(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179538
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】前脳基底部コリン作動性神経細胞(BFCN)を生成するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0793 20100101AFI20231212BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20231212BHJP
A61K 35/30 20150101ALI20231212BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231212BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20231212BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20231212BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231212BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
C12N5/0793 ZNA
C12N15/09 110
A61K35/30
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/14
A61P25/28
C12N5/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023158332
(22)【出願日】2023-09-22
(62)【分割の表示】P 2019565349の分割
【原出願日】2018-05-25
(31)【優先権主張番号】62/574,639
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/511,271
(32)【優先日】2017-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/586,571
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/571,741
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】514136314
【氏名又は名称】ニューヨーク ステム セル ファウンデーション インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】513321467
【氏名又は名称】アイカーン スクール オブ メディシン アット マウント サイナイ
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ノッグル スコット
(72)【発明者】
【氏名】オーティス-ヴィルムブラレス マイタネ
(72)【発明者】
【氏名】ギャンディ サム
(72)【発明者】
【氏名】クルーグリコフ イリア
(72)【発明者】
【氏名】エールリヒ ミッシェル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】前脳基底部コリン作動性神経細胞(BFCN)を生成するための方法および組成物を提供する。
【解決手段】胚性幹細胞(ESC)および人工多能性幹細胞(iPSC)を含む多能性幹細胞(PSC)からBFCNを効率的に得るための再現性の高いプロトコールにより、BFCN、特に、PSEN2における1つまたは複数の変異と関連する電気生理学的異常が修復されたBFCN、を幹細胞から生成するための方法および組成物、並びにアルツハイマー病を治療するための細胞ベースの治療におけるかかるBFCNの使用を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前脳基底部コリン作動性神経細胞(BFCN)を生成する方法であって、
神経外胚葉性分化を誘導するためにトランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)シグナル伝達の阻害剤およびソニックヘッジホッグ(Shh)シグナル伝達の活性化因子を含む基礎培地中で多能性幹細胞(PSC)を培養する工程であって、前記基礎培地が、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、TGF-β、塩化リチウム(Li-Cl)、GABA、およびピペコリン酸を欠く、工程
を含み、それによりBFCNが生成される、方法。
【請求項2】
前記阻害剤が、SMAD阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記阻害剤が、SB431542、LDN193189、またはそれらの組み合わせである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記活性化因子が、スムーズンドタンパク質のアゴニストである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記活性化因子が、スムーズンドアゴニスト(SAG)、プルモルファミン、またはそれらの組み合わせである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
培養が、約4~9日間行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記阻害剤が、約2日目~8日目に前記培地中に存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
CD271+細胞を選択する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
選択する工程が、約9~12日間の培養の後に行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
神経細胞の基礎培地中で前記CD271+細胞を培養して、神経胚様体(NEB)を生成する工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記CD271+細胞を約7日間培養し、それによりNEBを生成する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
a)前記NEBを回収する工程;および
b)前記NEBの細胞を解離させて、前記解離させた細胞を単層として再播種する工程
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記再播種された細胞を、前記細胞の生存を維持するため成長因子を有する培地中でさらなる持続期間培養し、前記細胞が、Tuj1、MAP2、BF1、Nkx2.1、およびp75を発現する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞を前記活性化因子または阻害剤と接触させる前に、mTeSR1基礎培地中でコンフルエントになるまで前記細胞を培養する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記PSCがヒト細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記PSCが、人工多能性幹細胞(iPSC)である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記iPSCが、アルツハイマー病(AD)と診断されたかまたはそれを有するリスクがある対象に由来する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記PSCが、プレセニリン2(PSEN2)に変異を有するBFCNに由来する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記変異がPSEN2N141Iである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記変異が、前記iPSCの生成後に修復される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記変異が、CRISPR/Casシステム、Cre/Loxシステム、TALENシステム、および相同組換えからなる群より選択される遺伝子編集システムを用いて修復される、請求項21に記載の方法。
【請求項22】
前記培養された細胞が、培養の8日目までにNkx2.1の均一な発現を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記培養された細胞が、培養の8日目までに記録可能な活動電位を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記培養された細胞が、成熟した活動電位を示す、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
前記培養された細胞が、培養の38日目までに成熟した活動電位を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記培養された細胞が、対照と比較して、Aβ42/40比の正常化を示す、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記培養された細胞が、対照と比較して、電気生理学的異常の低減を示す、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記電気生理学的異常の低減が、対照と比較して、脱分極電流に応答したスパイクの最大数およびスパイク高の回復を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
対象において疾患または障害を治療する方法であって、請求項1に記載の方法を用いて生成されたBFCNを前記対象に投与することを含み、それにより前記疾患または障害が治療される、方法。
【請求項30】
前記疾患または障害が、アミロイド形成疾患である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記疾患または障害が、前記対象のBFCNにおける神経細胞興奮性の低下と関連する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記疾患または障害が、全身性アミロイドーシス、アルツハイマー病、成人発症型糖尿病、パーキンソン病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、およびプリオン関連伝達性海綿状脳症からなる群より選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記BFCNが、PSEN2変異が修復されたゲノムを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記PSEN2変異がPSEN2N141Iである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
対象における前脳基底部コリン作動性神経細胞(BFCN)の神経細胞興奮性を回復させる方法であって、
a)前記対象からBFCNを単離する工程であって、前記BFCNが、前記BFCNの神経細胞興奮性の障害を生じさせる、プレセニリン2(PSEN2)における変異を有する、単離する工程;
b)(a)の前記BFCNを使用して人工多能性幹細胞(iPSC)を生成する工程;
c)前記iPSCにおける前記PSEN2の変異を修復する工程;
d)請求項1に記載の方法を用いて(c)の前記iPSCを培養して、前記変異が修復されたBFCNを生成する工程;および
e)(d)の前記iPSCを前記対象に投与する工程であって、それにより前記対象におけるBFCNの神経細胞興奮性が回復する、投与する工程
を含む、方法。
【請求項36】
前記変異がPSEN2N141Iである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記変異が、CRISPR/Casシステム、Cre/Loxシステム、TALENシステム、および相同組換えからなる群より選択される遺伝子編集システムを用いて修復される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記対象が、アルツハイマー病を有するか、または有するリスクがある、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前脳基底部コリン作動性神経細胞(BFCN)における神経細胞興奮性の低下と関連する疾患もしくは障害の治療または予防のための化合物を同定する方法であって、
a)請求項1に記載の方法により生成されたBFCNまたは神経胚様体(NEB)を候補化合物と接触させる工程であって、前記BFCNが、前記BFCNの神経細胞興奮性の障害を生じさせるプレセニリン2(PSEN2)における変異を含む、接触させる工程;および
b)前記候補化合物との接触後に前記BFCNの神経細胞興奮性を検出する工程
を含む、方法。
【請求項40】
前記変異がPSEN2N141Iである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記疾患または障害が、アルツハイマー病である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
ハイスループットな方法である、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
請求項1に記載の方法を用いて生成された、前脳基底部コリン作動性神経細胞(BFCN)。
【請求項44】
ゲノムが、組換え導入されたマーカーを有する、請求項43に記載のBFCN。
【請求項45】
トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)シグナル伝達の阻害剤およびソニックヘッジホッグ(Shh)シグナル伝達の活性化因子を有する培地を含む、前脳基底部コリン作動性神経細胞(BFCN)を生成するためのキットであって、前記基礎培地が、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、TGF-β、塩化リチウム(Li-Cl)、GABA、およびピペコリン酸を欠き、前記阻害剤が、SB431542およびLDN193189を含み、前記活性化因子が、スムーズンドアゴニスト(SAG)およびプルモルファミンを含む、キット。
【請求項46】
人工多能性幹細胞(iPSC)を生成するための試薬をさらに含む、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
遺伝子編集試薬をさらに含む、請求項45に記載のキット。
【請求項48】
遺伝子変異を検出するための試薬をさらに含む、請求項45に記載のキット。
【請求項49】
前記変異がPSEN2N141Iである、請求項48に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年5月25日に出願された米国特許仮出願第62/511,271号、2017年10月12日に出願された米国特許仮出願第62/571,741号、2017年10月19日に出願された米国特許仮出願第62/574,639号、および2017年11月15日に出願された米国特許仮出願第62/586,571号の35U.S.C.§119(e)に基づく優先権を主張し、これらのそれぞれの全内容が、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府支援の記載
本発明は、一部、国立衛生研究所(NIH)により付与された助成金第R21AG042965号、第U01AG046170号、第U01AG046170号、第NS049442号、および第U01AG046170号の下、政府支援で成された。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
配列表の組み込み
添付の配列表におけるデータは、本出願に参照により本明細書に組み込まれる。添付の配列表テキストファイル、名称NYSC1390_4WO_Sequence_Listing.txtは、2018年5月24日に作成され、53kbである。ファイルは、Windows OSを使用するコンピューターのMicrosoft Wordを使用してアクセスすることができる。
【0004】
発明の分野
本発明は、全体として、医薬、より具体的には、前脳基底部コリン作動性神経細胞(BFCN)、特に、プレセニリン2遺伝子(PSEN2)における1つまたは複数の変異に関連する電気生理学的異常が修復されたBFCN、を幹細胞から生成するための方法および組成物、並びにアルツハイマー病を治療するための細胞ベースの治療におけるかかるBFCNの使用の分野に関する。
【背景技術】
【0005】
アルツハイマー病(AD)は、老年認知症を生じる進行性疾患である。大まかに言うと、当該疾患は、2つのカテゴリー:高齢(65歳より上)で生じる後期発症と、老齢期より十分前、すなわち、35~60歳に生じる早期発症とに分類される。両方のタイプの疾患において、病理は同じであるが、異常性は、より若い年齢で始まる場合において、より重篤かつ広がる傾向にある。当該疾患は、脳における少なくとも2つのタイプの病変:老人斑および神経原線維変化により特徴付けられる。老人斑は、脳組織の切片の顕微鏡解析により目に見える中心にある細胞外アミロイド沈着を有する最大150μmに渡る無秩序の神経網の領域である。神経原線維変化は、互いに巻き付いた2つの対のフィラメントからなる、微小管と関連するタウタンパク質の細胞内沈着である。
【0006】
斑の主要な成分は、Aβまたはβ-アミロイドペプチドと呼ばれるペプチドである。Aβペプチドは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)と呼ばれる前駆体タンパク質の39~43個のアミノ酸の内部フラグメントである。APPタンパク質内のいくつかの変異は、アルツハイマー病の存在と相関する。かかる変異は、APPのAβへのプロセシング(特に、増大した量の長い形態のAβ(すなわち、Aβ1~42およびAβ1~43)へのAPPのプロセシング)の増加または変化によりアルツハイマー病を引き起こすと考えられる。プレセニリン遺伝子PSEN1およびPSEN2のような他の遺伝子における変異は、増大した量の長い形態のAβを生じさせるAPPのプロセシングに影響すると間接的に考えられる。これらの知見は、Aβ(特に、その長い形態)がアルツハイマー病を引き起こす要因であることを示唆している。
【0007】
米国において、500万人の人々が、現在、アルツハイマー病の影響を受けており、アルツハイマー病の団体によると、この数は、2050年代までに16000000人まで増大する。不運なことに、本発明者らは、これらの患者の3~5%を占める遺伝性の原因の直接的な証拠のみを有する。このパーセンテージは、γ-セクレターゼ装置を構成するAPP、またはPSEN1、PSEN2における遺伝性完全浸透性常染色体優性変異により引き起こされる常染色体優性遺伝性の早期発症型家族性アルツハイマー病(EOFAD)バリアントを包含し[87]、それらの機能の変化は、Aβ42オリゴマーの産生および/またはアミロイド斑の沈着を増大させる。
【0008】
ヒトの脳におけるこの疾患の病態生理学を完全には再現していないADのマウスモデルの数十年の研究[5、57、58]の後、インビトロでのADモデル化の補足的な新たな概念が、[81]による突破口において浮かび上がり、それにより、所定の因子を使用したiPSCへの成人ヒト組織リプログラミング、続いて、特定の脳細胞タイプへのインビトロでの分化が可能になる。
【0009】
BFCNは、最も脆弱な神経細胞集団の1つであり、その悪化が、AD患者における認知低下を一部説明する。BFCN不全および萎縮の証拠とは別に、他の研究により、ADマウスモデルに移植されたヒト胚性幹細胞由来BFCNが、移植マウスの行動学習における改善と関連し得ることが明らかになった[94]。これらの知見は、早期の臨床指標ばかりでなく、ADのサブタイプ特異的な細胞ベースの治療の可能性のあるストラテジーとしての、iPSCおよびESC由来BFCNの関連性を明らかにする[39]。この細胞ベースの治療ストラテジーを前に進めるために、ヒトESCおよび/またはiPSC由来BFCNを生成する精巧な分化プロトコールが、緊急に必要である。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、胚性幹細胞(ESC)および人工多能性幹細胞(iPSC)を含む多能性幹細胞(PSC)からBFCNを効率的に得るための再現性の高いプロトコールを提供する。
【0011】
従って、1つの実施形態において、本発明は、BFCNを生成する方法を提供する。当該方法は、神経外胚葉性分化を誘導するためにトランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)シグナル伝達の阻害剤およびソニックヘッジホッグ(Shh)シグナル伝達の活性化因子を含む基礎培地中でPSCを培養することを含む。幾つかの態様において、基礎培地は、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、TGF-β、塩化リチウム(Li-Cl)、GABA、およびピペコリン酸を含む多能性を支持する因子を欠く、改変されたmTeSR1組成である。幾つかの態様において、培養は、スムーズンドアゴニスト(SAG)およびプルモルファミンのようなスムーズンドタンパク質の1つまたは複数のアゴニストと共に、SB431542およびLDN193189のような二重のSMAD阻害剤の存在下で行われる。約9、10、11又は12日間の培養後、CD271+細胞が、選択され、Brainphys(商標)のような、神経細胞の基礎培地中で神経胚様体(NEB)を生成する。神経細胞の基礎培地は、場合により、B27サプリメント、rho関連タンパク質キナーゼ(ROCK)の阻害剤、神経成長因子(NGF)および脳由来神経栄養因子(BDNF)のうちの1つまたは複数を追加される。約7、8、9または10日間のCD271+細胞の培養後、形成されたNEBが回収され、解離され、単層培養物として播種され、(場合により、B27サプリメント、NGFおよびBDNFを追加された)神経細胞の基礎培地中でさらに培養される。BFCNへの分化を立証するために、培養された細胞は、Tuj1、MAP2、BF1、Nkx2.1およびp75の陽性発現について解析される。
【0012】
別の実施形態において、方法は、プレセニリン1(PSEN1)またはプレセニリン2(PSEN2)の変異などの1つまたは複数の変異を修復するために遺伝子編集システムを用いて処理され得る、iPSCを利用する。1つの態様において、変異はPSEN2N141Iであり、その修復は、BFCNにおける神経細胞興奮性を回復させる。
【0013】
従って、別の実施形態において、本発明は、対象における疾患または障害を治療する方法を提供する。当該方法は、本明細書に記載されている培養方法を用いて生成されたBFCNを対象に投与することを含む。ある種の態様において、疾患または障害は、全身性アミロイドーシス、アルツハイマー病、成人発症型糖尿病、パーキンソン病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、およびプリオン関連伝達性海綿状脳症などの、アミロイド形成疾患である。実施形態において、神経細胞興奮性を障害する変異(例えば、PSEN2N141I)を有するBFCNが対象から得られ、それを使用してiPSCを生成し、次にこれを遺伝子編集システムで処理して当該変異を修復してもよい。次に、遺伝子編集されたiPSCを、本明細書に記載されている通りに培養して、神経細胞興奮性が回復したBFCNを生成し、それを対象に投与して、疾患または障害を治療する。ある種の態様において、疾患または障害はADである。
【0014】
関連する実施形態において、本発明は、対象においてBFCNにおける神経細胞興奮性を回復させる方法を提供する。当該方法は、a)対象からBFCNを単離することであって、BFCNは、BFCNの神経細胞興奮性の障害を生じさせるPSEN2における変異を有する、単離すること;b)(a)のBFCNを使用してiPSCを生成すること;c)iPSCにおけるPSEN2変異を修復すること;d)本明細書に記載されている分化プロトコールを用いて(c)のiPSCを培養して、変異が修復されたBFCNを生成すること;およびe)(d)のiPSCを対象に投与することであって、それにより対象においてBFCNにおける神経細胞興奮性が回復する、投与することを含む。
【0015】
BFCNにおける神経細胞興奮性の低下と関連する疾患もしくは障害の治療または予防のための化合物を同定する方法もまた、提供される。当該方法は、a)本明細書に記載されている分化プロトコールを用いて生成されたBFCNまたは神経胚様体(NEB)を候補化合物と接触させることであって、BFCNは、BFCNの神経細胞興奮性の障害を生じさせるPSEN2における変異を含む、接触させること;およびb)候補化合物との接触後のBFCNの神経細胞興奮性を検出することを含む。候補化合物との接触後のBFCNの神経細胞興奮性の増大は、化合物を、潜在的に、BFCNにおける神経細胞興奮性を回復させる能力がある化合物と同定する。
【0016】
本発明はさらに、本明細書に記載されている分化プロトコールを用いて生成されたBFCNを提供する。当該BFCNは、PSEN2の遺伝子編集による修復、並びにBFCNゲノムに組換え導入された検出可能なマーカーを含んでもよい。
【0017】
本発明はまた、BFCNを生成するためのキットを提供する。当該キットは、TGF-βシグナル伝達の阻害剤およびShhシグナル伝達の活性化因子を有する培地を含む。実施形態において、当該培地は、bFGF、TGF-β、塩化リチウム(Li-Cl)、GABA、およびピペコリン酸を含む多能性を支持する因子を欠く、改変されたmTeSR1組成である。実施形態において、当該培地は、スムーズンドアゴニスト(SAG)およびプルモルファミンのような、スムーズンドタンパク質の1つまたは複数のアゴニストと共に、SB431542およびLDN193189のような、二重のSMAD阻害剤を含む。当該キットはまた、場合により、B27サプリメント、ROCKの阻害剤、NGF、およびBDNFのうちの1つまたは複数を追加したBrainphys(商標)のような、神経細胞の基礎培地を含んでもよい。実施形態において、当該キットは、CD271+細胞、並びにTuj1、MAP2、BF1、Nkx2.1、およびp75を陽性発現する細胞の検出用試薬を含む。
[本発明1001]
前脳基底部コリン作動性神経細胞(BFCN)を生成する方法であって、
神経外胚葉性分化を誘導するためにトランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)シグナル伝達の阻害剤およびソニックヘッジホッグ(Shh)シグナル伝達の活性化因子を含む基礎培地中で多能性幹細胞(PSC)を培養する工程であって、前記基礎培地が、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、TGF-β、塩化リチウム(Li-Cl)、GABA、およびピペコリン酸を欠く、工程
を含み、それによりBFCNが生成される、方法。
[本発明1002]
前記阻害剤が、SMAD阻害剤である、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記阻害剤が、SB431542、LDN193189、またはそれらの組み合わせである、本発明1002の方法。
[本発明1004]
前記活性化因子が、スムーズンドタンパク質のアゴニストである、本発明1001の方法。
[本発明1005]
前記活性化因子が、スムーズンドアゴニスト(SAG)、プルモルファミン、またはそれらの組み合わせである、本発明1004の方法。
[本発明1006]
培養が、約4~9日間行われる、本発明1001の方法。
[本発明1007]
前記阻害剤が、約2日目~8日目に前記培地中に存在する、本発明1002の方法。
[本発明1008]
CD271+細胞を選択する工程をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1009]
選択する工程が、約9~12日間の培養の後に行われる、本発明1008の方法。
[本発明1010]
神経細胞の基礎培地中で前記CD271+細胞を培養して、神経胚様体(NEB)を生成する工程をさらに含む、本発明1009の方法。
[本発明1011]
前記CD271+細胞を約7日間培養し、それによりNEBを生成する、本発明1010の方法。
[本発明1012]
a)前記NEBを回収する工程;および
b)前記NEBの細胞を解離させて、前記解離させた細胞を単層として再播種する工程
をさらに含む、本発明1011の方法。
[本発明1013]
前記再播種された細胞を、前記細胞の生存を維持するため成長因子を有する培地中でさらなる持続期間培養し、前記細胞が、Tuj1、MAP2、BF1、Nkx2.1、およびp75を発現する、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記細胞を前記活性化因子または阻害剤と接触させる前に、mTeSR1基礎培地中でコンフルエントになるまで前記細胞を培養する工程をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1015]
前記PSCがヒト細胞である、本発明1001の方法。
[本発明1016]
前記PSCが、人工多能性幹細胞(iPSC)である、本発明1001の方法。
[本発明1017]
前記iPSCが、アルツハイマー病(AD)と診断されたかまたはそれを有するリスクがある対象に由来する、本発明1016の方法。
[本発明1018]
前記PSCが、プレセニリン2(PSEN2)に変異を有するBFCNに由来する、本発明1017の方法。
[本発明1019]
前記変異がPSEN2N141Iである、本発明1018の方法。
[本発明1020]
前記変異が、前記iPSCの生成後に修復される、本発明1018の方法。
[本発明1021]
前記変異が、CRISPR/Casシステム、Cre/Loxシステム、TALENシステム、および相同組換えからなる群より選択される遺伝子編集システムを用いて修復される、本発明1021の方法。
[本発明1022]
前記培養された細胞が、培養の8日目までにNkx2.1の均一な発現を示す、本発明1001の方法。
[本発明1023]
前記培養された細胞が、培養の8日目までに記録可能な活動電位を示す、本発明1001の方法。
[本発明1024]
前記培養された細胞が、成熟した活動電位を示す、本発明1012の方法。
[本発明1025]
前記培養された細胞が、培養の38日目までに成熟した活動電位を示す、本発明1001の方法。
[本発明1026]
前記培養された細胞が、対照と比較して、Aβ42/40比の正常化を示す、本発明1020の方法。
[本発明1027]
前記培養された細胞が、対照と比較して、電気生理学的異常の低減を示す、本発明1020の方法。
[本発明1028]
前記電気生理学的異常の低減が、対照と比較して、脱分極電流に応答したスパイクの最大数およびスパイク高の回復を含む、本発明1027の方法。
[本発明1029]
対象において疾患または障害を治療する方法であって、本発明1001の方法を用いて生成されたBFCNを前記対象に投与することを含み、それにより前記疾患または障害が治療される、方法。
[本発明1030]
前記疾患または障害が、アミロイド形成疾患である、本発明1029の方法。
[本発明1031]
前記疾患または障害が、前記対象のBFCNにおける神経細胞興奮性の低下と関連する、本発明1029の方法。
[本発明1032]
前記疾患または障害が、全身性アミロイドーシス、アルツハイマー病、成人発症型糖尿病、パーキンソン病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、およびプリオン関連伝達性海綿状脳症からなる群より選択される、本発明1030の方法。
[本発明1033]
前記BFCNが、PSEN2変異が修復されたゲノムを含む、本発明1029の方法。
[本発明1034]
前記PSEN2変異がPSEN2N141Iである、本発明1033の方法。
[本発明1035]
対象における前脳基底部コリン作動性神経細胞(BFCN)の神経細胞興奮性を回復させる方法であって、
a)前記対象からBFCNを単離する工程であって、前記BFCNが、前記BFCNの神経細胞興奮性の障害を生じさせる、プレセニリン2(PSEN2)における変異を有する、単離する工程;
b)(a)の前記BFCNを使用して人工多能性幹細胞(iPSC)を生成する工程;
c)前記iPSCにおける前記PSEN2の変異を修復する工程;
d)本発明1001の方法を用いて(c)の前記iPSCを培養して、前記変異が修復されたBFCNを生成する工程;および
e)(d)の前記iPSCを前記対象に投与する工程であって、それにより前記対象におけるBFCNの神経細胞興奮性が回復する、投与する工程
を含む、方法。
[本発明1036]
前記変異がPSEN2N141Iである、本発明1035の方法。
[本発明1037]
前記変異が、CRISPR/Casシステム、Cre/Loxシステム、TALENシステム、および相同組換えからなる群より選択される遺伝子編集システムを用いて修復される、本発明1035の方法。
[本発明1038]
前記対象が、アルツハイマー病を有するか、または有するリスクがある、本発明1035の方法。
[本発明1039]
前脳基底部コリン作動性神経細胞(BFCN)における神経細胞興奮性の低下と関連する疾患もしくは障害の治療または予防のための化合物を同定する方法であって、
a)本発明1001の方法により生成されたBFCNまたは神経胚様体(NEB)を候補化合物と接触させる工程であって、前記BFCNが、前記BFCNの神経細胞興奮性の障害を生じさせるプレセニリン2(PSEN2)における変異を含む、接触させる工程;および
b)前記候補化合物との接触後に前記BFCNの神経細胞興奮性を検出する工程
を含む、方法。
[本発明1040]
前記変異がPSEN2N141Iである、本発明1039の方法。
[本発明1041]
前記疾患または障害が、アルツハイマー病である、本発明1039の方法。
[本発明1042]
ハイスループットな方法である、本発明1039の方法。
[本発明1043]
本発明1001の方法を用いて生成された、前脳基底部コリン作動性神経細胞(BFCN)。
[本発明1044]
ゲノムが、組換え導入されたマーカーを有する、本発明1043のBFCN。
[本発明1045]
トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)シグナル伝達の阻害剤およびソニックヘッジホッグ(Shh)シグナル伝達の活性化因子を有する培地を含む、前脳基底部コリン作動性神経細胞(BFCN)を生成するためのキットであって、前記基礎培地が、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、TGF-β、塩化リチウム(Li-Cl)、GABA、およびピペコリン酸を欠き、前記阻害剤が、SB431542およびLDN193189を含み、前記活性化因子が、スムーズンドアゴニスト(SAG)およびプルモルファミンを含む、キット。
[本発明1046]
人工多能性幹細胞(iPSC)を生成するための試薬をさらに含む、本発明1045のキット。
[本発明1047]
遺伝子編集試薬をさらに含む、本発明1045のキット。
[本発明1048]
遺伝子変異を検出するための試薬をさらに含む、本発明1045のキット。
[本発明1049]
前記変異がPSEN2N141Iである、本発明1048のキット。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1A~1E:基本的なコリン作動性分化プロトコールの模式的概要。(A)細胞をプレーティングし、二重SMAD阻害の開始およびそれに続く腹側化因子の導入(2日目)の前に、100%コンフルエントに到達させた(0日目)。10日目に単層を解離させてp75+細胞を分取し、19日目までNEBとして維持する。次に、培養物を再度解離させて単層にする(より詳細については、方法を参照)。(B)左のパネルは、SHH+プルモルファミンまたはSAG+プルモルファミン処理の際にNkx2.1により誘導されて14日目(処理の8日目における除去後)に維持されている、NKx2.1-EGFP hESCにおける持続性EGFP発現を示す。右のパネルは、12日目における、示されている腹側化因子の存在下の、またはパターン化されていない(UNP)NKx2.1-EGFP細胞株における、qPCRにより測定したGAPDHに対するNkx2.1、Lhx8、およびBF1の相対的遺伝子発現を示す。n=3、技術的トリプリケート。(C)典型的な神経細胞ロゼットを示す、11日目のf対照および対照株におけるネスチン、Sox2、およびDRAQ5の免疫染色の共焦点顕微鏡画像(左パネル);またはTuj1、Nkx2.1、およびDRAQ5の共焦点顕微鏡画像(右パネル)。3回の独立した実験の代表的な画像。(D)BFCNマーカーNkx2.1/Tuj1/p75/BF1/MAP2/ChATを用いた、免疫染色したNEB凍結切片または単層へと解離したNEBの蛍光顕微鏡画像。(E)MAP2、ChAT、およびHoechstを用いて50日目に免疫染色した、単層へと解離したNEB。蛍光顕微鏡画像、SAG+プルモルファミン処理単独に対するNGF添加の効果。画像は、少なくとも3回の独立した実験の代表である。
【0019】
【
図2】
図2A~2F:PSEN2
N141I神経前駆細胞における基本コリン作動性マーカー。(A)使用した細胞株を示す表。線維芽細胞からリプログラミングされた4種のiPS株;PSEN2
N141I変異もε4対立遺伝子も有さない2人の対照(949および050643、それぞれf対照および対照と表示した);ならびに当該変異およびε4対立遺伝子を有する2人のAD患者(948および950、それぞれAD1およびAD2と表示した)を使用した。4つのうち3つのiPS株は、家系関連性があった(f対照、AD1、およびAD2)。(B)PSEN2のエクソン5のフラグメントを示す代表的なサンガー配列決定クロマトグラム。矢印は、ミスセンス点変異Chr1:227,073,304 A>Tの部位を印付ける。(C)早期神経細胞および前脳基底部のマーカーについての免疫細胞化学およびRT-PCR。n=3、技術的トリプリケートでの3回の独立した実験。(D)TUJ1およびBF1についてのRTPCRの倍数変化。n=3、技術的トリプリケートでの3回の独立した実験。(E)P75染色の代表的なヒストグラム。n>6。(F)Aβ40およびAβ42のELISA定量。n=3、技術的トリプリケートでの3回の独立した実験。
***、p<0.001、
*、p<0.05。
【0020】
【
図3】
図3A~3B:免疫細胞化学による神経細胞マーカーおよび基本コリン作動性マーカー。(A)DIV21におけるTrkAについての免疫染色。(B)DIV65における異なる拡大率でのChATおよびvAChT;ならびにTuj1およびMAP2についての免疫染色。画像は、少なくとも3回の独立した実験の代表である。
【0021】
【
図4】
図4A~4D:PSEN2
N141IiPS株のCRISPR/Cas9により仲介される修正修正。(A)CRISPR/Cas9の標的化において使用するガイドRNA、並びに野生型の遺伝子型を導入するために利用するドナーssODNを示す模式図。上部から下部への配列識別子:SEQ ID NO:26~31。(B)左の2つのパネルは、ガイドRNA発現を有するCas9システムを示すGFP陽性HEK293T細胞を示し、NTは、遺伝子導入されていないことを指し;右の2つのパネルは、pCas9-gN141I-GFPベクターを用いたリポフェクション後のGFP陽性iPSCの試料を示す。(C)N141I変異の修正を示す、iPSC株から得られたサンガー配列決定。(D)変異体、対照、またはCispr-Cas9により修正したBFCNからの72時間培養上清におけるELISAにより検出したAβ42/40比(DIV34)。n=4、技術的トリプリケートでの4回の独立した実験。
*、p<0.05;
**、p<0.01、スチューデントT検定。
【0022】
【
図5】
図5A~5B:様々なPSEN変異を有するBFCNは、Aβ42オリゴマー毒性に対して一貫してより感受性であるわけではない。(A)72時間のAβ42オリゴマー(5μM)への暴露に応答した細胞死を可視化するためにヨウ化プロピジウムを用いて処理した、示した遺伝子型由来のBFCNの試料画像。(B)72時間の暴露後に集めた培地由来の記録したLDH放出(%)。n=3、技術的トリプリケートでの3回の独立した実験。hoc検定後の2元配置ANOVAボンフェローニにより検出した。
*、p<0.05;
**、p<0.01。
【0023】
【
図6】
図6A~6F:NLRP2インフラマソームmRNAレベルは、いくつかのPSEN2
N141I細胞において過剰発現するが、それは変異によりもたらされるものではない。コリン作動性神経前駆細胞における(A)NLRP2、(B)NLRP3、および(C)ASB9のRT-PCR発現。(D)NLRP2、PSEN2、およびβ-アクチンを示すウエスタンブロット。神経前駆細胞(E)およびBFCN(F)におけるNLRP2のRT-PCR発現。n=3、全てのパネルについて、技術的トリプリケートでの3回の独立した実験。
***、p<0.001。
【0024】
【
図7】
図7A~7B:BFCNの電気生理学的および形態学的特性。(A)最下段に示す電位プロトコールにより生じる、最上段の化合物ナトリウムおよびカリウム電流。赤色で示す-20mVまでの電位ステップにより生じた電流の記録。挿入図は、-20mVまでの電位ステップにより生じた最初の25msの電流を示す(スケールバー、200pA、5ms)。(B)(A)において記録したパッチBFCNの微分干渉画像。94個の神経細胞(22個の野生型対照、21個の家族性対照、18個のAD1、28個のAD2、および5個のiAD1_対照)。スケールバーは、30μmである。
【0025】
【
図8】
図8A~8C:AD株由来のBFCNにおける電気生理学的異常。(A)ビオサイチン標識神経細胞の、コリン作動性マーカーChATおよびVAChTとの共局在。矢印は、記録した神経細胞体の位置を示し、スケールバーは、50μmである。(B)1秒間の負および正の矩形電流注入により生じるBFCNの代表的な発火パターンを示す。総計94個の個々の神経細胞を電気生理的に研究した:22個の野生型対照神経細胞、21個の家族性対照神経細胞、18個のAD1神経細胞、28個のAD2神経細胞、および5個のiAD1_(CRISPRにより修正した)神経細胞。94個の神経細胞における実験は、数日から数週間を要した。それぞれの実験の日に、それぞれの日に研究したそれぞれの遺伝子型由来の少なくとも3つの試料と共に、それぞれの遺伝子型の代表を含めた。(C)全ての状態に渡る、神経細胞が維持可能な活動電位の最大数(左)および基電流における単一の活動電位の高さ(右)についての概要データ。個々のデータポイントを円として示し、群平均を棒として示す。
**、p<0.01、チューキーHSD検定。
【0026】
【
図9】
図9A~9D:BFCNの固有電気生理学的特性。5つの群に由来する全ての記録したBFCNについてのデータの概要。94個の神経細胞(22個の野生型対照、21個の家族性対照、18個のAD1、28個のAD2、および5個のiAD1_対照)。ヒストグラムは、膜の抵抗(A)、容量(B)、静止電位(C)、および基電流(D)について、各神経細胞の個々の値(円)および群平均(棒)を示す。統計的有意性を、ANOVAおよびチューキーの事後比較を用いて試験した。
【0027】
【
図10】
図10A~10B:iPSC株の品質管理。(A)免疫蛍光は、7889(S)B iPSC株における多能性マーカーSSEA4、Nanog、Tra160の発現を示す。(B)7889(S)B iPSC株により生じた奇形腫由来の3つの胚葉(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)。
【0028】
【
図11】
図11A~11B:成熟BFCNにおけるアミロイドβレベル。(A)BFCNにおけるAβ40のレベル(DIV34)。
*、一元配置ANOVAボンフェローニ事後検定に従って、研究における他の株に対してP<0.01。(B)BFCNにおけるAβ42のレベル(DIV34)。n=3、技術的トリプリケートでの3回の独立した実験。
*、スチューデントT検定に基づき、P<0.01。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発明の詳細な説明
本発明は、化学的に定義された培地を使用してPSCからBFCNを生成する、頑強、迅速、かつ再現性のある分化プロトコールの発見に基づく。
【0030】
以下は、本発明の実施において、当業者を助けるために提供される発明の詳細な説明である。当業者は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書にて記載されている実施形態において改変およびバリエーションをなしてもよい。別段定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書における発明の説明にいて使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけに使用されるのであり、本発明を制限することは意図されていない。全ての刊行物、特許出願、特許、図面および本明細書において述べられる他の参考文献は、それらの全体が参照により明示的に組み込まれる。
【0031】
本明細書に記載されているものと類似または均等な任意の方法および物質を、本発明の実施または試験において使用することもできるが、好ましい方法および物質が本明細書に記載されている。本明細書において述べられる全ての刊行物は、刊行物が引用されることと関連して、方法および/または物質を開示し、記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
別段定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する当該技術分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる、次の参考文献は、本発明において使用される用語の多くの一般的な定義(本明細書において別段定義されない限り)を当業者にもたらす:Singletonら、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(第2編、1994年);The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker編、1988年);The Glossary of Genetics、第5編、R.Riegerら(編)、Springer Verlag(1991年);およびHale & Marham、the Harper Collins Dictionary of Biology (1991年)。一般に、本明細書に記載されているか、または固有の分子生物学的方法の手法などは、当該技術分野において使用される一般的な方法である。かかる標準的技術は、例えば、Sambrookら、(2000年、Molecular Cloning--A Laboratory Manual、第3編、Cold Spring Harbor Laboratories);およびAusubelら、(1994年、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New-York)のような参照マニュアルにおいて見ることができる。
【0033】
説明において使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけであり、本発明の制限であることは意図されない。広範囲の値が提供される場合、文脈が明確に示さない限り、その範囲の上限から下限の、下限の単位の10分の1までの、それぞれの間にある値(例えば、多数の炭素原子を含有する群の場合であって、範囲内にあるそれぞれの炭素原子数が提供される場合)、およびその公式の範囲における任意の他の公式または中間にある値が本発明に包含されることは、理解される。これらのより狭い範囲の上限および下限は、本発明においてまた包含されるより狭い範囲において独立して含まれ、所定の範囲における任意の具体的に除外される限界の対象となり得る。公式の範囲が、限界の一方または両方を含む場合、これらの含まれる限界のどちらかの両方を除外する範囲もまた、本発明において含まれる。
【0034】
以下の用語は、本発明を説明するために使用される。用語が、本明細書において具体的に定義されない場合、その用語は、本発明の説明におけるその使用の状況下でその用語を適用する当業者により当該技術分野で認められた意味を付与される。
【0035】
本明細書および添付の請求の範囲において使用される冠詞「a」および「an」を使用して、文脈が別段明確に示さない限り、冠詞の文法上の対象の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)を指す。例示の目的で、「構成要素」は、1つの構成要素または1つより多くの構成要素を意味する。
【0036】
明細書および請求の範囲において使用される語句「および/または」は、結び付けられた構成要素、すなわち、ある場合において共同して存在し、他の場合において分離して存在する構成要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されるべきである。「および/または」を用いて挙げられる複数の構成要素、すなわち、結び付けられた構成要素の「1つまたは複数」は、同じ様式で解釈されるべきである。他の構成要素、「および/または」の節により具体的に同定される構成要素以外が、場合により、具体的に同定されたこれらの構成要素と関連するか、または関連しないかに関わらず、存在してもよい。従って、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含むこと」のような制限のない語句と結び付けて使用されるとき、1つの実施形態において、Aのみ(場合により、B以外の構成要素を含む);別の実施形態において、Bのみ(場合により、A以外の構成要素を含む);なお別の実施形態において、AとBの両方(場合により、他の構成要素を含む)を指すことができる。
【0037】
明細書および請求の範囲において使用される「または」は、上で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リストにおける項目を切り離すとき、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち、多数の構成要素または構成要素のリストの少なくとも1つを含むが、1つより多く、場合により、さらに関連しない項目を含むと解釈されるべきである。「うちの1つのみ」または「うちの正確に1つ」または請求の範囲において使用されるとき、「からなる」のような、反対に明確に示される用語のみが、多数の構成要素または構成要素のリストの正確に1つを含むことを指す。一般に、本明細書において使用される用語「または」は、ただ、「いずれか」、「うちの1つ」、「うちの1つのみ」または「うちの正確に1つ」のような、排他的である用語により先行されるとき、排他的な代替物(すなわち、「一方または他方だが、両方ではない」)を示すと解釈されるべきである。
【0038】
明細書および請求の範囲において使用される、1つまたは複数の構成要素のリストにおける語句「少なくとも1つ」は、構成要素のリスト内で具体的に挙げられるそれぞれおよび全ての構成要素の少なくとも1つを必ずしも含まないが、構成要素のリストにおける構成要素の任意の組み合わせを除外しない、構成要素のリストにおける任意の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの構成要素を意味すると理解されるべきである。この定義によりまた、構成要素、語句「少なくとも1つ」が指す構成要素のリスト内で具体的に挙げられる構成要素以外が、具体的に同定されるこれらの構成要素と関連するか、または関連しないかに関わらず、場合により、存在して得ることが可能になる。従って、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、等しくは、「AまたはBの少なくとも1つ」または等しくは、「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、1つの実施形態において、場合により、1つより多くの、Aを含み、Bが存在しない(および場合により、B以外の構成要素を含む)、少なくとも1つ;別の実施形態において、場合により、1つより多くの、Bを含み、Aが存在しない(および場合により、A以外の構成要素を含む)、少なくとも1つ;なお別の実施形態において、場合により、1つより多くのAを含む、少なくとも1つ、および場合により、1つより多くのBを含む、少なくとも1つ(および場合により、他の構成要素を含む)を指し得る。
【0039】
複数の工程または動作を含む本明細書に記載されている特定の方法において、方法の工程または動作の順序は、文脈が別段示さない限り、必ずしも、方法の工程または動作が列挙される順序に限定されないことが理解されるべきである。
【0040】
用語「PSEN2遺伝子」は、本明細書において、PSEN2ポリペプチドをコードする遺伝子を指す。PSEN2遺伝子は、NCBI参照配列NC_000001.11(SEQ ID NO:1)並びに公知のオルソログにより表される。用語「PSEN2ポリペプチド」は、本明細書において、NCBI参照配列NP_000438.2(SEQ ID NO:2)並びに公知のオルソログにより表されるポリペプチドを指す。
【0041】
用語「アミロイド形成疾患」は、不溶性のアミロイド原線維の形成または沈着と関連する(またはそれにより引き起こされる)任意の疾患を含む。典型的なアミロイド形成疾患は、全身性アミロイドーシス、アルツハイマー病、成人発症型糖尿病、パーキンソン病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、およびプリオン関連伝達性海綿状脳症(それぞれ、ヒトにおけるクールー病およびクロイツフェルト・ヤコブ病並びにヒツジ及びウシにおけるスクレイピーおよびBSE)を含むが、これらに限定されない。種々のアミロイド形成疾患は、沈着した原線維のポリペプチド成分の性質により定義されるか、または特徴付けられる。例えば、アルツハイマー病を有する対象または患者において、β-アミロイドタンパク質(例えば、野生型、バリアント、または切断型β-アミロイドタンパク質)は、アミロイド沈着の特徴付けられているポリペプチド成分である。従って、アルツハイマー病は、例えば、対象または患者の脳における「Aβの沈着により特徴付けられる疾患」または「Aβの沈着と関連する疾患」の例である。用語「β-アミロイドタンパク質」、「β-アミロイドペプチド」、「β-アミロイド」、「Aβ」および「Aβペプチド」は、本明細書において互換的に使用される。
【0042】
本明細書を通じて、用語「患者」または「対象」を使用して、本開示による組成物を用いた治療(予防的治療を含む)が提供される動物(好ましくは、ヒトまたは飼育動物)を記載する。特定の動物(例えばヒト患者)に特異的な状態または疾患の治療について、用語患者は、飼育動物(例えばイヌまたはネコ)または家畜(例えばウマ、ウシ、ヒツジなど)を含む、これらの特定の動物を指す。一般に、本開示において、用語患者は、別段定められないか、または用語の使用の文脈から読み取られない限り、ヒト患者を指す。
【0043】
用語「β-アミロイドタンパク質」、「β-アミロイドペプチド」、「β-アミロイド」、「Aβ」および「Aβペプチド」は、本明細書において互換的に使用される。Aβペプチド(例えば、Aβ39、Aβ40、Aβ41、Aβ42およびAβ43)は、APPの39~43個のアミノ酸の約4kDaの内部フラグメントである。例えば、Aβ40はAPPの672~711番目の残基からなり、Aβ42はAPPの672~713番目の残基からなる。Aβペプチドは、セクレターゼによるAPPの切断から生じるペプチドおよび切断産物と同じまたは本質的に同じ配列を有する合成ペプチドを含む。Aβペプチドは、様々な供給源、例えば、組織、細胞株、または体液(例えば、血清もしくは脳脊髄液)に由来し得る。例えば、Aβは、例えば、Walshら、(2002年)、Nature、416、535~539頁に記載されている通り、APP717VFを安定的に遺伝子導入されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のようなAPP発現細胞に由来し得る。Aβ調製物は、既に記載された方法を使用して組織試料からもたらされ得る(例えば、Johnson-Woodら、(1997年)、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA94:1550頁を参照)。或いは、Aβペプチドは、当該技術分野において周知の方法を使用して合成することができる。例えば、Fieldsら、Synthetic Peptides:A User’s Guide編、Grant、W.H.Freeman&Co.、New York、N.Y.、1992年、77頁を参照。故に、ペプチドは、例えば、Applied Biosystemのペプチド合成装置モデル430Aまたは431において側鎖が保護されたアミノ酸を使用して、t-BocまたはF-moc化学のいずれかにより保護されたαアミノ基を用いた固相合成の自動メリフィールド技術を使用して合成することができる。より長いペプチド抗原は、周知の組換えDNA技術を使用して合成することができる。例えば、ペプチドまたは融合ペプチドをコードするポリヌクレオチドは、合成されるか、または分子クローニングされ、遺伝子導入および適当な宿主細胞による異種性発現のため適当な発現ベクターに挿入され得る。Aβペプチドは、正常な遺伝子のAβ領域における変異から生じる関連するAβ配列も指す。
【0044】
本明細書において使用される語句「実質的に純粋な」は、細胞の少なくとも95%が、列挙される表現型を有する、細胞の集団を指す。「実質的に純粋な」細胞集団を指す全ての実施形態において、細胞集団がより低いかまたは高いレベルの純度を有する代替の実施形態も考慮される。例えば、幾つかの実施形態において、「実質的に純粋」である所定の細胞集団の代わりに、細胞集団は、細胞の少なくとも35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、または細胞の100%が、列挙される表現型を有するものであってもよい。
【0045】
用語「共投与」、「共投与された」および「共投与する」または「併用療法」は、同時の投与(2つ以上の剤を同時に投与すること);および、剤が、治療されるべき領域に、ある程度(好ましくは有効量で)同時に存在する限り、異なる時間での投与(1つまたは複数の剤を、さらなる剤が投与される時間とは異なる時間で投与すること)の両方を指す。
【0046】
用語「治療上有効量」は、治療効果を達成するのに必要な量を意味する。治療効果は、予防、症状の改善、症状の治療から、疾患の終結または治癒までの範囲にある任意の治療効果、例えば、アルツハイマー病または関連する状態の治療であり得る。
【0047】
本明細書において使用される用語「投与」は、組成物が対象の身体内にあるようにする様式で、対象に組成物をもたらす、手段を指す。かかる投与は、皮下、皮内、静脈内、動脈内、腹腔内、および筋肉内を含むが、これらに限定されない、任意の経路によるものであり得る。
【0048】
用語「有効な」を使用して、その意図される使用の文脈において使用されるとき、意図される結果をもたらす、化合物、組成物、または成分の量を記載する。用語「有効な」は、本出願において別段記載または使用される全ての他の有効量または有効な濃度期間を包含する。
【0049】
本明細書において使用される用語「含む」は、組成物および方法が、列挙される構成要素を含むが、他の構成要素を除外しないことを意味することが意図される。「から本質的になる」は、組成物および方法を定義するために使用されるとき、任意の、組み合わせに本質的に重要な他の構成要素を除外することを意味する。従って、本明細書において定義される構成要素から本質的になる組成物は、単離および精製方法からの微量混入物、ならびに医薬的に許容される担体(例えば、リン酸緩衝食塩水、保存剤等)を除外しない。「からなる」は、他の成分、および本発明の組成物を投与するための実質的な方法のステップの、微量要素以外を除外することを意味する。これらの各移行句により定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0050】
本明細書において提供される範囲は、範囲内の値の全てが省略されていると理解される。例えば、範囲1~50は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、および50からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、または部分範囲を含むと理解される。
【0051】
本明細書において使用される「キット」は、本発明の少なくとも非標準的な実験試薬、および本発明の方法において使用するための1つまたは複数の非標準的な実験試薬を含有すると理解される。
【0052】
本明細書において用語「得る」は、製造すること、購入すること、または別の方法で手に入れることであると理解される。
【0053】
本明細書において使用される用語「治療される」、「治療する」、または「治療」は、治療される状態、障害、もしくは疾患と関連するか、またはそれにより引き起こされる少なくとも1つの症状の減弱あるいは軽減を含む。治療された対象は、症状(例えば、アルツハイマー病もしくは関連する状態)の部分的または総合的な軽減を示し得るか、あるいは症状は、本発明による治療後に静止したままであり得る。用語「治療(treatment)」は、予防、治療(therapy)、および治癒を包含することが意図される。
【0054】
本明細書において使用される用語「対照」は、実験試料との比較のため使用される試料または標準を指す。幾つかの実施形態において、対照は、健常患者から得られた試料である。他の実施形態において、対照は、歴史的対照または標準的基準値もしくは値の範囲(例えば、既に試験された試料、対象、または試料もしくは対象の群)である。
【0055】
方法
BFCNは、全ての形態のADにおいて影響を受ける第一の細胞タイプの1つであると考えられ、それらの機能障害は、短期記憶形成および想起の障害と臨床的に相関する。本開示の実施例において詳述される通り、本発明者らは、PSEN2変異のキャリアおよび対照に由来する細胞株を使用してiPSCからヒトBFCNを生成する、最適化されたインビトロプロトコールを提示する。PSEN2N141I変異を有する細胞株は、iPSCに由来するBFCNにおいてAβ42/40の増大を示した。PSEN2N141I株に由来する神経細胞が矩形の脱分極電流注入に応答して生じた活動電位の最大数はより少なかった。基電流注入における第一の活動電位の大きさもまた、PSEN2N141IBFCNにおいて有意に減少した。PSEN2点変異のCRISPR/Cas9修正は、電気生理学的異常を消失させ、対照において記録されたレベルまで活動電位の最大数と活動電位高の両方を回復させる。増大したAβ42/40はまた、PSEN2N141I変異のCRISPR/Casにより仲介される修正後に正常化された。本明細書に記載されているゲノム編集データセットは、電気生理学におけるPSEN2変異関連変化も示しながら、Aβ42/40比の変異関連変化の強い一貫性を立証する。
【0056】
従って、1つの実施形態において、本発明は、BFCNを生成する方法を提供する。当該方法は、まず、PSCコロニーを調製することを含んでもよい。PSCは、低密度にて播種され(プレーティングされ)、約1~2日間接着培養で成長する。「低密度」は、約8,000~約11,000個の細胞/cm2を意味する。細胞は、好ましくは、約9,500~約10,500個の細胞/cm2にて、より好ましくは、約10,000個の細胞/cm2にて播種される。約1~2日(またはそれ以上、すなわち、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、またはそれ以上)後、好ましくは、直径約75μm~約300μm、より好ましくは、直径約100μm~約250μmである、PSCは、コロニーを形成する。
【0057】
用語「PSC」は、当該技術分野におけるその通常の意味を有し、すなわち、発生して内胚葉細胞、外胚葉細胞、および中胚葉細胞になる能力を有する自己複製する細胞である。好ましくは、PSCはhPSCである。PSCは、ESCおよびiPSC、好ましくは、hESCおよびhiPSCを含む。PSCは、基質(例えば、ゲルまたは基底膜基質)を含む表面に播種され得る。好ましい基質は、MATRIGEL(登録商標)、CULTREX(登録商標)、およびGELTREX(登録商標)を含む商標名のもとで販売される、エンジェルブレス-ホーム-スワーン(EHS)マウス肉腫細胞により分泌されるタンパク質混合物である。他の適当な物質は、コラーゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、ラミニン、ポリ-リジン、ビトロネクチン、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0058】
幾つかの実施形態において、多能性幹細胞の維持における使用に適した培地が使用される。実施形態において、かかる培地は、Stem Cell TechnologiesのmTeSR1培地である。しかしながら、当業者は、多能性幹細胞の維持における使用に対する適性に関してmTeSR培地と同等である幾つかの他のタイプの培地が存在し、そのいずれかを使用することができることを認識する。典型的には、かかる培地は、多能性状態の細胞の維持を促進するための1つまたは複数の多能性因子を含有する。mTeSR1培地の組成は、当該技術分野において公知であり、例えば、Ludwigら、2006年(Nat Methods、2006年8月;3(8):637~46頁;「Feeder-Independent Culture of Human Embryonic Stem Cells」)に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
本発明の方法において使用される多能性幹細胞は、任意の適当なタイプの多能性幹細胞であり得る。iPSCが使用される場合、かかる細胞は、改変されたRNAベースの方法、センダイウイルスベースの方法等を含むが、これらに限定されない、当該技術分野において公知の任意の適当な手段を使用して、非多能性状態から多能性状態に「リプログラミング」されてもよい。さらに、かかる細胞は、当該技術分野において公知のリプログラミング因子の任意の適当なカクテルを使用して、多能性状態にリプログラミングされてもよい。
【0060】
1つの実施形態において、PSCを調製し、例えばmTeSR1培地中でコンフルエントになるまで増殖させた後、方法は、神経外胚葉性分化を誘導するためにトランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)シグナル伝達の阻害剤およびソニックヘッジホッグ(Shh)シグナル伝達の活性化因子を含む基礎培地中でPSCを培養することを含む。利用される基礎培地は、改変されたmTeSR1培地であり、それは、塩化リチウム、GABA、ピペコリン酸、bFGF、またはTGFβ1を含まないmTeSR1培地のバリアント(時に、本明細書において「mTeSR1カスタム」培地として言及される)である。TGFβシグナル伝達の阻害剤は、例えば、SB431542、GW788388、LDN193189、LY2109761、LY2157299、およびLY364947のうちの1つまたは複数を含む。Shhシグナル伝達の活性化因子は、スムーズンドアゴニスト(SAG;3-クロロ-N-[(1r,4r)-4-(メチルアミノ)シクロヘキシル]-N-[3-(ピリジン-4-イル)ベンジル]ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキサミド)およびプルモルファミンのような、スムーズンドのアゴニストを含む。
【0061】
約6、7、8、9、10、11もしくは12日間(またはそれ以上、すなわち、15、16、17、18、19、20、25、30、もしくはそれ以上)の培養後、CD271+細胞が選択され、神経細胞の基礎培地(例えば、Brainphys(商標))中で培養され、神経胚様体(NEB)を生成する。神経細胞の基礎培地は、場合により、B27サプリメント、rho関連タンパク質キナーゼ(ROCK)の阻害剤、神経成長因子(NGF)および脳由来神経栄養因子(BDNF)の1つまたは複数を追加される。ROCKの阻害剤は、例えば、GSK269962、GSK429286、H-1152、HA-1077、RKI-1447、チアゾビビン、Y-27632、またはその誘導体を含む。
【0062】
CD271+細胞を選択するために、オーバーコンフルエント状態の細胞が、培養物表面から剥離され、FACSにより精製され、再プレーティングされる。このプロセスは、本明細書においてNEBとしても言及される細胞凝集体または球体の形成を可能にする。本発明の目的のため、用語「NEB」、「凝集体」、および「球体」は互換的に使用され、必須ではないが、好ましくは、少なくとも約100個の細胞の多細胞の3次元構造体を指す。
【0063】
剥離は、細胞スクレーパーもしくは他の適当な道具を用いて機械的に、または化学的に行われ得る。化学的剥離は、タンパク質分解酵素、例えば、コラゲナーゼ、トリプシン、トリプシン様タンパク質分解酵素、商標名TRYPLE(商標)の下で販売されるもののような組換え酵素、商標名ACCUTASE(商標)の下で販売されるもののような天然にもたらされる酵素、およびそれらの組み合わせを使用して達成することができる。化学的剥離はまた、EDTAのようなキレート剤、または尿素のような化合物を使用して行われ得る。機械的剥離または剥離は、最少の細胞死という利点を付与するが、可変サイズの凝集体を生じさせ、そのため、手動の選択プロセスを通じて適切な球体が選択される必要がある。良好な球体は、球形で、より濃い中心を有する金色/茶色で、直径が約300μm~約800μmのものと定義される。酵素切断などの化学的方法を用いて細胞を剥離することは、さらなる培養に適した球体を主に生じる。それ故、球体の手動選択は要求されず、剥離工程は、自動化に適合し、ハイスループット研究において使用され得る。しかしながら、酵素切断は、細胞死を増大させ、より少ない数の球体を生じる。
【0064】
選択されたCD271+細胞を約5、6、7、8、9、もしくは10日間(またはそれ以上、すなわち、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、25日間、30日間、もしくはそれ以上)培養した後、形成されたNEBを回収し、解離し、単層培養物としてプレーティングし、(場合により、B27サプリメント、NGF、およびBDNFを追加された)Brainphys(商標)のような神経細胞用の基礎培地中でさらに培養する。細胞をプレーティングして培養する表面は、細胞外基質タンパク質(例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン)および/または正に荷電したポリ-アミノ酸(例えば、ポリ-アルギニン、ポリ-リジン、ポリ-オルニチン)を含み得る。好ましくは、表面は、ラミニンおよび/またはポリ-オルニチンを含む。
【0065】
BFCNへの分化を確認するために、培養された細胞は、Tuj1、MAP2、BF1、Nkx2.1、およびp75の陽性発現について解析される。
【0066】
本発明の実施形態の多くは、例えば、培地サプリメントとして、本明細書に記載されている組成物および方法において使用される(または除外される)特定の因子を含む。当該因子は、bFGF、GABA、ピペコリン酸、塩化リチウム、TGF-β、NGFおよびBDNFを含むが、これらに限定されない。アクロニムまたは他の略語が使用される場合において、これらの因子のそれぞれの完全な名称を含む、これらの因子のそれぞれが、当該技術分野において周知である。さらに、これらの因子の全てが、市販の供給源を含む、複数の供給源から公的に入手可能である。本発明の方法および組成物におけるこれらの因子のそれぞれの使用のための典型的な量/濃度は、本特許開示の実施例の節において提供される。特定の量が言及される全ての実施形態について、「およその」特定された量である量も意図される。さらに、当業者は、幾つかの状況において、特定の量のさらなる偏差が使用され得、使用される量が、依然として所定の効果、例えば、所定の分化効果を依然として達成する限り、日常的な試験、最適化、用量応答研究等を行うことにより、それぞれの因子のどれ位を使用するかを決定して、例えば、所定の量を提言するか、増大させることができることを認識する。例えば、幾つかの実施形態において、特定の量の特定の剤は、所定の量の10%、または20%、または30%、または40%、または50%、または60%、または70%、または80%、または90%まで低減されてもよい。同様に、幾つかの実施形態において、特定の量の特定の剤は、所定の量の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、300%、400%、または500%増大されてもよい。同様に、特定の因子が言及される場合、当業者は、当該因子の類似体、バリアント、または誘導体が当該特定の因子と同じ一般的な機能/活性を有する限り、当該因子の類似体、バリアント、または誘導体も使用することができることを認識する。
【0067】
本明細書において考察される通り、本発明者らは、BFCNにおいてPSEN2の変異が神経細胞興奮性の障害をもたらすことを発見した。本明細書中の実施例において考察される通り、本発明者らは、神経細胞興奮性を回復させたPSEN2N141I変異の修復を介して、BFCNの興奮性における変異に関連し編集により元に戻り得る有意な差を観察した。従って、本発明の方法は、遺伝子編集システムを用いて処理して、プレセニリン1(PSEN1)またはプレセニリン2(PSEN2)の変異のような1つまたは複数の変異を修復し得る、iPSCを利用してもよい。1つの実施形態において、変異はPSEN2N141Iであり、その修復が、BFCNにおける神経細胞興奮性を回復させる。
【0068】
本明細書において使用される場合、用語「遺伝子編集」または「ゲノム編集」は、1つもしくは複数のヌクレアーゼおよび/またはニッカーゼを使用してDNAが挿入されるか、置換されるか、または標的DNA(例えば、細胞のゲノム)から取り除かれるタイプの遺伝子操作を指す。ヌクレアーゼは、ゲノムにおける所望の位置において特定の二重鎖切断(DSB)を生じ、相同組換え修復(HDR)(例えば、相同組換え)によりまたは非相同末端結合(NHEJ)による導入された切断を修復するための細胞の内在性機序を利用する。ニッカーゼは、ゲノム中の所望の位置で特定の一本鎖切断を生じさせる。1つの非限定的な例において、2つのニッカーゼを使用して、標的DNAの反対の鎖上に2つの一本鎖切断を生じさせ、それにより、平滑末端または粘着末端を生じさせ得る。任意の適当なヌクレアーゼ(CRISPR関連タンパク質(Cas)ヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、他のエンド-またはエキソ-ヌクレアーゼ、そのバリアント、そのフラグメント、およびそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない)を細胞に導入して、標的DNA配列のゲノム編集を誘導することができる。特定の実施形態において、相同組換え修復(HDR)(例えば、相同組換え)による標的DNA配列(例えば、セーフハーバー遺伝子)のヌクレアーゼ介在性ゲノム編集が、本明細書に記載される方法に従い遺伝子修飾されたヒト神経幹細胞を生成するために使用される。
【0069】
用語「DNAヌクレアーゼ」は、DNAのヌクレオチドサブユニット間のホスホジエステル結合を切断する能力がある酵素を指し、エンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼであってもよい。本発明によると、DNAヌクレアーゼは、セーフハーバー遺伝子のような標的DNA配列のゲノム編集を誘導するために使用され得る、操作された(例えば、プログラム可能または標的化可能な)DNAヌクレアーゼであってもよい。CRISPR関連タンパク質(Cas)ヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、他のエンド-またはエキソ-ヌクレアーゼ、そのバリアント、そのフラグメント、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、任意の適当なDNAヌクレアーゼが使用され得る。
【0070】
本発明の様々な実施形態において、遺伝子編集システムは、DNAヌクレアーゼを利用して、遺伝子を編集し、変異を修復する。特定の実施形態において、変異は、次の遺伝子編集システム:CRISPR/Casシステム、Cre/Loxシステム、TALENシステムおよび相同組換えのうちの1つまたは複数を使用して修復される。
【0071】
本発明の分化プロトコールを利用して、対象における疾患または障害を治療してもよい。方法は、本明細書に記載される培養方法を用いて生成されたBFCNを対象に投与することを含む。様々な実施形態において、疾患または障害は、全身性アミロイドーシス、アルツハイマー病、成人発症型糖尿病、パーキンソン病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、およびプリオン関連伝達性海綿状脳症のような、アミロイド形成疾患である。実施形態において、神経細胞興奮性を障害する変異(例えばPSEN2N141I)を有するBFCNが対象から得られ、それを使用してiPSCを生成し得、次にそれを遺伝子編集システムを用いて処理して変異を修飾し得る。次に、遺伝子編集されたiPSCを、本明細書に記載される通りに培養して、疾患または障害を治療するために対象に投与される、神経細胞興奮性が回復したBFCNを作製する。
【0072】
関連する方法において、対象においてBFCNの神経細胞興奮性が回復されてもよい。この方法は、a)対象からBFCNを単離する工程であって、BFCNは、BFCNの神経細胞興奮性の障害を生じさせる遺伝子変異を有する、単離する工程;b)(a)のBFCNを使用してiPSCを生成する工程;c)iPSCにおける変異を修復する工程;d)本明細書に記載される分化プロトコールを使用して(c)のiPSCを培養して、変異が修復されたBFCNを生成する工程;およびe)(d)のiPSCを対象に投与する工程であって、それにより対象においてBFCNの神経細胞興奮性が回復する、投与する工程を含む。実施形態において、変異は、PSEN1またはPSEN2の変異、例えばPSEN2N141Iである。
【0073】
本発明はまた、本明細書に記載される分化プロトコールを用いて生成されたBFCNを包含する。BFCNは、PSEN2の遺伝子編集による修復、並びにBFCNゲノムに組換え導入された検出可能なマーカーを含んでもよい。幾つかの実施形態において、BFCNはPSCから分化し、かかる実施形態において、PSCはiPSCであり得る。iPSCは、対象の体細胞に由来し得る。1つの態様において、対象は、アミロイド形成疾患または障害を有する。
【0074】
iPSCテクノロジーは、その自家細胞移植の可能性に加えて、新規薬物を開発するためおよび病因を洞察するためのツールとして台頭してきている。Han、S.S.W.ら、Neuron、70:626~644頁(2011年)。本発明の方法および細胞は、神経細胞興奮性の回復を促進する化合物についてのハイスループットなインビトロスクリーニングの開発を目的にし得る。その目的のために、本開示は、BFCNにおける神経細胞興奮性の低下と関連する疾患もしくは障害の治療または予防のために使用され得る化合物を同定する方法を提供する。当該方法は、a)本明細書に記載される分化プロトコールを用いて生成されたBFCNまたは神経胚様体(NEB)を候補化合物と接触させる工程であって、BFCNが、BFCNの神経細胞興奮性の障害を生じさせるPSEN2における変異を含む、接触させる工程;およびb)候補化合物との接触後にBFCNの神経細胞興奮性を検出する工程を含む。神経細胞興奮性に対する有益な効果は、神経細胞興奮性の部分的または完全な回復における証拠であり、そのため、当該効果は、BFCNにおける神経細胞興奮性の低下と関連する疾患または障害(例えば、アミロイド形成疾患または障害)を治療するための候補治療剤の指標である。好ましくは、当該方法は、ハイスループットフォーマットで行われる。
【0075】
本発明はまた、神経性疾患、好ましくは、アミロイド形成疾患もしくは障害のような、BFCNにおける神経細胞興奮性の低下と関連する疾患または障害についてのモデルシステムを提供する。1つの態様において、当該モデルシステムは、アミロイド形成疾患もしくは障害のような、BFCNにおける神経細胞興奮性の低下と関連する疾患または障害を有する対象に由来するiPSCから分化したBFCNを含む。当該モデルシステムは、ミエリン産生細胞が移植された非ヒト哺乳類をさらに含み得る。1つの実施形態において、当該非ヒト哺乳類はマウスまたはラットである。本発明により提供されるモデルシステムを使用して疾患または障害を研究することができ、これは、背景にある機序を理解し、治療標的を明らかにすることを含む。
【0076】
幾つかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載される様々な方法の実施に有用な、組織培養培地、組織培養培地サプリメント、および様々なキットを提供する。
【0077】
1つの実施形態において、本発明は、本発明の分化プロトコールによってBFCNを生成するためのキットを提供する。当該キットは、TGF-βシグナル伝達の阻害剤およびShhシグナル伝達の活性化因子を有する培地を含む。実施形態において、当該培地は、bFGF、TGF-β、塩化リチウム(Li-Cl)、GABA、およびピペコリン酸を含む、多能性を支持する因子を欠く、改変されたmTeSR1組成である。実施形態において、当該培地は、スムーズンドアゴニスト(SAG)およびプルモルファミンのような、スムーズンドタンパク質の1つまたは複数のアゴニストと共に、SB431542およびLDN193189のような、二重SMAD阻害剤を含む。
【0078】
当該キットはまた、(場合により、B27サプリメント、ROCKの阻害剤、NGFおよびBDNFのうちの1つまたは複数が追加された)Brainphys(商標)のような、さらなる神経細胞基礎培地を含んでもよい。
【0079】
当該キットはまた、FACSによるCD271+細胞の検出および単離、並びにTuj1、MAP2、BF1、Nkx2.1、およびp75の発現の検出のための試薬を含んでもよい。
【0080】
当該キットは、場合により、使用説明書、1つもしくは複数の容器、1つもしくは複数の抗体、又はそれらのうちのいずれかの組み合わせを含んでもよい。典型的にはラベルがキットに添えられ、当該ラベルには任意の記入または記録された資料が含まれ、それは、キット内容物の使用のための指示書または他の情報を提供する電子的なまたはコンピューターで読み込み可能な形態(例えば、ディスク、光ディスク、メモリーチップ、またはテープ)であってもよい。
【実施例0081】
以下の実施例は、本発明の利点および特性をさらに説明するために提供されるが、これは、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。本実施例は、使用され得るものの典型である一方、当業者に公知の他の方法、方法論、または技術が代わりに使用されてもよい。
【0082】
実施例I
iPSCに由来するアルツハイマー病のPSEN2N141I変異における、CRISPR/Cas9により修正可能な変異に関連する分子表現型および生理学的表現型
前脳基底部コリン作動性神経細胞(BFCN)は、全ての形態のADにおいて影響を受ける最初の細胞タイプの1つであると考えられ、これらの機能障害は、短期記憶の形成および想起の障害と臨床的に相関する。本発明者らは、プレセニリン2(PSEN2)変異のキャリアおよび対照に由来する細胞株を使用して、iPSCからヒトBFCNを生成するための最適化されたインビトロプロトコールを提示する。予想通り、PSEN2N141I変異を有する細胞株は、iPSCに由来するBFCNにおいてAβ42/40の増大を示した。PSEN2N141I株に由来する神経細胞が矩形の脱分極電流注入に応答して生じたスパイクの最大数は、より少なかった。基電流の注入時における第一の活動電位の高さもまた、PSEN2N141IBFCNにおいて有意に低下した。PSEN2の点変異のCRISPR/Cas9による修正は、電気生理学的異常を消失させ、対照において記録されたレベルまでスパイクの最大数とスパイク高の両方を回復させた。また、増大したAβ42/40を、PSEN2N141I変異のCRISPR/Casにより仲介される修正後に正常化させた。ゲノム編集データは、電気生理学におけるPSEN2変異関連変化も示しながら、Aβ42/40比の変異関連変化の強い一貫性を立証する。
【0083】
「アミロイド仮説」は、アルツハイマー病(AD)の病因の最も支持されている説明の1つである。臨床病理学的分解および/または臨床放射線学的分解の近年の例は、それぞれ、神経病理学的ADが、常に認知症と関連するわけではない理由[24]、および臨床上のADを有する患者の約3分の1が、陰性のアミロイド脳スキャンを有する理由[40]を説明するために、代替のモデルの考察を導いた。臨床上のADが、アミロイドーシス、タウオパチー、神経炎症、および神経変性と結び付く幾つかの「フィードフォワード」シナリオの1つにより引き起こされ得ることが提案されている[22]。プレセニリン2(PSEN2)をコードする遺伝子における変異は、常染色体優性遺伝性早期発症型家族性アルツハイマー病(EOFAD)と関連する。EOFADと結び付けられるヒト染色体1q31~42上の遺伝子座の結合は、1995年に、ボルガドイツ人血液関係におけるPSEN2N141I点変異の同定を導いた[43]。この変異はAβ42~43/40比の上昇を引き起こし、それにより、Aβオリゴマーおよび原線維のアセンブリーを促進する[83]。
【0084】
ADの進行を考慮する際、ヒト前脳基底部コリン作動性神経細胞(BFCN)は、その機能障害が、全ての形態のADにおける短期記憶回想の早期消失の基礎となる、最初の細胞タイプの1つである。「ADのコリン作動性仮説」は、1970年代半ばにまとめられ[6、20、61]、マイネルトの基底核の神経細胞からのアセチルコリン放出の低減の発見は、AD患者の前脳基底部におけるシナプス前コリン作動性異常の存在を立証した[1、71]。これらの知見に基づき、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤が開発され、ADのための最も広く使用される対症療法として続いている[21、28、33、82]。結局、疾患の異なる段階における検死後の脳の生化学的研究および体積測定研究によって、同様にADの経過における早期に影響を受けた脳の幾つかの他の領域が同定された[63]。これらの結果は、海馬および皮質に伝統的に焦点を当てるが、より最近、前脳基底部にシフトし直し、および線条体のような、他の範囲を加える注目を始めた[27、62]。最新の解析は、コリン作動性前脳基底部体積測定値が、従前の標準的な海馬の体積よりも、MCIからADへの移行の良好な予測因子であり得ることを示唆する[10]。
【0085】
本発明者らは、PSEN1A246EおよびPSEN1M146L変異を有する対象由来の保存された線維芽細胞からのiPSCに由来する神経細胞の生成を既に報告している[77]。これらのiPSCに由来する神経細胞の遺伝子発現特性の特徴決定において、本発明者らは、分化していないPSEN1変異iPSCおよびこれらの神経分化した子孫におけるインフラマソーム遺伝子NLRP2の発現上昇の予期せぬ関連性を観察した[77]。それにより、本発明者らは、本発明者らのPSEN2変異株におけるNLRP2発現を調べ、CRISPR/Cas9[15]を利用して、インフラマソームの活性化が、PSEN2における病原性変異と強く結び付けられているかを調べた。本発明者らは、遺伝子修正したPSEN2株においてはNLRP2発現の変化を見出さなかったが、BFCNの興奮性における、変異に関連し編集により元に戻り得る有意な差を観察した。
【0086】
材料および方法
iPSC株の作製および維持
7889(s)B、050643(対照)、948(AD1)、949(f対照)、および950(AD2)iPSC株を、[60]のガイドラインに従いNYSCF貯蔵所を介して得た。Nkx2.1-GFP ESC株の誘導および特徴決定は、既に公開されている[30]。ESおよびiPS細胞株の拡大増殖および維持は、血清を含まないmTeSR1(商標)培地(Stem Cell Technologies)中で行った。StemPro(商標)Accutase(ThermoFisher)を使用して細胞を剥離し、細胞継代中には10μM ROCK阻害剤(Y27632、Stemgent)を培地に追加した。
【0087】
本書類における全ての研究について、細胞株は、iPSC段階から成熟神経細胞段階まで少なくとも3回の独立した分化を経験した。データは通常、これらの独立してもたらされた遺伝子型が同一の神経細胞(またはある場合において、神経前駆細胞)にわたって比較され、独立してもたらされた遺伝子型が同一の細胞にわたって同等の結果が得られた場合、これらは、これらの遺伝子型の認定された代表であるとみなされ、故に、遺伝子型特異的な実験のために伝えられた。
【0088】
Aβ42オリゴマー調製
Aβ42オリゴマーを、既に報告されている通りに調製した[23、78]。簡単に言うと、本発明者らは、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)(Sigma)中にAβ42(American Peptide Company)1mgを溶解した。この調製物を等分し、SpeedVac(商標)遠心分離機を使用して乾燥させた。次に、ペレットを、DMSO中に再懸濁して、ウォーターバス中で10分間超音波処理した5mM溶液を得た。ここから、アリコートを-20℃で保存し、PBS 100μlで希釈し、オリゴマー形成を進めるために4℃で12時間放置することにより、2週間以内に使用した。この最終溶液を、研究用の細胞培地中で1:16に希釈し、細胞を5μM Aβ42オリゴマーに暴露した。対照ウェルは、1:16PBSを用いて希釈した。細胞を、3日間、培地を変更することなく、オリゴマーまたはPBSに暴露した。
【0089】
細胞死アッセイ
細胞を、96ウェルプレートフォーマットでアッセイした。オリゴマーまたはビヒクル溶液を培地に加え、そのまま3日間インキュベーションした。次に、培地を集め、乳酸脱水素酵素毒性アッセイ(Thermo Fisher Scientific)を用いてアッセイした。培地50μlおよび等量の反応混合バッファーを、30分間インキュベーションした。1回の実験当たりウェルのさらなるセットを、2%トリトン(商標)X-100を用いて5分間インキュベーションして、全ての細胞を溶解し、これらのウェルの培地も集め、記載した通りインキュベーションした。インキュベーション後、吸光度を、それぞれ、490nmおよび680nmにおいてシグナルおよびバックグラウンド吸光度を記録した。シグナル値からバックグラウンドを引き、値を、トリトンX-100で処理したウェルにより決定した総LDH濃度に適合させた。ヨウ化プロピジウム(Thermo Fisher Scientific)を、1μMの最終濃度のため、細胞培地に加え、そのまま5分間インキュベーションした。次に、細胞を2回培地を用いて洗浄し、画像化した。CELIGO(商標)画像血球計算器および添付のソフトウエア(Nexcelom Bioscience)を使用して、画像を取得した。それぞれの生物学的変数を、それぞれの指定した「実験」において技術的トリプリケートで評価し、それぞれの指定した「実験」を、少なくとも3回の完全な「開始から終了までの」反復で行なった。
【0090】
iPSおよびES細胞からの前脳基底部コリン作動性神経細胞の分化
ヒトESまたはiPSCを、Accutase(商標)(Sigma-Aldrich)を用いて化学的に解離させた後、Cul-trex(商標)(Trevigen)コーティングプレートに、6ウェルプレートまたはペトリディッシュにおける1ウェル当たり4~8×105個の細胞の密度にて、細胞数を合わせて、単一の細胞としてプレーティングした。細胞を、完全なコンフルエントに達するまで、mTeSR1(商標)培地(Stem Cell Technologies)においてまず維持した。分化の「0日目」に、培地を、多能性を促進する因子、すなわち、bFGF、TGF-β、Li-Cl、GABAおよびピペコリン酸を欠く、カスタムmTeSR1(商標)培地(Stem Cell Technologies)により置き換えた。0日目における二重SMAD阻害剤(10μM SB431542および250nM LDN193189、Selleckchem)の添加により、細胞を神経外胚葉特定化に向かわせた。分化の2日目において、培地を、二重SMAD阻害剤および2種の腹側化因子:500nM SAG(R&D)および2μM プルモルファミン(Stemgent(商標))を含有するカスタムmTeSR1により置き換えた。培地を、B27(Life Technologies)を追加したBrainphys(商標)培地(Stemcell Technologies)に次第にスイッチするとき、9日目まで、細胞に、2日毎にこの培地を与えた[3]。Accutaseを使用して、11日目に神経前駆細胞を回収し、p75+(CD271)NPCをFACSにより精製し、1ウェル当たり80,000個の細胞密度で、非接着性96ウェルV底プレートに、10μM ROCK阻害剤(Y27632、Stemgent)、神経成長因子、NGF、(Alamone labs、50ng/mL)および脳由来神経栄養因子、BDNF、(R&D、50ng/mL)を追加したBrainphys(商標)+B27においてプレーティングした。細胞を凝集させ、神経胚様体(NEB)を形成させ、19日目まで1日置きに加えた。19日目において、Accutase(Sigma-Aldrich)を使用して、NEBを解離させ、単層培養物として、BDNFおよびNGFを追加したBrainphys(商標)培地+B27中の分岐ポリエチニルイミン(.1%、Sigma-Aldrich)およびラミニン(10mg/mL、Life Technology)を用いてコーティングしたプレートにプレーティングした。解析まで、培地を2日毎に交換した。代替として、3D NEBを、拡大増殖のため3~4個の小片に手動で解体し、さらに成長させるか、または凍結保存した。当初のバージョンのプロトコールは、Brainphys(商標)の代わりに基礎培地としてNeurobasal(商標)を使用した。
【0091】
ゲノムDNAの単離および配列決定
製造元の指示に従い、High Pure(商標)PCR鋳型調製キット(Roche)を使用して、PSEN2変異iPSC株または対照iPSC株からゲノムDNAを単離した。増幅に先立ち、ゲノム試料を、RNAse(QIAGEN)を用いて処理した。次のプライマー:
フォワード:
、リバース:
を使用して、PSEN2
N141I変異を含有するPSEN2のエクソン5由来のフラグメントを増幅し、遺伝子型に関わらず、173bpのフラグメントを生じさせた。ApoE対立形質バリアントの検出のため、配列決定に先立ち、プライマー:
フォワード:
、リバース:
を使用して、244bpのフラグメントを増幅した。両方のPCRを、次の設定:94℃で10分;40サイクル(94℃で30秒、62℃で20秒、72℃で10秒);72℃で7分を用いて行なった。PCR産物を2%アガロースゲル中で泳動させて、増幅したフラグメントのサイズをチェックした。増幅後、EXOSAP-it(商標)(Thermo Fisher Scientific)を使用して、試料を洗浄し、次に、以下のプライマー:[53]からのPSEN2用プライマー(フォワード:
、リバース:
);[36]からのApoE用プライマー(フォワード:
、リバース:
)を使用して、配列決定した。
【0092】
CRISPR/Cas9による遺伝子修正
iAD1対照株およびiAD2対照株は、PSEN2WT/WTに対するPSEN2N141I/WTヘテロ接合性点変異のCRISPR/Cas9により仲介した修正により、948(AD1)および950(AD2)iPSC株から生じた。g1N141IシングルガイドRNA(sgRNA)を、pSpCas9(BB)-2A-GFP(PX458)ベクターにクローニングし、それにより、ボルガ変異が位置するPSEN2のエクソン5における配列に遺伝子編集を指示するためのpSpCas9-g1N141I-GFPベクターを生じる。一本鎖オリゴヌクレオチド(ssODN)は、CRISPR/Cas9修正のための効率的な鋳型である[13、66]。ssODN#A-N141I(配列の詳細は以下のとおり)を、遺伝子修正のためのドナー配列として使用した。本発明者らは、非対称なssODNが、CRISPR/Cas9を使用した相同性により指示される修復のより高い効率を示したので、91bpの長い相同性アームおよび36bpの短い相同性アームを有する非対称なssODN配列を設計した[68]。
【0093】
【0094】
Amaxaヒト幹細胞用Nucleofector(商標)キット(Lonza VPH-5002)を使用して、50~70%コンフルエントでプレーティングされたAD1およびAD2 iPSC株にドナー配列およびpSpCas9-g1N141I-GFPベクターを形質導入し、回復のために再プレーティングした。BD FACSAria IIu Cell Sorter(商標)でGFP+細胞を分取し、当該細胞を96ウェルフォーマットで1ウェル当たり30~50個播種し、単一コロニーを検出してピックアップした。陽性コロニーを拡大増殖させ、qDNAを抽出し、Chr1:227,073,304 A>Tに位置するSNP(dbSNP ID:rs63750215)に特異的なプローブを用いて特別設計TaqMan(商標)ジェノタイピングアッセイを使用して決定した良好なHDRについて解析した。選択したクローンをサンガー配列決定により解析して、Chr1:227,073,304位置の修正を確認し、周囲の領域における可能性のある挿入体または欠失体を廃棄した。
【0095】
蛍光標示式細胞分取(FACS)
分化の12日目における神経前駆細胞を、Accutase(Sigma-Aldrich)を用いて5分間37℃で解離させ、神経用基礎培地中で不活性化させた。細胞を1000rpmにて4分間スピンし、ペレットを、p75またはNGFRとしても公知のPEマウス抗ヒトCD271抗体(クローンC40~1457、BD)を1:100で含むFACSバッファー(DPBS、0.5%BSA分画V溶液、100U/mLペニシリン-ストレプトマイシン、0.5%EDTAおよび20mMグルコース)中に再懸濁し、20分間、室温(RT)、暗所にてインキュベーションした。インキュベーション時間の後、FACSバッファーを用いて細胞を洗浄し、ペレットを、10μM ROCK阻害剤(Y27632、Stemgent)を含むFACSバッファー2mL中に再懸濁した。p75陽性細胞を、BD FACSAria IIu Cell Sorter(商標)にて精製し、データを、FlowJo(商標)ソフトウエアを使用して解析した。
【0096】
リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)
PSEN2変異患者または対照患者に由来するヒトiPSCを、単層で増殖させ、RLTバッファーを含む細胞培養ウェル中で直接溶解した。総RNAの精製を、RNeasy(商標)マイクロキット(Qiagen)を用いて、製造元の指示に従って行なった。cDNAを、SuperScript(商標)III逆転写酵素(RT)(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用して合成した。半定量的リアルタイムPCRを、以下の表2において挙げるプライマーを使用して、StepOnePlus(商標)リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems、Foster City、CA)において行った。本発明者らは、GAPDHに対して発現レベルを標準化した。PCRサイクルパラメーターは、50℃で2分間、95℃で10分間、続いて95℃で15秒間、および60℃で1分間の40サイクルであった。それぞれの生物学的変数を、それぞれの指定した「実験」において技術的トリプリケートで評価し、それぞれの指定した「実験」を、少なくとも3回の完全な「開始から終了までの」反復で行なった。発現レベルを、対照株に対して標準化し、結果を、AVG±SEMとして表した。
【0097】
【0098】
Aβアッセイ
細胞を、二重SMAD阻害の8日目の後に3日間条件付けて、インビトロで神経前駆細胞によるAβの分泌を測定した。ヒト/ラットβアミロイド40ELISAキットおよびβアミロイド42ELISAキット高感度(Wako)を使用して、Aβレベルを定量した。それぞれの生物学的変数を、それぞれの指定した「実験」において技術的トリプリケートを使用して評価し、それぞれの指定した「実験」を、少なくとも3回の完全な「開始から終了までの」反復で行なった。
【0099】
免疫染色/ICC
細胞を、12、48または96ウェルプレートのウェルに直接、4%PFAを用いて20分間固定し、1×DPBS(ThermoFisher)を用いて3回洗浄した。染色のため、細胞を、ブロッキング溶液(0.1%トリトン(商標)X-100プラス5%ロバ血清を含む1×DPBS)において2時間、室温においてインキュベーションした。対応する1次抗体を、ブロッキング溶液中の適当な濃度にて希釈し、一晩4℃にてインキュベーションした。使用した1次抗体を、以下の表において表す。細胞を、DPBST(1×DPBS+0.1%トリトン(商標)X-100)を用いて3回洗浄し、適当な2次抗体を、ブロッキング溶液において1時間室温にて加えた。次に、細胞を、DPBSTを用いて3回洗浄し、核対比染色のため、DRAQ5またはHoescht33,342(1μg/mL、1×DPBSにおいて希釈した)と10分間室温にてインキュベーションした。10×、20×もしくは63×の拡大率下で倒立蛍光顕微鏡(Olympus(商標)IX71顕微鏡)または共焦点顕微鏡(Zeiss(商標)LSM5パスカル顕微鏡)を使用して、細胞を可視化した。
【0100】
ウエスタンブロット
PSEN2変異患者または対照患者に由来するヒトiPSCを、単層で増殖させ、細胞培養物中でタンパク質分解酵素およびホスファターゼ阻害剤を含むRIPAバッファー(Thermo Scientific)を用いて直接溶解した。タンパク質濃度を、BCAタンパク質アッセイキット(Thermo Scientific)を使用して測定した。タンパク質の推定後、細胞溶解物20μgを、4~12%Bis-Trisゲル(Bolt(商標)タンパク質ゲル)上でのSDS-PAGE電気泳動により分離し、電気泳動ブロッティングによりニトロセルロース膜に移した。膜を、ブロッキングバッファー1X TBST(トリス-緩衝食塩水+0.1%Tween)および5%無脂肪乾燥ミルクを用いて、1時間、室温にて攪拌しながらブロッキングし、TBSTを用いて3回洗浄した。洗浄後、膜を、4℃にて一晩攪拌しながら、NLRP2(1:1000)、PSEN2(1:200)または3-アクチン(1:1000)に対する1次抗体とインキュベーションした。洗浄後、膜を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合した適当な2次抗体と1時間、室温にてインキュベーションした。最後に、タンパク質バンドを、製造元の指示に従い化学発光試薬を用いて可視化した。3-アクチンを、添加対照として使用した。
【0101】
電気生理
全細胞パッチ-クランプ記録を、分化の38~55日目の単一神経細胞から得た。細胞を、低密度において、灌流ベースの付属記録チャンバーに置いたプラスチックカバーガラスに播種した。神経細胞を、Hamamatsu Orca(商標)R2CCDカメラを備えたOlympus BX61WI顕微鏡下で微分干渉光学を使用して、局在化した。記録を、室温にてMultiClamp(商標)700B増幅器(Molecular Devices、Sunnyvale、CA、USA)を使用して行なった。シグナルを、10kHzにおいて試料採取し、6kHzにおいて、デジタル変換器(Molecular Devices)に類似のDigidata(商標)1440Aを使用してフィルターをかけた。増幅器制御およびデータ取得を、pClamp(商標)10.0ソフトウエア(Molecular Devices)を使用して行なった。
【0102】
記録中、神経細胞を、酸化Brainphys(商標)培地(StemCell Technologies Inc)を用いて灌流した。培地抵抗性記録ピペット(4~6MΩ)を、pH7.1に滴定し、モル浸透圧濃度310mOsmの(mMで)130K-グルコネート、10KCl、2Mg-ATP、0.2Na-GTP、0.6CaCl2、2MgCl2、0.6EGTA、および5HEPESからなる細胞内溶液で充填した。幾つかの実験において、細胞内溶液はまた、hoc同定後の個々の神経細胞について4mg/mLビオサイチン(Sigma-Aldrich)を含有し、それを、他で記載される通り[42]、ストレプトアビジン結合Alexa 488(Life Sciences)を用いて可視化した。最初の割り込み後、接近抵抗性(Rs)を、一貫してモニタリングし、Rsが、20MΩを超えるか、または30%より変化したなら、記録を廃棄した。化合物Na+およびK+電流特徴決定のための電位プロトコールは、以下の通りである:細胞を、電位-80mVで維持し、続いて、0.1Hzの頻度で10mVずつ-100mVから30mVまで増加させる500msのステップに供した。電流固定様式に移行後、静止膜電位を記録し、細胞を、-70mVまでの負のDC電流注入により過分極させて、興奮性測定値の一貫性を立証した。1pAずつ-10pAから40pAまでの1秒間の矩形電流ステップを用いて活動電位を誘発した。
【0103】
電気生理学的記録を、ClampFit(商標)ソフトウエア(Molecular Devices、Sunnyvale、CA、USA)を使用して解析し、結果の統計学的有意性を、チューキー事後比較の手段を用いたANOVA検定を使用して測定した。塩および他の試薬を、Sigma-Aldrich(St.Louis、MO、USA)から購入した。
【0104】
統計解析
qPCR遺伝子発現実験およびAβ42/40 ELISAを、スチューデントt検定を使用した統計学的有意性について解析した。LDH放出アッセイを、2元配置ANOVAボンフェローニ事後検定により解析した。チューキー事後比較を用いたANOVA検定を、電気生理の結果の解析のため使用した。実験は、数日から数週間を要する電気生理学解析のため記録された94個の神経細胞のそれぞれを検出する必要があった。それぞれの実験日において、それぞれの遺伝子型の代表を、それぞれの日に研究したそれぞれの遺伝子型由来の少なくとも3つの試料と共に含んだ。*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001。
【0105】
結果
BFCN分化のプロトコールの最適化
BFCN分化のスキームを、
図1Aに記載する。対照対象またはAD患者に由来するiPSCをフィーダーのない状態でプレーティングし、mTeSR1基礎培地を使用した分化の前に100%コンフルエントに到達させた。「0日目」に、TGF-βシグナル伝達の両方の分岐を阻害(二重SMAD阻害)して神経外胚葉の運命を誘導した[12]。分化(2~10日目)を、多能性を支持する因子(bFGF、TGF-β、Li-Cl、GABAおよびピペコリン酸)を欠く改変mTeSR1組成を使用して行なった。これらの細胞を前脳基底部コリン作動性神経細胞に特定化するためには、淡蒼球原基(MGE)誘導のための腹側化が必要とされる[19、85、91]。細胞自体を、2~8日目に、500nMソニックヘッジホッグ(Shh)類似体(SAG)および2μMプルモルファミンを用いて処理した。SAGは、組換えShhより低コストであり、Shh自体より神経細胞の生存特性においていくつかの利点を有し[7、35]、ChAT
+運動神経細胞およびグルタミン酸作動性介在神経細胞の分化中に示された通り、Shhシグナル伝達を活性化するための適当な代替物である[91]。本発明者らは、腹側化因子の組み合わせ、投薬量、およびタイミングを、誘導されたNkx2.1前脳基底部前駆体に由来するBFCNの特定化にとってより有益なものに調節するためのツールとして、Nkx2.1-GFP胚性幹細胞(ESC)レポーター株を使用した。
【0106】
しかしながら、中間神経前駆細胞からTH+およびGABA+視床下部神経細胞などの複数の神経細胞サブタイプを生成するNkx2.1の能力を考慮して、本発明者らは、異なる特定化条件における、GABA作動性介在神経細胞特異的転写因子Lhx6[26]の発現に対する、下流のコリン作動性特定化因子Lhx8の発現を解析した(
図1b)。これらのデータは、Shh+プルモルファミンの効果より少ない効果ではあるが、Nkx2.1の誘導に対するSAGおよびプルモルファミンの相乗効果の存在を支持する[50]のデータと一致する(
図1B)。Nkx2.1からもたらされたGFPレベルは、14日目より後に維持され、8日目におけるSAG+プルモルファミンの中止後でさえ維持された(
図1B)。本発明者らは、SAG単独よりも、それどころかShh+プルモルファミンよりも、SAG+プルモルファミンで処理した場合に高いLhx8を観察した(
図1B)。興味深いことに、SAG+プルモルファミンにより誘導された中間Nkx2.1レベルは、Lhx8およびBF1のより高い遺伝子発現誘導と相関する(
図1B)。2日目においてSHH経路誘導性の腹側化を開始するという本発明者らの選択は、二重smad阻害プロトコールとの関連において、より早期(例えば、視床下部神経細胞)またはより後期(例えば、GABA作動性介在神経細胞)の腹側化により生成される他のMGE由来の集団を示す報告に基づいた。
【0107】
パターン形成期の後、本発明者らは、カスタムmTESR1(商標)培地から、神経細胞の生存および成長をサポートするB27サプリメントを含むBrainphys(商標)培地に次第にスイッチした[3]。11日目において、本発明者らは、ネスチンおよびSox2マーカーについて陽性の神経細胞ロゼットを観察し(
図1C);また、本発明者らは、早くも11日目にTuj1+神経突起を観察した(
図1C)。より高純度のコリン作動性集団を得るために、本発明者らは、BFCNが、成人の脳における非病原性状態下で頑強なレベルのP75を発現する唯一のCNS神経細胞タイプであるという事実に起因して、コリン作動性神経細胞に特異的な子孫を単離するためにP75+FACSストラテジーを開発した。このストラテジーのサポートは、胚性マウス中隔から高発現P75+細胞を単離するためのFACSを使用した既に公開されたプロトコールを含む[65]。この集団は、コリン作動性関連マーカーの最大の発現と相関した。
【0108】
11/12日目に、本発明者らは、化学的解離(Accutase)を用いて細胞を取り出し、11~12日目のp75+(CD271)神経前駆細胞を精製し、V底96ウェルプレートにおいて神経前駆細胞をスピンダウンすることにより、3Dの神経胚様体(NEB)を生成させた。19日目に、NEBを解離させ、分岐ポリエチレンアミン(Aldrichカタログ番号408727)およびラミニンを用いてコーティングしたプレート上に単層として再プレーティングした。26日目(培養物は、もはや添加したDAPTを有さない)まで、増殖因子BDNF、NGFおよびDAPTを添加して単層培養を維持した。幾つかの対照iPSCおよびH9 hESC株からのNEBの化学的解離から生じた、NEB構造および固定された単層の両方の凍結切片の免疫染色は、分化プロトコールの最終段階において、BFCN系統マーカーTuj1、MAP2、BF1、Nkx2.1、およびp75の発現を示した(
図1D)。神経細胞培養物へのNGF添加は、成熟、神経突起伸長、およびChATの存在に対する有利な効果を示した(
図1E)。
【0109】
PSEN2
N141IiPSC株の作製およびQC
PSEN2
N141I変異iPSCおよび対照株を、新鮮皮膚生検から得た。確立した線維芽細胞株を、プレセニリン2ボルガ家族性AD変異(PSEN2
N141I)のキャリア2名および影響を受けていないメンバー1名の家系より寄付された皮膚パンチから成長させた。加えて、本発明者らは、非家族性関連対照を含めた。線維芽細胞を、改変RNA方法を用いてリプログラミングして、山中因子(Oct4、KLF4、SOX2、およびc-Myc)を導入し、得られたiPSC株は、アルカリ-ホスファターゼ(AP)酵素活性、遺伝子発現解析、および多能性マーカーについての免疫染色、並びに[60]により開発された自動化iPSCリプログラミングおよびQC方法に従った、染色体異常の検出のための核型分析を含む、頑強な細胞再生および多能性を確かめるための幾つかの品質管理プロセスに供した。研究に含まれる対象の遺伝子型、性別および年齢を、
図2aに示す。また、2種のPSEN2
N141I iPSC株はAPOE ε4についてヘテロ接合性(ε3/ε4)であり、一方、対照iPSC株はホモ接合性ε3/ε3であった。iPSC株の特徴決定、多能性マーカーの発現、および品質管理の結果を、
図10に示す。簡単に言うと、選択した全てのiPSCクローンは、胚様体形成および3つの胚葉への分化により多能性を示し(
図10A)、これは、参照により本明細書に組み込まれる。最後に、株を、フィンガープリンティングして(Cell Line genetics)、それらが、親線維芽細胞株と一致することを確実にした(データを示していない)。全ての親線維芽細胞株およびiPSC株を、サンガー配列決定に供して、PSEN2およびAPOEの遺伝子型を決定した。PSEN2
N141I点変異が位置する(Chr1:227,073,304 A>T)領域を囲む、PSEN2のエクソン5由来の173bpのフラグメントを、PCRにより増幅し、[53]において公開されたプライマーを使用して配列決定し;同様に、3つの対立形質バリアントを決定する2つのSNPを含有するAPOE遺伝子座由来の244bpのフラグメントを、ゲノムDNAからPCRにより増幅し、続いて配列決定して、[36]のプライマーを使用して、ε2/ε3/ε4バリアント間を区別した。PSEN2
N141I点変異の存在を示す試料のクロマトグラムを
図2Bにおいて示し、全ての遺伝子型を
図2Aにおいて概説した。
【0110】
PSEN2
N141I神経前駆細胞の特徴決定
コリン作動性神経細胞の分化の早期段階におけるPSEN2
N141I変異の効果を研究するために、本発明者らは、BFCN分化プロトコールに沿ってDIV11~16において得られる神経前駆細胞(NPC)を解析した。この中間未成熟集団の解析により、本発明者らが、それを実施しない場合、最後まで分化したコリン作動性神経細胞においては検出されない、BFCNの生成において可能性のある早期変化を検出することが可能となる。かかる異常は、成熟神経細胞において潜在的に役割を果たし、ADの病態生理学に関与し得る。本発明者らは、遺伝子発現および免疫蛍光法により、PSEN2
N141I変異NPCおよび対照NPCにおける早期神経細胞マーカーの発現を解析した。本発明者らは、分化の11日目の変異NPCにおいて、一般的な神経細胞マーカーであるTuj1(βIII-チューブリン)のRNA発現がより低いことを見出したが、約16~21日目には、本発明者らは、免疫細胞化学により定量可能な差を検出しなかった(
図2CおよびD)。また、11日目のNPC単層培養物を典型的なNPCマーカー:Sox2、およびPax6について免疫染色したところ;Nkx2.1導入と共に予測された通り、Pax6レベルが低下していた(示していない)。本発明者らは、11日目のPSEN2
N141I培養物においてSox2およびネスチンの同等の発現を観察した(
図2C、上部のパネル)。21日目では、変異NPCは、同等レベルのNkx2.1(MGEマーカー)を発現していたが、qPCRによるとBF1(前脳マーカー)のレベルが低減しており;しかしながら、この分化段階における免疫染色によるとBF1タンパク質の発現は影響を受けていないように見えた(
図2Cの下部パネル、およびD)。本発明者らは、陽性細胞の割合(%)または蛍光中央ピーク値に関して、DIV11~12のPSEN2
N141I細胞のNGFR(p75/CD271)表面発現における差を観察しなかった(
図2E)。
【0111】
[59、73]により既に公開された通り、変異体PSEN2
N141Iの発現は、遺伝子導入マウスの脳においてAβ42/40比の増大を引き起こし;加えて、この増強したAβ42産生は、変異PSEN2
N141Iタンパク質の過剰発現が誘導された際の神経細胞株[83]およびPSEN2
N141I変異患者に由来するiPSC[93]において観察された。首尾一貫して、本発明者らは、DIV11のPSEN2
N141I神経前駆細胞の培養上清において、Aβ42/40比の2倍の増大、分泌されたAβ40の量の50%の増大、およびAβ42種の2.5倍の増大を観察した(
***p<0.001)(
図2e)。コーリエル貯蔵所由来の線維芽細胞に由来するFAD1/PS2 iPSC株に適用した異なる神経細胞分化方法を用いたところ、本発明者らの研究において観察されたAβ40および42の分泌レベル、ならびに[93]において見られるレベルは、絶対数と倍数増加の両方において非常に類似する。
【0112】
PSEN2
N141IiPSC株および対照に由来する成熟BFCNの特徴決定
BFCNの分化、遺伝子発現、機能、およびコミュニケーションに対するPSEN2
N141I変異の影響を決定することを目的に、本発明者らは、適当な発現マーカーについて、より後の時間点において細胞を特徴付け;本発明者らの目標は、PSEN2
N141IiPSCが、BFCN成熟プロセスを完了することができたかどうか、およびそうであれば、BFCN分化のより後の段階に沿った任意の異常がEOFADの病態生理学を説明するか、を調査することであった(
図3)。プロNGFに優先的に結合するp75に加えて、本発明者らは、PSEN2
N141IBFCNおよび対照において発現した初代成熟NGF受容体であるTrkAの発現を解析した(
図3a)。これは、PSEN2
N141IBFCNが、予想通り、NGFの生存促進シグナルおよび分化シグナルを受けて当該シグナルから恩恵を受けることができることを示唆しており、それらの固有のアイデンティティをさらに裏付ける。本発明者らは、PSEN2
N141IBFCNおよび対照において、さらなるコリン作動性神経細胞特異的マーカーであるコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)および小胞アセチルコリン輸送体(vAChT)の同等の発現を観察した(
図3b)。Tuj1、成熟マーカー微小管関連タンパク質2(MAP2)のような他の一般的な神経細胞マーカーは、免疫蛍光により明らかな差を示した(
図3b)。
【0113】
CRISPR/Cas9により仲介されるPSEN2
N141I変異の修正およびAβ42/40比に対する効果
PSEN1変異体において既に観察された通り[77]、APPのプロセシングおよび切断における分子変化ならびに/またはNLRP2インフラマソームの活性化の悪化がPSEN2
N141I変異のみに関与するかを決定するために、本発明者らは、CRISPR/Cas9テクノロジーを利用して、本発明者らのiPSC株におけるPSEN2遺伝子座を修飾した。本発明者らは、2つのPSEN2変異iPSC株(AD1、AD2)におけるPSEN2
N141I点変異を修正することにより、これを行なった。この目的のため、オンラインのツール(tools.genome-engineering.org)を使用して、PSEN2
N141I変異を囲むPSEN2エクソン5の領域(23bp上流のChr1:227,073,304 A>T)にCas9を誘導するための特異的なガイドRNA(g1N141I)を設計した。g1N141Iを、pSpCas9(BB)-2A-GFP(PX458)ベクターにクローニングした。HEK293Tにおいて、pSpCas9-g1N141I-GFPを形質導入し、GFPの蛍光により発現を評価した(
図4a)。
【0114】
短い方のアームがPAM側に近い領域の方に置かれる非対称なドナー配列が、CRISPR/Cas9システムを用いた相同組換え修復の優れた効率を示したので[13]、本発明者らは、変異を修正するために、91bpの長い相同性アームと36bpのより短い相同性アームとを有する非対称なssODN HDR(相同組換え修復)鋳型、ssODN#A-N141Iを設計した。次に、本発明者らは、Amaxa(商標)ヌクレオフェクションを使用して、pSpCas9-g1N141I-GFPおよびssODN#A-N141IをiPSC株に形質導入するよう処理した(
図4a)。ヌクレオフェクションの48時間後、細胞を解離させ、GFP
+集団をFACSにより精製し、単一の遺伝子修正クローンを単離するために低密度にてフィーダーフリーで再プレーティングした(
図4b)。続いて、クローンを増殖させ、拡大増殖後にgDNAを抽出した。HDRの成功を示した陽性クローンのスクリーニングを、Chr1:227,073,304 A>Tに位置するSNP(dbSNP ID:rs63750215)に特異的なプローブを用いた特別設計TaqMan(商標)ジェノタイピングアッセイを使用したqPCRにより決定した。本発明者らは、この方法により、元のiPSC株に由来する、ホモ接合性PSEN2
N141I、ヘテロ接合性PSEN2
N141I、およびPSEN2
WT単一クローン間で区別することができ、予め選択したクローンをサンガー配列決定に供して、Chr1:227,073,304の位置を確認し、周囲の領域におけるCRISPR/Cas9修飾により導入される可能性のある挿入、欠失、またはミスマッチを検出し、HDRの成功を実証する(
図4c)。
【0115】
修正が成功したクローンを拡大増殖させ、研究に使用した他の4つの株と並行してBFCN分化プロトコールに供した。本発明者らは、BFCN(DIV34)から培地を回収し、アミロイドβ産生について再試験した。DIV11~12のNPCにおける本発明者らの従前の発見(
図2f)の裏付けとして、本発明者らは、成熟BFCNがAβ42/40比の有意な増大(
図4d)および全体的なAβ産生(
図11)も示すことを観察した。重要なことに、これらの結果はまた、修正された株(iAD1対照およびiAD2対照は、それぞれAD1およびAD2の修正クローンである)において、Aβ42/40比の対照レベルへの正常化を示した(
図4d)。これらの結果はまた、異常なAPPプロセシングとPSEN2
N141I変異を結び付け、プレセニリンがγ-セクレターゼの触媒部位を含有することを補強する[90]、という従前の知見を裏付けた。
【0116】
iPSCに由来するPSEN2
N141I神経細胞のAβ42オリゴマー毒性に対する感受性の評価
従前の報告は、FAD変異を有するiPSC株が、高濃度のAβ42オリゴマーのような有害な刺激に対して増強した感受性を示し得ることを示した[2]。それ故、本発明者らは、PSEN2
N141I変異体由来の本発明者らのBFCNが、培地中のAβ42オリゴマーに対する増強した毒性を示すかどうかを試験した(
図5)。本発明者らは、死細胞により放出された乳酸脱水素酵素(LDH)の割合(%)を測定する(これは、毒性についての間接的な測定を提供する)ことにより、神経毒性を評価した。2元配置ANOVAによるこの方法を用いて、本発明者らは、72時間の暴露後に、培地に加えた5μM Aβ42オリゴマーによりもたらされる毒性における有意な効果を検出した(
***、p<0.01)。事後ボンフェローニ解析により、AD2株とその修正されたアイソジェニック対照(iAD2対照)との間の有意差を明らかにした。しかしながら、Aβ42オリゴマー毒性に対するこの明らかに増強した感受性が、AD1株およびその対応する対照においては観察されなかった。これらの結果は、Aβ42に対する感受性における差が、変異PSEN2遺伝子型のみには結び付けられないこと、および恐らく、AD1およびAD2対象間のさらなる遺伝的因子が、このストレスに対する感受性に影響し、これが、複数のアイソジェニックモデルの重要性をさらに裏付けることを示している。
【0117】
iPSCに由来するPSEN2
N141I神経細胞におけるNLRP2 mRNAの評価
本発明者らは、PSEN1変異皮質神経細胞の場合(公開していない知見)と同様に、PSEN1変異iPSCおよびNPCにおいてNLRP2 mRNAが上昇したことを既に報告した[77]。それ故、本発明者らは、PSEN2
N141I変異との関連でインフラマソームの成分の状態を解析することを望んだ。本発明者らが、DIV12にてNPCにおけるNLRP2のmRNAレベルをqPCRによりアッセイしたところ、本発明者らは、対照株と比較してAD1およびAD2株において100倍を超える増大を観察した(
図6a)。これは、11日目のPSEN2変異体由来の全細胞溶解物においてSDS-PAGEにより観察した、NLRP2タンパク質の著しい増大と相関した(
図6d)。しかしながら、著しくは、本発明者らは、AD2株溶解物における免疫ブロットによるNLRP2についてのバンドを検出しなかった。さらに、本発明者らは、ミトコンドリアクレアチニンキナーゼの分解を誘導するE3リガーゼをコードするASB9の上昇のような、PSEN1変異iPS神経前駆細胞において既に見られた幾つかの他の転写現象を実証することができなかった。代わりに、本発明者らは、PSEN2変異キャリアにおいてレベルが20~30%減少する傾向を観察した。
【0118】
iPSCに由来するPSEN2
N141IBFCNの興奮性の評価
本発明者らは、BFCN分化プロトコールを用いて、分化の35日目から、PSEN2
N141I変異AD患者2名、野生型対照、および家族性対照に由来するディッシュにおいて電気生理的に活性なコリン作動性神経細胞を作製することができた。本発明者らは、まず、神経基礎培地中で成長させたBFCNからは、この段階では成熟した活動電位波形を得ることができなかったが、Brainphys(商標)培地へのスイッチにより、培養した神経細胞の電気生理学的特性が有意に改善した[3]。これらの知見は、両方の培地を比較するために使用された他のiPSCから生成された神経細胞の電気生理学的特徴決定と一致する[3]。ChATおよびVAChTのエンドポイント発現並びに電気生理学的応答が同等の2種のさらなる細胞株(H9胚性幹細胞株を含む)におけるBrainphys(商標)培地を含有するプロトコールの恩恵が再現された。BFCNの電気生理学的特性を調べるために、本発明者らは、全細胞パッチクランプ法を用いて、合計94個の神経細胞(22個の野生型対照、21個の家族性対照、18個のAD1、28個のAD2、および5個のiAD1_対照)から記録した。全ての実験群において、記録した神経細胞は、ナトリウムおよびカリウムイオンチャネルを介した電位活性化型電流、活動電位を生じる能力を示し、古典的な神経細胞形態を示した(
図7)。実験のサブセットにおいて、記録した神経細胞を、パッチピペットを通じてビオサイチンを用いて標識し、それにより、事後細胞同定およびICH特徴決定を可能にした。本発明者らは、全てのビオチン標識した細胞はChATおよびVAChTについて免疫陽性でもあったことを見出した(n=12、
図8a)。
【0119】
神経細胞の膜抵抗性および膜容量に関しては群間の有意差が観察されず、膜静止電位および最小電流は、単一の活動電位の発生を必要とした(
図9)。しかしながら、BFCNの興奮性において、変異に関連し編集により元に戻り得る有意な差の存在が観察された。
【0120】
AD1およびAD2株に由来する神経細胞が矩形の脱分極電流注入に応答して生じることができた活動電位の最大数は、(WT対照および家族性対照の場合と比較して)より少なかった(チューキーの事後比較を用いたANOVA検定、
図8b、c)。基電流注入における最初の活動電位の高さもまた、AD1およびAD2 BFCNにおいて有意に減少した(
図1c)。重要なことに、AD1変異iPSC株におけるPSEN2点変異のCRISPR/Cas9修正は、観察される電気生理学的異常を消失させ、それにより、活動電位の最大数と活動電位高の両方を、野生型対照および家族性対照において記録されたレベルまで回復させた(チューキーの事後比較を用いたANOVA検定、
図8)。
【0121】
考察
米国において、500万人の人々が、現在、アルツハイマー病の影響を受けており、アルツハイマー病の団体によると、この数は2050年代までに16000000人まで増大する。不運なことに、本発明者らは、これらの患者の3~5%を占める遺伝性の原因の直接的な証拠のみを有する。このパーセンテージは、γ-セクレターゼ装置を構成するアミロイドタンパク質前駆体(APP)、またはPSEN1、PSEN2における遺伝性完全浸透性常染色体優性遺伝性変異により引き起こされるEOFADバリアントを包含し[87]、それらの機能における変化は、Aβ42オリゴマーの産生および/またはアミロイド斑の沈着を増大させる。
【0122】
ヒトの脳におけるこの疾患の病態生理学を完全には再現していないADのマウスモデルの数十年の研究の後[5、57、58]、所定の因子を使用して成人ヒト組織をiPSCへとリプログラミングし、続いてそれを特定の脳細胞タイプへとインビトロで分化させることを可能にする、[81]による飛躍的な進歩を受けて、インビトロでのADモデル化の補足的な新たな概念が出現した。
【0123】
BFCNは、最も脆弱な神経細胞集団の1つであり、その悪化が、AD患者における認知低下を一部説明する。BFCN不全および萎縮の証拠とは別に、他の研究により、ADマウスモデルに移植されたヒト胚性幹細胞由来BFCNが、移植マウスの行動学習の改善と関連し得ることが明らかになった[94]。これらの知見は、早期の臨床指標ばかりでなく、ADのサブタイプ特異的な細胞ベースの治療の可能性のあるストラテジーとしての、iPSCおよびESCに由来するBFCNの妥当性を明らかにする[39]。この細胞ベースの治療ストラテジーを前に進めるために、ヒトESCおよび/またはiPSCに由来するBFCNを生成する精巧な分化プロトコールが、緊急に必要である。
【0124】
本発明者らの最初の目標は、BFCNおよび中間神経前駆細胞(NPC)を生成するための改善されたプロトコールを開発することであり、その後、対照対象とPSEN2N141I変異を有するものの両方に由来する細胞株を分化させるときにこれらの方法を使用した。3人の姉妹(2人はPSEN2変異を有しかつ認知低下を呈し、3人目は当該変異について野生型)から単離した線維芽細胞を使用して、iPSCを開発した[60]。様々な表現型と病原性変異の関連性の正確さの精査に取り組むために、本発明者らは、蛍光標示式細胞分取器(FACS)による中間CD271+(p75)前脳前駆細胞集団の精製を含む公開されたBFCNプロトコール[4、17、46、50、89]を最適化することにより開始して、3D腹側化神経胚様体(vNEB)を生成し、それを後に解離させて、単層の神経細胞集団を観察した。
【0125】
これらの細胞株でBFCN分化を誘導した後、本発明者らは、(1)インビトロでTuj1+/BF1+/ChAT+神経細胞を生成する能力;(2)神経細胞の分化または炎症に関連する目的の遺伝子/タンパク質の発現;(3)可溶性かつオリゴマーのAβ40および42の作製;(4)電気生理学的(ePhys)特性;ならびに(5)これらの細胞内または当該細胞に近接する1つまたは複数の先天的因子または微小環境因子に対するBFCNの選択的脆弱性、を解析した。
【0126】
ADマウスモデルにおける幾つかの研究は、AD病理の後期段階と関連する電気生理学的異常を明らかにしている。海馬におけるシナプス機能は、APP23マウスモデルにおいて低減した[70]。同様に、TgCRND8マウスの前頭前野皮質由来のコリン作動性神経細胞は、対照マウスと比較して、コリン作動性励起を維持することができない[64]。本明細書において、本発明者らは、インビトロでのPSEN2N141IiPSCに由来するBFCNにおける電気生理学的特性の異常を報告する。注目すべきことに、この点変異の修正は、神経細胞興奮性を、対照iPSCに由来する神経細胞のレベルまで回復させた。
【0127】
本発明者らは、ヒトiPSCからのインビトロBFCN分化プロトコールを最適化し、これは、再現性のある迅速な方法で、電気生理的に活性なChAT+/VAChT+神経細胞の均一な集団を作製することに焦点を当てている。当該プロトコールに導入した技術革新は、所定の血清を含まない培地条件において、コリン作動性運命に関連する因子の過剰発現を強制することなく、既に公開されたプロトコール[38]において示唆された20日目と比較して、早くも8日目に、かつ11日目まで非常に強い、MGEサブ領域についての転写マーカーであるNkx2.1の均一な発現を付与した。本発明者らは、培養38日目の神経細胞において成熟した活動電位を記録することができ、それは、コリン作動性特異的マーカーの同時発現を伴い、これは、ESまたはiPSCを使用した他の既存のプロトコール[4、17、46、50、89]と比較して、より早期の時間点である。それ故、本発明者らのプロトコールは、均一なコリン作動性培養物におけるハイスループット薬物スクリーニングへの適用可能性を有する。加えて、NEB自体の3D構造は、解離していないオルガノイド形態のままなら、より生理学的な設定における機構解析を可能にする。
【0128】
この最適化したプロトコールをPSEN2N141I変異iPSC株に適用した後、本発明者らは、培養上清中のAβ42/40比の増大を見出した。本発明者らは、神経細胞分化プロセスおよびBFCNマーカーの発現における任意の証拠となる異常を観察しなかった。興味深いことに、本発明者らは、PSEN2N141INPCにおいてBDNF遺伝子発現の減少を観察したが、これは、ホモ接合性およびヘテロ接合性APPswe/PSEN1M146VマウスにおいてBDNF変化が観察される、報告[18]に記載されている結果と類似する。この2つの変異株は、1つのAPOE ε4対立遺伝子のキャリアでもある。この対立形質バリアントの存在、LOADについての最も一般的かつ十分に特徴付けられたリスク因子多型[16]は、開始年齢および表現型の重症度を調節し得る[49]。それ故、EOFAD PSEN2ボルガ変異(またはCRISPR/Cas9による修正)とAPOE E4対立遺伝子の両方を組み合わせたこれらのiPSC株は、特にapoE分泌iPSCに由来するアストロサイトも存在するとき、インビトロで早期発症型ADの病態生理学を研究するための非常に有用なツールを構成する。
【0129】
β-アミロイド産生の増加の原因もしくは結果であり得る、隣接する機序または現象を検索して、研究者らは、AD変異と関連する炎症の過剰反応および電気生理学的異常を見出した。β-アミロイド沈着とは独立したこれらの異常の概念およびCRISPR/Cas9テクノロジーを使用して、EOFAD変異を修正する、それらの実証は、β-アミロイド斑を標的にする(Gandyら、印刷中)ばかりでなく、並行する炎症プロセスまたは興奮毒性/神経細胞発火異常を克服するための、組み合わせAD治療の必要性についての議論の口火を切る。
【0130】
NLRPは、病原体および毒性刺激に応答して成熟炎症促進性サイトカインIL-13の分泌を誘導する、インフラマソームの成分である[11、41]。アルツハイマー病との関連並びにパーキンソン病の様な他の神経学的疾患[14、32]との関連において、NLRP2はアストロサイトにおいて[45、51]、NLRP3ミクログリアにおいて[34]調節されていないようであり;加えて、NLRP2/3は、AD:肥満、2型糖尿病の同時罹患を示す病理学において変化する。本発明者らは、PSEN1A246EおよびPSEN1M146L変異を有する対象に由来する保存された線維芽細胞に由来するiPSCからもたらされた神経細胞におけるインフラマソーム遺伝子NLRP2の発現上昇の予測できない関連性を既に報告した[77]。この関連性は、プレセニリン1、ニカストリン、APH-1およびPEN-2における変異と炎症性皮膚疾患ざ瘡(AI)との関連性を本発明者らに連想させ、これが、本発明者らの心において、一部のγ-セクレターゼ成分の変異が、アミロイド形成促進作用ばかりでなく、炎症促進性機序と関連し得るかどうかの疑問を生じさせた。
【0131】
PSEN2N141I変異細胞は対照と比較して高いNLRP2を有したという本発明者らの知見にも関わらず、遺伝子修正がNLRP2レベルを有意に低減させなかったので、本発明者らは、家族性PSEN2変異が原因でこのアップレギュレーションが起こるとみなすことはできなかった。本発明者らの結果は、EOFAD患者の脳においてインフラマソームの調節不全が生じ得るが、この現象を引き起こす要因として、リプログラミングされたPSEN2変異細胞株において反転される、インフラマソーム生物学に対するPSENのいずれの効果とも異なる要因が存在し得ることを示唆している。このPSEN2とは独立したNLRP2のアップレギュレーションについてのいくつかの可能性のある説明には、両方のPSEN2対象に存在するapoE4対立遺伝子(対照には存在しない)の効果、またはリプログラミングプロセスを通じて維持される、EOFAD対象から集められた線維芽細胞におけるエピジェネティック効果が含まれる。
【0132】
神経細胞における電気生理学的異常は、PSEN1およびPSEN2の変異と関連付けられている。これらの異常ののうちのいくつかは、電位開口型K+チャネルの機能の変化が原因で起こり、それは潜在的に、PS/γ-セクレターゼ装置により仲介されるチャネル成分の切断を通じて起こる[44、72]。プレセニリン変異はまた、カルシウム流入の変化よりむしろ、小胞体に保存されたカルシウムのレベルを増大させる(ひいては、刺激により誘導される細胞質への放出を増大させる)ことにより、カルシウムシグナル伝達を破壊する。神経細胞のカルシウム調節異常の背景にある機序の1つは、PSEN1M146Vマウス由来の皮質神経細胞において説明されており、それはイノシトール三リン酸塩(IP3)により仲介され[79];より直接的には、プロセシングされていないPSEN1およびPSEN2自体による二重機能タンパク質-イオンチャネルの形成であり、それにより小胞体からのカルシウムの流出が調節される[29、55、80、84]。カリウムおよびカルシウムの流入ならびに神経細胞興奮性におけるプレセニリンの重要な役割を考慮すると、PSEN1およびPSEN2における変異が、低減した神経細胞興奮性および神経細胞毒性を導き得る。変異型のAPPを有するマウスは、斑負荷量が相当量であった後にのみ、カリウム電流の変化を伴わずに、ナトリウム電流の減少と関連する異常な活動電位を示した[9]。APP過剰発現がマウス皮質神経細胞において興奮性亢進を引き起こすという証拠がある[75、86、92]。
【0133】
MuckeおよびSelkoe[52]は、シナプスおよびネットワークの機能障害を生じさせるAβの毒性効果を明らかにした。線維芽細胞および神経細胞株において、変異型のPS1が発現したとき、Aβにより仲介されるミトコンドリアCa2+の沈着が上昇した[31]。マウス海馬の神経細胞における神経細胞発火パターンは、Aβへの暴露により変化した[67、69]。Aβ暴露はまた、錐体神経細胞におけるK+チャネルコンダクタンスの変化と関連した[54]。PSEN1変異が小脳におけるミトコンドリアのCa2+チャネルの変化と関連し、それにより、アミロイド斑沈着の不存在下でプルキンエ細胞においてスパイク活性の低減が引き起こされるようであることが観察されている[74]。Aβ42は、さらなる電位依存性イオンチャネルの調節により、Ca2+ホメオスタシスに存在する異常を悪化させ得る[8、25、76、88]。
【0134】
マウスデータおよび不死化神経細胞株を除き、Aβへの暴露の際にiPSCに由来する神経細胞において電気生理学的異常が示され:hiPSCに由来する皮質錐体神経細胞およびGABA作動性介在神経細胞は、Aβへの暴露の際に活動電位の異常を有し[56]、PS1A426E変異を有するhiPSCから分化した神経細胞はまた、異常な発火パターンを示した[47]。しかしながら、PSEN2変異iPSCに由来するBFCNの電気生理学的特性の特徴決定について既に公開されたデータは存在しない。
【0135】
高興奮性または低興奮性効果および発火頻度の差は、遺伝子変異と共に変動し、神経細胞サブタイプに高度に依存する[37、48]。全てのこれらの現象は、ADの病因に存在する進行性神経変性に関与し得、本発明者らは、EOFADヒト病因の早期段階と関連する神経細胞異常を説明し得る現象を具体的に記載する。本明細書において、本発明者らは、PSEN2N141I家族性変異と具体的に関連するiPSCに由来するBFCNにおける電気生理学的特性の異常を報告する。興味深いことに、従前の研究のいくつかは、神経細胞活性におけるこの機能障害はADマウスの脳における斑の集積が原因で起こるとしているが、本発明者らは、他の報告[18]と一致して、単に培地中に分離した過剰のAβ42オリゴマーが存在し、アミロイド斑は存在しない状況で、活動電位の誘導が実質的に低下することを見出した。この点変異の修正は、発火パターンを、野生型のiPSCに由来する神経細胞の発火パターンへと回復させた。
【0136】
神経細胞におけるカリウムチャネルのモジュレーターは、ADマウスモデルにおいて記憶の改善における有効性を証明した[44]。Ca2+チャネルおよび興奮毒性の調節は、AD薬のニューウェーブを切り開き得る。PSEN2変異が神経細胞集団の異なるサブセットにおける電気生理学的活性に影響を与える機序を理解すること、およびPSEN2と、他の遺伝子調節因子と、炎症との間の結び付きを解明することが、別の症状の治療だけでなく、早期段階にて投与した場合に、Ca2+により仲介されるROSに対する脆弱性を低減し、かつ神経細胞の喪失および疾患の進行を停止させる新規薬物につながる可能性がある。
【0137】
変異プレセニリンが、Aβ斑の形成の前でさえ、神経細胞興奮性を変化させることは明らかである[18、74]。1つの真実味のある仮説は、APPおよびプレセニリンが、Aβの生合成におけるそれらの役割とは別に作用する現時点では分かっていない機序を通じて神経細胞興奮性を調節する効果を発揮し得ることである。Aβの蓄積は、ADへとつながる経路において、変化した電気生理学的機序と相乗的に作用し得る。ADに関係付けられる鍵となる機序として神経細胞の興奮毒性を支持する豊富なデータを用いて、生理学的もしくは病理学的現象におけるPSENおよび/またはAβの可能性のある役割を明らかにすることに焦点を当てるさらなる研究が、所望される。
【0138】
結論
本発明者らは、プレセニリン2(PSEN2)変異キャリアおよび対照に由来するiPSCからヒトBFCNを生成するようにインビトロプロトコールを最適化した。予想通り、PSEN2N141Iは、iPSCに由来するBFCNにおいてAβ42/40の増大と関連し、これを、CRISPR/Cas9により仲介される遺伝子編集により元に戻した。予想外に、PSEN2N141Iキャリア由来のiPSCに由来するBFCNまたは皮質神経細胞は、活動電位頻度と活動電位振幅の両方の低減により定量される、基礎となる興奮性の低下を示した。また、この電気生理学的表現型はPSEN2N141I変異のCRISPR/Cas9による修正後に消失した。遺伝子編集データにより、全ての予想される知見および全ての細胞由来の遺伝子型を特徴付ける変異関連変化の強い一貫性が存在することが立証される。
【0139】
略語
AD:アルツハイマー病;
ApoE:アポリポタンパク質E;
APP:アミロイドタンパク質前駆体;
AVG:平均;
Aβ:アミロイドベータ;
BDNF:脳由来神経栄養因子;
BF1:脳因子1;
BFCN:前脳基底部コリン作動性神経細胞;
ChAT:アセチルコリントランスフェラーゼ;
DAPT:(N-[N-(3,5-ジフルオロフェンアセチル)-L-アラニル]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステル);
DIV:インビトロでの日数;
DNA:デオキシリボ核酸;
DPBS:ダルベッコのリン酸緩衝食塩水;
DPBST:ダルベッコのリン酸緩衝食塩水+0.1%トリトンX-100;
EGTA:エチレン-ビス(オキシエチレンニトリロ)テトラ酢酸;
EOFAD:早期発症型家族性アルツハイマー病;
ESC:胚性幹細胞;
FACS:蛍光標示式細胞分取;
GAPDH:グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素;
GFP:緑色蛍光タンパク質;
HDR:相同組換え修復;
HFIP:1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール;
HRP:西洋ワサビペルオキシダーゼ;
IPSC:人工多能性幹細胞;
LDH:乳酸脱水素酵素;
MAP2:微小管関連タンパク質2;
MGE:淡蒼球原基;
NEB:神経胚様体;
NGF:神経成長因子;
NLRP2:NLR家族性ピリンドメイン含有2;
NPC:神経前駆細胞;
PFA:パラホルムアルデヒド;
PSEN:プレセニリン;
RNA:リボ核酸;
Rock:Rho関連、コイルドコイル含有タンパク質キナーゼ;
RT:逆転写酵素;
RT-qPCR:リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応;
SAG:スムーズンドアゴニスト;
SDS-PAGE:ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動;
SEM:平均の標準誤差;
sgRNA:シングルガイドRNA;
Shh:ソニックヘッジホッグ;
SNP:一塩基多型;
ssODN:1本鎖オリゴヌクレオチド;
TBST:トリス緩衝食塩水+0.1%Tween;
VACht:小胞アセチルコリン輸送体;
WT:野生型
【0140】
参考文献(それぞれが、参照により本明細書に組み込まれる)
【0141】
本発明は、本明細書における実施例を参照して記載されているが、修飾およびバリエーションが、本発明の精神および範囲内に包含されることは理解される。従って、本発明は、次の請求の範囲によってのみ制限される。
【0142】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> NEW YORK STEM CELL FOUNDATION, INC.
ICAHN SCHOOL OF MEDICINE AT MOUNT SINAI
<120> METHOD AND COMPOSITION FOR GENERATING BASAL FOREBRAIN CHOLINERGIC
NEURONS (BFCNS)
<150> US 62/511,271
<151> 2017-05-25
<150> US 62/571,741
<151> 2017-10-12
<150> US 62/574,639
<151> 2017-10-19
<150> US 62/586,571
<151> 2017-11-15
<160> 31
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 33258
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> chromosome 1, GRCh38.p12 Primary Assembly
<400> 1
ggggcctggg ccggcgccgg gtccggccgg gcgctcagcc agctgcgtaa actccgctgg 60
agcgcggcgg cagagcaggt gagcgggcgg tgccgggggg tgcccaggcc agggccctgt 120
cgcctgcggc gctgagggcc cggggtgggg ctgcgccctg agggccctgc cctgccctcc 180
gcacgcctct ggccacggtc ccttccccgg ctgtgggtct gcggcccctg cgtgcgcagc 240
gctcctggcc tctgcggcca gcgcgggggc ggagagagga gagtgcccgg caggcggcgg 300
ctgggccggc ccggaactgg gtcgtggaag gatcgcgggg agcggccctc aggccttcgg 360
cctcactgcg tccccacttc cctgcgcccg cctgccgccg agccccggct gggggtgggc 420
gcggcgcgag cggttaaagg gccggtgcat ttaaaggagc ggtgcacgtg ggtctctgag 480
gcgtgtagca ggcgggggcg ttttgttctt cttctctctc gccggagacc tccgttgcgc 540
cgagtccatt cggcctctag caccgggtcc tgggcatgct ttccccggga aggaggcgcg 600
cgggggctct gcccgcacgt gaggggcagg gccgcaggct caagcctaga gccggtttct 660
gttagcagcg gtgtttggct gttttatcag gcatttccag cagtgaggag acagccagaa 720
gcaagctttt ggagctgaag gaacctgaga cagaagctag tcccccctct gaattttact 780
gatgaagaaa ctgaggccac agagctaaag tgacttttcc caaggtcgcc caggtacgat 840
atagcagagc caggcttcga ccccagtgtc ctggcttcta gatctgctgt ccatccctcc 900
gagcagacct cacccctgtt tattgcctta ataagtattc cctttgaaag gtatgaacgg 960
tgttgagtga agtaactgca tccctattta caaatggaga acctgagagc attccataga 1020
gacgattgta gactaactta actcagaagc gacagcctgg ggttgccaag gctgtctacg 1080
aagtaacttg attaggaccg accccagctt ccagtaagga agcctctgat gcctctgtag 1140
ccaattctgc agacacctga gcctccaagg ccttcagcca agacctttgg cggtaattgg 1200
agtctcggga taagctgctt caggtgtgtg agcctcaggt tcttctctcc tgaatgtggt 1260
tgtgggcagc cggtgactgg cgcaggtgca gaaggggcct ggttcttggc cccacctcag 1320
agctgcgtcc tcacgacgcc cacgttgagc cttgggttcc agggcagaga ctggagtgag 1380
ggcttggggg catgttgctt tgaagtggga tggatgtatc aggtttttgg ggaaaactct 1440
gtaccctttg gtgttgaagt gcccatgtgc caagtcttga gtccagcatg ttcacatgtg 1500
gggagtgagt ggcttgttcc tgtctatttg aaagagcagc aaggaggagg aggagcaagg 1560
gctaggggct gctgctgggg tgcctggagc tgtggtgcat aatgtcacac ctgtctcccc 1620
tccgtagctg ctcaccgtcc ccccaagggg ggtttgcctc ttgcctactt tggcctttct 1680
ctgttatcga tgttaataat gacatatatc tcgcttatga gttggtcata ataaaaagct 1740
atcttgtaca gaatattaga atttaagatc ttaagaattt caatgacact gaaatagttt 1800
attattacct ttttacagaa gaggaaacaa gttcagggag ttaagcagct agtccagtta 1860
tgtggcttca gtgctttaag caccaggatt tgaacatagc tggctacact gtctttatct 1920
cttgagtttt tgcgcaggag gttcctgtat tcaactccta cccgtgtctc tccactactg 1980
ctgggaaagt tttgtggagt ccccatgagc aacttcctga caaacaaaca aaattttttt 2040
aaagaaacca aagcagtgtg tgtaggtcac atgcagtgtg tctaatgaaa acatctctgg 2100
cgggttttca gctgttgctt tgactttcgg acactgttta gttggggact gataagacag 2160
caaatatttc tgcaagtatt cccacctgtt ctattcccag ctgccacagc tgcggaaagg 2220
cgggggtgag gctgagaggc cccgagagga acattttcca ctgggctcca atcctggaga 2280
tgggatgacc atcatgttaa tgtctggaga aaagaatgat ttcaggctgg gtgctgtggc 2340
tcatgtctgt aatcccagca ctttgggagg ccgaggtggg tggatcacct gaggtcggaa 2400
gtttgagacc agcctgacca acatggagaa accccatctt tactaaaaat acaaaattag 2460
ccgggcgtgg tggcacatgc ctgtaatccc agctactcag gaggctgagg caggagaatc 2520
gcttgaaccc aggaggcgga ggttgcagtg agccgagatc gggccatggc actccagcct 2580
gggcaacaag agcaaaactc catctcaaaa aaaaaaaaat ggtttcacat cagtcctcag 2640
gaaagatcag atgtcagtga gggagatcat ttcttgagag cctcttcact gagtgggaga 2700
atgggctgct tgttcatctt tgtgaaaatt ctagaacggg aagaacaatt caaagggtgt 2760
ccaccattct gctgtacctt aaccagaaac ttactggact ctttttaaaa taaaagtaat 2820
tcatgtttat tctagaaaat tagggaaaaa aaattttttt tgagatggag tttcactctt 2880
gttgcccagg ctggagtgcg atggtatgat ctcagctaac tgcaacctct gcttgccggg 2940
ttctagcgac tctcctgcct cagcctcctg ggtagctggg attacaggtg cctgccacca 3000
ctcccagcta atttttgtat ttttattaga ggcggggttt caccatgttg gccaggctgg 3060
tctcaaactc ctgacctcag gtgatccgcc aaccttggcc tcccaaaatg ctggtattac 3120
aagcataagc cattgcgctg ggctgagata accactctta acatgcattt ccttccacac 3180
tgttcacata tgcatattta tctattaaaa caatagaggg agggaaccgt aggtgaagtt 3240
tgtgtatcct gttttttctg ttatgccttc agaattttcc ttttattgag tactcatgga 3300
aaagcagatt tgatggctgt gtagagcatt tgaattattt atcctaccag tcccacagca 3360
ggacactttc ccaccctccc ttttgcccca gagaagcagt gccctctgtc ctccccatgc 3420
ccatatgtgg gcactcccca ccatggagcc aaacctacct gggcaagtag cagagggaga 3480
gcagagtgag ccctgggggc aggagagaga cttgagagtt ttgaggtgac agatgagctg 3540
gtgagtgagt gattagggag catttcttga cacatacctg cccgtggtga aggcatgtgt 3600
cttgtgagtg tgctcccaga aagcctgtgt agtgtgtggt gggcctgcct gtgtgaccaa 3660
accctggcca ctgggtacgt gaccctcaca agtgctgact gggctgagaa gagctccttg 3720
atgggcagtt tggagacttg agttgtaact gtggcttttg gccatgggac attaactgat 3780
tacttttgcc cctctaggct tcagttgtcc ttaattataa tacagggagc tgactaggtg 3840
gcgttgatgg cctttacggt ccttgccagc tctgacattg tcctatggat atgtcctttc 3900
atttgataat atgtttacgt ggccatagtg cctggggctg ggccgggaat ggaaacttga 3960
tctctggggc ctggcctttg aagccagttc atgtgtctgg tggttcagca gatccgtaac 4020
tttccaagag gcacatccat aggctaccgt gtcctttctc actgtgtccc tcctccattt 4080
catcttcttt ataactacga cttattgaac atctactgtg tgctggacac tttacaggtt 4140
atctctaggt tttacgataa tcttgcaagg tatgcctgtt ctgcttttta cagcagagga 4200
aatgagctgt gtcagattag actgtctgag gcctcttggc cagggagtat gtggttcaaa 4260
tcacataggc aggcgatctg aaccctgtca gtctccaaag cctctgcttt tgaccgctga 4320
cttgctgctg cttgtttaaa aataaatgtg tttctggagc ctactccaga ggggcgtgct 4380
aggggctccc tctcccactt ccccacaaac cacccttttc cctggctgct tcaggaaatg 4440
agagaactct gcctgggccc caggcacttc tgagtgggac agggctgtta gaggtaagtc 4500
tagagcctgg cccaaaattc aggaggcccc atcagagggc ccctggggcc tgtggtccgg 4560
gagggtggta gggcagtacc tcacttccct ttgagactca ggccccagct ctggcttagg 4620
ccagggagaa ccatccccaa gtggtatgtg ttactatatg agctgagatg gatggtcagc 4680
tggaccaaat acatagtcgg gtacccaggg ccagggggag gaaggtgagc agggaagctg 4740
tgggcaattg tctgggtatc acctgacctt agcaaactct tccttgtttt aagcgaggac 4800
gtgggacttc tcagacgtca ggagagtgat gtgagggagc tgtgtgacca tagaaagtga 4860
cgtgttaaaa accagcgctg ccctctttga aagccaggga gcatcattca tttagcctgc 4920
tgagaagaag aaaccaagtg tccgggattc agacctctct gcggccccaa gtgttcgtgg 4980
taagtgcagt gactcccaac ctgcttttga accctctttt tccattagga ttttctccgt 5040
ggaggcagat ttccatggga gtttgctgtg gcattttgaa atctgtttct tacctagttc 5100
cattggcctt aaatgttaag gccaaagcct ttacatttct ctgtaatgaa aagaaggtcg 5160
aggaaattgg gtcattgggt ttccataatg attgcaggaa ctgctgacac aagcacggct 5220
ggggagattc tctaggtcag actcccttgg tttggctaat tcagcagttt gatcccattc 5280
agctgattaa tgggaatgtg cagtggcttc tttggatgtt tgattttgca tcctaatcca 5340
aagcagctat cagcctcagc acttccttgt tggaaggctt tccagaacgt agtctatgtt 5400
ggacacttcc ttctgcctct ctgcattttc ctgccacttc tctagagaat ggggtgcagg 5460
gggtgggaga cggggaaagc tggtcgctga gtggctgatg ggacttgaca tcacccagcc 5520
ccacccccac ctgcccgtga gtcagcctcc ggggagagtt catcgcgtca ccggcactct 5580
aatgtggaca gacacctagc agtgttgttt atctgcacac gtttgggtgg tgatttttcc 5640
ctccaaggat ttcagagcac cagcaggctt cagagcagac ttaggtggct tgcaaagcag 5700
gccctcagga attcagaggg tagcagaagt ccatcccaga tgctctgttt tccttcagga 5760
gctaggtaaa tcagaggggc tgagggacaa atgaaaaaag ttacagcctt tgagtcccat 5820
ctgctcctcc tggccaatga gaggggatct gggaggggca gatgtagagg aaaatctgtc 5880
taaatgttga tgctcgttat tttcctttaa agaattaata gcctaaaata aaccctacag 5940
atacagtctg tgtttattat ggcgacttag agaaatgcag aaaaatatca agaaaataaa 6000
aaccactctt ggttctacca tgcaaagata atcatcttta atgttttgta atatttccga 6060
tcttttatat acatacattt tataaggaca ttcagatgat caggttcgta aagttttatg 6120
ttcggttaaa tttaacagcg tgtcattgtt caggttatta aatgtttgaa ataagatttt 6180
tggtggtcct gtcacagtct ccatgaagta gcatttcagg atcgaaaggt atgctgtgtt 6240
taaagtgttg attcttactc ctttcagtta aggccagtgc agtttgtcca ggtagtgact 6300
gagacccagt ttttccacac tctcctccgc agtgggcatt gttttgggcc tttttcagcc 6360
caagagctct cttctcccca tgccgctctg ctggtctgag atttttccac tcctcctcct 6420
ccctagttgc tctctgacca gactctaggt attcaggaga aagtgttcat tgtctcactc 6480
tctcatgtgg caatcaagta gtgccaagca gtgagagggt gaaggtgggt gggtgaggga 6540
cactcacctt gctgagaaag ggccccagcc tgttcgggtg attataaagc agagacagtg 6600
ccaggaaaag tctgacactg gctgagaatc acccggggac caaccatccc gaatgcggat 6660
ccctgacact gggtgaggat ggagcttgga gatctgcatt gttaataagc agcctagcag 6720
agtggtgaag agtccagaca cactacctag gtccaagggt aaccttgagc taattacttt 6780
ttgagcctct gtttcctcat cagtaccatg gggaagaata gtagcacctt gctccaggat 6840
gtttagtgcc ggctaagggc tcagcaggtg ctggtccatc tccaccagcc cccagtggcc 6900
tgggccacct ttgagaaaca gtgatcctaa gggattcagc atttcctaag ttggtgcctc 6960
ccacctgtca cccccacccc accaggctag gagggttgtg attagagggt gcccttgctg 7020
tgacagctga gactagctct tccctgatta ttccttaatg acagctctct ccttccctgc 7080
tttcttgaag tcttggtcct cgttgttgtg ggcacagctt caggggaggc cttggaggaa 7140
tttttgaaag tggaatgagg gaagcagcct gctcaaggga acacttgttt tctggtgagg 7200
aggccgcatg tatgaatgac gtttgtgggt tagaaagcat gttttgtagt ttttccttgt 7260
ttcttcctga agacatgtca ggtcttgatg agaccgggcc tgggcacagg gcaggcagtc 7320
agcgagtgtg gatgatgacg acagtggtca ccaggtcact gtctagacca ggtcactgtc 7380
tagcgcagtg tcacatggaa agggtatggt cctttaaccc taccctcccc agcacaacta 7440
tcacagatgt cagggaacct ctgctcacag aactgctttc cagggattgt cttttttttc 7500
tttttctttt tctttctttt ttttttgaga cagagtctca ctctgtcgcc caggctgaag 7560
tgcagtggtg cgatctcagc tcactgcagc ctccgcctcc tgggttcaag tgattatctt 7620
gctacagcct tctgagtagc tgggattaca ggtgcctgcc accatgtcca gctaattttt 7680
gtatttttat tagagacggg gtttccccat gttggctagg ctggtcttga actcctgacc 7740
tcaggtgatc tgcccacctc agacaggcat gagcaccgca cccagcccca gggagcgtct 7800
tattagtggt tggcaactga atggagacgt gggaattgta aggaactgat tctacttgat 7860
cctgggtccc ctgcttctcc atcttcaccc acccatcagc tccctttctc ctttaaacag 7920
gcacctttgc tctctgctta tccatttttg ttgtgcattg ctatttggga gcctaagaaa 7980
cacaacatcc tctgaatgct ccagctgttg tgggtctgaa gggtgagcct gccctctgtc 8040
attggaggct gcagcctgtg gctttttagg tacagggact cccagaactg ctcctccagt 8100
catagcagag ataaatcaca ggagcttaag aggcatggga agaacagagg gaggagatcg 8160
tagcttccct gttcattcac acccaaaaca aaactgtcat actagaaaag gaggtattaa 8220
aagagccacc tgtacagcct cgtatctcat ccagcacact gctgcagatg gaatattatg 8280
atttagcttg agaaaatgca gcaactcttt gttgtggtgc ccctctttga gtaagagtga 8340
attccccatt gccagagtgg atagtgaggg aaaccctggg tccaggcagg agtctgttta 8400
ggatttatct agtgaggctg agccagagga ggaccttaca gttttttctc ttcaatttct 8460
tttatttatt tatttatttt tgtagagatg gggttttgcc atgttaccca ggctggtctt 8520
gaactcctgg gctcaagcga tctgtctgcc tcagcctccc aaactgttgg gattacaggc 8580
gtgagccgag ccaccatacc cggcccttct cctgcatttc cacctgataa tttctctcat 8640
ttccatagat gatgaaggaa ctaaagccaa gaactttcca aggtcctgca gctctttggg 8700
ggatgtgaag ctgtgctcta tttgtatgga ttttgctggt tcccagaact tccctgtggc 8760
cctggggcct agtctgaggg tactctgagt gaagagggag gagggcccac acctcttctg 8820
caaaggctgc ttttgtaaag ttcacttcag ttcacatctt cctcctggtc agaaagcttc 8880
gggggctctc ctctgctgca ttaagctctt actcctccat caggcaccaa actcctccct 8940
ggcatggccc atcctaccag gtccccacac ttgagccaca tccaattgct cgatattatc 9000
aggataggtt atgttatgtt cccaactcat atgtttactt aagtggttac ctctttccag 9060
aatgagcccc ctcctccaaa ctctgcctgg tgaaatattc ctaacctttg cagcttcaca 9120
tccctcttac ttcttgtgac ctgaggcatc tactcctgac aactgataga ctgtgtcccc 9180
tcctgtcggg tgcattgtcc ttgtcactac cctcctggct tttagctggc tttgcttccc 9240
gctgttgtta ctcctgtact tgtctcatct atcctaaaca gaaggtgctg caggctgggg 9300
agtttgttca tgttgaaatc cctgtgatgg aggtgagcag aggcagtctc tgcctgtgcc 9360
tcttatttgg ggatgaagtt aaagtccctg taggaataat ccaggccata gccggggttg 9420
ctgtcttcag aaagaagggc agccacaggt cttgttaagg ggattgaaat tggctgactt 9480
ggtggaagga acctgcctgc tttgtttaaa aaccacatat agctgagtgt agtggttcac 9540
actctgtaat accagtgctt tgggaggctg aggcaggagg atcacttgag gccaggagtt 9600
tgagactagc ttgggcaaca acgtgagacc ctcatttcta caaaatattt taaaaattag 9660
cctagtatgg tggcgtgcat ctgcagccct agctactgag gaggctgaag tgggagaatt 9720
gcttgaaccc aggagttcaa ggctgcagtg agctatgatt gcaccactgt actccaacgt 9780
aagtgaccag tgagaccctg tctctagaaa taaaaataaa aaaaatcaca tatattgtgg 9840
ggtgacttac ttggagacga actttcagca gagcgcacac ctgctatccc tgcccagggt 9900
gtgaagctca gccctgaggg tctctggaca gcgatcactc agcctctgga cagcgatcac 9960
tcagcctctg gacagacagc gatcactcag cctctggaca gcgatcactc agcctctgga 10020
cagcgatcac tcagcctctg gacagcgata actcagcctc tgtccccgtc tgagatgttg 10080
gcagggactg tcagatttgc caggcattgt ttgaagttct tcccagccca gaaacctgca 10140
tgtgtagatt ttggtacact gggtccccca cttggtacta ctgtgtgaaa ccccacttgg 10200
cactgtttta gggggcaggc ttccctcctg tccccttggc cttggccttc ccctgggtcc 10260
cgccctcagt ggcacttccc cacctcacac gtctgctctc atggcttagg tctccacttc 10320
taacctcagg agacctggtc ctcagacacc tcccagacag cttccccatt ttatcccata 10380
gacactcaaa gggtgaaatt catggtcttt cccgagactc tcttctccgg tcttccctgt 10440
cttagtcccc acctggctgc cattctagac tgtgttttct ctcctgcgtc aggtcctgcc 10500
cttgacctct tgaccccttc tggactctgc cctcacttgc atccatcctg ctgctgtcct 10560
cagctctcct cacctgccac agttgtctct gggggtcact ttccctctct ggtcagtggc 10620
cagactgact tttataaacc tggttcagat cttgtctgtc aagattgtcc tcagggtgat 10680
gtgtgtctcc ttaacatggt gcctgagacc ctgatcatct ccactgcccg ccccacagtg 10740
tgaggccctc actggaacat tgtgccttct gcccttccct cctcctggga aaaccagtct 10800
ccatcagata ggctcttctc tagaaaacat tcgtgatctc tgagatttgg ttccactttt 10860
gtgcttctgc acctaccatc aaacacccgg attgtatcat ttgtcacatt agatgatttt 10920
tgttttgttt taagacaagg gtgtttctta ctcatctttt tatccccaga gcccagcatg 10980
atctttggtg cataatagat gcaccacaga tgtttgctga ttgaatgaat gagcacactg 11040
acagtttgga gctgccctga ctttcgtggc tatgcgtttt gccccctggg atgtgagtca 11100
cctcaggcca gccccaggca aggccgctgc tgcctccatg gtaactctca aggcctcttg 11160
ttttatggca gtcgtttgat tgacaggcat ctcttggaag cttttggggc aggacttgtg 11220
tccaagtctc caggtcgcct ccagccaccc cctgagtcct ccactgcctt tgtctcacag 11280
gaaagtggaa caaggtcctt gtgctccttt ttccaggtgc ttccagaggc agggctatgc 11340
tcacattcat ggcctctgac agcgaggaag aagtgtgtga tgagcggacg tccctaatgt 11400
cggctgagag ccccacgccg cgctcctgcc aggagggcag gcagggccca gaggatggag 11460
agaacactgc ccagtgggta ggtcccacca gcagctgggg gccttcaaac aggtccctgc 11520
ggctactgta ccttacagat gaaaaccaga cattcattcc ctgatgcggg agggagaagg 11580
gaagtaatga tgaggattgg ccgaaaaggt gggtggctgg ccatgatgga ccttccatct 11640
gcagggtttc ataggactgc gcattcacag ccagagatgg acttggcagt gggctgaagg 11700
acgctgtcca ctctgccacc ttgggtttac ctctctcatg caggtcactg tttccactgt 11760
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gtagcagggg aagcattttt tggcagatgg ccagacatgg taagtgtgag aggagtctgc 11880
ctgatacacg attgactttt gagctgggga tatttgggct tcactgtgat cattcagccc 11940
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gtgtcctttc tctcccgatc agggcagaac atctgaattt gcctgaaccc tgttctctgt 12060
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gtccctaagc cctgagtgaa atcacaccag cttaaggcca ctgctctgcc actcctcagc 12240
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atgagtagtc ttctttcttg gctgaacgtc tagattggga ctctctctgc agagaaccgg 12360
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ctcattagca aggcagccca tgaccttgac ttgccacagt tccaaaacac aaattcttac 12480
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tgagtgaagg gcttagaaga gtgtctactg cacgtgagtg ctcaggcaag ctggatcctg 13680
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tttaaagtta gggatttttg tttcatttcg tgtgtgttgg ttttttttgt tgttgttgtt 14040
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gggagactga ggtgagagga ttatttgagc ccaggagttt gagaccagcc tgggaaatgt 14160
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aaaatttttt taaaaaatta aaaaagaagt agagtcccat cctcagaaag cttatagtgt 14400
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gtcttttaaa tttacacatt atcccacttg agttcctcat tgcagtgttc caagcatcat 15660
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aggcatgaag tagcctaatg aagagcattc aggcttgggt atcagtctca ggatcctggg 17460
ggccttagaa tttgtggcgc ttggggacac cttgtgatcg tgcaatttct gttgtctagt 17520
tcatccatgg ctggttgatc atgtcttcac tgatgctgct gttcctcttc acctatatct 17580
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agtggacatg ggcatgagga cctgggcggg gaaagatgac catcgagctc cagtcttccc 17700
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gggagtggaa gtggggctgc atggtggacc acatgtttct gtctcgttcc tgatttaaaa 17820
tgaacccttc atggagaagg ctctctgtga accccagggg gatagaaacc ccccaaaatt 17880
tacattctga tttttaggct aggcctgggt actttctggt ttgtgggaaa aattatctgt 17940
tctatcgccc cttgatttgg gatatcagcc tgacccaggg gcccaaagag actgggagga 18000
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atgcacattt ctgtgatctg ttccaagcat ccccaccttg ttttagaaaa tgctgcaaat 18120
ggtaaattgt aaggacagtg aaggtcgggg aaggaaatgt tagtaaagag ggccaggttg 18180
ggactgaatg gtggtaaact gctaggctgt aatgcctcca ctgagtccca gtcacaggct 18240
ccaccttggt cctgcaggga agtgctcaag acctacaatg tggccatgga ctaccccacc 18300
ctcttgctga ctgtctggaa cttcggggca gtgggcatgg tgtgcatcca ctggaagggc 18360
cctctggtgc tgcagcaggc ctacctcatc atgatcagtg cgctcatggc cctagtgttc 18420
atcaagtacc tcccagagtg gtccgcgtgg gtcatcctgg gcgccatctc tgtgtatggt 18480
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ccactttcag aagccaggga gggcagtatc ttgttattac acagtaagaa gcttagaaag 19740
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gtgattgtga tgccctcggt ctgttgatgg cggggcttaa atagcctgaa tttctggagc 20220
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gcatgagttc aggaggggca gagggaaagg tccgttgaaa accagccgga cacatgcggc 20940
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agtgccatat atttttaaga cttttctttc cttaaaaaat aaagtacgtg tttacttggt 25140
gaggaggagg cagaaccagc tctttggtgc cagctgtttc atcaccagac tttggctccc 25200
gctttgggga gcgcctcgct tcacggacag gaagcacagc aggtttatcc agatgaactg 25260
agaaggtcag attagggcgg ggagaagagc atccggcatg agggctgaga tgcgcaaaga 25320
gtgtgctcgg gagtggcccc tggcacctgg gtgctctggc tggagaggaa aagccagttc 25380
cctacgagga gtgttcccaa tgctttgtcc atgatgtcct tgttatttta ttgcctttag 25440
aaactgagtc ctgttcttgt tacggcagtc acactgctgg gaagtggctt aatagtaata 25500
tcaataaata gatgagtcct gttagaatct tggagtttgg tccgttgtaa atgttgaccc 25560
ctctccctgc atcttgggca cccctgggat aacttgtgct gtgagcccag gatggaggca 25620
gtttgccctg tttgaaggaa cttttaatga tctcgcctct ctgcacacat ttctttaact 25680
agaaagtttc ctaagcaaag gagttaggag agcagggtgg cctgacatct gccagccctg 25740
agctgtaagg ctgtggatgc tgagcaggtc cctggactca gttgtgcacg gtggcacaga 25800
cactgccagg tggttgccaa aacatccagt ggttccttca gcaagtgttc accctctgca 25860
gaagcctgtg agggcctgag ctcagaaacc actctccttt ccttctctgg ctttggccct 25920
gggcactgtg gtgggagagt ggacagtttg gctttgcctt ctctgtacat caatcatggg 25980
ttgcaaagag aatctcagaa gtgcctcttc ctgagcacag tggctcacac ctgtaatccc 26040
aatacttcgg gaggtcgagt cggaaggatc acttgagccc aggagtttga gaccagccgg 26100
ggcaacatag tgagactttg tacaaaaaaa aatttaaaaa ttagccaagc atggtggcat 26160
gcatctgtag tctcagctac tctggaggct gaggtgggag gatcacttaa gcccaggagg 26220
ctgaggctgc aatgagccga gatcaagcag gtgttaggta tatcagacag ctgagaagac 26280
gcaagtgtgc cctggggttc aaactggtac ccctgtctcc ctgttccagg aataacatga 26340
gtgccgggac aatgcatctt tattatgaga ggaatgagaa ttgtgtatct tgacatttga 26400
caggagcttg ctttccccca ggctgtttga ggaagggcag aggaaaatgt ggtgccctaa 26460
gaaggaagga cagaggaggc cgaacactgg cgggtggaat cccactgatt agtagtgcag 26520
gtcagagacc tgggatgggg ggcattgccg tcatggaagc cacagcgggg agcgggtaaa 26580
gcagacaggg atggtccctg atggtgacaa ctcgcaagag gttaagggga aagaaaaact 26640
gaaaagctta ttcaatttgg caattatggc agtgtttatc ttcagaagag cagttttagg 26700
gtggggtttc caaagatggg attggacata tattttgaat cattaagctt gaggtctttc 26760
aaaggcctgg ccaagggttg ctgggtggag accacattca gaggtaaagg cagaaattgg 26820
gggcccttaa gtagacagcg agggaggaag aaatgaaggg gcctggtgat ggttagggtg 26880
aagtgttaag actgagaaaa caaggacatg tgagaagacg agggaagagc attggagaga 26940
acaaagacac tggaggagat gctacttgga ggtccccaga gagcagggag acaaatgaac 27000
ccagaacaca aatggcaaag aagaaaaatg agagaatttg taaaagacag cattcgaaca 27060
tgccgaacaa gagcagggta ctggtgttca aacacctgta tctcccccgt gtaacccgtc 27120
aactaatatc tttccatatt tgctccagat ttgtctttag aaataaaacc cacgttctga 27180
agtcctgttt gtatgtggcc ccagtcctgt tgcctccgcc tcctgtcctg aagtcgattt 27240
ctgcccttct catctatggt tagttttgtt ttgtatgttg gcatgttttc ttaactttac 27300
agaaatggta tcatactgta catatttgat aattttttaa aatattgcat tctggaggca 27360
tgtataaatg tagctccagt tcatttattt tatttatttt ttgagatgga gttttgctct 27420
tgtcacccag gctagagtgc aatggcgtga tgttggctca ctgcaacctc tgcctcctgg 27480
gttcaagcaa ttctcctgtc tcaatttcct gagtagctgg gattacagtt gcccgccacc 27540
atgcctggct aattttgtat tttagtagag acggggtttc accacgttag ccaggctggt 27600
ctcaaactcc tgactgcagg tgatccacgc accttggcct ccaaaagtgc tgggattaca 27660
ggcgtgagcc accgtgccca gcccagttat tttaactatt gtatagtgtt ccattgtatg 27720
agttctactg tttatatgct attgatcgac ctgtaggggt tttgcagtgt ttctgtatta 27780
cagctgtgct gcagtgagca tcccatcaca ttgtgtggat ttgaggaagt attggaattc 27840
ccccaattga ctggacattc ccaattaccc tccaagtatg tgtctgttta tccttccatc 27900
cgcaatctga gagttcccca actctataat acttggtgtc atcagacttt tcatcttgtc 27960
tgattggatg ggtgtcattt cctttaggtt ttataattat cttttcatat gtgtattggc 28020
tgtacaaggt tccttctctg ttcattatta ttaatttttt tagacagagt ctcgcgctgt 28080
cgcccaggct ggagtgcagc agcgtgatct tggctcactg caagctccgc ctcccgggtt 28140
catgccattc tcctgcctca gcctcctgag tagctgggat tacaggtgcc tgccatcacg 28200
cccggctagt ttttttgtat tttgagtaga gatggggttt caccgtgtta gccaggaggg 28260
tctcgatctc ctgacctcgt gatccacccg cctcggcctc ccaaagtgct gggattacag 28320
gtgtgagtca ctgcgcccag cccaagtttc cttctctgtt acttgttcat atcctctgcc 28380
catttttcac ttggattttt tgtcttacgg atatttaagc ctcttaaaat atatattctg 28440
gagagatgct aatctttgat taattatatg cattgcaaat gtctggtaca ttgtggcttg 28500
cctctcttcc ctgcctttag gagtgttttg ctggacccaa gtaattttta aatgttaatg 28560
ttattaaatc tatcagtttt ttgcttgtat ggcttatgcc attgaatctt gttttaagag 28620
atccttccct accctcaagg ttttctaaat ttttattttc ataataagat ttttagttca 28680
tctgaaatgt atttttatga ttgtatttag tagggaccta attttgtttt tctttgtaac 28740
caggtgtccc agcactgttt actgaacagt ctctcctttc tcgctggtct gtagaactct 28800
cctgacatat accaagtttc cataagtggg tggatgggtt cctgagctct ctactgttaa 28860
tagaacttgc tctctcgcag gccaatgcct caccaggtga ttgaagcaga gaaacttagg 28920
tggtgaaagg agaagatggg gcctgtcctg agagtttctg ttcctgagat gctagaggca 28980
gagggtatgt aaatctgaag ttacactgga tctcctaaaa cagtataaag ctacagaagt 29040
ataatagtgt ggaatggtgg tgggagtcag taagggttag gtcactgcag tggtttaaac 29100
aagatgggct agaatccttt cacaggcaca ggcagcttgg agagggtgca atagtgcatg 29160
gtatcagggg tcagatgcct ctttttcctt tgagatcagt aagtggcttt cacctcatga 29220
cctaggctgg ctgctgtgtg ctagccgtca agtcacactc catccagcat gaaaggaggt 29280
tagaaaaggg tgcatttcct cttcttaaaa acatgtctca aagttgcaca cagcactttt 29340
gcctatattc aattggccat tagtcccacg gccatacctg tctgagactg agagactggg 29400
aaatgtcttt atttcaagtg gccatatatc cacctaaaca agataaggga tacgtggtta 29460
tggcgtgtct tttggtttac caatgcagat aatgaagtta ccaaaacaat gagaaaatgg 29520
ggtcgtgagg gatcatgtga atcacaagct gatgtcttca aagacggtgg aaatgggccc 29580
cgggaggcag cagatgacag cagtggggat taaggtagac ctccatcctg gggttaaaat 29640
gaggggaagg tgatggagct ggaccagcag tcagaatggt cagtggttag gagaccctct 29700
gccccccacc gctgccacca ttggctctct acagaatgcc tgcgagtggc ttagagtgac 29760
caaggatgag gtgcagatcc atgtgcaccc ccctgccccc tctgtggaca attttcatgc 29820
ctgacagcac agtctatgtg gattgcaagc cgatgaaact atgcaaagta gaagcatgcc 29880
tgcagtttgt gattcggtga tgtgttttat gcttatgtga gtcgaatggg gcggcagggt 29940
cctgtggtca cccgctgaga aggaagggtc ctgtaaccac tgcctttctt tcagctactt 30000
gagaaaggtg ttgtgaggga ccgtggattt tgggacagct ttgaatggtg gtagggagga 30060
agggtccggt ctgagtgaat ggccagaaag ctgtggggaa gcttttagga cattggccaa 30120
gagctccctg aaggcagcca gggagatact tgtcagtaca tgtgactaat ggccaactga 30180
atataagcag aagtgctgtg ttgctgtgtg caacactgga caccttagga aggacctcga 30240
gacagtggtt gtggactctg tagagagtaa cagtgacagt agcaaaccct tacccagtgc 30300
caaccttgtg ctaggctcgc actaaatgag tttaccttca attctcgtaa caataggagg 30360
taactactat tctaatttcc attttataga tgaggaaact aaggcacaga gatcactgac 30420
ttgcccaaaa tcaagcaggg agtagttagt atataagccc acggtatgtg gtttgtagaa 30480
taggtgctct tgactagcag aaataggtcc tccctgcagt gtgtaattga taacaagcat 30540
gggctgccat cttcctgtcg aggccactca aaacacccaa caggctacgc acggtggctc 30600
acacctgtaa tcccagcact gtgggaggcc gaggtgggcg ggtcacctga ggtcaggagt 30660
tcgagaccag cctggccgac atggtgaaac tccgtctcta ctaacagtac aaaaattagc 30720
tgggcgtggt ggcgggcacc tgtaatccca gctactcagg aggctgagac agaagaatca 30780
cttgaaccag ggaggcagag gttgcagtga gacaagatca cgccattgca ctccagcctg 30840
tgtgacaaaa gcgaaactgt ctcaaaaaaa aaaaaaaaaa aagtatgatt ttataatccc 30900
agcaccttgg gaggctgagt cgtgagaatc acttgagccc aggagtttaa gaccaatcta 30960
ggcaacatgg caagacccca tctctgccaa aaataaaaaa tagtctaatt ttagctattc 31020
atgtgtgtgt gaagtggtgt ctcttcgtgg ctttgatctg catttcccta atgctgacta 31080
atgacgttgg gcacctgttc atgtgcttac tggtcagata tctttctttt gttacatttt 31140
attaagtttt aaaatttaaa gtcaaagatt tccctatgag aatgactttt aaaatgacca 31200
aaaaggggaa gataacatta attcttgaag agaaggcctc tgagaaaaat acagttgtag 31260
caagctgcta ctttgcaaat gacccatgca ttttaatttt cccctaagga aggccaagga 31320
agagtcttat cacctcaggg caggagatgt agggacttgg gtcatttaat aagagtggta 31380
ggtttgaaaa ctcaaaccca gaagactcct tagagtttct cccaggaggt agggaagggg 31440
ccgcatccat ggagagagga ggatgtgact tagagcagtg gtccccaatc tttagggacc 31500
agggactggt gtcatggtag acagtttttc cacagatagg ggttgggggg atgatttgga 31560
gctgaaactg ctccacctca ggtcatcagg cattagattc tcatgtggag tgtgccactt 31620
agatccttgg cgtgcacagt tcacaatggg gttcgaggtc ctatgagaat ccgatgccac 31680
tgatttgaca ggaggcggag ctcaggtggt aatgctcatc tccaccgctt accacctgct 31740
gtgcagcctg gttcctaata ggctatagac tggtactggt ccatggcctg ggggttgggg 31800
acccctgatt tagaggaagt aagggcatgg cttaccgtgg gccctggggt gttctgggaa 31860
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agaagtttcc caccattcct gagggggcag gtggtaggtc cccaagcaga gagccagcag 32100
tccctctctg aggcctgcaa tggaatgggg tggggtgtcc actgagccaa gggtctgtca 32160
gtgagagctg gggaggctgg gctggcttgc aagcacctgt tataaccaaa ccaggaaatc 32220
aggttccgag tcttgccagc aagggcctac agctgccagc agagatggac agccaggaga 32280
ccccaattgg ccacccagag ccaccctcct ctgcctaccc caccctccag tactccagag 32340
cctactcgga ggggaacaga aacctgagag gctgaacaca cacacatgga gaaacaaacg 32400
tagtaaaata tttggggaat caggaagaat tatttgtact attcctgcaa cctttctata 32460
ggcttgaaat tatcaaaata aatttttaaa aattgtaata acattctcat actaaaacac 32520
tgagtttttt tctttcattt tttgattttt tctttttgac tccagcatga cttactctaa 32580
caatgggtgg tctcgatttt gaaatacttt cttctccaag cctttcatga caccctgtct 32640
ctgttggttc tgaaaatgtt ggattttgtc tcagcccttg cttctggaaa cagccaaggt 32700
taagaaaacc ccccatgctt tgtgttctag cagacagctt cctgcaaaga gccatcttcc 32760
cagagcactt aggcctctta gatgtctccc ttgtttaatt atgacaagag cacacacaca 32820
gaccctccaa attcccattc ttagtcttct aaatgattag ctgagctgct tttccccact 32880
gattaatcgg aataaaatgc tcattaacca aacttccctc ctttccccag gtccctaaac 32940
tttcctgagt cggcagacat cccctctgga gaagaggttg gccccagagt cgaacatcct 33000
ctgatctacc tgatcctgct gcccttccat tccacttccc cacatctgtt ctttctggtc 33060
gtgtttactc ccctattaaa aaaacaaaac cagaaaacgt gtttgcctag atcttgagac 33120
tctggaagat cttaacagtc agaggttccc cctatttgca atgatctcct ttcctgcccc 33180
ttcctatcct tgcaataatc cttttgaata aagtctctcc ttactaaatc cagttcctaa 33240
aaattaattt ttttagag 33258
<210> 2
<211> 448
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> presenilin-2 isoform 1
<400> 2
Met Leu Thr Phe Met Ala Ser Asp Ser Glu Glu Glu Val Cys Asp Glu
1 5 10 15
Arg Thr Ser Leu Met Ser Ala Glu Ser Pro Thr Pro Arg Ser Cys Gln
20 25 30
Glu Gly Arg Gln Gly Pro Glu Asp Gly Glu Asn Thr Ala Gln Trp Arg
35 40 45
Ser Gln Glu Asn Glu Glu Asp Gly Glu Glu Asp Pro Asp Arg Tyr Val
50 55 60
Cys Ser Gly Val Pro Gly Arg Pro Pro Gly Leu Glu Glu Glu Leu Thr
65 70 75 80
Leu Lys Tyr Gly Ala Lys His Val Ile Met Leu Phe Val Pro Val Thr
85 90 95
Leu Cys Met Ile Val Val Val Ala Thr Ile Lys Ser Val Arg Phe Tyr
100 105 110
Thr Glu Lys Asn Gly Gln Leu Ile Tyr Thr Pro Phe Thr Glu Asp Thr
115 120 125
Pro Ser Val Gly Gln Arg Leu Leu Asn Ser Val Leu Asn Thr Leu Ile
130 135 140
Met Ile Ser Val Ile Val Val Met Thr Ile Phe Leu Val Val Leu Tyr
145 150 155 160
Lys Tyr Arg Cys Tyr Lys Phe Ile His Gly Trp Leu Ile Met Ser Ser
165 170 175
Leu Met Leu Leu Phe Leu Phe Thr Tyr Ile Tyr Leu Gly Glu Val Leu
180 185 190
Lys Thr Tyr Asn Val Ala Met Asp Tyr Pro Thr Leu Leu Leu Thr Val
195 200 205
Trp Asn Phe Gly Ala Val Gly Met Val Cys Ile His Trp Lys Gly Pro
210 215 220
Leu Val Leu Gln Gln Ala Tyr Leu Ile Met Ile Ser Ala Leu Met Ala
225 230 235 240
Leu Val Phe Ile Lys Tyr Leu Pro Glu Trp Ser Ala Trp Val Ile Leu
245 250 255
Gly Ala Ile Ser Val Tyr Asp Leu Val Ala Val Leu Cys Pro Lys Gly
260 265 270
Pro Leu Arg Met Leu Val Glu Thr Ala Gln Glu Arg Asn Glu Pro Ile
275 280 285
Phe Pro Ala Leu Ile Tyr Ser Ser Ala Met Val Trp Thr Val Gly Met
290 295 300
Ala Lys Leu Asp Pro Ser Ser Gln Gly Ala Leu Gln Leu Pro Tyr Asp
305 310 315 320
Pro Glu Met Glu Glu Asp Ser Tyr Asp Ser Phe Gly Glu Pro Ser Tyr
325 330 335
Pro Glu Val Phe Glu Pro Pro Leu Thr Gly Tyr Pro Gly Glu Glu Leu
340 345 350
Glu Glu Glu Glu Glu Arg Gly Val Lys Leu Gly Leu Gly Asp Phe Ile
355 360 365
Phe Tyr Ser Val Leu Val Gly Lys Ala Ala Ala Thr Gly Ser Gly Asp
370 375 380
Trp Asn Thr Thr Leu Ala Cys Phe Val Ala Ile Leu Ile Gly Leu Cys
385 390 395 400
Leu Thr Leu Leu Leu Leu Ala Val Phe Lys Lys Ala Leu Pro Ala Leu
405 410 415
Pro Ile Ser Ile Thr Phe Gly Leu Ile Phe Tyr Phe Ser Thr Asp Asn
420 425 430
Leu Val Arg Pro Phe Met Asp Thr Leu Ala Ser His Gln Leu Tyr Ile
435 440 445
<210> 3
<211> 19
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Forward 5'-3' Primer
<400> 3
catcagccct ttgccttct 19
<210> 4
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Reverse 3'-5' Primer
<400> 4
ctcaccttgt agcagcggta 20
<210> 5
<211> 26
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Forward 5'-3' Primer
<400> 5
acagaattcg ccccggcctg gtacac 26
<210> 6
<211> 25
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Reverse 3'-5' Primer
<400> 6
taagcttggc acggctgtcc aagga 25
<210> 7
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Forward 5'-3' Primer
<400> 7
tcagcatcta cacgccattc 20
<210> 8
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Reverse 3'-5' Primer
<400> 8
agcaccacca agaagatggt 20
<210> 9
<211> 26
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Forwad 5'-3' Primer
<400> 9
attcgccccg gcctggtaca ctgcca 26
<210> 10
<211> 27
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Reverse 3'-5' Primer
<400> 10
ctgtccaagg agctgcaggc ggcgcag 27
<210> 11
<211> 25
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> g1N141I guide RNA F
<400> 11
caccgcatca tgatcagcgt catcg 25
<210> 12
<211> 25
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> g1N141I guide RNA R
<400> 12
aaaccgatga cgctgatcat gatgc 25
<210> 13
<211> 100
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Donor ssODN#A N141I
<400> 13
gagagaagcg tggctggagg gcagggccag ggcctcacct tgtagcagcg gtacttgtag 60
agcaccacca agaagatggt cagggtgttc agcacggagt 100
<210> 14
<211> 21
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Forward 5' Primer
<400> 14
taacggcggc agacaaaaag a 21
<210> 15
<211> 22
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Reverse 5'-3' Primer
<400> 15
gaagtattgc ttcagttggc ct 22
<210> 16
<211> 21
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Forward 5' Primer
<400> 16
agaagaacgg caagtacgag a 21
<210> 17
<211> 21
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Reverse 5'-3' Primer
<400> 17
tgttgaggga cagattgtgg c 21
<210> 18
<211> 21
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Forward 5' Primer
<400> 18
taacggcggc agacaaaaag a 21
<210> 19
<211> 22
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Reverse 5'-3' Primer
<400> 19
gaagtattgc ttcagttggc ct 22
<210> 20
<400> 20
000
<210> 21
<400> 21
000
<210> 22
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Forward 5' Primer
<400> 22
acgaatctcc gaccaccact 20
<210> 23
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Reverse 5'-3' Primer
<400> 23
ccatggccac aacaactgac 20
<210> 24
<211> 22
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Forward 5' Primer
<400> 24
gaagtgtccc aggacatgat aa 22
<210> 25
<211> 22
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Reverse 5'-3' Primer
<400> 25
ctcttgagta gctgggattg ag 22
<210> 26
<211> 46
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Forward 5'-3' Primer
<400> 26
ctccgtgctg atcaccctca tcatgatcag cgtcatcggt tatgac 46
<210> 27
<211> 48
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Reverse 3'-5' Primer
<400> 27
gaggcacgac tagtgggagt agtactagtc gcagtagcac caatactg 48
<210> 28
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Forward 5'-3' Primer
<400> 28
catcatgatc agcgtcatcg 20
<210> 29
<211> 25
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> g1N2411 guide RNA F
<400> 29
caccgcatca tgatcagcgt catcg 25
<210> 30
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<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> g1N2411 guide RNA R
<400> 30
aaaccgatga cgctgatcat gatgc 25
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<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<221> misc_feature
<223> Donor ssODN#A N141I
<400> 31
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