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  • 特開-廃棄物処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179489
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】廃棄物処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/70 20060101AFI20231212BHJP
   A62D 3/40 20070101ALI20231212BHJP
   B01D 53/76 20060101ALI20231212BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20231212BHJP
   A62D 101/22 20070101ALN20231212BHJP
   A62D 101/28 20070101ALN20231212BHJP
【FI】
B01D53/70 ZAB
A62D3/40
B01D53/76
B09B3/40
A62D101:22
A62D101:28
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023150638
(22)【出願日】2023-09-18
(62)【分割の表示】P 2022083466の分割
【原出願日】2022-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】522202436
【氏名又は名称】株式会社TATSUMI
(74)【代理人】
【識別番号】100199107
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 拓司
(72)【発明者】
【氏名】伴野 泰申
(72)【発明者】
【氏名】足立 哲男
(57)【要約】
【課題】有毒物や高温にさらされる廃棄物処理装置の循環路のメンテナンス性を、作業者の身長や手の長さを考慮しつつ向上させる。
【解決手段】廃棄物処理装置は、廃棄物を加熱処理する廃棄物処理ユニットと、作業面の上に設置され廃棄物処理ユニットで発生したダイオキシンを熱風で加熱分解するために空気を加熱するヒーターと、ヒーターに空気を供給する供給口と、ヒーターで加熱された空気を吐出する吐出口と、作業面の上に設置され吐出口から吐出された空気を供給口へと循環させる管状の循環路と、循環路より低い位置にあり廃棄物処理ユニットで発生したダイオキシンを循環路に流入させるダイオキシン流入部と、ダイオキシンが加熱分解された後のガスを循環路から排出するダイオキシン分解ガス排出口と、循環路に外気を取り入れる外気取入口と、を備え、循環路の高さの差は最も高い位置と低い位置で1m以下である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を加熱処理する廃棄物処理ユニットと、
前記廃棄物処理ユニットの接地面より上にある作業面の上に設置され前記廃棄物処理ユニットで発生したダイオキシンを熱風で加熱分解するために空気を加熱するヒーターと、
前記ヒーターに空気を供給する供給口と、
前記ヒーターで加熱された空気を吐出する吐出口と、
前記作業面の上に設置され前記吐出口から吐出された空気を前記供給口へと循環させる管状の循環路と、
前記循環路より低い位置にあり前記廃棄物処理ユニットで発生したダイオキシンを前記循環路に流入させるダイオキシン流入部と、
ダイオキシンが加熱分解された後のガスを前記循環路から排出するダイオキシン分解ガス排出口と、
前記循環路に外気を取り入れる外気取入口と、
を備え、
前記循環路を構成する管の高さの差は最も高い位置と最も低い位置で1m以下である、
廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記循環路の軸線と平行な直線を法線ベクトルとし前記循環路の軸方向の図心を通る管仮想面で前記管を切った管断面の形状は前記断面における前記管の図心を通る水平な線に対して対称である、
請求項1に記載の廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記循環路は複数の直管と複数の曲管を含み、
前記複数の直管の軸線と平行な直線を法線ベクトルとし前記直管の軸方向の図心を通る直管仮想面で前記直管を切った直管断面の形状は同一であり、
前記複数の曲管の軸線と接する直線と平行な直線を法線ベクトルとし前記曲管の軸方向の図心を通る曲管仮想面で前記曲管を切った曲管断面の形状は同一である、
請求項1または請求項2に記載の廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記循環路を平面図で見たときの外形の形状は長方形である、
請求項3に記載の廃棄物処理装置。
【請求項5】
前記直管の軸線と平行な直線を法線ベクトルとし前記直管の軸方向の図心を通る直管仮想面で前記直管を切った直管断面の形状は円であり、
前記曲管の軸線と接する直線と平行な直線を法線ベクトルとし前記曲管の軸方向の図心を通る曲管仮想面で前記曲管を切った曲管断面の形状は円である、
請求項2に記載の廃棄物処理装置。
【請求項6】
前記循環路の軸線の高さは全ての前記循環路において一定である、
請求項1または請求項2に記載の廃棄物処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、廃棄物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物の加熱・焼却処理には有毒なダイオキシンの発生を伴うため、ダイオキシンを分解する様々な技術が提案されている。
【0003】
ところでダイオキシンやその他の有毒ガス、有毒物質といった有毒物を分解するためには熱ネルギーが利用される場合があるが、そのためのエネルギーを効率良く利用することが重要である。なお特許文献1には、高温の燃焼排ガスを温度領域で多段階に分けて利用し、それぞれの有毒物に適する温度で中和・分解をする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-200631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、こうした技術においては、有毒物を中和・分解する装置自体も有毒物や高温にさらされるため、これらの耐久性やメンテナンス性を上げたいという課題があった。
【0006】
本開示の目的は、有毒物や高温にさらされる廃棄物処理装置の循環路のメンテナンス性を上げることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の廃棄物処理装置は、廃棄物を加熱処理する廃棄物処理ユニットと、前記廃棄物処理ユニットの接地面より上にある作業面の上に設置され前記廃棄物処理ユニットで発生したダイオキシンを熱風で加熱分解するために空気を加熱するヒーターと、前記ヒーターに空気を供給する供給口と、前記ヒーターで加熱された空気を吐出する吐出口と、前記作業面の上に設置され前記吐出口から吐出された空気を前記供給口へと循環させる管状の循環路と、前記循環路より低い位置にあり前記廃棄物処理ユニットで発生したダイオキシンを前記循環路に流入させるダイオキシン流入部と、ダイオキシンが加熱分解された後のガスを前記循環路から排出するダイオキシン分解ガス排出口と、前記循環路に外気を取り入れる外気取入口と、を備え、前記循環路を構成する管の高さの差は最も高い位置と最も低い位置で1m以下である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、有毒物や高温にさらされる廃棄物処理装置の循環路のメンテナンス性を上げることができる。
【0009】
より詳しくは、作業面からの高さの差が小さいほど敷設・メンテナンスが容易になる。特に高温・有毒物質・風雨にさらされる循環路は日ごろからの点検も必要なので、この高さの差を小さくすることが重要であり、メンテナンス性を向上させるための作業者の身長や手の長さを考慮し、高さの差を1m以下にすると良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、廃棄物処理装置のアイソメトリック図である。
図2図2は、廃棄物処理装置の平面図である。
図3図3は、廃棄物処理装置の正面図である。
図4図4は、廃棄物処理装置の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の廃棄物処理装置は、
[1]廃棄物を加熱処理する廃棄物処理ユニットと、前記廃棄物処理ユニットの接地面より上にある作業面の上に設置され前記廃棄物処理ユニットで発生したダイオキシンを熱風で加熱分解するために空気を加熱するヒーターと、前記ヒーターに空気を供給する供給口と、前記ヒーターで加熱された空気を吐出する吐出口と、前記作業面の上に設置され前記吐出口から吐出された空気を前記供給口へと循環させる管状の循環路と、前記循環路より低い位置にあり前記廃棄物処理ユニットで発生したダイオキシンを前記循環路に流入させるダイオキシン流入部と、ダイオキシンが加熱分解された後のガスを前記循環路から排出するダイオキシン分解ガス排出口と、前記循環路に外気を取り入れる外気取入口と、を備え、前記循環路を構成する管の高さの差は最も高い位置と最も低い位置で1m以下である。
【0012】
本開示によれば、有毒物や高温にさらされる廃棄物処理装置の循環路のメンテナンス性を上げることができる。より詳しくは、作業面からの高さの差が小さいほど敷設・メンテナンスが容易になる。特に高温・有毒物質・風雨にさらされる循環路は日ごろからの点検も必要なので、この高さの差を小さくすることが重要であり、メンテナンス性を向上させるための作業者の身長や手の長さを考慮し、高さの差を1m以下にすると良い。
【0013】
[2]前記循環路の軸線と平行な直線を法線ベクトルとし前記循環路の軸方向の図心を通る管仮想面で前記管を切った管断面の形状は前記断面における前記管の図心を通る水平な線に対して対称である、とすることが好ましい。
【0014】
本開示によれば、管の劣化が上側と下側で異なる場合、つまり管の上側が下側より高温にさらされて劣化しやすい場合や、管の上側より下側に有害物が堆積しやすい場合などに、劣化の程度によっては管を交換するのではなく、管の上下を組み替えるだけで循環路を稼働させることができるようになる。
【0015】
[3]前記循環路は複数の直管と複数の曲管を含み、前記複数の直管の軸線と平行な直線を法線ベクトルとし前記直管の軸方向の図心を通る直管仮想面で前記直管を切った直管断面の形状は同一であり、前記複数の曲管の軸線と接する直線と平行な直線を法線ベクトルとし前記曲管の軸方向の図心を通る曲管仮想面で前記曲管を切った曲管断面の形状は同一である、とすることが好ましい。
【0016】
本開示によれば、管の劣化が場所によって異なる場合、場所を入れ替えればまだ使える管を別の場所に入れ替え、劣化が激しく入れ替えでは使えない管だけを交換することで、循環路の全ての管を新品に交換する場合と比較して経済的に循環路を稼働させ続けられるようになる。
【0017】
[4]前記循環路を平面図で見たときの外形の形状は長方形である、とすることが好ましい。
【0018】
本開示によれば、共通の形状の管を循環路のそれぞれの辺とそれぞれの角にあたる部位に多く用いることで、場所を入れ替えればまだ使える管を別の場所に入れ替える際の自由度が上がり、より経済的に循環路を稼働させ続けられるようになる。
【0019】
[5]前記直管の軸線と平行な直線を法線ベクトルとし前記直管の軸方向の図心を通る直管仮想面で前記直管を切った直管断面の形状は円であり、前記曲管の軸線と接する直線と平行な直線を法線ベクトルとし前記曲管の軸方向の図心を通る曲管仮想面で前記曲管を切った曲管断面の形状は円である、とすることが好ましい。
【0020】
本開示によれば、管を上下で入れ替えることが可能であるとともに、直管については上下を入れ替えずに角度を変えて用いることも可能になり、より経済的に循環路を稼働させ続けられるようになる。
【0021】
[6]前記循環路の軸線の高さは全ての前記循環路において一定である、とすることが好ましい。
【0022】
本開示によれば、すべての循環路の高さが同じなので、循環路に高低差がある場合や、さらには循環路が縦に設けられている場合と比較し、メンテナンス性がより向上する。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の廃棄物処理装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本明細書における「平行」や「直交」は厳密に平行や直交の場合のみではなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。
【0024】
[実施形態1]
(廃棄物処理装置1)
廃棄物処理装置1は、廃棄物処理ユニット10と、ヒーターユニット20と、循環路30および作業面40を備える。
【0025】
(廃棄物処理ユニット10)
廃棄物処理ユニット10は、図1図3および図4に示すように、廃棄物が投入され処理される廃棄物処理ユニット本体と、廃棄物が処理される過程で発生したダイオキシンを後述の循環路30に流入させるためのダイオキシン流入部11を備える。以下の説明において、上とは図3の上を、左右とは図2および図3の左右を、前とは図4の下を言うものとする。
【0026】
(ダイオキシン流入部11)
ダイオキシン流入部は、後述のヒーターユニット20の吐出口23から高温の空気が吐出されたすぐ右の位置において、廃棄物処理ユニット本体の上部と循環路30の下部を接続するように配置されている。
【0027】
廃棄物処理ユニット本体から発生したダイオキシンが比重の関係で上昇し、ダイオキシン流入部11を通って循環路30に入り、ヒーター21で加熱された直後の高温の空気がダイオキシンに当てられるようになっている。
【0028】
(ヒーターユニット20)
ヒーターユニット20は、ヒーター21と、供給口22と、吐出口23を備える。
【0029】
(ヒーター21)
ヒーター21は、供給口22から供給された空気を最大で摂氏1200度程度にまで加熱する。加熱された空気は吐出口23から排出されて循環路30に入り、循環路30を循環して摂氏500度程度にまで下がった状態で供給口22から再びヒーターユニット20に戻る。
【0030】
(供給口22)
供給口22は、循環路30を循環し再びヒーター21で加熱される摂氏500度程度の空気をヒーターユニット20に取り込むための部分である。
【0031】
(吐出口23)
吐出口23は、ヒーター21で摂氏1200度程度にまで加熱された空気を循環路30に吐出するための部分である。
【0032】
(循環路30)
循環路30は、直管31と、曲管32と、ダイオキシン分解ガス排出口33および外気取入口34を備え、図2の一点鎖線で示すように平面視において(平面図で見たときに)長方形に構成されている。循環路30の下側には、吐出口23のすぐ右の位置にダイオキシン流入部11が接続されている。
【0033】
(直管31)
直管31は、所定の直径、長さおよび厚みの金属製の管である。直管31の軸線を法線とする仮想面における断面の形状、つまり直管31の軸線と平行な直線を法線ベクトルとし直管31の軸方向の図心を通る仮想面(直管仮想面)で直管31を切った断面(直管断面)の形状は、その断面(直管断面)における管の図心を通る水平な線に対して上下に対称となっている。断面の形状は図1図4の態様においては円である。なお軸線とは、直管31と後述の曲管32の長手方向の図心を通る線である。
【0034】
直管31は、図2の一点鎖線で示すように平面視で(平面図で見たときに)長方形の循環路30の各辺に用いられており、その長さにより所定の数を組み合わせて各辺が構成されている。
【0035】
循環路30には高温の空気とダイオキシンが常に循環されているため、熱と有毒物が循環路30に負荷を与えており、廃棄物処理装置1自体が風雨にさらされるケースもある。部位によって劣化が激しいところと比較的劣化していないところがあるため、劣化が激しい直管31は新品に交換し、比較的劣化していない直管31を負荷の低い部位に再利用する、ということができる。
【0036】
(曲管32)
曲管32は、所定の直径、長さおよび厚みの金属製の管であり、かつ循環路30の方向を変える筒である。図1図4の態様においては循環路30の方向を90度変える。曲管32の軸線を法線とする仮想面における断面の形状、つまり曲管32の軸線と接する直線と平行な直線を法線ベクトルとし曲管32の軸方向の図心を通る仮想面(曲管仮想面)で曲管32を切った断面(曲管断面)の形状は、その断面(曲管断面)における管の図心を通る水平な線に対して上下に対称となっている。断面の形状は図の態様においては円である。
【0037】
曲管32は、図2の一点鎖線で示すように平面視で(平面図で見たときに)長方形の循環路30の各角に用いられており、各辺をつなぐように構成されている。
【0038】
上述のとおり循環路30には高温の空気とダイオキシンが常に循環されているため、熱と有毒物質が循環路30に負荷を与えており、廃棄物処理装置1自体が風雨にさらされるケースもある。よって部位によって劣化が激しいところと比較的劣化していないところがあるため、劣化が激しい曲管32は新品に交換し、比較的劣化していない曲管32を負荷の低い部位に再利用する、ということができる。
【0039】
(ダイオキシン分解ガス排出口33)
廃棄物を処理する過程で発生したダイオキシンが、循環路30の下側に接続されたダイオキシン流入部から上昇して循環路30に流入する。ここで、ヒーター21で加熱された直後の高温の空気がダイオキシンに当てられ、ダイオキシンが分解される。その後、ダイオキシンが分解された気体はダイオキシン分解ガス排出口33から排出される。
【0040】
(外気取入口34)ダイオキシンが分解された気体が排出された後、外気取入口34から循環路30に外気が取り入れられる。
【0041】
(作業面40)
作業面40は、図4において破線で示されている部分である。図3および図4において符号を付していない(細かい破線で示されている)部分は、循環路30および作業面40を支えるための柱である。作業面40は、図3および図4に示すように、廃棄物処理ユニット10の接地面より上にある。
【0042】
作業面40にはヒーターユニット20および循環路30が載置されている。作業面40は、廃棄物を廃棄物処理ユニット10に投入する際、および廃棄物処理装置1を敷設・メンテナンスする際に作業者が作業をする土台となる部分である。
【0043】
循環路30の高さは、作業面40からの高さの差が小さいほど敷設・メンテナンスが容易になる。特に高温・有毒物質・風雨にさらされる循環路30は日ごろからの点検も必要なので、この高さの差を小さくすることが重要であり、メンテナンス性を向上させるための作業者の身長や手の長さを考慮し、高さの差を1m以下にすると良く、循環路30の軸線方向の高さを一定に保つとなお良い。
【0044】
本実施形態の作用効果を説明する。
本開示の廃棄物処理装置は、
[1]廃棄物を加熱処理する廃棄物処理ユニット10と、廃棄物処理ユニットの接地面より上にある作業面40の上に設置され廃棄物処理ユニット10で発生したダイオキシンを熱風で加熱分解するために空気を加熱するヒーター21と、ヒーター21に空気を供給する供給口22と、ヒーター21で加熱された空気を吐出する吐出口23と、作業面40の上に設置され吐出口23から吐出された空気を供給口22へと循環させる管状の循環路30と、循環路30より低い位置にあり廃棄物処理ユニット10で発生したダイオキシンを循環路30に流入させるダイオキシン流入部11と、ダイオキシンが加熱分解された後のガスを循環路30から排出するダイオキシン分解ガス排出口33と、循環路30に外気を取り入れる外気取入口34と、を備え、循環路30を構成する管の高さの差は最も高い位置と最も低い位置で1m以下である。
【0045】
本開示によれば、有毒物や高温にさらされる廃棄物処理装置1の循環路30のメンテナンス性を上げることができる。
【0046】
より詳しくは、作業面40からの高さの差が小さいほど敷設・メンテナンスが容易になる。特に高温・有毒物質・風雨にさらされる循環路30は日ごろからの点検も必要なので、この高さの差を小さくすることが重要であり、メンテナンス性を向上させるための作業者の身長や手の長さを考慮し、高さの差を1m以下にすると良い。
【0047】
[2]循環路30の軸線と平行な直線を法線ベクトルとし循環路の軸方向の図心を通る管仮想面で管を切った管断面の形状は断面における管の図心を通る水平な線に対して対称である。
【0048】
本開示によれば、管の劣化が上側と下側で異なる場合、つまり管の上側が下側より高温にさらされて劣化しやすい場合や、管の下側には上側より有害物が堆積しやすい場合などに、劣化の程度によっては管を交換するのではなく、管の上下を組み替えるだけで循環路を稼働させることができるようになる。
【0049】
[3]循環路30は複数の直管31と複数の曲管32を含み、複数の直管31の軸線と平行な直線を法線ベクトルとし直管31の軸方向の図心を通る直管仮想面で直管31を切った直管断面の形状は同一であり、複数の曲管32の軸線と接する直線と平行な直線を法線ベクトルとし曲管32の軸方向の図心を通る曲管仮想面で曲管を切った曲管断面の形状は同一である。
【0050】
本開示によれば、管の劣化が場所によって異なる場合、場所を入れ替えればまだ使える管を別の場所に入れ替え、入れ替えで使えない管だけを交換することで、循環路30の全ての管を新品に交換する場合と比較して経済的に循環路30を稼働させ続けられるようになる。
【0051】
[4]循環路30を平面図で見たときの外形の形状は長方形である。
【0052】
本開示によれば、共通の形状の管を循環路のそれぞれの辺とそれぞれの角にあたる部位に多く用いることで、場所を入れ替えればまだ使える管を別の場所に入れ替える際の自由度が上がり、より経済的に循環路を稼働させ続けられるようになる。
【0053】
[5]直管31の軸線と平行な直線を法線ベクトルとし直管31の軸方向の図心を通る直管仮想面で直管31を切った直管断面の形状は円であり、曲管32の軸線と接する直線と平行な直線を法線ベクトルとし曲管32の軸方向の図心を通る曲管仮想面で曲管32を切った曲管断面の形状は円である。
【0054】
本開示によれば、管を上下で入れ替えることが可能であるとともに、直管については上下を入れ替えずに角度を変えて用いることも可能になり、より経済的に循環路30を稼働させ続けられるようになる。
【0055】
[6]循環路30の軸線の作業面40からの高さは全ての循環路30において一定である。
【0056】
本開示によれば、すべての循環路30の高さが同じなので、循環路30に高低差がある場合や、さらには循環路30が縦に設けられている場合と比較し、メンテナンス性がより向上する。
【0057】
なお上述したのはあくまでも一実施形態であり、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 廃棄物処理装置
10 廃棄物処理ユニット
11 ダイオキシン流入部
20 ヒーターユニット
21 ヒーター
22 供給口
23 吐出口
30 循環路
31 直管
32 曲管
33 ダイオキシン分解ガス排出口
34 外気取入口
40 作業面

図1
図2
図3
図4