(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179526
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】メロン交雑種SVMH7844及びその親
(51)【国際特許分類】
A01H 5/00 20180101AFI20231212BHJP
A01H 5/08 20180101ALI20231212BHJP
A01H 5/10 20180101ALI20231212BHJP
A01H 6/34 20180101ALI20231212BHJP
C12N 5/04 20060101ALI20231212BHJP
A01H 4/00 20060101ALI20231212BHJP
A01H 1/02 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A01H5/00 Z
A01H5/08
A01H5/10
A01H6/34
C12N5/04
A01H5/00 A
A01H4/00
A01H1/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023155695
(22)【出願日】2023-09-21
(62)【分割の表示】P 2019019776の分割
【原出願日】2019-02-06
(31)【優先権主張番号】15/891,109
(32)【優先日】2018-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500195035
【氏名又は名称】セミニス・ベジタブル・シーズ・インコーポレイテツド
【氏名又は名称原語表記】Seminis Vegetable Seeds,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エム・ミルズ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】収量の増大、昆虫及び病原体に対する耐性、環境ストレスに対する耐性、ならびに栄養価の強化を含む、所望される形質を有するメロン植物を提供する。
【解決手段】メロン系統HDG-DV13-0198ANまたはメロン系統HDG-DV14-0202ANの染色体のうちの第1のセットを少なくとも含むメロン植物であって、前記系統の種子のサンプルがそれぞれATCC受託番号PTA-124716及びATCC受託番号PTA-124717下に受託されている、前記メロン植物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メロン系統HDG-DV13-0198ANまたはメロン系統HDG-DV14-0202ANの染色体のうちの第1のセットを少なくとも含むメロン植物であって、前記系統の種子のサンプルがそれぞれATCC受託番号PTA-124716及びATCC受託番号PTA-124717下に受託されている、前記メロン植物。
【請求項2】
請求項1に記載の植物を産生する、メロン種子。
【請求項3】
前記植物が前記メロン系統HDG-DV13-0198ANまたはメロン系統HDG-DV14-0202ANの植物である、請求項1に記載の植物。
【請求項4】
前記植物がメロン交雑種SVMH7844の植物であり、前記交雑種の種子のサンプルがATCC受託番号PTA-124647として受託されている、請求項1に記載の植物。
【請求項5】
前記種子が前記メロン系統HDG-DV13-0198ANまたはメロン系統HDG-DV14-0202ANの種子である、請求項2に記載の種子。
【請求項6】
前記種子がメロン交雑種SVMH7844の種子であり、前記交雑種の種子のサンプルがATCC受託番号PTA-124647として受託されている、請求項2に記載の種子。
【請求項7】
前記植物の細胞が植物部分に含まれる、請求項1に記載の植物の、前記植物部分。
【請求項8】
請求項1に記載の植物の全ての生理学的及び形態学的特徴を有する、メロン植物。
【請求項9】
請求項1に記載の植物の再生可能細胞の組織培養物。
【請求項10】
請求項1に記載のメロン植物を栄養繁殖させる方法であって、
(a) 請求項1に記載の植物から繁殖する機能を有する組織を収集する工程と、
(b) 前記組織からメロン植物を繁殖させる工程と、
を含む前記方法。
【請求項11】
メロン系統に形質を導入する方法であって、
(a) F1後代を作出する形質を具備するドナーメロン植物と前記植物とを交配することにより、請求項1に記載の植物を反復親として利用する工程と、
(b) 前記形質を具備するF1後代を選択する工程と、
(c) 前記選択されたF1後代を、工程(a)にて前記反復親として使用されたのと同じメロン系統の植物と戻し交配して、戻し交配後代を作出する工程と、
(d) 工程(a)にて使用された前記反復親メロン系統の形質と形態学的特徴と生理学的特徴とを含む戻し交配後代を選択する工程と、
(e) 工程(c)及び(d)を3回以上繰り返して、選択された第4以降の戻し交配後代を作出する工程と、
を含む前記方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法により作出される、メロン植物。
【請求項13】
請求項1に記載の植物に形質を付与する導入遺伝子を導入することを含む、付加された形質を具備するメロン植物を作出する方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法により作出される、メロン植物。
【請求項15】
メロン系統HDG-DV13-0198ANまたはメロン系統HDG-DV14-0202ANの染色体のうちの少なくとも第1のセットを含むメロン植物であって、前記系統の種子のサンプルがそれぞれATCC受託番号PTA-124716及びATCC受託番号PTA-124717として受託され、導入遺伝子を更に含む、前記メロン植物。
【請求項16】
前記導入遺伝子によって、雄性不稔性、除草剤耐性、耐虫性、病害抵抗性、修飾脂肪酸代謝、環境ストレス耐性、修飾炭水化物代謝、及び修飾タンパク質代謝からなる群から選択される形質が付与される、請求項15に記載の植物。
【請求項17】
メロン系統HDG-DV13-0198ANまたはメロン系統HDG-DV14-0202ANの染色体のうちの第1のセットを少なくとも含むメロン植物であって、前記系統の種子のサンプルがそれぞれATCC受託番号PTA-124716及びATCC受託番号PTA-124717下に受託され、単一遺伝子座変換を更に含む、前記メロン植物。
【請求項18】
前記単一遺伝子座変換によって、雄性不稔性、除草剤耐性、耐虫性、病害抵抗性、修飾脂肪酸代謝、環境ストレス耐性、修飾炭水化物代謝、及び修飾タンパク質代謝からなる群から選択される形質が付与される、請求項17に記載の植物。
【請求項19】
メロン交雑種SVMH7844、メロン系統HDG-DV13-0198AN、またはメロン系統HDG-DV14-0202ANのうちの少なくとも1つに由来するメロン植物の種子を作出する方法であって、
(a) 請求項1に記載のメロン植物をそれ自体または第2のメロン植物と交配させる工程と、
(b) 交雑種SVMH7844、系統HDG-DV13-0198AN、または系統HDG-DV14-0202AN由来のメロン植物の種子を形成させる工程と、
を含む前記方法。
【請求項20】
交雑種SVMH7844、系統HDG-DV13-0198AN、または系統HDG-DV14-0202AN由来のメロン植物の種子を作出する方法であって、
(a) 請求項1に記載のメロン植物とそれ自体または第2のメロン植物とを交配することによって作出された種子から交雑種SVMH7844、系統HDG-DV13-0198AN、または系統HDG-DV14-0202AN由来のメロン植物を産生する工程と、
(b) 交雑種SVMH7844、系統HDG-DV13-0198AN、系統HDG-DV14-0202AN由来のメロン植物をそれ自体または異なるメロン植物と交配させて、更に交雑種SVMH7844系統の種子HDG-DV13-0198AN、または系統HDG-DV14-0202AN由来のメロン植物を得る工程と、
を含む前記方法。
【請求項21】
工程(a)による植物を少なくとも1世代作出するための前記工程(b)からの種子を使用して、(a)及び(b)の前記作出及び交差工程を繰り返し、追加的な交雑種SVMH7844、系統HDG-DV13-0198AN、または系統HDG-DV14-0202AN由来のメロン植物の種子を作出する工程を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
メロン果実の作出方法であって、
(a) 前記植物が成熟するまで栽培されている、請求項1に記載の植物を得る工程と、
(b) 前記植物からメロン果実を収集する工程と、
を含む前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物育種の分野に関し、より具体的には、メロン交雑種SVMH7844ならびに近交系メロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANの開発に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜育種の目的は、所望される多様な形質を組み合わせて単一の品種/交雑種を作出することにある。そのような所望される形質としては、収量の増大、昆虫及び病原体に対する耐性、環境ストレスに対する耐性、ならびに栄養価の強化を含む、栽培者及び/または消費者にとって有益であると見なされる任意の形質を挙げることができる。
【0003】
育種技術は植物の受粉方法を利用する。一般的な受粉方法には、植物を自家受粉させる方法(1つの花由来の花粉を、同じ植物または植物品種の同じ花もしくは別の花に移入する場合)、ならびに植物を他家受粉させる方法(花粉を異なる植物品種の花に由来するものとした場合)2通りがある。
【0004】
自家受粉され、多くの世代にもわたって型に合わせて選択された植物は、ほとんど全ての遺伝子座においてホモ接合性になり、真の育種後代の均一な母集団、ホモ接合性植物を産生する。そのような遺伝子型の異なる2つのホモ接合植物間の交配によって、多くの遺伝子座に対してヘテロ接合である交雑種植物の均一な母集団が産生される。逆に言えば、各々が幾つかの遺伝子座にてヘテロ接合である2つの植物を交配させると、遺伝的に異なり均一ではない交雑種植物母集団が産生される。結果として不均一になった場合、パフォーマンスが予測不可能となる。
【0005】
均一品種を開発する際には、ホモ接合同系交配植物の開発、これらの同系交配植物の交配、及び交配を評価する必要がある。血統育種及び循環選択は、育種集団から近交系植物を開発するために使用されてきた育種方法の例である。これらの育種方法は、自家受粉、及び所望される表現型の選択によって、2つ以上の植物または他の様々な広域供給源からの遺伝的背景を組み合わせて育種プールに一体化し、その育種プールから新規な系統及びそれに由来する交雑種を開発するものである。新規な系統及び交雑種のうち商業的可能性のある方を特定することを目的に、これらの評価が行われる。
【発明の概要】
【0006】
一態様において、本発明では、SVMH7844、メロン系統HDG-DV13-0198ANまたはメロン系統HDG-DV14-0202ANと命名された交雑種のメロン植物が提供されているだけでなく、そのような植物の全ての生理学的及び形態学的特徴を有するメロン植物も提供されている。提供されているこれらのメロン植物の一部としては、例えば、植物の花粉、胚珠、接ぎ穂、台木、果実及び細胞が挙げられる。
【0007】
本発明の別の態様では、追加的な遺伝形質を具備するメロン交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANの植物が提供されている。遺伝形質は、例えば、優性または劣性対立遺伝子である遺伝的座位を含みうる。本発明の一実施形態において、メロン交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANの植物は、単一遺伝子座変換を含むものとして定義される。本発明の特定の実施形態では、付加された遺伝的座位によって、例えば、除草剤耐性、耐虫性、耐病性、及び修飾炭水化物代謝などの、1つ以上の形質が付与される。更なる実施形態において、形質は、戻し交配によって系統のゲノムに導入された天然起源の遺伝子、自然突然変異、誘発突然変異または遺伝的な形質転換技術を介して、植物中にまたはその前世代の前駆体中に導入された導入遺伝子によって付与されうる。遺伝的座位は、形質転換を介して導入された場合、単一の染色体位置に組み込まれた1つ以上の遺伝子を含みうる。
【0008】
また、本発明は、メロン交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANの種子にも関する。本発明のメロン種子は、メロン交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANのメロン種子の本質的に均一な母集団として提供されうる。本質的に均一な種子母集団は概ね、相当な数の他の種子を含まない。したがって、幾つかの実施形態において、交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANの種子は、総種子の少なくとも約97%(少なくとも約98%、99%以上の種子など)を形成すると定義されうる。種子母集団を別々に生育させて、SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANと命名された、本質的に均一なメロン植物母集団を得ることができる。
【0009】
本発明の更に別の態様では、交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANのメロン植物の、再生可能細胞の組織培養物が提供されている。組織培養物は、出発植物の全ての生理学的及び形態学的特徴を発現する機能を有するメロン植物を再生できると共に、出発植物と実質的に同じ遺伝子型を有する植物を再生できるものであることが好ましい。交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANの、生理学的及び形態学的特徴の幾つかの例としては、本明細書中の表に記載されている形質が挙げられる。そのような組織培養物中の再生可能細胞は、例えば、胚、分裂組織、子葉、花粉、葉、葯、根茎、根端、雌しべ、花、種子及び茎に由来するものでありうる。なお更に、本発明は、本発明の組織培養物から再生されたメロン植物を提供するものであり、本植物は、交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANの、全ての生理学的及び形態学的特徴を有する。
【0010】
本発明のなお更に別の態様では、メロン種子、植物及び果実を作出するためのプロセスが提供されている。本プロセスは一般に、第1の親メロン植物と第2の親メロン植物とを交配することを含み、第1または第2の親メロン植物のうちの少なくとも一方は、メロン系統HDG-DV13-0198ANまたはメロン系統HDG-DV14-0202ANの植物である。これらのプロセスは、交雑種メロン種子または植物を調製するプロセスとして更に例示しうる。本プロセスでは、第1のメロン植物を、異なる別個の遺伝子型の第2のメロン植物と交配することによって、メロン系統HDG-DV13-0198AN、またはメロン系統HDG-DV14-0202ANの植物をその親の1つとして有する、交雑種が提供される。これらのプロセスでは、交配の結果として種子が産生される。種子の産生は、種子を収集するかどうかに関係なく為される。
【0011】
本発明の一実施形態において、「交配」における第1の工程は、例えば、昆虫ベクターの媒介による受粉が起こるように、第1及び第2の親メロン植物の種子を、多くの場合は近接して播種することを含む。代替的に、花粉を手動で移送してもよい。植物を自家受粉とした場合、植物栽培以外の直接的なヒトの介入を必要とすることなしに、受粉が起こりうる。
【0012】
第2の工程に、第1及び第2の親メロン植物の種子を、花を咲かせる植物に栽培することまたは成長させることを含めてもよい。第3の工程に、花の雄しべを取り除く(すなわち、花粉の殺滅または除去)などの手段により植物の自家受粉を防ぐことを含めてもよい。
【0013】
交雑種交配のための第4の工程に、第1の親メロン植物と第2の親メロン植物との間で他家受粉することを含めてもよい。更に別の工程は、親メロン植物のうちの少なくとも1つから種子を収穫することを含む。収穫された種子を成長させて、メロン植物または交雑種メロン植物を産生できる。
【0014】
本発明はまた、第1または第2の親メロン植物の少なくとも一方を、メロン交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANの植物とした、第1の親メロン植物と第2の親メロン植物とを交配することを含むプロセスによって作出された、メロン種子及び植物を提供するものである。本発明の一実施形態において、本プロセスによって作出されるメロン種子及び植物は、本発明による植物をもう1つの別個の植物と交配することによって作出される、第一世代(F1)の交雑種メロン種子及び植物である。本発明は更に、そのようなF1交雑種メロン植物の植物部分、及びその使用方法が想到される。したがって、本発明の或る例示的な実施形態は、F1交雑種メロン植物及びその種子を提供するものである。
【0015】
なお更に別の態様において、本発明は、交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANに由来する植物を作出する方法を提供する。本方法は、(a)交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANに由来する後代植物を調製する工程において、交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANの植物を第2の植物と交配することを含む、前記調製工程と、(b)後代植物をそれ自体または第2の植物と交配させて後続の後代植物の種子を作出する工程と、を含む。更なる実施形態において、本方法に、(c)次世代の後代植物の前記種子から次世代の後代植物を栽培し、次世代の後代植物をそれ自身または第2の植物と交配すること、追加的な3~10世代のために工程を繰り返して、交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANに由来する植物を産生することと、を更に含めてもよい。交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANに由来する植物は、同系統交配系統である場合があり、前述の反復交配工程は、近交系が作出される程度に十分な同系統交配を含むものとして定義しうる。本方法では、工程(b)及び(c)に従って継続的に交配する工程(c)から生じる特定の植物を選択することが所望される場合がある。1つ以上の所望される形質を有する植物を選択することによって、交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANに由来する植物で、系統/交雑種の所望される形質ならびに潜在的に他の選択された形質の幾つかを所有している植物が得られる。
【0016】
或る実施形態において、本発明は、(a)成熟するまで栽培されている、メロン交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANの植物を得ることと、(b)植物から少なくとも1つのメロンを採取することと、を含む、食料または飼料の作出方法を提供するものである。
【0017】
本発明のなお更に別の態様では、メロン交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANの遺伝的相補体が提供されている。「遺伝的相補体」という語句は、ヌクレオチド配列の集合体を指すために使用されており、この場合、その配列の表現では、メロン植物、またはその植物の細胞もしくは組織の表現型を定義する。したがって、遺伝的相補体は、細胞、組織または植物の遺伝的構成を表し、交雑種の遺伝的相補体は、交雑種細胞、組織または植物の遺伝的構成を表す。したがって、本発明は、本明細書に開示されているメロン植物細胞に準ずる遺伝的相補体を有するメロン植物細胞、ならびにそのような細胞を含む種子及び植物を提供するものである。
【0018】
植物の遺伝的相補体は、遺伝的マーカープロファイルによって、及び遺伝的相補体の発現に特徴的な表現型形質、例えばアイソザイムタイピングプロファイルの発現によって評価できる。交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANは、例えば単純配列長多型(SSLP)(Williams et al.,Nucleic Acids Res.,1 8:6531-6535,1990)、ランダム増幅多型DNA(RAPD)、DNA増幅フィンガープリンティング(DAF)、配列特性化増幅領域(SCAR)、任意のプライマーポリメラーゼ連鎖反応(AP-PCR)、増幅断片長多型(AFLP)(具体的には、その全体が参照により本明細書に援用されているEP 534 858)、ならびに一塩基多型(SNP)(Wang et al.,Science,280:1077-1082,1998)のような多くの周知の技術のいずれかによって同定できることが理解されている。
【0019】
なお更に別の態様において、本発明は、メロン植物細胞、組織、植物、及び種子によって表されるような交雑種遺伝的相補体を提供する。この交雑種遺伝的相補体は、本発明のメロン植物の一倍体遺伝的相補体と、第2のメロン植物の一倍体の遺伝的相補物、好ましくはもう1つの別個のメロン植物との組み合わせによって形成される。別の態様において、本発明は、本発明の交雑種遺伝的相補体を含む、組織培養物から再生されたメロン植物を提供する。
【0020】
本明細書中で本発明の一態様に関して考察された任意の実施形態は、特に注記がない限り、本発明の他の態様にも同様に適用される。
【0021】
「約(about)」という用語が使用されている場合、値が、その値を特定するために用いられるデバイスまたは方法の平均値の標準偏差を含むことを示す。特許請求の範囲において「または(or)」という用語が使用されている場合、代替物のみを指すことが明示的に示されていない限り、あるいは代替物が相互に排他的である場合を除き、「及び/または(and/or)」を意味する。特許請求の範囲において「a(1つの)」及び「an(1つの)」という単語は、「含む」という用語または他のオープンランゲージと共に使用されている場合、別途注記がない限り、「1つ以上の」を意味する。「を含む(comprise)」、「を有する(have)」及び「を包含する(include)」という用語は、非限定的(open-ended)な連結動詞(Linking Verb)である。これらの動詞のうちの1つ以上の任意の形態または時制、例えば「を含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「を有する(has)」、「有する(having)」、「を包含する(includes)」及び「包含する(including)」も同様に、非限定的である。例えば、1つ以上の工程を「含む(comprises)」、「有する(has)」または「包含する(includes)」任意の方法は、それら1つ以上の工程を所有することだけに限らず、他の列挙されていない工程もまた網羅する。同様に、1つ以上の形質を「含む(comprises)」、「有する(has)」または「包含する(includes)」任意の植物は、それら1つ以上の形質を所有することだけに限らず、他の列挙されていない形質もまた網羅する。
【0022】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細説明から明白になるであろう。しかしながら、本発明の特定の実施形態を示すが、提供されている詳細説明及び任意の特定の実施例は、あくまで例証としてのみ与えられているに過ぎないことを理解すべきである。なぜなら、この詳細説明から、本発明の趣旨及び範囲内に様々な変更及び修正が含まれることが、当業者にとって明らかになるであろうからである。
【0023】
発明の詳細な説明
本発明は、メロン交雑種SVMH7844、メロン系統HDG-DV13-0198AN及びメロン系統HDG-DV14-0202ANの、植物、種子及び誘導体に関する方法ならびに組成物を提供するものである。
【0024】
16-DV-HDG-4407としても知られるメロン交雑種SVMH7844は、交雑種AC252と外観の似たハネデュータイプの品種であるが、比較的ブリックス値を高め且つ圃場における保持期間が長期化されている。交雑種SVMH7844は、オーストラリア、ホンジュラス、グアテマラ、メキシコ及びアメリカ合衆国において育生状況に適応している。
【0025】
A.メロン交雑種SVMH7844の起源及び育種歴
交雑種SVMH7844の親は、HDG-DV13-0198ANとHDG-DV14-0202ANである。親系統は、その親系統から作出された交雑種と同様に、均一かつ安定である。繰り返し乗算の過程において、ほとんど全ての特性に対して商業的に許容される限度内において僅かな比率で変種が発生する可能性はあるが、亜種は全く予期されない。
【0026】
B.メロン交雑種SVMH7844、メロン系統HDG-DV13-0198AN及びメロン系統HDG-DV14-0202ANの、生理学的ならびに形態学的特性
本発明の一態様によれば、メロン交雑種SVMH7844の生理学的及び形態学的特徴を有する植物、及びその親系統が提供される。そのような植物の生理学的及び形態学的特徴の説明は、表1~3に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
これらは典型的な値であり、値は環境によって異なりうる。実質的に等価な値は、本発明の範囲内にある。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
これらは典型的な値であり、値は環境によって異なりうる。実質的に等価な値は、本発明の範囲内にある。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
これらは典型的な値であり、値は環境によって異なりうる。実質的に等価な値は、本発明の範囲内にある。
【0027】
C.メロンの育種
本発明の一態様は、交配メロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANを含む、メロン交雑種SVMH7844の種子を作出する方法に関する。代替的に、本発明の他の実施形態において、交雑種SVMH7844、系統HDG-DV13-0198AN、または系統HDG-DV14-0202ANは、それ自体または任意の第2の植物と交配される場合もある。そのような方法を用いて、交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANの増殖することも、あるいは交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANから誘導される植物を用いて作出することもできる。或る実施形態において、交雑種SVMH7844及び/またはメロン系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANに由来する植物を使用して、新規なメロン品種の開発することが可能である。
【0028】
1種以上の出発品種を用いた新品種の開発は、当該技術分野において周知である。本発明によれば、そのような周知の方法により交雑種SVMH7844を交配し、続いて複数世代を育種することによって、新品種を創出できる。新品種は、任意の第2の植物と交配することによって創出できる。そのような第2の植物を、新規な系統を開発することを目的に、交配させる対象として選定する際には、それ自体が1つ以上の選択された所望される特徴を呈する植物、または交雑種組み合わせの場合に所望される特徴を呈する植物を選択することが所望される場合がある。いったん初期交配が為されると、近親交配及び選択によって新品種が作出される。均一系統を開発する際には、多くの場合、5世代以上の自家受粉及び選択を伴う。
【0029】
また、均一系統の新種も倍加半数体によって開発できる。この技術によって、数世代にもわたる自家受粉及び選択を必要とせずに真の育種系統の創出が可能となり、このようにして、真の育種系統を僅か1世代で作出できる。一倍体胚は、小胞子、花粉、葯培養物、または卵巣培養物から作出できる。次いで、その一倍体胚を、自律的にまたは化学的処理(例えばコルヒチン処理)によって倍増させてもよい。代替的に、一倍体胚を一倍体植物に成長させ、染色体倍加が誘導されるように処理してもよい。いずれの場合も、稔性のホモ接合植物が得られる。本発明によれば、そのような技術のいずれかが本発明の植物、及びその後代に関連して使用して、ホモ接合系統を達成できる。
【0030】
また、戻し交配によって近交系植物を改良することも可能である。戻し交配は、1つの近交系または非近交系の供給源から、その形質を欠く近交系に特定の所望される形質を移入する。これは、例えば、まず優良近交系(A)(反復親)を、問題の形質に対して適切な遺伝子座または遺伝子座を保有するドナー近交系(非反復親)と交配させることによって、達成できる。その後、この交配の後代を優勢な反復親(A)と交配させ、続いて非反復親から移入する所望の形質に対して得られる後代を選択する。戻し交配を5回以上行って関心対象の形質が選択された後、後代は、特性を移入されたとしても、他のほとんどのまたはほぼ全ての遺伝的座位に対して優良な親であると思われる。最後の戻し交配世代を自家受粉することによって、移入される形質に対して純粋な育種後代が与えられる。
【0031】
本発明の植物は、植物の遺伝的背景の精鋭的性質に基づいて新規な系統を開発するのに特によく適している。第2の植物を、新規のメロン系統を開発することを目的に、SVMH7844及び/またはメロンラインHDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANと交配させる対象として選定する際には、それ自体が1つ以上の選択された所望される特徴を呈する植物、または交雑種組み合わせの場合に所望される特徴を呈する植物を選択するのが好ましい。特定の実施形態において、所望される形質の例としては、種子収量、種子発芽、実生の活力、果実収量、耐病性または抵抗性を高量としたこと、土壌及び気候条件への適応性に優れること、ならびに果実の熟成を長期化したことを挙げることができる。果実の形状、色、食感、及び味などの消費者向け形質は、本発明によって開発されたメロン植物の新規な系統に組み込める他の形質の例である。
【0032】
D.本発明の更なる実施形態
本発明の或る態様において、本明細書に記載の植物は、少なくとも第1の所望される遺伝的形質を具備するように改質されて提供される。一実施形態において、そのような植物の開発を可能にしているのが、戻し交配と呼称される植物育種技術である。この植物育種技術によって、或る品種の本質的に全ての形態学的及び生理学的特徴だけでなく、戻し交配技術を介してその品種に導入された遺伝的座位も回復される。本明細書中に用いられている単一遺伝子座変換植物という用語は、戻し交配と呼称される植物育種技術によって開発されるメロン植物を指す。この植物育種技術によって、或る品種の本質的に全ての形態学的及び生理学的特徴だけでなく、戻し交配技術を介してその品種に導入された単一遺伝子座も回復される。本質的に全ての形態学的及び生理学的特徴とは、戻し交配中または導入遺伝子の直接的導入中に時折発生しうる変種形質のほか、同じ環境において比較した場合にそれ以外の手段で存在する植物の特徴も回復されることを意味する。
【0033】
戻し交配法を本発明と共に使用することによって、本品種の特性を改良または導入することが可能である。所望される特徴の遺伝子座に寄与する親メロン植物は、非反復親またはドナー親と呼称される。この用語は、非反復親が戻し交配プロトコルにおいて1回使用されるため再帰しないという事実を指す。非反復親に由来する1つ以上の遺伝子座の移入先となる親メロン植物は、数回にわたる戻し交配プロトコルに使用されることから、反復親として知られる。
【0034】
典型的な戻し交配プロトコルでは、関心対象の元品種(反復親)は、移入先となる単一の関心対象の遺伝子座を保有する第2の品種(非反復親)と交配される。この交配から得られた後代は、次いで、反復親に再度交配され、続いて、メロン植物が得られるまでこのプロセスが繰り返され、非反復親からの単一移入遺伝子座だけでなく、反復親の本質的に全ての形態学的及び生理学的特徴も、転換植物において回復される。
【0035】
適切な反復親の選択は、戻し交配手順を成功させるための重要な工程である。戻し交配プロトコルの目的は、元品種の単一形質もしくは特性を変更または置換することにある。これを達成するため、元品種の、残りの所望される遺伝的、ひいては所望される生理学的及び形態学的構成を実質的に保持しながら、反復品種の単一遺伝子座を非反復親からの所望される遺伝子座で修飾または置換する。特定の非反復親の選択は戻し交配の目的によって異なり、主要な目的の1つは、植物に商業的に所望される特性を追加することにある。正確な戻し交配プロトコルは、改変される対象となる特性または形質、及び反復親と非反復親との間の遺伝的距離に応じて異なる。移入される特徴が優性対立遺伝子である場合、戻し交配法が単純化されるが、劣性対立遺伝子、または(対立遺伝子と優性遺伝子との間の)付加的な対立遺伝子も同様に、移入することが可能である。この場合、所望される特性の移入が成功したかどうかを判断することを目的とした、後代の試験を導入する必要のある場合がある。
【0036】
一実施形態において、本明細書に記載の植物が反復親である戻し交配の後代メロン植物は、(i)非反復親に由来する所望される形質と、(ii)同じ環境条件において育成された場合に、5%の有意水準で決定される反復親のメロンの全ての生理学的及び形態学的特徴と、を含む。
【0037】
3つ以上の親を基にして、新品種を開発することもできる。改変戻し交配として公知となっている技術では、戻し交配中に、異なる反復親が使用される。改変戻し交配を用いて、元の反復親を、より所望される或る特性を有する品種で置き換えることも、複数の親を使用して各親から異なる所望される特性を得ることも可能である。
【0038】
特定の形質に関連する分子マーカーの開発により、本明細書に表されるように、確立された生殖系統に対し更なる形質を追加することが可能であり、1つまたは複数の新規の形質を追加することによって、最終結果は実質的に同じベース生殖細胞質である。例えばMoose及びMumm,2008(Plant Physiol.,147:969-977)、及び他の文献に記載されているような分子育種は、単一または複数の形質またはQTLをエリート系統に統合するためのメカニズムを提供する。1つまたは複数の形質の、エリート系統へのこの分子育種促進移動は、隣接アッセイまたは関連マーカーアッセイを使用して、統合ゲノム断片の同定メカニズムを介して、関心対象の特定形質に関連する特定のゲノム断片をエリート系統内に組み込むことを包含しうる。本明細書中の代表的な実施形態では、例えば、1つ、2つ、3つまたは4つのゲノム遺伝子座を、この方法によってエリート系統に統合できる。追加的な遺伝子座を含むこのエリート系統を別の親エリート系統と更に交配させて交雑種後代を作出する際には、少なくとも8つの別々の追加的な遺伝子座を交雑種に組み込むことが可能である。これらの追加的な遺伝的座位によって、例えば、病害抵抗性または果実品質形質などの形質を付与することが可能となる。一実施形態において、各遺伝的座位によって別々の形質を付与することが可能である。別の実施形態において遺伝子座は、交雑種内の形質を付与するためには、ホモ接合であり、且つ各親系統内に存在する必要のある場合がある。更に別の実施形態では、複数の遺伝子座を組み合わせることによって、所望される形質の単一の堅牢な表現型を付与することができる。
【0039】
新規な近交系の開発において定期的には選択されていないが戻し交配技術によって改良することの可能な単一遺伝子座形質は、数多く同定されてきた。単一遺伝子座形質は、トランスジェニックであってもなくてもよい。これらの形質の例としては、限定されるものではないが、除草剤耐性、細菌性、真菌性もしくはウイルス性疾患に対する耐性、昆虫耐性、修飾脂肪酸または炭水化物代謝、及び栄養価の改変が挙げられる。これらは一般に、核を通して継承された遺伝子を含む。
【0040】
単一遺伝子座が優性形質として作用する場合には、直接的な選択を適用することができる。この選択プロセスでは、戻し交配に先立って、初期交配後代をウイルス耐性及び/または対応する遺伝子の有無に関してアッセイする。植物のうち、所望の遺伝子及び耐性形質を有さないものは選択によって排除されるため、後続の戻し交配では、その形質を有する植物のみが使用される。その後、このプロセスを、全ての追加的な戻し交配世代に対して繰り返す。
【0041】
育種対象となるメロン植物の選択は、必ずしも植物の表現型に依存するとは限らず、代わりに遺伝的調査に基づくものとしても差し支えない。例えば、関心対象の形質に対し遺伝的に密接に関連する、適切な遺伝的マーカーを利用することもできる。これらのマーカーのうちの1つを、特定の交配後代における形質の有無を識別する際に使用することもできるし、継続的な育種の対象となる後代を選択する際に使用することもできる。この技術は一般に、マーカー支援選択と呼称される。植物における関心対象の形質の相対的な存在もしくは非存在を同定することが可能な他の任意の種類の遺伝的マーカーまたは他のアッセイもまた、育種目的に有用でありうる。当該技術分野では、マーカー支援選択の手順が周知となっている。そのような方法が特に有用とされるのは、劣性形質及び可変表現型の場合、あるいは従来のアッセイがコスト高であるか、時間がかかるか、またはさもなければ不利益となる可能性のある場合である。本発明に従って使用できる遺伝子マーカーの種類としては、例えば単純配列長多型(SSLP)(Williams et al.,Nucleic Acids Res.,1 8:6531-6535,1990)、ランダム増幅多型DNA(RAPD)、DNA増幅フィンガープリンティング(DAF)、配列特性化増幅領域(SCAR)、任意のプライマーポリメラーゼ連鎖反応(AP-PCR)、増幅断片長多型(AFLP)(具体的には、その全体が参照により本明細書に援用されているEP 534 858)、ならびに一塩基多型(SNP)(Wang et al.,Science,280:1077-1082,1998)が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0042】
E.遺伝子工学によって誘導される植物
戻し交配によって、ならびに直接的に、植物に対し導入することの可能な有用な形質の多くは、分子遺伝学的方法により導入されるものである。そのような方法としては、限定されないが、多様な植物形質転換技術及び部位特異的組換え方法が挙げられる。これら技術及び方法の使用は当該技術分野において周知となっており、例えば、とりわけCRISPR-Cas系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)が挙げられる。
【0043】
本発明の一実施形態において遺伝的形質転換は、選択された導入遺伝子を本発明の植物に挿入するのに使用される場合もあれば、あるいは代替的に、戻し交配により導入できる導入遺伝子を調製するのに使用される場合もある。多くの作物種に適用可能な植物の形質転換方法で、当業者に周知となっている方法としては、限定されるものではないが、電気穿孔法、マイクロプロジェクタイル衝撃、アグロバクテリウムの媒介による形質転換、及びプロトプラストによる直接的なDNA取り込みが挙げられる。
【0044】
電気穿孔法による形質転換を遂行する際には、細胞の懸濁培養物または胚形成カルスのような脆弱な組織を使用してもよいし、あるいは代替的に、未熟胚または他の組織化された組織を直接的に形質転換してもよい。この技術では、選択された細胞の細胞壁を、ペクチン分解酵素(ペクトリアーゼ)に曝すか、または機械的に創傷組織を制御された方法で部分的に分解する。
【0045】
形質転換DNAセグメントを植物細胞に送達するための効率的な方法が、マイクロプロジェクタイル衝撃である。この方法では、粒子を核酸でコーティングし、推進力によって細胞内に送達する。例示的な粒子としては、タングステン、白金、及び好ましくは金からなるものが挙げられる。衝撃を受ける対象となる懸濁液中の細胞を、フィルターまたは固体培地上で濃縮する。代替的に、未熟胚または他の標的細胞を、固体培地上に配置できる。衝撃を受ける対象となる細胞は、マクロ発射体停止プレート下の適切な距離に位置づけられる。
【0046】
植物細胞にDNAを加速させて送達するための方法の例示的な実施形態は、Biolistic粒子送達システムである。この粒子送達システムを使用して、DNAまたは細胞で被覆された粒子を、ステンレス鋼スクリーンまたはNytexスクリーンなどのスクリーンを通して、標的細胞で覆われた表面上に推進することが可能である。スクリーンに通した粒子は、大きな凝集体として受容細胞に送達されないように分散する。マイクロプロジェクタイル衝撃技術は広く適用可能となっており、事実上あらゆる植物種を形質転換するのに使用できる。
【0047】
アグロバクテリウムの媒介による移入は、遺伝子座を植物細胞に導入するための、別の広く適用可能な系である。この技術の利点は、DNAを植物組織全体に導入することによって、原形質体から無傷の植物を再生する必要性を回避できるという点にある。現代のアグロバクテリウム形質転換ベクターは、E.coliにおいてだけでなくアグロバクテリウムにおいても複製機能を有し、好都合な操作を可能にしている(Klee et al.,Nat.Biotechnol.,3(7):637-642,1985)。そのうえ、アグロバクテリウムの媒介による遺伝子導入用ベクターにおける最近の技術的進歩に伴い、ベクター内の遺伝子及び制限部位の配置が改善され、多様なポリペプチドコーディング遺伝子を発現する機能を有するベクターの構築が促進されてきた。記載されたベクターは、プロモーターに隣接した好都合なマルチリンカー領域と、挿入されたポリペプチドコーディング遺伝子の直接的発現用のポリアデニル化部位と、を有する。追加的に、武装及び非武装Ti遺伝子の両方を含むアグロバクテリウムを、形質転換の目的に使用することもできる。
【0048】
アグロバクテリウムの媒介による形質転換が効率的に為される植物株において、遺伝子座移入が容易で且つ明確であるという性質を備えることから、これは最適な選択法である。植物細胞にDNAを導入するためのアグロバクテリウムの媒介による植物組込みベクターの使用は、当該技術分野において周知である(Fraley et al.,Nat.Biotechnol.,3:629-635,1985;U.S.Pat.5,563,055号)。
【0049】
また、植物プロトプラストの形質転換を、リン酸カルシウム沈殿、ポリエチレングリコール処理、電気穿孔法、及びこれらの処理の組み合わせに基づく方法を用いて遂行することもできる(例えば、Potrykus et al.,Mol.Gen.Genet.,199:183-188,1985;Omirulleh et al.,Plant Mol.Biol.,21(3):415-428,1993;Fromm et al.,Nature,312:791-793,1986;Uchimiya et al.,Mol.Gen.Genet.,204:204,1986;Marcotte et al.,Nature,335:454,1988)。植物の形質転換及び外来遺伝要素の発現は、Choi et al.(Plant Cell Rep.,13:344-348,1994)及びEllul et al.(Theor.Appl.Genet.,107:462-469,2003参照)に例示されている。
【0050】
幾つかのプロモーターは、選択マーカー、スコア可能なマーカー、害虫耐性、病害抵抗性、栄養強化に対応した遺伝子、及び他の農学的関心対象の遺伝子を含むがこれらに限定されない、関心対象の任意の遺伝子に対する植物遺伝子の発現に有用である。植物遺伝子の発現に有用な構成的プロモーターの例としては、限定されるものではないが、単子葉植物(例えば、Dekeyser et al.,Plant Cell,2:591,1990;Terada及びShimamoto,Mol.Gen.Genet.,220:389,1990参照)などのほとんどの植物組織において構成的で高レベルの発現を付与するカリフラワーモザイクウイルス(CaMV) P-35Sプロモーター(例えば、Odel et al.,Nature,313:810,1985参照);縦列重複バージョンのCaMV35Sプロモーターである拡張型35Sプロモーター(P-e35S);ノパリン型シンターゼプロモーター(An et al.,Plant Physiol.,88:547,1988);オクトピンシンターゼプロモーター(Fromm et al.,Plant Cell,1:977,1989);及びU.S.Pat.5,378,619号に記載されているゴマノハグサモザイクウイルス(P-FMV)プロモーター、及びP-FMVプロモーター配列が縦列に重複した、拡張バージョンのFMVプロモーター(P-eFMV);カリフラワーモザイクウイルス19Sプロモーター;サトウキビ桿菌ウイルスプロモーター;黄斑点ウイルスプロモーター;ならびに植物細胞内で発現することが公知となっている他の植物DNAウイルスプロモーターが挙げられる。
【0051】
環境シグナル、ホルモンシグナル、化学シグナル、及び/または生長シグナルに応答して調節される様々な植物遺伝子プロモーターとしては、例えば、(1)熱(Callis et al.,Plant Physiol.,88:965,1988)、(2)光(例えば、マメのrbcS-3Aプロモーター、Kuhlemeier et al.,Plant Cell,1:471,1989;トウモロコシのrbcSプロモーター、Schaffner及びSheen,Plant Cell,3:997,1991;またはクロロフィルa/b結合タンパク質プロモーター、Simpson et al.,EMBO J.,4:2723,1985)、(3)アブシジン酸などのホルモン(Marcotte et al.,Plant Cell,1:969,1989)、(4)創傷(例えば、wunl,Siebertz et al.,Plant Cell,1:961,1989);あるいは(5)ジャスモン酸メチル、サリチル酸、または毒性緩和剤などの化学物質によって調節されるプロモーターが挙げられる。これらのプロモーターを使用して、植物細胞内で作動可能に連結された遺伝子を発現させることが可能である。また、器官特異的プロモーターを使用することも有利である場合がある(例えば、Roshal et al.,EMBO J.,6:1155,1987;Schernthaner et al.,EMBO J.,7:1249,1988;Bustos et al.,Plant Cell,1:839,1989)。
【0052】
本発明の植物に導入できる例示的な核酸としては、例えば、DNA配列もしくは他の種由来の遺伝子、更には同じ種に由来するもしくは同種に存在するが古典的な繁殖技術または育種技術でなく寧ろ遺伝子工学的方法を介して受容細胞に組み込まれる、遺伝子または配列さえも挙げられる。しかしながら、「外因性」という用語はまた、形質転換される細胞内に通常は存在しない遺伝子、形質転換DNAセグメントまたは遺伝子に見られるような構造などの形態ではおそらく単に存在しない遺伝子、または通常存在する遺伝子であって、天然の発現パターンとは異なる様式で発現させること、例えば過剰発現させることが所望される遺伝子を指すことを意図している。ゆえに、「外因性」遺伝子またはDNAという用語は、そのような細胞内に類似の遺伝子が既に存在しているかどうかにかかわらず、受容細胞内に導入される任意の遺伝子またはDNAセグメントを指すことを意図している。外因性DNAに含まれるDNAの種類は、植物細胞中に既に存在するDNA、他の植物由来のDNA、異なる生物由来のDNA、あるいは外部で生成されたDNA、例えば、遺伝子のアンチセンスメッセージを含むDNA配列、または合成もしくは修飾バージョンの遺伝子をコードするDNA配列を挙げることができる。
【0053】
公知の遺伝子は数千種類ではないにしても数百種類にも及んでおり、本発明に従ってメロン植物体に導入することが可能となっている。メロン植物内に導入される対象として選択できる特定の遺伝子及び対応する表現型の例としては、限定されるものではないが、昆虫耐性に対応した遺伝子、例えばバチルスチューリンゲンシス(B.t.)遺伝子;害虫耐性に対応した遺伝子、例えば真菌病害防除に対応した遺伝子;除草剤耐性に対応した遺伝子、例えばグリホサート耐性を付与する遺伝子;ならびに収量、栄養強化、環境もしくはストレス耐性などの品質改良、または植物の生理機能、成長、生長、形態もしくは植物産物における任意の所望される変化に対応した遺伝子のうちの1種以上が挙げられる。例えば、構造遺伝子は、その全体が本明細書において参照により援用されているWO99/31248号、その全体が本明細書において参照により援用されているU.S.Pat.5,689,052号、その全体が本明細書において参照により援用されているU.S.Pat.5,500,365号及び同5,880,275号に記載されているバチルス昆虫制御タンパク質遺伝子を含むがこれに限定されない、昆虫耐性を付与する任意の遺伝子を含むであろう。別の実施形態では、その全体が本明細書において参照により援用されているU.S.Pat.5,633,435号に記載されている、アグロバクテリウム株CP4グリホサート耐性EPSPS遺伝子(aroA:CP4)、またはその全体が本明細書において参照により援用されているU.S.Pat.5,463,175号に記載されている、グリホサート酸化還元酵素遺伝子(GOX)を含むがこれらに限定されない、遺伝子によって付与される、除草剤グリホサートに対する耐性を構造遺伝子によって付与することが可能である。
【0054】
代替的に、DNAコード配列は、例えばアンチセンスまたは共抑制によるメカニズムを介して、内在性遺伝子の発現の標的抑制を引き起こす翻訳不可能なRNA分子をコードすることによって、これらの表現型に影響を及ぼす可能性がある(例えば、Bird et al.,Biotech.Gen.Engin.Rev.,9:207,1991参照)。また、RNAは所望される内在性mRNA産物を切断するように操作された触媒的RNA分子(すなわち、リボザイム)でありうる(例えば、Gibson及びShillito,Mol.Biotech.,7:125,1997参照)。したがって、関心対象の表現型もしくは形態変化を発現するタンパク質またはmRNAを産生する任意の遺伝子が、本発明の実施に有用とされる。
【0055】
F.定義
本明細書の説明及び表中には、幾つかの用語が用いられている。明細書及び特許請求の範囲を明確に且つ終始一貫して理解できるように、以下の定義が提供されている。
【0056】
対立遺伝子:全ての対立遺伝子が1つの形質または特性に関連する、遺伝的座位における1つ以上の代替形態のうちのいずれか。二倍体細胞または生物において、一対の相同染色体上の対応する遺伝子座は、所与の遺伝子の2つの対立遺伝子で占有される。
【0057】
戻し交配:育種者が交雑種後代、例えば第一世代雑種(F1)を何度も交配して、交雑種後代の親のうちの一方に戻るプロセス。戻し交配は、1つの遺伝的背景から別の遺伝的背景への1つ以上の単一遺伝子座変換を導入するために使用できる。
【0058】
交配:2つの親植物を交配させること。
【0059】
他家受粉:異なる植物からの2つの配偶子の雌による受精。
【0060】
二倍体:2組の染色体を有する細胞または生物。
【0061】
除雄:植物の雄性器官の除去、あるいは細胞質もしくは核の遺伝的因子、または雄性不稔性を付与する化学物質を使用することによる、器官の不活性化。
【0062】
酵素:生物学的反応において触媒として作用できる分子。
【0063】
F1交雑種:2つの非同系植物間の交配の、第一世代後代。
【0064】
遺伝子型:細胞または生物の遺伝的構成。
【0065】
一倍体:二倍体における2組の染色体のうち1組を有する、細胞または生物。
【0066】
連鎖:同じ染色体上の対立遺伝子の伝播が独立している場合、偶然に予期されるよりも頻繁に一斉に分離する傾向のある現象。
【0067】
マーカー:好ましくは共優性様式で遺伝し、環境分散成分なし(すなわち遺伝率が1)である、易検出性の(二倍体ヘテロ接合体における遺伝子座の両方の対立遺伝子を容易に検出できる)表現型。
【0068】
表現型:遺伝子の発現の顕在化を特徴とする、細胞または生物の検出可能特性。
【0069】
量的形質遺伝子座(QTL):量的形質遺伝子座(QTL)とは、通常連続的に分布している数値表現可能な形質を或る程度まで制御する、遺伝子座を指す。
【0070】
耐性:本明細書において、「抵抗性」及び「耐性」という用語は、特定の生物的害虫、病原体、非生物的影響または環境条件に対する兆候を示さない植物を示すために、互換的に用いられる。これらの用語はまた、幾つかの兆候を示すにもかかわらず市場品を許容可能な収量にて産生しうる植物を説明する場合にも、使用される。耐性(resistant)または耐性(tolerant)と呼称される植物によっては、植物が枯れて収量が減少した場合でさえも依然として作物を産生する能力を有するという意味でのみ、耐性(resistant)または耐性(tolerant)植物とされるものもある。
【0071】
再生:組織培養物から植物が発現すること。
【0072】
Royal Horticultural Society(RHS)カラーチャート値:RHSカラーチャートは、あらゆる色を正確に識別可能にするための標準参照である。チャート上の色の指定は、その色相、明度、及び彩度を表す。グループ名、シート番号、及び英字(例えば、黄橙色グループ19A、または赤色グループ41B)を特定することによって、RHSカラーチャートによる色が正確に命名される。
【0073】
自家受粉:花粉が同じ植物の葯から柱頭へと移入されること。
【0074】
単一遺伝子座変換(変換)植物:メロン品種の本質的に全ての形態学的及び生理学的特徴ならびに戻し交配技術を介して及び/または遺伝的形質転換を介して品種へ移入された単一遺伝子座の特性を回復する、戻し交配と呼称される植物育種技術によって開発された植物。
【0075】
実質的に等価:比較したときに、平均値からの統計的な有意差(例えば、p=0.05)を示さない特性。
【0076】
組織培養物:同じ種類もしくは異なる種類の単離された細胞、またはそのような細胞の集合を、植物の一部に組織化された状態で具備する、組成物。
【0077】
導入遺伝子:形質転換または部位特異的組換えによってメロン植物のゲノム内に導入された配列を含む、遺伝的座位。
【0078】
G.デポジット情報
上記及び特許請求の範囲に記載のメロン交雑種SVMH7844、ならびに同系統交配親系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANの受託は、American Type Culture Collection(ATCC),10801 University Blvd.,Manassas,VA 20110-2209により行われた。メロン交雑種SVMH7844の受託日は、2017年12月5日であった。近交系の親系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANの受託日は、2018年1月12日であった。メロン交雑種SVMH7844及び近交系の親系統HDG-DV13-0198AN及びHDG-DV14-0202ANの受託種子の受託番号はそれぞれ、ATCC受託番号PTA-124647、ATCC受託番号PTA-124716、及びATCC受託番号PTA-124717である。特許が発行されると、受託に対する全ての制限が解除され、受託は米国特許法典第37巻1.801~1.809条の全ての要件を満たすように意図されている。受託物は、最後の請求から30年間もしくは5年間の期間、または特許の有効期間のいずれか長い方の期間にわたって、受託機関に保管され、その期間中に必要に応じて置換される。
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【0079】
明瞭さ及び理解を目的として、前述の発明を、例証及び実施例によって或る程度詳細に説明してきたが、或る特定の変更及び修正を、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるように、本発明の範囲内で実施できることは明白であろう。
【0080】
本明細書中に引用されている全ての参考文献は、本明細書において参照により明示的に援用されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メロン系統HDG-DV13-0198ANまたはメロン系統HDG-DV14-0202ANの染色体のうちの第1のセットを少なくとも含むメロン植物であって、前記系統の種子のサンプルがそれぞれATCC受託番号PTA-124716及びATCC受託番号PTA-124717下に受託されている、前記メロン植物。
【請求項2】
請求項1に記載の植物を産生する、メロン種子。
【請求項3】
前記植物が前記メロン系統HDG-DV13-0198ANまたはメロン系統HDG-DV14-0202ANの植物である、請求項1に記載の植物。
【請求項4】
前記植物がメロン交雑種SVMH7844の植物であり、前記交雑種の種子のサンプルがATCC受託番号PTA-124647として受託されている、請求項1に記載の植物。
【請求項5】
前記種子が前記メロン系統HDG-DV13-0198ANまたはメロン系統HDG-DV14-0202ANの種子である、請求項2に記載の種子。
【請求項6】
前記種子がメロン交雑種SVMH7844の種子であり、前記交雑種の種子のサンプルがATCC受託番号PTA-124647として受託されている、請求項2に記載の種子。
【請求項7】
前記植物の細胞が植物部分に含まれる、請求項1に記載の植物の、前記植物部分。
【請求項8】
請求項4に記載の植物の全ての生理学的及び形態学的特徴を有する、メロン植物。
【請求項9】
請求項1に記載の植物の再生可能細胞の組織培養物。
【請求項10】
請求項1に記載のメロン植物を栄養繁殖させる方法であって、
(a) 請求項1に記載の植物から繁殖する機能を有する組織を収集する工程と、
(b) 前記組織からメロン植物を繁殖させる工程と、を含む前記方法。
【請求項11】
メロン系統に形質を導入する方法であって、
(a) F1後代を作出する形質を具備するドナーメロン植物と請求項3に記載の植物とを交配することにより、前記植物を反復親として利用する工程と、
(b) 前記形質を具備するF1後代を選択する工程と、
(c) 前記選択されたF1後代を、工程(a)にて前記反復親として使用されたのと同じメロン系統の植物と戻し交配して、戻し交配後代を作出する工程と、
(d) 工程(a)にて使用された前記反復親メロン系統の形質と形態学的特徴と生理学的特徴とを含む戻し交配後代を選択する工程と、
(e) 工程(c)及び(d)を3回以上繰り返して、選択された第4以降の戻し交配後代を作出する工程と、
を含む前記方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法により作出されるメロン植物であって、前記形質を具備し、及びその他、メロン系統HDG-DV13-0198ANまたはメロン系統HDG-DV14-0202の全ての生理学的及び形態学的特徴を具備する、前記メロン植物。
【請求項13】
請求項1に記載の植物に形質を付与する導入遺伝子を導入することを含む、付加された形質を具備するメロン植物を作出する方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法により作出されるメロン植物であって、前記形質を具備し、及びその他、メロン系統HDG-DV13-0198AN、メロン系統HDG-DV14-0202またはメロン交雑種SVMH7844の全ての生理学的及び形態学的特徴を具備する、前記メロン植物。
【請求項15】
メロン系統HDG-DV13-0198ANまたはメロン系統HDG-DV14-0202ANの染色体のうちの少なくとも第1のセットを含むメロン植物であって、前記系統の種子のサンプルがそれぞれATCC受託番号PTA-124716及びATCC受託番号PTA-124717として受託され、導入遺伝子を更に含む、前記メロン植物。
【請求項16】
前記導入遺伝子によって、雄性不稔性、除草剤耐性、耐虫性、病害抵抗性、修飾脂肪酸代謝、環境ストレス耐性、修飾炭水化物代謝、及び修飾タンパク質代謝からなる群から選択される形質が付与される、請求項15に記載の植物。
【請求項17】
メロン系統HDG-DV13-0198ANまたはメロン系統HDG-DV14-0202ANの染色体のうちの第1のセットを少なくとも含むメロン植物であって、前記系統の種子のサンプルがそれぞれATCC受託番号PTA-124716及びATCC受託番号PTA-124717下に受託され、単一遺伝子座変換を更に含む、前記メロン植物。
【請求項18】
前記単一遺伝子座変換によって、雄性不稔性、除草剤耐性、耐虫性、病害抵抗性、修飾脂肪酸代謝、環境ストレス耐性、修飾炭水化物代謝、及び修飾タンパク質代謝からなる群から選択される形質が付与される、請求項17に記載の植物。
【請求項19】
メロン植物の種子を作出する方法であって、
(a) 請求項1に記載のメロン植物をそれ自体または第2のメロン植物と交配させる工程と、
(b) メロン植物の種子を形成させる工程と、
を含む前記方法。
【請求項20】
メロン植物の種子を作出する方法であって、
(a) 請求項1に記載のメロン植物とそれ自体または第2のメロン植物とを交配することによって作出された種子からメロン植物を産生する工程と、
(b) そのメロン植物をそれ自体または異なるメロン植物と交配させて、更にメロン植物の種子を得る工程と、
を含む前記方法。
【請求項21】
工程(a)による植物を少なくとも1世代作出するための前記工程(b)からの種子を使用して、(a)及び(b)の前記作出及び交差工程を繰り返し、追加的なメロン植物の種子を作出する工程を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
メロン果実の作出方法であって、
(a) 前記植物が成熟するまで栽培されている、請求項1に記載の植物を得る工程と、
(b) 前記植物からメロン果実を収集する工程と、
を含む前記方法。
【外国語明細書】