IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブリエン ホールデン ビジョン インスティチュートの特許一覧 ▶ ミナス セオドア コロネオの特許一覧

特開2023-179418近視の進行を制御し且つ/又は減少させるための医薬組成物
<>
  • 特開-近視の進行を制御し且つ/又は減少させるための医薬組成物 図1
  • 特開-近視の進行を制御し且つ/又は減少させるための医薬組成物 図2
  • 特開-近視の進行を制御し且つ/又は減少させるための医薬組成物 図3
  • 特開-近視の進行を制御し且つ/又は減少させるための医薬組成物 図4
  • 特開-近視の進行を制御し且つ/又は減少させるための医薬組成物 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179418
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】近視の進行を制御し且つ/又は減少させるための医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/46 20060101AFI20231212BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20231212BHJP
   A61P 27/10 20060101ALI20231212BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20231212BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A61K31/46
A61K45/06
A61P27/10
A61K31/522
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023135274
(22)【出願日】2023-08-23
(62)【分割の表示】P 2020544068の分割
【原出願日】2018-11-02
(31)【優先権主張番号】62/581,112
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514232605
【氏名又は名称】ブリエン ホールデン ビジョン インスティチュート リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520156694
【氏名又は名称】ミナス セオドア コロネオ
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ミナス セオドア コロネオ
(72)【発明者】
【氏名】モニカ ジョング
(72)【発明者】
【氏名】パドマジャ ラジャゴパル サンカリドゥルグ
(72)【発明者】
【氏名】アール レオ スミス サード
(72)【発明者】
【氏名】アマンディープ カウル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】瞳孔径又は遠近調節に関連する有害な副作用を回避又は最小限にし、近視の進行を効果的に制御し且つ/又は減少させるための医薬組成物、及びそれを含有又は送達する眼用装置、及びそれを使用する方法を提供する。
【解決手段】近視の進行を制御し且つ/又は減少させるための、局所又は眼科用適用のためのアトロピンなどのムスカリンアンタゴニスト及びカフェインなどのアデノシンアンタゴニストを含む医薬組成物を用いる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)ムスカリン受容体アンタゴニスト;及び
ii)アデノシン受容体アンタゴニスト
を含む眼科用組成物。
【請求項2】
前記ムスカリン受容体アンタゴニストが、アトロピン、アトロピン硫酸塩、ノルアトロ
ピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、硝酸メチルアトロピン、ジフェン
ヒドラミン、ジメンヒドリナート、ジサイクロミン、フラボキサート、オキシブチニン、
チオトロピウム、ヒヨスチン、スコポロミン(L-ヒヨスチン)、ヒドロキシジン、イプラト
ロピウム、トロピカミド、シクロペントラート、ピレンゼピン、ホマトロピン、ソリフェ
ナシン、ダリフェナシン、ベンザトロピン、メベベリン、プロシクリジン、アクリジニウ
ムブロミド、トリヘキシフェニジル/ベンズヘキソール、トルテロジン、又はその医薬と
して許容し得る塩である、請求項1記載の眼科用組成物。
【請求項3】
前記ムスカリン受容体アンタゴニストが、アトロピン又はその医薬として許容し得る塩
である、請求項1又は2記載の眼科用組成物。
【請求項4】
前記ムスカリン受容体アンタゴニストが、前記眼科用組成物に対して、およそ0.001重
量%から0.05重量%未満の間の範囲の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項記載の眼
科用組成物。
【請求項5】
前記アデノシン受容体アンタゴニストが、キサンチン誘導体又はその医薬として許容し
得る塩である、請求項1~4のいずれか一項記載の眼科用組成物。
【請求項6】
前記アデノシン受容体アンタゴニストが、カフェイン又はその医薬として許容し得る塩
である、請求項1~5のいずれか一項記載の眼科用組成物。
【請求項7】
前記アデノシン受容体アンタゴニストが、前記眼科用組成物に対して、およそ0.1~5.0
重量%の間の範囲の量で存在する、請求項1~6のいずれか一項記載の眼科用組成物。
【請求項8】
前記ムスカリン受容体アンタゴニストがアトロピンであり、およそ0.01~0.04%の範囲
の濃度で存在し、アデノシン受容体アンタゴニストがカフェインであり、前記眼科用組成
物に対して、およそ0.5~3.0%の範囲の濃度で存在する、請求項1~7のいずれか一項記
載の眼科用組成物。
【請求項9】
i)前記眼科用組成物が、眼の明所視瞳孔径を、2mmを超えて増加させず;且つ/又は
ii)該眼科用組成物が、眼の調節幅を、約6.0Dを超えて減少させない、請求項1~8のい
ずれか一項記載の眼科用組成物。
【請求項10】
前記眼科用組成物が局所眼科用組成物である、請求項1~9のいずれか一項記載の眼科
用組成物。
【請求項11】
前記眼科用組成物が眼用装置内に含まれている、請求項1~10のいずれか一項記載の
眼科用組成物。
【請求項12】
前記眼用装置が、コンタクトレンズ、眼内挿入物、角膜アンレー、角膜インレー、ナノ
ウエハ、リポソーム、ナノ粒子、涙点プラグ、又はマイクロ流体リザーバーを有するハイ
ドロゲルマトリックスである、請求項11記載の眼科用組成物。
【請求項13】
近視の治療を必要とする患者の近視を治療する方法であって、請求項11又は12記載
の眼用装置を投与することを含む方法。
【請求項14】
近視の治療を必要とする患者の近視を治療する方法であって、請求項1~10のいずれ
か一項記載の眼科用組成物を投与することを含む方法。
【請求項15】
前記眼科用組成物が、点眼製剤、眼用スプレー製剤、又は眼用ゲル製剤の形態で眼に局
所投与される、請求項14記載の治療方法。
【請求項16】
前記方法が、前記治療される患者の近視の進行を、無治療に対して緩徐化するか又は減
少させる、請求項13~15のいずれか一項記載の治療方法。
【請求項17】
前記方法が、
i)前記治療される患者の眼の脈絡膜厚さを、無治療に対して増加させ;且つ/又は
ii)前記治療される患者の眼の軸方向(又は長さ方向)の成長を、無治療に対して減少させ
る、請求項13~16のいずれか一項記載の治療方法。
【請求項18】
前記治療される患者が、アトロピン単独療法に対して、重症度が低い有害な副作用を患
う、請求項13~17のいずれか一項記載の治療方法。
【請求項19】
前記方法が、眼の明所視瞳孔径を、約2mmを超えて増加させない、請求項13~18の
いずれか一項記載の治療方法。
【請求項20】
前記方法が、眼の調節幅を、約6.0Dを超えて減少させない、請求項13~19のいずれ
か一項記載の治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年11月3日に出願された米国仮特許出願第62/581,112号の優先権の利益を
主張する。前記関連出願は、引用によりその全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
これは、近視の進行を制御し且つ/又は減少させるための、局所又は眼科適用のための
ムスカリンアンタゴニスト及び非選択的アデノシンアンタゴニストの医薬組成物、及びそ
れを含有又は送達する眼用装置(ophthalmic devices)、及びそれを使用する方法に関する
【背景技術】
【0003】
(背景)
近視(近視(near-sightedness)又は近視(short-sightedness)と称されることがある)は
、眼の長さと眼の光学との間に不一致があり、その結果眼の網膜の前に像が形成される病
態である。この屈折型の異常は、遠方の物体のぼやけた像をもたらすが、接近した又は近
い物体は正常に見える。最も頻繁には、不一致の理由は、眼球長さ(眼軸長と称されるこ
とがある)が眼の光学より長いことである。長い眼球長さは、一般に、眼の軸方向の(又は
長さ方向の)過度の成長の結果である。近視の病態は、通常世界中にみられるものの、均
一ではない。例えば、米国及び欧州の近視の有病率は人口の約30~40%であるが、それは
、他の多くの社会、特に東アジアでは蔓延しており、十代及び若い成人の90%超が近視で
ある(Dolgin E.の文献「近視ブーム。近視は蔓延しつつある。その理由を見つけたと考え
ている科学者もいる(The myopia boom. Short-sightedness is reaching epidemic propo
rtions. Some scientists think they have found a reason why)」(Nature (2015) 519:
276-278))。比較してみると、約50~60年前、東アジアにおける有病率は約10~30%であっ
た。さらに、同じ期間にわたって、強度近視(-5.00ディオプトリー(D)より悪い近視)の有
病率が、多くの東アジア諸国で数パーセントからおよそ20%に増加したことが観察された(
Morgan IG, He M.の文献「近視予防の重要なステップ:低投与量のアトロピン(An Importa
nt Step Forward in Myopia Prevention: Low-Dose Atropine)」(Ophthalmology (2016)
123:232-3))。不便さ及びぼやけた遠くの像を矯正するのに関与する出費の他に、近視
性黄斑症、網膜剥離、緑内障、及び白内障を含むさらなる視力障害を起こす有病率が増加
した高齢の個人の近視眼の長期的な健康に及ぼす影響がある(Curtin BJ.の文献「近視:基
本科学及び臨床管理(The Myopias: Basic Science and Clinical Management)」(Harper
& Row, Philadelphia, PA, 1985))。そのため、眼がより高レベルの近視に進行するのを
防ぐ必要がある。長年にわたり、医薬的、光学的、及び環境的介入の使用にわたるいくつ
かの早期予防的措置及び介入が提案され、近視の進行を緩徐化すると評価された。これら
のうち、医薬的介入は一般的に近視の緩徐化により効果的であった。
【0004】
医薬的介入に関して、近視の進行を緩徐化することが観察された一化合物は、ムスカリ
ンアンタゴニスト(より具体的には、非選択的ムスカリン性アセチルコリン作動性アンタ
ゴニスト(acetylcholinergic antagonist))であるアトロピンであった(Chuaらの文献「小
児期の近視の治療のためのアトロピン(Atropine for the treatment of childhood myopi
a)」(Ophthalmol, 2285-2291, 2006))。最初は、アトロピンは、近視を緩徐化するために
およそ1%の濃度で使用された。しかし、アトロピンの使用に関する懸念は、近視の緩徐化
に有効であると観察された投与濃度が副作用も誘導するということであった。1%及び0.5%
の濃度でのアトロピンの使用は、毛様筋麻痺性の開いた瞳孔(enlarged cyclopleged pupi
ls)、羞明(光に対する不快感又は感受性)、まぶしさ、及び近くで読むことも見ることも
できないという著しい短期の有害作用を起こし、眼の構造に対する損傷(例えば、光の増
加のための水晶体及び網膜)などの長期の有害作用も起こすと考えられた。さらに、アレ
ルギーなどの特定の副作用も報告された。より重大なことには、アトロピン投薬をやめる
と同時に、近視の逆戻りが起こった。さらに、アトロピンの使用と同時に、遠く及び近く
で明瞭に見ることができるように二焦点眼鏡を処方されることを要する個人。高濃度のア
トロピンの使用と関連する副作用に関係する懸念のため、より低濃度のアトロピンが試さ
れた(Chiaらの文献「小児期の近視の治療のためのアトロピン:0.5%、0.1%、及び0.01%投
与量の安全性及び効能(Atropine for the treatment of childhood myopia: safety and
efficacy of 0.5%, 0.1% and 0.01% doses)」(Ophthalmology (2012) 119(2), 347-354);
Chia A, Lu QS, Tan D.の文献「近視の治療のためのアトロピンの5年間の臨床試験2:アト
ロピン0.01%点眼剤による近視の制御(Five-year clinical trial on atropine for the t
reatment of myopia 2: myopia control with atropine 0.01% eyedrops)」(Ophthalmolo
gy (2016) 123:391-9))。これらの試験から、低濃度局所アトロピン(0.01重量%)は、1重
量%、0.5重量%、及びさらには0.1重量%のより高濃度のアトロピンにより観察された副作
用を誘導しないと考えられた。0.01重量%アトロピンでは、より高い投与量の後の休薬の
間に逆戻り作用の顕著な減少も観察され、瞳孔径の増加が最小限であり、調節幅(accommo
dative amplitude)に対する作用が著しくなかったので副作用は少なかった。しかし、よ
り綿密な検討をすると、低投与量アトロピン(0.01重量%)は、有害作用を減少させるのに
は有効であるが、軸長の伸長を減少させるのには有効でなかった(Yamらの文献「近視進行
のための低濃度アトロピン(LAMP)試験:近視制御における0.05重量%、0.025重量%、及び0.
01重量%アトロピン点眼剤の無作為化二重盲検プラセボ対照試験(Low Concentration Atro
pine for Myopia Progression (LAMP) study: A randomized, double-blinded, placebo-
controlled trial of 0.05 wt.%, 0.025 wt.% and 0.01 wt.% Atropine eye drops in m
yopia control)」(Ophthalmology, 印刷前のオンライン公開, 2018); Chiaらの文献「小
児期の近視の治療のためのアトロピン: 0.5 重量%、0.1 重量%、及び0.01重量%投与量の
安全性及び効能(近視の治療のためのアトロピン2)(Atropine for the treatment of chil
dhood myopia: safety and efficacy of 0.5 wt.%, 0.1 wt.%, and 0.01 wt.% doses (At
ropine for the Treatment of Myopia 2))」(Ophthalmology. 2012;119(2):347-54))。そ
のため、著しい有害作用/副作用なしに、眼軸の伸長を減少させる治療上有効な投与量が
必要とされている。
【0005】
近視の進行を緩徐化するのに効能を有することが観察された別の医薬的介入は、化合物
7-メチルキサンチン(7-MXと称されることもある;カフェイン及びテオブロミンの代謝物)
であり、アデノシン受容体アンタゴニスト(より具体的には非選択的アデノシンアンタゴ
ニスト)である。この化合物は、引用により本明細書に全体として組み込まれる米国特許
第6,710,051号に記載されている。若い近視の子供への1年間の経口投与による7-メチルキ
サンチンの全身用量は、近視の進行を緩徐化し、著しい副作用なしに軸方向の眼の成長を
抑制した(Trier K, Munk Ribel-Madsen S, Cui D, Brogger Christensen S.の文献「軸方
向の眼の成長及び近視進行の抑制における全身性7-メチルキサンチン:36か月のパイロッ
ト試験(Systemic 7-methylxanthine in retarding axial eye growth and myopia progre
ssion: a 36-month pilot study)」(J Ocul Biol Dis Infor. (2008) 1:85-93); Nie HH,
Huo LJ, Yang X, Gao ZY, Zeng JW, Trier K, Cui DM.の文献「有色ウサギの形態覚遮断
近視に対する7-メチルキサンチンの効果(Effects of 7-methylxanthine on form-depriva
tion myopia in pigmented rabbits)」(Int. J. Ophthalmol. (2012) 5:133-7);Cui D, T
rier K, Zeng J, Wu K, Yu M, Hu J, Chen X, Ge J.の文献「モルモットの形態覚遮断近
視における強膜に対する7-メチルキサンチンの効果(Effects of 7-methylxanthine on th
e sclera in form deprivation myopia in guinea pigs)」(Acta Ophthalmol. (2011) 89
:328-34);Trier K, Olsen EB, Kobayashi T, Ribel-Madsen SM.の文献「7-メチルキサン
チン、テオブロミン、アセタゾラミド、又はL-オルニチンによる治療後のウサギ強膜の生
化学的及び微細構造的変化(Biochemical and ultrastructural changes in rabbit scler
a after treatment with 7-methylxanthine, theobromine, acetazolamide, or L-ornith
ine)」(Br. J. Ophthalmol. (1999) 83:1370-5))。7-メチルキサンチンが後部強膜に対す
る作用によりその効果を発揮すると考えられた。しかし、眼の治療のために最大の効能を
達成するのを制限する経口投薬と関連する代謝の問題とは別に、眼の治療のための医薬品
の経口使用は、コンプライアンス問題も有する。
【0006】
注目すべきは、ムスカリン受容体アンタゴニストの作用が低投与量のカフェインにより
増大されてハロペリドール誘発性のカタレプシーを阻害することが観察されたが(Moo-Puc
RE, Gongora-Alfaro JL, Alvarez-Cervera FJ, Pineda JC, Arankowsky-Sandoval G, He
redia-Lopez F.の文献「カフェインとムスカリンアンタゴニストは相乗的に作用してハロ
ペリドール誘発性のカタレプシーを阻害する(Caffeine and muscarinic antagonists act
in synergy to inhibit haloperidol-induced catalepsy)」(Neuropharmacology (2003)
45:493-503))、追加的な眼科療法としてカフェイン(又は関連する薬剤若しくは他のア
デノシンアンタゴニスト)を使用することが、近視の進行を緩徐化するのに要されるムス
カリン受容体アンタゴニストの投与量を減少させることが可能かどうか、及び/又はムス
カリンアンタゴニスト眼科単独療法と関連する有害な副作用を軽減することが可能かどう
かは知られていない。カフェインは非選択的アデノシン受容体アンタゴニストであり、カ
フェインの全身摂取が遠近調節を増強することが観察された(Oseiらの文献「カフェイン
摂取は瞳孔拡張及び遠近調節の増強と関連する(Caffeine intake is associated with pu
pil dilation and enhanced accommodation)」(Eye, 31(4), 615-619, 2017))。カフェイ
ンは、1重量%の濃度でヒトの眼に安全に局所使用されてきた(Chandra P, Gaur A, Varma
S.の文献「原発開放隅角緑内障の患者の眼内圧に対するカフェインの作用(Effect of caf
feine on the intraocular pressure in patients with primary open angle glaucoma)
」(Clin Ophthalmol. (2011) 5:1623-9))。興味深いことに、カフェインの代謝物である7
-メチルキサンチン(7-MXと称されることがある)は経口投与により全身に使用されて、動
物モデル及びヒトの試験で近視が治療されてきた(Nie HH, Huo LJ, Yang X, Gao ZY, Zen
g JW, Trier K, Cui DM.の文献「有色ウサギの形態覚遮断近視に対する7-メチルキサンチ
ンの効果(Effects of 7-methylxanthine on form-deprivation myopia in pigmented rab
bits)」(Int. J. Ophthalmol. (2012) 5:133-7); Cui D, Trier K, Zeng J, Wu K, Yu M,
Hu J, Chen X, Ge J.の文献「モルモットの形態覚遮断近視における強膜に対する7-メチ
ルキサンチンの効果(Effects of 7-methylxanthine on the sclera in form deprivation
myopia in guinea pigs)」(Acta Ophthalmol. (2011) 89:328-34);及びTrier K, Olsen
EB, Kobayashi T, Ribel-Madsen SM.の文献「7-メチルキサンチン、テオブロミン、アセ
タゾラミド、又はL-オルニチンによる治療後のウサギ強膜の生化学的及び微細構造的変化
(Biochemical and ultrastructural changes in rabbit sclera after treatment with 7
-methylxanthine, theobromine, acetazolamide, or L-ornithine)」(Br J Ophthalmol.
(1999) 83:1370-5))。さらに、7-メチルキサンチンは、神経伝達物質放出(GABAを含む)に
対する潜在的な効果を有するアデノシンアンタゴニストであると考えられており、著しい
副作用なしに近視進行及び軸方向の眼の成長を抑制することが観察された(Trier K, Munk
Ribel-Madsen S, Cui D, Brogger Christensen S.の文献「軸方向の眼の成長及び近視進
行の抑制における全身性7-メチルキサンチン:36か月のパイロット試験(Systemic 7-methy
lxanthine in retarding axial eye growth and myopia progression: a 36-month pilot
study)」(J Ocul Biol Dis Infor. (2008) 1:85-93))。
【0007】
したがって、瞳孔径又は遠近調節に関連する有害な副作用を回避又は最小限にもする、
近視の進行を効果的に制御し且つ/又は減少させるための医薬組成物、及びそれを含有又
は送達する眼用装置、及びそれを使用する方法が必要とされている。
【0008】
(定義)
用語は、以下で他に定義されない限り、当技術分野で通常使用される通り本明細書にお
いて使用される:
【0009】
用語「近視眼」は、既に近視であるか、近視前症(pre myopic)であるか、又は近視へ
と進行しつつある屈折状態を有する眼を指すように理解される。
【0010】
用語「眼用装置」は、眼の上に配置されるか、眼内に留置する物体を指すように理解さ
れる。該装置は光学的矯正を与えることができる。眼用装置としては、コンタクトレンズ
(複数可)、眼内挿入物(複数可)、角膜アンレー(onlay)(複数可)、角膜インレー(複数可)
、ナノウエハ(複数可)、リポソーム(複数可)、ナノ粒子(複数可)、涙点プラグ(複数可)、
又はマイクロ流体リザーバー(microfluid reservoir)を有するハイドロゲルマトリックス
(複数可)があるがこれらに限定されない。
【0011】
用語「治療すること」(又は「治療する」若しくは「治療」)は、特記されない限り、疾
患(例えば近視)と関連する症状、疾患の進行(例えば、近視、患者の眼の近視の進行など)
、及び/又は疾患(例えば近視)の予防、制御、緩徐化、減少、抑制、及び/又は緩和を包
含する一般的に受け入れられている意味を含む。治療は、(例えば、本明細書に開示の医
薬組成物又は眼用装置の)治療的投与及び/又は予防的投与を含み得る。例えば、近視(強
度、中度、又は軽度)を有すると診断された患者の既に近視である(又は近視になる危険性
がある)眼又は近視前症の(近視になる危険性がある)眼の治療は、近視の進行を予防し、
制御し、緩徐化し、減少させ、抑制し、若しくは緩和させること、眼(例えば、近視眼、
近視前症眼、又は近視になる危険性がある眼)の脈絡膜厚さを増加させること、及び/又
は近視を有すると診察されたか、若しくは近視になる危険性があると診断された患者の軸
方向(又は長さ方向)の眼(例えば、近視眼、近視前症眼、又は近視になる危険性がある眼)
の成長を減少させることを含み得るが、これらに限定されない。
【0012】
用語「ムスカリンアンタゴニスト」又は「ムスカリン受容体アンタゴニスト」は、ムス
カリン受容体に作用するか、又はそれを遮断して、コリン作動性薬剤又はムスカリンアゴ
ニスト若しくはムスカリン受容体アゴニストの作用を予防するか、又はそれに拮抗する薬
剤を指す。
【0013】
用語「アデノシンアンタゴニスト」又は「アデノシン受容体アンタゴニスト」は、アデ
ノシン受容体に作用するか、又はそれを遮断して、アデノシンアゴニスト又はアデノシン
受容体アゴニストの作用を予防するか、又はそれに拮抗する薬剤を指す。
【0014】
用語「対象」は、霊長類(例えば、ヒト)、サル、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イ
ヌ、ネコ、ウサギ、ラット、又はマウスを含むがこれらに限定されない動物を指す。用語
「対象」と「患者」は、例えば、ヒトなどの哺乳類の対象に関連して、本明細書において
互換的に使用される。
【0015】
特定の実施態様において、対象は哺乳動物である。特定の実施態様において、対象はヒ
トである。特定の実施態様において、対象は成人のヒトである。特定の実施態様において
、対象はヒトの子供である。
【発明の概要】
【0016】
(概要)
本明細書に記載のいくつかの実施態様は、近視の進行を予防し、制御し、緩徐化し、減
少させ、抑制し、且つ/又は緩和させる医薬組成物、眼用装置、及び治療の方法を提供す
ることができる。
【0017】
一態様において、ムスカリンアンタゴニスト、例えば、低濃度のムスカリンアンタゴニ
スト及びアデノシンアンタゴニストを含む医薬組成物が本明細書に提供される。
【0018】
別の態様において、ムスカリンアンタゴニスト、例えば、低濃度のムスカリンアンタゴ
ニスト及びアデノシンアンタゴニストを含む医薬組成物を含む眼用装置であって、該医薬
組成物を持続放出的に送達する眼用装置が本明細書に提供される。
【0019】
別の態様において、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する方法であって、ムス
カリンアンタゴニスト、例えば、低濃度のムスカリンアンタゴニスト及びアデノシンアン
タゴニストを含む医薬組成物を投与することを含む方法が本明細書に提供される。
【0020】
別の態様において、近視の治療を必要とする患者の眼の近視を治療して、近視の進行を
予防し、緩徐化し、抑制し、制御し、且つ/又は緩和させる方法であって、ムスカリンア
ンタゴニスト、例えば、低濃度のムスカリンアンタゴニスト及びアデノシンアンタゴニス
トを含む医薬組成物を投与することを含む方法が本明細書に提供される。
【0021】
別の態様において、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する方法であって、ムス
カリンアンタゴニスト、例えば、低濃度のムスカリンアンタゴニストを含む医薬組成物を
投与すること及びアデノシンアンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含む方法
が本明細書に提供される。
【0022】
別の態様において、近視の進行の予防、緩徐化、抑制、制御、及び/又は緩和を必要と
する患者の眼の近視の進行を予防し、緩徐化し、抑制し、制御し、且つ/又は緩和させる
方法であって、ムスカリンアンタゴニスト、例えば、低濃度のムスカリンアンタゴニスト
を含む医薬組成物を投与すること及びアデノシンアンタゴニストを含む医薬組成物を投与
することを含む方法が本明細書に提供される。
【0023】
別の態様において、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する方法であって、ムス
カリンアンタゴニスト、例えば、低濃度のムスカリンアンタゴニスト及びアデノシンアン
タゴニストを含む医薬組成物を含む眼用装置を投与することを含む方法が本明細書に提供
される。
【0024】
別の態様において、近視の進行の予防、緩徐化、抑制、制御、及び/又は緩和を必要と
する患者の眼の近視の進行を予防し、緩徐化し、抑制し、制御し、且つ/又は緩和させる
方法であって、ムスカリンアンタゴニスト、例えば、低濃度のムスカリンアンタゴニスト
及びアデノシンアンタゴニストを含む医薬組成物を含む眼用装置を投与することを含む方
法が本明細書に提供される。
【0025】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該ムスカリンアンタゴニストは、非選択的ムスカリン性アセチルコリン作動性アンタゴニ
ストである。
【0026】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該ムスカリンアンタゴニストはM1選択的アンタゴニストである。
【0027】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該ムスカリンアンタゴニストは、アトロピン又はその医薬として許容し得る塩である。
【0028】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該ムスカリンアンタゴニストは、トロピン又はその医薬として許容し得る塩である。
【0029】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該ムスカリンアンタゴニストはトロパ酸である。
【0030】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該ムスカリンアンタゴニストは低濃度で使用される。特定の実施態様において、該ムスカ
リンアンタゴニストは低濃度で使用され、例えば、該ムスカリンアンタゴニストはアトロ
ピンであり、該医薬組成物に対して0.05重量%未満の濃度で使用される。特定の実施態様
において、該ムスカリンアンタゴニストは、該医薬組成物に対して約0.05重量%未満から0
.001重量%以上の濃度で使用されるアトロピンである。特定の実施態様において、該ムス
カリンアンタゴニストは、該医薬組成物に対しておよそ0.045重量%以下の濃度で使用され
るアトロピンである。特定の実施態様において、該ムスカリンアンタゴニストはアトロピ
ンであり、該医薬組成物に対しておよそ0.04重量%以下の濃度で使用される。特定の実施
態様において、該ムスカリンアンタゴニストはアトロピンであり、該医薬組成物に対して
およそ0.035重量%以下の濃度で使用される。特定の実施態様において、該ムスカリンアン
タゴニストはアトロピンであり、該医薬組成物に対しておよそ0.03重量%以下の濃度で使
用される。特定の実施態様において、アトロピンの濃度は、該医薬組成物に対して、およ
そ0.045重量%から0.001重量%の間、およそ0.04重量%から0.001重量%の間、およそ0.035重
量%から0.001重量%の間、およそ0.03重量%から0.001重量%の間、およそ0.025重量%から0.
001重量%の間、およそ0.02重量%から0.001重量%の間、およそ0.015重量%から0.001重量%
の間、およそ0.01重量%から0.001重量%の間、0.01重量%未満から0.001重量%の間、およそ
0.045重量%から0.01重量%の間、およそ0.04重量%から0.02重量%の間、およそ0.03重量%か
ら0.02重量%の間、又はおよそ0.03重量%から0.01重量%の間など、0.05重量%未満から0.00
1重量%の間の範囲である。
【0031】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該ムスカリンアンタゴニストは、該医薬組成物に対して、およそ0.001~0.045重量%の間
、およそ0.001~0.04重量%の間、およそ0.001~0.035重量%の間、およそ0.001~0.03重量
%の間、およそ0.001~0.025重量%の間、およそ0.001~0.02重量%の間、およそ0.001~0.0
15重量%の間、およそ0.001~0.01重量%の間、およそ0.001~0.005重量%の間、およそ0.00
5~0.03重量%の間、およそ0.005~0.04重量%の間、およそ0.01~0.03重量%の間、およそ0
.01~0.045重量%の間、およそ0.01~0.04重量%の間、およそ0.02~0.04重量%の間、およ
そ0.02~0.03重量%の間、およそ0.015~0.025重量%の間、およそ0.015~0.03重量%の間、
又はおよそ0.015~0.035重量%の間など、およそ0.001から0.05重量%未満の間の範囲の量
で存在する。
【0032】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該アデノシンアンタゴニストは非選択的アデノシンアンタゴニストである。
【0033】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該非選択的アデノシンアンタゴニストは、キサンチン誘導体又はその医薬として許容し得
る塩である。
【0034】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該非選択的アデノシンアンタゴニストは、カフェイン又はその医薬として許容し得る塩で
ある。
【0035】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該非選択的アデノシンアンタゴニストは、カフェインクエン酸塩である。
【0036】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該非選択的アデノシンアンタゴニストは、7-メチルキサンチン又はその医薬として許容し
得る塩である。
【0037】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該アデノシンアンタゴニストは、該医薬組成物に対して、およそ0.1~5.0重量%の間、お
よそ0.1~4.0重量%の間、およそ0.1~3.0重量%の間、およそ0.1~2.0重量%の間、およそ0
.1~1.0重量%の間、およそ0.5~5.0重量%の間、およそ1.0~5.0重量%の間、およそ1.0~2
.0重量%の間、およそ2.0~5.0重量%の間、およそ3.0~5.0重量%の間、又はおよそ4.0~5.
0重量%の間の範囲の量で存在する。
【0038】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は、水性組成物、眼科用製剤、眼科用水性製剤、点眼製剤、眼用スプレー製
剤、コンタクトレンズブリスターパック内に含まれる眼用医薬組成物、局所製剤、局所眼
科用組成物、眼用ゲル製剤、眼科用乳剤、眼科用リポソーム、ナノウエハ、ナノ粒子懸濁
剤、又は眼科用軟膏である。
【0039】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は、担体、安定剤、オスモル濃度調整剤(osmolarity adjusting agent)、保
存剤、緩衝剤、張性調整剤、増粘剤、又は他の賦形剤を含む1種以上の追加の眼科用に許
容し得る(ophthalmically acceptable)賦形剤及び添加剤をさらに含む。
【0040】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は、持続放出製剤又は結膜下デポ(subconjunctival depot)である。
【0041】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は、眼用装置内に含まれる持続放出製剤である。
【0042】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該眼用装置は、コンタクトレンズ、眼内挿入物、角膜アンレー、角膜インレー、ナノウエ
ハ、リポソーム、ナノ粒子、涙点プラグ、又はマイクロ流体リザーバーを有するハイドロ
ゲルマトリックスである。
【0043】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該眼用装置は該医薬組成物を持続放出的に送達する。
【0044】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は、眼科用組成物として製剤され、例えば、眼の疾患又は病態の治療のため
の眼科用組成物として製剤される。
【0045】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は、近視前症、近視、又は近視の進行の治療のための眼科用組成物として製
剤される。
【0046】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は、強度近視、中度近視、又は軽度近視の治療のための眼科用組成物として
製剤される。
【0047】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は、近視前症である(又は近視になる危険性がある)と診断された患者の治療
のための眼科用組成物として製剤される。
【0048】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は、該眼用装置全体に実質的に均一に分布している。
【0049】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該眼用装置は、コンタクトレンズブリスターパック内に含まれている。
【0050】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は、コンタクトレンズブリスターパック内で該眼用装置を浸している。
【0051】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該ムスカリンアンタゴニスト及び該アデノシンアンタゴニストは、同時に共投与され、ム
スカリンアンタゴニストの投与の後にアデノシンアンタゴニストの投与があるように連続
的に共投与され、又はアデノシンアンタゴニストの投与の後にムスカリンアンタゴニスト
の投与があるように連続的に共投与される。
【0052】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該方法は、治療される患者の近視の進行を予防する。
【0053】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該方法は、治療される患者の近視の進行を制御する。
【0054】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該方法は、治療される患者の近視の進行を緩和させる。
【0055】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該方法は、治療される患者の近視の進行を緩徐化するか又は減少させる。
【0056】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該方法は、治療される患者の近視の進行を、無治療に対して、約5~95%の間、約5~90%の
間、約5~80%の間、約5~70%の間、約5~60%の間、約5~50%の間、約5~40%の間、約5~3
0%の間、約5~20%の間、約10~100%の間、約20~90%の間、約30~90%の間、約40~90%の
間、約50~90%の間、又は約75~90%の間の範囲で、制御し、緩徐化し、減少させ、抑制し
、且つ/又は緩和させる。
【0057】
特定の実施態様において、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する本明細書に開
示の方法は、治療される患者の眼の脈絡膜厚さを増加させることができ、例えば、治療さ
れる患者の眼の脈絡膜厚さを、無治療に対して、約5~95%の間、およそ5~90%の間、およ
そ5~80%の間、およそ5~70%の間、およそ5~60%の間、およそ5~50%の間、およそ5~40%
の間、およそ5~30%の間、およそ5~20%の間、およそ10~100%の間、およそ20~90%の間
、およそ25~90%の間、およそ30~90%の間、およそ40~90%の間、およそ50~90%の間、又
はおよそ75~90%の間の範囲で増加させ得るなど、治療される患者の眼の脈絡膜厚さを、
無治療に対しておよそ5~100%の間の範囲で増加させ得る。
【0058】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物、該眼用装置、又は該治療の方法を使用すると、使用者の眼の明所視瞳孔径
の増加が、約1~2mm、約1mm、約2mm、2mm未満、1mm未満に限定される。
【0059】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物、該眼用装置、又は該治療の方法を使用すると、使用者の眼の調節幅の減少
が、約1.0~6.0D、1.0~5.0D、1.0~4.0D、1.0~3.0D、1.0~2.0D、6.0D未満、5.0D未満
、4.0D未満、3.0D未満、2.0D未満、及び1.0D未満に限定される。
【0060】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該方法は、治療される患者の近視の進行を逆転させる。
【0061】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該患者は、強度近視、中度近視、又は軽度近視を患っている。
【0062】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該患者は、近視前症である(又は近視になる危険性がある)。
【0063】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該方法は、治療される患者の眼の脈絡膜厚さを増加させる。
【0064】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該方法は、治療される患者の眼の脈絡膜厚さを、無治療に対して、およそ5~95%の間、お
よそ5~90%の間、およそ5~80%の間、およそ5~70%の間、およそ5~60%の間、およそ5~5
0%の間、およそ5~40%の間、およそ5~30%の間、およそ5~20%の間、およそ10~100%の間
、およそ20~90%の間、およそ25~90%の間、およそ30~90%の間、およそ40~90%の間、お
よそ50~90%の間、又はおよそ75~90%の間の範囲で増加させる。
【0065】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該方法は、治療される患者の眼の軸方向(又は長さ方向)の成長を、予防し、制御し、緩徐
化し、減少させ、抑制し、且つ/又は緩和させる。
【0066】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該方法は、近視の進行を制御し、緩徐化し、減少させ、抑制し、且つ/若しくは緩和させ
、眼(例えば、近視眼、近視前症眼、又は近視になる危険性がある眼)の脈絡膜厚さを増加
させ、且つ/又は近視を有すると診察されたか、若しくは近視になる危険性があると診断
された患者の眼(例えば、近視眼、近視前症眼、又は近視になる危険性がある眼)の軸方向
(又は長さ方向)の成長を減少させる。
【0067】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該方法は、治療される患者の眼の軸方向(又は長さ方向)の成長を、無治療に比べて、約5
~95%の間、約5~90%の間、約5~80%の間、約5~70%の間、約5~60%の間、約5~50%の間
、約5~40%の間、約5~30%の間、約5~20%の間、約10~100%の間、約20~90%の間、約30
~90%の間、約40~90%の間、約50~90%の間、又は約75~90%の間、制御し、緩徐化し、減
少させ、抑制し、且つ/又は緩和させる。
【0068】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該患者は、少なくとも6か月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくと
も5年、少なくとも7年、又は少なくとも9年の期間など、約1か月から10年の間の期間治療
される。
【0069】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該方法は、アトロピン単独療法と比べて、重症度が低い有害な副作用をもたらす。
【0070】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該方法は、アトロピン単独療法と比べて、瞳孔径のより小さい増加をもたらす。
【0071】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該方法は、アトロピン単独療法と比べて、調節幅のより小さい減少をもたらす。
【0072】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は、患者の眼に眼科的に投与される。
【0073】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は局所投与される。
【0074】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は、点眼製剤、眼用スプレー製剤、又は眼用ゲル製剤の形態で眼に投与され
る。
【0075】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は、眼科用乳剤、眼科用リポソーム、ナノウエハ、ナノ粒子懸濁剤、又は眼
科用軟膏の形態で眼に投与される。
【0076】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は、眼用装置により患者の眼に眼科的に投与される。
【0077】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物は、1日あたり1、2、3、4、又は5回投与される。
【0078】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該患者は、年齢が約4~18歳、又は年齢が約16~26歳である。
【0079】
本明細書に記載の主題の他の特徴及び利点は、説明及び図から、並びに請求項から明ら
かだろう。
【図面の簡単な説明】
【0080】
(図面の簡単な説明)
本明細書に記載の実施態様の態様は、添付される図面と共に読まれる場合、以下の詳細
な説明から最もよく理解することができる。
【0081】
図1図1は、アトロピン若しくはカフェイン単独療法点眼製剤又はアトロピン及びカフェインを含む併用療法点眼製剤を投与することから生じた霊長類の脈絡膜厚さの変化を評価する手順を表すフローチャートである。
【0082】
図2図2は、アトロピン若しくはカフェイン単独療法点眼製剤又はアトロピン及びカフェインを含む併用療法点眼製剤を霊長類に投与することから生じた脈絡膜厚さ測定値を表すグラフである。
【0083】
図3図3は、アトロピン若しくはカフェイン単独療法点眼製剤又はアトロピン及びカフェインを含む併用療法点眼製剤を投与することから生じた霊長類の脈絡膜厚さの変化を評価する手順を表すフローチャートである。
【0084】
図4図4は、アトロピン若しくはカフェイン単独療法点眼製剤又はアトロピン及びカフェインを含む併用療法点眼製剤を霊長類に投与することから生じた脈絡膜厚さ測定値を表すグラフである。
【0085】
図5A-5D】図5A~5Dは、アトロピン点眼剤のみか、アトロピン及びカフェインを含む点眼製剤のいずれかを霊長類に投与することからの屈折異常及び軸長さ変化を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0086】
(詳細な説明)
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施態様又
は例を提供する。本開示を単純化するために、成分及び配置の具体例が以下に記載される
。これらはもちろん例に過ぎず、限定的ではないものとする。さらに、本開示は、種々の
例において、参照番号及び/又は文字を繰り返すことがある。この繰返しは、簡潔さ及び
明確さのためであり、それ自体、議論される種々の実施態様及び/又は構成の間の関係性
を指示しない。
【0087】
眼の軸の伸長である近視は、多くの人々を冒す。近視の発症は、一般に、小学校時代の
間であり、眼の成長が完了するまで進行する。近視の進行は、矯正レンズの使用にもかか
わらず視力障害を増加させ得る。本開示は、特に、簡便に投与又は実施され、潜在的な副
作用を減少させ、治療効果を与える、又はこれらの組合せの医薬組成物、それを含有又は
送達する眼用装置、及びそれを使用する方法による、近視の発生又は進行を治療し、予防
し、制御し、緩徐化し、減少させ、抑制し、且つ/又は緩和させるための組成物及び治療
の重要性を認識する。
【0088】
薬物併用療法は、相乗的な治療効果、投与量及び毒性減少を達成し、薬剤耐性の誘導を
最小化又は遅延させる目的で広く利用される強力な医薬の戦略である(Chou TC.の文献「
薬物組合せ試験及びChou-Talalay法を利用するその相乗効果定量化(Drug combination st
udies and their synergy quantification using the Chou-Talalay method)」(Cancer R
es. (2010) 70:440-6))。本開示は、アトロピン単独療法により観察されるものなどの
有害な副作用を回避又は最小化すると同時に、アトロピンなどのムスカリン受容体アンタ
ゴニストとの相乗効果を与えて、近視減少又は近視緩徐化効果を増大させる特定の化合物
を確認する。
【0089】
本願は、近視の進行を制御し且つ/又は減少させるための、局所又は眼科適用のための
非選択的ムスカリン受容体アンタゴニスト及び非選択的アデノシンアンタゴニストの医薬
組成物、並びにそれを含有又は送達する眼用装置、並びにそれを使用する方法を提供する
【0090】
特定の実施態様において、該医薬組成物は、ムスカリン受容体アンタゴニスト及びアデ
ノシン受容体アンタゴニストを含み得るか、それらからなり得る。特定の実施態様におい
て、ムスカリンアンタゴニストは、非選択的ムスカリン性アセチルコリン作動性受容体ア
ンタゴニストであり得るか、又はM1選択的アンタゴニストであり得る。特定の実施態様に
おいて、ムスカリンアンタゴニストは、低濃度の非選択的ムスカリン受容体アンタゴニス
トなどの非選択的ムスカリン受容体アンタゴニストであり得る。特定の実施態様において
、アデノシンアンタゴニストは非選択的アデノシンアンタゴニストである。
【0091】
特定の実施態様において、本明細書に開示の医薬組成物を備えたムスカリンアンタゴニ
スト(the muscarinic antagonist provided with the pharmaceutical composition)は、
アトロピン、アトロピン硫酸塩、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、
トロパ酸、硝酸メチルアトロピン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ジサイク
ロミン、フラボキサート、オキシブチニン、チオトロピウム、ヒヨスチン、スコポロミン
(scopolomine)(L-ヒヨスチン)、ヒドロキシジン、イプラトロピウム、トロピカミド、シ
クロペントラート、ピレンゼピン、ホマトロピン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、ベ
ンザトロピン、オキシフェノニウム、メベベリン、プロシクリジン、アクリジニウムブロ
ミド、トリヘキシフェニジル/ベンズヘキソール、トルテロジン、又はその医薬として許
容し得る塩であり得る。好ましい実施態様において、ムスカリン受容体アンタゴニストは
、アトロピン又はその医薬として許容し得る塩である。特定の実施態様において、ムスカ
リン受容体アンタゴニストは、トロピン又はその医薬として許容し得る塩である。特定の
実施態様において、ムスカリン受容体アンタゴニストはトロパ酸である。特定の実施態様
において、本明細書に開示の医薬組成物を備えたムスカリン受容体アンタゴニストは、低
濃度で、例えば、該医薬組成物に対して、0.045重量%以下、0.04重量%以下、0.035重量%
以下、又は0.03重量%以下の量など、0.05重量%未満の量で存在し得る。例えば、特定の実
施態様において、本明細書に開示の医薬組成物を備えたムスカリン受容体アンタゴニスト
は、低濃度で、例えば、該医薬組成物に対して、およそ0.001~0.045重量%の間、およそ0
.001~0.04重量%の間、およそ0.001~0.035重量%の間、およそ0.001~0.03重量%の間、お
よそ0.001~0.025重量%の間、およそ0.001~0.02重量%の間、およそ0.001~0.015重量%の
間、およそ0.001~0.01重量%の間、およそ0.001~0.005重量%の間、およそ0.005~0.03重
量%の間、およそ0.005~0.04重量%の間、およそ0.01~0.03重量%の間、およそ0.01~0.04
5重量%の間、およそ0.01~0.04重量%の間、およそ0.02~0.04重量%の間、およそ0.02~0.
03重量%の間、およそ0.015~0.025重量%の間、およそ0.015~0.03重量%の間、又はおよそ
0.015~0.035重量%の間など、およそ0.001から0.05重量%未満の間の範囲で存在し得る。
【0092】
特定の実施態様において、ムスカリンアンタゴニストは、本明細書に開示の医薬組成物
中に、該医薬組成物に対して、およそ0.001重量%、およそ0.002重量%、およそ0.005重量%
、およそ0.01重量%、およそ0.015重量%、およそ0.02重量%、およそ0.025重量%、およそ0.
03重量%、およそ0.035重量%、およそ0.04重量%、又はおよそ0.045重量%の量など、0.05重
量%未満の量で存在し得る。
【0093】
特定の実施態様において、本明細書に開示の医薬組成物を備えたアデノシン受容体アン
タゴニストは、非選択的アデノシンアンタゴニストであり得る。例えば、特定の実施態様
において、非選択的アデノシンアンタゴニストは、キサンチン誘導体、例えば、カフェイ
ン;7-メチルキサンチン;1,7-ジメチルキサンチン(パラキサンチン)、3,7-ジメチルキサン
チン(テオブロミン);7-メチルキサンチン(ヘテロキサンチン)、3-メチルキサンチン;1-メ
チルキサンチン、イソブチルメチルキサンチン(IBMX);l-ヘキシル-3,7-ジメチルキサンチ
ン(ペンチフィリン);1,7-ジメチルキサンチンなどの置換キサンチン誘導体、若しくはそ
の医薬として許容し得る塩;若しくは米国特許第6,710,051号に詳述される置換キサンチン
;又はこれらの混合物であり得る。好ましい実施態様において、アデノシン受容体アンタ
ゴニストは、カフェイン若しくは7-メチルキサンチン又はその医薬として許容し得る塩で
あり、例えば、カフェイン又はカフェインクエン酸塩などその医薬として許容し得る塩で
ある。特定の実施態様において、本明細書に開示の医薬組成物を備えたアデノシンアンタ
ゴニストは、該医薬組成物に対して、およそ0.1~4.0重量%の間、およそ0.1~3.0重量%の
間、およそ0.1~2.0重量%の間、およそ0.1~1.0重量%の間、およそ0.5~5.0重量%の間、
およそ1.0~5.0重量%の間、およそ1.0~2.0重量%の間、およそ2.0~5.0重量%の間、およ
そ3.0~5.0重量%の間、又はおよそ4.0~5.0重量%の間の範囲の量で存在するなど、該医薬
組成物に対して、およそ0.1~5.0重量%の間の範囲の量で存在し得る
【0094】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物の使用、該眼用装置の使用、又は該治療の方法は、治療される患者の近視の
進行を、無治療に対して、約5~95%の間、約5~90%の間、約5~80%の間、約5~70%の間、
約5~60%の間、約5~50%の間、約5~40%の間、約5~30%の間、約5~20%の間、約10~100%
の間、約20~90%の間、約30~90%の間、約40~90%の間、約50~90%の間、又は約75~90%
の間の範囲で、制御し、緩徐化し、減少させ、抑制し、且つ/又は緩和させる。
【0095】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物の使用、該眼用装置の使用、又は該治療の方法は、使用者の眼の明所視瞳孔
の大きさを、約1mmから2mm、約1mm、約2mm、2mm未満、又は1mm未満に増加させる。
【0096】
本明細書に開示の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法の特定の実施態様において、
該医薬組成物、該眼用装置、又は該治療の方法による調節幅の減少は、約1.0~6.0D、1.0
~5.0D、1.0~4.0D、1.0~3.0D、1.0~2.0D、6.0D未満、5.0D未満、4.0D未満、3.0D未満
、2.0D未満、及び1.0D未満である。
【0097】
特定の実施態様において、医薬組成物は、ムスカリン受容体アンタゴニスト及びアデノ
シン受容体アンタゴニストから合成された「ハイブリッド分子」(本明細書において「コ
ンジュゲート分子」又は「コンジュゲート化合物」と称されることがある)を含み得る。
特定の実施態様において、該医薬組成物は、アトロピン及びカフェインから合成されたハ
イブリッド分子を含み得る。特定の実施態様において、該医薬組成物は、式(I)のコンジ
ュゲート化合物(カフェインのN1位にコンジュゲートされた1分子のアトロピンを有する)
、式(II)のコンジュゲート化合物(カフェインのN3位にコンジュゲートされた1分子のアト
ロピンを有する)、又は式(III)のコンジュゲート化合物(カフェインのN7位にコンジュゲ
ートされた1分子のアトロピンを有する)など、1分子のカフェインにコンジュゲートされ
た1分子のアトロピンを含むハイブリッド分子を含み得る:
【化1】
(式中、R1はアトロピン部分であり、Lは、二価リンカー基がアトロピン分子をカフェイ
ン分子と共有結合でコンジュゲートするような二価リンカーである)。特定の実施態様に
おいて、好適な二価リンカーは、疎水性である炭化水素リンカーなど、安定な結合を含む
炭化水素リンカーを含み得る。好適な炭化水素リンカーは、ポリアルキルリンカー、例え
ば、C5-C20アルキルリンカー;C5-C6シクロアルキルリンカー、例えば、1,4-シクロヘキシ
ルリンカー、1,3-シクロヘキシルリンカー、1,2-シクロヘキシルリンカー、1,3-シクロペ
ンチル、又は1,2-シクロペンチル;C5-C6シクロアルケニルリンカーを含み得る。特定の実
施態様において、好適な二価リンカーは、ポリエチレングリコールリンカー、例えば-(OC
H2CH2)n-など(式中、nは5~20である)、親水性である安定な結合を含み得る。特定の実
施態様において、好適な二価リンカーは、アセチルリンカー、例えば-(O(CO)CH2)-など、
エステラーゼによる加水分解を受けやすいエステル結合を含み得る。例えば、例を挙げる
と、該ハイブリッド分子は、ポリアルキルリンカー(式中、nは5~20である)であるL二価
リンカーにより、ポリエチレングリコールリンカー(式中、nは5~20である)であるL二価
リンカーにより、又はアセチルリンカーであるL二価リンカーにより、N-メチル基からカ
フェインのN1位にコンジュゲートされた1分子のアトロピンを有する式(I)を有するコンジ
ュゲート化合物:
それぞれ
【化2】
であり得る。
特定の実施態様において、該ハイブリッド分子は、ポリアルキルリンカー(式中、nは5
~20である)であるL二価リンカーにより、ポリエチレングリコールリンカー(式中、nは5
~20である)であるL二価リンカーにより、又はアセチルリンカーであるL二価リンカーに
より、N-メチル基から、カフェインのN3又はN7位にそれぞれコンジュゲートされた1分子
のアトロピンを有する式(II)又は(III)を有するコンジュゲート化合物である。
【0098】
特定の実施態様において、該医薬組成物は、式(IV)のコンジュゲート化合物など、2分
子のカフェインにコンジュゲートされた1分子のアトロピンを含むハイブリッド分子を含
み得る:
【化3】
(式中、アトロピンのN-カルバマート誘導体は、1,2,3-プロパントリオール部分などの三
価リンカーにより、2つの二価リンカー(L)にコンジュゲートされており、式中、Lは、独
立に、ポリエチレングリコールリンカー(式中、nは、独立に、5~20である)、ポリアルキ
ルリンカー、例えば、C5-C20アルキルリンカー;C5-C6シクロアルキルリンカー;C5-C6シク
ロアルケニルリンカー;又はアセチルリンカー、例えば-(O(CO)CH2)-などのエステル結合
であってよく、該2つの独立した二価リンカーのそれぞれはR2基にさらにコンジュゲート
されており、式中、R2は、独立に、N1、N3、又はN7位のN-メチル基により独立にコンジュ
ゲートされたカフェイン部分である)。例えば、例を挙げると、該ハイブリッド分子は、
1,2,3-プロパントリオールにより、ポリエチレングリコールリンカー(式中、nは、独立に
、5~20である)である2つの独立な二価リンカー(L)にコンジュゲートされたアトロピンの
N-カルバマート誘導体を有し、R2が、独立に、N1位のN-メチル基により独立にコンジュゲ
ートされたカフェイン部分である、式(IV)を有するコンジュゲート化合物であり得る:
【化4】

特定の実施態様において、該ハイブリッド分子は、1,2,3-プロパントリオールにより、
ポリエチレングリコールリンカー(式中、nは、独立に、5~20である)である2つの独立し
た二価リンカー(L)にコンジュゲートされたアトロピンのN-カルバマート誘導体を有し、R
2が、独立に、カフェインのN3又はN7位のN-メチル基により独立にコンジュゲートされた
カフェイン部分である、式(IV)を有するコンジュゲート化合物である。
【0099】
特定の実施態様において、該医薬組成物は、式(V)のコンジュゲート化合物など、1分
子のカフェインにコンジュゲートされた2分子のアトロピンを含むハイブリッド分子を含
み得る:
【化5】
(式中、アトロピンのN-カルバマート誘導体は、1,2,3-プロパントリオール部分などの三
価リンカーにより、2つの独立した二価リンカー(L)にコンジュゲートされており、Lは、
独立に、ポリエチレングリコールリンカー(式中、nは、独立に、5~20である)、ポリアル
キルリンカー、例えば、C5-C20アルキルリンカー;C5-C6シクロアルキルリンカー;C5-C6
クロアルケニルリンカー;又はアセチルリンカー、例えば-(O(CO)CH2)-などのエステル結
合でよく、該独立した二価リンカーの一方は、N-メチル基によりアトロピン部分にさらに
コンジュゲートされており、該独立した二価リンカーの一方はR2基にさらにコンジュゲー
トされており、R2は、N1、N3、又はN7位のN-メチル基によりコンジュゲートされているカ
フェイン部分である)。例えば、例を挙げると、該ハイブリッド分子は、1,2,3-プロパン
トリオールにより、ポリエチレングリコールリンカー(式中、nは、独立に、5~20である)
である2つの独立した二価リンカー(L)にコンジュゲートされたアトロピンのN-カルバマー
ト誘導体を有し、該独立した二価リンカーの一方がN-メチル基によりアトロピン部分にさ
らにコンジュゲートされており、該独立した二価リンカーの一方がR2基にさらにコンジュ
ゲートされており、R2が、独立に、N1位のN-メチル基により独立にコンジュゲートされた
カフェイン部分である、式(V)を有するコンジュゲート化合物であり得る:
【化6】

特定の実施態様において、該ハイブリッド分子は、1,2,3-プロパントリオールにより、
ポリエチレングリコールリンカー(式中、nは、独立に、5~20である)である2つの独立し
た二価リンカー(L)にコンジュゲートされたアトロピンのN-カルバマート誘導体を有し、
該独立した二価リンカーの一方がN-メチル基によりアトロピン部分にさらにコンジュゲー
トされており、該独立した二価リンカーの一方がR2基にさらにコンジュゲートされており
、R2が、独立に、カフェインのN3又はN7位のN-メチル基により独立にコンジュゲートされ
たカフェイン部分である、式(V)を有するコンジュゲート化合物である。
【0100】
特定の実施態様において、該医薬組成物は、式(VI)のコンジュゲート化合物など、1分
子のカフェインとコンジュゲートされた1分子のトロピンを含むハイブリッド分子を含み
得る:
【化7】
(式中、トロピン部分は、1,2,3-プロパントリオール部分などの三価リンカーにより、2つ
の独立した二価リンカー(L)にコンジュゲートされており、Lは、独立に、ポリエチレング
リコールリンカー(式中、nは、独立に、5~20である)、ポリアルキルリンカー、例えば、
C5-C20アルキルリンカー;C5-C6シクロアルキルリンカー;C5-C6シクロアルケニルリンカー
;又はアセチルリンカー、例えば-(O(CO)CH2)-などのエステル結合であってよく、該2つの
独立した二価リンカーのそれぞれはR2基にさらにコンジュゲートされており、R2は、独立
に、N1、N3、又はN7位のN-メチル基により独立にコンジュゲートされたカフェイン部分で
ある)。例えば、例を挙げると、該ハイブリッド分子は、1,2,3-プロパントリオールによ
り、ポリエチレングリコールリンカー(式中、nは、独立に、5~20である)である2つの独
立した二価リンカー(L)にコンジュゲートされたトロピン部分を有し、R2が、独立に、N1
位のN-メチル基により独立にコンジュゲートされたカフェイン部分である、式(VI)を有
するコンジュゲート化合物であり得る:
【化8】

特定の実施態様において、該ハイブリッド分子は、1,2,3-プロパントリオールにより、
ポリエチレングリコールリンカー(式中、nは、独立に、5~20である)である2つの独立し
た二価リンカー(L)にコンジュゲートされたトロピン部分を有し、R2が、独立に、カフェ
インのN3又はN7位のN-メチル基により独立にコンジュゲートされたカフェイン部分である
、式(V)を有するコンジュゲート化合物である。
【0101】
特定の実施態様において、該医薬組成物は、式(VII)のコンジュゲート化合物など、1分
子のカフェインにコンジュゲートされた2分子のトロピンを含むハイブリッド分子を含み
得る:
【化9】
(式中、トロピン部分は、1,2,3-プロパントリオール部分などの三価リンカーにより、2
つの独立した二価リンカー(L)にコンジュゲートされており、Lは、独立に、ポリエチレン
グリコールリンカー(式中、nは、独立に、5~20である)、ポリアルキルリンカー、例えば
、C5-C20アルキルリンカー;C5-C6シクロアルキルリンカー;C5-C6シクロアルケニルリンカ
ー;又はアセチルリンカー、例えば-(O(CO)CH2)-などのエステル結合であってよく、該独
立した二価リンカーの一方はトロピン部分にさらにコンジュゲートされており、該独立し
た二価リンカーの一方はR2基にさらにコンジュゲートされており、R2は、N1、N3、又はN7
位のN-メチル基によりコンジュゲートされたカフェイン部分である)。例えば、例を挙げ
ると、該ハイブリッド分子は、1,2,3-プロパントリオールにより、ポリエチレングリコー
ルリンカー(式中、nは、独立に、5~20である)である2つの独立した二価リンカー(L)にコ
ンジュゲートされたトロピン部分を有し、該独立した二価リンカーの一方がトロピン部分
にさらにコンジュゲートされており、該独立した二価リンカーの一方がR2基にさらにコン
ジュゲートされており、R2が、独立に、N1位のN-メチル基により独立にコンジュゲートさ
れたカフェイン部分である、式(VII)を有するコンジュゲート化合物であり得る:
【化10】

特定の実施態様において、該ハイブリッド分子は、1,2,3-プロパントリオールにより、
ポリエチレングリコールリンカー(式中、nは、独立に、5~20である)である2つの独立し
た二価リンカー(L)にコンジュゲートされたトロピンを有し、該独立した二価リンカーの
一方がトロピン部分にさらにコンジュゲートされており、該独立した二価リンカーの一方
がR2基にさらにコンジュゲートされており、R2が、独立に、カフェインのN3又はN7位のN-
メチル基により独立にコンジュゲートされたカフェイン部分である、式(VII)を有するコ
ンジュゲート化合物である。
【0102】
特定の実施態様において、ムスカリンアンタゴニスト及びアデノシンアンタゴニストを
含むか、又はそれらからなる医薬組成物は、水性組成物、眼科用製剤、眼科用水性製剤、
点眼製剤、眼用スプレー製剤、コンタクトレンズブリスターパック内に含まれる眼用医薬
組成物、局所製剤、局所眼科用組成物、眼用ゲル製剤、眼科用乳剤、眼科用リポソーム、
ナノウエハ、ナノ粒子懸濁剤、又は眼科用軟膏の形態であり得る。
【0103】
特定の実施態様において、本明細書に開示の医薬組成物は、点眼剤の形態など、眼科用
水性製剤であり得る。例えば、本明細書に記載の眼科用水性製剤は、点眼瓶中に包装でき
、点眼剤として投与できる。特定の実施態様において、眼科用水性製剤は、単一の投与(
すなわち単回投与)として投与でき、それは、患者の眼への1滴、2滴、3滴、又はそれ以上
を含み得る。特定の実施態様において、本明細書に記載の眼科用水性製剤の1投与量は、
点眼瓶からの1滴の水性組成物である。
【0104】
特定の実施態様において、本明細書に開示の医薬組成物は、眼科用ゲル製剤であり得る
。例えば、眼科用ゲル製剤は、点眼瓶中に包装でき、点眼剤として投与できる。特定の実
施態様において、眼科用ゲル製剤は、単一の投与(すなわち単回投与)として投与でき、そ
れは、患者の眼への1滴、2滴、3滴、又はそれ以上を含み得る。特定の実施態様において
、本明細書に記載の眼科用ゲルの1投与量は、点眼瓶からの1滴のゲル組成物である。
【0105】
特定の実施態様において、本明細書に開示の医薬組成物は眼科用軟膏製剤であり得る。
例えば、眼科用軟膏製剤は、チューブ又は軟膏のストリップ(strips)を通して送達する
分注ノズルを有する他のスクイーズ容器に包装できる。特定の実施態様において、眼科用
軟膏製剤は、単一の投与(すなわち単回投与)として投与でき、それは、患者の眼への単一
のストリップ又は複数のストリップを含み得る。特定の実施態様において、眼科用軟膏の
1投与量は、分注チューブのノズルを通って分注された1ストリップの軟膏組成物である。
【0106】
特定の実施態様において、ムスカリンアンタゴニスト及びアデノシンアンタゴニストを
含むか、又はそれらからなる医薬組成物は、例えば、担体、安定剤、オスモル濃度調整剤
、保存剤、緩衝剤、又は張性調整剤、増粘剤、及び他の賦形剤を含む、1種以上の追加の
眼科用に許容し得る賦形剤及び添加剤をさらに含み得る。
【0107】
特定の実施態様において使用される担体は、典型的には局所投与に好適であり、水、水
とCからC7-アルカノールなどの水混和性溶媒との混合物、0.1~5重量%ヒドロキシエチル
セルロースを含む植物油又は鉱油、オレイン酸エチル、カルボキシメチロセルース(carbo
xymethylocelluse)及び眼科用使用のための他の水溶性ポリマー、例えば、カルボキシメ
チセルロース(methycellulose)、ヒドロキシメチルセロロース(hydroxymethylcellolose
)、ヒドロキシエチルセルロース、エチルアクルレート(acrulate)、ポリアクリルアミド
など、天然製品、例えばペクチン、アルギナート、デンプン誘導体など、並びに他の合成
製品、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテ
ル、ポリエチレンオキシド、中性Carbopolなどの架橋ポリアクリル酸、又はこれらのポリ
マーの混合物など;天然のホスファチド、例えば、レシチン、又はアルキレンオキシドと
脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアラート、又はエチレンオキシド
と長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、
又はエチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生
成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどを含み得る。例えば、
特定の実施態様において、ムスカリンアンタゴニスト及びアデノシンアンタゴニストを含
むか、又はそれらからなる医薬組成物は、追加の眼科用に許容し得る作用物質として、塩
化ナトリウムなどのオスモル濃度調整剤をさらに含み得る。特定の実施態様において、本
明細書に開示の医薬組成物と共に含まれる(contained with)追加の眼科用に許容し得る作
用物質は、保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、セトリモニウム、過ホウ酸ナトリウ
ム、安定化オキシクロロ錯体、SofZia、ポリクオタニウム-1、クロロブタノール、エデト
酸二ナトリウム、ポリヘキサメチレンビグアナイド、又はこれらの組合せなどであり得る
。特定の実施態様において、本明細書に開示の医薬組成物と共に含まれる追加の眼科用に
許容し得る作用物質は、緩衝剤、例えば、ホウ酸塩、ホウ酸塩-ポリオール錯体、リン酸
緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、有機緩衝剤、アミノ酸緩衝剤、又は
これらの組合せなどであり得る。特定の実施態様において、本明細書に開示の医薬組成物
と共に含まれる追加の眼科用に許容し得る作用物質は、張性調整剤、例えば、塩化ナトリ
ウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化カル
シウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリ
ウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウ
ム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、デキストロース、マンニトール、
ソルビトール、デキストロース、スクロース、尿素、プロピレングリコール、グリセリン
、又はこれらの組合せなどであり得る。
【0108】
特定の実施態様において、ムスカリンアンタゴニスト及びアデノシンアンタゴニストを
含むか、又はそれらからなる医薬組成物は、眼用装置内に含まれる持続放出製剤などの持
続放出製剤又は結膜下デポの形態であり得る。例えば、特定の実施態様において、ムスカ
リンアンタゴニスト及びアデノシンアンタゴニストを含むか、又はそれらからなる医薬組
成物は、眼用装置内に含まれる持続放出製剤であり、該眼用装置は、コンタクトレンズ、
眼内挿入物、角膜アンレー、角膜インレー、ナノウエハ、リポソーム、ナノ粒子、涙点プ
ラグ、又はマイクロ流体リザーバーを有するハイドロゲルマトリックスであり得る。本明
細書に開示の医薬組成物の持続放出製剤は、眼用装置内に含まれる場合、該眼用装置から
持続放出的に送達される。特定の実施態様において、ムスカリンアンタゴニスト及びアデ
ノシンアンタゴニストを含むか、又はそれらからなる、眼科用組成物などの医薬組成物は
、該眼用装置全体にわたって実質的に均一に(例えば、80~95%の間の均一性など、少なく
とも50%均一性)分布され得る。
【0109】
特定の実施態様において、ムスカリンアンタゴニスト及びアデノシンアンタゴニストを
含むか、又はそれらからなる医薬組成物は、眼科用組成物として製剤され得て、例えば、
近視前症、近視、又は近視の進行の治療のためなど、眼の疾患又は病態の治療のための眼
科用組成物として製剤され得る。特定の実施態様において、ムスカリンアンタゴニスト及
びアデノシンアンタゴニストを含むか、又はそれらからなる医薬組成物は、強度近視(-6.
00ディオプトリーを超えるなど、-5.00ディオプトリー(D)を超える近視(すなわち、0.00
ディオペーター(diopeters)より負で、さらに離れている))の治療のための眼科用組成物
として製剤され得る。特定の実施態様において、ムスカリンアンタゴニスト及びアデノシ
ンアンタゴニストを含むか、又はそれらからなる医薬組成物は、中度近視(約-3.00ディオ
プトリーから約-5.00ディオプトリーの間の範囲の近視)の治療のための眼科用組成物とし
て製剤され得る。特定の実施態様において、ムスカリンアンタゴニスト及びアデノシンア
ンタゴニストを含むか、又はそれらからなる医薬組成物は、軽度近視(-3.00ディオプトリ
ー以下、すなわち0.00ディオプトリーに近い近視)の治療のための眼科用組成物として製
剤され得る。特定の実施態様において、ムスカリンアンタゴニスト及びアデノシンアンタ
ゴニストを含むか、又はそれらからなる医薬組成物は、近視前症である(又は近視になる
危険性がある)と診断された患者の治療のための眼科用組成物として製剤され得る。
【0110】
本願は、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する方法であって、ムスカリンアン
タゴニスト及びアデノシンアンタゴニストを含む(本明細書に開示の)医薬組成物を投与す
ることを含む方法をさらに提供する。特定の実施態様において、本明細書に開示の治療方
法は、治療される患者の近視の進行を予防又は制御するなど、治療される患者の近視の進
行を予防し、制御し、緩徐化し、減少させ、抑制し、且つ/又は緩和させる。例えば、特
定の実施態様において、本明細書に開示の治療方法は、治療される患者の近視の進行を、
無治療に対して、およそ5~95%の間、およそ5~90%の間、およそ5~80%の間、およそ5~7
0%の間、およそ5~60%の間、およそ5~50%の間、およそ5~40%の間、およそ5~30%の間、
およそ5~20%の間、およそ10~100%の間、およそ20~90%の間、およそ25~90%の間、およ
そ30~90%の間、およそ40~90%の間、およそ50~90%の間、又はおよそ75~90%の間の範囲
で、制御し、緩徐化し、減少させ、抑制し、且つ/又は緩和させる。特定の実施態様にお
いて、本明細書に開示の治療方法は、治療される患者の近視の進行を予防し、且つ/又は
逆転させる。近視を患っている患者は、近視になる危険性がある(例えば、近視前症であ
る)か、又は強度近視、中度近視、若しくは軽度近視を患っている。特定の実施態様にお
いて、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する本明細書に開示の方法、該患者は、
年齢が約4~18歳であるか、又は約16~26歳である。
【0111】
特定の実施態様において、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する本明細書に開
示の方法は、治療される患者の眼の脈絡膜厚さを増加させることができ、例えば、治療さ
れる患者の眼の脈絡膜厚さを、無治療に対して、およそ5~95%の間、およそ5~90%の間、
およそ5~80%の間、およそ5~70%の間、およそ5~60%の間、およそ5~50%の間、およそ5
~40%の間、およそ5~30%の間、およそ5~20%の間、およそ10~100%の間、およそ20~90%
の間、およそ25~90%の間、およそ30~90%の間、およそ40~90%の間、およそ50~90%の間
、又はおよそ75~90%の間の範囲で増加させ得るなど、治療される患者の眼の脈絡膜厚さ
を、無治療に対して、およそ5~100%の間の範囲で増加させ得る。
【0112】
特定の実施態様において、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する本明細書に開
示の方法は、治療される患者の眼の軸方向(又は長さ方向)の成長を、制御し、緩徐化し、
減少させ、抑制し、且つ/又は緩和させることができ、例えば、治療される患者の眼の軸
方向(又は長さ方向)の成長を、無治療に対して、およそ5~95%の間、およそ5~90%の間、
およそ5~80%の間、およそ5~70%の間、およそ5~60%の間、およそ5~50%の間、およそ5
~40%の間、およそ5~30%の間、およそ5~20%の間、およそ10~100%の間、およそ20~90%
の間、およそ25~90%の間、およそ30~90%の間、およそ40~90%の間、およそ50~90%の間
、又はおよそ75~90%の間の範囲で制御し、緩徐化し、減少させ、抑制し、且つ/又は緩
和させ得るなど、治療される患者の眼の軸方向(又は長さ方向)の成長を、無治療に対して
、およそ5~100%の間の範囲で制御し、緩徐化し、減少させ、抑制し、且つ/又は緩和さ
せ得る。
【0113】
特定の実施態様において、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する本明細書に開
示の方法は、ムスカリンアンタゴニストを含む医薬組成物を投与すること及びアデノシン
アンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含み得る。例えば、該治療方法は、ム
スカリンアンタゴニスト及びアデノシンアンタゴニストを、単一の合わされた医薬組成物
ではなく、別々な医薬組成物(又は薬剤)として共投与することを含み得る。特定の実施態
様において、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する方法は、ムスカリンアンタゴ
ニストを含む医薬組成物を、アデノシンアンタゴニストを含む医薬組成物と同時に共投与
すること、又は連続的に共投与すること(ムスカリンアンタゴニストを投与し、それに続
いてアデノシンアンタゴニストを投与するか、又はアデノシンアンタゴニストを投与し、
それに続いてムスカリンアンタゴニストを投与する)を含み得る。特定の実施態様におい
て、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する方法は、アデノシンアンタゴニストと
コンジュゲートされたムスカリンアンタゴニストを含むハイブリッド分子を投与すること
を含み得る。特定の実施態様において、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する方
法は、1分子以上のアデノシンアンタゴニストとコンジュゲートされた1分子以上のムスカ
リンアンタゴニストを含むハイブリッド分子を投与することを含み得る。
【0114】
特定の実施態様において、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する本明細書に開
示の方法は、約1か月から10年の間の期間、例えば、少なくとも6か月、少なくとも1年、
少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも5年、少なくとも7年、又は少なくとも9年の
期間、患者を治療することを含み得る。
【0115】
特定の実施態様において、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する本明細書に開
示の方法は、アトロピン単独療法に対して、重症度が低い有害な副作用をもたらし得る。
例えば、ムスカリンアンタゴニスト及びアデノシンアンタゴニストを含む医薬組成物によ
り近視を治療する本明細書に開示の方法により、治療される患者は、アトロピン単独療法
に対して、瞳孔径のより小さい増加を有し得る。特定の実施態様において、ムスカリンア
ンタゴニスト及びアデノシンアンタゴニストを含む医薬組成物により近視を治療する本明
細書に開示の方法により、治療される患者は、アトロピン単独療法に対して、調節幅のよ
り小さい減少を有し得る。
【0116】
特定の実施態様において、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する本明細書に開
示の方法、該医薬組成物は、患者の眼に眼科的に直接投与され得るか、又は患者に局所投
与され得る。例えば、特定の実施態様において、該医薬組成物は、本明細書に開示の近視
を治療する方法に従って、点眼製剤、眼用スプレー製剤、眼用ゲル製剤、眼科用乳剤、眼
科用リポソーム、ナノウエハ、ナノ粒子懸濁剤、又は眼科用軟膏の形態で眼に投与され得
る。例えば、特定の実施態様において、該医薬組成物は、本明細書に開示の近視を治療す
る方法に従って、眼用装置により患者の眼に眼科的に投与され得るが、該眼用装置は、コ
ンタクトレンズ、眼内挿入物、角膜アンレー、角膜インレー、ナノウエハ、リポソーム、
ナノ粒子、涙点プラグ、又はマイクロ流体リザーバーを有するハイドロゲルマトリックス
であり得る。特定の実施態様において、該医薬組成物は、眼用装置から持続放出的に投与
され得る。
【0117】
特定の実施態様において、近視の治療を必要とする患者の近視を治療する本明細書に開
示の方法、該医薬組成物は、1日あたり1、2、3、4、又は5回、例えば1日あたり1回など1
日あたり1~3回投与され得る。
【実施例0118】
(実施例)
以下の点眼製剤を、霊長類の眼(動物656及び動物659、それぞれ実施例1及び2に対応す
る)に使用して、脈絡膜厚さの変化を表した:0.1重量%アトロピン単独療法(滅菌された0.3
重量%ヒドロキシル-プロピルメチルセルロース(「HPMC」)水溶液中の0.1重量%アトロピン
、1.4重量%カフェイン単独療法(滅菌された0.3重量%HPMC水溶液中の1.4重量%カフェイン
クエン酸塩)、及び0.1重量%アトロピン/1.4重量%カフェイン併用療法(滅菌された0.3重量
%HPMC水溶液中の0.1重量%アトロピン及び1.4重量%カフェインクエン酸塩溶液)。
【0119】
脈絡膜厚さの変化の測定に関して、脈絡膜厚さの増加を、近視の治療の有効性を評価す
ることとの可能性のある相関を示唆しながら、眼の成長の変化に影響を及ぼすことの有効
性の程度の指標として使用したことが留意される。
(実施例1:)
図1にまとめる通り、この実験において、霊長類656のベースライン脈絡膜厚さを、両眼
の眼の干渉断層撮影(Ocular Coherence Tomography)(OCT)によりベースライン1(B1)で測
定し、2週間後に(B2)繰り返した。第1日(2回目のベースライン測定の5日後)から、1滴の0
.1重量%アトロピン単独療法を1日1回2日間右眼のみに滴下した。次いで、第3日に、OCTに
よる脈絡膜厚さ測定を両眼で実施し、もう1滴の0.1重量%アトロピン単独療法を右眼のみ
に滴下し、脈絡膜厚さを再び両眼で測定した。2週間の休薬期間の後(すなわち第18日から
)、1滴の1.4重量%カフェイン単独療法を、1日1回2日間左目のみに滴下した。第20日に、
両眼の脈絡膜厚さを、OCTを使用して測定し、もう1滴の1.4重量%カフェイン単独療法を左
目のみに滴下し、次いで、20分後に脈絡膜厚さを両眼で測定した。次いで、2週間の第2の
休薬期間をおき、第35日から、0.1重量%アトロピン/1.4重量%カフェイン併用療法を、1日
1回2日間右眼のみに滴下した。第37日に、両眼の脈絡膜厚さをOCTにより測定し、もう1滴
の0.1重量%アトロピン/1.4重量%カフェイン併用療法を右眼のみに滴下し、次いで、20分
後に脈絡膜厚さを再び両眼で測定した。第37日の最終測定の後、回復期間(Recovery Peri
od)の2週間にわたり点眼剤を全く滴下せず、その後に、両眼の脈絡膜厚さを第57日に再び
測定した。図1に表した手順にまとめた一連の事象を表1にも詳述する。
表1
【表1】
【0120】
この実験の間に測定した脈絡膜厚さ結果を図2に示す;図中で、OSは左眼を指し(白丸で
示す)、ODは右眼を指す(黒丸で示す)。ベースライン1及び2での両眼の脈絡膜厚さ測定値
はおよそ約174μmから約180μmの範囲であり、右眼と左眼で類似であった。0.1重量%アト
ロピン単独療法を、1日1回2日間右眼のみに使用すると脈絡膜厚さが増加し(約195~198μ
mに増加)、同様に、1.4重量%カフェイン単独療法を左眼のみに1日1回2日間使用すると脈
絡膜厚さが増加した。0.1重量%アトロピン単独療法又は1.4重量%カフェイン単独療法の使
用を中断すると、脈絡膜厚さが減少した。1日1回2日間の右眼のみの1滴の0.1重量%アトロ
ピン/1.4重量%カフェイン併用療法の使用により、やはり脈絡膜厚さが増加した。1滴の0.
1重量%アトロピン/1.4重量%カフェイン併用療法の滴下20分後に観察された脈絡膜厚さの
増加は、0.1重量%アトロピン単独療法か1.4重量%カフェイン単独療法のいずれかの1滴の
滴下20分後に観察された脈絡膜厚さの増加より大きく、意義深いことには、1.4重量%カフ
ェイン単独療法と合わせた1滴の0.1重量%アトロピン単独療法の滴下20分後に観察された
脈絡膜厚さの相加的増加よりも大きかった。図2に示すこの実験の間に測定した脈絡膜厚
さ結果を表2にも与える。
表2
【表2】
【0121】
このデータは、アトロピンなどのムスカリンアンタゴニストと、カフェインなどのアデ
ノシンアンタゴニストとの組合せの投与により、いずれかの単独療法により達成される脈
絡膜厚さの増加に対して、OCTにより測定される脈絡膜厚さが増加するという相乗効果が
与えられることを示唆する。有害作用は0.1重量%濃度のアトロピンの使用から生じるが(
データはここに示さず)、このデータは、カフェインなどのアデノシンアンタゴニストの
追加がアトロピンなどのムスカリンアンタゴニストの活性を減少させず、アデノシンアン
タゴニストの追加がムスカリンアンタゴニストの効能を改善し得ることを示す。さらに、
このデータは、アデノシンアンタゴニストをムスカリンアンタゴニストと組み合わせるこ
とが、有害な副作用が最小化又は減少され得るような、ムスカリンアンタゴニスト単独療
法と関連する有害な副作用を緩和させる経路を提供する一方で、例えば低投与量のアトロ
ピンなどのムスカリンアンタゴニストをカフェインなどのアデノシンアンタゴニストと組
み合わせて利用することにより近視を治療することの有効性を同時に増加又は維持し得る
ことも示唆する。
【0122】
(実施例2:)
図3にまとめられる通り、この実験において、霊長類659のベースライン脈絡膜厚さを、
OCTにより両眼でベースライン1(B1)に測定し、2週間後に(B2)繰り返した。第1日(2回目の
ベースライン測定の5日後)から、1滴の1.4重量%カフェイン単独療法を右眼のみに1日1回2
日間滴下した。次いで、第3日に、OCTによる脈絡膜厚さ測定を両眼で実施し、もう1滴の1
.4重量%カフェイン単独療法を右眼のみに滴下し、脈絡膜厚さを再び両眼で測定した。2週
間の休薬期間の後(すなわち第18日から)、1滴の0.1重量%アトロピン単独療法を左眼のみ
に1日1回2日間滴下した。第20日に、両眼の脈絡膜厚さを、OCTを使用して測定し、もう1
滴の0.1重量%アトロピン単独療法を左眼のみに滴下し、次いで、脈絡膜厚さを20分後に両
眼で再び測定した。次いで、2週間の第2の休薬期間をおき、第35日から、0.1重量%アトロ
ピン/1.4重量%カフェイン併用療法を右眼のみに1日1回2日間滴下した。第37日に、両眼の
脈絡膜厚さをOCTにより測定し、もう1滴の0.1重量%アトロピン/1.4重量%カフェイン併用
療法を右眼のみに滴下し、次いで、脈絡膜厚さを20分後に両眼で再び測定した。第37日の
最終測定の後に、回復期間の2週間にわたり点眼剤を全く滴下せず、その後に、両眼の脈
絡膜厚さを第57日に再び測定した。図3に表した手順にまとめた一連の事象を表3にも詳述
する。
表3
【表3】
【0123】
この実験の間に測定した脈絡膜厚さ結果を図4に示す;図中で、OSは左眼を指し(白丸で
示す)、ODは右眼を指す(黒丸で示す)。ベースライン1及び2での両眼の脈絡膜厚さ測定値
はおよそ約175μmから約180μmの範囲であり、右眼と左眼で類似であった。0.1重量%アト
ロピン単独療法を、1日1回2日間右眼のみに使用すると脈絡膜厚さが増加し(約195~200μ
mに増加した)、同様に、1.4重量%カフェイン単独療法を左眼のみに、1日1回2日間使用す
ると脈絡膜厚さが増加した。0.1重量%アトロピン単独療法又は1.4重量%カフェイン単独療
法の使用を中断すると、脈絡膜厚さが減少した。1滴の0.1重量%アトロピン/1.4重量%カフ
ェイン併用療法を、1日1回2日間右眼のみに使用するとやはり脈絡膜厚さが増加した。1滴
の0.1重量%アトロピン/1.4重量%カフェイン併用療法の滴下20分後に観察された脈絡膜厚
さの増加は、0.1重量%アトロピン単独療法か1.4重量%カフェイン単独療法のいずれかの1
滴の滴下20分後に観察された脈絡膜厚さの増加より大きく、意義深いことには、1.4重量%
カフェイン単独療法と合わせた1滴の0.1重量%アトロピン単独療法の滴下20分後に観察さ
れた脈絡膜厚さの相加的増加よりも大きかった。図4に示すこの実験の間に測定した脈絡
膜厚さ結果を表4にも与える。
表4
【表4】
【0124】
このデータは、カフェインなどのアデノシンアンタゴニストと組み合わせたアトロピン
などのムスカリンアンタゴニストの組合せの投与により、いずれかの単独療法により達成
された脈絡膜厚さの増加に対して、OCTにより測定される脈絡膜厚さが増加するという相
乗効果が与えられることを示唆する。有害作用は0.1重量%濃度のアトロピンの使用から生
じるが(データはここに示さず)、このデータは、カフェインなどのアデノシンアンタゴニ
ストの追加がアトロピンなどのムスカリンアンタゴニストの活性を減少させず、アデノシ
ンアンタゴニストの追加がムスカリンアンタゴニストの効能を改善し得ることを示す。さ
らに、このデータは、アデノシンアンタゴニストをムスカリンアンタゴニストと組み合わ
せることが、有害な副作用が最小化又は減少され得るような、ムスカリンアンタゴニスト
単独療法と関連する有害な副作用を緩和させる経路を提供する一方で、例えば低投与量の
アトロピンなどのムスカリンアンタゴニストをカフェインなどのアデノシンアンタゴニス
トと組み合わせて利用することにより近視を治療することの有効性を同時に増加又は維持
し得ることも示唆する。
【0125】
(実施例3)
図5A~5Bは、第26日に右眼に-3.00Dレンズ(図5A及び5Bの黒丸)及び左眼にプラノレンズ
(図5A及び5Bの白丸)で開始した霊長類736の詳細を与える。次いで、霊長類に、1滴の0.02
重量%アトロピン組成物を、両眼に毎日第94日まで投与した。右眼及び左眼のベースライ
ン等価球面(S.E.)屈折度数(spherical equivalent refractive error)及び軸長は、それ
ぞれ、+3.50D、8.94mm及び+4.00D、8.96mmであった。先の実験から得たエビデンスは、-3
.00Dレンズの使用により、眼が近視になることを示す。図5Aからわかる通り、両眼は遠視
が増加し続け、右眼は近視にならなかった。第94日に、等価球面屈折度数は、右眼及び左
眼で、それぞれ+5.19D及び+5.00Dであり(図5A)、硝子体腔深度(vitreous chamber depth)
は、右眼及び左眼で、それぞれ9.24mm及び9.49mmであった(図5B)。5A~5Bに表す右眼及び
左眼の屈折度数及び硝子体腔深度データを、右眼及び左眼の角膜曲率、軸長、レンズ厚さ
、及び前房深度データと共に表5に与える(OD=右眼、OS=左眼、OU=両眼、IOD=眼内の差異)
。表5及び図5A~5Bに表されたものは、アトロピンの使用がレンズ誘発性近視を予防する
ことを示唆する。
【0126】
図5C~5Dは、誕生から第23日に右眼に-3.00D(図5C及び5Dの黒丸)及び左眼にプラノ(図5
C及び5Dの黒丸)を装着された霊長類738の詳細を与える。次いで、両眼に、1滴の組合せ組
成物(0.02重量%アトロピンと1.4重量%カフェイン)を毎日1回第88日まで投与した。図5C
らわかる通り、眼の屈折度数は、処置期間にわたり比較的安定なままであった(右眼及び
左眼のベースライン等価球面(S.E.)屈折度数は、それぞれ+2.38D及び+1.75Dであった;第8
8日の等価球面屈折度数は、それぞれ+2.75D及び+3.31Dであった)。第88日の硝子体腔深度
は、それぞれ9.49mm及び9.51mmであった(ベースライン硝子体腔深度は、図5Dに示される
通り、右眼及び左眼で、それぞれ8.75mm及び8.71mmであった)。図5C~5Dに表す右眼及び
左眼の屈折度数及び硝子体腔深度データを、右眼及び左眼の角膜曲率、軸長、レンズ厚さ
、及び前房深度データと共に表6に与える(OD=右眼、OS=左眼、OU=両眼、IOD=眼内の差異)
。この短期間評価の表6及び図5C~5Dに表すデータは、表5及び図5A~5Bに表すデータに対
して、アトロピン、例えば0.05重量%未満の濃度のアトロピンなどの低濃度のアトロピン
の効能が、カフェインと組み合わされても、レンズ誘発性近視の予防において維持される
ことを示唆する。
表5
【表5】
表6
【表6】
【0127】
(実施例4)
20人のヒト参加者を対象とした二重盲検クロスオーバー臨床安全性評価試験において、
0.02%アトロピンと1.4%カフェインを含む単一の点眼組成物の短期使用に対する眼の反応
を評価した。0.3%ヒドロキシル-プロピルメチルセルロースは対照として機能した。ベー
スライン来院の後で、参加者を、試験点眼剤を1日1回5日間、又は対照点眼剤を1日1回5日
間使用するように割り付け、その後に、経過観察来院があった。来院の最後に、点眼剤の
使用を中止し、それに続いて2晩の休薬期間があり、その間は点眼剤を全く使用しなかっ
た。休薬期間後に、残りの点眼剤を1日1回さらに5日間使用した。この試験の結果は、表7
に表すが、全ての点眼剤が、試験の継続期間の間、発赤(眼球結膜発赤又は眼瞼結膜発赤)
、角膜着色、又は眼内圧上昇などの1種以上の有害作用を誘導しなかったことを示唆する

表7
【表7】
表の備考: グレード0-4は、0-なし、1-わずか、2-軽度、3-中度、及び4-重度である。
【0128】
表7からわかる通り、眼球及び眼瞼結膜の発赤はベースラインで軽度であり、ベースラ
イン来院のおよそ5日後に実施した評価来院時に増加しなかった。0.5グレードの発赤の増
加が重要であると考えられ、そのような変化は組合せ(1.4%カフェインと0.02%アトロピン
)点眼剤の使用により全く見られなかった。角膜着色はごくわずかであり、点眼剤の使用
により増加を示さなかった。眼内圧は、ベースライン来院及び評価来院時に正常範囲内で
あった。この試験は、ヒト参加者における、点眼組成物など本明細書に開示の医薬組成物
の安全性(アトロピン単独療法などのムスカリンアンタゴニスト単独療法と関連する有害
な副作用の緩和、減少、及び/又は回避)を少なくとも表す。
【0129】
(例示的な実施態様)
一実施態様において、医薬組成物は、ムスカリン受容体アンタゴニスト及びアデノシン
受容体アンタゴニストを含む。
【0130】
一実施態様において、医薬組成物は、低濃度の非選択的ムスカリン受容体アンタゴニス
ト及びアデノシン受容体アンタゴニストを含む。
【0131】
一実施態様において、医薬組成物は、0.05重量%未満の濃度の非選択的ムスカリン受容
体アンタゴニスト及びアデノシン受容体アンタゴニストを含む。
【0132】
一実施態様において、i)0.05重量%未満の濃度の非選択的ムスカリン受容体アンタゴニ
スト;及びii)約1~5重量%の間の濃度の非選択的アデノシン受容体アンタゴニストを含む
医薬組成物;前記医薬組成物は、対象の眼に適用される場合、眼の明所視瞳孔径を、約2mm
を超えて増加させない。
【0133】
一実施態様において、眼用装置は、ムスカリン受容体アンタゴニスト及びアデノシン受
容体アンタゴニストを含む医薬組成物を含み、該眼用装置は該医薬組成物を持続放出的に
送達する。
【0134】
一実施態様において、対象の近視を治療する方法は、ムスカリン受容体アンタゴニスト
及びアデノシン受容体アンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0135】
一実施態様において、対象の近視を治療する方法は、ムスカリン受容体アンタゴニスト
を含む医薬組成物を投与すること及びアデノシン受容体アンタゴニストを含む医薬組成物
を投与することを含む。
【0136】
一実施態様において、対象の近視を治療する方法は、ムスカリン受容体アンタゴニスト
及びアデノシン受容体アンタゴニストを含む医薬組成物を含む眼用装置を投与することを
含む。
【0137】
特定の実施態様において、以下のさらなる実施態様の1つ又は2つ以上(例えば全部を含
む)は、他の実施態様のそれぞれ又はその部分を含み得る。
【0138】
さらなる実施態様において、該対象がヒト患者である、上記実施態様のいずれか1つ及
び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の
方法。
【0139】
さらなる実施態様において、該対象がそれを必要とする患者である、上記実施態様のい
ずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、
又は治療の方法。
【0140】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストが非選択的ムスカリン
性アセチルコリン作動性アンタゴニストである、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細
書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0141】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストがM1選択的アンタゴニ
ストである、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ
以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0142】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストが、アトロピン、アト
ロピン硫酸塩、ノルアトロピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、硝酸メ
チルアトロピン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ジサイクロミン、フラボキ
サート、オキシブチニン、チオトロピウム、ヒヨスチン、スコポロミン(L-ヒヨスチン)、
ヒドロキシジン、イプラトロピウム、トロピカミド、シクロペントラート、ピレンゼピン
、ホマトロピン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、ベンザトロピン、メベベリン、プロ
シクリジン、アクリジニウムブロミド、トリヘキシフェニジル/ベンズヘキソール、トル
テロジン、又はその医薬として許容し得る塩である、上記実施態様のいずれか1つ及び本
明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法
【0143】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストが、アトロピン又はそ
の医薬として許容し得る塩である、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる
実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0144】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストが、トロピン又はその
医薬として許容し得る塩である、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実
施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0145】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストがトロパ酸である、上
記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成
物、眼用装置、又は治療の方法。
【0146】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストが、該医薬組成物に対
して0.05重量%未満の量で存在する、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる
実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0147】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストが、該医薬組成物に対
して、およそ0.001重量%から0.05重量%未満の間の範囲の量で存在する、上記実施態様の
いずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置
、又は治療の方法。
【0148】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストが、該医薬組成物に対
して、およそ0.001~0.045重量%の間、およそ0.001~0.04重量%の間、およそ0.001~0.03
5重量%の間、およそ0.001~0.03重量%の間、およそ0.001~0.025重量%の間、およそ0.001
~0.02重量%の間、およそ0.001~0.015重量%の間、およそ0.001~0.01重量%の間、およそ
0.001~0.005重量%の間、およそ0.005~0.03重量%の間、およそ0.005~0.04重量%の間、
およそ0.01~0.03重量%の間、およそ0.01~0.045重量%の間、およそ0.01~0.04重量%の間
、およそ0.02~0.04重量%の間、およそ0.02~0.03重量%の間、およそ0.015~0.025重量%
の間、およそ0.015~0.03重量%の間、又はおよそ0.015~0.035重量%の間など、およそ0.0
01重量%から0.05重量%未満の間の範囲の量で存在する、上記実施態様のいずれか1つ及び
本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方
法。
【0149】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストが、該医薬組成物に対
して、およそ0.001重量%、およそ0.002重量%、およそ0.005重量%、およそ0.01重量%、お
よそ0.015重量%、およそ0.02重量%、およそ0.025重量%、およそ0.03重量%、およそ0.035
重量%、およそ0.04重量%、又はおよそ0.045重量%の量で存在する、上記実施態様のいずれ
か1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は
治療の方法。
【0150】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストが、該医薬組成物に対
して、0.05重量%未満の濃度で使用されるなど、低濃度で使用され、例えば、およそ0.045
重量%以下、およそ0.04重量%以下、およそ0.035重量%以下、又はおよそ0.03重量%以下の
濃度など、約0.05重量%未満から0.001重量%以上の間の濃度で使用される、上記実施態様
のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装
置、又は治療の方法。
【0151】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストがアトロピンであり、
該医薬組成物に対して、0.05重量%未満の濃度で使用されるなど、低濃度で使用され、例
えば、およそ0.045重量%以下、およそ0.04重量%以下、およそ0.035重量%以下、若しくは
およそ0.03重量%以下の濃度、又はおよそ0.045重量%から0.001重量%の間、およそ0.04重
量%から0.001重量%の間、およそ0.035重量%から0.001重量%の間、およそ0.03重量%から0.
001重量%の間、およそ0.025重量%から0.001重量%の間、およそ0.02重量%から0.001重量%
の間、およそ0.015重量%から0.001重量%の間、およそ0.01重量%から0.001重量%の間、0.0
1重量%未満から0.001重量%の間、およそ0.045重量%から0.01重量%の間、およそ0.04重量%
から0.02重量%の間、およそ0.03重量%から0.02重量%、若しくはおよそ0.03重量%から0.01
重量%の間など、0.05重量%未満から0.001重量%の間の範囲の濃度など、約0.05重量%未満
から0.001重量%以上の間の濃度で使用される、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書
のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0152】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストがアトロピンであり、
該医薬組成物に対して、およそ0.001重量%の濃度で存在する、上記実施態様のいずれか1
つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治
療の方法。
【0153】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストがアトロピンであり、
該医薬組成物に対して、およそ0.005重量%の濃度で存在する、上記実施態様のいずれか1
つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治
療の方法。
【0154】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストがアトロピンであり、
該医薬組成物に対して、およそ0.01重量%の濃度で存在する、上記実施態様のいずれか1つ
及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療
の方法。
【0155】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストがアトロピンであり、
該医薬組成物に対して、およそ0.02重量%の濃度で存在する、上記実施態様のいずれか1つ
及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療
の方法。
【0156】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストがアトロピンであり、
該医薬組成物に対して、およそ0.03重量%の濃度で存在する、上記実施態様のいずれか1つ
及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療
の方法。
【0157】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストがアトロピンであり、
該医薬組成物に対して、およそ0.04重量%の濃度で存在する、上記実施態様のいずれか1つ
及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療
の方法。
【0158】
さらなる実施態様において、該アデノシン受容体アンタゴニストが非選択的アデノシン
受容体アンタゴニストである、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施
態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0159】
さらなる実施態様において、該非選択的アデノシン受容体アンタゴニストがキサンチン
誘導体又はその医薬として許容し得る塩である、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細
書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0160】
さらなる実施態様において、該非選択的アデノシン受容体アンタゴニストがカフェイン
又はその医薬として許容し得る塩である、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさ
らなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0161】
さらなる実施態様において、該非選択的アデノシン受容体アンタゴニストがカフェイン
クエン酸塩である、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいず
れか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0162】
さらなる実施態様において、該非選択的アデノシン受容体アンタゴニストが7-メチルキ
サンチン又はその医薬として許容し得る塩である、上記実施態様のいずれか1つ及び本明
細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0163】
さらなる実施態様において、該アデノシン受容体アンタゴニストが、該医薬組成物に対
して、およそ0.1~5.0重量%の間の範囲の量で存在する、上記実施態様のいずれか1つ及び
本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方
法。
【0164】
さらなる実施態様において、該アデノシン受容体アンタゴニストが、該医薬組成物に対
して、およそ0.1~4.0重量%の間、およそ0.1~3.0重量%の間、およそ0.1~2.0重量%の間
、およそ0.1~1.0重量%の間、およそ0.5~5.0重量%の間、およそ1.0~5.0重量%の間、1.0
~2.0重量%の間、およそ2.0~5.0重量%の間、およそ3.0~5.0重量%の間、又はおよそ4.0
~5.0重量%の間の範囲の量で存在する、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさら
なる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0165】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストがアトロピンであり、
およそ0.01~0.04%の範囲の濃度で存在し、アデノシン受容体アンタゴニストがカフェイ
ンであり、該医薬組成物に対して、およそ0.5~3.0%の範囲の濃度で存在する、上記実施
態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼
用装置、又は治療の方法。
【0166】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストがアトロピンであり、
およそ0.02~0.04%の範囲の濃度で存在し、アデノシン受容体アンタゴニストがカフェイ
ンであり、該医薬組成物に対して、およそ1.0~2.0%の範囲の濃度で存在する、上記実施
態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼
用装置、又は治療の方法。
【0167】
さらなる実施態様において、該ムスカリン受容体アンタゴニストがアトロピンであり、
およそ0.03%の濃度で存在し、アデノシン受容体アンタゴニストがカフェインであり、該
医薬組成物に対して、およそ0.5~3.0%の範囲の濃度で存在する、上記実施態様のいずれ
か1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は
治療の方法。
【0168】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が水性組成物である、上記実施態様のいずれ
か1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は
治療の方法。
【0169】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が眼科用製剤である、上記実施態様のいずれ
か1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は
治療の方法。
【0170】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が眼科用水性製剤である、上記実施態様のい
ずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、
又は治療の方法。
【0171】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が点眼製剤である、上記実施態様のいずれか
1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治
療の方法。
【0172】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が眼用スプレー製剤である、上記実施態様の
いずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置
、又は治療の方法。
【0173】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、コンタクトレンズブリスターパック内に
含まれる眼用医薬組成物である、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実
施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0174】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が局所製剤である、上記実施態様のいずれか
1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治
療の方法。
【0175】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が眼科用組成物である、上記実施態様のいず
れか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又
は治療の方法。
【0176】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が局所眼科用組成物である、上記実施態様の
いずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置
、又は治療の方法。
【0177】
さらなる実施態様において、該眼科用組成物が局所眼科用組成物である、上記実施態様
のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装
置、又は治療の方法。
【0178】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が眼用ゲル製剤である、上記実施態様のいず
れか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又
は治療の方法。
【0179】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が眼科用乳剤である、上記実施態様のいずれ
か1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は
治療の方法。
【0180】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が眼科用リポソームである、上記実施態様の
いずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置
、又は治療の方法。
【0181】
さらなる実施態様において、該医薬組成物がナノウエハである、上記実施態様のいずれ
か1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は
治療の方法。
【0182】
さらなる実施態様において、該医薬組成物がナノ粒子懸濁剤である、上記実施態様のい
ずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、
又は治療の方法。
【0183】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が眼科用軟膏である、上記実施態様のいずれ
か1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は
治療の方法。
【0184】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、担体、安定剤、オスモル濃度調整剤、保
存剤、緩衝剤、張性調整剤、増粘剤、又は他の賦形剤を含む、1種以上の追加の眼科用に
許容し得る賦形剤及び添加剤をさらに含む、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書の
さらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0185】
さらなる実施態様において、該担体が、水、水と水混和性溶媒との混合物、0.1~5重量
%のヒドロキシエチルセルロースを含む植物油若しくは鉱油、オレイン酸エチル、カルボ
キシメチロセルース、カルボキシメチセルロース、ヒドロキシメチルセロロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、エチルアクルレート、ポリアクリルアミド、ペクチン、アルギナ
ート、デンプン誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチ
ルエーテル、ポリエチレンオキシド、架橋ポリアクリル酸、Carbopol、レシチン、ポリオ
キシエチレンステアラート、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はポリオキシエチ
レンソルビトールモノオレアートからなる群から選択される、上記実施態様のいずれか1
つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治
療の方法。
【0186】
さらなる実施態様において、該オスモル濃度調整剤が塩化ナトリウムである、上記実施
態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼
用装置、又は治療の方法。
【0187】
さらなる実施態様において、該保存剤が、塩化ベンザルコニウム、セトリモニウム、過
ホウ酸ナトリウム、安定化オキシクロロ錯体、SofZia、ポリクオタニウム-1、クロロブタ
ノール、エデト酸二ナトリウム、ポリヘキサメチレンビグアナイド、又はこれらの組合せ
から選択される、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれ
か1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0188】
さらなる実施態様において、該緩衝剤が、ホウ酸塩、ホウ酸塩-ポリオール錯体、リン
酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、有機緩衝剤、アミノ酸緩衝剤、又
はこれらの組合せから選択される、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる
実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0189】
さらなる実施態様において、該張性調整剤が、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸
ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、
塩化亜鉛、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ
硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム
、リン酸二水素カリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デキストロー
ス、スクロース、尿素、プロピレングリコール、グリセリン、又はこれらの組合せから選
択される、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以
上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0190】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、持続放出製剤又は結膜下デポである、上
記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成
物、眼用装置、又は治療の方法。
【0191】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が持続放出製剤である、上記実施態様のいず
れか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又
は治療の方法。
【0192】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、眼用装置内に含まれる持続放出製剤であ
る、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医
薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0193】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が眼用装置内に含まれている、上記実施態様
のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装
置、又は治療の方法。
【0194】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が眼科用組成物であり、該眼科用組成物が眼
用装置内に含まれている、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様
のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0195】
さらなる実施態様において、該眼用装置が、コンタクトレンズ、眼内挿入物、角膜アン
レー、角膜インレー、ナノウエハ、リポソーム、ナノ粒子、涙点プラグ、又はマイクロ流
体リザーバーを有するハイドロゲルマトリックスである、上記実施態様のいずれか1つ及
び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の
方法。
【0196】
さらなる実施態様において、該眼用装置がコンタクトレンズである、上記実施態様のい
ずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、
又は治療の方法。
【0197】
さらなる実施態様において、該眼用装置が眼内挿入物である、上記実施態様のいずれか
1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治
療の方法。
【0198】
さらなる実施態様において、該眼用装置が角膜アンレーである、上記実施態様のいずれ
か1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は
治療の方法。
【0199】
さらなる実施態様において、該眼用装置が角膜インレーである、上記実施態様のいずれ
か1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は
治療の方法。
【0200】
さらなる実施態様において、該眼用装置がナノウエハである、上記実施態様のいずれか
1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治
療の方法。
【0201】
さらなる実施態様において、該眼用装置がリポソームである、上記実施態様のいずれか
1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治
療の方法。
【0202】
さらなる実施態様において、該眼用装置がナノ粒子である、上記実施態様のいずれか1
つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治
療の方法。
【0203】
さらなる実施態様において、該眼用装置が涙点プラグである、上記実施態様のいずれか
1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治
療の方法。
【0204】
さらなる実施態様において、該眼用装置がマイクロ流体リザーバーを有するハイドロゲ
ルマトリックスである、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様の
いずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0205】
さらなる実施態様において、該眼用装置が該医薬組成物を持続放出的に送達する、上記
実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物
、眼用装置、又は治療の方法。
【0206】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、眼の疾患又は病態の治療のための眼科用
組成物として製剤される、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様
のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0207】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、近視前症、近視、又は近視の進行の治療
のための眼科用組成物として製剤される、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさ
らなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0208】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、強度近視、中度近視、又は軽度近視の治
療のための眼科用組成物として製剤される、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書の
さらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0209】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、近視前症である(又は近視になる危険性
がある)と診断された患者の治療のための眼科用組成物として製剤される、上記実施態様
のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装
置、又は治療の方法。
【0210】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、該眼用装置全体に実質的に均一に分布し
ている、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上
の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0211】
さらなる実施態様において、該眼用装置が、コンタクトレンズブリスターパック内に含
まれている、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ
以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0212】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、コンタクトレンズブリスターパック内で
該眼用装置を浸す、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいず
れか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0213】
さらなる実施態様において、該ムスカリンアンタゴニスト及びアデノシンアンタゴニス
トが同時に共投与され、ムスカリンアンタゴニストの投与に続いてアデノシンアンタゴニ
ストの投与があるように連続的に共投与され、又はアデノシンアンタゴニストの投与に続
いてムスカリンアンタゴニストの投与があるように連続的に共投与される、上記実施態様
のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装
置、又は治療の方法。
【0214】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、アデノシン受容体アンタゴニストとコン
ジュゲートされたムスカリン受容体アンタゴニストを含むハイブリッド分子を含み得るか
、該眼用装置が該ハイブリッド分子を含み得るか、又は近視の治療を必要とする患者の近
視を治療する該方法が該ハイブリッド分子を投与することを含み得る、上記実施態様のい
ずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、
又は治療の方法。
【0215】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、1分子以上のアデノシン受容体アンタゴ
ニストとコンジュゲートされた1分子以上のムスカリン受容体アンタゴニストを含むハイ
ブリッド分子を含み得るか、該眼用装置が該ハイブリッド分子を含み得るか、又は近視の
治療を必要とする患者の近視を治療する該方法が該ハイブリッド分子を投与することを含
み得る、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上
の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0216】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、式(I)、式(II)、若しくは式(III)のコン
ジュゲート化合物など、1分子のカフェインとコンジュゲートされた1分子のアトロピンを
含むハイブリッド分子を含み得るか、該眼用装置が該ハイブリッド分子を含み得るか、又
は近視の治療を必要とする患者の近視を治療する該方法が該ハイブリッド分子を投与する
ことを含み得る、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれ
か1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法:
【化11】
(式中、R1はアトロピン部分であり、Lは、二価リンカー基がアトロピン分子をカフェイン
分子と共有結合的にコンジュゲートするような二価リンカーである)。
【0217】
さらなる実施態様において、該二価リンカー(L)が、疎水性である炭化水素リンカーな
どの安定な結合を含む炭化水素リンカーであり、例えば、二価リンカー(L)が、ポリアル
キルリンカー、例えば、C5-C20アルキルリンカー;C5-C6シクロアルキルリンカー、例えば
、1,4-シクロヘキシルリンカー、1,3-シクロヘキシルリンカー、1,2-シクロヘキシルリン
カー、1,3-シクロペンチル、又は1,2-シクロペンチル;C5-C6シクロアルケニルリンカーを
含む、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の
医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0218】
さらなる実施態様において、該二価リンカー(L)が、親水性である安定な結合を有する
二価リンカーであり、例えば、二価リンカー(L)が、ポリエチレングリコールリンカー、
例えば、-(OCH2CH2)n-(式中、nは5~20である)を含む、上記実施態様のいずれか1つ及
び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の
方法。
【0219】
さらなる実施態様において、該二価リンカー(L)が、エステラーゼによる加水分解を受
けやすいエステル結合を有する二価リンカーであり、例えば、二価リンカー(L)がアセチ
ルリンカー、例えば-(O(CO)CH2)-を含む、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさ
らなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0220】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、式(IV)のコンジュゲート化合物など、2
分子のカフェインにコンジュゲートされた1分子のアトロピンを含むハイブリッド分子を
含み得るか、該眼用装置が該コンジュゲート分子を含み得るか、又は近視の治療を必要と
する患者の近視を治療する該方法が該コンジュゲート分子を投与することを含み得る、上
記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成
物、眼用装置、又は治療の方法:
【化12】
(式中、アトロピンのN-カルバマート誘導体は、1,2,3-プロパントリオール部分などの三
価リンカーにより、2つの二価リンカー(L)にコンジュゲートされており、ここで、Lは、
独立に、ポリエチレングリコールリンカー(式中、nは、独立に、5~20である)、ポリアル
キルリンカー、例えば、C5-C20アルキルリンカー;C5-C6シクロアルキルリンカー;C5-C6
クロアルケニルリンカー;又はアセチルリンカー、例えば-(O(CO)CH2)-などのエステル結
合であってよく、該2つの独立した二価リンカーのそれぞれはR2基にさらにコンジュゲー
トされており、R2は、独立に、N1、N3、又はN7位のN-メチル基により独立にコンジュゲー
トされたカフェイン部分である)。
【0221】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、式(V)のコンジュゲート化合物など、1分
子のカフェインにコンジュゲートされた2分子のアトロピンを含むハイブリッド分子を含
み得るか、該眼用装置が該コンジュゲート分子を含み得るか、又は近視の治療を必要とす
る患者の近視を治療する該方法が該コンジュゲート分子を投与することを含み得る、上記
実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物
、眼用装置、又は治療の方法:
【化13】
(式中、アトロピンのN-カルバマート誘導体は、1,2,3-プロパントリオール部分などの三
価リンカーにより、2つの独立した二価リンカー(L)にコンジュゲートされており、ここで
、Lは、独立に、ポリエチレングリコールリンカー(式中、nは、独立に、5~20である)、
ポリアルキルリンカー、例えば、C5-C20アルキルリンカー;C5-C6シクロアルキルリンカー
;C5-C6シクロアルケニルリンカー;又はアセチルリンカー、例えば-(O(CO)CH2)-などのエ
ステル結合であってよく、該独立した二価リンカーの一方は、N-メチル基によりアトロピ
ン部分にさらにコンジュゲートされており、該独立した二価リンカーの一方はR2基にさら
にコンジュゲートされており、R2は、N1、N3、又はN7位のN-メチル基によりコンジュゲー
トされたカフェイン部分である)。
【0222】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、式(VI)のコンジュゲート化合物など、1
分子のカフェインとコンジュゲートされた1分子のトロピンを含むハイブリッド分子を含
み得るか、該眼用装置が該コンジュゲート分子を含み得るか、又は近視の治療を必要とす
る患者の近視を治療する該方法が該ハイブリッド分子を投与することを含み得る、上記実
施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、
眼用装置、又は治療の方法:
【化14】
(式中、トロピン部分は、1,2,3-プロパントリオール部分などの三価リンカーにより、2つ
の独立した二価リンカー(L)にコンジュゲートされており、ここで、Lは、独立に、ポリエ
チレングリコールリンカー(式中、nは、独立に、5~20である)、ポリアルキルリンカー、
例えば、C5-C20アルキルリンカー;C5-C6シクロアルキルリンカー;C5-C6シクロアルケニル
リンカー;又はアセチルリンカー、例えば-(O(CO)CH2)-などのエステル結合であってよく
、該2つの独立した二価リンカーのそれぞれは、R2基にさらにコンジュゲートされており
、R2は、独立に、N1、N3、又はN7位のN-メチル基により独立にコンジュゲートされたカフ
ェイン部分である)。
【0223】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、式(VII)のコンジュゲート化合物など、1
分子のカフェインにコンジュゲートされた2分子のトロピンを含むハイブリッド分子を含
み得るか、該眼用装置が該コンジュゲート分子を含み得るか、又は近視の治療を必要とす
る患者の近視を治療する該方法が該コンジュゲート分子を投与することを含み得る、上記
実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物
、眼用装置、又は治療の方法:
【化15】
(式中、トロピン部分は、1,2,3-プロパントリオール部分などの三価リンカーにより、2
つの独立した二価リンカー(L)にコンジュゲートされており、式中、Lは、独立に、ポリエ
チレングリコールリンカー(式中、nは、独立に、5~20である)、ポリアルキルリンカー、
例えば、C5-C20アルキルリンカー;C5-C6シクロアルキルリンカー;C5-C6シクロアルケニル
リンカー;又はアセチルリンカー、例えば-(O(CO)CH2)-などのエステル結合であってよく
、該独立した二価リンカーの一方はトロピン部分にさらにコンジュゲートされており、該
独立した二価リンカーの一方はR2基にさらにコンジュゲートされており、R2は、N1、N3、
又はN7位のN-メチル基によりコンジュゲートされたカフェイン部分である)。
【0224】
さらなる実施態様において、該ハイブリッド分子が式(I)のコンジュゲート化合物であ
る、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医
薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0225】
さらなる実施態様において、該ハイブリッド分子が式(II)のコンジュゲート化合物であ
る、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医
薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0226】
さらなる実施態様において、該ハイブリッド分子が式(III)のコンジュゲート化合物で
ある、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の
医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0227】
さらなる実施態様において、該ハイブリッド分子が式(IV)のコンジュゲート化合物であ
る、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医
薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0228】
さらなる実施態様において、該ハイブリッド分子が式(V)のコンジュゲート化合物であ
る、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医
薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0229】
さらなる実施態様において、該ハイブリッド分子が式(VI)のコンジュゲート化合物であ
る、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医
薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0230】
さらなる実施態様において、該ハイブリッド分子が式(VII)のコンジュゲート化合物で
ある、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の
医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0231】
さらなる実施態様において、該二価リンカー(L)が、独立に、ポリアルキルリンカー、
例えば、C5-C20アルキルリンカー;C5-C6シクロアルキルリンカー、例えば、1,4-シクロヘ
キシルリンカー、1,3-シクロヘキシルリンカー、1,2-シクロヘキシルリンカー、1,3-シク
ロペンチル、又は1,2-シクロペンチル;C5-C6シクロアルケニルリンカーを表すか、又は含
む、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医
薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0232】
さらなる実施態様において、該二価リンカー(L)が、独立に、ポリエチレングリコール
リンカー、例えば、-(OCH2CH2)n-(式中、nは5~20である)を表すか、又は含む、上記実
施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、
眼用装置、又は治療の方法。
【0233】
さらなる実施態様において、該二価リンカー(L)が、独立に、アセチルリンカー、例え
ば-(O(CO)CH2)-を表すか、又は含む、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらな
る実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0234】
さらなる実施態様において、該方法が、治療される患者の近視の進行を予防する、上記
実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物
、眼用装置、又は治療の方法。
【0235】
さらなる実施態様において、該方法が、治療される患者の近視の進行を制御する、上記
実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物
、眼用装置、又は治療の方法。
【0236】
さらなる実施態様において、該方法が、治療される患者の近視の進行を緩徐化し、減少
させ、抑制し、且つ/又は緩和させる、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらな
る実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0237】
さらなる実施態様において、該方法が、治療される患者の近視の進行を、無治療に対し
て、およそ5~95%の間、およそ5~90%の間、およそ5~80%の間、およそ5~70%の間、およ
そ5~60%の間、およそ5~50%の間、およそ5~40%の間、およそ5~30%の間、およそ5~20%
の間、およそ10~100%の間、およそ20~90%の間、およそ25~90%の間、およそ30~90%の
間、およそ40~90%の間、およそ50~90%の間、又はおよそ75~90%の間の範囲で制御し、
緩徐化し、減少させ、抑制し、且つ/又は緩和させる、上記実施態様のいずれか1つ及び
本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方
法。
【0238】
さらなる実施態様において、該医薬組成物、該眼用装置、又は該治療の方法の使用が、
使用者の眼の明所視瞳孔径の増加を、約1~2mm、約1mm、約2mm、2mm未満、1mm未満に限定
する、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の
医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0239】
さらなる実施態様において、該医薬組成物、該眼用装置、又は該治療の方法の使用が、
眼の明所視瞳孔径を、約2mmを超えて増加させない、上記実施態様のいずれか1つ及び本明
細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0240】
さらなる実施態様において、該医薬組成物、該眼用装置、又は該治療の方法の使用が、
使用者の眼の調節幅の減少を、約1.0~6.0D、1.0~5.0D、1.0~4.0D、1.0~3.0D、1.0~2
.0D、6.0D未満、5.0D未満、4.0D未満、3.0D未満、2.0D未満、及び1.0D未満に限定する、
上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組
成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0241】
さらなる実施態様において、該医薬組成物、該眼用装置、又は該治療の方法の使用が、
眼の調節幅を、約6.0Dを超えて減少させない、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書
のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0242】
さらなる実施態様において、i)該眼科用組成物が、眼の明所視瞳孔径を、2mmを超えて
増加させず;且つ/又はii)眼の調節幅を、約6.0Dを超えて減少させない、上記実施態様の
いずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置
、又は治療の方法。
【0243】
さらなる実施態様において、該眼科用組成物が、眼の明所視瞳孔径を、2mmを超えて増
加させない、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ
以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0244】
さらなる実施態様において、該眼科用組成物が、眼の調節幅を、約6.0Dを超えて減少さ
せない、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上
の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0245】
さらなる実施態様において、該方法が、治療される患者の近視の進行を予防するか、又
は逆転させる、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1
つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0246】
さらなる実施態様において、該患者が強度近視を患っている、上記実施態様のいずれか
1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治
療の方法。
【0247】
さらなる実施態様において、該患者が中度近視を患っている、上記実施態様のいずれか
1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治
療の方法。
【0248】
さらなる実施態様において、該患者が軽度近視を患っている、上記実施態様のいずれか
1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治
療の方法。
【0249】
さらなる実施態様において、該患者が、近視前症である(又は近視になる危険性がある)
と診断されている、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいず
れか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0250】
さらなる実施態様において、該方法が、治療される患者の眼の脈絡膜厚さを増加させる
、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬
組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0251】
さらなる実施態様において、該方法が、治療される患者の眼の脈絡膜厚さを、無治療に
対して、およそ5~95%の間、およそ5~90%の間、およそ5~80%の間、およそ5~70%の間、
およそ5~60%の間、およそ5~50%の間、およそ5~40%の間、およそ5~30%の間、およそ5
~20%の間、およそ10~100%の間、およそ20~90%の間、およそ25~90%の間、およそ30~9
0%の間、およそ40~90%の間、5およそ0~90%の間(between 5 approximately 0-90%)、又
はおよそ75~90%の間の範囲で増加させる、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさ
らなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0252】
さらなる実施態様において、該方法が、治療される患者の眼の軸方向(又は長さ方向)の
成長を予防する、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれ
か1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0253】
さらなる実施態様において、該方法が、治療される患者の眼の軸方向(又は長さ方向)の
成長を、制御し、緩徐化し、減少させ、抑制し、且つ/又は緩和させる、上記実施態様の
いずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置
、又は治療の方法。
【0254】
さらなる実施態様において、該方法が、治療される患者の眼の軸方向(又は長さ方向)の
成長を、無治療に対して、5~100%の間の範囲で制御し、緩徐化し、減少させ、抑制し、
且つ/又は緩和させる、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様の
いずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0255】
さらなる実施態様において、該方法が、治療される患者の眼の軸方向(又は長さ方向)の
成長を、無治療に対して、およそ5~95%の間、およそ5~90%の間、およそ5~80%の間、お
よそ5~70%の間、およそ5~60%の間、およそ5~50%の間、およそ5~40%の間、およそ5~3
0%の間、およそ5~20%の間、およそ10~100%の間、およそ20~90%の間、およそ25~90%の
間、およそ30~90%の間、およそ40~90%の間、およそ50~90%の間、又はおよそ75~90%の
間の範囲で制御し、緩徐化し、減少させ、抑制し、且つ/又は緩和させる、上記実施態様
のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装
置、又は治療の方法。
【0256】
さらなる実施態様において、該方法が、i)治療される患者の眼の脈絡膜厚さを、無治療
に対して増加させ;且つ/又はii)治療される患者の眼の軸方向(又は長さ方向)の成長を、
無治療に対して減少させる、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態
様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0257】
さらなる実施態様において、該患者が、約1か月から10年の間の期間治療される、上記
実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物
、眼用装置、又は治療の方法。
【0258】
さらなる実施態様において、該患者が、少なくとも6か月、少なくとも1年、少なくとも
2年、少なくとも3年、少なくとも5年、少なくとも7年、又は少なくとも9年の期間治療さ
れる、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の
医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0259】
さらなる実施態様において、該方法が、アトロピン単独療法に対して、重症度が低い有
害な副作用をもたらす、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様の
いずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0260】
さらなる実施態様において、該治療される患者が、本明細書に開示の医薬組成物の使用
、本明細書に開示の眼用装置の使用、又は本明細書に開示の治療の方法に従って、アトロ
ピン単独療法に対して、重症度が低い有害な副作用を患う、上記実施態様のいずれか1つ
及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療
の方法。
【0261】
さらなる実施態様において、該方法が、アトロピン単独療法に対して、瞳孔径のより小
さな増加をもたらす、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のい
ずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0262】
さらなる実施態様において、該治療される患者が、本明細書に開示の医薬組成物の使用
、本明細書に開示の眼用装置の使用、又は本明細書に開示の治療の方法に従って、アトロ
ピン単独療法に対して、瞳孔径のより小さな増加を有する、上記実施態様のいずれか1つ
及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療
の方法。
【0263】
さらなる実施態様において、該方法が、アトロピン単独療法に対して、調節幅のより小
さな減少をもたらす、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のい
ずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0264】
さらなる実施態様において、該治療される患者が、本明細書に開示の医薬組成物の使用
、本明細書に開示の眼用装置の使用、又は本明細書に開示の治療の方法に従って、アトロ
ピン単独療法に対して、調節幅のより小さな減少を有する、上記実施態様のいずれか1つ
及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療
の方法。
【0265】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、患者の眼に眼科的に投与される、上記実
施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、
眼用装置、又は治療の方法。
【0266】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が局所投与される、上記実施態様のいずれか
1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治
療の方法。
【0267】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、点眼製剤、眼用スプレー製剤、又は眼用
ゲル製剤の形態で眼に投与される、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる
実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0268】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、眼科用乳剤、眼科用リポソーム、ナノウ
エハ、ナノ粒子懸濁剤、又は眼科用軟膏の形態で眼に投与される、上記実施態様のいずれ
か1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は
治療の方法。
【0269】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、眼用装置により患者の眼に眼科的に投与
される、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上
の医薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0270】
さらなる実施態様において、該医薬組成物が、1日あたり1、2、3、4、又は5回投与され
る、上記実施態様のいずれか1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医
薬組成物、眼用装置、又は治療の方法。
【0271】
さらなる実施態様において、該患者の年齢が約4~18歳である、上記実施態様のいずれ
か1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は
治療の方法。
【0272】
さらなる実施態様において、該患者の年齢が約16~26歳である、上記実施態様のいずれ
か1つ及び本明細書のさらなる実施態様のいずれか1つ以上の医薬組成物、眼用装置、又は
治療の方法。
【0273】
本明細書において言及される全刊行物及び特許出願は、各個別の刊行物又は特許出願が
引用により組み込まれると具体的且つ個別に示されるのと同程度に、引用により本明細書
にその全体として組み込まれる。
【0274】
本明細書に開示且つ定義された実施態様が、本文又は図面に言及されたか、それから明
らかな個別の特徴の2つ以上の代替組合せの全てに及ぶことが理解されるだろう。これら
の異なる組合せの全ては、本開示の種々の代替態様を構成する。
【0275】
上記のことは、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施態
様の特徴を概説する。当業者は、自身が、同じ目的を実施するために、且つ/又は本明細
書に導入された実施態様の同じ利点を達成するために、他のプロセス及び構造を設計又は
改変するための基礎として本開示を容易に使用できることを認識するはずである。当業者
は、そのような等価な構造物が本開示の趣旨及び範囲から逸脱しないこと並びに自身が、
本開示の趣旨及び範囲から逸脱せずに、種々の変更、置換、及び修正を加えられることに
も気づくはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に実質的に記載された、新規な物、方法及び製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0275
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0275】
上記のことは、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施態
様の特徴を概説する。当業者は、自身が、同じ目的を実施するために、且つ/又は本明細
書に導入された実施態様の同じ利点を達成するために、他のプロセス及び構造を設計又は
改変するための基礎として本開示を容易に使用できることを認識するはずである。当業者
は、そのような等価な構造物が本開示の趣旨及び範囲から逸脱しないこと並びに自身が、
本開示の趣旨及び範囲から逸脱せずに、種々の変更、置換、及び修正を加えられることに
も気づくはずである。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
i)ムスカリン受容体アンタゴニスト;及び
ii)アデノシン受容体アンタゴニスト
を含む眼科用組成物。
(態様2)
前記ムスカリン受容体アンタゴニストが、アトロピン、アトロピン硫酸塩、ノルアトロ
ピン、アトロピン-N-オキシド、トロピン、トロパ酸、硝酸メチルアトロピン、ジフェン
ヒドラミン、ジメンヒドリナート、ジサイクロミン、フラボキサート、オキシブチニン、
チオトロピウム、ヒヨスチン、スコポロミン(L-ヒヨスチン)、ヒドロキシジン、イプラト
ロピウム、トロピカミド、シクロペントラート、ピレンゼピン、ホマトロピン、ソリフェ
ナシン、ダリフェナシン、ベンザトロピン、メベベリン、プロシクリジン、アクリジニウ
ムブロミド、トリヘキシフェニジル/ベンズヘキソール、トルテロジン、又はその医薬と
して許容し得る塩である、態様1記載の眼科用組成物。
(態様3)
前記ムスカリン受容体アンタゴニストが、アトロピン又はその医薬として許容し得る塩
である、態様1又は2記載の眼科用組成物。
(態様4)
前記ムスカリン受容体アンタゴニストが、前記眼科用組成物に対して、およそ0.001重
量%から0.05重量%未満の間の範囲の量で存在する、態様1~3のいずれか一項記載の眼科
用組成物。
(態様5)
前記アデノシン受容体アンタゴニストが、キサンチン誘導体又はその医薬として許容し
得る塩である、態様1~4のいずれか一項記載の眼科用組成物。
(態様6)
前記アデノシン受容体アンタゴニストが、カフェイン又はその医薬として許容し得る塩
である、態様1~5のいずれか一項記載の眼科用組成物。
(態様7)
前記アデノシン受容体アンタゴニストが、前記眼科用組成物に対して、およそ0.1~5.0
重量%の間の範囲の量で存在する、態様1~6のいずれか一項記載の眼科用組成物。
(態様8)
前記ムスカリン受容体アンタゴニストがアトロピンであり、およそ0.01~0.04%の範囲
の濃度で存在し、アデノシン受容体アンタゴニストがカフェインであり、前記眼科用組成
物に対して、およそ0.5~3.0%の範囲の濃度で存在する、態様1~7のいずれか一項記載
の眼科用組成物。
(態様9)
i)前記眼科用組成物が、眼の明所視瞳孔径を、2mmを超えて増加させず;且つ/又は
ii)該眼科用組成物が、眼の調節幅を、約6.0Dを超えて減少させない、態様1~8のいず
れか一項記載の眼科用組成物。
(態様10)
前記眼科用組成物が局所眼科用組成物である、態様1~9のいずれか一項記載の眼科用
組成物。
(態様11)
前記眼科用組成物が眼用装置内に含まれている、態様1~10のいずれか一項記載の眼
科用組成物。
(態様12)
前記眼用装置が、コンタクトレンズ、眼内挿入物、角膜アンレー、角膜インレー、ナノ
ウエハ、リポソーム、ナノ粒子、涙点プラグ、又はマイクロ流体リザーバーを有するハイ
ドロゲルマトリックスである、態様11記載の眼科用組成物。
(態様13)
近視の治療を必要とする患者の近視を治療する方法であって、態様11又は12記載の
眼用装置を投与することを含む方法。
(態様14)
近視の治療を必要とする患者の近視を治療する方法であって、態様1~10のいずれか
一項記載の眼科用組成物を投与することを含む方法。
(態様15)
前記眼科用組成物が、点眼製剤、眼用スプレー製剤、又は眼用ゲル製剤の形態で眼に局
所投与される、態様14記載の治療方法。
(態様16)
前記方法が、前記治療される患者の近視の進行を、無治療に対して緩徐化するか又は減
少させる、態様13~15のいずれか一項記載の治療方法。
(態様17)
前記方法が、
i)前記治療される患者の眼の脈絡膜厚さを、無治療に対して増加させ;且つ/又は
ii)前記治療される患者の眼の軸方向(又は長さ方向)の成長を、無治療に対して減少させ
る、態様13~16のいずれか一項記載の治療方法。
(態様18)
前記治療される患者が、アトロピン単独療法に対して、重症度が低い有害な副作用を患
う、態様13~17のいずれか一項記載の治療方法。
(態様19)
前記方法が、眼の明所視瞳孔径を、約2mmを超えて増加させない、態様13~18のい
ずれか一項記載の治療方法。
(態様20)
前記方法が、眼の調節幅を、約6.0Dを超えて減少させない、態様13~19のいずれか
一項記載の治療方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療される患者の眼への直接投与に好適な水性製剤を含む、眼科用組成物であって、該製剤が、
i)ムスカリン受容体アンタゴニスト、及び
ii)アデノシン受容体アンタゴニスト
を含み、
該ムスカリン受容体アンタゴニストが、該眼科用組成物に対しておよそ0.001重量%~0.05重量%未満の範囲の量で存在するアトロピン又はその医薬として許容し得る塩であり、かつ
該ムスカリン受容体アンタゴニスト及び該アデノシン受容体アンタゴニストは、該眼科用組成物が該治療される患者の眼の脈絡膜厚さを無治療及びいずれかの単独療法治療に対して増加させるような濃度で存在する、前記眼科用組成物。
【請求項2】
前記アデノシン受容体アンタゴニストが、カフェイン又はその医薬として許容し得る塩である、請求項1記載の眼科用組成物。
【請求項3】
前記アデノシン受容体アンタゴニストが、前記眼科用組成物に対して、およそ0.1~5.0重量%の間の範囲の量で存在する、請求項1又は2記載の眼科用組成物。
【請求項4】
前記ムスカリン受容体アンタゴニストがアトロピンであり、前記眼科用組成物に対して、およそ0.01~0.04%の範囲の濃度で存在し、前記アデノシン受容体アンタゴニストがカフェインであり、前記眼科用組成物に対して、およそ0.5~3.0%の範囲の濃度で存在する、請求項1~3のいずれか一項記載の眼科用組成物。
【請求項5】
i)前記眼科用組成物が、眼の明所視瞳孔径を、2mmを超えて増加させず;且つ/又は
ii)該眼科用組成物が、眼の調節幅を、約6.0Dを超えて減少させない、請求項1~4のいずれか一項記載の眼科用組成物。
【請求項6】
前記眼科用組成物が局所眼科用組成物である、請求項1~5のいずれか一項記載の眼科用組成物。
【請求項7】
前記眼科用組成物が眼用装置内に含まれている、請求項1~6のいずれか一項記載の眼科用組成物。
【請求項8】
前記眼用装置が、コンタクトレンズ、眼内挿入物、角膜アンレー、角膜インレー、ナノウエハ、リポソーム、ナノ粒子、涙点プラグ、又はマイクロ流体リザーバーを有するハイドロゲルマトリックスである、請求項7記載の眼科用組成物。
【請求項9】
前記眼科用組成物が、点眼製剤、眼用スプレー製剤、又は眼用ゲル製剤の形態で眼に局所投与される、請求項1~6のいずれか一項記載の眼科用組成物。
【請求項10】
前記眼科用組成物が、前記治療される患者の近視の進行を、無治療に対して緩徐化するか又は減少させるように使用される、請求項1~9のいずれか一項記載の眼科用組成物。
【請求項11】
前記眼科用組成物が、
i)前記治療される患者の眼の脈絡膜厚さを、無治療に対して増加させ;且つ/又は
ii)該治療される患者の眼の軸方向(又は長さ方向)の成長を、無治療に対して減少させるように使用される、請求項1~10のいずれか一項記載の眼科用組成物。
【請求項12】
前記治療される患者が、アトロピン単独療法に対して、重症度が低い有害な副作用を患う、請求項1~11のいずれか一項記載の眼科用組成物。
【外国語明細書】