(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179486
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】眼投与のためのW/O/Wマイクロエマルジョン
(51)【国際特許分類】
A61K 9/113 20060101AFI20231212BHJP
A61K 31/195 20060101ALI20231212BHJP
A61K 31/197 20060101ALI20231212BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20231212BHJP
A61K 31/7056 20060101ALI20231212BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231212BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20231212BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20231212BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20231212BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231212BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20231212BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20231212BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231212BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A61K9/113
A61K31/195
A61K31/197
A61K31/198
A61K31/7056
A61K45/00
A61K47/14
A61K47/24
A61K47/32
A61P27/02
A61P27/06
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/38
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149945
(22)【出願日】2023-09-15
(62)【分割の表示】P 2020535075の分割
【原出願日】2018-12-18
(31)【優先権主張番号】62/607,429
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/728,564
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.LABRASOL
2.BRIJ
3.TWEEN
4.CREMOPHOR
(71)【出願人】
【識別番号】504326686
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ テネシー リサーチ ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ヤブロンスキ モニカ
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ ムハンマド ムスタファ イブラヒム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】眼圧(IOP)を低減させる、緑内障を治療する、加齢性黄斑変性症(AMD)を治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療するための、持続放出型マイクロエマルジョン、ならびに該マイクロエマルジョンを投与する工程を含む眼疾患を治療するための方法を提供する。
【解決手段】(a)内部乳化剤内に包含される水溶液を含む非連続的内部相;(b)該内部相を包含する連続的油相;および(c)該油相を包含する外部乳化剤を含む、マイクロエマルジョン(ME)が提供される。薬物送達装置としてのそのようなマイクロエマルジョンの使用のための方法、ならびに緑内障を治療するおよび眼圧を低減させるための方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)内部乳化剤内に包含される水溶液を含む非連続的内部相;
(b)該内部相を包含する連続的油相;および
(c)該油相を包含する外部乳化剤
を含む、マイクロエマルジョン(ME)。
【請求項2】
(d)前記外部乳化剤を取り囲む水相
をさらに含む、請求項1記載のME。
【請求項3】
前記内部乳化剤が、プロピレングリコールモノカプリレートもしくはHLB値3~7を有する任意の他の界面活性剤、ならびに/または任意の脂肪酸のプロピレングリコールエステル、例えば、プロピレングリコールモノカプロエート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、transcutol P、gelucire 50/13、gelucire 44/14、gelucire 43/01、任意の脂肪酸の任意のPEGモノ、ジおよび/もしくはトリエステル、レシチン、卵レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、トコフェロール、または任意の他のリン脂質、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1または2記載のME。
【請求項4】
前記内部乳化剤が、capryol 90、レシチン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1または2記載のME。
【請求項5】
前記水溶液が、脱イオン水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、人工涙液、平衡塩類溶液からなる群より選択される、請求項1~4のいずれか一項記載のME。
【請求項6】
前記油相が、カプリル酸(C8)およびカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド、限定されないが、エチル、プロピルイソプロピル、およびブチルを含む任意の純粋な脂肪酸エステルからなる油;限定されないが、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、またはステアリン酸を含めた脂肪酸のエステル、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルカプロエート、イソプロピルカプリレート、エチルステアレート、ブチルラウレート、ならびに限定されないが、ヤシ油、パーム核油、ダイズ油、ヒマシ油、綿実油、トウモロコシ油、およびオリーブ油を含めた任意の天然油;ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1~5のいずれか一項記載のME。
【請求項7】
前記油相がlabrafac lipophile WL 1349を含む、請求項1~5のいずれか一項記載のME。
【請求項8】
前記外部乳化剤が、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド、マクロゴールグリセロールリシノレエート、10~16の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する任意の他の親水性界面活性剤、任意の脂肪酸もしくは脂肪酸混合物のポリエチレングリコールモノおよび/もしくはジエステル、プロピレングリコール、または限定されないが、グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノール、プロパノール、およびイソプロパノールを含めた任意の他のアルコール、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1~7のいずれか一項記載のME。
【請求項9】
前記外部乳化剤が、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド、マクロゴールグリセロールリシノレエート、プロピレングリコール、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1~8のいずれか一項記載のME。
【請求項10】
0.5~35%w/wの水溶液、0.5~95%w/wの油相、および5~99%w/wの乳化剤を含む、請求項1~9のいずれか一項記載のME。
【請求項11】
10~30%w/wの水溶液、20~40%w/wの油相、および40~60%w/wの乳化剤を含む、請求項1~9のいずれか一項記載のME。
【請求項12】
前記水溶液が水溶性薬物を含む、請求項1~11のいずれか一項記載のME。
【請求項13】
前記水溶性薬物が、ベータ-遮断薬、例えば、ベタキソロールおよびチモロール;プロスタグランジン類似体、例えば、ビマトプロスト、ラタノプロスト、およびトラボプロスト;アルファ-アドレナリン作動薬、例えば、酒石酸ブリモニジン;炭酸脱水酵素阻害剤、例えば、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、およびアセタゾラミド;カルシウムチャネル遮断薬、例えば、ニモジピンおよびプレガバリン;アシアロガラクトシル化トリアンテナ型(NA3)(アシアロ-トリアンテナ型錯体型N-グリカンとしても公知である)、OT-551塩酸塩(1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルシクロプロパンカルボン酸エステル塩酸塩)、酒石酸ブリモニジン、クリンダマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、オフロキサシン、トリアムシノロン、バラシクロビル、ピリメタミン、バルガンシクロビル、ガンシクロビル、アシクロビル、ホスカルネット、酢酸プレドニゾロン、ジフルプレドネート、トリアムシノロン、デキサメタゾン、メトトレキサート、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、タクロリムス、シクロホスファミド、リバビリン、ブロムフェナク、ケトロラク、ネパフェナク、リフィテグラスト、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ケトチフェン、ネドクロミル、フェニレフリン、アゼラスチン、エピナスチン、ナファゾリン/フェニラミン、オロパタジン、ベポタスチン、アルカフタジン、ペミロラスト、硫酸亜鉛を有するまたは有さないテトラヒドロゾリン、ロドキサミド、ナファゾリン、フェニレフリン、クロモリン、エメダスチン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、ロラタジン、デスロラタジン、フェニルグリシン、ガバペンチン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、請求項12記載のME。
【請求項14】
前記水溶性薬物が、フェニルグリシン、ガバペンチン、プレガバリン、およびリバビリン、またはこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、請求項12記載のME。
【請求項15】
前記水相がハイドロゲルを含む、請求項1~14のいずれか一項記載のME。
【請求項16】
前記ハイドロゲルが粘膜付着性ポリマーを含む、請求項15記載のME。
【請求項17】
前記粘膜付着性ポリマーが、ポリアクリル酸誘導体(限定されないが、CARBOPOL(登録商標)、例えばCARBOPOL(登録商標)981が挙げられる)、アルギン酸およびその塩もしくは誘導体(限定されないが、アルギン酸ナトリウムが挙げられる)、キトサンおよびその誘導体、デキストランおよびその誘導体、ペクチンおよびその誘導体、ゼラチンおよびその誘導体、ポリビニルピロリドンおよびその誘導体、N-メチルピロリドンおよびその誘導体、ヒアルロン酸塩およびその誘導体、ジェランガムおよびその誘導体、キサンタンガムおよびその誘導体、寒天およびその誘導体、グリココール酸およびその塩もしくは誘導体、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16記載のME。
【請求項18】
前記粘膜付着性ポリマーが、ポリアクリル酸誘導体(限定されないが、CARBOPOL(登録商標)、例えばCARBOPOL(登録商標)981が挙げられる)、アルギン酸およびその塩もしくは誘導体(限定されないが、アルギン酸ナトリウムが挙げられる)、キトサンおよびその誘導体、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16記載のME。
【請求項19】
直径約1nm~約200nmの小球として存在する、請求項1~18のいずれか一項記載のME。
【請求項20】
局所製剤として製剤化される、請求項1~19のいずれか一項記載のME。
【請求項21】
眼疾患を有する対象に、該眼疾患を治療するのに有効な量の請求項1~20のいずれか一項記載のMEを投与する工程を含む、眼疾患を治療するための方法であって、前記水溶液が、該眼疾患を治療することができる水溶性薬物を含む、方法。
【請求項22】
眼圧(IOP)を低減させる、緑内障を治療する、加齢性黄斑変性症(AMD)を治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療するための方法であって、眼圧を低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療するのに有効な量の請求項1~20のいずれか一項記載のMEを、眼圧、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎を有する対象に投与する工程を含み、前記水溶液が、IOPを低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療することができる水溶性薬物を含む、方法。
【請求項23】
IOPを低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療することができる前記水溶性薬物が、ベータ-遮断薬、例えば、ベタキソロールおよびチモロール;プロスタグランジン類似体、例えば、ビマトプロスト、ラタノプロスト、およびトラボプロスト;アルファ-アドレナリン作動薬、例えば、酒石酸ブリモニジン;炭酸脱水酵素阻害剤、例えば、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、およびアセタゾラミド;カルシウムチャネル遮断薬、例えば、ニモジピンおよびプレガバリン;アシアロガラクトシル化トリアンテナ型(NA3)(アシアロ-トリアンテナ型錯体型N-グリカンとしても公知である)、OT-551塩酸塩(1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルシクロプロパンカルボン酸エステル塩酸塩)、酒石酸ブリモニジン、クリンダマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、オフロキサシン、トリアムシノロン、バラシクロビル、ピリメタミン、バルガンシクロビル、ガンシクロビル、アシクロビル、ホスカルネット、酢酸プレドニゾロン、ジフルプレドネート、トリアムシノロン、デキサメタゾン、メトトレキサート、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、タクロリムス、シクロホスファミド、リバビリン、ブロムフェナク、ケトロラク、ネパフェナク、リフィテグラスト、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ケトチフェン、ネドクロミル、フェニレフリン、アゼラスチン、エピナスチン、ナファゾリン/フェニラミン、オロパタジン、ベポタスチン、アルカフタジン、ペミロラスト、硫酸亜鉛を有するまたは有さないテトラヒドロゾリン、ロドキサミド、ナファゾリン、フェニレフリン、クロモリン、エメダスチン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、ロラタジン、デスロラタジン、フェニルグリシン、ガバペンチン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、請求項21または22記載の方法。
【請求項24】
IOPを低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療することができる前記水溶性薬物が、フェニルグリシン、ガバペンチン、プレガバリン、およびリバビリン、またはこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、請求項21または22記載の方法。
【請求項25】
前記MEが前記対象の片方または両方の眼に投与される、請求項21~24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
前記投与が1日あたり1回行われる、請求項21~24のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
(a)非連続的(分散した)油相;および
(b)該油相を包含する乳化剤
を含む、マイクロエマルジョン(ME)。
【請求項28】
(c)前記乳化剤を取り囲む連続的水相
をさらに含む、請求項27記載のME。
【請求項29】
前記非連続的油相中に不溶性またはわずかに可溶性の薬物をさらに含む、請求項27または28記載のME。
【請求項30】
緑内障を治療するのに有効な量の、カルシウム電位依存性チャネル補助サブユニットアルファ2デルタ1(CACNA2d1)タンパク質の阻害剤を、緑内障を有する対象に投与する工程を含む、緑内障を治療するための方法。
【請求項31】
前記緑内障が原発開放隅角緑内障(POAG)である、請求項29記載の方法。
【請求項32】
眼圧を治療する、低減させるのに有効な量の、CACNA2d1タンパク質の阻害剤を、それらを必要とする対象に投与する工程を含む、眼圧を低減させるための方法。
【請求項33】
前記阻害剤が、ガバペンチノイド、フェニルグリシン、またはこれらの薬学的に許容される塩を含む、請求項30~32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
前記ガバペンチノイドが、ガバペンチン、プレガバリン、またはこれらの薬学的に許容される塩を含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記阻害剤が局所投与される、請求項30~34のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
前記阻害剤が点眼剤を介して投与される、請求項30~35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
以下を含む製剤:
(a)(i)該製剤の0%~約7%w/wの濃度の水;
(ii)該製剤の約6%~約13%w/wの濃度の油;
(iii)該製剤の約1%~約13%w/wの濃度のcapryol 90;および
(iv)該製剤の約1%~約13%w/wの濃度のレシチン
を含む、該製剤の約0.1%~約40%を構成する一次油中水型(w/o)相、ならびに
(b)(i)該製剤の約0.1%~約25%w/wの濃度のlabrasol;
(ii)該製剤の約0.1%~約25%w/wの濃度のcremophor EL;
(iii)該製剤の0%~約45%w/wの濃度のプロピレングリコール;および
(iv)該製剤の約10%~約99.7%w/wの濃度の水
を含む、該製剤の50~99.9%を構成する外部水相。
【請求項38】
以下を含む製剤:
(a)(i)該製剤の2%~約7%w/wの濃度の水;
(ii)該製剤の約6%~約9%w/wの濃度の油;
(iii)該製剤の約3%~約9%w/wの濃度のCapryol 90;および
(iv)該製剤の約3%~約9%w/wの濃度のレシチン
を含む、該製剤の約0.1%~約40%を構成する一次油中水型(w/o)相、ならびに
(b)(i)該製剤の約5%~約9.5%w/wの濃度のlabrasol;
(ii)該製剤の約5%~約9.5%w/wの濃度のCremophor EL;
(iii)該製剤の5%~約25%w/wの濃度のプロピレングリコール;および
(iv)該製剤の約30%~約56%w/wの濃度の水
を含む、該製剤の50~99.9%を構成する外部水相。
【請求項39】
対象が請求項37または38記載の製剤を投与される、眼の疾患を治療する方法。
【請求項40】
前記眼の疾患が、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記製剤が患者の眼に投与される、請求項39~40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
前記製剤が1日1回前記患者に投与される、請求項39~41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
前記製剤が1日2回以上前記患者に投与される、請求項39~41のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
前記製剤が、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減させる、請求項21~26、30~36、または40~43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
前記製剤が、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎を約5%~約100%、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、または約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、または約50%~約70%低減させる、請求項21~26、30~36、または40~43のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
前記製剤が水溶性薬物を含む、請求項39~45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
前記製剤がプレガバリン、フェニルグリシン、ガバペンチン、またはリバビリンの1つまたは複数を含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記製剤がプレガバリンを含む、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記MEまたは製剤が、少なくとも0.3%w/w、少なくとも0.4%w/w、0.5%w/w、少なくとも0.6%w/w、少なくとも0.7%w/w、少なくとも0.8%w/w、少なくとも0.9%w/w、少なくとも1.0%w/w、少なくとも1.1%w/w、少なくとも1.2%w/wの水溶性薬物を含む、請求項21~26、30~36、または39~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
前記MEまたは製剤が、約0.3%w/w~約1.2%w/w、約0.3%w/w~約1.1%w/w、約0.3%w/w~約1.0%w/w、約0.3%w/w~約0.9%w/w、約0.3%w/w~約0.8%w/w、約0.4%w/w~約1%w/w、約0.4%w/w~約0.9%w/w、約0.4%w/w~約0.8%w/w、約0.4%w/w~約0.7%w/w、約0.5%w/w~約1.0%w/w、約0.5%w/w~約0.9%w/w、約0.5%w/w~約0.8%w/w、約0.5%w/w~約0.7%w/w、約0.55%w/w~約0.8%w/w、または約0.55%w/w~約0.7%w/wの水溶性薬物を含む、請求項21~26、30~36、または39~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
前記水溶性薬物の濃度が、前記MEまたは製剤の少なくとも0.3%w/w、少なくとも0.4%w/w、0.5%w/w、少なくとも0.6%w/w、少なくとも0.7%w/w、少なくとも0.8%w/w、少なくとも0.9%w/w、少なくとも1.0%w/w、少なくとも1.1%w/w、少なくとも1.2%w/wである、請求項21~26、30~36、または46~50のいずれか一項記載の方法。
【請求項52】
前記水溶性薬物の濃度が、最終的なMEまたは製剤の最大で0.3%w/w、最大で0.4%w/w、最大で0.5%w/w、最大で0.6%w/w、最大で0.7%w/w、最大で0.8%w/w、最大で0.9%w/w、最大で1.0%w/w、最大で1.1%w/w、または最大で1.2%w/wである、請求項21~26、30~36、または46~50のいずれか一項記載の方法。
【請求項53】
前記水溶性薬物の濃度が、前記MEまたは製剤の約0.3%w/w~約1.2%w/w、約0.3%w/w~約1.1%w/w、約0.3%w/w~約1.0%w/w、約0.3%w/w~約0.9%w/w、約0.3%w/w~約0.8%w/w、約0.4%w/w~約1%w/w、約0.4%w/w~約0.9%w/w、約0.4%w/w~約0.8%w/w、約0.4%w/w~約0.7%w/w、約0.5%w/w~約1.0%w/w、約0.5%w/w~約0.9%w/w、約0.5%w/w~約0.8%w/w、約0.5%w/w~約0.7%w/w、約0.55%w/w~約0.8%w/w、または約0.55%w/w~約0.7%w/wである、請求項21~26、30~36、または46~50のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
前記MEまたは製剤が、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎の症状を少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%低減させる水溶性薬物を含む、請求項21~26、30~36、または39~53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
前記MEまたは製剤が、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎の症状を最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%、または最大で100%低減させる水溶性薬物を含む、請求項21~26、30~36、または39~53のいずれか一項記載の方法。
【請求項56】
前記MEまたは製剤が、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎の症状を約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%低減させる水溶性薬物を含む、請求項21~26、30~36、または39~53のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
前記MEまたは製剤が、約0.3%/日~約1.2%/日の範囲で治療的有効量の水溶性薬物を含む、請求項21~26、30~36、または39~56のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
前記MEまたは製剤が、少なくとも0.3%w/w/日、少なくとも0.4%w/w/日、少なくとも0.5%w/w/日、少なくとも0.6%w/w/日、少なくとも0.7%w/w/日、少なくとも0.8%w/w/日、少なくとも0.9%w/w/日、少なくとも1.0%w/w/日、少なくとも1.1%w/w/日、または少なくとも1.2%w/w/日の範囲で治療的有効量の水溶性薬物を含む、請求項21~26、30~36、または39~56のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
前記MEまたは製剤が、約0.3%w/w/日~約1.2%w/w/日、約0.3%w/w/日~約1.1%w/w/日、約0.3%w/w/日~約1.0%w/w/日、約0.3%w/w/日~約0.9%w/w/日、約0.3%w/w/日~約0.8%w/w/日、約0.4%w/w/日~約1.2%w/w/日、約0.4%w/w/日~約1.1%w/w/日、約0.4%w/w/日~約1.0%w/w/日、約0.4%w/w/日~約0.9%w/w/日、約0.4%w/w/日~約0.8%w/w/日、約0.5%w/w/日~約1.2%w/w/日、約0.5%w/w/日~約1.1%w/w/日、約0.5%w/w/日~約1.0%w/w/日、約0.5%w/w/日~約0.9%w/w/日、約0.5%w/w/日~約0.8%w/w/日、約0.55%w/w/日~約1.2%w/w/日、約0.55%w/w/日~約1.1%w/w/日、約0.55%w/w/日~約1.0%w/w/日、約0.55%w/w/日~約0.9%w/w/日、約0.55%w/w/日~約0.8%w/w/日の範囲で治療的有効量の水溶性薬物を含む、請求項21~26、30~36、または39~56のいずれか一項記載の方法。
【請求項60】
前記MEまたは製剤が単回投与として投与されるか、または連続的に投与される、請求項21~26、30~36、または39~59のいずれか一項記載の方法。
【請求項61】
前記MEまたは製剤が、1日1回、1日2回、1日3回、数日に1回、または週1回、患者に投与される、請求項21~26、30~36、または39~60のいずれか一項記載の方法。
【請求項62】
前記MEまたは製剤が、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、またはそれ以上にわたって、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎の治療のために投与される、請求項21~26、30~36、または39~61のいずれか一項記載の方法。
【請求項63】
治療的有効量の水溶性薬物が、個体の眼内の内圧を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%低減させる、請求項21~26、30~36、または39~62のいずれか一項記載の方法。
【請求項64】
治療的有効量の水溶性薬物が、個体の眼内の内圧を最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%、または最大で100%低減させる、請求項21~26、30~36、または39~62のいずれか一項記載の方法。
【請求項65】
治療的有効量の水溶性薬物が、個体の眼内の内圧を約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%低減させる、請求項21~26、30~36、または39~62のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2017年12月19日に出願された米国特許仮出願第62/607429号および2018年9月7日に出願された第62/728564号に対して優先権を主張するものであり、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
原発開放隅角緑内障(POAG)は、世界的に、緑内障症例の90%を占める。これは、不可逆的失明の主因である。POAGは、網膜神経節細胞のアポトーシス細胞死から生じる進行性視神経損傷を特徴とする。眼圧(IOP)上昇は、この疾患における視野喪失の一因となる最も重要な危険因子のうちの1つである。定常状態IOPは、毛様体(CB)による眼房水(AH)生成と、線維柱帯網(TM;通常経路)、および程度は低いが、ブドウ膜強膜経路すなわち非通常経路を介するAH排出とのバランスによってもたらされる。AHの流入と流出のインバランスは、IOPの変化につながる。POAGとIOPの両方は高度に遺伝性である。ヒトでは、IOPの遺伝率は約55%であると推定される。さらに、IOP上昇およびPOAGの遺伝的危険性は部分的に共有されるが、POAGと関係があるいくつかの遺伝子座はIOPと関係がなかった。したがって、IOPをモジュレートする遺伝子変異体の特定は、治療介入のための重要な洞察および新しい標的を提供する可能性がある。
【0003】
堅固に保たれるIOPの重要性のために、その低減は緑内障に対する第一選択治療である。緑内障の有病率および社会に与えるその影響にもかかわらず、現在の医薬品は、IOP上昇を引き起こす根底にある病態生理に対処せず、IOPモジュレーションに関連する遺伝的変異にも対処しない。さらに、その短い半減期および短い角膜滞留時間のために、これらは、複数回の局所適用を毎日必要とし、このことは、患者服薬遵守が不十分であることと関係がある。
【発明の概要】
【0004】
概要
一局面では、本開示は、
(a)内部乳化剤内に包含される水溶液を含む非連続的内部相;
(b)内部相を包含する連続的油相;および
(c)油相を包含する外部乳化剤
を含む、マイクロエマルジョン(ME)を提供する。
【0005】
一態様では、MEは、(d)外部乳化剤を取り囲む水相をさらに含む。別の態様では、内部乳化剤は、プロピレングリコールモノカプリレートもしくは親水性-親油性バランス(HLB)値3~7を有する任意の他の界面活性剤、および/または任意の脂肪酸のプロピレングリコールエステル、例えば、プロピレングリコールモノカプロエート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、transcutol P、gelucire 50/13、gelucire 44/14、gelucire 43/01、任意の脂肪酸の任意のPEGモノ、ジおよび/もしくはトリエステル、レシチン、卵レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、トコフェロール、または任意の他のリン脂質、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される。さらなる態様では、内部乳化剤は、capryol 90、レシチン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0006】
一態様では、水溶液は、脱イオン水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、人工涙液、平衡塩類溶液からなる群より選択される。別の態様では、油相は、カプリル酸(C8)およびカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド、限定されないが、エチル、プロピルイソプロピル、およびブチルを含む任意の純粋な脂肪酸エステルからなる油;限定されないが、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、またはステアリン酸を含めた脂肪酸のエステル、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルカプロエート、イソプロピルカプリレート、エチルステアレート、ブチルラウレート、ならびに限定されないが、ヤシ油、パーム核油、ダイズ油、ヒマシ油、綿実油、トウモロコシ油、およびオリーブ油を含めた任意の天然油;ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される。さらなる態様では、油相はlabrafac lipophile WL 1349を含む。
【0007】
一態様では、外部乳化剤は、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド、マクロゴールグリセロールリシノレエート、10~16の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する任意の他の親水性界面活性剤、任意の脂肪酸もしくは脂肪酸混合物のポリエチレングリコールモノおよび/もしくはジエステル、プロピレングリコール、または限定されないが、グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノール、プロパノール、およびイソプロパノールを含めた任意の他のアルコール、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される。別の態様では、外部乳化剤は、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド、マクロゴールグリセロールリシノレエート、プロピレングリコール、またはこれらの組み合わせを含む。
【0008】
一態様では、MEは、0.5~35%w/wの水溶液、0.5~95%w/wの油相、および5~99%w/wの乳化剤を含む。別の態様では、MEは、10~30%w/wの水溶液、20~40%w/wの油相、および40~60%w/wの乳化剤を含む。別の態様では、MEは、少なくとも0.5%w/wの水溶液を含む、少なくとも1%w/wの水溶液を含む、少なくとも2%w/wの水溶液を含む、少なくとも3%w/wの水溶液を含む、少なくとも4%w/wの水溶液を含む、少なくとも5%w/wの水溶液を含む、少なくとも6%w/wの水溶液を含む、少なくとも7%w/wの水溶液を含む、少なくとも8%w/wの水溶液を含む、少なくとも9%w/wの水溶液を含む、少なくとも10%w/wの水溶液を含む、少なくとも11%w/wの水溶液を含む、少なくとも12%w/wの水溶液を含む、少なくとも13%w/wの水溶液を含む、少なくとも14%w/wの水溶液を含む、少なくとも15%w/wの水溶液を含む、少なくとも16%w/wの水溶液を含む、少なくとも17%w/wの水溶液を含む、少なくとも18%w/wの水溶液を含む、少なくとも19%w/wの水溶液を含む、少なくとも20%w/wの水溶液を含む、少なくとも25%w/wの水溶液を含む、少なくとも30%w/wの水溶液を含む、少なくとも35%w/wの水溶液を含む、少なくとも40%w/wの水溶液を含む、少なくとも45%w/wの水溶液を含む、少なくとも50%w/wの水溶液を含む、少なくとも55%w/wの水溶液を含む、少なくとも60%w/wの水溶液を含む、少なくとも65%w/wの水溶液を含む、少なくとも70%w/wの水溶液を含む、少なくとも75%w/wの水溶液を含む、少なくとも80%w/wの水溶液を含む、少なくとも85%w/wの水溶液を含む、少なくとも90%w/wの水溶液を含む、または少なくとも95%w/wの水溶液を含む。
【0009】
さらなる態様では、水溶液は水溶性薬物を含む。様々な態様では、水溶性薬物は、ベータ-遮断薬、例えば、ベタキソロールおよびチモロール;プロスタグランジン類似体、例えば、ビマトプロスト、ラタノプロスト、およびトラボプロスト;アルファ-アドレナリン作動薬、例えば、酒石酸ブリモニジン;炭酸脱水酵素阻害剤、例えば、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、およびアセタゾラミド;カルシウムチャネル遮断薬、例えば、ニモジピンおよびプレガバリン;アシアロガラクトシル化トリアンテナ型(NA3)(アシアロ-トリアンテナ型錯体型N-グリカンとしても公知である)、OT-551塩酸塩(1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルシクロプロパンカルボン酸エステル塩酸塩)、酒石酸ブリモニジン、クリンダマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、オフロキサシン、トリアムシノロン、バラシクロビル、ピリメタミン、バルガンシクロビル、ガンシクロビル、アシクロビル、ホスカルネット、酢酸プレドニゾロン、ジフルプレドネート、トリアムシノロン、デキサメタゾン、メトトレキサート、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、タクロリムス、シクロホスファミド、リバビリン、ブロムフェナク、ケトロラク、ネパフェナク、リフィテグラスト、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ケトチフェン、ネドクロミル、フェニレフリン、アゼラスチン、エピナスチン、ナファゾリン/フェニラミン、オロパタジン、ベポタスチン、アルカフタジン、ペミロラスト、硫酸亜鉛を有するまたは有さないテトラヒドロゾリン、ロドキサミド、ナファゾリン、フェニレフリン、クロモリン、エメダスチン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、ロラタジン、デスロラタジン、フェニルグリシン、ガバペンチン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される。別の態様では、水溶性薬物は、フェニルグリシン、ガバペンチン、プレガバリン、およびリバビリン、またはこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される。
【0010】
一態様では、水相はハイドロゲルを含む。別の態様では、ハイドロゲルは粘膜付着性ポリマーを含む。様々なさらなる態様では、粘膜付着性ポリマーは、ポリアクリル酸誘導体(限定されないが、CARBOPOL(登録商標)、例えばCARBOPOL(登録商標)981が挙げられる)、アルギン酸およびその塩もしくは誘導体(限定されないが、アルギン酸ナトリウムが挙げられる)、キトサンおよびその誘導体、デキストランおよびその誘導体、ペクチンおよびその誘導体、ゼラチンおよびその誘導体、ポリビニルピロリドンおよびその誘導体、N-メチルピロリドンおよびその誘導体、ヒアルロン酸塩およびその誘導体、ジェランガムおよびその誘導体、キサンタンガムおよびその誘導体、寒天およびその誘導体、グリココール酸およびその塩もしくは誘導体、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される。様々な他の態様では、粘膜付着性ポリマーは、ポリアクリル酸誘導体(限定されないが、CARBOPOL(登録商標)、例えばCARBOPOL(登録商標)981が挙げられる)、アルギン酸およびその塩もしくは誘導体(限定されないが、アルギン酸ナトリウムが挙げられる)、キトサンおよびその誘導体、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0011】
一態様では、MEは直径約1nm~約200nmの小球として存在する。別の態様では、MEは局所製剤として製剤化される。
【0012】
別の局面では、本開示は、眼圧(IOP)を低減させる、緑内障を治療する、加齢性黄斑変性症(AMD)を治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療するための方法であって、眼圧を低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療するのに有効な量の、本明細書において開示される任意の態様または組み合わせのMEを、眼圧、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎を有する対象に投与する工程を含み、水溶液が、IOPを低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療することができる水溶性薬物を含む、方法を提供する。様々な態様では、IOPを低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療することができる水溶性薬物は、ベータ-遮断薬、例えば、ベタキソロールおよびチモロール;プロスタグランジン類似体、例えば、ビマトプロスト、ラタノプロスト、およびトラボプロスト;アルファ-アドレナリン作動薬、例えば、酒石酸ブリモニジン;炭酸脱水酵素阻害剤、例えば、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、およびアセタゾラミド;カルシウムチャネル遮断薬、例えば、ニモジピンおよびプレガバリン;アシアロガラクトシル化トリアンテナ型(NA3)(アシアロ-トリアンテナ型錯体型N-グリカンとしても公知である)、OT-551塩酸塩(1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルシクロプロパンカルボン酸エステル塩酸塩)、酒石酸ブリモニジン、クリンダマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、オフロキサシン、トリアムシノロン、バラシクロビル、ピリメタミン、バルガンシクロビル、ガンシクロビル、アシクロビル、ホスカルネット、酢酸プレドニゾロン、ジフルプレドネート、トリアムシノロン、デキサメタゾン、メトトレキサート、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、タクロリムス、シクロホスファミド、リバビリン、ブロムフェナク、ケトロラク、ネパフェナク、リフィテグラスト、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ケトチフェン、ネドクロミル、フェニレフリン、アゼラスチン、エピナスチン、ナファゾリン/フェニラミン、オロパタジン、ベポタスチン、アルカフタジン、ペミロラスト、硫酸亜鉛を有するまたは有さないテトラヒドロゾリン、ロドキサミド、ナファゾリン、フェニレフリン、クロモリン、エメダスチン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、ロラタジン、デスロラタジン、フェニルグリシン、ガバペンチン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される。他の態様では、IOPを低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療することができる水溶性薬物は、フェニルグリシン、ガバペンチン、プレガバリン、およびリバビリン、またはこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される。
【0013】
一態様では、MEは、対象の片方または両方の眼に投与される。さらなる態様では、投与は1日あたり1回行われる。
【0014】
別の局面では、本開示は、
(a)非連続的(分散した)油相;および
(b)油相を包含する乳化剤
を含む、マイクロエマルジョン(ME)を提供する。
【0015】
一態様では、MEは、(c)乳化剤を取り囲む連続的水相をさらに含む。さらなる態様では、MEは、非連続的油相中に不溶性またはわずかに可溶性の薬物を含む。
【0016】
さらなる局面では、本開示は、緑内障を治療するのに有効な量の、カルシウム電位依存性チャネル補助サブユニットアルファ2デルタ1(CACNA2d1)タンパク質の阻害剤を、緑内障を有する対象に投与する工程を含む、緑内障を治療するための方法を提供する。一態様では、緑内障は原発開放隅角緑内障(POAG)である。別の局面では、本開示は、眼圧を治療する、低減させるのに有効な量の、CACNA2d1タンパク質の阻害剤を、それらを必要とする対象に投与する工程を含む、眼圧を低減させるための方法を提供する。これらの局面のそれぞれの一態様では、阻害剤はガバペンチノイドまたはフェニルグリシンを含む。一態様では、ガバペンチノイドはプレガバリンを含む。さらなる態様では、阻害剤は局所投与される。別の態様では、阻害剤は点眼剤を介して投与される。
[本発明1001]
(a)内部乳化剤内に包含される水溶液を含む非連続的内部相;
(b)該内部相を包含する連続的油相;および
(c)該油相を包含する外部乳化剤
を含む、マイクロエマルジョン(ME)。
[本発明1002]
(d)前記外部乳化剤を取り囲む水相
をさらに含む、本発明1001のME。
[本発明1003]
前記内部乳化剤が、プロピレングリコールモノカプリレートもしくはHLB値3~7を有する任意の他の界面活性剤、ならびに/または任意の脂肪酸のプロピレングリコールエステル、例えば、プロピレングリコールモノカプロエート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、transcutol P、gelucire 50/13、gelucire 44/14、gelucire 43/01、任意の脂肪酸の任意のPEGモノ、ジおよび/もしくはトリエステル、レシチン、卵レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、トコフェロール、または任意の他のリン脂質、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、本発明1001または1002のME。
[本発明1004]
前記内部乳化剤が、capryol 90、レシチン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、本発明1001または1002のME。
[本発明1005]
前記水溶液が、脱イオン水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、人工涙液、平衡塩類溶液からなる群より選択される、本発明1001~1004のいずれかのME。
[本発明1006]
前記油相が、カプリル酸(C8)およびカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド、限定されないが、エチル、プロピルイソプロピル、およびブチルを含む任意の純粋な脂肪酸エステルからなる油;限定されないが、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、またはステアリン酸を含めた脂肪酸のエステル、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルカプロエート、イソプロピルカプリレート、エチルステアレート、ブチルラウレート、ならびに限定されないが、ヤシ油、パーム核油、ダイズ油、ヒマシ油、綿実油、トウモロコシ油、およびオリーブ油を含めた任意の天然油;ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、本発明1001~1005のいずれかのME。
[本発明1007]
前記油相がlabrafac lipophile WL 1349を含む、本発明1001~1005のいずれかのME。
[本発明1008]
前記外部乳化剤が、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド、マクロゴールグリセロールリシノレエート、10~16の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する任意の他の親水性界面活性剤、任意の脂肪酸もしくは脂肪酸混合物のポリエチレングリコールモノおよび/もしくはジエステル、プロピレングリコール、または限定されないが、グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノール、プロパノール、およびイソプロパノールを含めた任意の他のアルコール、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、本発明1001~1007のいずれかのME。
[本発明1009]
前記外部乳化剤が、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド、マクロゴールグリセロールリシノレエート、プロピレングリコール、またはこれらの組み合わせを含む、本発明1001~1008のいずれかのME。
[本発明1010]
0.5~35%w/wの水溶液、0.5~95%w/wの油相、および5~99%w/wの乳化剤を含む、本発明1001~1009のいずれかのME。
[本発明1011]
10~30%w/wの水溶液、20~40%w/wの油相、および40~60%w/wの乳化剤を含む、本発明1001~1009のいずれかのME。
[本発明1012]
前記水溶液が水溶性薬物を含む、本発明1001~1011のいずれかのME。
[本発明1013]
前記水溶性薬物が、ベータ-遮断薬、例えば、ベタキソロールおよびチモロール;プロスタグランジン類似体、例えば、ビマトプロスト、ラタノプロスト、およびトラボプロスト;アルファ-アドレナリン作動薬、例えば、酒石酸ブリモニジン;炭酸脱水酵素阻害剤、例えば、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、およびアセタゾラミド;カルシウムチャネル遮断薬、例えば、ニモジピンおよびプレガバリン;アシアロガラクトシル化トリアンテナ型(NA3)(アシアロ-トリアンテナ型錯体型N-グリカンとしても公知である)、OT-551塩酸塩(1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルシクロプロパンカルボン酸エステル塩酸塩)、酒石酸ブリモニジン、クリンダマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、オフロキサシン、トリアムシノロン、バラシクロビル、ピリメタミン、バルガンシクロビル、ガンシクロビル、アシクロビル、ホスカルネット、酢酸プレドニゾロン、ジフルプレドネート、トリアムシノロン、デキサメタゾン、メトトレキサート、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、タクロリムス、シクロホスファミド、リバビリン、ブロムフェナク、ケトロラク、ネパフェナク、リフィテグラスト、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ケトチフェン、ネドクロミル、フェニレフリン、アゼラスチン、エピナスチン、ナファゾリン/フェニラミン、オロパタジン、ベポタスチン、アルカフタジン、ペミロラスト、硫酸亜鉛を有するまたは有さないテトラヒドロゾリン、ロドキサミド、ナファゾリン、フェニレフリン、クロモリン、エメダスチン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、ロラタジン、デスロラタジン、フェニルグリシン、ガバペンチン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、本発明1012のME。
[本発明1014]
前記水溶性薬物が、フェニルグリシン、ガバペンチン、プレガバリン、およびリバビリン、またはこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、本発明1012のME。
[本発明1015]
前記水相がハイドロゲルを含む、本発明1001~1014のいずれかのME。
[本発明1016]
前記ハイドロゲルが粘膜付着性ポリマーを含む、本発明1015のME。
[本発明1017]
前記粘膜付着性ポリマーが、ポリアクリル酸誘導体(限定されないが、CARBOPOL(登録商標)、例えばCARBOPOL(登録商標)981が挙げられる)、アルギン酸およびその塩もしくは誘導体(限定されないが、アルギン酸ナトリウムが挙げられる)、キトサンおよびその誘導体、デキストランおよびその誘導体、ペクチンおよびその誘導体、ゼラチンおよびその誘導体、ポリビニルピロリドンおよびその誘導体、N-メチルピロリドンおよびその誘導体、ヒアルロン酸塩およびその誘導体、ジェランガムおよびその誘導体、キサンタンガムおよびその誘導体、寒天およびその誘導体、グリココール酸およびその塩もしくは誘導体、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、本発明1016のME。
[本発明1018]
前記粘膜付着性ポリマーが、ポリアクリル酸誘導体(限定されないが、CARBOPOL(登録商標)、例えばCARBOPOL(登録商標)981が挙げられる)、アルギン酸およびその塩もしくは誘導体(限定されないが、アルギン酸ナトリウムが挙げられる)、キトサンおよびその誘導体、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、本発明1016のME。
[本発明1019]
直径約1nm~約200nmの小球として存在する、本発明1001~1018のいずれかのME。
[本発明1020]
局所製剤として製剤化される、本発明1001~1019のいずれかのME。
[本発明1021]
眼疾患を有する対象に、該眼疾患を治療するのに有効な量の本発明1001~1020のいずれかのMEを投与する工程を含む、眼疾患を治療するための方法であって、前記水溶液が、該眼疾患を治療することができる水溶性薬物を含む、方法。
[本発明1022]
眼圧(IOP)を低減させる、緑内障を治療する、加齢性黄斑変性症(AMD)を治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療するための方法であって、眼圧を低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療するのに有効な量の本発明1001~1020のいずれかのMEを、眼圧、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎を有する対象に投与する工程を含み、前記水溶液が、IOPを低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療することができる水溶性薬物を含む、方法。
[本発明1023]
IOPを低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療することができる前記水溶性薬物が、ベータ-遮断薬、例えば、ベタキソロールおよびチモロール;プロスタグランジン類似体、例えば、ビマトプロスト、ラタノプロスト、およびトラボプロスト;アルファ-アドレナリン作動薬、例えば、酒石酸ブリモニジン;炭酸脱水酵素阻害剤、例えば、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、およびアセタゾラミド;カルシウムチャネル遮断薬、例えば、ニモジピンおよびプレガバリン;アシアロガラクトシル化トリアンテナ型(NA3)(アシアロ-トリアンテナ型錯体型N-グリカンとしても公知である)、OT-551塩酸塩(1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルシクロプロパンカルボン酸エステル塩酸塩)、酒石酸ブリモニジン、クリンダマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、オフロキサシン、トリアムシノロン、バラシクロビル、ピリメタミン、バルガンシクロビル、ガンシクロビル、アシクロビル、ホスカルネット、酢酸プレドニゾロン、ジフルプレドネート、トリアムシノロン、デキサメタゾン、メトトレキサート、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、タクロリムス、シクロホスファミド、リバビリン、ブロムフェナク、ケトロラク、ネパフェナク、リフィテグラスト、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ケトチフェン、ネドクロミル、フェニレフリン、アゼラスチン、エピナスチン、ナファゾリン/フェニラミン、オロパタジン、ベポタスチン、アルカフタジン、ペミロラスト、硫酸亜鉛を有するまたは有さないテトラヒドロゾリン、ロドキサミド、ナファゾリン、フェニレフリン、クロモリン、エメダスチン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、ロラタジン、デスロラタジン、フェニルグリシン、ガバペンチン、これらの組み合わせ、またはこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、本発明1021または1022の方法。
[本発明1024]
IOPを低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療することができる前記水溶性薬物が、フェニルグリシン、ガバペンチン、プレガバリン、およびリバビリン、またはこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される、本発明1021または1022の方法。
[本発明1025]
前記MEが前記対象の片方または両方の眼に投与される、本発明1021~1024のいずれかの方法。
[本発明1026]
前記投与が1日あたり1回行われる、本発明1021~1024のいずれかの方法。
[本発明1027]
(a)非連続的(分散した)油相;および
(b)該油相を包含する乳化剤
を含む、マイクロエマルジョン(ME)。
[本発明1028]
(c)前記乳化剤を取り囲む連続的水相
をさらに含む、本発明1027のME。
[本発明1029]
前記非連続的油相中に不溶性またはわずかに可溶性の薬物をさらに含む、本発明1027または1028のME。
[本発明1030]
緑内障を治療するのに有効な量の、カルシウム電位依存性チャネル補助サブユニットアルファ2デルタ1(CACNA2d1)タンパク質の阻害剤を、緑内障を有する対象に投与する工程を含む、緑内障を治療するための方法。
[本発明1031]
前記緑内障が原発開放隅角緑内障(POAG)である、本発明1029の方法。
[本発明1032]
眼圧を治療する、低減させるのに有効な量の、CACNA2d1タンパク質の阻害剤を、それらを必要とする対象に投与する工程を含む、眼圧を低減させるための方法。
[本発明1033]
前記阻害剤が、ガバペンチノイド、フェニルグリシン、またはこれらの薬学的に許容される塩を含む、本発明1030~1032のいずれかの方法。
[本発明1034]
前記ガバペンチノイドが、ガバペンチン、プレガバリン、またはこれらの薬学的に許容される塩を含む、本発明1033の方法。
[本発明1035]
前記阻害剤が局所投与される、本発明1030~1034のいずれかの方法。
[本発明1036]
前記阻害剤が点眼剤を介して投与される、本発明1030~1035のいずれかの方法。
[本発明1037]
以下を含む製剤:
(a)(i)該製剤の0%~約7%w/wの濃度の水;
(ii)該製剤の約6%~約13%w/wの濃度の油;
(iii)該製剤の約1%~約13%w/wの濃度のcapryol 90;および
(iv)該製剤の約1%~約13%w/wの濃度のレシチン
を含む、該製剤の約0.1%~約40%を構成する一次油中水型(w/o)相、ならびに
(b)(i)該製剤の約0.1%~約25%w/wの濃度のlabrasol;
(ii)該製剤の約0.1%~約25%w/wの濃度のcremophor EL;
(iii)該製剤の0%~約45%w/wの濃度のプロピレングリコール;および
(iv)該製剤の約10%~約99.7%w/wの濃度の水
を含む、該製剤の50~99.9%を構成する外部水相。
[本発明1038]
以下を含む製剤:
(a)(i)該製剤の2%~約7%w/wの濃度の水;
(ii)該製剤の約6%~約9%w/wの濃度の油;
(iii)該製剤の約3%~約9%w/wの濃度のCapryol 90;および
(iv)該製剤の約3%~約9%w/wの濃度のレシチン
を含む、該製剤の約0.1%~約40%を構成する一次油中水型(w/o)相、ならびに
(b)(i)該製剤の約5%~約9.5%w/wの濃度のlabrasol;
(ii)該製剤の約5%~約9.5%w/wの濃度のCremophor EL;
(iii)該製剤の5%~約25%w/wの濃度のプロピレングリコール;および
(iv)該製剤の約30%~約56%w/wの濃度の水
を含む、該製剤の50~99.9%を構成する外部水相。
[本発明1039]
対象が本発明1037または1038の製剤を投与される、眼の疾患を治療する方法。
[本発明1040]
前記眼の疾患が、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎である、本発明1039の方法。
[本発明1041]
前記製剤が患者の眼に投与される、本発明1039~1040のいずれかの方法。
[本発明1042]
前記製剤が1日1回前記患者に投与される、本発明1039~1041のいずれかの方法。
[本発明1043]
前記製剤が1日2回以上前記患者に投与される、本発明1039~1041のいずれかの方法。
[本発明1044]
前記製剤が、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減させる、本発明1021~1026、1030~1036、または1040~1043のいずれかの方法。
[本発明1045]
前記製剤が、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎を約5%~約100%、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、または約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、または約50%~約70%低減させる、本発明1021~1026、1030~1036、または1040~1043のいずれかの方法。
[本発明1046]
前記製剤が水溶性薬物を含む、本発明1039~1045のいずれかの方法。
[本発明1047]
前記製剤がプレガバリン、フェニルグリシン、ガバペンチン、またはリバビリンの1つまたは複数を含む、本発明1046の方法。
[本発明1048]
前記製剤がプレガバリンを含む、本発明1046の方法。
[本発明1049]
前記MEまたは製剤が、少なくとも0.3%w/w、少なくとも0.4%w/w、0.5%w/w、少なくとも0.6%w/w、少なくとも0.7%w/w、少なくとも0.8%w/w、少なくとも0.9%w/w、少なくとも1.0%w/w、少なくとも1.1%w/w、少なくとも1.2%w/wの水溶性薬物を含む、本発明1021~1026、1030~1036、または1039~1048のいずれかの方法。
[本発明1050]
前記MEまたは製剤が、約0.3%w/w~約1.2%w/w、約0.3%w/w~約1.1%w/w、約0.3%w/w~約1.0%w/w、約0.3%w/w~約0.9%w/w、約0.3%w/w~約0.8%w/w、約0.4%w/w~約1%w/w、約0.4%w/w~約0.9%w/w、約0.4%w/w~約0.8%w/w、約0.4%w/w~約0.7%w/w、約0.5%w/w~約1.0%w/w、約0.5%w/w~約0.9%w/w、約0.5%w/w~約0.8%w/w、約0.5%w/w~約0.7%w/w、約0.55%w/w~約0.8%w/w、または約0.55%w/w~約0.7%w/wの水溶性薬物を含む、本発明1021~1026、1030~1036、または1039~1048のいずれかの方法。
[本発明1051]
前記水溶性薬物の濃度が、前記MEまたは製剤の少なくとも0.3%w/w、少なくとも0.4%w/w、0.5%w/w、少なくとも0.6%w/w、少なくとも0.7%w/w、少なくとも0.8%w/w、少なくとも0.9%w/w、少なくとも1.0%w/w、少なくとも1.1%w/w、少なくとも1.2%w/wである、本発明1021~1026、1030~1036、または1046~1050のいずれかの方法。
[本発明1052]
前記水溶性薬物の濃度が、最終的なMEまたは製剤の最大で0.3%w/w、最大で0.4%w/w、最大で0.5%w/w、最大で0.6%w/w、最大で0.7%w/w、最大で0.8%w/w、最大で0.9%w/w、最大で1.0%w/w、最大で1.1%w/w、または最大で1.2%w/wである、本発明1021~1026、1030~1036、または1046~1050のいずれかの方法。
[本発明1053]
前記水溶性薬物の濃度が、前記MEまたは製剤の約0.3%w/w~約1.2%w/w、約0.3%w/w~約1.1%w/w、約0.3%w/w~約1.0%w/w、約0.3%w/w~約0.9%w/w、約0.3%w/w~約0.8%w/w、約0.4%w/w~約1%w/w、約0.4%w/w~約0.9%w/w、約0.4%w/w~約0.8%w/w、約0.4%w/w~約0.7%w/w、約0.5%w/w~約1.0%w/w、約0.5%w/w~約0.9%w/w、約0.5%w/w~約0.8%w/w、約0.5%w/w~約0.7%w/w、約0.55%w/w~約0.8%w/w、または約0.55%w/w~約0.7%w/wである、本発明1021~1026、1030~1036、または1046~1050のいずれかの方法。
[本発明1054]
前記MEまたは製剤が、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎の症状を少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%低減させる水溶性薬物を含む、本発明1021~1026、1030~1036、または1039~1053のいずれかの方法。
[本発明1055]
前記MEまたは製剤が、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎の症状を最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%、または最大で100%低減させる水溶性薬物を含む、本発明1021~1026、1030~1036、または1039~1053のいずれかの方法。
[本発明1056]
前記MEまたは製剤が、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎の症状を約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%低減させる水溶性薬物を含む、本発明1021~1026、1030~1036、または1039~1053のいずれかの方法。
[本発明1057]
前記MEまたは製剤が、約0.3%/日~約1.2%/日の範囲で治療的有効量の水溶性薬物を含む、本発明1021~1026、1030~1036、または1039~1056のいずれかの方法。
[本発明1058]
前記MEまたは製剤が、少なくとも0.3%w/w/日、少なくとも0.4%w/w/日、少なくとも0.5%w/w/日、少なくとも0.6%w/w/日、少なくとも0.7%w/w/日、少なくとも0.8%w/w/日、少なくとも0.9%w/w/日、少なくとも1.0%w/w/日、少なくとも1.1%w/w/日、または少なくとも1.2%w/w/日の範囲で治療的有効量の水溶性薬物を含む、本発明1021~1026、1030~1036、または1039~1056のいずれかの方法。
[本発明1059]
前記MEまたは製剤が、約0.3%w/w/日~約1.2%w/w/日、約0.3%w/w/日~約1.1%w/w/日、約0.3%w/w/日~約1.0%w/w/日、約0.3%w/w/日~約0.9%w/w/日、約0.3%w/w/日~約0.8%w/w/日、約0.4%w/w/日~約1.2%w/w/日、約0.4%w/w/日~約1.1%w/w/日、約0.4%w/w/日~約1.0%w/w/日、約0.4%w/w/日~約0.9%w/w/日、約0.4%w/w/日~約0.8%w/w/日、約0.5%w/w/日~約1.2%w/w/日、約0.5%w/w/日~約1.1%w/w/日、約0.5%w/w/日~約1.0%w/w/日、約0.5%w/w/日~約0.9%w/w/日、約0.5%w/w/日~約0.8%w/w/日、約0.55%w/w/日~約1.2%w/w/日、約0.55%w/w/日~約1.1%w/w/日、約0.55%w/w/日~約1.0%w/w/日、約0.55%w/w/日~約0.9%w/w/日、約0.55%w/w/日~約0.8%w/w/日の範囲で治療的有効量の水溶性薬物を含む、本発明1021~1026、1030~1036、または1039~1056のいずれかの方法。
[本発明1060]
前記MEまたは製剤が単回投与として投与されるか、または連続的に投与される、本発明1021~1026、1030~1036、または1039~1059のいずれかの方法。
[本発明1061]
前記MEまたは製剤が、1日1回、1日2回、1日3回、数日に1回、または週1回、患者に投与される、本発明1021~1026、1030~1036、または1039~1060のいずれかの方法。
[本発明1062]
前記MEまたは製剤が、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、またはそれ以上にわたって、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎の治療のために投与される、本発明1021~1026、1030~1036、または1039~1061のいずれかの方法。
[本発明1063]
治療的有効量の水溶性薬物が、個体の眼内の内圧を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%低減させる、本発明1021~1026、1030~1036、または1039~1062のいずれかの方法。
[本発明1064]
治療的有効量の水溶性薬物が、個体の眼内の内圧を最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%、または最大で100%低減させる、本発明1021~1026、1030~1036、または1039~1062のいずれかの方法。
[本発明1065]
治療的有効量の水溶性薬物が、個体の眼内の内圧を約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%低減させる、本発明1021~1026、1030~1036、または1039~1062のいずれかの方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】IOPのシンプルインターバルマップ(Simple interval map)は、近位第5染色体上の単一の重要なeQTLを明らかにした。Cacna2d1は、IOPをモジュレートする最有力候補としてとして特定された。
【
図2】CACNA2D1は毛様体(CB)&線維柱帯網(TM)に局在している。
【
図3】CACNA2D1とCa
vα1ポアの関連およびCACNA2D1サブユニットへのプレガバリンの結合を示す漫画図。
【
図4】ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)に懸濁されたプレガバリンは、B6マウスにおいて、用量依存的にIOPを低下させる。最大効果を与える最小濃度は0.9%である(n=5)。
【
図5】ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)に懸濁されたプレガバリン(0.9%)は、ダッチベルトウサギ(n=5)において、IOPを23%低下させる。
【
図6】Labrafac(油)+transcutol P(界面活性剤)+H
2Oの三相ダイアグラム。w/oマイクロエマルジョンは影を付けた領域に示される。
【
図7】Labrafac(油)+transcutol P & tween80(界面活性剤混合物)+H
2Oの擬似三相ダイアグラム。w/oマイクロエマルジョンは影を付けた領域に示される。
【
図8】Labrafac(油)+cremophor EL(界面活性剤)+H
2Oの三相ダイアグラム。w/oマイクロエマルジョンは影を付けた領域に示される。
【
図9】Labrafac(油)+cremophor EL & tween 80(界面活性剤混合物)+H
2Oの擬似三相ダイアグラム。w/oマイクロエマルジョンは影を付けた領域に示される。
【
図10】Labrafac(油)+capryol 90(界面活性剤)+H
2Oの三相ダイアグラム。w/oマイクロエマルジョンは影を付けた領域に示される。
【
図11】Labrafac(油)+capryol 90 & tween 80(界面活性剤混合物)+H
2Oの擬似三相ダイアグラム。w/oマイクロエマルジョンは影を付けた領域に示される。
【
図12】Labrafac(油)+capryol 90 &ダイズレシチン(1:1)(界面活性剤混合物)+H
2Oの擬似三相ダイアグラム。w/oマイクロエマルジョンは影を付けた領域に示される。
【
図13】Labrafac(油)+capryol 90 &ダイズレシチン(2:1)(界面活性剤混合物)+H
2Oの擬似三相ダイアグラム。w/oマイクロエマルジョンは影を付けた領域に示される。
【
図14】Labrafac(油)+transcutol P &ダイズレシチン(1:1)(界面活性剤混合物)+H
2Oの擬似三相ダイアグラム。w/oマイクロエマルジョンは影を付けた領域に示される。
【
図15】多層MEハイドロゲルの組成を示す漫画図である。
【
図16】異なる製剤からのプレガバリン放出プロファイルは、MEの徐放挙動を示し、これは、24時間まで続く一定の放出率を与えたCARBOPOL(登録商標)MEで特に明らかである。
【
図17】プレガバリンを含む異なるプレガバリン製剤の細胞毒性パターンのヒストグラムは、ヒト角膜上皮細胞に対する製剤の安全性を示す。
【
図18】プレガバリン製剤の粘性のヒストグラムは、CARBOPOL(登録商標)を含む製剤が、より長い時間にわたって眼に製剤をとどまらせる最も高い粘性値を持つことを示す。
【
図19】プレガバリン製剤の粘膜付着のヒストグラムは、ME製剤が他の製剤よりも高い粘膜付着値を持つことを示す。
【
図20】MEがプレガバリンの高角膜透過性を持続することを実証する、プレガバリン製剤の角膜透過性プロファイル。
【
図21】異なるプレガバリンMEの適用後の細隙灯検査:(a)CARBOPOL(登録商標)、(b)アルギネート、または(c)キトサン。
【
図22】0.1~0.7%の範囲の濃度の、CARBOPOL(登録商標)ME中のプレガバリンの局所適用後の、ダッチベルトウサギのIOPプロファイル(n=5)。
【
図23】ブランクME、CARBOPOL(登録商標)ゲル中のプレガバリン、およびCARBOPOL(登録商標)ME中のプレガバリンの局所適用後のダッチベルトウサギ由来のIOPプロファイル(n=5)。
【
図24】プレガバリンCARBOPOL(登録商標)MEを使用する21日間のタキフィラキシー研究の間のダッチベルトウサギ由来のIOPプロファイル(n=5)。
【
図25】プレガバリンCARBOPOL(登録商標)MEを使用する21日間のタキフィラキシー研究の最初の24時間のダッチベルトウサギ由来のIOPプロファイル(n=5)。
【
図26】プレガバリンCARBOPOL(登録商標)MEを使用する21日間のタキフィラキシー研究の最後の24時間のダッチベルトウサギ由来のIOPプロファイル(n=5)。
【
図27】2%HPMC粘性点眼剤中の0.9%のプレガバリンの局所適用後のB6マウス由来のIOPプロファイル(n=5)。
【
図28】2%HPMC粘性点眼剤中の0.9%の2-フェニルグリシンの局所適用後のB6マウス由来のIOPプロファイル(n=5)。
【
図29】2%HPMC粘性点眼剤中の0.9%のガバペンチンの局所適用後のB6マウス由来のIOPプロファイル(n=5)。
【
図30】午前9時に投与されたLumigan、0.01%の局所適用後のダッチベルトウサギ由来のIOPプロファイル(n=5)。
【
図31】午後9時に投与されたLumigan、0.01%の局所適用後のダッチベルトウサギ由来のIOPプロファイル(n=5)。
【
図32】異なる製剤からのリバビリン放出プロファイルは、MEの徐放挙動を示し、これは、24時間まで続く一定の放出率を与えたCARBOPOL(登録商標)MEで特に明らかである。
【
図33】リバビリンを含む異なる製剤の細胞毒性のヒストグラムは、ヒト角膜上皮細胞に対する本発明者らの製剤の安全性を示す。
【
図34】粘性のヒストグラムは、CARBOPOL(登録商標)を含むリバビリン製剤が、より長い時間にわたって眼に製剤をとどまらせるであろう最も高い粘性値を持つことを示す。
【
図35】製剤の粘膜付着のヒストグラムは、リバビリンCARBOPOL(登録商標)ME製剤が、他の製剤よりも高い粘膜付着性を持つことを示す。
【
図36】リバビリン製剤の角膜透過性プロファイルは、MEがリバビリンの角膜透過性を増大させることを実証する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
引用するすべての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0019】
本明細書において使用する場合、「約」は、列挙されるパラメーターの+/-5%を意味する。
【0020】
本開示の任意の局面のすべての態様は、文脈において別段明記しない限り、組み合わせて使用することができる。
【0021】
一局面では、
(a)内部乳化剤内に包含される水溶液を含む非連続的内部相;
(b)内部相を包含する油相;および
(c)油相を包含する外部乳化剤
を含む、マイクロエマルジョン(ME)が開示される。
【0022】
本明細書において記載されるように、本発明者らは、例えば、水溶性薬物の局所送達に使用することができる、新規なマイクロエマルジョン(ME)を開発した。本明細書において記載されるマイクロエマルジョンは、合成するのが容易であり、大きなバッチサイズにスケール変更することができ、高度に生体適合性であり、持続薬物放出ができる。
【0023】
一態様では、MEは、(d)外部乳化剤を取り囲む水相をさらに含む。本態様では、水層中に存在する水溶性薬物は、2つの界面:内部w/o界面(すなわち、水溶液から内部乳化剤を通って)および外部o/w界面(すなわち、油相から外部乳化剤を通って)を通過しなければならず、その後、これは、投与部位で吸収される状態になるには、水相(限定されないが、粘性ハイドロゲルが挙げられる)を介して拡散しなければならない。この巧みな設計のために、薬物がこれらすべての段階を通過するのに必要とされる時間が大きく延ばされ、徐放が可能になる。
【0024】
任意の適切な疎水性内部乳化剤をMEで使用することができる。様々な非限定的態様では、内部乳化剤は、プロピレングリコールモノカプリレートもしくは親水性-親油性バランス(HLB)値3~7を有する任意の他の界面活性剤および/または任意の脂肪酸のプロピレングリコールエステル、例えば、プロピレングリコールモノカプロエート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、transcutol P、gelucire 50/13(ステアリン酸のPEG(MW 1500)モノ、ジ、トリエステルの混合物)、gelucire 44/14(ラウリン酸のPEG(MW 1500)モノ、ジ、トリエステルの混合物)、gelucire 43/01(脂肪酸C8~C18のPEG(MW 1500)モノ、ジ、トリエステルの混合物)、任意の脂肪酸の任意のPEGモノ、ジおよび/もしくはトリエステル、レシチン、卵レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、トコフェロール、または任意の他のリン脂質、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0025】
Capryol 90はHLB=5を有する界面活性剤である。その化学名はプロピレングリコールモノカプリレート(カプリル酸のプロピレングリコールモノエステル)である。プロピレングリコールモノカプリレートに代わるものは、HLB値3~7を有する任意の他の界面活性剤および/または任意の脂肪酸のプロピレングリコールエステル、例えば、プロピレングリコールモノカプロエート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレートなどでもよい。
【0026】
LabrasolはHLB値=12を有する親水性界面活性剤である。これは、ほんのわずかのモノ、ジおよびトリグリセリドと、主に、カプリル酸およびカプリン酸のポリエチレングリコール-8(MW 400)モノおよびジエステルとからなる。その化学名は、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド、カプリロカプロイルマクロゴール-8グリセリド、またはPEG-8カプリル/カプリングリセリドである。その代替物は、HLB値(10~14)を有する任意の他の親水性界面活性剤、ならびに/または任意の脂肪酸のポリエチレングリコールモノおよび/もしくはジエステルでもよい。
【0027】
Cremophor ELはHLB値=14を有する親水性界面活性剤である。その化学名は、マクロゴールグリセロールリシノレエート、PEG-35ヒマシ油、ポリオキシル35硬化ヒマシ油、またはポリオキシル-35ヒマシ油である。代替物はHLB値(12~16)を有する任意の他の親水性界面活性剤、ならびに/または任意の脂肪酸もしくは脂肪酸混合物のポリエチレングリコールモノおよび/もしくはジエステルでもよい。
【0028】
レシチンはHLB値=4~7を有する疎水性界面活性剤である。その化学名は2-ノナノイルオキシ-3-オクタデカ-9,12-ジエノイルオキシプロポキシ)-[2-(トリメチルアザニウムイル)エチル]ホスフィネートである。これは、天然リン脂質の混合物であり、したがってその代替物は、以下のうちの1つでもよい:卵レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、トコフェロール、または任意の他のリン脂質。
【0029】
一態様では、内部乳化剤は、プロピレングリコールモノカプリレート、レシチン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0030】
任意の適切な水溶液をMEで使用することができる。様々な非限定的態様では、水溶液は、脱イオン水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、人工涙液、および平衡塩類溶液からなる群より選択される。
【0031】
任意の適切な油相をMEで使用することができる。様々な非限定的態様では、油相は、カプリル酸(C8)およびカプリン酸(C10)の中鎖トリグリセリド、限定されないが、エチル、プロピル、イソプロピル、およびブチルを含む任意の純粋な脂肪酸エステルからなる油;限定されないが、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、またはステアリン酸を含めた脂肪酸のエステル、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルカプロエート、イソプロピルカプリレート、エチルステアレート、ブチルラウレート、ならびに限定されないが、ヤシ油、パーム核油、ダイズ油、ヒマシ油、綿実油、トウモロコシ油、およびオリーブ油を含めた任意の天然油;ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される。特定の一態様では、油相は、labrafac lipophile WL 1349(すなわち、カプリル酸およびカプリン酸のトリグリセリドエステル)を含む。
【0032】
任意の適切な外部乳化剤をMEで使用することができる。様々な他の態様では、外部乳化剤は、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド、マクロゴールグリセロールリシノレエート、10~16の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する任意の他の親水性界面活性剤、任意の脂肪酸もしくは脂肪酸混合物のポリエチレングリコールモノおよび/もしくはジエステル、プロピレングリコール、または限定されないが、グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノール、プロパノール、およびイソプロパノールを含めた任意の他のアルコール、ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される。様々なさらなる態様では、外部乳化剤は、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド、マクロゴールグリセロールリシノレエート、プロピレングリコール、またはこれらの組み合わせを含む。
【0033】
本開示のMEの様々な成分の任意の適切な組み合わせを使用することができる。一態様では、MEは、0.5~35%w/wの水溶液、0.5~95%w/wの油相、および5~99%w/wの乳化剤(すなわち、内部乳化剤+外部乳化剤)を含む。別の態様では、MEは、10~30%w/wの水溶液、20~40%w/wの油相、および40~60%w/wの乳化剤を含む。さらなる態様では、MEは、約20%w/wの水溶液、約30%w/wの油相、および約50%w/wの乳化剤を含む。様々なさらなる態様では、MEは少なくとも0.5%w/wの水溶液を含む、少なくとも1%w/wの水溶液を含む、少なくとも2%w/wの水溶液を含む、少なくとも3%w/wの水溶液を含む、少なくとも4%w/wの水溶液を含む、少なくとも5%w/wの水溶液を含む、少なくとも6%w/wの水溶液を含む、少なくとも7%w/wの水溶液を含む、少なくとも8%w/wの水溶液を含む、少なくとも9%w/wの水溶液を含む、少なくとも10%w/wの水溶液を含む、少なくとも11%w/wの水溶液を含む、少なくとも12%w/wの水溶液を含む、少なくとも13%w/wの水溶液を含む、少なくとも14%w/wの水溶液を含む、少なくとも15%w/wの水溶液を含む、少なくとも16%w/wの水溶液を含む、少なくとも17%w/wの水溶液を含む、少なくとも18%w/wの水溶液を含む、少なくとも19%w/wの水溶液を含む、少なくとも20%w/wの水溶液を含む、少なくとも25%w/wの水溶液を含む、少なくとも30%w/wの水溶液を含む、少なくとも35%w/wの水溶液を含む、少なくとも40%w/wの水溶液を含む、少なくとも45%w/wの水溶液を含む、少なくとも50%w/wの水溶液を含む、少なくとも55%w/wの水溶液を含む、少なくとも60%w/wの水溶液を含む、少なくとも65%w/wの水溶液を含む、少なくとも70%w/wの水溶液を含む、少なくとも75%w/wの水溶液を含む、少なくとも80%w/wの水溶液を含む、少なくとも85%w/wの水溶液を含む、少なくとも90%w/wの水溶液を含む、または少なくとも95%w/wの水溶液を含む。
【0034】
様々な態様では、外部乳化剤は、内部乳化剤に対して、約10:1~約2:1の比で存在する。様々なさらなる態様では、外部乳化剤は、内部乳化剤に対して、約9:1~約2:1、約8:1~約2:1、約7:1~約2:1、約6:1~約2:1、約5:1~約2:1、約4:1~約2:1、約3:1~約2:1、約10:1~約2.5:1、約9:1~約2.5:1、約8:1~約2.5:1、約7:1~約2.5:1、約6:1~約2.5:1、約5:1~約2.5:1、約4:1~約2.5:1、約3:1~約2.5:1、内部乳化剤に対して約10:1~約3:1、約9:1~約3:1、約8:1~約3:1、約7:1~約3:1、約6:1~約3:1、約5:1~約3:1、約4:1~約3:1、内部乳化剤に対して約10:1~約4:1、約9:1~約4:1、約8:1~約4:1、約7:1~約4:1、約6:1~約4:1、約5:1~約4:1、約10:1~約5:1内部乳化剤に対して、約9:1~約5:1、約8:1~約5:1、約7:1~約5:1、約6:1~約5:1の比で存在する。
【0035】
一態様では、水溶液は水溶性治療剤を含む。任意の適切な水溶性治療剤を水溶液中に組み入れることができ、水溶性治療剤としては、限定されないが、ベータ-遮断薬、例えば、ベタキソロールおよびチモロール;プロスタグランジン類似体、例えば、ビマトプロスト、ラタノプロスト、およびトラボプロスト;アルファ-アドレナリン作動薬、例えば、酒石酸ブリモニジン;炭酸脱水酵素阻害剤、例えば、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、およびアセタゾラミド;カルシウムチャネル遮断薬、例えば、ニモジピンおよびプレガバリン;アシアロガラクトシル化トリアンテナ型(NA3)(アシアロ-トリアンテナ型錯体型N-グリカンとしても公知である)、OT-551塩酸塩(1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルシクロプロパンカルボン酸エステル塩酸塩)、酒石酸ブリモニジン、クリンダマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、オフロキサシン、トリアムシノロン、バラシクロビル、ピリメタミン、バルガンシクロビル、ガンシクロビル、アシクロビル、ホスカルネット、酢酸プレドニゾロン、ジフルプレドネート、トリアムシノロン、デキサメタゾン、メトトレキサート、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、タクロリムス、シクロホスファミド、リバビリン、ブロムフェナク、ケトロラク、ネパフェナク、リフィテグラスト、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ケトチフェン、ネドクロミル、フェニレフリン、アゼラスチン、エピナスチン、ナファゾリン/フェニラミン、オロパタジン、ベポタスチン、アルカフタジン、ペミロラスト、硫酸亜鉛を有するまたは有さないテトラヒドロゾリン、ロドキサミド、ナファゾリン、フェニレフリン、クロモリン、エメダスチン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、ロラタジン、デスロラタジン、フェニルグリシン、ガバペンチン、またはこれらの組み合わせが挙げられる。特定の態様では、水溶性薬物は、フェニルグリシン、ガバペンチン、プレガバリン、およびリバビリン、またはこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される。
【0036】
別の態様では、水相は、ハイドロゲル(すなわち、ゲルまたは膨潤したネットワーク構造のポリマーマトリックスであり、液体成分は、水または水溶液、エマルジョンまたは懸濁液である)を含む。一態様では、ハイドロゲルは粘膜付着性ポリマーを含む。任意の適切な粘膜付着性ポリマーを使用することができ、粘膜付着性ポリマーとしては、限定されないが、ポリアクリル酸誘導体(限定されないが、CARBOPOL(登録商標)、例えばCARBOPOL(登録商標)981が挙げられる)、アルギン酸およびその塩もしくは誘導体(限定されないが、アルギン酸ナトリウムが挙げられる)、キトサンおよびその誘導体、デキストランおよびその誘導体、ペクチンおよびその誘導体、ゼラチンおよびその誘導体、ポリビニルピロリドンおよびその誘導体、N-メチルピロリドンおよびその誘導体、ヒアルロン酸塩およびその誘導体、ジェランガムおよびその誘導体、キサンタンガムおよびその誘導体、寒天およびその誘導体、グリココール酸およびその塩もしくは誘導体、またはこれらの組み合わせが挙げられる。特定の態様では、粘膜付着性ポリマーは、ポリアクリル酸誘導体(限定されないが、CARBOPOL(登録商標)、例えばCARBOPOL(登録商標)981が挙げられる)、アルギン酸およびその塩もしくは誘導体(限定されないが、アルギン酸ナトリウムが挙げられる)、キトサンおよびその誘導体、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0037】
MEは、ME中に装填された水溶性治療剤の投薬単位製剤の形で、任意の適切な投与経路(すなわち、経口的、局所的、鼻腔内など)のために製剤化することができる。製剤は、所望の投与経路に適した任意の他の成分を含むことができ、他の成分としては、限定されないが、従来の薬学的に許容される担体、補助剤、およびビヒクルが挙げられる。一態様では、MEは、眼への送達のためなど、局所製剤として製剤化される。
【0038】
本明細書において開示されるMEは、ME小球(すなわち、滴)として提供され得る。ME小球は任意の適切なサイズのものであり得る。一態様では、ME小球は、直径約1nm~約200nmである。様々なさらなる態様では、ME小球は、直径約1nm~約150nm、約1nm~約100nm、約1nm~約50nm、約1nm~約20nm、約1nm~約18nm、約1nm~約17nm、約5nm~約200nm、約5nm~約150nm、約5nm~約100nm、約5nm~約50nm、約5nm~約20nm、約5nm~約18nm、約5nm~約17nmである。様々なさらなる態様では、ME小球は、直径約1nm、約2nm、約3nm、約4nm、約5nm、約6nm、約7nm、約8nm、約9nm、約10nm、約15nm、約20nm、約25nm、約30nm、約35nm、約40nm、約45nm、約50nm、約55nm、約60nm、約65nm、約70nm、約75nm、約80nm、約90nm、約95nm、約100nm、約110nm、約120nm、約130nm、約140nm、約150nm、約160nm、約170nm、約180nm、約190または約200nmである。他の態様では、ME小球は、直径少なくとも約1nm、少なくとも2nm、少なくとも3nm、少なくとも4nm、少なくとも5nm、少なくとも6nm、少なくとも7nm、少なくとも8nm、少なくとも9nm、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも20nm、少なくとも25nm、少なくとも30nm、少なくとも35nm、少なくとも40nm、少なくとも45nm、少なくとも50nm、少なくとも55nm、少なくとも60nm、少なくとも65nm、少なくとも70nm、少なくとも75nm、少なくとも80nm、少なくとも90nm、少なくとも95nm、少なくとも100nm、少なくとも110nm、少なくとも120nm、少なくとも130nm、少なくとも140nm、少なくとも150nm、少なくとも160nm、少なくとも170nm、少なくとも180nm、少なくとも190、または少なくとも200nmである。
【0039】
別の局面では、眼疾患を治療するのに有効な量の、本明細書において記載される任意の態様または態様の組み合わせのMEを、それらを必要とする対象に投与する工程を含む眼疾患を治療するための方法が提供され、ここで、水溶液は、眼疾患を治療することができる水溶性治療剤を含む。様々な態様では、方法は、眼圧(IOP)を低減させる、緑内障を治療する、加齢性黄斑変性症(AMD)を治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療するためのものであり、眼圧を低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療するのに有効な量の、本明細書において記載される任意の態様または態様の組み合わせのMEを、眼圧上昇、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎を有する対象に投与する工程を含み、ここで、水溶液は、IOPを低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療することができる水溶性治療剤を含む。様々な態様では、IOPを低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療することができる水溶性治療剤は、ベータ-遮断薬、例えば、ベタキソロールおよびチモロール;プロスタグランジン類似体、例えば、ビマトプロスト、ラタノプロスト、およびトラボプロスト;アルファ-アドレナリン作動薬、例えば、酒石酸ブリモニジン;炭酸脱水酵素阻害剤、例えば、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、およびアセタゾラミド;カルシウムチャネル遮断薬、例えば、ニモジピンおよびプレガバリン;アシアロガラクトシル化トリアンテナ型(NA3)(アシアロ-トリアンテナ型錯体型N-グリカンとしても公知である)、OT-551塩酸塩(1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルシクロプロパンカルボン酸エステル塩酸塩)、酒石酸ブリモニジン、クリンダマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、オフロキサシン、トリアムシノロン、バラシクロビル、ピリメタミン、バルガンシクロビル、ガンシクロビル、アシクロビル、ホスカルネット、酢酸プレドニゾロン、ジフルプレドネート、トリアムシノロン、デキサメタゾン、メトトレキサート、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、タクロリムス、シクロホスファミド、リバビリン、ブロムフェナク、ケトロラク、ネパフェナク、リフィテグラスト、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ケトチフェン、ネドクロミル、フェニレフリン、アゼラスチン、エピナスチン、ナファゾリン/フェニラミン、オロパタジン、ベポタスチン、アルカフタジン、ペミロラスト、硫酸亜鉛を有するまたは有さないテトラヒドロゾリン、ロドキサミド、ナファゾリン、フェニレフリン、クロモリン、エメダスチン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、ロラタジン、デスロラタジン、フェニルグリシン、ガバペンチン、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される。特定の態様では、IOPを低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療することができる水溶性薬物は、フェニルグリシン、ガバペンチン、プレガバリン、およびリバビリン、またはこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される。特定の一態様では、IOPを低減させる、緑内障を治療する、AMDを治療する、ブドウ膜炎を治療する、および/または結膜炎を治療することができる水溶性薬物はプレガバリンであり、プレガバリンは、約0.2%~約2%のME%w/wでME中に存在し、様々なさらなる態様では、プレガバリンは、約0.2%~約1.5%、約0.2%~約1%、約2%~約0.75%、約0.3%~約2%、約0.3%~約1.5%、約0.3%~約1%、約0.3%~約0.75%、約0.4%~約2%、約0.4%~約1.5%、約0.4%~約1%、約0.4%~約0.75%、約0.5%~約2%、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約1%、約0.5%~約0.75%、約0.2%~約0.6%、約0.3%~約0.6%、約0.4%~約0.6%、約0.5%~約0.6%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、または約0.6%のME%w/wでME中に存在する。本明細書において記載されるMEは、任意の水溶性治療剤候補のための優れた薬物送達システムである。
【0040】
本態様の他の局面では、本明細書において開示される水溶性薬物は、IOP、緑内障(POAGを含める)、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎の症候群の1つまたは複数を罹患する患者において、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%、IOPを低減させる、ならびに/または緑内障(POAGを含める)、AMD、ブドウ膜炎、および/もしくは結膜炎を治療するために、使用される。本態様のさらに他の局面では、本明細書において開示される水溶性薬物は、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎の症候群のうちの1つを罹患する患者において、例えば、約5%~約100%、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、または約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、または約50%~約70%、IOPを低減させる、ならびに/または緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/もしくは結膜炎を治療する。
【0041】
本明細書において開示されるMEは、個体に習慣的な投与を可能にするのに十分である量で水溶性薬物を含むことができる。本態様の局面では、本明細書において開示されるMEは、例えば、少なくとも0.3%w/w、少なくとも0.4%w/w、0.5%w/w、少なくとも0.6%w/w、少なくとも0.7%w/w、少なくとも0.8%w/w、少なくとも0.9%w/w、少なくとも1.0%w/w、少なくとも1.1%w/w、少なくとも1.2%w/wの水溶性薬物を含むことができる。本態様のさらに他の局面では、本明細書において開示されるMEは、例えば、約0.3%w/w~約1.2%w/w、約0.3%w/w~約1.1%w/w、約0.3%w/w~約1.0%w/w、約0.3%w/w~約0.9%w/w、約0.3%w/w~約0.8%w/w、約0.4%w/w~約1%w/w、約0.4%w/w~約0.9%w/w、約0.4%w/w~約0.8%w/w、約0.4%w/w~約0.7%w/w、約0.5%w/w~約1.0%w/w、約0.5%w/w~約0.9%w/w、約0.5%w/w~約0.8%w/w、約0.5%w/w~約0.7%w/w、約0.55%w/w~約0.8%w/w、または約0.55%w/w~約0.7%w/wの水溶性薬物を含むことができる。
【0042】
本明細書において開示されるME中の本明細書において開示される水溶性薬物の終濃度は、所望の任意の濃度でもよい。本態様の一局面では、ME中の水溶性薬物の終濃度は治療的有効量でもよい。本態様の他の局面では、ME中の水溶性薬物の終濃度は、例えば、少なくとも0.3%w/w、少なくとも0.4%w/w、0.5%w/w、少なくとも0.6%w/w、少なくとも0.7%w/w、少なくとも0.8%w/w、少なくとも0.9%w/w、少なくとも1.0%w/w、少なくとも1.1%w/w、少なくとも1.2%w/wでもよい。本態様の他の局面では、ME中の本明細書において開示される水溶性薬物の濃度は、例えば、最大で0.3%w/w、最大で0.4%w/w、最大で0.5%w/w、最大で0.6%w/w、最大で0.7%w/w、最大で0.8%w/w、最大で0.9%w/w、最大で1.0%w/w、最大で1.1%w/w、または最大で1.2%w/wでもよい。本態様の他の局面では、ME中の水溶性薬物の終濃度は、例えば、約0.3%w/w~約1.2%w/w、約0.3%w/w~約1.1%w/w、約0.3%w/w~約1.0%w/w、約0.3%w/w~約0.9%w/w、約0.3%w/w~約0.8%w/w、約0.4%w/w~約1%w/w、約0.4%w/w~約0.9%w/w、約0.4%w/w~約0.8%w/w、約0.4%w/w~約0.7%w/w、約0.5%w/w~約1.0%w/w、約0.5%w/w~約0.9%w/w、約0.5%w/w~約0.8%w/w、約0.5%w/w~約0.7%w/w、約0.55%w/w~約0.8%w/w、または約0.55%w/w~約0.7%w/wの範囲でもよい。
【0043】
本明細書において使用する場合、「治療する」または「治療すること」は、以下の1つまたは複数を達成することを意味する:(a)障害の重症度を低減させること;(b)治療を受ける障害に特徴的である症状の発生を制限または予防すること;(c)治療を受ける障害に特徴的である症状の悪化を阻害すること;(d)以前に障害を有していた患者において障害の再発を制限または予防すること;および(e)障害に対して以前に症候性であった患者において症状の再発を制限または予防すること。本明細書のある種の態様では、部分的に、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎を罹患する個体を治療することを開示する。これらの態様では、治療することは、個体において、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/もしくは結膜炎の臨床症状を低減させるもしくは除去すること;または個体において、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎の臨床症状の発症を遅らせるもしくは予防することを指すことができる。例えば、用語「治療すること」は、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎を特徴とする状態の症状を、例えば、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%低減させることを意味することができる。IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎と関係がある実際の症状は周知であり、これらの症候群のそれぞれと関係がある様々な因子を考慮することによって、当業者が決定することができる。当業者は、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎と関係がある適切な症状または指標を知っていると考えられ、個体が本明細書において開示される治療に対する候補であるかどうかを判定する方法を知っていると考えられる。
【0044】
様々な態様では、治療的有効量の本明細書において開示される水溶性薬物は、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎と関係がある症状を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%低減させる。他の態様では、治療的有効量の本明細書において開示される水溶性薬物は、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎と関係がある症状を、例えば、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%または最大で100%低減させる。さらに他の態様では、治療的有効量の本明細書において開示される水溶性薬物は、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎と関係がある症状を、例えば、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%低減させる。
【0045】
本明細書において開示される方法における使用のための治療剤(例えば、ME)は、担当医療関係者によって適切であるとみなされるとおりに投与され得る。一態様では、本明細書において開示される方法における使用のための治療剤(例えば、ME)は、対象の片方または両方の眼に投与される。別の態様では、投与は1日あたり1回行われる。投与は単回投薬でもよく、または累積的(連続的投与)でもよく、当業者によって容易に決定され得る。例えば、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎の治療は、本明細書において開示される水溶性薬物を含む有効用量のMEの1回投与を含むことができる。あるいは、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎の治療は、様々な期間にわたって、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、数日に1回、または週1回などで行われる、水溶性薬物を含む有効用量のMEの複数回投与を含むことができる。投与のタイミングは、個体の症状の重症度などの因子に応じて、個体ごとに異なる可能性がある。例えば、本明細書において開示される水溶性薬物を含む有効用量のMEは、不定期間にわたって、または個体が療法をもはや必要としなくなるまで、1日1回個体に投与することができる。当業者は、治療の過程を通して個体の状態をモニターすることができること、および投与される、本明細書において開示される水溶性薬物を含むMEの有効量は、適宜調整することができることを認識するであろう。
【0046】
様々な態様では、徐放水溶性薬物送達プラットフォームは、例えば、投与後約7日、投与後約15日、投与後約30日、投与後約45日、投与後約60日、投与後約75日、または投与後約90日の期間にわたって、実質的にゼロ次の放出動態で、本明細書において開示される水溶性薬物を放出する。他の態様では、徐放水溶性薬物送達プラットフォームは、例えば、投与後少なくとも7日、投与後少なくとも15日、投与後少なくとも30日、投与後少なくとも45日、投与後少なくとも60日、投与後少なくとも75日、または投与後少なくとも90日の期間にわたって、実質的にゼロ次の放出動態で、本明細書において開示される水溶性薬物を放出する。
【0047】
さらなる態様では、本発明の水溶性薬物およびその誘導体は、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、1週、2週、3週、4週、1か月、2か月、3か月、4か月、またはそれ以上の半減期を有する。
【0048】
一態様では、IOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎の治療のための治療剤の投与期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、またはそれ以上にわたる。さらなる態様では、投与期間の間に投与が中止される期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、またはそれ以上にわたる。
【0049】
様々な態様では、水溶性薬物送達プラットフォームは、例えば、投与後約1日、投与後約2日、投与後約3日、投与後約4日、投与後約5日、または投与後約6日の期間にわたって、実質的にゼロ次の放出動態で、本明細書において開示される治療剤を放出する。本態様の他の局面では、水溶性薬物送達プラットフォームは、例えば、投与後最大で1日、投与後最大で2日、投与後最大で3日、投与後最大で4日、投与後最大で5日、または投与後最大で6日の期間にわたって、実質的にゼロ次の放出動態で、本明細書において開示される治療剤を放出する。
【0050】
様々な態様では、本明細書において開示される水溶性薬物を含む治療的有効量のMEは、個体の眼内の内圧を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%低減させる。本態様の他の局面では、本明細書において開示される水溶性薬物を含む治療的有効量のMEは、個体における眼内の内圧を、例えば、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%または最大で100%低減させる。本態様のさらに他の局面では、本明細書において開示される水溶性薬物を含む治療的有効量のMEは、個体における眼内の内圧を、例えば、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%低減させる。
【0051】
本明細書において使用する場合、互換的に使用される、用語「対象」、「個体」、または「患者」は、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、トリ、ブタ(swine)、ウマ、家畜(例えば、ブタ(pig)、ヒツジ、ヤギ、ウシ)、霊長類、またはヒトを含めた、任意の動物を指す。特定の態様では、対象、個体、または患者はヒトである。MEおよび水溶性薬物を含む薬学的組成物は、対象に投与される。典型的には、治療の候補である任意の対象は、ある形態のIOP、緑内障、AMD、ブドウ膜炎、および/または結膜炎を有する候補である。術前評価は、典型的には、手順におけるすべての関連する危険性および恩恵を開示する綿密なインフォームドコンセントに加えて、慣例的な病歴および身体検査を含む。
【0052】
本明細書において開示される方法における使用のための治療剤含有MEは、限定されないが、経口、静脈内、腟内、肛門内、皮下、頭蓋内、局所、筋肉内、腸内または非経口投与経路を含めた任意の適切な経路のために製剤化することができ、経口、静脈内、腟内、肛門内、皮下、頭蓋内、局所、筋肉内、腸内または非経口投与経路を含めた任意の適切な経路を介して投与することができる。特定の態様では、治療剤含有MEは、眼球(ocular)または眼(optic)適用のための局所投与(限定されないが、点眼剤として製剤化されることが挙げられる)、鼻腔内投与、様々な全身性疾患のための経口、全身性疾患のための経皮適用、および様々な皮膚障害のための局所のために製剤化することができ、眼球または眼適用のための局所投与(限定されないが、点眼剤として製剤化されることが挙げられる)、鼻腔内投与、様々な全身性疾患のための経口、全身性疾患のための経皮適用、および様々な皮膚障害のための局所を介して投与することができる。本明細書において記載されるMEは、限定されないが小分子およびペプチドを含めた任意のタイプの1種または複数種の水溶性化合物を単一MEに組み入れるための、薬物送達システムとして使用することもできる。
【0053】
MEの調製は、所期の使用にふさわしい任意の適切な条件下で行うことができる。非限定な一態様では、水溶性薬物を薬学的に許容される溶媒に完全に溶解させるために、MEの調製は室温で行うことができる。しかし、方法の他の態様では、MEの調製は、室温を越える温度で行うことができる。本態様の局面では、MEの調製は、例えば、21℃を越える、25℃を越える、30℃を越える、35℃を越える、または37℃を越える、40℃を越える、42℃を越える、45℃を越える、50℃を越える、55℃を越える、または60℃を越える温度で行うことができる。本態様の局面では、MEの調製は、例えば、約20℃~約30℃、約25℃~約35℃、約30℃~約40℃、約35℃~約45℃、約40℃~約50℃、約45℃~約55℃、または約50℃~約60℃の温度で行うことができる。特定の場合には、MEの調製は、治療剤を溶媒に完全に溶解させるために、室温より低い温度で行うことができる。しかし、方法の他の態様では、MEの調製は、室温未満の、例えば、10℃未満の、5℃を越える、0℃を越える、-10℃を越える、または-20℃越える温度で行うことができる。
【0054】
一態様では、MEとともに使用するための水溶性薬物はプレガバリンである。
【0055】
別の局面では、緑内障を治療するまたはIOPを低減させるのに有効な量の、カルシウム電位依存性チャネル補助サブユニットアルファ2デルタ1(CACNA2D1)タンパク質の阻害剤を、それらを必要とする対象に投与する工程を含む、緑内障を治療するまたはIOPを低減させるための方法が提供される。一態様では、方法は緑内障を治療するためのものであり、そのような一態様では、緑内障は原発開放隅角緑内障(POAG)である。一態様では、阻害剤は、ガバペンチノイド、フェニルグリシン、またはこれらの薬学的に許容される塩を含む。別の態様では、ガバペンチノイドはプレガバリンまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0056】
本明細書において使用する場合、フレーズ「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容される酸および塩基付加塩と溶媒和化合物の両方を指す。そのような薬学的に許容される塩は、所期の使用に適した任意の塩でもよく、塩としては、限定されないが、例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸、スルフィン酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸、アルカン酸、例えば、酢酸、HOOC-(CH2)n-COOH(式中、nは0~4である)などの酸の塩が挙げられる。無毒の薬学的塩基付加塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムなどの塩基の塩が挙げられる。当業者は、多種多様の無毒の薬学的に許容される付加塩を認識するであろう。
【0057】
本明細書で使用する場合、「それらを必要とする」対象は、治療される障害または疾患を有する、または疾患もしくは障害に罹りやすい、またはそれ以外では疾患もしくは障害を発生する危険性がある対象を指す。
【0058】
一非限定例では、MEは以下の成分を含み得るか、または以下の成分からなり得る:
(a)(i)製剤の0%~約7%w/wの濃度の水;
(ii)製剤の約6%~約13%w/wの濃度の油;
(iii)製剤の約1%~約13%w/wの濃度のcapryol 90;および
(iv)製剤の約1%~約13%w/wの濃度のレシチン
を含む、製剤の約0.1%~約40%を構成する一次油中水型(w/o)相、ならびに
(b)(i)製剤の約0.1%~約25%w/wの濃度のlabrasol;
(ii)製剤の約0.1%~約25%w/wの濃度のCremophor EL;
(iii)製剤の0%~約45%w/wの濃度のプロピレングリコール;および
(iv)製剤の約10%~約99.7%w/wの濃度の水
を含む、製剤の50~99.9%を構成する外部水相。
【0059】
別の非限定例では、MEは以下の成分を含み得るか、または以下の成分からなり得る:
(a)(i)製剤の2%~約7%w/wの濃度の水;
(ii)製剤の約6%~約9%w/wの濃度の油;
(iii)製剤の約3%~約9%w/wの濃度のCapryol 90;および
(iv)製剤の約3%~約9%w/wの濃度のレシチン
を含む、製剤の約0.1%~約40%を構成する一次油中水型(w/o)相、ならびに
(b)(i)製剤の約5%~約9.5%w/wの濃度のlabrasol;
(ii)製剤の約5%~約9.5%w/wの濃度のCremophor EL;
(iii)製剤の5%~約25%w/wの濃度のプロピレングリコール;および
(iv)製剤の約30%~約56%w/wの濃度の水
を含む、製剤の50~99.9%を構成する外部水相。
【0060】
別の局面では、水不溶性およびわずかに水溶性の薬物分子のための薬物送達システムとして設計されたマイクロエマルジョンが提供される。これらの態様では、MEは上記と同じであるが、内部水相および内部乳化剤を欠く。したがって、本態様では、MEは、
(a)非連続的(分散した)油相;および
(b)油相を包含する乳化剤
を含む。
【0061】
一態様では、MEは、(c)乳化剤を取り囲む連続的水相をさらに含む。本態様では、油性薬物溶液は、親水性乳化剤(すなわち、高HLB値を有する乳化剤)を含む生体接着性水相(例えば、本明細書において記載されるようなハイドロゲル)中に乳化される。
【0062】
さらなる態様では、MEは、非連続的油相中に不溶性またはわずかに可溶性の薬物を含む。
【0063】
MEについて上で開示したすべての態様は、文脈において別段明記しない限り、本局面で同様に使用することができる。
【実施例0064】
Cacna2d1はIOPをモジュレートする遺伝子として特定される
本発明者らは、複数の年齢コホートにおけるBXDファミリーの大きなサブセットの全体にわたって、IOPを体系的に測定した。発現定量的形質遺伝子座(QTL)マッピング、相関解析(直接的および部分的ピアソン検定)、ならびに一塩基多型(SNP)の解析に基づくストリンジェントな段階的詳細化を使用して、本発明者らは、IOPをモジュレートする候補遺伝子を特定することができ、マウスおよびヒトの遺伝的データを使用して候補遺伝子を検証することができる。第5染色体遺伝子座内の、IOPをモジュレートする候補遺伝子変異体を決定するために、以下のストリンジェントな判定基準を使用した:(1)遺伝子がピークeQTLの信頼区間内に位置すること;(2)遺伝子がシスモジュレーションを有すること;(3)直線相関および部分的ピアソン相関解析の両方を使用して、BXD系統の全体にわたる遺伝子の発現レベルがIOP上昇と有意に相関していること;(4)IOPのモジュレーションにおけるその役割を説明することができるネットワーク内の遺伝子機能;(5)遺伝子が、その遺伝子の領域に/その遺伝子の領域の近くに、親系統間で配列変異体を有すること;(6)遺伝子が眼で発現しており、IOPのモジュレーションと関係がある領域に局在していること;(7)GWASまたは標準的連鎖研究のいずれかによって、遺伝子がヒトPOAGおよび/またはIOP上昇と関係があること;ならびに(8)遺伝子が緑内障またはその治療と生物学的関連を有すること。第5染色体におけるQTLピーク内で、シス調節されている25個の位置的遺伝子候補が存在した。本発明者らの上記の判定基準を使用して、カルシウムチャネル電位依存性α2δ1サブユニット(Cacna2d1)が、単一の最良位置的候補として明らかになった(r=0.440;P=0.0003)(
図1)。
【0065】
IOPモジュレート遺伝子候補としてCacna2d1をさらに試験するために、免疫組織化学的検査を行って、健康なマウスおよびヒトドナーの眼において、CACNA2D1の局在パターンを決定した。マウスの眼では、CACNA2D1はTM、CB、および毛様体筋(CM)に顕著に局在している。CACNA2D1は、TMおよびシュレム管の全体にわたって点状のパターンで観察された。CBでは、CACNA2D1は非色素上皮で高発現していた。CM中に弱い標識が存在した(
図2)。
【0066】
本発明者らは、CACNA2D1はCBとTMの両方で発現していることを示した。CACNA2D1は、CM中にも控えめに存在する。これらの集められたデータに基づくと、CACNA2D1はIOPを調節するように思われる(
図3)。プレガバリン、または他のガバペンチノイド薬物は、カルシウムチャネルのCACNA2D1サブユニットに結合する。該薬物の結合は、カルシウムチャネルのα1ポアを介してカルシウムフラックスを軽減し、細胞内カルシウムのレベルを低減させる。Cacna2d1はIOPをモジュレートするので、CACNA2D1に高い特異性を有するガバペンチノイド薬物であるプレガバリンを、IOPに影響を及ぼすその能力について評価した。プレガバリン眼用点眼剤[ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)に懸濁されたプレガバリン]は、マウスにおいて、0.3~1.2%まで用量依存的にIOPを低減させる(
図4)。0.3%薬物を含む滴は、対照と比較して、IOP低下効果をもたらさなかった。薬物のすべての他の濃度は、用量依存的にIOPを低減させた。0.9%でプラトーに達し、0.9%と1.2%の薬物間で薬物応答に有意差はなかった(P>0.05)。0.6~1.2%濃度の薬物の最大応答の時間(T
max)値の間で有意差はなかった(P>0.05)。これに対して、すべての濃度のプレガバリン点眼剤について、IOPがベースラインに戻るのに必要とされる時間(T
end)の間に有意差があった(P<0.0001)。1.2%プレガバリン点眼剤は、0.6%プレガバリンで得られたものを超えて、プレガバリンのIOP低下効果の持続時間を延ばした。0.9%と1.2%のプレガバリンの間でIOPのパーセント低減に有意差がなかったので、IOPの最大低減をもたらすのに必要とされる最低濃度として0.9%を選択した。本解析をさらなる種へ広げた場合、本発明者らは、0.9%のプレガバリン点眼剤の滴下注入後のダッチベルトウサギにおいて、同様のIOP低下応答(22.1±2.8%)を観察した(
図5)。
【0067】
新規な緑内障療法としての持続放出プレガバリンマイクロエマルジョン製剤
原発開放隅角緑内障(POAG)は、世界的に、緑内障症例の90%を占める。これは、不可逆的失明の主因である。眼圧(IOP)上昇は、POAGにおける視野喪失の一因となる最も重要な危険因子である。IOPは、眼房水の生成と排出との間のバランスによってもたらされる。堅固に保たれるIOPの重要性のために、その低減は緑内障に対する第一選択治療である。緑内障の有病率および社会に与えるその影響にもかかわらず、現在の医薬品は、IOP上昇を引き起こす根底にある病態生理に対処せず、IOPモジュレーションに関連する遺伝的変異にも対処しない。さらに、その短い半減期および短い角膜滞留時間のために、これは、複数回の局所適用を毎日必要とし、このことは、患者服薬遵守が不十分であることと関係がある。本発明者らは、1日1回の投与、およびより良好な患者服薬遵守を可能にするであろう、プレガバリン(例示的なIOP低下薬物)を送達するための新規な持続放出局所生体接着性マイクロエマルジョン(ME)製剤を開発した。
【0068】
プレガバリンが装填された生体接着性多層MEの製剤化
生体接着性多層MEハイドロゲルの製剤化は3工程で達成した。第1の工程は、異なる三相ダイアグラムの構築による一次油中水型(w/o)MEの形成を含んでいた。第2の工程は、生成された一次w/o MEの親水性界面活性剤水溶液(すなわち、高い値の親水性親油性バランス(HLB)を有する界面活性剤)へのさらなる乳化をともなっていた。最後の工程は、生体接着性ポリマーを組み入れることを含んでいた。
【0069】
三相ダイアグラムの構築および一次w/o MEの調製
一次w/o MEは、通常、油相、水相、単一界面活性剤または界面活性剤混合物からなる。効率的にMEを生成することができる、各成分の適切な比を決定するために、油相としてLabrafac lipophile WL 1349を、水相として脱イオン水を、および以下の界面活性剤:capryol 90;labrasol、cremophor EL;transcutol P;gelucire 50/13;gelucire 44/14;geluccire 43/01;またはダイズレシチンからの単一界面活性剤(三相ダイアグラムの場合)または界面活性剤混合物(擬似三相ダイアグラムの場合)を使用して、複数の三相および擬似三相ダイアグラムを構築した。
【0070】
水滴定方法を使用して、三相ダイアグラム(
図6~14)を生成した。この方法では、油を界面活性剤または界面活性剤混合物と様々な比で混合した。次いで、w/o ME領域の終わりとマイクロエマルジョン領域の始まりを区別する境界点を反映する最初の混濁が現れるまで、生成した混合物を脱イオン水で滴定した。
図16~14では、w/o ME領域は、黒色で塗りつぶされており、MEを形成することができる3成分のすべての可能な組み合わせを図示する。その領域中の任意の箇所を選択することにより、w/o MEを形成するために容易に混合することができる、3成分のパーセンテージを決定することができる。
【0071】
多層w/o/w MEの調製
いくつかの三相ダイアグラムを構築した。
図12に表すダイアグラムを選択し、なぜならば、これが最大のME領域を有しているからである。このダイアグラムから1箇所(他の箇所も同様に機能したであろうが)を選択し、多層水中油中水型(w/o/w)MEの製剤に使用した。すべての三相ダイアグラムは、0~100%の各成分(水、界面活性剤/界面活性剤混合物および油)のパーセント比を使用して構築した。選択したw/o MEは、20%水+30%油(labrafac lipophile WL 1349)+50%界面活性剤混合物(capryol 90およびダイズレシチン、1:1)からなっていた。この箇所の選択は、必要とされる用量で薬物を溶解させることができるその内部相に可能な限りの高い量の水を有する安定なw/o一次エマルジョンを得ることに基づいた。選択した薬物濃度は0.6%である。最終的な多層w/o/w MEを調製するために、滴定法を使用して、高いHLBを有するいくつかの界面活性剤をスクリーニングして、多層w/o/w MEの製剤中で十分に機能するものを決定した。試験した界面活性剤は、cremophor EL、labrasol、tween 80、ポロキサマー188、およびbrij 97であった。これらの界面活性剤は、単独で、または互いに、もしくは他の共溶媒、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはグリセリンと組み合わせて使用することができる。これらの界面活性剤の異なる濃度の水溶液を調製した。ME形成の終わりとマイクロエマルジョン形成の始まりを示す最初の混濁が現れるまで、連続撹拌下で、以前に選択したw/oをこれらの溶液に滴加した。これらの界面活性剤の中で、labrasolは、ウサギの眼に刺激を与える可能性があるので、10%を超える濃度で使用しなかった。Labrasolは、他の界面活性剤と組み合わせて(10%labrasol+10%cremophor EL+30%プロピレングリコール)使用した。この組み合わせを使用して、組み入れられたw/o MEの量は3.7gmであった。選択した界面活性剤系を表1に強調する。
【0072】
【0073】
最終的な生体接着性多層MEハイドロゲルの製剤化
外部水相は、10%labrasol、10%cremophor EL、および30%プロピレングリコールを蒸留水に溶解させることによって調製した。生体接着性ポリマー(CARBOPOL(登録商標)981、アルギン酸ナトリウム、またはキトサン)を、先に調製した界面活性剤溶液に浸漬し、一晩膨潤させた。最終的な透明な多層w/o/w MEハイドロゲル(
図15)が得られるまで、先に調製した一次薬物装填w/oをこの粘性ポリマー溶液に滴下して組み入れた。表2は試験した3種のME製剤の化学組成を収載する。
【0074】
【0075】
調製した多層プレガバリンMEハイドロゲルの特性評価
インビトロ特性評価
プレガバリンMEハイドロゲルのインビトロ特性評価は以下を含んでいた:薬物放出研究、細胞毒性研究、粘性測定、粘膜付着研究、ならびに粒径およびゼータ電位測定。
【0076】
薬物放出研究
半透性再生セルロース膜(分子量カットオフ5,000 Da)を有する1500μlのファストマイクロ平衡ダイアライザー(fast micro-equilibrium dialyzer)(Harvard Apparatus Co., Holliston, MA)を使用して、異なる製剤からのプレガバリンの徐放挙動をPBS(pH7.4)中で研究した。35℃および50rpmのサーモスタット制御振盪機中でダイアライザーを維持した。24時間にわたって所定の時間間隔で試料を取り出し、これを、その薬物含有量についてHPLCによって解析した。試験した製剤は、0.6%プレガバリンを含む、CARBOPOL
(登録証)、アルギネート、キトサンおよび水を含む、4種の対照製剤に加えて、0.6%プレガバリンを含む、CARBOPOL(登録商標)ME、アルギネートME、およびキトサンMEであった。放出プロファイル(
図16)は、すべての対照製剤が3~8時間内で薬物含有量の100%を放出する急速な放出挙動を示したことを示す。その一方で、試験したMEは、24時間まで続く徐放挙動を示した。
【0077】
細胞毒性研究
公知のプロトコールに従ってMTTアッセイ方法を使用して、眼用製剤のインビトロ細胞毒性を試験した。手短に言えば、不死化ヒト角膜縁上皮細胞(HCLE)を200μlの増殖培地を含む96ウェルプレート(18,000細胞/ウェル)に播種し、乱すことなしに、(37℃ および5%CO
2)で一晩維持して、これをウェルの底面に付着させた。翌日、培地を除去し、増殖培地中の製剤溶液200μlと置き換えた。24時間にわたって製剤を細胞と絶えず接触させ、次いで、200μlの(1mg/ml)MTT溶液と置き換えた。プレートを(37℃および5%CO
2)で4時間維持して、細胞がMTTを紫色のホルマザン結晶に還元させることを可能にした。4時間後に、MTT溶液を200μlのDMSOに置き換えて、ホルマザンの結晶を溶解させた。マイクロプレートリーダー分光光度計を使用して、プレートのUV吸光度を570nmで測定した。試験した製剤についての細胞生存率を、それらの吸光度値を使用して、陰性対照(未処理細胞)の吸光度のパーセンテージとして、以下の式:
に従って、計算した。
【0078】
図17は、製剤は、治療量で、角膜上皮細胞に対して安全で無毒であることを示す。実験は、各製剤について8回反復し、結果は平均±SEMとして計算した。
【0079】
粘性研究
以前に発表されたプロトコールに従ってBrookfieldコーンプレート型回転粘度計を使用して、製剤の粘性を測定した。500マイクロリットルの各製剤をコーンとプレートとの間に設置し、1分間平衡化させて、運転温度にした。測定は35℃±0.5で行った。実験は3回反復し、結果は平均±SEMとして計算した。
図18は、CARBOPOL(登録商標)を含む製剤が、より長い時間にわたって眼の内部に製剤をとどまらせる最も高い粘性値を持っていたことを示す。この向上した角膜接触時間は、IOP低下効果を長引かせ、薬物の徐放を助長すると考えられる。
【0080】
粘膜付着研究
既に発表されている方法(Gallo EEHaJM 1990. A simple rheological method for the in vitro assessment of mucin-polymer bioadhesive bond strength. Pharmaceutical research 7(5):491-495;Mayol L, Quaglia F, Borzacchiello A, Ambrosio L, La Rotonda MI 2008. A novel poloxamers/hyaluronic acid in situ forming hydrogel for drug delivery: rheological, mucoadhesive and in vitro release properties. Eur J Pharm Biopharm 70(1):199-206;Tayel SA, El-Nabarawi MA, Tadros MI, Abd-Elsalam WH 2013. Promising ion-sensitive in situ ocular nanoemulsion gels of terbinafine hydrochloride: design, in vitro characterization and in vivo estimation of the ocular irritation and drug pharmacokinetics in the aqueous humor of rabbits. Int J Pharm 443(1-2):293-305)を使用して、製剤の粘膜付着力を評価した。手短に言えば、予熱した製剤(35℃)を胃ムチンの15%分散体(35℃)と1:1の比で混合した。35℃でBrookfieldコーンプレート型回転粘度計を使用して、製剤、ムチン、およびこれらの混合物の粘性を測定した。以下の式:
を使用して、混合物の粘性の変化を生体接着力に変換した。
【0081】
実験は3回反復し、結果は平均±SEMとして計算した。
図19は、最も高い生体接着性はキトサンを含む製剤に存在したことを示し、これは、負に荷電したムチンとのそれらの反応を増大させ、それによりそれらの粘膜付着を向上させるそれらの正電荷が理由である可能性がある。
【0082】
粒径、多分散指数(PDI)、およびゼータ電位測定
適切な試料希釈(粒径およびPDIについて1:100、ならびにゼータ電位について1:1000)後、ゼータサイザーナノZSを使用して、製剤の粒径、PDI、およびゼータ電位を測定した。MEのゼータサイザーデータを少なくとも3回の読み取りの平均±SEMとして表3に収載する。粒径データは、すべての製剤が、非常に狭い粒径分布で、極めて小さな粒径(<20nm)を持っていたことを示す。本発明の一局面では、この極めて小さな粒径は、局所眼用製剤に有用であり、なぜなら、これは、患者を悩まし、医薬品を使用するための患者の服薬遵守に影響を及ぼす可能性がある、ざらついた感覚を引き起こさず、極めて小さな粒径が、受動拡散によって角膜を通る薬物浸透を向上させることができるからである。ゼータ電位の電荷は使用したポリマーによって異なっており、これは、キトサンについて正であり、CARBOPOL(登録商標)MEおよびアルギネートMEの両方について負であった。
【0083】
(表3)異なるMEの粒径、PDI、およびゼータ電位
【0084】
エクスビボ特性評価または角膜透過性研究
異なる製剤についての角膜薬物透過性研究のために、改変フランツ拡散セルを使用した。改変フランツ拡散セルは、球状組織(すなわち、角膜)に適した球状接合部を介して互いに結合している2つの垂直に接続したチャンバー(ドナーチャンバーおよびレセプターチャンバー)からなる。ドナーチャンバーの容量は0.5mlであり、レセプターチャンバーの容量は5mlであった。レセプターチャンバーを、磁気撹拌子を用いて50rpmで撹拌して、チャンバーの内容物の連続的な混合を可能にした。2つのチャンバー間の接合部の開口部は直径9mmであり、ここで、角膜組織を固定し、薬物を拡散させることが可能になった。100マイクロリットルの各製剤をドナーチャンバーに入れた。レセプターチャンバーを5mlのBSS-Plus(平衡塩類溶液-plus)で満たし、細胞全体を温水ジャケットで取り囲んで、温度を35℃に保った。6時間の全期間にわたって1時間ごとにレセプターチャンバーから0.5mlの試料を取り出し、35℃に保たれた新鮮なBSS-Plusに置き換えた。標準的なHPLCプロトコールを使用して、採取した試料をその薬物含有量についてアッセイした。実験は6回反復し、結果は平均±SEMとして計算した。各製剤について、6時間にわたって角膜を通って透過した累積量をプロットし、データを
図20に示した。プレガバリンはBCSクラスI薬物であり、これは、プレガバリンが高度に透過性であり、高度に可溶性である薬物であることを意味する。
図20および表4は、MEを含まない製剤(プレガバリン/水およびプレガバリン/CARBOPOL(登録商標))が、MEを含む製剤よりも高い透過率を持っていたことを示す。これは、角膜を通って急速に透過するという、薬物の天然の能力が理由であり、それ自体が与えられた場合、経時的な薬物の徐放を可能にしない。MEを含むすべての製剤は、プレガバリン単独よりも低い透過率を持っていた。MEおよび薬物を含む任意の製剤を使用することによって、徐放が可能である。ME製剤を比較すると、すべての試験した製剤の中で、CARBOPOL(登録商標)を含む製剤が最も低い透過率を持っていることが分かった。本実験により、MEが、1日1回の適用のためにプレガバリン放出を持続することができるというインビトロ放出データが確証された。
【0085】
(表4)プレガバリンMEおよび対照のインビトロ経角膜透過性パラメーター
【0086】
ダッチベルトウサギにおけるインビボ特性評価またはIOP低下研究
製剤の安全性
ダッチベルトウサギ(n=3)の右眼の下結膜嚢に100μlの各製剤を組み込むことによってME製剤の安全性を試験し、一方で、左眼は対照として扱った。刺激の任意の徴候、例えば、赤味、流涙、結膜腫張、または角膜腫張について、毎時間、眼を検査した。実験の終わりに、すべてのウサギの眼に対して細隙灯検査を行った。
図21は、ME製剤の適用後の細隙灯検査の例示的な写真である。図は、刺激の徴候が検出されなかったことを示し:角膜は透明であり、かつ腫張はなく、水晶体は透明であり、眼房水は細胞も発赤もなく透明であった。
【0087】
製剤の効力
単回投与応答設計を使用して、製剤のIOP低下効果を判定した。ダッチベルト(DB)ウサギ(n=3)を本研究に使用し、研究の間、各ウサギに、薬物を加えた製剤100μlを右眼の下結膜嚢に与え、一方で、左眼は、100μlのブランク製剤を与えることによって対照として扱った。製剤の適用直前(ベースライン)で、およびそのベースライン値に戻るまで所定の時間間隔で、Tonopen(Tono-pen AVIA Vet, Reichert)を使用して、眼圧(IOP)を測定した。
【0088】
図22は、異なる濃度のプレガバリン(0.1~0.7%)を含むCARBOPOL(登録商標)ME製剤の適用後の、DBウサギのIOPプロファイルを示す。0.6%まで、製剤のIOP低下効力の用量依存的増大があった。0.6%と0.7%のプレガバリンの間で有意差はなかった。したがって、最大応答を与える最小用量として0.6%プレガバリンを選択した。
【0089】
最大IOP低下効力を提供する製剤を特定するために、MEの外部水相を変えることによって、ダッチベルトウサギを使用して、単回投与応答設計研究を行った。表5は、IOPプロファイルに基づいて計算された薬力学的パラメーターを収載し、表6は、統計学的比較を提供する。結果に基づくと、CARBOPOL(登録商標)MEは、良好なIOP低減および持続効果を提供する。
【0090】
(表5)異なる製剤の異なるME中の0.6%プレガバリンをダッチベルトウサギへ適用した後の薬力学的パラメーター
【0091】
(表6)単回投与の適用後の、異なるプレガバリンME点眼剤と対照との間の統計学的比較
【0092】
図23は、両方のCARBOPOL(登録商標)製剤(ゲルおよびME)の比較を示し、これは、MEが薬物効果の持続時間を大きく延ばすことを実証する。製剤の評価は、それらの薬力学的(PD)パラメーターを比較することによって達成し、そのパラメーターには、IOPの最大低減のパーセンテージ(%I
max)、最大IOP低減が生じる時間(T
max)、IOPがそのベースライン値に戻るのに必要とされる時間(T
end)、およびIOP-時間曲線下面積(AUC)が含まれていた。
【0093】
プレガバリンCARBOPOL(登録商標)MEのタキフィラキシー研究
プレガバリンCARBOPOL(登録商標)MEが、多回投与後に、低減されたレベルでIOPを保つことができたかどうかを判定するために、タキフィラキシー研究を21日間行った。3週にわたって毎日午前8時に、1滴のプレガバリンが装填されたME製剤をダッチベルトウサギの右眼に滴下注入し、ブランクMEを左眼に滴下注入した。1日目および21日目は1~2時間ごとにIOPを測定したが、すべての他の日は、1日あたり2回IOPを測定した。
図24は、薬物を加えた眼のIOPは、1日目のT
maxで30.7%低減したことを実証する。IOPは、ベースラインIOPに向けて戻り始めたが、それでも最初の投与を受けてから24時間後までに20.5%低減した(
図25)。ME製剤の2回目の投与を受けた後、IOPは、研究の継続期間の全体を通して、12~13mmHgの間の正常な生理的範囲に保たれた(
図24および26)。
【0094】
他のガバペンチノイド薬物の効力
ガバペンチノイド薬物ファミリーの他のメンバーもIOPの低減に効力があるかどうかを判定するために、C57Bl/6Jマウスにおいて、2%HPMC粘性点眼剤中の0.9%のプレガバリン、0.9%の2-フェニルグリシン、および0.9%のガバペンチンの効力を比較した。
【0095】
粘性点眼剤中のプレガバリンは、65%時間の曲線下面積で、6時間までにベースラインに戻る、17.3%の最大IOP低減を与えた(
図27)。2-フェニルグリシン(
図28)およびガバペンチン(
図29)はプレガバリンほど効力がなかったが、これらは両方とも、約8%の最大IOP低減および約14%時間の曲線下面積を有していた。これらのデータは、プレガバリンほどIOPの低減に有効ではないが、2-フェニルグリシンとガバペンチンの両方はIOP低下応答を誘導することができることを実証する。
【0096】
プレガバリンCARBOPOL(登録商標)MEの非劣性試験
マーケットリーダーIOP低下薬物と比較して本発明者らのプレガバリンME製剤がどうであるかを判定するために、Lumigan 0.01%を本発明者らの同じダッチベルトウサギ製剤で評価した。ヒトでは、Lumiganは就寝前に投与される。本発明者らは、午前9時および午後9時での投与を評価した。午前9時(
図30)および午後9時(
図31)の両方で投与されたウサギでは、Lumiganまたはビヒクルで治療したIOPに差はなかった。投与の時間は、IOP低下応答の欠如に影響を及ぼさなかった。したがって、本発明者らのプレガバリンMEは、マーケットリーダーのIOP低下滴より劣っていない。
【0097】
他の水溶性薬物とのMEの適合性の評価
本発明者らのプレガバリンCARBOPOL(登録商標)MEが他の水溶性薬物に適合するかどうかを判定するために、同一の方法を使用して、リバビリンを装填したCARBOPOL(登録商標)MEを合成し、特性評価した。リバビリンは、呼吸系発疹ウイルス感染症、C型肝炎、およびウイルス性出血熱を治療するのに使用される抗ウイルス性医薬品である。これは、眼のウイルス感染症、例えば、角膜上皮の疾患である単純ヘルペス性角膜炎を治療するのにも使用することができる。リバビリンは合成ヌクレオシド類似体である。その化学名は1-β-D-リボフラノシル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドであり、その実験式はC8H12N4O5であり、分子量は244.21である。リバビリンは白色の結晶性粉末である。これはプレガバリンのように水に溶けやすい。
【0098】
リバビリンの薬物放出研究
プレガバリンについて上で詳しく述べられている同一の方法を使用して、異なる製剤からのリバビリンの徐放挙動を研究した。放出プロファイル(
図32)は、すべての対照製剤が、3~4時間以内に薬物含有量の100%を放出する急速な放出挙動を示したことを実証する。これに対して、試験したMEは24時間まで続く徐放挙動を示した。
【0099】
リバビリンME製剤の細胞毒性研究
プレガバリンについて上で詳しく述べられている同一の方法を使用して、MTTアッセイ方法によって、製剤のインビトロ細胞毒性を試験した。
図33は、製剤は、治療量で、角膜上皮細胞に対して安全であり、無毒であることを示す。実験は、各製剤について8回反復し、結果は平均±SEMとして計算した。
【0100】
リバビリンME製剤の粘性研究
プレガバリンについて上で詳しく述べられている同一の方法を使用して、製剤の粘性を測定した。
図34は、CARBOPOL(登録商標)を含む製剤が、より長い時間にわたって眼の内部に製剤をとどまらせる最も高い粘性を持っていたことを示す。
【0101】
リバビリンME製剤の粘膜付着研究
プレガバリンについて上で詳しく述べられている同一の方法を使用して、製剤の粘膜付着力を評価した。実験は3回反復し、結果は平均±SEMとして計算した。
図35は、最も高い生体接着性はCARBOPOL(登録商標)を含む製剤に存在したことを示す。
【0102】
リバビリンME製剤の粒径、多分散指数(PDI)、およびゼータ電位測定
プレガバリンについて上で詳しく述べられている同一の方法を使用して、リバビリン製剤の製剤の粒径、PDI、およびゼータ電位を測定した。MEのゼータサイザーデータを少なくとも3回の読み取りの平均±SEMとして表7に収載する。粒径データは、すべての製剤が、非常に狭い粒径分布で、極めて小さな粒径(<20nm)を持っていたことを示す。
【0103】
(表7)リバビリン含有MEの粒径、PDI、およびゼータ電位
【0104】
リバビリンME製剤のエクスビボ特性評価または角膜透過性研究
プレガバリンについて上で詳しく述べられている同一の方法を使用して、リバビリン含有製剤を特性評価した。各製剤について、6時間にわたって角膜を通って透過した累積量をプロットし、データを
図36および表8に示した。リバビリンはBCSクラスIII薬物であり、これは、リバビリンが高度に透過性でないが、高度に可溶性である薬物であることを意味する。
図36は、ME製剤がリバビリン単独よりも透過率を増大させたことを示す。
【0105】
(表8)プレガバリンMEおよび対照のインビトロ経角膜透過性パラメーター
【0106】
最後に、特定の態様を参照することによって本明細書の局面は強調されるが、これらの開示される態様は、本明細書において開示される主題の原理の単なる例示にすぎないことを当業者は容易に認識するであろうことを理解されたい。したがって、開示される主題は、本明細書において記載される、特定の方法体系、プロトコール、および/または試薬などに決して限定されるものではないことを理解されたい。したがって、開示される主題に対する様々な改変もしくは変更、または開示される主題の代替の構成を、本明細書の趣旨から逸脱することなく、本明細書における教示に従って行うことができる。終わりに、本明細書において使用される術語は、特定の態様のみを説明することを目的とし、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義される。したがって、本発明は、正確に示され記載されるものに限定されない。
【0107】
本発明を実施するために、本発明者らが知っている最良の形態を含めて、本発明のある種の態様が、本明細書において記載される。当然ながら、これらの記載される態様に関する変形は、前述の説明を読めば、当業者に明らかとなるであろう。本発明者は、当業者がそのような変形を適宜用いることを期待し、本発明者らは、本明細書において特に記載される以外の方法で本発明が実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用可能な法律に許容されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙される主題のすべての改変および均等物を含む。さらに、それらのすべての可能な変形における上記の態様の任意の組み合わせが、本明細書において別段指示がない限り、またはそれ以外では文脈に明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0108】
本発明の代替の態様、要素、または工程のグループ化は、限定として解釈されるべきでない。各グループのメンバーは、個々に、または本明細書において開示される他のグループのメンバーとの任意の組み合わせで、言及され、主張され得る。グループの1つまたは複数のメンバーが、便宜および/または特許性の理由で、あるグループに含まれ得るか、またはあるグループから削除され得ることが予想される。任意のそのような包含または削除が生じる場合、本明細書は、改変されたグループを含み、したがって、添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュグループの記載を満たすとみなされる。
【0109】
別段指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される、特徴、項目、数量、パラメーター、特性、用語などを表すすべての数は、すべての場合に、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。したがって、そうでないと示されない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメーターは、変動し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に対して均等論の適用を限定するために試みるものではなく、各数値表示は、報告された有効桁の数を考慮して、かつ通常の丸め技法を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。本発明の広い範囲を示す数値範囲および値は近似値であるにもかかわらず、特定例で示される数値範囲および値は、できるだけ正確に報告される。しかし、任意の数値範囲または値は、それらの各々の試験測定値において見られる標準偏差によって必然的に生じるある種の誤差を本質的に含む。本明細書における値の数値範囲の列挙は、範囲内に入る別々の各数値を個々に言及する簡略表記法として働くことを単に意図している。別段指示がない限り、数値範囲の個々の値のそれぞれは、本明細書において個々に列挙されるかのように、本明細書に組み入れられる。
【0110】
本発明を説明する文脈において(特に、添付の特許請求の範囲の文脈において)使用される用語「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」、および同様の言及は、本明細書において別段指示がない限り、または文脈に明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書において記載されるすべての方法は、本明細書において別段指示がない限り、またはそれ以外では文脈に明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順番で実施することができる。本明細書において提供される任意のおよびすべての例、または例示的な言語(例えば、「などの」)の使用は、本発明をより明確にすることが単に意図され、特に主張されない限り、本発明の範囲に対して限定をもたらすものではない。本明細書におけるいかなる言語も、本発明の実施に必須の請求されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0111】
本明細書において開示される特定の態様は、「からなる」または「から本質的になる」との記載を使用して、特許請求の範囲においてさらに限定され得る。特許請求の範囲において使用される場合、出願当初のものであるか、または補正により追加されたかにかかわらず、移行句「からなる」は、特許請求の範囲において明記されない、任意の要素、工程、または成分を排除する。移行句「から本質的になる」は、特許請求の範囲の範囲を明記された材料または工程、ならびに基本的および新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。そのように主張される本発明の態様は、本明細書において、本質的にまたは明示的に記載され、可能にされる。
【0112】
本明細書において参照され、特定されるすべての特許、特許公報、および他の刊行物は、本発明に関連して使用される可能性がある、例えば、そのような刊行物に記載されている組成物および方法体系を説明および開示する目的で、個々におよび明示的に参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。これらの刊行物は、単に、本出願の出願日より前のこれら開示のために、提供される。この点に関するいかなるものも、先行発明によって、またはいかなる他の理由でも、本発明者らがそのような開示に先立つ権利を与えられないことの承認として解釈されるべきでない。日付に関するすべての記載またはこれらの文献の内容に関する説明は、出願人等に入手可能な情報に基づき、これらの文献の日付または内容の正確さに関していかなる承認も成すものではない。