(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179373
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】光子計数型コンピュータ断層撮影(PCCT)の検出器センサのセンサ効率を向上させるための修復
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20231212BHJP
G01T 1/24 20060101ALI20231212BHJP
G01T 1/17 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A61B6/03 320Y
A61B6/03 320R
A61B6/03 373
G01T1/24
G01T1/17 E
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023085855
(22)【出願日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】17/805,834
(32)【優先日】2022-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・アール・コンクル
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ディ・ヤノフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エム・ボウドリー
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188BB02
2G188BB15
2G188CC28
2G188CC34
2G188DD05
2G188EE01
2G188EE06
2G188EE07
2G188EE12
2G188EE17
2G188EE29
2G188EE37
4C093AA22
4C093CA35
4C093EA07
4C093EB13
4C093EB17
4C093FA59
4C093FF41
4C093GA06
4C093GA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光子計数型コンピュータ断層撮影(PCCT)の検出器センサのセンサ効率を向上させる。
【解決手段】光子計数型コンピュータ断層撮影(PCCT)イメージングシステムの光子計数型検出器のセンサアレイの中の欠陥のあるセグメントを修復するための方法及びシステムは、センサアレイのセグメントを複数のサブセグメントに分割することであって、複数のサブセグメントの各サブセグメントは、読出し電子回路部に電気的に結合され、読出し電子回路部はセグメントの光子カウント値を計算するように構成される、セグメントを複数のサブセグメントに分割することと、分割されたセグメントの各サブセグメントで生成され結合された電気信号に基づいて、分割されたセグメントの光子の合計カウント値を生成することと、分割されたセグメントにおける光子の合計カウント値に基づいて画像を再構成することとを含む。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光子計数型コンピュータ断層撮影(PCCT)イメージングシステムの方法であって、
PCCTイメージングシステムの光子計数型検出器のセンサアレイのセグメントを複数のサブセグメントに分割することであって、前記複数のサブセグメントの各サブセグメントは、読出し電子回路部に電気的に結合され、前記読出し電子回路部は前記セグメントの光子カウント値を計算するように構成される、セグメントを複数のサブセグメントに分割すること、
前記分割されたセグメントの各サブセグメントで生成され結合された電気信号に基づいて、前記分割されたセグメントの光子の合計カウント値を生成すること、及び
前記分割されたセグメントにおける光子の合計カウント値に基づいて画像を再構成すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記セグメントの欠陥を検出した場合、
前記欠陥が存在するサブセグメントを特定すること、
前記欠陥のあるサブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部を切断することによって、前記セグメントを修復すること、
前記分割されたセグメントの欠陥のない各サブセグメントにおいて生成され結合された電気信号に基づいて、前記分割されたセグメントの光子の合計カウント値を生成すること、
前記光子の合計カウント値に基づいて画像を再構成すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記欠陥が存在するサブセグメントを特定すること、及び前記欠陥のあるサブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部を切断することによって、前記セグメントを修復することは、試験段階及び/又は修復段階で前記センサアレイの製造者によって実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記欠陥のあるサブセグメントをグランド線と電気的に結合することにより、前記欠陥のあるサブセグメントを接地することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記欠陥が存在するサブセグメントを特定することは、電子ビーム励起電流法(EBIC)及び熱画像法のうちの一方を使用して、前記サブセグメントからの電気の漏れを検出することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記欠陥が存在するサブセグメントを特定することは、
前記複数のサブセグメントの各サブセグメントに対して、
前記読出し電子回路部によって第1の信号を測定すること、
前記サブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部を切断すること、
前記読出し電子回路部で第2の信号を測定すること、
前記第1の信号と前記第2の信号との間の変化が、前記サブセグメントに欠陥があることを示す範囲内にある場合、前記サブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部を永久に切断すること、及び
前記第1の信号と前記第2の信号との間の変化が、前記サブセグメントに欠陥があることを示す範囲内にない場合、前記サブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部を回復させること
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記サブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部を切断することは、レーザで前記接続部を切断することと、前記接続部に配置されたスイッチを閉位置から開位置に調整することとのうちの一方を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
レーザ溶接で前記接続部を修復することと、前記接続部に配置されたスイッチを開位置から閉位置に調整することとのうちの一方によって、前記サブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部を回復することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各サブセグメントは、前記サブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部にスイッチを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
複数のサブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部に配置された複数のスイッチは、1つの信号源に電圧を印加することによって、閉位置から開位置に調整される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
光子計数型コンピュータ断層撮影(PCT)イメージングシステムであって、
センサアレイを含む光子計数型検出器であって、前記センサアレイは複数のセグメントを含み、前記複数のセグメントのうちの少なくとも1つのセグメントは複数のサブセグメントに分割され、前記複数のサブセグメントの各サブセグメントは前記センサアレイの読出し電子回路部に電気的に結合される、光子計数型検出器と、
1つ以上のプロセッサ、及び前記1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令を記憶する非一時的メモリと
を含み、前記命令は、
前記複数のセグメントのうちの少なくとも1つのセグメントに対して、
前記読出し電子回路部において、前記複数のサブセグメントの各サブセグメントからの結合された信号に基づいて、前記セグメントの光子の合計カウント値を計算すること、及び
前記セグメントの光子の合計カウント値に基づいて、画像を再構成すること
を実行するための命令である、システム。
【請求項12】
前記複数のサブセグメントは、前記読出し電子回路部に結合された共有トレースの対応する複数の個別接続部を通じて前記読出し電子回路部に電気的に結合されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
複数のスイッチが前記複数の個別接続部に配置され、前記複数のスイッチの各スイッチは、前記読出し電子回路部から1つ以上のサブセグメントを接続又は切断するように動作可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数のサブセグメントは電気的に直列に結合され、1つのサブセグメントが前記読出し電子回路部に電気的に結合される、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記PCCTイメージングシステム(100、200)のグランドバス(501)に電気的に結合されたグランド線(512)をさらに備え、前記グランド線(512)は、前記複数のサブセグメント(502)の各サブセグメント(520、522、524、526)に電気的に結合可能である、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された対象の実施形態は、医用撮影に関し、より詳細には、コンピュータ断層撮影(CT)撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光子計数型コンピュータ断層撮影(PCT)イメージングシステムは、半導体センサ材料としてシリコンを使用したセンサアレイを有する検出器を必要とすることがある。センサアレイは、パイルアップを考慮して、X線の方向に向けられた複数のセグメントを含むことができる。アナログ/デジタル(A/D)変換及び読出しを実行するための特定用途向け集積回路(ASIC)へのチャンネルの数が節約されるように、X線の方向に向けられたセグメントの数を最小限にすることがあるが、これは、チャンネル数を少なくすると、センサのコスト、及び使用中にセンサ読出し電子回路部によって発生する熱量を低減することができるからである。しかし、セグメント数が少ないことの欠点は、センサアレイのセグメントが(漏れ電流が大きい、又は他の欠陥により)使用に適していない場合、効率が低下したり画像アーチファクトが起こり得るため、センサアレイが、検出器の中心部で使用に適さない恐れがあることである。センサアレイ内の幾つかのセグメントが使用に適さない場合、センサアレイが全く使用に適さなくなる恐れがある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、PCCTイメージングシステムのための方法によって、上述に特定された問題のうちの1つ以上の問題について少なくとも部分的に対処する。本方法は、PCCTイメージングシステムの光子計数型検出器のセンサアレイのセグメントを複数のサブセグメントに分割することであって、前記複数のサブセグメントの各サブセグメントは、読出し電子回路部に電気的に結合され、前記読出し電子回路部は前記セグメントの光子カウント値を計算するように構成される、セグメントを複数のサブセグメントに分割すること、前記分割されたセグメントの各サブセグメントで生成され結合された電気信号に基づいて、前記分割されたセグメントの光子の合計カウント値を生成すること、及び前記分割されたセグメントにおける光子の合計カウント値に基づいて画像を再構成することを含む。そして、分割されたセグメントで検出された欠陥から、欠陥のあるサブセグメントを見つけることができ、その欠陥のあるサブセグメントは読出し電子回路部から分離することができ、それによって再構成された画像の品質を向上させることができる。
【0004】
本記載の上記の利点及び他の利点並びに特徴は、以下の発明を実施するための形態だけを読んで、又は、以下の発明を実施するための形態を添付図面とともに読むことにより、容易に明らかになる。上記の概要は、発明を実施するための形態でさらに説明される概念を簡略化して導入するために記載されていることを理解されたい。上記の概要は、請求された対象の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、請求された対象の範囲は、発明を実施するための形態の後に記載されている請求項によって一意的に画定される。さらに、請求される対象は、上述された欠点又は本開示の様々な箇所に記載された欠点を解決する実装形態に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の様々な態様は、以下の発明を実施するための形態を読み、図面を参照することによって、更に理解することができる。
【0006】
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態によるCTイメージングシステムの図である。
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態による例示的なCTイメージングシステムのブロック概略図である。
【
図3A】従来技術としてのPCCTイメージングシステムの光子計数検出器のセンサアレイの概略図である。
【
図3B】本開示の1つ以上の実施形態による、PCCTイメージングシステムの光子計数検出器のセンサアレイのセグメントにおける欠陥のあるサブセグメントを示す概略図であり、欠陥のあるサブセグメントは、検出器のASICから分離されている。
【
図4A】本開示の1つ以上の実施形態による、PCCTイメージングシステムのセンサアレイのセグメントのサブセグメントの構成を示す概略図である。
【
図4B】本開示の1つ以上の実施形態による、PCCTイメージングシステムのセンサアレイのセグメントのサブセグメントの第1の代替構成を示す概略図である。
【
図5】本開示の1つ以上の実施形態による、PCCTイメージングシステムのセンサアレイのセグメントのサブセグメントの第2の代替構成を示す概略図である。
【
図6A】本開示の1つ以上の実施形態による、PCCTイメージングシステムのセンサアレイのセグメントのサブセグメントの第3の代替構成を示す概略図である。
【
図6B】本開示の1つ以上の実施形態による、PCCTイメージングシステムのセンサアレイのセグメントのサブセグメントの第4の代替構成を示す概略図である。
【
図7】本開示の1つ以上の実施形態による、セグメントの複数のサブセグメントとセンサアレイのASICとの間の接続部を反復的に切断することによって、PCT検出器のセンサアレイのセグメントの欠陥のあるサブセグメントの位置を決定する例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図8】本開示の1つ以上の実施形態による、セグメントの複数のサブセグメントとセンサアレイのASICとの間の接続部のスイッチを反復的にオフにすることによって、PCCT検出器のセンサアレイのセグメントの欠陥のあるサブセグメントの位置を決定する例示的な方法を示すフローチャートである。
【0007】
図面は、記載されたシステム及び方法の特定の態様を示すものである。図面は、以下の発明を実施するための形態とともに、本明細書に記載された構造、方法、及び原理を示し、説明するものである。図面において、構成要素の大きさは、明確性のために誇張されたり、変更されることがある。記載された構成要素、システム、及び方法の態様を不明瞭にすることを回避するために、周知の構造、材料、及び動作は、詳細には図示されておらず記載されていない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に開示された対象の記載及び実施形態は、光子計数型コンピュータ断層(PCCT)イメージングシステムによって取得される画像の質を向上させる方法及びシステムに関する。一般に、コンピュータ断層(CT)イメージングシステムでは、X線源は、物体(患者など)に向かってファンビーム又はコーンビームを放出する。一般に、CTシステムでは、X線源及び検出器アレイは、撮像平面内において患者の周囲をガントリを中心に回転し、画像は、異なるビュー角度における複数のビューの投影データから生成される。例えば、X線源の1回転に対して、CTシステムにより984個のビューが適用される場合がある。X線ビームは、患者によって減衰した後、放射線検出器のアレイに衝突する。X線検出器又は検出器アレイは、典型的には、検出器で受け取ったX線ビームをコリメートするためのコリメータと、コリメータに隣接して配置されたシンチレータであって、X線を光エネルギーに変換するシンチレータと、隣接するシンチレータから光エネルギーを受け取とるフォトダイオードであって、電気信号を生成するためのフォトダイオードとを含んでいる。検出器アレイで受け取った減衰ビーム放射の強度は、典型的には、患者によるX線ビームの減衰に依存する。検出器アレイの各検出器要素は、各検出器要素が受け取った減衰ビームを示す個別の電気信号を生成する。電気信号は、データ処理システムに伝送され分析される。データ処理システムは、電気信号を処理して画像を生成する。
【0009】
このような従来のCTイメージングシステムは、放射線エネルギーを電流信号に変換する検出器を利用し、この電流信号は時間にわたって積分され、次に測定され、最終的にデジタル化される。しかしながら、このような検出器の欠点は、検出された光子の数及び/又はエネルギーに関するデータ又はフィードバックを提供できないことである。すなわち、シンチレータによって放出される光は、衝突するX線の数とそのX線のエネルギーレベルとの両方の関数である。フォトダイオードは、シンチレーションからのエネルギーレベル又は光子数を識別することができない場合がある。例えば、2つのシンチレータが同等の強度でX線照射され、それぞれのシンチレータに対応するフォトダイオードに同等の出力が与えられることがある。しかし、同等の光出力が精製されるにもかかわらず、各シンチレータが受け取るX線の数は異なり、X線の強度が異なることがある。
【0010】
対照的に、PCCT検出器は、高い空間分解能の光子計数フィードバック及び/又はエネルギー弁別フィードバックを提供することができる。PCCT検出器は、X線計数モード、各X線イベントのエネルギー測定モード、又はその両方で動作することができる。言い換えれば、これらのエネルギー弁別型直接変換検出器は、X線計数だけでなく、検出された各X線のエネルギーレベルを測定することもできる。直接変換型エネルギー弁別検出器は、半導体材料(シリコンなど)で作られた複数のセンサを含むことができる。
【0011】
PCCT検出器は、X線光子計数だけでなく、エネルギー測定やタギングもサポートしている。このように、本発明は、解剖学的な詳細と組織性状診断情報との両方を取得することをサポートする。この点で、エネルギー識別情報又はデータは、線質硬化等の影響を低減するために使用することができる。さらに、PCCT検出器は、組織識別データの取得をサポートするので、病気又は他の病状を示す診断情報を提供する。PCT検出器は、ヨウ素とカルシウム(及び他の原子番号の大きい物質)のコントラストを高めるための最適なエネルギー重み付けを使用することにより、被検体に注入することができる物質(造影剤及び/又は他の特殊物質など)を検出し、測定し、物質の特性を求めるために使用することもできる。造影剤は、例えば、視覚的に十分に分かりやすくするために血流に注入されるヨウ素が含まれることがある。
【0012】
パイルアップとは、検出器における線源フラックスが非常に大きく、2つ以上のX線光子が1つの画素に時間的に十分に近い間に電荷パケットを付与して電荷パケットの信号が互いに干渉する恐れが無視できない場合に起こる現象である。パイルアップ現象は、一般的に2つの種類があり、その2つの種類の影響は幾分異なっている。第1の種類は、2つ以上のイベントが十分長い時間で分けられているため、2つ以上のイベントが別個のイベントとして認識されるが、信号が重なり合うため、後から到着したX線のエネルギーの測定精度が低下する。この種類のパイルアップは、システムのエネルギー分解能を低下させる。第2の種類のパイルアップでは、2つ以上のイベントが時間的に十分に近い間に到達するため、システムは2つ以上のイベントを別個のイベントとして分解することができない。この場合、2つ以上のイベントは、2つ以上のイベントのエネルギーの和を有する単一のイベントとして認識され、その2つ以上のイベントはスペクトル上で高エネルギーの方にシフトする。また、パイルアップによって、高X線フラックスにおけるカウント数が顕著に低下し、検出器の量子効率(DQE)が低下する。
【0013】
直接型変換センサでは、このパイルアップによって、比較的低いX線フラックスレベルの閾値で検出器の飽和が引き起こされる恐れがある。これらのフラックスレベルを超えると、検出器の応答性が悪くなり、正確に補償又は補正することができず、線量の利用率が悪くなり、画像情報を損失してしまい、X線投影及びCT画像にノイズ及びアーチファクトが生じる。特に、直接変換型光子計数検出器は、各X線光子イベントに関連する固有の電荷収集時間(すなわち、デッドタイム)のために飽和する。各画素のX線光子吸収率が、この電荷収集時間の逆数のオーダーである場合、パルスパイルアップにより飽和が発生する。
【0014】
PCCTイメージングシステムは、通常、1つ以上のエネルギービンを有している。各エネルギービンは、典型的には、データ収集システム(DAS)の読出部の一部である比較器によって決定される。1ビンシステムの場合、典型的には、比較器の1つのエネルギー閾値は、偽ノイズカウントがほとんど存在しない又は全く存在しないように十分に高いエネルギー値であるが、一方で、読出しプロセスにおいて信号X線の損失がほとんどないように十分に低いエネルギー値に設定される。このようなシステムは、上記のように、複数のエネルギーイベントのパイルアップによる統計的誤差及び偏りの影響を受ける。
【0015】
多くのエネルギービンを有するシステムは、読出しDASの複数の比較器を用いて形成することができる。各比較器は、設定されたエネルギーレベルを超える光子に対してトリガし、対応するX線エネルギーレベルを超える光子の数がレジスタに蓄積されるように設定することができる。ビンカウント値は重み付けされて加算され、イメージングシステムに適した特定の情報コンテンツを有するシステム出力を形成することができる。しかしながら、1ビンシステムと同様に、マルチビンシステムは、パイルアップによる劣化を受け、その結果、DQEが減少する。ビンカウント値の平均パイルアップを補正することはできるが、統計的な精度は失われる。信号対雑音比(SNR)を使用して、システム出力に対する加重和を評価することができる。
【0016】
PCCT検出器のセンサは、センサアレイ内の複数のセンサセグメントとして構成することができ、センサセグメントは、入射するX線の方向に向けられる。センサセグメントは、検出器におけるパイルアップの挙動を防止する又はパイルアップの挙動に対応するために使用される。センサアレイに電気的に結合された(A/D)変換及び読出し用の特定用途向け集積回路(ASIC)のチャンネルが節約されるように、セグメントの数を最小限にすることができる。チャンネル数を少なくすることで、センサアレイによって生成される熱量とセンサアレイのコストを低減することができる。しかし、例えばリーク電流が大きいために、センサアレイの一部のセグメントに欠陥が発生することがある。センサアレイのうち、検出器の中心に位置するセグメントに欠陥が発生すると、センサアレイの効率が低下し、画像アーチファクトが発生する恐れがあり、センサアレイが使用に適さなくなる。センサアレイ内のいくつかのセグメントが使用に適さない場合、センサアレイが全く使用に適さなくなる恐れがある。したがって、PCCTの課題は、セグメントの数を少なくすることによりコストが削減され熱の発生が減少する利益を得ると同時に、より多くのセグメントについて高い歩留まりをどのようにして実現するかである。
【0017】
セグメントの数を増やすことなくセンサの欠陥に対するロバスト性を高めるために、本明細書で提案されるシステム及び方法では、セグメントをサブセグメントに分割し、セグメントの各サブセグメントをPCCTイメージングシステムのASICに個別に接続することができる。従って、サブセグメントに欠陥が生じた場合、欠陥のあるサブセグメントはASICから分離されるが、欠陥のないサブセグメントはASICに接続され続ける。このようにして、欠陥が発生した結果として失われるデータが少なくなり、より高品質な画像を再構成することができる。
【0018】
本技術に従って造影スキャンを実行するために使用することができるPCCTイメージングシステムの一例が、
図1及び
図2に示されている。
図3Aは、PCCTイメージングシステムの例示的な光子計数型検出器要素を示し、X線源によって被検体に向けられたX線の光子が、検出器要素のセンサアレイによって検出される。センサアレイのセグメントに欠陥が発生すると、センサアレイが使用に適さなくなる可能性がある。
図3Bに示すように、セグメントが複数のサブセグメントに分割されている場合、PCCTイメージングシステムの欠陥のあるサブセグメントとASICとの間の接続部は切断され、したがって読出し電子回路部から分離することができるが、欠陥のないサブセグメントの光子カウント値に影響を与えることはなく、それによってセンサアレイが使用に適さなくなることを防止できる。複数のサブセグメントは、
図4Aに示すように、サブセグメントの各々がASICに接続されてもよいし、
図4Bに示すように直列に接続されてもよい。欠陥のあるサブセグメントとPCCTイメージングシステムのASICとの接続部が切断された場合、
図5に示すように、欠陥のあるサブセグメントを接地することができる。また、サブセグメントは、
図6Aの第1の構成及び
図6Bの第2の構成に示すように、スイッチを通じてASIC又は他の読出し電子回路部に接続することができ、スイッチを使用して、欠陥のあるサブセグメントを特定すること及び分離することができる。
図7は、読出し電子回路部の接続部を切断することによって欠陥のあるサブセグメントを特定及び分離する第1の方法を示し、
図8は、スイッチを使用して欠陥のあるサブセグメントを特定及び分離する第2の方法を示している。
【0019】
図1は、CTイメージングのために構成された例示的なCTシステム100を示す。特に、CTシステム100は、被検体(患者など)112、無生物、1つ又は複数の製造部品、及び/又は異物(体内に存在する歯科インプラント、ステント、及び/又は造影剤など)を撮影するように構成されている。一実施形態では、CTシステム100はガントリ102を含み、ガントリ102は、テーブル114に横たわる被検体112の撮影に使用するためのX線放射のビーム106(
図2参照)を投射するように構成された少なくとも一つのX線源104を更に含むことができる。具体的には、X線源104は、ガントリ102の反対側に配置された検出器アレイ108に向けてX線放射ビーム106を投射するように構成される。
図1は単一のX線源104を示しているが、特定の実施形態では、患者に対応する異なるエネルギーレベルの投影データを取得するための複数のX線放射ビームを投影するために、複数のX線源及び複数の検出器を採用することができる。一部の実施形態では、X線源104は、高速キロボルトピーク(kVp)スイッチングによって、デュアルエネルギーのGSI(gemstone spectral imaging)が可能である。一部の実施形態では、採用されるX線検出器は、異なるエネルギーのX線光子を区別することが可能な光子計数型検出器である。他の実施形態では、X線源と検出器の2つのセットを使用してデュアルエネルギー投影を生成するが、一方のセットは低kVpであり、他方のセットは高kVpである。したがって、本明細書に記載の方法は、デュアルエネルギーの取得技術だけでなく、単一エネルギーの取得技術にも実施できることが理解されるべきである。
【0020】
特定の実施形態では、CTシステム100は、逐次画像再構成法又は解析的画像再構成法を用いて被検体112のターゲットボリュームの画像を再構成するように構成された1つ以上のプロセッサを含む画像プロセッサユニット110を更に含む。例えば、画像プロセッサユニット110は、解析的画像再構成手法(フィルタリング逆投影(FBP)など)を使用して、患者のターゲットボリュームの画像を再構成することができる。別の例として、画像プロセッサユニット110は、逐次画像再構成手法(ASIR(advanced statistical iterative reconstruction)、CG(conjugate gradient)、MLEM(maximum likelihood expectation maximization)、MBIR(model-based iterative reconstruction)など)を使用して、被検体112のターゲットボリュームの画像を再構成してもよい。本明細書でさらに説明するように、一部の例では、画像プロセッサユニット110は、逐次画像再構成手法に加えて、解析的画像再構成手法(FBPなど)の両方を使用することができる。
【0021】
一部のCTイメージングシステムの構成では、X線源は、デカルト座標系のX-Y-Z面内に存在しコリメートされたコーン形状のX線放射ビームであって、一般に「撮影面」と呼ばれるコーン形状のX線放射ビームを照射する。X線放射ビームは、撮影される物体(患者又は被検体など)を通過する。X線放射ビームは、物体によって減衰した後、検出器要素のアレイに衝突する。検出器アレイで受け取られる減衰したX線放射ビームの強度は、物体によるX線放射ビームの減衰量に依存する。アレイの各検出器は、検出器位置におけるX線ビーム減衰の測定値である個別の電気信号を生成する。全ての検出素子からの減衰測定値を個別に取得して、透過プロファイルが作成される。
【0022】
一部のCTシステムでは、X線源及び検出器アレイは、X線ビームが物体と交差する角度が連続的に変化するように、ガントリによって、撮影面内において、撮影される物体の周囲を回転する。1つのガントリ角度における検出器アレイからのX線放射の減衰測定値のグループ(例えば、投影データ)は、「ビュー」と呼ばれる。物体の「スキャン」には、X線源と検出器が1回転する間に異なるガントリ角度(又はビュー角度)において得られるビューのセットが含まれる。
【0023】
X線源104は、陽極と陰極とを含む。陰極によって放出された電子(例えば、陰極の通電により生じる電子)は、陽極に配置された又は陽極の近くに配置されたターゲットによって遮られる。ターゲットによって遮られた電子は、X線の形態でエネルギーを放出し、X線は検出器アレイ108に向けられる。ターゲット面において、陰極から電子を受け取り、放出されたX線を形成する領域は、本明細書では「焦点」と呼ぶことがある。放出されたX線は、スキャンされた被検体204の一部分(「有効焦点」)に集束されることがある。有効焦点の大きさは、(例えば、ターゲット面における)実際の焦点の角度に依存する場合がある。例えば、小さな有効焦点は、小さな領域を走査する場合に望ましく、大きな有効焦点は、大きな領域を走査する場合に望ましい。
【0024】
一部の実施形態では、X線源104を含むX線発生システムは、焦点を移動すること及び/又は形成することができる。例えば、X線発生システムは、焦点のサイズを大きくする又は小さくすることができる。さらに、一部の実施形態では、X線生成システムは、複合焦点を生成することができる。複合焦点は、2つ以上の別個の焦点の組み合わせである。例えば、互いに離れて位置する2つの別個の焦点を組み合わせて、単一の複合焦点を生成することができる。複合焦点は、
図3~
図9を参照して、以下に更に詳細に記載されている。
【0025】
図2は、
図1のCTシステム100に類似する例示的なイメージングシステム200を示す図である。本開示の態様に従って、イメージングシステム200は、被検体204(例えば、
図1の被検体112)を撮影するように構成されている。一実施形態では、イメージングシステム200は、検出器アレイ108(
図1参照)を含んでいる。検出器アレイ108は複数の検出器素子202を更に含んでいる。複数の検出器素子202は、お互いに、被検体204(患者など)を通過するX線放射ビーム106(
図2参照)を感知して、対応する投影データを取得する。一部の実施形態では、検出器アレイ108は、セル又は検出器素子202の複数の列を含むマルチスライス構造で製造することができ、投影データを取得するために、検出器素子202の1つ以上の追加の列を並列の構成で配置することができる。
【0026】
特定の実施形態では、イメージングシステム200は、被検体204の周りの異なる角度位置を移動して所望の投影データを取得するように構成される。従って、ガントリ102及びガントリに取り付けられた構成要素は、回転中心206の周りを回転して、例えば異なるエネルギーレベルの投影データを取得するするように構成することができる。あるいは、被検体204に対する投影角度が時間に応じて変化する実施形態では、取り付けられた構成要素は、円弧ではなく一般的な曲線に沿って移動するように構成することができる。
【0027】
X線源104及び検出器アレイ108が回転すると、検出器アレイ108は減衰X線ビームのデータを収集する。検出器アレイ108によって収集されたデータは、スキャンされた被検体204の減衰係数の線積分が表されるようにデータを調整するため、前処理及び較正が実行される。処理されたデータは、一般に、投影と呼ばれる。一部の例では、検出器アレイ108の個々の検出器又は検出器要素202は、個々の光子の相互作用を1つ以上のエネルギービンに記録する光子計数型検出器を含むことができる。本明細書に記載される方法は、エネルギー積分型検出器に実装することもできることを理解されたい。
【0028】
取得した投影データのセットは、基底物質弁別(BMD)に使用することができる。BMDの間、測定された投影は、物質密度投影のセットに変換される。物質密度投影は、物質密度マップ又は各基底物質の画像(骨、軟組織、及び/又は造影剤マップなど)のペア又はセットが形成されるように再構成することができる。密度マップ又は画像は、順に関連付けられ、撮像ボリュームにおける基底物質(例えば、骨、軟組織、及び/又は造影剤)の3Dボリュメトリック画像を形成することができる。
【0029】
再構成されると、イメージングシステム200によって生成された基底物質画像によって、2つ以上の基底物質の密度で表される被検体204の内部特徴が明らかになる。これらの特徴を示すために密度画像を表示することができる。医学的状態(病状など)及び一般的な医学的事象の診断における従来の手法では、放射線科医又は医師は、密度画像のハードコピー又は表示された密度画像を検討して、関心部分の特有の特徴を見分けると考えられる。このような特徴としては、病変、特定の解剖学的構造又は器官のサイズ、及び形状、並びに個々の医師の技能及び知識に基づいて画像から識別可能な他の特徴がある。
【0030】
一実施形態では、イメージングシステム200は、構成要素の動き(ガントリ102の回転及びX線源104の動作など)を制御する制御機構208を含む。ある実施形態では、制御機構208は、X線源104に電力及びタイミング信号を供給するように構成されたX線コントローラ210を更に含む。さらに、制御機構208は、撮影条件に基づいてガントリ102の回転速度及び/又は位置を制御するように構成されたガントリモータコントローラ212を含んでいる。
【0031】
特定の実施形態では、制御機構208はデータ収集システム(DAS)214を更に含む。データ収集システム(DAS)214は、検出器素子202から受け取ったアナログデータをサンプリングし、そのアナログデータを、後処理するためにデジタル信号に変換するように構成されている。DAS214によってサンプリングされデジタル化されたデータは、1つ以上のプロセッサを含むコンピュータ又はコンピューティング装置216に送信される。一例では、コンピューティング装置216は、データを記憶装置又は大容量記憶装置218に記憶する。記憶装置218は、例えば、任意のタイプの非一時的メモリとすることができ、記憶装置218としては、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスク読み取り/書き込み(CD-R/W)ドライブ、デジタルバーサタイルディスク(DVD)ドライブ、フラッシュドライブ、及び/又はソリッドステート記憶ドライブがある。
【0032】
さらに、コンピューティング装置216は、DAS214、X線コントローラ210、及びガントリモータコントローラ212のうちの1つ以上に、システム動作(データ取得及び/又はデータ処理など)を制御するための命令及びパラメータを与える。特定の実施形態では、コンピューティング装置216は、オペレータ入力に基づいてシステム動作を制御する。コンピューティング装置216は、例えば、コンピューティング装置216に動作可能に結合されたオペレータコンソール220によって、命令及び/又は走査パラメータを含むオペレータ入力を受け取る。オペレータコンソール220は、オペレータが命令及び/又は走査パラメータを指定できるように、キーボード(図示せず)又はタッチスクリーンを含むことができる。
【0033】
図2は1つのオペレータコンソール220を示しているが、例えば、システムパラメータを入力又は出力する、検査を要求する、データを示す、及び/又は画像を見るために、2つ以上のオペレータコンソールがイメージングシステム200に結合されていてもよい。更に、特定の実施形態では、イメージングシステム200は、1つ以上の設定可能な有線及び/又は無線のネットワーク(インターネット及び/又は仮想プライベートネットワーク、無線電話ネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク、有線ローカルエリアネットワーク、無線ワイドエリアネットワーク、有線ワイドエリアネットワークなど)を通じて、例えば機関又は病院に、若しくは全く異なる場所に、ローカルに又はリモートに配置された複数のディスプレイ、プリンタ、ワークステーション及び/又は同様のデバイスに結合することができる。
【0034】
一実施形態では、例えば、イメージングシステム200は、画像保存通信システム(PACS)224を含んでいてもよいし、PACS224が結合されていてもよい。例示的な実施形態では、PACS224は、放射線科情報システム、病院情報システム、及び/又は内部又は外部ネットワーク(図示せず)などのリモートシステムに更に結合され、異なる場所にいるオペレータが、命令及びパラメータを供給する、及び/又は画像データへのアクセスを獲得することができるようにしている。
【0035】
コンピューティング装置216は、オペレータが供給した及び/又はシステムで定義された命令及びパラメータを使用して、テーブルモータコントローラ226を動作させる。テーブルモータコントローラ226はテーブル114を制御することができ、テーブル114は、電動テーブルとすることができる。具体的には、テーブルモータコントローラ226は、ガントリ102内に被検体204を適切に位置決めし、被検体204のターゲットボリュームに対応する投影データが取得されるように、テーブル114を移動させることができる。
【0036】
前述のように、DAS214は、検出器要素202によって取得された投影データをサンプリングしてデジタル化する。その後、画像再構成器230が、サンプリングされデジタル化されたX線データを用いて、高速再構成を実行する。
図2は画像再構成器230を別個の構成要素として示しているが、特定の実施形態では、画像再構成器230はコンピューティング装置216の一部を形成してもよい。あるいは、画像再構成器230は撮像システム200には存在しておらず、代わりにコンピューティング装置216が画像再構成器230の1つ以上の機能を実行してもよい。さらに、画像再構成器230は、ローカルに又はリモートに配置することができ、有線又は無線のネットワークを用いてイメージングシステム200に動作的に接続することができる。特に、1つの例示的な実施形態では、画像再構成器230のために、「クラウド」ネットワーククラスタ内のコンピューティング資源を使用することができる。
【0037】
一実施形態では、画像再構成器230は、再構成された画像を記憶装置218に記憶する。あるいは、画像再構成器230は、再構成された画像を、診断及び評価に有益な患者情報を生成するコンピューティング装置216に送信することができる。特定の実施形態では、コンピューティング装置216は、再構成された画像及び/又は患者情報を、コンピューティング装置216及び/又は画像再構成器230に通信可能に結合されたディスプレイ又は表示装置232に送信することができる。いくつかの実施形態では、再構成された画像を、短期保存又は長期保存するために、コンピューティング装置216又は画像再構成器230から記憶装置218に伝送してもよい。
【0038】
ここで
図3Aを参照すると、PCCTイメージングシステムの光子計数型検出器要素300の部分図が示されている。光子計数型検出器要素300は、
図2の検出器要素202の非限定的な実施形態とすることができ、検出器要素300の複数の列は、上述のように、投影データを取得する検出器アレイ(例えば、検出器アレイ108)を形成するために、並列配列で配置することができる。
【0039】
光子計数型検出器要素300はセンサアレイ302を含み、センサアレイ302はプリント回路基板(PCB)316に電子的に結合することができる。PCB316は、検出器要素300の読出し電子回路部との接続部318を含む。特定用途向け集積回路(ASIC)312をPCB316に搭載することができ、PCB316は、読出し電子回路部とともに、PCCTイメージングシステムのDAS(例えば、DAS214)の一部を形成する。
【0040】
様々な実施形態において、センサアレイ302は、半導体材料(シリコンなど)で作られたチップに埋め込むことができる。チップの幅は、センサアレイ302のエッジ311において、1画素とすることができる。複数のセンサは、チップの表面に沿うように埋め込まれ、チップの長さに沿って延在することができる。センサアレイ302は、センサアレイ302のエッジ311に衝突する光子をカウントするように構成することができる。具体的には、エッジ311に沿う各画素309に対して、1つ以上のセンサセグメント305を、各画素309の下に延在するカラム303に埋め込み、入射X線ビーム301の方向307に(例えば、
図3Aの垂直方向に)向けるようにすることができる。各カラム303の各センサセグメント305は、関連するカラム303に対応するエッジ311の画素309に対応する約1画素分のセンサアレイ302の表面の幅を有することができる。各カラム303の各センサセグメント305は、対応する画素309におけるエッジ311に衝突する入射X線ビーム301の光子の数をカウントすることができる。
【0041】
言い換えれば、各カラム303は、カラム303において方向307に縦に重ねられた複数のセグメント305を含むことができる。例えば、(垂直方向の)各カラム303は、第1の垂直位置304の第1のセグメント、及び第2の垂直位置306の第2のセグメント、などを含むことができる。
図3Aに示された実施形態では、各カラム303は、2つのセグメント305を含む。他の実施形態では、各カラム303は、3つ以上のセグメント305を含むことができる。カラム303の各セグメント305の大きさは同じであってもよいし、カラム303の各セグメント305は異なるサイズであってもよい。例えば、カラム303の第1のセグメント305は、カラム303の第2のセグメント305より大きくてもよい。カラム303の第3のセグメント305は、カラム303の第2のセグメント305より小さくてもよい。
【0042】
各セグメント305は、PCB316に搭載されたASIC312に電気的に結合することができる。様々な実施形態において、センサアレイ302の各セグメント305は、PCCTセンサトレース308を通じてセンサアレイ302のセンサボンドパッド310に電気的に結合することができる。センサボンドパッド310は、ワイヤボンド314を通じてASIC312に電気的に結合することができる。
【0043】
各セグメント305は、X線ビーム301の入射光子の数を検出することができる。X線ビーム301が画素309でセンサアレイ302に衝突すると、X線ビーム301は、対応するカラム303の重ねられた複数のセグメント305を通過することができる。X線ビーム301がカラム303の各重ねられた各セグメント305を通過すると、X線ビーム301に含まれる光子の数をセグメント305で検出することができる。
【0044】
例えば、例示的なX線ビーム301がカラム303の第1の垂直位置304の第1のセグメント305に入り、第1のセグメント305が、例示的なX線ビーム301のうちの第1の数の光子を検出することができる。第1の数の光子が、例示的なX線ビーム301の光子の総数より少なく、光子の総数のうちの第2の数の光子が、検出されずに第1のセグメント305を通過することがある。例示的なX線ビーム301のうちの、第1のセグメント305を通過する(検出されない)第2の数の光子は、その後、カラム303の第2の垂直位置306における第2のセグメント305に入射することができる。第2のセグメント305は、例示的なX線ビーム301の第3の数の光子を検出することができる。第3の数の光子は、第2の数の光子よりも少ないことがあり、第4の数の光子が、検出されずに第2のセグメント305を通過することができる。例示的なX線ビーム301のうちの、第2のセグメント305を通過する第4の数の光子は、その後、カラム303の第3の垂直位置における第3のセグメント305に入射することができ、以下同様である。したがって、例示的なX線ビーム301の検出された光子の総数は、カラム303の垂直方向に重ねられた各セグメント305によって検出された光子の数を合計することによって推定することができる。
【0045】
カラム303の垂直方向に重ねられた各セグメント305で検出される光子の数は、異なる場合がある。例えば、場合によっては、例示的なX線ビーム301の光子の全てが第1のセグメント305によって検出され、例示的なX線ビーム301のどの光子も第2のセグメント305によって検出されないことがある。他の場合、例示的なX線ビーム301の多くの光子が第1のセグメント305で検出され、それよりも少ない光子が第2のセグメント305で検出され、さらに少ない光子が第3のセグメント305で検出されることがある。例示的なX線ビーム301の一部の光子は、カラム303のどのセグメント305でも検出されないことがあり、検出された光子の総数が例示的なX線ビーム301の光子の総数と等しくないことがある。
【0046】
光子がセグメント305に当たると、アナログ電気信号が発生し、アナログ電気信号は、センサトレース308及びセンサボンドパッド310を経由してASIC312に伝送される。アナログ電気信号は、光子のエネルギー量に比例する。ASIC312は、光子ヒットの発生をカウンタでカウントすることによって、アナログ電気信号をデジタル信号に変換することができる。さらに、ASICは、電気信号の量を1つ以上の予め設定された閾値と比較することによって、光子によって付与されたエネルギーを識別することができる。具体的には、ASIC312は、複数の比較器を含むことができ、複数の比較器の各比較器は、アナログ信号が比較器に関連付けられた信号レベル閾値を超えたときに、対応するデジタルカウンタを1だけインクリメントさせるトリガ信号を出力する。複数の比較器の各比較器は、異なる信号レベル閾値を有することができる。例えば、ASIC312は、第1の信号レベル閾値を有する第1の比較器、第2の信号レベル閾値を有する第2の比較器であって、第2の信号レベル閾値は第1の信号レベル閾値より高い第2の比較器、第3の信号レベル閾値を有する第3の比較器であって、第3の信号レベル閾値は第2の信号レベル閾値より高い第3の比較器など、光子のスペクトルの最大エネルギーレベルまで対応した比較器を含むことができる。一対の閾値の間の差は、エネルギー範囲又はビンを画定する。したがって、エネルギーが各ビン内に収まる光子の数がASICによって記録することができる。これらの光子のカウント数は、ASICによって、接続部318を通じてPCBに伝送され、画像再構成のために使用することができる。あるいは、ASICは、数値カウント情報に対して追加の演算(所与のカラム内のビンからの個々の光子カウント値を合計して光子カウント値の合計を生成するなど)を最初に実行してもよい。
【0047】
各カラム303に複数のセグメントを含む利点は、パイルアップ挙動を、より正確に説明できることである。X線は、半導体材料(例えば、シリコン)の深さ全体で、半導体材料がどのように複数のセグメントに分割されるかに関係なく吸収される。各セグメント305は、そのセグメントに吸収されるX線から信号を生成することができる独立した感知素子として機能する。その結果、各セグメント305は、セグメント305に関係する半導体材料の領域内で吸収されるX線をカウントし、他のX線は吸収されずにセグメント305を通過する場合がある。各セグメント305は、ASICの各セグメント自体のカウントチャンネル回路に接続されているので、X線カウント値の合計が複数のチャンネルに分散される。それにより、各チャンネルは、より容易に吸収速度に追随することができる。
【0048】
画素309の一部を形成するセグメント305は、例えば、製造時の損傷により欠陥330が生じ、望ましくない挙動(高リーク電流など)につながることがある。欠陥のあるセグメント305を無効にしたり、欠陥のあるセグメント305によって生成されたデータを無視することが可能な場合がある。画素309を含む他のセグメントに欠陥がなく、他のセグメントが無効にされない又は無視されない場合、画素309は依然として入射X線301の測定値を提供できるが、検出効率は低下する。しかし、検出器要素300が画素309の一部を形成する欠陥のあるセグメント305を含み、検出器要素300が検出器アレイ(例えば、
図1の検出器アレイ108)の中心に位置している場合、検出器要素の画素309の検出効率が下がることにより、画像アーティファクトが発生し、検出器アレイの中心において検出器要素300が使用に適さなくなることがる。センサアレイ302内のいくつかのセグメント305が使用に適していない場合、検出器素子300は、検出器アレイ内のどの位置でも使用に全く適さなくなる恐れがある。例えば、カラム303における光子の合計カウント値が、カラム303の第1のセグメント305と第2のセグメント313との合計に基づいており、欠陥330が第1のセグメント305で発生した場合、第1のセグメントは無効にされなければならない。その結果、カラムの検出効率は低下する。例えば、期待される光子数の30%が第1のセグメントで生成され、欠陥が原因で第1のセグメントが無効にされなければならない場合、カラムの全体の検出効率は30%低下することになる。どのカラムからの光子カウント数も、離散的な数のイベントをカウントすることに関連する統計的変動であるショットノイズの影響を受ける。ショットノイズの相対的な量は、全体の検出効率に依存する。したがって、検出効率が低下したカラムは、多くのノイズを伴う劣化したデータを生成する。カラムの全てのセグメントが無効である極端な例では、検出効率はゼロである。この場合、カラムの欠落データの代わりに推定値を供給しなければならない。推定値の供給は、隣接するカラムの値を補間したり、平均化することによって行われることが多い。しかし、この方法は不完全であり、特定の状況下でアーチファクトが発生する恐れがある。
【0049】
1つ以上の欠陥330に対するセンサアレイ302の感度に対処するために、本明細書における発明者らは、一部のセグメント305又は全てのセグメント305を複数のサブセグメントに分割し、各サブセグメントが、サブセグメントにおいて光子をカウントするダイオードを含むことを提案している。したがって、欠陥のある1つのサブセグメントが無効であっても、セグメント305の他のサブセグメントにおける光子カウントに影響を与えないようにすることができ、セグメントの検出効率を高く維持することができる。
【0050】
図3Bは、センサアレイ(
図3Aのセンサアレイ302など)の分割されたセグメント350を示しており、分割されたセグメント350は、第1のサブセグメント352と第2のサブセグメント354とを含んでいる。第1のサブセグメント352及び第2のサブセグメント354は、分割されたセグメント350の幅(例えば、セグメント305の幅)に等しいセンサアレイの表面の幅を有することができる。また、第1のサブセグメント352及び第2のサブセグメント354は、分割されたセグメント350の厚さに等しい厚さ(例えば、深さ)を有することができる。第1のサブセグメント352の第1の長さ364と第2のサブセグメント354の第2の長さ366を合計すると、概ね、分割されたセグメント350の長さになる。一部の実施形態では、第1の長さ364は、第2の長さ366と同じにすることができる。他の実施形態では、第1の長さ364は、第2の長さ366と異なっていてもよい。例えば、第2の長さ366は第1の長さ364より短くてもよいし、第2の長さ366は第1の長さ364より長くてもよい。したがって、第1のサブセグメント352及び第2のサブセグメント354の半導体材料の体積は、同じであってもよいし、体積が異なっていてもよい。
【0051】
X線の吸収確率は深さ方向に一様ではなく、センサアレイの上部の近くでは多くのX線が吸収され、センサアレイの底部では吸収されるX線は少ない。サブセグメントが同じ大きさであれば、上部のサブセグメントは多くのX線をカウントし、下部のサブセグメントがカウントするX線は少なくなる。そのため、センサアレイの上部の近くでは小さなサブセグメントを使用し、センサアレイの底部では大きなサブセグメントを使用し、上部と下部のサブセグメントで吸収されるX線の数がほぼ同じになるようにすることが望ましい場合がある。上部と下部のサブセグメントで吸収されるX線の数がほぼ同じであれば、上部サブセグメントを無効にした場合の検出効率の影響は、下部サブセグメントを無効にした場合の影響と同じとすることができる。
【0052】
分割されたセグメント350における光子の合計カウント値は、第1のサブセグメント352で記録された第1の光子カウント数と、第2のサブセグメント354で記録された第2の光子カウント数との合計である。第1のサブセグメント352及び第2のサブセグメント354は、共有トレース356を通じてASIC380(例えば、ASIC312)のチャンネル382に電気的に結合されている。
図3Bにおいて、共有トレース356は、ASIC380が、第1のサブセグメント352から共有トレース356の第1の接続部360を通じて電気信号を受け取り、ASIC380が、第2のサブセグメント354から共有トレース356の第2の接続部362を通じて電気信号を受け取るように構成される。第1のサブセグメント352からの電気信号は、第2のサブセグメント354からの電気信号と組み合わせることができ、分割されたセグメント350の光子の合計カウント値は、チャンネル382の組み合わされた電気信号に基づいて計算することができる。一部の実施形態では、ASIC380は単一チャンネルASICであってもよく、他の実施形態では、ASIC380はマルチチャンネルASICであってもよく、追加のチャンネルがASIC380に含まれていてもよい(例えば、他の分割されたセグメント用に)。
【0053】
欠陥358は、サブセグメント352に位置していると決定することができる。例えば、欠陥は、隣接するセグメント間の部分的な接続(短絡など)を作り出すサブセグメントの損傷箇所と考えられる。欠陥の位置は、様々な方法で決定することができる。一実施形態では、損傷箇所は、電子ビーム励起電流法(EBIC)を用いて決定することができる。この方法では、電子ビームがサブセグメント内及びその周辺の領域にわたって走査され、各位置に電荷が注入される。電流は、各セグメントのサブセグメントの合計であり、一部のセグメント又は全てのセグメントで監視される。電子ビームがサブセグメントの欠陥のない位置に存在している場合、電流は対応するセグメントのみから収集され、他のセグメントから電流が収集されることはない。電子ビームが欠陥の位置にある場合、セグメント間が部分的に接続されるので、電流は隣接するセグメントにも流れることができる。したがって、両方のセグメントに同時に信号が存在する場合、電子ビームの位置に欠陥が存在していることを示していると考えられる。
【0054】
別の実施形態では、欠陥の位置を熱画像法を用いて見つけることができ、熱画像法では、高感度のサーマルカメラを使用して、局所的な漏れに起因するわずかな温度上昇を画像化することができる。他の実施形態では、欠陥358は、光子の合計カウント値に基づいて検出することができ、光子の合計カウント値が閾値の光子カウント値を下回る場合、欠陥358がサブセグメント352に存在していると推論することができる。例えば、光子の合計カウント値は、1つ以上の隣接する分割されたセグメント(例えば、サブセグメント354)の光子カウント値、又はセグメント350の過去の光子カウント値と比較することができる。
【0055】
様々な実施形態において、欠陥358が第1のサブセグメント352で検出された場合、位置370において第1の接続部360を切断することによって、第1のサブセグメント352をASIC380から分離することができる。例えば、第1の接続部360は、レーザによって切断することができる。第1の接続部360が位置370で切断されると、ASIC380は第2のサブセグメント354から電気信号を受け取ることができ、ASIC380は第1のサブセグメント352から電気信号を受け取らないようにすることができる。第1のサブセグメント352から電気信号を受け取らない結果、ASIC380によって決定される第1のサブセグメント352で生成される光子カウント数をゼロにすることができる。しかし、光子カウントは第2のサブセグメント354から生成することができるので、分割されたセグメント350の光子カウントの全効率はゼロよりも大きく、センサアレイは使用可能とすることができる。したがって、セグメントを2つのサブセグメントに分割することにより、セグメントの欠陥に対するロバスト性が向上し、2つのサブセグメントからの光子カウント数に基づいて再構成される画像の品質を向上させることができる。
【0056】
言い換えれば、セグメントが別々のサブセグメントに分割されていなければ、ASIC380のチャンネル382を完全に無効にする必要があり、サブセグメント352及び354からのカウント値は全て失われることになる。様々な実施形態において、チャンネル382は、チャンネル382の測定回路をトレース356から分離し、トレース356を接地する(又は、一般には、ASIC内部で利用可能な一定の電圧に接続する)ようにASIC380をプログラミングすることによって、無効にすることができる。欠陥358を有するサブセグメント352の接続部360を切断することによって、ASIC380のチャンネル382は有効なままにすることができ、サブセグメント354で生成されたX線カウント値が測定される。
【0057】
センサアレイのセグメントの欠陥に対するセンサの感度は、分割されたセグメントのセグメント数に依存する。
図3Bでは、分割されたセグメント350に2つのセグメントが含まれており、第1のサブセグメント352の損失は、光子の合計カウント値に実質的な影響を及ぼす恐れがある。分割されたセグメント350のロバスト性を向上させ、欠陥に対する感度を低くするために、分割されたセグメント350は、更に多くの数のサブセグメントに分割することができ、更に多くの数のサブセグメントの各サブセグメントは、第1のサブセグメント352及び/又は第2のサブセグメント354よりも小さくすることができる。
【0058】
図4Aは、センサアレイ(
図3Aのセンサアレイ302など)の分割されたセグメント400のサブセグメントの構成を示し、分割されたセグメント400は複数のサブセグメント402を含んでいる。一部の実施形態では、各サブセグメント402は同じサイズであってもよく、他の実施形態では、各サブセグメント402は異なるサイズであってもよい。例えば、分割されたセグメント400の第1のサブセグメントは第1のサイズを有し、分割されたセグメント400の第2のサブセグメントは第2のサイズを有し、第2のサイズは第1のサイズより大きくてもよいし、小さくてもよい。また、分割されたセグメント400の第3のサブセグメントは第3のサイズを有することができ、第3のサイズは第1のサイズ及び第2のサイズのうちの一方のサイズ又は両方のサイズより大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0059】
分割されたセグメント400における光子の合計カウント値は、分割されたセグメント400の各サブセグメント402の光子カウント値の合計とすることができる。各サブセグメント402は、共有トレース406を通じてASIC480のチャンネル482(例えば、ASIC380のチャンネル382)に電気的に結合される。
図4Aにおいて、共有トレース406は、ASIC480が、共有トレース406の個別接続部408を通じて各サブセグメント402からチャンネル482を介して電気信号を受け取ることができるように構成される。各サブセグメント402からの電気信号は結合され、ASIC480によって、分割されたセグメント400の光子の合計カウント値に変換することができる。
【0060】
図3Bを参照して上述したように、サブセグメント402に欠陥404が発見されることがある。しかし、複数のサブセグメントが共有トレース406を通じてASIC480に接続されていることの欠点は、どのサブセグメント402に欠陥があるかを検出することが困難になる場合があることである。
【0061】
図7を参照して以下でより詳細に記載されるように、どのサブセグメント402に欠陥があるかを決定するための1つの方法は、各サブセグメント402に対して、共有トレース406の各サブセグメントに対応する個別接続部408を切断し、対応する個別接続部408を切断する前と切断した後で光子の合計カウント値を比較することを反復することである。あるいは、別の方法で対応する個別接続部408を切断する前と切断した後で、欠陥によって引き起こされる電気の漏れを推定又は測定することができ、欠陥のあるサブセグメントを、漏れのない(例えば、漏れを実質的に低減する)切断されたサブセグメントにすることができる。
【0062】
欠陥のあるサブセグメント402が決定された後、欠陥のないサブセグメント402の切断された個別接続部408は、欠陥のないサブセグメント402の機能を回復するために、修復することができる。例えば、切断された個別接続部408は、レーザ溶接によって修復することができ、各切断された個別接続部408の切断部分は、レーザを適用して形成されたスポット溶接によって一緒に溶融される。
【0063】
欠陥のあるサブセグメントの個別接続部408が(例えば、位置410において)切断されると、ASIC480は、他のサブセグメント402から電気信号を受け取ることができるが、切断されたサブセグメント402から電気信号を受け取ることはできない。切断されたサブセグメント402から電気信号を受け取らないので、ASIC480によって決定される切断されたサブセグメント402の光子カウント数は、ゼロとなる。しかし、他のサブセグメント402は光子カウントを生成するので、分割されたセグメント400の光子の合計カウント値は、欠陥のあるセグメントの接続部が切断される前の元の光子カウント値に近く、それによってセンサアレイを使用可能とすることができる。このように、1つのセグメントを複数のサブセグメントに分割することにより、分割されたセグメントの欠陥に対するロバスト性が向上し、サブセグメントからの光子カウント数に基づいて再構成される画像の品質を向上することができる。
【0064】
図4Bは、分割されたセグメント400の複数のサブセグメント402の第1の代替構成450を示す。第1の代替構成450では、各サブセグメント402は、共有トレース406を通じてASIC480に電気的に結合されてはいない。
図4Bでは、各サブセグメント402は、鎖状の直列接続部451を通じて隣接するサブセグメントに電気的に結合され、接続された最後のサブセグメントはASIC480に電気的に結合されている。第1の代替構成450では、ASIC480は、接続された最後のサブセグメントに結合された共有トレース406を通じて各サブセグメント402から電気信号を受け取ることができる。各サブセグメント402からの結合された電気信号は、分割されたセグメント400の光子の合計カウント値に変換することができる。
【0065】
図4Aの分割されたセグメント400の構成に対する第1の代替構成450の利点は、トレースの全長が短くなり、これによって、
図4Aの構成と比較して静電容量が低くなることである。静電容量が追加されると、ノイズが増加する恐れがあり、これは望ましくない。しかしながら、
図4Aの分割されたセグメント400の構成に対する第1の代替構成450の欠点は、各サブセグメント402間が直列接続であるので、欠陥のあるサブセグメント402の接続部が切断される結果として、欠陥のない1つ以上のサブセグメント402がASIC480から分離される恐れがあることである。
【0066】
例えば、どのサブセグメント402が欠陥404を含んでいるかを決定するために、第1の直列接続部452を切断することができる。ここで、第1の直列接続部452は、分割されたセグメント400の第1のサブセグメント460を第2のサブセグメント462に接続するものである(例えば、第1のサブセグメント460はASIC480から最も遠いサブセグメントである)。分割されたセグメント400の信号を、第1の直列接続部452を切断する前と切断した後で比較し、その結果、欠陥404が第1のサブセグメント460に存在していることを示す場合、分割されたセグメント450から欠陥のあるサブセグメントを永久に除去するために、接続部452は切断したままに維持することができる。残りのサブセグメント402における光子カウント値は、ASIC480に伝送することができる。分割されたセグメント400の信号を、第1の直列接続部452を切断する前と切断した後で比較し、その結果、欠陥404が第1のサブセグメント460に存在していないことを示す場合、第2の直列接続部454を切断することができる。ここで、第2の直列接続部454は、分割されたセグメント400の第2のサブセグメント462を第3のサブセグメント464に接続するものである。分割されたセグメント400の信号を、第2の直列接続部454を切断する前と切断した後で比較し、その結果、欠陥404が第2のサブセグメント462に存在していることを示す場合、残りのサブセグメント402における光子カウント値をASIC480に送信することができる。分割されたセグメント400の信号を、第2の直列接続部454を切断する前と切断した後で比較し、その結果、欠陥404が第2のサブセグメント462に存在していないことを示す場合、第3の直列接続部456を切断することができる。ここで、第3の直列接続部454は、分割されたセグメント400の第3のサブセグメント464を第4のサブセグメント466に接続するものである。このようにして、欠陥404を含むサブセグメント402を決定することができ、欠陥のあるサブセグメントは、位置458においてその直列接続部を切断することによって、ASIC480から分離することができる。しかしながら、第1の代替構成450では、直列接続部452、454、及び456は回復できず、そのため、ASIC480は、(欠陥のあるサブセグメント466とASIC480との間に存在する)サブセグメント468、470、472、及び474から光子カウント値を受け取るが、(欠陥のあるサブセグメント466によってASIC480から分離された)サブセグメント460、462、及び464から光子カウント値を受け取ることはできない。
【0067】
図5は、分割された第1のセグメント504及び分割された第2のセグメント554に配置された複数のサブセグメント502の第2の代替構成500を示し、サブセグメント502は、
図4Aの分割されたセグメント400のサブセグメント402と同じとすることができる。
図5において、切断されたサブセグメント502は、グランド線512を通じてグランド端子501に接地することができる。サブセグメント502と、きちんと電位が確定された導体(例えば、ASICの入力ノード)との間の接続部が切断されると、切断された電極の電位はもはや固定ではなく、その電極の近傍の電荷の移動に応じて変化する恐れがある。他の影響としては、切断された電極の近傍の電界が不均一になることがあり、これは好ましくない。これを回避するために、切断されたサブセグメント502を個別にグランド線512に接続することができる。
【0068】
分割されたセグメント504は、第1のサブセグメント520と第2のサブセグメント522とを含む。分割されたセグメント554は、第3のサブセグメント524と第4のサブセグメント526とを含む。第2の代替構成500は、第1の共有トレース506と第2の共有トレース508とを含み、分割されたセグメント504のサブセグメント520及び522は第1の共有トレース506を通じてASIC580の第1のチャンネル581に接続され、分割されたセグメント554のサブセグメント524及び526は第2の共有トレース508を通じてASIC580の第2のチャンネル582に接続されている。
【0069】
他の実施形態では、分割されたセグメント504及び/又は分割されたセグメント554の一方のセグメント又は両方のセグメントに含まれるサブセグメントの数は別の数であってもよく、分割されたセグメントを、更に多い数のトレース又は更に少ない数のトレースを通じてASIC580の1つ以上のチャンネルに接続してもよい。例えば、分割されたセグメント504は、第1の共有トレース506及び第1のチャンネル581を通じてASIC580に接続された3つのサブセグメントを含むことができ、分割されたセグメント554は、第2の共有トレース508及び第2のチャンネル582を通じてASIC580に接続されるた異なる3つのサブセグメントを含むことができる。あるいは、分割されたセグメント504又は分割されたセグメント554の各サブセグメント502は、第1の共有トレース506及び第1のチャンネル581を通じて、又は第2の共有トレース508及び第2のチャンネル582を通じて、いずれかのASIC580に接続されてもよい。ここに示された例は説明のためのものであり、本開示の範囲から逸脱することなく、更に多い数又は更に少ない数のトレース及び/又はASICを、更に多い数又は更に少ない数のトレース及び/又はASICに接続された更に多くの数又は更に少ない数のサブセグメントとともに使用してもよいことを理解されたい。
【0070】
分割されたセグメント504及び第1の共有トレース506は、ASIC580が、サブセグメント520から共有トレース506の個別接続部505を通じて、及びサブセグメント522から共有トレース506の個別接続部507を通じて、第1のチャンネル581において電気信号を受け取ることができるように構成されている。同様に、分割されたセグメント554及び第2の共有トレース508は、ASIC580が、サブセグメント524から共有トレース508の個別接続部509を通じて、及びサブセグメント526から共有トレース508の個別接続部511を通じて、第2のチャンネル582において電気信号を受け取ることができるように構成される。サブセグメント520及び522からの電気信号は、ASIC580において結合され、分割されたセグメント504の光子の合計カウント値に変換することができる。例えば、分割されたセグメント504における光子の合計カウント値は、サブセグメント520における電気信号とサブセグメント522における第2の電気信号との和とすることができる。分割されたセグメント554における光子の合計カウント値は、サブセグメント524における第3の電気信号と、サブセグメント526における第4の電気信号との和とすることができる。
【0071】
欠陥510は、分割されたセグメント554のサブセグメント526で検出することができる。様々な実施形態では、
図7を参照して以下でより詳細に説明するように、分割されたセグメント554の各サブセグメントの個別接続部を切断し、切断前後の光子の合計カウント値を比較することを反復的に実行することによって、欠陥510を検出することができる。例えば、まず、個別接続部509を切断して、欠陥510がサブセグメント524にあるかどうかを判断することができる。欠陥510がサブセグメント524にないと判断された場合、個別接続部509が修復される。そして、個別接続部511が切断され、欠陥510がサブセグメント526にあるかどうかを判断することができる。個別接続部509を修復した結果、サブセグメント524からの電気信号を、第2のチャンネル582を通じてASIC580で受け取ることができる。サブセグメント520及び522は分割されたセグメント554に含まれないので、サブセグメント520及び522からの電気信号は、第1のチャンネル581を通じてASIC580で受け取ることができる。第1のチャンネル581で受け取られた電気信号は、光子カウント値に変換され、合計され、分割されたセグメント504の光子の合計カウント値を決定することができ、第2のチャンネル582で受け取られた電気信号(例えば、サブセグメント524からの電気信号だり、切断されたサブセグメント526からの電気信号ではない)は、光子カウント値に変換され、合計され、分割されたセグメント554の光子の合計カウント値を決定することができる。
【0072】
個別接続部511を切断した後、サブセグメント526は、新たな接続部514を通じてグランド線512に接続することができる。切断されたサブセグメント526を接地することによって、切断されたサブセグメント526の電位を固定することができ、それによって、切断されたサブセグメント526の近傍の電界が不均一になることを防止することができる。
【0073】
図6Aは、分割されたセグメント604の複数のサブセグメント602の第3の代替構成600を示す。これらのサブセグメントは、
図4A及び
図4Bの分割されたセグメント400のサブセグメント402、及び
図5の分割されたセグメント504のサブセグメント502と同様である。分割されたセグメント604は、第1のサブセグメント620、第2のサブセグメント622、及び第3のサブセグメント624を含む。
図4Aと同様に、各サブセグメントは、共有トレース606を通じてASIC680に電気的に結合される。しかしながら、
図6Aでは、第1のサブセグメント620は、第1のスイッチ605を通じて共有トレース606に接続され、第2のサブセグメント622は、第2のスイッチ607を通じて共有トレース606に接続され、第3のサブセグメント624は、第3のスイッチ609を通じて共有トレース606に接続される。第1のスイッチ605、第2のスイッチ607、及び第3のスイッチ609は、通常は接続スイッチとすることができ、第1のスイッチ605、第2のスイッチ607、及び第3のスイッチ609のデフォルト位置では、第1のサブセグメント620、第2のサブセグメント622、及び第3のサブセグメント624からASICに電荷が通過することができる。例えば、トランジスタスイッチをセンサアレイに内蔵し、内蔵型電子回路部又は外部印加電圧によってトランジスタのゲートに電圧を印加してトランジスタスイッチを開き、電荷がASICに到達するのを防止することができる。ASIC680において、第1のサブセグメント620、第2のサブセグメント622、及び第3のサブセグメント624の電気信号の測定と、分割されたセグメント604の光子の合計カウント値の測定は、
図4A-
図5を参照して上述したように実施することができる。
【0074】
第3の代替構成600では、有利なことに、第1のスイッチ605、第2のスイッチ607、及び第3のスイッチ609を使用して、サブセグメントとASIC680との間の個別接続部を切断することなく、分割されたセグメント604のうちのどのサブセグメントに欠陥610があるかを決定することができる。
【0075】
例えば、どのサブセグメント602が欠陥610を含むかを決定するために、第1のスイッチ605を閉状態から開状態に調整し、それによって第1のサブセグメント620をASIC680から切り離すことができる。言い換えれば、第1のスイッチ605を開くことによって、ASIC680から第1のサブセグメント620の個別接続部を切断するのと同じ目的を機能的に実現することができる。したがって、第1のスイッチ605を開く前と開いた後で、分割されたセグメント604の全電気信号を比較した結果が、欠陥610が第1のサブセグメント620に存在していることを示す場合、サブセグメント622及び624における光子のカウント数は、小さな信号損失で、ASIC480に送信することができる。第1のスイッチ605を開く前と開いた後で、分割されたセグメント604の全電気信号を比較した結果が、欠陥610が第1のサブセグメント620に存在していないことを示す場合、第1のスイッチ605は開位置から閉位置に調整され、それによって第1のサブセグメント620をASIC680に再接続することができる。次に、第2のスイッチ607が閉位置から開位置に調整され、それによって第2のサブセグメント622をASIC680から切り離すことができる。
【0076】
本明細書では、様々なサブセグメントで生成された信号から光子のカウント数を計算することが、ASIC680によって実行されるものとして記載されているが、様々な実施形態において、ASIC680に代わりに、本開示の範囲を逸脱することなく、異なる読出し電子回路部(例えば、試験及び修復中に用いられる外部読出し電子回路部)が使用できることを理解されたい。
【0077】
第2のスイッチ607を開く前と開いた後で、分割されたセグメント604の信号を比較した結果が、欠陥610が第2のサブセグメント622に存在することを示す場合、残りのサブセグメント620及び624における信号をASIC480に送信することができる。第2のスイッチ607を開く前と開いた後で、分割されたセグメント604の信号を比較した結果が、欠陥610が第2のサブセグメント622に存在していないことを示す場合、第2のスイッチ607は、開状態から閉状態に調整され、それによって第2のサブセグメント622をASIC680に再接続することができる。次に、第3のスイッチ609は、閉状態から開状態に調整され、それによって第3のサブセグメント624をASIC680から切り離すことができる。
【0078】
このようにして、サブセグメント624に欠陥610が含まれることが特定され、欠陥のあるサブセグメント624は、第3のスイッチ609を永久にオフにすることによって、又は位置630においてサブセグメント624とASIC680との接続部を切断することによって、ASIC680から分離することができる。一部の実施形態では、欠陥のあるサブセグメント624は、
図5を参照して上述したように、ASIC680との接続部が切断された後に接地することができる。サブセグメント624とASIC680との間の接続部を切断することによって、第3のスイッチ609は開位置に維持される必要がなくなり、その結果、エネルギー消費を削減することができる。エネルギーの節約に加えて、欠陥のあるサブセグメントへのトレースが切断される場合、開状態を維持するための電子回路が不要になる。例えば、電子回路をアセンブリ全体に対して外付けし、製造テスト工程で使用することができる。欠陥のあるサブセグメントへのトレースが切断された場合、最終的な組立てでは、電子回路が不要になることがある。
【0079】
図6Bは、2つの分割されたセグメントの第4の代替構成650を示し、分割された各セグメントは、2つのサブセグメントを有している。分割されたセグメント654は、第1のサブセグメント652と第2のサブセグメント653とを含み、分割されたセグメント655は、第3のサブセグメント660と第4のサブセグメント662とを含む。第4の代替構成650では、サブセグメント652及び653は共有トレース668を通じてASIC680に電気的に結合され、サブセグメント652は第1の個別接続部656を通じて共有トレース668に接続され、サブセグメント653は第2の個別接続部664を通じて共有トレース668に接続されている。同様に、サブセグメント660及び662は、共有トレース670を通じてASIC680に電気的に結合され、サブセグメント660は、第3の個別接続部658を通じて共有トレース670に接続され、サブセグメント662は、第4の個別接続部666を通じて共有トレース670に接続される。
図4A-
図6Aを参照して上述したように、分割されたセグメント654の光子の合計カウント値は、第1のサブセグメント652から受け取った第1の信号と、第2のサブセグメント653から受け取った第2の信号とに基づいて、ASIC680で計算することができる。分割されたセグメント655の光子の合計カウント値は、第2のサブセグメント660から受け取った第3の信号と、第4のサブセグメント662から受け取った第4の信号とに基づいて、計算することができる。
【0080】
さらに、第1のスイッチ657は、第1の個別接続部656に配置することができ、第2のスイッチ665は、第2の個別接続部664に配置することができ、第3のスイッチ659は、第3の個別接続部658に配置することができ、第4のスイッチ667は、第4の個別接続部666に配置することができる。様々な実施形態において、スイッチ657、665、659、及び667は、常閉状態のトランジスタとすることができる。
図6Aの第3の代替構成600と同様に、複数のサブセグメントのうちの1つのサブセグメント(例えば、第1のサブセグメント652)の欠陥675は、第3の代替構成600とは異なる方法ではあるが、スイッチ657、665、659、及び667のうちの1つ以上のスイッチを調整することによって検出することができる。
図6Bにおいて、信号源690(電圧源など)は、第1のスイッチ657のトランジスタゲート及び第3のスイッチ659のトランジスタゲートに電気的に結合され、第2の信号源692は、第2のスイッチ665のトランジスタゲート及び第4のスイッチ667のトランジスタゲートに電気的に結合されている。したがって、信号源690で印加される電圧は、ASIC680において、サブセグメント652及び660から信号を受け取らないように、第1のスイッチ657及び第3のスイッチ659のトランジスタゲートを開くことができる。同様に、信号源692で印加される電圧は、ASIC680において、サブセグメント653及び662から信号を受け取らないように、第2のスイッチ665及び第4のスイッチ667のトランジスタゲートを開くことができる。電圧は、例えば、分割されたセグメント654及び/又は655の試験中及び/又は修復中に、電子プローブによって印加されてもよい。
【0081】
欠陥675の位置を決定する場合、第1の信号源690及び第2の信号源692を調整することによって、サブセグメント652、653、660、及び662をASICから反復的に分離することができる。例えば、電圧を信号源690に印加してスイッチ657及び659を開き、それによりサブセグメント652及び660をASIC680から切り離すことができる。ASIC680は、第1のASICチャンネル681において、サブセグメント653からの信号を受け取り、その信号を使用してサブセグメント653に欠陥があるかどうかを判断することができ、ASIC680は第2のASICチャンネル682において、サブセグメント662からの信号を受け取り、その信号を使用してサブセグメント662に欠陥があるかどうかを判断することができる。サブセグメント653及び662の信号が期待される信号の範囲内にある場合、サブセグメント653及び662には欠陥がないと推論することができる。その後、信号源690に印加される電圧は、スイッチ657及び659を閉じるために中断することができ(又は第2の電圧が印加されてもよい)、それによりサブセグメント653及び662とASIC680との間の接続が回復できる。その後、電圧を信号源692に印加してスイッチ665及び667を開き、それによってサブセグメント653及び662をASIC680から切り離すことができる。ASIC680は、第1のASICチャンネル681において、サブセグメント652からの信号を受け取り、ASIC680は、第2のASICチャンネル682において、サブセグメント660からの信号を受け取る。欠陥675によって、サブセグメント652の信号は期待される信号の範囲内にはない恐れがあり、それによって、サブセグメント652に欠陥があると推論することができる。
【0082】
欠陥675が第1のサブセグメント652に存在していると判断されると、第1の接続部656が(例えば、レーザを用いて)切断され、サブセグメント652をASIC680から永久に分離することができる。第1の接続部656を切断した後、ASIC680のASICチャンネル681における分割されたセグメント654の光子の合計カウント値は、第2のサブセグメント653における光子カウント値に等しくなる。サブセグメント652とASIC680との間の第1の接続部656を切断した結果、分割されたセグメント654の光子の合計カウント値は減少することがあるが、分割されたセグメント654の光子の合計カウント値は、期待される光子のカウント値に十分に近い値になり、分割されたセグメント654の光子の合計カウント値を使用して再構成される画像を高品質にすることができる。
図6Aの第3の代替構成600に対する第4の代替構成650の利点は、2つ以上の分割されたセグメントに対して欠陥が存在していることを、個々に印加される信号の数を少なくして同時に判断することができ、これにより、分割されたセグメントの欠陥を突き止めるための時間及びコストを低減できることである。
【0083】
本明細書に含まれる図では、様々なASICがサブセグメントに接続されていることを言及しているが、検出器素子の他の構成要素が組み立てられてテストされるまで、ASICが検出器素子に含まれなくてもよいことを理解されたい。製造中に実施される試験フェーズの間に接続部が切断され、スイッチが開閉される場合があるので、様々な実施形態において、ASICは、分割されたセグメントからの結合された信号を測定するように構成された外部又は内部の測定回路(例えば、電流計)によって置き換えられ、結合された信号は、(例えば、ASICに機能的に類似する)分割されたセグメントの複数のサブセグメントによって生成される信号を含むことができる。例えば、測定回路は、ASICの外部にあるがPCCT検出器の内部にある回路であってもよいし、測定回路は、PCCT検出器の試験及び/又は修復中に、分割されたセグメントに一時的に接続される別の測定回路であってもよい。
【0084】
ここで
図7を参照すると、例示的方法700が示されており、この方法700は、上述の
図4Aを参照して簡単に説明したように、セグメントの複数のサブセグメントとセンサアレイのASICとの間の接続部を反復的に切断することによって、PCCT検出器のセンサアレイのセグメントの欠陥のあるサブセグメントの位置を決定する。方法700は、
図1のCTシステム100及び/又は
図2のイメージングシステム200を参照しながら説明される。方法700は、PCCT検出器の構成要素の製造者によって、例えば、PCCT検出器の製造中、試験中、又は修復中に実行することができる。様々な実施形態において、方法700は、センサアレイの分割されたセグメントの1つ以上のサブセグメント(
図4Aの分割されたセグメント400のサブセグメント402など)に欠陥が検出されたときに実行してもよい。他の実施形態では、方法700を、代替的に又は追加的に、PCCT検出器を最大効率の条件で動作させることを維持する方法として(例えば、PCCT検出器の使用中に生じる劣化を検出するために)、定期的に実行してもよい。例えば、劣化は、放射線損傷、湿度損傷、システム内のノイズが増加するにつれて閾値を越えるように増加する限界漏れ、又は別の理由によって生じる可能性がある。
【0085】
方法700は702から開始する。702では、方法700は分割されたセグメントの第1のサブセグメントを選択することを含む。分割されたセグメントの第1のサブセグメントは、例えば、ASICに最も近いサブセグメントであってもよいし、分割されたセグメントの第1のサブセグメントは、ASICから最も遠くに位置するサブセグメントであってもよいし、別のサブセグメントであってもよい。
【0086】
704では、方法700は、分割されたセグメントのサブセグメントからの結合された信号を測定するように構成された読出し電子回路部で受け取った第1の信号を測定することを含んでいる。分割されたセグメントの各サブセグメントからの信号は、読出し電子回路部において結合することができ、それによって、第1の信号は、分割されたセグメントの全てのサブセグメントから読出し電子回路部で受け取った全信号とすることができる。上述したように、読出し電子回路部は、PCCT検出器の内部に存在していてもよいし、外部に存在していてもよい。一部の実施形態では、第1の信号は、別個の読出し電子回路部ではなく、ASICによって測定してもよい。
【0087】
706では、方法700は、選択されたサブセグメントと読出し電子回路部との間の接続部を切断することを含んでいる。様々な実施形態において、当該接続部は、選択されたサブセグメントと、読出し電子回路部につながる共有トレースとの間の個別接続部とすることができ、共有トレースは、分割されたセグメントの他のサブセグメントの他の個別接続部に結合することができる。選択されたサブセグメントと読出し電子回路部との間の接続部を切断することにより、選択されたサブセグメントの光子カウント値がスキャンの間にASICで計算することが禁止される。
【0088】
708では、方法700は、読出し電子回路部で受け取った第2の信号を測定することを含んでいる。第1の信号と同様に、第2の信号は、ASICの読出し電子回路部、又はPCCT検出器の内部の若しくは外部の測定回路の読出し電子回路部によって測定することができる。各サブセグメントからの信号は、読出し電子回路部(又はASIC)で結合することができ、これにより、第2の信号は、分割されたセグメントの切断されていない全てのサブセグメントから読出し電子回路部で受け取った全信号とすることができる。選択されたサブセグメントと読出し電子回路部との間の接続部が切断されると、選択されたサブセグメントで生成される信号は、非常に小さいことが予想される(例えば、ゼロに近い通常のリーク電流)。
【0089】
710では、方法700は、第1の信号と第2の信号との間の変化が、選択されたサブセグメントが欠陥を含むことを示す範囲内にあるかどうかを判断することを含んでいる。例えば、当該変化が閾値変化を超えている場合、当該変化は、選択されたサブセグメントが欠陥を含むことを示す範囲内にあると考えることができる。例えば、欠陥は、過剰なリーク電流、又は断続的で過剰なダークカウントによって引き起こされる可能性があり、その両方によって望ましくない大きな信号(例えば、存在しないはずの過剰なカウント値)を生成することがある。望ましくない大きな信号は、選択されたサブセグメントが欠陥を含むことを示す範囲内にあると考えられ、欠陥を含まないサブセグメントから生成される信号は、範囲内にないと考えることができる。他の実施形態では、当該範囲は、予想より小さい信号をカバーすることがある。例えば、欠陥が他の原因を有し、当該他の原因が、欠陥を含まないサブセグメントから予想される信号よりも小さい信号を生成する場合がある。予想より小さい信号は、選択されたサブセグメントが欠陥を含むことを示す範囲内にある場合がある。一部の実施形態では、複数の範囲を使用することができ、信号が複数の範囲のうちの1つの範囲内にある場合、サブセグメントに欠陥があると推論し、信号が複数の範囲のうちのいずれの範囲にもない場合、サブセグメントに欠陥がないと推論することができる。
【0090】
他の実施形態では、他の方法を使用して、サブセグメントに欠陥があるかどうかを判断することができる。例えば、
図3Bを参照して上述したように、EBICを使用して過剰な漏れを検出してもよいし、熱画像法を使用して欠陥を突き止めてもよい。
【0091】
710において、第1の信号と第2の信号との間の変化が、サブセグメントに欠陥があることを示す範囲内ではないと判断された場合、方法700は712に進む。712では、方法700は、選択されたサブセグメントを切断されたサブセグメントのリストに追加することを含んでいる。例えば、選択されたサブセグメントを、PCCTイメージングシステムの短期メモリに記憶されたベクトルに追加することができる。方法700は、714に進む。
【0092】
714では、方法700は、次のサブセグメントを選択することを含んでいる。様々な実施形態において、次のサブセグメントは、以前に選択されたサブセグメントの隣のサブセグメントである。例えば、選択された第1のサブセグメントは、読出し電子回路部に最も近いサブセグメント(例えば、
図4Bのサブセグメント474など)とすることができる。選択された第2のサブセグメントは、読出し電子回路部に次に近いサブセグメントであって、選択された第1のサブセグメントの隣のサブセグメント(例えば、
図4Bのサブセグメント472)とすることができ、選択された第3のサブセグメントは、読出し電子回路部に次に近いサブセグメントであって、選択された第2のサブセグメントの隣のサブセグメント(例えば、
図4Bのサブセグメント470)とすることができる、等々である。あるいは、選択された第1のサブセグメントは、読出し電子回路部から最も遠いサブセグメントであってもよい(例えば、
図4Bのサブセグメント460など)。選択された第2のサブセグメントは、読出し電子回路部から次に遠いサブセグメントであって、選択された第1のサブセグメントの隣のサブセグメント(例えば、
図4Bのサブセグメント462)とすることができ、選択された第3のサブセグメントは、読出し電子回路部から次に遠いサブセグメントであって、選択された第2のサブセグメントの隣のサブセグメント(例えば、
図4Bのサブセグメント464)とすることができる、等々である。
【0093】
次のサブセグメントが選択されると、方法700は704に戻り、新たな第1の信号が読出し電子回路部によって測定される。
【0094】
あるいは、710において、第1の信号と第2の信号との間の変化が、選択されたサブセグメントに欠陥があることを示す範囲内にあると判断された場合、方法700は716に進む。716では、方法700は、切断されたサブセグメントを、例えば、グランドバスに接地することを含むことができる。例えば、一部の実施形態では、切断されたサブセグメントは、
図5を参照して上述したように、グランドバスのグランド線に接地することができる。
【0095】
718では、方法700は、切断された(欠陥のない)サブセグメントのリストに対して反復処理を実行し、切断されたサブセグメントのリストの切断された各サブセグメントに対して、切断されたサブセグメントとASICとの間の接続部を修復することを含むことができる。様々な実施形態において、切断されたサブセグメントとASICとの間の接続部は、レーザ溶接によって修復することができる。そして、方法700は終了する。
【0096】
次に
図8を参照すると、例示的な方法800が示されており、この方法800は、上述の
図6Aを参照して簡単に説明したように、セグメントの複数のサブセグメントとセンサアレイのASICとの間の接続部のスイッチを反復的にオフにすることによって、PCCT検出器のセンサアレイのセグメントの中の欠陥のあるサブセグメントの位置を決定する。方法800は、
図1のCTシステム100及び/又は
図2のイメージングシステム200を参照して説明される。方法800は、例えば、PCCT検出器の製造、試験、又は修復中に、PCCT検出器の構成要素の製造者によって実行することができる。方法800は、センサアレイの分割されたセグメントの1つ以上の複数のサブセグメント(
図6Aの分割されたセグメント604のサブセグメント602など)に欠陥が検出されたときに実行してもよい。
【0097】
方法800は802で始まる。802では、方法800は、分割されたセグメントの第1のサブセグメントを選択することを含んでいる。分割されたセグメントの第1のサブセグメントは、例えば、読出し電子回路部に最も近いサブセグメントであってもよいし、分割されたセグメントの第1のサブセグメントは、読出し電子回路部から最も遠い位置にあるサブセグメントであってもよい。
【0098】
804では、方法800は、分割されたセグメントのサブセグメントからの結合された信号を測定するように構成された読出し電子回路部で受け取った第1の信号を測定することを含んでいる。分割されたセグメントの各サブセグメントからの信号は、読出し電子回路部において結合することができ、それによって、第1の信号は、分割されたセグメントの全てのサブセグメントから読出し電子回路部で受け取った全信号とすることができる。上述したように、読出し電子回路部は、PCCT検出器の内部に存在していてもよいし、外部に存在していてもよい。一部の実施形態では、第1の信号は、別個の読出し電子回路部ではなく、ASICによって測定してもよい。
【0099】
806では、方法800は、選択されたサブセグメントと、読出し電子回路部につながる共有トレースとの間の個別接続部に結合されたスイッチ(例えば、
図6Aの共有トレース606に結合されたスイッチ609)を、閉位置から開位置に調整することを含み、共有トレースは、分割されたセグメントの他のサブセグメントの他の個別接続部に結合することができる。
【0100】
808では、方法800は、読出し電子回路部で受け取った第2の信号を測定することを含んでいる。第1の信号と同様に、第2の信号は、ASICの読出し電子回路部、又はPCCT検出器の内部の若しくは外部の測定回路の読出し電子回路部によって測定することができる。各サブセグメントからの信号は、読出し電子回路部(又はASIC)で結合することができ、これにより、第2の信号は、分割されたセグメントの接続された全てのサブセグメントから読出し電子回路部で受け取った全信号とすることができる。選択されたサブセグメントと読出し電子回路部との間の接続部のスイッチをオフにすると、選択されたサブセグメントで生成される信号は変化することが予想される。
【0101】
810では、方法800は、方法700を参照して上述したように、第1の信号と第2の信号との間の変化が、サブセグメントに欠陥があることを示す範囲内にあるかどうかを判断することを含んでいる。810において、第1の信号と第2の信号との間の変化が、サブセグメントに欠陥があることを示す範囲内にないと判断された場合、選択されたサブセグメントは欠陥を含まないと推論することができ、方法800は812に進む。812では、方法800は、選択されたサブセグメントと読出し電子回路部につながる共有トレースとの間の個別接続部に結合されたスイッチを、開位置から閉位置に戻すように調整し、それによって選択されたサブセグメントを読出し電子回路部に再接続することを含んでいる。
【0102】
814では、方法800は、次のサブセグメントを選択することを含んでいる。様々な実施形態において、次のサブセグメントは、以前に選択されたサブセグメントの隣のサブセグメントである。例えば、選択された第1のサブセグメントは、読出し電子回路部に最も近いサブセグメントとすることができる。選択された第2のサブセグメントは、読出し電子回路部に次に近いサブセグメントとすることができ、選択された第3のサブセグメントは、読出し電子回路部に次に近いサブセグメントとすることができる、等々である。次のサブセグメントが選択されると、方法800は804に戻り、新たな第1の信号が測定される。
【0103】
あるいは、810において、第1の信号と第2の信号との間の変化が、選択されたサブセグメントに欠陥があることを示す範囲内にあると判断された場合、方法800は816に進む。816では、方法800は、欠陥のあるサブセグメントと読出し電子回路部との間の接続部を切断することを含んでいる。
【0104】
818では、方法800は、任意選択で、切断されたサブセグメントを、例えば、グランドバスに接地することを含んでいる。例えば、一部の実施形態では、切断されたサブセグメントは、
図5を参照して上述したように、グランドバスのグランド線に接地することができる。そして、方法800は終了する。
【0105】
したがって、本明細書で提案されている方法及びシステムは、PCCTイメージングシステムの光子計数型検出器のセンサアレイのセグメントの中の欠陥のあるセグメントを修復するものであり、PCCTイメージングシステムのセンサアレイのセグメントを、複数のサブセグメントに分割し、各サブセグメントは、セグメントの光子カウント値を計算するように構成されたASICに電気的に結合される。画像を再構成するために使用される分割されたセグメントの光子の合計カウント値は、各サブセグメントによって生成される電気信号から決定することができる。セグメントを複数のサブセグメントに分割することにより、セグメントの欠陥から、欠陥のあるサブセグメントを見つけることができる。そして、欠陥のあるサブセグメントとASICとの間の接続部を切断することにより、欠陥のあるサブセグメントを分離することができる。欠陥のあるセグメントではなく、セグメントの中の欠陥のあるサブセグメントを分離する技術的効果は、セグメントに関連する画素について、光子カウント値を更に正確に測定することができ、より高品質な再構成画像を得ることができる。
【0106】
サブセグメントの欠陥を検出する様々な方法が提案されている。この方法では、例えば、選択されたサブセグメントと読出し電子回路部との間の接続部を切断する又は接続部のスイッチをオフにする前後で、読出し電子回路部で受け取ったセグメントからの信号を比較することにより欠陥が検出される。接続部を切断する前の信号が、接続部を切断した後に受け取った信号と大きく異なる場合、選択されたサブセグメントに欠陥があると推論することができる。あるいは、接続部を切断する前に受け取った信号が、接続部を切断した後に受け取った信号と大きくは異なっていない場合、選択されたサブセグメントに欠陥がないと推論することができる。サブセグメントに欠陥があると判断されると、サブセグメントとASICとの間の接続部をレーザで切断することにより、サブセグメントをASICから永久的に分離することができる。永久に分離されたサブセグメントは更に接地することができる。
【0107】
また、本開示は、光子計数コンピュータ断層撮影(PCT)撮像システムのための方法のサポートを提供する。本方法は、PCCTイメージングシステムの光子計数型検出器のセンサアレイのセグメントを複数のサブセグメントに分割することであって、前記複数のサブセグメントの各サブセグメントは、読出し電子回路部に電気的に結合され、前記読出し電子回路部は前記セグメントの光子カウント値を計算するように構成される、セグメントを複数のサブセグメントに分割すること、前記分割されたセグメントの各サブセグメントで生成され結合された電気信号に基づいて、前記分割されたセグメントの光子の合計カウント値を生成すること、及び前記分割されたセグメントにおける光子の合計カウント値に基づいて画像を再構成することを含む。本方法の第1の実施例では、本方法は、前記セグメントの欠陥を検出した場合、前記欠陥が存在するサブセグメントを特定すること、前記欠陥のあるサブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部を切断することによって、前記セグメントを修復すること、前記分割されたセグメントの欠陥のない各サブセグメントにおいて生成され結合された電気信号に基づいて、前記分割されたセグメントの光子の合計カウント値を生成すること、前記光子の合計カウント値に基づいて画像を再構成することを含む。任意選択で第1の実施例を含む本方法の第2の実施例では、前記欠陥が存在するサブセグメントを特定すること、及び前記欠陥のあるサブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部を切断することによって、前記セグメントを修復することは、試験段階及び/又は修復段階で前記センサアレイの製造者によって実行される。任意選択で第1の実施例及び第2の実施例のうちの一方の実施例又は両方の実施例を含む本方法の第3の実施例では、本方法は、前記欠陥のあるサブセグメントをグランド線と電気的に結合することにより、前記欠陥のあるサブセグメントを接地することをさらに含む。任意選択で第1の実施例~第3の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含む本方法の第4の実施例では、前記欠陥が存在するサブセグメントを特定することは、電子ビーム励起電流法(EBIC)及び熱画像法のうちの一方を使用して、前記サブセグメントからの電気の漏れを検出することを含む。任意選択で第1の実施例~第4の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含む本方法の第5の実施例では、前記欠陥が存在するサブセグメントを特定することは、前記複数のサブセグメントの各サブセグメントに対して、前記読出し電子回路部によって第1の信号を測定すること、前記サブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部を切断すること、前記読出し電子回路部で第2の信号を測定すること、前記第1の信号と前記第2の信号との間の変化が、前記サブセグメントに欠陥があることを示す範囲内にある場合、前記サブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部を永久に切断すること、及び前記第1の信号と前記第2の信号との間の変化が、前記サブセグメントに欠陥があることを示す範囲内にない場合、前記サブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部を回復させることを含む。任意選択で第1の実施例~第5の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含む本方法の第6の実施例では、前記サブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部を切断することは、レーザで前記接続部を切断することと、前記接続部に配置されたスイッチを閉位置から開位置に調整することとのうちの一方を含む。任意選択で第1の実施例~第6の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含む本方法の第7の実施例では、本方法は、レーザ溶接で前記接続部を修復することと、前記接続部に配置されたスイッチを開位置から閉位置に調整することとのうちの一方によって、前記サブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部を回復することを含む。任意選択で第1の実施例~第7の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含む本方法の第8の実施例では、各サブセグメントは、前記サブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部にスイッチを含む。任意選択で第1の実施例~第8の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含む本方法の第9の実施例では、複数のサブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部に配置された複数のスイッチは、1つの信号源に電圧を印加することによって、閉位置から開位置に調整される。
【0108】
本開示は、光子計数型コンピュータ断層撮影(PCCT)イメージングシステムのサポートも提供する。PCCTイメージングシステムは、センサアレイを含む光子計数型検出器であって、前記センサアレイは複数のセグメントを含み、前記複数のセグメントのうちの少なくとも1つのセグメントは複数のサブセグメントに分割され、前記複数のサブセグメントの各サブセグメントは前記センサアレイの読出し電子回路部に電気的に結合される、光子計数型検出器と、1つ以上のプロセッサ、及び前記1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令を記憶する非一時的メモリとを含み、前記命令は、前記複数のセグメントのうちの少なくとも1つのセグメントに対して、前記読出し電子回路部において、前記複数のサブセグメントの各サブセグメントからの結合された信号に基づいて、前記セグメントの光子の合計カウント値を計算すること、及び前記セグメントの光子の合計カウント値に基づいて、画像を再構成することを実行するための命令である。システムの第1の実施例では、前記複数のサブセグメントは、前記読出し電子回路部に結合された共有トレースの対応する複数の個別接続部を通じて前記読出し電子回路部に電気的に結合されている。任意選択で第1の実施例を含む本システムの第2の実施例では、複数のスイッチが前記複数の個別接続部に配置され、前記複数のスイッチの各スイッチは、前記読出し電子回路部から1つ以上のサブセグメントを接続又は切断するように動作可能である。任意選択で第1の実施例及び第2の実施例のうちの一方の実施例又は両方の実施例を含む本システムの第3の実施例では、前記複数のサブセグメントは電気的に直列に結合され、1つのサブセグメントが前記読出し電子回路部に電気的に結合される。任意選択で第1の実施例~第3の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含む本システムの第4の実施例では、前記PCCTイメージングシステムのグランドバスに電気的に結合されたグランド線をさらに備え、前記グランド線は、前記複数のサブセグメントの各サブセグメントに電気的に結合可能である。
【0109】
また、本開示は、光子計数型コンピュータ断層撮影(PCCT)イメージングシステムのための方法のサポートを提供する。本方法は、PCCTイメージングシステムの光子計数型検出器のセンサアレイの、複数のサブセグメントを含むセグメントの欠陥を検出した場合、前記複数のサブセグメントの各サブセグメントを、前記複数のサブセグメントによって生成された複数の信号を含む結合信号を測定するように構成された読出し電子回路部から反復的に分離すること、及び前記サブセグメントを分離する前に前記複数のサブセグメントの測定された第1の結合信号を、前記サブセグメントを分離した後に測定された第2の結合信号と比較することによって、前記セグメントの欠陥のあるサブセグメントを特定すること、並びに、前記欠陥のあるサブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部を永久に切断することによって前記セグメントを修復することを含む。本方法の第1の実施例では、前記複数のサブセグメントの各サブセグメントを読出し電子回路部から反復的に分離することは、前記複数のサブセグメントの各サブセグメントに対して、前記サブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部をレーザで切断すること、及びサブセグメントに欠陥がないと認められた場合、次の分離の前に、前記サブセグメントと前記読出し電子回路部との間の切断された接続部を修復することを含む。任意選択で第1の実施例を含む本方法の第2の実施例では、各サブセグメントを読出し電子回路部から反復的に分離すること、及び測定された第1の結合信号を、測定された第2の結合信号と比較することによって前記欠陥のあるサブセグメントを特定することは、測定された前記第1の結合信号と測定された前記第2の結合信号との間の変化が、前記分離されたサブセグメントに欠陥があることを示す範囲内にあるかどうかを判断することを含む。任意選択で第1の実施例及び第2の実施例のうちの一方の実施例又は両方の実施例を含む本方法の第3の実施例では、前記複数のサブセグメントの各サブセグメントを読出し電子回路部から反復的に分離することは、前記複数のサブセグメントの各サブセグメントに対して、前記サブセグメントと前記読出し電子回路部との間の接続部に配置された少なくとも1つのスイッチのゲートに第1の電圧を印加して、前記接続部を開くこと、及びサブセグメントに欠陥がないと認められた場合、前記第1の電圧の印加を停止することと第2の電圧を前記少なくとも1つのスイッチのゲートに印加することのうちの一方を実行して、次の分離の前に、前記接続部を閉じて前記サブセグメントを前記読出し電子回路部に再接続することを含む。任意選択で第1の実施例~第3の実施例のうちの1つ以上の実施例又は各実施例を含む本方法の第4の実施例では、前記方法は、前記センサアレイの1つ以上のセグメントの劣化を事前に確認するために、周期的に実行される。
【0110】
本開示の様々な実施形態の要素を導入する場合、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「この(the)」は、その要素が1つ以上存在することを意味することが意図される。用語「第1」、「第2」などは、順序、量、又は重要性を示すものではなく、ある要素を他の要素から区別するために使用されるものである。用語「含む」、「備える」、「有する」は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在してもよいことを意味する。本明細書において、用語「に接続される」、「に結合される」などが使用される場合、1つの対象(例えば、材料、要素、構造、部材等)は、1つの対象が他の対象に直接に接続されている又は直接に結合されているかどうか、又は1つの対象と他の対象との間に1つ以上の介在物が存在しているかどうかにかかわらず、他の対象に接続する又は結合することができる。加えて、本開示の「1つの実施形態」又は「実施形態」に言及することは、言及された特徴も組み込んだ追加の実施形態の存在を排除するように解釈されることを意図するものではないことが理解されるべきである。
【0111】
先に示された変更に加えて、本記載の趣旨及び範囲を逸脱することなく、当業者によって多くの他の変更構造及び代替構造が考えられ、特許請求の範囲は、このような変更及び構造を含むことが意図される。したがって、上記の情報は、現在最も実用的で好ましい態様であると考えられるものに関して特に詳細に記載されているが、当業者には、本明細書に記載された原則及び概念から逸脱することなく、形態、機能、操作方法、及び使用方法(これらに限定されることはない)などについて、多くの変更が可能であることが明らかである。また、本明細書において、実施例及び実施形態は、あらゆる点において単なる例示であることを意味しており、いかなる方法においても限定的に解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0112】
100、200 CTシステム
305 センサセグメント
311 エッジ
364、366 長さ
380 ASIC
402 サブセグメント
406 共有トレース
408 個別接続部
460、462、464、466、468、470、472、474 サブセグメント
480 ASIC
501 グランド端子
502 サブセグメント
512 グランド線
520、522、524、526 サブセグメント
605、607、609 スイッチ
620、622、624 サブセグメント
680 ASIC
【外国語明細書】