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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179370
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】二輪車用車体カバー
(51)【国際特許分類】
   B62J 19/00 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
B62J19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083747
(22)【出願日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】P 2022092352
(32)【優先日】2022-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】506413694
【氏名又は名称】株式会社クロンティップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】藤倉 和実
(72)【発明者】
【氏名】椎葉 優香
(72)【発明者】
【氏名】矢須 誠
(72)【発明者】
【氏名】安江 岳人
(57)【要約】
【課題】二輪車への取り付け取り外しが容易な二輪車用車体カバーを提供する。
【解決手段】本発明の二輪車用車体カバー1は、下方が開口し電動アシスト自転車EBを上方から覆うカバー本体2と、カバー本体2の下側部分に取り付けられた重り部材4と、カバー本体2に形成された紐挿通部21と、紐挿通部21に挿通され、下端部がカバー本体2の下側部分または重り部材4に取り付けられ、上端部が紐挿通部21から突出した紐体3とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方が開口し二輪車を上方から覆うカバー本体と、
前記カバー本体の下側部分に配置された重り部材と、
前記カバー本体に形成された紐挿通部と、
前記紐挿通部に挿通され、下端部が前記カバー本体の下側部分または前記重り部材に取り付けられ、上端部が該紐挿通部から突出した紐体とを備えたことを特徴とする二輪車用車体カバー。
【請求項2】
前記カバー本体は、下端部分をめくりあげた状態を維持するカバー高さ調整部材を有するものであり、
前記重り部材は、前記カバー本体の下側部分で高さ方向に配置位置を調整可能なものであることを特徴とする請求項1記載の二輪車用車体カバー。
【請求項3】
前記紐挿通部は、前記カバー本体に複数形成されたものであり、
複数の前記紐挿通部それぞれに挿通された複数の前記紐体は、前記紐挿通部から突出した上端部が互いに連結されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の二輪車用車体カバー。
【請求項4】
前記紐挿通部は、前記カバー本体の前側と後側に各々複数形成されたものであり、
前記カバー本体の前側に形成された複数の前記紐挿通部それぞれに挿通された複数の前記紐体は、該前側に形成された複数の該紐挿通部から突出した上端部が該カバー本体の前側上部で互いに連結されたものであり、
前記カバー本体の後側に形成された複数の前記紐挿通部それぞれに挿通された複数の前記紐体は、該後側に形成された複数の該紐挿通部から突出した上端部が該カバー本体の後側上部で互いに連結されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の二輪車用車体カバー。
【請求項5】
前記紐挿通部は、前記カバー本体に複数形成されたものであり、
前記紐体は、長さ方向の中間部分で折り曲げられ、折り曲げられた部分よりも一端側が前記紐挿通部のうちの1つに挿通され、折り曲げられた部分よりも他端側が該紐挿通部のうちの他の1つに挿通されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の二輪車用車体カバー。
【請求項6】
前記カバー本体は、該カバー本体の後側部分の高さを変更する後側高さ調整部材を該後側部分の上側に有するものであることを特徴とする請求項1記載の二輪車用車体カバー。
【請求項7】
前記カバー本体は、上下方向に沿った切込みと、該切込みを開閉するための開閉部材を有するものであり、
前記切込みは、前記カバー本体の後端であって、前記後側高さ調整部材と高さ方向に少なくとも一部が重複したものであることを特徴とする請求項6記載の二輪車用車体カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車を覆う二輪車用車体カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自転車やオートバイなどの二輪車を雨や砂などから保護する目的で、下方が開口した袋状の二輪車用車体カバーが用いられている。この二輪車用車体カバーは、二輪車を上方から覆うことで二輪車に雨や砂などが付着してしまうことを防止する。また、二輪車用車体カバーによって日光を遮ることもできるので二輪車の日焼けによる劣化を抑制することもできる。
【0003】
この二輪車用車体カバーは強風で飛ばされやいので、飛ばされないように二輪車用車体カバー下側の開口部左右両側に互いに連結可能なベルトを備える構成や、二輪車用車体カバーの後部下側部分に紐体を通しておき、その紐体を引っ張り開口を絞ることを可能にする構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された二輪車カバーによれば、強風が吹いても二輪車用車体カバーの下側部分が持ち上がることを抑制できるので、二輪車用車体カバーが風で吹き飛んでしまうこと防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-187164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された二輪車用車体カバーでは、二輪車用車体カバーを二輪車に取り付ける際や二輪車から取り外す際に、ベルトや紐体をしゃがんだ姿勢で操作する必要がある。また、側方に向かって大きく張り出した張出部分を有する二輪車では、二輪車用車体カバーを二輪車に取り付ける際や二輪車から取り外す際に、二輪車用車体カバーがその張出部分に引っ掛かってしまう場合があり、その場合にもしゃがんだ姿勢で引っ掛かかりを直す作業が生じてしまうことがある。これらにより、特許文献1に記載された従来の二輪車用車体カバーでは、取り付け取り外しの作業が煩雑で使用者の足腰への負担が大きいという問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、二輪車への取り付け取り外しが容易な二輪車用車体カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決する本発明の二輪車用車体カバーは、
下方が開口し二輪車を上方から覆うカバー本体と、
前記カバー本体の下側部分に配置された重り部材と、
前記カバー本体に形成された紐挿通部と、
前記紐挿通部に挿通され、下端部が前記カバー本体の下側部分または前記重り部材に取り付けられ、上端部が該紐挿通部から突出した紐体とを備えたことを特徴とする。
【0008】
この二輪車用車体カバーによれば、前記カバー本体を二輪車の上方からかけるだけで、該カバー本体の下側部分が前記重り部材によって自然に垂れ下がり、この二輪車用車体カバーを二輪車に取り付けることができる。これにより、特許文献1に記載された従来の二輪車用車体カバーのようにしゃがんだ姿勢でベルトや紐体を操作する必要がなく、前記カバー本体の下側部分を手で引き下げる必要もない。また、この二輪車用車体カバーを二輪車から取り外す際には、前記紐体を引っ張ることで前記カバー本体の下側部分が引き上げられ、さらに該カバー本体が折り畳まれて縮まるので、該カバー本体を簡単にコンパクトにまとめることができる。これらにより、二輪車用車体カバーを二輪車に取り付け取り外しする動作が簡便になる。また、しゃがまなくても二輪車用車体カバーを二輪車に取り付け取り外しできるので、使用者における足腰への負担を減らすことができる。
【0009】
この二輪車用車体カバーにおいて、
前記カバー本体は、下端部分をめくりあげた状態を維持するカバー高さ調整部材を有するものであり、
前記重り部材は、前記カバー本体の下側部分で高さ方向に配置位置を調整可能なものであってもよい。
【0010】
二輪車の高さや幅などに応じて前記カバー本体の下端位置と前記重り部材の配置位置を調整可能であるため、多種多様な二輪車にこの二輪車用車体カバーを使用することができる。
【0011】
また、この二輪車用車体カバーにおいて、
前記紐挿通部は、前記カバー本体に複数形成されたものであり、
複数の前記紐挿通部それぞれに挿通された複数の前記紐体は、前記紐挿通部から突出した上端部が互いに連結されたものであってもよい。
【0012】
連結された複数の前記紐体をまとめて引っ張ることができるので、前記カバー本体の下側部分をより容易に引き上げることができる。
【0013】
加えて、この二輪車用車体カバーにおいて、
前記紐挿通部は、前記カバー本体の前側と後側に各々複数形成されたものであり、
前記カバー本体の前側に形成された複数の前記紐挿通部それぞれに挿通された複数の前記紐体は、該前側に形成された複数の該紐挿通部から突出した上端部が該カバー本体の前側上部で互いに連結されたものであり、
前記カバー本体の後側に形成された複数の前記紐挿通部それぞれに挿通された複数の前記紐体は、該後側に形成された複数の該紐挿通部から突出した上端部が該カバー本体の後側上部で互いに連結されたものであってもよい。
【0014】
こうすることで、前側と後側それぞれで連結された複数の前記紐体をまとめて引っ張ることができるので、前記カバー本体の下側部分をより容易に引き上げることができる。また、前側と後側それぞれで前記カバー本体の下側部分が引き上げられるので、二輪車の張出部分があってもその張出部分に該カバー本体が引っ掛かりにくくなる。これにより、この二輪車用車体カバーの二輪車への取り付け取り外し動作がよりスムーズになる。
【0015】
またさらに、この二輪車用車体カバーにおいて、
前記紐挿通部は、前記カバー本体に複数形成されたものであり、
前記紐体は、長さ方向の中間部分で折り曲げられ、折り曲げられた部分よりも一端側が前記紐挿通部のうちの1つに挿通され、折り曲げられた部分よりも他端側が該紐挿通部のうちの他の1つに挿通されたものであってもよい。
【0016】
こうすることで、前記紐体の本数を減らすことができる。また、前記紐体の中間部分を引っ張ることで前記カバー本体の下側部分の2ヵ所を引き上げることができる。
【0017】
さらに、前記紐体を複数備え且つ前記紐挿通部に長さが異なるものがある場合、複数の前記紐体は、各々の全長が概して等しくなるように複数の前記紐挿通部のうち挿通する該紐挿通部を選択し、折り曲げる位置を調整した上でその折り曲げられた部分で複数の該紐体を連結することで、前記カバー本体の下側部分をバランスよく引き上げることができる。
【0018】
また、前記カバー本体は、該カバー本体の後側部分の高さを変更する後側高さ調整部材を該後側部分の上側に有するものであってもよい。
【0019】
前記後側高さ調整部材を上側に有することで、使用者がしゃがまなくても前記カバー本体の後側部分の高さを変更できるので、使用者における足腰への負担を減らすことができる。
【0020】
ここで、前記後側高さ調整部材は、前記カバー本体の高さを3段階以上の高さに変更可能なものであってもよい。
【0021】
さらに、前記カバー本体は、上下方向に沿った切込みと、該切込みを開閉するための開閉部材を有するものであり、
前記切込みは、前記カバー本体の後端であって、前記後側高さ調整部材と高さ方向に少なくとも一部が重複したものであってもよい。
【0022】
こうすることで、前記カバー本体の後側部分の高さ変更と該カバー本体の開閉の両方の作業が該カバー本体の後側できるので作業が容易になる。また、調整された前記カバー本体の高さに応じて該カバー本体を開閉できる。
【0023】
ここで前記後側高さ調整部材は左右一対のものであり、前記切込みは、該左右一対の該後側高さ調整部材の間に少なくとも一部が配置されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、二輪車への取り付け取り外しが容易な二輪車用車体カバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に相当する二輪車用車体カバーを電動アシスト自転車に取り付けた状態を示す正面図である。
図2図1に示した二輪車用車体カバーを上側から見た平面図である。
図3図1に示した二輪車用車体カバーを下側から見た下面図である。
図4図1に示した二輪車用車体カバーの面ファスナーと重り取付部の配置を示す正面図である。
図5】重り部材の取付構造を示す図である。
図6】(a)は、二輪車用車体カバーの前側を電動アシスト自転車の前側にかける様子を示す写真であり、(b)は、二輪車用車体カバーの後側を電動アシスト自転車の後側にかける様子を示す写真である。
図7】(a)は、二輪車用車体カバー後側の下側部分を引き上げる様子を示す写真であり、(b)は、二輪車用車体カバー後側の下側部分を引き上げた様子を示す写真である。
図8】(a)は、二輪車用車体カバー前側の下側部分を引き上げる様子を示す写真であり、(b)は、二輪車用車体カバー前側の下側部分を引き上げた様子を示す写真である。
図9】変形例の二輪車用車体カバーにおける重り部材の取付構造を示す図5と同様の図である。
図10】(a)は、第2実施形態の二輪車用車体カバーを電動アシスト自転車に取り付けた状態を示す正面図であり、(b)は、同図(a)の右側面図である。
図11】(a)は、図10に示した二輪車用車体カバーの後側部分の高さを低くした状態を示す正面図であり、(b)は、同図(a)の右側面図である。
図12】(a)は、図10に示した二輪車用車体カバーの後側部分の高さをさらに低くした状態を示す正面図であり、(b)は、同図(a)の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、二輪車として電動アシスト自転車EBを用いた例で説明する。ただし、本発明の二輪車用車体カバー1は、アシスト機能のない通常の自転車やオートバイなどの他の二輪車にも好適に使用することができる。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に相当する二輪車用車体カバーを電動アシスト自転車に取り付けた状態を示す正面図である。この図1には、二輪車用車体カバー1が取り付けられた電動アシスト自転車EBが二点鎖線で示されている。電動アシスト自転車EBは、バッテリーの接点が濡れることで劣化しやすくなるので、駐輪時には二輪車用車体カバー1を取り付けておくことが特に好ましい。
【0028】
図1に示すように、二輪車用車体カバー1は、カバー本体2と、紐体3と、重り部材4とを備えている。カバー本体2は、下方が開口した袋状のものであり、防水性を有するシートにより構成されている。二輪車用車体カバーを電動アシスト自転車EBに取り付けた状態では、電動アシスト自転車EBはカバー本体2によって覆われる。
【0029】
カバー本体2には、前側と後側に各々に上下方向に延在する複数の紐挿通部21が形成されている。この実施形態では、前側に6つの紐挿通部21が形成され、後側に4つの紐挿通部21が形成されているが、図1にはそれらのうち紙面手前側にある半分のみが表れている。なお、前側および後側の紐挿通部21は、カバー本体2の大きさなどに応じた任意の数で構わない。これらの紐挿通部21は、外側シートと内側シートの二層構造で構成され、それらの間に紐挿通空間となる隙間が形成されている。図1では、紐挿通部21を構成する内側シートの外形を破線で示している。外側シートは、カバー本体2の主たる構成体であり高い背もたれ付のチャイルドシートCSが取付られた背の高い電動アシスト自転車EBを覆うことが可能な大きさに形成されている。紐挿通部21それぞれの下端部分には、外側シートが切りかかれた開放部21aが形成されている。その開放部21aには重り取付部23が配置されている。換言すれば、開放部21aによって重り取付部23はカバー本体2の外側面に露出している。なお、図1には表れていないが、図1における最も右側にある開放部21aにも重り取付部23は配置されている。図1では重り取付部23にクロスハッチングを付して示している。重り取付部23は、重り部材4をカバー本体2の所定位置に保持するため構成である。重り取付部23は、カバー本体2の下端近傍から4段になるようにそれぞれの開放部21aに配置されている。重り取付部23の構成については後に詳述する。なお、重り取付部23を覆い隠す着脱自在なカバーを開放部21aの外側に設けてもよい。前側に形成された全ての紐挿通部21は上部で合流している。同様に、後側に形成された全ての紐挿通部21も上部で合流している。紐挿通部21については後に詳述する。
【0030】
紐体3は、各紐挿通部21に挿通されている。紐体3の上端部は、紐挿通部21から突出している。紐体3は、長さ方向の中間部分で折り曲げられている。その曲げられた部分が紐体3の上端部になる。紐体3は、二輪車用車体カバー1の前側に3本が配置され、二輪車用車体カバー1の後側に2本が配置されている。紐体3は、折り曲げられた部分よりも一端側が紐挿通部21のうちの1つに挿通され、折り曲げられた部分よりも他端側が紐挿通部21のうちの他の1つに挿通されている。紐体3の、紐挿通部21に挿通された一端側および他端側は、それぞれカバー本体2の下側部分まで延在している。また、紐体3の下端となる一端および他端にはそれぞれ重り部材4が取り付けられている。この重り部材4は、1つあたりの重さが55gの鉛製のものであるが、カバー本体2の大きさ等に応じて重さや材質は適宜変更することができる。
【0031】
図2は、図1に示した二輪車用車体カバーを上側から見た平面図である。この図2でも、紐挿通部21を構成する内側シートを破線で示している。また、図2では、紐挿通部21に挿通されて外側に露出していない紐体3の挿通部分を太い一点鎖線で示している。図2でも重り取付部23にはクロスハッチングを付している。なお、図2では開放部21aと重り取付部23を少し大きく示している。
【0032】
図2に示すように、カバー本体2の前側上部において、前側に形成された複数の紐挿通部21が合流している部分には、紐挿通空間からカバー本体2よりも上方に連なる前側孔2aが形成されている。図2では、視認しやすいように前側孔2aを大きく描いている。前側に形成された複数の紐挿通部21それぞれに挿通された紐体3の上端部(折り曲げられた部分)は、前側孔2aを通ってカバー本体2よりも上方に突出している。そして、紐体3の、前側孔2aを通って突出した上端部は、カバー本体2の前側上部で互いに連結されている。その連結された部分には前側把手部3aが形成されている。前側把手部3aは、上端と下端それぞれに紐体3を連結する連結具を有している。この前側連結具は、前側孔2aよりも大きなものであり、下側の前側連結具によって前側把手部3aが前側孔2aに入り込んでしまうことが防止されている。また、上側の前側連結具は、使用者が前側把手部3aを把持して引いた時の紐体3の滑り止めとして作用する。なお、前側連結具に代えて、それぞれの紐体3の上端部を結び付けてもよい。
【0033】
また、カバー本体2の後側上部において、後側に形成された複数の紐挿通部21が合流している部分には、紐挿通空間からカバー本体2よりも上方に連なる後側孔2bが形成されている。図2では、視認しやすいように後側孔2bを大きく描いている。後側に形成された複数の紐挿通部21それぞれに挿通された紐体3の上端部は、後側孔2bを通ってカバー本体2よりも上方に突出している。そして、紐体3の、後側孔2bを通って突出した上端部は、カバー本体2の後側上部で互いに連結されている。その連結された部分には後側把手部3bが形成されている。後側把手部3bは、上端と下端それぞれに紐体3を連結する後側連結具を有している。この後側連結具は、後側孔2bよりも大きなものであり、下側の後側連結具によって後側把手部3bが後側孔2bに入り込んでしまうことが防止されている。また、上側の後側連結具は、使用者が後側把手部3bを把持して引いた時の滑り止めとして作用する。なお、後側連結具に代えて、それぞれの紐体3の上端部を結び付けてもよい。
【0034】
図3は、図1に示した二輪車用車体カバーを下側から見た下面図である。この図3では、紐挿通部21に挿通された紐体3の挿通部分を太い一点鎖線で示すとともに、紐体3どうしの関係が分かるように折り曲げられた部分を円弧状に描いている。
【0035】
図3に示すように、カバー本体2の前側に配置された6つの紐挿通部21は、図3における上下方向の中央に近いものほど全長が長く、図3における上下方向の端部に近いものほど全長が短い。なお、ここでいう全長とは、紐挿通部21の下端から前側孔2a(図2参照)までの距離をいう。以下、カバー本体2の前側に配置された6つの紐挿通部21のうち最も全長の長い紐挿通部21を前長挿通部21FLと称し、最も全長の短い紐挿通部21を前短挿通部21FSと称し、それらの中間の全長を有する紐挿通部21を前中挿通部21FMと称することがある。紐挿通部21に挿通される紐体3の挿通部分の長さは、紐挿通部21の長さに比例する。このため、図3における上下方向の中央に近い紐挿通部21に挿通された紐体3の挿通部分は最も長く、図3における上下方向の端部に近い紐挿通部21に挿通された紐体3の挿通部分は短い。これに対し、3本の紐体3は、各々の全長が概して等しくなるように、一端側が前長挿通部21FLに挿通された紐体3の他端側は図3における上下方向の反対側にある前短挿通部21FSに挿通され、一端側が前中挿通部21FMに挿通された紐体3の他端側はもう一つの前中挿通部21FMに挿通されている。
【0036】
また、カバー本体2の後側に配置された4つの紐挿通部21は、図3における上下方向の中央に近いものの方が全長が長く、図3における上下方向の端部に近いものの全長は短い。なお、ここでいう全長とは、紐挿通部21の下端から後側孔2b(図2参照)までの距離をいう。以下、カバー本体2の後側に配置された4つの紐挿通部21のうち全長の長い紐挿通部21を後長挿通部21RLと称し、全長の短い紐挿通部21を後短挿通部21RSと称することがある。上述したように、紐挿通部21に挿通される紐体3の挿通部分の長さは、紐挿通部21の長さに比例する。このため、後長挿通部21RLに挿通された紐体3の挿通部分は、後短挿通部21RSに挿通された紐体3の挿通部分よりも長い。これに対し、2本の紐体3は、互いの全長が概して等しくなるように、一端側が後長挿通部21RLに挿通された紐体3の他端側は図3における上下方向の反対側にある後短挿通部21RSに挿通されている。
【0037】
カバー本体2は、多数の第1面ファスナー22を有している。この第1面ファスナー22は、カバー高さ調整部材の一例に相当する。第1面ファスナー22は、カバー本体2の内面において端縁(下端)から4段になるようにカバー本体2の全周に配置されている。カバー本体の最も端縁に近い位置に貼り付けられた第1面ファスナー22は、フック状に起毛された第1雄ファスナー22Mである。図3では第1雄ファスナー22Mに左斜め下に向かうハッチングを施している。第1雄ファスナー22Mよりもカバー本体2の中心側(上側)に貼り付けられた第1面ファスナー22は、ループ状に密集して起毛された第1雌ファスナー22Fである。図3では第1雌ファスナー22Fに右斜め下に向かうハッチングを施している。なお、第1雄ファスナー22Mと第1雌ファスナー22Fは逆の配置であってもよい。
【0038】
図4は、図1に示した二輪車用車体カバーの第1面ファスナーと重り取付部の配置を示す正面図である。この図4でも、第1雄ファスナー22Mには左斜め下に向かうハッチングを施し、第1雌ファスナー22Fには右斜め下に向かうハッチングを施している。なお、図1および図2に示した開放部21aと重り取付部23は、図4では図示省略している。
【0039】
図4に示すように、第1雄ファスナー22Mと第1雌ファスナー22Fを付着させていない状態では、カバー本体2の端縁とカバー本体2の下端が一致している。この状態で二輪車用車体カバー1を使用することで背の高い電動アシスト自転車EB(図1参照)や幅広の電動アシスト自転車EBや張出部分が大きい電動アシスト自転車EBをカバー本体2で好適に覆うことができる。なお、図1~3も、図4と同様に第1雄ファスナー22Mと第1雌ファスナー22Fを付着させていない状態におけるカバー本体2を示している。一方、第1雄ファスナー22Mを最も下の第1雌ファスナー22Fに付着させることで、カバー本体2の下端部分がめくりあげられた状態になり、第1捲上線L1部分がカバー本体2の下端になる。同様に、第1雄ファスナー22Mを下から2番目の第1雌ファスナー22Fに付着させることで、カバー本体2の下端部分がさらにめくりあげられた状態になり、第2捲上線L2部分がカバー本体2の下端になる。また同様に、第1雄ファスナー22Mを最も上の第1雌ファスナー22Fに付着させることで、カバー本体2の下端部分がまたさらにめくりあげられた状態になり、第3捲上線L3部分がカバー本体2の下端になる。すなわち、第1面ファスナー22によってカバー本体2の下端部分をめくりあげた状態が維持されるので、カバー本体2の下端位置を4段階に調整できる。この様に調整可能にすることで、電動アシスト自転車EBの高さや幅や張出部分の大きさに応じてカバー本体2の高さを調整することができる。なお、カバー本体2の下端位置の調整は、2または3段階であってもよく、5段階以上であってもよい。カバー本体2の下端位置に応じて重り部材4の配置位置も調整できる。
【0040】
図5は、重り部材の取付構造を示す図である。重り部材4の取付構造である4段の重り取付部23は、紐挿通部21の傾斜に合致させるために上段に配置された重り取付部23と下段に配置された重り取付部23とが水平方向に多少ズレて傾斜して配置されているが、図5では図面を簡略化するためにズレのない配置で示している。
【0041】
図5に示すように、重り部材4は、紐体3の下端部に取り付けられている。紐体3と重り部材4の結合部分には、下方ストッパ31が形成されている。この下方ストッパ31は、紐体3を結ぶことで形成された結び目であるが、他の部材を紐体3に取り付けることで形成されていてもよい。また、下方ストッパ31よりも少し上方には、上方ストッパ32が形成されている。この上方ストッパ32も、紐体3を結ぶことで形成された結び目であるが、他の部材を紐体3に取り付けることで形成されていてもよい。
【0042】
重り取付部23は、フック状に起毛された第2雄ファスナー23Mとループ状に密集して起毛された第2雌ファスナー23Fとから構成されている。第2雌ファスナー23Fは、カバー本体2(図4参照)に固定されている。一方、第2雄ファスナー23Mは、面ファスナーの貼付力によって第2雌ファスナー23Fに着脱自在に付着している。なお、第2雄ファスナー23Mをカバー本体2に固定し、第2雌ファスナー23Fを第2雄ファスナー23Mに着脱自在に付着させてもよい。
【0043】
図1~4に示した第1雄ファスナー22Mと第1雌ファスナー22Fを付着させていない状態では、上方ストッパ32と下方ストッパ31の間にある紐体3を、図5(a)に示すように、最も下方に位置する重り取付部23の第2雄ファスナー23Mと第2雌ファスナー23Fで挟み込む。これにより、重り部材4は最も下方に配置される。このときの重り部材4の高さ位置は、カバー本体2(図4参照)の下端よりも少しだけ下方になる。
【0044】
第1雄ファスナー22M(図4参照)を最も下の第1雌ファスナー22F(図4参照)に付着させた状態では、上方ストッパ32と下方ストッパ31の間にある紐体3を、図5(b)に示すように、下端から2番目に位置する重り取付部23の第2雄ファスナー23Mと第2雌ファスナー23Fで挟み込む。これにより、重り部材4は下方から2番目の高さ位置に配置される。この高さ位置は、重り部材4が第1捲上線L1(図4参照)よりも少しだけ下方に配置される位置である。なお、図5(b)では、最も下方に位置する重り取付部23は図示省略している。
【0045】
第1雄ファスナー22Mを下から2番目の第1雌ファスナー22Fに付着させた状態では、上方ストッパ32と下方ストッパ31の間にある紐体3を、図5(c)に示すように、下端から3番目に位置する重り取付部23の第2雄ファスナー23Mと第2雌ファスナー23Fで挟み込む。これにより、重り部材4は下方から3番目の高さ位置に配置される。この高さ位置は、重り部材4が第2捲上線L2(図4参照)よりも少しだけ下方に配置される位置である。なお、図5(c)では、最も下方および下方から2番目に位置する重り取付部23は図示省略している。
【0046】
第1雄ファスナー22Mを最も上の第1雌ファスナー22Fに付着させた状態では、上方ストッパ32と下方ストッパ31の間にある紐体3を、図5(d)に示すように、最も上に位置する重り取付部23の第2雄ファスナー23Mと第2雌ファスナー23Fで挟み込む。これにより、重り部材4は最も上の高さ位置に配置される。この高さ位置は、重り部材4が第3捲上線L3(図4参照)よりも少しだけ下方に配置される位置である。なお、図5(d)では、最も上の重り取付部23以外の重り取付部23は図示省略している。
【0047】
以上説明したように、重り取付部23を高さ方向に複数備えているので、重り部材4は、カバー本体2(図4参照)に取り付けられる際の配置位置を高さ方向に4段階に調整できる。これにより、第1面ファスナー22の貼り付け位置によって変化するカバー本体2の下端位置に、重り取付部23の高さ位置を合わせることができる。
【0048】
続いて、図1に示した二輪車用車体カバー1を、電動アシスト自転車EBにかける動作と電動アシスト自転車EBから取り外す動作について説明する。
【0049】
図6(a)は、二輪車用車体カバーの前側を電動アシスト自転車の前側にかける様子を示す写真であり、図6(b)は、二輪車用車体カバーの後側を電動アシスト自転車の後側にかける様子を示す写真である。
【0050】
図6(a)に示すように、二輪車用車体カバー1の前側部分を電動アシスト自転車EBの前側部分の上に持ち上げて少し広げた状態で二輪車用車体カバー1から手を放すだけで、重り部材4(図1参照)の自重によって二輪車用車体カバー1前側の下端が電動アシスト自転車EBが置かれた地面近傍まで自然に垂れ下がる。また、図6(b)に示すように、二輪車用車体カバー1の後側部分を電動アシスト自転車EBの後側部分の上に持ち上げて少し広げた状態で二輪車用車体カバー1から手を放すだけで、重り部材4の自重によって二輪車用車体カバー1後側の下端が電動アシスト自転車EBが置かれた地面近傍まで自然に垂れ下がる。なお、二輪車用車体カバー1の後側部分を先に電動アシスト自転車EBにかけ、二輪車用車体カバー1の前側部分を後にかけてもよい。ただし、電動アシスト自転車EBなどの二輪車は、ハンドルなどの突出部分が前側部分に多いので、前側部分を先にかけることでその突出部分を引留部(アンカー)として利用でき、二輪車用車体カバー1をかける動作がより容易になる。
【0051】
図7(a)は、二輪車用車体カバー後側の下側部分を引き上げる様子を示す写真であり、図7(b)は、二輪車用車体カバー後側の下側部分を引き上げた様子を示す写真である。
【0052】
図7(a)に示すように、二輪車用車体カバー1の後側上部にある後側把手部3bを片手で把持して後側孔2b(図2参照)近傍を反対の手で押さえ、紐体3を上方に引っ張ることで、後側に形成された複数の紐挿通部21それぞれに挿通された紐体3の上側部分がそれらの紐挿通部21から引き抜かれてカバー本体2後側の下側部分が引き上げられる。そして、紐体3をさらに上方に引っ張ることで、図7(b)に示すように、カバー本体2後側が折り畳まれて縮まる。折り畳まれたカバー本体2後側は荷台などに載せておく。
【0053】
図8(a)は、二輪車用車体カバー前側の下側部分を引き上げる様子を示す写真であり、図8(b)は、二輪車用車体カバー前側の下側部分を引き上げた様子を示す写真である。
【0054】
図8(a)に示すように、二輪車用車体カバー1の前側上部にある前側把手部3aを片手で把持して前側孔2a(図2参照)近傍を反対の手で押さえ、紐体3を上方に引っ張ることで、前側に形成された複数の紐挿通部21それぞれに挿通された紐体3の上側部分がそれらの紐挿通部21から引き抜かれてカバー本体2前側の下側部分が引き上げられる。そして、紐体3をさらに上方に引っ張ることで、図8(b)に示すように、カバー本体2前側が折り畳まれて縮まる。このようにして紐体3を引っ張ることで折り畳まれたカバー本体2の前側と後側を重ね合わせることで、二輪車用車体カバー1をコンパクトにまとめることができる。
【0055】
以上説明した二輪車用車体カバー1によれば、二輪車用車体カバー1を電動アシスト自転車EBに取り付ける際には、重り部材4の重さでカバー本体2の下側部分が自然に垂れ下がるのでカバー本体2を電動アシスト自転車EBの上方からかけるだけよい。すなわち、二輪車用車体カバー1の使用者は、しゃがんだ姿勢になることもなく容易に二輪車用車体カバー1を電動アシスト自転車EBに取り付けることができる。また、二輪車用車体カバー1を電動アシスト自転車EBから取り外す際には、紐体3を引っ張ることでカバー本体2の下側部分が引き上がり、さらにカバー本体2が折り畳まれて縮まるので、カバー本体2を簡単にコンパクトにまとめることができる。これらにより、二輪車用車体カバー1を電動アシスト自転車EBに取り付け取り外しする動作が簡便になり、特にそれらの動作における使用者の足腰への負担を減らすことができる。
【0056】
また、第1面ファスナー22によってカバー本体2の高さを調整可能で、さらに重り取付部23を高さ方向に複数有することで重り部材4の配置位置も高さ方向に調整可能であるので、この二輪車用車体カバー1を多種多様な電動アシスト自転車EBに好適に使用できる。加えて、複数の紐挿通部21それぞれに挿通された紐体3の上端部が連結されているので、複数の紐体3をまとめて引っ張ることができる。これにより、カバー本体2の下側部分をより容易に引き上げることができる。また、前側に形成された複数の紐挿通部21に挿通された紐体3の上端部と後側に形成された複数の紐挿通部21に挿通された紐体3の上端部とが別々に連結されているので、前側と後側それぞれでカバー本体2の下側部分を引き上げることができる。こうすることで、二輪車用車体カバー1の取り付け取り外しの際にカバー本体2が電動アシスト自転車EBの張出部分などに引っ掛かりにくくなり、取り付け取り外し動作がスムーズにできる。またさらに、紐体3は、長さ方向の中間部分で折り曲げられ、その折り曲げられた部分よりも一端側で紐挿通部21のうちの1つに挿通され、他端側で紐挿通部21のうちの他の1つに挿通されたているので、紐体3の本数を減らすことができる。また、紐体3の折り曲げられた部分を引っ張ることでカバー本体2の下側部分の2ヵ所を同時に引き上げることができる。また、それぞれの紐体3の折り曲げられた部分をカバー本体2の上部で連結しているので、その部分を引っ張ることでカバー本体2の下側部分をバランスよく引き上げることができる。特に、この実施形態では、折り曲げられた部分よりも一端側が全長の長い紐挿通部21に挿通された紐体3の他端側を全長の短い紐挿通部21に挿通させているので、前側と後側それぞれで複数の紐体3の全長が概して等しくなる。こうすることで、折り曲げられた部分を引っ張った際にカバー本体2の下側部分をよりバランスよく引き上げることができる。
【0057】
続いて、本実施形態の変形例について説明する。以下の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ構成要素の名称には、これまで用いた符号と同じ符号を付すことがあり、重複する説明は省略することがある。
【0058】
図9は、変形例の二輪車用車体カバーにおける重り部材の取付構造を示す図5と同様の図である。
【0059】
この変形例の二輪車用車体カバー1は、重り部材4が紐体3の端部に取り付けられていない点が先の実施形態の二輪車用車体カバー1と異なる。すなわち、この変形例では、紐体3と重り部材4とが結合しておらず独立して存在している。図9に示すように、紐体3の下端には、紐単独ストッパ33が形成されている。この紐単独ストッパ33は、紐体3を結ぶことで形成された結び目であるが、他の部材を紐体3に取り付けることで形成されていてもよい。また、重り部材4には、短い長さの紐で構成された被取付部41が装着されている。被取付部41には、重り下側ストッパ411と重り上側ストッパ412が形成されている。なお、重り下側ストッパ411と重り上側ストッパ412も、被取付部41の端部を結ぶことで形成された結び目であるが、他の部材を被取付部41に取り付けることで形成されていてもよい。
【0060】
図4に示した第1雄ファスナー22Mと第1雌ファスナー22Fを付着させていない状態では、紐体3の下端部分であって紐単独ストッパ33よりも少しだけ上の部分と、重り下側ストッパ411と重り上側ストッパ412の間にある被取付部41とを、図9(a)に示すように、最も下方に位置する重り取付部23の第2雄ファスナー23Mと第2雌ファスナー23Fで挟み込む。これにより、紐体3の下端部分と重り部材4は最も下方位置でカバー本体2の下側部分に取り付けられる。
【0061】
第1雄ファスナー22M(図4参照)を最も下の第1雌ファスナー22F(図4参照)に付着させた状態では、紐体3の下端部分であって紐単独ストッパ33よりも少しだけ上の部分と、重り下側ストッパ411と重り上側ストッパ412の間にある被取付部41とを、図9(b)に示すように、下端から2番目に位置する重り取付部23の第2雄ファスナー23Mと第2雌ファスナー23Fで挟み込む。これにより、紐体3の下端部分と重り部材4は下方から2番目の高さ位置でカバー本体2の下側部分に取り付けられる。なお、図9(b)では、最も下方に位置する重り取付部23は図示省略している。
【0062】
第1雄ファスナー22Mを下から2番目の第1雌ファスナー22Fに付着させた状態では、紐体3の下端部分であって紐単独ストッパ33よりも少しだけ上の部分と、重り下側ストッパ411と重り上側ストッパ412の間にある被取付部41とを、図9(c)に示すように、下端から3番目に位置する重り取付部23の第2雄ファスナー23Mと第2雌ファスナー23Fで挟み込む。これにより、紐体3の下端部分と重り部材4は下方から3番目の高さ位置でカバー本体2の下側部分に取り付けられる。なお、図9(c)では、最も下方および下方から2番目に位置する重り取付部23は図示省略している。
【0063】
第1雄ファスナー22Mを最も上の第1雌ファスナー22Fに付着させた状態では、紐体3の下端部分であって紐単独ストッパ33よりも少しだけ上の部分と、重り下側ストッパ411と重り上側ストッパ412の間にある被取付部41とを、図9(d)に示すように、最も上に位置する重り取付部23の第2雄ファスナー23Mと第2雌ファスナー23Fで挟み込む。これにより、紐体3の下端部分と重り部材4は下方から最も上の高さ位置でカバー本体2の下側部分に取り付けられる。なお、図9(d)では、最も上の重り取付部23以外の重り取付部23は図示省略している。
【0064】
この変形例でも、先の実施形態と同様の効果を奏する。また、先の実施形態と比較して部品点数が増加するというデメリットもある反面、1つの重り取付部23に取り付ける重り部材4の数を変更することで重さを調整できるといったメリットがある。
【0065】
続いて、第2実施形態の二輪車用車体カバー1について説明する。
【0066】
図10(a)は、第2実施形態の二輪車用車体カバーを電動アシスト自転車に取り付けた状態を示す正面図であり、図10(b)は、同図(a)の右側面図である。なお、図10(b)では紐体3を図示省略し、電動アシスト自転車EBも記載していない。
【0067】
図10(a)および図10(b)に示すように、第2実施形態の二輪車用車体カバー1は、カバー本体2の後側部分の上側に、カバー本体2の後側部分の高さを変更する後側高さ調整部材25を有する点と、カバー本体2の後端に、上下方向に沿った切込み26および切込み26を開閉するための開閉スライダー261を有する点と、前側絞り部材5と後側絞り部材6とを有する点とが先の実施形態と異なる。また、先の実施形態と異なり、図1に示した開放部21aおよび重り取付部23や図3に示した第1面ファスナー22が無い。さらに、カバー本体2の後側には、重り部材4が配置されておらず紐挿通部21(図1参照)が形成されていない。なお、図10(a)には描かれていないが、先の実施形態と同様にカバー本体2の前側には6つの紐挿通部21が形成されている。
【0068】
紐体3は、先の実施形態と同様にカバー本体2の前側形成された紐挿通部21(図1参照)に挿通されている。紐体3の下端部分は、カバー本体2の前側下端に固定されている。重り部材4は、その固定された紐体3の下端に取り付けられている。
【0069】
後側高さ調整部材25は、第1高さ調整部材251と第2高さ調整部材252とから構成されている。第1高さ調整部材251と第2高さ調整部材252は、それぞれ切込み26を挟んで水平方向に分かれた左右一対の線ファスナーで構成されている。なお、線ファスナーの代わりに面ファスナーやホックボタンなどで第1高さ調整部材251および第2高さ調整部材252を構成してもよい。以下、図10(b)における左側に配置された第1高さ調整部材251を第1左ファスナー251Lと称し、図10(b)における右側に配置された第1高さ調整部材251を第1右ファスナー251Rと称する。また、図10(b)における左側に配置された第2高さ調整部材252を第2左ファスナー252Lと称し、図10(b)における右側に配置された第2高さ調整部材252を第2右ファスナー252Rと称する。第1左ファスナー251Lは、図10(a)に示した第1左スライダー2511Lを動かすことで開閉することができる。また、第1右ファスナー251Rは、第1右スライダー2511R(図11(b)参照)を動かすことで開閉することができる。同様に、第2左ファスナー252Lは、第2左スライダー2521Lを動かすことで、第2右ファスナー252Rは、第2右スライダー2521R(図12(b)参照)を動かすことで開閉することができる。第1左ファスナー251L、第1右ファスナー251R、第2左ファスナー252Lおよび第2右ファスナー252Rは、それぞれカバー本体2の後端に向かってカバー本体2の高さ方向(上下方向)に広がったくの字状をしている。第1高さ調整部材251は、第2高さ調整部材252の内側に配置され、第2高さ調整部材252よりも小さく、カバー本体2の後端における高さが第2高さ調整部材252よりも低い。
【0070】
切込み26は、カバー本体2の後端であって第1左ファスナー251Lと第1右ファスナー251Rの間および第2左ファスナー252Lと第2右ファスナー252Rの間で、上下方向に延在している。この切込み26は、カバー本体2の高さ方向において第1高さ調整部材251および第2高さ調整部材252と重複している。具体的には、第1高さ調整部材251の上端とほぼ一致した位置からカバー本体2の下端まで延在している。この切込み26には務歯と開閉スライダー261が設けられており、これらにより切込み26の延在方向に沿って移動可能な線ファスナーを構成している。この開閉スライダー261は、開閉部材の一例に相当する。図10(a)および図10(b)には、開閉スライダー261を下端まで移動させることで切込み26が閉じられた状態が示されている。二輪車用車体カバー1を電動アシスト自転車EBにかける際や電動アシスト自転車EBから引き上げて取り外す際には開閉スライダー261を上方に移動させて切込み26を開くことで、二輪車用車体カバー1をかける作業や取り外す作業が容易になる。なお、線ファスナーの代わりに面ファスナーやホックボタンなどで切込み26を開閉可能にしてもよい。
【0071】
前側絞り部材5は、カバー本体2の前側部分でカバー本体2の高さ方向の略中央に配置されている。前側絞り部材5は、左前側バックル5Lと、不図示の右前側バックルと、それぞれのバックルとカバー本体2とを接続する短い帯布で構成されている。図10(a)および図10(b)並びに後述する図11(a)、図11(b)、図12(a)、図12(b)には、左前側バックル5Lと右前側バックルが連結されていない状態が示されている。この状態では、左前側バックル5Lと右前側バックルは、互いに水平方向(幅方向)に離間して配置されている。左前側バックル5Lと右前側バックルのバックルを連結することで、図10(a)に一点鎖線で示すようにカバー本体2の高さ方向の中央部分が水平方向に絞られる。前側絞り部材5の高さ方向の位置は、電動アシスト自転車EBの前輪の上に相当する位置であり、電動アシスト自転車EBに前かごが設けられている場合にはその前かごと前輪の間に相当する位置になる。
【0072】
後側絞り部材6は、カバー本体2の後側部分でカバー本体2の高さ方向の略中央に配置されている。後側絞り部材6は、左後側バックル6Lと、右後側バックル6Rと、それぞれのバックルとカバー本体2とを接続する比較的長いゴムバンドで構成されている。図10(a)および図10(b)には、ゴムバンドが一点鎖線で描かれている。ゴムバンドは、一端がカバー本体2に縫い合わされ、他端が左後側バックル6Lまたは右後側バックル6Rに取り付けられている。また、ゴムバンドは、他端部分を除いてカバー本体2の内面側に設けられたゴムバンド挿通部に挿通され、第2高さ調整部材252の下側部分とほぼ平行に延在している。ゴムバンドの他端部分は、カバー本体2の外面側に露出している。図10(a)および図10(b)には、左後側バックル6Lと右後側バックル6Rが連結されていない状態が示されている。この状態では、左後側バックル6Lと右後側バックル6Rは、互いに水平方向(幅方向)に離間して配置されている。左後側バックル6Lと右後側バックル6Rのバックルを連結することで、図10(a)に一点鎖線で示すようにカバー本体2の高さ方向の中央部分が水平方向に絞られる。後側絞り部材6の高さ方向の位置は、電動アシスト自転車EBの後輪の上に相当する位置であり、電動アシスト自転車EBの後部荷台と後輪の間に相当する位置になる。
【0073】
前側絞り部材5の各バックルと後側絞り部材6の各バックルを連結することで、カバー本体2の高さ方向中央部分が水平方向に絞られてカバー本体2が風などでバタつくことが抑制される。また、二輪車用車体カバー1が風で吹き飛んでしまうことも抑制できる。また、後側絞り部材6の各バックルをゴムバンドによってカバー本体2に接続することで各種の大きさの電動アシスト自転車EBに対してカバー本体2の高さ方向中央部分を水平方向に絞ることができる。
【0074】
図10(a)および図10(b)には、第1高さ調整部材251と第2高さ調整部材252が開かれることで、カバー本体2の後側部分が最大の高さになった状態が示されている。この状態は、カバー本体2の後側部分の高さが143~147cm程度になり、例えば26インチタイヤなどの比較的背の高い自転車の後部荷台に高い背もたれを有するチャイルドシートを取り付けた自転車などを覆うのに適している。なお、このカバー本体2は、前側部分の高さも十分にあるので、前側に前用チャイルドシートを取り付けた自転車を覆うこともできる。
【0075】
図11(a)は、図10に示した二輪車用車体カバーの後側部分の高さを低くした状態を示す正面図であり、図11(b)は、同図(a)の右側面図である。なお、図11(b)では紐体3を図示省略し、電動アシスト自転車EBも記載していない。
【0076】
図11(a)および図11(b)に示すように、第1左スライダー2511Lと第1右スライダー2511Rをカバー本体2の後端に移動させて第1左ファスナー251Lと第1右ファスナー251Rを閉じることで、第1高さ調整部材251の上下間にある部分の高さがほぼゼロになる。これにより、カバー本体2の後側部分の丈が短くなることで、カバー本体2の後側部分の高さが低くなる。この状態は、カバー本体2の後側部分の高さが110cm程度になり、例えば後部荷台に後ろかごRBや背の低いチャイルドシートを取り付けた26インチタイヤなどの比較的大きな自転車や例えば20インチなどの比較的背の低い自転車の後部荷台に背もたれを有するチャイルドシートを取り付けた自転車などを覆うのに適している。
【0077】
この状態においても、二輪車用車体カバー1を電動アシスト自転車EBにかける際や電動アシスト自転車EBから引き上げて取り外す際に、開閉スライダー261を上方に移動させて切込み26を開くことで作業が容易になる。また、開閉スライダー261をカバー本体2の下端から第1高さ調整部材251の下端まで移動させるだけなので、図10に示した状態に対して開閉スライダー261を移動させる距離が短くてすむ。
【0078】
図12(a)は、図10に示した二輪車用車体カバーの後側部分の高さをさらに低くした状態を示す正面図であり、図12(b)は、同図(a)の右側面図である。なお、図12(b)では紐体3を図示省略し、電動アシスト自転車EBも記載していない。
【0079】
図12(a)および図12(b)に示すように、第2左スライダー2521Lと第2右スライダー2521Rをカバー本体2の後端に移動させて第2左ファスナー252Lと第2右ファスナー252Rを閉じることで、第2高さ調整部材252の上下間にある部分の高さがほぼゼロになる。これにより、カバー本体2の後側部分の丈が図11に示した状態よりもさらに短くなり、カバー本体2の後側部分の高さがより低くなる。この状態は、カバー本体2の後側部分の高さが62~70cm程度になり、例えば後部荷台にチャイルドシートが取り付けられていない20インチなどの比較的背の低い自転車などを覆うのに適している。すなわち、図12(a)および図12(b)に示す状態では、カバー本体2の後側部分の高さは、図10(a)および図10(b)に示した同部分の高さの半分以下の高さになる。
【0080】
この状態においても、二輪車用車体カバー1を電動アシスト自転車EBにかける際や電動アシスト自転車EBから引き上げて取り外す際に、開閉スライダー261を上方に移動させて切込み26を開くことで作業が容易になる。また、開閉スライダー261をカバー本体2の下端から第2高さ調整部材252の下端まで移動させるだけなので、図11に示した状態に対して開閉スライダー261を移動させる距離がさらに短くてすむ。
【0081】
この第2実施形態からは以下の発明概念を抽出できる。
【0082】
下方が開口し二輪車を上方から覆うカバー本体を備えた二輪車用車体カバーであって、
前記カバー本体は、該カバー本体の後側部分の高さを変更する後側高さ調整部材を該後側部分の上側に有するものであることを特徴とする二輪車用車体カバー。
【0083】
この二輪車用車体カバーにおいて、
前記カバー本体は、上下方向に沿った切込みと、該切込みを開閉するための開閉部材を有するものであり、
前記切込みは、該カバー本体の後端であって、前記後側高さ調整部材と高さ方向に少なくとも一部が重複したものであることを特徴としてもよい。
【0084】
この第2実施形態においても、先の実施形態と同様の効果を奏する。また、後側高さ調整部材25がカバー本体2の後側上部に配置されていることで、使用者がしゃがむことなくカバー本体2の後側部分の高さを変更できるので、使用者の足腰への負担を抑制することができる。さらに、切込み26と開閉スライダー261がカバー本体2の後端に配置されているので、作業者がカバー本体2の周囲を回って移動しなくてもカバー本体2の後側部分の高さ変更と切込み26の開閉の両方の作業がカバー本体2の後側で実施できるので作業性が良い。
【0085】
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことが出来る。例えば、本実施形態では電動アシスト自転車EBに二輪車用車体カバー1を使用する例を用いて説明したが、二輪車用車体カバー1は通常の自転車やオートバイなどの他の二輪車にも使用することができる。また、紐挿通部21が、カバー本体2の上部から下部まで連続して形成されている例で説明したが、紐挿通部21は、上下方向の複数箇所に分かれて断続的に形成されていてもよく、カバー本体2の上側部分にのみ形成されていてもよい。また、紐体3は、長さ方向の中間部分で折り曲げられることなく、紐挿通部21ごとに1本つづ設けられてもよい。さらに、第2実施形態の二輪車用車体カバー1の後側高さ調整部材25は、第1高さ調整部材251と第2高さ調整部材252の2つで構成されていたが、一方のみにしてもよい。ただし、多様な高さの自転車やチャイルドシートの有無などに対応するために、調整していない(最も高い)状態を含めて3種類以上の高さに調整可能であることが好ましい。さらに、第1高さ調整部材251と第2高さ調整部材252に加えて追加の高さ調整部材を設けて4種類以上の高さに調整可能にしてもよい。また、第2実施形態では、カバー本体2の後側に重り部材4を配置していない例を示したが、第2実施形態の二輪車用車体カバー1においてカバー本体2の後側に重り部材4を配置してもよい。先の実施形態のように下端をめくり上げることでカバー本体2の高さを調整する構成では、カバー本体2の下端をめくり上げると重り部材4が上方に位置してしまうので重り部材4を付け替えるなど重り部材4の位置調整が必要になる。これに対し、第2実施形態の二輪車用車体カバー1では、カバー本体2の高さを低くしたとしても後側下端にある重り部材4がカバー本体2の下端に位置したままになるので位置調整が不要で使用者の作業負担が少なくてすむという効果がある。
【0086】
なお、以上説明した各実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 二輪車用車体カバー
2 カバー本体
3 紐体
4 重り部材
21 紐挿通部
EB 電動アシスト自転車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12