)。第2搬送工程)。具体的には、2つの基板2のうち一方の基板2(右側の基板2)を右側搬送ステージ55Rで搬送し、他方の基板2(左側の基板2)を左側搬送ステージ55Lで搬送する。これにより、2つの基板2それぞれの後端部(部品3が搭載されている搭載位置2d)の下面が2つの圧着支持台52に支持される(図6(b)及び図11(a))。
【0035】
2つの基板2それぞれの端部の下面が2つの圧着支持台52に支持されたら、2つの圧着ツール51がそれぞれ下降して部品3を押圧する(図11(a)→図11(b))。これにより部品3は基板2ごと圧着支持台52に押し付けられ、部品3は基板2に圧着(本圧着)される(図11(b))。このとき一方の基板2(右側の基板2)に搭載された部品3は右側圧着ツール51R(第1圧着手段)によって右側の基板2に圧着され(第1圧着工程)、他方の基板2(左側の基板2)に搭載された部品3は左側圧着ツール51L(第2圧着手段)によって左側の基板2に圧着される(第2圧着工程)。これにより各基板2が備える2つの搭載位置2dそれぞれに部品3が圧着されたら、搬送ステージベース54は作業位置から準備位置に移動(復帰)する。
【0036】
右側搬送ステージベース54Rが準備位置に復帰したら、2つの搬送ステージ55に保持されている2つの基板2が、最も右側に位置する基板移送体12Mによって、検査装置1Bが備える検査ステージベース63の2つの検査ステージ64に受け渡される。検査ステージベース63の2つの検査ステージ64は、基板移送体12Mから受け取った基板2を吸着して保持する。
【0037】
2つの検査ステージ64が2つの基板2を保持したら、検査ステージベース63がカメラ61の前方の準備位置から作業位置に移動し、2つの基板2をカメラ61の下方に搬送する。そして、2つの基板2がカメラ61の下方に位置したら、検査装置1Bは2つの基板2それぞれに実装(圧着)された部品3の位置を検査する(検査工程)。
【0038】
2つの基板2における部品3の位置の検査は検査装置1Bの検査部78が行う。検査部78は先ず、検査ステージベース63をX軸方向に移動させ、2つの検査ステージ64に保持された2つの基板2のうち、検査対象とする基板2(例えば右側の基板2)の搭載位置2dをカメラ61に観察(撮像)させる(図12に示すフローチャートのステップST1。図13(a))。そして検査部78は、カメラ61が取得した画像データを解析し、各搭載位置2dに対する部品3の位置ずれを検出する(ステップST2)。
【0039】
検査部78は、搭載位置2dに対する部品3の位置ずれの検出を、2つの基板側マーク2mに対する2つの部品側マーク3Mの位置の位置ずれ(ΔX1,ΔY1,Δθ1)を求めることによって行う。ここで、ΔX1はX軸方向の位置ずれ、ΔY1はY方向の位置ずれ、Δθ1はZ軸回りの位置ずれである。
【0040】
検査部78は、位置ずれ(ΔX1,ΔY1,Δθ1)を求めたら、その位置ずれ(ΔX1,ΔY1,Δθ1)の各成分が、それぞれに定められた基準値以下であるかどうかを調べて基板2の良否判定を行う(ステップST3)。この良否判定では、位置ずれ(ΔX1,ΔY1,Δθ1)の各成分が基準値以下であった場合には、その部品3の基板2への圧着状態は正常であると判定する。一方、位置ずれ(ΔX1,ΔY1,Δθ1)の各成分のうち少なくとも一つがそれぞれに定められた基準値を超えていた場合には、その部品3の基板2への圧着状態は非正常であると判定し、その基板2が取り除かれるように処置する。
【0041】
検査部78が部品3の位置を検査したら、検査装置1Bが備える検査情報出力部79は、その検査結果(検査部78が部品3の位置を検査した検査結果)を基板識別情報と関連づけて検査情報として出力(フィードバック)する(ステップST4)。なお、出力される検査情報は、部品3の基板2への圧着状態が正常であるが、搭載位置2dから一定以上の位置ずれがある検査情報である。
【0042】
ここで、基板識別情報とは、検査した基板2を識別する情報である。具体的には、搬送される搬送ステージ55の情報(右側搬送ステージ55Rであるか左側搬送ステージ55Lであるかの情報)が関係づけられた基板2の情報(すなわち、基板2が左右の搬送ステージ55のいずれによって保持されたか、ひいてはその基板2が左右の圧着ツール51のいずれによって押圧されたかの情報)が関連づけられた基板2を識別する情報である。基板識別情報は、記憶部77に記憶されている。なお、検査装置1Bは基板識別情報を基板2に付されたIDマーク(図示せず)から取得して、検査結果と関連付けてもよい。また、検査装置1Bは、部品実装ライン1に投入された基板2順に、基板識別情報と関連付けられたシリアル番号を付与しておき、装置間でシリアル番号を受け渡すことで検査結果に関連付ける基板識別情報を取得してもよい。
【0043】
このようにして検査対象とする基板2(右側の基板2)の検査が終了したら、まだ他に検査対象とする基板2があるかどうかを判断する(ステップST5)。そして、まだ検査対象とする基板2(左側の基板2)がある場合には、ステップST1に戻り、次の基板2(左側の基板2)についての検査(ステップST1~ステップST4)を実行する(図13(b))。これにより、2つの基板2のそれぞれについての検査結果が基板識別情報と紐付されてフィードバックされる。
【0044】
検査部78からフィードバックされた2つの基板2それぞれの検査情報は検査情報取得部75によって取得される。図14は検査情報取得部75が取得した検査情報の一例であり、搭載位置2dに対する接合部位3Dの位置ずれを搭載位置2dごとに示したものである。これらの位置ずれ情報には、基板識別情報である「左」又は「右」のフラグと、搬送ステージ情報である「左」又は「右」のフラグが付されている。
【0045】
検査装置1Bからフィードバックされた位置ずれ情報を検査情報取得部75が取得したら、補正値算出部76は、検査情報と、基板識別情報と、検査された基板2を搬送した搬送ステージ55の情報(搬送ステージ情報)とに基づいて、右側搬送ステージ55Rと右側圧着ツール51Rとの相対位置又は左側搬送ステージ55Lと左側圧着ツール51Lとの相対位置を補正する補正値を算出する(補正値算出工程)。
【0046】
図15は補正値算出部76が算出した補正値のデータの一例を示したものであり、検査情報取得部75が取得した部品3の位置ずれに基づいて、右側搬送ステージ55Rと右側圧着ツール51Rとの相対位置又は左側搬送ステージ55Lと左側圧着ツール51Lとの相対位置を補正する補正値を搭載位置2dごとに示したものである。これらの補正値には、基板識別情報である「左」又は「右」のフラグと、搬送ステージ情報である「左」又は「右」のフラグが付されている。ここで、ΔXはX軸方向の位置ずれを補正する補正値であり、ΔYはY方向の位置ずれを補正する補正値であり、ΔθはZ軸回りの位置ずれを補正する補正値である。
【0047】
補正値算出部76が補正値を算出したら、搭載制御部73は、搭載位置補正工程)を実行することによって、部品搭載部14と第1搬送手段である左側搬送ステージベース54Lとの相対位置を制御する。ここで、上記搭載位置補正工程とは、基板2の搬送ステージ情報(基板2が右側圧着ツール51Rで圧着されるか左側圧着ツール51Lで圧着されるかの情報)に基づき、算出された補正値で部品搭載工程での搭載位置を補正する工程である。
【0048】
上記搭載位置補正工程では、搭載制御部73は先ず、記憶部77に記憶された実装プログラムに基づいて、部品搭載部14が部品3を搭載する基板2が、その後に2つの圧着ツール51のうちのどちらによって押圧されるか情報を読み取る。そして、補正した搭載位置に搭載した部品をその後に押圧することとなる圧着ツール51と、搬送される搬送ステージ55の情報(右側搬送ステージ55Rであるか左側搬送ステージ55Lであるかの情報)が関連づけられた基板識別情報とに基づいて、その圧着ツール51に対応した位置ずれに対応する補正値を読み取り、その読み取った補正値で搭載位置の補正を行う。このようにして補正された搭載位置に部品3が搭載されるように部品搭載部14と左側搬送ステージベース54Lとの相対位置を制御すると、その搭載された部品3は、その後の部品圧着工程において圧着ツール51によって押圧されることで、基板2上の正確な位置(設計上の搭載位置)に圧着されることになる。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態における部品実装ライン1及びこの部品実装ライン1による部品の実装方法(部品実装方法)では、基板2に圧着された部品3の位置を検査した検査結果と、検査した基板2を識別する基板識別情報と、検査した基板2を搬送した搬送ステージ情報とに基づいて、部品搭載部14で部品3が搭載された2つの基板2の一方を搬送する第1搬送ステージ(右側搬送ステージ55R)とその一方の基板2に搭載された部品3を基板2に圧着する第1圧着手段(右側圧着ツール51R)との相対位置又は部品搭載部14で部品3が搭載された2つの基板2の他方を搬送する第2搬送ステージ(左側搬送ステージ55L)とその他方の基板2に搭載された部品3を基板2に圧着する第2圧着手段(左側圧着ツール51L)との相対位置を補正する補正値を算出するようにしている。そして、基板2の搬送ステージ情報(基板2が第1圧着手段で圧着されるか第2圧着手段で圧着されるかの情報)に基づき、算出された補正値で基板2に部品3を搭載する際の搭載位置を補正するようにしている。このように本実施の形態では、基板2ごとに作業した設備構成に考慮した補正値を算出するので、部品3の実装精度を向上させることができる。
【0050】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の設計変更等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、補正値算出部は検査装置1Bより検査情報が出力されるごとに補正値を算出するようになっていたが、出力された結果を複数蓄積し、統計的に処理して補正値を算出するようにしてもよい。また、上述の実施の形態では、1つの基板2に実装される部品3は左右の2つであるとしていたが、これは一例であり、部品3の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
基板ごとに作業した設備構成に考慮した補正値を算出して部品の実装精度を向上させた部品実装方法及び部品実装ラインを提供する。
【符号の説明】
【0052】
1 部品実装ライン
1A 部品実装装置
1B 検査装置
2 基板
2d 搭載位置
3 部品
14 部品搭載部
15 部品圧着部
51R 右側圧着ツール(第1圧着手段)
51L 左側圧着ツール(第2圧着手段)
54L 左側搬送ステージベース(第1搬送手段)
54R 右側搬送ステージベース(第2搬送手段)
55R 右側搬送ステージ(第1搬送ステージ)
55L 左側搬送ステージ(第2搬送ステージ)
73 搭載制御部
75 検査情報取得部
76 補正値算出部
77 記憶部
78 検査部
79 検査情報出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15