(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179545
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】携帯情報端末
(51)【国際特許分類】
G03B 15/05 20210101AFI20231212BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20231212BHJP
G03B 17/24 20210101ALI20231212BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20231212BHJP
H10K 59/65 20230101ALI20231212BHJP
H10K 59/90 20230101ALI20231212BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20231212BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20231212BHJP
【FI】
G03B15/05
G03B17/02
G03B17/24
H10K50/10
H10K59/65
H10K59/90
H04N23/60 300
H04N23/56
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023158519
(22)【出願日】2023-09-22
(62)【分割の表示】P 2022001435の分割
【原出願日】2014-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2013194055
(32)【優先日】2013-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】松林 萌
(72)【発明者】
【氏名】大澤 信晴
(57)【要約】
【課題】新規な防犯装置を提供する。または、犯罪が発生したことの立証に有用な情報を
保全することができる新規な情報処理装置を提供する。
【解決手段】筐体を把持する手を用いて操作できるように配置される開閉器と、開閉器の
動作に伴いパルス状の光を射出する発光素子と、パルス状の光を照射する方向を撮影し、
画像情報を供給する撮像部と、画像情報を通信網に送信する通信部と、を含む構成に想到
した。これにより、使用者が防犯装置を用いてパルス状の光を暴漢等に照射して、犯罪の
発生を防ぐことができる。または、犯罪が発生したときの画像を含む情報を通信網に送信
することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の第1の面に設けられた発光領域と、
前記筐体の前記第1の面に設けられた撮像部と、
制御パルス信号とシャッタ信号を供給するコントローラと、
を有し、
前記撮像部のレンズは、前記発光領域に囲まれており、
前記発光領域は、前記制御パルス信号に従ってパルス光を放出するように構成され、
前記撮像部は、前記シャッタ信号が供給され、前記パルス光を照射する方向を撮影し、緯度及び経度を含む位置情報を付加された画像情報を供給するように構成され、
前記発光領域の総面積は、0.5cm2以上1m2以下である携帯情報端末。
【請求項2】
筐体と、
前記筐体の第1の面に設けられた発光領域と、
前記筐体の前記第1の面に設けられた撮像部と、
制御パルス信号とシャッタ信号を供給するコントローラと、
を有し、
前記撮像部のレンズは、前記発光領域に囲まれており、
前記発光領域は、前記制御パルス信号に従ってパルス光を放出するように構成され、
前記撮像部は、前記シャッタ信号が供給され、前記パルス光を照射する方向を撮影し、緯度及び経度を含む位置情報を付加された画像情報を供給するように構成され、
前記発光領域は、複数の発光素子を含む携帯情報端末。
【請求項3】
請求項2において、
前記複数の発光素子の一は、前記複数の発光素子の他の一とは異なる色を発する携帯情報端末。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記パルス光を放出する時間は、1ミリ秒以上1000ミリ秒以下である携帯情報端末。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記パルス光は、前記シャッタ信号が供給されるたびに放出される携帯情報端末。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
人感センサを有する携帯情報端末。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
前記シャッタ信号は、使用者がスイッチを操作することによって生成される携帯情報端末。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
前記画像情報を通信ネットワークに送信するように構成された通信ユニットを有する携帯情報端末。
【請求項9】
請求項8において、
使用者がスイッチを操作することによって、前記シャッタ信号を撮像部に供給する第1のステップと、前記撮影をする第2のステップと、前記画像情報を供給する第3のステップと、前記画像情報を前記通信ネットワークに送信する第4のステップと、が自動的に実行される携帯情報端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン
、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に
、本発明は、例えば、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、照明装置、それらの
駆動方法、または、それらの製造方法に関する。特に、本発明は、例えば、防犯装置、情
報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報伝達手段に係る社会基盤が充実されている。これにより、多様で潤沢な情報を職場や
自宅だけでなく外出先でも情報処理装置を用いて取得、加工または発信できるようになっ
ている。
【0003】
このような背景において、携帯可能な情報処理装置が盛んに開発されている。
【0004】
また、有機EL素子は膜状に形成することが可能であるため、大面積の素子を容易に形成
することができ、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0005】
例えば、特許文献1には、有機EL素子を用いた照明器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一態様は、新規な防犯装置を提供することを課題の一とする。または、新規な情
報処理装置を提供することを課題の一とする。または、新規な照明装置を提供することを
課題の一とする。
【0008】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、筐体と、筐体を把持する手を用いて操作できるように配置される開閉
器と、開閉器を含み、開閉器が動作するとスタート信号を供給するスタートスイッチ回路
と、スタート信号が供給され、制御パルス信号およびシャッタ信号を供給するマイコンと
、制御パルス信号と定電流が供給され、定電流パルスを供給する開閉回路と、定電流を供
給する定電流電源と、定電流パルスが供給され、パルス状の光を筐体の外側に射出する発
光素子と、シャッタ信号が供給され、パルス状の光を照射する方向を撮影し画像情報を供
給する撮像部と、画像情報を通信網に送信する通信部と、を有する防犯装置である。
【0010】
本発明の一態様は、筐体と、筐体を把持する手を用いて操作できるように配置される開閉
器と、開閉器を含み、開閉器が動作するとスタート信号を供給するスタートスイッチ回路
と、スタート信号が供給され、制御パルス信号およびシャッタ信号を供給するマイコンと
、制御パルス信号が供給され、定電流パルスを供給する定電流電源と、定電流パルスが供
給され、パルス状の光を筐体の外側に射出する発光素子と、シャッタ信号が供給され、パ
ルス状の光を照射する方向を撮影し画像情報を供給する撮像部と、画像情報を通信網に送
信する通信部と、を有する防犯装置である。
【0011】
上記本発明の一態様の防犯装置は、筐体を把持する手を用いて操作できるように配置され
る開閉器と、開閉器の動作に伴いパルス状の光を射出する発光素子と、パルス状の光を照
射する方向を撮影し、画像情報を供給する撮像部と、画像情報を通信網に送信する通信部
と、を含んで構成される。これにより、使用者が防犯装置を用いてパルス状の光を暴漢等
に照射して、犯罪の発生を防ぐことができる。または、犯罪現場の画像を含む情報を通信
網に送信することができる。その結果、新規な防犯装置を提供することができる。または
、犯罪が発生したことの立証に有用な情報を保全することができる新規な情報処理装置を
提供することができる。または、新規な照明装置、防犯装置、情報処理装置などを提供す
ることができる。なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。
なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、こ
れら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであ
り、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能であ
る。
【0012】
また、本発明の一態様は、スタートスイッチ回路が、複数の開閉器の動作に基づいてスタ
ート信号を供給し、複数の開閉器は、筐体の第1の面および第1の面と対向する第2の面
等に分配して配置される、上記の防犯装置である。
【0013】
上記本発明の一態様の防犯装置は、上記の構成に加えて、筐体の対向する複数の面に分配
して配置された複数の開閉器の動作に基づいて、スタート信号を供給するスタートスイッ
チ回路を含んで構成される。これにより、一つの開閉器を操作して動作するスタートスイ
ッチ回路に比べて、誤った操作による動作を防止することができる。その結果、誤操作の
少ない新規な防犯装置を提供することができる。または、犯罪が発生したことの立証に有
用な情報を保全することができる新規な情報処理装置を提供することができる。
【0014】
また、本発明の一態様は、パルス状の光を照射する方向を監視して検知信号を供給する人
感センサ回路を有し、マイコンは、検知信号およびスタート信号が供給されるときに制御
パルス信号およびシャッタ信号を供給する、上記の防犯装置である。
【0015】
上記本発明の一態様の防犯装置は、上記の構成に加えて、使用者が光を照射しようとする
方向に人がいるか否かを検知する人感センサ回路を含んで構成される。これにより、誤っ
て人が居ない方向にパルス状の光を照射しにくくすることができる。その結果、誤操作の
少ない新規な防犯装置を提供することができる。または、犯罪が発生したことの立証に有
用な情報を保全することができる新規な情報処理装置を提供することができる。
【0016】
また、本発明の一態様は、発光素子が有機EL素子である、上記の防犯装置である。
【0017】
上記本発明の一態様の防犯装置は、上記の構成に加えて有機EL素子を含む。これにより
、発光面積を大きく、防犯装置を薄く且つ軽くできる。その結果、新規な防犯装置を提供
することができる。または、犯罪が発生したことの立証に有用な情報を保全することがで
きる新規な情報処理装置を提供することができる。
【0018】
また、本発明の一態様は、撮像部は、撮像素子および撮像素子上に像を形成する光学系を
備え、筐体は、発光素子および発光素子に隣接して光学系を一の面に備える、上記の防犯
装置である。
【0019】
上記本発明の一態様の防犯装置は、上記の構成に加えて、筐体の一の面に発光素子および
光学系が配置される構成を含む。これにより、撮像部が撮影する方向をパルス状の光を照
射する方向に容易に向けることができる。その結果、新規な防犯装置を提供することがで
きる。または、犯罪が発生したことの立証に有用な情報を保全することができる新規な情
報処理装置を提供することができる。
【0020】
また、本発明の一態様は、シャッタ信号が供給され、全地球測位網(GPS:Globa
l Positioning System)から取得する位置情報を供給することがで
きる位置情報取得回路を有し、通信部は、位置情報を通信網に送信する、上記の防犯装置
である。
【0021】
上記本発明の一態様の防犯装置は、上記の構成に加えて位置情報取得回路を含んで構成さ
れる。これにより、使用者が防犯装置を動作させた場所の位置情報を単独でまたは犯罪が
発生したときの画像を含む情報または/および救済を要請する伝言を含む情報と共に通信
網に送信して、犯罪が発生したことの立証に有用な画像情報を保全できる。その結果、新
規な防犯装置を提供することができる。または、犯罪が発生したことの立証に有用な情報
を保全することができる新規な情報処理装置を提供することができる。
【0022】
また、本発明の一態様は、画像情報、位置情報および操作命令が供給され、通信情報およ
び表示情報を供給する演算部と、通信情報および表示情報が供給され、画像情報、位置情
報および操作命令を供給する入出力部と、演算部および入出力部を収納する筐体と、を有
する情報処理装置である。
【0023】
そして、入出力部は、筐体を把持する手を用いて操作できるように配置される開閉器と、
開閉器を含み開閉器が動作するとスタート信号を供給するスタートスイッチ回路と、スタ
ート信号が供給され、制御パルス信号およびシャッタ信号を供給するマイコンと、制御パ
ルス信号と定電流が供給され、定電流パルスを供給する開閉回路と、定電流を供給する定
電流電源と、定電流パルスが供給されパルス状の光を筐体の外側に射出する発光素子と、
シャッタ信号が供給され、パルス状の光を照射する方向を撮影し画像情報を供給する撮像
部と、シャッタ信号が供給され、位置情報を供給することができる位置情報取得回路と、
通信情報を通信網に送信する通信部と、操作命令を供給する入力機構と、表示情報が供給
され、表示情報を表示する表示部と、を備える。また、通信部は、画像情報を通信網に送
信する。
【0024】
上記本発明の一態様の情報処理装置は、筐体を把持する手を用いて操作できるように配置
される開閉器と、開閉器の動作に伴いパルス状の光を射出する発光素子と、パルス状の光
を照射する方向を撮影し、画像情報を供給する撮像部と、画像情報を通信網に送信する通
信部と、を含んで構成される。これにより、使用者が情報処理装置を用いてパルス状の光
を暴漢等に照射して、犯罪の発生を防ぐことができる。または、犯罪が発生したときの画
像を含む情報を通信網に送信することができる。その結果、犯罪が発生したことの立証に
有用な情報を保全することができる新規な情報処理装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様によれば、新規な防犯装置を提供することができる。または、犯罪が発生
したことの立証に有用な情報を保全することができる新規な情報処理装置を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施の形態に係る防犯装置の構成を説明するブロック図および使用状態を説明する図。
【
図2】実施の形態に係る防犯装置の構成を説明する図。
【
図3】実施の形態に係る防犯装置の構成を説明するブロック図および使用状態を説明する図。
【
図4】実施の形態に係る防犯装置の構成を説明するブロック図および使用状態を説明する図。
【
図5】実施の形態に係る防犯装置の構成を説明するブロック図。
【
図6】実施の形態に係る情報処理装置の構成を説明するブロック図。
【
図7】実施の形態に係る情報処理装置の外形を説明する外観図。
【
図16】実施例の発光パネルの電圧-輝度特性を示す図。
【
図17】実施例の発光パネルの発光スペクトルを示す図。
【
図19】実施例の発光パネルの電圧-輝度特性を示す図。
【
図20】実施例の発光パネルの発光スペクトルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一態様の防犯装置は、筐体を把持する手を用いて操作できるように配置される開
閉器と、開閉器の動作に伴いパルス状の光を射出する発光素子と、パルス状の光を照射す
る方向を撮影し、画像情報を供給する撮像部と、画像情報を通信網に送信する通信部と、
を含んで構成される。
【0028】
これにより、使用者が防犯装置を用いてパルス状の光を暴漢等に照射して、犯罪の発生を
防ぐことができる。または、犯罪が発生したときの画像を含む情報を通信網に送信するこ
とができる。その結果、新規な防犯装置を提供することができる。または、犯罪が発生し
たことの立証に有用な情報を保全することができる新規な情報処理装置を提供することが
できる。
【0029】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し
得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の
記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において
、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、
その繰り返しの説明は省略する。
【0030】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の防犯装置の構成について、
図1および
図2を参照し
ながら説明する。
【0031】
図1(A)は本発明の一態様の防犯装置100の構成を説明するブロック図である。
図1
(B)は
図1(A)に示す防犯装置100の構成と使用状態を説明する外観図である。図
1(C)は
図1(A)に示す防犯装置100の外観を説明する六面図である。
【0032】
図2は、防犯装置100の定電流電源140が定電流パルスを発光素子120に供給する
構成を説明する図である。
【0033】
本実施の形態で説明する防犯装置100は、筐体101と、筐体101を把持する手を用
いて操作できるように配置される開閉器132と、開閉器132を含み開閉器132が動
作するとスタート信号を供給するスタートスイッチ回路131と、を有する(
図1(A)
、
図1(B)および
図1(C)参照)。
【0034】
また、防犯装置100は、スタート信号が供給され、制御パルス信号およびシャッタ信号
を供給するマイコン137と、制御パルス信号と定電流が供給され、定電流パルスを供給
する開閉回路110と、定電流を供給する定電流電源140と、定電流パルスが供給され
、パルス状の光を筐体101の外側に射出する発光素子120と、を有する。
【0035】
また、防犯装置100は、シャッタ信号が供給され、パルス状の光を照射する方向を撮影
し画像情報を供給する撮像部150と、画像情報を通信網に送信する通信部190と、を
有する。
【0036】
上記本発明の一態様の防犯装置100は、筐体101を把持する手を用いて操作できるよ
うに配置される開閉器132と、開閉器132の動作に伴いパルス状の光を射出する発光
素子120と、パルス状の光を照射する方向を撮影し、画像情報を供給する撮像部150
と、画像情報を通信網に送信する通信部190と、を含んで構成される。これにより、使
用者が防犯装置を用いてパルス状の光を暴漢等に照射して、犯罪の発生を防ぐことができ
る。または、犯罪が発生したときの画像を含む情報を通信網に送信することができる。そ
の結果、新規な防犯装置を提供することができる。または、犯罪が発生したことの立証に
有用な情報を保全することができる新規な情報処理装置を提供することができる。
【0037】
また、本実施の形態で説明する防犯装置100は、可変抵抗136を含み、パルス間隔変
調信号を供給するパルス間隔変調回路135を有する。
【0038】
<防犯装置>
以下に、防犯装置100を構成する個々の要素について説明する。
【0039】
《筐体》
筐体101は、発光素子120、撮像部150および開閉器が配置される(
図1(B))
。
【0040】
筐体101の大きさは防犯装置100の使用者が把持できる程度が好ましく、特に片手で
把持できる程度が好ましい。例えば、筐体101は、拇指、人差し指および中指を用いて
把持することができる。
【0041】
開閉器は筐体101を把持する手を用いて操作できる位置に配置される。
【0042】
特に、スタートスイッチ回路131は、複数の開閉器が動作するときスタート信号を供給
する構成が好ましい。複数の開閉器(開閉器132a、開閉器132b、開閉器132c
および開閉器132d)は、筐体101の第1の面101aおよび第1の面101aと対
向する第2の面101b等に分配して配置される(
図1(C)参照)。
【0043】
防犯装置100は、筐体101の対向する複数の面に分配して配置された複数の開閉器1
32の動作に基づいて、スタート信号を供給するスタートスイッチ回路131を含んで構
成される。これにより、一つの開閉器を操作して動作するスタートスイッチ回路に比べて
、誤った操作によるスタートスイッチ回路131の動作を防止することができる。その結
果、誤操作の少ない新規な防犯装置を提供することができる。または、犯罪が発生したこ
との立証に有用な情報を保全することができる新規な情報処理装置を提供することができ
る。
【0044】
例えば、筐体101の発光素子120が配置されていない部分に、開閉器132a、開閉
器132b、開閉器132cおよび開閉器132dが配置される。これにより、予期しな
いときに暴漢等(加害者ともいう)に襲われた使用者(被害者ともいう)が、確実に発光
素子120を暴漢等に向けることができる。または容易に防犯装置100を操作してパル
ス状の光を照射できる。
【0045】
また、ストラップ132sの端部が取り付けられた開閉器132tを筐体101に配置し
てもよい。一方の手で筐体101を把持して、他方の手でストラップ132sを引き抜く
ことで開閉器132tが動作する構成とすることができる。
【0046】
また、複数の開閉器を操作したときに防犯装置100が動作する構成とすることもできる
。これにより、防犯装置の使用者が誤って防犯装置100を動作させてしまう不具合の発
生を抑制できる。
【0047】
例えば、開閉器132a、開閉器132b、開閉器132cおよび開閉器132dから選
ばれた複数の開閉器が操作されたときに、防犯装置100が動作する構成とすることがで
きる。または、一方の手でいずれかの開閉器を押下しながら他方の手でストラップ132
sを引き抜くことで、防犯装置100が動作する構成とすることができる。
【0048】
《スタートスイッチ回路》
スタートスイッチ回路131はスタート信号を供給することができる。スタートスイッチ
回路131は開閉器132を備え、開閉器132が操作されている期間、スタート信号と
してハイ又はロウを供給する(
図1(A)参照)。
【0049】
なお、スタートスイッチ回路131から制御パルス信号を供給することもできる。例えば
、開閉器132、ラッチ回路およびモノステイブル・マルチバイブレータを用いて、スタ
ートスイッチ回路131を構成することができる。
【0050】
具体的には、開閉器132を用いてラッチ回路にハイまたはロウの信号を供給し、ラッチ
回路はトリガ信号を供給し、トリガ信号が供給されたモノステイブル・マルチバイブレー
タは、所定の幅を有する矩形波を、制御パルス信号として供給する。
【0051】
《パルス間隔変調回路》
パルス間隔変調回路135は、パルス間隔変調信号を供給することができる。例えば、可
変抵抗136を用いて変化した電圧をパルス間隔変調信号に用いることができる。パルス
間隔は発光素子120が発する光を暴漢等がパルス状の光と感じる程度にすることができ
る。具体的には60Hz未満、20Hz以下が好ましく、特に5Hz以下が好ましい。ま
た、間隔は一定でなく、不規則であってもよい。
【0052】
《マイコン》
マイコン137は、スタート信号及びパルス間隔変調信号が供給され、制御パルス信号お
よびシャッタ信号を供給することができる。
【0053】
マイコン137は、演算部CPU、タイマ部TIMER、アナログデジタルコンバータA
DC、入出力部I/O、記憶部MEM、及び、データ信号を伝送する伝送路を備える。
【0054】
入出力部I/Oは、スタート信号及びパルス間隔変調信号が供給され、制御パルス信号お
よびシャッタ信号を供給することができる。
【0055】
アナログデジタルコンバータADCは、アナログ信号をデジタル信号に変換する。例えば
、供給されるパルス間隔変調信号をデジタル信号に変換して供給する。
【0056】
演算部CPUは、供給されたデータを、記憶部MEMに記憶されたプログラムに従って処
理して、処理したデータを供給する。
【0057】
タイマ部TIMERは、命令に従って所定の時間を計測し、所定の時間の経過後に制御パ
ルス信号およびシャッタ信号をおよそ同時に供給できる。または、所定の時間毎に繰り返
し供給できる。
【0058】
タイマ部TIMERは、制御パルス信号の幅(半値幅)を決定する時間を計測できる。例
えば、1ミリ秒以上1000ミリ秒以下、好ましくは10ミリ秒以上100ミリ秒以下を
制御パルス信号の所定の幅とすることができる。
【0059】
これにより、使用者が防犯装置を用いてパルス状の光を暴漢等に一回または繰り返し照射
して、暴漢等を威圧することができる。その結果、犯罪の発生を防ぐことができる。また
は、犯罪が発生したときの画像を撮像部150が撮影し、犯罪が発生したことの立証に有
用な情報を保全することができる。
【0060】
記憶部MEMは、演算部CPUに実行させるプログラムを記憶する。
【0061】
例えば、スタート信号が供給される期間が所定の時間より短い場合、マイコン137は制
御パルス信号を一回供給する。
【0062】
また、スタート信号が供給される期間が所定の時間又は所定の時間より長い場合、マイコ
ン137は、パルス間隔変調信号に応じた間隔で、制御パルス信号およびシャッタ信号を
複数回供給する。
【0063】
マイコン137が複数回供給する制御パルス信号およびシャッタ信号の回数を、所定の数
とすることができる。または、スタート信号が供給され続けている期間において、供給可
能な数とすることができる。または、ひとたび途絶えたスタート信号が再度供給されるま
での期間において、供給可能な数とすることができる。
【0064】
なお、シャッタ信号を制御パルス信号毎に供給してもよいし、所定の回数の制御パルス信
号毎または所定の回数の制御パルスと共に供給してもよい。
【0065】
以下に、制御パルス信号をスタート信号が再度供給されるまで間欠的に供給し続けること
ができる構成について説明する。
【0066】
開閉器132を用いて待機状態のマイコン137にハイ又はロウのスタート信号を供給す
る。マイコン137は制御パルス信号として所定の幅を有する矩形波を開閉回路110に
供給し、且つ、スタート信号が供給されている時間を計測する。
【0067】
スタート信号が供給される期間が所定の時間より短い場合、マイコン137は制御パルス
信号を一回供給した後、待機状態に復帰する。
【0068】
スタート信号が供給される期間が所定の時間又は所定の時間より長い場合、マイコン13
7は所定のパルス間隔を、パルス間隔変調信号を変換したデジタル信号に応じて決定し、
スタート信号が再度供給されるまでの期間、制御パルス信号を所定のパルス間隔で間欠的
に供給し続ける。
【0069】
《定電流電源》
定電流電源140は、第1の電圧を供給する電池と、第1の電圧が供給され第1の電圧よ
り高い第2の電圧を供給する第1のDCDCコンバータと、第2の電圧が供給され電荷を
供給するコンデンサと、電荷が供給され定電流を供給することができる第2のDCDCコ
ンバータと、を有する(
図2(A)参照)。
【0070】
なお、一次電池または二次電池を電池に適用できる。二次電池としては、ニッケル水素電
池、鉛蓄電池、リチウムイオン電池等を適用できる。
【0071】
また、複数の電池を備えていてもよい。発光素子120を発光させ、撮像部150を用い
て画像を撮影するために一方を用い、通信部190を用いて画像を送信するために他方を
用いてもよい。これにより、発光素子120の発光と撮像部150を用いた撮影に、一方
の電池を消費してしまった場合、通信部190が、取得した画像情報や位置情報を他方の
電池を用いて送信することができる。
【0072】
他方の電池は、非常用ということができ、非常事態において通信部190を用いて通信し
、連絡することができる。特に、電気二重層キャパシタが他方の電池に好ましい。
【0073】
第1のDCDCコンバータは、電池の電圧(第1の電圧)を昇圧して第2の電圧を供給す
る。
【0074】
コンデンサは、第2の電圧で充電される。
【0075】
第2のDCDCコンバータは、コンデンサに蓄えられた電荷が供給され、定電流を供給す
る。
【0076】
定電流電源140が供給する電流の時間の経過に伴う変化の一例を
図2(B)に示す。
【0077】
この構成によれば、コンデンサが電荷を第2のDCDCコンバータに供給する間において
、第2のDCDCコンバータは定電流を供給することができる。なお、コンデンサに蓄え
られた電荷が所定の量を下回ると、第2のDCDCコンバータは定電流を供給できなくな
る。
【0078】
定電流電源140は、少なくともマイコン137が供給する制御パルス信号の幅(例えば
50ミリ秒)より長く、定電流を供給することができる。
【0079】
なお、電流が開閉回路110を流れると、コンデンサに蓄えられた電荷が消費される。こ
れにより、定電流電源140は定電流を供給し続けることができなくなり、矩形波でない
電流が発光素子120に流れる。その結果、発光素子120が所定の輝度より低い輝度で
発光することになる。
【0080】
所定の輝度より低く眩しさに欠ける光は、暴漢等を威圧する効果に乏しいため、電力が無
駄に消費されてしまう。
【0081】
定電流電源140が定電流を供給できなくなる前に、開閉回路110は電流の供給を停止
する。これにより、不要な電力の消費を抑制できる。なお、開閉回路110が供給する電
流の一例を
図2(C)に示す。
【0082】
《制御回路》
定電流電源140が供給する電流の大きさを、防犯装置100が使用される環境の明るさ
、暴漢等までの距離または発光素子の使用履歴に応じて制御してもよい(
図2(D)参照
)。
【0083】
防犯装置100は、検知信号を供給するセンサ、検知信号が供給され制御信号を供給する
制御回路145を有し、定電流電源140が制御信号を供給され、制御信号に応じた大き
さの定電流を供給する構成とすることができる。
【0084】
定電流電源140が供給する電流の大きさを制御する方法としては、制御信号を用いて第
2のDCDCコンバータを制御すればよい。
【0085】
検知信号を供給するセンサとしては、例えば、防犯装置100が使用される環境の明るさ
を検知する光センサまたは暴漢等までの距離を検知する距離センサ等を挙げることができ
る。具体的には、フォトダイオードや超音波センサ等を適用できる。
【0086】
また、発光素子120の劣化の程度を、発光素子120の使用履歴を記憶する記憶回路を
用いて予測してもよい。発光素子120の使用に伴う劣化を補完するように、定電流電源
140が供給する電流の大きさを制御してもよい。
【0087】
《開閉回路》
開閉回路110は、定電流と制御パルス信号が供給されている間、定電流パルスを発光素
子120に供給する。
【0088】
例えば、パワートランジスタを開閉回路110に適用できる。具体的には、パワートラン
ジスタのゲートに制御パルス信号を供給し、第1の電極に定電流を供給し、第2の電極に
発光素子120を電気的に接続して、開閉回路110を構成できる。例えば、2Aの電流
を50ミリ秒の間、発光素子120に供給することができる。
【0089】
《発光素子》
発光素子120は、点光源、線光源、面光源のいずれも用いることができる。例えば、発
光ダイオードやキセノンランプ、有機EL素子等を発光素子120に適用できる。
【0090】
発光素子120は単数を用いても複数を用いてもよい。また、複数の発光素子を一の支持
基板に設けた発光パネルを用いることもできる。
【0091】
また、複数の発光素子を用いてもよく、各発光素子が異なる色を呈する光を射出する構成
であってもよい。
【0092】
また、異なる色を呈する発光素子の色ごとに定電流回路を用意して、異なる色を呈する発
光素子ごとに供給する電流の大きさを独立して制御してもよい。
【0093】
これにより、射出する光の色や色温度を可変にすることもできる。その結果、撮像部15
0が被写体、環境、雰囲気等の画像情報を再現よく撮影できる。
【0094】
また、支持基板等に可撓性を有する材料を用いた可撓性を有する発光パネルは、曲面を有
する筐体に沿わせて配置することができる。これにより、筐体の意匠を損なうことなく発
光装置を配置することができる。例えば、カメラの曲面を有する筐体に沿って、フラッシ
ュを配置することができる。
【0095】
有機EL素子を発光素子120に適用することができる。有機EL素子が適用された防犯
装置100は、発光素子120の発光面積を大きく、防犯装置100を薄く且つ軽くでき
る。
【0096】
なお、有機EL素子を用いた発光パネルの構成を実施の形態4において詳細に説明し、有
機EL素子の構成を実施の形態5において詳細に説明する。
【0097】
有機EL素子を用いる発光パネルの発光部の総面積は、例えば0.5cm2以上1m2以
下であり、好ましくは5cm2以上200cm2以下、より好ましくは15cm2以上1
00cm2以下である。
【0098】
有機EL素子を用いる発光パネルの発光時の発光素子を流れる電流密度は、例えば10m
A/cm2以上2000mA/cm2以下である。
【0099】
《撮像部》
撮像部150は、シャッタ信号が供給され、パルス状の光を照射する方向を撮影し画像情
報を供給する。
【0100】
また、撮像部150は、撮像素子および撮像素子上に像を形成する光学系155を備える
(
図1(C)参照)。
【0101】
例えば撮像素子としては電荷結合素子CCDや相補性金属酸化物半導体CMOSを用いる
ことができる。また、光学系155としては、レンズ、絞りの他、自動焦点機構等を用い
ることができる。
【0102】
そして、筐体101は、発光素子120および発光素子120に隣接して光学系155を
一の面101cに備える。
【0103】
例えば、筐体101は、発光素子120および発光素子120に囲まれるように配置され
る光学系155を筐体101の開閉器が設けられた第1の面101aおよび第1の面10
1aと対向する第2の面101bとは異なる面101cに配置できる(
図1(C)参照)
。
【0104】
これにより、撮像部150が撮影する方向をパルス状の光を照射する方向に容易に向ける
ことができる。また、開閉器を操作する指の影にならないように発光素子を配置して、発
光素子の光を有効に使用することができる。その結果、新規な防犯装置を提供することが
できる。または、犯罪が発生したことの立証に有用な情報を保全することができる新規な
情報処理装置を提供することができる。
【0105】
シャッタ信号が複数回供給される場合、撮像部150は撮影を複数回行い、複数の画像情
報を供給することができる。
【0106】
撮像部150は、マイク156を有していてもよい。シャッタ信号が供給された撮像部1
50は、画像情報だけでなく、所定の時間音声を録音して、音声情報を供給してもよい。
例えば、撮像部150が音声情報を追加情報として画像情報に付加し、音声情報が付加さ
れた画像情報を供給してもよい。
【0107】
通信部190は、音声情報が付加された画像情報を供給され、所定の宛先に音声情報が付
加された画像情報を送信する。
【0108】
《位置情報取得回路》
位置情報取得回路160は、シャッタ信号が供給され、位置情報を供給することができる
(
図1(A)参照)。
【0109】
位置情報取得回路160は、例えば航法衛星システム(NSS:navigation
satellite system)を用いる。具体的には、全地球測位網(GPS:G
lobal Positioning System)から信号を受信し、解析すること
により位置情報を取得する。なお、位置情報は、緯度と経度等の数値を含む。
【0110】
または、位置情報取得回路160は、例えば無線LAN(Local area net
work)のあらかじめ指定された位置であるアクセスポイントからの信号を受信し、そ
の種類と強度を解析することにより位置情報を取得する。
【0111】
位置情報取得回路160は、取得した位置情報を供給する。
【0112】
例えば、位置情報を供給された撮像部150が、追加情報として位置情報を画像情報に付
加し、位置情報が付加された画像情報を供給する。通信部190は、位置情報が付加され
た画像情報を供給され、所定の宛先に位置情報が付加された画像情報を送信する。
【0113】
これにより、使用者が防犯装置を動作させた場所の位置情報を単独でまたは犯罪が発生し
たときの画像を含む情報または/および救済等を要請する伝言を含む情報と共に通信網に
送信して、犯罪が発生したことの立証に有用な画像情報を保全できる。その結果、新規な
防犯装置を提供することができる。または、犯罪が発生したことの立証に有用な情報を保
全することができる新規な情報処理装置を提供することができる。
【0114】
《通信部》
通信部190は、画像情報が供給され画像情報を通信網に送信する。通信部190は、変
調器および増幅器等を有する。通信部190は、画像情報または/および位置情報を送信
できればよく、利用する移動通信システムは限定されない。例えば、第3世代以降の移動
通信システムを利用できる。
【0115】
通信部190は、画像情報または/および位置情報を送信する宛先を記憶する記憶機構を
有する。使用者は宛先を事前に登録することができ、画像情報または/および位置情報の
送信先としては、例えば保護者、家族、学校、警察または/および警備会社等を設定でき
る。また、ソーシャルネットワークサービスに接続して、不特定多数に送信してもよい。
【0116】
防犯装置100の使用者が、防犯装置100を操作して、シャッタ信号を撮像部に供給す
る。
【0117】
シャッタ信号が供給された撮像部150は、発光素子120が射出するパルス状の光を照
射する方向を撮影する。
【0118】
撮像部150は、画像情報を生成し通信部190に供給する。なお、撮像部に位置情報や
音声情報等が供給された場合は、画像情報に付加する。
【0119】
通信部190は、画像情報を供給され、あらかじめ登録された送信先に画像情報を送信す
る。
【0120】
なお、制御パルス信号の供給後の一連の動作を、防犯装置は速やかに自動的におこなう。
これにより、画像情報の送信の暴漢等による妨害を防ぐことができる。その結果、防犯装
置100が破壊や廃棄される前に一連の動作を完了できる。
【0121】
または、通信部190は、位置情報が供給されてもよい。通信部190は、供給された位
置情報を単独でもしくは所定の伝言等に位置情報を付加して送信してもよい。
【0122】
例えば電話番号、使用者の氏名の他、文章を所定の伝言にすることができる。具体的には
、使用者が子供である場合、保護者等に救済を求める文章「おかあさん、助けて」等を用
いることができる。なお、通信部190は、これらの伝言を記憶する記憶回路を備える。
【0123】
複数の画像情報が供給される場合、通信部190は、複数の画像情報を逐次またはまとめ
て送信することができる。
【0124】
通信部190は、受信機能を有していてもよい。通信部190は、防犯装置100によっ
て送信された情報を受信した者が送信する操作命令を受信することができる。これにより
、情報の受取人が、防犯装置を遠隔から操作できる。
【0125】
また、防犯装置100が消費する電力を抑制するために、防犯装置100は救援救助信号
のみを断続的に送信してもよい。
【0126】
<変形例1.>
本実施の形態の変形例では、本発明の一態様の防犯装置の構成の変形例について、
図3(
A)を参照しながら説明する。
【0127】
図3は、本実施の形態の変形例の定電流電源140Aが定電流を開閉回路110に供給す
る構成を説明する図である。
【0128】
本実施の形態の変形例で説明する定電流電源140Aは、交流電源を直流電源に変換する
ACDCコンバータを有する点が、
図2(A)、(D)を参照しながら説明する定電流電
源140とは異なる。ここでは構成が異なる部分について詳細に説明し、同様の構成を用
いることができる部分は、上記の説明を援用する。
【0129】
《定電流電源の変形例》
定電流電源140Aは、交流電源から電力を供給され、直流電流を供給するACDCコン
バータと、直流電流が供給されるDCDCコンバータと、を有する。
【0130】
ACDCコンバータは、電灯線等の交流電源が供給する電力を、直流電流に変換する。
【0131】
DCDCコンバータは、直流電流を供給され、定電流に変換して供給する(
図3(B)参
照)。
【0132】
開閉回路110は、制御パルス信号および定電流を供給され、定電流パルスを供給する(
図3(C)参照)。
【0133】
発光素子120は、定電流パルスを供給されパルス状の光を発する。
【0134】
この構成によれば、電灯線など安定した電源から常時電力を供給することができる。
【0135】
<変形例2.>
本実施の形態の変形例では、本発明の一態様の防犯装置の構成の変形例について、
図4を
参照しながら説明する。
【0136】
図4(A)は本実施の形態の変形例の防犯装置100Bの構成を説明するブロック図であ
り、
図4(B)は本実施の形態の変形例の防犯装置100Bの外観を説明する六面図であ
る。
【0137】
なお、本実施の形態の変形例で説明する防犯装置100Bは、検知信号を供給する人感セ
ンサ回路133を有する点およびマイコン137Bが検知信号を供給される点が異なる他
は、防犯装置100と同じ構成を有する。ここでは構成が異なる部分について詳細に説明
し、同様の構成を用いることができる部分は、上記の説明を援用する。
【0138】
本実施の形態の変形例2で説明する防犯装置100Bは、パルス状の光を照射する方向を
監視して検知信号を供給する人感センサ回路133を有し、マイコン137Bは、検知信
号およびスタート信号が供給されるときに制御パルス信号および前記シャッタ信号を供給
する、上記の防犯装置である。
【0139】
防犯装置100Bは、使用者が光を照射しようとする方向に人がいるか否かを検知する人
感センサ回路を含んで構成される。これにより、誤って人の居ない方向にパルス状の光を
照射しにくくすることができる。その結果、誤操作の少ない新規な防犯装置を提供するこ
とができる。または、犯罪が発生したことの立証に有用な情報を保全することができる新
規な情報処理装置を提供することができる。
【0140】
なお、人感センサをスタートスイッチ回路131に適用してもよい。人感センサが人を検
知している状態で開閉器132が動作したときに、スタートスイッチ回路131がスター
ト信号を供給する構成とすることもできる。
【0141】
《人感センサ回路》
人感センサ回路133は、人感センサを備え、例えば人感センサが供給する信号を増幅し
て検知信号を供給する。
【0142】
人感センサ回路133に適用することができる人感センサとしては、例えば、赤外線、超
音波、マイクロ波または可視光などを検知する素子を挙げることができる。
【0143】
具体的には、焦電素子、フォトダイオード等を用いることができる。また、画像情報を供
給するCCDカメラやCMOSカメラ等および供給される画像情報を解析する画像解析装
置を用いて、人感センサを構成することもできる。
【0144】
超音波の発信器および圧電素子等またはマイクロ波の発信器およびアンテナ等を組み合わ
せて用いることもできる。
【0145】
発光素子120が光を照射する方向に人感センサの指向性が合うように、人感センサを配
置する。具体的には、発光素子120に隣接して人感センサを筐体101の一の面101
cに配置する。これにより、パルス状の光を照射する方向に人感センサを向けることが容
易になる。
【0146】
《マイコン》
マイコン137Bの記憶部MEMは、供給された検知信号をアナログ/デジタル変換する
ステップと、検知信号が所定の閾値を超え、且つスタート信号が供給される場合に制御パ
ルス信号を供給するステップとを、演算部CPUに実行させるプログラムを記憶する。
【0147】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0148】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の防犯装置の構成について、
図5を参照しながら説明
する。
【0149】
図5は本発明の一態様の防犯装置100Cの構成を説明するブロック図である。
【0150】
なお、本実施の形態で説明する防犯装置100Cは、定電流電源140Cが制御パルス信
号を供給され定電流パルスを供給する点および開閉回路を有さない点が異なる他は、実施
の形態1で説明する防犯装置100と同じ構成を有する。
【0151】
本実施の形態で説明する防犯装置100Cは、筐体101と、筐体101を把持する手を
用いて操作できるように配置される開閉器132と、開閉器132を含み、開閉器132
が動作するとスタート信号を供給するスタートスイッチ回路131と、を有する。
【0152】
また、防犯装置100Cは、スタート信号が供給され、制御パルス信号およびシャッタ信
号を供給するマイコン137と、制御パルス信号が供給され、定電流パルスを供給する定
電流電源140Cと、定電流パルスが供給され、パルス状の光を前記筐体の外側に射出す
る発光素子120と、を有する。
【0153】
また、防犯装置100Cは、シャッタ信号が供給され、パルス状の光を照射する方向を撮
影し画像情報を供給する撮像部150と、画像情報を通信網に送信する通信部190と、
を有する。
【0154】
上記本発明の一態様の防犯装置100Cは、筐体101を把持する手を用いて操作できる
ように配置される開閉器132と、開閉器132の動作に伴いパルス状の光を射出する発
光素子120と、パルス状の光を照射する方向を撮影し、画像情報を供給する撮像部15
0と、画像情報を通信網に送信する通信部190と、を含んで構成される。これにより、
使用者が防犯装置を用いてパルス状の光を暴漢等に照射して、犯罪の発生を防ぐことがで
きる。または、犯罪が発生したときの画像を含む情報を通信網に送信することができる。
その結果、新規な防犯装置を提供することができる。または、犯罪が発生したことの立証
に有用な情報を保全することができる新規な情報処理装置を提供することができる。
【0155】
また、本実施の形態で説明する防犯装置100Cは、可変抵抗136を含み、パルス間隔
変調信号を供給するパルス間隔変調回路135を有する。
【0156】
<防犯装置>
以下に、定電流電源140Cの構成について説明する。
【0157】
《定電流電源》
定電流電源140Cは、第1の電圧を供給する電池と、第1の電圧が供給され第1の電圧
より高い第2の電圧を供給する第1のDCDCコンバータと、第2の電圧が供給され電荷
を供給するコンデンサと、制御パルス信号と電荷が供給され定電流パルスを供給すること
ができる第2のDCDCコンバータと、を有する(
図5参照)。
【0158】
定電流電源140Cは、第2のDCDCコンバータが制御パルス信号を供給される構成が
異なる他は、実施の形態1で説明する定電流電源140と同じ構成を有する。
【0159】
第2のDCDCコンバータは、制御パルス信号とコンデンサに蓄えられた電荷が供給され
、例えば制御パルス信号がハイのとき、定電流パルスを供給する。
【0160】
この構成によれば、コンデンサが電荷を第2のDCDCコンバータに供給する間において
、第2のDCDCコンバータは定電流パルスを供給することができる。なお、コンデンサ
に蓄えられた電荷が所定の量を下回ると、第2のDCDCコンバータは定電流パルスを供
給できなくなる。
【0161】
定電流電源140Cは、少なくともマイコン137が供給する制御パルス信号の幅(例え
ば50ミリ秒)より長く、定電流パルスを供給することができる。
【0162】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0163】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の情報処理装置の構成について、
図6および
図7を参
照しながら説明する。
【0164】
図6は本発明の一態様の情報処理装置200の構成を説明するブロック図である。
【0165】
図7は本発明の一態様の情報処理装置の外形および使用状態を説明する外観図である。図
7(A)は情報処理装置200の外形を、
図7(B)は情報処理装置200Bの外形を説
明する図であり、
図7(C)は情報処理装置200の使用状態を説明する外観図である。
【0166】
本実施の形態で説明する情報処理装置200は、演算部210と入出力部220を有する
。演算部210は位置情報POSIおよび画像情報IMGを供給される構成を備える。ま
た、入出力部220は入力機構221および表示部DISPを含む出力機構222を備え
る。以上の構成が異なる他は、実施の形態1の変形例2で説明する防犯装置100Bと同
じ構成を有する。
【0167】
本実施の形態で説明する情報処理装置200は、画像情報IMG、位置情報POSIおよ
び操作命令INPUTが供給され、通信情報COMおよび表示情報を含む出力情報OUT
PUTを供給する演算部210と、通信情報COMおよび表示情報を含む出力情報OUT
PUTが供給され、画像情報IMG、位置情報POSIおよび操作命令INPUTを供給
する入出力部220と、を有する(
図6参照)。
【0168】
また、情報処理装置200は、演算部210および入出力部220を収納する筐体201
を有する(
図7参照)。
【0169】
そして、情報処理装置200の入出力部220は、筐体201を把持する手を用いて操作
できるように配置される開閉器132と、開閉器132を含み開閉器132が動作すると
スタート信号を供給するスタートスイッチ回路131と、を備える。
【0170】
特に、スタートスイッチ回路131は、複数の開閉器が動作するときスタート信号を供給
する構成が好ましい。複数の開閉器(開閉器132a、開閉器132b、開閉器132c
および開閉器132d)は、筐体201の側面に設けられている(
図7参照)。
【0171】
また、情報処理装置200は、スタート信号が供給され、制御パルス信号およびシャッタ
信号を供給するマイコン137と、制御パルス信号と定電流が供給され、定電流パルスを
供給する開閉回路110と、定電流を供給する定電流電源140と、定電流パルスが供給
されパルス状の光を筐体201の外側に射出する発光素子120と、を備える。
【0172】
また、情報処理装置200は、シャッタ信号が供給され、パルス状の光を照射する方向を
撮影し画像情報IMGを供給する撮像部150と、シャッタ信号が供給され、位置情報P
OSIを供給することができる位置情報取得回路160と、通信情報COMを通信網に送
信する通信部190と、を備える。
【0173】
また、情報処理装置200は、操作命令INPUTを供給する入力機構221と、表示情
報を含む出力情報OUTPUTが供給され、表示情報を表示する表示部DISPと、を備
える。
【0174】
そして、通信部190は、画像情報IMGを通信網に送信する。
【0175】
上記本発明の一態様の情報処理装置200は、筐体201を把持する手を用いて操作でき
るように配置される開閉器132と、開閉器132の動作に伴いパルス状の光を射出する
発光素子120と、パルス状の光を照射する方向を撮影し、画像情報IMGを供給する撮
像部150と、画像情報IMGを通信網に送信する通信部190と、を含んで構成される
。これにより、使用者が防犯装置を用いてパルス状の光を暴漢等に照射して、犯罪の発生
を防ぐことができる。または、犯罪が発生したときの画像を含む情報を通信網に送信する
ことができる。または、写真を撮影できる。その結果、犯罪が発生したことの立証に有用
な情報を保全することができる新規な情報処理装置を提供することができる。
【0176】
情報処理装置200は、暴漢等に向けて光を発して威嚇するだけでなく、暴漢を撮像する
ことができる(
図7(C)参照)。これにより、犯罪の発生を未然に防ぐことができる。
また、犯罪が発生した場合でも、撮影された画像により、犯人の特定を容易にする。
【0177】
また、本実施の形態で説明する情報処理装置200は、可変抵抗136を含み、パルス間
隔変調信号を供給するパルス間隔変調回路135を有する。
【0178】
<情報処理装置>
以下に、情報処理装置200を構成する個々の要素について説明する。
【0179】
なお、ここでは実施の形態1の変形例2で説明する防犯装置100Bの構成と異なる部分
について詳細に説明し、同様の構成を用いることができる部分は、上記の説明を援用する
。
【0180】
《演算部と入出力部》
演算部210は、画像情報IMG、位置情報POSIおよび操作命令INPUTが供給さ
れ、通信情報COMおよび表示情報を含む出力情報OUTPUTを供給する。
【0181】
入出力部220は、通信情報COMおよび表示情報を含む出力情報OUTPUTが供給さ
れ、画像情報IMG、位置情報POSIおよび操作命令INPUTを供給する。
【0182】
演算部210は、演算回路、演算回路に実行させるプログラムを記憶する記憶部、伝送路
および入出力インターフェース等を備える。
【0183】
入出力部220は、スタートスイッチ回路131、開閉器132、マイコン137、開閉
回路110、発光素子120、定電流電源140、撮像部150、位置情報取得回路16
0、通信部190、入力機構221および出力機構222等を備える。
【0184】
《入力機構》
情報処理装置200に情報を供給する機構を、入力機構221に適用できる。
【0185】
例えば、情報処理装置200の使用者が情報処理装置200に操作命令を供給する機構と
して、マイクロフォンMIC、キーボードKBおよびタッチパネルTP等を挙げることが
できる。
【0186】
具体的には、使用者はマイクロフォンMICを用いて音声情報を供給し、演算部210は
音声情報をアナログ信号またはデジタル信号に変換して供給できる。通信部190は変換
された音声情報を無線または有線で供給できる。通信網は、例えば遠隔地に音声情報を供
給できる。
【0187】
なお、入出力機構の使用を許可されていない使用者が入出力機構を用いた場合に、スター
トスイッチ回路がスタート信号を供給する構成にしてもよい。具体的には、通信網を介し
て盗難された情報処理装置200の通信部190に命令を供給し、入出力機構から情報が
供給されたときにスタートスイッチ回路131がスタート信号を供給する構成にしてもよ
い。
【0188】
撮像部150が入出力機構を使用する人物の容姿を撮影し、入出力機構の使用を許可され
ていない人物であると認証された場合に、スタートスイッチ回路131がスタート信号を
供給する構成にしてもよい。
【0189】
《出力機構》
情報処理装置200の使用者が知覚できる方法で情報を供給する機構を、出力機構222
に有する。
【0190】
例えば、音声情報または/および画像情報を含む出力情報OUTPUTが出力機構222
に供給される場合、情報処理装置200の使用者が音声情報を聴覚で取得できるように、
スピーカSPを出力機構222に適用できる。また、表示情報を視覚で取得できるように
、表示部DISP等を出力機構222に適用できる。
【0191】
例えば、マトリクス状に複数の表示素子が配置された表示パネルを表示部DISPに適用
することができる。具体的には、液晶表示パネル、有機ELパネルまたは電子ペーパー等
を表示部DISPに適用することができる。
【0192】
一の情報処理装置200は、他の情報処理装置が供給した音声情報を通信網から取得でき
る。
【0193】
通信部190は通信網が供給する音声情報を取得し、音声情報を含む情報COMを供給す
る。演算部210は音声情報を含む出力情報OUTPUTを供給する。スピーカSPは音
声情報を再生する。
【0194】
これにより、情報処理装置200の使用者は、遠隔地から供給された音声情報を再生して
、取得できる。これにより、情報処理装置200を携帯電話として用いることができる。
【0195】
《筐体》
筐体201は平板型であり、側面に開閉器132a、開閉器132b、開閉器132cお
よび開閉器132dが配置されている(
図7(A))。
【0196】
撮像部150および撮像部150を囲む発光素子120が、筐体201の広い面に設けら
れている。筐体201を用いる情報処理装置200は、例えばスマートフォンとして用い
ることができる。
【0197】
筐体201Bはヒンジ部201Hを有し二つ折りにすることができる。また、側面に開閉
器132a、開閉器132b、開閉器132cおよび開閉器132dが配置されている(
図7(B))。
【0198】
撮像部150および撮像部150に隣接する発光素子120が、筐体201の広い面に設
けられている。筐体201Bを用いる情報処理装置200は、例えば携帯電話として用い
ることができる。
【0199】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0200】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置に用いることができる発光パネルの構成に
ついて、
図8乃至
図11を用いて説明する。
【0201】
本発明の一態様の発光装置は、例えば、カメラのフラッシュとして用いることができる。
ここで、カメラのフラッシュを小さくすると、その発光部は線状又は点状に近づく。光は
光源から直進するため、一の物体が投影する影は、光源が小さいほど明瞭になる。これに
より、例えば、フラッシュを用いて人の顔を暗い場所で撮影すると、鼻の影が頬に投影さ
れてしまう場合がある。
【0202】
また、フラッシュが必要以上に強い光を発することで、本来明るさの強弱がある部分が写
真で白一色になってしまう場合がある(いわゆる白飛び)。一方、フラッシュの発光が弱
すぎると、暗い部分が写真で黒一色になってしまう場合がある(いわゆる黒潰れ)。した
がって、フラッシュは、環境や被写体の状況によって、光量の調整が可能であることが好
ましい。
【0203】
そこで、本発明の一態様では、発光パネルに、面光源である発光素子を用いる。例えば、
有機EL素子を用いると、膜厚が薄く大面積の素子を容易に形成することができる。同じ
光量を発する場合、面光源は、点光源や線光源に比べて、単位面積当たりの光量を少なく
できる、又は発光時間を短くできる。これにより、単位面積当たりの発熱量を低減できる
。また、発光面積が広いため放熱しやすい。したがって、発光パネルの局所的な発熱によ
る劣化を抑制できる。無機材料を用いた発光ダイオード等を用いる場合に比べて、発光パ
ネルの劣化が少なく、信頼性の高い発光装置を提供できる。
【0204】
また、発光パネルに、有機EL素子を用いると、従来のキセノンランプなどを用いる場合
に比べて発光パネルを薄く、軽量にすることができる。また、発光に伴う発熱が発光パネ
ルの広い面積に分散されるため、効率よく放熱される。これにより、発光パネルへの蓄熱
が抑制され、発光パネルの劣化が抑制される。
【0205】
また、発光パネルが面光源であると、本発明の一態様の発光装置をカメラのフラッシュと
して用いても被写体に影が生じにくい。
【0206】
発光性の有機化合物を選択して用いることにより、白色を呈する光を発するように、発光
パネルを構成できる。例えば、互いに補色の関係にある色を発する複数の発光性の有機化
合物を用いることができる。または、赤色、緑色及び青色を呈する発光性の有機化合物を
用いることができる。また、さまざまな発光スペクトルを多様な有機化合物から選択して
用いることができる。これにより、ホワイトバランスに優れた発光装置を得ることができ
る。
【0207】
発光性の有機化合物を用いると、無機材料を用いた発光ダイオードに比べて幅が広い発光
スペクトルを得られる。幅が広い発光スペクトルを有する光は、自然光に近く、写真の撮
影に好適である。
【0208】
以下では、発光素子として有機EL素子を用いた発光パネルの構成例を説明する。
【0209】
《発光パネルの構成例1》
図8(A)は、本発明の一態様の発光パネルを示す平面図であり、
図8(B)は、
図8(
A)を一点鎖線A-Bで切断した断面図である。
【0210】
図8(A)(B)に示す発光パネルは、支持基板401、封止基板405及び封止材40
7に囲まれた空間415内に、発光素子403を備える。発光素子403は、ボトムエミ
ッション構造の有機EL素子であり、具体的には、支持基板401上に可視光を透過する
第1の電極421を有し、第1の電極421上にEL層423を有し、EL層423上に
可視光を反射する第2の電極425を有する。
【0211】
本発明の一態様に適用する発光素子はボトムエミッション構造に限られず、例えばトップ
エミッション構造であってもよい。
【0212】
第1の端子409aは、補助配線417及び第1の電極421と電気的に接続する。第1
の電極421上には、補助配線417と重なる領域に、絶縁層419が設けられている。
第1の端子409aと第2の電極425は、絶縁層419によって電気的に絶縁されてい
る。第2の端子409bは、第2の電極425と電気的に接続する。なお、本実施の形態
では、補助配線417上に第1の電極421が形成されている構成を示すが、第1の電極
421上に補助配線417を形成してもよい。
【0213】
支持基板401と大気との界面に光取り出し構造411aを有することが好ましい。大気
と支持基板401の界面に光取り出し構造411aを設けることで、全反射の影響で大気
に取り出せない光を低減し、発光パネルの光の取り出し効率を向上させることができる。
【0214】
また、発光素子403と支持基板401との間に光取り出し構造411bを有することが
好ましい。光取り出し構造411bが凹凸を有する場合、光取り出し構造411bと第1
の電極421の間に、平坦化層413を設けることが好ましい。これによって、第1の電
極421を平坦な膜とすることができ、EL層423における第1の電極421の凹凸に
起因するリーク電流の発生を抑制することができる。また、平坦化層413と支持基板4
01との界面に、光取り出し構造411bを有するため、全反射の影響で大気に取り出せ
ない光を低減し、発光パネルの光の取り出し効率を向上させることができる。
【0215】
光取り出し構造411a及び光取り出し構造411bの材料としては、例えば、樹脂を用
いることができる。また、光取り出し構造411a及び光取り出し構造411bとして、
半球レンズ、マイクロレンズアレイや、凹凸構造が施されたフィルム、光拡散フィルム等
を用いることもできる。例えば、支持基板401上に上記レンズやフィルムを、支持基板
401又は該レンズもしくはフィルムと同程度の屈折率を有する接着剤等を用いて接着す
ることで、光取り出し構造411a及び光取り出し構造411bを形成することができる
。
【0216】
平坦化層413は、光取り出し構造411bと接する面よりも、第1の電極421と接す
る面のほうが平坦である。平坦化層413の材料としては、透光性を有し、高屈折率であ
る材料(例えば、屈折液等の液状物質、ガラス、樹脂等)を用いることができる。
【0217】
なお、本発明の一態様の発光パネルは、光取り出し構造を設けない構成とすることもでき
る。その場合、可視光を反射する第2の電極を鏡として用いることができ、好ましい。
【0218】
《発光パネルの構成例2》
図9(A)は、本発明の一態様の発光パネルを示す平面図であり、
図10(A)(B)は
、それぞれ
図9(A)を一点鎖線X1-Y1で切断した断面図である。
【0219】
図10(A)に示す発光パネルでは、支持基板1220上に絶縁膜1224を介して発光
素子1250が設けられている。絶縁膜1224上には補助配線1206が設けられてお
り、第1の電極1201と電気的に接続する。補助配線1206の一部は露出しており端
子として機能する。第1の電極1201の端部及び導電層1210の端部は隔壁1205
で覆われている。また、第1の電極1201を介して補助配線1206を覆う隔壁120
5が設けられている。発光素子1250は、支持基板1220、封止基板1228、及び
封止材1227により封止されている。支持基板1220の表面には光取り出し構造12
09が貼り合わされている。支持基板1220及び封止基板1228に可撓性を有する基
板を用いることで、可撓性を有する発光パネルを実現できる。
【0220】
発光素子1250はボトムエミッション構造の有機EL素子であり、具体的には、支持基
板1220上に可視光を透過する第1の電極1201を有し、第1の電極1201上にE
L層1202を有し、EL層1202上に可視光を反射する第2の電極1203を有する
。
【0221】
図10(B)に示す発光パネルでは、
図10(A)に示す発光パネルが有する支持基板1
220及び光取り出し構造1209の代わりに、光取り出し構造を有する支持基板122
9が設けられている。支持基板1229は支持体としての機能及び発光パネルの光の取り
出し効率を向上させる機能の双方を有する。
【0222】
ここで、可撓性を有する発光パネルを作製する際、可撓性を有する基板上に発光素子を形
成する方法としては、例えば、可撓性を有する基板上に、発光素子を直接形成する第1の
方法と、可撓性を有する基板とは異なる耐熱性の高い基板(以下、作製基板と記す)上に
発光素子を形成した後、作製基板と発光素子とを剥離して、可撓性を有する基板に発光素
子を転置する第2の方法と、がある。
【0223】
例えば、可撓性を有する程度に薄い厚さのガラス基板のように、発光素子の作製工程でか
ける温度に対して耐熱性を有する基板を用いる場合には、第1の方法を用いると、工程が
簡略化されるため好ましい。
【0224】
また、第2の方法を適用することで、作製基板上で形成した透水性の低い絶縁膜等を、可
撓性を有する基板に転置することができる。したがって、透水性が高く、耐熱性が低い有
機樹脂等を、可撓性を有する基板の材料として用いても、可撓性を有し、信頼性が高い発
光パネルを作製できる。
【0225】
《発光パネルの構成例3》
図9(B)は、本発明の一態様の発光パネルを示す平面図であり、
図11(A)(B)は
、それぞれ
図9(B)を一点鎖線X2-Y2で切断した断面図の一例であり、
図11(C
)は、
図9(B)を一点鎖線X3-Y3で切断した断面図である。
【0226】
図11(A)乃至(C)に示す発光パネルは、一部に開口部を有する点で、発光パネルの
構成例2と異なる。ここでは相違点のみを詳細に説明し、共通点については発光パネルの
構成例2の説明を参酌するものとする。
【0227】
図11(A)(B)に示すように、発光パネルは、開口部において、電極やEL層が露出
しないように、封止材1226を有することが好ましい。具体的には、発光パネルの一部
を開口した後、露出した電極及びEL層を少なくとも覆うように封止材1226を形成す
ればよい。封止材1226には、封止材1227と同様の材料を用いることができ、同一
の材料であっても異なる材料であってもよい。
【0228】
図11(A)では、隔壁1205が形成されていない位置を開口した場合の例を示し、図
11(B)では、隔壁1205が形成されている位置を開口した場合の例を示した。
【0229】
このような発光パネルを作製し、開口部と重なるようにカメラのレンズを配置することで
、カメラのレンズの周囲に発光部を配置できる。そして、該発光部をカメラのフラッシュ
として用いることができる。
【0230】
なお、基板の表面に光取出し構造を設けてもよい。
【0231】
《発光パネルの材料》
本発明の一態様の発光パネルに用いることができる材料の一例を記す。
【0232】
[基板]
発光素子からの光を取り出す側の基板には該光を透過する材料を用いる。例えば、ガラス
、石英、セラミック、サファイア、有機樹脂などの材料を用いることができる。
【0233】
膜厚の薄い基板を用いることで、発光パネルの軽量化、薄型化を図ることができる。さら
に、可撓性を有する程度の厚さの基板を用いることで、可撓性を有する発光パネルを実現
できる。また、可撓性を有する発光パネルを使用しないときに折りたたんで収納すること
もできる。これにより、写真撮影スタジオにおいて用いることができるレフ板(boar
d reflector)に換えて、広い面積でフラッシュ発光する照明装置として用い
ることができる。または、折り畳むことができる照明装置を提供することができる。
【0234】
ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウ
ケイ酸ガラス等を用いることができる。
【0235】
可撓性及び可視光に対する透過性を有する材料としては、例えば、可撓性を有する程度の
厚さのガラスや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(
PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチ
ルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES
)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド
樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。特に、熱膨張係数の低い材料を用いることが
好ましく、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用いるこ
とができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に
混ぜて熱膨張係数を下げた基板を使用することもできる。このような材料を用いた基板は
、重量が軽いため、該基板を用いた発光パネルも軽量にすることができる。
【0236】
また、発光を取り出さない側の基板は、透光性を有していなくてもよいため、上記に挙げ
た基板の他に、金属材料や合金材料を用いた金属基板等を用いることもできる。金属材料
や合金材料は熱伝導性が高く、封止基板全体に熱を容易に伝導できるため、発光パネルの
局所的な温度上昇を抑制することができ、好ましい。可撓性や曲げ性を得るためには、金
属基板の厚さは、10μm以上200μm以下が好ましく、20μm以上50μm以下で
あることがより好ましい。
【0237】
金属基板を構成する材料としては、特に限定はないが、例えば、アルミニウム、銅、ニッ
ケル、又はアルミニウム合金もしくはステンレス等の金属の合金などを好適に用いること
ができる。
【0238】
また、導電性の基板の表面を酸化する、又は表面に絶縁膜を形成するなどにより、絶縁処
理が施された基板を用いてもよい。例えば、スピンコート法やディップ法などの塗布法、
電着法、蒸着法、又はスパッタリング法などを用いて絶縁膜を形成してもよいし、酸素雰
囲気で放置する又は加熱するほか、陽極酸化法などによって、基板の表面に酸化膜を形成
してもよい。
【0239】
可撓性の基板としては、上記材料を用いた層が、発光パネルの表面を傷などから保護する
ハードコート層(例えば、窒化シリコン層など)や、押圧を分散可能な材質の層(例えば
、アラミド樹脂層など)等と積層されて構成されていてもよい。また、水分等による発光
素子の寿命の低下等を抑制するために、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜等の窒素と
珪素を含む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等の透水性の低い
絶縁膜を有していてもよい。
【0240】
基板は、複数の層を積層して用いることもできる。特に、ガラス層を有する構成とすると
、水や酸素に対するバリア性を向上させ、信頼性の高い発光パネルとすることができる。
【0241】
例えば、発光素子に近い側からガラス層、接着層、及び有機樹脂層を積層した基板を用い
ることができる。当該ガラス層の厚さとしては20μm以上200μm以下、好ましくは
25μm以上100μm以下とする。このような厚さのガラス層は、水や酸素に対する高
いバリア性と可撓性を同時に実現できる。また、有機樹脂層の厚さとしては、10μm以
上200μm以下、好ましくは20μm以上50μm以下とする。このような有機樹脂層
をガラス層よりも外側に設けることにより、ガラス層の割れやクラックを抑制し、機械的
強度を向上させることができる。このようなガラス材料と有機樹脂の複合材料を基板に適
用することにより、極めて信頼性が高いフレキシブルな発光パネルとすることができる。
【0242】
[絶縁膜]
支持基板と発光素子の間に、絶縁膜を形成してもよい。絶縁膜には、酸化シリコン膜、窒
化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いること
ができる。特に、発光素子への水分等の侵入を抑制するため、酸化シリコン膜、窒化シリ
コン膜、酸化アルミニウム膜等の透水性の低い絶縁膜を用いることが好ましい。同様の目
的や材料で、発光素子を覆う絶縁膜を設けてもよい。
【0243】
[隔壁]
隔壁には、有機樹脂又は無機絶縁材料を用いることができる。有機樹脂としては、例えば
、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂、又
はフェノール樹脂等を用いることができる。無機絶縁材料としては、酸化シリコン、酸化
窒化シリコン等を用いることができる。隔壁の作製が容易となるため、特に感光性の樹脂
を用いることが好ましい。
【0244】
隔壁の形成方法は、特に限定されず、例えば、フォトリソグラフィ法、スパッタ法、蒸着
法、液滴吐出法(インクジェット法等)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷等)
等を用いればよい。
【0245】
[補助配線]
補助配線は必ずしも設ける必要は無いが、電極の抵抗に起因する電圧降下を抑制できるた
め、設けることが好ましい。
【0246】
補助配線の材料は、銅(Cu)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W
)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)、
ニッケル(Ni)、から選ばれた材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層
で又は積層して形成する。また、補助配線の材料としてアルミニウムを用いることもでき
るが、その場合には上記した腐食の問題が生じないように積層構造とし、ITOなどと接
しない層にアルミニウムを用いれば良い。補助配線の膜厚は、0.1μm以上3μm以下
とすることができ、好ましくは、0.1μm以上0.5μm以下である。
【0247】
[封止材]
発光パネルの封止方法は限定されず、例えば、固体封止であっても中空封止であってもよ
い。例えば、ガラスフリットなどのガラス材料や、二液混合型の樹脂などの常温で硬化す
る硬化樹脂、光硬化性の樹脂、熱硬化性の樹脂などの樹脂材料を用いることができる。発
光パネルは、窒素やアルゴンなどの不活性な気体で充填されていてもよく、PVC(ポリ
ビニルクロライド)樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹
脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等の
樹脂で充填されていてもよい。また、樹脂内に乾燥剤が含まれていてもよい。
【0248】
[光取り出し構造]
光取り出し構造としては、半球レンズ、マイクロレンズアレイ、凹凸構造が施されたフィ
ルム、光拡散フィルム等を用いることができる。例えば、基板上に上記レンズやフィルム
を、該基板又は該レンズもしくはフィルムと同程度の屈折率を有する接着剤等を用いて接
着することで、光取り出し構造を形成することができる。
【0249】
本実施の形態の発光パネルは面光源であるため、発光装置に適用することで、フラッシュ
として用いても被写体に影が生じにくい発光装置を提供できる。また、無機材料を用いた
発光ダイオード等を用いる場合に比べて、多くの光量を発しても発光パネルの劣化が少な
く、信頼性の高い発光装置を提供できる。また、キセノンランプ等を用いる場合に比べて
、発光装置の小型化、薄型化が実現できる。
【0250】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0251】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置に用いることができる発光素子について図
12を用いて説明する。
【0252】
《発光素子の構成例》
図12(A)に示す発光素子は、第1の電極2201及び第2の電極2205の間にEL
層2203を有する。本実施の形態では、第1の電極2201が陽極として機能し、第2
の電極2205が陰極として機能する。
【0253】
第1の電極2201と第2の電極2205の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印
加すると、EL層2203に第1の電極2201側から正孔が注入され、第2の電極22
05側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層2203において再結合し
、EL層2203に含まれる発光物質が発光する。
【0254】
EL層2203は、発光物質を含む発光層2303を少なくとも有する。
【0255】
また、EL層2203は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の
高い物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電
子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。EL層22
03には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を
含んでいてもよい。
【0256】
図12(B)に示す発光素子は、第1の電極2201及び第2の電極2205の間にEL
層2203を有し、該EL層2203では、正孔注入層2301、正孔輸送層2302、
発光層2303、電子輸送層2304、及び電子注入層2305が、第1の電極2201
側からこの順に積層されている。
【0257】
図12(C)(D)に示す発光素子のように、第1の電極2201及び第2の電極220
5の間に複数のEL層が積層されていてもよい。この場合、積層されたEL層の間には、
中間層2207を設けることが好ましい。中間層2207は、電荷発生領域を少なくとも
有する。
【0258】
例えば、
図12(C)に示す発光素子は、第1のEL層2203aと第2のEL層220
3bとの間に、中間層2207を有する。また、
図12(D)に示す発光素子は、EL層
をn層(nは2以上の自然数)有し、各EL層の間には、中間層2207を有する。
【0259】
EL層2203(m)とEL層2203(m+1)の間に設けられた中間層2207にお
ける電子と正孔の挙動について説明する。第1の電極2201と第2の電極2205の間
に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、中間層2207において正孔と電子
が発生し、正孔は第2の電極2205側に設けられたEL層2203(m+1)へ移動し
、電子は第1の電極2201側に設けられたEL層2203(m)へ移動する。EL層2
203(m+1)に注入された正孔は、第2の電極2205側から注入された電子と再結
合し、当該EL層2203(m+1)に含まれる発光物質が発光する。また、EL層22
03(m)に注入された電子は、第1の電極2201側から注入された正孔と再結合し、
当該EL層2203(m)に含まれる発光物質が発光する。よって、中間層2207にお
いて発生した正孔と電子は、それぞれ異なるEL層において発光に至る。
【0260】
なお、EL層同士を接して設けることで、両者の間に中間層と同じ構成が形成される場合
は、中間層を介さずにEL層同士を接して設けることができる。例えば、EL層の一方の
面に電荷発生領域が形成されている場合、その面に接してEL層を設けることができる。
【0261】
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望
の色の発光を得ることができる。例えば、二つのEL層を有する発光素子において、第1
のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素
子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。また、3つ以上のEL層を
有する発光素子の場合でも同様である。
【0262】
《発光素子の材料》
以下に、それぞれの層に用いることができる材料を例示する。なお、各層は、単層に限ら
れず、二層以上積層してもよい。
【0263】
〈陽極〉
陽極として機能する電極(第1の電極2201)は、導電性を有する金属、合金、導電性
化合物等を一種又は複数種用いて形成することができる。特に、仕事関数の大きい(4.
0eV以上)材料を用いることが好ましい。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO:I
ndium Tin Oxide)、珪素もしくは酸化珪素を含有したインジウムスズ酸
化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム
、グラフェン、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト
、銅、パラジウム、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
【0264】
なお、陽極が電荷発生領域と接する場合は、仕事関数の大きさを考慮せずに、様々な導電
性材料を用いることができ、例えば、アルミニウム、銀、アルミニウムを含む合金等も用
いることができる。
【0265】
〈陰極〉
陰極として機能する電極(第2の電極2205)は、導電性を有する金属、合金、導電性
化合物などを1種又は複数種用いて形成することができる。特に、仕事関数が小さい(3
.8eV以下)材料を用いることが好ましい。例えば、元素周期表の第1族又は第2族に
属する元素(例えば、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、ストロンチウ
ム等のアルカリ土類金属、マグネシウム等)、これら元素を含む合金(例えば、Mg-A
g、Al-Li)、ユーロピウム、イッテルビウム等の希土類金属、これら希土類金属を
含む合金、アルミニウム、銀等を用いることができる。
【0266】
なお、陰極が電荷発生領域と接する場合は、仕事関数の大きさを考慮せずに、様々な導電
性材料を用いることができる。例えば、ITO、珪素又は酸化珪素を含有したインジウム
スズ酸化物等も用いることができる。
【0267】
電極は、それぞれ、真空蒸着法やスパッタリング法を用いて形成すれば良い。また、銀ペ
ースト等を用いる場合には、塗布法やインクジェット法を用いれば良い。
【0268】
〈正孔注入層2301〉
正孔注入層2301は、正孔注入性の高い物質を含む層である。
【0269】
正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニ
ウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物や、また、フタロシア
ニン(略称:H2Pc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシア
ニン系の化合物を用いることができる。
【0270】
また、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4-ビニルトリフェニ
ルアミン)(略称:PVTPA)などの高分子化合物や、ポリ(3,4-エチレンジオキ
シチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の酸を添加した
高分子化合物を用いることができる。
【0271】
また、正孔注入層2301を、電荷発生領域としても良い。陽極と接する正孔注入層23
01が電荷発生領域であると、仕事関数を考慮せずに様々な導電性材料を該陽極に用いる
ことができる。電荷発生領域を構成する材料については後述する。
【0272】
〈正孔輸送層2302〉
正孔輸送層2302は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。
【0273】
正孔輸送性の高い物質としては、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば良く、特に
、10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。例えば、
4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NP
B又はα-NPD)、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリ
フェニルアミン(略称:BPAFLP)等の芳香族アミン化合物、4,4’-ジ(N-カ
ルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、9-[4-(10-フェニル-9-アントリ
ル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、9-フェニル-3-[4-(
10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:PCzPA
)等のカルバゾール誘導体、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アン
トラセン(略称:t-BuDNA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称
:DNA)、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)等の芳香族炭化
水素化合物、PVK、PVTPA等の高分子化合物など、種々の化合物を用いることがで
きる。
【0274】
〈発光層2303〉
発光層2303は、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いる
ことができる。
【0275】
発光層2303に用いることができる蛍光性化合物としては、例えば、N,N’-ビス[
4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベン-
4,4’-ジアミン(略称:YGA2S)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリ
ル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、
ルブレン等が挙げられる。
【0276】
また、発光層2303に用いることができる燐光性化合物としては、例えば、ビス[2-
(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピ
コリナート(略称:FIrpic)、トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イ
リジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)(アセチルアセトナト)ビス(3,5-
ジメチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr-M
e)2(acac))等の有機金属錯体が挙げられる。
【0277】
なお、発光層2303は、上述した発光性の有機化合物(発光物質、ゲスト材料)を他の
物質(ホスト材料)に分散させた構成としても良い。ホスト材料としては、各種のものを
用いることができ、ゲスト材料よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占
有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0278】
ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光層2303の結晶化を
抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制するこ
とができる。
【0279】
ホスト材料としては、上述の正孔輸送性の高い物質(例えば、芳香族アミン化合物やカル
バゾール誘導体)や、後述の電子輸送性の高い物質(例えば、キノリン骨格又はベンゾキ
ノリン骨格を有する金属錯体や、オキサゾール系配位子又はチアゾール系配位子を有する
金属錯体)等を用いることができる。具体的には、トリス(8-キノリノラト)アルミニ
ウム(III)(略称:Alq)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニ
ルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)などの金属錯体、3-(4-
ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-
トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュ
プロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、CzPA、DNA、t-BuDNA、
DPAnthなどの縮合芳香族化合物、NPB等の芳香族アミン化合物等を用いることが
できる。
【0280】
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレ
ン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加しても良い。また、ゲスト材料へのエネルギー
移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加しても良い。
【0281】
また、発光層を複数設け、それぞれの層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全
体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、発光層を2つ有する発光素子に
おいて、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにするこ
とで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。また、発光層
を3つ以上有する発光素子の場合でも同様である。
【0282】
〈電子輸送層2304〉
電子輸送層2304は、電子輸送性の高い物質を含む層である。
【0283】
電子輸送性の高い物質としては、正孔よりも電子の輸送性の高い有機化合物であれば良く
、特に、10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質であることが好ましい。
【0284】
電子輸送性の高い物質としては、例えば、Alq、BAlqなど、キノリン骨格又はベン
ゾキノリン骨格を有する金属錯体等や、ビス[2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾオ
キサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2-(2-ヒドロキシフェニル)
ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール
系配位子を有する金属錯体などを用いることができる。また、TAZ、BPhen、BC
Pなども用いることができる。
【0285】
〈電子注入層2305〉
電子注入層2305は、電子注入性の高い物質を含む層である。
【0286】
電子注入性の高い物質としては、例えば、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチ
ウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、酸化リチウム等のようなアルカリ金属、アル
カリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのよ
うな希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層2304を構成
する物質を用いることもできる。
【0287】
〈電荷発生領域〉
電荷発生領域は、正孔輸送性の高い有機化合物に電子受容体(アクセプター)が添加され
た構成であっても、電子輸送性の高い有機化合物に電子供与体(ドナー)が添加された構
成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていてもよい。
【0288】
正孔輸送性の高い有機化合物としては、例えば、上述の正孔輸送層に用いることができる
材料が挙げられ、電子輸送性の高い有機化合物としては、例えば、上述の電子輸送層に用
いることができる材料が挙げられる。
【0289】
また、電子受容体としては、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフ
ルオロキノジメタン(略称:F4-TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。ま
た、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に
属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、
酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レ
ニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定
であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0290】
また、電子供与体としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、又は元素周
期表における第13族に属する金属及びその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具体
的には、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、イッテルビウム、インジウム
、酸化リチウム、炭酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセ
ンのような有機化合物を電子供与体として用いてもよい。
【0291】
なお、上述したEL層2203及び中間層2207を構成する層は、それぞれ、蒸着法(
真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成するこ
とができる。
【0292】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0293】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置を用いた電子機器について
図13乃至
図1
5を用いて説明する。
【0294】
本発明の一態様の発光装置は、デジタルスチルカメラ等のカメラのフラッシュ、撮影機能
を有する携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)や携帯情報端末が備えるカメラ
のフラッシュ等に用いることができる。また、自転車や自動車のライト、灯台、装飾用途
などのイルミネーション等に用いることができる。
【0295】
図13(A)はデジタルスチルカメラの一例を示している。デジタルスチルカメラ730
0は、筐体7301、レンズ7304、発光装置7310等を有する。発光装置7310
には、本発明の一態様の発光装置が適用されている。発光装置7310の発光部7303
は、レンズ7304を囲うように配置されている。本発明の一態様の発光装置は可撓性を
有するため、湾曲させることができる。デジタルスチルカメラ7300では、非発光部7
305が筐体7301の形状に沿って折り曲げられているため、発光部7303をレンズ
7304の周囲に広く配置できる。これにより、フラッシュを用いて人の顔を暗い場所で
撮影する場合であっても、例えば鼻の影が頬に投影されにくくすることができる。なお、
発光素子を非発光部7305に同一の工程で作製して設け、動作状態を示すインジケータ
に用いてもよい。
【0296】
図13(B)(C)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7350の一面(表
面ともいえる)を
図13(B)に示し、該一面の背面(裏面ともいえる)を
図13(C)
に示す。
【0297】
携帯電話機7350は、筐体7351、表示部7352、レンズ7354、発光装置73
60等を有する。発光装置7360には、本発明の一態様の発光装置が適用されている。
発光装置7360は発光部7353及び非発光部7355を有し、発光部7353は、レ
ンズ7354を囲うように配置されている。発光部7353は、非発光時に鏡として用い
る仕様であってもよい。
【0298】
図14(A)は、携帯電話機7350の発光装置7360が2つの発光パネル7353a
、7353bを有する変形例である。
【0299】
図15に
図14(A)における発光装置7360のブロック図を示す。発光装置7360
は、2つの発光パネル7353a、7353b、駆動回路730、2つの定電流電源74
0a、740b、及び2つの制御装置750a、750bを有する。
【0300】
2つの制御装置750a、750bには、携帯電話機7350の使用者が選択した条件に
対応した信号や、各種センサからの検出信号が供給される。2つの制御装置750a、7
50bは、供給された信号に応じた制御信号をそれぞれ供給する。
【0301】
定電流電源740aは、制御装置750aから供給された制御信号に応じた定電流パルス
を発光パネル7353aに供給する。定電流電源740bは、制御装置750bから供給
された制御信号に応じた定電流パルスを発光パネル7353bに供給する。したがって、
2つの発光パネル7353a、7353bはそれぞれ独立に光量が調整される。これによ
り、発光装置が発する光量をより幅広い範囲で調整できるようになり、好ましい。
【0302】
また、それぞれ色や色温度の異なる発光パネルを用いてもよい。例えば、2つの発光パネ
ルの色温度が異なる場合は、それぞれの発光パネルの光量を調整することで発光装置が適
切な色温度の光を発することができる。
【0303】
また、駆動回路730は、実施の形態1に示したマイコン137、スタートスイッチ回路
131、パルス間隔変調回路135を含み、同様の構成を適用できる。2つの発光パネル
7353a、7353bは、それぞれ独立に駆動回路730から制御パルス信号が供給さ
れる。つまり、駆動回路730は、2つの発光パネル7353a、7353bに同一の制
御パルス信号を供給してもよいし、異なる制御パルス信号を供給してもよい。
【0304】
なお、発光装置7360が2つ以上の駆動回路を有していてもよい。また、発光装置73
60が3つ以上の発光パネルを有していてもよい。また、光量の調整ができない発光パネ
ルと組み合わせてもよい。
【0305】
図15に示す構成を有する発光装置7360では、発光パネル7353a、7353bを
それぞれ独立に発光させることができる。例えば、一方の発光パネルの発光のみで十分で
ある場合は、一方の発光パネルのみを発光させ、より多くの光量が必要なときのみ双方の
発光パネルを発光させてもよい。これにより、発光装置の消費電力や発光パネルの劣化を
抑制できる。
【0306】
図14(B)は、自転車の一例を示している。自転車7400は、ライト7405を有す
る。ライト7405には、本発明の一態様の発光装置が適用されている。
【0307】
図14(C)は、自動車の一例を示している。自動車7410は、ライト7415を有す
る。ライト7415には、本発明の一態様の発光装置が適用されている。
【0308】
本発明の一態様の発光装置を自転車や自動車のライトに用いる場合、例えば、光センサを
用いて周囲の明るさを検知し、周囲が十分明るいときはライトを点灯しない、周囲が十分
暗いときはライトを点滅させる、周囲の明るさが不十分ではあるが光が検出できるときは
、ライトを点滅させ、かつその光量を多くする、等の制御を行うことができる。このよう
に、本発明の一態様の発光装置は、適宜最適な光量に調整して発光を行うことができるた
め、省電力なライトを実現できる。
【0309】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【実施例0310】
本実施例では、本発明の一態様の発光パネルについて説明する。
【0311】
本実施例で作製した発光パネルの平面図を
図9(A)に示し、
図9(A)における一点鎖
線X1-Y1間の断面図を
図10(B)に示す。なお、
図9(A)では発光パネルの構成
の一部を省略して示す。
【0312】
図10(B)に示すように、本実施例の発光パネルは、光取り出し構造を有する支持基板
1229上に絶縁膜1224を介して発光素子1250が設けられている。絶縁膜122
4上には補助配線1206が設けられており、第1の電極1201と電気的に接続する。
補助配線1206の一部は露出しており端子として機能する。第1の電極1201の端部
及び導電層1210の端部は隔壁1205で覆われている。また、第1の電極1201を
介して補助配線1206を覆う隔壁1205が設けられている。発光素子1250は、支
持基板1229、封止基板1228、及び封止材1227により封止されている。
【0313】
本実施例の発光パネルでは、支持基板1229としてポリエステル系樹脂の拡散フィルム
を用い、封止基板1228として薄いガラス層及びポリエチレンテレフタレート(PET
)層を有する基板を用いた。これらの基板は可撓性を有し、本実施例の発光パネルは、フ
レキシブルな発光パネルである。また、本実施例の発光パネルにおける発光領域の面積は
56mm×42mmである。
【0314】
発光素子1250はボトムエミッション構造の有機EL素子であり、具体的には、支持基
板1229上に可視光を透過する第1の電極1201を有し、第1の電極1201上にE
L層1202を有し、EL層1202上に可視光を反射する第2の電極1203を有する
。
【0315】
本実施例の発光パネルの作製方法について説明する。
【0316】
まず、作製基板であるガラス基板上に、下地膜、剥離層(タングステン膜)、被剥離層を
この順で形成した。本実施例において、被剥離層は、絶縁膜1224、補助配線1206
、第1の電極1201、及び隔壁1205を含む。
【0317】
補助配線1206は絶縁膜1224上に計7本形成した。このとき補助配線1206のピ
ッチが5.3mmになるように、また幅L2が322μmとなるようにした。第1の電極
1201としては、珪素、インジウムおよび錫を含む金属酸化物(ITSO)膜を形成し
た。補助配線1206を覆う隔壁1205は、幅L1が330μmとなるように計7本形
成した。
【0318】
次に、仮支持基板と、第1の電極1201と、を、剥離用接着剤を用いて接着し、剥離層
を用いて被剥離層を作製基板より剥離した。これにより、被剥離層は仮支持基板側に設け
られる。
【0319】
続いて、作製基板から剥離され、絶縁膜1224が露出した被剥離層に紫外光硬化型接着
剤を用いて支持基板1229を貼り合わせた。支持基板1229としては、前述の通り、
ポリエステル系樹脂の拡散フィルムを用いた。その後、仮支持基板を剥離し、支持基板1
229上に第1の電極1201を露出させた。
【0320】
次に、第1の電極1201上にEL層1202及び第2の電極1203を形成した。EL
層1202は、第1の電極1201側から、青色の発光を呈する蛍光性化合物を含む発光
層を有する第1のEL層、中間層、並びに、緑色の発光を呈する燐光性化合物を含む発光
層及び赤色の発光を呈する燐光性化合物を含む発光層を有する第2のEL層がこの順で積
層した。第2の電極1203には、銀を用いた。
【0321】
次に、封止材1227であるゼオライトを含む光硬化性樹脂を塗布し、紫外光を照射する
ことで硬化させた。そして、紫外光硬化型接着剤を用いて、支持基板1229と、封止基
板1228である、薄いガラス層及びポリエチレンテレフタレート(PET)層を有する
基板と、を貼り合わせた。
【0322】
以上により得られた発光パネルの動作特性について測定を行った。このときの発光パネル
の電圧-輝度特性を、
図16の凡例のうち「初期」として示す。また、発光パネルの発光
スペクトルを
図17に示す。
図17に示すように、本実施例の発光パネルは、青色の発光
を呈する蛍光性化合物、緑色の発光を呈する燐光性化合物、赤色の発光を呈する燐光性化
合物それぞれに由来する光がいずれも含まれる発光スペクトルを示すことがわかった。
【0323】
その後、該発光パネルを用いた発光装置の信頼性試験を行った。信頼性試験としては、発
光パネルを、間隔をあけて3000回又は1万回発光させた。発光1回につき、発光パネ
ルに2Aの電流を50ミリ秒(ms)間流した。このときの発光素子の電流密度は90m
A/cm2に相当する。また、発光の間隔(非発光の時間)は10秒とした。
【0324】
図16に、3千回発光させた後、及び1万回発光させた後の発光パネルの電圧-輝度特性
を示す。
【0325】
図16から、発光パネルの電圧-輝度特性は、1万回発光させた後でも、信頼性試験前と
ほとんど変わらず、発光パネルの劣化が見られなかった。このことから、本実施例の発光
パネルの信頼性の高さが示された。