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特開2023-179463第VIII因子を発現するレンチウイルスベクターの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179463
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】第VIII因子を発現するレンチウイルスベクターの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20231212BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20231212BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20231212BHJP
   A61K 38/37 20060101ALI20231212BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20231212BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20231212BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20231212BHJP
   C12N 15/67 20060101ALI20231212BHJP
   C12N 15/90 20060101ALI20231212BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20231212BHJP
   C12N 15/14 20060101ALI20231212BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20231212BHJP
   C12N 7/01 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
A61K48/00
A61P7/04 ZNA
A61K35/76
A61K38/37
A61K47/14
C12N15/867 Z
C12N15/12
C12N15/67 Z
C12N15/90 Z
C12N15/62 Z
C12N15/14
C12N15/13
C12N7/01
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023145771
(22)【出願日】2023-09-08
(62)【分割の表示】P 2020541975の分割
【原出願日】2019-01-31
(31)【優先権主張番号】62/625,145
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/671,915
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/793,158
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512147244
【氏名又は名称】バイオベラティブ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・アンノーニ
(72)【発明者】
【氏名】アレッシオ・カントーレ
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ドレイガー
(72)【発明者】
【氏名】トンヤオ・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ミケーラ・ミラーニ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ・モフィット
(72)【発明者】
【氏名】ルイージ・ナルディーニ
(72)【発明者】
【氏名】スザンナ・パタロヨ-ホワイト
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ピーターズ
(72)【発明者】
【氏名】アレクシー・セレジン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コドン最適化第VIII因子配列を含むレンチウイルスベクターおよびそのようなレンチウイルスベクターを使用する方法を提供する。
【解決手段】本明細書に開示される肝臓標的化レンチウイルスベクターは、遺伝子療法のために使用することができ、ここで、レンチウイルス遺伝子送達は、小児または成人対象の標的化細胞(例えば、肝細胞)のゲノムの中への、導入遺伝子発現カセットの安定した組入れを可能にし、低いレンチウイルスベクター用量(例えば、5×1010以下、例えば、1.5×10以下または1×10TU/kg以下)でのFVIII発現の向上を達成する。本開示は、血友病などの出血障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に、コドン最適化第VIII因子核酸配列を含む肝臓標的化レンチウイルスベクターを低い投薬量(1×10TU/kg以下から1.5×1010TU/kg)で投与することを含む方法も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象において出血障害を処置する方法であって、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターの、5×1010以下の形質導入単位/kg(TU/kg)の少なくとも1用量を該対象に投与することを含み、該ヌクレオチド配列は、
(i)配列番号1のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも91%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(ii)配列番号2のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(iii)配列番号70のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(iv)配列番号71のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(v)配列番号3のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(vi)配列番号4のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(vii)配列番号5のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(viii)配列番号6のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;または
(ix)(i)~(viii)の任意の組合せ
を有する、前記方法。
【請求項2】
それを必要とする対象において出血障害を処置する方法であって、第VIII因子(FVIII)ポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターの、5×1010以下の形質導入単位/kg(TU/kg)の少なくとも1用量を該対象に投与することを含み;
(a)該第1の核酸配列は、
(i)配列番号3のヌクレオチド58~2277および2320~1791に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(ii)配列番号4のヌクレオチド58~2277および2320~1791に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも
97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(iii)配列番号5のヌクレオチド58~1791に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;または(iv)配列番号6のヌクレオチド58~1791に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性
を有する、
(b)該第2の核酸配列は、
(i)配列番号3のヌクレオチド1792~2277および2320~4374に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(ii)配列番号4のヌクレオチド1792~2277および2320~4374に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(iii)配列番号5のヌクレオチド1792~2277および2320~4374に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;または
(iv)配列番号6のヌクレオチド1792~2277および2320~4374に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性
を有する、または
(c)(a)および(b)の任意の組合せであり;
該N末端部分および該C末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有する、前記方法。
【請求項3】
用量は、約5×1010TU/kg、約4.5×1010TU/kg、約4×1010TU/kg、約3.5×1010TU/kg、約3×1010TU/kg、約2.5×1010TU/kg、約2×1010TU/kg、約1.5×1010TU/kg、約1×1010TU/kg、約9.5×10TU/kg、約9×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2×10TU/kg、約1.5×10TU/kg、約1×10TU/kg、約9.5×10TU/kg、約9×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2×10TU/kg、約1.5×10TU/kgまたは約1×10TU/kgである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
用量は、約5×1010TU/kg未満、約4.5×1010TU/kg未満、約4×1010TU/kg未満、約3.5×1010TU/kg未満、約3×1010TU/kg未満、約2.5×1010TU/kg未満、約2×1010TU/kg未満、約1.5×1010TU/kg未満、約1×1010TU/kg未満、約9.5×10TU/kg未満、約9×10TU/kg未満、約8.5×10TU/kg未満、約8×10
TU/kg未満、約7.5×10TU/kg未満、約7×10TU/kg未満、約6.5×10TU/kg未満、約6×10TU/kg未満、約5.5×10TU/kg未満、約5×10TU/kg未満、約4.5×10TU/kg未満、約4×10TU/kg未満、約3.5×10TU/kg未満、約3×10TU/kg未満、約2.5×10TU/kg未満、約2×10TU/kg未満、約1.5×10TU/kg未満、約1×10TU/kg未満、約9.5×10TU/kg未満、約9×10TU/kg未満、約8.5×10TU/kg未満、約8×10TU/kg未満、約7.5×10TU/kg未満、約7×10TU/kg未満、約6.5×10TU/kg未満、約6×10TU/kg未満、約5.5×10TU/kg未満、約5×10TU/kg未満、約4.5×10TU/kg未満、約4×10TU/kg未満、約3.5×10TU/kg未満、約3×10TU/kg未満、約2.5×10TU/kg未満、約2×10TU/kg未満、約1.5×10TU/kg未満または約1×10TU/kg未満である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
用量は、1×10~5×1010TU/kg、1×10~5×10TU/kg、1×10~1×10TU/kg、1×10~1×1010TU/kg、1×10~5×1010TU/kg、2×10~5×1010TU/kg、3×10~5×1010TU/kg、4×10~5×1010TU/kg、5×10~5×1010TU/kg、6×10~5×1010TU/kg、7×10~5×1010TU/kg、8×10~5×1010TU/kg、9×10~5×1010TU/kg、1010~5×1010TU/kg、1.5×1010~5×1010TU/kg、2×1010~5×1010TU/kg、2.5×1010~5×1010TU/kg、3×1010~5×1010TU/kg、3.5×1010~5×1010TU/kg、4×1010~5×1010TU/kg、または4.5×1010~5×1010TU/kgである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
用量は、1×10~5×1010TU/kg、1×10~4.5×1010TU/kg、1×10~4×1010TU/kg、1×10~3.5×1010TU/kg、1×10~3×1010TU/kg、1×10~2.5×1010TU/kg、1×10~2×1010TU/kg、1×10~1.5×1010TU/kg、1×10~1×1010TU/kg、1×10~9×10TU/kg、1×10~8×10TU/kg、1×10~7×10TU/kg、1×10~6×10TU/kg、1×10~5×10TU/kg、1×10~4×10TU/kg、1×10~3×10TU/kg、および1×10~2×10TU/kgである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
用量は、1×1010~2×1010TU/kg、1.1×1010~1.9×1010TU/kg、1.2×1010~1.8×1010TU/kg、1.3×1010~1.7×1010TU/kg、または1.4×1010~1.6×1010TU/kgである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
用量は、約1.5×1010TU/kgである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
用量は、約1.0×10TU/kgである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
用量は、約3.0×10TU/kgである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
用量は、約6.0×10TU/kgである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
用量は、約1×10TU/kg、約8.3×10TU/kg、約1.5×10
U/kg、約4.5×10TU/kg、または約1.3×1010TU/kgである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
用量は、2.5×10TU/kg~3.5×10TU/kg、2.6×10TU/kg~3.4×10TU/kg、2.7×10TU/kg~3.3×10TU/kg、2.8×10TU/kg~3.2×10TU/kg、または2.9×10TU/kg~3.1×10TU/kgである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
用量は、5.5×10TU/kg~6.5×10TU/kg、5.6×10TU/kg~6.4×10TU/kg、5.7×10TU/kg~6.3×10TU/kg、5.8×10TU/kg~6.2×10TU/kg、または5.9×10TU/kg~6.1×10TU/kgである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
レンチウイルスベクターの投与の24時間~48時間後の血漿FVIII活性は、配列番号16を含む核酸分子を含む参照ベクターを投与した対象と比較して増加する、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
血漿FVIII活性は、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍、少なくとも約110倍、少なくとも約120倍、少なくとも約130倍、少なくとも約140倍、少なくとも約150倍、少なくとも約160倍、少なくとも約170倍、少なくとも約180倍、少なくとも約190倍または少なくとも約200倍に増加する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
レンチウイルスベクターは、単一用量または複数用量で投与される、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
レンチウイルスベクターは静脈内注射を通して投与される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
対象は小児対象である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
対象は成人対象である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
レンチウイルスベクターは組織特異的プロモーターを含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
組織特異的プロモーターは、標的肝臓細胞においてFVIII活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
標的肝臓細胞においてFVIII活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する組織特異的プロモーターは、mTTRプロモーターを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
標的肝臓細胞は肝細胞である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
単離された核酸分子は肝細胞のゲノムに安定して組み入れられる、請求項24に記載の
方法。
【請求項26】
出血障害は血友病Aである、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
単離された核酸分子はLV-coFVIII-6(配列番号71)を含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
単離された核酸分子はLV-coFVIII-6-XTEN(配列番号72)を含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
レンチウイルスベクターの用量は一度に投与されるかまたは少なくとも2つの部分用量に分割される、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
レンチウイルスベクターの投与は少なくとも2回反復される、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、シグナルペプチドをコードする核酸配列をさらに含み、シグナルペプチドをコードする該核酸配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド1~57;
(ii)配列番号2のヌクレオチド1~57;
(iii)配列番号3のヌクレオチド1~57;
(iv)配列番号4のヌクレオチド1~57;
(v)配列番号5のヌクレオチド1~57;
(vi)配列番号6のヌクレオチド1~57;
(vii)配列番号70のヌクレオチド1~57;
(viii)配列番号71のヌクレオチド1~57;または
(ix)配列番号68のヌクレオチド1~57
に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有する、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、
(a)核酸分子またはその一部のヒトコドン適合指数は、配列番号16と比較して増加する;
(b)該ヌクレオチド配列またはその一部の最適コドン頻度は、配列番号16と比較して増加する;
(c)該ヌクレオチド配列またはその一部は、配列番号16におけるG/Cヌクレオチドの百分率と比較してより高いG/Cヌクレオチドの百分率を含有する;
(d)該ヌクレオチド配列またはその一部の相対的同義コドン使用頻度は、配列番号16と比較して増加する;
(e)該ヌクレオチド配列またはその一部のコドンの有効数は、配列番号16と比較して低減する;
(f)該ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較してより少ないMARS/ARS配列(配列番号21および22)を含有する;
(g)該ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較してより少ない不安定化エレメント(配列番号23および24)を含有する;および
(h)その任意の組合せ
からなる群から選択される1つまたはそれ以上の特性を含む、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、異種アミノ酸配列をコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
異種アミノ酸配列は、免疫グロブリン定常領域もしくはその一部、XTEN、トランスフェリン、アルブミンまたはPAS配列である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
異種アミノ酸配列は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列のN末端もしくはC末端に連結されるか、または、表3から選択される1つまたはそれ以上の挿入部位のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列の中の2つのアミノ酸の間に挿入される、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
FVIIIポリペプチドは完全長FVIIIまたはBドメイン欠失FVIIIである、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
レンチウイルスベクターは脂質コートを含む、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
脂質コートは1つまたはそれ以上のCD47ポリペプチドを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
CD47ポリペプチドはヒトCD47ポリペプチドである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
脂質コートは高濃度のCD47ポリペプチドを含む、請求項37~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
脂質コートはMHC-Iポリペプチドを含まない、請求項37~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
脂質コートは、高濃度のCD47ポリペプチドを含み、MHC-Iポリペプチドを含まない、請求項37~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
レンチウイルスベクターは宿主細胞中で産生される、請求項1~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
宿主細胞はCD47を発現する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
宿主細胞はMHC-Iを発現しない、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
宿主細胞はCD47high/MHC-Iである、請求項43~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
宿主細胞はCD47high/MHC-IHEK293T細胞である、請求項43~46のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その全開示はここに参照により本明細書に組み入れる、2018年2月1日に出願の米国特許仮出願第62/625,145号、2018年5月15日に出願の同第62/671,915号、および2019年1月16日に出願の同第62/793,158号への優先権を請求する。
【0002】
電子的に提出された配列表への参照
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【背景技術】
【0003】
血液凝固経路は、血小板の表面の第VIIIa因子(FVIIIa)および第IXa因子(FIXa)の酵素複合体(Xase複合体)の形成を一部含む。FIXaは、その補因子FVIIIa無しで比較的弱い触媒活性を有するセリンプロテアーゼである。Xase複合体は第X因子(FX)を第Xa因子(FXa)に切断し、それは次に第Va因子(FVa)と相互作用してプロトロンビンを切断してトロンビンを生成する。血友病Aは、FVIII活性の欠損をもたらすFVIII(FVIII)遺伝子における突然変異および/または欠失によって引き起こされる出血障害である(非特許文献1)。一部の場合には、患者は、抗FVIII抗体などのFVIII阻害剤の存在によるFVIIIの低減したレベルを有する。
【0004】
この疾患は、特発性出血を予防するFVIII活性の回復を標的にする補充療法によって処置することができる。出血症状をオンデマンドで処置するか、または予防的に処置することによって出血症状の発生を予防するために利用可能である、血漿由来の組換えFVIII生成物がある。これらの生成物の半減期(10~12時間)に基づき(非特許文献2;非特許文献3)、処置レジメンは頻繁な静脈内投与、一般的に予防のためには週に2~3回、オンデマンド処置のためには1日に1~3回を必要とする(非特許文献4)。そのような頻繁な投与は不便であり、高コストである。
【0005】
低コストの組換えFVIIIタンパク質を患者に提供することにおける主要な障害は、商業生産の高いコストである。FVIIIタンパク質は、異種発現系で十分に発現せず、同様のサイズのタンパク質より2~3桁低い。(非特許文献5)。FVIII発現の生物学の我々の理解における進歩は、より強力なFVIII変異体の開発につながった。例えば、生化学的研究は、FVIIIBドメインがFVIII補因子活性のために不必要であることを実証した。Bドメインの欠失は、完全長野生型FVIIIに対してmRNAレベルの17倍の増加および分泌タンパク質の30%の増加をもたらした。(非特許文献6)。それにもかかわらず、異種系において効率的に発現するFVIII配列の必要性がなお当技術分野に存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Peyvandiら2006年
【非特許文献2】White G.C.ら、Thromb.Haemost.77:660~7頁(1997)
【非特許文献3】Morfini、M.、Haemophilia 9(増補1):94~99頁;考察100(2003)
【非特許文献4】Manco-Johnson、M.J.ら、N.Engl.J.Med.357:535~544頁(2007)
【非特許文献5】Lynchら、Hum.Gene.Ther.;4:259~72頁(1993)
【非特許文献6】Tooleら、Proc Natl Acad Sci USA 83:5939~42頁(1986)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、それを必要とする対象において出血障害を処置する方法であって、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターの、5×1010TU/kg形質導入単位/kg(TU/kg)以下(例えば、5×10以下または10TU/kg以下)の少なくとも1用量を対象に投与することを含み、ここで、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも91%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;(ii)配列番号2のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;(iii)配列番号70のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;(iv)配列番号71のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;(v)配列番号3のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;(vi)配列番号4のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;(vii)配列番号5のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;(viii)配列番号6のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;または(ix)(i)から(viii)の任意の組合せを有する方法を提供する。
【0008】
本開示は、それを必要とする対象において出血障害を処置する方法であって、第VIII因子(FVIII)ポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターの、5×1010TU/kg以下(例えば、5×10以下または10TU/kg以下)の少なくとも1用量を対象に
投与することを含み;(a)ここで、第1の核酸配列は:(i)配列番号3のヌクレオチド58~2277および2320~1791に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;(ii)配列番号4のヌクレオチド58~2277および2320~1791に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;(iii)配列番号5のヌクレオチド58~1791に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;または(iv)配列番号6のヌクレオチド58~1791に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する;(b)第2のヌクレオチド配列は:(i)配列番号3のヌクレオチド1792~2277および2320~4374に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;(ii)配列番号4のヌクレオチド1792~2277および2320~4374に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;(iii)配列番号5のヌクレオチド1792~2277および2320~4374に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;または(iv)配列番号6のヌクレオチド1792~2277および2320~4374に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する;または(c)(a)および(b)の任意の組合せであり;ここで、N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有する方法を提供する。
【0009】
上で開示される方法の一部の実施形態では、用量は、約9.5×10TU/kg、約9×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2×10TU/kg、約1.5×10TU/kgまたは約1×10TU/kg、約5×1010TU/kg、約4.5×1010TU/kg、約4×1010TU/kg、約3.5×1010TU/kg、約3×1010TU/kg、約2.5×1010TU/kg、約2×1010TU/kg、約1.5×1010TU/kg、約1×1010TU/kg、約9.5×10TU/kg、約9×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2×10TU/kg、約1.5×10TU/kgまたは約1×10TU/kgである。
【0010】
一部の実施形態では、用量は、約9.5×10未満TU/kg、約9×10未満TU/kg、約8.5×10未満TU/kg、約8×10未満TU/kg、約7.5×10未満TU/kg、約7×10未満TU/kg、約6.5×10未満TU/kg、約6×10未満TU/kg、約5.5×10未満TU/kg、約5×10未満TU/kg、約4.5×10未満TU/kg、約4×10未満TU/kg、約3.5×
10未満TU/kg、約3×10未満TU/kg、約2.5×10未満TU/kg、約2×10未満TU/kg、約1.5×10未満TU/kgまたは約1×10未満TU/kg、約5×1010未満TU/kg、約4.5×1010未満TU/kg、約4×1010未満TU/kg、約3.5×1010未満TU/kg、約3×1010未満TU/kg、約2.5×1010未満TU/kg、約2×1010未満TU/kg、約1.5×1010未満TU/kg、約1×1010未満TU/kg、約9.5×10未満TU/kg、約9×10未満TU/kg、約8.5×10未満TU/kg、約8×10未満TU/kg、約7.5×10未満TU/kg、約7×10未満TU/kg、約6.5×10未満TU/kg、約6×10未満TU/kg、約5.5×10未満TU/kg、約5×10未満TU/kg、約4.5×10未満TU/kg、約4×10未満TU/kg、約3.5×10未満TU/kg、約3×10未満TU/kg、約2.5×10未満TU/kg、約2×10未満TU/kg、約1.5×10未満TU/kgまたは約1×10未満TU/kgである。
【0011】
一部の実施形態では、用量は、1×10~5×1010TU/kg、1×10~5×10TU/kg、1×10~1×10TU/kg、1×10~1×1010TU/kg、1×10~5×1010TU/kg、2×10~5×1010TU/kg、3×10~5×1010TU/kg、4×10~5×1010TU/kg、5×10~5×1010TU/kg、6×10~5×1010TU/kg、7×10~5×1010TU/kg、8×10~5×1010TU/kg、9×10~5×1010TU/kg、1010~5×1010TU/kg、1.5×1010~5×1010TU/kg、2×1010~5×1010TU/kg、2.5×1010~5×1010TU/kg、3×1010~5×1010TU/kg、3.5×1010~5×1010TU/kg、4×1010~5×1010TU/kg、または4.5×1010~5×1010TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、1×10~5×1010TU/kg、1×10~4.5×1010TU/kg、1×10~4×1010TU/kg、1×10~3.5×1010TU/kg、1×10~3×1010TU/kg、1×10~2.5×1010TU/kg、1×10~2×1010TU/kg、1×10~1.5×1010TU/kg、1×10~1010TU/kg、1×10~9×10TU/kg、1×10~8×10TU/kg、1×10~7×10TU/kg、1×10~6×10TU/kg、1×10~5×10TU/kg、1×10~4×10TU/kg、1×10~3×10TU/kg、および1×10~2×10である。一部の実施形態では、用量は、1×1010~2×1010TU/kg、1.1×1010~1.9×1010TU/kg、1.2×1010~1.8×1010TU/kg、1.3×1010~1.7×1010TU/kg、または1.4×1010~1.6×1010TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、約1.5×1010TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、1.5×10TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、2.5×10TU/kg~3.5×10TU/kg、2.6×10TU/kg~3.4×10TU/kg、2.7×10TU/kg~3.3×10TU/kg、2.8×10TU/kg~3.2×10TU/kg、または2.9×10TU/kg~3.1×10TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、約3.0×10TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、5.5×10TU/kg~6.5×10TU/kg、5.6×10TU/kg~6.4×10TU/kg、5.7×10TU/kg~6.3×10TU/kg、5.8×10TU/kg~6.2×10TU/kg、または5.9×10TU/kg~6.1×10TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、約6.0×10TU/kgである。
【0012】
上で開示される方法の一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの投与の24時間~48時間後の血漿FVIII活性は、配列番号16を含む核酸分子を含む参照ベクター
を投与した対象と比較して増加する。一部の実施形態では、血漿FVIII活性は、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍、少なくとも約110倍、少なくとも約120倍、少なくとも約130倍、少なくとも約140倍、少なくとも約150倍、少なくとも約160倍、少なくとも約170倍、少なくとも約180倍、少なくとも約190倍、または少なくとも約200倍に増加する。
【0013】
上で開示される方法の一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、単一用量または複数用量で投与される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、静脈内注射を通して投与される。一部の実施形態では、対象は、小児対象である。一部の実施形態では、対象は、成人対象である。
【0014】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、組織特異的プロモーターを含む。一部の実施形態では、組織特異的プロモーターは、標的肝臓細胞においてFVIII活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する。一部の実施形態では、標的肝臓細胞においてFVIII活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する組織特異的プロモーターは、mTTRプロモーターを含む。一部の実施形態では、標的肝臓細胞は、肝細胞である。一部の実施形態では、単離された核酸分子は、肝細胞のゲノムに安定して組み入れられる。一部の実施形態では、出血障害は、血友病Aである。
【0015】
上で開示される方法の一部の実施形態では、単離された核酸分子は、LV-coFVIII-6(配列番号71)を含む。一部の実施形態では、単離された核酸分子は、LV-coFVIII-6-XTEN(配列番号72)を含む。
【0016】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、一度に投与されるか、または2つの部分用量、3つの部分用量、4つの部分用量、5つの部分用量もしくは6つの部分用量に分割される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの投与は、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回または少なくとも10回繰り返される。一部の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、シグナルペプチドをコードする核酸配列をさらに含み、ここで、シグナルペプチドをコードする核酸配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド1~57;(ii)配列番号2のヌクレオチド1~57;(iii)配列番号3のヌクレオチド1~57;(iv)配列番号4のヌクレオチド1~57;(v)配列番号5のヌクレオチド1~57;(vi)配列番号6のヌクレオチド1~57;(vii)配列番号70のヌクレオチド1~57;(viii)配列番号71のヌクレオチド1~57;または(ix)配列番号68のヌクレオチド1~57に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。
【0017】
一部の実施形態では、核酸分子(または、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列)は、以下からなる群から選択される1つまたはそれ以上の特性を含む:(a)核酸分子またはその一部のヒトコドン適合指数は、配列番号16と比較して増加する;(b)ヌクレオチド配列またはその一部の最適コドン頻度は、配列番号16と比較して増加する;(c)ヌクレオチド配列またはその一部は、配列番号16におけるG/Cヌクレオチドの百分率と比較してより高いG/Cヌクレオチドの百分率を含有する
;(d)ヌクレオチド配列またはその一部の相対的同義コドン使用頻度は、配列番号16と比較して増加する;(e)ヌクレオチド配列またはその一部のコドンの有効数は、配列番号16と比較して低減する;(f)ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較してより少ないMARS/ARS配列(配列番号21および22)を含有する;(g)ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較してより少ない不安定化エレメント(配列番号23および24)を含有する;ならびに(h)その任意の組合せ。
【0018】
一部の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、異種アミノ酸配列(例えば、半減期延長剤)をコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。一部の実施形態では、異種アミノ酸配列は、免疫グロブリン定常領域もしくはその一部、XTEN、トランスフェリン、アルブミンまたはPAS配列である。一部の実施形態では、異種アミノ酸配列は、ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列のN末端もしくはC末端に連結されるか、または、表3から選択される1つもしくはそれ以上の挿入部位のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列の中の2つのアミノ酸の間に挿入される。一部の実施形態では、FVIIIポリペプチドは、完全長FVIIIまたはBドメイン欠失FVIIIである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1-1】図1A~1Jは、Bドメイン欠失第VIII因子をコードするコドン最適化ヌクレオチド配列を提供する図である。図1Aは、coFVIII-3(配列番号1)のヌクレオチド配列を示す。図1Bは、coFVIII-4(配列番号2)のヌクレオチド配列を示す。図1Cは、coFVIII-5(配列番号70)のヌクレオチド配列を示す。図1Dは、coFVIII-6(配列番号71)のヌクレオチド配列を示す。図1Eは、coFVIII-52(配列番号3)のヌクレオチド配列を示す。図1Fは、coFVIII-62(配列番号4)のヌクレオチド配列を示す。図1Gは、coFVIII-25(配列番号5)のヌクレオチド配列を示す。図1Hは、coFVIII-26(配列番号6)のヌクレオチド配列を示す。図1Iおよび1Jは、Bドメイン欠失(BDD-FVIII)の非コドン最適化ヌクレオチドおよびアミノ酸配列をそれぞれ示す(それぞれ、配列番号16および17)。
図1-2】図1-1の続き。
図1-3】図1-2の続き。
図1-4】図1-3の続き。
図1-5】図1-4の続き。
図1-6】図1-5の続き。
図1-7】図1-6の続き。
図1-8】図1-7の続き。
図1-9】図1-8の続き。
図1-10】図1-9の続き。
図2-1】図2A~2Jは、BDD-FVIIIをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列におけるコドン使用頻度バイアス調整を示す図である。図2Aは、BDD-FVIII、例えば、非最適化BDD-FVIIIをコードする野生型ヌクレオチド配列(コドン最適化の前の)におけるコドンの相対頻度を示す。非最適化BDD-FVIII配列のヒトコドン適合指数(CAI)は74%である。図2Bは、88%のヒトCAIを有するcoFVIII-1変異体配列におけるコドンの相対頻度を示す。図2Cは、91%のヒトCAIを有するcoFVIII-3変異体配列におけるコドンの相対頻度を示す。図2Dは、97%のヒトCAIを有するcoFVIII-4変異体配列におけるコドンの相対頻度を示す。図2Eは、83%のヒトCAIを有するcoFVIII-5変異体配列におけるコドンの相対頻度を示す。図2Fは、83%のヒトCAIを有するcoFVIII-6変異体配列におけるコドンの相対頻度を示す。図2Gは、91%のヒトCAIを有するcoFVIII-52変異体配列におけるコドンの相対頻度を示す。図2Hは、91%のヒトCAIを有するcoFVIII-62変異体配列におけるコドンの相対頻度を示す。図2Iは、88%のヒトCAIを有するcoFVIII-25変異体配列におけるコドンの相対頻度を示す。図2Jは、88%のヒトCAIを有するcoFVIII-26変異体配列におけるコドンの相対頻度を示す。
図2-2】図2-1の続き。
図2-3】図2-2の続き。
図2-4】図2-3の続き。
図2-5】図2-4の続き。
図3】coFVIII-1翻訳開始部位の上流に配置され、合成エンハンサー、mTIRエンハンサーおよびmTIRプロモーターを含む、ET強化トランスチレチンプロモーターの制御下のpcDNA3主鎖の中のcoFVIII-1を含む、FVIII-303のプラスミド地図を提供する図である。
図4】5μgのFVIII-303(coFVIII-1;丸)または5μgのFVIII-311(BDD-FVIII;四角)の流体力学的注射の後のHemAマウスにおけるFVIIIの血漿活性のグラフ図を示す図である。FVIIIの血漿活性は、注射の24、48および72時間後のFVIII特異的発色アッセイによって判定した。FVIII-311の発現レベルに正規化された72時間後の相対活性レベルを示す。
図5】coFVIII-52翻訳開始部位の上流に配置され、合成エンハンサー、mTTRエンハンサーおよびmTTRプロモーターを含む、ETプロモーターの制御下のレンチウイルスプラスミドの中のcoFVIII-52を含む、pLV-coFVIII-52のプラスミド地図を示す図である。
図6-1】図6A~6Cは、様々なFVIIIコードヌクレオチドの流体力学的注射の後のHemAマウスにおけるFVIIIの血漿活性のグラフ図を示す図である。FVIIIの血漿活性は、注射の24、48および72時間後のFVIII特異的発色アッセイによって判定した。図6Aは、5μgのLV-coFVIII-1(黒丸)、5μgのLV-coFVIII-3(三角形)、5μgのLV-coFVIII-4(逆三角形)、5μgのLV-coFVIII-5(ひし形)または5μgのLV-coFVIII-6(白丸)の流体力学的注射の後のHemAマウスにおけるFVIIIの血漿活性を示す。図6Bは、5μgのLV-coFVIII-1(丸)、5μgのLV-coFVIII-25(三角形)または5μgのLV-coFVIII-26(逆三角形)の流体力学的注射の後のHemAマウスにおけるFVIIIの血漿活性を示す。図6Cは、20μgのLV-2116(非コドン最適化(WT)BDD-FVIIIヌクレオチド配列;白丸)、20μgのLV-coFVIII-1(三角形)、20μgのLV-coFVIII-52(四角)または20μgのLV-coFVIII-62(黒丸)の流体力学的注射の後のHemAマウスにおけるFVIIIの血漿活性を示す。示すように、LV-coFVIII-1(図6A、6Bおよび6C)および/またはLV-2116(図6C)の発現レベルに正規化された、72時間後の相対活性レベルを各プラスミドについて示す。
図6-2】図6-1の続き。
図6-3】図6-2の続き。
図7】LV-2116(BDD-FVIII)対照と比較して、FVIII特異的発色アッセイによって測定した、coFVIII-1、coFVIII-5、coFVIII-52、coFVIII-6またはcoFVIII-62を含む1E8TU/マウスレンチウイルスベクターによる注射の24日後のHemAマウスにおける血漿FVIII活性を示す図である。エラーバーは、標準偏差を示す。
図8-1】図8A~8Cは、XTENに融合させたBDD-FVIIIをコードする様々なコドン最適化ヌクレオチド配列を提供する図である。図8Aは、coFVIII-52-XTEN(配列番号19)のヌクレオチド配列を示し、ここで、144アミノ酸を有するXTEN(「XTEN144」;配列番号18;下線付き)をコードするヌクレオチド配列は、coFVIII-52ヌクレオチド配列の中に挿入される。図8Bは、coFVIII-1-XTEN(配列番号20)のヌクレオチド配列を示し、ここで、144アミノ酸を有するXTEN(「XTEN144」;配列番号18;下線付き)をコードするヌクレオチド配列は、coFVIII-1ヌクレオチド配列の中に挿入される。図8Cは、coFVIII-6-XTEN(配列番号72)のヌクレオチド配列を示し、ここで、144アミノ酸を有するXTEN(「XTEN144」;配列番号18;下線付き)をコードするヌクレオチド配列は、coFVIII-6ヌクレオチド配列の中に挿入される(例えば、成熟FVIII配列に対応するアミノ酸残基745)。
図8-2】図8-1の続き。
図8-3】図8-2の続き。
図9】ETプロモーターの制御下のレンチウイルスベクターの中のcoFVIII-52-XTENを含む、pLV-coFVIII-52-XTENのプラスミド地図を提供する図である。本明細書に記載されるように、FVIII活性を有するポリペプチドをコードする残りのコドン最適化核酸分子の各々を含むレンチウイルスベクターを、pLV-coFVIII-52-XTENと同様に構築し、ここでは、同じXTEN配列が挿入されてFVIIIのB-ドメインを置き換えた。
図10-1】図10Aおよび10Bは、BDD-FVIIIをコードする様々なコドン最適化ヌクレオチド配列を含むプラスミドDNA(図10A)またはレンチウイルスベクター(図10B)による注射の後の、HemAマウスにおけるFVIII活性を示す図である。図10Aは、5μgのFVIII-311(非コドン最適化、BDD-FVIIIコードヌクレオチド配列;四角)、5μgのFVIII-303(coFVIII-1;小さい丸)またはFVIII-306(coFVIII-1-XTEN144;大きな丸)による流体力学的注射の後のHemAマウスにおけるFVIIIの血漿活性のグラフ図を示す。FVIII-311に正規化された72時間後の相対活性を各プラスミドについて示す。図10Bは、LV-2116(BDD-FVIII)対照と比較して、FVIII特異的発色アッセイによって測定した、coFVIII-52またはcoFVIII-52XTENを含むレンチウイルスベクターの1E8TU/マウスによる注射の21日後のHemAマウスにおける血漿FVIII活性を示す。エラーバーは、標準偏差を示す。
図10-2】図10-1の続き。
図11-1】図11Aは、完全長成熟ヒト第VIII因子のアミノ酸配列を示す。図11Bは、完全長ヒトフォン-ウィルブラント因子(配列番号44)のアミノ酸配列を示す。図11Cおよび11Dは、42アミノ酸を有するXTENポリペプチドのアミノ酸およびヌクレオチド配列(XTEN AE42-4;それぞれ配列番号46および47)をそれぞれ示す。144アミノ酸を有する様々なXTENポリペプチドのアミノ酸配列は、図11E、11G、11I、11K、11M、11O、11Q、11S、11Uおよび11W(それぞれ、配列番号48、50、52、54、56、58、60、62、64および66)に示し、対応するヌクレオチド配列は、図11F、11H、11J、11L、11N、11P、11R、11T、11Vおよび11X(それぞれ、配列番号49、51、53、55、57、59、61、63、65および67)に示す。図11Yは、ETプロモーター(配列番号69)のヌクレオチド配列を示す。図11Zは、coFVIII-1(配列番号68)のヌクレオチド配列を示す。(国際公開番号WO2014/127215、配列番号1、を参照する)。
図11-2】図11-1の続き。
図11-3】図11-2の続き。
図11-4】図11-3の続き。
図11-5】図11-4の続き。
図11-6】図11-5の続き。
図12-1】図12Aは、約1.5×1010TU/kgのLV-wtBDD-FVIII(丸)、LV-coFVIII-6(四角)またはLV-coFVIII-6XTEN(三角形)のIV投与の後の14日齢HemAマウスにおけるFVIIIの血漿活性(IU/mL)のグラフ図である。図12Bは、wtBDD-FVIII、coFVIII-1、coFVIII-3、coFVIII-4、coFVIII-5、coFVIII-6、coFVIII-52、coFVIII-62、coFVIII-25またはcoFVIII-26を発現するレンチウイルスベクターの約1.5×1010TU/kgをIV投与した、14日齢HemAマウスの処置から150日後のベクターコピー数(VCN)のグラフ図である。図12Cは、wtBDD-FVIII、coFVIII-1、coFVIII-3、coFVIII-4、coFVIII-5、coFVIII-6、coFVIII-52、coFVIII-62、coFVIII-25またはcoFVIII-26を発現するレンチウイルスベクターの約1.5×1010TU/kgをIV投与した、14日齢HemAマウスの処置から21日後のFVIIIの血漿活性(IU/mL)のグラフ図である。
図12-2】図12-1の続き。
図13図13Aおよび13Bは、coFVIII-5変異体を発現するレンチウイルスで処置した5匹のHemAマウスにおける、FVIIIの血漿活性レベル(図13A)および抗FVIII抗体レベル(図13B)を図示するグラフ図である。14日齢のHemA腹子に、静脈内注射によってcoFVIII-5変異体を発現するレンチウイルスの概ね1.5×1010TU/kgを投与した。各マウスは、番号によって呼ぶ(すなわち、1、2、3、4および5;図13Aおよび13B)。
図14】レンチウイルス処置の21日後のFVIIIの血漿活性によって立証されるLV-FVIII発現レベルと抗FVIII抗体の存在の間の相関のグラフ図である。各データポイントは、単一のHemAマウスに対応する。各マウスは、本明細書に開示されるcoFVIII変異体の1つを発現するレンチウイルスの静脈内注射による1.5×1010TU/kgの用量を受けた。水平線は、平均のFVIII血漿活性を示す。
図15】レンチウイルス処置の150日後のベクターコピー数(VCN)と抗FVIII抗体の存在の間の相関のグラフ図である。各データポイントは、単一のHemAマウスに対応する。各マウスは、本明細書に開示されるcoFVIII変異体の1つを発現するレンチウイルスの静脈内注射による1.5×1010TU/kgの用量を受けた。水平線は、平均VCNを示す。
図16図16Aおよび16Bは、coFVIII-52変異体を発現するレンチウイルスで処置した2匹のHemAマウス(coFVIII-52-AおよびcoFVIII-52-B)における、FVIIIの血漿活性レベル(図16A)および抗FVIII抗体レベル(図16B)を図示するグラフ図である。14日齢のHemA腹子に、静脈内注射によってcoFVIII-52変異体を発現するレンチウイルスの概ね1.5×1010TU/kgを投与した。図16Cおよび16Dは、図16Aおよび16BのcoFVIII-52-A(図16C)およびcoFVIII-52-B(図16D)マウスから収集された肝臓組織におけるFVIII発現(暗色の染色)のためのRNA in situハイブリダイゼーション染色を示す像である。
図17】野生型Bドメイン欠失FVIII(wtBDD-FVIII;三角形)、coFVIII-52-XTEN(丸)またはcoFVIII-6-XTEN(逆三角形)変異体を発現するレンチウイルスで処置したHemA新生児マウスにおける、長期のFVIII発現を示すグラフ図である。新生児のHemAマウスに、静脈内注射によってwtBDD-FVIII、coFVIII-52-XTENまたはcoFVIII-6-XTENを発現するレンチウイルスの概ね1.5×1010TU/kgを投与した。FVIIIの血漿活性は、概ね16週にわたって測定した。
図18図18A~18Bは、coFVIII-6(図18A)またはcoFVIII-6-XTEN(図18B)を発現するレンチウイルスによるHemAマウスの処置に対応した、用量反応結果のグラフ図である。
図19】肝臓標的化遺伝子療法のためのレンチウイルスベクターの概略図である。SD:スプライスドナー部位;SA:スプライス受容部位;GA:トランケーションされたgag配列;RRE:Rev応答エレメント;ET:強化トランスチレチン;FVIII:第VIII因子;142T:miR-142のための標的配列;Wpre:突然変異したマーモット肝炎ウイルス転写後調節エレメント;Ψ(パッケージングシグナル)。
図20図20A~20Bは、FVIIIの血漿活性(図20A)およびFVIIIの血漿抗原レベル(図20B)によって測した、CD47high/MHC-Ifree 293T細胞から生成されるcoFVIII-6-XTENを発現する3×10TU/kgのレンチウイルスを投与した、雄ピグテールマカクにおけるピークの循環FVIIIレベルのグラフ図である。
図21図21A~21Bは、coFVIII-6を発現する3×10TU/kgまたは6×10TU/kgのレンチウイルスを投与した雄ピグテールマカクにおける、ヒトFVIII活性(図21A)およびヒトFVIII抗原レベル(図21B)のピークの血漿レベルのグラフ図である。
図22図22A~22Bは、coFVIII-6-XTENを発現する1×10または3×10TU/kgのレンチウイルスを投与した雄ピグテールマカクにおける、ヒトFVIII活性(図22A)および平均ヒトFVIII抗原レベル(図22B)のピークの血漿レベルのグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、第VIII因子(FVIII)活性を有するポリペプチドをコードするコドン最適化遺伝子を使用した肝臓標的化レンチウイルス遺伝子療法を記載する。参照により本明細書に完全に組み入れる、国際公開WO2017136358を参照。
【0021】
したがって、一部の態様では、本開示は、第VIII因子活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むコドン最適化核酸分子を含むレンチウイルスベクターの投与を含む遺伝子療法に関する。特定の態様では、本開示は、血友病(例えば、血友病A)などの出血障害を処置する方法であって、肝臓(例えば、肝細胞)を標的にしたコドン最適化第VIII因子核酸配列を含むレンチウイルスベクターを対象に投与することを含む方法に関する。本開示は、標的化細胞のゲノムの中へのコドン最適化第VIII因子核酸配列を含む導入遺伝子発現カセットの安定した組入れをもたらす遺伝子療法アプローチを通して、当技術分野の重要な必要性を満たす。
【0022】
このシステムは、レンチウイルスベクターを5×1010の形質導入単位/kg(TU/kg)以下、例えば、約1.5×1010TU/kg以下、または約1.5×10TU/kg以下、または約10TU/kg以下の少なくとも1用量で対象に投与した場合、標的化細胞(例えば、肝細胞)における第VIII因子の増加した長期発現を実証する。
【0023】
具体的な実施形態では、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターは、配列番号71(LV-coFVIII-6)を含むか、それからなるか、本質的になる、コドン最適化核酸配列を含む。
【0024】
一部の他の具体的な実施形態では、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターは、配列番号72(LV-coFVIII-6-XTEN)を含むか、それからなるか、本質的になる、コドン最適化核酸配列を含む。
【0025】
本明細書に開示される肝臓標的化レンチウイルスベクターは、小児(例えば、新生児)または成人対象の標的化細胞(例えば、肝細胞)のゲノムの中への、FVIIIをコードするコドン最適化核酸を含む導入遺伝子発現カセットの安定した組入れを可能にし、低いレンチウイルスベクター用量(例えば、5×1010以下、例えば、10TU/kg以下または10TU/kg以下)でのFVIII発現の向上(例えば、100倍の向上)を達成する。開示されるレンチウイルスベクターは非常に低い用量(例えば、10TU/kg以下または10TU/kg以下)で循環FVIIIの治療レベルを達成すること
ができるので、これらのベクターは、レンチウイルスベクター処置に関連した潜在的な急性毒性を有意に低減することができる。さらに、レンチウイルスベクター、特に第3世代のベクターの使用は、対象のゲノムの中で潜在的に生涯の組入れをもたらすことができる。他の遺伝子送達システム(例えば、AAV)に対するレンチウイルスベクター(10kb)の高い能力は、導入遺伝子の中へのより多くの調節エレメント、例えば、異なる組織(例えば、肝細胞および肝臓内皮細胞)におけるFVIII導入遺伝子の発現を制御するだろうプロモーターの包含を可能にする。本明細書に開示されるレンチウイルスベクターは、in vivo、in vitroまたはex vivo処置で使用することができる。
【0026】
本開示の例示的な構築物は、付随する図面および配列表に例示される。
【0027】
明細書および請求項の明確な理解を提供するために、以下の定義を下に提供する。
【0028】
I.定義
用語「1つ(a)」または「1つ(an)」の実体とは、その実体の1つまたはそれ以上を指す点に留意する:例えば、「ヌクレオチド配列」は、1つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を表すと理解される。このように、用語「a」(または、「an」)、「1つまたはそれ以上」および「少なくとも1つ」は、本明細書で互換的に使用することができる。
【0029】
本明細書で、用語「約」は、概ね、だいたい、前後またはほぼを意味するものとして使用される。用語「約」が数値範囲と一緒に使用されるとき、それは、示される数値の上下の境界を拡張することによってその範囲を変更する。一般に、用語「約」は、明記される値の上下の数値を上下(高低)10%の分散によって変更するために、本明細書で使用される。
【0030】
本開示のための用語「単離された」は、その元の環境(それが天然に存在する環境)から取り出された生体物質(細胞、ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはその断片、変異体もしくは誘導体)を指す。例えば、植物または動物に天然の状態で存在するポリヌクレオチドは単離されていないが、それが天然に存在する隣接核酸から分離される同じポリヌクレオチドは「単離された」と考えられる。精製の特定のレベルは要求されていない。宿主細胞において発現される組換えで生成されたポリペプチドおよびタンパク質は、任意の好適な技術によって分離されたか、分画されたか、または部分的もしくは実質的に精製された天然または組換えのポリペプチドと同様に、本開示において単離されたと考えられる。
【0031】
「核酸」、「核酸分子」、「オリゴヌクレオチド」、および「ポリヌクレオチド」は互換的に使用され、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまたはシチジン;「RNA分子」)もしくはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジンまたはデオキシシチジン;「DNA分子」)のリン酸エステルポリマー形、または、一本鎖形もしくは二本鎖ヘリックスの形の任意のそのリン酸エステル類似体、例えばホスホロチオエートおよびチオエステルを指す。二本鎖DNA-DNA、DNA-RNAおよびRNA-RNAヘリックスが可能である。用語核酸分子、特にDNAまたはRNA分子は、分子の一次および二次構造だけを指し、それをいかなる特定の三次形態にも限定しない。したがって、この用語は、とりわけ線状または環状DNA分子(例えば、制限断片)、プラスミド、スーパーコイルDNAおよび染色体に見出される、二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖DNA分子の構造の議論では、本明細書で、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAに相同性の配列を有する鎖)に沿って5’から3’の方向の配列だけを与える通常の慣例によって配列を記載することができる。「組換えDN
A分子」は、分子生物学的操作を受けたDNA分子である。DNAには、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNAおよび半合成DNAが限定されずに含まれる。本開示の「核酸組成物」は、本明細書に記載される1つまたはそれ以上の核酸を含む。
【0032】
本明細書で使用されるように、「コード領域」または「コード配列」は、アミノ酸に翻訳可能なコドンからなるポリヌクレオチドの部分である。「終止コドン」(TAG、TGAまたはTAA)はアミノ酸に一般的に翻訳されないが、それはコード領域の一部であると考えることができるが、いずれの隣接配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなども、コード領域の一部でない。コード領域の境界は、生じるポリペプチドのアミノ末端をコードする5’末端の開始コドン、および生じるポリペプチドのカルボキシル末端をコードする3’末端の翻訳終止コドンによって一般的に決定される。2つ以上のコード領域が、例えば単一のベクターの上の単一のポリヌクレオチド構築物に、または例えば別個の(異なる)ベクターの上の別個のポリヌクレオチド構築物に存在することができる。その結果、次に、単一のベクターは単一のコード領域だけを含有することができるか、2つ以上のコード領域を含むことができる。
【0033】
哺乳動物細胞によって分泌されるある特定のタンパク質は、粗い小胞体を越えた成長しているタンパク質鎖の移行が開始されると成熟したタンパク質から切断される、分泌シグナルペプチドに関連している。当業者は、シグナルペプチドがポリペプチドのN末端に一般的に融合していること、および、完全なまたは「完全長の」ポリペプチドから切断されてポリペプチドの分泌された、または「成熟した」形態を生成することを知っている。ある特定の実施形態では、天然のシグナルペプチド、またはそれと作動可能に関連するポリペプチドの分泌を方向付ける能力を保持するその配列の機能的誘導体。あるいは、異種哺乳動物のシグナルペプチド、例えば、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)またはマウスβ-グルクロニダーゼシグナルペプチド、またはその機能的誘導体を使用することができる。
【0034】
用語「下流」は、参照ヌクレオチド配列の3’側に位置するヌクレオチド配列を指す。ある特定の実施形態では、下流のヌクレオチド配列は、転写の開始点に続く配列に関する。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは、転写の開始部位の下流に位置する。
【0035】
用語「上流」は、参照ヌクレオチド配列の5’側に位置するヌクレオチド配列を指す。ある特定の実施形態では、上流のヌクレオチド配列は、コード領域または転写の開始点の5’側に位置する配列に関する。例えば、ほとんどのプロモーターは、転写の開始部位の上流に位置する。
【0036】
本明細書で使用されるように、用語「遺伝子調節領域」または「調節領域」は、コード領域の上流(5’非コード配列)、その中、または下流(3’非コード配列)に位置し、関連するコード領域の転写、RNAプロセシング、安定性または翻訳に影響するヌクレオチド配列を指す。調節領域は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位およびステムループ構造を含むことができる。コード領域が真核細胞における発現を意図している場合、ポリアデニル化シグナルおよび転写終止配列はコード配列の3’側に通常位置する。
【0037】
遺伝子産物、例えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、1つまたはそれ以上のコード領域と作動可能に関連するプロモーターおよび/または他の発現(例えば、転写または翻訳)制御エレメントを含むことができる。作動可能な関連では、遺伝子産物、例えばポリペプチドのためのコード領域は、遺伝子産物の発現を調節領域(複数可)の影響下または制御下に置くような方法で1つまたはそれ以上の調節領域と関連する。例えば、コード領域およびプロモーターは、プロモーター機能の誘導がコード領域によってコ
ードされる遺伝子産物をコードするmRNAの転写をもたらす場合、およびプロモーターとコード領域の間の連結の性質が遺伝子産物の発現を方向付けるプロモーターの能力に干渉しないか、またはDNA鋳型の転写される能力に干渉しない場合、「作動可能に関連する」。プロモーター以外の他の発現制御エレメント、例えばエンハンサー、オペレーター、リプレッサーおよび転写終止シグナルも、遺伝子産物発現を方向付けるためにコード領域に作動可能に関連することができる。
【0038】
「転写制御配列」は、宿主細胞におけるコード配列の発現を可能にするDNA調節配列、例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどを指す。様々な転写制御領域が、当業者に公知である。これらには、限定されないが、脊椎動物細胞において機能する転写制御領域、例えば、これらに限定されないが、サイトメガロウイルス(イントロン-Aと一緒の前初期プロモーター)、シミアンウイルス40(初期プロモーター)およびレトロウイルス(ラウス肉腫ウイルスなど)からのプロモーターおよびエンハンサーセグメントが含まれる。他の転写制御領域には、脊椎動物の遺伝子から誘導されるもの、例えばアクチン、熱ショックタンパク質、ウシ成長ホルモンおよびウサギβ-グロビン、ならびに真核生物細胞における遺伝子発現を制御することが可能な他の配列が含まれる。さらなる適する転写制御領域には、組織特異的プロモーターおよびエンハンサー、ならびにリンホカイン誘導可能プロモーター(例えば、インターフェロンまたはインターロイキンによって誘導可能なプロモーター)が含まれる。
【0039】
同様に、様々な翻訳制御エレメントが当業者に公知である。これらには、限定されないが、リボソーム結合部位、翻訳開始および終止コドン、ならびにピコルナウイルスから誘導されるエレメント(特に、リボソーム内部進入部位またはIRES、CITE配列とも呼ばれる)が含まれる。
【0040】
本明細書で使用される用語「発現」は、ポリヌクレオチドが遺伝子産物、例えば、RNAまたはポリペプチドを生成する過程を指す。それは、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、小さいヘアピンRNA(shRNA)、小さい干渉RNA(siRNA)または他の任意のRNA生成物へのポリヌクレオチドの転写、およびポリペプチドへのmRNAの翻訳を限定されずに含む。発現は、「遺伝子産物」を生成する。本明細書で使用されるように、遺伝子産物は、核酸、例えば遺伝子の転写によって生成されるメッセンジャーRNAであっても、または転写物から翻訳されるポリペプチドであってもよい。本明細書に記載される遺伝子産物には、転写後修飾、例えばポリアデニル化もしくはスプライシングを有する核酸、または翻訳後修飾、例えば、メチル化、グリコシル化、脂質付加、他のタンパク質サブユニットとの結合、またはタンパク分解性切断を有するポリペプチドがさらに含まれる。本明細書で使用される用語「収量」は、遺伝子の発現によって生成されるポリペプチドの量を指す。
【0041】
「ベクター」は、宿主細胞への核酸のクローニングおよび/または移入のための任意のビヒクルを指す。ベクターは、付着しているセグメントの複製をもたらすように別の核酸セグメントを付着させることができるレプリコンであってよい。「レプリコン」は、in
vivoでの複製の自律的な単位として機能する、すなわちそれ自身の制御下での複製が可能である、任意の遺伝子エレメント(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)を指す。用語「ベクター」は、in vitro、ex vivoまたはin vivoで核酸を細胞に導入するためのウイルス性のビヒクルと非ウイルス性のビヒクルの両方を含む。例えばプラスミド、改変された真核生物ウイルスまたは改変された細菌ウイルスを含めて、当技術分野で多数のベクターが公知であり、使用される。適するベクターへのポリヌクレオチドの挿入は、相補的な粘着末端を有する選択されたベクターに適当なポリヌクレオチド断片をライゲーションすることによって達成することができる。
【0042】
ベクターを組み込んだ細胞の選択または同定を可能にする選択可能なマーカーまたはレポーターをコードするように、ベクターを工学的に操作することができる。選択可能なマーカーまたはレポーターの発現は、ベクター上に含有される他のコード領域を組み込み、発現する宿主細胞の同定および/または選択を可能にする。当技術分野で公知であり、使用される選択可能なマーカー遺伝子の例には、以下のものが含まれる:アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ビアラホス除草剤、スルホンアミドなどへの耐性を提供する遺伝子;および、表現型マーカーとして使用される遺伝子、すなわち、アントシアニン調節遺伝子、イソペンタニルトランスフェラーゼ遺伝子など。当技術分野で公知であり、使用されるレポーターの例には、以下のものが含まれる:ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光性タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)、β-グルクロニダーゼ(Gus)など。選択可能なマーカーは、レポーターであると考えることもできる。
【0043】
用語「選択可能なマーカー」は、マーカー遺伝子の作用、すなわち、抗生物質耐性、除草剤耐性、比色マーカー、酵素、蛍光性マーカーなどに基づいて選択することができる、同定用因子、通常、抗生物質または化学物質耐性遺伝子を指し、ここで、この作用は、目的の核酸の継承を追跡するために、および/または目的の核酸を継承した細胞もしくは生物体を同定するために使用される。当技術分野で公知であり、使用される選択可能なマーカー遺伝子の例には、以下のものが含まれる:アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ビアラホス除草剤、スルホンアミドなどへの耐性を提供する遺伝子;および、表現型マーカーとして使用される遺伝子、すなわち、アントシアニン調節遺伝子、イソペンタニルトランスフェラーゼ遺伝子など。
【0044】
用語「レポーター遺伝子」は、レポーター遺伝子の作用に基づいて同定することができる、同定用因子をコードする核酸を指し、ここで、この作用は、目的の核酸の継承を追跡するために、目的の核酸を継承した細胞もしくは生物体を同定するために、および/または遺伝子発現の誘導もしくは転写を測定するために使用される。当技術分野で公知であり、使用されるレポーター遺伝子の例には、以下のものが含まれる:ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光性タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)、β-グルクロニダーゼ(Gus)など。選択可能なマーカー遺伝子は、レポーター遺伝子と考えることもできる。
【0045】
「プロモーター」および「プロモーター配列」は互換的に使用され、コード配列または機能的RNAの発現を制御することが可能なDNA配列を指す。一般に、コード配列はプロモーター配列の3’側に位置する。プロモーターは天然の遺伝子から完全に誘導することができるか、天然に見出される異なるプロモーターから誘導される異なるエレメントで構成されるか、合成DNAセグメントを含むこともできる。当業者は、異なるプロモーターが異なる組織もしくは細胞型において、または発達の異なる段階で、または異なる環境もしくは生理的条件に応答して遺伝子の発現を方向付けることができることを理解する。ほとんどの細胞型においてほとんどのときに遺伝子を発現させるプロモーターは、一般に「構成プロモーター」と呼ばれる。特異的細胞型において遺伝子を発現させるプロモーターは、一般に「細胞特異的プロモーター」または「組織特異的プロモーター」と呼ばれる。発達または細胞分化の特異的段階で遺伝子を発現させるプロモーターは、一般に「発達特異的プロモーター」または「細胞分化特異的プロモーター」と呼ばれる。プロモーターを誘導する薬剤、生体分子、化学物質、リガンド、光などによる細胞の曝露または処理の後に誘導されて、遺伝子を発現させるプロモーターは、一般に「誘導可能なプロモーター」または「調節可能なプロモーター」と呼ばれる。ほとんどの場合、調節配列の正確な境界が完全に規定されているとは限らないので、異なる長さのDNA断片が同一のプロモー
ター活性を有することができることがさらに認識される。
【0046】
プロモーター配列は転写開始部位がその3’末端に一般的に結合し、上流(5’方向)に伸長してバックグラウンドより高い検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な最小限の数の塩基またはエレメントを含む。プロモーター配列の中には、転写開始部位(例えばヌクレアーゼS1によるマッピングによって都合良く規定される)、ならびにRNAポリメラーゼの結合の役割を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見出される。
【0047】
用語「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」は互換的に使用され、二本鎖DNAの中の特異的ヌクレオチド配列の中で結合して切断する酵素を指す。
【0048】
用語「プラスミド」は、細胞の中心的代謝の一部でなく、通常、環状二本鎖DNA分子の形である遺伝子をしばしば有する染色体外エレメントを指す。そのようなエレメントは、任意の供給源から誘導される一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAの、線状、環状またはスーパーコイル状の、自己複製配列、ゲノム組入れ配列、ファージまたはヌクレオチド配列であってよく、そこでは、適当な3’非翻訳配列とともに選択される遺伝子産物のためのプロモーター断片およびDNA配列を細胞に導入することが可能である特異な構築物に、いくつかのヌクレオチド配列が連結されているか組み換えられている。
【0049】
「クローニングベクター」は、プラスミド、ファージまたはコスミドなどの、逐次的に複製し、複製開始点を含む単位長の核酸である「レプリコン」を指し、付着しているセグメントの複製をもたらすように別の核酸セグメントをそれに対して付着させることができる。ある特定のクローニングベクターは、1つの細胞型、例えば細菌における複製、および別の細胞型、例えば真核細胞における発現が可能である。クローニングベクターは、ベクターを含む細胞の選択のために使用することができる1つまたはそれ以上の配列、および/または目的の核酸配列の挿入のための1つまたはそれ以上の多重クローニング部位を一般的に含む。
【0050】
用語「発現ベクター」は、宿主細胞への挿入の後に、挿入された核酸配列の発現を可能にするように設計されたビヒクルを指す。挿入された核酸配列は、上記の調節領域との作動可能な関係に置かれる。
【0051】
ベクターは、当技術分野で周知である方法、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソソーム融合)、遺伝子銃の使用、またはDNAベクター輸送体によって宿主細胞に導入される。
【0052】
本明細書で使用されるように、「培養」、「培養すること」および「培養すること」は、細胞の増殖もしくは分裂を可能にするin vitro条件の下で細胞をインキュベートすること、または細胞を生存状態に維持することを意味する。本明細書で使用されるように、「培養された細胞」は、in vitroで増殖した細胞を意味する。
【0053】
本明細書で使用されるように、用語「ポリペプチド」は、単数の「ポリペプチド」ならびに複数の「ポリペプチド」を包含するものであり、アミド結合(ペプチド結合としても知られる)によって線状に連結される単量体(アミノ酸)で構成される分子を指す。用語「ポリペプチド」は、2つ以上のアミノ酸の任意の鎖または複数の鎖を指し、具体的長さの生成物を指さない。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」または2つ以上のアミノ酸の鎖または複数の鎖を指すために使用される他の任意の用語が「ポリペプチド」の定義の中に含まれ、用語「ポリ
ペプチド」は、これらの用語のいずれかの代わりにまたは互換的に使用することができる。用語「ポリペプチド」は、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク分解性切断または天然に存在しないアミノ酸による改変を限定されずに含む、ポリペプチドの発現後の改変の生成物も指すものである。ポリペプチドは天然の生物供給源から誘導することができるか、または組換え技術で生成することができるが、必ずしも指定された核酸配列から翻訳されるとは限らない。それは、化学的合成を含む任意の方法で生成することができる。
【0054】
用語「アミノ酸」には、アラニン(AlaまたはA);アルギニン(ArgまたはR);アスパラギン(AsnまたはN);アスパラギン酸(AspまたはD);システイン(CysまたはC);グルタミン(GlnまたはQ);グルタミン酸(GluまたはE);グリシン(GlyまたはG);ヒスチジン(HisまたはH);イソロイシン(IleまたはI):ロイシン(LeuまたはL);リシン(LysまたはK);メチオニン(MetまたはM);フェニルアラニン(PheまたはF);プロリン(ProまたはP);セリン(SerまたはS);トレオニン(ThrまたはT);トリプトファン(TrpまたはW);チロシン(TyrまたはY);およびバリン(ValまたはV)が含まれる。非伝統的なアミノ酸も本開示の範囲内であり、ノルロイシン、オルニチン、ノルバリン、ホモセリン、およびEllmanら、Meth.Enzym.202:301~336頁(1991)に記載されるものなどの他のアミノ酸残基類似体が含まれる。そのような天然に存在しないアミノ酸残基を生成するために、Norenら、Science 244:182頁(1989)および上記のEllmanらの手法を使用することができる。簡潔には、これらの手法は、天然に存在しないアミノ酸残基でサプレッサーtRNAを化学的に活性化することと、続くRNAのin vitro転写および翻訳を含む。非伝統的アミノ酸の導入は、当技術分野で公知のペプチド化学を使用して達成することもできる。本明細書で使用されるように、用語「極性アミノ酸」は、ゼロ総電荷を有するが、それらの側鎖の異なる部分にノンゼロ部分電荷を有するアミノ酸を含む(例えば、M、F、W、S、Y、N、Q、C)。これらのアミノ酸は、疎水性相互作用および静電的相互作用に関与することができる。本明細書で使用されるように、用語「荷電アミノ酸」は、それらの側鎖にノンゼロ総電荷を有することができるアミノ酸を含む(例えば、R、K、H、E、D)。これらのアミノ酸は、疎水性相互作用および静電的相互作用に関与することができる。
【0055】
ポリペプチドの断片またはバリアントおよび任意のその組合せも本開示に含まれる。本開示のポリペプチド結合ドメインまたは結合分子を指す場合の用語「断片」または「バリアント」は、参照ポリペプチドの特性(例えば、FcRn結合ドメインまたはFcバリアントへのFcRn結合親和性、FVIIIバリアントの凝固活性またはVWF断片へのFVIII結合活性)の少なくとも一部を保持する任意のポリペプチドを含む。ポリペプチドの断片には、本明細書の他の場所で議論される特異的抗体断片に加えてタンパク分解性断片ならびに欠失断片が含まれるが、天然に存在する完全長ポリペプチド(または、成熟したポリペプチド)は含まれない。本開示のポリペプチド結合ドメインまたは結合分子のバリアントには、上記の断片、およびアミノ酸の置換、欠失または挿入のために変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドも含まれる。バリアントは、天然に存在するもの、または天然に存在しないものであってもよい。天然に存在しないバリアントは、当技術分野で公知の突然変異誘発技術を使用して生成することができる。バリアントポリペプチドは、保存的または非保存的なアミノ酸置換、欠失または付加を含むことができる。
【0056】
「保存的なアミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、無極性側鎖
(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝状側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが当技術分野で規定されている。したがって、ポリペプチドの中のアミノ酸が同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸で置き換えられる場合、その置換は保存的であると考えられる。別の実施形態では、アミノ酸のひもは、側鎖ファミリーメンバーの順序および/または組成が異なる構造的に類似しているひもで保存的に置き換えることができる。
【0057】
当技術分野で公知であるように、用語「同一性パーセント」は、配列の比較で判定される、2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係である。当技術分野で、「同一性」は、そのような配列のひもの間の一致によって判定される、場合によってポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の間の配列関連性の程度も意味する。「同一性」は、以下に記載されるものを非限定的に含む、公知の方法によって容易に計算することができる:Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.編)Oxford University Press、New York(1988);Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.編)Academic Press、New York(1993);Computer Analysis of Sequence Data、パートI(Griffin,A.M.およびGriffin,H.G.編)Humana Press、New Jersey(1994);Sequence Analysis in Molecular Biology(von Heinje,G.編)Academic Press(1987);およびSequence Analysis Primer(Gribskov,M.およびDevereux,J.編)Stockton Press、New York(1991)。同一性を判定する好ましい方法は、試験する配列の間で最高の一致を与えるように設計される。同一性を判定する方法は、公に入手できるコンピュータープログラムに体系化されている。配列アラインメントおよび同一性パーセントの計算は、LASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイートのMegalignプログラム(DNASTAR Inc.、Madison、WI)、GCGプログラムスイート(Wisconsin Packageバージョン9.0、Genetics Computer Group(GCG)、Madison、WI)、BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403頁(1990))およびDNASTAR(DNASTAR,Inc.1228 S.Park St.Madison、WI53715 USA)などの、配列分析ソフトウェアを使用して実行することができる。本出願の文脈の範囲内で、配列分析ソフトウェアが分析のために使用される場合、特に明記しない限り、分析の結果は参照したプログラムの「デフォルト値」に基づくことが理解される。本明細書で使用されるように、「デフォルト値」は、最初に初期化されるときにソフトウェアと一緒に当初ロードする任意のセットの値またはパラメータを意味する。本開示の最適化されたBDD FVIII配列および参照配列の間の同一性パーセントを判定する目的のために、同一性パーセントを計算するために本開示の最適化されたBDD FVIII配列の中のヌクレオチドに対応する参照配列のヌクレオチドだけを使用する。例えば、Bドメインを含有する完全長FVIIIヌクレオチド配列を本開示の最適化されたBドメイン欠失(BDD)FVIIIヌクレオチド配列と比較するとき、A1、A2、A3、C1およびC2ドメインを含むアラインメントの部分は、同一性パーセントを計算するために使用される。Bドメイン(これは、アラインメントに大きな「ギャップ」をもたらす)をコードする完全長FVIII配列の部分のヌクレオチドは、ミスマッチとして数えられない。さらに、本開示の最適化されたBDD FVIII配列またはその指定部分(例えば、配列番号3のヌクレオチド58~2277および2320~4374)と参照配列の間の同一性パーセントの判定では、同一性パーセントは、一致
したヌクレオチドの数を最適化されたBDD-FVIII配列の完全配列または、本明細書に列挙されるその指定部分のヌクレオチドの総数で割ることによって計算される。
【0058】
本明細書で使用されるように、「本開示の最適化されたBDD FVIII配列のヌクレオチドに対応するヌクレオチド」は、参照FVIII配列との同一性を最大にするような本開示の最適化されたBDD FVIII配列のアラインメントによって同定される。参照FVIII配列中の同等のアミノ酸を同定するために使用される数は、本開示の最適化されたBDD FVIII配列中の対応するアミノ酸を同定するために使用される数に基づく。
【0059】
「融合」または「キメラ」タンパク質は、それが本来は天然に連結していない第2のアミノ酸配列に連結している第1のアミノ酸配列を含む。別個のタンパク質に通常は存在するアミノ酸配列を融合ポリペプチドの中に一緒に持ってくることができるか、または、同じタンパク質に通常は存在するアミノ酸配列を、融合ポリペプチド、例えば、本開示の第VIII因子ドメインのIg Fcドメインとの融合における新しい配置に置くことができる。融合タンパク質は、例えば、化学合成によって、またはペプチド領域が所望の関係でコードされるポリヌクレオチドを作製し、翻訳することによって作製される。キメラタンパク質は、共有結合、非ペプチド結合または非共有結合によって第1のアミノ酸配列に関連付けられた第2のアミノ酸配列をさらに含むことができる。
【0060】
本明細書で使用されるように、用語「挿入部位」は、異種部分を挿入することができる位置のすぐ上流にある、FVIIIポリペプチドまたはその断片、バリアントもしくは誘導体の中の位置を指す。「挿入部位」は番号で規定され、この番号は、挿入位置のすぐN末端側にある、挿入部位が対応する成熟した天然のFVIII(配列番号15、図11A)の中のアミノ酸の番号である。例えば、「a3は配列番号15のアミノ酸1656に対応する挿入部位に異種部分を含む」というフレーズは、異種部分が配列番号15のアミノ酸1656およびアミノ酸1657に対応する2つのアミノ酸の間に位置することを示す。
【0061】
本明細書で使用される「アミノ酸のすぐ下流」というフレーズは、アミノ酸の末端カルボキシル基のすぐ隣の位置を指す。同様に、「アミノ酸のすぐ上流」というフレーズは、アミノ酸の末端アミン基のすぐ隣の位置を指す。
【0062】
本明細書で使用されるように、用語「挿入された」、「挿入される」、「に挿入される」または文法的に関連した用語は、天然の成熟したヒトFVIIIの類似した位置に対する、組換えFVIIIポリペプチドの中の異種部分の位置を指す。本明細書で使用されるように、これらの用語は、天然の成熟ヒトFVIIIに対する組換えFVIIIポリペプチドの特徴を指し、組換えFVIIIポリペプチドが作製されたいかなる方法またはプロセスを示しも、暗示も、意味もしない。
【0063】
本明細書で使用されるように、用語「半減期」は、in vivoにおける特定のポリペプチドの生物学的半減期を指す。半減期は、対象に投与された量の半分が動物の循環および/または他の組織から消去されるのに必要とされる時間で表すことができる。所与のポリペプチドの消去曲線が時間の関数として構築される場合、曲線は、通常迅速なα相およびより長いβ相による二相性である。α相は、一般的に脈管内と脈管外の空間の間の投与されたFcポリペプチドの平衡化を表し、一部、ポリペプチドのサイズによって判定される。β相は、脈管内空間におけるポリペプチドの異化作用を一般的に表す。一部の実施形態では、FVIIIおよびFVIIIを含むキメラタンパク質は一相性であり、したがってアルファ相を有さず、単一のベータ相だけである。したがって、ある特定の実施形態では、本明細書で使用される用語半減期は、β相におけるポリペプチドの半減期を指す。
【0064】
本明細書で使用される用語「連結される」は、共有結合または非共有結合で第2のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列にそれぞれ連結される第1のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を指す。第1のアミノ酸またはヌクレオチド配列は第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列に直接的に連結または並置させることができるか、あるいは、介在配列で第1の配列を第2の配列に共有結合させることができる。用語「連結される」は、C末端またはN末端での第1のアミノ酸配列の第2のアミノ酸配列への融合を意味するだけでなく、第1のアミノ酸配列(または、第2のアミノ酸配列)全体の第2のアミノ酸配列の(または、第1のアミノ酸配列それぞれの)任意の2つのアミノ酸の中への挿入も含む。一実施形態では、第1のアミノ酸配列は、ペプチド結合またはリンカーによって第2のアミノ酸配列に連結することができる。第1のヌクレオチド配列は、ホスホジエステル結合またはリンカーによって第2のヌクレオチド配列に連結することができる。リンカーは、ペプチドもしくはポリペプチド(ポリペプチド鎖の場合)またはヌクレオチドもしくはヌクレオチド鎖(ヌクレオチド鎖の場合)または任意の化学部分(ポリペプチドおよびポリヌクレオチド鎖の場合)であってよい。用語「連結される」は、ハイフン(-)によっても示される。
【0065】
本明細書で使用されるように、用語「と会合した」は、第1のアミノ酸鎖と第2のアミノ酸鎖の間で形成される共有結合または非共有結合を指す。一実施形態では、用語「と会合した」は、共有結合、非ペプチド結合または非共有結合を意味する。この会合は、コロン、すなわち(:)によって示すことができる。別の実施形態では、それは、ペプチド結合以外の共有結合を意味する。例えば、アミノ酸システインは、第2のシステイン残基の上のチオール基とジスルフィド結合または架橋を形成することができるチオール基を含む。ほとんどの天然に存在するIgG分子では、CH1およびCL領域はジスルフィド結合によって会合し、2つの重鎖は、Kabatナンバリングシステムを使用した239および242に対応する位置(226または229位、EUナンバリングシステム)で2つのジスルフィド結合によって会合している。共有結合の例には、限定されずに、ペプチド結合、ジスルフィド結合、シグマ結合、パイ結合、デルタ結合、グリコシド結合、不可知な結合、ベント結合、双極子結合、パイバックボンド、二重結合、三重結合、四重結合、5重結合、6重結合、コンジュゲーション、超共役、芳香族性、多座性または反結合が含まれる。非共有結合の非限定的な例には、イオン結合(例えば、カチオン-パイ結合または塩結合)、金属結合、水素結合(例えば、二水素結合、二水素複合体、低障壁水素結合または対称性の水素結合)、ファンデルワールス力、ロンドン分散力、機械的結合、ハロゲン結合、金親和性、インターカレーション、スタッキング、エントロピー力または化学的極性が含まれる。
【0066】
本明細書で使用される用語「単量体-二量体ハイブリッド」は、ジスルフィド結合によって互いと会合する第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を含むキメラタンパク質を指し、ここで、第1の鎖は凝固因子、例えば第VIII因子、および第1のFc領域を含み、第2の鎖は、凝固因子無しの第2のFc領域を含むか、それから本質的になるか、それからなる。したがって、単量体-二量体ハイブリッド構築物は、1つの凝固因子だけを有する単量体態様および2つのFc領域を有する二量体態様を含むハイブリッドである。
【0067】
本明細書で使用されるように、止血は、出血もしくは大出血の停止もしくは鈍化;または、血管もしくは身体部分を通しての血流の停止もしくは鈍化を意味する。
【0068】
止血障害は、本明細書で使用されるように、フィブリン凝塊を形成する能力の障害または欠損による、自然発生的なまたは外傷の結果としての出血傾向によって特徴付けられる、遺伝的に継承したかまたは後天性の状態を意味する。そのような障害の例には、血友病
が含まれる。3つの主な形態は、血友病A(第VIII因子欠損)、血友病B(第IX因子欠損または「クリスマス病」)および血友病C(第XI因子欠損、軽度の出血傾向)である。他の止血障害には、例えば、フォン・ウィルブラント病、第XI因子欠損(PTA欠乏症)、第XII因子欠損、フィブリノーゲン、プロトロンビン、第V因子、第VII因子、第X因子または第XIII因子の欠損または構造異常、GPIbの欠陥または欠損であるベルナール-スリエ症候群が含まれる。vWFの受容体GPIbが欠損し、一次凝塊形成(一次止血)の喪失および出血傾向の増加、ならびにGlanzmanおよびNaegeliの血小板無力症(Glanzmann血小板無力症)につながることがある。肝不全(急性および慢性の形態)では、肝臓による凝固因子の生成が不十分であり、これは、出血リスクを増加させることがある。
【0069】
本開示の単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターは、予防的に使用することができる。本明細書で使用されるように、用語「予防的治療」は、出血エピソードの前の分子の投与を指す。一実施形態では、全身止血剤を必要とする対象は、手術を受けているか、受けようとしている。例えば、本開示のレンチウイルスベクターは、予防薬として手術の前後に投与することができる。本開示のレンチウイルスベクターは、急性出血エピソードを制御するために、手術中に、または後に投与することができる。手術には、これらに限定されないが、肝移植、肝臓切除、歯科処置または幹細胞移植が含まれ得る。
【0070】
本開示のレンチウイルスベクターは、要求に応じた治療のためにも使用される。用語「要求に応じた治療」は、出血エピソードの症状に応答した、または出血を引き起こす可能性のある活動の前の、本明細書で開示されたレンチウイルスベクターの投与を指す。一態様では、要求に応じた治療は、損傷の後など出血が開始するとき、または手術の前など出血が予想されるときに対象に与えることができる。別の態様では、要求に応じた治療は、接触競技などの出血のリスクを増加させる活動の前に与えることができる。
【0071】
本明細書で使用されるように、用語「急性出血」は、根底にある原因に関係なしに出血エピソードを指す。例えば、対象は、外傷、尿毒症、遺伝性出血障害(例えば、第VII因子欠損)、血小板障害または凝固因子に対する抗体の発達による耐性を有してもよい。
【0072】
本明細書で使用されるように、治療する、治療、治療することは、例えば疾患または状態の重症度の低減;疾患経過期間の低減;疾患または状態に関連した1つまたはそれ以上の症状の改善;疾患または状態を必ずしも治癒せず、疾患または状態に関連した1つまたはそれ以上の症状の予防もなしに、疾患または状態を有する対象に有益な作用を提供することを指す。一実施形態では、用語「治療すること」または「治療」は、本開示のレンチウイルスベクターを投与することによって、対象において、少なくとも約1IU/dL、2IU/dL、3IU/dL、4IU/dL、5IU/dL、6IU/dL、7IU/dL、8IU/dL、9IU/dL、10IU/dL、11IU/dL、12IU/dL、13IU/dL、14IU/dL、15IU/dL、16IU/dL、17IU/dL、18IU/dL、19IU/dL、または20IU/dLのFVIIIトラフレベルを維持することを意味する。別の実施形態では、治療することまたは治療は、FVIIIトラフレベルを約1から約20IU/dL、約2から約20IU/dL、約3から約20IU/dL、約4から約20IU/dL、約5から約20IU/dL、約6から約20IU/dL、約7から約20IU/dL、約8から約20IU/dL、約9から約20IU/dL、または約10から約20IU/dLの間で維持することを意味する。疾患または状態の処置または処置することは、対象におけるFVIII活性を、非血友病対象におけるFVIII活性の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%または20%と同等のレベルに維持することを含むこともできる。一実施形態では、用語「処置すること」または「処置」は、本開示のレンチウイルスベクターを投与することによ
って、対象において少なくとも約30IU/dL、40IU/dL、50IU/dL、60IU/dL、70IU/dL、80IU/dL、90IU/dL、100IU/dL、110IU/dL、120IU/dL、130IU/dL、140IU/dLまたは150IU/dLのFVIIIトラフレベルを維持することを意味する。別の実施形態では、処置することまたは処置は、約10~約20IU/dL、約20~約23IU/dL、約30~約40IU/dL、約40~約50IU/dL、約50~約60IU/dL、約60~約70IU/dL、約70~約80IU/dL、約80~約90IU/dL、約90~約100IU/dL、約110~約120IU/dL、約120~約130IU/dL、約130~約140IU/dLまたは約140~約150IU/dLのFVIIIトラフレベルを維持することを意味する。疾患または状態の処置または処置することは、対象におけるFVIII活性を、非血友病対象におけるFVIII活性の少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%または150%と同等のレベルに維持することを含むこともできる。処置のために必要とされる最小限のトラフレベルは、1つまたはそれ以上の公知の方法によって測定することができ、各個人のために調整する(増加または低下させる)ことができる。
【0073】
本明細書で使用されるように、「投与すること」は、薬学的に許容される第VIII因子をコードする核酸分子、第VIII因子ポリペプチド、または本開示の第VIII因子をコードする核酸分子を含むベクターを、薬学的に許容される経路を通して対象に与えることを意味する。投与経路は静脈内、例えば、静脈内注射および静脈内注入であってよい。さらなる投与経路には、例えば、皮下、筋肉内、経口、経鼻および肺投与が含まれる。核酸分子、ポリペプチドおよびベクターは、少なくとも1つの賦形剤を含む医薬組成物の一環として投与することができる。
【0074】
本明細書で使用されるように、「それを必要とする対象」というフレーズは、例えば止血を向上させるために、本開示の核酸分子、ポリペプチドまたはベクターの投与から利益を受けるであろう哺乳動物対象などの対象を含む。一実施形態では、対象には、これらに限定されないが、血友病の個体が含まれる。別の実施形態では、対象には、これらに限定されないが、FVIII阻害物質を発生させ、したがってバイパス療法を必要とする個体が含まれる。対象は、成人または未成年(例えば、12才未満)であってよい。
【0075】
本明細書で使用されるように、用語「凝固因子」は、対象において出血エピソードを予防するかその期間を短くする、天然に存在するかまたは組換えで生成される分子またはその類似体を指す。言い換えると、それは、凝固促進活性を有する、すなわち、血液の凝集または凝固を引き起こす不溶性フィブリンのメッシュへのフィブリノーゲンの変換の役割を担う分子を意味する。「活性化可能な凝固因子」は、活性型に変換することが可能である不活性型(例えば、その酵素前駆体の形態)にある凝固因子である。
【0076】
本明細書で使用されるように、凝固活性は、フィブリン凝塊の形成を完了させる、および/または大出血もしくは出血エピソードの重症度、期間もしくは頻度を低減する生化学反応のカスケードに参加する能力を意味する。
【0077】
本明細書で使用されるように、用語「異種」または「外因性」は、所与の場面、例えば細胞またはポリペプチドにおいて通常は見出されない分子を指す。外因性または異種分子を細胞に導入することができ、例えばトランスフェクションまたは遺伝子操作の他の形態による細胞の操作の後にだけ存在するか、または異種アミノ酸配列が、それが天然に見出されないタンパク質に存在することができる。
【0078】
本明細書で使用されるように、用語「異種ヌクレオチド配列」は、所与のポリヌクレオチド配列と一緒に天然に存在しないヌクレオチド配列を指す。一実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、FVIIIの半減期を延長することが可能なポリペプチドをコードする。別の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、FVIIIの流体力学半径を増加させるポリペプチドをコードする。他の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、その生物活性にも機能(例えば、その凝血促進活性)にも有意に影響を与えることなく、FVIIIの1つまたはそれ以上の薬物動態学的特性を向上させるポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、FVIIIは、異種ヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドにリンカーによって連結または接続される。異種ヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド部分の非限定的な例には、免疫グロブリン定常領域またはその一部、アルブミンまたはその断片、アルブミン結合部分、トランスフェリン、米国特許出願第20100292130号のPASポリペプチド、HAP配列、トランスフェリンまたはその断片、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、アルブミン結合小分子、XTEN配列、FcRn結合部分(例えば、FcRnに結合する完全Fc領域またはその部分)、単鎖Fc領域(ScFc領域、例えば、US2008/0260738、WO2008/012543またはWO2008/1439545に記載のもの)、ポリグリシンリンカー、ポリセリンリンカー、ペプチドおよびとりわけ50%未満から50%超の様々な程度の二次構造を有する、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)およびプロリン(P)から選択される2つのタイプのアミノ酸の6~40アミノ酸の短いポリペプチド、またはその2つ以上の組合せが含まれる。一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドは、非ポリペプチド部分に連結される。非ポリペプチド部分の非限定的な例には、ポリエチレングリコール(PEG)、アルブミン結合小分子、ポリシアル酸、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、その誘導体または任意のその組合せが含まれる。
【0079】
本明細書で使用されるように、用語「Fc領域」は、天然のIgのFc領域に対応するポリペプチドの部分、すなわち、その2つの重鎖のそれぞれのFcドメインの二量体結合によって形成されるものと規定される。天然のFc領域は、別のFc領域とホモダイマーを形成する。対照的に、本明細書で使用されるように、用語「遺伝子融合Fc領域」または「単鎖Fc領域」(scFc領域)は、単一のポリペプチド鎖の中で遺伝子的に連結される(すなわち、単一の連続した遺伝子配列にコードされる)Fcドメインで構成される合成二量体Fc領域を指す。
【0080】
一実施形態では、「Fc領域」は、パパイン切断部位(すなわち、重鎖定常領域の最初の残基を114としたときの、IgGの残基216)のすぐ上流のヒンジ領域から始まり抗体のC末端で終わる、単一のIg重鎖の部分を指す。したがって、完全なFcドメインは、ヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインを少なくとも含む。
【0081】
Ig定常領域のFc領域は、Igアイソタイプにより、CH2、CH3およびCH4ドメイン、ならびにヒンジ領域を含むことができる。IgのFc領域を含むキメラタンパク質は、安定性の増加、血清中半減期の増加(Caponら、1989年、Nature 337:525頁を参照のこと)、ならびに新生児Fc受容体(FcRn)などのFc受容体への結合性を含むいくつかの望ましい特性をキメラタンパク質に与える(米国特許第6,086,875号、第6,485,726号、第6,030,613号;WO03/077834;US2003-0235536A1)、これらは参照により本明細書に完全に組み入れる。
【0082】
本開示のヌクレオチド配列との比較において本明細書で使用される場合、「参照ヌクレオチド配列」は、FVIII配列に対応する部分が最適化されていないこと以外は、本開示のヌクレオチド配列と事実上同一であるポリヌクレオチド配列である。例えば、配列番
号1のコドン最適化BDD FVIIIおよび、その3’末端で配列番号1に連結される単鎖Fc領域をコードする異種ヌクレオチド配列からなる核酸分子のための参照ヌクレオチド配列は、配列番号16の元の(または、「親」の)BDD FVIIIおよび、その3’末端で配列番号16(図1I)に連結される単鎖Fc領域をコードする同一の異種ヌクレオチド配列からなる核酸分子である。
【0083】
本明細書で使用される「コドン適合指数」は、コドン使用頻度バイアスの尺度を指す。コドン適合指数(CAI)は、遺伝子の参照セットに対する所与のタンパク質コード遺伝子配列の偏差を測定する(Sharp PMおよびLi WH、Nucleic Acids Res.15(3):1281~95頁(1987))。CAIは、遺伝子配列の全長(コドンで測定された)にわたる各コドンに関連付けられた重量の幾何平均を求めることによって計算される:
【数1】
【0084】
アミノ酸ごとに、CAIにおけるそのコドンの各々の重量は、コドンの観察された頻度(fi)とそのアミノ酸の同義コドン(fj)の頻度の間の比として計算される:
【数2】
【0085】
本明細書で使用されるように、ヌクレオチド配列に関する用語「最適化される」は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を指し、ここで、ポリヌクレオチド配列は、そのポリヌクレオチド配列の特性を強化するように突然変異している。一部の実施形態では、最適化は、転写レベルを増加させるために、翻訳レベルを増加させるために、定常状態のmRNAレベルを増加させるために、基本転写因子などの調節タンパク質の結合性を増減するために、スプライシングを増減するために、または、ポリヌクレオチド配列によって生成されるポリペプチドの収量を増加させるために実行される。それを最適化するためにポリヌクレオチド配列に加えることができる変更の例には、コドン最適化、G/C含有量最適化、反復配列の除去、冨ATエレメントの除去、潜在性スプライス部位の除去、転写または翻訳を抑圧するシス作用性エレメントの除去、ポリTまたはポリA配列を加えるか除去すること、転写開始部位の周囲にコザックコンセンサス配列などの転写を強化する配列を加えること、ステムループ構造を形成するかもしれない配列の除去、不安定化配列の除去、および2つ以上のその組合せが含まれる。
【0086】
II.FVIIIレンチウイルス遺伝子療法
出血障害、特に血友病Aのための可能な処置として、体細胞遺伝子療法が探求された。遺伝子療法は、FVIIIをコードするベクターの単回投与の後のFVIIIの連続的内因性生成を通して血友病を治療するその能力のために、血友病のための特に魅力的な治療法である。血友病Aは、その臨床上の発現症状が血漿の中を微量(200ng/ml)で循環する単一遺伝子生成物(FVIII)の欠乏に完全に起因しているので、遺伝子補充アプローチに好適である。
【0087】
レンチウイルスベクターは、組入れを通して導入遺伝子発現を持続するそれらの大きな
包容力および能力のために、遺伝子送達ビヒクルとして注目を集めている。レンチウイルスベクターは多数のex-vivo細胞療法臨床プログラムで評価され、有望な効能および安全性プロファイルをもたらしている。
【0088】
本開示は、遺伝子療法方法において使用されるとき、対象における発現の増加を実証し、より大きな治療効能を潜在的にもたらす、コドン最適化FVIII配列を含むレンチウイルスベクターを提供することによって、当技術分野の重要な必要性を満たす。本開示の実施形態は、本明細書に記載されるFVIII活性を有するポリペプチドをコードする1つまたはそれ以上のコドン最適化核酸分子を含むレンチウイルスベクター、レンチウイルスベクターを含む宿主細胞(例えば、肝細胞)、および、開示されるレンチウイルスベクターの使用方法(例えば、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターを使用した出血障害のための治療法)に関する。
【0089】
一般に、本明細書に開示される処置の方法は、FVIII凝固因子をコードする少なくとも1つのコドン最適化核酸配列を含む核酸分子を含むレンチウイルスベクターの投与を含み、ここで、FVIII凝固因子をコードする核酸配列は好適な発現制御配列に作動可能に連結され、それは、一部の実施形態では、レンチウイルスベクター(例えば、複製欠陥レンチウイルスウイルスベクター)に組み込まれる。
【0090】
本開示は、それを必要とする対象において出血障害(例えば、血友病A)を処置する方法であって、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターの、5×1010以下の形質導入単位/kg(TU/kg)(または10以下のTU/kg、または10以下のTU/kg)の少なくとも1用量を対象に投与することを含む方法を提供し、ここで、ヌクレオチド配列は:
(i)配列番号1のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも約91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(ii)配列番号2のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(iii)配列番号70のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(iv)配列番号71のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(v)配列番号3のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(vi)配列番号4のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(vii)配列番号5のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(viii)配列番号6のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;または
(ix)(i)~(viii)の任意の組合せ
を有する。
【0091】
本開示は、それを必要とする対象において出血障害(例えば、血友病A)を処置する方法であって、第VIII因子(FVIII)ポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターの、5×1010以下の形質導入単位/kg(TU/kg)(または10TU/kg以下、または10TU/kg以下)の少なくとも1用量を対象に投与することを含む方法も提供し;
(a)ここで、第1の核酸配列は、
(i)配列番号3のヌクレオチド58~2277および2320~1791に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(ii)配列番号4のヌクレオチド58~2277および2320~1791に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(iii)配列番号5のヌクレオチド58~1791に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;または
(iv)配列番号6のヌクレオチド58~1791に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性
を有し、
(b)ここで、第2のヌクレオチド配列は、
(i)配列番号3のヌクレオチド1792~2277および2320~4374に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(ii)配列番号4のヌクレオチド1792~2277および2320~4374に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;
(iii)配列番号5のヌクレオチド1792~2277および2320~4374に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性;または
(iv)配列番号6のヌクレオチド1792~2277および2320~4374に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性
を有し、または
(c)(a)および(b)の任意の組合せ
であり、
ここで、N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有する。
【0092】
一部の実施形態では、用量は、約5.0×1010TU/kg、約4.9×1010TU/kg、約4.8×1010TU/kg、約4.7×1010TU/kg、約4.6×1010TU/kg、約4.5×1010TU/kg、約4.4×1010TU/kg、約4.3×1010TU/kg、約4.2×1010TU/kg、約4.1×1010TU/kg、約4.0×1010TU/kg、約3.9×1010TU/kg、約3.8×1010TU/kg、約3.7×1010TU/kg、約3.6×1010TU/kg、約3.5×1010TU/kg、約3.4×1010TU/kg、約3.3×1010TU/kg、約3.2×1010TU/kg、約3.1×1010TU/kg、約3.0×1010TU/kg、約2.9×1010TU/kg、約2.8×1010TU/kg、約2.7×1010TU/kg、約2.6×1010TU/kg、約2.5×1010TU/kg、約2.4×1010TU/kg、約2.3×1010TU/kg、約2.2×1010TU/kg、約2.1×1010TU/kg、約2.0×1010TU/kg、
約1.9×1010TU/kg、約1.8×1010TU/kg、約1.7×1010TU/kg、約1.6×1010TU/kg、約1.5×1010TU/kg、約1.4×1010TU/kg、約1.3×1010TU/kg、約1.2×1010TU/kg、約1.1×1010TU/kgまたは約1.0×1010TU/kgである。
【0093】
一部の実施形態では、用量は、約9.9×10TU/kg、約9.8×10TU/kg、約9.7×10TU/kg、約9.6×10TU/kg、約9.5×10TU/kg、約9.4×10TU/kg、約9.3×10TU/kg、約9.2×10TU/kg、約9.1×10TU/kg、約9.0×10TU/kg、約8.9×10TU/kg、約8.8×10TU/kg、約8.7×10TU/kg、約8.6×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8.4×10TU/kg、約8.3×10TU/kg、約8.2×10TU/kg、約8.1×10TU/kg、約8.0×10TU/kg、約7.9×10TU/kg、約7.8×10TU/kg、約7.7×10TU/kg、約7.6×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7.4×10TU/kg、約7.3×10TU/kg、約7.2×10TU/kg、約7.1×10TU/kg、約7.0×10TU/kg、約6.9×10TU/kg、約6.8×10TU/kg、約6.7×10TU/kg、約6.6×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6.4×10TU/kg、約6.3×10TU/kg、約6.2×10TU/kg、約6.1×10TU/kg、約6.0×10TU/kg、約5.9×10TU/kg、約5.8×10TU/kg、約5.7×10TU/kg、約5.6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5.4×10TU/kg、約5.3×10TU/kg、約5.2×10TU/kg、約5.1×10TU/kg、約5.0×10TU/kg、約4.9×10TU/kg、約4.8×10TU/kg、約4.7×10TU/kg、約4.6×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4.4×10TU/kg、約4.3×10TU/kg、約4.2×10TU/kg、約4.1×10TU/kg、約4.0×10TU/kg、約3.9×10TU/kg、約3.8×10TU/kg、約3.7×10TU/kg、約3.6×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3.4×10TU/kg、約3.3×10TU/kg、約3.2×10TU/kg、約3.1×10TU/kg、約3.0×10TU/kg、約2.9×10TU/kg、約2.8×10TU/kg、約2.7×10TU/kg、約2.6×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2.4×10TU/kg、約2.3×10TU/kg、約2.2×10TU/kg、約2.1×10TU/kg、約2.0×10TU/kg、約1.9×10TU/kg、約1.8×10TU/kg、約1.7×10TU/kg、約1.6×10TU/kg、約1.5×10TU/kg、約1.4×10TU/kg、約1.3×10TU/kg、約1.2×10TU/kg、約1.1×10TU/kgまたは約1.0×10TU/kgである。
【0094】
一部の実施形態では、用量は、約9.9×10TU/kg、約9.8×10TU/kg、約9.7×10TU/kg、約9.6×10TU/kg、約9.5×10TU/kg、約9.4×10TU/kg、約9.3×10TU/kg、約9.2×10TU/kg、約9.1×10TU/kg、約9.0×10TU/kg、約8.9×10TU/kg、約8.8×10TU/kg、約8.7×10TU/kg、約8.6×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8.4×10TU/kg、約8.3×10TU/kg、約8.2×10TU/kg、約8.1×10TU/kg、約8.0×10TU/kg、約7.9×10TU/kg、約7.8×10TU/kg、約7.7×10TU/kg、約7.6×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7.4×10TU/kg、約7.3×10TU/kg、約7.2×10TU/kg、約7.1×10TU/kg、約7.0×10TU/kg、約6.9×10TU/kg、約6.8×10TU/kg、約6.7×10TU/kg、約6.
6×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6.4×10TU/kg、約6.3×10TU/kg、約6.2×10TU/kg、約6.1×10TU/kg、約6.0×10TU/kg、約5.9×10TU/kg、約5.8×10TU/kg、約5.7×10TU/kg、約5.6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5.4×10TU/kg、約5.3×10TU/kg、約5.2×10TU/kg、約5.1×10TU/kg、約5.0×10TU/kg、約4.9×10TU/kg、約4.8×10TU/kg、約4.7×10TU/kg、約4.6×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4.4×10TU/kg、約4.3×10TU/kg、約4.2×10TU/kg、約4.1×10TU/kg、約4.0×10TU/kg、約3.9×10TU/kg、約3.8×10TU/kg、約3.7×10TU/kg、約3.6×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3.4×10TU/kg、約3.3×10TU/kg、約3.2×10TU/kg、約3.1×10TU/kg、約3.0×10TU/kg、約2.9×10TU/kg、約2.8×10TU/kg、約2.7×10TU/kg、約2.6×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2.4×10TU/kg、約2.3×10TU/kg、約2.2×10TU/kg、約2.1×10TU/kg、約2.0×10TU/kg、約1.9×10TU/kg、約1.8×10TU/kg、約1.7×10TU/kg、約1.6×10TU/kg、約1.5×10TU/kg、約1.4×10TU/kg、約1.3×10TU/kg、約1.2×10TU/kg、約1.1×10TU/kgまたは約1.0×10TU/kgである。
【0095】
一部の実施形態では、用量は、5.0×1010TU/kg未満、4.9×1010TU/kg未満、4.8×1010TU/kg未満、4.7×1010TU/kg未満、4.6×1010TU/kg未満、4.5×1010TU/kg未満、4.4×1010TU/kg未満、4.3×1010TU/kg未満、4.2×1010TU/kg未満、4.1×1010TU/kg未満、4.0×1010TU/kg未満、3.9×1010TU/kg未満、3.8×1010TU/kg未満、3.7×1010TU/kg未満、3.6×1010TU/kg未満、3.5×1010TU/kg未満、3.4×1010TU/kg未満、3.3×1010TU/kg未満、3.2×1010TU/kg未満、3.1×1010TU/kg未満、3.0×1010TU/kg未満、2.9×1010TU/kg未満、2.8×1010TU/kg未満、2.7×1010TU/kg未満、2.6×1010TU/kg未満、2.5×1010TU/kg未満、2.4×1010TU/kg未満、2.3×1010TU/kg未満、2.2×1010TU/kg未満、2.1×1010TU/kg未満、2.0×1010TU/kg未満、1.9×1010TU/kg未満、1.8×1010TU/kg未満、1.7×1010TU/kg未満、1.6×1010TU/kg未満、1.5×1010TU/kg未満、1.4×1010TU/kg未満、1.3×1010TU/kg未満、1.2×1010TU/kg未満、1.1×1010TU/kg未満、または1.0×1010TU/kg未満である。
【0096】
一部の実施形態では、用量は、9.9×10TU/kg未満、9.8×10TU/kg未満、9.7×10TU/kg未満、9.6×10TU/kg未満、9.5×10TU/kg未満、9.4×10TU/kg未満、9.3×10TU/kg未満、9.2×10TU/kg未満、9.1×10TU/kg未満、9.0×10TU/kg未満、8.9×10TU/kg未満、8.8×10TU/kg未満、8.7×10TU/kg未満、8.6×10TU/kg未満、8.5×10TU/kg未満、8.4×10TU/kg未満、8.3×10TU/kg未満、8.2×10TU/kg未満、8.1×10TU/kg未満、8.0×10TU/kg未満、7.9×10TU/kg未満、7.8×10TU/kg未満、7.7×10TU/kg未満、7.6×10TU/kg未満、7.5×10TU/kg未満、7.4×10TU/kg未満、7.3×10TU/kg未満、7.2×10TU/kg未満、7.1×1
TU/kg未満、7.0×10TU/kg未満、6.9×10TU/kg未満、6.8×10TU/kg未満、6.7×10TU/kg未満、6.6×10TU/kg未満、6.5×10TU/kg未満、6.4×10TU/kg未満、6.3×10TU/kg未満、6.2×10TU/kg未満、6.1×10TU/kg未満、6.0×10TU/kg未満、5.9×10TU/kg未満、5.8×10TU/kg未満、5.7×10TU/kg未満、5.6×10TU/kg未満、5.5×10TU/kg未満、5.4×10TU/kg未満、5.3×10TU/kg未満、5.2×10TU/kg未満、5.1×10TU/kg未満、5.0×10TU/kg未満、4.9×10TU/kg未満、4.8×10TU/kg未満、4.7×10TU/kg未満、4.6×10TU/kg未満、4.5×10TU/kg未満、4.4×10TU/kg未満、4.3×10TU/kg未満、4.2×10TU/kg未満、4.1×10TU/kg未満、4.0×10TU/kg未満、3.9×10TU/kg未満、3.8×10TU/kg未満、3.7×10TU/kg未満、3.6×10TU/kg未満、3.5×10TU/kg未満、3.4×10TU/kg未満、3.3×10TU/kg未満、3.2×10TU/kg未満、3.1×10TU/kg未満、3.0×10TU/kg未満、2.9×10TU/kg未満、2.8×10TU/kg未満、2.7×10TU/kg未満、2.6×10TU/kg未満、2.5×10TU/kg未満、2.4×10TU/kg未満、2.3×10TU/kg未満、2.2×10TU/kg未満、2.1×10TU/kg未満、2.0×10TU/kg未満、1.9×10TU/kg未満、1.8×10TU/kg未満、1.7×10TU/kg未満、1.6×10TU/kg未満、1.5×10TU/kg未満、1.4×10TU/kg未満、1.3×10TU/kg未満、1.2×10TU/kg未満、1.1×10TU/kg未満または1.0×10TU/kg未満である。
【0097】
一部の実施形態では、用量は、9.9×10TU/kg未満、9.8×10TU/kg未満、9.7×10TU/kg未満、9.6×10TU/kg未満、9.5×10TU/kg未満、9.4×10TU/kg未満、9.3×10TU/kg未満、9.2×10TU/kg未満、9.1×10TU/kg未満、9.0×10TU/kg未満、8.9×10TU/kg未満、8.8×10TU/kg未満、8.7×10TU/kg未満、8.6×10TU/kg未満、8.5×10TU/kg未満、8.4×10TU/kg未満、8.3×10TU/kg未満、8.2×10TU/kg未満、8.1×10TU/kg未満、8.0×10TU/kg未満、7.9×10TU/kg未満、7.8×10TU/kg未満、7.7×10TU/kg未満、7.6×10TU/kg未満、7.5×10TU/kg未満、7.4×10TU/kg未満、7.3×10TU/kg未満、7.2×10TU/kg未満、7.1×10TU/kg未満、7.0×10TU/kg未満、6.9×10TU/kg未満、6.8×10TU/kg未満、6.7×10TU/kg未満、6.6×10TU/kg未満、6.5×10TU/kg未満、6.4×10TU/kg未満、6.3×10TU/kg未満、6.2×10TU/kg未満、6.1×10TU/kg未満、6.0×10TU/kg未満、5.9×10TU/kg未満、5.8×10TU/kg未満、5.7×10TU/kg未満、5.6×10TU/kg未満、5.5×10TU/kg未満、5.4×10TU/kg未満、5.3×10TU/kg未満、5.2×10TU/kg未満、5.1×10TU/kg未満、5.0×10TU/kg未満、4.9×10TU/kg未満、4.8×10TU/kg未満、4.7×10TU/kg未満、4.6×10TU/kg未満、4.5×10TU/kg未満、4.4×10TU/kg未満、4.3×10TU/kg未満、4.2×10TU/kg未満、4.1×10TU/kg未満、4.0×10TU/kg未満、3.9×10TU/kg未満、3.8×10TU/kg未満、3.7×10TU/kg未満、3.6×10TU/kg未満、3.5×10TU/kg未満、3.4×10TU/
kg未満、3.3×10TU/kg未満、3.2×10TU/kg未満、3.1×10TU/kg未満、3.0×10TU/kg未満、2.9×10TU/kg未満、2.8×10TU/kg未満、2.7×10TU/kg未満、2.6×10TU/kg未満、2.5×10TU/kg未満、2.4×10TU/kg未満、2.3×10TU/kg未満、2.2×10TU/kg未満、2.1×10TU/kg未満、2.0×10TU/kg未満、1.9×10TU/kg未満、1.8×10TU/kg未満、1.7×10TU/kg未満、1.6×10TU/kg未満、1.5×10TU/kg未満、1.4×10TU/kg未満、1.3×10TU/kg未満、1.2×10TU/kg未満、1.1×10TU/kg未満または1.0×10TU/kg未満である。
【0098】
一部の実施形態では、用量は、1×10TU/kg~5×1010TU/kg、1.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、2×10TU/kg~5×1010TU/kg、2.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、3×10TU/kg~5×1010TU/kg、3.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、4×10TU/kg~5×1010TU/kg、4.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、5×10TU/kg~5×1010TU/kg、5.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、6×10TU/kg~5×1010TU/kg、6.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、7×10TU/kg~5×1010TU/kg、7.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、8×10TU/kg~5×1010TU/kg、8.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、9×10TU/kg~5×1010TU/kg、9.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、1×10TU/kg~5×1010TU/kg、1.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、2×10TU/kg~5×1010TU/kg、2.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、3×10TU/kg~5×1010TU/kg、3.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、4×10TU/kg~5×1010TU/kg、4.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、5×10TU/kg~5×1010TU/kg、5.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、6×10TU/kg~5×1010TU/kg、6.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、7×10TU/kg~5×1010TU/kg、7.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、8×10TU/kg~5×1010TU/kg、8.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、9×10TU/kg~5×1010TU/kg、9.5×10TU/kg~5×1010TU/kg、1010TU/kg~5×1010TU/kg、1.5×1010TU/kg~5×1010TU/kg、2×1010TU/kg~5×1010TU/kg、2.5×1010TU/kg~5×1010TU/kg、3×1010TU/kg~5×1010TU/kg、3.5×1010TU/kg~5×1010TU/kg、4×1010TU/kg~5×1010TU/kgまたは4.5×1010TU/kg~5×1010TU/kgである。
【0099】
一部の実施形態では、用量は、1×10TU/kg~5×1010TU/kg、1×10TU/kg~4.5×1010TU/kg、1×10TU/kg~4×1010TU/kg、1×10TU/kg~3.5×1010TU/kg、1×10TU/kg~3×1010TU/kg、1×10TU/kg~2.5×1010TU/kg、1×10TU/kg~2×1010TU/kg、1×10TU/kg~1.5×1010TU/kg、1×10TU/kg~1010TU/kg、1×10TU/kg~9×10TU/kg、1×10TU/kg~8.5×10TU/kg、1×10TU/kg~8×10TU/kg、1×10TU/kg~7.5×10TU/kg、1×10TU/kg~7×10TU/kg、1×10TU/kg~6.5×10TU/kg、1×10TU/kg~6×10TU/kg、1×10TU/kg~5
.5×10TU/kg、1×10TU/kg~5×10TU/kg、1×10TU/kg~4.5×10TU/kg、1×10TU/kg~4×10TU/kg、1×10TU/kg~3.5×10TU/kg、1×10TU/kg~3×10TU/kg、1×10TU/kg~2.5×10TU/kg、1×10TU/kg~2×10TU/kg、1×10TU/kg~1.5×10TU/kg、1×10TU/kg~1×10TU/kg、1×10TU/kg~9.5×10TU/kg、1×10TU/kg~9×10TU/kg、1×10TU/kg~8.5×10TU/kg、1×10TU/kg~8×10TU/kg、1×10TU/kg~7.5×10TU/kg、1×10TU/kg~7×10TU/kg、1×10TU/kg~6.5×10TU/kg、1×10TU/kg~6×10TU/kg、1×10TU/kg~5.5×10TU/kg、1×10TU/kg~5×10TU/kg、1×10TU/kg~4.5×10TU/kg、1×10TU/kg~4×10TU/kg、1×10TU/kg~3.5×10TU/kg、1×10TU/kg~3×10TU/kg、1×10TU/kg~2.5×10TU/kg、1×10TU/kg~2×10TU/kg、または1×10TU/kg~1.5×10TU/kgである。
【0100】
一部の実施形態では、用量は、1×1010TU/kg~2×1010TU/kg、1.1×1010TU/kg~1.9×1010TU/kg、1.2×1010TU/kg~1.8×1010TU/kg、1.3×1010TU/kg~1.7×1010TU/kg、または1.4×1010TU/kg~1.6×1010TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、約1.5×1010TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、1.5×1010TU/kgである。
【0101】
一部の実施形態では、用量は、1×10TU/kg~2×10TU/kg、1.1×10TU/kg~1.9×10TU/kg、1.2×10TU/kg~1.8×10TU/kg、1.3×10TU/kg~1.7×10TU/kg、または1.4×10TU/kg~1.6×10TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、1.5×10TU/kgである。ある特定の実施形態では、用量は、約3.0×10TU/kgである。
【0102】
一部の実施形態では、用量は、2.5×10TU/kg~3.5×10TU/kg、2.6×10TU/kg~3.4×10TU/kg、2.7×10TU/kg~3.3×10TU/kg、2.8×10TU/kg~3.2×10TU/kg、または2.9×10TU/kg~3.1×10TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、約3.0×10TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、3.0×10TU/kgである。
【0103】
一部の実施形態では、用量は、5.5×10TU/kg~6.5×10TU/kg、5.6×10TU/kg~6.4×10TU/kg、5.7×10TU/kg~6.3×10TU/kg、5.8×10TU/kg~6.2×10TU/kg、または5.9×10TU/kg~6.1×10TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、約6.0×10TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、6.0×10TU/kgである。
【0104】
一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターの投与の24時間、36時間または48時間後の血漿FVIII活性は、配列番号16を含む核酸分子を含む参照ベクターを投与した対象における血漿FVIII活性と比較して増加する。
【0105】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの投与の48時間後の血漿FVIII活
性は、配列番号16を含む核酸分子を含む参照ベクターを投与した対象における血漿FVIII活性と比較して増加する。
【0106】
別の実施形態では、配列番号16を含む参照核酸分子、参照核酸分子を含む参照ウイルスベクター、または参照核酸分子によってコードされるポリペプチドを投与した対象と比較して、レンチウイルスベクターの投与の約21日後に血漿FVIII活性は増加する。
【0107】
一部の実施形態では、血漿FVIII活性は、配列番号16を含む参照核酸分子、参照核酸分子を含む参照ウイルスベクター、または参照核酸分子によってコードされるポリペプチドを投与した対象と比較して、レンチウイルスベクターの投与の約6時間後、約12時間後、約18時間後、約24時間後、約36時間後、約48時間後、約3日後、約4日後、約5日後、約6日後、約7日後、約8日後、約9日後、約10日後、約11日後、約12日後、約13日後、約14日後、約15日後、約16日後、約17日後、約18日後、約19日後、約20日後、約21日後、約22日後、約23日後、約24日後、約25日後、約26日後、約27日後、または約28日後に増加する。
【0108】
一部の実施形態では、対象における血漿FVIII活性は、配列番号16を含む参照核酸分子を投与した対象におけるレベルと比較して、または参照核酸分子を含む参照ウイルスベクターを投与した対象におけるレベルと比較して、または参照核酸分子によってコードされるポリペプチドの投与の後の対象におけるレベルと比較して、対象における基礎レベルに関して少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約55倍、少なくとも約60倍、少なくとも約65倍、少なくとも約70倍、少なくとも約75倍、少なくとも約80倍、少なくとも約85倍、少なくとも約90倍、少なくとも約95倍、少なくとも約100倍、少なくとも約110倍、少なくとも約120倍、少なくとも約130倍、少なくとも約140倍、少なくとも約150倍、少なくとも約160倍、少なくとも約170倍、少なくとも約180倍、少なくとも約190倍、または少なくとも約200倍に増加する。
【0109】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、単一用量または複数用量で投与される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、一度に投与されるか、または複数の部分用量、例えば、2つの部分用量、3つの部分用量、4つの部分用量、5つの部分用量、6つの部分用量もしくは6を超える部分用量に分割される。一部の実施形態では、1を超えるレンチウイルスベクターが投与される。
【0110】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回または少なくとも10回繰り返して投与される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、静脈内注射を通して投与される。
【0111】
一部の実施形態では、対象は小児対象であるが、他の態様では、対象は成人対象である。
【0112】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、少なくとも1つの組織特異的プロモーター、すなわち、特定の組織または細胞型におけるFVIII活性を有するポリペプチドの発現を調節するだろうプロモーターを含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの中の組織特異的プロモーターは、標的肝臓細胞においてFVIII活性を有する
ポリペプチドの発現を選択的に強化する。一部の実施形態では、標的肝臓細胞においてFVIII活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する組織特異的プロモーターは、mTTRプロモーターを含む。一部の実施形態では、標的肝臓細胞は、肝細胞である。
【0113】
レンチウイルスベクターは全ての肝臓細胞型を形質導入させることができるので、異なる細胞型における導入遺伝子(例えば、FVIII)の発現は、レンチウイルスベクターの中の異なるプロモーターを使用して制御することができる。したがって、レンチウイルスベクターは、異なる組織または細胞型、例えば異なる肝臓組織または細胞型におけるFVIII導入遺伝子の発現を制御するだろう特異的プロモーターを含むことができる。したがって、一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、肝臓内皮組織におけるFVIII導入遺伝子の発現を制御するだろう内皮特異的プロモーター、または、肝細胞におけるFVIII導入遺伝子の発現を制御する肝細胞特異的プロモーター、または両方を含むことができる。
【0114】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、肝臓以外の組織におけるFVIII導入遺伝子の発現を制御する1つの組織特異的プロモーターまたは複数の組織特異的プロモーターを含む。一部の実施形態では、単離された核酸分子は、標的細胞または標的組織のゲノム、例えば、肝細胞のゲノムまたは肝臓の内皮細胞のゲノムに安定して組み入れられる。
【0115】
一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターの中のFVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、LV-coFVIII-6(配列番号71)を含むか、それからなるか、または本質的になる。
【0116】
他の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターの中のFVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、LV-coFVIII-6-XTEN(配列番号72)を含むか、それからなるか、または本質的になる。
【0117】
一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターの中のFVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、シグナルペプチドをコードする核酸配列をさらに含み、ここで、シグナルペプチドをコードする核酸配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド1~57;(ii)配列番号2のヌクレオチド1~57;(iii)配列番号3のヌクレオチド1~57;(iv)配列番号4のヌクレオチド1~57;(v)配列番号5のヌクレオチド1~57;(vi)配列番号6のヌクレオチド1~57;(vii)配列番号70のヌクレオチド1~57;(viii)配列番号71のヌクレオチド1~57;または(ix)配列番号68のヌクレオチド1~57に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有する。
【0118】
一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターの中の単離された核酸分子は、以下からなる群から選択される1つまたはそれ以上の特性を含む:(a)核酸分子またはその一部のヒトコドン適合指数は、配列番号16と比較して増加する;(b)ヌクレオチド配列またはその一部の最適コドン頻度は、配列番号16と比較して増加する;(c)ヌクレオチド配列またはその一部は、配列番号16におけるG/Cヌクレオチドの百分率と比較してより高いG/Cヌクレオチドの百分率を含有する;(d)ヌクレオチド配列またはその一部の相対的同義コドン使用頻度は、配列番号16と比較して増加する;(e)ヌクレオチド配列またはその一部のコドンの有効数は、配列番号16と比較して低減する;(f)ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較してより少ないMARS/ARS配列(配列番号21および22)を含有する;(g)ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較
してより少ない不安定化エレメント(配列番号23および24)を含有する;ならびに(h)その任意の組合せ。
【0119】
一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターの中の単離された核酸分子は、異種アミノ酸配列(例えば、半減期延長剤)をコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。一部の実施形態では、異種アミノ酸配列は、免疫グロブリン定常領域もしくはその一部、XTEN、トランスフェリン、アルブミンまたはPAS配列である。一部の実施形態では、異種アミノ酸配列は、ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列のN末端またはC末端に連結されるか、または、表3から選択される1つまたはそれ以上の挿入部位のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列の中の2つのアミノ酸の間に挿入される。
【0120】
一部の実施形態では、FVIIIポリペプチドは、完全長FVIIIまたはBドメイン欠失FVIIIである。
【0121】
本明細書に開示されるレンチウイルスベクターは、出血凝固障害、出血性関節症、筋肉ブリード、口ブリード、出血、筋肉への出血、口出血、外傷、頭部外傷、消化管出血、頭蓋内出血、腹腔内出血、胸腔内出血、骨折、中枢神経系の出血、咽頭後隙における出血、腹膜後隙における出血および腸腰筋鞘における出血からなる群から選択される出血性疾患または障害の処置への治療的に有益だろう遺伝子療法アプローチを使用して、哺乳動物、例えばヒト患者において、in vivoで低い投薬量(例えば、1010TU/kg以下、10TU/kg以下、または10TU/kg以下)で使用することができる。一実施形態では、出血性の疾患または障害は、血友病である。別の実施形態では、出血性の疾患または障害は、血友病Aである。
【0122】
一部の実施形態では、標的細胞(例えば、肝細胞)は、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターの低い用量(例えば、1010TU/kg以下、10TU/kg以下、または10TU/kg以下)により、患者に投与される前にin vitroで処理される。ある特定の実施形態では、標的細胞(例えば、肝細胞)は、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターの約3.0×10TU/kgにより、患者に投与される前にin vitroで処理される。さらに別の実施形態では、患者からの細胞(例えば、肝細胞)は、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターの低い用量(例えば、1010TU/kg以下、10TU/kg以下、または10TU/kg以下)により、患者に投与される前にex vivoで処理される。
【0123】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターの投与(例えば、1010TU/kg以下、10TU/kg以下、または10TU/kg以下で投与される)後の血漿FVIII活性は、生理的に正常な循環FVIIIレベルと比較して少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、少なくとも約200%、少なくとも約210%、少なくとも約220%、少なくとも約230%、少なくとも約240%、少なくとも約250%、少なくとも約260%、少なくとも約270%、少なくとも約280%、少なくとも約290%、または少なくとも約300%増加する。
【0124】
一実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターの投与後の血漿FVIII活性は、生理的に正常な循環FVIIIレベルと比較して少なくとも約3,000%~約5,000%増加する。一部の実施形態では、本明細書に記載される第VIII因子(FVIII)活性を有するポリペプチドをコードするコドン最適化遺伝子を含むレンチウイルスベクターの投与の21日後、血漿FVIII活性は、配列番号16を含む参照核酸分子を含む
対応するレンチウイルスベクターを投与した対象と比較して、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍、少なくとも約110倍、少なくとも約120倍、少なくとも約130倍、少なくとも約140倍、少なくとも約150倍、少なくとも約160倍、少なくとも約170倍、少なくとも約180倍、少なくとも約190倍、または少なくとも約200倍増加する。
【0125】
本開示は、それを必要とする対象において止血障害(例えば、血友病Aなどの出血障害)を処置、予防または改善する方法であって、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターの治療的有効量を対象に投与することを含み、ここで、レンチウイルスベクターは、5×1010以下のTU/kg、10以下のTU/kg、または10以下のTU/kgの少なくとも1用量で投与される、方法も提供する。
【0126】
本開示のレンチウイルスベクターによる処置、改善および予防は、バイパス療法であってよい。バイパス療法を受ける対象は、凝固因子、例えばFVIIIへの阻害物質が既に生じているか、または凝固因子阻害物質を生じやすくてもよい。
【0127】
本開示のレンチウイルスベクターは、フィブリンクロットの形成を促進することによって、止血障害を処置または予防する。本開示の核酸分子によってコードされるFVIII活性を有するポリペプチドは、凝固カスケードのメンバーを活性化することができる。凝固因子は、外因性の経路、内因性の経路または両方における参加者であってよい。
【0128】
本開示のレンチウイルスベクターは、FVIIIで治療できることが知られている止血障害を処置するために使用することができる。本開示の方法を使用して処置できる止血障害には、限定されずに、血友病A、血友病B、フォンウィルブラント病、第XI因子欠乏症(PTA欠乏症)、第XII因子欠乏症、ならびにフィブリノーゲン、プロトロンビン、第V因子、第VII因子、第X因子または第XIII因子の欠乏症または構造的な異常、出血性関節症、筋肉ブリード、口ブリード、出血、筋肉への出血、口出血、外傷、頭部外傷、消化管出血、頭蓋内出血、腹腔内出血、胸腔内出血、骨折、中枢神経系の出血、咽頭後隙における出血、腹膜後隙における出血および腸腰筋鞘における出血が含まれる。
【0129】
対象への投与のための組成物は、FVIII凝固因子(遺伝子療法適用のために)ならびにFVIIIポリペプチド分子をコードする本開示の最適化ヌクレオチド配列を含む核酸分子を含むレンチウイルスベクターを含む。一部の実施形態では、投与のための組成物は、本開示のレンチウイルスベクターとin vivo、in vitroまたはex vivoで接触させた細胞である。
【0130】
一部の実施形態では、止血障害は、遺伝性の障害である。一実施形態では、対象は、血友病Aを有する。他の実施形態では、止血障害は、FVIIIの欠乏症の結果である。他の実施形態では、止血障害は、欠陥のあるFVIII凝固因子の結果であってよい。
【0131】
別の実施形態では、止血障害は、後天性の障害であってよい。後天性の障害は、根底にある二次性の疾患または状態から生じることができる。無関係な状態は、一例として、しかし限定されずに、がん、自己免疫性疾患または妊娠であってよい。後天性の障害は、高齢から、または根底にある二次性の障害を処置するための医薬品(例えば、がん化学療法)から生じることができる。
【0132】
本開示は、止血障害または止血障害の獲得をもたらす二次性の疾患もしくは状態を有し
ない対象を処置する方法にも関する。したがって、本開示は、全身止血剤を必要とする対象を処置する方法であって、本開示のレンチウイルスベクターの治療的有効量を投与することを含む方法に関する。例えば、一実施形態では、全身止血剤を必要とする対象は、手術を受けているか、または受けようとしている。本開示のレンチウイルスベクターは、予防薬として手術の前後に投与することができる。
【0133】
本開示のレンチウイルスベクターは、急性出血症状を制御するために、手術中に、または術後に投与することができる。手術には、肝移植、肝臓切除または幹細胞移植を限定されずに含めることができる。
【0134】
別の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、止血障害を有していない急性出血症状を有する対象を処置するために使用することができる。急性出血症状は、重度の外傷、例えば、手術、自動車事故、創傷、裂傷銃撃または無制御の出血をもたらす任意の他の外傷事象から生じることができる。
【0135】
レンチウイルスベクターは、止血障害を有する対象を予防的に処置するために使用することができる。レンチウイルスベクターは、止血障害を有する対象で急性出血症状を処置するために使用することもできる。
【0136】
別の実施形態では、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターの投与および/またはFVIIIタンパク質導入遺伝子の以降の発現は、対象において免疫応答を誘導しない。一部の実施形態では、免疫応答は、FVIIIに対する抗体の発達を含む。一部の実施形態では、免疫応答は、サイトカイン分泌を含む。一部の実施形態では、免疫応答は、B細胞、T細胞、またはB細胞およびT細胞の両方の活性化を含む。一部の実施形態では、免疫応答は阻害性免疫応答であり、ここでは、対象における免疫応答は、免疫応答を起こさなかった対象におけるFVIIIの活性と比較してFVIIIタンパク質の活性を低減する。ある特定の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターの投与によるFVIIIタンパク質の発現は、FVIIIタンパク質または単離された核酸分子もしくはレンチウイルスベクターから発現されるFVIIIタンパク質に対する阻害性免疫応答を阻止する。
【0137】
一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、止血を促進する少なくとも1つの他の薬剤と組み合わせて投与される。止血を促進する前記他の薬剤は、実証された凝固活性を有する治療薬である。一例として、しかし限定されずに、止血剤は、第V因子、V第II因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、第XIII因子、プロトロンビンまたはフィブリノーゲン、または前のいずれかの活性型を含むことができる。凝固因子または止血剤は、抗線維素溶解薬、例えば、イプシロン-アミノカプロン酸、トラネキサム酸を含むこともできる。
【0138】
本開示の一実施形態では、組成物(例えば、レンチウイルスベクター)は、対象に投与されたときにFVIIIが活性化可能な形態で存在するものである。そのような活性化可能な分子は、対象への投与の後に凝固部位においてin vivoで活性化させることができる。
【0139】
本開示のレンチウイルスベクターは、静脈内、皮下、筋肉内に、または任意の粘膜表面を通して、例えば、経口、舌下、口腔内、舌下、経鼻、直腸、経膣により、または肺経路を通して投与することができる。レンチウイルスベクターは、所望の部位へのベクターの徐放を可能にするバイオポリマー固体支持体の中に植え込むか、またはそれに連結させることができる。
【0140】
一実施形態では、レンチウイルスベクターの投与経路は、非経口である。本明細書で用いる用語非経口は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸または膣投与を含む。非経口投与の静脈内形態が好ましい。投与の全てのこれらの形態は本開示の範囲内にあると明らかに予想されるが、特に静脈内または動脈内の注射または点滴のためには、投与のための形態は注射用溶液になるだろう。通常、注射のための好適な医薬組成物は、緩衝液(例えば酢酸、リン酸またはクエン酸緩衝液)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、場合により安定剤(例えば、ヒトアルブミン)等を含むことができる。しかし、本明細書の教示に適合する他の方法では、レンチウイルスベクターは、有害な細胞集団の部位に直接的に送達し、それによって、治療剤への患部組織の曝露を増加させることができる。
【0141】
非経口投与のための調製物には、無菌の水性または非水性の溶液、懸濁液および乳剤が含まれる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。水性担体には、食塩水および緩衝媒体を含む、水、アルコール/水性の溶液、乳濁液または懸濁液が含まれる。本開示では、薬学的に許容される担体には、限定されずに、0.01~0.1M、好ましくは0.05Mのリン酸緩衝液または0.8%食塩水が含まれる。他の一般的非経口ビヒクルには、リン酸ナトリウム溶液、リンガーブドウ糖、ブドウ糖および塩化ナトリウム、乳酸加リンガー液、または不揮発性油が含まれる。静脈内ビヒクルには、補液および栄養素補液、電解質補液、例えば、リンガーブドウ糖をベースにするものなどが含まれる。保存剤および他の添加物、例えば抗微生物剤、抗酸化剤、キレート化剤、および不活性ガスなどが存在してもよい。
【0142】
より詳細には、注射用に適する医薬組成物には、無菌の水性溶液(水溶性)または分散液、および無菌の注射用溶液または分散液の即時使用調製物のための無菌の粉末が含まれる。そのような場合、組成物は無菌でなければならず、容易な注射針通過が存続する程度まで流動性であるべきである。それは、製造および保存条件下で安定であるべきであり、好ましくは細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保存される。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、およびその好適な混合物を含有する、溶媒または分散媒体であってもよい。例えばレシチンなどのコーティング材の使用によって、分散液の場合は要求される粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持することができる。
【0143】
微生物活動の防止は、様々な抗細菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合には、等張剤、例えば糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物中に含ませることが好ましい。吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含ませることによって、注射用組成物の長期吸収をもたらすことができる。
【0144】
いずれの場合にも、無菌の注射溶液は、必要に応じて本明細書に列挙された成分の1つまたはその組合せと一緒に、適当な溶媒に必要な量で活性化合物(例えば、ポリペプチド自体または他の活性剤との組合せ)を組み込み、続いて濾過滅菌を行うことによって調製することができる。一般に、分散液は、塩基性分散媒体および上に列挙されるものからの必要とされる他の成分を含有する無菌のビヒクルの中に活性化合物を組み込むことによって調製される。無菌の注射可能な溶液の調製のための無菌粉末の場合は、好ましい調製方法は、有効成分と前もって濾過滅菌したその溶液からの任意の追加の所望の成分の粉末を与える、真空乾燥およびフリーズドライである。注射のための調製物は、加工されて、アンプル、バッグ、ボトル、シリンジまたはバイアルなどの容器に充てんされ、当技術分野で公知の方法により、無菌条件下で密封される。さらに、調製物は、キットの形でパッケ
ージして、販売することができる。そのような製造品は、関連する組成物が、凝固障害を患っているかまたはその素因を有する対象を処置するために有益であることを示すラベルまたは添付文書を好ましくは有する。
【0145】
医薬組成物は、例えばカカオ脂または他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する、坐薬または停留浣腸として直腸投与のために製剤化することもできる。
【0146】
状態の処置のための本開示の組成物の有効用量は、投与手段、標的部位、患者の生理的状態、患者がヒトであるかまたは動物であるか、投与される他の医薬品、および処置が予防的であるかまたは治療的であるかを含む、多くの異なる因子によって異なる。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物を処置することもできる。安全性および効能を最適化するために、当業者に公知であるルーチンの方法を使用して、処置投薬量を滴定することができる。
【0147】
レンチウイルスベクターは、単一の用量としてまたは複数用量として投与することができ、ここで、複数用量は連続的にまたは特定の時間間隔で投与することができる。最適な用量範囲および/または投与スケジュールを決定するために、in vitroアッセイを用いることができる。凝固因子活性を測定するin vitroアッセイは、当技術分野で公知である。さらに、有効用量は、動物モデル、例えば血友病のイヌ(Mountら
2002年、Blood 99(8):2670頁)から得られる用量反応曲線から推定することができる。
【0148】
上記の範囲内の中間の用量も、本開示の範囲内にあるものである。そのような用量を毎日、隔日、毎週または実験的分析によって判定される任意の他のスケジュールにしたがって、対象に投与することができる。例示的な処置は、長期、例えば少なくとも6カ月にわたる複数の投薬による投与を必要とする。
【0149】
本開示のレンチウイルスベクターは、複数の機会に投与することができる。単一の投薬の間隔は、日単位、週単位、月単位または年単位であってもよい。患者での改変されたポリペプチドまたは抗原の血中レベルの測定によって指示されるとき、間隔は不規則であってもよい。本開示のレンチウイルスベクターの投薬量および頻度は、患者における導入遺伝子によってコードされるFVIIIポリペプチドの半減期によって異なる。
【0150】
本開示のレンチウイルスベクターの投与の投薬量および頻度は、処置が予防的であるかまたは治療的であるかによって異なってもよい。予防的適用では、本開示のレンチウイルスベクターを含有する組成物は、患者の抵抗性を強化するかまたは疾患の影響を最小にするために、疾患状態にまだない患者に投与される。そのような量は、「予防的有効用量」と規定される。長期間にわたって比較的低い頻度の間隔で、比較的低い投薬量が投与される。一部の患者は、残りの存命期間中、処置を受け続ける。
【0151】
本開示のレンチウイルスベクターは、場合により、処置(例えば、予防的または治療的)を必要とする障害または状態の処置で有効である他の薬剤と組み合わせて投与することができる。
【0152】
本明細書で使用されるように、補助療法と一緒のまたは組み合わせた本開示のレンチウイルスベクターの投与は、療法および開示されるポリペプチドの逐次的、同時、共存する、並行した、併存する、または同時発生的投与または適用を意味する。当業者は、組み合わせた治療レジメンの様々な構成成分の投与または適用の時間は、処置の全体的効果を強化するために調整することができることを理解するであろう。当業者(例えば、医師)は、選択される補助療法および本明細書の教示に基づいて、不相応な実験なしで有効な併用
療法レジメンを見極めることが容易にできるだろう。
【0153】
本開示のレンチウイルスベクターは、薬剤または複数の薬剤と(例えば、併用療法レジメンを提供するために)一緒にまたは組み合わせて使用することができることがさらに理解される。本開示のレンチウイルスベクターと組み合わせることができる例示的な薬剤には、処置する特定の障害のための現在の医療標準に相当する薬剤が含まれる。そのような薬剤は、性質が化学的または生物学的であってよい。用語「生物学的」または「生物学的薬剤」は、生体および/またはそれらの生成物から作製される、治療薬としての使用を目的にした任意の薬学的に活性な薬剤を指す。
【0154】
本開示のレンチウイルスベクターと組み合わせて使用される薬剤の量は、対象によって異なることができるか、または当技術分野で公知であるものによって投与することができる。例えば、GOODMAN & GILMAN’S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS 1233~1287頁の、Bruce A Chabnerら、Antineoplastic Agents(Joel G.Hardmanら編、第9版1996年)を参照。別の実施形態では、医療標準と一貫したそのような薬剤の量が、投与される。
【0155】
ある特定の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、免疫抑制薬、抗アレルギーまたは抗炎症剤と一緒に投与される。これらの薬剤は、本明細書において処置される対象の免疫系を抑制するかまたは覆い隠す作用をする物質を一般に指す。これらの薬剤には、サイトカイン生成を抑制するか、自己抗原発現を下方制御もしくは抑制するか、またはMHC抗原を覆い隠す物質が含まれる。そのような薬剤の例には、2-アミノ-6-アリール-5置換ピリミジン;アザチオプリン;シクロホスファミド;ブロモクリプチン;ダナゾール;ダプソン;グルタルアルデヒド;MHC抗原およびMHC断片のための抗イディオタイプ抗体;シクロスポリンA;糖質副腎皮質ステロイドなどのステロイド、例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロンおよびデキサメタゾン;抗インターフェロン-γ、-βまたは-α抗体、抗腫瘍壊死因子-α抗体、抗腫瘍壊死因子-β抗体、抗インターロイキン-2抗体および抗IL-2受容体抗体を含むサイトカインまたはサイトカイン受容体アンタゴニスト;抗CD11aおよび抗CD18抗体を含む抗LFA-1抗体;抗L3T4抗体;異種の抗リンパ球グロブリン;pan-T抗体;LFA-3結合性ドメインを含有する可溶性ペプチド;ストレプトキナーゼ;TGF-β;ストレプトドルナーゼ;FK506;RS-61443;デオキシスペルグアリン;およびラパマイシンが含まれる。ある特定の実施形態では、薬剤は、抗ヒスタミン剤である。本明細書で使用される「抗ヒスタミン剤」は、ヒスタミンの生理作用と拮抗する薬剤である。抗ヒスタミン剤の例は、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、プロメタジン、クロモリンナトリウム、アステミゾール、マレイン酸アザタジン、マレイン酸ブロフェニラミン、マレイン酸カルビノキサミン、塩酸セチリジン、フマル酸クレマスチン、塩酸シプロヘプタジン、d-マレイン酸ブロムフェニラミン、d-マレイン酸クロルフェニラミン、ジメンヒドリネート、塩酸ジフェンヒドラミン、コハク酸ドキシラミン、塩酸フェキソフェンダジン、塩酸テルフェナジン、塩酸ヒドロキシジン、ロラチジン、塩酸メクリジン、クエン酸トリペラナミン、塩酸トリペレナミンおよび塩酸トリプロリジンである。
【0156】
免疫抑制、抗アレルギーまたは抗炎症性の薬剤を、レンチウイルスベクター投与レジメンに組み込むことができる。例えば、免疫抑制または抗炎症性の薬剤の投与は、開示されるレンチウイルスベクターの投与の前に開始することができ、その後単回またはそれ以上の回数の投与を続けることができる。ある特定の実施形態では、免疫抑制または抗炎症性の薬剤は、レンチウイルスベクターの前投薬として投与される。
【0157】
以前に議論したように、本開示のレンチウイルスベクターは、凝固障害のin viv
o処置のための薬学的に有効な量で投与することができる。この点に関しては、本開示のレンチウイルスベクターは、投与を促進し、活性剤の安定性を促進するために製剤化することができることが理解される。好ましくは、本開示による医薬組成物は、生理的食塩水、無毒の緩衝液、保存剤などの薬学的に許容される、無毒の無菌の担体を含む。当然ながら、本開示の医薬組成物は、ポリペプチドの薬学的に有効な量を提供するために、単一のまたは複数の用量で投与することができる。
【0158】
凝固系の機能を調査するために、いくつかの試験が利用可能である:活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)試験、発色アッセイ、ROTEM(登録商標)アッセイ、プロトロンビン時間(PT)試験(INRを判定するためにも使用される)、フィブリノーゲン試験(しばしばクラウス方法による)、血小板数、血小板機能試験(しばしばPFA-100による)、TCT、出血時間、混合試験(患者の血漿を正常な血漿と混合した場合に異常が修正されるかどうか)、凝固因子アッセイ、抗リン脂質抗体、D-二量体、遺伝子検査(例えば、V因子ライデン、プロトロンビン突然変異G20210A)、希釈ラッセルクサリヘビ蛇毒時間(dRVVT)、その他の血小板機能試験、トロンボエラストグラフィ(TEGまたはSonoclot)、トロンボエラストメトリー(TEM(登録商標)、例えば、ROTEM(登録商標))、またはオイグロブリン溶解時間(ELT)。
【0159】
aPTT試験は、「内因性」(接触活性化経路とも呼ばれる)および一般的な凝固経路の効能を測定する性能指示器である。この試験は、市販されている組換え凝固因子、例えば、FVIIIまたはFIXの凝固活性を測定するために一般的に使用される。それは、外因性の経路を測定するプロトロンビン時間(PT)と一緒に使用される。
【0160】
ROTEM(登録商標)分析は、止血の完全なカイネティクス:凝固時間、クロット形成、クロットの安定性および溶解に関する情報を提供する。トロンボエラストメトリーにおける異なるパラメータは、血漿凝固系の活性、血小板機能、線溶またはこれらの相互作用に影響する多くの因子に依存する。このアッセイは、二次性の止血の完全な像を提供することができる。
【0161】
III.レンチウイルスベクター
レンチウイルスには、ウシレンチウイルス群、ウマレンチウイルス群、ネコレンチウイルス群、ヒツジヤギレンチウイルス群および霊長類レンチウイルス群のメンバーが含まれる。遺伝子療法のためのレンチウイルスベクターの開発は、Klimatchevaら(1999)Frontiers in Bioscience 4:481~496頁にレビューされている。遺伝子療法のために好適なレンチウイルスベクターの設計および使用は、例えば、米国特許第6,207,455号および第6,615,782号に記載されている。レンチウイルスの例には、限定されずに、HIV-1、HIV-2、HIV-1/HIV-2偽型、HIV-1/SIV、FIV、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルスおよびウシ免疫不全ウイルスが含まれる。
【0162】
本開示のレンチウイルスベクターの概略図は、図19に提示される。一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、「第三世代」レンチウイルスベクターである。本明細書で使用されるように、用語「第三世代」レンチウイルスベクターは、第二世代ベクターシステムの特徴を有し、機能的tat遺伝子をさらに欠いているレンチウイルスパッケージングシステム、例えばtat遺伝子が欠失しているかまたは不活性化されているものを指す。一般的に、revをコードする遺伝子は、別個の発現構築物の上で提供される。例えば、Dullら(1998)J.Virol.72:8463~8471頁を参照。本明細書で使用されるように、「第二世代」レンチウイルスベクターシステムは、機能的アクセサリー遺伝子を欠いているレンチウイルスパッケージングシステム、例えば、
アクセサリー遺伝子vif、vpr、vpuおよびnefが欠失しているかまたは不活性化されているものを指す。例えば、Zuffereyら(1997)Nat.Biotechnol.15:871~875頁を参照。本明細書で使用されるように、「パッケージングシステム」は、組換えウイルスのパッケージングに関与するウイルスタンパク質をコードする遺伝子を含むウイルス構築物のセットを指す。一般的に、パッケージングシステムの構築物は、パッケージング細胞に最終的に組み込まれる。
【0163】
一部の実施形態では、本開示の第三世代レンチウイルスベクターは、自己不活性化レンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、VSV.G偽型レンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、導入遺伝子発現のための肝細胞特異的プロモーターを含む。一部の実施形態では、肝細胞特異的プロモーターは、強化されたトランスチレチンプロモーターである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、導入遺伝子生成物への免疫応答を低減するために、miR-142のための1つまたはそれ以上の標的配列を含む。一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターの中へmiR-142のための1つまたはそれ以上の標的配列を組み込むことは、所望の導入遺伝子発現プロファイルを可能にする。例えば、miR-142のための1つまたはそれ以上の標的配列を組み込むことは、血管内および血管外の造血系における導入遺伝子発現を抑制することができるが、導入遺伝子発現は非造血細胞において維持される。本開示のレンチウイルスベクターシステムで処置した腫瘍傾向のあるマウスでは、いかなる発がんも検出されていない。Brownら(2007)Blood 110:4144~52頁、Brownら(2006)Nat.Ned.12:585~91頁およびCantoreら(2015)Sci.Transl.Med.7(277):277ra28を参照。
【0164】
本開示のレンチウイルスベクターは、本明細書に記載されるBDD FVIIIタンパク質をコードするコドン最適化ポリヌクレオチドを含む。一実施形態では、BDD FVIIIタンパク質のための最適化されたコード配列は、発現制御配列に作動可能に連結される。本明細書で使用されるように、2つの核酸配列は、それらが、各構成成分核酸配列がその機能を保持することを可能にするような方法で共有結合するとき、作動可能に連結される。コード配列および遺伝子発現制御配列は、それらが、コード配列の発現または転写および/または翻訳を遺伝子発現制御配列の影響下または制御下に置くような方法で共有結合するとき、作動可能に連結すると言われる。2つのDNA配列は、5’遺伝子発現配列におけるプロモーターの誘導がコード配列の転写をもたらす場合、および2つのDNA配列間の連結の性質が、(1)フレームシフト突然変異の導入をもたらさないか、(2)コード配列の転写を誘導するプロモーター領域の能力に干渉しないか、または(3)対応するRNA転写物をタンパク質に翻訳する能力に干渉しない場合、作動可能に連結すると言われる。したがって、遺伝子発現配列は、結果として生じる転写物が所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳されるように、遺伝子発現配列がそのコード核酸配列の転写を実行することが可能ならば、コード核酸配列に作動可能に連結されているだろう。
【0165】
ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、非分裂細胞に感染することが可能な組換えレンチウイルスのベクターである。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、肝臓細胞(例えば、肝細胞)に感染することが可能な組換えレンチウイルスのベクターである。レンチウイルスゲノムおよびプロウイルスDNAは、レトロウイルスで見出される3つの遺伝子:gag、polおよびenvを一般的に有し、これらには2つの長い末端反復配列(LTR)配列が隣接する。gag遺伝子は、内部構造的な(マトリックス、カプシドおよびヌクレオカプシド)タンパク質をコードし;pol遺伝子は、RNA誘導DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)、プロテアーゼおよびインテグラーゼをコードし;env遺伝子は、ウイルスのエンベロープ糖タンパク質をコードする。5’および3’LTRは、ビリオンRNAの転写およびポリアデニル化を促進する役目をする。L
TRは、ウイルス複製のために必要な全ての他のシス作用性配列を含有する。レンチウイルスは、vif、vpr、tat、rev、vpu、nefおよびvpx(HIV-1、HIV-2および/またはSIVにおける)を含む追加の遺伝子を有する。
【0166】
ゲノムの逆転写(tRNAプライマー結合性部位)および粒子へのウイルスRNAの効率的なキャプシド形成(Psi部位)のために必要な配列は、5’LTRに隣接している。キャプシド形成(または、感染性ビリオンへのレトロウイルスRNAのパッケージング)のために必要な配列がウイルスゲノムから欠落している場合、シス欠陥はゲノムRNAのキャプシド形成を阻止する。
【0167】
しかし、結果として生じる突然変異体は、全てのビリオンタンパク質の合成を誘導することが可能なままである。本開示は、非分裂細胞に感染することが可能な組換えレンチウイルスを生成する方法であって、パッケージング機能、すなわち、gag、polおよびenv、ならびにrevおよびtatを有する2つまたはそれ以上のベクターを好適な宿主細胞にトランスフェクトすることを含む方法を提供する。本明細書で下に開示されるように、ある特定の適用のために機能的tat遺伝子を欠くベクターが望ましい。したがって、例えば、第1のベクターは、ウイルスのgagおよびウイルスのpolをコードする核酸を提供することができ、別のベクターは、ウイルスのenvをコードする核酸を提供してパッケージング細胞を生成することができる。本明細書でトランスファーベクターと特定される異種遺伝子をそのパッケージング細胞に提供するベクターを導入することは、目的の外来遺伝子を有する感染性ウイルス粒子を放出する産生細胞を与える。
【0168】
ベクターおよび外来遺伝子の上記の構成により、第2のベクターは、ウイルスエンベロープ(env)遺伝子をコードする核酸を提供することができる。env遺伝子は、レトロウイルスを含むほとんどいかなる好適なウイルスから導くことができる。一部の実施形態では、envタンパク質は、ヒトおよび他の種の細胞の形質導入を可能にする広宿主性エンベロープタンパク質である。
【0169】
レトロウイルス由来のenv遺伝子の例には、以下のものが限定されずに含まれる:モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLVまたはMMLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSVまたはHSV)、マウス乳がんウイルス(MuMTVまたはMMTV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLVまたはGALV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)。他のenv遺伝子、例えば、水疱性口内炎ウイルス(VSV)プロテインG(VSV G)、肝炎ウイルスおよびインフルエンザのそれも使用することができる。一部の実施形態では、ウイルスのenv核酸配列は、本明細書の他の場所に記載される調節配列と作動可能に会合する。
【0170】
ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、非分裂細胞に形質導入するベクターの能力を損なうことなしに、HIV病原性遺伝子env、vif、vpr、vpuおよびnefが欠失している。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、3’LTRのU3領域の欠失を含む。U3領域の欠失は、完全な欠失または部分的欠失であってもよい。
【0171】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるFVIIIヌクレオチド配列を含む本開示のレンチウイルスベクターは、細胞の中で、(a)gag、pol、またはgagおよびpol遺伝子を含む第1のヌクレオチド配列、ならびに(b)異種env遺伝子を含む第2のヌクレオチド配列;にトランスフェクトすることができ、ここで、レンチウイルスベクターは機能的tat遺伝子を欠いている。他の実施形態では、細胞は、rev遺伝子を含む第4のヌクレオチド配列でさらにトランスフェクトされる。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、vif、vpr、vpu、vpxおよびnef、またはそ
の組合せから選択される機能的遺伝子を欠いている。
【0172】
ある特定の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、gagタンパク質、Rev応答エレメント、中心ポリプリントラクト(cPPT)またはその任意の組合せをコードする1つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を含む。
【0173】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターまたはコードされるFVIIIポリペプチドの標的化および/または活性を向上させる1つまたはそれ以上のポリペプチドをその表面に発現する。1つまたはそれ以上のポリペプチドは、レンチウイルスベクターがコードすることができるか、または宿主細胞からのレンチウイルスベクターの出芽の間に組み入れることができる。レンチウイルスの生成の間、ウイルス粒子は産生宿主細胞から出芽する。出芽の過程で、ウイルス粒子は脂質コートを身につけ、それは宿主細胞の脂質膜に由来する。その結果、ウイルス粒子の脂質コートは、宿主細胞の表面に前から存在していた膜結合ポリペプチドを含むことができる。
【0174】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、ヒト対象への投与の後にレンチウイルスベクターへの免疫応答を抑制する1つまたはそれ以上のポリペプチドをその表面に発現する。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの表面は、1つまたはそれ以上のCD47分子を含む。CD47は「自己のマーカー」タンパク質であり、それはヒト細胞の上で遍在的に発現される。CD47の表面発現は、CD47およびマクロファージによって発現されるSIRPαの相互作用を通して、内在性細胞のマクロファージ誘導食作用を抑制する。高レベルのCD47を発現する細胞は、in vivoでヒトマクロファージの標的にされ、破壊される可能性は低い。
【0175】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、その表面に高濃度のCD47ポリペプチド分子を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47の高い発現レベルを有する細胞系において生成される。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47high細胞で生成され、ここで、細胞は細胞膜の上にCD47の高い発現を有する。特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47high
HEK 293T細胞で生成され、ここで、HEK 293Tは細胞膜の上にCD47の高い発現を有する。一部の実施形態では、HEK 293T細胞は、未改変のHEK 293T細胞と比較してCD47の増加した発現を有するように改変される。ある特定の実施形態では、CD47は、ヒトCD47である。
【0176】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、主要組織適合性複合体クラスI(MHC-I)の表面発現をほとんど有しないか有しない。表面に発現されるMHC-Iは、感染を示すタンパク質断片などの、細胞内からの「非自己」タンパク質のペプチド断片を提示し、細胞に対する免疫応答を促進する。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、MHC-Ilow細胞で生成され、ここで、細胞は細胞膜の上にMHC-Iの低減された発現を有する。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、MHC-I(または、「MHC-Ifree」、「MHC-1neg」または「MHC陰性」)細胞において生成され、ここで、細胞はMHC-Iの発現を欠いている。
【0177】
特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、高濃度のCD47ポリペプチドを含み、MHC-Iポリペプチドを欠いている脂質コートを含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47high/MHC-Ilow細胞系、例えば、CD47high/MHC-Ilow HEK 293T細胞系において生成される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47high/MHC-Ifree細胞系、例えば、CD47high/MHC-Ifree HEK 293T細胞系において生成される。
【0178】
レンチウイルスベクターの例は、米国特許第9,050,269号、ならびに国際公開第9931251号、国際公開第9712622号、国際公開第9817815号、国際公開第9817816号および国際公開第9818934号に開示され、それらは参照により完全に本明細書に組み入れる。
【0179】
一部の実施形態では、本開示は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターを提供し;ここで、第1の核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド58~1791;または(ii)配列番号4のヌクレオチド58~1791に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有する。
【0180】
一部の実施形態では、核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第2の核酸配列は、(i)配列番号5のヌクレオチド1792~4374;(ii)配列番号6のヌクレオチド1792~4374;(iii)配列番号5のヌクレオチド1792~2277および2320~4374;または(iv)配列番号6のヌクレオチド1792~2277および2320~4374に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有する。
【0181】
一部の実施形態では、本開示は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターを提供し、ここで、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号1のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み、プロモーター、標的配列、または両方に作動可能に連結される。他の実施形態では、核酸配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号1のヌクレオチド58~2277および2320~4374を含む。
【0182】
一部の実施形態では、本開示は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターを提供し、ここで、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号2のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号2のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み、プロモーター、標的配列、または両方に作動可能に連結される。他の実施形態では、核酸配列は、(i)配列番号2のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号2のヌクレオチド58~2277および2320~4374を含む。
【0183】
一部の実施形態では、本開示は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターを提供し、ここで、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号70のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号70のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含み、プロモーター、標的配列、または両方に作動可能に連結される。他の実施形態では、核酸配列は、(i)配列番号70のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号70のヌクレオチド58~2277および2320~4374を含む。
【0184】
一部の実施形態では、本開示は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターを提供し、ここで、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号71のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号71のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含み、プロモーター、標的配列、または両方に作動可能に連結される。他の実施形態では、核酸配列は、(i)配列番号71のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号71のヌクレオチド58~2277および2320~4374を含む。
【0185】
一部の実施形態では、本開示は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターを提供し、ここで、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号3のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み、プロモーター、標的配列、または両方に作動可能に連結される。他の実施形態では、核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号3のヌクレオチド58~2277および2320~4374を含む。
【0186】
一部の実施形態では、本開示は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターを提供し、ここで、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号4のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号4のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み、プロモーター、標的配列、または両方に作動可能に連結される。他の実施形態では、核酸配列は、(i)配列番号4のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号4のヌクレオチド58~2277および2320~4374を含む。
【0187】
一部の実施形態では、本開示は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターを提供し、ここで、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号5のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号5のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくと
も約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み、プロモーター、標的配列、または両方に作動可能に連結される。他の実施形態では、核酸配列は、(i)配列番号5のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号5のヌクレオチド58~2277および2320~4374を含む。
【0188】
一部の実施形態では、本開示は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターを提供し、ここで、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号6のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号6のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み、プロモーター、標的配列、または両方に作動可能に連結される。他の実施形態では、核酸配列は、(i)配列番号6のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号6のヌクレオチド58~2277および2320~4374を含む。
【0189】
本開示のレンチウイルスベクターは、5×1010TU/kg以下、10TU/kg以下、または10TU/kg以下の用量で投与される場合、治療的に有効である。そのような投薬量では、本開示のレンチウイルスベクターの投与は、それを必要とする対象において、対象における基礎レベルに関して、配列番号16を含む参照核酸分子を投与した対象におけるレベルと比較して、参照核酸分子を含む参照ウイルスベクターを投与した対象におけるレベルと比較して、または参照核酸分子によってコードされるポリペプチドの投与の後の対象におけるレベルと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約55倍、少なくとも約60倍、少なくとも約65倍、少なくとも約70倍、少なくとも約75倍、少なくとも約80倍、少なくとも約85倍、少なくとも約90倍、少なくとも約95倍、少なくとも約100倍、少なくとも約110倍、少なくとも約120倍、少なくとも約130倍、少なくとも約140倍、少なくとも約150倍、少なくとも約160倍、少なくとも約170倍、少なくとも約180倍、少なくとも約190倍、または少なくとも約200倍の、血漿FVIII活性の増加をもたらすことができる。
【0190】
IV.組織特異的発現
ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターの中に、例えば最適化FVIII導入遺伝子に作動可能に連結される、1つまたはそれ以上のmiRNA標的配列を含ませることが有益である。したがって、本開示は、最適化FVIIIヌクレオチド配列に作動可能に連結されるか、さもなければレンチウイルスベクターの中に挿入される、少なくとも1つのmiRNA配列標的も提供する。レンチウイルスベクターに含まれるmiRNA標的配列の1つより多いコピーは、システムの効果を増加させることができる。
【0191】
異なるmiRNA標的配列も、含まれる。例えば、1つより多い導入遺伝子を発現するレンチウイルスベクターは、同じであっても異なってもよい、1つより多いmiRNA標的配列の制御下の導入遺伝子を有することができる。miRNA標的配列は縦に並んでもよいが、他の配置も含まれる。miRNA標的配列を含有する導入遺伝子発現カセットは、アンチセンス配向でレンチウイルスベクターの中に挿入することもできる。アンチセンス配向は、さもなければ産生細胞に毒性であるかもしれない遺伝子生成物の発現を回避す
るための、ウイルス粒子の生成において役立つことができる。
【0192】
他の実施形態では、レンチウイルスベクターは、同じかまたは異なるmiRNA標的配列の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つのコピーを含む。しかし、ある特定の他の実施形態では、レンチウイルスベクターは、いかなるmiRNA標的配列も含まない。miRNA標的配列を含ませるかどうか(および、その数)の選択は、意図される組織標的、要求される発現レベル等などの公知のパラメータによって導かれる。
【0193】
一実施形態では、標的配列は、骨髄関連の前駆体において最も効果的に、およびより初期のHSPCにおいて少なくとも部分的に発現をブロックすることが報告されている、miR-223標的である。miR-223標的は、顆粒球、単球、マクロファージ、骨髄樹状細胞を含む分化した骨髄細胞における発現をブロックすることができる。miR-223標的は、リンパまたは赤血球系統における頑強な導入遺伝子発現に依存する遺伝子療法適用に好適である可能性もある。miR-223標的は、ヒトHSCにおいて非常に効果的に発現をブロックすることもできる。
【0194】
別の実施形態では、標的配列は、miR142標的(tccataaagt aggaaacact aca(配列番号43))である。一実施形態では、レンチウイルスベクターは、4コピーのmiR-142標的配列を含む。ある特定の実施形態では、造血特異的マイクロRNAの相補配列、例えばmiR-142(142T)は、レンチウイルスベクターの3’非翻訳領域に組み入れられ、導入遺伝子コード転写物をmiRNA媒介下方制御に対して感受性にする。この方法により、造血系統抗原提示細胞(APC)において導入遺伝子発現を阻止することができ、一方、非造血細胞では維持される(Brownら、Nat Med 2006年)。この戦略は、ストリンジェントな転写後調節を導入遺伝子発現に課すことができ、したがって、導入遺伝子の安定した送達および長期発現を可能にする。一部の実施形態では、miR-142調節は、形質導入された細胞の免疫介在性の除去を阻止し、および/または抗原特異的調節T細胞(Tregs)を誘導し、および導入遺伝子によってコードされる抗原への頑強な免疫寛容を媒介する。
【0195】
一部の実施形態では、標的配列は、miR181標的である。Chen C-ZおよびLodish H、Seminars in Immunology(2005)17(2):155~165頁は、miR-181、マウス骨髄の中のB細胞において特異的に発現されるmiRNAを開示する(ChenおよびLodish、2005年)。それは、一部のヒトmiRNAが白血病に関連付けられていることも開示する。
【0196】
標的配列は、miRNAに完全または部分的に相補的であってもよい。用語「完全に相補的」は、標的配列が、それを認識するmiRNAの配列に100%相補的である核酸配列を有することを意味する。用語「部分的に相補的」は、標的配列が、それを認識するmiRNAの配列に一部だけ相補的であり、それによって、部分的に相補的な配列はmiRNAによってなお認識されることを意味する。言い換えると、本開示との関連で、部分的に相補的な標的配列は、対応するmiRNAを認識すること、およびそのmiRNAを発現する細胞における導入遺伝子発現の阻止または低減を達成することにおいて有効である。miRNA標的配列の例は、WO2007/000668、WO2004/094642、WO2010/055413またはWO2010/125471に記載され、これらは参照により完全に本明細書に組み入れる。
【0197】
V.FVIIIタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列
本開示は、レンチウイルス遺伝子療法に関し、ここで、レンチウイルスベクターは、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(核酸)配列を含むコドン最適化核酸分子を含む。一部の実施形態では、コドン最適化核酸分子は、完全長FV
IIIポリペプチドをコードする。他の実施形態では、コドン最適化核酸分子は、Bドメイン欠失(BDD)FVIIIポリペプチドをコードし、ここで、FVIIIのBドメインの全部または一部が欠失している。
【0198】
特定の一実施形態では、核酸分子は、配列番号17(図1)またはその断片に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。一実施形態では、核酸分子は、配列番号17またはその断片のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。
【0199】
一部の実施形態では、核酸分子は、シグナルペプチドまたはその断片を含むFVIIIポリペプチドをコードする。他の実施形態では、核酸分子は、シグナルペプチドを欠くFVIIIポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号17のアミノ酸1~19を含む。
【0200】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第1の核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド58~1791または(ii)配列番号4のヌクレオチド58~1791に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有する。
【0201】
特定の一実施形態では、第1の核酸配列は、配列番号3のヌクレオチド58~1791に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。別の実施形態では、第1の核酸配列は、配列番号4のヌクレオチド58~1791に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。他の実施形態では、第1のヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド58~1791または配列番号4のヌクレオチド58~1791を含む。
【0202】
他の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第1の核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド1~1791または(ii)配列番号4のヌクレオチド1~1791に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有する。
【0203】
一実施形態では、第1のヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド1~1791または配列番号4のヌクレオチド1~1791を含む。別の実施形態では、第2のヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド1792~4374または配列番号4のヌクレオチド1792~4374に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。特定の一実施形態では、第2のヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド1792~4374または配列番号4のヌクレオチド1792~4374を含む。
【0204】
さらに別の実施形態では、第2のヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド1792~2277および2320~4374または配列番号4のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号3のヌクレオチド1792~4374または配列番号4のヌクレオチド1792~4374)に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0205】
特定の一実施形態では、第2のヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド1792~2277および2320~4374または配列番号4のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号3のヌクレオチド1792~4374または配列番号4のヌクレオチド1792~4374)を含む。
【0206】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第2の核酸配列は、(i)配列番号5のヌクレオチド1792~4374または(ii)配列番号6のヌクレオチド1792~4374に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有する。
【0207】
ある特定の実施形態では、第2の核酸配列は、配列番号5のヌクレオチド1792~4374に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。他の実施形態では、第2の核酸配列は、配列番号6のヌクレオチド1792~4374に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0208】
特定の一実施形態では、第2の核酸配列は、配列番号5のヌクレオチド1792~4374または配列番号6のヌクレオチド1792~4374を含む。一部の実施形態では、上記の第2の核酸配列に連結される第1の核酸配列は、配列番号5のヌクレオチド58~1791または配列番号6のヌクレオチド58~1791に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0209】
他の実施形態では、上記の第2の核酸配列に連結される第1の核酸配列は、配列番号5のヌクレオチド1~1791または配列番号6のヌクレオチド1~1791に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0210】
他の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第2の核酸配列は、(i)配列番号5のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号5のヌクレオチド1792~4374)または(ii)配列番号6のヌクレオチド1792~2277および2
320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号6のヌクレオチド1792~4374)に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有する。
【0211】
ある特定の実施形態では、第2の核酸配列は、配列番号5のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号5のヌクレオチド1792~4374)に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。他の実施形態では、第2の核酸配列は、配列番号6のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号6のヌクレオチド1792~4374)に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0212】
特定の一実施形態では、第2の核酸配列は、配列番号5のヌクレオチド1792~2277および2320~4374または配列番号6のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号5のヌクレオチド1792~4374または配列番号6のヌクレオチド1792~4374)を含む。一部の実施形態では、上記の第2の核酸配列に連結される第1の核酸配列は、配列番号5のヌクレオチド58~1791または配列番号6のヌクレオチド58~1791に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0213】
他の実施形態では、上記の第2の核酸配列に連結される第1の核酸配列は、配列番号5のヌクレオチド1~1791または配列番号6のヌクレオチド1~1791に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0214】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第1の核酸配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド58~1791、(ii)配列番号2のヌクレオチド58~1791、(iii)配列番号70のヌクレオチド58~1791、または(iv)配列番号71のヌクレオチド58~1791に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有する。他の実施形態では、第1のヌクレオチド配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド58~1791、(ii)配列番号2のヌクレオチド58~1791、(iii)配列番号70のヌクレオチド58~1791、または(iv)配列番号71のヌクレオチド58~1791を含む。
【0215】
他の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第1の核酸配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド1~1791、(ii)配列番号2のヌクレオチド1~1791、(i
ii)配列番号70のヌクレオチド1~1791、または(iv)配列番号71のヌクレオチド1~1791に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有する。
【0216】
一実施形態では、第1のヌクレオチド配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド1~1791、(ii)配列番号2のヌクレオチド1~1791、(iii)配列番号70のヌクレオチド1~1791、または(iv)配列番号71のヌクレオチド1~1791を含む。別の実施形態では、第1のヌクレオチド配列に連結される第2のヌクレオチド配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド1792~4374、(ii)配列番号2のヌクレオチド1792~4374、(iii)配列番号70のヌクレオチド1792~4374、または(iv)配列番号71のヌクレオチド1792~4374に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0217】
特定の一実施形態では、第1のヌクレオチド配列に連結した第2のヌクレオチド配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド1792~4374、(ii)配列番号2のヌクレオチド1792~4374、(iii)配列番号70のヌクレオチド1792~4374、または(iv)配列番号71のヌクレオチド1792~4374を含む。他の実施形態では、第1のヌクレオチド配列に連結される第2のヌクレオチド配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド1792~2277および2320~4374、(ii)配列番号2のヌクレオチド1792~2277および2320~4374、(iii)配列番号70のヌクレオチド1792~2277および2320~4374、または(iv)配列番号71のヌクレオチド1792~2277および2320~4374に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。一実施形態では、第2のヌクレオチド配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド1792~2277および2320~4374、(ii)配列番号2のヌクレオチド1792~2277および2320~4374、(iii)配列番号70のヌクレオチド1792~2277および2320~4374、または(iv)配列番号71のヌクレオチド1792~2277および2320~4374を含む。
【0218】
別の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第2の核酸配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド1792~4374、(ii)配列番号2のヌクレオチド1792~4374、(iii)配列番号70のヌクレオチド1792~4374、または(iv)配列番号71のヌクレオチド1792~4374とに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有する。
【0219】
特定の一実施形態では、第2の核酸配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド1792~4374、(ii)配列番号2のヌクレオチド1792~4374、(iii)配列番号70のヌクレオチド1792~4374、または(iv)配列番号71のヌクレオチド1792~4374を含む。一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第2の核酸配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド1792~2277および2320~43
74、(ii)配列番号2のヌクレオチド1792~2277および2320~4374、(iii)配列番号70のヌクレオチド1792~2277および2320~4374、または(iv)配列番号71のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号1のヌクレオチド1792~4374、配列番号2のヌクレオチド1792~4374、配列番号70のヌクレオチド1792~4374、または配列番号71のヌクレオチド1792~4374)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有する。
【0220】
一実施形態では、第2の核酸配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド1792~2277および2320~4374、(ii)配列番号2のヌクレオチド1792~2277および2320~4374、(iii)配列番号70のヌクレオチド1792~2277および2320~4374、または(iv)配列番号71のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号1のヌクレオチド1792~4374、配列番号2のヌクレオチド1792~4374、配列番号70のヌクレオチド1792~4374、または配列番号71のヌクレオチド1792~4374)を含む。
【0221】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、ヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド58~4374に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0222】
他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号1のヌクレオチド58~4374)に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0223】
他の実施形態では、核酸配列は、配列番号1に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号1のヌクレオチド58~4374)または配列番号1のヌクレオチド58~4374を含む。さらに他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド1~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号1のヌクレオチド1~4374)または配列番号1のヌクレオチド1~4374を含む。
【0224】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、ヌクレオチド配列は、配列番号2のヌクレオチド58~4374に対して少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも94%、少なくとも95%、少
なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0225】
他の実施形態では、核酸配列は、配列番号2に対して少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号2のヌクレオチド58~4374)または配列番号2のヌクレオチド58~4374を含む。さらに他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2のヌクレオチド1~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号2のヌクレオチド1~4374)または配列番号2のヌクレオチド1~4374を含む。
【0226】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、ヌクレオチド配列は、配列番号70のヌクレオチド58~4374に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0227】
他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号70のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号70のヌクレオチド58~4374)と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0228】
他の実施形態では、核酸配列は、配列番号70に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0229】
他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号70のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号70のヌクレオチド58~4374)または配列番号70のヌクレオチド58~4374を含む。さらに他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号70のヌクレオチド1~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号70のヌクレオチド1~4374)または配列番号70のヌクレオチド1~4374を含む。
【0230】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、ヌクレオチド配列は、配列番号71のヌクレオチド58~4374に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0231】
他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号71のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号71のヌクレオチド58~4374)に対して少なくとも8
5%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。他の実施形態では、核酸配列は、配列番号71に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0232】
他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号71のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号71のヌクレオチド58~4374)または配列番号71のヌクレオチド58~4374を含む。さらに他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号71のヌクレオチド1~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号71のヌクレオチド1~4374)または配列番号71のヌクレオチド1~4374を含む。
【0233】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、ヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド58~4374に対して少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号3のヌクレオチド58~4374)に対して少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0234】
ある特定の実施形態では、核酸配列は、配列番号3に対して少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号3のヌクレオチド58~4374)または配列番号3のヌクレオチド58~4374を含む。さらに他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号3のヌクレオチド1~4374)または配列番号3のヌクレオチド1~4374を含む。
【0235】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、ヌクレオチド配列は、配列番号4のヌクレオチド58~4374に対して少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0236】
他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号4のヌクレオチド58~4374)に対して少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0237】
他の実施形態では、核酸配列は、配列番号4に対して少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号4のヌクレオチド58~4374)または配列番号4のヌクレオチド58~4374を含む。さらに他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4のヌクレオチド1~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号4のヌクレオチド1~4374)または配列番号4のヌクレオチド1~4374を含む。
【0238】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、ヌクレオチド配列は、配列番号5のヌクレオチド58~4374に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0239】
他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号5のヌクレオチド58~4374)に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0240】
ある特定の実施形態では、核酸配列は、配列番号5に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号5のヌクレオチド58~4374)または配列番号5のヌクレオチド58~4374を含む。
【0241】
さらに他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5のヌクレオチド1~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号5のヌクレオチド1~4374)または配列番号5のヌクレオチド1~4374を含む。
【0242】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、ヌクレオチド配列は、配列番号6のヌクレオチド58~4374に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0243】
他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号6のヌクレオチド58~4374)に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なく
とも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0244】
ある特定の実施形態では、核酸配列は、配列番号6に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0245】
一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号6のヌクレオチド58~4374)または配列番号6のヌクレオチド58~4374を含む。
【0246】
さらに他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6のヌクレオチド1~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号6のヌクレオチド1~4374)または配列番号6のヌクレオチド1~4374を含む。
【0247】
一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、シグナルペプチドをコードする核酸配列を含む。ある特定の実施形態では、シグナルペプチドは、FVIIIシグナルペプチドである。一部の実施形態では、シグナルペプチドをコードする核酸配列は、コドン最適化される。
【0248】
特定の一実施形態では、シグナルペプチドをコードする核酸配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド1~57;(ii)配列番号2のヌクレオチド1~57;(iii)配列番号3のヌクレオチド1~57;(iv)配列番号4のヌクレオチド1~57;(v)配列番号5のヌクレオチド1~57;(vi)配列番号6のヌクレオチド1~57;(vii)配列番号70のヌクレオチド1~57;(viii)配列番号71のヌクレオチド1~57;または(ix)配列番号68のヌクレオチド1~57に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有する。
【0249】
配列番号1~6、70および71は、出発または「親」または「野生型」のFVIIIヌクレオチド配列である、配列番号16の最適化されたバージョンである。配列番号16は、Bドメイン欠失ヒトFVIIIをコードする。配列番号1~6、70および71は、FVIII(配列番号16)の特異的Bドメイン欠失形態に由来するが、本開示のレンチウイルス遺伝子療法は、FVIIIの他のバージョンをコードする核酸の最適化されたバージョンにも関することを理解すべきである。例えば、FVIIIの他のバージョンは、完全長FVIII、FVIIIの他のB-ドメイン欠失(下に記載される)、またはFVIII活性を保持するFVIIIの他の断片を含むことができる。
【0250】
特に明記しない限り、本明細書で使用される「FVIII活性を有するポリペプチド」は、凝固におけるその正常な役割にある機能的FVIIIポリペプチドを意味する。FVIII活性を有するポリペプチドという用語は、凝固経路における完全長野生型第VIII因子の機能を保持する、その機能的断片、変異体、類似体または誘導体を含む。
【0251】
「FVIII活性を有するポリペプチド」は、FVIIIタンパク質、FVIIIポリペプチドまたはFVIIIと互換的に使用される。FVIII機能の例には、限定されずに、凝固を活性化する能力、第IX因子の補因子として作用する能力、または、Ca2+
およびリン脂質の存在下で、第X因子を活性化形態Xaにその後変換する、第IX因子とのテナーゼ複合体を形成する能力が含まれる。
【0252】
一実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドは、2つのポリペプチド鎖を含み、第1の鎖はFVIII重鎖を有し、第2の鎖はFVIII軽鎖を有する。別の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドは、単鎖のFVIIIである。単鎖のFVIIIは、成熟FVIII配列に対応するアミノ酸残基1645および/または1648で1つまたはそれ以上の突然変異または置換を含有することができる。参照により本明細書に完全に組み入れる、国際出願PCT/US2012/045784を参照する。FVIIIタンパク質は、ヒト、ブタ、イヌ、ラット、またはマウスのFVIIIタンパク質であり得る。さらに、ヒト由来のFVIIIと他の種由来のFVIIIの間の比較によって、機能に必要とされる可能性の高い保存残基が特定された(Cameronら、Thromb. Haemost. 79:317~22(1998);US6,251,632)。
【0253】
FVIIIの「Bドメイン」は、本明細書で使用されるように、内部アミノ酸配列の同一性およびトロンビンによるタンパク質切断の部位により定義される、当技術分野で公知のBドメインと同一であり、例えば、全長ヒトFVIIIの残基Ser741~Arg1648である。他のヒトFVIIIドメインは、以下のアミノ酸残基により定義される:A1,残基Ala1~Arg372;A2,残基Ser373~Arg740;A3,残基Ser1690~Ile2032;C1,残基Arg2033~Asn2172;C2,残基Ser2173~Tyr2332。A3-C1-C2配列は、残基Ser1690~Tyr2332を含む。残りの配列、残基Glu1649~Arg1689は、通常、FVIII軽鎖活性化ペプチドと称される。また、ブタ、マウスおよびイヌのFVIIIに関するBドメインを含む、ドメインの全てに関する境界の位置も、当技術分野で公知である。BDD FVIIIの一例は、REFACTO(登録商標)組換えBDD FVIIIである(Wyeth Pharmaceuticals,Inc.)。
【0254】
「Bドメイン欠失FVIII」は、その各々は参照により本明細書に完全に組み入れる、米国特許第6,316,226号、6,346,513号、7,041,635号、5,789,203号、6,060,447号、5,595,886号、6,228,620号、5,972,885号、6,048,720号、5,543,502号、5,610,278号、5,171,844号、5,112,950号、4,868,112号および6,458,563号に開示される、完全または部分的欠失を有することができる。一部の実施形態では、本開示のBドメイン欠失FVIII配列は、米国特許第6,316,226号(また、米国特許第6,346,513号)の第4欄4行目から第5欄28行目および実施例1~5に開示される欠失のうちのいずれか1つを含む。
【0255】
一部の実施形態では、本開示のBドメイン欠失FVIIIは、米国特許第5,789,203号(また、米国特許第6,060,447号、同第5,595,886号、および同第6,228,620号)の第2欄、26~51行目および実施例5~8に開示される欠失を有する。一部の実施形態では、Bドメイン欠失FVIIIは、米国特許第5,972,885号の第1欄25行目~第2欄40行目;米国特許第6,048,720号の第6欄1~22行目および実施例1;米国特許第5,543,502号の第2欄17~46行目;米国特許第5,171,844号の第4欄22行目~第5欄36行目;米国特許第5,112,950号の第2欄55~68行目、図2、および実施例1;米国特許第4,868,112号の第2欄2行目から第19欄21行目および表2;米国特許第7,041,635号の第2欄1行目から第3欄19行目、第3欄40行目から第4欄67行目、第7欄43行目から第8欄26行目、および第11欄5行目から第13欄39行目;または米国特許第6,458,563号の第4欄25~53行目に記載の欠失を有する。
【0256】
一部の実施形態では、参照により本明細書に完全に組み入れる、国際公開第91/09122号に開示されるように、Bドメイン欠失FVIIIは大部分のBドメインの欠失を有するが、2つのポリペプチド鎖への一次翻訳産物のin vivoタンパク分解性プロセシングに必須である、Bドメインのアミノ末端配列をなお含有する。一部の実施形態では、Bドメイン欠失FVIIIは、アミノ酸747~1638の欠失、すなわち、Bドメインの事実上完全な欠失で構築される。参照により本明細書に完全に組み入れる、HoebenR.C.ら、J.Biol.Chem.265(13):7318~7323頁(1990)。Bドメイン欠失FVIIIは、FVIIIのアミノ酸771~1666またはアミノ酸868~1562の欠失を含有することもできる。参照により本明細書に完全に組み入れる、Meulien P.ら、Protein Eng.2(4):301~6頁(1988)。
【0257】
本開示の一部である追加のBドメイン欠失には、例えば、以下のものが含まれる:アミノ酸982~1562または760~1639(Tooleら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1986)83、5939~5942頁)、797~1562(Eatonら、Biochemistry(1986)25:8343~8347頁)、741~1646(Kaufman(国際公開第87/04187号))、747~1560(Sarverら、DNA(1987)6:553~564頁)、741~1648(Pasek(PCT出願第88/00831号))、816~1598または741~1689(Lagner(Behring Inst.Mitt.(1988)No 82:16~25頁、欧州特許第295597号)の欠失、これらの各々は参照により本明細書に完全に組み入れる。上述の欠失の各々は、任意のFVIII配列に加えることができる。
【0258】
B-ドメイン欠失を含むいくつかの機能的FVIII分子が、以下の特許、米国特許第6,316,226号および米国特許第6,346,513号、両方ともBaxterに帰属する;In2Genに帰属する米国特許第7,041,635号;Chironに帰属する米国特許第5,789,203号、米国特許第6,060,447号、米国特許第5,595,886号および米国特許第6,228,620号;Biovitrumに帰属する米国特許第5,972,885号および米国特許第6,048,720号、Novo Nordiskに帰属する米国特許第5,543,502号および米国特許第5,610,278号;Immuno Agに帰属する米国特許第5,171,844号;Transgene S.A.に帰属する米国特許第5,112,950号;Genetics Instituteに帰属する米国特許第4,868,112号に開示され、これらの各々は参照により本明細書に完全に組み入れる。
【0259】
A.コドン最適化
一実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含み、ここで、核酸配列はコドン最適化されている。別の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードし、コドン最適化に付される出発核酸配列は、配列番号16である。一部の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードする配列は、ヒト発現のためにコドン最適化される。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードする配列は、マウス発現のためにコドン最適化される。配列番号1~6、70および71は、ヒト発現のために最適化された、配列番号16のコドン最適化バージョンである。
【0260】
様々な宿主の形質転換のための核酸分子の遺伝子またはコード領域を指す場合の用語「コドン最適化」は、DNAによってコードされるポリペプチドを変更すること無しに宿主生物体の一般的なコドン使用頻度を反映するための、核酸分子の遺伝子またはコード領域
におけるコドンの変更を指す。そのような最適化は、少なくとも1つ、または1つを超える、またはかなりの数のコドンを、その生物体の遺伝子においてより頻繁に使用される1つまたはそれ以上のコドンによって置き換えることを含む。
【0261】
任意のポリペプチド鎖のアミノ酸をコードするコドンを含むヌクレオチド配列における逸脱は、遺伝子をコードする配列における変動を可能にする。各コドンは3つのヌクレオチドからなり、DNAを構成するヌクレオチドは4つの特異的塩基に制限されるので、ヌクレオチドの64個の可能な組合せがあり、そのうちの61個がアミノ酸をコードする(残りの3つのコドンは翻訳を終了するシグナルをコードする)。どのコドンがどのアミノ酸をコードするかについて示す「遺伝子コード」が、本明細書において表1として複製される。結果として、多くのアミノ酸が1つより多いコドンによって指定される。例えば、アミノ酸アラニンおよびプロリンは4つのトリプレットによって、セリンおよびアルギニンは6つによってコードされるが、トリプトファンおよびメチオニンはただ1つのトリプレットによってコードされる。この同義性は、DNA塩基組成が、DNAによってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を変更すること無しに広範囲にわたって変化することを可能にする。
【0262】
【表1】
【0263】
成長するペプチド鎖において特定のアミノ酸の挿入をコードするための特定のコドンの使用に関して、多くの生物体はバイアスを示す。生物体の間でのコドン使用頻度の差であるコドン選好性またはコドンバイアスは、遺伝子コードの同義性によって与えられ、多くの生物体について文書で十分に立証されている。コドンバイアスはメッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳の効率としばしば相関し、それは、代わって翻訳されるコドンの特性および特定の転移RNA(tRNA)分子の利用可能性にとりわけ依存すると考えられている。細胞における選択されたtRNAの優位性は、ペプチド合成において最も頻繁に使用されるコドンを一般的に反映する。したがって、コドン最適化に基づいて所与の生物体における最適な遺伝子発現のために、遺伝子を仕立てることができる。
【0264】
様々な動物、植物および微生物種のために利用可能な多数の遺伝子配列を考慮して、コドン使用頻度の相対頻度が計算されている。コドン使用頻度表が、例えば、www.kazusa.or.jp/codon/(2012年6月18日に訪問した)で利用可能な「コドン使用頻度データベース」で利用可能である。Nakamura、Y.ら、Nucl.Acids Res.28:292頁(2000)を参照する。
【0265】
所与のポリペプチド配列をコードするために最適頻度でコドンをランダムに割付けすることは、アミノ酸ごとにコドン頻度を計算し、次にコドンをポリペプチド配列にランダムに帰属させることによって、手動で実行することができる。さらに、最適配列を計算するために、様々なアルゴリズムおよびコンピュータソフトウェアプログラムを使用することができる。
【0266】
一部の実施形態では、核酸分子は、1つまたはそれ以上の特性を含む:(a)核酸分子またはその一部は、配列番号16と比較して増加したヒトコドン適合指数を有する;(b)ヌクレオチド配列またはその一部は、配列番号16と比較して増加した最適コドン頻度を有する;(c)ヌクレオチド配列またはその一部は、配列番号16におけるG/Cヌクレオチドの百分率と比較してより高いG/Cヌクレオチドの百分率を含有する;(d)ヌクレオチド配列またはその一部は、配列番号16と比較して増加した相対的同義コドン使用頻度を有する;(e)ヌクレオチド配列またはその一部は、配列番号16と比較してコドンの有効数が低減している;(f)ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較してより少ないMARS/ARS配列(配列番号21および22)を含有する;(g)ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較してより少ない不安定化エレメント(配列番号23および24)を含有する;(i)ヌクレオチド配列は、ポリT配列を含有しない、(j)ヌクレオチド配列は、ポリA配列を含有しない;または(k)その任意の組合せ。一部の実施形態では、核酸分子は、(a)から(j)のうちの、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9または10個の特徴を含有する。
【0267】
B.コドン適合指数
一実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードする、本明細書に記載されるヌクレオチド配列を含み、ここで、ヒトコドン適合指数は、配列番号16と比較して増加している。例えば、ヌクレオチド配列は、少なくとも約0.75(75%)、少なくとも約0.76(76%)、少なくとも約0.77(77%)、少なくとも約0.78(78%)、少なくとも約0.79(79%)、少なくとも約0.80(80%)、少なくとも約0.81(81%)、少なくとも約0.82(82%)、少なくとも約0.83(83%)、少なくとも約0.84(84%)、少なくとも約0.85(85%)、少なくとも約0.86(86%)、少なくとも約0.87(87%)、少なくとも約0.88(88%)、少なくとも約0.89(89%)、少なくとも約0.90(90%)、少なくとも約0.91(91%)、少なくとも約0.92(92%)
、少なくとも約0.93(93%)、少なくとも約0.94(94%)、少なくとも約0.95(95%)、少なくとも約0.96(96%)、少なくとも約0.97(97%)、少なくとも約0.98(98%)、または少なくとも約0.99(99%)であるヒトコドン適合指数を有することができる。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも約.88(88%)であるヒトコドン適合指数を有する。他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも約.91(91%)であるヒトコドン適合指数を有する。他の実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも約.97(97%)であるヒトコドン適合指数を有する。
【0268】
特定の一実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;第1の核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド58~1791;(ii)配列番号3のヌクレオチド1~1791;(iii)配列番号4のヌクレオチド58~1791;または(iv)配列番号4のヌクレオチド1~1791と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分とC末端部分は一緒に、FVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列のヒトコドン適応インデックスは、配列番号16に対して増加する。
【0269】
一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも約0.75(75%)、少なくとも約0.76(76%)、少なくとも約0.77(77%)、少なくとも約0.78(78%)、少なくとも約0.79(79%)、少なくとも約0.80(80%)、少なくとも約0.81(81%)、少なくとも約0.82(82%)、少なくとも約0.83(83%)、少なくとも約0.84(84%)、少なくとも約0.85(85%)、少なくとも約0.86(86%)、少なくとも約0.87(87%)、少なくとも約0.88(88%)、少なくとも約0.89(89%)、少なくとも約0.90(90%)、または少なくとも約.91(91%)であるヒトコドン適応インデックスを有する。特定の一実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも約.88(88%)であるヒトコドン適応インデックスを有する。別の実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも約.91(91%)であるヒトコドン適応インデックスを有する。
【0270】
別の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;第2の核酸配列は、(i)配列番号5のヌクレオチド1792~2277および2320~4374または(ii)配列番号6の1792~2277および2320~4374と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分とC末端部分は一緒に、FVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列のヒトコドン適応インデックスは、配列番号16に対して増加する。
【0271】
一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも約0.75(75%)、少なくとも約0.76(76%)、少なくとも約0.77(77%)、少なくとも約0.78(78%)、少なくとも約0.79(79%)、少なくとも約0.80(80%)、少なくとも約0.81(81%)、少なくとも約0.82(82%)、少なくとも約0.83(
83%)、少なくとも約0.84(84%)、少なくとも約0.85(85%)、少なくとも約0.86(86%)、少なくとも約0.87(87%)または少なくとも約0.88(88%)であるヒトコドン適合指数を有する。特定の一実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも約.83(83%)であるヒトコドン適合指数を有する。別の実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも約.88(88%)であるヒトコドン適合指数を有する。
【0272】
他の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、ヌクレオチド配列は、配列番号1、2、3、4、5、6、70および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号1、2、3、4、5、6、70または71のヌクレオチド58~4374)に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み;ここで、ヌクレオチド配列のヒトコドン適合指数は、配列番号16と比較して増加している。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも約0.75(75%)、少なくとも約0.76(76%)、少なくとも約0.77(77%)、少なくとも約0.78(78%)、少なくとも約0.79(79%)、少なくとも約0.80(80%)、少なくとも約0.81(81%)、少なくとも約0.82(82%)、少なくとも約0.83(83%)、少なくとも約0.84(84%)、少なくとも約0.85(85%)、少なくとも約0.86(86%)、少なくとも約0.87(87%)、または少なくとも約0.88(88%)であるヒトコドン適応インデックスを有する。
【0273】
特定の一実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも約.75(75%)であるヒトコドン適応インデックスを有する。別の実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも約.83(83%)であるヒトコドン適応インデックスを有する。別の実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも約.88(88%)であるヒトコドン適応インデックスを有する。別の実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも約.91(91%)であるヒトコドン適応インデックスを有する。別の実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも約.97(97%)であるヒトコドン適応インデックスを有する。
【0274】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号16に対して増加した最適コドン頻度(frequency of optimal codon)(FOP)を有する。ある特定の実施形態では、単離された核酸分子のFOPは、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約64、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約79、少なくとも約80、少なくとも約85、または少なくとも約90である。
【0275】
他の実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号16に対して増加した相対同義コドン使用頻度(relative synonymous codon usage)(RCSU)を有する。一部の実施形態では、単離された核酸分子のRCSUは、1.5を超える。他の実施形態では、単離された核酸分子のRCSUは、2.0を超える。ある特定の実施形態では、単離された核酸分子のRCSUは、少なくとも約1.5、少なくとも約1.6、少なくとも約1.7、少なくとも約1.8、少なくとも約1.9、少なくとも約2.0、少なくとも約2.1、少なくとも約2.2、少なくとも約2.3、少なくとも約2.4、少なくとも約2.5、少なくとも約2.6、または少なくとも約2.7である。
【0276】
さらに他の実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号16に対して減少したコドンの有効数を有する。一部の実施形態では、単離された核酸分子は、約50より少ない、約45より少ない、約40より少ない、約35より少ない、約30より少ない、または約25より少ないコドンの有効数を有する。特定の一実施形態では、単離された核酸分子は、約40、約35、約30、約25、または約20のコドンの有効数を有する。
【0277】
C.G/C含量の最適化
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードする本明細書に記載されるヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列は、配列番号16のG/Cヌクレオチドのパーセンテージと比較してより高いパーセンテージのG/Cヌクレオチドを含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも約45%、少なくとも約46%、少なくとも約47%、少なくとも約48%、少なくとも約49%、少なくとも約50%、少なくとも約51%、少なくとも約52%、少なくとも約53%、少なくとも約54%、少なくとも約55%、少なくとも約56%、少なくとも約57%、少なくとも約58%、少なくとも約59%、または少なくとも約60%であるG/C含量を有する。
【0278】
特定の一実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;第1の核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド58~1791;(ii)配列番号3のヌクレオチド1~1791;(iii)配列番号4のヌクレオチド58~1791;または(iv)配列番号4のヌクレオチド1~1791と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分とC末端部分は一緒に、FVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列は、配列番号16のG/Cヌクレオチドのパーセンテージと比較してより高いパーセンテージのG/Cヌクレオチドを含有する。
【0279】
一部の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも約45%、少なくとも約46%、少なくとも約47%、少なくとも約48%、少なくとも約49%、少なくとも約50%、少なくとも約51%、少なくとも約52%、少なくとも約53%、少なくとも約54%、少なくとも約55%、少なくとも約56%、少なくとも約57%、または少なくとも約58%であるG/C含量を有する。特定の一実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも約58%であるG/C含量を有する。
【0280】
別の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;第2の核酸配列は、(i)配列番号5のヌクレオチド1792~4374;(ii)配列番号6のヌクレオチド1792~4374;(iii)配列番号5のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドを含まない配列番号5のヌクレオチド1792~4374)、または(iv)配列番号6の1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドを含まない配列番号6のヌクレオチド1792~4374)と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約9
6%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分とC末端部分は一緒に、FVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列は、配列番号16のG/Cヌクレオチドのパーセンテージと比較してより高いパーセンテージのG/Cヌクレオチドを含有する。
【0281】
他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも約45%、少なくとも約46%、少なくとも約47%、少なくとも約48%、少なくとも約49%、少なくとも約50%、少なくとも約51%、少なくとも約52%、少なくとも約53%、少なくとも約54%、少なくとも約55%、少なくとも約56%、または少なくとも約57%であるG/C含量を有する。特定の一実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも約52%であるG/C含量を有する。別の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも約55%であるG/C含量を有する。別の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも約57%であるG/C含量を有する。
【0282】
他の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列は、(i)ヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号1、2、3、4、5、6、70、および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドを含まない配列番号1、2、3、4、5、6、70、または71のヌクレオチド58~4374)に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み;ヌクレオチド配列は、配列番号16のG/Cヌクレオチドのパーセンテージと比較してより高いパーセンテージのG/Cヌクレオチドを含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも約45%であるG/C含量を有する。
【0283】
特定の一実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも約52%であるG/C含量を有する。別の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも約55%であるG/C含量を有する。別の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも約57%であるG/C含量を有する。別の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも約58%であるG/C含量を有する。さらに別の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも約60%であるG/C含量を有する。
【0284】
「G/C含量」(またはグアニン-シトシン含量)、または「G/Cヌクレオチドのパーセンテージ」は、グアニンまたはシトシンのいずれかである、DNA分子中の窒素塩基のパーセンテージを指す。G/C含量は、以下の式:
【数3】
を使用して計算することができる。
【0285】
ヒト遺伝子のG/C含量は非常に不均一であり、一部の遺伝子は20%程度の低いG/C含量を有し、他の遺伝子は95%程の高いG/C含量を有する。一般的に、G/Cリッチな遺伝子は、より高度に発現される。実際に、遺伝子のG/C含量の増加が、遺伝子発現の増加を導く場合があり、これはほとんどが転写の増加とmRNAレベルが非常に安定した状態であることに起因することが実証されている。Kudlaら、PLoS Biol.、4(6):e180頁(2006)を参照のこと。
【0286】
D.マトリックス結合領域様配列
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、本明細書に記載される、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列は、配列番号16に対してより少ないMARS/ARS配列を含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、最大6、最大5、最大4、最大3、または最大2個のMARS/ARS配列を含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、最大1個のMARS/ARS配列を含有する。なお他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、MARS/ARS配列を含有しない。
【0287】
特定の一実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;第1の核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド58~1791;(ii)配列番号3のヌクレオチド1~1791;(iii)配列番号4のヌクレオチド58~1791;または(iv)配列番号4のヌクレオチド1~1791と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分とC末端部分は一緒に、FVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列は、配列番号16に対してより少ないMARS/ARS配列を含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、最大6、最大5、最大4、最大3、または最大2個のMARS/ARS配列を含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、最大1個のMARS/ARS配列を含有する。なお他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、MARS/ARS配列を含有しない。
【0288】
別の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第2の核酸配列は、(i)配列番号5のヌクレオチド1792~4374;(ii)配列番号6のヌクレオチド1792~4374;(iii)配列番号5のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号5のヌクレオチド1792~4374)または(iv)配列番号6のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号6のヌクレオチド1792~4374)に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較してより少ないMARS
/ARS配列を含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、6つ以下、5つ以下、4つ以下、3つ以下または2つ以下のMARS/ARS配列を含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、1つ以下のMARS/ARS配列を含有する。さらに他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、MARS/ARS配列を含有しない。
【0289】
他の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号1、2、3、4、5、6、70、または71のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号1、2、3、4、5、6、70、または71のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドを含まない配列番号1、2、3、4、5、6、70、または71のヌクレオチド58~4374)と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み;ヌクレオチド配列は、配列番号16に対してより少ないMARS/ARS配列を含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、最大6、最大5、最大4、最大3、または最大2個のMARS/ARS配列を含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、最大1個のMARS/ARS配列を含有する。なお他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、MARS/ARS配列を含有しない。
【0290】
サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の自己複製配列(ARS)および核-マトリックス結合領域(MAR)と配列類似性を共有するヒトFVIIIヌクレオチド配列におけるATリッチエレメントを同定した。(Falluxら、Mol. Cell. Biol. 16:4264~4272頁(1996))。これらのエレメントのうちの1つは、in vitroで核因子に結合し、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)レポーター遺伝子の発現を抑制することが実証されている。同上。これらの配列は、ヒトFVIII遺伝子の転写抑制の原因となる可能性があると仮定されている。よって、一実施形態では、全てのMAR/ARS配列は、本開示のFVIII遺伝子において消失している。親FVIII配列(配列番号16)には、4つのMAR/ARS ATATTT配列(配列番号21)と3つのMAR/ARS AAATAT配列(配列番号22)が存在する。これらの部位の全ては、最適化されたFVIII配列(配列番号1~6)のMAR/ARS配列を破壊するよう突然変異させた。これらのエレメントのそれぞれの位置、および最適化された配列における対応するヌクレオチドの配列を以下の表2に示す。
【0291】
【表2】
【表3】
【0292】
E.不安定化配列
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードする、本明細書に記載されるヌクレオチド配列を含み、ここで、ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較してより少ない不安定化エレメントを含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下または5つ以下の不安定化エレメントを含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、4つ以下、3つ以下、2つ以下または1つ以下の不安定化エレメントを含有する。さらに他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、不安定化エレメントを含有しない。
【0293】
特定の一実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;第1の核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド58~1791;(ii)配列番号3のヌクレオチド1~1791;(iii)配列番号4のヌクレオチド58~1791;または(iv)配列番号4のヌクレオチド1~1791と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分とC末端部分は一緒に、FVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列は、配列番号16に対してより少ない不安定化エレメントを含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、最大9、最大8、最大7、最大6、または最大5個の不安定化エレメントを含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、最大4、最大3、最大2、または最大1個の不安定化エレメントを含有する。なお他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、不安定化エレメントを含有しない。
【0294】
別の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の
核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;第2の核酸配列は、(i)配列番号5のヌクレオチド1792~4374;(ii)配列番号6のヌクレオチド1792~4374;(iii)配列番号5のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドを含まない配列番号5のヌクレオチド1792~4374);または(iv)配列番号6のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドを含まない配列番号6のヌクレオチド1792~4374)と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分とC末端部分は一緒に、FVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列は、配列番号16に対してより少ない不安定化エレメントを含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、最大9、最大8、最大7、最大6、または最大5個の不安定化エレメントを含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、最大4、最大3、最大2、または最大1個の不安定化エレメントを含有する。なお他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、不安定化エレメントを含有しない。
【0295】
他の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号1、2、3、4、5、6、70、および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号1、2、3、4、5、6、70、および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドを含まない配列番号1、2、3、4、5、6、70、または71のヌクレオチド58~4374)と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み;ヌクレオチド配列は、配列番号16に対してより少ない不安定化エレメントを含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、最大9、最大8、最大7、最大6、または最大5個の不安定化エレメントを含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、最大4、最大3、最大2、または最大1個の不安定化エレメントを含有する。なお他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、不安定化エレメントを含有しない。
【0296】
親FVIII配列(配列番号16)には10個の不安定化エレメント:6個のATTTA配列(配列番号23)および4個のTAAAT配列(配列番号24)が存在する。一実施形態では、これらの部位の配列が突然変異して、最適化されたFVIIIの配列番号1~6、70、および71における不安定化エレメントを破壊した。これらのエレメントのそれぞれの位置、および最適化された配列における対応するヌクレオチドの配列を表2に示す。
【0297】
F.潜在的プロモーター結合部位
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードする、本明細書に記載されるヌクレオチド配列を含み、ここで、ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較してより少ない潜在的プロモーター結合部位を含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、9
つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下または5つ以下の潜在的プロモーター結合部位を含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、4つ以下、3つ以下、2つ以下または1つ以下の潜在的プロモーター結合部位を含有する。さらに他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、潜在的プロモーター結合部位を含有しない。
【0298】
特定の一実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第1の核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド58~1791;(ii)配列番号3のヌクレオチド1~1791;(iii)配列番号4のヌクレオチド58~1791;または(iv)配列番号4のヌクレオチド1~1791に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較してより少ない潜在的プロモーター結合部位を含有する。
【0299】
他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下または5つ以下の潜在的プロモーター結合部位を含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、4つ以下、3つ以下、2つ以下または1つ以下の潜在的プロモーター結合部位を含有する。さらに他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、潜在的プロモーター結合部位を含有しない。
【0300】
別の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第2の核酸配列は、(i)配列番号5のヌクレオチド1792~4374;(ii)配列番号6のヌクレオチド1792~4374;(iii)配列番号5のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号5のヌクレオチド1792~4374);または(iv)配列番号6のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号6のヌクレオチド1792~4374)に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較してより少ない潜在的プロモーター結合部位を含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下または5つ以下の潜在的プロモーター結合部位を含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、4つ以下、3つ以下、2つ以下または1つ以下の潜在的プロモーター結合部位を含有する。さらに他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、潜在的プロモーター結合部位を含有しない。
【0301】
他の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコ
ードするヌクレオチド配列を含み、ここで、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号1、2、3、4、5、6、70および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~4374、または(ii)配列番号1、2、3、4、5、6、70および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号1、2、3、4、5、6、70または71のヌクレオチド58~4374)に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み;ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較してより少ない潜在的プロモーター結合部位を含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下または5つ以下の潜在的プロモーター結合部位を含有する。他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、4つ以下、3つ以下、2つ以下または1つ以下の潜在的プロモーター結合部位を含有する。さらに他の実施形態では、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、潜在的プロモーター結合部位を含有しない。
【0302】
TATAボックスは、真核生物のプロモーター領域において見出されることが多い調節配列である。これらは、一般的な転写因子であるTATA結合タンパク質(TBP)の結合部位としての役割を果たす。TATAボックスは、通常、配列TATAA(配列番号28)またはそれに近いバリアントを含む。しかしながら、コード配列内のTATAボックスは、全長タンパク質の翻訳を阻害し得る。野生型BDD FVIII配列(配列番号16)には、10個の潜在的プロモーター結合部位:5個のTATAA配列(配列番号28)および5個のTTATA配列(配列番号29)が存在する。一部の実施形態では、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、または少なくとも4個のプロモーター結合部位が、本開示のFVIII遺伝子において消失する。一部の実施形態では、少なくとも5個のプロモーター結合部位が、本開示のFVIII遺伝子において消失する。他の実施形態では、少なくとも6、少なくとも7、または少なくとも8個のプロモーター結合部位が、本開示のFVIII遺伝子において消失する。一実施形態では、少なくとも9個のプロモーター結合部位が、本開示のFVIII遺伝子において消失する。特定の一実施形態では、全てのプロモーター結合部位が、本開示のFVIII遺伝子において消失する。各潜在的プロモーター結合部位の位置および最適化された配列における対応するヌクレオチドの配列を表3に示す。
【0303】
G.他のCis作用型ネガティブ調節領域
上述のMAR/ARS配列、不安定化エレメント、および潜在的プロモーター部位に加えて、いくつかのさらなる潜在的阻害配列を、野生型BDD FVIII配列(配列番号16)において特定することができる。2つのAUリッチ配列エレメント(ARE)を、最適化されていないBDD FVIII配列におけるポリA部位(AAAAAAA;配列番号26)、ポリT部位(TTTTTT;配列番号25)、およびスプライス部位(GGTGAT;列番号27)と一緒に、特定することができる(ATTTTATT(配列番号30);およびATTTTTAA(配列号31))。1つまたはそれ以上のこれらのエレメントは、最適化されたFVIII配列から除去することができる。これらの部位のそれぞれの位置および最適化された配列における対応するヌクレオチドの配列を表2に示す。
【0304】
ある特定の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第1の核酸配列は、(i)配
列番号3のヌクレオチド58~1791;(ii)配列番号3のヌクレオチド1~1791;(iii)配列番号4のヌクレオチド58~1791;または(iv)配列番号4のヌクレオチド1~1791に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列は、1つまたはそれ以上のシス作用性の負の調節エレメント、例えば、スプライス部位、ポリT配列、ポリA配列、ARE配列またはその任意の組合せを含有しない。
【0305】
別の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第2の核酸配列は、(i)配列番号5のヌクレオチド1792~4374;(ii)配列番号6のヌクレオチド1792~4374;(iii)配列番号5のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号5のヌクレオチド1792~4374)または(iv)配列番号6のヌクレオチド1792~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号6のヌクレオチド1792~4374)に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列は、1つまたはそれ以上のシス作用性の負の調節エレメント、例えば、スプライス部位、ポリT配列、ポリA配列、ARE配列またはその任意の組合せを含有しない。
【0306】
他の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号1、2、3、4、5、6、70および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~4374、または(ii)配列番号1、2、3、4、5、6、70および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号1、2、3、4、5、6、70または71のヌクレオチド58~4374)に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み;ヌクレオチド配列は、1つまたはそれ以上のシス作用性の負の調節エレメント、例えば、スプライス部位、ポリT配列、ポリA配列、ARE配列またはその任意の組合せを含有しない。
【0307】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第1の核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド58~1791;(ii)配列番号3のヌクレオチド1~1791、(iii)配列番号4のヌクレオチド58~1791;または(iv)配列番号4のヌクレオチド1~1791に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約
90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列はスプライス部位GGTGAT(配列番号27)を含有しない。
【0308】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第1の核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド58~1791;(ii)配列番号3のヌクレオチド1~1791;(iii)配列番号4のヌクレオチド58~1791;または(iv)配列番号4のヌクレオチド1~1791に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列はポリT配列(配列番号25)を含有しない。
【0309】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第1の核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド58~1791;(ii)配列番号3のヌクレオチド1~1791;(iii)配列番号4のヌクレオチド58~1791;または(iv)配列番号4のヌクレオチド1~1791に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列はポリA配列(配列番号26)を含有しない。
【0310】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIIIポリペプチドのN末端部分をコードする第1の核酸配列、およびFVIIIポリペプチドのC末端部分をコードする第2の核酸配列を含むヌクレオチド配列を含み;ここで、第1の核酸配列は、(i)配列番号3のヌクレオチド58~1791;(ii)配列番号3のヌクレオチド1~1791;(iii)配列番号4のヌクレオチド58~1791;または(iv)配列番号4のヌクレオチド1~1791に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有し;N末端部分およびC末端部分は、一緒にFVIIIポリペプチド活性を有し;ヌクレオチド配列はAREエレメント(配列番号30または配列番号31)を含有しない。
【0311】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号1、2、3、4、5、6、70および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~4374、または(ii)配列番号1、2、3、4、5、6、70および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、
BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号1、2、3、4、5、6、70または71のヌクレオチド58~4374)に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み;ヌクレオチド配列はスプライス部位GGTGAT(配列番号27)を含有しない。
【0312】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号1、2、3、4、5、6、70および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~4374、または(ii)配列番号1、2、3、4、5、6、70および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドの無い、配列番号1、2、3、4、5、6、70または71のヌクレオチド58~4374)に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み;ヌクレオチド配列はポリT配列(配列番号25)を含有しない。
【0313】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号1、2、3、4、5、6、70、および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号1、2、3、4、5、6、70、および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドを含まない配列番号1、2、3、4、5、6、70、または71のヌクレオチド58~4374)と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み;ヌクレオチド配列は、ポリA配列(配列番号26)を含有しない。
【0314】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列は、(i)配列番号1、2、3、4、5、6、70、および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~4374または(ii)配列番号1、2、3、4、5、6、70、および71から選択されるアミノ酸配列のヌクレオチド58~2277および2320~4374(すなわち、BドメインまたはBドメイン断片をコードするヌクレオチドを含まない配列番号1、2、3、4、5、6、70、または71のヌクレオチド58~4374)と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み;ヌクレオチド配列は、AREエレメント(配列番号30または配列番号31)を含有しない。
【0315】
他の実施形態では、本開示の最適化されたFVIII配列は、1つまたはそれ以上の抗ウイルスモチーフ、ステムループ構造、およびリピート配列を含まない。
【0316】
さらに他の実施形態では、転写開始部位を囲むヌクレオチドは、コザックコンセンサス配列(GCCGCCACCATGC(配列番号32)、配列中、下線を付したヌクレオチドは開始コドンである。)に変化した。他の実施形態では、制限部位を付加または除去して、クローニングプロセスを促進する。
【0317】
H.異種ヌクレオチド配列
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、異種ヌクレオチド配列をさらに含む。一部の実施形態では、単離された核酸分子は、少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列をさらに含む。異種ヌクレオチド配列は、本開示の最適化BDD-FVIIIヌクレオチド配列に5’末端、3’末端で連結することができるか、または、最適化BDD-FVIIIヌクレオチド配列の中間に挿入することができる。したがって、一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列によってコードされる異種アミノ酸配列は、ヌクレオチド配列によってコードされるFVIIIアミノ酸配列のN末端またはC末端に連結されるか、または、FVIIIアミノ酸配列の2つのアミノ酸の間に挿入される。一部の実施形態では、異種アミノ酸配列は、表3から選択される1つまたはそれ以上の挿入部位の2つのアミノ酸の間に挿入することができる。一部の実施形態では、異種アミノ酸配列は、参照により本明細書に完全に組み入れる、国際公開番号2013/123457 A1および2015/106052 A1または米国公開番号2015/0158929 A1に開示される任意の部位で、本開示の核酸分子によってコードされるFVIIIポリペプチドの中に挿入することができる。
【0318】
一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列によってコードされる異種アミノ酸配列は、Bドメインまたはその断片の中に挿入される。一部の実施形態では、異種アミノ酸配列は、成熟ヒトFVIII(配列番号15)のアミノ酸745に対応するアミノ酸の直ぐ下流のFVIIIの中に挿入される。特定の一実施形態では、FVIIIは、成熟ヒトFVIII(配列番号15)に対応するアミノ酸746~1646の欠失を含み、異種ヌクレオチド配列によってコードされる異種アミノ酸配列は、成熟ヒトFVIII(配列番号15)に対応するアミノ酸745の直ぐ下流に挿入される。
【0319】
【表4】
【0320】
他の実施形態では、単離された核酸分子は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つの異種ヌクレオチド配列をさらに含む。一部の実施形態では、全ての異種ヌクレオチド配列は同一である。一部の実施形態では、少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、他の異種ヌクレオチド配列と異なる。一部の実施形態では、本開示は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたは7つを超える異種ヌクレオチド配列をタンデムで含むことができる。
【0321】
一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、アミノ酸配列をコードする。一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列は、FVIII分子の半減期を増加させることができる異種部分(「半減期延長剤」)である。
【0322】
一部の実施形態では、異種部分は、本開示のタンパク質に組み込まれた場合に、in
vivo半減期の延長と関連する非構造的特徴または構造的特徴のいずれかを有するペプチドまたはポリペプチドである。非限定例として、アルブミン、アルブミン断片、免疫グロブリンのFc断片、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、HAP配列、XTEN配列、トランスフェリンもしくはその断片、PASポリペプチド、ポリグリシンリンカー、ポリセリンリンカー、アルブミン結合部分、またはこれらのポリペプチドの任意の断片、誘導体、バリアント、もしくは組合せが挙げられる。特定の一実施形態では、異種アミノ酸配列は、免疫グロブリン定常領域もしくはその一部、トランスフェリン、アルブミン、またはPAS配列である。
【0323】
一部の態様では、異種部分は、フォンビルブランド因子またはその断片を含む。他の関連する態様では、異種部分は、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ポリシアル酸、またはこれらのエレメントの任意の誘導体、バリアント、もしくは組合せのような非ポリペプチド部分に対する結合部位(例えば、システインアミノ酸)を含む場合がある。一部の態様では、異種部分は、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ポリシアル酸、またはこれらのエレメントの任意の誘導体、バリアント、もしくは組合せのような非ポリペプチド部分に対する結合部位として機能するシステインアミノ酸を含む。
【0324】
具体的な一実施形態では、第1の異種ヌクレオチド配列は、当技術分野で公知である半減期延長分子である第1の異種部分をコードし、第2の異種ヌクレオチド配列は、同じく当技術分野で公知である半減期延長分子であってもよい第2の異種部分をコードする。ある特定の実施形態では、第1の異種部分(例えば、第1のFc部分)および第2の異種部分(例えば、第2のFc部分)は、互いと会合して二量体を形成する。一実施形態では、第2の異種部分は第2のFc部分であり、ここで、第2のFc部分は第1の異種部分、例えば第1のFc部分に連結しているかまたはそれと会合する。例えば、第2の異種部分(例えば、第2のFc部分)は、リンカーによって第1の異種部分(例えば、第1のFc部分)に連結することができるか、または、共有結合もしくは非共有結合により第1の異種部分と会合することができる。
【0325】
一部の実施形態では、異種部分は、少なくとも約10、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、少なくとも約1000、少なくとも1100、少なくとも約1200、少なくとも約1300、少なくとも約1400、少なくとも約1500、少なくとも約1600、少なくとも約1700、少なくとも約1800、少なくとも約1900、少なくとも約2000、少なくとも約2500、少なくとも約3000、または少なくとも約4000個のアミノ酸を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるポリペプチドである。
【0326】
他の実施形態では、異種部分は、約100~約200アミノ酸、約200~約300アミノ酸、約300~約400アミノ酸、約400~約500アミノ酸、約500~約600アミノ酸、約600~約700アミノ酸、約700~約800アミノ酸、約800~約900アミノ酸、または約900~約1000アミノ酸を含むか、それから本質的になるかまたはそれからなるポリペプチドである。
【0327】
ある特定の実施形態では、異種部分は、その生体活性または機能に重大な影響を及ぼすことなく、FVIIIタンパク質の1つまたはそれ以上の薬物動態特性を改善する。
【0328】
ある特定の実施形態では、異種部分は、本開示のFVIIIタンパク質のin vivoおよび/またはin vitro半減期を増加させる。他の実施形態では、異種部分は、本開示のFVIIIタンパク質またはその断片(例えば、FVIIIタンパク質のタン
パク質切断後の異種部分を含む断片)の可視化または局在化を促進する。本開示のFVIIIタンパク質またはその断片の可視化および/または局在化は、in vivo、in
vitro、ex vivo、またはこれらの組合せである。
【0329】
他の実施形態では、異種部分は、本開示のFVIIIタンパク質またはその断片(例えば、FVIIIタンパク質のタンパク質切断後の異種部分を含む断片)の安定性を増加させる。本明細書で使用されるように、用語「安定性」は、環境条件(例えば、温度上昇または低下)に応じて、FVIIIタンパク質の1つまたはそれ以上の物理特性の維持についての当技術分野で認識される尺度を指す。ある特定の態様では、物理特性は、FVIIIタンパク質の共有結合による構造の維持(例えば、タンパク質分解、望ましくない酸化または脱アミド化のないこと)である。他の態様では、物理特性は、正確にフォールディングされた状態のFVIIIタンパク質の存在(例えば、可溶性または不溶性の凝集または沈殿のないこと)でもある。
【0330】
一態様では、FVIIIタンパク質の安定性は、FVIIIタンパク質の生体物理特性、例えば、温度安定性、pHアンフォールディングプロファイル、グリコシル化の安定な除去、溶解度、生化学的機能(例えば、タンパク質、レセプターまたはリガンドに結合する能力)など、および/またはこれらの組合せをアッセイすることにより測定される。別の態様では、生化学的機能は、相互作用の結合親和性により実証される。一態様では、タンパク質安定性の尺度は、熱安定性、すなわち、熱の負荷に対する耐性である。安定性は、HPLC(高性能液体クロマトグラフィー)、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)、DLS(動的光散乱)などのような当技術分野で公知の方法を使用して測定することができる。熱安定性を測定する方法として、これらに限定されないが、示差走査熱量測定(DSC)、示差走査蛍光定量(DSF)、円二色性(CD)、および熱負荷アッセイが挙げられる。
【0331】
ある特定の態様では、本開示の核酸分子によってコードされるFVIIIタンパク質は、少なくとも1つの半減期延長剤、すなわち、FVIIIタンパク質のin vivo半減期を、異種部分を欠く対応するFVIIIタンパク質のin vivo半減期に対して増加させる、このような異種部分を含む。FVIIIタンパク質のin vivo半減期は、当業者に公知の任意の方法、例えば、活性アッセイ(染色体アッセイまたは一段階凝固aPTTアッセイ)、ELISA、ROTEM(登録商標)などによって決定することができる。
【0332】
一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の半減期延長剤の存在は、FVIIIタンパク質の半減期を、このような1つまたはそれ以上の半減期延長剤を欠く対応するタンパク質の半減期と比較して増加させる。半減期延長剤を含むFVIIIタンパク質の半減期は、このような半減期延長剤を欠く対応するFVIIIタンパク質のin vivo半減期より、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、または少なくとも約12倍長い。
【0333】
一実施形態では、半減期延長剤を含むFVIIIタンパク質の半減期は、このような半減期延長剤を欠く対応するタンパク質のin vivo半減期より、約1.5倍から約20倍、約1.5倍から約15倍、または約1.5倍から約10倍長い。別の実施形態では、半減期延長剤を含むFVIIIタンパク質の半減期は、このような半減期延長剤を欠く対応するタンパク質のin vivo半減期と比較して、約2倍から約10倍、約2倍から約9倍、約2倍から約8倍、約2倍から約7倍、約2倍から約6倍、約2倍から約5倍、約2倍から約4倍、約2倍から約3倍、約2.5倍から約10倍、約2.5倍から約9
倍、約2.5倍から約8倍、約2.5倍から約7倍、約2.5倍から約6倍、約2.5倍から約5倍、約2.5倍から約4倍、約2.5倍から約3倍、約3倍から約10倍、約3倍から約9倍、約3倍から約8倍、約3倍から約7倍、約3倍から約6倍、約3倍から約5倍、約3倍から約4倍、約4倍から約6倍、約5倍から約7倍、または約6倍から約8倍延長される。
【0334】
他の実施形態では、半減期延長剤を含むFVIIIタンパク質の半減期は、少なくとも約17時間、少なくとも約18時間、少なくとも約19時間、少なくとも約20時間、少なくとも約21時間、少なくとも約22時間、少なくとも約23時間、少なくとも約24時間、少なくとも約25時間、少なくとも約26時間、少なくとも約27時間、少なくとも約28時間、少なくとも約29時間、少なくとも約30時間、少なくとも約31時間、少なくとも約32時間、少なくとも約33時間、少なくとも約34時間、少なくとも約35時間、少なくとも約36時間、少なくとも約48時間、少なくとも約60時間、少なくとも約72時間、少なくとも約84時間、少なくとも約96時間、または少なくとも約108時間である。
【0335】
さらに他の実施形態では、半減期延長剤を含むFVIIIタンパク質の半減期は、約15時間から約2週間、約16時間から約1週間、約17時間から約1週間、約18時間から約1週間、約19時間から約1週間、約20時間から約1週間、約21時間から約1週間、約22時間から約1週間、約23時間から約1週間、約24時間から約1週間、約36時間から約1週間、約48時間から約1週間、約60時間から約1週間、約24時間から約6日間、約24時間から約5日間、約24時間から約4日間、約24時間から約3日間、または約24時間から約2日間である。
【0336】
一部の実施形態では、半減期延長剤を含むFVIIIタンパク質の対象当たりの平均半減期は、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間(1日間)、約25時間、約26時間、約27時間、約28時間、約29時間、約30時間、約31時間、約32時間、約33時間、約34時間、約35時間、約36時間、約40時間、約44時間、約48時間(2日間)、約54時間、約60時間、約72時間(3日間)、約84時間、約96時間(4日間)、約108時間、約120時間(5日間)、約6日間、約7日間(1週間)、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、約12日間、約13日間、または約14日間である。
【0337】
1つまたはそれ以上の半減期延長剤をFVIIIのC末端もしくはN末端に融合させるかまたはFVIII内に挿入することができる。
【0338】
1.免疫グロブリン定常領域またはその一部
別の態様では、異種部分は、1つまたはそれ以上の免疫グロブリン定常領域またはその部分(例えば、Fc領域)を含む。一実施形態では、本開示の単離された核酸分子は、免疫グロブリン定常領域またはその一部をコードする異種核酸配列をさらに含む。一部の実施形態では、免疫グロブリン定常領域またはその部分は、Fc領域である。
【0339】
免疫グロブリン定常領域は、CH(定常重鎖)ドメイン(CH1、CH2など)で示されるドメインから構成される。アイソタイプ、(すなわち、IgG、IgM、IgA IgD、またはIgE)に応じて、定常領域は、3つまたは4つのCHドメインから構成される。いくつかのアイソタイプ(例えば、IgG)定常領域は、ヒンジ領域も含有する。Janewayら 2001年、Immunobiology, Garland Publishing, N.Y.、N.Y.を参照のこと。
【0340】
本開示のFVIIIタンパク質を生成するための免疫グロブリン定常領域またはその一部は、いくつかの異なる供給源から得ることができる。一実施形態では、免疫グロブリン定常領域またはその一部は、ヒト免疫グロブリンに由来する。しかしながら、免疫グロブリン定常領域またはその一部は、例えば、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット)または非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー、マカク)種を含む別の哺乳動物種の免疫グロブリンに由来することも理解される。さらに、免疫グロブリン定常領域またはその一部は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含む任意の免疫グロブリンクラス、およびIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む任意の免疫グロブリンアイソタイプに由来する。一実施形態では、ヒトアイソタイプIgG1が使用される。
【0341】
種々の免疫グロブリン定常領域の遺伝子配列(例えば、ヒト定常領域の遺伝子配列)が、公的にアクセス可能な寄託物の形態で利用可能である。特定のエフェクター機能を有する(または特定のエフェクター機能を欠く)か免疫原性を低下させる特定の改変を伴う定常領域ドメインの配列を選択することができる。抗体および抗体をコードする遺伝子の多くの配列が公開されており、好適なIg定常領域の配列(例えば、ヒンジ、CH2、および/もしくはCH3配列、またはその部分)は、技術分野で認識される技法を使用して、これらの配列から導出される。次いで、前述の方法のいずれかを使用して得られる遺伝子材料を変更または合成して、本開示のポリペプチドを得ることができる。この開示の範囲が、定常領域のDNA配列の対立遺伝子、バリアントおよび突然変異を包含することがさらに認識されるであろう。
【0342】
免疫グロブリン定常領域またはその一部の配列は、例えば、目的のドメインを増幅するために選択されるポリメラーゼ連鎖反応およびプライマーを使用してクローニングすることができる。抗体から免疫グロブリン定常領域またはその一部の配列をクローニングするために、mRNAを、ハイブリドーマ、脾臓、またはリンパ細胞から単離し、DNAに逆転写し、PCRによって抗体の遺伝子を増幅させることができる。PCR増幅方法は、米国特許第4,683,195号;同第4,683,202号;同第4,800,159号;同第4,965,188号;および、例えば、「PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications」 Innisら編、Academic Press、San Diego、CA(1990);Hoら 1989. Gene 77:51頁;Hortonら 1993.Methods Enzymol. 217:270頁に詳述されている。PCRは、コンセンサス定常領域のプライマーによってまたは公開された重鎖および軽鎖のDNAおよびアミノ酸配列に基づくより特異的なプライマーによって開始することができる。PCRは、抗体の軽鎖および重鎖をコードするDNAクローンを単離するためにも使用することができる。この場合には、コンセンサスプライマーまたはマウス定常領域のプローブのようなより大きな相同なプローブによって、ライブラリーをスクリーニングすることができる。抗体遺伝子の増幅に好適な多数のプライマーセットが当技術分野で公知である(例えば、精製抗体のN末端配列に基づく5’プライマー(BenharおよびPastan. 1994. Protein Engineering 7:1509頁);cDNA末端の迅速増幅(Ruberti, F.ら 1994. J. Immunol. Methods 173:33頁);抗体リーダー配列(Larrickら 1989 Biochem. Biophys. Res. Commun. 160:1250頁)。抗体配列のクローニングは、参照によって本明細書に組み入れる、1995年1月25日に出願されたNewmanらの米国特許第5,658,570号にさらに記載される。
【0343】
本明細書で使用される免疫グロブリン定常領域は、全てのドメインおよびヒンジ領域またはそれらの部分を含むことができる。一実施形態では、免疫グロブリン定常領域またはその一部は、CH2ドメイン、CH3ドメイン、およびヒンジ領域、すなわち、Fc領域
またはFcRn結合パートナーを含む。
【0344】
本明細書で使用されるように、用語「Fc領域」は、ネイティブIgのFc領域に対応するポリペプチドの部分として、すなわち、その2つの重鎖のそれぞれのFcドメインの二量体会合によって形成されるような部分として定義される。ネイティブFc領域は、別のFc領域とホモ二量体を形成する。対照的に、用語「遺伝子的に融合されるFc領域」または「単鎖Fc領域」(scFc領域)は、本明細書で使用されるように、単一ポリペプチド鎖内で遺伝子的に連結される(すなわち、単一の連続の遺伝子配列でコードされる)Fcドメインから構成される合成の二量体Fc領域を指す。参照によってその全体として本明細書に組み入れる、国際特許出願公開第WO2012/006635号を参照のこと。
【0345】
一実施形態では、「Fc領域」は、パパイン切断部位のすぐ上流のヒンジ領域で始まり(すなわち、重鎖定常領域の第1の残基を114として、IgGの残基216)、抗体のC末端で終わる、単一のIg重鎖の部分を指す。したがって、完全Fc領域は、少なくともヒンジドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含む。
【0346】
免疫グロブリン定常領域またはその部分は、FcRn結合パートナーである場合がある。FcRnは、成体の上皮組織で活性であり、腸の管腔、肺気道、鼻腔面、膣表面、結腸および直腸表面において発現される(米国特許第6,485,726号)。FcRn結合パートナーは、FcRnに結合する免疫グロブリンの一部である。
【0347】
FcRnレセプターは、ヒトを含むいくつかの哺乳動物種から単離されている。ヒトFcRn、サルFcRn、ラットFcRn、およびマウスFcRnの配列が公知である(Storyら 1994年、J. Exp. Med. 180:2377頁)。FcRnレセプターは、IgG(IgA、IgM、IgD、およびIgEのような他の免疫グロブリンクラスではなく)に比較的低いpHで結合し、IgGを管腔中で漿膜の方向に経細胞的に能動輸送し、次いで、間質液中で見られる比較的高いpHでIgGを遊離する。これは、肺および腸の上皮(Israelら 1997、Immunology 92:69頁) 腎近位尿細管上皮(Kobayashiら 2002年、Am. J. Physiol. Renal Physiol. 282:F358頁)ならびに鼻腔上皮、膣表面、および胆道系表面を含む成体の上皮組織(米国特許第6,485,726号、同第6,030,613号、同第6,086,875号;WO03/077834;US2003-0235536)において発現される。
【0348】
本開示において有用なFcRn結合パートナーは、IgG全体、IgGのFc断片、およびFcRnレセプターの完全結合領域を含む他の断片を含む、FcRnレセプターによって特異的に結合される分子を包含する。FcRnレセプターに結合するIgGのFc部分の領域は、X線結晶学に基づいて記載されている(Burmeisterら 1994年、Nature 372:379頁)。FcのFcRnとの主な接触領域は、CH2およびCH3ドメインの接合部に近い。Fc-FcRn接触は全て、単一のIg重鎖内である。FcRn結合パートナーとして、IgG全体、IgGのFc断片、およびFcRnの完全結合領域を含むIgGの他の断片が挙げられる。主な接触部位として、CH2ドメインの248、250~257、272、285、288、290~291、308~311、および314位のアミノ酸残基、ならびにCH3ドメインの385~387、428、および433~436位のアミノ酸残基が挙げられる。免疫グロブリンもしくは免疫グロブリン断片、または領域のアミノ酸ナンバリングに対してなされる言及は全て、Kabatら 1991年、Sequences of Proteins of Immunological Interest、U.S. Department of Public Health、Bethesda、Md.に基づく。
【0349】
FcRnに結合したFc領域またはFcRn結合パートナーは、FcRnによって、上皮バリアを越えて効率的に運ぶことができるので、所望の治療用分子を全身投与するための非侵襲的手段をもたらす。さらに、Fc領域またはFcRn結合パートナーを含む融合タンパク質は、FcRnを発現する細胞によって貪食される。しかし、これらの融合タンパク質は、分解の対象にはならずに、リサイクルされて、再度血液循環に入るので、これらのタンパク質のin vivo半減期が増加する。ある特定の実施形態では、免疫グロブリン定常領域の部分は、典型的には、ジスルフィド結合と他の非特異的相互作用を介して、別のFc領域または別のFcRn結合パートナーと会合して、二量体、およびそれより高次の多量体を形成するFc領域またはFcRn結合パートナーである。
【0350】
2つのFcRnレセプターが、単一のFc分子と結合することができる。結晶学的データから、各FcRn分子が、Fcホモ二量体の単一のポリペプチドと結合することが示唆される。一実施形態では、FcRn結合パートナー、例えば、IgGのFc断片を生物活性分子に連結させることにより、生物活性分子の経口送達、口腔内送達、舌下送達、直腸送達、膣内送達、経鼻的なエアロゾル投与によるかもしくは経肺経路による送達、または眼局所経路による送達の手段が得られる。別の実施形態では、FVIII因子タンパク質は、侵襲的に、例えば、皮下、静脈内に投与することができる。
【0351】
FcRn結合パートナー領域は、FcRnレセプターが特異的に結合し、その結果、Fc領域をFcRnレセプターによって能動輸送できる分子または部分である。特異的な結合とは、生理的条件下で、比較的安定である複合体を形成する2つの分子を指す。通常、親和性が低く、中程度から高度の容量を有する非特異的な結合と区別されるように、特異的な結合は、高い親和性と、低度から中程度の容量によって特徴付けられる。典型的には、親和性定数KAが、10-1を超えるか、または10-1を超える場合に、結合は、特異的であると考えられる。必要な場合、非特異的結合は、結合条件を変えることによって、特異的な結合に実質的な影響を及ぼすことなく低減される。分子の濃度、溶液のイオン強度、温度、結合させる時間、ブロッキング剤(例えば、血清アルブミン、ミルクカゼイン)の濃度のような適切な結合条件などは、当業者であれば、通常の技法を使用して最適化することができる。
【0352】
ある特定の実施形態では、本開示の核酸分子によってコードされるFVIIIタンパク質は、1つまたはそれ以上のトランケートされたFc領域であって、トランケートされているにもかかわらず、Fcレセプター(FcR)結合特性をFc領域に付与するのに十分である、トランケートされたFc領域を含む。例えば、FcRnに結合するFc領域の部分(すなわち、FcRn結合部分)は、EUの番号付けで、IgG1の282~438位周辺のアミノ酸を含む(主要な接触部位は、CH2ドメインの248、250~257、272、285、288、290~291、308~311、および314位のアミノ酸と、CH3ドメインの385~387、428、および433~436位のアミノ酸残基である)。よって、本開示のFc領域は、FcRn結合部分を含むかまたはそれからなる場合がある。FcRn結合部分は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含むいずれかのアイソタイプの重鎖に由来する場合がある。一実施形態では、ヒトアイソタイプIgG1の抗体由来のFcRn結合部分が使用される。別の実施形態では、ヒトアイソタイプIgG4の抗体由来のFcRn結合部分が使用される。
【0353】
Fc領域は、いくつかの異なる供給源から得ることができる。一実施形態では、ポリペプチドのFc領域は、ヒト免疫グロブリンに由来する。しかしながら、Fc部分は、例えば、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット)または非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー、マカク)種を含む別の哺乳動物種の免疫グロブリンに由来する場合がある。さらに、Fcドメインまたはその部分のポリペプチドは、IgM、IgG、Ig
D、IgAおよびIgEを含む任意の免疫グロブリンクラス、ならびにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む任意の免疫グロブリンアイソタイプに由来する場合がある。別の実施形態では、ヒトアイソタイプIgG1が使用される。
【0354】
ある特定の実施形態では、Fcバリアントにより、前記野生型Fcドメインを含むFc部分によって付与される少なくとも1つのエフェクター機能に変化がもたらされる(例えば、Fcレセプター(例えば、FcγRI、FcγRII、またはFcγRIII)もしくは補体タンパク質(例えば、C1q)に結合するか、または抗体依存性細胞障害性(ADCC)、食作用、もしくは補体依存性細胞障害性(CDCC)を誘発するFc領域の能力の改善または低下)。他の実施形態では、Fcバリアントにより、操作されたシステイン残基がもたらされる。
【0355】
本開示のFc領域は、エフェクター機能および/またはFcRもしくはFcRnの結合を変化させる(例えば、増強または低減する)ことが知られている技術分野で認識されるFcバリアントを用いることができる。具体的には、本開示のFc領域は、例えば、それらのそれぞれを参照によって本明細書に組み入れる、国際PCT出願公開第WO88/07089A1号、同第WO96/14339A1号、同第WO98/05787A1号、同第WO98/23289A1号、同第WO99/51642A1号、同第WO99/58572A1号、同第WO00/09560A2号、同第WO00/32767A1号、同第WO00/42072A2号、同第WO02/44215A2号、同第WO02/060919A2号、同第WO03/074569A2号、同第WO04/016750A2号、同第WO04/029207A2号、同第WO04/035752A2号、同第WO04/063351A2号、同第WO04/074455A2号、同第WO04/099249A2号、同第WO05/040217A2号、同第WO04/044859号、同第WO05/070963A1号、同第WO05/077981A2号、同第WO05/092925A2号、同第WO05/123780A2号、同第WO06/019447A1号、同第WO06/047350A2号および同第WO06/085967A2号;米国特許出願公開第US2007/0231329号、同第US2007/0231329号、同第US2007/0237765号、同第US2007/0237766号、同第US2007/0237767号、同第US2007/0243188号、同第US2007/0248603号、同第US2007/0286859号、同第US2008/0057056号;または米国特許第5,648,260号、同第5,739,277号、同第5,834,250号、同第5,869,046号、同第6,096,871号、同第6,121,022号、同第6,194,551号、同第6,242,195号、同第6,277,375号、同第6,528,624号、同第6,538,124号、同第6,737,056号、同第6,821,505号、同第6,998,253号、同第7,083,784号、同第7,404,956号、および同第7,317,091号に開示されているアミノ酸位置のうちの1つまたはそれ以上に、変更(例えば、置換)を含むことができる。一実施形態では、具体的な変更(例えば、当技術分野において開示されている1つまたはそれ以上のアミノ酸の具体的な置換)は、開示されているアミノ酸位置のうちの1つまたはそれ以上においてなされる。別の実施形態では、開示されているアミノ酸位置のうちの1つまたはそれ以上において異なる変更(例えば、当技術分野において開示されている1つまたはそれ以上のアミノ酸位置の異なる置換)がなされる。
【0356】
部位特異的突然変異誘発などのような十分に認識されている手順に従って、IgGのFc領域またはFcRn結合パートナーを改変して、FcRnが結合することになる改変型IgGもしくはFc断片またはその部分を得ることができる。このような改変として、FcRn接触部位から離れた部位の改変と、FcRnへの結合を保持するかまたはさらには増強する、接触部位内の改変が挙げられる。例えば、FcRnに対するFc結合親和性を有意に喪失することなく、ヒトIgG1 Fc(Fcγ1)における以下の単一のアミノ
酸残基を置換することができる:P238A、S239A、K246A、K248A、D249A、M252A、T256A、E258A、T260A、D265A、S267A、H268A、E269A、D270A、E272A、L274A、N276A、Y278A、D280A、V282A、E283A、H285A、N286A、T289A、K290A、R292A、E293A、E294A、Q295A、Y296F、N297A、S298A、Y300F、R301A、V303A、V305A、T307A、L309A、Q311A、D312A、N315A、K317A、E318A、K320A、K322A、S324A、K326A、A327Q、P329A、A330Q、P331A、E333A、K334A、T335A、S337A、K338A、K340A、Q342A、R344A、E345A、Q347A、R355A、E356A、M358A、T359A、K360A、N361A、Q362A、Y373A、S375A、D376A、A378Q、E380A、E382A、S383A、N384A、Q386A、E388A、N389A、N390A、Y391F、K392A、L398A、S400A、D401A、D413A、K414A、R416A、Q418A、Q419A、N421A、V422A、S424A、E430A、N434A、T437A、Q438A、K439A、S440A、S444AおよびK447A(例えば、P238Aは、位置数238における野生型プロリンのアラニンへの置換を表す)。一例として、具体的な実施形態では、N297A突然変異を組み込んで、高度に保存されたN糖鎖付加部位を除去している。アラニンに加えて、上で特定した位置の野生型アミノ酸を他のアミノ酸で置換することができる。突然変異を個々にFcに組み込んで、ネイティブFcと異なるFc領域を100個超もたらすことができる。さらに、これらの個々の突然変異のうちの2つ、3つ、またはそれ以上の組合せを一緒に組み込んで、何百ものさらなるFc領域をもたらすことができる。
【0357】
上記のうちの特定の突然変異により、Fc領域またはFcRn結合パートナーに、新たな機能を付与することができる。例えば、一実施形態では、N297Aを組み込んで、高度に保存されたN糖鎖付加部位を除去している。この突然変異の作用は、免疫原性を低減することであり、それによって、Fc領域の循環血液中半減期が増強すること、およびFcRnに対する親和性を損なうことなく、Fc領域がFcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、およびFcγRIIIAに結合するのを不可能とすることである(Routledgeら 1995年、Transplantation 60:847頁;Friendら 1999年、Transplantation 68:1632頁;Shieldsら 1995年、J.Biol.Chem. 276:6591頁)。上記の突然変異に起因する新たな機能のさらなる例として、いくつかの例では、FcRnに対する親和性を野生型の親和性よりも増加させることができる。この親和性の増加は、「会合」速度の上昇、「解離」速度の低下または「会合」速度の上昇と「解離」速度の低下の両方を反映することができる。FcRnに対する親和性を増加させると考えられる突然変異の例として、これらに限定されないが、T256A、T307A、E380A、およびN434Aが挙げられる(Shieldsら 2001年、J.Biol.Chem. 276:6591頁)。
【0358】
さらに、少なくとも3つのヒトFcガンマレセプターは、下流のヒンジ領域、一般的には、234~237位のアミノ酸内の、IgG上の結合部位を認識すると考えられる。したがって、新たな機能および免疫原性の潜在的な減少の別の例は、例えば、ヒトIgG1の233~236位のアミノ酸「ELLG」(配列番号45)を、IgG2の対応する配列「PVA」(1つのアミノ酸が欠失している)で置換することによるなど、この領域の突然変異に起因する場合がある。このような突然変異が導入された場合、様々なエフェクター機能を媒介するFcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIが、IgG1に結合しなくなることが示されている。WardおよびGhetie 1995年、Therapeutic Immunology 2:77頁およびArmourら 1999年
、Eur.J.Immunol. 29:2613頁。
【0359】
別の実施形態では、免疫グロブリン定常領域またはその一部は、ヒンジ領域またはその一部に、第2の免疫グロブリン定常領域またはその一部と1つまたはそれ以上のジスルフィド結合を形成するアミノ酸配列を含む。第2の免疫グロブリン定常領域またはその一部は、第2のポリペプチドに連結して、FVIIIタンパク質と第2のポリペプチドを一体とすることができる。一部の実施形態では、第2のポリペプチドは、エンハンサー部分である。本明細書で使用されるように、用語「エンハンサー部分」は、FVIIIの凝固促進活性を増強することが可能な分子、その断片またはポリペプチドの構成成分を指す。エンハンサー部分は、可溶性組織因子(sTF)のような補因子であるか、または凝固促進ペプチドである。よって、FVIIIの活性化の際に、エンハンサー部分は、FVIIIの活性を増強するために利用可能である。
【0360】
ある特定の実施形態では、本開示の核酸分子によってコードされるFVIIIタンパク質は、Ig定常領域の抗原依存性エフェクター機能、特に、タンパク質の循環血液中半減期を変化させる、免疫グロブリン定常領域またはその一部(例えば、Fcバリアント)に対するアミノ酸置換を含む。
【0361】
2.scFc領域
別の態様では、異種部分は、scFc(単鎖Fc)領域を含む。一実施形態では、本開示の単離された核酸分子は、ScFc領域をコードする異種核酸配列をさらに含む。scFc領域は、同じ直鎖状ポリペプチド鎖内に、フォールディングして(例えば、分子内または分子間フォールディングして)、Fcペプチドリンカーによって連結される1つの機能性scFc領域を形成することが可能な、少なくとも2つの免疫グロブリン定常領域またはその部分(例えば、Fc部分またはFcドメイン(例えば、2、3、4、5、6個、またはそれ以上のFc部分またはドメイン))を含む。例えば、一実施形態では、半減期を改善するかもしくは免疫エフェクター機能(例えば、抗体依存性細胞障害性(ADCC)、食作用、または補体依存性細胞障害性(CDCC))を誘発する、および/または製造性を改善する目的で、本開示のポリペプチドは、そのScFc領域を介して、少なくとも1つのFcレセプター(例えば、FcRn、FcγRレセプター(例えば、FcγRIII)、または補体タンパク質(例えば、C1q))に結合することが可能である。
【0362】
3.CTP
別の態様では、異種部分は、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットの1つのC末端ペプチド(CTP)、またはその断片、バリアントもしくは誘導体を含む。組換えタンパク質に挿入された1つまたはそれ以上のCTPペプチドは、そのタンパク質のin vivo半減期を増加させることが知られている。例えば、参照によってその全体として本明細書に組み入れる、米国特許第5,712,122号を参照のこと。
【0363】
例示的なCTPペプチドとして、DPRFQDSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPIL(配列番号33)またはSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号34)が挙げられる。例えば、参照によって組み入れる、米国特許出願公開第2009/0087411A1号を参照のこと。
【0364】
4.XTEN配列
一部の実施形態では、異種部分は、1つまたはそれ以上のXTEN配列、その断片、バリアント、または誘導体を含む。本明細書で使用されるように、「XTEN配列」は、低分子親水性アミノ酸で主に構成され、生理的条件下では二次構造もしくは三次構造をとる程度が低いかまたはそれをとらない、天然に存在しない、実質的に非反復の配列を有する伸長したポリペプチドを指す。異種部分として、XTENは、半減期延長部分としての機
能を果たすことができる。さらに、XTENは、これらに限定されないが、薬物動態パラメータおよび溶解特性の増強を含む所望の特性をもたらすことができる。
【0365】
XTEN配列を含む異種部分の、本開示のタンパク質への組み込みにより、以下の有利な特性:立体配座の柔軟性、水溶解性の向上、高度なプロテアーゼ耐性、低免疫原性、哺乳動物レセプターへの低結合性、または流体力学的(またはストークス)半径の増大という有益な特性のうちの1つまたはそれ以上をタンパク質に付与することができる。
【0366】
特定の態様では、XTEN配列は、より長いin vivo半減期または曲線下面積(AUC)の増加のような薬物動態特性を向上させることができ、その結果、本開示のタンパク質は、in vivoに留まり、XTENという異種部分を有さないこと以外は同じであるタンパク質と比較して増加した期間、凝固促進活性を有する。
【0367】
一部の実施形態では、本開示に関して有用なXTEN配列は、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1200、1400、1600、1800、または2000個を超えるアミノ酸残基を有するペプチドまたはポリペプチドである。ある特定の実施形態では、XTENは、約20超から約3000個のアミノ酸残基、30超から約2500個の残基、40超から約2000個の残基、50超から約1500個の残基、60超から約1000個の残基、70超から約900個の残基、80超から約800個の残基、90超から約700個の残基、100超から約600個の残基、110超から約500個の残基、または120超から約400個の残基を有するペプチドまたはポリペプチドである。特定の一実施形態では、XTENは、長さが、42個のアミノ酸より長く、144個のアミノ酸より短い、アミノ酸配列を含む。
【0368】
本開示のXTEN配列は、5から14個(例えば、9から14個)のアミノ酸残基のうちの1つもしくはそれ以上の配列モチーフ、または配列モチーフと少なくとも80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含むことができ、そのモチーフは、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)およびプロリン(P)からなる群から選択される4から6種のアミノ酸(例えば、5種類のアミノ酸)を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる。US2010-0239554A1を参照のこと。
【0369】
一部の実施形態では、XTENは、配列の約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%または約100%が、表4から選択される単一のモチーフファミリーから選択される非重複配列の複数ユニットからなる(その結果、ファミリー配列が得られる)非重複配列モチーフを含む。
【0370】
本明細書で使用されるように、「ファミリー」は、XTENが、表4からの単一のモチーフカテゴリー、すなわち、AD、AE、AF、AG、AM、AQ、BC、またはBDのXTENのみから選択されるモチーフを有することと、およびファミリーモチーフに由来しないXTENにおける任意の他のアミノ酸が、必要とされる特性を実現するために、例えば、コードヌクレオチドによる制限部位の組み込み、切断配列の組み込みを可能とするために、またはFVIIIの十分な連結を実現するために選択されることを意味する。XTENファミリーの一部の実施形態では、XTEN配列は、ADモチーフファミリー、またはAEモチーフファミリー、またはAFモチーフファミリー、またはAGモチーフファ
ミリー、またはAMモチーフファミリー、またはAQモチーフファミリー、またはBCファミリー、またはBDファミリーの非重複配列モチーフを複数ユニット含み、得られたXTENは、上記の範囲の相同性を示す。他の実施形態では、XTENは、表4のモチーフファミリーのうちの2つまたはそれ以上からのモチーフ配列を複数ユニットを含む。
【0371】
これらの配列は、以下にさらに詳しく説明されている、モチーフのアミノ酸組成によって付与される実効電荷、親水性、二次構造の欠如、または反復性の欠如のような特性を含む所望の物理的/化学的特徴を実現するように選択することができる。この段落で説明される上記の実施形態では、本明細書に記載されている方法を使用して、XTENに組み込まれるモチーフを選択およびアセンブルして、約36から約3000個のアミノ酸残基のXTENを実現することができる。
【0372】
【表5】
【0373】
本開示のキメラタンパク質において、異種部分として使用することができるXTEN配列の例は、例えば、そのそれぞれを参照によってその全体として本明細書に組み入れる、米国特許出願公開第2010/0239554A1号、同第2010/0323956A
1号、同第2011/0046060A1号、同第2011/0046061A1号、同第2011/0077199A1号もしくは同第2011/0172146A1号、または国際特許出願公開第WO2010/091122A1号、同第WO2010/144502A2号、同第WO2010/144508A1号、同第WO2011/028228A1号、同第WO2011/028229A1、もしくは同第WO2011/028344A2号に開示されている。
【0374】
FVIIIに挿入または連結するために、XTENは様々な長さを有する場合がある。一実施形態では、XTEN配列の長さは、融合タンパク質において実現される特性または機能に基づいて選択される。意図する特性または機能に応じて、XTENは、長さが短いかもしくは中程度の配列または担体としての役割を果たすことができるより長い配列である。ある特定の実施形態では、XTENは、約6から約99個のアミノ酸残基という短いセグメント、約100から約399個のアミノ酸残基という中程度の長さ、および約400から約1000個、かつ最大で約3000個のアミノ酸残基というより長い長さを含む。よって、FVIIIに挿入または連結されるXTENは、約6、約12、約36、約40、約42、約72、約96、約144、約288、約400、約500、約576、約600、約700、約800、約864、約900、約1000、約1500、約2000、約2500、または最大で約3000個のアミノ酸残基長の長さを有する場合がある。他の実施形態では、XTEN配列は、約6から約50、約50から約100、約100から150、約150から250、約250から400、約400から約500、約500から約900、約900から1500、約1500から2000、または約2000から約3000個のアミノ酸残基長である。
【0375】
FVIIIに挿入または連結されるXTENの正確な長さは、FVIIIの活性に有害な影響を及ぼさなければ、様々である。一実施形態では、本発明で使用されるXTENのうちの1つまたはそれ以上は、42個のアミノ酸、72個のアミノ酸、144個のアミノ酸、288個のアミノ酸、576個のアミノ酸、または864個のアミノ酸長さを有し、XTENファミリー配列、すなわち、AD、AE、AF、AG、AM、AQ、BCまたはBDのうちの1つまたはそれ以上から選択することができる。
【0376】
一部の実施形態では、本開示で使用されるXTEN配列は、AE42、AG42、AE48、AM48、AE72、AG72、AE108、AG108、AE144、AF144、AG144、AE180、AG180、AE216、AG216、AE252、AG252、AE288、AG288、AE324、AG324、AE360、AG360、AE396、AG396、AE432、AG432、AE468、AG468、AE504、AG504、AF504、AE540、AG540、AF540、AD576、AE576、AF576、AG576、AE612、AG612、AE624、AE648、AG648、AG684、AE720、AG720、AE756、AG756、AE792、AG792、AE828、AG828、AD836、AE864、AF864、AG864、AM875、AE912、AM923、AM1318、BC864、BD864、AE948、AE1044、AE1140、AE1236、AE1332、AE1428、AE1524、AE1620、AE1716、AE1812、AE1908、AE2004A、AG948、AG1044、AG1140、AG1236、AG1332、AG1428、AG1524、AG1620、AG1716、AG1812、AG1908、AG2004、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される配列と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。US2010-0239554A1を参照のこと。特定の一実施形態では、XTENは、AE42、AE72、AE144、AE288、AE576、AE864、AG42、AG72、AG144、AG288、AG576、AG864、またはこれらの任意の組合せを含む。
【0377】
本開示のキメラタンパク質において、異種部分として使用することができる例示的なXTEN配列として、XTEN AE42-4(配列番号47によってコードされる配列番号46、それぞれ図11Cおよび図11D)、XTEN 144-2A(配列番号49によってコードされる配列番号48、それぞれ図11Eおよび図11F)、XTEN A144-3B(配列番号51によってコードされる配列番号50、それぞれ図11Gおよび図11H)、XTEN AE144-4A(配列番号53によってコードされる配列番号52、それぞれ図11Iおよび図11J)、XTEN AE144-5A(配列番号55によってコードされる配列番号54、それぞれ図11Kおよび図11L)、XTEN AE144-6B(配列番号57によってコードされる配列番号56、それぞれ図11Mおよび図11N)、XTEN AG144-1(配列番号59によってコードされる配列番号58、それぞれ図11Oおよび図11P)、XTEN AG144-A(配列番号61によってコードされる配列番号60、それぞれ図11Qおよび図11R)、XTEN AG144-B(配列番号63によってコードされる配列番号62、それぞれ図11Sおよび図11T)、XTEN AG144-C(配列番号65によってコードされる配列番号64、それぞれ図11Uおよび図11V)、およびXTEN AG144-F(配列番号67によってコードされる配列番号66、それぞれ図11Wおよび図11X)が挙げられる。特定の一実施形態では、XTENは、配列番号18によってコードされる。
【0378】
一部の実施形態では、XTENのアミノ酸の100%未満が、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)およびプロリン(P)から選択されるか、または配列の100%未満が、表4からの配列モチーフもしくは本発明で提供されるXTEN配列からなる。このような実施形態では、XTENの残りのアミノ酸残基は、他の14種の天然L-アミノ酸のうちのいずれかから選択されるが、XTEN配列が、親水性アミノ酸を少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも約99%含有するように、親水性アミノ酸から優先的に選択することができる。
【0379】
共役構築物において利用されるXTENにおける疎水性アミノ酸の含有率は、5%未満、または2%未満、または1%未満である。XTENの構築の際に、あまり好ましくない疎水性残基として、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、およびメチオニンが挙げられる。さらに、XTEN配列は、以下のアミノ酸:メチオニン(例えば、酸化を回避するため)、またはアスパラギンおよびグルタミン(脱アミド化を回避するため)を5%未満または4%未満または3%未満または2%未満または1%未満または0%含有することができる。
【0380】
1つまたはそれ以上のXTEN配列は、ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列のC末端もしくはN末端に挿入することができるか、または、ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列の2つのアミノ酸の間に挿入することができる。例えば、XTENは、表3から選択される1つまたはそれ以上の挿入部位の2つのアミノ酸の間に挿入することができる。XTEN挿入を許すFVIIIの中の部位の例は、例えば、本明細書に参照により完全に組み入れる、国際公開番号WO2013/123457 A1または米国特許公開番号2015/0158929 A1に見出すことができる。
【0381】
5.アルブミン、またはその断片、誘導体もしくはバリアント
一部の実施形態では、異種部分は、アルブミンまたはその機能性断片を含む。完全長形態では609個のアミノ酸のタンパク質であるヒト血清アルブミン(HSA、またはHA)は、血清の浸透圧のかなりの部分を担っており、内因性および外因性リガンドの担体としても機能する。本明細書で使用されるように、用語「アルブミン」は、完全長アルブミンまたはその機能性断片、バリアント、誘導体、もしくはアナログを含む。アルブミンま
たはその断片もしくはバリアントの例は、参照によってその全体として本明細書に組み入れる、米国特許出願公開第2008/0194481 A1号、同第2008/0004206 A1号、同第2008/0161243 A1号、同第2008/0261877 A1号、もしくは同第2008/0153751 A1号、またはPCT特許出願公開第WO2008/033413 A2号、同第WO2009/058322 A1号、もしくは同第WO2007/021494 A2号に開示されている。
【0382】
一実施形態では、本開示の核酸分子によってコードされるFVIIIタンパク質は、免疫グロブリン定常領域またはその部分(例えばFc領域)、PAS配列、HESおよびPEGからなる群から選択される第2の異種部分にさらに連結されたアルブミン、その断片、またはバリアントを含む。
【0383】
6.アルブミン結合部分
ある特定の実施形態では、異種部分は、アルブミン結合ペプチド、細菌アルブミン結合ドメイン、アルブミン結合抗体断片、またはこれらの任意の組合せを含むアルブミン結合部分である。
【0384】
例えば、アルブミン結合タンパク質は、細菌アルブミン結合タンパク質、ドメイン抗体を含む抗体または抗体断片である場合がある(米国特許第6,696,245号を参照のこと)。アルブミン結合タンパク質は、例えば、連鎖球菌タンパク質Gのもののような細菌アルブミン結合ドメインである場合がある(Konig,TおよびSkerra,A.(1998)J. Immunol. Methods 218、73~83頁)。共役パートナーとして使用することができるアルブミン結合ペプチドの他の例は、例えば、米国特許出願公開第2003/0069395号またはDennisら(Dennisら(2002)J. Biol. Chem. 277、35035~35043頁)に記載されているように、Cys-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Cysというコンセンサス配列(配列中、Xaaは、Asp、Asn、Ser、Thr、またはTrpであり、Xaaは、Asn、Gln、His、Ile、Leu、またはLysであり、Xaaは、Ala、Asp、Phe、Trp、またはTyrであり、Xaaは、Asp、Gly、Leu、Phe、Ser、またはThrである)を有するものである。
【0385】
Kraulisら、FEBS Lett. 378:190~194頁(1996)およびLinhultら、Protein Sci. 11:206~213頁(2002)に開示されているように、連鎖球菌タンパク質Gからのドメイン3は、細菌アルブミン結合ドメインの一例である。アルブミン結合ペプチドの例として、コア配列DICLPRWGCLW(配列番号35)を有する一連のペプチドが挙げられる。例えば、Dennisら、J. Biol. Chem. 2002年、277:35035~35043頁(2002)を参照のこと。アルブミン結合抗体断片の例は、参照によってその全体として本明細書に組み入れる、MullerおよびKontermann、Curr. Opin. Mol. Ther. 9:319~326頁(2007);Rooversら、Cancer Immunol. Immunother. 56:303~317頁(2007)、およびHoltら、Prot. Eng. Design Sci.、21:283~288頁(2008)に開示されている。このようなアルブミン結合部分の例は、Trusselら、Bioconjugate Chem. 20:2286~2292頁(2009)に開示されている2-(3-マレイミドプロパンアミド)-6-(4-(4-ヨードフェニル)ブタンアミド)ヘキサノエート(「Albu」タグ)である。
【0386】
脂肪酸、特に、長鎖脂肪酸(LCFA)および長鎖脂肪酸様アルブミン結合化合物を使用して、本開示のFVIIIタンパク質のin vivo半減期を延長することができる
。LCFA様アルブミン結合化合物の例は、16-(1-(3-(9-(((2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)カルボニルオキシ)-メチル)-7-スルホ-9H-フルオレン-2-イルアミノ)-3-オキソプロピル)-2,5-ジオキソピロリジン-3-イルチオ)ヘキサデカン酸である(例えば、WO2010/140148を参照のこと)。
【0387】
7.PAS配列
他の実施形態では、異種部分は、PAS配列である。PAS配列は、本明細書で使用されるように、アラニン残基およびセリン残基を主に含むかまたはアラニン残基、セリン残基、およびプロリン残基を主に含むアミノ酸配列であって、生理的条件下でランダムコイル立体配座を形成するアミノ酸配列を意味する。したがって、PAS配列は、キメラタンパク質において異種部分の一部として使用することができるアラニン、セリン、およびプロリンを含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるビルディングブロック、アミノ酸ポリマー、または配列カセットである。ただし、PAS配列における微量成分として、アラニン、セリン、およびプロリン以外の残基が付加される場合、アミノ酸ポリマーがランダムコイル立体配座を形成できることは、当業者であれば分かる。
【0388】
用語「微量成分」は、本明細書で使用されるように、アラニン、セリン、およびプロリン以外のアミノ酸を、PAS配列に、ある特定の程度まで、例えば、最大で約12%、すなわち、PAS配列の100個のアミノ酸のうちの約12個、最大で約10%、すなわち、PAS配列の100個のアミノ酸のうちの約10個、最大で約9%、すなわち、100個のアミノ酸のうちの約9個、最大で約8%、すなわち、100個のアミノ酸のうちの約8個、約6%、すなわち、100個のアミノ酸のうちの約6個、約5%、すなわち、100個のアミノ酸のうちの約5個、約4%、すなわち、100個のアミノ酸のうちの約4個、約3%、すなわち、100個のアミノ酸のうちの約3個、約2%、すなわち、100個のアミノ酸のうちの約2個、約1%、すなわち、100個のアミノ酸うちの約1個付加できることを意味する。アラニン、セリン、およびプロリンと異なるアミノ酸は、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Thr、Trp、Tyr、およびValからなる群から選択することができる。
【0389】
生理的条件下では、PAS配列伸長体は、ランダムコイル立体配座を形成し、それによって、FVIIIタンパク質に対して、in vivoおよび/またはin vitro安定性の増加を媒介することができる。ランダムコイルドメインは、それ自体が安定な構造または機能を持たないため、FVIIIタンパク質によって媒介される生体活性は、本質的に保持される。他の実施形態では、ランダムコイルドメインを形成するPAS配列は、特に、血漿中でのタンパク質分解、免疫原性、等電点/静電挙動、細胞表面レセプターへの結合またはインターナリゼーションに関して、生物学的に不活性であるが、生分解性を有し、それにより、PEGのような合成ポリマーを上回る明らかな利点をもたらす。
【0390】
ランダムコイル立体配座を形成するPAS配列の非限定例は、ASPAAPAPASPAAPAPSAPA(配列番号36)、AAPASPAPAAPSAPAPAAPS(配列番号37)、APSSPSPSAPSSPSPASPSS(配列番号38)、APSSPSPSAPSSPSPASPS(配列番号39)、SSPSAPSPSSPASPSPSSPA(配列番号40)、AASPAAPSAPPAAASPAAPSAPPA(配列番号41)およびASAAAPAAASAAASAPSAAA(配列番号42)またはこれらの任意の組合せからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。PAS配列のさらなる例は、例えば、米国特許出願公開第2010/0292130 A1号およびPCT特許出願公開第WO2008/155134 A1号から公知である。
【0391】
8.HAP配列
ある特定の実施形態では、異種部分は、グリシンリッチホモアミノ酸ポリマー(HAP)である。HAP配列は、少なくとも50個のアミノ酸、少なくとも100個のアミノ酸、120個のアミノ酸、140個のアミノ酸、160個のアミノ酸、180個のアミノ酸、200個のアミノ酸、250個のアミノ酸、300個のアミノ酸、350個のアミノ酸、400個のアミノ酸、450個のアミノ酸、または500個のアミノ酸長を有するグリシン反復配列を含む場合がある。一実施形態では、HAP配列は、HAP配列に融合または連結された部分の半減期を延長することが可能である。HAP配列の非限定例として、これらに限定されないが、(Gly)、(GlySer)またはS(GlySer)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20である)が挙げられる。一実施形態では、nは、20、21、22、23、24、25、26、26、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40である。別の実施形態では、nは、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200である。
【0392】
9.トランスフェリンまたはその断片
ある特定の実施形態では、異種部分は、トランスフェリンまたはその断片である。いずれかのトランスフェリンを使用して、本開示のFVIIIタンパク質を作製することができる。一例として、野生型ヒトTF(TF)は、およそ75KDaの679個のアミノ酸タンパク質であり(糖鎖付加は考慮せず)、2つの主要ドメイン、N(約330個のアミノ酸)およびC(約340個のアミノ酸)を有し、遺伝子重複に起因すると考えられる。その全てを参照によってその全体として本明細書に組み入れる、GenBank受託番号NM001063、XM002793、M12530、XM039845、XM039847およびS95936(www.ncbi.nlm.nih.gov/)を参照のこと。トランスフェリンは、2つのドメイン、NドメインおよびCドメインを含む。Nドメインは、N1ドメインおよびN2ドメインという2つのサブドメインを含み、Cドメインは、C1ドメインおよびC2ドメインという2つのサブドメインを含む。
【0393】
一実施形態では、トランスフェリン異種部分として、トランスフェリンスプライスバリアントが挙げられる。一例では、トランスフェリンスプライスバリアントは、ヒトトランスフェリンのスプライスバリアント、例えばGenBank受託AAA61140である場合がある。別の実施形態では、キメラタンパク質のトランスフェリン部分は、トランスフェリン配列の1つまたはそれ以上のドメイン、例えば、Nドメイン、Cドメイン、N1ドメイン、N2ドメイン、C1ドメイン、C2ドメインまたはこれらの任意の組合せを含む。
【0394】
10.クリアランスレセプター
ある特定の実施形態では、異種部分は、クリアランスレセプター、その断片、バリアント、または誘導体である。LRP1は、第X因子のような種々のタンパク質のレセプター媒介性クリアランスに関与する600KDaの膜内在性タンパク質である。例えば、Naritaら、Blood 91:555~560頁(1998)を参照のこと。
【0395】
11.フォンビルブランド因子またはその断片
ある特定の実施形態では、異種部分は、フォンビルブランド因子(VWF)またはその1つもしくはそれ以上の断片である。
【0396】
VWF(F8VWFとしても知られている)は、血漿中に存在し、内皮(バイベルパラーデ小体内)、巨核球(血小板のα顆粒)、および内皮下結合組織において構成的に産生される大きな多量体糖タンパク質である。基本的なVWF単量体は、2813個のアミノ
酸のタンパク質である。各単量体は、D’およびD3ドメイン(一体になって、第VIII因子に結合する)、A1ドメイン(血小板GPIbレセプター、ヘパリン、および/またはおそらくはコラーゲンに結合する)、A3ドメイン(コラーゲンに結合する)、C1ドメイン(このドメインが活性化すると、RGDドメインが血小板インテグリンαIIbβ3に結合する)、ならびにタンパク質のC末端にある「システインノット」ドメイン(VWFは、このドメインを血小板由来成長因子(PDGF)、形質転換成長因子-β(TGFβ)およびβ-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(βHCG)と共有する)という、特有の機能を有するいくつかの特有のドメインを含有する。
【0397】
ヒトVWFの2813個の単量体アミノ酸配列は、GenBankの受託番号NP000543.2として報告されている。ヒトVWFをコードするヌクレオチド配列は、GenBankの受託番号NM00552.3として報告されている。配列番号44(図11B)は、配列番号43によってコードされるアミノ酸配列である。D’ドメインは、配列番号44の764から866位のアミノ酸を含む。D3ドメインは、配列番号44の867から1240位のアミノ酸を含む。
【0398】
血漿中では、FVIIIの95~98%は、完全長VWFとの強固な非共有結合複合体中で循環する。in vivoでFVIIIIの適切な血漿中レベルを維持するために、この複合体の形成が重要である。Lentingら、Blood. 92(11):3983~96(1998);Lentingら、J. Thromb. Haemost.
5(7):1353~60頁(2007)。重鎖の372および740位と、軽鎖の1689位におけるタンパク質分解により、FVIIIが活性化される場合、FVIIIに結合したVWFが、活性化FVIIIから外れる。
【0399】
ある特定の実施形態では、異種部分は、完全長フォンビルブランド因子である。他の実施形態では、異種部分は、フォンビルブランド因子断片である。本明細書で使用されるように、用語「1つのVWF断片」または「複数のVWF断片」は、FVIIIと相互作用し、完全長VWFによってFVIIIに通常もたらされる、少なくとも1つまたはそれ以上の特性、例えば、FVIIIaに対する早期活性化を防止すること、早期タンパク質分解を防止すること、早期クリアランスをもたらすことのあるリン脂質膜との会合を防止すること、ネイキッドFVIIIには結合することができるがVWFの結合したFVIIIには結合することができないFVIIIクリアランスレセプターへの結合を防止すること、および/またはFVIIIの重鎖と軽鎖の相互作用を安定化することを保持する任意のVWF断片を意味する。具体的な実施形態では、異種部分は、VWFのD’ドメインおよびD3ドメインを含む(VWF)断片である。D’ドメインおよびD3ドメインを含むVWF断片は、A1ドメイン、A2ドメイン、A3ドメイン、D1ドメイン、D2ドメイン、D4ドメイン、B1ドメイン、B2ドメイン、B3ドメイン、C1ドメイン、C2ドメイン、CKドメイン、これらの1つまたはそれ以上の断片、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択されるVWFドメインをさらに含むことができる。VWF断片に融合したFVIII活性を有するポリペプチドのさらなる例は、その両方を参照によってその全体として本明細書に組み入れる、2012年7月3日に出願された米国仮特許出願第61/667,901号、および米国特許出願公開第2015/0023959 A1号に開示されている。
【0400】
12.リンカー部分
ある特定の実施形態では、異種部分は、ペプチドリンカーである。
【0401】
本明細書で使用されるように、用語「ペプチドリンカー」または「リンカー部分」は、ポリペプチド鎖の直鎖状アミノ酸配列における2つのドメインを接続するペプチドまたはポリペプチド配列(例えば、合成ペプチドまたはポリペプチド配列)を指す。
【0402】
一部の実施形態では、ペプチドリンカーをコードする異種ヌクレオチド配列は、本開示の最適化FVIIIポリヌクレオチド配列と、例えばアルブミンなどの上記の異種部分の1つをコードする異種ヌクレオチド配列の間に挿入することができる。ペプチドリンカーは、キメラポリペプチド分子に柔軟性を提供することができる。リンカーは一般的に切断されないが、そのような切断が望ましいことがある。一実施形態では、これらのリンカーは、プロセシングの間、除去されない。
【0403】
本開示のキメラタンパク質中に存在することができるタイプのリンカーは、切断部位(すなわち、プロテアーゼ切断部位基質、例えば、第XIa因子、第Xa因子、またはトロンビン切断部位)を含み、その切断部位のN末端もしくはC末端のいずれかまたは両側に追加のリンカーを含むことができる、プロテアーゼで切断可能なリンカーである。これらの切断可能なリンカーは、本開示の構築物に組み込まれると、異種の切断部位を有するキメラ分子を生じる。
【0404】
一実施形態では、本開示の核酸分子によってコードされるFVIIIポリペプチドは、単一のポリペプチド鎖に含まれるFc領域を形成するように、cscFcリンカーを介して連結された2つまたはそれ以上のFcドメインもしくはFc部分を含む。cscFcリンカーは、少なくとも1つの細胞内プロセシング部位、すなわち、細胞内酵素によって切断される部位に隣接している。少なくとも1つの細胞内プロセシング部位でポリペプチドが切断されると、少なくとも2本のポリペプチド鎖を含むポリペプチドが得られる。
【0405】
他のペプチドリンカーを、本開示の構築物において、例えば、FVIIIタンパク質をFc領域に接続するために、場合により使用することができる。本開示との関連で使用することができるいくつかの例示的なリンカーとして、例えば、下にさらに詳述されているGlySerアミノ酸を含むポリペプチドが挙げられる。
【0406】
一実施形態では、ペプチドリンカーは、合成、すなわち、天然に存在しないものである。一実施形態では、ペプチドリンカーは、アミノ酸からなる第1の直鎖状配列を、自然には連結されないかまたは自然には遺伝的に融合されないアミノ酸からなる第2の直鎖状配列に連結または遺伝的に融合するアミノ酸配列を含むペプチド(またはポリペプチド)(天然に存在することができるかまたは存在することができない)を含む。例えば、一実施形態では、ペプチドリンカーは、天然に存在するポリペプチドの改変形態である(例えば、付加、置換または欠失のような突然変異を含む)天然に存在しないポリペプチドを含むことができる。別の実施形態では、ペプチドリンカーは、天然に存在しないアミノ酸を含むことができる。別の実施形態では、ペプチドリンカーは、自然には生じない直鎖状配列で生じる天然に存在するアミノ酸を含むことができる。さらに別の実施形態では、ペプチドリンカーは、天然に存在するポリペプチド配列を含むことができる。
【0407】
例えば、ある特定の実施形態では、ペプチドリンカーを使用して、同一のFc部分に融合させ、それによって、ホモ二量体scFc領域を形成することができる。他の実施形態では、ペプチドリンカーを使用して、異なるFc部分(例えば、野生型Fc部分およびFc部分バリアント)に融合させ、それによって、ヘテロ二量体scFc領域を形成することができる。
【0408】
別の実施形態では、ペプチドリンカーは、gly-serリンカーを含むかまたはそれからなる。一実施形態では、scFcまたはcscFcリンカーは、免疫グロブリンヒンジおよびgly-serリンカーの少なくとも一部分を含む。本明細書で使用されるように、用語「gly-serリンカー」は、グリシン残基およびセリン残基からなるペプチドを指す。ある特定の実施形態では、前記gly-serリンカーは、ペプチドリンカー
の2つの他の配列の間に挿入することができる。他の実施形態では、gly-serリンカーは、ペプチドリンカーの別の配列の一端または両端に結合する。また他の実施形態では、2つまたはそれ以上のgly-serリンカーは、ペプチドリンカーに直列に組み込まれる。一実施形態では、本開示のペプチドリンカーは、ヒンジ領域(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4分子に由来する)上流の少なくとも一部、ヒンジ領域(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4分子に由来する)中央の少なくとも一部、および一連のgly/serアミノ酸残基を含む。
【0409】
本開示のペプチドリンカーは、少なくとも1つのアミノ酸長であり、様々な長さである。一実施形態では、本開示のペプチドリンカーは、約1から約50アミノ酸長である。この関連で使用する場合、用語「約」は、+/-2個のアミノ酸残基を示す。リンカー長は、正の整数でなければならないため、約1から約50アミノ酸長の長さは、1~3から48~52アミノ酸長の長さを意味する。別の実施形態では、本開示のペプチドリンカーは、約10から約20アミノ酸長である。別の実施形態では、本開示のペプチドリンカーは、約15から約50アミノ酸長である。別の実施形態では、本開示のペプチドリンカーは、約20から約45アミノ酸長である。別の実施形態では、本開示のペプチドリンカーは、約15から約35または約20から約30アミノ酸長である。別の実施形態では、本開示のペプチドリンカーは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、500、1000または2000アミノ酸長である。一実施形態では、本開示のペプチドリンカーは、20または30アミノ酸長である。
【0410】
一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100個のアミノ酸を含むことができる。他の実施形態では、ペプチドリンカーは、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、または少なくとも1000個のアミノ酸を含むことができる。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、または2000個のアミノ酸を含むことができる。ペプチドリンカーは、1~5個のアミノ酸、1~10個のアミノ酸、1~20個のアミノ酸、10~50個のアミノ酸、50~100個のアミノ酸、100~200個のアミノ酸、200~300個のアミノ酸、300~400個のアミノ酸、400~500個のアミノ酸、500~600個のアミノ酸、600~700個のアミノ酸、700~800個のアミノ酸、800~900個のアミノ酸、または900~1000個のアミノ酸を含むことができる。
【0411】
ペプチドリンカーは、当技術分野で公知の技法を使用して、ポリペプチド配列に導入することができる。改変は、DNA配列解析によって確認することができる。プラスミドDNAを使用して、産生されるポリペプチドが安定して産生されるように宿主細胞を形質転換することができる。
【0412】
I.単量体-二量体ハイブリッド
一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列をさらに含む本開示の単離された核酸分子は、FVIIIを含む単量体-二量体ハイブリッド分子をコードする。
【0413】
本明細書で使用される用語「単量体-二量体ハイブリッド」は、ジスルフィド結合によ
って互いに会合する第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖を含むキメラタンパク質を指し、第1の鎖は、第VIII因子および第1のFc領域を含み、第2の鎖は、FVIIIを含まない第2のFc領域を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。よって、単量体-二量体ハイブリッド構築物は、1つの凝固因子のみを有する単量体の態様、および2つのFc領域を有する二量体の態様を含むハイブリッドである。
【0414】
J.発現制御要素
一部の実施形態では、本開示の核酸分子またはベクターは、少なくとも1つの発現制御配列をさらに含む。発現制御配列は、本明細書で使用されるように、プロモーター配列またはプロモーターとエンハンサーの組合せのような任意の調節ヌクレオチド配列であって、その配列が作動可能に連結するコード核酸の効率的な転写と翻訳を促す、配列である。例えば、本開示の単離された核酸分子は、少なくとも1つの転写制御配列に作動可能に連結される。
【0415】
遺伝子発現制御配列は、例えば、哺乳動物またはウイルスのプロモーター、例えば構成的または誘導可能なプロモーターであってよい。哺乳動物の構成的プロモーターとして、これらに限定されないが、以下の遺伝子に関するプロモーター:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルベートキナーゼ、ベータアクチンプロモーター、および他の構成的プロモーターが挙げられる。真核細胞において構成的に機能する例示的なウイルスプロモーターとして、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス(例えば、SV40)、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルスの長鎖末端反復配列(LTR)、および他のレトロウイルスからのプロモーター、ならびに単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーターが挙げられる。
【0416】
他の構成的プロモーターは、当業者に知られている。本開示の遺伝子発現配列として有用なプロモーターとして、誘導性プロモーターも挙げられる。誘導性プロモーターは、誘導剤の存在下で発現する。例えば、メタロチオネインプロモーターは、ある特定の金属イオンの存在下で誘導されて、転写および翻訳を促進する。他の誘導性プロモーターは、当業者に知られている。
【0417】
一実施形態では、本開示は、組織特異的プロモーターおよび/またはエンハンサーの制御下で、導入遺伝子を発現させることを含む。別の実施形態では、プロモーターまたは他の発現制御配列は、肝細胞における導入遺伝子の発現を選択的に増強する。肝特異的プロモーターの例として、これらに限定されないが、マウスチレチンプロモーター(mTTR)、内因性ヒト第VIII因子プロモーター(F8)、ヒトアルファ1-アンチトリプシンプロモーター(hAAT)、ヒトアルブミン最小プロモーター、およびマウスアルブミンプロモーターが挙げられる。特定の実施形態では、プロモーターは、mTTRプロモーターを含む。mTTRプロモーターは、R.H.Costaら、1986年、Mol. Cell. Biol. 6:4697頁に記載される。F8プロモーターは、FigueiredoおよびBrownlee、1995年、J. Biol. Chem. 270:11828~11838に記載される。
【0418】
1つまたはそれ以上のエンハンサーを使用して、発現レベルをさらに高めて、治療効能を達成することができる。1つまたはそれ以上のエンハンサーは、単独でまたは1つまたはそれ以上のプロモーターエレメントと一緒に提供することができる。典型的には、発現制御配列は、複数のエンハンサーエレメントおよび組織特異的プロモーターを含む。一実施形態では、エンハンサーは、α1-ミクログロブリン/ビクニンエンハンサーの1つまたはそれ以上の複製を含む(Rouetら、1992年、J. Biol. Chem.
267:20765~20773頁;Rouetら、1995年、Nucleic Acids Res. 23:395~404頁;Rouetら、1998年、Biochem. J. 334:577~584頁;Illら、1997年、Blood Coagulation Fibrinolysis 8:S23~S30頁)。別の実施形態では、エンハンサーは、EBP、DBP、HNF1、HNF3、HNF4、HNF6のような肝特異的転写因子結合部位に由来し、Enh1は、HNF1、(センス)-HNF3、(センス)-HNF4、(アンチセンス)-HNF1、(アンチセンス)-HNF6、(センス)-EBP、(アンチセンス)-HNF4(アンチセンス)を含む。
【0419】
特定の例では、本開示に有用なプロモーターは、配列番号69(すなわち、ETプロモーター;図11Y)を含み、この配列は、GenBank番号AY661265としても公知である。Vignaら、Molecular Therapy 11(5):763頁(2005)も参照のこと。他の好適なベクターおよび遺伝子調節エレメントの例は、参照によってその全体として本明細書に組み入れるWO02/092134、EP1395293、または米国特許第6,808,905号、同第7,745,179号、もしくは同第7,179,903号に記載される。
【0420】
一般に、発現制御配列は、必要に応じて、それぞれ転写および翻訳の開始に関与する5’非転写および5’非翻訳配列、例えば、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列などを含むものとする。特に、そのような5’非転写配列は、作動可能に連結されたコード核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含む。遺伝子発現配列は、所望によりエンハンサー配列または上流の活性化因子配列を場合により含む。
【0421】
VI.医薬組成物
本明細書に開示されるレンチウイルス遺伝子療法ベクターまたは本開示の宿主細胞(例えば、本明細書に開示されるレンチウイルス遺伝子療法ベクターが標的にする肝細胞)を含有する組成物は、好適な薬学的に許容される担体を含有することができる。例えば、それらは、作用部位への送達のために設計された調製物への活性化合物のプロセシングを促進する、賦形剤および/または補助剤を含有することができる。
【0422】
医薬組成物は、ボーラス注射による非経口投与(すなわち、静脈内、皮下、または筋肉内投与)用に製剤化することができる。注射用製剤は、単位剤形で、例えば、アンプルまたは複数回用量容器内に保存剤を加えた状態で供給することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤、または乳剤のような形態をとり、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤のような製剤化剤を含有する場合がある。あるいは、活性成分は、好適なビヒクル、例えば、パイロジェンフリー水で構成される粉末形態である場合がある。
【0423】
非経口投与用の好適な製剤として、水溶性形態、例えば、水溶性塩である、活性化合物の水性液剤も挙げられる。さらに、適切な油性注射用懸濁剤としての活性化合物の懸濁剤を投与することができる。好適な親油性溶媒またはビヒクルとして、脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えば、エチルオレエートまたはトリグリセリドが挙げられる。水性注射用懸濁剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよびデキストランを含む、懸濁剤の粘度を向上させる物質を含有することができる。場合によって、懸濁剤は、安定剤も含有することができる。リポソームを使用して、細胞または間質腔への送達用に、本開示の分子を封入することもできる。例示的な薬学的に許容される担体は、生理学的に適合可能な溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセリン、エタノールなどである。一部の実施形態では、組成物は、等
張化剤、例えば、糖、多価アルコール(マンニトール、ソルビトールなど)、または塩化ナトリウムを含む。他の実施形態では、組成物は、薬学的に許容される物質(湿潤剤など)または活性成分の貯蔵寿命もしくは有効性を向上させる少量の補助物質(湿潤剤もしくは乳化剤、保存剤または緩衝剤など)を含む。
【0424】
本開示の組成物は、例えば、液体(例えば、注射用溶液および注入用溶液)、分散液、懸濁液、半固体および固体の剤形を含む、種々の形態である。好ましい形態は、投与方法と治療用途に応じて変わる。
【0425】
組成物は、液剤、マイクロエマルジョン剤、分散剤、リポソーム、または高い薬物濃度に適する他の規則構造体として製剤化することができる。滅菌注射用液剤は、必要に応じて、上で列挙した成分のうちの1つまたは組合せとともに、活性成分を所要量で適切な溶媒中に投入し、ろ過滅菌することによって調製することができる。一般的に、分散剤は、塩基性分散媒と上で列挙した他の成分のうちの必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクルに活性成分を投入することによって調製される。滅菌注射用液剤を調製するための滅菌散剤の場合には、好ましい調製方法は、事前に滅菌ろ過した溶液から、活性成分といずれかの所望の追加成分との粉末をもたらす真空乾燥と凍結乾燥である。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散剤の場合には所要の粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。注射用組成物の吸収時間の延長は、吸収を遅延させる作用剤、例えば、モノステアレート塩およびゼラチンを組成物中に含むことによって実現することができる。
【0426】
活性成分は、放出制御製剤または放出制御デバイスを用いて製剤化することができる。このような製剤およびデバイスの例として、インプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達系が挙げられる。生分解性生体適合性ポリマー、例えば、エチレンビニルアセテート、ポリアンハイドライド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸を使用することができる。このような製剤およびデバイスの調製方法は、当技術分野で公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J. R. Robinson編、Marcel Dekker,Inc.、New York、1978年を参照のこと。
【0427】
注射用デポー製剤は、ポリラクチド-ポリグリコリドのような生分解性ポリマー内の薬物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することによって作製することができる。薬物とポリマーとの比率、および用いられるポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の例示的な生分解性ポリマーは、ポリオルトエステルおよびポリアンハイドライドである。注射用デポー製剤は、薬物をリポソームまたはマイクロエマルジョン中に捕捉することによっても調製することができる。
【0428】
補足的な活性化合物を組成物中に組み込むことができる。一実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、他の凝固因子、またはそのバリアント、断片、アナログもしくは誘導体とともに製剤化される。例えば、凝固因子として、これらに限定されないが、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、第XIII因子、プロトロンビン、フィブリノーゲン、フォンビルブランド因子またはこれらのいずれかの組換え可溶性組織因子(rsTF)もしくは活性化形態が挙げられる。止血剤の凝固因子として、抗線溶薬、例えば、イプシロン-アミノカプロン酸、トラネキサム酸も挙げることができる。
【0429】
投与レジメンを調整して、最適な所望の応答をもたらすことができる。例えば、単回ボーラス投与を行うことも、経時的に、数回の分割投与を行うことも、または治療状況の緊
急性によって示されるのに応じて、用量を比例的に減少または増加させることもできる。投与のし易さおよび投薬量の均一化のために、非経口組成物を投薬量単位形態で製剤化するのが有益である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub. Co.、Easton、Pa. 1980年)を参照のこと。
【0430】
活性化合物に加えて、液体剤形は、水、エチルアルコール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、グリセリン、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステルのような不活性成分を含有することができる。
【0431】
好適な医薬担体の非限定例は、E.W.MartinによるRemington’s Pharmaceutical Sciencesにも記載されている。賦形剤のいくつかの例として、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ナトリウムステアレート、グリセリンモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセリン、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物は、pH緩衝試薬、および湿潤剤または乳化剤も含有することができる。
【0432】
経口投与用には、医薬組成物は、従来の手段によって調製した錠剤またはカプセル剤の形態をとることができる。組成物は、液剤、例えば、シロップ剤または懸濁剤として調製することもできる。液体は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ剤、セルロース誘導体または水素添加食用脂)、乳化剤(レシチンまたはアカシア)、非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、または分別植物油)、および保存剤(例えば、メチルもしくはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)を含むことができる。調製剤は、矯味矯臭剤、着色剤および甘味剤も含むことができる。あるいは、組成物は、水または別の好適なビヒクルで構成するための乾燥生成物として供給することができる。
【0433】
口腔内投与用では、組成物は、従来のプロトコールに従って、錠剤またはロゼンジ剤の形態をとることができる。
【0434】
吸入による投与用では、本開示に従って使用するための化合物は、利便的には、賦形剤を含むか含まないかにかかわらず、霧状化エアロゾル剤の形態または場合によって、噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素もしくは他の好適な気体とともに、圧縮パックもしくはネブライザーからのエアロゾルスプレーの形態で送達される。加圧エアロゾル剤の場合には、投薬量単位は、バルブを搭載して定量した量を送達することによって決定することができる。化合物とラクトースまたはデンプンのような好適な粉末基剤との粉末混合物を含有する、例えば、吸入器または注入器において使用するためのゼラチンのカプセル剤およびカートリッジを製剤化することができる。
【0435】
医薬組成物は、例えばカカオ脂または他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する、坐薬または停留浣腸として直腸投与のために製剤化することもできる。
【0436】
一実施形態では、医薬組成物は、第VIII因子活性を有するポリペプチドをコードする最適化核酸分子を含むレンチウイルスベクター、および薬学的に許容される担体を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、第VIII因子活性を有するポリペプチドをコードする最適化核酸分子を含むレンチウイルスベクターを含む宿主細胞(例えば、肝細胞)、
および薬学的に許容される担体を含む。
【0437】
一部の実施形態では、組成物は、局所投与、眼内投与、非経口投与、髄腔内投与、硬膜下投与および経口投与からなる群から選択される経路で投与される。非経口投与は、静脈内投与または皮下投与である場合がある。
【0438】
他の実施形態では、組成物を使用して、それを必要とする対象における出血性疾患または状態を処置する。出血性疾患または状態は、出血性血液凝固障害、関節血症、筋肉出血、口腔出血、大出血、筋肉内への大出血、口腔大出血、外傷、頭部外傷、消化器系出血、頭蓋内大出血、腹腔内大出血、胸腔内大出血、骨折、中枢神経系出血、咽頭後隙内出血、腹膜後隙内出血、腸腰筋外筒内出血およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。さらに他の実施形態では、対象は、手術を受けることが予定されている。また他の実施形態では、処置は、予防的であるかまたは要求に応じるものである。
【0439】
本明細書に記載の様々な態様、実施形態、および選択肢は全て、いずれかおよび全ての変形形態で組み合わせることができる。
【0440】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願を、個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照によって組み入れられることが具体的かつ個々に示されている場合と同程度に、参照によって本明細書に組み入れる。
【実施例0441】
本開示について概ね説明してきたが、本明細書において提供される実施例を参照することによって、さらに深い理解を得ることができる。これらの実施例は、例示を目的とするに過ぎず、限定を意図するものではない。
【実施例0442】
コドン最適化戦略
コドン使用頻度バイアスを制御することによって、coFVIII-3(配列番号1;図1A)、coFVIII-4(配列番号2;図1B)、coFVIII-5(配列番号70;図1C)、coFVIII-6(配列番号71;図1D)、coFVIII-52(配列番号3;図1E)、coFVIII-62(配列番号4;図1F)、coFVIII-25(配列番号5;図1G)、およびcoFVIII-26(配列番号6;図1H)を含む8つのコドン最適化BDD FVIIIバリアントを作成した。オンラインツールEugeneを使用して、以前に記載されたようにコドン最適化を促進し(Gasparら、「EuGene:maximizing synthetic gene design for heterologous expression」、Bioinformatics 28:2683~84頁(2012)を参照のこと)、コドン適合指数(CAI)および相対的同義コドン使用頻度(RSCU)のようないくつかのコドン使用頻度パラメータをモニタリングした(表5)。すべてのバリアントをCAI≧83%およびRSCU≧1.63に調整したが、一方、親Bドメイン欠失FVIII配列は、最適化前に、CAI 74%およびRSCU 1.12を有する(表5)。
【0443】
【表6】
【0444】
CAIの全体的な向上に加えて、8つのバリアントを、図2に示されているように、最適化されていないBDD FVIII配列と比較したコード領域にわたるCAIの分布に基づいて3つのクラスに設計した(図2A)。第1のクラスは、コード領域全体にわたり、高いCAIが均一に分布しているBDD FVIIIバリアントを含む(図2C~2Fを参照のこと)。第1のクラスには、coFVIII-3(図2C)、coFVIII-4(図2D)、coFVIII-5(図2E)、coFVIII-6(図2F)、および以前に記載されたcoFVIII-1(国際公開第2014/127215号(配列番号1)を参照のこと)が含まれる(図2B)。第2のクラスは、コード配列のN末端側半分のCAIの方が低く、コード配列のC末端側半分のCAIの方が高いBDD-FVIIIバリアントを含む(図2Gおよび2Hを参照のこと)。第2のクラスには、coFVIII-52(図2G)およびcoFVIII-62(図2H)が含まれる。第3のクラスは、コード配列のN末端側半分のCAIの方が高く、コード配列のC末端側半分のCAIの方が低いBDD FVIIIバリアントを含む(図2Iおよび2Jを参照のこと)。第3のクラスには、coFVIII-25(図2I)およびcoFVIII-26(図2J)が含まれる。
【0445】
いかなる理論にも拘束される訳ではないが、CAIが高いほど、タンパク質への翻訳が速くなり、これらの3つのクラスは、最初から最後まで、異なるタンパク質合成速度を示す可能性があると推測された。例えば、CAIの低い方の領域の翻訳は、CAIの高い方の領域の翻訳よりもゆっくり進行する。その場合、例えば、低い方のCAIを有するcoFVIII-52またはcoFVIII-62のN末端側半分の翻訳が最初にゆっくりと進み、その後、CAIが高い方のC末端側半分の翻訳が、より速く進むようである。このことは、全体的なタンパク質合成のペースを落とすことのない、翻訳中のタンパク質フォールディングおよび翻訳後修飾にとって好ましい。N末端側半分のCAIの方が高く、C
末端側半分のCAIの方が低いcoFVIII-25およびcoFVIII-26バリアントでは、反対の効果が見られる場合がある。
【0446】
mRNAの安定性を確保するために、すべてのFVIIIコドン最適化バリアントを調整して、クリプティックスプライス部位、未成熟ポリA部位、RNA不安定モチーフ(ARE)、および反復配列を含む多くの部位を取り除き、GC含有率を調整した(表2を参照のこと)。
【実施例0447】
pcDNA3プラスミドからのcoFVIIIバリアントのクローニングおよび発現
様々なFVIIIバリアントを含有する発現プラスミドをin vivo発現用に設計した。最適化されていないBDD FVIII(図1I;配列番号16)とcoFVIII-1(図11Z;配列番号68)のポリヌクレオチドを、CMVプロモーターをETプロモーターに置き換えたpcDNA3骨格(Invitrogen)にクローニングした(図3を参照のこと)。得られたプラスミドのFVIII-311(BDD FVIII)とFVIII-303(coFVIII-1)は、それぞれ、最適化されていないBDD FVIIIとcoFVIII-1の発現を駆動する。
【0448】
Hem Aマウスにおいて、FVIII-303またはFVIII-311のDNA5μg/マウスの水圧注入によって、FVIII-311とFVIII-303のin vivo発現を評価した。注射の24、48、および72時間後に、血漿試料を採取し、FVIII特異的発色アッセイによって、FVIII活性を決定した。
【0449】
図4に示したように、FVIII-311で処置したマウスの血漿中FVIII活性(BDD FVIII;四角)が注射の72時間後に74±43mU/mLであったのに対して、FVIII-303で処置したマウスの血漿中FVIII活性(coFVIII-1;円)は注射の72時間後に452±170mU/mLであった(図4)。このことにより、coFVIII-1の発現が、最適化されていないBDD FVIIIと比べて、およそ6倍増大したことが示される。
【実施例0450】
レンチウイルスベクター系を使用するcoFVIIIバリアントのクローニングと発現
コドン最適化BDD FVIIIバリアントの発現レベルをさらに評価するために、ETプロモーターの制御下で、コード配列をレンチウイルスプラスミドにクローニングした(Amendolaら、「Coordinate dual-gene transgenesis by lentiviral vectors carrying synthetic bidirectional promoters」、Nature Biol.23:108~16頁(2005)、国際公開第2000/066759A1号を参照のこと)。pLV-coFVIII-52のプラスミドマップは、図5に示されており;最適化されていないBDD FVIII(LV-2116)、coFVIII-1(LV-coFVIII-1)、coFVIII-3(LV-coFVIII-3)、coFVIII-4(LV-coFVIII-4)、coFVIII-5(LV-coFVIII-5)、およびcoFVIII-6(LV-coFVIII-6)、coFVIII-62(LV-coFVIII-62)、coFVIII-25(LV-coFVIII-25)、およびcoFVIII-26(LV-coFVIII-26)を含有するプラスミドは、coFVIII-52断片を、NheIおよびSalI部位を使用して、指定した各コード配列で置き換えた以外は同様にして構築した(表6)。
【0451】
【表7】
【0452】
レンチウイルスコドン最適化FVIIIバリアントは、HemAマウスにおいて、DNA5μg/マウス(図6A、6B)またはDNA20μg/マウス(図6C)の用量の水圧注入によって評価した。図6に示したように、coFVIII-3(図6A;三角)、coFVIII-4(図6A;逆三角)、coFVIII-5(図6A;ダイヤモンド)、coFVIII-6(図6A;白丸)、coFVIII-25(図6B;三角)、coFVIII-26(図6B;逆三角)、coFVIII-52(図6C;四角)、およびcoFVIII-62(図6C;黒丸)はそれぞれ、coFVIII-1(図6A、円;図6B、円;および図6C、三角)よりも高いFVIII活性を示した。特に、coFVIII-25とcoFVIII-26は、注射の72時間後に同様の発現レベルを示し、coFVIII-1の活性よりも約3倍高い活性に達し(図6B)、これは、換算すると、最適化されていない親BDD FVIIIと比較して24倍高いFVIII活性となる(図4を参照のこと)。coFVIII-52(四角)およびcoFVIII-62(黒丸)はいずれも、注射の72時間後にさらに高い発現を達成し、それぞれ、coFVII
I-1(三角)よりも6倍および4倍、それぞれ、最適化されていない親BDD FVIII(白丸)よりも50倍および30倍高い発現を示した(図6C)。これらのデータによって、コード配列のN末端側半分のCAIの方が低いことと、コード配列のC末端側半分のCAIの方が高いこととを組み合わせると、CAIの分布がこれと逆である場合と比較して、FVIIIを発現に対してより有益となることが示されている。
【実施例0453】
HemAマウスにおけるコドン最適化FVIIIバリアントのレンチウイルスによる長期発現
水圧注入の72時間後のHemAマウスにおいて、FVIIIの高発現を駆動することが特定されたバリアントを、レンチウイルスベクター媒介遺伝子移入による長期FVIII発現について評価した。レンチウイルスベクターを、293T細胞において、一過性トランスフェクションによって生成し、超遠心分離によって、約5E9TU/mlまで濃縮した。次いで、レンチウイルスベクターを12~14日齢のHemAマウスに、後眼窩注射によって、1E8TU/マウスの用量で投与した。LV-2116(BDD FVIII;図7)を注射したマウスでは、レンチウイルスの注射の21日後に、平均血漿中FVIII活性は、約0.04IU/mlであった。coFVIII-1、coFVIII-5、coFVIII-52、coFVIII-6、およびcoFVIII-62はそれぞれ、注射後21日目に、LV-2116(最適化されていないBドメイン欠失FVIII)対照よりも高い循環FVIIIレベルをもたらした。特に、注射後21日目に、coFVIII-1とcoFVIII-5の注射によって、約1.8IU/mLの血漿中FVIII活性レベルがもたらされ、coFVIII-52によって、約4.9IU/mLの血漿中FVIII活性レベルがもたらされ、coFVIII-6によって、約4.6IU/mLの血漿中FVIII活性レベルがもたらされ、coFVIII-62によって、約2.5IU/mLの血漿中FVIII活性レベルがもたらされた(図7)。LV-coFVIII-6とLV-coFVIII-52を注射したマウスで観察された血漿中FVIIIレベルは、それぞれ、4.6IU/mlおよび4.9IU/mlであり、これらは、LV-2116(最適化されていないBDD-FVIII)対照を注射したマウスで観察された血漿中レベルよりも100倍超高い。
【実施例0454】
coFVIII-XTEN融合構築物
XTENが、定常状態のFVIII発現を向上させる能力について試験した。最初に、coFVIII-52およびcoFVIII-1のヌクレオチド1193に(またはコードされるポリペプチドの最初の764アミノ酸の後に)、144アミノ酸のXTENのコード配列(「XTEN144」;配列番号18)を挿入して、それぞれ、coFVIII-52-XTEN(図8A;配列番号19)およびcoFVIII-1-XTEN(図8B;配列番号20)を作成した。次いで、上記のように、ETプロモーターの制御下で、coFVIII-1-XTEN配列をpcDNA3骨格(Invitrogen)にクローニングして、FVIII-306発現プラスミドを作成し;上記で開示されたように、ETプロモーターの制御下で、coFVIII-52-XTEN配列をレンチウイルスプラスミドにクローニングして、pLV-coFVIII-52-XTENを作成した(図9)。FVIII-306(coFVIII-1-XTEN)を、5μgのDNA/マウスで、水圧注入によってHemAマウスに投与した。FVIII-303(coFVIII-1;図10A、小円)およびFVIII-311(BDD FVIII;図10A、四角)と比較した場合、coFVIII-1へのXTEN144の融合(FVIII-306;図10A、大円)は、注射の72時間後のHemAマウスにおいて、それぞれ、約5倍および約33倍高いFVIII発現をもたらした。XTEN挿入がFVIIIの発現に及ぼす効果をまた、HemAマウスにおいて、レンチウイルスベクターを使用して評価した(図10B)。LV-coFVIII-52-XTENを12~14日齢のHemA
マウスに、1E8TU/マウスで、後眼窩注射によって投与した。LV-coFVIII52およびLV-2116(BDD-FVIII)と比較した場合、coFVIII-52へのXTEN144の融合により(図10B)、注射後21日目のHemAマウスにおいて、それぞれ、約4倍および450倍高いFVIII発現がもたらされた。
【0455】
coFVIII-3、co-FVIII-4、coFVIII-5、coFVIII-6、coFVIII-62、coFVIII-25、およびcoFVIII-26をそれぞれXTEN144に融合したとともに、ETプロモーターに融合したものを含むレンチウイルスベクターを、上記のように作製することになる。FVIIIタンパク質の発現についてこのベクターを試験する。
【実施例0456】
coFVIII構築物の発現
図9に示したように、標準的な分子クローニング技法によって、コドン最適化FVIIIバリアントをレンチウイルスプラスミドにクローニングした。次いで、一過性トランスフェクションを通じて、レンチウイルスベクターをHEK293細胞において生成し、超遠心分離によって単離した。
【0457】
FVIIIレンチウイルスベクターを14日齢のHemA仔マウスに、静脈内注射によって、1.5E10TU/kgのLV-FVIIIバリアントの用量で投与した。LV-FVIIIによる処置後21日目に、血漿中FVIII活性を測定し、LV-FVIIIによる処置後150日目に、LV-FVIIIで処置した動物から採取した剖検肝臓試料において、細胞当たりのベクターコピー数(VCN)を測定した。投与したLV-FVIIIバリアントにかかわらず、VCN値は、すべての動物において同程度であったが(図12B)、coFVIIIバリアントで処置した動物におけるFVIII活性レベルは、wtBDD-FVIIIで処置した動物よりも30~100倍高かった(図12Aおよび12C;表7)。これらのデータによって、FVIIIコドンの最適化が、レンチウイルスベクターによる設定において、FVIIIの発現を向上させることが示される。
【0458】
【表8】
【実施例0459】
レンチウイルスによる処置後のHemAマウスにおける、FVIII導入遺伝子発現媒介性免疫応答
FVIIIの長期発現と抗FVIII抗体の形成について、実施例6のLV-FVIIIで処置したマウスを評価した。FVIIIの発現は、血漿中FVIII活性によって示されるように、同じ処置群内の動物間で異なっていた(図13A)。例えば、coFVIII-5バリアントを発現するレンチウイルスベクターで処置した3匹のマウス(指定した1、2、および3)では、およそ16週間にわたって、FVIIIの一貫した発現が示
されたが、一方、同じレンチウイルスベクターで処置した3匹の同腹マウス(指定した4、5、および6)では、処置の約10週間後までに、血漿中FVIII活性レベルの急落が示された(図13A)。マウス1、2、および3で一貫した血漿中FVIII活性が観察されたことは、抗FVIII抗体のレベルが検出不能であったかまたは非常に低かったことと相関していた(図13B;マウス1、2、および3)。これに対して、血漿中FVIII活性の急落を示したマウスでは、抗FVIII抗体のレベルの向上も示された(図13B;マウス4、5、および6)。これらのデータによって、動物のサブセットでは、FVIII導入遺伝子の発現により、抗FVIII抗体の形成が誘導され、その結果生じた抗FVIII抗体が、トランスジェニックFVIIIタンパク質を循環血液から消失させることが示唆される。
【0460】
FVIII発現と抗FVIII抗体形成の間の関係を評価した。実施例6のLV-FVIIIで処置したマウスを、抗FVIII抗体陰性マウスと、抗FVIII抗体陽性マウスの2つの群に分けた。図14に示したように、生理学的レベルでのトランスジェニックFVIII発現によっては、トランスジェニックFVIIIに対する免疫応答は誘導されない(図14、円)。しかしながら、超生理学的レベルのFVIII発現によっては、抗FVIII抗体の形成が誘導され、その結果、FVIII発現レベルが高いほど、抗FVIII抗体が誘導される可能性が高くなるようである。これらのデータから、FVIII遺伝子療法による処置を受けた患者において、生理学的レベルのFVIII発現を維持することが有益であることが示唆される。
【0461】
FVIII発現によって誘導される免疫応答によって、導入遺伝子を発現する肝細胞が消失するかどうかを確かめるために、抗FVIII抗体陽性マウスと陰性マウスからの剖検肝臓試料において、ベクターコピー数(図15)とFVIII RNA転写レベル(図16)を評価した。図15に示したように、ベクターコピー数の分布は、抗FVIII抗体陽性マウスと抗FVIII抗体陰性マウスにおいて同じであったことから、抗FVIII抗体の発現にかかわらず、LV-FVIIIが組み込まれた細胞が維持されたことが示された。このことにより、LV-FVIII媒介FVIII導入遺伝子発現によって、FVIII発現肝細胞に対して細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答が誘導されないことが示唆される。これらの結果を更に確認するために、FVIII RNAの転写をRNA in situハイブリダイゼーションによって評価した(図16Cおよび16D)。肝臓摘出時に、coFVIII-52-Bマウスは、循環FVIIIが検出不能であり、抗FVIII抗体のレベルが高かった(図16Aおよび16B)。しかしながら、coFVIII-52-Bマウスからの肝組織におけるRNA転写シグナルとFVIII-RNA陽性細胞数は、FVIII-52-Aマウス(剖検時の循環FVIIIが約4IU/mlであった)に匹敵した。したがって、実験用HemAマウスにおいて、FVIII発現によって、CTL応答は誘導されなかった。
【実施例0462】
LV-FVIIIで処置したHemAマウス新生仔におけるFVIIIの長期発現
肝臓を標的にすることによる小児のHemA患者の処置にレンチウイルス系を使用することの有効性を評価するために、2日齢のHemAマウスに、側頭静脈注射によって、LV-coFVIII-52XTEN、LV-coFVIII6-XTEN、またはwtBDD-FVIIIを発現するレンチウイルスベクターを約1.5E10TU/kg投与した。バリアントと対照の両方に対して、一貫したFVIIIの長期発現が観察され、処置したマウスの分裂肝細胞において、組み込まれたFVIII発現カスケードが維持されたことが実証された(図17)。これらのデータから、LV-FVIIIを使用して、小児のHemA患者と成人のHemA患者の両方を処置することが可能であることが示唆される。
【実施例0463】
HemAマウス新生仔におけるLV-FVIIIの評価
遺伝子置き換えのためのレンチウイルスベクター(LV)によるex vivo遺伝子療法によって、複数の適応症に対する、且つ処置した患者のうち腫瘍形成のエビデンスを示さなかった患者における複数年のフォローアップに関して、臨床有効性が実証されている。LV-FIXの全身送達は、持続的なFIX発現を媒介し、血友病動物モデルにおいて十分に耐えられるものである。高いパッケージング能、遺伝子組み込みを介した導入遺伝子の長期発現を持続する能力、ヒト集団における既存の抗LV抗体(abs)の欠損ならびに前臨床および臨床現場において実証された有望なin vivoプロファイルにより、LVは、in vivo遺伝子送達用、特に、FVIIIのようなcDNAサイズの大きい候補遺伝子用の有望なビヒクルとなる。
【0464】
血友病A(HemA)の処置にLV-FVIIIを使用できる可能性を評価するために、マイクロRNA-142標的配列を複数コピー含有するLV系に、肝細胞特異的プロモーターの制御下に置いたコドン最適化ヒトFVIII(hFVIII)バリアントを構築して、抗原提示細胞におけるFVIII発現を最小限にし、抗FVIII抗体を誘導する可能性を低下させた。LV-hFVIIIベクターを293T細胞の一過性トランスフェクションによって生成し、超遠心分離によって1000倍に濃縮し、HemAマウスモデルにおいて評価した。LV-hFVIIIの静脈内投与後、FVIII活性および抗原アッセイによって、循環hFVIIIレベルをモニタリングし、定量PCRによってLV DNAコピーを、in situハイブリダイゼーションによって導入遺伝子RNAを測定することによって、肝臓におけるLV形質導入効率を評価し、全抗hFVIII抗体ELISAによって、抗hFVIII抗体を測定した。
【0465】
新生期に処置したHemAマウスでは、すべてのLV-hFVIIIバリアントにおいて、持続的なFVIIIの発現が観察された。用量1kg当たりの1.5E10形質導入単位において、コドン最適化hFVIIIをコードするLV(LV-cohFVIII)によって、循環FVIIIは、野生型hFVIIIをコードするLVよりも、30~100倍高くなったが(図12C)、肝細胞におけるベクターコピー数と、FVIII RNA陽性細胞のパーセントは、すべての試験群において同程度であった(図12B)。コドン最適化と、XTEN(ペイロードの流体力学的サイズを増大させることによって、循環半減期を改善することが推定される非構造化親水性ポリペプチド)とを組み合わせたところ(LV-cohFVIII-XTEN)、血漿において、30~50IU/mLのFVIII活性が得られ、この値は、正常な循環FVIIIレベルの3,000~5,000%を表す(図12A図17)。さらに、hFVIIIが超生理学的レベルのマウスでのみ、抗hFVIII absが検出されたが(図14)、抗hFVIII抗体陽性マウスにおいて、LV形質導入細胞に対する細胞傷害性Tリンパ球応答は観察されなかった(図15および16A~16D)。本発明者らの結果により、血友病Aのin vivo遺伝子療法用LV-FVIIIのさらなる開発が支持される。
【実施例0466】
HemAマウスにおけるLV-FVIII処置の用量応答
HemAマウスにおけるLV-FVIII処置の用量応答を決定するために、12~14日齢のHemA仔マウスを、LV-coFVIII-6またはLV-coFVIII-6-XTENで、後眼窩注射によって、4つの用量レベル:1.3x1010TU/kg、4.5x10TU/kg、1.5x10TU/kgおよび8.3x10TU/kgで処置した。
【0467】
処置したマウスのLV-FVIII媒介FVIIIの発現レベルをFVIII発色アッセイで測定し、ピークFVIII発現レベルを図18A(LV-coFVIII-6)お
よび図18B(LV-coFVIII-6-XTEN)においてプロットした。
【0468】
LV-FVIII処置後に、1.3 E10TU/kg、4.5x10TU/kg、1.5x10TU/kgおよび8.3x10TU/kg処置群に対する平均ピークFVIII発現レベルは、それぞれ、LV-coFVIII-6に関する標準の882%、662%、15%および12%;それぞれ、LV-coFVIII-6-XTENに関する標準の1793%、431%、10%および10%である。
【0469】
現在のFVIII置換療法では、FVIII予防のために標的とするトラフレベルは、標準の1~3%であり、血友病Aを有する患者に有意な保護をもたらす。検査した最も低いLV-FVIII用量である、8.3x10TU/kgでは、LV-coFVIII-6処置とLV-coFVIII-6-XTEN処置の両方によって、HemAマウスにおける循環FVIIIの標準の10%以上がもたらされ、1x10TU/kgのLV-FVIII処置が血友病A患者にとって治療上有益である可能性があることを示唆する。
【実施例0470】
ブタオザルにおける2つのレンチウイルスベクターの試験的単回用量IV注入研究
1.目的:この研究の目的は、それぞれ、血友病A処置のためのブタオザルにおけるレンチウイルスベクター(LV)第VIII因子遺伝子療法の用量/応答関係を決定することである。
【0471】
2.検査系および正当性:ブタオザル(ミナミブタオザル(M. nemestrina))、ナイーブな雄、1~5年齢、2~5kg。ブタオザルは、LV遺伝子療法についてのこの用量/応答研究に対する適切な薬理学的に活性なモデルである。この時点で、実験動物の研究には、提出書類をサポートすることが必要とされ、下位の種は、LV用量応答関係について研究するのに実行可能なモデルとはみなされない。使用される動物の数は、意味のある結果をもたらすのに必要な最小限の数である。
【0472】
3.動物の飼育、収容、および環境条件:動物の飼育および収容に関する一般的手順は、AAALAC International推奨、「Guide for Care and Use of Laboratory Animals」(国立研究評議会(National Research Council)、現行版)に記載される現行の要件、アメリカ合衆国農務省(U.S. Department of Agriculture)が改正された動物福祉法(Animal Welfare Act requirements)の要件で記載する現行の要件に合致することになり、検査施設のSOPに従うことになる。研究開始前に、研究設計は再調査され、動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)(IACUC)によって承認された。
【0473】
3.1 隔離と順化:NHPを隔離し、順化させる。すべての動物は、健康なNHPのみが投与されることを保証するために実施される、糞便検査、TB検査、身体検査、および臨床病理学の健康スクリーニング(血液学と血清化学のみ)を受ける。隔離の間、動物はまた、およそ1週間の間隔をあけて2回採血される。
【0474】
約4mLの目標体積を有する全血試料を、クエン酸ナトリウムを含有するチューブ(複数可)中に回収し、遠心分離までウェットアイス上に置く。体積に応じて、血漿を、アリコート当たり約500μLの4つの目標アリコートに分け、液体窒素上で直ちに凍結させた。約1mLの目標体積を有する全血試料を、抗凝固剤を含有しないが、血清セパレーターゲル(SSTチューブ)を含有するチューブ内に回収する。SSTチューブを室温で少なくとも30分間凝固させ、次いで、遠心分離して、およそ300μLの目標血清を得る
(体積に応じて)。一旦分離した血清は、ドライアイス上で直ちに凍結させる。すべてのチューブを、1300相対遠心力(RCF)の設定で、少なくとも10分間遠心分離する。クエン酸ナトリウムのチューブは、4℃の温度に設定した冷却遠心機で処理し、SSTチューブは、室温に設定した遠心機で処理し、すべての試料は、処理後、分析用に輸送されるまで-85~-60℃に維持するよう設定した冷凍庫内で凍結される。
【0475】
投与開始前に、NHPを拘束椅子に慣れさせる。NHPを、少なくとも3回の事象で最大で連続して1時間の椅子での拘束を受け入れるように、徐々に順化させる。動物は、十分な時間をかけてそれらのホームケージに戻ることができるように、1時間を最大さらに20分超えて、椅子にいる場合があることにも留意されたい。
【0476】
3.2 動物の収容および環境条件:NHPは、研究の間に2回かまたは3回収容される。NHPは、事象(明白な臨床兆候、ケージの仲間による顕著な攻撃など)によって分離が正当とされる場合には、研究中に1匹で収容される。1匹で収容されるいずれの動物も、本発明者らの獣医スタッフによって決定された栄養強化を受ける。
【0477】
研究室の温度および湿度の範囲は、それぞれ、64~84°Fおよび50±20%に設定する。光サイクルは12時間のオン/12時間のオフを維持するよう設定する。空気交換と加圧の読み取り値は、外部の顧問医師によって少なくとも年に2回モニタリングされ、最低限、1時間に10回の新鮮な空気への交換を条件とした環境制御を確保する。
【0478】
3.3. 給餌:指定した絶食期間または研究事象の間に動物がそのホームケージを離れている場合(例えば、用量投与および採血のために拘束椅子に置かれている場合)を除き、サルには、1日に2回、PMI Certified Primate Diet 5048を給餌する。飼料には、新鮮な果物および/または新鮮な野菜および/またはサプリメントも補充される。
【0479】
PMI Certified Primate Dietの各ロットの分析報告は、製造業者によって提供される。許容可能な基準および研究の目的または実施を妨げるレベルの夾雑物を含まないことを保証するために分析報告を再調査する。分析結果を検査施設の記録に保持する。飼料サプリメントには分析を必要としない。
【0480】
3.4 水:動物には、拘束期間中(例えば、採血、椅子への順化および投与などの間)を除き、自動給水システムによってWest Jeffersonの上水道から、新鮮な水を自由に与える。
【0481】
水の供給については、許容可能な基準および研究の目的または実施を妨げるレベルの夾雑物を含まないことを保証するために定期的に分析する。結果を検査施設の記録に保持する。
【0482】
4.検査および対照物:
【0483】
【表9】
【0484】
4.3 検査物および対照物構成成分の予備試料:持続期間が4週間を超えるため、保存記録用の予備の目標1mLの試料をこの研究の各検査物から得る。
【0485】
4.4 使用されていないバルク検査物の処分:使用されていない製剤化された検査物はいずれも、将来の研究で使用するために保持されるか、治験依頼者の委任した実験室に輸送されるか、処分されるか、または返却される。
【0486】
4.5 製剤の調製、取扱い、および保存:製剤を使用するために検査物を用意する。この研究では製剤は調整されない。
【0487】
4.6 製剤の分析および安定性:この研究では、製剤の分析または安定性について実施されない。
【0488】
5.実験設計
5.1 群への振分けおよび識別:群への振分けの前に、動物をその刺青によって識別する。投与に使用される動物は、体重のデータに基づき、層別無作為化プログラム(Provantis)を使用して、無作為に振り分けられる。
【0489】
投与群への割当て後に、この研究内で特有の動物識別番号で各動物を割り当て、ケージカードで識別した。各ケージカードは、以下に限定されないが、研究番号、群への割当て、および動物識別番号を含む情報を含む。刺青を使用して、ケージカードの研究動物番号と一致させる。
【0490】
5.2 用量投与:以下の通りの各動物へのそれぞれ1日目の投与前に、動物に麻酔前投与レジメンを投与する(スローボーラス注射による)。
【0491】
【表10】
【0492】
以下の各目標用量レベルで、動物に検査物を投与する。
【0493】
【表11】
【0494】
各動物は、頭部または伏在静脈にカテーテル処置され、それぞれの用量レベルで、シリンジポンプ(例えば、KDS220またはその等価物)を使用して、静脈内投与(1mL/分を目標とする)を1回受け、続いて、0.9%の塩化ナトリウム溶液の0.4~0.8mLのフラッシュを受ける。フラッシュ時間は、投与時間の終了と考えられる。
【0495】
5.3 臨床観察:死亡率および/または瀕死に関する観察を、受容日と剖検日に少なくとも1回、およびその後、隔離、順化、および研究期間は、週7日で1日に2回行う。
【0496】
動物の受容から継続して生存期間の最終日まで、投与前に最低1回およびそれに続く投与の2時間後(+/-15分)に少なくとも1回、ケージ側の臨床観察を実証する際の各投与日を除き、少なくとも1日に1回ケージ側の臨床観察を実施する。
【0497】
5.4 体重:隔離中に少なくとも1回および群への振分けのための動物選択前(1週前
)に1回、個々の体重をすべての動物について記録し、1、8、15、22、29、36、43、50および53日目に体重を記録する。各群に関して1日目に記録した体重を、投与のための用量体積決定に使用する。
【0498】
5.5 臨床病理:臨床病理(血液学、臨床化学および凝固)評価のための検体を以下の予定に従って採取する。すべてのNHPを各採取間隔の前に一晩絶食させる。
【0499】
【表12】
【0500】
血液学、臨床化学、および凝固評価のために、大腿血管または他の好適な末梢血管から採血する(試料当たり1.5~3.0mLを目標とする)。血液の体積は、IACUCのガイドラインに適応するよう調整することに留意されたい。血液学のためのチューブには、抗凝固剤としてK3 EDTAが含まれる。血清化学の決定のために使用されるチューブには、抗凝固剤は含まれないが、血清セパレーターゲルが含まれる。凝固のためのチューブには、抗凝固剤としてクエン酸ナトリウムが含まれる。
【0501】
必要であれば、臨床病理評価のために、瀕死の動物から、可能であれば採血する。臨床病理結果、および臨床病理学者の報告は、最終報告に含まれる。
【0502】
5.5.1 血液学:評価される血液学パラメータは、以下の通りである:
【0503】
【表13】
【0504】
血液学の検体(残留血液)は、分析後に廃棄する。
【0505】
5.5.2 臨床化学:評価される臨床化学パラメータは、以下の通りである:
【0506】
【表14】
【0507】
分析後の残留血清は、研究の終了前に廃棄する。
【0508】
5.5.3 凝固:評価される凝固パラメータは、以下の通りである:
【0509】
【表15】
【0510】
凝固検体(残留血液)は、分析後に廃棄する。
【0511】
5.6 生化学分析による分析と薬物動態評価
5.6.1 検体の採血:生化学分析による分析のための血液試料を採血し、以下の予定に従って処理して血漿と血清とする。8日目までに採取した血漿および血清を、第VIII因子の発現が血清から決定され、潜在的サイトカイン評価が血漿および血清から決定される、セクション4.3に列挙したPIに輸送する。
(i)絶食要件:他の手順のための絶食と同時でなければ、採決前に動物を絶食させない。
(ii)目標体積が約1mLの全血試料をクエン酸ナトリウムを含有するチューブ内に回収し、遠心分離までウェットアイス上に置く。体積に応じて、血漿を、アリコート当たり約100μLの4つの目標アリコートに分け、液体窒素上で直ちに凍結させ、次いで、分析のために輸送されるまで-85°~-60℃を維持するよう設定した冷凍庫内で保存する。
(iii)約1mLの目標体積を有する全血試料を、抗凝固剤を含有しないが、血清セパレーターゲル(SSTチューブ)を含有するチューブ内に回収する。チューブを室温で少なくとも30分間凝固させ、次いで、遠心分離して、およそ200μLの血清を含有する2つの目標アリコートを得る(体積に応じて)。一旦分離した血清は、ドライアイス上で直ちに凍結させ、次いで、分析のために輸送されるまで-85°~-60℃を維持するよう設定した冷凍庫内で保存する。
(iv)すべてのチューブを、1300相対遠心力(RCF)の設定で、少なくとも10分間遠心分離する。クエン酸ナトリウムのチューブは、4℃の温度に設定した冷却遠心機で処理し、SSTチューブは、室温に設定した遠心機で処理する。
(v)採取部位:大腿血管または別の好適な血管。
(vi)最終的な保存:凍結(-85°~-60℃)
【0512】
【表16】
【0513】
【表17】
【0514】
5.6.2 第VIII因子の発現とサイトカイン評価:第VIII因子の発現を血漿から決定し、血清から潜在的サイトカイン評価を決定する。
【0515】
5.6.3 末梢血単核球(PBMC):各サルから採血した約10mL(30日目には約4mLのみ)からPBMCを単離する。血液を1容積のPBSで希釈し、15ccのコニカルチューブ中の1容積のフィコールの上にそれを穏やかに重ねる。チューブを、650×gで、20℃にて30分間、ブレーキオフで遠心分離する。PBMC層を回収し、DPBSで洗浄し、450×gで、20℃にて10分間遠心分離し(ブレーキを有する)、塩化アンモニウム(1~3mL)中に細胞ペレットを再懸濁させ、5分間インキュベートして赤血球を溶解させ、DPBSで2回洗浄し、150×gで、20℃にて10分間遠心分離し(ブレーキを有する)、次いで、凍結媒体(90%のFBS/10%のDMSO)中に再懸濁させる。単離したPBMCを、-85°~-60℃を維持するよう設定した冷凍庫内で保存する。
【0516】
【表18】
【0517】
5.7 剖検
5.7.1 予定されていない剖検:死亡したかまたは予定されていない間隔で終了したすべての研究動物について完全剖検を実施する。死亡していた動物は、重度に自己融解していなければ、完全剖検される。可能な場合、診察可能な委員会認定の獣医病理学者により、すべての予定されていない剖検を行う。安楽死の前に、実行可能なように、臨床病理のための血液試料を採取する努力をする。採取する場合、組織を適切な固定剤中で固定し、それらのうちのどれが、組織病理学的評価のために処理されるかまたは廃棄されるかを決定する。
【0518】
5.7.2 予定された剖検:53日目に動物を安楽死させる。剖検の前に動物を秤量し、剖検に移送するためにケタミン(IM注射により10mg/kg)で鎮静させ、バルビツール酸系過量服薬の投与によって人道的に絶命させ、その後全採血する。
【0519】
(可能な場合)診察可能な委員会認定の獣医病理学者により、すべての予定された剖検を行う。各剖検には、体の外表面およびすべての開口部;頭蓋、胸部、腹部および骨盤腔ならびにそれらの内容物の調査;ならびに組織の採取が含まれる。
【0520】
以下に列挙した組織を、存在する場合、すべての動物から採取し、処理する。
【0521】
組織病理学:肝臓と脾臓の切片を採取し、10%の中性緩衝ホルマリン(NBF)中に入れる。サルの識別は、剖検中に得られた組織に関して保持される。
器官重量のデータは回収されない。
【0522】
DNAおよびRNA試料の採取:肝臓の右葉、肝臓の左葉、肝臓の中葉、肝臓の方形葉、肝臓の尾状葉および脾臓に関して:
【0523】
【表19】
【0524】
脳(大脳皮質)、心臓の左心室、心臓の右心室、右の腎臓、右の腋窩リンパ節、肺、右の精巣、左の精巣、胸腺、筋肉(右外側の腓腹筋)に関して:
【0525】
【表20】
【0526】
組織病理学的評価に使用しなかった肝臓の試料および脾臓の試料を上記のように急速凍結し、DNAおよびRNAの抽出ならびに分子解析を可能にするためにPIに輸送する。
【0527】
すべての他の組織と残骸を廃棄する。
【0528】
5.7.3 組織の処理:組織病理学的評価のために採取した肝臓および脾臓の切片をトリミングし、通常通りに処理し、パラフィンで包埋し、およそ5ミクロンに切片化し、ガラススライド上に載せて、ヘマトキシリンおよびエオジンで染色する。
【0529】
5.7.4.組織病理学的評価:本研究の病理医は、顕微鏡用に調製された各スライドを調査する。予定外の剖検(研究中に死亡した動物)で特定されたいずれの肉眼病変も顕微鏡により調査する。内部ピアレビューを実施する。解剖病理学のコメントもこの研究のファイルと最終報告に含まれる。
【0530】
6.統計分析:Provantisのシステムを使用して、バテル(Battelle)で回収したすべての適切な定量的生存中データを、パラメトリックまたはノンパラメトリック分散分析(ANOVA)によって、検査物の効果について分析する。すべてのデータについて、正規性はシャピロ・ウィルク検定によって決定し、等分散性はルビーン検定によって決定する。パラメトリック仮説に適合するようデータをログ変換する。正規分布し、群間で均一であると決定されたパラメトリックデータについて、ANOVA F検定を使用して、群平均間に差があるかどうかを決定する。ANOVA F検定が有意であれば、次いで、対照と各比較群の間の差についての検定を、ダネット検定を使用して行い、多
重比較用に調製する。正規分布していないおよび/または不均一なノンパラメトリックデータについて、クラスカル・ワリス検定を使用して、群平均間に差があるかどうかを決定する。クラスカル・ワリス検定が有意であれば、次いで、対照と各比較群の間の差についての検定を、ウィルコクソン検定およびボンフェローニ・ホルム法を使用して行い、多重検定用に補正する。すべての統計検定は、指定される場合、多重比較の後に、0.05の有意差レベルで実施する(p<0.05)。
【実施例0531】
ブタオザルにおける単回用量のLV-coFVIII6XTEN研究
3頭のブタオザル(体重3.5~4.3kg)をCD47high/MHC-Ifree 293T細胞から生成したLV-coFVIII-6-XTENで、1.5mL/分の注入速度で静脈内(IV)注入により、3E9TU/kgの用量で処置した。抗ヒトFVIII抗体形成を制御するために、LV処置の1日前から7日目まで、10mg/kgの用量で、SOLU-MEDROL(登録商標)(メチルプレドニゾロン)の筋肉内注射により、動物を毎日処置した。LV処置の30分前に、潜在的アレルギー反応を制御するために、4mg/kgの用量で、ポララミン(デクスクロルフェニラミン)のIV注射でも動物を処置した。血漿試料を、LV処置後7、10、および14日目に採取し、ヒトFVIII活性および抗原レベルに関して分析した。3頭の動物におけるピーク血漿中レベルは、それぞれ、187ng/mL、75ng/mL、および131ng/mLのヒトFVIII抗原レベル(図20B)に対応して、FVIII活性に関する基準の102%、54%、および67%で測定した(図20A)。これらのデータによって、非ヒト霊長類における治療上有益なヒトFVIII発現が、比較的低いLV用量レベルで達成されることが実証される。
【実施例0532】
ブタオザルにおけるパイロットLV-coFVIII6およびLV-coFVIII-6XTEN用量応答研究
10頭のブタオザル(体重3.5~4.3kg)をCD47high/MHC-Ifree 293T細胞から生成したLV-coFVIII-6またはLV-coFVIII-6-XTENで、1.5mL/分の注入速度で静脈内(IV)注入により、処置した。LV-coFVIII-6に関する用量は、3E9TU/kgまたは6E9TU/kgであり、LV-coFVIII-6-XTENに関する用量は、1E9TU/kgまたは3E9TU/kgであった。抗ヒトFVIII抗体形成を制御するために、LV処置の1日前から7日目まで、10mg/kgの用量で、SOLU-MEDROL(登録商標)(メチルプレドニゾロン)の筋肉内注射により、動物を毎日処置した。LV処置の30分前に、潜在的アレルギー反応を制御するために、4mg/kgの用量で、ポララミン(デクスクロルフェニラミン)のIV注射でも動物を処置した。血漿試料をLV処置後0、1、3、7、14、21、28、45および60日目に採取し、ヒトFVIII活性および抗原レベルに関して分析した。LV-coFVIII-6処置後には、3E9または6E9TU/kg処置群のピーク血漿中レベルを、それぞれ、5ng/mLまたは9ng/mLの平均ヒトFVIII抗原レベル(図21B)に対応して、それぞれ、FVIII活性に関する基準の5%または12%で平均した(図21A)。LV-coFVIII-6-XTEN処置後には、1E9または3E9TU/kg処置群のピーク血漿中レベルを、それぞれ、31ng/mLまたは140ng/mLの平均ヒトFVIII抗原レベル(図22B)に対応して、それぞれ、FVIII活性に関する基準の20%または75%で平均した(図22A)。これらのデータは、LV-coFVIII-6とLV-coFVIII-6-XTENの両方によって、非ヒト霊長類において、治療上有益なヒトFVIII発現を達成されることを実証する。
【0533】
特定の実施形態についての前記記載は、本開示の一般的性質を十分に明らかにしている
ため、他者が、過度な実験をすることなく、本開示の一般的概念から逸脱することなく、当技術分野の知識を適用することによって、このような特定の実施形態を容易に修正するおよび/またはそれに種々の応用を適用することができる。したがって、このような適応および修正は、本明細書に提示される教示およびガイダンスに基づき、本開示の実施形態の意味および均等物の範囲内にあることが意図される。本明細書の表現法または用語法は説明を目的とするものであって限定を目的とするものではなく、その結果、本明細書の用語法または表現法は教示とガイダンスを考慮して当業者に解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【0534】
本開示の他の実施形態は、本明細書および本明細書に開示された本開示の実施を考慮して当業者に明らかである。本明細書および実施例は例示として考慮されるに過ぎず、本開示の真の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【0535】
本明細書で引用したすべての特許および刊行物は、参照によってその全体として本明細書に組み入れる。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図1-6】
図1-7】
図1-8】
図1-9】
図1-10】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図3
図4
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図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9
図10-1】
図10-2】
図11-1】
図11-2】
図11-3】
図11-4】
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図12-1】
図12-2】
図13
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図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【配列表】
2023179463000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象において出血障害を処置する方法で使用するための、レンチウイルスベクターを含む医薬組成物あって、該方法は、該レンチウイルスベクターの、1×108~5×1010の形質導入単位/kg(TU/kg)の少なくとも1用量を該対象に投与することを含み、ここで、該レンチウイルスベクターは:
1つまたはそれ以上のCD47ポリペプチドを含み、MHC-Iポリペプチドを含まない脂質コート;および
FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含み、該ヌクレオチド配列は、
(i)配列番号1のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも91%の配列同一性;
(ii)配列番号2のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも94%の配列同一性;
(iii)配列番号70のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも85%の配列同一性;
(iv)配列番号71のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも85%の配列同一性;
(v)配列番号3のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも約92%の配列同一性;
(vi)配列番号4のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも約91%の配列同一性;
(vii)配列番号5のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも89%の配列同一性;または
(viii)配列番号6のヌクレオチド58~2277および2320~4374に対して少なくとも89%の配列同一性;
を有し:
該用量の該レンチウイルスベクターが対象に投与されたとき、該レンチウイルスベクターは、該対象における治療上有益なレベルのFVIIIを発現する、前記医薬組成物。
【請求項2】
用量は、8×108~1.5×1010TU/kgである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
用量は、1×109~8×109TU/kgである、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
用量は、約1.5×1010TU/kgである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
用量は、約1.0×109TU/kgである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
用量は、約3.0×109TU/kgである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
用量は、約6.0×109TU/kgである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
用量は、約1×108TU/kg、約8.3×108TU/kg、約1.5×109TU/kg、約4.5×109TU/kg、または約1.3×1010TU/kgである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
レンチウイルスベクターは、配列番号16を含む核酸分子を含む参照ベクターと比較して、医薬組成物の投与の24時間~48時間後の対象において、30~110倍の増加した血漿FVIII活性をもたらす、請求項1~8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
医薬組成物は、単一用量または複数用量で投与される、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
医薬組成物は静脈内注射を通して投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
対象は小児対象である、請求項1~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
対象は成人対象である、請求項1~12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
レンチウイルスベクターは組織特異的プロモーターを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
組織特異的プロモーターは、標的肝臓細胞においてFVIII活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
単離された核酸分子は標的肝臓細胞のゲノムに安定して組み入れられる、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
出血障害は血友病Aである、請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
単離された核酸分子はLV-coFVIII-6(配列番号71)またはLV-coFVIII-6-XTEN(配列番号72)を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
単離された核酸分子はLV-coFVIII-6-XTEN(配列番号72)を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
レンチウイルスベクターの用量は一度に投与されるかまたは少なくとも2つの部分用量に分割される、請求項1~19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、シグナルペプチドをコードする核酸配列をさらに含み、シグナルペプチドをコードする該核酸配列は、(i)配列番号1のヌクレオチド1~57;
(ii)配列番号2のヌクレオチド1~57;
(iii)配列番号3のヌクレオチド1~57;
(iv)配列番号4のヌクレオチド1~57;
(v)配列番号5のヌクレオチド1~57;
(vi)配列番号6のヌクレオチド1~57;
(vii)配列番号70のヌクレオチド1~57;
(viii)配列番号71のヌクレオチド1~57;または
(ix)配列番号68のヌクレオチド1~57
に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項1~20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、
(a)核酸分子またはその一部のヒトコドン適合指数は、配列番号16と比較して増加する;
(b)該ヌクレオチド配列またはその一部の最適コドン頻度は、配列番号16と比較して増加する;
(c)該ヌクレオチド配列またはその一部は、配列番号16におけるG/Cヌクレオチドの百分率と比較してより高いG/Cヌクレオチドの百分率を含有する;
(d)該ヌクレオチド配列またはその一部の相対的同義コドン使用頻度は、配列番号16と比較して増加する;
(e)該ヌクレオチド配列またはその一部のコドンの有効数は、配列番号16と比較して低減する;
(f)該ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較してより少ないMARS/ARS配列(配列番号21および22)を含有する;
(g)該ヌクレオチド配列は、配列番号16と比較してより少ない不安定化エレメント(配列番号23および24)を含有する;および
(h)その任意の組合せ
からなる群から選択される1つまたはそれ以上の特性を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、異種アミノ酸配列をコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
異種アミノ酸配列は、免疫グロブリン定常領域もしくはその一部、XTEN、トランスフェリン、アルブミンまたはPAS配列である、および/または異種アミノ酸配列は、FVIII活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列のN末端もしくはC末端に連結されるか、または、以下の表:
(ここで、挿入部位は、成熟ヒトFVIII(配列番号15)のアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置を示す。)
から選択される1つまたはそれ以上の挿入部位のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列の中の2つのアミノ酸の間に挿入される、
請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
FVIIIポリペプチドは完全長FVIIIまたはBドメイン欠失FVIIIである、請求項1~24のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
CD47ポリペプチドはヒトCD47ポリペプチドである、請求項1~25のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
脂質コートは高濃度のCD47ポリペプチドを含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
レンチウイルスベクターは、CD47を発現し、MHC-Iを発現しない宿主細胞中で産生される、請求項1~27のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
宿主細胞はCD47high/MHC-I-である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
宿主細胞は、未改変のHEK293T細胞と比較してCD47の増加した発現を有するように改変されたHEK293T細胞である、請求項27または28に記載の医薬組成物。
【外国語明細書】