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特開2023-179427特発性血小板減少症紫斑病(ITP)をロミプロスチムで治療する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179427
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】特発性血小板減少症紫斑病(ITP)をロミプロスチムで治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/36 20060101AFI20231212BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A61K38/36
A61P7/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023136987
(22)【出願日】2023-08-25
(62)【分割の表示】P 2020530615の分割
【原出願日】2018-12-06
(31)【優先権主張番号】62/596,020
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・タランティーノ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・バッセル
(72)【発明者】
【氏名】メリッサ・アイゼン
(72)【発明者】
【氏名】ナンシー・カーペンター
(72)【発明者】
【氏名】シュエナー・ワン
(72)【発明者】
【氏名】スザンナ・マック
(57)【要約】      (修正有)
【課題】特発性血小板減少症紫斑病(ITP)を有する患者においてITPを治療する方法を提供する。
【解決手段】(a)ロミプロスチムを当該患者に毎週投与するステップ;(b)血小板数が少なくとも約50×10/L~200×10/Lに到達するまで週用量を増加するステップ;(c)血小板数が2週続けて200×10/L以上を維持している場合に、ロミプロスチムの週用量を減少させるステップ;(d)週用量が1μg/kgであるときに血小板数が2週続けて200×10/L以上を維持した場合、又は血小板数が400×10/L以上である場合、ロミプロスチムを中止するステップ;及び(e)治療の最初の4~12週間以内に血小板数200×10/L以上に到達した場合に、当該患者がロミプロスチムを投与されない少なくとも約24週間の無治療期間を維持するステップを含む方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特発性血小板減少症紫斑病(ITP)を有する患者においてITPを治療する方法であって、
a.ロミプロスチムを前記患者に毎週投与するステップ;
b.血小板数が少なくとも約50×10/L~200×10/Lに到達するまで週用量を増加するステップ;
c.血小板数が2週続けて200×10/L以上を維持している場合に、ロミプロスチムの週用量を減少させるステップ;
d.(i)週用量が1μg/kgであるときに血小板数が2週続けて200×10/L以上を維持した場合、又は(ii)血小板数が400×10/L以上である場合、ロミプロスチムを中止するステップ;及び
e.治療の最初の4~12週間以内に血小板数200×10/L以上に到達した場合に、前記患者がロミプロスチムを投与されない少なくとも約24週間の無治療期間を維持するステップ
を含む方法。
【請求項2】
初期用量1μg/kgのロミプロスチムを前記患者に投与するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
血小板数が、約50×10/L~200×10/L以内である限り、週用量を維持するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
治療の最初の4週間で血小板数が、200×10/L以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
治療の最初の8週間で血小板数が、200×10/L以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ロミプロスチムの用量の増加が、毎週1μg/kg刻みでなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップcにおける用量を1μg/kg刻みで減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
無治療期間中に前記患者の血小板数が、50×10/L以上を維持する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記患者が、無治療期間中にITP薬物治療を受けない、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一次性ITPは、抗体及びT細胞の両方によって媒介される、最適以下の血小板産生及び血小板破壊の加速を特徴とする自己免疫障害である(Nugent et al,2009)。成人におけるITPは慢性経過をたどることが多く、皮下出血及び皮膚出血のリスクの増加、生活の質の低下、並びに稀に重篤な出血を生じさせる(Cines & McMillan,2005)。
【背景技術】
【0002】
これらの患者における治療の主目的は、継続的な治療をせずに、血小板数を持続的に改善することである。現在の治療には、コルチコステロイド、抗D免疫グロブリン、及び免疫グロブリン静注(IVIg)の第一選択と、ロミプロスチム、エルトロンボパグ、リツキシマブ、及び脾臓摘出術の第二選択とが含まれる。これらの第一選択治療は、大多数の患者において血小板応答を引き出すことができるが、応答は数週間から数カ月しか観察されない場合がある(Provan et al,2010)。リツキシマブなどの第二選択治療については、患者の15~20%が、5年までの間、著効である可能性がある。脾臓摘出術は、およそ3分の2の、長期間の奏効率を有する(Provan et al,2010)。
【0003】
有害作用は全ての第一選択治療及び第二選択治療に伴うため、これらの治療の利点は、その潜在的リスクと比較検討されなければならない。コルチコステロイドには、よく認識されている副作用があるため、臨床医は、ステロイド節約手法を探すことが多い。IVIg及び抗D免疫グロブリンは、輸注反応、頭痛、及び溶血性貧血を伴う。免疫抑制剤は、感染のリスクの増加を伴う。これらの有害作用及び低奏効率は、これらの手法の有用性を限定する。
【0004】
ロミプロスチムは、トロンボポエチン(TPO)受容体アゴニストであり、これは、5年までの間、血小板数を増加し、維持すること、並びに出血、脾臓摘出術、治療不成功及びレスキュー治療(rescue medication)の使用の頻度を低減することが分かっている(Kuter et al,2008,2010,2013)。ロミプロスチムは、成人における慢性ITPの治療用に世界の様々な地域で承認されている。ロミプロスチムは、米国では、コルチコステロイド、免疫グロブリン、又は脾臓摘出術に対して応答が不十分な慢性免疫性血小板減少症の治療用として、成人における使用が承認されており、欧州では、脾臓摘出術を受け、他の治療には不応性の人々に向けて、又は手術が禁忌とされ、脾臓摘出をしていない患者の第二選択治療として、承認されている。ロミプロスチムは、血小板数50×10/L~200×10/Lを実現し、維持するために、開始用量1μg/kgで、及び週用量を1μg/kgずつ調整して投与される。
【0005】
慢性免疫性血小板減少症の小児におけるロミプロスチムの使用についてデータが上がってきている。慢性免疫性血小板減少症の小児の治療は、成人の試験のデータ、小児の予備試験、及び専門家の意見をガイドとすることが多い。ITPの小児における3つの大規模なランダム化対照試験が行われ、TPO受容体アゴニストで治療すると、有効性がプラセボと比較して高いことが実証され、意外な又は予期しない有害事象はなかった。しかし、ITPの小児における治療の長期的効果に関するデータは不足している。
【0006】
ロミプロスチムは、ITPの患者のおよそ80~90%において血小板応答を誘導することができる(Bussel et al,2009;Kuter et al,2010)が、血小板応答を維持するために長期の治療が必要な場合がある。しかし、長期の治療は、治療遵守の問題及び大きなコストを伴うことがある(Ghanima et al,2012)。
【0007】
上がってきているデータは、多くが再発した又は難治性の疾患を有する一定の患者が、ロミプロスチムを中止した後に寛解の持続を達成し得ることを示唆している(Vlachaki et al,2011;Ghadaki et al,2013;Thachil et al,2013;Mahevas et al,2014;Provan et al,2014;Tarantino et al.2016,Tarantino et al,ASH 2017、abstract 14 as at:https://ash.confex.com/ash/2017/webprogram/Paper100126.html)。Newland et al.,2016は、ロミプロスチムを用いた寛解の体系的な前向き評価を行ったが、他の人口統計学的特性又はベースライン特性を調べると、寛解の統計的に有意な予測因子は認められなかったと最終的に結論づけた。しかしながら、治療の最初の2カ月間の平均血小板数がより高いことが寛解と関連していた。当分野は、寛解の予測因子及びそのような予測因子を利用する治療の方法の発見により、利益を得るであろう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Nugent et al,2009
【非特許文献2】Cines & McMillan,2005
【非特許文献3】Provan et al,2010
【非特許文献4】Kuter et al,2008
【非特許文献5】Kuter et al,2010
【非特許文献6】Kuter et al,2013
【非特許文献7】Bussel et al,2009
【非特許文献8】Ghanima et al,2012
【非特許文献9】Vlachaki et al,2011
【非特許文献10】Ghadaki et al,2013
【非特許文献11】Thachil et al,2013
【非特許文献12】Mahevas et al,2014
【非特許文献13】Provan et al,2014
【非特許文献14】Tarantino et al.2016
【非特許文献15】Tarantino et al,ASH 2017、abstract 14 as at:https://ash.confex.com/ash/2017/webprogram/Paper100126.html
【非特許文献16】Newland et al.,2016
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書の根底をなす試験において、治療の最初の4~12週間以内に血小板数200×10/L以上に到達することが、寛解の予測因子となることが分かっている。寛解とは、この試験において、患者がロミプロスチムも他のITP薬物治療も受けない少なくとも24週間の無治療期間と定義される。したがって、本発明は、ITPを有する患者においてITPを治療する方法であって、(a)ロミプロスチムを当該患者に毎週投与するステップ;(b)血小板数が少なくとも約50×10/L~200×10/Lに到達するまで週用量を増加するステップ;(c)血小板数が2週続けて200×10/L以上を維持している場合に、ロミプロスチムの週用量を減少させるステップ;(d)週用量が1μg/kgであるときに血小板数が2週続けて200×10/L以上を維持した場合、又は血小板数が400×10/L以上である場合、ロミプロスチムを中止するステップ;及び(e)治療の最初の4~12週間以内に血小板数200×10/L以上に到達した場合に、当該患者がロミプロスチムを投与されない少なくとも約24週間の無治療期間を維持するステップを含む方法に関する。
【0010】
本発明はまた、初期用量1μg/kgのロミプロスチムを当該患者に投与するステップを含む上記の方法にも関する。
【0011】
本発明はさらに、血小板数が約50×10/L~200×10/L以内である限り、週用量を維持するステップを含む上記の方法に関する。
【0012】
本発明はさらに、治療の最初の4週間で血小板数が200×10/L以上である、上記の方法に関する。
【0013】
本発明はさらに、ロミプロスチムの用量の増加が、毎週1μg/kg刻みでなされる、上記の方法に関する。
【0014】
本発明はさらに、ステップcにおける用量を1μg/kg刻みで減少させる、上記の方法に関する。
【0015】
本発明はさらに、無治療期間中に当該患者の血小板数が50×10/L以上を維持する、上記の方法に関する。
【0016】
本発明はさらに、当該患者が無治療期間中にITP薬物治療を受けない、上記の方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】試験のフローチャートを示す。第1の延長試験に登録した、示された21名の患者のうち、1名が治療前に同意を撤回した。第2の延長試験に移行した66名の患者のうち、1名が治療前に同意を撤回した。
図2】試験に登録した患者の内訳を示す。プロトコールにより、ロミプロスチムを中止した3名の患者のうち、2名は寛解し、1名は10μg/kgを10週間投与したにもかかわらず、血小板数30×10/L未満であった。ロミプロスチム治療を完了した37名の患者は、最後の患者が登録してから12カ月後の2017年1月に試験が終了するまで、この薬物を投与された。
図3A】経時のロミプロスチムの用量を示す。中央値(Q1,Q3)用量がy軸に、試験の週数がx軸に出ている。
図3B】経時の血小板数を示す。中央値(Q1,Q3)血小板数がy軸に、試験の週数がx軸に出ている。
図4A】患者全員及びグレード2以上の患者についての経時の出血を示す。
図4B】経時のグレード2以上の出血を示す。
図5A-5D】寛解に関するデータを示す。図5Aは、寛解に達するのに要した時間に対してプロットした、寛解に達する確率を示し、各時点でリスクのある患者数もx軸に沿って示している。図5Bは、寛解に達した患者数を、試験で分かった寛解の持続期間によって分類して示す。図5C及び5Dは、フェーズ1/2、第1の延長試験及び第2の延長試験の期間にわたり、個々の2名の患者により実現された投与量及び血小板数を示す。
図6】選択された寛解特性について、ハザード比及びp値を示す。
図7A-7M】さらに13名の患者について、図5C及び5Dについて説明したような寛解データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
TPO受容体アゴニストは、ITPに対する万全の治療選択肢というわけではない。なぜなら、全ての患者が応答するわけではなく、応答する患者でも、必ずしもその応答を維持することができるわけではないからである。主題の発明は、TPO受容体アゴニストを用いた、小児における、現在までで最大規模の試験(65名の患者について、182患者・年、又は1患者当たり2.8年の曝露にわたる)に基づくものである。重要なことであるが、患者のおよそ4分の1はITP治療を中止することができ、依然として止血性の血小板数を維持している。本稿に記載のデータは、患者数(n=65)及び治療期間(7年まで)の両方において規模が大きく、ロミプロスチムが、成人において認められたものと類似とみられる有効性及び安全性プロファイルを有することを示している。
【0019】
試験の目的は、ITPの小児におけるロミプロスチムの長期の使用の安全性及び有効性を、主要評価項目としての有害事象の発生率とともに説明することであった。副次的評価項目には、長期の血小板応答、出血、併用のITP薬物治療(ベースラインからの薬物治療の継続及びレスキュー治療の両方)の使用の減少、及びロミプロスチムを含むITP薬物治療をせずに6カ月間血小板数50×10/L以上を維持するという事後評価項目(ここでは寛解と定義する)の評価が含まれていた。
【0020】
方法
患者
適格患者は、以前のロミプロスチムITP試験6、7(Bussel et al.,2011;Tarantino et al.,2016)を完了し、登録時点で18歳以下とした。除外基準には、骨髄幹細胞障害、静脈若しくは動脈の血栓イベント若しくは血栓塞栓イベント、全身性エリテマトーデス、エバンス症候群、又は血小板減少症の他の二次的原因の既往歴が含まれていた。試験は、各試験施設で、全ての規制義務及び治験審査委員会及びインフォームドコンセント規定に従って行われた。患者又はその法定代理人は全員、書面によるインフォームドコンセント及び同意を提出した。
【0021】
手順
患者を、米国、カナダ、スペイン、及びオーストラリアの28施設から募集した。試験(clinicaltrials.gov,識別子:NCT01071954)は、2009年12月30日(最初の被験者が登録した)から2017年1月12日(最後の患者の最終来院)まで行われた。試験期間中、患者は、ロミプロスチムを、親試験における最終用量と同じ用量又は1μg/kg(以前にプラセボを受けたか、又は最終投与から24週を超えている場合)で開始し、毎週皮下投与された。用量は、血小板数50×10/L~200×10/Lを目標にして、毎週、1~10μg/kgの間の1μg/kg刻みで調整した。患者は、試験開始前に用量及びスケジュールが安定していた他のITP薬物治療(例えば、コルチコステロイド、ダナゾール、又はアザチオプリン)を受け続けることが可能であった。これらの追加の薬物治療は、血小板数が50×10/Lを超えた後に、患者及び医師の選択によって低減又は中止することが可能であった。
【0022】
患者は、血小板数が10×10/Lを下回った場合、出血又は湿性紫斑(wet purpura)があった場合、又は治験責任医師によって医学的に必要であると判断された場合(例えば、旅行又は処置の前に)、レスキュー治療を受けることが可能であった。レスキュー治療は、血小板数を増加するために投与される任意の薬物治療と定義され、免疫グロブリンG静注(IVIg)、抗D、血小板輸血、ステロイド類、及び抗線溶薬(例えば、イプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸)を含んでいた。
【0023】
評価、アウトカム、及び統計
血小板数、併用薬物治療、及び有害事象を来院毎に評価した。全血球計算及び血液化学検査用に4週毎に試料を採取し、身体検査を1週目に、及びその後は12週毎に実施した。有効性アウトカムには、血小板数及び血小板応答(過去4週間でレスキュー治療を使用せずに血小板数50×10/L以上)を含めた。レスキュー治療の使用から4週間以内の血小板数データは連続的なまとめから除外した。自己投与又は他の理由のため、毎週の血小板数が得られなかった被験者は、来院しなかった4週間以内にレスキュー治療が使用されなかった限りにおいて、血小板数測定を先送りにした。他の有効性評価には、他のITP薬物治療を使用している患者の割合、及びレスキュー治療を必要とした患者の割合を含めた。寛解は、少なくとも24週間、ロミプロスチムを含む全てのITP薬物治療をせずに、血小板数50×10/L以上と定義した。
【0024】
安全性
安全性評価には、有害事象(出血を含む)の調査、身体検査、バイタルサイン、血清化学検査、全血球計算、血小板数、及び抗体の状態を含めた。試料を、ロミプロスチムに対する結合抗体及びTPOに対する結合抗体について試験し、いずれかに対する結合抗体について陽性の試料はいずれも、中和抗体についてさらに試験した。治験責任医師により治療関連であるとみなされた医学的に重要な有害事象は、それらが解決するまで、又は安定とみなされるまで追跡した。いずれの有害事象についても、治験責任医師が以下の属性、即ち、説明;発症及び消散の日付;重症度;治療、他の疑わしい薬物又はデバイスとの関連性の評価;及び講じた措置(例えば、ロミプロスチムの中止、別の薬物治療での治療、入院など)を割り当てた。毒性の重症度は、有害事象共通用語規準(Standard Common Terminology Criteria for Adverse Events:CTCAE)version 3.0の有害事象のグレード分類:1.軽症、2.中等症、3.重症、4.生命を脅かす、5.致死的、によって評価した。重篤な有害事象には、致死的である、生命を脅かす、入院加療を必要とする、又は現在の入院を長期化する、いずれの有害事象も含めた。血栓塞栓イベントは、総括的有害事象評価の一部として評価した。骨髄穿刺及び生検は、いかなる時点においても必要ではなかったが、例えば、末梢血スメアにおける異常(有核赤血球又は涙滴赤血球など)があった場合、又は用量増加にもかかわらず、ロミプロスチムに対する応答消失が起こった場合には、治験責任医師の判断で実施することが可能であった。TPO及びロミプロスチムに対する抗体のアッセイ用の血液試料は、1週目、52週目、年一回、及び試験終了時に採取した。
【0025】
データ解析
統計解析は記述的とした。カテゴリー別評価項目は、各カテゴリーにおける患者の数及びパーセンテージにより、まとめた。連続的評価項目は、患者の数、平均値、標準偏差、中央値、並びに25パーセンタイル(Q1)及び75パーセンタイル(Q3)、最小値及び最大値により、まとめた。有害事象もまた、イベントの数及び曝露100患者・年当たりの比率としてまとめた。
【0026】
最終血小板数の測定時点で打ち切りとした寛解しない被験者について、寛解の潜在予測因子を評価するために比例ハザードモデルを使用した。単変量モデルについては、各潜在因子を単独で考慮した(ログランク検定に類似)。比例ハザードの仮説に反しているとみられるイベントにおいては、ノンパラメトリック検定(カテゴリー変数についてはフィッシャーの直接確率検定、及び連続型変数についてはクラスカル・ウォリス検定)を、代わりに使用した。多変量モデルについては、登録及び終了の有意水準を0.05に設定して変数増加法基準を使用した。
【0027】
結果
人口統計及び内訳
親試験からの患者の流れが図1に示されている。66名の患者がこの延長試験に登録し、1名が治療前に同意を撤回し、65名が7年以下の間ロミプロスチムを投与された。これらの患者のうち15名は、以前はプラセボを投与され、この試験で初めてロミプロスチムに曝露された。ベースライン時に、中央値(最小-最大)年齢は11(3-18)歳であった。56%が女児であった。61%が白人、14%がアフリカ系アメリカ人、14%がヒスパニック/ラテンアメリカ系人、9%がアジア人、3%がその他であった。中央値(最小-最大)ベースライン血小板数は、27.5(2-458)×10/Lであった(表1)。患者は、以前の試験からロミプロスチムの投与を中断することなくこの試験に移行することが可能であった。過去のITP治療には、IVIg、抗D、コルチコステロイド、及びリツキシマブが含まれており、9%が以前に脾臓摘出術を受けていた(表2)。
【0028】
ロミプロスチムを中止した(n=28、42%)理由には、同意の撤回(n=10)、他の療法の必要性(n=6)、治療不遵守(n=4)、プロトコールによる(n=3)、管理上の決定(n=2)、有害事象(n=2)、及び治療不要(n=1)が含まれていた。有害事象は、1名の患者における無力症、頭痛、脱水症及び嘔吐、もう1名における不安症であった。治験責任医師により、これらの有害事象は治療関連とはみなされなかった。37名(56%)の患者に、試験終了までロミプロスチムが投与された(図2)。
【0029】
ロミプロスチム曝露
中央値(最小-最大)ロミプロスチム治療は、1患者当たり、135(5-363)週、又は中央値2.6年であり、合計182患者・年であった。中央値(最小-最大)平均ロミプロスチム週用量は、安定用量までの漸増を含んで4.8(0.1-10)μg/kgであった。平均最大ロミプロスチム週用量は6.9μg/kgであり、中央値最大週用量は8.0μg/kgであった。20名の患者が1μg/kgのロミプロスチムで開始し、その中には以前の試験においてプラセボを投与された15名(23%)の患者が含まれていた。65名の患者全員が、90%を超える期間、プロトコールによる用量を投与された。21名の患者が、治療不遵守により、1回以上の用量を、全体で65回投与しなかった。経時の用量は、図3Aに示すように、典型的には約4~5μg/kgであった。240週目の後(n≦7)に、用量は揺れ動いた。
【0030】
安全性
最もよくみられた有害事象は、頭痛及び挫傷であった(下方の表3)。54例の重篤な有害事象が19名の患者に発生したが、治療関連とみなされたのはグレード4の血小板減少症、グレード3の鼻出血、及びグレード2の貧血を併発した1名の患者のみであった(重篤な有害事象の完全リストは下方の補足の表1に)。出血有害事象は、57名の患者に発生した。3例の出血有害事象は、治療関連と思われるものであった(注射部位出血、注射部位皮下出血、及び鼻出血)。最多出血有害事象は、挫傷(51%)、鼻出血(49%)、点状出血(31%)、及び歯肉出血(20%)であった。頭蓋内出血の症例はなかった。報告された特定の出血イベントには、過多月経(n=7、4%)、血尿(n=4、2%)、直腸出血(n=4、2%)、喀血(n=3、2%)、肛門出血(n=2、1%)、血便(n=2、1%)、及び吐血(n=1、0.6%)が含まれていた。7名の患者に重篤な又はグレード3の出血があり(下方の補足の表2)、鼻出血の悪化の1症例は治療関連とみなされた。動脈の又は静脈の血栓塞栓イベントは報告されなかった。注目すべきことであるが、499例の有害事象を有した1名の患者を除外すれば、挫傷率は100患者・年当たり239から92へと低下するであろう。ある小児(3.4年間試験に参加した7歳男児)もまた、幾つかの重篤な有害事象、即ち、血小板数の低下の6症例、及び頭痛、頭部損傷、嘔吐、白血球減少症、血腫、レンサ球菌咽頭炎、及び胃腸炎の各1症例を有した。
【0031】
投与後抗体を、60名の患者において年一回アッセイした。1名の患者が他の療法を受けるために試験を離脱した時に、抗ロミプロスチム中和抗体が検出されたが、その中和抗体は3カ月後及び6カ月後に再試験した際には見つからなかった。この女児は複数の追加の療法を必要とし、ミコフェノール酸により安定している。200患者・年の曝露(以前のロミプロスチム試験の期間を含む)にわたり、毎年抗体アッセイを実施したにもかかわらず、抗TPO中和抗体を有する患者はいなかった。
【0032】
さらなる血球減少症を有する2名の患者において骨髄生検を実施した。両患者とも鉄欠乏性貧血であることが判明し、線維症も悪性腫瘍もなかった。1つめの生検は、試験開始から2年後に実施し、17歳の女児の持続性貧血を評価するものであった。定期的に補充の鉄を摂取し、月経出血が軽くなると、この患者の貧血は改善した。2つめの生検は、11歳の女児が、好中球減少症及び貧血を発症したため、試験開始から6週間後に実施した。この患者は貧血のため鉄を投与され、断続的な好中球減少症を有していたが、最終的に回復した。
【0033】
有効性
試験2週目から、中央値血小板数は50×10/Lを超え続け、中央値血小板数は、24週目から260週目まで100×10/Lを超えていた(図3B)。ほぼ全員(94%、65名中61名)の患者の血小板応答が1以上であった(血小板数50×10/L以上、レスキュー治療後4週間以下のカウントを除く)。大多数(72%、65名中47名)の患者が、期間中、血小板応答75%以上であり、半数を超える患者(58%、65名中38名)が、期間中、血小板応答90%以上であった。60名(92%)の患者(又は介護者)がロミプロスチムを自己投与(即ち、医院ではなく自宅で)した。23名(35%)の患者はレスキュー治療を受け(下方の表4)、その使用は最初の数カ月間に最も多かった。ベースライン時、5名の患者が、アミノカプロン酸、プレドニゾロン、プレドニゾン、及びトラネキサム酸などの他のITP薬物治療を受けていた。全体で、48%(65名中31名)の患者が他のITP薬物治療(ベースラインから又はレスキューとして)を受けていた。これらの薬物治療を受けている患者の比率は、試験期間中に減少した。出血は、全体及びグレード2以上の両方とも、経時で減少した(図4A及びB)。
【0034】
寛解/無治療期間
15名(23%)の患者は、ITP薬物治療をせずに24週間以上、血小板数50×10/L以上を維持した(即ち、無治療期間、ここでは寛解と定義する;表5、図5A~D)。無治療期間の開始時、これらの患者(9名の女児、6名の男児)はITPを中央値(最小-最大)で4(1~12)年間有しており、ロミプロスチムを3(1~7)年間投与されていた。これらの患者のうち、以前に脾臓摘出術を受けた患者はいなかった。中央値(最小-最大)ベースライン血小板数は、14(1-44)×10/Lであった。これらの無治療期間は、中央値(最小-最大)で1(0.6~2.1)年間続き、1名の患者を除く全員が、試験終了時になお、全ての治療をせずに、血小板数50×10/L以上である。用量を減少させた最後の数カ月において、中央値(最小-最大)ピーク血小板数は299(217-730)×10/Lであった。中止して最初の1カ月後、即ち、薬物効果/反跳現象がもはや予測されない時点で、中央値(最小-最大)ピーク血小板数は249(150-450)×10/Lであり、中央値(最小-最大)最低血小板数は113(77-311)×10/Lであった(個々の患者のプロット、図5A~Dにみられるように)。これらの患者の15名全員がITP薬物治療をせずに3カ月間以上、及び15人中12人は6カ月間以上、血小板数が100×10/Lを超えた。これらの15名の患者が100×10/L以上である中央値(最小-最大)期間は、42(13~109)週間であった。
【0035】
ベースライン特性及び早期治療のアウトカム、例えば、ITP期間、過去のITP治療、及び最初の4週間の血小板数などを、事後解析において評価した。診断時の年齢がより低いこと、初回投与時の年齢がより低いこと、最初の4週間で血小板200×10/L以上、及び最初の4週間の平均血小板数がより高いことの全てが、単変量解析において、寛解発生の可能性が高くなることと関連していた(表5、図3)。多変量解析では、初回投与時の年齢(p=0.001)及び最初の4週間で血小板数200×10/L以上(p=0.004)が、寛解の予測となった。注目すべきことに、以前のリツキシマブの使用(p=1.0)及び以前の脾臓摘出術(p=0.32)のモデルは非比例ハザード性であり、したがってハザード比はなかった。ベースライン時の年齢によって多変量解析を行った場合、初回投与時に10歳未満であった患者(N=32)については、以前のITP治療が3未満、及び最初の12週間で血小板数200×10/L以上が、寛解の予測となった。診断時に10歳未満であった患者(N=49)については、初回投与時の年齢がより低いこと、最初の4週間で血小板数200×10/L以上、最初の12週間で平均血小板数100×10/L以上、及び最初の6カ月でのレスキュー治療の使用もまた、予測となったが、レスキュー治療の使用は負の予測因子であった。10歳以上の患者は、寛解を予測する因子のモデルとするには少なすぎた。
【0036】
考察
有効性
大多数(72%)の小児が、期間中、血小板応答75%以上であり、半数を超える小児(58%、65名中38名)が、期間中、血小板応答90%以上であったという所見が示すように、ロミプロスチム治療は、持続的な血小板応答に頻繁に結びついた。さらに、中央値血小板数は、2週目から望ましい範囲(50×10/L~200×10/L)に維持され、24週目から260週目には100×10/Lを超えていた。
【0037】
この試験における患者はまた、他のITP薬物治療の使用を減少させることができ、経時で出血、特に臨床的に重要な出血(グレード2以上)の報告が減少した。
【0038】
安全性
この試験のデータは、182患者・年、即ち、1患者当たりほぼ3年のロミプロスチムへの曝露にもかかわらず、血栓イベントも、骨髄変化も、死亡者数も、新たな安全性の懸念もなく、ロミプロスチムは忍容性が高いことを示した。
【0039】
中央値用量は、フェーズ3試験(約4~5μg/kg)と同様であった。
【0040】
約30%の患者に重篤な有害事象が発生したが、治療関連の重篤な有害事象(血小板減少症、鼻出血、及び貧血)は1名の患者のみであった。
【0041】
治療の患者・年の数が大きいにもかかわらず、抗ロミプロスチム中和抗体が発現したことが確認されたのは1名の患者のみであり、TPOに対する中和抗体を有した患者はいなかった。これは、ITPの治療を受けた成人において観察されたことと一致している。ロミプロスチムITP治験の統合データベースにおいて、抗ロミプロスチム中和抗体は、合計曝露1832患者・年の1046名の患者のうち4名に見つかった。その4名の患者全員がロミプロスチムに対して血小板応答をし続けた。
【0042】
骨髄生検は、治験責任医師が臨床的に必要と考えた場合に実施された。2名の患者がさらなる血球減少症を有したため、骨髄生検を実施した。両者とも鉄欠乏性貧血であった。
【0043】
血栓症の症例はみられなかった。ロミプロスチムの成人試験において、血栓症の比率は低く、プラセボ/標準治療間で差違はなかった(Cines et al.,2015)。10
【0044】
有害事象のため試験を中止したのは2名の患者のみであったが、全体では、42%(66名中28名)の患者が試験終了前に離脱した。その最多の理由は同意の撤回(n=10)及び別の療法の必要性(n=4)であった。
【0045】
寛解/無治療期間
喜ばしい驚きであったのは、ほぼ4分の1(65名中15名)の患者が、ロミプロスチムを0.7~6年投与した後に全てのITP治療(ロミプロスチムを含む)を中止することができ、それでもなお少なくとも6カ月間、止血性の血小板数(50×10/L以上)を維持している(ここでは寛解と定義した)ことであった。再発し、1μg/kgのロミプロスチムのさらなる治療が必要になったのは、15名中1名の患者のみであった。最後に連絡が取れた時点でこの患者は、血小板数が400×10/Lに到達したため、ロミプロスチムを再度中止していた。
【0046】
多変量解析において、初回投与時の年齢がより低いこと、及び最初の8週間の平均血小板数がより高いことの両方が、寛解発生の可能性が高くなることと関連していた。これは特に興味深い。なぜなら、以前に成人の試験において、やはり最初の8週間の平均血小板数がより高いことが、寛解発生の可能性が高くなることと関連することが観察されていたのだが、その著者らは、他の人口統計学的特性又はベースライン特性を調べると、寛解の統計的に有意な予測因子は認められなかったと最終的に結論づけたからである。(Newland et al.,2016)。
【0047】
寛解の解析に関しては、この試験において、諸因子が寛解の予測となるとは判断されなかったとしても、その可能性があることは注目されるべきである。なぜなら、母集団はサイズが小さかった、又はそれを試験するための適正な集団ではなかったからである。エビデンスの非存在は、非存在のエビデンスではない。
【0048】
さらに、寛解の定義は大幅に変化し得ることに留意されるべきであり、場合により、血小板の閾値がもっと高い(例えば、50×10/Lではなく100×10/L)、及び/又は期間がもっと長い(例えば、6カ月ではなく1年)ことがある。本明細書の目的では、寛解は、ITP薬物治療をせずに少なくとも6カ月間(24週間)、血小板の閾値を50×10/Lに維持することと定義される。
【0049】
寛解の発生は全面的に予測されたわけではなく、寛解は、所定の試験評価項目ではなかったが、観察された現象であった。
【0050】
小児における寛解は、成人において観察される寛解とは極めて異なる可能性がある一方、この所見は、ITPの成人における過去のロミプロスチム試験(ITPを6カ月以下の間有する75名の患者が、ロミプロスチムで12カ月以下の間治療され、その後、強制漸減された試験を含む)と一致している(Newland et al.,2016)。11寛解は24名の患者(32%)に観察され、有意な予測因子はなかった。大多数(24名中20名)の患者は強制漸減の前に寛解が始まった。
【0051】
無治療期間はまた、エルトロンボパグの延長試験(EXTEND)においてもITPの成人にみられ(Saleh et al.,2013)12、その中で、長期の応答(エルトロンボパグを含むITP薬物治療をせずに12週間以上、血小板数50×10/L以上と定義される)が、325名中13名の患者(4%)に認められた。ITP診断からの中央値(最小-最大)時間は26カ月(9~128)であり、長期の応答の前の延長試験におけるエルトロンボパグ治療の中央値(最小-最大)期間は160日(14~1107)であった。
【0052】
エルトロンボパグを投与されたITPの成人の遡及的評価において、201名中80名の患者が著効(血小板数100×10/L超)となり、エルトロンボパグを中止した(Gonzalez-Lopez et al.,2015)13。評価可能な患者49名中26名が、エルトロンボパグの中止後、追加のITP療法をせずに少なくとも6カ月間、持続的応答を示した。エルトロンボパグの中止後の持続的応答の予測因子は特定されなかった。
【0053】
上に述べたとおり、応答、寛解、及び持続的応答の定義は大幅に変化し得る。本明細書で報告した試験において、応答については血小板数50×10/L以上を、及び寛解についてはITP薬物治療をせずに6カ月以上の血小板数50×10/L以上を選択した。他の試験は、応答についての異なる血小板の閾値、及び異なる無治療期間を使用した。例えば、IWGによる応答(Rodeghiero et al.)14があり、その中では、30×10/L及び100×10/Lという閾値が、応答及び著効について、両者とも出血がない状態で使用され、又は、長期のリツキシマブ試験(Patel et al.,2012)15におけるように、少なくとも1年の無治療期間が使用された。
【0054】
発明者らの試験にみられるように、寛解に入る前のITPの期間がより長いことは、この寛解が自然発生的ではなく、ロミプロスチムに起因する可能性が高いことを示し、ロミプロスチムが疾患改善薬(disease-altering)となり得ることを示唆している。ロミプロスチムは免疫調節性であるとは知られていないため、これは予想外である。理論に縛られるものではないが、可能性のある作用機序には、以下が含まれる。
・制御性T細胞の機能の増強(Bao et al.,2010;Chong,2010;Son et al.,2015)16~18
・ナチュラルキラーT細胞(Johansson et al.,2005)19
・制御性B細胞活性(Li et al.,2012)20
・結晶化可能フラグメント受容体IIb(FcRIIb)、抑制性FcRの誘導(Liu et al.,2016)21
【0055】
ほぼ4分の1の患者における寛解の発生は、ロミプロスチムでの維持が、不明確な「生涯にわたる治療」ではなさそうであること;最初の8週間での応答が、患者が寛解に入る可能性がより高いかどうかを示し得ることを示唆する。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
補足の表
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
上記の小児の試験にみられた結果が成人集団と相関していることを確認するために、遡及的な統計解析を2つの成人試験(臨床治験20080009及び20080435)に関して実施した。Janssens et al.(2016)で報告された「0009治験」は、3年までのロミプロスチム治療を受ける慢性ITPに関するものであった。Newland et al.(2015)で報告された「0435治験」は、1年までの間のロミプロスチムでの早期ITP治療に関し、漸減して被験者が寛解するかどうかを確認する特定の試みがなされた。両試験とも、個々に、ロミプロスチムでの治療の最初の4週間、8週間、及び12週間以内に血小板数200×10/L以上を有することが、寛解の比率が高くなることに関連することを示した。「0009試験」では、第2の、より保存的な関連試験が使用された。両成人試験において、最初の8週間以内に血小板数200×10/L以上に到達することが、寛解に入る最強の予測因子である。解析結果を以下の表A~Dに表す。
【0067】
【表10】
【0068】
【表11】
【0069】
【表12】
【0070】
【表13】
【0071】
参考文献
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【0072】
本明細書に引用された各参考文献は、その全体が、参照により援用される。当然のことながら、記載された特定の方法論、プロトコール及び材料は変化し得るため、開示された本発明はこれらに限定されない。さらに当然のことながら、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0073】
当業者は、本明細書に記載した本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を、単なる日常的な実験を使用して、認識し、又は確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A-5D】
図6
図7A-7F】
図7G-7M】
【手続補正書】
【提出日】2023-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特発性血小板減少症紫斑病(ITP)を有する患者においてITPを治療する方法であって、
a.ロミプロスチムを前記患者に毎週投与するステップ;
b.血小板数が少なくとも約50×10/L~200×10/Lに到達するまで週用量を増加するステップ;
c.血小板数が2週続けて200×10/L以上を維持している場合に、ロミプロスチムの週用量を減少させるステップ;
d.(i)週用量が1μg/kgであるときに血小板数が2週続けて200×10/L以上を維持した場合、又は(ii)血小板数が400×10/L以上である場合、ロミプロスチムを中止するステップ;及び
e.治療の最初の4~12週間以内に血小板数200×10/L以上に到達した場合に、前記患者がロミプロスチムを投与されない少なくとも約24週間の無治療期間を維持するステップ
を含む方法。
【外国語明細書】