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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179503
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20231212BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231212BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
H01L29/78 619A
G09F9/30 338
G02F1/1368
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023151453
(22)【出願日】2023-09-19
(62)【分割の表示】P 2022134110の分割
【原出願日】2014-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2013036791
(32)【優先日】2013-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2013187853
(32)【優先日】2013-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2013248897
(32)【優先日】2013-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】三宅 博之
(72)【発明者】
【氏名】豊高 耕平
(57)【要約】
【課題】開口率が高く、且つ電荷容量を増大させることが可能な容量素子を有する半導体
装置を提供する。または、狭額縁化を達成した半導体装置を提供する。
【解決手段】基板上のトランジスタと、トランジスタのゲート電極と同一表面上に形成さ
れる第1の導電膜と、トランジスタの一対の電極と同一表面上に形成される第2の導電膜
と、第1の導電膜及び第2の導電膜と電気的に接続する第1の透光性を有する導電膜と、
を有し、第2の導電膜は、トランジスタのゲート絶縁膜を介して第1の導電膜と重畳する
ように設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上面と接する領域を有する第1の導電膜と、
前記基板上面と接する領域を有する第2の導電膜と、
前記第1の導電膜上の領域と、前記第2の導電膜上の領域と、を有する第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上の領域を有する半導体膜と、
前記半導体膜上面と接する領域を有する第3の導電膜と、
前記第1の絶縁膜上の領域を有する第4の導電膜と、
前記第3の導電膜上面と接する領域と、前記第4の導電膜上面と接する領域と、を有する第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜上の第5の導電膜と、を有し、
前記第1の導電膜は、前記半導体膜が有するチャネル形成領域と重なる領域を有し、
前記第1の絶縁膜は、ゲート絶縁膜として機能する領域を有し、
前記第3の導電膜は、ソース電極又はドレイン電極の一方として機能する領域を有し、
前記第4の導電膜は、前記第3の導電膜と同じ材料を有し、
前記第2の絶縁膜は、前記第1の絶縁膜と接する領域を有し、
前記第5の導電膜は、前記第2の導電膜の上面と接する領域を有し、
前記第5の導電膜は、前記第1の絶縁膜と接する領域を有し、
前記第5の導電膜は、前記第2の絶縁膜と接する領域を有し、
前記第5の導電膜は、前記第4の導電膜の上面と接する領域と、前記第4の導電膜の側面と接する領域と、を有する半導体装置。
【請求項2】
基板と、
前記基板上面と接する領域を有する第1の導電膜と、
前記基板上面と接する領域を有する第2の導電膜と、
前記第1の導電膜上の領域と、前記第2の導電膜上の領域と、を有する第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上の領域を有する半導体膜と、
前記半導体膜上面と接する領域を有する第3の導電膜と、
前記第1の絶縁膜上の領域を有する第4の導電膜と、
前記第3の導電膜上面と接する領域と、前記第4の導電膜上面と接する領域と、を有する第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜上の第5の導電膜と、を有し、
前記第1の導電膜は、前記半導体膜が有するチャネル形成領域と重なる領域を有し、
前記第1の絶縁膜は、ゲート絶縁膜として機能する領域を有し、
前記第3の導電膜は、ソース電極又はドレイン電極の一方として機能する領域を有し、
前記第2の絶縁膜は、前記第1の絶縁膜と接する領域を有し、
前記第4の導電膜は、前記第3の導電膜と同じ材料を有し、
前記第4の導電膜は、前記第3の導電膜と同層に設けられる領域を有し、
前記第5の導電膜は、前記第2の導電膜の上面と接する領域を有し、
前記第5の導電膜は、前記第1の絶縁膜と接する領域を有し、
前記第5の導電膜は、前記第2の絶縁膜と接する領域を有し、
前記第5の導電膜は、前記第4の導電膜の上面と接する領域と、前記第4の導電膜の側面と接する領域と、を有する半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第1の絶縁膜は、窒素と、珪素と、を有し、
前記第2の絶縁膜は、窒素と、珪素と、を有する半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記第1の導電膜、前記第2の導電膜及び前記第5の導電膜は、インジウムと、錫と、酸素と、を有している半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシ
ン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特
に、本発明は、例えば、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、それらの駆動方法
、または、それらの製造方法に関する。特に、本発明は、例えば、酸化物半導体を有する
半導体装置、表示装置、または、発光装置に関する。特に、本発明は、例えば、トランジ
スタを有する半導体装置及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や発光表示装置に代表されるフラットパネルディスプレイの多くに用いら
れているトランジスタは、ガラス基板上に形成されたアモルファスシリコン、単結晶シリ
コンまたは多結晶シリコンなどのシリコン半導体によって構成されている。また、該シリ
コン半導体を用いたトランジスタは、集積回路(IC)などにも利用されている。
【0003】
近年、シリコン半導体に代わって、半導体特性を示す金属酸化物をトランジスタに用い
る技術が注目されている。なお、本明細書中では、半導体特性を示す金属酸化物を酸化物
半導体とよぶことにする。
【0004】
例えば、酸化物半導体として、酸化亜鉛、またはIn-Ga-Zn系酸化物を用いたト
ランジスタを作製し、該トランジスタを表示装置の画素のスイッチング素子などに用いる
技術が開示されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-123861号公報
【特許文献2】特開2007-96055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
容量素子は一対の電極の間に誘電体膜が設けられており、一対の電極のうち、少なくと
も一方の電極は、トランジスタを構成するゲート電極、ソース電極又はドレイン電極など
遮光性を有する導電膜で形成されていることが多い。
【0007】
また、液晶表示装置において、容量素子の容量値を大きくするほど、電界を加えた状況
において、液晶素子の液晶分子の配向を一定に保つことができる期間を長くすることがで
きる。静止画を表示させる場合、当該期間を長くできることは、画像データを書き換える
回数を低減することができ、消費電力の低減が望める。
【0008】
容量素子の電荷容量を大きくするためには、容量素子の占有面積を大きくする、具体的
には一対の電極が重畳している面積を大きくするという手段がある。しかしながら、液晶
表示装置において、一対の電極が重畳している面積を大きくするために遮光性を有する導
電膜の面積を大きくすると、画素の開口率が低減し、画像の表示品位が低下する。このよ
うな問題は、解像度の高い液晶表示装置において、特に顕著である。
【0009】
また、表示装置の表示領域以外の面積の縮小化(狭額縁化)が求められている。
【0010】
そこで、本発明の一態様は、開口率が高く、且つ電荷容量を増大させることが可能な容
量素子を有する半導体装置などを提供することを課題の一とする。また、本発明の一態様
は、表示不良が低減された半導体装置を提供することを課題の一とする。また、狭額縁化
を達成した半導体装置を提供することを課題の一とする。
【0011】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課
題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、
図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、基板上のトランジスタと、トランジスタのゲート電極と同一表面上
に形成される第1の導電膜と、トランジスタの一対の電極と同一表面上に形成される第2
の導電膜と、第1の導電膜及び第2の導電膜と電気的に接続する第1の透光性を有する導
電膜と、を有し、第2の導電膜は、トランジスタのゲート絶縁膜を介して第1の導電膜と
重畳することを特徴とする半導体装置である。
【0013】
なお、上記構成において、基板上の第2の透光性を有する導電膜と、トランジスタを覆
い、且つ第2の透光性を有する導電膜上に開口部が設けられた酸化物絶縁膜と、酸化物絶
縁膜上であって、且つ開口部において第2の透光性を有する導電膜に接する窒化物絶縁膜
と、トランジスタに接続し、且つ開口部において凹部が形成される第3の透光性を有する
導電膜と、を有していてもよい。
【0014】
なお、トランジスタは、基板上に形成されるゲート電極と、ゲート電極に接するゲート
絶縁膜と、ゲート絶縁膜に接する酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜に接する一対の導電
膜と、を有し、第2の透光性を有する導電膜は、ゲート絶縁膜に接する。
【0015】
また、酸化物半導体膜は、第2の透光性を有する導電膜と同一表面上に形成される。
【0016】
また、第2の透光性を有する導電膜、及び酸化物半導体膜は、In、Ga若しくはZn
を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様により、開口率が高く、且つ電荷容量を増大させることが可能な容量素
子を有する半導体装置を作製することができる。また、本発明の一態様により、表示不良
が低減された半導体装置を作製することができる。また、本発明の一態様により、狭額縁
化を達成した半導体装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】半導体装置の一形態を説明するブロック図及び回路図。
図2】半導体装置の一形態を説明する上面図。
図3】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図4】半導体装置の作製方法の一形態を説明する断面図。
図5】半導体装置の作製方法の一形態を説明する断面図。
図6】半導体装置の作製方法の一形態を説明する断面図。
図7】半導体装置の作製方法の一形態を説明する断面図。
図8】半導体装置の作製方法の一形態を説明する断面図。
図9】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図10】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図11】半導体装置の作製方法の一形態を説明する断面図。
図12】半導体装置の作製方法の一形態を説明する断面図。
図13】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図14】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図15】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図16】半導体装置の作製方法の一形態を説明する断面図。
図17】半導体装置の作製方法の一形態を説明する断面図。
図18】トランジスタの一形態を説明する断面図。
図19】トランジスタの一形態を説明する断面図。
図20】トランジスタの一形態を説明する断面図。
図21】トランジスタの一形態を説明する断面図。
図22】トランジスタの一形態を説明する断面図。
図23】酸化物半導体の極微電子線回折パターンを示す図。
図24】本発明の一態様である半導体装置を用いた電子機器を説明する図。
図25】本発明の一態様である半導体装置を用いた電子機器を説明する図。
図26】比較例液晶表示装置の断面図。
図27】比較例液晶表示装置の開口部周辺のレイアウト図。
図28】比較例液晶表示装置のレイアウト図。
図29】ゲートドライバ回路の全体図を説明する図。
図30】シフトレジスタユニットを説明する図。
図31】ダミー段であるシフトレジスタユニットを説明する図。
図32】デマルチプレクサを説明する図。
図33】デマルチプレクサを説明する図。
図34】バッファを説明する図。
図35】他のシフトレジスタユニットを説明する図。
図36】他のダミー段であるシフトレジスタユニットを説明する図。
図37】他のバッファを説明する図。
図38】狭額縁化を説明する図。
図39】シフトレジスタユニットのタイミングチャート。
図40】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図41】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図42】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図43】駆動回路部のレイアウト図。
図44】駆動回路部のレイアウト図。
図45】液晶表示装置の断面TEM像を説明する図。
図46】トランジスタの特性を説明する図。
図47】トランジスタの特性を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明
は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及
び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は
、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。また
、以下に説明する実施の形態及び実施例において、同一部分または同様の機能を有する部
分には、同一の符号または同一のハッチパターンを異なる図面間で共通して用い、その繰
り返しの説明は省略する。
【0020】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、膜の厚さ、または領域は、
明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されな
い。
【0021】
また、本明細書にて用いる第1、第2、第3などの用語は、構成要素の混同を避けるた
めに付したものであり、数的に限定するものではない。そのため、例えば、「第1の」を
「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。
【0022】
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、回路動作において電流の方向が変化する場
合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレ
イン」という用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0023】
また、電圧とは2点間における電位差のことをいい、電位とはある一点における静電場
の中にある単位電荷が持つ静電エネルギー(電気的な位置エネルギー)のことをいう。た
だし、一般的に、ある一点における電位と基準となる電位(例えば接地電位)との電位差
のことを、単に電位もしくは電圧と呼び、電位と電圧が同義語として用いられることが多
い。このため、本明細書では特に指定する場合を除き、電位を電圧と読み替えてもよいし
、電圧を電位と読み替えてもよいこととする。
【0024】
本明細書において、フォトリソグラフィ工程を行った後にエッチング工程を行う場合は
、フォトリソグラフィ工程で形成したマスクは除去するものとする。
【0025】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置及びその作製方法について図面を
参照して説明する。
【0026】
図1(A)に、半導体装置の一例として液晶表示装置を示す。図1(A)に示す液晶表
示装置は、画素部101と、走査線駆動回路104と、信号線駆動回路106と、各々が
平行または略平行に配設され、且つ走査線駆動回路104によって電位が制御されるm本
の走査線107と、各々が平行または略平行に配設され、且つ信号線駆動回路106によ
って電位が制御されるn本の信号線109と、を有する。さらに、画素部101はマトリ
クス状に配設された複数の画素301を有する。また、走査線107に沿って、各々が平
行または略平行に配設された容量線115を有する。なお、容量線115は、信号線10
9に沿って、各々が平行または略平行に配設されていてもよい。また、走査線駆動回路1
04及び信号線駆動回路106をまとめて駆動回路部という場合がある。
【0027】
各走査線107は、画素部101においてm行n列に配設された画素301のうち、い
ずれかの行に配設されたn個の画素301と電気的に接続される。また、各信号線109
は、m行n列に配設された画素301のうち、いずれかの列に配設されたm個の画素30
1に電気的と接続される。m、nは、ともに1以上の整数である。また、各容量線115
は、m行n列に配設された画素301のうち、いずれかの行に配設されたn個の画素30
1と電気的に接続される。なお、容量線115が、信号線109に沿って、各々が平行ま
たは略平行に配設されている場合は、m行n列に配設された画素301のうち、いずれか
の列に配設されたm個の画素301に電気的に接続される。
【0028】
図1(B)は、図1(A)に示す液晶表示装置の画素301に用いることができる回路
構成を示している。
【0029】
図1(B)に示す画素301は、液晶素子132と、トランジスタ131_1と、容量
素子133_1と、を有する。
【0030】
液晶素子132の一対の電極の一方の電位は、画素301の仕様に応じて適宜設定され
る。液晶素子132は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の
画素301のそれぞれが有する液晶素子132の一対の電極の一方に共通の電位(コモン
電位)を与えてもよい。また、各行の画素301毎の液晶素子132の一対の電極の一方
に異なる電位を与えてもよい。または、IPSモードやFFSモードの場合には、液晶素
子132の一対の電極の一方を、容量線CLに接続することも可能である。
【0031】
例えば、液晶素子132を備える液晶表示装置の駆動方法としては、TNモード、ST
Nモード、VAモード、ASM(Axially Symmetric Aligned
Micro-cell)モード、OCB(Optically Compensate
d Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Li
quid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric
Liquid Crystal)モード、MVAモード、PVA(Patterned
Vertical Alignment)モード、IPSモード、FFSモード、または
TBA(Transverse Bend Alignment)モードなどを用いても
よい。また、液晶表示装置の駆動方法としては、上述した駆動方法の他、ECB(Ele
ctrically Controlled Birefringence)モード、P
DLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード
、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)モード
、ゲストホストモードなどがある。ただし、これに限定されず、液晶素子及びその駆動方
式として様々なものを用いることができる。
【0032】
また、ブルー相(Blue Phase)を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物
により液晶素子を構成してもよい。ブルー相を示す液晶は、応答速度が1msec以下と
短く、光学的等方性であるため、配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。
【0033】
m行n列目の画素301において、トランジスタ131_1のソース電極及びドレイン
電極の一方は、信号線DL_nに電気的に接続され、他方は液晶素子132の一対の電極
の他方に電気的に接続される。また、トランジスタ131_1のゲート電極は、走査線G
L_mに電気的に接続される。トランジスタ131_1は、オン状態またはオフ状態にな
ることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
【0034】
容量素子133_1の一対の電極の一方は、電位が供給される配線(以下、容量線CL
)に電気的に接続され、他方は、液晶素子132の一対の電極の他方に電気的に接続され
る。なお、容量線CLの電位の値は、画素301の仕様に応じて適宜設定される。容量素
子133_1は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。なお、
容量素子133_1の一対の電極の一方は、IPSモードやFFSモードの場合には、液
晶素子132の一対の電極の一方に電気的に接続されることも可能である。
【0035】
例えば、図1(B)の画素301を有する液晶表示装置では、走査線駆動回路104に
より各行の画素301を順次選択し、トランジスタ131_1をオン状態にしてデータ信
号のデータを書き込む。
【0036】
データが書き込まれた画素301は、トランジスタ131_1がオフ状態になることで
保持状態になる。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
【0037】
なお、本明細書等において、液晶素子を用いた液晶表示装置の一例としては、透過型液
晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置、投射型
液晶表示装置などがある。液晶素子の一例としては、液晶の光学的変調作用によって光の
透過または非透過を制御する素子がある。その素子は一対の電極と液晶層により構造され
ることが可能である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界
、縦方向の電界または斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、具体的には、
液晶素子の一例としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、デ
ィスコチック液晶、サーモトロピック液晶、リオトロピック液晶、低分子液晶、高分子液
晶、高分子分散型液晶(PDLC)、強誘電液晶、反強誘電液晶、主鎖型液晶、側鎖型高
分子液晶、バナナ型液晶などを挙げることができる。
【0038】
また、液晶表示装置の代わりに、半導体装置の一例として表示素子、表示装置、発光装
置等を用いることができる。また、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発
光素子、及び発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、または
様々な素子を有することが出来る。表示素子、表示装置、発光素子または発光装置の一例
としては、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど)、トランジ
スタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク、電
気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディスプレイ(PDP)
、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)、デジタルマイクロミラー
デバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、IMOD(インター
フェアレンス・モジュレーション)素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチ
ューブ、など、電気磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化
する表示媒体を有するものがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィ
ールドエミッションディスプレイ(FED)またはSED方式平面型ディスプレイ(SE
D:Surface-conduction Electron-emitter Di
splay)などがある。電子インクまたは電気泳動素子を用いた表示装置の一例として
は、電子ペーパーなどがある。
【0039】
次いで、画素301に液晶素子を用いた液晶表示装置の具体的な例について説明する。
ここでは、図1(B)に示す画素301の上面図を図2に示す。なお、図2においては、
対向電極及び液晶素子を省略する。
【0040】
図2において、走査線として機能する導電膜304cは、信号線に略直交する方向(図
中左右方向)に延伸して設けられている。信号線として機能する導電膜310dは、走査
線に略直交する方向(図中上下方向)に延伸して設けられている。容量線として機能する
導電膜310fは、信号線と平行方向に延伸して設けられている。なお、走査線として機
能する導電膜304cは、走査線駆動回路104(図1(A)参照)と電気的に接続され
ており、信号線として機能する導電膜310d及び容量線として機能する導電膜310f
は、信号線駆動回路106(図1(A)参照)に電気的に接続されている。
【0041】
トランジスタ103は、走査線及び信号線が交差する領域に設けられている。トランジ
スタ103は、ゲート電極として機能する導電膜304c、ゲート絶縁膜(図2に図示せ
ず)、ゲート絶縁膜上に形成されたチャネル領域が形成される酸化物半導体膜308b、
ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜310d、導電膜310eにより構成
される。なお、導電膜304cは、走査線としても機能し、酸化物半導体膜308bと重
畳する領域がトランジスタ103のゲート電極として機能する。また、導電膜310dは
、信号線としても機能し、酸化物半導体膜308bと重畳する領域がトランジスタ103
のソース電極またはドレイン電極として機能する。また、図2において、走査線は、上面
形状において端部が酸化物半導体膜308bの端部より外側に位置する。このため、走査
線はバックライトなどの光源からの光を遮る遮光膜として機能する。この結果、トランジ
スタに含まれる酸化物半導体膜308bに光が照射されず、トランジスタの電気特性の変
動を抑制することができる。
【0042】
また、導電膜310eは、開口部362cにおいて、画素電極として機能する透光性を
有する導電膜316bと電気的に接続されている。
【0043】
容量素子105は、ゲート絶縁膜上に形成される透光性を有する導電膜308cと、画
素電極として機能する透光性を有する導電膜316bと、トランジスタ103上に設けら
れる窒化物絶縁膜で形成される誘電体膜とで構成されている。即ち、容量素子105は透
光性を有する。また、容量素子105は、開口部362において容量線として機能する導
電膜310fと接続されている。
【0044】
ここで、透光性を有する導電膜316bは、図2に示すように、矩形状であることが望
ましい。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、透光性を有する導電
膜316bは、FFSモード、IPSモード、MVAモードなどの液晶表示装置に設けら
れる画素電極のように、スリットを有する構造、櫛歯状とすることが可能である。
【0045】
このように容量素子105は透光性を有するため、画素301内に容量素子105を大
きく(大面積に)形成することができる。従って、開口率を高めつつ、代表的には55%
以上、好ましくは60%以上とすることが可能であると共に、電荷容量を増大させた液晶
表示装置を得ることができる。例えば、解像度の高い液晶表示装置においては、画素の面
積が小さくなり、容量素子の面積も小さくなる。このため、解像度の高い液晶表示装置に
おいて、容量素子に蓄積される電荷容量が小さくなる。しかしながら、本実施の形態に示
す容量素子105は透光性を有するため、当該容量素子を画素に設けることで、各画素に
おいて十分な電荷容量を得つつ、開口率を高めることができる。代表的には、画素密度が
200ppi以上、さらには300ppi以上である高解像度の液晶表示装置に好適に用
いることができる。
【0046】
また、図2に示す画素301は、走査線として機能する導電膜304cと平行な辺と比
較して信号線として機能する導電膜310dと平行な辺の方が短い形状であり、且つ容量
線として機能する導電膜310fが、信号線として機能する導電膜310dと平行な方向
に延伸して設けられている。この結果、画素301に占める導電膜310fの面積を低減
することが可能であるため、開口率を高めることができる。また、容量線として機能する
導電膜310fが接続電極を用いず、直接透光性を有する導電膜308cと接するため、
さらに開口率を高めることができる。
【0047】
また、本発明の一態様は、高解像度の液晶表示装置においても、開口率を高めることが
できるため、バックライトなどの光源の光を効率よく利用することができ、液晶表示装置
の消費電力を低減することができる。
【0048】
次いで、図2の一点鎖線C-D間における断面図を図3に示す。また、図3において、
走査線駆動回路104及び信号線駆動回路106を含む駆動回路部(上面図を省略する)
の断面図をA-Bに示す。本実施の形態においては、半導体装置として、縦電界方式の液
晶表示装置について説明する。
【0049】
本実施の形態に示す液晶表示装置は、一対の基板(基板302と基板342)間に液晶
素子322が挟持されている。
【0050】
液晶素子322は、基板302の上方の透光性を有する導電膜316bと、配向性を制
御する膜(以下、配向膜318、配向膜352という)と、液晶層320と、導電膜35
0と、を有する。なお、透光性を有する導電膜316bは、液晶素子322の一方の電極
として機能し、導電膜350は、液晶素子322の他方の電極として機能する。
【0051】
このように、液晶表示装置とは、液晶素子を有する装置のことをいう。なお、液晶表示
装置は、複数の画素を駆動させる駆動回路等を含む。また、液晶表示装置は、別の基板上
に配置された制御回路、電源回路、信号生成回路及びバックライトモジュール等を含み、
液晶モジュールとよぶこともある。
【0052】
駆動回路部において、ゲート電極として機能する導電膜304a、ゲート絶縁膜として
機能する絶縁膜305及び絶縁膜306、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜30
8a、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜310a、導電膜310bによ
りトランジスタ102を構成する。酸化物半導体膜308aは、ゲート絶縁膜上に設けら
れる。また、導電膜310a、導電膜310b上には、絶縁膜312、絶縁膜314が保
護膜として設けられている。
【0053】
画素部において、ゲート電極として機能する導電膜304c、ゲート絶縁膜として機能
する絶縁膜305及び絶縁膜306、ゲート絶縁膜上に形成されたチャネル領域が形成さ
れる酸化物半導体膜308b、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜310
d、導電膜310eによりトランジスタ103を構成する。酸化物半導体膜308bは、
ゲート絶縁膜上に設けられる。また、導電膜310d、導電膜310e上には、絶縁膜3
12、絶縁膜314が保護膜として設けられている。
【0054】
また、画素電極として機能する透光性を有する導電膜316bが、絶縁膜312及び絶
縁膜314に設けられた開口部において、導電膜310eと接続する。
【0055】
また、一方の電極として機能する透光性を有する導電膜308c、誘電体膜として機能
する絶縁膜314、他方の電極として機能する透光性を有する導電膜316bにより容量
素子105を構成する。透光性を有する導電膜308cは、ゲート絶縁膜上に設けられる
【0056】
また、駆動回路部において、導電膜304a、導電膜304cと同時に形成された導電
膜304bと、導電膜310a、導電膜310b、導電膜310d、導電膜310eと同
時に形成された導電膜310cとは、透光性を有する導電膜316bと同時に形成された
透光性を有する導電膜316aで接続される。
【0057】
導電膜304b及び透光性を有する導電膜316aは、絶縁膜306、絶縁膜312、
絶縁膜305及び絶縁膜306に設けられた開口部において接続する。また、導電膜31
0cと透光性を有する導電膜316aは、絶縁膜312、絶縁膜314、絶縁膜305及
び絶縁膜306に設けられた開口部において接続する。なお、本実施の形態では、絶縁膜
314は窒化物絶縁膜を用いる。
【0058】
本実施の形態において、容量素子105の一方の電極である透光性を有する導電膜30
8cの導電性を高めるために、絶縁膜312に開口部を設けている。該開口部において、
窒化物絶縁膜で形成される絶縁膜314と接することで、透光性を有する導電膜308c
は導電性が高くなる。導電性が高くなる理由については、後で詳細に説明する。
【0059】
ここで、図3に示す表示装置の構成要素について、以下に説明する。
【0060】
基板302上には、導電膜304a、導電膜304b、導電膜304cが形成されてい
る。導電膜304aは、駆動回路部のトランジスタのゲート電極としての機能を有する。
また、導電膜304cは、画素部101に形成され、画素部のトランジスタのゲート電極
として機能する。また、導電膜304bは、走査線駆動回路104に形成され、導電膜3
10cと接続する。
【0061】
基板302の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度
の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サ
ファイア基板等を、基板302として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンなど
の単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、
SOI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたも
のを、基板302として用いてもよい。なお、基板302として、ガラス基板を用いる場
合、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm
)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm
)、第10世代(2950mm×3400mm)等の大面積基板を用いることで、大型の
液晶表示装置を作製することができる。
【0062】
また、基板302として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタを形
成してもよい。または、基板302とトランジスタの間に剥離層を設けてもよい。剥離層
は、その上に素子部を一部あるいは全部完成させた後、基板302より分離し、他の基板
に転載するのに用いることができる。その際、トランジスタは耐熱性の劣る基板や可撓性
の基板にも転載できる。
【0063】
導電膜304a、導電膜304b、導電膜304cとしては、アルミニウム、クロム、
銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、または上述し
た金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いて形成す
ることができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された
金属元素を用いてもよい。また、導電膜304a、導電膜304b、導電膜304cは、
単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム
膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタ
ン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タ
ンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と
、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構
造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、ク
ロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素の膜、または複数組み合わせた合金膜、
もしくは窒化膜を用いてもよい。
【0064】
また、導電膜304a、導電膜304b、導電膜304cは、インジウム錫酸化物、酸
化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物
、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウ
ム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材
料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属元素の積
層構造とすることもできる。
【0065】
また、導電膜304a、導電膜304b、導電膜304cとゲート絶縁膜の一部として
機能する絶縁膜305との間に、In-Ga-Zn系酸窒化物半導体膜、In-Sn系酸
窒化物半導体膜、In-Ga系酸窒化物半導体膜、In-Zn系酸窒化物半導体膜、Sn
系酸窒化物半導体膜、In系酸窒化物半導体膜、金属窒化膜(InN、ZnN等)等を設
けてもよい。これらの膜は5eV以上、好ましくは5.5eV以上の仕事関数を有し、酸
化物半導体の電子親和力よりも大きい値であるため、酸化物半導体を用いたトランジスタ
のしきい値電圧をプラスにシフトすることができ、所謂ノーマリーオフ特性のスイッチン
グ素子を実現できる。例えば、In-Ga-Zn系酸窒化物半導体膜を用いる場合、少な
くとも酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bより高い窒素濃度、具体的には
7原子%以上のIn-Ga-Zn系酸窒化物半導体膜を用いる。
【0066】
基板302、及び導電膜304a、導電膜304c、導電膜304b上には、絶縁膜3
05、絶縁膜306が形成されている。絶縁膜305、絶縁膜306は、駆動回路部のト
ランジスタのゲート絶縁膜、及び画素部101のトランジスタのゲート絶縁膜としての機
能を有する。
【0067】
絶縁膜305としては、例えば窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、
窒化酸化アルミニウム等の窒化物絶縁膜を用いて形成することが好ましい。
【0068】
絶縁膜306としては、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、
窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa-Zn系金
属酸化物、などを用いればよく、積層または単層で設ける。また、絶縁膜306としては
、ハフニウムシリケート(HfSi)、窒素が添加されたハフニウムシリケート、
ハフニウムアルミネート(HfAl)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート
、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh-k材料を用いることでトランジス
タのゲートリークを低減できる。
【0069】
絶縁膜305及び絶縁膜306の合計の厚さは、5nm以上400nm以下、より好ま
しくは10nm以上300nm以下、より好ましくは50nm以上250nm以下とする
とよい。
【0070】
絶縁膜306上には、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、透光性を有
する導電膜308cが形成されている。酸化物半導体膜308aは、導電膜304aと重
畳する位置に形成され、駆動回路部のトランジスタのチャネル領域として機能する。また
、酸化物半導体膜308bは、導電膜304cと重畳する位置に形成され、画素部のトラ
ンジスタのチャネル領域として機能する。透光性を有する導電膜308cは、容量素子1
05の一方の電極として機能する。
【0071】
酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、及び透光性を有する導電膜308
cは、代表的には、In-Ga酸化物膜、In-Zn酸化物膜、In-M-Zn酸化物膜
(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、またはHf)がある。
【0072】
なお、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、及び透光性を有する導電膜
308cがIn-M-Zn酸化物膜であるとき、InおよびMの和を100atomic
%としたとき、InおよびMの原子数比率は、好ましくは、Inが25atomic%以
上、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上、M
が66atomic%未満とする。
【0073】
酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、及び透光性を有する導電膜308
cは、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3
eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、
トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0074】
酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、及び透光性を有する導電膜308
cの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに
好ましくは3nm以上50nm以下とする。
【0075】
酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、及び透光性を有する導電膜308
cとしてIn:Ga:Zn=1:1:1または3:1:2の原子数比のIn-Ga-Zn
酸化物を用いることができる。なお、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b
、及び透光性を有する導電膜308cの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比
のプラスマイナス20%の変動を含む。
【0076】
酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、及び透光性を有する導電膜308
cは共に、ゲート絶縁膜上(ここでは、絶縁膜306上)に形成されるが、不純物濃度が
異なる。具体的には、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bと比較して、透
光性を有する導電膜308cの不純物濃度が高い。例えば、酸化物半導体膜308a、酸
化物半導体膜308bに含まれる水素濃度は、5×1019atoms/cm未満、好
ましくは5×1018atoms/cm未満、好ましくは1×1018atoms/c
以下、より好ましくは5×1017atoms/cm以下、さらに好ましくは1×
1016atoms/cm以下であり、透光性を有する導電膜308cに含まれる水素
濃度は、8×1019atoms/cm以上、好ましくは1×1020atoms/c
以上、より好ましくは5×1020atoms/cm以上である。また、酸化物半
導体膜308a、酸化物半導体膜308bと比較して、透光性を有する導電膜308cに
含まれる水素濃度は2倍、好ましくは10倍以上である。
【0077】
また、透光性を有する導電膜308cは、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜3
08bより抵抗率が低い。透光性を有する導電膜308cの抵抗率が、酸化物半導体膜3
08a、酸化物半導体膜308bの抵抗率の1×10-8倍以上1×10-1倍以下で有
ることが好ましく、代表的には1×10-3Ωcm以上1×10Ωcm未満、さらに好
ましくは、抵抗率が1×10-3Ωcm以上1×10-1Ωcm未満であるとよい。
【0078】
酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bにおいて、第14族元素の一つであ
るシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bにお
いて酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、酸化物半導体膜308a、酸化物
半導体膜308bにおけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる
濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms/
cm以下とする。
【0079】
また、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bにおいて、二次イオン質量分
析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018ato
ms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm以下にする。アルカリ金
属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、
トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、酸化物半導体膜308
a、酸化物半導体膜308bのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減するこ
とが好ましい。
【0080】
また、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bに窒素が含まれていると、キ
ャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含
まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従っ
て、当該酸化物半導体膜において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例
えば、二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm
以下にすることが好ましい。
【0081】
酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bとしては、キャリア密度の低い酸化
物半導体膜を用いる。例えば、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bは、キ
ャリア密度が1×1017個/cm以下、好ましくは1×1015個/cm以下、さ
らに好ましくは1×1013個/cm以下、より好ましくは1×1011個/cm
下の酸化物半導体膜を用いる。
【0082】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効
果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とす
るトランジスタの半導体特性を得るために、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜3
08bのキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離
、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0083】
酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bは、絶縁膜306及び絶縁膜312
等の、酸化物半導体膜との界面特性を向上させることが可能な材料で形成される膜と接し
ているため、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bは、半導体として機能し
、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bを有するトランジスタは、優れた電
気特性を有する。
【0084】
なお、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bとして、不純物濃度が低く、
欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜を用いることで、優れた電気特性を有するトランジス
タを作製することができ好ましい。ここでは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(
酸素欠損の少ない)ことを高純度真性または実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性また
は実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密
度を低くすることができる場合がある。従って、当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形
成されるトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンとも
いう)になることが少ない場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性であ
る酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある
。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、オフ電流が著し
く小さく、チャネル幅が1×10μmでチャネル長Lが10μmの素子であっても、ソ
ース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オ
フ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10-13A以下
という特性を得ることができる。従って、当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成され
るトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる場合があ
る。なお、酸化物半導体膜のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時
間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度
の高い酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定と
なる場合がある。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属
等がある。
【0085】
一方、透光性を有する導電膜308cは、開口部362(図6(A)参照)において窒
化物絶縁膜で形成される絶縁膜314と接する。絶縁膜314は、外部からの不純物、例
えば、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が、酸化物半導体膜へ拡散するのを防ぐ材
料で形成される膜であり、更には水素を含む。このため、絶縁膜314の水素が酸化物半
導体膜308a、酸化物半導体膜308bと同時に形成された酸化物半導体膜に拡散する
と、該酸化物半導体膜において水素は酸素と結合し、キャリアである電子を生成する。こ
の結果、酸化物半導体膜は、導電性が高くなり導体として機能する。即ち、導電性の高い
酸化物半導体膜ともいえる。ここでは、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308
bと同様の材料を主成分とし、且つ水素濃度が酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜
308bより高いことにより、導電性が高められた金属酸化物を、透光性を有する導電膜
308cとよぶ。
【0086】
また、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、及び透光性を有する導電膜
308cは、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、後述するCAAC
-OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Sem
iconductor)、多結晶構造、後述する微結晶構造、または非晶質構造を含む。
非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC-OSは最も欠
陥準位密度が低い。なお、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、及び透光
性を有する導電膜308cは、結晶性が同じである。
【0087】
なお、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、及び透光性を有する導電膜
308cが、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC-OS
の領域、単結晶構造の領域の二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば
、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC-OSの領域、単
結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域を有する場合がある。また、混合膜は、例えば
、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC-OSの領域、単
結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域の積層構造を有する場合がある。
【0088】
ただし、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されず、透光性を有する導電膜30
8cは、場合によっては、絶縁膜314と接していないことも可能である。
【0089】
また、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されず、透光性を有する導電膜308
cは、場合によっては、酸化物半導体膜308a、または、酸化物半導体膜308bと別
々の工程で形成されてもよい。その場合には、透光性を有する導電膜308cは、酸化物
半導体膜308a、酸化物半導体膜308bと、異なる材質を有していても良い。例えば
、透光性を有する導電膜308cは、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す)、また
は、インジウム亜鉛酸化物等を用いて形成有してもよい。
【0090】
本実施の形態に示す液晶表示装置は、トランジスタの酸化物半導体膜と同時に、容量素
子の一方となる電極を形成する。また、画素電極として機能する透光性を有する導電膜を
容量素子の他方の電極として用いる。これらのため、容量素子を形成するために、新たに
導電膜を形成する工程が不要であり、液晶表示装置の作製工程を削減できる。また、容量
素子は、一対の電極が透光性を有する導電膜で形成されているため、透光性を有する。こ
の結果、容量素子の占有面積を大きくしつつ、画素の開口率を高めることができる。
【0091】
導電膜310a、導電膜310b、導電膜310c、導電膜310d、導電膜310e
は、導電材料として、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジ
ルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、または
これを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いる。例えば、シリコンを含
むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タング
ステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に
銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタ
ン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化
チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン
膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上
にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジ
ウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0092】
また、導電膜310cを導電膜304bと重畳するように形成することで、その分、額
縁を縮小することができるため、駆動回路部の占有面積を低減することができる。よって
、表示装置の狭額縁化を図ることができる。
【0093】
絶縁膜306、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、透光性を有する導
電膜308c、及び導電膜310a、導電膜310b、導電膜310c、導電膜310d
、導電膜310e上には、絶縁膜312、絶縁膜314が形成されている。絶縁膜312
は、絶縁膜306と同様に、酸化物半導体膜との界面特性を向上させることが可能な材料
を用いることが好ましく、酸化物絶縁膜を用いて形成することができる。ここでは、絶縁
膜312としては、絶縁膜312a、絶縁膜312bを積層して形成する。
【0094】
絶縁膜312aは、酸素を透過する酸化物絶縁膜である。なお、絶縁膜312aは、後
に形成する絶縁膜312bを形成する際の、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜3
08b、及び透光性を有する導電膜308cへのダメージ緩和膜としても機能する。
【0095】
絶縁膜312aとしては、厚さが5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上5
0nm以下の酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。なお、本明細書
中において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い
膜を指し、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い膜
を指す。
【0096】
また、絶縁膜312aは、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定に
より、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密
度が3×1017spins/cm以下であることが好ましい。これは、絶縁膜312
aに含まれる欠陥密度が多いと、当該欠陥に酸素が結合してしまい、絶縁膜312aにお
ける酸素の透過量率が減少してしまうためである。
【0097】
また、絶縁膜312aと酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、及び透光
性を有する導電膜308cとの界面における欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には
、ESR測定により、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、及び透光性を
有する導電膜308cの欠陥に由来するg=1.93に現れる信号のスピン密度が1×1
17spins/cm以下、さらには検出下限以下であることが好ましい。
【0098】
なお、絶縁膜312aにおいては、外部から絶縁膜312aに入った酸素が全て絶縁膜
312aの外部に移動せず、絶縁膜312aにとどまる酸素もある。また、絶縁膜312
aに酸素が入ると共に、絶縁膜312aに含まれる酸素が絶縁膜312aの外部へ移動す
ることで絶縁膜312aにおいて酸素の移動が生じる場合もある。
【0099】
絶縁膜312aとして酸素を透過する酸化物絶縁膜を形成すると、絶縁膜312a上に
設けられる絶縁膜312bから脱離する酸素を、絶縁膜312aを介して酸化物半導体膜
308a、酸化物半導体膜308b、及び透光性を有する導電膜308cに移動させるこ
とができる。
【0100】
絶縁膜312aに接するように絶縁膜312bが形成されている。絶縁膜312bは、
化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成する。化
学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により酸素の一
部が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、T
DS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm
以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm以上である酸化物絶縁膜である
【0101】
絶縁膜312bとしては、厚さが30nm以上500nm以下、好ましくは50nm以
上400nm以下の、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜等を用いることができる。
【0102】
また、絶縁膜312bは、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定に
より、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密
度が1.5×1018spins/cm未満、更には1×1018spins/cm
以下であることが好ましい。なお、絶縁膜312bは、絶縁膜312aと比較して酸化物
半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、及び透光性を有する導電膜308cから離
れているため、絶縁膜312aより、欠陥密度が多くともよい。
【0103】
絶縁膜314として、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキ
ング効果を有する窒化物絶縁膜を設けることで、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体
膜308b、及び透光性を有する導電膜308cからの酸素の外部への拡散を防ぐことが
できる。窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、
窒化酸化アルミニウム等がある。
【0104】
なお、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果を有す
る窒化物絶縁膜上に、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設け
てもよい。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜としては、酸化ア
ルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウ
ム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。また、容量
素子の電荷容量を制御するため、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の
ブロッキング効果を有する窒化物絶縁膜上に窒化物絶縁膜または酸化物絶縁膜を適宜設け
てもよい。
【0105】
また、絶縁膜314上には透光性を有する導電膜316a、透光性を有する導電膜31
6bが形成されている。透光性を有する導電膜316aは、開口部364a(図6(C)
参照)において導電膜304b及び導電膜310cと電気的に接続される。即ち、導電膜
304b及び導電膜310cを接続する接続電極として機能する。透光性を有する導電膜
316bは、開口部364b(図6(C)参照)において導電膜310eと電気的に接続
され、画素の画素電極としての機能を有する。また、透光性を有する導電膜316bは、
容量素子の一対の電極の一方として機能することができる。
【0106】
なお、導電膜304b及び導電膜310cが直接接するような接続構造とするには、導
電膜310cを形成する前に、絶縁膜305、絶縁膜306に開口部を形成するためにパ
ターニングを行い、マスクを形成する必要がある。しかしながら、図3のように、透光性
を有する導電膜316aにより、導電膜304b及び導電膜310cを接続することで、
導電膜304b及び導電膜310cが直接接する接続部を作製する必要が無くなり、フォ
トマスクを1枚少なくすることができる。即ち、液晶表示装置の作製工程を削減すること
が可能である。
【0107】
透光性を有する導電膜316a、透光性を有する導電膜316bとしては、酸化タング
ステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チ
タンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、ITO、インジウ
ム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性
材料を用いることができる。
【0108】
配向膜318としては、ポリイミド等の有機樹脂を用いることができる。配向膜318
の膜厚は、40nm以上100nm以下、さらには50nm以上90nm以下とすること
が好ましい。このような膜厚とすることで、液晶材料のプレチルト角を大きくすることが
可能である。液晶材料のプレチルト角を大きくすることで、ディスクリネーションを低減
することが可能である。
【0109】
また、基板342上には、有色性を有する膜(以下、有色膜346という)が形成され
ている。有色膜346は、カラーフィルタとしての機能を有する。また、有色膜346に
隣接する遮光膜344が基板342上に形成される。遮光膜344は、ブラックマトリク
スとして機能する。また、有色膜346は、必ずしも設ける必要はなく、例えば、液晶表
示装置が白黒の場合等によって、有色膜346を設けない構成としてもよい。
【0110】
有色膜346としては、特定の波長帯域の光を透過する有色膜であればよく、例えば、
赤色の波長帯域の光を透過する赤色(R)のカラーフィルタ、緑色の波長帯域の光を透過
する緑色(G)のカラーフィルタ、青色の波長帯域の光を透過する青色(B)のカラーフ
ィルタなどを用いることができる。
【0111】
遮光膜344としては、特定の波長帯域の光を遮光する機能を有していればよく、金属
膜または黒色顔料等を含んだ有機絶縁膜などを用いることができる。
【0112】
また、有色膜346上には、絶縁膜348が形成されている。絶縁膜348は、平坦化
層としての機能、または有色膜346が含有しうる不純物を液晶素子側へ拡散するのを抑
制する機能を有する。
【0113】
また、絶縁膜348上には、導電膜350が形成されている。導電膜350は、画素部
の液晶素子が有する一対の電極の他方としての機能を有する。なお、透光性を有する導電
膜316a及び透光性を有する導電膜316b上には、配向膜318が形成され、導電膜
350上には、配向膜352が形成されている。
【0114】
また、透光性を有する導電膜316a、透光性を有する導電膜316bと導電膜350
との間には、液晶層320が形成されている。また、液晶層320は、シール材(図示し
ない)を用いて、基板302と基板342の間に封止されている。なお、シール材は、外
部からの水分等の入り込みを抑制するために、無機材料と接触する構成が好ましい。
【0115】
また、透光性を有する導電膜316a、透光性を有する導電膜316bと導電膜350
との間に液晶層320の厚さ(セルギャップともいう)を維持するスペーサを設けてもよ
い。
【0116】
図3に示す液晶表示装置に示す基板302上に設けられた素子部の作製方法について、
図4乃至図7を用いて説明する。なお、ここでは、基板302上に設けられた素子部とし
ては、基板302と配向膜318に挟まれた領域のことをさす。
【0117】
まず、基板302を準備する。ここでは、基板302としてガラス基板を用いる。
【0118】
次に、基板302上に導電膜を形成し、該導電膜を所望の領域に加工することで、導電
膜304a、導電膜304b、導電膜304cを形成する。なお、導電膜304a、導電
膜304b、導電膜304cの形成は、所望の領域に第1のパターニングによるマスクの
形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングすることで形成することができ
る。(図4(A)参照)。
【0119】
また、導電膜304a、導電膜304b、導電膜304cとしては、代表的には、蒸着
法、CVD法、スパッタリング法、スピンコート法等を用いて形成することができる。
【0120】
次に、基板302、及び導電膜304a、導電膜304b、導電膜304c上に、絶縁
膜305を形成し、絶縁膜305上に絶縁膜306を形成する(図4(A)参照)。
【0121】
絶縁膜305及び絶縁膜306は、スパッタリング法、CVD法等により形成すること
ができる。なお、絶縁膜305及び絶縁膜306は、真空中で連続して形成すると不純物
の混入が抑制され好ましい。
【0122】
次に、絶縁膜306上に酸化物半導体膜307を形成する(図4(B)参照)。
【0123】
酸化物半導体膜307は、スパッタリング法、塗布法、パルスレーザー蒸着法、レーザ
ーアブレーション法などを用いて形成することができる。
【0124】
次に、酸化物半導体膜307を所望の領域に加工することで、島状の、酸化物半導体膜
308a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308dを形成する。なお、酸化物
半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308dの形成は、所望の
領域に第2のパターニングによるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域を
エッチングすることで形成することができる。エッチングとしては、ドライエッチング、
ウエットエッチング、または双方を組み合わせたエッチングを用いることができる(図4
(C)参照)。
【0125】
なお、この後、加熱処理を行って、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b
、酸化物半導体膜308dに含まれる水素、水等を脱離させ、酸化物半導体膜308a、
酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308dに含まれる水素及び水を低減してもよ
い。この結果、高純度化された酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化
物半導体膜308dを形成することができる。該加熱処理の温度は、代表的には、250
℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下とする。なお、該加熱処理の
温度を、代表的には、300℃以上400℃以下、好ましくは320℃以上370℃以下
とすることで、大面積基板においても基板の反りやシュリンクを低減することが可能であ
り、歩留まりが向上する。
【0126】
当該加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いるこ
とで、短時間に限り、基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため加
熱処理時間を短縮することが可能であり、加熱処理中の基板の反りを低減することが可能
であり、大面積基板において特に好ましい。
【0127】
また、加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましく
は1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウ
ム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水
素、水等が含まれないことが好ましい。また、窒素または希ガス雰囲気で加熱処理した後
、酸素または超乾燥空気雰囲気で加熱してもよい。この結果、酸化物半導体膜中に含まれ
る水素、水等を脱離させると共に、酸化物半導体膜中に酸素を供給することができる。こ
の結果、酸化物半導体膜中に含まれる酸素欠損量を低減することができる。
【0128】
次に、絶縁膜306、及び酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化物
半導体膜308d上に導電膜309を形成する(図5(A)参照)。
【0129】
導電膜309は、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。
【0130】
次に、導電膜309を所望の領域に加工することで、導電膜310a、導電膜310b
、導電膜310c、導電膜310d、導電膜310eを形成する。なお、導電膜310a
、導電膜310b、導電膜310c、導電膜310d、導電膜310eは、所望の領域に
第3のパターニングによるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチ
ングすることで形成することができる(図5(B)参照)。
【0131】
なお、導電膜310cを導電膜304bと重畳するように形成することで、短い距離で
導電膜304bと導電膜310cを、透光性を有する導電膜316aを介して電気的に接
続できるため、駆動回路部の占有面積を低減することができる。よって、表示装置の狭額
縁化を図ることができる。また、透光性を有する導電膜316aと導電膜310cの接触
面積を広くすることで、接触抵抗を低減することができる。
【0132】
次に、絶縁膜306、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導
体膜308d、及び導電膜310a、導電膜310b、導電膜310c、導電膜310d
、導電膜310e上を覆うように、絶縁膜311a、絶縁膜311bが積層された絶縁膜
311を形成する(図5(C)参照)。
【0133】
なお、絶縁膜311aを形成した後、大気に曝すことなく、連続的に絶縁膜311bを
形成することが好ましい。絶縁膜311aを形成した後、大気開放せず、原料ガスの流量
、圧力、高周波電力及び基板温度の一以上を調整して、絶縁膜311bを連続的に形成す
ることで、絶縁膜311a、絶縁膜311bにおける界面の大気成分由来の不純物濃度を
低減することができると共に、絶縁膜311bに含まれる酸素を酸化物半導体膜308a
、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308dに移動させることが可能であり、酸
化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308dの酸素欠損量
を低減することができる。
【0134】
絶縁膜311aとしては、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された
基板を180℃以上400℃以下、好ましくは200℃以上370℃以下に保持し、処理
室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を20Pa以上250Pa以下、さらに好
ましくは100Pa以上250Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に高周波電力を
供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成することができる
【0135】
絶縁膜311aの原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用い
ることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、ト
リシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、
二酸化窒素等がある。
【0136】
上記条件を用いることで、絶縁膜311aとして酸素を透過する酸化物絶縁膜を形成す
ることができる。また、絶縁膜311aを設けることで、後に形成する絶縁膜311bの
形成工程において、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜
308dへのダメージ低減が可能である。
【0137】
なお、絶縁膜311aは、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された
基板を280℃以上400℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内におけ
る圧力を100Pa以上250Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に高周波電力を
供給する条件により、絶縁膜311aとして、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜
を形成することができる。
【0138】
当該成膜条件において、基板温度を絶縁膜311aの成膜温度とすることで、シリコン
及び酸素の結合力が強くなる。この結果、絶縁膜311aとして、酸素が透過し、緻密で
あり、且つ硬い酸化物絶縁膜、代表的には、25℃において0.5重量%のフッ酸に対す
るエッチング速度が10nm/分以下、好ましくは8nm/分以下である酸化シリコン膜
または酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
【0139】
また、当該工程において、加熱をしながら絶縁膜311aを形成するため、当該工程に
おいて酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308dに含
まれる水素、水等を脱離させることができる。
【0140】
また、絶縁膜311aを形成する工程において加熱するため、酸化物半導体膜308a
、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308dが露出された状態での加熱時間が少
なく、加熱処理による酸化物半導体膜からの酸素の脱離量を低減することができる。即ち
、酸化物半導体膜中に含まれる酸素欠損量を低減することができる。
【0141】
さらには、処理室の圧力を100Pa以上250Pa以下とすることで、絶縁膜311
aに含まれる水の含有量が少なくなるため、トランジスタの電気特性のばらつきを低減す
ると共に、しきい値電圧の変動を抑制することができる。
【0142】
また、処理室の圧力を100Pa以上250Pa以下とすることで、絶縁膜311aを
成膜する際に、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜30
8dへのダメージを低減することが可能であり、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体
膜308b、酸化物半導体膜308dに含まれる酸素欠損量を低減することができる。特
に、絶縁膜311aまたは後に形成される絶縁膜311bの成膜温度を高くする、代表的
には220℃より高い温度とすることで、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜30
8b、酸化物半導体膜308dに含まれる酸素の一部が脱離し、酸素欠損が形成されやす
い。また、トランジスタの信頼性を高めるため、後に形成する絶縁膜311bの欠陥量を
低減するための成膜条件を用いると、酸素脱離量が低減しやすい。これらの結果、酸化物
半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308dの酸素欠損を低減
することが困難な場合がある。しかしながら、処理室の圧力を100Pa以上250Pa
以下とし、絶縁膜311aの成膜時における酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜3
08b、酸化物半導体膜308dへのダメージを低減することで、絶縁膜311bからの
少ない酸素脱離量でも酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体
膜308d中の酸素欠損を低減することが可能である。
【0143】
なお、シリコンを含む堆積性気体に対する酸化性気体量を100倍以上とすることで、
絶縁膜311aに含まれる水素含有量を低減することが可能である。この結果、酸化物半
導体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308dに混入する水素量を
低減できるため、トランジスタのしきい値電圧のマイナスシフトを抑制することができる
【0144】
絶縁膜311bとしては、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された
基板を180℃以上280℃以下、さらに好ましくは200℃以上240℃以下に保持し
、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、
さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.
17W/cm以上0.5W/cm以下、さらに好ましくは0.25W/cm以上0
.35W/cm以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒
化シリコン膜を形成する。
【0145】
絶縁膜311bの原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用い
ることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、ト
リシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、
二酸化窒素等がある。
【0146】
絶縁膜311bの成膜条件として、上記圧力の処理室において上記パワー密度の高周波
電力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加
し、原料ガスの酸化が進むため、絶縁膜311b中における酸素含有量が化学量論的組成
よりも多くなる。しかしながら、基板温度が、上記絶縁膜311bの成膜温度であると、
シリコンと酸素の結合力が弱いため、加熱により酸素の一部が脱離する。この結果、化学
量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化
物絶縁膜を形成することができる。また、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜30
8b、酸化物半導体膜308d上に絶縁膜311aが設けられている。このため、絶縁膜
311bの形成工程において、絶縁膜311aが酸化物半導体膜308a、酸化物半導体
膜308b、酸化物半導体膜308dの保護膜となる。この結果、酸化物半導体膜308
a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308dへのダメージを低減しつつ、高い
パワー密度の高周波電力を用いて絶縁膜311bを形成することができる。
【0147】
なお、絶縁膜311bの成膜条件において、酸化性気体に対するシリコンを含む堆積性
気体の流量を増加することで、絶縁膜311bの欠陥量を低減することが可能である。代
表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001
に現れる信号のスピン密度が6×1017spins/cm未満、好ましくは3×10
17spins/cm以下、好ましくは1.5×1017spins/cm以下であ
る欠陥量の少ない酸化物絶縁膜を形成することができる。この結果、トランジスタの信頼
性を高めることができる。
【0148】
次に、加熱処理を行う。該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上基板歪み点未
満、好ましくは200℃以上450℃以下、更に好ましくは300℃以上450℃以下と
する。なお、該加熱処理の温度を、代表的には、300℃以上400℃以下、好ましくは
320℃以上370℃以下とすることで、大面積基板においても基板の反りやシュリンク
を低減することが可能であり、歩留まりが向上する。
【0149】
該加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いること
で、短時間に限り、基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため加熱
処理時間を短縮することができる。
【0150】
加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1p
pm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)
の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水
等が含まれないことが好ましい。
【0151】
当該加熱処理により、絶縁膜311bに含まれる酸素の一部を酸化物半導体膜308a
、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308dに移動させ、酸化物半導体膜308
a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308dに含まれる酸素欠損を低減するこ
とが可能である。この結果、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化物
半導体膜308dに含まれる酸素欠損量をさらに低減することができる。
【0152】
また、絶縁膜311a、絶縁膜311bに水、水素等が含まれる場合、水、水素等をブ
ロッキングする機能を有する絶縁膜313を後に形成し、加熱処理を行うと、絶縁膜31
1a、絶縁膜311bに含まれる水、水素等が、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体
膜308b、酸化物半導体膜308dに移動し、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体
膜308b、酸化物半導体膜308dに欠陥が生じてしまう。しかしながら、当該加熱に
より、絶縁膜311a、絶縁膜311bに含まれる水、水素等を脱離させることが可能で
あり、トランジスタの電気特性のばらつきを低減すると共に、しきい値電圧の変動を抑制
することができる。
【0153】
なお、加熱しながら絶縁膜311bを絶縁膜311a上に形成することで、酸化物半導
体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308dに酸素を移動させ、酸
化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308dに含まれる酸
素欠損を低減することが可能であるため、当該加熱処理を行わなくともよい。
【0154】
また、導電膜310a、導電膜310b、導電膜310d、導電膜310eを形成する
際、導電膜のエッチングによって、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、
酸化物半導体膜308dはダメージを受け、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜3
08bのバックチャネル(酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bにおいて、
ゲート電極として機能する導電膜304a、導電膜304cと対向する面と反対側の面)
側に酸素欠損が生じる。しかし、絶縁膜311bに化学量論的組成を満たす酸素よりも多
くの酸素を含む酸化物絶縁膜を適用することで、加熱処理によって当該バックチャネル側
に生じた酸素欠損を修復することができる。これにより、酸化物半導体膜308a、酸化
物半導体膜308bに含まれる欠陥を低減することができるため、トランジスタの信頼性
を向上させることができる。
【0155】
なお、当該加熱処理は、後に形成される開口部362を形成した後に行ってもよい。
【0156】
次に、絶縁膜311を所望の領域に加工することで、絶縁膜312、及び開口部362
を形成する。なお、絶縁膜311、及び開口部362の形成は、所望の領域に第4のパタ
ーニングによるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングするこ
とで、形成することができる(図6(A)参照)。なお、導電膜304bと重畳する領域
の絶縁膜311の一部においても、エッチングする。
【0157】
なお、開口部362は、酸化物半導体膜308dの表面が露出するように形成される。
開口部362の形成方法としては、例えば、ドライエッチング法を用いることができる。
ただし、開口部362の形成方法としては、これに限定されず、ウエットエッチング法、
またはドライエッチング法とウエットエッチング法を組み合わせた形成方法としてもよい
【0158】
次に、絶縁膜306、絶縁膜312及び酸化物半導体膜308d上に絶縁膜313を形
成する(図6(B)参照)。
【0159】
絶縁膜313としては、外部からの不純物、例えば、酸素、水素、水、アルカリ金属、
アルカリ土類金属等が、酸化物半導体膜へ拡散するのを防ぐ材料を用いることが好ましく
、更には水素を含むことが好ましく、代表的には窒素を含む無機絶縁材料、例えば窒化物
絶縁膜を用いることができる。絶縁膜313としては、例えば、CVD法を用いて形成す
ることができる。
【0160】
絶縁膜313は、外部からの不純物、例えば、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等
が、酸化物半導体膜へ拡散するのを防ぐ材料で形成される膜であり、更には水素を含む。
このため、絶縁膜313の水素が酸化物半導体膜308dに拡散すると、該酸化物半導体
膜308dにおいて水素は酸素と結合し、キャリアである電子が生成される。この結果、
酸化物半導体膜308dは、導電性が高くなり、透光性を有する導電膜308cとなる。
【0161】
また、上記窒化シリコン膜は、ブロック性を高めるために、高温で成膜されることが好
ましく、例えば基板温度100℃以上400℃以下、より好ましくは300℃以上400
℃以下の温度で加熱して成膜することが好ましい。また、高温で成膜する場合は、酸化物
半導体膜308a、酸化物半導体膜308bとして用いる酸化物半導体から酸素が脱離し
、キャリア濃度が上昇する現象が発生することがあるため、このような現象が発生しない
温度とする。
【0162】
次に、絶縁膜313、絶縁膜312、絶縁膜306及び絶縁膜305を所望の領域に加
工することで、絶縁膜314、及び開口部364a、開口部364bを形成する。なお、
絶縁膜314、及び開口部364a、開口部364bは、所望の領域に第5のパターニン
グによるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングすることで形
成することができる(図6(C)参照)。
【0163】
また、開口部364aは、導電膜304a及び導電膜310cの表面が露出するように
形成する。また、開口部364bは、導電膜310eが露出するように形成する。
【0164】
なお、開口部364a、開口部364bの形成方法としては、例えば、ドライエッチン
グ法を用いることができる。ただし、開口部364a、開口部364bの形成方法として
は、これに限定されず、ウエットエッチング法、またはドライエッチング法とウエットエ
ッチング法を組み合わせた形成方法としてもよい。
【0165】
このように開口部364aを設けることで、後に形成される、開口部364a、絶縁膜
305、絶縁膜306、導電膜310c上の膜の被覆性を向上することができる。
【0166】
次に、開口部364a、開口部364bを覆うように絶縁膜314上に透光性を有する
導電膜315を形成する(図7(A)参照)。
【0167】
透光性を有する導電膜315としては、例えば、スパッタリング法を用いて形成するこ
とができる。
【0168】
次に、透光性を有する導電膜315を所望の領域に加工することで、透光性を有する導
電膜316a、透光性を有する導電膜316bを形成する。なお、透光性を有する導電膜
316a、透光性を有する導電膜316bの形成は、所望の領域に第6のパターニングに
よるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングすることで形成す
ることができる(図7(B)参照)。
【0169】
以上の工程で基板302上に、トランジスタを有する画素部及び駆動回路部を形成する
ことができる。なお、本実施の形態に示す作製工程においては、第1乃至第6のパターニ
ング、すなわち6枚のマスクで、トランジスタ及び容量素子を同時に形成することができ
る。
【0170】
なお、本実施の形態では、絶縁膜314に含まれる水素を酸化物半導体膜308dに拡
散させて、酸化物半導体膜308dの導電性を高めたが、酸化物半導体膜308a、酸化
物半導体膜308bをマスクで覆い、酸化物半導体膜308dに不純物、代表的には、水
素、ホウ素、リン、スズ、アンチモン、希ガス元素、アルカリ金属、アルカリ土類金属等
を添加して、酸化物半導体膜308dの導電性を高めてもよい。酸化物半導体膜308d
に水素、ホウ素、リン、スズ、アンチモン、希ガス元素等を添加する方法としては、イオ
ンドーピング法、イオン注入法等がある。一方、酸化物半導体膜308dにアルカリ金属
、アルカリ土類金属等を添加する方法としては、該不純物を含む溶液を酸化物半導体膜3
08dに曝す方法がある。
【0171】
また、本実施の形態では、開口部364aのみ一部が階段状を有しているが、これに限
られず、絶縁膜311を加工する際、開口部364bが形成される領域の絶縁膜311も
エッチングし、絶縁膜313形成後の開口部の形成において、一部が階段状を有する開口
部364bを形成してもよい。
【0172】
次に、基板302に対向して設けられる基板342上に設けられた素子部について、以
下説明を行う。なお、ここでは、基板342上に設けられた素子部としては、基板342
と配向膜352に挟まれた領域のことをさす。
【0173】
まず、基板342を準備する。基板342としては、基板302に示す材料を援用する
ことができる。次に、基板342上に遮光膜344、有色膜346を形成する(図8(A
)参照)。
【0174】
遮光膜344及び有色膜346は、様々な材料を用いて、印刷法、インクジェット法、
フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などでそれぞれ所望の位置に形成する。
【0175】
次に、遮光膜344、及び有色膜346上に絶縁膜348を形成する(図8(B)参照
)。
【0176】
絶縁膜348としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド等の有機絶
縁膜を用いることができる。絶縁膜348を形成することによって、例えば、有色膜34
6中に含まれる不純物等を液晶層320側に拡散することを抑制することができる。ただ
し、絶縁膜348は、必ずしも設ける必要はなく、絶縁膜348を形成しない構造として
もよい。
【0177】
次に、絶縁膜348上に導電膜350を形成する(図8(C)参照)。導電膜350と
しては、透光性を有する導電膜315に示す材料を援用することができる。
【0178】
以上の工程で基板342上に形成される構造を形成することができる。
【0179】
次に、基板302と基板342上、より詳しくは基板302上に形成された絶縁膜31
4、透光性を有する導電膜316a、透光性を有する導電膜316bと、基板342上に
形成された導電膜350上に、それぞれ配向膜318と配向膜352を形成する。配向膜
318、配向膜352は、ラビング法、光配向法等を用いて形成することができる。その
後、基板302と、基板342との間に液晶層320を形成する。液晶層320の形成方
法としては、ディスペンサ法(滴下法)や、基板302と基板342とを貼り合わせてか
ら毛細管現象を用いて液晶を注入する注入法を用いることができる。
【0180】
以上の工程で、図3に示す液晶表示装置を作製することができる。
【0181】
なお、実施の形態内で開示された、金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜はスパ
ッタ法やプラズマCVD法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD
(Chemical Vapor Deposition)法により形成してもよい。熱
CVD法の例としてMOCVD(Metal Organic Chemical Va
por Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposi
tion)法を使っても良い。
【0182】
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生
成されることが無いという利点を有する。
【0183】
熱CVD法は、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧
または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を
行ってもよい。
【0184】
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが
順次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行ってもよい
。例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて2種類以
上の原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の
原料ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、
第2の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスは
キャリアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入しても
よい。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した
後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の層
を成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の層が第1の層上に積層さ
れて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り
返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入
順序を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、
微細なFETを作製する場合に適している。
【0185】
MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施の形態に開示さ
れた金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、In-
Ga-Zn-O膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、及
びジメチル亜鉛を用いる。なお、トリメチルインジウムの化学式は、In(CH
ある。また、トリメチルガリウムの化学式は、Ga(CHである。また、ジメチル
亜鉛の化学式は、Zn(CHである。また、これらの組み合わせに限定されず、ト
リメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(化学式Ga(C)を用いるこ
ともでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(化学式Zn(C)を用いるこ
ともできる。
【0186】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒
とハフニウム前駆体化合物を含む液体(ハフニウムアルコキシド溶液、代表的にはテトラ
キスジメチルアミドハフニウム(TDMAH))を気化させた原料ガスと、酸化剤として
オゾン(O)の2種類のガスを用いる。なお、テトラキスジメチルアミドハフニウムの
化学式はHf[N(CHである。また、他の材料液としては、テトラキス(エ
チルメチルアミド)ハフニウムなどがある。
【0187】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶
媒とアルミニウム前駆体化合物を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA)など)を
気化させた原料ガスと、酸化剤としてHOの2種類のガスを用いる。なお、トリメチル
アルミニウムの化学式はAl(CHである。また、他の材料液としては、トリス(
ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2
,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)などがある。
【0188】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサ
クロロジシランを被成膜面に吸着させ、吸着物に含まれる塩素を除去し、酸化性ガス(O
、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
【0189】
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF
ガスとBガスを順次繰り返し導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF
ガスとHガスを同時に導入してタングステン膜を形成する。なお、Bガスに代
えてSiHガスを用いてもよい。
【0190】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn-Ga-Zn-
O膜を成膜する場合には、In(CHガスとOガスを順次繰り返し導入してIn
-O層を形成し、その後、Ga(CHガスとOガスを同時に導入してGaO層を
形成し、更にその後Zn(CHガスとOガスを同時に導入してZnO層を形成す
る。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを混ぜてIn-G
a-O層やIn-Zn-O層、Ga-Zn-O層などの混合化合物層を形成しても良い。
なお、Oガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングして得られたHOガスを用い
ても良いが、Hを含まないOガスを用いる方が好ましい。また、In(CHガス
にかえて、In(Cガスを用いても良い。また、Ga(CHガスにかえ
て、Ga(Cガスを用いても良い。また、In(CHガスにかえて、I
n(Cガスを用いても良い。また、Zn(CHガスを用いても良い。
【0191】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができ
る。
【0192】
<変形例1>
実施の形態1において開口部364aの変形例について、図9を用いて説明する。図9
図3と同様に、A-Bは駆動回路部の断面図であり、C-Dは画素部の断面図である。
【0193】
図3では、開口部364aでは、透光性を有する導電膜316aが導電膜304b上に
のみ設けられていたが、図9では、開口部364cでは、透光性を有する導電膜316a
が導電膜304b上だけでなく、基板302上にも接している。このような構成すること
で、透光性を有する導電膜316aと導電膜304bの接触面積を広くすることで、接触
抵抗を低減することができる。
【0194】
また、図9中の丸破線で囲った領域370の、導電膜304bの片方の端部を覆う絶縁
膜、絶縁膜(ここではゲート絶縁膜)上の導電膜310c、導電膜304b及び導電膜3
10cを電気的に接続する導電膜(ここでは透光性を有する導電膜316a)で構成され
る構造は、半導体装置の端子部にも応用することができ、同様に接触抵抗を低減すること
ができる。
【0195】
<変形例2>
実施の形態1において開口部364aの他の変形例について、図10を用いて説明する
図10図3と同様に、A-Bは駆動回路部の断面図であり、C-Dは画素部の断面図
である。
【0196】
図10は、絶縁膜314、絶縁膜312、絶縁膜306及び絶縁膜305を一括でエッ
チングして開口部を形成している点が図3に示す断面図と異なる。
【0197】
ここで、図10に示す液晶表示装置の作製方法について、図4及び図5図11及び図
12を用いて説明する。
【0198】
実施の形態1と同様に、図4乃至図5(C)の工程を経て、図11(A)に示すように
、基板302上に、ゲート電極として機能する導電膜304a、導電膜304b、導電膜
304c、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜305及び絶縁膜306、酸化物半導体膜
308a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308d、導電膜310a、導電膜
310b、導電膜310c、導電膜310d、導電膜310e及び絶縁膜311を形成す
る。なお、当該工程において、第1のパターニング乃至第3のパターニングを行い、それ
ぞれ導電膜304a、導電膜304b、導電膜304c、酸化物半導体膜308a、酸化
物半導体膜308b、酸化物半導体膜308d、導電膜310a、導電膜310b、導電
膜310c、導電膜310d、導電膜310eを形成している。
【0199】
次に、絶縁膜311を所望の領域に加工することで、絶縁膜312、及び開口部362
を形成する。なお、絶縁膜311、及び開口部362は、所望の領域に第4のパターニン
グによるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングすることで形
成することができる(図11(B)参照)。
【0200】
次に、絶縁膜312及び酸化物半導体膜308d上に絶縁膜313を形成する(図11
(C)参照)。
【0201】
次に、絶縁膜313、絶縁膜312、絶縁膜306及び絶縁膜305を所望の領域に加
工することで、絶縁膜314、及び開口部364a、開口部364bを形成する。なお、
絶縁膜314、及び開口部364a、開口部364bは、所望の領域に第5のパターニン
グによるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングすることで形
成することができる(図12(A)参照)。
【0202】
このように開口部364aを設けることで後に形成される、開口部364a、絶縁膜3
05、絶縁膜306、導電膜310c上の膜の被覆性を向上することができる。
【0203】
次に、開口部364a、開口部364bを覆うように絶縁膜314上に透光性を有する
導電膜315を形成する(図12(B)参照)。
【0204】
次に、透光性を有する導電膜315を所望の領域に加工することで、透光性を有する導
電膜316a、透光性を有する導電膜316bを形成する。なお、透光性を有する導電膜
316a、透光性を有する導電膜316bの形成は、所望の領域に第6のパターニングに
よるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングすることで形成す
ることができる(図12(C)参照)。
【0205】
以上の工程で基板302上に、トランジスタを有する画素部及び駆動回路部を形成する
ことができる。なお、本実施の形態に示す作製工程においては、第1乃至第6のパターニ
ング、すなわち6枚のマスクで、トランジスタ及び容量素子を同時に形成することができ
る。
【0206】
<変形例3>
ここでは、実施の形態1に示す液晶表示装置の変形例について、図13を用いて説明す
る。図13図3と同様に、A-Bは駆動回路部の断面図であり、C-Dは画素部の断面
図である。
【0207】
図13は、配向膜318の下に平坦化膜317を有する点が図3に示す断面図と異なる
【0208】
平坦化膜317とは、少なくとも画素電極として機能する透光性を有する導電膜316
bの凹部に充填される有機樹脂膜のことである。透光性を有する導電膜316bの凹部で
あって、且つ液晶表示装置のバックライトが透過する領域、即ち透光性を有する導電膜3
08cの開口部に設けられる凹部を平坦化膜317で充填することで、配向膜の被形成領
域の凹凸を低減することができる。即ち、透光性を有する導電膜316b上に設けられる
配向膜318の凹凸を低減することができる。なお、凹部の深さは、絶縁膜312の厚さ
に相当する。
【0209】
平坦化膜317は、透光性を有することが望ましい。ただし、本発明の一態様は、これ
に限定されない。例えば、平坦化膜317は、カラーフィルタや、ブラックマトリックス
の機能を有することも可能である。例えば、平坦化膜317が、カラーフィルタの機能を
有する場合には、例えば、赤色の画素、青色の画素、緑色の画素に合わせて、色ごとに、
有色性を有する平坦化膜317を形成すればよい。
【0210】
平坦化膜317としては、アクリル樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂等の有機樹脂を用
いることができる。なお、平坦化膜317は、厚さを好ましくは絶縁膜312の膜厚以上
1500nm以下、好ましくは絶縁膜312の膜厚以上1000nm以下とする。平坦化
膜317の厚さを絶縁膜312の厚さ以上とすることで、透光性を有する導電膜316b
の凹部に平坦化膜317を充填させることが可能であり、配向膜318が形成される領域
の凹凸を低減することができる。なお、平坦化膜317の厚さが厚いと、液晶層320の
配向を制御する際に、画素電極として機能する透光性を有する導電膜316bに印加する
電圧が大きくなり、消費電力が高くなってしまうため、平坦化膜317の厚さは1500
nm以下が好ましい。
【0211】
有機樹脂を用いて平坦化膜317を形成することで、少なくとも画素電極として機能す
る透光性を有する導電膜316bの凹部を平坦化膜317で充填することが可能であり、
液晶層320を構成する液晶分子の配向ムラを低減することが可能である。
【0212】
平坦化膜317としては、スピンコート法、ディップコート法、スリットコート法、イ
ンクジェット法、印刷法等の湿式法を用いて形成することで、平坦化膜317が形成され
る被形成領域の凹凸の影響を受けず、表面が平坦な平坦化膜317を形成することができ
る。なお、平坦化膜317として、スピンコート法、ディップコート法、スリットコート
法、を用いる場合、組成物を塗布した後、所望の領域に第7のパターニングによるマスク
の形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングすることで、平坦化膜317
を形成することができる。
【0213】
本変形例に示す液晶表示装置は、画素電極として機能する透光性を有する導電膜316
b上に平坦化膜317を有するため、透光性を有する導電膜316bの凹部に平坦化膜3
17が充填され、さらには、平坦化膜317の表面の段差が少ない。この結果、平坦化膜
317上に設けられる配向膜318の表面の凹凸が緩和され、液晶の配向ムラを低減する
ことが可能である。この結果、液晶表示装置の表示不良を低減することができる。
【0214】
<変形例4>
ここでは、実施の形態1に示す液晶表示装置の変形例について、図14を用いて説明す
る。図14図3と同様に、A-Bは駆動回路部の断面図であり、C-Dは画素部の断面
図である。
【0215】
図14は、配向膜318の膜厚を大きくして画素部の凹凸を緩和している点が図3に示
す断面図と異なる。
【0216】
なお、本実施例では、画素部の透光性を有する導電膜316b上の配向膜318は、絶
縁膜312により生じる、透光性を有する導電膜316bの凹部360を完全に埋めてい
るがこれに限られず、配向膜318がなだらかに形成され、凹部360の一部が埋められ
ている構成としてもよい。
【0217】
<変形例5>
画素301に液晶素子を用いた液晶表示装置の変形例について説明する。図3図9
図10図13及び図14に示す液晶表示装置において、透光性を有する導電膜308c
は、絶縁膜314と接しているが、絶縁膜305と接する構造とすることができる。この
場合、図6に示すような開口部362を設ける必要が無いため、透光性を有する導電膜3
16a、透光性を有する導電膜316b表面の段差を低減することが可能である。このた
め、液晶層320に含まれる液晶材料の配向乱れを低減することが可能である。また、コ
ントラストの高い液晶表示装置を作製することができる。
【0218】
このような構造を得るためには、図4(B)において、酸化物半導体膜307を形成す
る前に、絶縁膜306を選択的にエッチングして、絶縁膜305の一部を露出させればよ
い。
【0219】
<変形例6>
ここでは、実施の形態1に示す液晶表示装置の変形例について、図15乃至図17を用
いて説明する。図15において、A-Bに駆動回路部の断面図を示し、C-Dに画素部の
断面図を示す。なお、ここでは、実施の形態1を用いるが、適宜各変形例に、本変形例を
適用することができる。
【0220】
図15に示す液晶表示装置は、実施の形態1に示す液晶表示装置と比較して、チャネル
保護型のトランジスタを用いている点が異なる。
【0221】
駆動回路部において、ゲート電極として機能する導電膜304a、ゲート絶縁膜として
機能する絶縁膜305及び絶縁膜306、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜30
8a、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜310a、導電膜310bによ
りトランジスタ102を構成する。酸化物半導体膜308a形成後かつ導電膜310a、
導電膜310bの形成前に、チャネル保護膜として機能する絶縁膜312が設けられる。
また、導電膜310a、導電膜310b、導電膜310c上には、絶縁膜314が保護膜
として設けられている。
【0222】
画素部において、ゲート電極として機能する導電膜304c、ゲート絶縁膜として機能
する絶縁膜305及び絶縁膜306、ゲート絶縁膜上に形成されたチャネル領域が形成さ
れる酸化物半導体膜308b、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜310
d、導電膜310eによりトランジスタ103を構成する。酸化物半導体膜308b形成
後かつ導電膜310d、導電膜310eの形成前に、チャネル保護膜として機能する絶縁
膜312が設けられる。また、導電膜310d、導電膜310e上には、絶縁膜314が
保護膜として設けられている。
【0223】
また、画素電極として機能する透光性を有する導電膜316bが、絶縁膜314に設け
られた開口部において、導電膜310eと接続する。
【0224】
また、一方の電極として機能する透光性を有する導電膜308c、誘電体膜として機能
する絶縁膜314、他方の電極として機能する透光性を有する導電膜316bにより容量
素子105を構成する。
【0225】
また、駆動回路部において、導電膜304a、導電膜304cと同時に形成された導電
膜304bと、導電膜310a、導電膜310b、導電膜310d、導電膜310eと同
時に形成された導電膜310cとは、透光性を有する導電膜316bと同時に形成された
透光性を有する導電膜316aで接続される。
【0226】
本変形例においては、導電膜310a、導電膜310b、導電膜310d、導電膜31
0eをエッチングする際、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bが絶縁膜3
12に覆われているため、導電膜310a、導電膜310b、導電膜310d、導電膜3
10eを形成するエッチングによって、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308
bはダメージを受けない。さらに、絶縁膜312は、化学量論的組成を満たす酸素よりも
多くの酸素を含む酸化物絶縁膜で形成される。このため、絶縁膜312に含まれる酸素の
一部を酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bに移動させ、酸化物半導体膜3
08a、酸化物半導体膜308bに含まれる酸素欠損量を低減することができる。
【0227】
図15に示す液晶表示装置に示す基板302上に設けられた素子部の作製方法について
図4図16、及び図17を用いて説明する。
【0228】
実施の形態1と同様に、図4の工程を経て、基板302上に、ゲート電極として機能す
る導電膜304a、導電膜304b、導電膜304c、ゲート絶縁膜として機能する絶縁
膜305及び絶縁膜306、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化物
半導体膜308dを形成する。なお、当該工程において、第1のパターニング及び第2の
パターニングを行い、それぞれ導電膜304a、導電膜304b、導電膜304c、酸化
物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、酸化物半導体膜308dを形成している
【0229】
次に、実施の形態1と同様に絶縁膜311a及び絶縁膜311bが積層された絶縁膜3
11を形成する(図16(A)参照)。
【0230】
この後、実施の形態1と同様に、加熱処理を行って、絶縁膜311に含まれる酸素の一
部を酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bに移動させ、酸化物半導体膜30
8a、酸化物半導体膜308bに含まれる酸素欠損量を低減することができる。
【0231】
次に、絶縁膜311を所望の領域に加工することで、酸化物半導体膜308a、酸化物
半導体膜308b上に絶縁膜312を形成する(図16(B)参照)。当該工程において
、絶縁膜312と同様の材料で絶縁膜306が形成される場合、絶縁膜306の一部がエ
ッチングされ、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bに覆われている領域の
み残存する。なお、絶縁膜306及び絶縁膜312の形成は、所望の領域に第3のパター
ニングによるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングすること
で、形成することができる。
【0232】
次に、絶縁膜305、絶縁膜306、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308
b上に導電膜を形成した後、実施の形態1と同様の工程を経て導電膜310a、導電膜3
10b、導電膜310c、導電膜310d、導電膜310eを形成する(図16(C)参
照)。なお、導電膜310a、導電膜310b、導電膜310c、導電膜310d、導電
膜310eの形成は、所望の領域に第4のパターニングによるマスクの形成を行い、該マ
スクに覆われていない領域をエッチングすることで、形成することができる。
【0233】
次に、絶縁膜305、絶縁膜312、酸化物半導体膜308d、導電膜310a、導電
膜310b、導電膜310c、導電膜310d、導電膜310e上に絶縁膜313を形成
する(図17(A)参照)。
【0234】
次に、変形例2と同様に、絶縁膜313を所望の領域に加工することで、絶縁膜314
、及び開口部384a、開口部384bを形成する。なお、絶縁膜314、及び開口部3
84a、開口部384bは、所望の領域に第5のパターニングによるマスクの形成を行い
、該マスクに覆われていない領域をエッチングすることで形成することができる(図17
(B)参照)。
【0235】
このように開口部384aを設けることで、導電膜304b、絶縁膜305、導電膜3
10c上の膜の被覆性を向上することができる。
【0236】
次に、実施の形態1と同様に、開口部384a、開口部384bを覆うように絶縁膜3
14上に透光性を有する導電膜を形成する。次に、透光性を有する導電膜を所望の領域に
加工することで、透光性を有する導電膜316a、透光性を有する導電膜316bを形成
する。なお、透光性を有する導電膜316a、透光性を有する導電膜316bの形成は、
所望の領域に第6のパターニングによるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない
領域をエッチングすることで形成することができる(図17(C)参照)。
【0237】
以上の工程で基板302上に、トランジスタを有する画素部及び駆動回路部を形成する
ことができる。なお、本実施の形態に示す作製工程においては、第1乃至第6のパターニ
ング、すなわち6枚のマスクでトランジスタ、及び容量素子を同時に形成することができ
る。
【0238】
<変形例7>
本実施の形態及び変形例では、容量素子105を構成する一対の電極として、透光性を
有する導電膜308c及び透光性を有する導電膜316bを用いているが、この代わりに
図40及び図41に示すように、絶縁膜312及び絶縁膜314の間に、透光性を有す
る導電膜325を形成し、絶縁膜314上に透光性を有する導電膜316dを形成し、透
光性を有する導電膜325及び透光性を有する導電膜316dを、容量素子105を形成
する一対の電極として用いることができる。
【0239】
さらには、絶縁膜312上に、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド等の有機絶縁
膜を設けてもよい。アクリル系樹脂等の有機絶縁膜は平坦性が高いため、透光性を有する
導電膜316a表面の段差を低減することが可能である。このため、液晶層320に含ま
れる液晶材料の配向乱れを低減することが可能である。また、コントラストの高い半導体
装置を作製することができる。
【0240】
また、図42(A)に示すように、導電膜304bと導電膜310cが接し、絶縁膜3
14上に平坦化膜317を形成し、平坦化膜317、絶縁膜314、絶縁膜312に開口
部を設け、該開口部を介して導電膜310cと接する透光性を有する導電膜326を形成
し、平坦化膜317及び透光性を有する導電膜326上に絶縁膜324を形成する構成と
してもよい。さらに、図42(B)に示すように、絶縁膜314上に平坦化膜317を形
成し、平坦化膜317上に透光性を有する導電膜325を形成し、平坦化膜317及び透
光性を有する導電膜325上に絶縁膜324を形成し、絶縁膜324上に透光性を有する
導電膜316dを形成し、透光性を有する導電膜325及び透光性を有する導電膜316
dを、容量素子105を形成する一対の電極として用いてもよい。なお、絶縁膜324は
、絶縁膜314と同様の材料を用いることができる。
【0241】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1に示すトランジスタに適用可能な変形例について、説
明する。
【0242】
<変形例1、下地絶縁膜について>
実施の形態1に示すトランジスタ102、トランジスタ103において、必要に応じて
、基板302及び導電膜304a、導電膜304b、導電膜304cの間に下地絶縁膜を
設けることができる。下地絶縁膜の材料としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒
化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸
化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム等がある。なお、下地絶縁膜の材料として、窒化
シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム等を用
いることで、基板302から不純物、代表的にはアルカリ金属、水、水素等の酸化物半導
体膜308a、酸化物半導体膜308bへの拡散を抑制することができる。
【0243】
下地絶縁膜は、スパッタリング法、CVD法等により形成することができる。
【0244】
<変形例2、ゲート絶縁膜について>
実施の形態1に示すトランジスタ102、トランジスタ103において、必要に応じて
、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜の積層構造を変形することができる。ここでは、ト
ランジスタ103を用いて説明する。
【0245】
図18(A)に示すように、ゲート絶縁膜は、絶縁膜305及び絶縁膜306がゲート
電極として機能する導電膜304c側から順に積層される。
【0246】
導電膜304c側に窒化物絶縁膜で形成される絶縁膜305を設けることで、導電膜3
04cからの不純物、代表的には、水素、窒素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属
等が酸化物半導体膜308bに移動することを防ぐことができる。
【0247】
また、酸化物半導体膜308b側に酸化物絶縁膜で形成される絶縁膜306を設けるこ
とで、絶縁膜306及び酸化物半導体膜308b界面における欠陥準位密度を低減するこ
とが可能である。この結果、電気特性の劣化の少ないトランジスタを得ることができる。
なお、絶縁膜306として、絶縁膜312bと同様に、化学量論的組成を満たす酸素より
も多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成すると、絶縁膜306及び酸化物半導体膜
308b界面における欠陥準位密度をさらに低減することが可能であるため、さらに好ま
しい。
【0248】
また、図18(A)に示すように、絶縁膜305は、欠陥の少ない窒化物絶縁膜305
aと、水素ブロッキング性の高い窒化物絶縁膜305bとが、導電膜304c側から順に
積層される積層構造とすることができる。絶縁膜305として、欠陥の少ない窒化物絶縁
膜305aを設けることで、ゲート絶縁膜の絶縁耐圧を向上させることができる。また、
水素ブロッキング性の高い窒化物絶縁膜305bを設けることで、導電膜304c及び窒
化物絶縁膜305aからの水素が酸化物半導体膜308bに移動することを防ぐことがで
きる。
【0249】
図18(A)に示す窒化物絶縁膜305a、窒化物絶縁膜305bの作製方法の一例を
以下に示す。はじめに、シラン、窒素、及びアンモニアの混合ガスを原料ガスとして用い
たプラズマCVD法により、欠陥の少ない窒化シリコン膜を窒化物絶縁膜305aとして
形成する。次に、原料ガスを、シラン及び窒素の混合ガスに切り替えて、水素濃度が少な
く、且つ水素をブロッキングすることが可能な窒化シリコン膜を窒化物絶縁膜305bと
して成膜する。このような形成方法により、欠陥が少なく、且つ水素のブロッキング性を
有する窒化物絶縁膜が積層されたゲート絶縁膜を形成することができる。
【0250】
または、図18(B)に示すように、絶縁膜305は、不純物のブロッキング性が高い
窒化物絶縁膜305cと、欠陥の少ない窒化物絶縁膜305aと、水素ブロッキング性の
高い窒化物絶縁膜305bとが、導電膜304c側から順に積層される積層構造とするこ
とができる。絶縁膜305として、不純物のブロッキング性が高い窒化物絶縁膜305c
を設けることで、導電膜304cからの不純物、代表的には、水素、窒素、アルカリ金属
、またはアルカリ土類金属等が酸化物半導体膜308bに移動することを防ぐことができ
る。
【0251】
図18(B)に示す窒化物絶縁膜305a、窒化物絶縁膜305b、窒化物絶縁膜30
5cの作製方法の一例を以下に示す。はじめに、シラン、窒素、及びアンモニアの混合ガ
スを原料ガスとして用いたプラズマCVD法により、不純物のブロッキング性が高い窒化
シリコン膜を窒化物絶縁膜305cとして形成する。次に、アンモニアの流量の増加させ
ることで、欠陥の少ない窒化シリコン膜を窒化物絶縁膜305aとして形成する。次に、
原料ガスを、シラン及び窒素の混合ガスに切り替えて、水素濃度が少なく、且つ水素をブ
ロッキングすることが可能な窒化シリコン膜を窒化物絶縁膜305bとして成膜する。こ
のような形成方法により、欠陥が少なく、且つ不純物のブロッキング性を有する窒化物絶
縁膜が積層された絶縁膜305を形成することができる。
【0252】
<変形例3、一対の電極について>
実施の形態1に示す液晶表示装置において、導電膜310a、導電膜310b、導電膜
310c、導電膜310d、導電膜310eに用いることが可能な材料について、説明す
る。ここでは、トランジスタ103を用いて説明する。
【0253】
実施の形態1に示すトランジスタ103に設けられる導電膜310d、導電膜310e
として、タングステン、チタン、アルミニウム、銅、モリブデン、クロム、またはタンタ
ル単体若しくは合金等の酸素と反応しやすい導電材料を用いることが好ましい。この結果
、酸化物半導体膜308bに含まれる酸素と導電膜310d、導電膜310eに含まれる
導電材料とが反応し、酸化物半導体膜308bにおいて、酸素欠損の多い領域が形成され
る。また、酸化物半導体膜308bに導電膜310d、導電膜310eを形成する導電材
料の構成元素の一部が混入する場合もある。これらの結果、図19に示すように、酸化物
半導体膜308bにおいて、導電膜310d、導電膜310eと接する領域近傍に、低抵
抗領域334a、低抵抗領域334bが形成される。低抵抗領域334a、低抵抗領域3
34bは、導電膜310d、導電膜310eに接し、且つ絶縁膜306と、導電膜310
d、導電膜310eの間に形成される。低抵抗領域334a、低抵抗領域334bは、導
電性が高いため、酸化物半導体膜308bと導電膜310d、導電膜310eとの接触抵
抗を低減することが可能であり、トランジスタのオン電流を増大させることが可能である
【0254】
また、導電膜310d、導電膜310eを、上記酸素と反応しやすい導電材料と、窒化
チタン、窒化タンタル、ルテニウム等の酸素と反応しにくい導電材料との積層構造として
もよい。このような積層構造とすることで、導電膜310d、導電膜310eと酸化物半
導体膜308bとの界面において、導電膜310d、導電膜310eの酸化を防ぐことが
可能であり、導電膜310d、導電膜310eの高抵抗化を抑制することが可能である。
【0255】
<変形例4、酸化物半導体膜について>
実施の形態1に示すトランジスタ102、トランジスタ103の作製方法において、導
電膜310a、導電膜310b、導電膜310d、導電膜310eを形成した後、酸化物
半導体膜308a、酸化物半導体膜308bを酸素雰囲気で発生させたプラズマに曝し、
酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bに酸素を供給することができる。酸化
雰囲気としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等の雰囲気がある。さらに、
当該プラズマ処理において、基板302側にバイアスを印加しない状態で発生したプラズ
マに酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bを曝すことが好ましい。この結果
、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bにダメージを与えず、且つ酸素を供
給することが可能であり、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308bに含まれる
酸素欠損量を低減することができる。また、エッチング処理により酸化物半導体膜308
a、酸化物半導体膜308bの表面に残存する不純物、例えば、フッ素、塩素等のハロゲ
ン等を除去することができる。
【0256】
<変形例5、酸化物半導体膜について>
実施の形態1に示すトランジスタ102、トランジスタ103において、必要に応じて
、酸化物半導体膜を積層構造とすることができる。ここでは、トランジスタ103を用い
て説明する。
【0257】
図20に示すトランジスタは、絶縁膜306及び導電膜310d、導電膜310eの間
に、酸化物半導体膜を含む多層膜336が形成されている。
【0258】
多層膜336は、酸化物半導体膜336a及び酸化物膜336bを有する。即ち、多層
膜336は2層構造である。また、酸化物半導体膜336aの一部がチャネル領域として
機能する。また、多層膜336に接するように、絶縁膜312aが形成されており、絶縁
膜312aに接するように酸化物膜336bが形成されている。即ち、酸化物半導体膜3
36aと絶縁膜312aとの間に、酸化物膜336bが設けられている。
【0259】
酸化物膜336bは、酸化物半導体膜336aを構成する元素の一種以上から構成され
る酸化物膜である。酸化物膜336bは、酸化物半導体膜336aを構成する元素の一種
以上から構成されるため、酸化物半導体膜336aと酸化物膜336bとの界面において
、界面散乱が起こりにくい。従って、該界面においてはキャリアの動きが阻害されないた
め、トランジスタの電界効果移動度が高くなる。
【0260】
酸化物膜336bは、代表的には、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物、In-M-
Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)であり、
且つ酸化物半導体膜336aよりも伝導帯の下端のエネルギーが真空準位に近く、代表的
には、酸化物膜336bの伝導帯の下端のエネルギーと、酸化物半導体膜336aの伝導
帯の下端のエネルギーとの差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上
、または0.15eV以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、または0.
4eV以下である。即ち、酸化物膜336bの電子親和力と、酸化物半導体膜336aの
電子親和力との差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上、または0
.15eV以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、または0.4eV以下
である。
【0261】
酸化物膜336bは、Inを含むことで、キャリア移動度(電子移動度)が高くなるた
め好ましい。
【0262】
酸化物膜336bとして、Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf
をInより高い原子数比で有することで、以下の効果を有する場合がある。(1)酸化物
膜336bのエネルギーギャップを大きくする。(2)酸化物膜336bの電子親和力を
小さくする。(3)外部からの不純物を遮蔽する。(4)酸化物半導体膜336aと比較
して、絶縁性が高くなる。(5)Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Ndまたは
Hfは酸素との結合力が強い金属元素であるため、Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、
Ce、NdまたはHfをInより高い原子数比で有することで、酸素欠損が生じにくくな
る。
【0263】
酸化物膜336bがIn-M-Zn酸化物膜であるとき、InおよびMの和を100a
tomic%としたとき、InおよびMの原子数比率は、好ましくは、Inが50ato
mic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくは、Inが25atomi
c%未満、Mが75atomic%以上とする。
【0264】
また、酸化物半導体膜336a、及び酸化物膜336bがIn-M-Zn酸化物(Mは
Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)の場合、酸化物半導体膜3
36aと比較して、酸化物膜336bに含まれるM(Al、Ti、Ga、Y、Zr、La
、Ce、Nd、またはHf)の原子数比が大きく、代表的には、酸化物半導体膜336a
に含まれる上記原子と比較して、1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは
3倍以上高い原子数比である。
【0265】
また、酸化物半導体膜336a、及び酸化物膜336bがIn-M-Zn酸化物(Mは
Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)の場合、酸化物膜336b
をIn:M:Zn=x:y:z[原子数比]、酸化物半導体膜336aをIn:M
:Zn=x:y:z[原子数比]とすると、y/xがy/xよりも大きく
、好ましくは、y/xがy/xよりも1.5倍以上である。さらに好ましくは、
/xがy/xよりも2倍以上大きく、より好ましくは、y/xがy/x
よりも3倍以上大きい。このとき、酸化物半導体膜において、yがx以上であると
、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタに安定した電気特性を付与できるため好まし
い。ただし、yがxの3倍以上になると、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタ
の電界効果移動度が低下してしまうため、yはxの3倍未満であると好ましい。
【0266】
例えば、酸化物半導体膜336aとしてIn:Ga:Zn=1:1:1または3:1:
2の原子数比のIn-Ga-Zn酸化物を用いることができる。また、酸化物膜336b
としてIn:Ga:Zn=1:3:n(nは2以上8以下の整数)、1:6:m(mは2
以上10以下の整数)、または1:9:6の原子数比のIn-Ga-Zn酸化物を用いる
ことができる。なお、酸化物半導体膜336a、及び酸化物膜336bの原子数比はそれ
ぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス20%の変動を含む。なお、酸化物半
導体膜336aにおいて、Znの割合がGa以上であるとCAAC-OSが形成されやす
く好ましい。
【0267】
酸化物膜336bは、後に形成される絶縁膜312bを形成する際の、酸化物半導体膜
336aへのダメージ緩和膜としても機能する。
【0268】
酸化物膜336bの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50n
m以下とする。
【0269】
また、酸化物膜336bは、酸化物半導体膜336aと同様に、例えば非単結晶構造で
もよい。非単結晶構造は、例えば、後述するCAAC-OS(C Axis Align
ed Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構
造、後述する微結晶構造、または非晶質構造を含む。
【0270】
なお、酸化物半導体膜336a及び酸化物膜336bによって、非晶質構造の領域、微
結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC-OSの領域、単結晶構造の二種以上を有
する混合膜を構成してもよい。また、混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造
の領域、多結晶構造の領域、CAAC-OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以
上の領域の積層構造を有する場合がある。
【0271】
ここでは、酸化物半導体膜336a及び絶縁膜312aの間に、酸化物膜336bが設
けられている。このため、酸化物膜336bと絶縁膜312aの間において、不純物及び
欠陥によりトラップ準位が形成されても、当該トラップ準位と酸化物半導体膜336aと
の間には隔たりがある。この結果、酸化物半導体膜336aを流れる電子がトラップ準位
に捕獲されにくく、トランジスタのオン電流を増大させることが可能であると共に、電界
効果移動度を高めることができる。また、トラップ準位に電子が捕獲されると、該電子が
マイナスの固定電荷となってしまう。この結果、トランジスタのしきい値電圧が変動して
しまう。しかしながら、酸化物半導体膜336aとトラップ準位との間に隔たりがあるた
め、トラップ準位における電子の捕獲を低減することが可能であり、しきい値電圧の変動
を低減することができる。
【0272】
また、酸化物膜336bは、外部からの不純物を遮蔽することが可能であるため、外部
から酸化物半導体膜336aへ移動する不純物量を低減することが可能である。また、酸
化物膜336bは、酸素欠損を形成しにくい。これらのため、酸化物半導体膜336aに
おける不純物濃度及び酸素欠損量を低減することが可能である。
【0273】
なお、酸化物半導体膜336a及び酸化物膜336bは、各膜を単に積層するのではな
く連続接合(ここでは特に伝導帯の下端のエネルギーが各膜の間で連続的に変化する構造
)が形成されるように作製する。すなわち、各膜の界面において、トラップ中心や再結合
中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しないような積層構造とする。仮に
、積層された酸化物半導体膜336a及び酸化物膜336bの間に不純物が混在している
と、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップされ、あるいは再結
合して、消滅してしまう。
【0274】
連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装
置(スパッタリング装置)を用いて各膜を大気に触れさせることなく連続して積層するこ
とが必要となる。スパッタリング装置における各チャンバーは、酸化物半導体膜にとって
不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポン
プを用いて高真空排気(5×10-7Pa乃至1×10-4Pa程度まで)することが好
ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャン
バー内に気体、特に炭素または水素を含む気体が逆流しないようにしておくことが好まし
い。
【0275】
なお、図20において、多層膜336を酸化物半導体膜336a及び酸化物膜336b
の2層構造としたが、絶縁膜306と酸化物半導体膜336aの間に、さらに酸化物膜3
36bと同様の膜を設ける3層構造としてもよい。この場合、絶縁膜306及び酸化物半
導体膜336aの間に設ける酸化物膜の膜厚は、酸化物半導体膜336aより小さいと好
ましい。酸化物膜の厚さを1nm以上5nm以下、好ましくは1nm以上3nm以下とす
ることで、トランジスタのしきい値電圧の変動量を低減することが可能である。
【0276】
<変形例6、酸化物半導体膜について>
変形例5において、酸化物半導体膜を含む多層膜の構造を適宜変形することができる。
ここでは、トランジスタ103を用いて説明する。
【0277】
図21に示すように、絶縁膜306及び絶縁膜312aの間に、酸化物半導体膜を含む
多層膜336が形成されている。
【0278】
多層膜336は、絶縁膜306及び導電膜310d、導電膜310eの間に形成される
酸化物半導体膜336aと、酸化物半導体膜336a、及び導電膜310d、導電膜31
0e上に形成される酸化物膜336bとを有する。また、酸化物半導体膜336aの一部
がチャネル領域として機能する。また、多層膜336に接するように、絶縁膜312aが
形成されており、絶縁膜312aに接するように酸化物膜336bが形成されている。即
ち、酸化物半導体膜336aと絶縁膜312aとの間に、酸化物膜336bが設けられて
いる。
【0279】
本変形例に示すトランジスタ103は、導電膜310d、導電膜310eが酸化物半導
体膜336aと接していることから、変形例5に示すトランジスタと比較して、酸化物半
導体膜336aと導電膜310d、導電膜310eとの接触抵抗が低く、オン電流が向上
したトランジスタである。
【0280】
また、本変形例に示すトランジスタ103は、導電膜310d、導電膜310eが酸化
物半導体膜336aと接していることから、酸化物半導体膜336aと導電膜310d、
導電膜310eとの接触抵抗を増大させずに、酸化物膜336bを厚くすることができる
。このようにすることで、絶縁膜312bを形成する際のプラズマダメージまたは絶縁膜
312a、絶縁膜312bの構成元素の混入などで生じるトラップ準位が、酸化物半導体
膜336aと酸化物膜336bとの界面近傍に形成されることを抑制できる。つまり、本
変形例に示すトランジスタはオン電流の向上、及びしきい値電圧の変動量の低減を両立す
ることができる。
【0281】
<変形例7、トランジスタの構造について>
実施の形態1に示すトランジスタ102、トランジスタ103において、必要に応じて
、酸化物半導体膜を介して対向する複数のゲート電極を設けることができる。ここでは、
トランジスタ103を用いて説明する。
【0282】
図22に示すトランジスタ103は、基板302上に設けられる導電膜304cを有す
る。また、基板302及び導電膜304c上に形成される絶縁膜305及び絶縁膜306
と、絶縁膜305及び絶縁膜306を介して、導電膜304cと重なる酸化物半導体膜3
08bと、酸化物半導体膜308bに接する導電膜310d、導電膜310eと、を有す
る。また、絶縁膜306、酸化物半導体膜308b、及び導電膜310d、導電膜310
e上には、絶縁膜312a及び絶縁膜312bが積層された絶縁膜312、及び絶縁膜3
14が形成される。また、絶縁膜312、及び絶縁膜314を介して酸化物半導体膜30
8bと重畳する透光性を有する導電膜316cを有する。
【0283】
導電膜304c及び透光性を有する導電膜316cは、酸化物半導体膜308bを介し
て対向する。なお、導電膜304c及び透光性を有する導電膜316cは、ゲート電極と
して機能する。透光性を有する導電膜316cは、透光性を有する導電膜316bと同時
に形成することで、工程数を削減することが可能であるため好ましい。
【0284】
本変形例に示すトランジスタ103は、酸化物半導体膜308bを介して対向する導電
膜304c及び透光性を有する導電膜316cを有する。導電膜304cと透光性を有す
る導電膜316cに異なる電位を印加することで、トランジスタ103のしきい値電圧を
制御することができる。
【0285】
また、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態及び実施例に示す構成
及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0286】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置に含まれているトランジスタ
において、酸化物半導体膜308a、酸化物半導体膜308b、透光性を有する導電膜3
08c、及び多層膜336に適用可能な一態様について説明する。なお、ここでは、酸化
物半導体膜を一例に用いて説明するが、多層膜に含まれる酸化物膜も同様の構造とするこ
とができる。
【0287】
以下では、酸化物半導体膜の構造について説明する。
【0288】
酸化物半導体膜は、単結晶酸化物半導体膜と非単結晶酸化物半導体膜とに大別される。
非単結晶酸化物半導体膜とは、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、多結晶酸
化物半導体膜、CAAC-OS膜などをいう。
【0289】
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶成分を有さない
酸化物半導体膜である。微小領域においても結晶部を有さず、膜全体が完全な非晶質構造
の酸化物半導体膜が典型である。
【0290】
微結晶酸化物半導体膜は、例えば、1nm以上10nm未満の大きさの微結晶(ナノ結
晶ともいう。)を含む。従って、微結晶酸化物半導体膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも
原子配列の規則性が高い。そのため、微結晶酸化物半導体膜は、非晶質酸化物半導体膜よ
りも欠陥準位密度が低いという特徴がある。
【0291】
CAAC-OS膜は、複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つであり、ほとんどの
結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさである。従って、CAAC-
OS膜に含まれる結晶部は、一辺が10nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体
内に収まる大きさの場合も含まれる。CAAC-OS膜は、微結晶酸化物半導体膜よりも
欠陥準位密度が低いという特徴がある。以下、CAAC-OS膜について詳細な説明を行
う。
【0292】
CAAC-OS膜を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Elec
tron Microscope)によって観察すると、結晶部同士の明確な境界、即ち
結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、C
AAC-OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0293】
CAAC-OS膜を、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観
察)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原
子の各層は、CAAC-OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹
凸を反映した形状であり、CAAC-OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
【0294】
一方、CAAC-OS膜を、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面T
EM観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列している
ことを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られ
ない。
【0295】
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC-OS膜の結晶部は配向性を有し
ていることがわかる。
【0296】
CAAC-OS膜に対し、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)
装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnOの結晶を有するCAAC-OS
膜のout-of-plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピーク
が現れる場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属され
ることから、CAAC-OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に
概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0297】
一方、CAAC-OS膜に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin-p
lane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピーク
は、InGaZnOの結晶の(110)面に帰属される。InGaZnOの単結晶酸
化物半導体膜であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)
として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面
に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC-OS膜の場合は、2θを
56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
【0298】
以上のことから、CAAC-OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は
不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平
行な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面TEM観察で確認された層状に
配列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
【0299】
なお、結晶部は、CAAC-OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を
行った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC-OS膜の被形成面ま
たは上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC-OS膜の
形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC-OS膜の被形成
面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
【0300】
また、CAAC-OS膜中の結晶化度が均一でなくてもよい。例えば、CAAC-OS
膜の結晶部が、CAAC-OS膜の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上
面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりも結晶化度が高くなることがある。また、CA
AC-OS膜に不純物を添加する場合、不純物が添加された領域の結晶化度が変化し、部
分的に結晶化度の異なる領域が形成されることもある。
【0301】
なお、InGaZnOの結晶を有するCAAC-OS膜のout-of-plane
法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現
れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC-OS膜中の一部に、c軸配向
性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC-OS膜は、2θが31°近傍
にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
【0302】
CAAC-OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変
動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0303】
また、CAAC-OS膜は、電子線回折パターンで、スポット(輝点)が観測される場合
がある。なお、特に、ビーム径が10nmφ以下、または5nmφ以下の電子線を用いて
得られる電子線回折パターンを、極微電子線回折パターンと呼ぶ。
【0304】
図23(A)は、CAAC-OS膜を有する試料の極微電子線回折パターンの一例である
。ここでは、試料を、CAAC-OS膜の被形成面に垂直な方向に切断し、厚さが40n
m程度となるように薄片化する。また、ここでは、ビーム径が1nmφの電子線を、試料
の切断面に垂直な方向から入射させる。図23(A)より、CAAC-OS膜の極微電子
線回折パターンは、スポットが観測されることがわかる。
【0305】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、C
AAC-OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0306】
<CAAC-OSの作製方法>
CAAC-OSに含まれる結晶部のc軸は、CAAC-OSの被形成面の法線ベクトル
または表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC-OSの形状(被形成面の
断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、
結晶部のc軸の方向は、CAAC-OSが形成されたときの被形成面の法線ベクトルまた
は表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜
後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0307】
CAAC-OSの形成方法としては、三つ挙げられる。
【0308】
第1の方法は、成膜温度を100℃以上450℃以下として酸化物半導体膜を成膜する
ことで、酸化物半導体膜に含まれる結晶部のc軸が、被形成面の法線ベクトルまたは表面
の法線ベクトルに平行な方向に揃った結晶部を形成する方法である。
【0309】
第2の方法は、酸化物半導体膜を薄い厚さで成膜した後、200℃以上700℃以下の
加熱処理を行うことで、酸化物半導体膜に含まれる結晶部のc軸が、被形成面の法線ベク
トルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃った結晶部を形成する方法である。
【0310】
第3の方法は、一層目の酸化物半導体膜を薄い厚さで成膜した後、200℃以上700
℃以下の加熱処理を行い、さらに二層目の酸化物半導体膜の成膜を行うことで、酸化物半
導体膜に含まれる結晶部のc軸が、被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに
平行な方向に揃った結晶部を形成する方法である。
【0311】
ここで、第1の方法を用いて、CAAC-OSを形成する方法について説明する。
【0312】
<ターゲット、及びターゲットの作製方法>
また、CAAC-OSは、例えば多結晶である酸化物半導体スパッタリング用ターゲッ
トを用い、スパッタリング法によって成膜する。当該スパッタリング用ターゲットにイオ
ンが衝突すると、スパッタリング用ターゲットに含まれる結晶領域がa-b面から劈開し
、a-b面に平行な面を有する平板状またはペレット状のスパッタリング粒子として剥離
することがある。この場合、当該平板状またはペレット状のスパッタリング粒子が、結晶
状態を維持したまま被成膜面に到達することで、CAAC-OSを成膜することができる
【0313】
また、CAAC-OSを成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
【0314】
成膜時の不純物混入を低減することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制で
きる。例えば、成膜室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素及び窒素など)を
低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が
-80℃以下、好ましくは-100℃以下、さらに好ましくは-120℃以下である成膜
ガスを用いる。
【0315】
また、成膜時の被成膜面の加熱温度(例えば基板加熱温度)を高めることで、被成膜面
に到達後にスパッタリング粒子のマイグレーションが起こる。具体的には、被成膜面の温
度を100℃以上740℃以下、好ましくは200℃以上500℃以下として成膜する。
成膜時の被成膜面の温度を高めることで、平板状のスパッタリング粒子が被成膜面に到達
した場合、当該被成膜面上でマイグレーションが起こり、スパッタリング粒子の平らな面
が被成膜面に付着する。なお、酸化物の種類によっても異なるが、スパッタリング粒子は
、a-b面と平行な面の直径(円相当径)が1nm以上30nm以下、または1nm以上
10nm以下程度となる。なお、平板状のスパッタリング粒子は、六角形の面がa-b面
と平行な面である六角柱状であってもよい。その場合、六角形の面と垂直な方向がc軸方
向である。
【0316】
なお、スパッタリング用ターゲットを酸素の陽イオンを用いてスパッタリングすること
で、成膜時のプラズマダメージを軽減することができる。したがって、イオンがスパッタ
リング用ターゲットの表面に衝突した際に、スパッタリング用ターゲットの結晶性が低下
すること、または非晶質化することを抑制できる。
【0317】
また、スパッタリング用ターゲットを酸素またはアルゴンの陽イオンを用いてスパッタ
リングすることで、平板状のスパッタリング粒子が六角柱状の場合、六角形状の面におけ
る角部に正の電荷を帯電させることができる。六角形状の面の角部に正の電荷を有するこ
とで、一つのスパッタリング粒子において正の電荷同士が反発し合い、平板状の形状を維
持することができる。
【0318】
平板状のスパッタリング粒子の面における角部が、正の電荷を有するためには、直流(
DC)電源を用いることが好ましい。なお、高周波(RF)電源、交流(AC)電源を用
いることもできる。ただし、RF電源は、大面積の基板へ成膜可能なスパッタリング装置
への適用が困難である。また、以下に示す観点からAC電源よりもDC電源が好ましいと
考えられる。
【0319】
AC電源を用いた場合、隣接するターゲットが互いにカソード電位とアノード電位を繰
り返す。平板状のスパッタリング粒子が、正に帯電している場合、互いに反発し合うこと
により、平板状の形状を維持することができる。ただし、AC電源を用いた場合、瞬間的
に電界がかからない時間が生じるため、平板状のスパッタリング粒子に帯電していた電荷
が消失して、スパッタリング粒子の構造が崩れてしまうことがある。したがって、AC電
源を用いるよりも、DC電源を用いる方が好ましいことがわかる。
【0320】
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメー
ジを軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100
体積%とする。
【0321】
スパッタリング用ターゲットの一例として、In-Ga-Zn-O化合物ターゲットに
ついて以下に示す。
【0322】
InO粉末、GaO粉末、及びZnO粉末を所定のmol数で混合し、加圧処理
後、1000℃以上1500℃以下の温度で加熱処理をすることで多結晶であるIn-G
a-Zn系化合物ターゲットとする。なお、当該加圧処理は、冷却(または放冷)しなが
ら行ってもよいし、加熱しながら行ってもよい。なお、X、Y及びZは任意の正数である
。ここで、所定のmol数比は、例えば、InO粉末、GaO粉末及びZnO粉末
が、2:2:1、8:4:3、3:1:1、1:1:1、4:2:3、3:1:2、1:
3:2、1:6:4、または1:9:6である。なお、粉末の種類、及びその混合するm
ol数比は、作製するスパッタリング用ターゲットによって適宜変更すればよい。
【0323】
以上のような方法でスパッタリング用ターゲットを使用することで、厚さが均一であり
、結晶の配向の揃った酸化物半導体膜を成膜することができる。
【0324】
<多結晶酸化物半導体>
多結晶酸化物半導体は複数の結晶粒を含む。多結晶酸化物半導体は、例えば、非晶質部
を有している場合がある。
【0325】
多結晶酸化物半導体は、例えば、TEMによる観察像で、結晶粒を確認することができ
る場合がある。多結晶酸化物半導体に含まれる結晶粒は、例えば、TEMによる観察像で
、2nm以上300nm以下、3nm以上100nm以下または5nm以上50nm以下
の粒径であることが多い。また、多結晶酸化物半導体は、例えば、TEMによる観察像で
、非晶質部と結晶粒との境界、結晶粒と結晶粒との境界を確認できる場合がある。また、
多結晶酸化物半導体は、例えば、TEMによる観察像で、粒界を確認できる場合がある。
【0326】
多結晶酸化物半導体は、例えば、複数の結晶粒を有し、当該複数の結晶粒において方位
が異なっている場合がある。また、多結晶酸化物半導体は、例えば、XRD装置を用い、
out-of-plane法による分析を行うと、単一または複数ピークが現れる場合が
ある。例えば多結晶のIGZO膜では、配向を示す2θが31°近傍のピーク、または複
数種の配向を示す複数のピークが現れる場合がある。また、多結晶酸化物半導体は、例え
ば、電子線回折パターンで、スポットが観測される場合がある。
【0327】
多結晶酸化物半導体は、例えば、高い結晶性を有するため、高い電子移動度を有する場
合がある。従って、多結晶酸化物半導体をチャネル領域に用いたトランジスタは、高い電
界効果移動度を有する。ただし、多結晶酸化物半導体は、粒界に不純物が偏析する場合が
ある。また、多結晶酸化物半導体の粒界は欠陥準位となる。多結晶酸化物半導体は、粒界
がキャリア発生源、トラップ準位となる場合があるため、多結晶酸化物半導体をチャネル
領域に用いたトランジスタは、CAAC-OSをチャネル領域に用いたトランジスタと比
べて、電気特性の変動が大きく、信頼性の低いトランジスタとなる場合がある。
【0328】
多結晶酸化物半導体は、高温での加熱処理、またはレーザ光処理によって形成すること
ができる。
【0329】
<微結晶酸化物半導体>
微結晶酸化物半導体は、例えば、TEMによる観察像では、明確に結晶部を確認するこ
とができない場合がある。微結晶酸化物半導体に含まれる結晶部は、例えば、1nm以上
100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、例え
ば、1nm以上10nm以下の微結晶をナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼
ぶ。ナノ結晶を有する酸化物半導体を、nc-OS(nanocrystalline
Oxide Semiconductor)と呼ぶ。また、nc-OSは、例えば、TE
Mによる観察像では、結晶部と結晶部との境界を明確に確認できない場合がある。また、
nc-OSは、例えば、TEMによる観察像では、明確な粒界を有さないため、不純物が
偏析することが少ない。また、nc-OSは、例えば、明確な粒界を有さないため、欠陥
準位密度が高くなることが少ない。また、nc-OSは、例えば、明確な粒界を有さない
ため、電子移動度の低下が小さい。
【0330】
nc-OSは、例えば、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域)におい
て原子配列に周期性を有する場合がある。また、nc-OSは、例えば、結晶部と結晶部
との間で規則性がないため、巨視的には原子配列に周期性が見られない場合、または長距
離秩序が見られない場合がある。従って、nc-OSは、例えば、分析方法によっては、
非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。nc-OSは、例えば、XRD装置を
用い、結晶部よりも大きいビーム径のX線でout-of-plane法による分析を行
うと、配向を示すピークが検出されない場合がある。また、nc-OSは、例えば、結晶
部よりも大きいビーム径(例えば、20nmφ以上、または50nmφ以上)の電子線を
用いる電子線回折パターンでは、ハローパターンが観測される場合がある。また、nc-
OSは、例えば、結晶部と同じか結晶部より小さいビーム径(例えば、10nmφ以下、
または5nmφ以下)の電子線を用いる極微電子線回折パターンでは、スポットが観測さ
れる場合がある。また、nc-OSの極微電子線回折パターンは、例えば、円を描くよう
に輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc-OSの極微電子線回折パターン
は、例えば、当該領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
【0331】
図23(B)は、nc-OSを有する試料の極微電子線回折パターンの一例である。こ
こでは、試料を、nc-OSの被形成面に垂直な方向に切断し、厚さが40nm程度とな
るように薄片化する。また、ここでは、ビーム径が1nmφの電子線を、試料の切断面に
垂直な方向から入射させる。図23(B)より、nc-OSの極微電子線回折パターンは
、円を描くように輝度の高い領域が観測され、かつ当該領域内に複数のスポットが観測さ
れることがわかる。
【0332】
nc-OSは、微小な領域において原子配列に周期性を有する場合があるため、非晶質
酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc-OSは、結晶部と結晶部と
の間で規則性がないため、CAAC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。nc-OS
において、一定光電流測定法(CPM)で導出される吸収係数は、1/cm未満、好まし
くは5×10-1/cm未満、さらに好ましくは5×10-2/cm未満となる。
【0333】
従って、nc-OSは、CAAC-OSと比べて、キャリア密度が高くなる場合がある
。キャリア密度が高い酸化物半導体は、電子移動度が高くなる場合がある。従って、nc
-OSをチャネル領域に用いたトランジスタは、高い電界効果移動度を有する場合がある
。また、nc-OSは、CAAC-OSと比べて、欠陥準位密度が高いため、トラップ準
位密度も高くなる場合がある。従って、nc-OSをチャネル領域に用いたトランジスタ
は、CAAC-OSをチャネル領域に用いたトランジスタと比べて、電気特性の変動が大
きく、信頼性の低いトランジスタとなる場合がある。
【0334】
<微結晶酸化物半導体膜の作製方法>
次に、微結晶酸化物半導体膜の成膜方法について以下に説明する。微結晶酸化物半導体
膜は、室温以上75℃以下、好ましくは室温以上50℃以下であって、酸素を含む雰囲気
下にて、スパッタリング法によって成膜される。成膜雰囲気を酸素を含む雰囲気とするこ
とで、微結晶酸化物半導体膜中における酸素欠損を低減し、微結晶領域を含む膜とするこ
とができる。
【0335】
微結晶酸化物半導体膜において、酸素欠損を低減することで、物性の安定した膜とする
ことができる。特に、微結晶酸化物半導体膜を適用して半導体装置を作製する場合、微結
晶酸化物半導体膜における酸素欠損はドナーとなり、微結晶酸化物半導体膜中にキャリア
である電子を生成してしまい、半導体装置の電気的特性の変動要因となる。よって、酸素
欠損を低減された微結晶酸化物半導体膜を用いて半導体装置を作製することで、信頼性の
高い半導体装置とすることができる。
【0336】
なお、微結晶酸化物半導体膜において、成膜雰囲気の酸素分圧を高めると、酸素欠損が
より低減されうるため好ましい。より具体的には、成膜雰囲気における酸素分圧を33%
以上とすることが好ましい。
【0337】
なお、スパッタリング法により微結晶酸化物半導体膜を形成する際に用いるターゲット
は、CAAC-OSと同様のターゲット及びその作製方法を用いることができる。
【0338】
また、nc-OSは、比較的不純物が多く含まれていても形成することができるため、
CAAC-OSよりも形成が容易となり、用途によっては好適に用いることができる場合
がある。例えば、AC電源を用いたスパッタリング法などの成膜方法によってnc-OS
を形成してもよい。AC電源を用いたスパッタリング法は、大型基板へ均一性高く成膜す
ることが可能であるため、nc-OSをチャネル領域に用いたトランジスタを有する半導
体装置は生産性高く作製することができる。
【0339】
<非晶質酸化物半導体>
非晶質酸化物半導体は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶部を有さない。または
、非晶質酸化物半導体は、例えば、石英のような無定形状態を有し、原子配列に規則性が
見られない。
【0340】
非晶質酸化物半導体は、例えば、TEMによる観察像で、結晶部を確認することができ
ない場合がある。
【0341】
非晶質酸化物半導体は、XRD装置を用い、out-of-plane法による分析を
行うと、配向を示すピークが検出されない場合がある。また、非晶質酸化物半導体は、例
えば、電子線回折パターンでハローパターンが観測される場合がある。また、非晶質酸化
物半導体は、例えば、極微電子線回折パターンでスポットを観測することができず、ハロ
ーパターンが観測される場合がある。
【0342】
非晶質酸化物半導体は、例えば、水素などの不純物を高い濃度で含ませることにより形
成することができる場合がある。従って、非晶質酸化物半導体は、例えば、不純物を高い
濃度で含む酸化物半導体である。
【0343】
酸化物半導体に不純物が高い濃度で含まれると、酸化物半導体に酸素欠損などの欠陥準
位を形成する場合がある。従って、不純物濃度の高い非晶質酸化物半導体は、欠陥準位密
度が高い。また、非晶質酸化物半導体は、結晶性が低いためCAAC-OSやnc-OS
と比べて欠陥準位密度が高い。
【0344】
従って、非晶質酸化物半導体は、nc-OSと比べて、さらにキャリア密度が高くなる
場合がある。そのため、非晶質酸化物半導体をチャネル領域に用いたトランジスタは、ノ
ーマリーオンの電気特性になる場合がある。従って、ノーマリーオンの電気特性が求めら
れるトランジスタに好適に用いることができる場合がある。非晶質酸化物半導体は、欠陥
準位密度が高いため、トラップ準位密度も高くなる場合がある。従って、非晶質酸化物半
導体をチャネル領域に用いたトランジスタは、CAAC-OSやnc-OSをチャネル領
域に用いたトランジスタと比べて、電気特性の変動が大きく、信頼性の低いトランジスタ
となる場合がある。ただし、非晶質酸化物半導体は、比較的不純物が多く含まれる成膜方
法によっても形成することができるため、形成が容易となり、用途によっては好適に用い
ることができる場合がある。例えば、スピンコート法、ゾル-ゲル法、浸漬法、スプレー
法、スクリーン印刷法、コンタクトプリント法、インクジェット印刷法、ロールコート法
、ミストCVD法などの成膜方法によって非晶質酸化物半導体を形成してもよい。従って
、非晶質酸化物半導体をチャネル領域に用いたトランジスタを有する半導体装置は生産性
高く作製することができる。
【0345】
なお、酸化物半導体は、例えば、欠陥が少ないと密度が高くなる。また、酸化物半導体
は、例えば、結晶性が高いと密度が高くなる。また、酸化物半導体は、例えば、水素など
の不純物濃度が低いと密度が高くなる。例えば、単結晶酸化物半導体は、CAAC-OS
よりも密度が高い場合がある。また、例えば、CAAC-OSは、微結晶酸化物半導体よ
りも密度が高い場合がある。また、例えば、多結晶酸化物半導体は、微結晶酸化物半導体
よりも密度が高い場合がある。また、例えば、微結晶酸化物半導体は、非晶質酸化物半導
体よりも密度が高い場合がある。
【0346】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態に示す表示装置の駆動回路部について説明する。
【0347】
本実施の形態の一態様は、シフトレジスタユニットと、シフトレジスタユニットと電気
的に接続するデマルチプレクサ回路と、n本(nは4以上の自然数)の信号線と、を有し
、シフトレジスタユニットは、n本の信号線のうち1本以上と電気的に接続し、デマルチ
プレクサ回路は、n本の信号線のうち1本以上(n-3)本以下と電気的に接続すること
を特徴とする駆動回路である。
【0348】
また、本実施の形態の他の一態様は、m個(mは、3以上の自然数)のシフトレジスタ
ユニットと、m個のシフトレジスタユニットのそれぞれと電気的に接続するm個のデマル
チプレクサ回路と、n本(nは4以上の自然数)の信号線と、を有し、m個のシフトレジ
スタユニットのそれぞれは、n本の信号線のうち1本以上と電気的に接続し、m個のデマ
ルチプレクサ回路のそれぞれは、n本の信号線のうち1本以上(n-3)本以下と電気的
に接続し、m個のシフトレジスタユニットの一に、m個のシフトレジスタユニットの一の
、前段のシフトレジスタユニットと電気的に接続されるデマルチプレクサ回路の出力の一
が入力され、m個のシフトレジスタユニットの一に、m個のシフトレジスタユニットの一
の、後段のシフトレジスタユニットと電気的に接続されるデマルチプレクサ回路の出力の
一が入力されることを特徴とする駆動回路である。
【0349】
また、本実施の形態の他の一態様は、シフトレジスタユニットと、デマルチプレクサ回
路と、n本(nは4以上の自然数)の信号線と、を有し、シフトレジスタユニットは、セ
ット信号線と、第1のトランジスタ乃至第6のトランジスタと、を有し、第1のトランジ
スタは、ソース及びドレインの一方が高電源電位線と電気的に接続され、ソース及びドレ
インの他方が、第2のトランジスタのソース及びドレインの一方及びデマルチプレクサ回
路と電気的に接続され、ゲートがセット信号線と電気的に接続され、第2のトランジスタ
は、ソース及びドレインの他方が低電源電位線と電気的に接続され、ゲートがデマルチプ
レクサ回路、第4のトランジスタのソース及びドレインの一方、第5のトランジスタのソ
ース及びドレインの一方及び第6のトランジスタのソース及びドレインの一方と電気的に
接続され、第3のトランジスタは、ソース及びドレインの一方が高電源電位線と電気的に
接続され、ソース及びドレインの他方が第4のトランジスタのソース及びドレインの他方
と電気的に接続され、ゲートがn本の信号線の一と電気的に接続され、第4のトランジス
タは、ゲートがn本の信号線の他の一と電気的に接続され、第5のトランジスタは、ソー
ス及びドレインの他方が低電源電位線と電気的に接続され、ゲートがセット信号線と電気
的に接続され、第6のトランジスタは、ソース及びドレインの他方が高電源電位線に電気
的に接続され、ゲートがリセット信号線と電気的に接続され、デマルチプレクサ回路は、
a個(aは1以上(n-3)以下の自然数)のバッファを有し、a個のバッファのそれぞ
れは、第1のトランジスタのソース及びドレインの他方及び第2のトランジスタのゲート
と電気的に接続され、a個のバッファのそれぞれは、それぞれ異なるn本の信号線の一と
電気的に接続し、a個のバッファのそれぞれは、出力端子を有することを特徴とする駆動
回路である。
【0350】
具体的な構成について図面を用いて説明する。図29に表示装置の駆動回路の一例とし
て、ゲートドライバ回路の全体図を示す。ゲートドライバ回路600は、複数のシフトレ
ジスタユニット(SR)601、ダミー段であるシフトレジスタユニット(SR_D)6
02、各シフトレジスタユニット601と電気的に接続するデマルチプレクサ回路(DM
P(DEMUXともいう))603、シフトレジスタユニット602と電気的に接続する
デマルチプレクサ回路(DMP(DEMUXともいう))604、スタートパルスSP、
クロック信号(CLK1乃至CLK8)を伝達する信号線を有する。
【0351】
シフトレジスタユニット601(ここでは、第1段目のシフトレジスタユニットを用い
て説明する)は、図30(A)に示すようにセット信号LIN(ここでは、スタートパル
スSP)、リセット信号RIN、クロック信号(ここでは、CLK6及びCLK7)が入
力される。具体的な回路構成の一例について、図30(B)に示す。シフトレジスタユニ
ット601は、第1のトランジスタ611乃至第6のトランジスタ616を有する。
【0352】
第1のトランジスタ611のソース及びドレインの一方は、高電源電位線VDDに接続
され、第1のトランジスタ611のソース及びドレインの他方は、第2のトランジスタ6
12のソース及びドレインの一方及びデマルチプレクサ回路603の入力端子FN1に接
続され、第1のトランジスタ611のゲートは、セット信号LINが入力される。第2の
トランジスタ612のソース及びドレインの他方は、低電源電位線VSSに接続され、第
2のトランジスタ612のゲートは、デマルチプレクサ回路603の入力端子FN2、第
4のトランジスタ614のソース及びドレインの一方、第5のトランジスタ615のソー
ス及びドレインの一方及び第6のトランジスタ616のソース及びドレインの一方に接続
される。第3のトランジスタ613のソース及びドレインの一方は、高電源電位線VDD
に接続され、第3のトランジスタ613のソース及びドレインの他方は、第4のトランジ
スタ614のソース及びドレインの他方に接続され、第3のトランジスタ613のゲート
は、クロック信号CLK7が入力される。第4のトランジスタ614のゲートは、クロッ
ク信号CLK6が入力される。第5のトランジスタ615のソース及びドレインの他方は
、低電源電位線VSSに接続され、第5のトランジスタ615のゲートは、セット信号L
INが入力される。第6のトランジスタ616のソース及びドレインの他方は、高電源電
位線VDDに接続され、第6のトランジスタ616のゲートは、リセット信号RINが入
力される。なお、第1のトランジスタ611のソース及びドレインの他方及び第2のトラ
ンジスタ612のソース及びドレインの一方が電気的に接続される部位をノードFN1と
よぶ。また、第2のトランジスタ612のゲート、第4のトランジスタ614のソース及
びドレインの一方、第5のトランジスタ615のソース及びドレインの一方及び第6のト
ランジスタ616のソース及びドレインの一方が電気的に接続される部位をノードFN2
とよぶ。
【0353】
また、8a+1段目(aは0または自然数)のシフトレジスタユニット601には、ク
ロック信号CLK6及びCLK7が入力され、8a+2段目(aは0または自然数)のシ
フトレジスタユニット601には、クロック信号CLK3及びCLK4が入力され、8a
+3段目(aは0または自然数)のシフトレジスタユニット601には、クロック信号C
LK1及びCLK8が入力され、8a+4段目(aは0または自然数)のシフトレジスタ
ユニット601には、クロック信号CLK5及びCLK6が入力され、8a+5段目(a
は0または自然数)のシフトレジスタユニット601には、クロック信号CLK2及びC
LK3が入力され、8a+6段目(aは0または自然数)のシフトレジスタユニット60
1には、クロック信号CLK7及びCLK8が入力され、8a+7段目(aは0または自
然数)のシフトレジスタユニット601には、クロック信号CLK4及びCLK5が入力
され、8(a+1)段目(aは0または自然数)のシフトレジスタユニット601には、
クロック信号CLK1及びCLK2が入力される。
【0354】
ダミー段であるシフトレジスタユニット602は、図31(A)に示すようにセット信
号LIN、クロック信号(ここでは、CLK3及びCLK4)が入力される。具体的な回
路構成の一例について、図31(B)に示す。シフトレジスタユニット602は、第1の
トランジスタ611乃至第5のトランジスタ615を有する。
【0355】
第1のトランジスタ611のソース及びドレインの一方は、高電源電位線VDDに接続
され、第1のトランジスタ611のソース及びドレインの他方は、第2のトランジスタ6
12のソース及びドレインの一方及びデマルチプレクサ回路604の入力端子FN1に接
続され、第1のトランジスタ611のゲートは、セット信号LINが入力される。第2の
トランジスタ612のソース及びドレインの他方は、低電源電位線VSSに接続され、第
2のトランジスタ612のゲートは、デマルチプレクサ回路604の入力端子FN2、第
4のトランジスタ614のソース及びドレインの一方、及び第5のトランジスタ615の
ソース及びドレインの一方に接続される。第3のトランジスタ613のソース及びドレイ
ンの一方は、高電源電位線VDDに接続され、第3のトランジスタ613のソース及びド
レインの他方は、第4のトランジスタ614のソース及びドレインの他方に接続され、第
3のトランジスタ613のゲートは、クロック信号CLK4が入力される。第4のトラン
ジスタ614のゲートは、クロック信号CLK3が入力される。第5のトランジスタ61
5のソース及びドレインの他方は、低電源電位線VSSに接続され、第5のトランジスタ
615のゲートは、セット信号LINが入力される。なお、第1のトランジスタ611の
ソース及びドレインの他方及び第2のトランジスタ612のソース及びドレインの一方が
電気的に接続される部位をノードFN1とよぶ。また、第2のトランジスタ612のゲー
ト、第4のトランジスタ614のソース及びドレインの一方、及び第5のトランジスタ6
15のソース及びドレインの一方が電気的に接続される部位をノードFN2とよぶ。
【0356】
デマルチプレクサ回路603及びデマルチプレクサ回路604は、図32(A)及び図
33(A)に示すようにクロック信号、シフトレジスタユニット601及びシフトレジス
タユニット602からの出力信号(入力端子FN1および入力端子FN2に入力される信
号)が入力され、出力信号を出力する。具体的な回路構成の一例について、図32(B)
及び図33(B)に示す。デマルチプレクサ回路603及びデマルチプレクサ回路604
は、バッファ(BUF)605を有する。
【0357】
バッファ605の具体的な回路構成の一例に図34に示す。第7のトランジスタ617
のソース及びドレインの一方は、クロック信号CLK(クロック信号CLK1乃至CLK
8のいずれか一つ)が入力され、第7のトランジスタ617のソース及びドレインの他方
は、第8のトランジスタ618のソース及びドレインの一方及び出力端子に接続され、第
7のトランジスタ617のゲートは、ノードFN1に接続される。第8のトランジスタ6
18のソース及びドレインの他方は、低電源電位線VSSに接続され、第8のトランジス
タ618のゲートは、ノードFN2に接続される。
【0358】
また、シフトレジスタユニットを、図35(A)及び図35(B)に示すようにシフト
レジスタユニット601に加えてトランジスタ621、トランジスタ622、トランジス
タ623及び容量素子624を設けるシフトレジスタユニット601aとしてもよい。な
お、トランジスタ623のゲートには、リセット信号RESが入力される。
【0359】
同様に、ダミー段であるシフトレジスタユニットを、図36(A)及び図36(B)に
示すようにシフトレジスタユニット602に加えてトランジスタ621、トランジスタ6
22、トランジスタ623及び容量素子624を設けるシフトレジスタユニット602a
としてもよい。なお、トランジスタ623のゲートには、リセット信号RESが入力され
る。
【0360】
シフトレジスタユニットの初期化を行うとき、リセット信号RESのパルスを入力し、
トランジスタ623を導通状態にし、ノードFN2の電位が高電位電源線VDDの電位と
なる。また、ノードFN2の電位により、第2のトランジスタ612及びトランジスタ6
21を導通状態にすることで、ノードFN1の電位が低電位電源線VSSの電位となり、
シフトレジスタユニットを初期化することができる。なお、リセット信号RESは、全シ
フトレジスタユニットに共通の信号線で入力されている。
【0361】
また、バッファ605を、図37(A)及び図37(B)に示すようにさらにトランジ
スタ625及び容量素子619を設けたバッファ605aと置き換えてもよい。
【0362】
容量素子は、電荷を保持する保持容量としての機能を有する。
【0363】
なお、本実施の形態における各トランジスタは、先の実施の形態で示した酸化物半導体
を用いたトランジスタで構成される。特に、トランジスタのゲートと他のトランジスタの
ソースおよびドレインの一方が電気的に接続されている箇所で先の実施の形態を参酌する
ことにより、より表示装置の額縁面積を小さくすることができる。
【0364】
第1段目のシフトレジスタユニット601では、クロック信号CLK1乃至CLK5が
デマルチプレクサ回路603に入力され、デマルチプレクサ回路603は出力信号OUT
1乃至OUT5を出力する。
【0365】
また、ゲート選択出力を出していない期間、ノードFN2を高電位に固定することで、
第2のトランジスタ612及び第8のトランジスタ618を常に導通させて、出力を低電
位に安定させている。しかし、第5のトランジスタ615のカットオフ電流(ゲート電圧
が0Vの時に流れるドレイン電流)が大きい場合、ノードFN2の電荷が第5のトランジ
スタ615を介してリークしていくため、定期的に電荷を補填する必要がある。そのため
、クロック信号CLK6及びCLK7を用いて、第3のトランジスタ613及び第4のト
ランジスタ614を導通させ、高電源電位線VDDからノードFN2の電荷を供給する。
なお、第1段目のシフトレジスタユニット601のゲート選択出力期間(ノードFN1が
高電位である期間)は、後で説明するスタートパルスSPの立ち上がり(セット)から、
クロック信号CLK7の立ち上がり(リセット)までであり、2つのクロック信号を用い
て、ゲート選択出力期間と定期的な電荷の補填とのタイミングが重ならないようにしてい
る。
【0366】
また、第1段目のシフトレジスタユニット601では、クロック信号CLK8はどこに
も入力されない。このクロック信号においても、定期的な電荷の補填とのタイミングが重
ならないように設けている。
【0367】
同様に、第2段目のシフトレジスタユニット601では、クロック信号CLK1、CL
K2、CLK6乃至CLK8がデマルチプレクサ回路603に入力され、デマルチプレク
サ回路603は出力信号OUT1乃至OUT5を出力する。クロック信号CLK3及びC
LK4は、定期的に電荷を補填するための機能を有する。また、第2段目のシフトレジス
タユニット601では、クロック信号CLK5はどこにも入力されない。
【0368】
3段目以降のシフトレジスタユニット601も同様である。つまり、シフトレジスタユ
ニット1段には、5つのクロック信号がデマルチプレクサ回路603に入力され、デマル
チプレクサ回路603は5つの出力信号を出力する。また、他の2つのクロック信号は、
定期的に電荷を補填するために機能し、シフトレジスタユニット601に入力される。さ
らに、他の1つのクロック信号は、どこにも入力されない。
【0369】
また、ダミー段であるシフトレジスタユニット602も同様であり、クロック信号CL
K1及びCLK2がデマルチプレクサ回路604に入力され、デマルチプレクサ回路60
4は出力信号DUMOUT1及びDUMOUT2を出力する。クロック信号CLK3及び
CLK4は、定期的に電荷を補填する機能を有する。
【0370】
また、本実施の形態では、クロック信号の数を8つとしたがこれに限られず、クロック
信号の数は少なくとも4つ以上であればよい。例えば、クロック信号の数をnとした時、
出力信号に寄与しないクロック信号は3つなので出力信号の数はn-3となる。
【0371】
つまり、シフトレジスタユニット1段につき、n本のクロック信号を伝達する信号線を
接続することでn-3つの出力信号を出力することができ、nが大きくなるほど出力に寄
与しないクロック信号を伝達する信号線の割合が小さくなるため、シフトレジスタユニッ
ト1段につき、1つの出力信号を出力する従来の構成に比べ、シフトレジスタユニット部
分の占有面積は小さくなり、ゲートドライバ回路600の幅を狭くすることが可能となる
【0372】
ここで、ゲートドライバ回路600の狭額縁化について簡単に説明する。図38(A)
は、従来のゲートドライバ回路のブロック図、図38(B)は、本実施の形態のゲートド
ライバ回路のブロック図である。
【0373】
図38(A)に示す従来のゲートドライバ回路は、シフトレジスタユニットSR1段に
付き4本のクロック信号を伝達する信号線CLK_LINEが接続し、1つのバッファB
UFにより1つの信号が出力される。一方、図38(B)に示す本実施の形態のゲートド
ライバ回路は、シフトレジスタユニットSR1段に付き8本のクロック信号を伝達する信
号線CLK_LINEが接続し、5つのバッファBUFにより5つの信号が出力される。
【0374】
本実施の形態のゲートドライバ回路は、従来のゲートドライバ回路に比べ、シフトレジ
スタユニット1段当たり横のレイアウト幅を縮小することができる。縦のレイアウト幅は
、バッファBUFが増えた分(ここでは従来の5倍)増大するがゲートドライバ回路の額
縁に寄与しない。よって、シフトレジスタユニット1段当たり横のレイアウト幅を縮小す
ることができ、狭額縁化を達成することが可能となる。また、クロック信号を伝達する信
号線CLK_LINEの本数が従来に比べて増加するが、それに伴って信号線CLK_L
INEの一本あたりの負荷容量は減少する。そのため、信号線CLK_LINEを細くし
て、負荷抵抗を大きくしても(時定数=負荷容量×負荷抵抗となるため)遅延時間は変化
しない。よって、時定数を同じにするように、信号線の幅を細くすることでレイアウト幅
の増加を抑制することができるため、信号線CLK_LINEが増加しても、ゲートドラ
イバ回路の幅を狭くすることができる。
【0375】
次に、ゲートドライバ回路600の動作について図39に示すタイミングチャートを参
照して説明する。ここでは、セット信号LIN、リセット信号RIN、及びクロック信号
CLK1乃至CLK8の高電位は、高電源電位線VDDの電位と同じであり、低電位は、
低電源電位線VSSの電位と同じであるとする。
【0376】
図39に示すゲートドライバ回路600の駆動方法では、まず、スタートパルスSPが
高電位になり、第1のトランジスタ611及び第5のトランジスタ615が導通状態にな
る。また、リセット信号RIN(出力信号OUT7)が低電位であるため、第6のトラン
ジスタ616が非導通状態になる。また、クロック信号CLK1乃至CLK6が低電位、
クロック信号CLK7及びCLK8が高電位であるため、第4のトランジスタ614及び
第7のトランジスタ617が非導通状態、第3のトランジスタ613が導通状態になる。
【0377】
このとき、ノードFN1の電位が高電位電源線VDDの電位から第1のトランジスタ6
11のしきい値電圧分を引いた値(VDD-Vth(611))、ノードFN2の電位が
低電位電源線VSSの電位になり、第7のトランジスタ617が導通状態、第8のトラン
ジスタ618が非導通状態になるため、出力信号OUT1乃至OUT5は、クロック信号
CLK1乃至CLK5と同じ低電位になる。
【0378】
次に、クロック信号CLK7が低電位になり、第3のトランジスタ613は非導通状態
になる。なお、第3のトランジスタ613のソース及びドレインの他方と第4のトランジ
スタ614のソース及びドレインの一方が電気的に接続されるノードに高電位が保持され
る。
【0379】
次に、クロック信号CLK1が低電位から高電位になり、ブートストラップにより、ノ
ードFN1の電位は、クロック信号CLK1の振幅に相当する電圧分、上昇する。その結
果、第7のトランジスタ617は導通状態となり、出力信号OUT1は、高電位(クロッ
ク信号CLK1の電位)が出力される。なお、このブートストラップは、クロック信号C
LK2以降のクロック信号が低電位から高電位になる時も同様に起こる。次に、クロック
信号CLK8が低電位になるが、1段目のシフトレジスタユニット601にはクロック信
号CLK8の信号は使用しないため、変化はない。次に、クロック信号CLK2が高電位
になり、出力信号OUT2は、高電位が出力される。その後、クロック信号CLK1が低
電位になり、出力信号OUT1は、低電位が出力される。以後、出力信号OUT3及びO
UT4も同様である。また、クロック信号CLK5が高電位になり、出力信号OUT5が
高電位になった時、2段目のシフトレジスタユニット601のセット信号LINは高電位
になる。
【0380】
1段目のシフトレジスタユニット601では、クロック信号CLK6が高電位になると
、第4のトランジスタ614が導通する。次に、クロック信号CLK5が低電位になり、
出力信号OUT5は、低電位が出力される。
【0381】
また、2段目のシフトレジスタユニット601では、セット信号LIN(出力信号OU
T5)が高電位になり、第1のトランジスタ611及び第5のトランジスタ615が導通
状態になる。また、リセット信号RIN(出力信号OUT12)が低電位であるため、第
6のトランジスタ616が非導通状態になる。また、クロック信号CLK1、CLK2、
CLK6乃至CLK8が低電位、クロック信号CLK4及びCLK5が高電位であるため
、第4のトランジスタ614及び第7のトランジスタ617が非導通状態、第3のトラン
ジスタ613が導通状態になる。
【0382】
このとき、ノードFN1の電位が高電位電源線VDDの電位から第1のトランジスタ6
11のしきい値電圧分を引いた値(VDD-Vth(611))、ノードFN2の電位が
低電位電源線VSSの電位になり、第7のトランジスタ617が導通状態、第8のトラン
ジスタ618が非導通状態になるため、出力信号OUT6乃至OUT10は、クロック信
号CLK1、CLK2、CLK6乃至CLK8と同じ低電位になる。
【0383】
次に、クロック信号CLK4が低電位になり、第3のトランジスタ613は非導通状態
になる。なお、第3のトランジスタ613のソース及びドレインの他方及び第4のトラン
ジスタ614のソース及びドレインの一方が電気的に接続されるノードに高電位が保持さ
れる。
【0384】
次に、クロック信号CLK6が低電位から高電位になり、ブートストラップにより、ノ
ードFN1の電位は、クロック信号CLK6の振幅に相当する電圧分、上昇する。その結
果、第7のトランジスタ617は導通状態となり、出力信号OUT6は、高電位(クロッ
ク信号CLK6の電位)が出力される。次に、クロック信号CLK5が低電位になるが、
2段目のシフトレジスタユニット601にはクロック信号CLK5の信号は使用しないた
め、変化はない。次に、クロック信号CLK7が高電位になり、出力信号OUT7は、高
電位が出力される。
【0385】
このとき、1段目のシフトレジスタユニット601では、リセット信号RIN(出力信
号OUT7)が高電位になり、第6のトランジスタ616を導通状態にし、ノードFN2
の電位が高電位電源線VDDの電位となる。また、ノードFN2の電位により、第2のト
ランジスタ612を導通状態にすることで、ノードFN1の電位が低電位電源線VSSの
電位となり、リセットされる。
【0386】
また、2段目のシフトレジスタユニット601においても、1段目のシフトレジスタユ
ニット601と同様に駆動する。
【0387】
つまり、m段目(mは自然数)のシフトレジスタユニット601のセット信号LINは
、m-1段目のシフトレジスタユニット601の出力信号OUT5(m-1)が入力され
、m段目のシフトレジスタユニット601のリセット信号RINは、m+1段目のシフト
レジスタユニット601の出力信号OUT5(m+2)が入力される。なお、mが1のと
きのセット信号LINは、スタートパルスSPとなる。
【0388】
また、ダミー段であるシフトレジスタユニット602もシフトレジスタユニット601
と同様であり、このシフトレジスタユニット602があることにより、シフトレジスタユ
ニット601の最終段にリセット信号RINを入力することができる。
【0389】
なお、本実施の形態では、クロック信号と次のクロック信号をパルスの重なりをパルス
幅の1/3としているがこれに限られず、パルス幅の1/2以下ならどのように重なって
いてもよい。また、クロック信号のパルスの立ち下がりと次のクロック信号のパルスの立
ち上がりが同時でもよい。また、クロック信号のパルスの立ち下がりと次のクロック信号
のパルスの立ち上がりが同時である場合において、第1段目のシフトレジスタユニット6
01のゲート選択出力期間は、スタートパルスSPの立ち上がり(セット)から、クロッ
ク信号CLK6の立ち上がり(リセット)までであるため、定期的な電荷の補填に用いる
クロック信号は、1つのみでよい。
【0390】
なお、本実施の形態に示す構成などは、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて
用いることができる。
【0391】
(実施の形態5)
本発明の一態様である半導体装置は、被検知体の近接または接触を検知可能なセンサ(
たとえば、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性方式、赤外線方式、光学方式などのタッ
チセンサ)や医療用の放射線画像を取得することが可能な放射線画像検出装置に適用する
ことができる。また、本発明の一態様である半導体装置はさまざまな電子機器(遊技機も
含む)に適用することができる。電子機器としては、テレビジョン装置(テレビ、または
テレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタ
ルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末
、音響再生装置、遊技機(パチンコ機、スロットマシン等)、ゲーム筐体が挙げられる。
これらの電子機器の一例を図24に示す。
【0392】
図24(A)は、表示部を有するテーブル9000を示している。テーブル9000は
、筐体9001に表示部9003が組み込まれており、表示部9003により映像を表示
することが可能である。なお、4本の脚部9002により筐体9001を支持した構成を
示している。また、電力供給のための電源コード9005を筐体9001に有している。
【0393】
上記実施の形態のいずれかに示す半導体装置は、表示部9003に用いることが可能で
ある。それゆえ、表示部9003の表示品位を高くすることができる。
【0394】
表示部9003は、タッチ入力機能を有しており、テーブル9000の表示部9003
に表示された表示ボタン9004を指などで触れることで、画面操作や、情報を入力する
ことができ、また他の家電製品との通信を可能とする、または制御を可能とすることで、
画面操作により他の家電製品をコントロールする制御装置としてもよい。例えば、イメー
ジセンサ機能を有する半導体装置を用いれば、表示部9003にタッチ入力機能を持たせ
ることができる。
【0395】
また、筐体9001に設けられたヒンジによって、表示部9003の画面を床に対して
垂直に立てることもでき、テレビジョン装置としても利用できる。狭い部屋においては、
大きな画面のテレビジョン装置は設置すると自由な空間が狭くなってしまうが、テーブル
に表示部が内蔵されていれば、部屋の空間を有効に利用することができる。
【0396】
図24(B)は、テレビジョン装置9100を示している。テレビジョン装置9100
は、筐体9101に表示部9103が組み込まれており、表示部9103により映像を表
示することが可能である。なお、ここではスタンド9105により筐体9101を支持し
た構成を示している。
【0397】
テレビジョン装置9100の操作は、筐体9101が備える操作スイッチや、別体のリ
モコン操作機9110により行うことができる。リモコン操作機9110が備える操作キ
ー9109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部9103に表示さ
れる映像を操作することができる。また、リモコン操作機9110に、当該リモコン操作
機9110から出力する情報を表示する表示部9107を設ける構成としてもよい。
【0398】
図24(B)に示すテレビジョン装置9100は、受信機やモデムなどを備えている。
テレビジョン装置9100は、受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、
さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一
方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など
)の情報通信を行うことも可能である。
【0399】
上記実施の形態のいずれかに示す半導体装置は、表示部9103、表示部9107に用
いることが可能である。それゆえ、テレビジョン装置の表示品位を向上させることができ
る。
【0400】
図24(C)はコンピュータ9200であり、本体9201、筐体9202、表示部9
203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス920
6などを含む。
【0401】
上記実施の形態のいずれかに示す半導体装置は、表示部9203に用いることが可能で
ある。それゆえ、コンピュータ9200の表示品位を向上させることができる。
【0402】
図25(A)及び図25(B)は2つ折り可能なタブレット型端末である。図25(A
)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示
部9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モ
ード切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。
【0403】
上記実施の形態のいずれかに示す半導体装置は、表示部9631a、表示部9631b
に用いることが可能である。それゆえ、タブレット端末の表示品位を向上させることがで
きる。
【0404】
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示さ
れた操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部96
31aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領
域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部96
31aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9
631aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表
示画面として用いることができる。
【0405】
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一
部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボー
ド表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれること
で表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
【0406】
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時に
タッチ入力することもできる。
【0407】
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示または横表示などの表示の向き
を切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替え
スイッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外
光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光セ
ンサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置
を内蔵させてもよい。
【0408】
また、図25(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示
しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表
示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネ
ルとしてもよい。
【0409】
図25(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9
633、充放電制御回路9634を有する。なお、図25(B)では充放電制御回路96
34の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構成につい
て示している。
【0410】
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態
にすることができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、
耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
【0411】
また、この他にも図25(A)及び図25(B)に示したタブレット型端末は、様々な
情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付または時刻
などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作または編集するタ
ッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有
することができる。
【0412】
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル
、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は
、筐体9630の片面又は両面に設けることができ、バッテリー9635の充電を効率的
に行う構成とすることができる。なおバッテリー9635としては、リチウムイオン電池
を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0413】
また、図25(B)に示す充放電制御回路9634の構成、及び動作について図25
C)にブロック図を示し説明する。図25(C)には、太陽電池9633、バッテリー9
635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3
、表示部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ963
6、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図25(B)に示す充放電制御
回路9634に対応する箇所となる。
【0414】
まず、外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明す
る。太陽電池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようD
CDCコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作
に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバー
タ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表
示部9631での表示を行わない際には、スイッチSW1をオフにし、スイッチSW2を
オンにしてバッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
【0415】
なお、太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず
、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段による
バッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を
送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う
構成としてもよい。
【0416】
なお、本実施の形態に示す構成などは、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて
用いることができる。
【実施例0417】
本実施例では、実施の形態1の半導体装置を用いて、液晶表示装置を作製した。作製し
た液晶表示装置の額縁面積について評価する。
【0418】
比較例として、駆動回路部の導電膜310cが導電膜304bと重畳していない液晶表
示装置を図26に示す。図26に示す液晶表示装置の駆動回路部は、導電膜304bと導
電膜310cとを透光性を有する導電膜316aで接続している。なお、透光性を有する
導電膜316aは、絶縁膜305、絶縁膜306及び絶縁膜312に設けられた開口部3
67a、開口部367bにおいて接続する。
【0419】
図27に開口部周辺のレイアウト図を示す。図27(A)は、比較例の液晶表示装置の
開口部周辺のレイアウト図であり、図27(B)は、実施の形態1の半導体装置を用いた
液晶表示装置の開口部周辺のレイアウト図である。
【0420】
比較例の液晶表示装置の開口部周辺のレイアウト幅は、21μmであった。また、実施
の形態1の半導体装置を用いた液晶表示装置の開口部周辺のレイアウト幅は15μmであ
った。この結果により、導電膜304bと導電膜310cとを透光性を有する導電膜31
6aで接続する際に、実施の形態1のように1つの開口部(ここでは、開口部364a)
のみで導電膜304bと導電膜310cと透光性を有する導電膜316aを接続すること
でレイアウト幅を開口部1つに付き、6μm縮めることができ、液晶表示装置の狭額縁化
を図ることができる。
【0421】
次に、比較例のような2つの開口部を実施の形態1のように開口部を1つに変更するこ
とによる額縁面積の縮小率を求めた。
【0422】
図28は、比較例の液晶表示装置のレイアウト図である。駆動回路部のレイアウト幅は
、1850μmであった。また、保護回路、信号線、封止領域を含めると2646μmで
あった。
【0423】
さらに、駆動回路部において、比較例のような2つの開口部を実施の形態1のように開
口部を1つに変更することができる箇所は、図中の破線で囲っている。
【0424】
本実施例では、合計9箇所を1つの開口部に変更することができ、駆動回路部全体では
54μm(6μm×9箇所)縮小することができる。したがって、上記のようにすること
で、額縁を2.04%(54μm÷2646μm×100%)縮小することができ、液晶
表示装置の狭額縁化を図ることができた。
【実施例0425】
実施の形態1の半導体装置を用いて、液晶表示装置を作製した。実施例1の比較例の液
晶表示装置の開口部周辺の断面TEM像を図45(A)、実施の形態1の半導体装置を用
いた液晶表示装置の開口部周辺の断面TEM像を図45(B)に示す。
【0426】
図45(A)より、比較例の液晶表示装置は、絶縁膜中に空隙部が生じていたが、図4
5(B)は、実施の形態1のようにゲート電極をソース電極またはドレイン電極と重畳す
るように形成することで、絶縁膜上に透光性を有する導電膜を形成することがないため、
空隙部が発生することがない。よって、膜の被覆性を向上させることができることが確認
できた。
【実施例0427】
本実施例では、実施の形態4の駆動回路を用いて、液晶表示装置を作製した。作製した
液晶表示装置の額縁面積について評価する。
【0428】
まず、実施の形態4の駆動回路に図26の構成を用いて、液晶表示装置を作製した。比
較例として、図38(A)に示すようなシフトレジスタユニット1段につき、1つの出力
信号を出力する従来の構成の駆動回路に図26の構成を用いて、液晶表示装置を作製した
【0429】
図43に駆動回路部のレイアウト図を示す。図43(A)は、比較例の駆動回路部のレ
イアウト図であり、レイアウト幅は、1700μmであった。図43(B)は、本実施例
の駆動回路部のレイアウト図であり、レイアウト幅は、1150μmであった。実施の形
態4の駆動回路を採用することにより、従来に比べ、額縁を32.24%((1700μ
m-1150μm)÷1700μm×100%)縮小することができ、液晶表示装置の狭
額縁化を図ることができた。
【0430】
同様に、実施の形態4の駆動回路に実施の形態1の変形例6に示すチャネル保護型のト
ランジスタを用いて液晶表示装置を作製した。比較例として、図38(A)に示すような
シフトレジスタユニット1段につき、1つの出力信号を出力する従来の構成の駆動回路に
チャネル保護型のトランジスタを用いて、液晶表示装置を作製した。
【0431】
また、図44に先とは異なる駆動回路部のレイアウト図を示す。図44(A)は、比較
例の駆動回路部のレイアウト図であり、レイアウト幅は、1700μmであった。図44
(B)は、本実施例の駆動回路部のレイアウト図であり、レイアウト幅は、1250μm
であった。実施の形態4の駆動回路を採用することにより、従来に比べ、額縁を26.4
7%((1700μm-1250μm)÷1700μm×100%)縮小することができ
、液晶表示装置の狭額縁化を図ることができた。
【実施例0432】
本実施例では、液晶表示装置に用いることができるIn-Ga-Zn酸化物であるCA
AC-OS膜を含むトランジスタの特性について評価する。
【0433】
測定には、ゲートドライバのバッファに用いられ、チャネル長が50μm、チャネル幅
が4μmのチャネルエッチ構造のトランジスタを用いた。
【0434】
次に、トランジスタの構成について説明する。
【0435】
トランジスタは、ガラス基板上のゲート電極と、ガラス基板及びゲート電極上のゲート
絶縁膜と、ゲート絶縁膜上の酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜と接するソース電極及び
ドレイン電極と、酸化物半導体膜、ソース電極及びドレイン電極上の第1の絶縁膜、第2
の絶縁膜と、第1の絶縁膜、第2の絶縁膜に設けられた開口部を介してソース電極又はド
レイン電極と電気的に接続する画素電極と、を有する。
【0436】
ゲート電極は、膜厚35nmのチタン膜上に膜厚200nmの銅膜が積層されている。
ゲート絶縁膜は、膜厚400nmの窒化シリコン膜上に膜厚50nmの酸化窒化シリコン
膜が積層されている。酸化物半導体膜は、膜厚35nmのIn:Ga:Zn=1:1:1
の原子数比のIn-Ga-Zn酸化物膜である。ソース電極及びドレイン電極は、膜厚5
0nmのタングステン膜上の膜厚400nmのアルミニウム膜、アルミニウム膜上に膜厚
200nmのチタン膜が積層されている。第1の絶縁膜は、膜厚50nmの酸化窒化シリ
コン膜上に膜厚400nmの酸化窒化シリコン膜が積層されている。第2の絶縁膜は、膜
厚100nmの窒化シリコン膜である。画素電極は、膜厚110nmの酸化シリコンを添
加したインジウム錫酸化物膜である。
【0437】
図46に作製したトランジスタの特性を示す。図中の縦軸はドレイン電流ID[A]を
表し、横軸はゲート電圧VG[V]を表す。図46より、作製したトランジスタは、良好
な特性を得たことが分かった。
【0438】
また、チャネル長が50μm、チャネル幅が6μmのチャネルエッチ構造のトランジス
タを作製し、暗状態(dark)にてゲート電位を30Vの状態で60℃、1時間保持す
る試験(+BT試験)を行った。図47(A)に+BT試験を施した後のトランジスタの
特性を示す。図中の縦軸はしきい値電圧の変動量ΔVth[V]を表し、横軸は試験時間
[hr]を表す。図47(A)より、しきい値電圧の変動量が小さいことが分かった。
【0439】
また、上記トランジスタにおいて、暗状態(dark)にてゲート電位を30Vの状態
で60℃、1時間保持する試験(+BT試験)と暗状態(dark)にてゲート電位を-
30Vの状態で60℃、1時間保持する試験(-BT試験)を交互に繰り返した。測定結
果を図47(B)に示す。図中の縦軸はしきい値電圧Vth[V]を表し、横軸は試験の
条件を表す。図47(B)より、特性の変動がほとんどないことが分かった。
【符号の説明】
【0440】
101 画素部
102 トランジスタ
103 トランジスタ
104 走査線駆動回路
105 容量素子
106 信号線駆動回路
107 走査線
109 信号線
115 容量線
131_1 トランジスタ
132 液晶素子
133_1 容量素子
301 画素
302 基板
304a 導電膜
304b 導電膜
304c 導電膜
305 絶縁膜
305a 窒化物絶縁膜
305b 窒化物絶縁膜
305c 窒化物絶縁膜
306 絶縁膜
307 酸化物半導体膜
308a 酸化物半導体膜
308b 酸化物半導体膜
308c 導電膜
308d 酸化物半導体膜
309 導電膜
310a 導電膜
310b 導電膜
310c 導電膜
310d 導電膜
310e 導電膜
310f 導電膜
311 絶縁膜
311a 絶縁膜
311b 絶縁膜
312 絶縁膜
312a 絶縁膜
312b 絶縁膜
313 絶縁膜
314 絶縁膜
315 導電膜
316a 導電膜
316b 導電膜
316c 導電膜
316d 導電膜
317 平坦化膜
318 配向膜
320 液晶層
322 液晶素子
324 絶縁膜
325 導電膜
326 導電膜
334a 低抵抗領域
334b 低抵抗領域
336 多層膜
336a 酸化物半導体膜
336b 酸化物膜
342 基板
344 遮光膜
346 有色膜
348 絶縁膜
350 導電膜
352 配向膜
360 凹部
362 開口部
362c 開口部
364a 開口部
364b 開口部
364c 開口部
367a 開口部
367b 開口部
370 領域
384a 開口部
384b 開口部
600 ゲートドライバ回路
601 シフトレジスタユニット
601a シフトレジスタユニット
602 シフトレジスタユニット
602a シフトレジスタユニット
603 デマルチプレクサ回路
604 デマルチプレクサ回路
605 バッファ
605a バッファ
611 トランジスタ
612 トランジスタ
613 トランジスタ
614 トランジスタ
615 トランジスタ
616 トランジスタ
617 トランジスタ
618 トランジスタ
619 容量素子
621 トランジスタ
622 トランジスタ
623 トランジスタ
624 容量素子
625 トランジスタ
9000 テーブル
9001 筐体
9002 脚部
9003 表示部
9004 表示ボタン
9005 電源コード
9033 留め具
9034 スイッチ
9035 電源スイッチ
9036 スイッチ
9038 操作スイッチ
9100 テレビジョン装置
9101 筐体
9103 表示部
9105 スタンド
9107 表示部
9109 操作キー
9110 リモコン操作機
9200 コンピュータ
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングデバイス
9630 筐体
9631 表示部
9631a 表示部
9631b 表示部
9632a 領域
9632b 領域
9633 太陽電池
9634 充放電制御回路
9635 バッテリー
9636 DCDCコンバータ
9637 コンバータ
9638 操作キー
9639 ボタン
図1
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