(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179553
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】がんを処置するためのKRAS G12C阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20231212BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231212BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20231212BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20231212BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20231212BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231212BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231212BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20231212BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20231212BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231212BHJP
A61K 31/4375 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
C07D471/04 114A
C07D471/04 CSP
A61P35/00 ZNA
A61P11/00
A61P1/18
A61P1/00
A61P43/00 111
A61K45/00
A61P37/04
A61P37/02
A61K39/395 U
A61K31/4375
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023159950
(22)【出願日】2023-09-25
(62)【分割の表示】P 2020564237の分割
【原出願日】2019-06-10
(31)【優先権主張番号】62/683,263
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジアン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ヌリア・エイ・タマヨ
(72)【発明者】
【氏名】ロンビン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】フイ-リン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・アラン・ランマン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・ポール・ブルツ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンスク・シン
(72)【発明者】
【氏名】ビクター・ジェイ・シー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】膵がん、大腸がん及び肺がんを含む複数の障害を処置するのに有用な化合物を提供する。
【解決手段】具体的には、例えば下記構造式で表されるKRAS G12C阻害剤、およびその組成物が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
E
1及びE
2は、それぞれ独立して、N又はCR
1であり;
【化2】
は、全ての原子にその通常の原子価を与えるために必要な単結合又は二重結合であり;
R
1は、独立して、H、ヒドロキシ、-C
1~6アルキル、-C
1~6ハロアルキル、-C
1~6アルコキシ、-NH-C
1~6アルキル、-N(C
1~4アルキル)
2、シアノ又はハロであり;
R
2は、ハロ、-C
1~6アルキル、-C
1~6ハロアルキル、-OR
2a、-N(R
2a)
2、-C
2~6アルケニル、-C
2~6アルキニル、-C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C
0~3アルキレン-C
6~14アリール又は-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロアリールであり、及び各R
2aは、独立して、H、-C
1~6アルキル、-C
1~6ハロアルキル、-C
3~14シクロアルキル、-C
2~14ヘテロシクロアルキル、-C
2~6アルケニル、-C
2~6アルキニル、アリール若しくはヘテロアリールであるか、又は2つのR
2a置換基は、それらが結合されている窒素原子と一緒に3~7員環を形成し;
R
3は、ハロ、-C
1~6アルキル、-C
1~6ハロアルキル、-C
1~6アルコキシ、C
3~6シクロアルキル、-C
2~14ヘテロシクロアルキル、-C
2~6アルケニル、-C
2~6アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり;
R
4は、
【化3】
であり;
環Aは、単環式4~7員環又は二環式の、架橋された、縮合された若しくはスピロの6~11員環であり;
Lは、結合、-C
1~6アルキレン、-O-C
0~6アルキレン、-S-C
0~6アルキレン又は-NH-C
0~6アルキレンであり、及び-C
2~6アルキレン、-O-C
2~6アルキレン、-S-C
2~6アルキレン及びNH-C
2~6アルキレンについて、前記アルキレン基の1つの炭素原子は、O、S又はNHで任意選択により置換され得;
R
4aは、H、C
1~6アルキル、C
2~6アルキニル、C
1~6アルキレン-O-C
1~4アルキル、C
1~6アルキレン-OH、C
1~6ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C
0~3アルキレン-C
6~14アリールであるか、又は
【化4】
から選択され;
R
5及びR
6は、それぞれ独立して、H、ハロ、-C
1~6アルキル、-C
2~6アルキニル、-C
1~6アルキレン-O-C
1~4アルキル、-C
1~6アルキレン-OH、-C
1~6ハロアルキル、-C
1~6アルキレンアミン、-C
0~6アルキレン-アミド、-C
0~3アルキレン-C(O)OH、-C
0~3アルキレン-C(O)OC
1~4アルキル、-C
1~6アルキレン-O-アリール、-C
0~3アルキレン-C(O)C
1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、-C
0~3アルキレン-C
6~14アリール、-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロアリール若しくはシアノであるか、又はR
5及びR
6は、それらが結合されている原子と一緒に4~6員環を形成し;
R
7は、H若しくはC
1~6アルキルであるか、又はR
7及びR
5は、それらが結合されている原子と一緒に4~6員環を形成し;
R
8は、H、-C
1~6アルキル、-C
0~3アルキレン-C
6~14アリール、-C
0~3アルキレン-C
3~14ヘテロアリール、-C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、-C
1~6アルコキシ、-O-C
0~3アルキレン-C
6~14アリール、-O-C
0~3アルキレン-C
3~14ヘテロアリール、-O-C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、-O-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、-NH-C
1~8アルキル、-N(C
1~8アルキル)
2、-NH-C
0~3アルキレン-C
6~14アリール、-NH-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロアリール、-NH-C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、-NH-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、ハロ、シアノ又はC
1~6アルキレン-アミンであり;
前記R
2、R
2a、R
3、R
4、R
4a、R
5、R
6、R
7及びR
8置換基のいずれかの前記ヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N又はSから独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのヘテロ原子を有し、前記シクロアルキル、スピロシクロアルキル、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含み得、さらに、前記スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O又はSO
2を含み得;
前記R
1、R
2、R
2a、R
3、R
4、R
4a、L、R
5、R
6、R
7及びR
8置換基のいずれかの前記-C
1~6アルキル、-C
2~6アルケニル、-C
2~6アルキニル及び-OC
1~6アルキルは、非置換であるか、或いはOH、-OC
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-O-C
1~6アルキル、ハロ、-O-ハロC
1~6アルキル、-CN、-NR
aR
b、-(NR
aR
bR
c)
n、-OSO
2R
a、-SO
2R
a、-(CH
2CH
2O)
nCH
3、-(=O)、-C(=O)、-C(=O)R
a、-OC(=O)R
a、-C(=O)OR
a、-C(=O)NR
aR
b、-O-SiR
aR
bR
c、-SiR
aR
bR
c、-O-(3~10員のヘテロシクロアルキル)、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、5~12員のスピロシクロアルキル若しくはスピロヘテロシクロアルキル、3~12員のシクロアルケニル、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基から独立して選択される1つ、2つ又は3つのR
9置換基によって置換されており、前記ヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N又はSから独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのヘテロ原子を有し、前記シクロアルキル、スピロシクロアルキル、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含み得、さらに、前記スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O又はSO
2を含み得;
前記R
1、R
2、R
2a、R
3、R
4、R
4a、R
5、R
6、R
7、R
8及びR
9置換基のいずれかの前記アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、或いはOH、ハロ、-NR
cR
d、-C
1~6アルキル、-OC
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-OH、-C
1~6アルキル-O-C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、-O-ハロC
1~6アルキル、-SO
2R
c、-CN、-C(=O)NR
cR
d、-C(=O)R
c、-OC(=O)R
a、-C(=O)OR
c、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、5~12員のスピロシクロアルキル若しくはスピロヘテロシクロアルキル、3~12員のシクロアルケニル、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基から独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのR
10置換基で置換され得、R
10の前記ヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N又はSから独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのヘテロ原子を有し、R
10の前記シクロアルキル、スピロシクロアルキル及びスピロヘテロシクロアルキル基又はR
10の前記ヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含み得、さらに、前記スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O又はSO
2を含み得;
各R
a、R
b、R
c及びR
dは、独立して、水素、OH、-C
1~6アルキル、-(CH
2CH
2O)
nCH
3、-NR
11R
11、-C
1~6アルキル-NR
11R
11、フェニル、-C
1~6アルキル-C(=O)OH、-C
1~6アルキル-C(=O)-O-C
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-3~12員のシクロアルキル、-C
1~6アルキル-3~12員のヘテロシクロアルキル、-C
1~6アルキル-6~12員のヘテロアリール、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基であり、R
a、R
b、R
c及びR
dの前記ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基又はR
a、R
b、R
c及びR
dの前記-C
1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、O、N又はSから独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのヘテロ原子を有し、R
a、R
b、R
c及びR
dの前記シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにR
a、R
b、R
c及びR
dの前記-C
1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基の前記ヘテロシクロアルキル基は、二重結合を含み得、さらに、R
a、R
b、R
c及びR
dの前記シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにR
a、R
b、R
c及びR
dの前記-C
1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基の前記ヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含有し得;
R
a、R
b、R
c及びR
dの前記アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル基又はR
a、R
b、R
c及びR
dの前記-C
1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基の前記ヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、又は1つ、2つ、3つ若しくは4つのR
12置換基で置換され得、各R
12は、H、OH、ハロ、-C
1~6アルキル、N(CH
3)
2、-C
1~6ハロアルキル、C(=O)CH
3、-C(=O)OCH
3又は-C
1~6アルキル-O-C
1~6アルキルから独立して選択される)
の構造を有する化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、前記その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくは前記そのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項2】
式(Ia)
【化5】
の構造を有する、請求項1に記載の化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、前記その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくは前記そのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項3】
E1は、Nである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
E2は、CR1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R1は、Hである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R2は、ハロ又は非置換であるか若しくは置換されているアリールから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R2は、置換されているアリールである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R2は、フッ化フェニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
R2は、Clである、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
R
2は、
【化6】
である、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
R
2は、
【化7】
である、請求項6に記載の化合物。
【請求項12】
R3は、ハロである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
R3は、Clである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
R3は、Fである、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
R
4は、
【化8】
である、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
Lは、結合である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
環Aは、単環式4~7員環である、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
Aは、非置換であるか又は置換されている複素環である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
R
4は、
【化9】
からなる群から選択される、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
R
4は、
【化10】
である、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
R
4は、
【化11】
である、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
R
4は、
【化12】
である、請求項19に記載の化合物。
【請求項23】
R8は、-C0~3アルキレン-C6~14アリール又は-C0~3アルキレン-C3~14ヘテロアリールである、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
R8は、-C3~14ヘテロアリールである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
R
8は、
【化13】
からなる群から選択される、請求項23に記載の化合物。
【請求項26】
式:
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
から選択される構造を有する化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、前記その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくは前記そのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩。
【請求項27】
薬学的に許容される塩の形態にある、請求項1~26のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項29】
細胞中でKRAS G12Cを阻害する方法であって、前記細胞を、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物又は請求項28に記載の組成物と接触させるステップを含む方法。
【請求項30】
対象におけるがんを処置する方法であって、前記対象に、治療有効量の、請求項1~26のいずれか一項に記載の化合物又は請求項27に記載の組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項31】
前記がんは、肺がん、膵がん又は大腸がんである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記がんは、肺がんである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記がんは、膵がんである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記がんは、大腸がんである、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記方法を必要とする患者に治療有効量の1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物を投与するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物は、抗PD-1抗体である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物は、ペムブロリズマブである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物は、ニボルマブである、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物は、AMG404である、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物は、MEK阻害剤である、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物は、ダラツムマブである、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物は、免疫調節剤である、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
対象におけるがんを処置するための、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項44】
がんを処置するための医薬品の調製物中における、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項45】
前記がんは、非小細胞肺がんである、請求項44に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電子フォーマットの配列表とともに出願されている。配列表は、2019年6月10日に作成されたA-2262-WO-PCT_SeqList_061019_ST25.txtという名称のファイル(サイズは、16kbである)として提供される。電子フォーマットの配列表における情報は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、KRAS G12Cタンパク質を阻害する化合物、その化合物を使用してがんなどの疾患又は病態を処置する方法及びその化合物を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
KRAS遺伝子変異は、膵がん、肺腺がん、大腸がん、胆嚢がん、甲状腺がん及び胆管がんにおいてよく見られる。KRAS変異は、NSCLCの患者の約25%でも観察され、幾つかの研究は、KRAS変異がNSCLCの患者の負の予後因子であることを示している。最近、V-Ki-ras2 Kirstenラット肉腫ウイルスのがん遺伝子相同体(KRAS)変異は、大腸がんにおける上皮増殖因子受容体(EGFR)標的治療に対する耐性を付与することが見出されており、したがって、KRASの変異状態は、TKI治療の処方前に重要な情報を提供することができる。総合すると、膵がん、肺腺がん又は大腸がんを有する患者、特にKRAS変異を特徴とするこのようながんを有すると診断された患者及び化学療法後に進行した患者を含む患者のための新しい医学的処置の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示される化合物は、薬学的に許容される塩の形態であり得る。提供される化合物は、本明細書に開示される化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬製剤に製剤化され得る。
【0005】
細胞中でKRAS G12Cを阻害する方法であって、細胞を、本明細書に開示される化合物又は組成物と接触させるステップを含む方法も提供される。さらに、対象におけるがんを処置する方法であって、対象に、治療有効量の、本明細書に開示される化合物又は組成物を投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、がんは、肺がん、膵がん又は大腸がんである。
【0006】
本発明の一態様において、本発明は、式(I)
【化1】
(式中、
E
1及びE
2は、それぞれ独立して、N又はCR
1であり;
【化2】
は、全ての原子にその通常の原子価を与えるために必要な単結合又は二重結合であり;
R
1は、独立して、H、ヒドロキシ、-C
1~6アルキル、-C
1~6ハロアルキル、-C
1~6アルコキシ、-NH-C
1~6アルキル、-N(C
1~4アルキル)
2、シアノ又はハロであり;
R
2は、ハロ、-C
1~6アルキル、-C
1~6ハロアルキル、-OR
2a、-N(R
2a)
2、-C
2~6アルケニル、-C
2~6アルキニル、-C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C
0~3アルキレン-C
6~14アリール又は-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロアリールであり、及び各R
2aは、独立して、H、-C
1~6アルキル、-C
1~6ハロアルキル、-C
3~14シクロアルキル、-C
2~14ヘテロシクロアルキル、-C
2~6アルケニル、-C
2~6アルキニル、アリール若しくはヘテロアリールであるか、又は2つのR
2a置換基は、それらが結合されている窒素原子と一緒に3~7員環を形成し;
R
3は、ハロ、-C
1~6アルキル、-C
1~6ハロアルキル、-C
1~6アルコキシ、C
3~6シクロアルキル、-C
2~14ヘテロシクロアルキル、-C
2~6アルケニル、-C
2~6アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり;
R
4は、
【化3】
であり;
環Aは、単環式4~7員環又は二環式の、架橋された、縮合された若しくはスピロの6~11員環であり;
Lは、結合、-C
1~6アルキレン、-O-C
0~6アルキレン、-S-C
0~6アルキレン又は-NH-C
0~6アルキレンであり、及び-C
2~6アルキレン、-O-C
2~6アルキレン、-S-C
2~6アルキレン及びNH-C
2~6アルキレンについて、アルキレン基の1つの炭素原子は、O、S又はNHで任意選択により置換され得;
R
4aは、H、C
1~6アルキル、C
2~6アルキニル、C
1~6アルキレン-O-C
1~4アルキル、C
1~6アルキレン-OH、C
1~6ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C
0~3アルキレン-C
6~14アリールであるか、又は
【化4】
から選択され;
R
5及びR
6は、それぞれ独立して、H、ハロ、-C
1~6アルキル、-C
2~6アルキニル、-C
1~6アルキレン-O-C
1~4アルキル、-C
1~6アルキレン-OH、-C
1~6ハロアルキル、-C
1~6アルキレンアミン、-C
0~6アルキレン-アミド、-C
0~3アルキレン-C(O)OH、-C
0~3アルキレン-C(O)OC
1~4アルキル、-C
1~6アルキレン-O-アリール、-C
0~3アルキレン-C(O)C
1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、-C
0~3アルキレン-C
6~14アリール、-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロアリール若しくはシアノであるか、又はR
5及びR
6は、それらが結合されている原子と一緒に4~6員環を形成し;
R
7は、H若しくはC
1~6アルキルであるか、又はR
7及びR
5は、それらが結合されている原子と一緒に4~6員環を形成し;
R
8は、H、-C
1~6アルキル、-C
0~3アルキレン-C
6~14アリール、-C
0~3アルキレン-C
3~14ヘテロアリール、-C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、-C
1~6アルコキシ、-O-C
0~3アルキレン-C
6~14アリール、-O-C
0~3アルキレン-C
3~14ヘテロアリール、-O-C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、-O-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、-NH-C
1~8アルキル、-N(C
1~8アルキル)
2、-NH-C
0~3アルキレン-C
6~14アリール、-NH-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロアリール、-NH-C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、-NH-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、ハロ、シアノ又はC
1~6アルキレン-アミンであり;
R
2、R
2a、R
3、R
4、R
4a、R
5、R
6、R
7及びR
8置換基のいずれかのヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N又はSから独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのヘテロ原子を有し、シクロアルキル、スピロシクロアルキル、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含み得、さらに、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O又はSO
2を含み得;
R
1、R
2、R
2a、R
3、R
4、R
4a、L、R
5、R
6、R
7及びR
8置換基のいずれかの-C
1~6アルキル、-C
2~6アルケニル、-C
2~6アルキニル及び-OC
1~6アルキルは、非置換であるか、或いはOH、-OC
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-O-C
1~6アルキル、ハロ、-O-ハロC
1~6アルキル、-CN、-NR
aR
b、-(NR
aR
bR
c)
n、-OSO
2R
a、-SO
2R
a、-(CH
2CH
2O)
nCH
3、-(=O)、-C(=O)、-C(=O)R
a、-OC(=O)R
a、-C(=O)OR
a、-C(=O)NR
aR
b、-O-SiR
aR
bR
c、-SiR
aR
bR
c、-O-(3~10員のヘテロシクロアルキル)、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、5~12員のスピロシクロアルキル若しくはスピロヘテロシクロアルキル、3~12員のシクロアルケニル、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基から独立して選択される1つ、2つ又は3つのR
9置換基によって置換されており、ヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N又はSから独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのヘテロ原子を有し、シクロアルキル、スピロシクロアルキル、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含み得、さらに、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O又はSO
2を含み得;
R
1、R
2、R
2a、R
3、R
4、R
4a、R
5、R
6、R
7、R
8及びR
9置換基のいずれかのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、或いはOH、ハロ、-NR
cR
d、-C
1~6アルキル、-OC
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-OH、-C
1~6アルキル-O-C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、-O-ハロC
1~6アルキル、-SO
2R
c、-CN、-C(=O)NR
cR
d、-C(=O)R
c、-OC(=O)R
a、-C(=O)OR
c、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、5~12員のスピロシクロアルキル若しくはスピロヘテロシクロアルキル、3~12員のシクロアルケニル、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基から独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのR
10置換基で置換され得、R
10のヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N又はSから独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのヘテロ原子を有し、R
10のシクロアルキル、スピロシクロアルキル及びスピロヘテロシクロアルキル基又はR
10のヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含み得、さらに、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O又はSO
2を含み得;
各R
a、R
b、R
c及びR
dは、独立して、水素、OH、-C
1~6アルキル、-(CH
2CH
2O)
nCH
3、-NR
11R
11、-C
1~6アルキル-NR
11R
11、フェニル、-C
1~6アルキル-C(=O)OH、-C
1~6アルキル-C(=O)-O-C
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-3~12員のシクロアルキル、-C
1~6アルキル-3~12員のヘテロシクロアルキル、-C
1~6アルキル-6~12員のヘテロアリール、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基であり、R
a、R
b、R
c及びR
dのヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基又はR
a、R
b、R
c及びR
dの-C
1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、O、N又はSから独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのヘテロ原子を有し、R
a、R
b、R
c及びR
dのシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにR
a、R
b、R
c及びR
dの-C
1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、二重結合を含み得、さらに、R
a、R
b、R
c及びR
dのシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにR
a、R
b、R
c及びR
dの-C
1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含有し得;及び
R
a、R
b、R
c及びR
dのアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル基又はR
a、R
b、R
c及びR
dの-C
1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、又は1つ、2つ、3つ若しくは4つのR
12置換基で置換され得、各R
12は、H、OH、ハロ、-C
1~6アルキル、N(CH
3)
2、-C
1~6ハロアルキル、C(=O)CH
3、C(=O)OCH
3又は-C
1~6アルキル-O-C
1~6アルキルから独立して選択される)
の構造を有する化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩を提供する。
【0007】
本発明の別の態様において、本発明は、式(Ia)
【化5】
の構造を有する化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩を含む。
【0008】
本発明の一態様は、下記の実施形態に記載されているように、種々の化合物、立体異性体、アトロプ異性体、薬学的に許容される塩、立体異性体の薬学的に許容される塩及びアトロプ異性体の薬学的に許容される塩を提供する。
【0009】
本発明の別の態様は、実施形態のいずれかの化合物又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0010】
本発明の別の態様は、がんを処置する方法を提供する。そのような方法は、それを必要とする患者に、治療有効量の、実施形態のいずれかの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む。そのような一部の方法において、がんは、血液の悪性腫瘍である。そのような一部の方法において、がんは、乳がん、大腸がん、皮膚がん、黒色腫、卵巣がん、腎がん、肺がん、非小細胞肺がん、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、白血病及び急性骨髄性白血病からなる群から選択される。そのような他の一部の方法において、がんは、多発性骨髄腫である。そのような他の一部の方法において、がんは、急性骨髄性白血病である。そのような他の一部の方法において、がんは、非ホジキンリンパ腫である。
【0011】
別の態様において、本方法は、それを必要とする患者に、治療有効量の1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物を投与するステップをさらに含む。例えば、そのような一部の方法において、1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物は、カルフィルゾミブである。他のそのような方法において、1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物は、ベネトクラクスである。さらに他のそのような方法において、1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物は、シタラビンである。さらに他のそのような方法において、1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物は、ダラツムマブである。さらに他のそのような方法において、1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物は、MCl-1阻害剤である。さらに他のそのような方法において、MCl-1阻害剤は、AMG-176である。さらに他のそのような方法において、1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物は、免疫調節剤(IMiD)である。
【0012】
他に定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって広く理解されている意味と同じ意味を有する。方法及び材料は、本開示での使用のために本明細書に記載されており、当技術分野において公知の他の好適な方法及び材料も使用することができる。材料、方法及び実施例は、例示に過ぎず、限定を意図するものではない。本明細書に記載されている全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリー及び他の参考文献は、その全体が参照により援用される。矛盾がある場合、定義を含む本明細書が優先される。
【0013】
本開示の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
本発明の説明に関連して(特に特許請求の範囲に関連して)、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その」という用語及び類似の指示対象の使用は、別段の指示がない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書中に別段の指示がない限り、その範囲内に入る別個の各値に個別に言及する簡潔な方法としての役割を果たすことを意図しているに過ぎず、別個の各値は、あたかも個別に本明細書に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書で提供されるあらゆる例又は例示的表現(例えば、「など」)の使用は、本発明をよりよく説明することを意図し、別段の主張がない限り、本発明の範囲に対する限定ではない。本明細書のいかなる表現も、いかなる特許請求されていない要素も本発明の実施に不可欠のものとして示していると解釈されるべきではない。
【0019】
本明細書で使用する場合、「アルキル」という用語は、直鎖状及び分枝状のC1~C8炭化水素基を指し、以下に限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル及び2-エチルブチルを含む。Cm~nという用語は、アルキル基が「m」~「n」個の炭素原子を有することを意味する。「アルキレン」という用語は、置換基を有するアルキル基を指す。アルキル(例えば、メチル)又はアルキレン(例えば、-CH2-)基は、独立して選択される、例えばハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、アルキルアミノ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-NC、アミノ、-CO2H、-CO2C1~C6アルキル、-OCOC1~C6アルキル、C3~C10シクロアルキル、C3~C10ヘテロシクロアルキル、C5~C10アリール及びC5~C10ヘテロアリールの1つ又は複数、典型的には1~3つで置換することができる。「ハロアルキル」という用語は、特に、アルキル基の少なくとも1つ、例えば1~6つ又は全ての水素がハロ原子で置換されているアルキル基を指す。
【0020】
「アルケニル」及び「アルキニル」という用語は、それぞれ二重結合又は三重結合をさらに含むアルキル基を示す。
【0021】
本明細書で使用する場合、「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。「アルコキシ」という用語は、-ORと定義され、Rは、アルキルである。
【0022】
本明細書で使用する場合、「アミノ」又は「アミン」という用語は、互換的に-NR
2基を指し、各Rは、例えば、H又は置換基である。一部の実施形態では、アミノ基は、さらに置換されて、アンモニウムイオン、例えばNR
3
+を形成する。アンモニウム部分は、特に「アミノ」又は「アミン」の定義に含まれる。置換基は、例えば、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミド又はカルボキシレートであり得る。R基は、例えば、ハロ、シアノ、アルケニル、アルキニル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、尿素、カルボニル、カルボキシレート、アミン及びアミドから選択される1つ又は複数、例えば1~4つの基でさらに置換され得る。「アミド(amide)」又は「アミド(amido)」基は、アミン又はアミノ基に類似の基を互換的に指すが、C(O)、例えば-C(O)NR
2をさらに含む。幾つかの考えられるアミノ基又はアミド基(幾つかは、任意選択のアルキレン基を有し、例えばアルキレン-アミノ又はアルキレン-アミドである)は、CH
2NH
2、CH(CH
3)NH
2、CH(CH
3)
2NH
2、CH
2CH
2NH
2、CH
2CH
2N(CH
3)
2、CH
2NHCH
3、C(O)NHCH
3、C(O)N(CH
3)
2、CH
2C(O)NHフェニル、CH
2NHC(O)CH
3、CH
2NHCH
2CH
2OH、CH
2NHCH
2CO
2H、CH
2NH(CH
3)CH
2CO
2CH
3、CH
2NHCH
2CH
2OCH
3、CH
2NH(CH
3)CH
2CH
2OCH
3、CH
2NH(CH
3)CH
2C(O)N(CH
3)
2、CH
2NH(CH
3)CH
2C(O)NHCH
3、CH
2CH
2CCH、CH
2NMe
2、CH
2NH(CH
3)CH
2CH
2OH、CH
2NH(CH
3)CH
2CH
2F、CH
2N
+(CH
3)
3、CH
2NHCH
2CHF
2、CH
2NHCH
2CH
3、
【化6】
を含む。
【0023】
集合的に、抗体は、免疫グロブリンとして知られる血漿タンパク質のファミリーを形成し、免疫グロブリンドメインを含む。(Janeway et al.,Immunobiology:The Immune System in Health and Disease,4thed.,Elsevier Science Ltd./Garland Publishing,1999)。本明細書で使用する場合、「抗体」という用語は、重鎖及び軽鎖を含み、且つ可変領域及び定常領域を含む、従来の免疫グロブリン型を有するタンパク質を指す。例えば、抗体は、同一のポリペプチド鎖の対が2つある「Y字型」構造であり、各対が1つの「軽」鎖(通常、分子量が約25kDaである)及び1つの「重」鎖(通常、分子量が約50~70kDaである)を有する、IgGであり得る。抗体は、可変領域及び定常領域を有する。IgG型において、可変領域は、一般に、約100~110又はそれを超えるアミノ酸であり、3つの相補性決定領域(CDR)を含み、主に抗原認識に関与し、異なる抗原に結合する他の抗体と実質的に異なる。定常領域は、抗体が免疫系の細胞及び分子を動員することを可能にする。可変領域は、各軽鎖及び重鎖のN末端領域からできており、定常領域は、重鎖及び軽鎖のそれぞれのC末端部分からできている。(Janeway et al.,“Structure of the Antibody Molecule and the Immunoglobulin Genes”,Immunobiology:The Immune System in Health and Disease,4thed.Elsevier Science Ltd./Garland Publishing,(1999))。
【0024】
抗体のCDRの一般的な構造及び性質が当技術分野において記述されている。手短に言えば、抗体の骨格において、CDRは、重鎖及び軽鎖の可変領域中のフレームワーク内に埋め込まれており、そこで抗原結合及び抗原認識に大きい役割を果たす領域を構成している。可変領域は、通常、少なくとも3つの重鎖又は軽鎖のCDRを含み(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Public Health Service N.I.H.,Bethesda,Md.;Chothia and Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901-917;Chothia et al.,1989,Nature 342:877-883も参照されたい)、それらは、フレームワーク領域(Kabat et al.,1991によってフレームワーク領域1~4、FR1、FR2、FR3及びFR4と呼ばれている;Chothia and Lesk,1987、前掲も参照されたい)内にある。
【0025】
抗体は、当技術分野において公知のいずれの定常領域も含み得る。ヒト軽鎖は、カッパ軽鎖及びラムダ軽鎖に分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ又はイプシロンに分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA及びIgEと定義する。IgGは、以下に限定されないが、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含む幾つかのサブクラスを有する。IgMは、以下に限定されないが、IgM1及びIgM2を含むサブクラスを有する。本開示の実施形態は、抗体のそのようなクラス又はアイソタイプの全てを含む。軽鎖定常領域は、例えば、カッパ型又はラムダ型軽鎖定常領域、例えばヒトカッパ型又はラムダ型軽鎖定常領域であり得る。重鎖定常領域は、例えば、アルファ型、デルタ型、イプシロン型、ガンマ型又はミュー型重鎖定常領域、例えばヒトアルファ型、デルタ型、イプシロン型、ガンマ型又はミュー型重鎖定常領域であり得る。したがって、例示的な実施形態では、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のいずれか1つを含むアイソタイプIgA、IgD、IgE、IgG又はIgMの抗体である。
【0026】
抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であり得る。一部の実施形態では、抗体は、哺乳動物、例えばマウス、ウサギ、ヤギ、ウマ、ニワトリ、ハムスター及びヒトなどによって産生される天然抗体に実質的に類似する配列を含む。この点において、抗体は、哺乳動物抗体、例えばマウス抗体、ウサギ抗体、ヤギ抗体、ウマ抗体、ニワトリ抗体、ハムスター抗体及びヒト抗体などと考えることができる。特定の態様において、抗体は、ヒト抗体である。特定の態様において、抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体である。「キメラ抗体」という用語は、2つ以上の異なる抗体由来のドメインを含有する抗体を指す。キメラ抗体は、例えば、1つの種由来の定常ドメイン及び第2の種由来の可変ドメインを含有することができるか、又はより一般的に少なくとも2つの種由来のアミノ酸配列のストレッチを含有することができる。キメラ抗体は、同じ種内の2つ以上の異なる抗体のドメインを含有することもできる。「ヒト化」という用語は、抗体に関して使用する場合、本来の源の抗体より真のヒト抗体に類似した構造及び免疫機能を有するように操作されている、非ヒト源由来の少なくともCDR領域を有する抗体を指す。例えば、ヒト化は、マウス抗体などの非ヒト抗体からヒト抗体へのCDRの移植を含むことができる。ヒト化は、非ヒト配列をヒト配列にさらに類似させるために選択アミノ酸置換も含むことができる。
【0027】
抗体は、例えば、パパイン及びペプシンなどの酵素により切断してフラグメントにすることができる。パパインは、抗体を切断して、2つのFabフラグメント及び単一のFcフラグメントを産生する。ペプシンは、抗体を切断して、F(ab’)2フラグメント及びpFc’フラグメントを産生する。本明細書で使用する場合、「抗原結合性抗体フラグメント」という用語は、抗体の抗原に結合することができる抗体分子の部分を指し、「抗原結合性フラグメント」又は「抗原結合性部分」としても知られている。例示的な例では、抗原結合性抗体フラグメントは、Fabフラグメント又はF(ab’)2フラグメントである。
【0028】
抗体の構造は、広い範囲の代替形式を作り出すために利用されており、その代替形式は、少なくとも約12~150kDaの分子量範囲にわたり、単量体(n=1)~二量体(n=2)、三量体(n=3)、四量体(n=4)及び潜在的にさらに高い結合価(n)範囲を有し、このような代替形式は、本明細書では「抗体タンパク質生成物」と呼ばれる。抗体タンパク質生成物には、完全な抗体構造に基づくもの及び完全な抗原結合能を保持する抗体フラグメントを模倣するもの、例えばscFv、Fab及びVHH/VH(以下に考察する)が含まれる。完全な抗原結合性部位を保持する最小の抗原結合性抗体フラグメントは、専ら可変(V)領域からなるFvフラグメントである。可溶性で柔軟なアミノ酸ペプチドリンカーを使用してV領域をscFv(一本鎖フラグメント可変)フラグメントに連結させて、分子を安定化させるか、又は定常(C)ドメインをV領域に加えて、Fabフラグメント[フラグメント、抗原結合性]を生成する。scFvフラグメント及びFabフラグメントの両方は、宿主細胞、例えば原核生物宿主細胞中で容易に産生することができる。他の抗体タンパク質生成物には、ジスルフィド結合安定化scFv(ds-scFv)、一本鎖Fab(scFab)並びにオリゴマー化ドメインに連結されたscFvからなる異なる形式を含む、ダイアボディ、トリアボディ及びテトラボディ又はミニボディ(ミニAb)のような二量体及び多量体抗体形式が含まれる。最小のフラグメントは、ラクダ類重鎖Ab及び単一ドメインAb(sdAb)のVHH/VHである。新規な抗体形式を作製するために最も頻繁に使用される構築ブロックは、約15アミノ酸残基のペプチドリンカーによって連結された重鎖及び軽鎖(VH及びVLドメイン)由来のVドメインを含む一本鎖可変(V)-ドメイン抗体フラグメント(scFv)である。ペプチボディ又はペプチド-Fc融合体は、さらに別の抗体タンパク質生成物である。ペプチボディの構造は、Fcドメインに移植された生物学的に活性なペプチドからなる。ペプチボディは、当技術分野において詳細に記述されている。例えば、Shimamoto et al.,mAbs 4(5):586-591(2012)を参照されたい。
【0029】
他の抗体タンパク質生成物としては、一本鎖抗体(SCA)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ及び二重特異性抗体又は三重特異性抗体などが挙げられる。二重特異性抗体は、5つの主要なクラス:BsIgG、付加IgG、BsAbフラグメント、二重特異性融合タンパク質及びBsAbコンジュゲートに分類することができる。例えば、Spiess et al.,Molecular Immunology 67(2)Part A:97-106(2015)を参照されたい。
【0030】
本明細書で使用する場合、「アリール」という用語は、C6~14単環式若しくは多環式の芳香族基、好ましくはC6~10単環式若しくは二環式の芳香族基又はC10~14多環式芳香族基を指す。アリール基の例としては、以下に限定されないが、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル及びテルフェニルが挙げられる。アリールは、1つの環が芳香族であり、他の環が飽和、部分的に不飽和又は芳香族である、C10~14二環式及び三環式の炭素環、例えばジヒドロナフチル、インデニル、インダニル又はテトラヒドロナフチル(テトラリニル)も指す。別段の指示がない限り、アリール基は、非置換であるか、又は例えばハロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-CF3、-OCF3、-NO2、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-CO2H、-CO2C1~C6アルキル、-OCOC1~C6アルキル、C3~C10シクロアルキル、C3~C10ヘテロシクロアルキル、C5~C10アリール及びC5~C10ヘテロアリールから独立して選択される1つ若しくは複数、特に1~4つの基で置換され得る。
【0031】
本明細書で使用する場合、「シクロアルキル」という用語は、単環式又は多環式の非芳香族炭素環式環を指し、多環式環は、縮合、架橋又はスピロであり得る。炭素環式環は、3~10の炭素環原子を有することができる。考えられる炭素環式環としては、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル及びシクロノニルが挙げられる。
【0032】
本明細書で使用する場合、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、合計で3つ以上(例えば、3~12、4~10、4~8つ又は5~7つ)の原子を含有し、その1~5つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ)の原子が窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される、単環式又は多環式の(例えば、二環式の)、飽和又は部分的に不飽和の環系を意味する。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例としては、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジヒドロピロリル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロピリジニル、オキサシクロヘプチル、ジオキサシクロヘプチル、チアシクロヘプチル及びジアザシクロヘプチルが挙げられる。
【0033】
別段の指示がない限り、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、又は1つ若しくは複数、特に1~4つの基で置換され得る。一部の考えられる置換基としては、ハロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-OCF3、-NO2、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-CO2H、-CO2C1~C6アルキル、-OCOC1~C8アルキル、C3~C10シクロアルキル、C3~C10ヘテロシクロアルキル、C5~C10アリール及びC5~C10ヘテロアリールが挙げられる。
【0034】
本明細書で使用する場合、「ヘテロアリール」という用語は、1~3つの芳香環を含有し、窒素、酸素及び硫黄から選択される1~4つ(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つ)のヘテロ原子を芳香環中に含有する、単環式又は多環式の環系(例えば、二環式)を指す。特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、5~20、5~15、5~10又は5~7つの原子を有する。ヘテロアリールは、1つの環が芳香族であり、他の環が飽和、部分的に不飽和又は芳香族である、C10~14二環式環及び三環式環も指す。ヘテロアリール基の例としては、以下に限定されないが、フラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラゾリル、トリアジニル、トリアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フロピリジル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インドリジニル、インドリル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサゾロピリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピリドピリジル、ピロロピリジル、キノリニル、キノキサリニル、キアゾリニル、チアジアゾロピリミジル及びチエノピリジルが挙げられる。別段の指示がない限り、ヘテロアリール基は、非置換であるか、或いは1つ又は複数、特に1~4つ又は1つ若しくは2つの置換基で置換され得る。考えられる置換基としては、ハロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、-OCF3、-NO2、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-CO2H、-CO2C1~C6アルキル、-OCOC1~C6アルキル、C3~C10シクロアルキル、C3~C10ヘテロシクロアルキル、C5~C10アリール及びC5~C10ヘテロアリールが挙げられる。
【0035】
本明細書で使用する場合、Bocという用語は、
【化7】
の構造を指す。
【0036】
本明細書で使用する場合、Cbzという用語は、
【化8】
の構造を指す。
【0037】
本明細書で使用する場合、Bnという用語は、
【化9】
の構造を指す。
【0038】
本明細書で使用する場合、トリフルオロアセトアミドという用語は、
【化10】
の構造を指す。
【0039】
本明細書で使用する場合、トリチルという用語は、
【化11】
の構造を指す。
【0040】
本明細書で使用する場合、トシルという用語は、
【化12】
の構造を指す。
【0041】
本明細書で使用する場合、Trocという用語は、
【化13】
の構造を指す。
【0042】
本明細書で使用する場合、Teocという用語は、
【化14】
の構造を指す。
【0043】
本明細書で使用する場合、Allocという用語は、
【化15】
の構造を指す。
【0044】
本明細書で使用する場合、Fmocという用語は、
【化16】
の構造を指す。
【0045】
本開示の化合物
本明細書に開示される化合物は、本明細書に開示される化合物の1つ又は複数の原子が、同じ原子番号を有するが、通常、天然に見出される原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換されている、全ての薬学的に許容される同位体標識化合物を含む。開示される化合物に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体、例えばそれぞれ2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I及び125Iが含まれる。これらの放射性標識化合物は、例えば、作用部位若しくは作用様式又は薬理学的に重要な作用部位に対する結合親和性を同定することにより、化合物の有効性の決定又は測定を促進するのに有用であろう。本開示の特定の同位体標識化合物、例えば放射性同位体を組み込んだものは、薬物及び/又は基質の組織内分布の試験に有用である。放射性同位体のトリチウム、即ち3H及び炭素-14、即ち14Cは、取り込みの容易さ及び検出手段の迅速さの観点から、この目的に特に有用である。
【0046】
重水素、即ち2Hなどのより重い同位体で置換すると、代謝安定性が高まることから生じる一定の治療上の利点(例えば、インビボ半減期の延長又は必要投与量の減少)を得ることができ、このため、一部の状況ではこの置換が好ましい。
【0047】
11C、18F、15O及び13Nのような陽電子放出同位体での置換は、基質の受容体占有率を調べるための陽電子放出断層撮像法(PET)試験において有用であり得る。構造(I)の同位体標識化合物は、一般に、当業者に公知の従来技術により、又は以前に使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、下記の調製及び実施例に記載されているものと類似の方法により調製することができる。
【0048】
本明細書に開示される同位体標識化合物は、一般に、当業者に公知の従来技術により、又は以前に使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、付帯の実施例及びスキームに記載されているものと類似の方法により調製することができる。
【0049】
本明細書に開示される化合物のあるものは、光学異性体及び配座異性体(又はコンフォーマー)を含む立体異性体(即ち原子の空間的配置のみが異なる異性体)として存在し得る。本明細書に開示される化合物は、両方が純粋な個々の立体異性体調製物及びそれぞれを多く含む調製物、並びに両方がそのような立体異性体のラセミ混合物、並びに当業者に公知の方法に従って分離され得る個々のジアステレオマー及びエナンチオマーとして、全ての立体異性体を含む。さらに、本明細書に開示される化合物は、それらの化合物の全ての互変異性型を含む。
【0050】
本明細書に開示される化合物のあるものは、分子の他の部分との立体相互作用の結果として、分子中の単結合の周りの回転が妨げられるか、又は非常に遅くされる場合に生じる、配座立体異性体であるアトロプ異性体として存在し得る。本明細書に開示される化合物は、両方が純粋な個々のアトロプ異性体調製物、それぞれを多く含む調製物又はそれぞれの不特定混合物として全てのアトロプ異性体を含む。単結合の周りの回転障壁が十分に高く、且つ立体配座間の相互変換が十分に遅い場合、異性体種の分離及び単離が可能である場合がある。例えば、これらに限定されないが、次のR
8基
【化17】
のような各基は、回転の制限を示す場合がある。
【0051】
実施形態
実施形態1
本発明の一実施形態では、本発明は、式(I)
【化18】
(式中、
E
1及びE
2は、それぞれ独立して、N又はCR
1であり;
【化19】
は、全ての原子にその通常の原子価を与えるために必要な単結合又は二重結合であり;
R
1は、独立して、H、ヒドロキシ、-C
1~6アルキル、-C
1~6ハロアルキル、-C
1~6アルコキシ、-NH-C
1~6アルキル、-N(C
1~4アルキル)
2、シアノ又はハロであり;
R
2は、ハロ、-C
1~6アルキル、-C
1~6ハロアルキル、-OR
2a、-N(R
2a)
2、-C
2~6アルケニル、-C
2~6アルキニル、-C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C
0~3アルキレン-C
6~14アリール又は-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロアリールであり、及び各R
2aは、独立して、H、-C
1~6アルキル、-C
1~6ハロアルキル、-C
3~14シクロアルキル、-C
2~14ヘテロシクロアルキル、-C
2~6アルケニル、-C
2~6アルキニル、アリール若しくはヘテロアリールであるか、又は2つのR
2a置換基は、それらが結合されている窒素原子と一緒に3~7員環を形成し;
R
3は、ハロ、-C
1~6アルキル、-C
1~6ハロアルキル、-C
1~6アルコキシ、C
3~6シクロアルキル、-C
2~14ヘテロシクロアルキル、-C
2~6アルケニル、-C
2~6アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり;
R
4は、
【化20】
であり;
環Aは、単環式4~7員環又は二環式の、架橋された、縮合された若しくはスピロの6~11員環であり;
Lは、結合、-C
1~6アルキレン、-O-C
0~6アルキレン、-S-C
0~6アルキレン又は-NH-C
0~6アルキレンであり、及び-C
2~6アルキレン、-O-C
2~6アルキレン、-S-C
2~6アルキレン及びNH-C
2~6アルキレンについて、アルキレン基の1つの炭素原子は、O、S又はNHで任意選択により置換され得;
R
4aは、H、C
1~6アルキル、C
2~6アルキニル、C
1~6アルキレン-O-C
1~4アルキル、C
1~6アルキレン-OH、C
1~6ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C
0~3アルキレン-C
6~14アリールであるか、又は
【化21】
から選択され;
R
5及びR
6は、それぞれ独立して、H、ハロ、-C
1~6アルキル、-C
2~6アルキニル、-C
1~6アルキレン-O-C
1~4アルキル、-C
1~6アルキレン-OH、-C
1~6ハロアルキル、-C
1~6アルキレンアミン、-C
0~6アルキレン-アミド、-C
0~3アルキレン-C(O)OH、-C
0~3アルキレン-C(O)OC
1~4アルキル、-C
1~6アルキレン-O-アリール、-C
0~3アルキレン-C(O)C
1~4アルキレン-OH、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、-C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、-C
0~3アルキレン-C
6~14アリール、-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロアリール若しくはシアノであるか、又はR
5及びR
6は、それらが結合されている原子と一緒に4~6員環を形成し;
R
7は、H若しくはC
1~6アルキルであるか、又はR
7及びR
5は、それらが結合されている原子と一緒に4~6員環を形成し;
R
8は、H、-C
1~6アルキル、-C
0~3アルキレン-C
6~14アリール、-C
0~3アルキレン-C
3~14ヘテロアリール、-C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、-C
1~6アルコキシ、-O-C
0~3アルキレン-C
6~14アリール、-O-C
0~3アルキレン-C
3~14ヘテロアリール、-O-C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、-O-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、-NH-C
1~8アルキル、-N(C
1~8アルキル)
2、-NH-C
0~3アルキレン-C
6~14アリール、-NH-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロアリール、-NH-C
0~3アルキレン-C
3~14シクロアルキル、-NH-C
0~3アルキレン-C
2~14ヘテロシクロアルキル、ハロ、シアノ又はC
1~6アルキレン-アミンであり;
R
2、R
2a、R
3、R
4、R
4a、R
5、R
6、R
7及びR
8置換基のいずれかのヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N又はSから独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのヘテロ原子を有し、シクロアルキル、スピロシクロアルキル、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含み得、さらに、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O又はSO
2を含み得;
R
1、R
2、R
2a、R
3、R
4、R
4a、L、R
5、R
6、R
7及びR
8置換基のいずれかの-C
1~6アルキル、-C
2~6アルケニル、-C
2~6アルキニル及び-OC
1~6アルキルは、非置換であるか、或いはOH、-OC
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-O-C
1~6アルキル、ハロ、-O-ハロC
1~6アルキル、-CN、-NR
aR
b、-(NR
aR
bR
c)
n、-OSO
2R
a、-SO
2R
a、-(CH
2CH
2O)
nCH
3、-(=O)、-C(=O)、-C(=O)R
a、-OC(=O)R
a、-C(=O)OR
a、-C(=O)NR
aR
b、-O-SiR
aR
bR
c、-SiR
aR
bR
c、-O-(3~10員のヘテロシクロアルキル)、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、5~12員のスピロシクロアルキル若しくはスピロヘテロシクロアルキル、3~12員のシクロアルケニル、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基から独立して選択される1つ、2つ又は3つのR
9置換基によって置換されており、ヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N又はSから独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのヘテロ原子を有し、シクロアルキル、スピロシクロアルキル、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含み得、さらに、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O又はSO
2を含み得;
R
1、R
2、R
2a、R
3、R
4、R
4a、R
5、R
6、R
7、R
8及びR
9置換基のいずれかのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、或いはOH、ハロ、-NR
cR
d、-C
1~6アルキル、-OC
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-OH、-C
1~6アルキル-O-C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、-O-ハロC
1~6アルキル、-SO
2R
c、-CN、-C(=O)NR
cR
d、-C(=O)R
c、-OC(=O)R
a、-C(=O)OR
c、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、5~12員のスピロシクロアルキル若しくはスピロヘテロシクロアルキル、3~12員のシクロアルケニル、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基から独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのR
10置換基で置換され得、R
10のヘテロアリール、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、O、N又はSから独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのヘテロ原子を有し、R
10のシクロアルキル、スピロシクロアルキル及びスピロヘテロシクロアルキル基又はR
10のヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含み得、さらに、スピロヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、S=O又はSO
2を含み得;
各R
a、R
b、R
c及びR
dは、独立して、水素、OH、-C
1~6アルキル、-(CH
2CH
2O)
nCH
3、-NR
11R
11、-C
1~6アルキル-NR
11R
11、フェニル、-C
1~6アルキル-C(=O)OH、-C
1~6アルキル-C(=O)-O-C
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-3~12員のシクロアルキル、-C
1~6アルキル-3~12員のヘテロシクロアルキル、-C
1~6アルキル-6~12員のヘテロアリール、6~12員のアリール若しくはヘテロアリール、3~12員の単環式若しくは二環式のシクロアルキル又は3~12員の単環式若しくは二環式のヘテロシクロアルキル基であり、R
a、R
b、R
c及びR
dのヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基又はR
a、R
b、R
c及びR
dの-C
1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、O、N又はSから独立して選択される1つ、2つ、3つ又は4つのヘテロ原子を有し、R
a、R
b、R
c及びR
dのシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにR
a、R
b、R
c及びR
dの-C
1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、二重結合を含み得、さらに、R
a、R
b、R
c及びR
dのシクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基並びにR
a、R
b、R
c及びR
dの-C
1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、C=O基を含有し得;及び
R
a、R
b、R
c及びR
dのアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル基又はR
a、R
b、R
c及びR
dの-C
1~6アルキル-ヘテロシクロアルキル基のヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、又は1つ、2つ、3つ若しくは4つのR
12置換基で置換され得、各R
12は、H、OH、ハロ、-C
1~6アルキル、N(CH
3)
2、-C
1~6ハロアルキル、C(=O)CH
3、-C(=O)OCH
3又は-C
1~6アルキル-O-C
1~6アルキルから独立して選択される)
の構造を有する化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩を含む。
【0052】
実施形態2
本発明の別の実施形態では、本発明は、式(Ia)
【化22】
の構造を有する、実施形態1に記載の化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩を含む。
【0053】
実施形態3
本発明の別の実施形態では、本発明は、E1がNである、実施形態1に記載の化合物を含む。
【0054】
実施形態4
本発明の別の実施形態では、本発明は、E2がCR1である、実施形態1に記載の化合物を含む。
【0055】
実施形態5
本発明の別の実施形態では、本発明は、R1がHである、実施形態4に記載の化合物を含む。
【0056】
実施形態7
本発明の別の実施形態では、本発明は、R2が、置換されているアリールである、実施形態6に記載の化合物を含む。
【0057】
実施形態8
本発明の別の実施形態では、本発明は、R2がフッ化フェニルである、実施形態6に記載の化合物を含む。
【0058】
実施形態9
本発明の別の実施形態では、本発明は、R2がClである、実施形態6に記載の化合物を含む。
【0059】
実施形態10
本発明の別の実施形態では、本発明は、R
2が、
【化23】
である、実施形態6に記載の化合物を含む。
【0060】
実施形態11
本発明の別の実施形態では、本発明は、R
2が、
【化24】
である、実施形態6に記載の化合物を含む。
【0061】
実施形態12
本発明の別の実施形態では、本発明は、R3がハロである、実施形態1~11のいずれか一項に記載の化合物を含む。
【0062】
実施形態13
本発明の別の実施形態では、本発明は、R3がClである、実施形態12に記載の化合物を含む。
【0063】
実施形態14
本発明の別の実施形態では、本発明は、R3がFである、実施形態12に記載の化合物を含む。
【0064】
実施形態15
本発明の別の実施形態では、本発明は、R
4が、
【化25】
である、実施形態1~14のいずれか一項に記載の化合物を含む。
【0065】
実施形態16
本発明の別の実施形態では、本発明は、Lが結合である、実施形態15に記載の化合物を含む。
【0066】
実施形態17
本発明の別の実施形態では、本発明は、環Aが単環式4~7員環である、実施形態15に記載の化合物を含む。
【0067】
実施形態18
本発明の別の実施形態では、本発明は、Aが、非置換であるか又は置換されている複素環である、実施形態17に記載の化合物を含む。
【0068】
実施形態19
本発明の別の実施形態では、本発明は、R
4が、
【化26】
からなる群から選択される、実施形態1~18のいずれか一項に記載の化合物を含む。
【0069】
実施形態20
本発明の別の実施形態では、本発明は、R
4が、
【化27】
である、実施形態19に記載の化合物を含む。
【0070】
実施形態21
本発明の別の実施形態では、本発明は、R
4が、
【化28】
である、実施形態19に記載の化合物を含む。
【0071】
実施形態22
本発明の別の実施形態では、本発明は、R
4が、
【化29】
である、実施形態19に記載の化合物を含む。
【0072】
実施形態23
本発明の別の実施形態では、本発明は、R8が-C0~3アルキレン-C6~14アリール又は-C0~3アルキレン-C3~14ヘテロアリールである、実施形態1~22のいずれか一項に記載の化合物を含む。
【0073】
実施形態24
本発明の別の実施形態では、本発明は、R8が-C3~14ヘテロアリールである、実施形態23に記載の化合物を含む。
【0074】
実施形態25
本発明の別の実施形態では、本発明は、R
8が、
【化30】
からなる群から選択される、実施形態23に記載の化合物を含む。
【0075】
実施形態26
本発明の別の実施形態では、本発明は、式:
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
から選択される構造を有する化合物又はその立体異性体、そのアトロプ異性体、その薬学的に許容される塩、その立体異性体の薬学的に許容される塩若しくはそのアトロプ異性体の薬学的に許容される塩を含む。
【0076】
実施形態27
本発明の別の実施形態では、本発明は、薬学的に許容される塩の形態にある、実施形態1~26のいずれか一項に記載の化合物を含む。
【0077】
実施形態28
本発明の別の実施形態では、本発明は、実施形態1~27のいずれか一項に記載の化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を含む。
【0078】
実施形態29
本発明の別の実施形態では、本発明は、細胞中でKRAS G12Cを阻害する方法であって、細胞を、実施形態1~27のいずれか一項に記載の化合物又は実施形態28に記載の組成物と接触させるステップを含む方法を含む。
【0079】
実施形態30
本発明の別の実施形態では、本発明は、対象におけるがんを処置する方法であって、対象に、治療有効量の、実施形態1~27のいずれか一項に記載の化合物又は実施形態28に記載の組成物を投与するステップを含む方法を含む。
【0080】
実施形態31
本発明の別の実施形態では、本発明は、がんが肺がん、膵がん又は大腸がんである、実施形態30に記載の方法を含む。
【0081】
実施形態32
本発明の別の実施形態では、本発明は、がんが肺がんである、実施形態31に記載の方法を含む。
【0082】
実施形態33
本発明の別の実施形態では、本発明は、がんが膵がんである、実施形態31に記載の方法を含む。
【0083】
実施形態34
本発明の別の実施形態では、本発明は、がんが大腸がんである、実施形態31に記載の方法を含む。
【0084】
実施形態35
本発明の別の実施形態では、本発明は、その方法を必要とする患者に、治療有効量の1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物を投与するステップをさらに含む、実施形態30に記載の方法を含む。
【0085】
実施形態36
本発明の別の実施形態では、本発明は、1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物が抗PD-1抗体である、実施形態35に記載の方法を含む。
【0086】
実施形態37
本発明の別の実施形態では、本発明は、抗PD-1抗体がペムブロリズマブである、実施形態36に記載の方法を含む。
【0087】
実施形態38
本発明の別の実施形態では、本発明は、抗PD-1抗体がニボルマブである、実施形態36に記載の方法を含む。
【0088】
実施形態39
本発明の別の実施形態では、本発明は、抗PD-1抗体がAMG404である、実施形態36に記載の方法を含む。
【0089】
実施形態40
本発明の別の実施形態では、本発明は、1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物がMEK阻害剤である、実施形態35に記載の方法を含む。
【0090】
実施形態41
本発明の別の実施形態では、本発明は、1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物がダラツムマブである、実施形態35に記載の方法を含む。
【0091】
実施形態42
本発明の別の実施形態では、本発明は、1つ又は複数の追加の薬学的に活性な化合物が免疫調節剤である、実施形態35に記載の方法を含む。
【0092】
実施形態43
本発明の別の実施形態では、本発明は、対象におけるがんを処置するための、実施形態1~27のいずれか一項に記載の化合物の使用を含む。
【0093】
実施形態44
本発明の別の実施形態では、本発明は、がんを処置するための医薬品の調製物中における、実施形態1~27のいずれか一項に記載の化合物を含む。
【0094】
実施形態45
本発明の別の実施形態では、本発明は、がんが非小細胞肺がんである、実施形態44に記載の化合物を含む。
【0095】
開示される化合物の合成
本明細書に開示される化合物は、複数の特定の方法によって合成することができる。特定の合成経路及び下記の包括的スキームの概要を示す実施例は、通常の技能を有する合成化学者に指針を提供することが意図されており、その合成化学者は、溶媒、濃度、試薬、保護基、合成ステップの順序、時間及び温度などが、十分に当業者の技能及び判断の範囲内において必要に応じて変更できることを容易に理解するであろう。
【0096】
医薬組成物、投与及び投与経路
また、本明細書において、本明細書に開示される化合物を例えば希釈剤又は担体などの薬学的に許容される賦形剤とともに含む医薬組成物も提供される。本発明における使用に好適な化合物及び医薬組成物は、化合物を、その意図された目的を達成するのに有効な量で投与することができるものを含む。化合物の投与は、以下でより詳細に記載される。
【0097】
好適な医薬製剤は、投与経路及び所望の投与量に応じて当業者が決定することができる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,1435-712(18th ed.,Mack Publishing Co,Easton,Pennsylvania,1990)を参照されたい。製剤は、投与された薬剤の物理的状態、安定性、インビボ放出速度及びインビボ排出速度に影響を及ぼす場合がある。投与経路に依存して、体重、体表面積又は器官サイズに従って好適な用量を算出することができる。適切な処置用量を決定するために必要な算出のさらなる精密化は、特に、本明細書に開示される投与量情報及びアッセイ並びに動物又はヒトの臨床試験で入手可能な薬物動態データに照らして、必要以上の実験を行うことなく当業者によって日常的に行われる。
【0098】
「薬学的に許容される」又は「薬理学的に許容される」という語句は、動物又はヒトに投与される場合、有害反応、アレルギー反応又は他の不利な反応を生じさせない分子的実体及び組成物を指す。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」は、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤並びに等張化剤及び吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質のためのそのような賦形剤の使用は、当技術分野において周知である。任意の従来の媒体又は作用剤が治療組成物と不適合でなければ、治療組成物におけるその使用が企図される。補助的な活性成分も組成物に組み入れることができる。例示的な実施形態では、製剤には、コーンシロップ固形剤、高オレインベニバナ油、ヤシ油、ダイズ油、L-ロイシン、リン酸三カルシウム、L-チロシン、L-プロリン、L-リシン酢酸塩、DATEM(乳化剤)、L-グルタミン、L-バリン、リン酸二カリウム、L-イソロイシン、L-アルギニン、L-アラニン、グリシン、L-アスパラギン一水和物、L-セリン、クエン酸カリウム、L-トレオニン、クエン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、L-ヒスチジン、L-メチオニン、アスコルビン酸、炭酸カルシウム、L-グルタミン酸、L-シスチン二塩酸塩、L-トリプトファン、L-アスパラギン酸、塩化コリン、タウリン、m-イノシトール、硫酸第一鉄、パルミチン酸アスコルビル、硫酸亜鉛、L-カルニチン、アルファ-トコフェリルアセテート、塩化ナトリウム、ナイアシンアミド、トコフェロール混合物、パントテン酸カルシウム、硫酸銅、チアミン塩化物塩酸塩、パルミチン酸ビタミンA、硫酸マンガン、リボフラビン、ピリドキシン塩酸塩、葉酸、ベータ-カロテン、ヨウ化カリウム、フィロキノン、ビオチン、セレン酸ナトリウム、塩化クロム、モリブデン酸ナトリウム、ビタミンD3及びシアノコバラミンを含めることができる。
【0099】
化合物は、薬学的に許容される塩として医薬組成物中に存在することができる。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」は、例えば、塩基付加塩及び酸付加塩を含む。
【0100】
薬学的に許容される塩基付加塩は、金属又はアミン、例えばアルカリ金属及びアルカリ土類金属又は有機アミンとともに形成することができる。化合物の薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される陽イオンとともに調製することもできる。好適な薬学的に許容される陽イオンは、当業者に周知であり、アルカリ、アルカリ土類、アンモニウム及び第四級アンモニウムの各陽イオンを含む。炭酸塩又は炭酸水素塩も可能である。陽イオンとして使用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム、カルシウム又は鉄などである。好適なアミンの例としては、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン及びプロカインが挙げられる。
【0101】
薬学的に許容される酸付加塩には、無機酸塩又は有機酸塩が含まれる。好適な酸塩の例としては、塩酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、硝酸塩、リン酸塩が挙げられる。他の好適な薬学的に許容される塩は、当業者に周知であり、例えばギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸若しくはマンデル酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸又はリン酸との塩;有機カルボン酸、スルホン酸、スルホ酸若しくはホスホ酸若しくはN-置換スルファミン酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、エンボン酸、ニコチン酸又はイソニコチン酸との塩;及びアミノ酸、例えば天然のタンパク質の合成に関与する20のアルファアミノ酸、例えばグルタミン酸又はアスパラギン酸との塩並びにまたフェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン1,2-ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン2-スルホン酸、ナフタレン1,5-ジスルホン酸、2-若しくは3-ホスホグリセリン酸、グルコース6-リン酸、N-シクロヘキシルスルファミン酸(シクラメートの形成を伴う)との塩又はアスコルビン酸などの他の酸有機化合物との塩が挙げられる。
【0102】
本明細書に開示される化合物を含有する医薬組成物は、従来の方法において、例えば従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠形成、研和、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥の各プロセスによって製造することができる。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。
【0103】
経口投与では、好適な組成物は、本明細書に開示される化合物を、当技術分野において周知の担体などの薬学的に許容される賦形剤と組み合わせることによって容易に製剤化することができる。そのような賦形剤及び担体は、処置される患者による経口摂取のために、本化合物が錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤及び懸濁液剤などとして製剤化されることを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、本明細書に開示される化合物を固体賦形剤とともに添加すること、任意選択により、得られた混合物を粉砕すること、錠剤又は糖衣錠のコアを得るために、必要に応じて好適な助剤を加えた後、顆粒混合物を処理することにより得ることができる。好適な賦形剤としては、例えば、充填剤及びセルロース調製物が挙げられる。必要に応じて崩壊剤を加えることができる。薬学的に許容される成分は、様々なタイプの製剤についてよく知られており、例えば結合剤(例えば、天然又は合成のポリマー)、滑沢剤、界面活性剤、甘味剤及び香味剤、コーティング材料、保存剤、染料、増粘剤、補助剤、抗菌剤、抗酸化剤及び様々な製剤タイプのための担体であり得る。
【0104】
本明細書に開示される化合物の治療有効量が経口投与される場合、組成物は、典型的には、固体製剤(例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤又はトローチ剤)又は液体製剤(例えば、水性懸濁液剤、溶液剤、エリキシル剤又はシロップ剤)の形態である。
【0105】
錠剤形態で投与される場合、組成物は、ゼラチン又は補助剤などの機能性固体及び/又は固体担体をさらに含有することができる。錠剤、カプセル剤及び散剤は、約1~約95%の化合物、好ましくは約15~約90%の化合物を含有することができる。
【0106】
液体形態又は懸濁形態で投与される場合、水、石油又は動物起源若しくは植物起源の油などの機能性液体及び/又は液体担体を加えることができる。液体形態の組成物は、生理的食塩水、糖アルコール溶液、デキストロース若しくは他の糖類溶液又はグリコールをさらに含有することができる。液体形態又は懸濁形態で投与される場合、組成物は、約0.5~約90重量%の、本明細書に開示される化合物、好ましくは約1~約50%の、本明細書に開示される化合物を含有することができる。考えられる一実施形態では、液体担体は、非水性又は実質的に非水性である。液体形態での投与では、組成物は、投与の直前に溶解又は懸濁するための迅速溶解性固体製剤として供給され得る。
【0107】
本明細書に開示される化合物の治療有効量が静脈内、皮膚又は皮下の注射によって投与される場合、組成物は、パイロジェン不含の、非経口的に許容される水溶液の形態である。pH、等張性及び安定性などを十分に考慮したこのような非経口的に許容される溶液の調製は、当技術分野の技術の範囲内である。静脈内、皮膚又は皮下の注射のための好ましい組成物は、典型的には、本明細書に開示される化合物に加えて等張ビヒクルを含有する。そのような組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と好適に混合された遊離塩基又は薬理学的に許容される塩の水溶液として投与するために調製することができる。グリセロール中、液体ポリエチレングリコール中及びそれらの混合物中並びに油中において分散液を調製することもできる。通常の保存及び使用の条件下において、微生物の増殖を予防するために、これらの調製物は、任意選択により保存剤を含有することができる。
【0108】
注射用組成物には、滅菌の水溶液、懸濁液又は分散液及び滅菌の注射のための溶液、懸濁液又は分散液を即時調製するための滅菌の粉末を含めることができる。全ての実施形態において、この形態は、滅菌でなければならず、且つ容易な注射針通過性が存在する程度の流体でなければならない。この形態は、製造及び保管の条件下で安定していなければならず、任意選択により保存料を含めることにより、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対する抵抗性がなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物及び植物油を含有する溶媒又は分散媒であり得る。考えられる一実施形態では、担体は、非水性又は実質的に非水性である。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用、分散液の実施形態において必要とされる化合物の粒径の維持及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸及びチメロサールなどによって実現することができる。多くの実施形態において、等張化剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延する作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中に使用することによって実現することができる。
【0109】
滅菌の注射液は、必要に応じて上で列挙した種々の他の成分とともに活性化合物を必要量で適切な溶媒に組み入れ、続いて濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散液は、基本の分散媒体及び上で列挙した成分からの所望の他の成分を含有する滅菌のビヒクルに、滅菌した様々な活性成分を組み入れることによって調製される。滅菌の注射液を調製するための滅菌の粉末の実施形態では、好ましい調製方法は、活性成分に任意の追加の所望の成分を加えた粉末が、予め滅菌濾過したその溶液から得られる、真空乾燥技術及び凍結乾燥技術である。
【0110】
徐放性又は持続放出性製剤も、消化管内の体液と接触する活性化合物の制御放出を実現し、血漿中の活性化合物の実質的に一定で有効なレベルを提供するために調製することができる。例えば、放出は、溶解、拡散及びイオン交換の1つ又は複数によって制御することができる。さらに、徐放性の手法は、消化管内の可飽和経路又は制限経路を介した吸収を増強し得る。例えば、化合物は、この目的のために、生分解性ポリマー、水溶性ポリマー又は両方の混合物と、任意選択により好適な界面活性剤とのポリマーマトリックス中に埋め込むことができる。この場合、埋め込みとは、ポリマーのマトリックス中に微小粒子を組み込むことを意味することができる。制御放出製剤は、既知の分散液又はエマルションのコーティング技術を介する分散微小粒子又は乳化微小滴のカプセル化によっても得られる。
【0111】
吸入による投与では、本発明の化合物は、好適な噴射剤を使用して、加圧パック又はネブライザーからのエアゾールスプレー提供の形態で簡便に送達される。加圧エアゾールの実施形態では、投与量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定することができる。吸入器又は注入器で使用するための例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジは、化合物と、ラクトース又はデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含有するように製剤化することができる。
【0112】
本明細書で開示される化合物は、注射による(例えば、ボーラス注射又は持続注入による)非経口投与のために製剤化することができる。注射用製剤は、保存料を添加した単位剤形(例えば、アンプル又は多用量容器)で提供することができる。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルションのような形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤などの製剤化剤を含有することができる。
【0113】
非経口投与のための医薬製剤には、水溶性形態の化合物の水溶液が含まれる。さらに、化合物の懸濁液を適切な油性注射懸濁液として調製することができる。好適な親油性の溶媒又はビヒクルには、脂肪油又は合成脂肪酸エステルが含まれる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質を含有することができる。任意選択により、懸濁液は、好適な安定化剤又は化合物の溶解度を増加させ、高濃度の溶液の調製を可能にする作用剤を含有することもできる。代わりに、本組成物は、使用前に好適なビヒクル(例えば、滅菌のパイロジェン不含の水)で構成するための粉末形態であり得る。
【0114】
本明細書で開示される化合物は、坐剤又は停留浣腸剤(例えば、従来の坐剤基剤を含有する)などの直腸用組成物に製剤化することもできる。前述の製剤に加えて、化合物は、デポ調製物として製剤化することもできる。このような長時間作用の製剤は、注入(例えば、皮下又は筋肉内)によって又は筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、化合物は、好適なポリマー材料若しくは疎水性材料(例えば、許容される油中エマルションとして)又はイオン交換樹脂とともに製剤化することができるか、或いはやや溶けにくい誘導体、例えばやや溶けにくい塩として製剤化することができる。
【0115】
特に、本明細書に開示される化合物は、デンプン又はラクトースなどの賦形剤を含有する錠剤の形態において、又は単独で若しくは賦形剤と混合してカプセル剤若しくはオビュール剤(ovule)において、又は香味剤若しくは着色剤を含有するエリキシル剤若しくは懸濁液剤の形態において経口、バッカル又は舌下で投与することができる。そのような液体調製物は、懸濁化剤などの薬学的に許容される添加剤を用いて調製することができる。化合物は、非経口的に、例えば静脈内、筋肉内、皮下又は冠内に注射することもできる。非経口投与では、化合物は、溶液を血液と等張にするために、他の物質、例えば塩又はマンニトール若しくはグルコースなどの糖アルコールを含有することができる滅菌水溶液の形態で最もよく使用される。
【0116】
獣医学的使用では、本明細書に開示される化合物は、通常の獣医学診療に従い、好適に許容される製剤として投与される。獣医は、特定の動物に最も適切な投与計画及び投与経路を容易に決定することができる。
【0117】
一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物を単独で使用するか、又はKRAS関連の疾患の処置のために従来使用される別の薬剤若しくは介入と併用する、KRAS関連の障害の処置に必要な全ての構成成分をキットにパッケージ化することができる。具体的には、本発明は、医薬品であって、本明細書に開示される化合物と、前記医薬品の送達可能な形態を調製するための緩衝液及び他の構成成分とを含む医薬品、並びに/又はそのような医薬品を送達するためのデバイス、並びに/又は本明細書に開示される化合物との併用療法で使用される任意の薬剤、並びに/又は医薬品とともにパッケージ化された疾患の処置のための説明書をパッケージ化したセットを含む、疾患の治療介入で使用するためのキットを提供する。説明書は、印刷された紙又はコンピュータ可読の磁気若しくは光学媒体などの任意の有形的表現媒体に固定され得るか、又はインターネットを介してアクセス可能なワールドワイドウェブのページなどのリモートコンピュータのデータソースを参照する説明書であり得る。
【0118】
「治療有効量」とは、処置される対象の現在の症状の進行を処置若しくは予防するか又は現在の症状を軽減するのに有効な量を意味する。有効量の決定は、特に本明細書で提供される詳細な開示に照らして十分に当業者の能力の範囲内である。一般に、「治療有効用量」とは、所望の効果を実現する化合物の量を指す。例えば、好ましい一実施形態では、本明細書に開示される化合物の治療有効量は、KRAS活性を、対照と比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%又は少なくとも90%減少させる。
【0119】
投与される化合物の量は、処置される対象、対象の年齢、健康、性別及び体重、併用処置(存在する場合)の種類、苦痛の重症度、所望の効果の性質、処置の様式及び頻度並びに処方医師の判断に依存し得る。投与の頻度は、動脈血酸素分圧に対する薬力学的効果にも依存し得る。しかしながら、最も好ましい投与量は、必要以上の実験を行うことなく当業者によって理解され、決定できるように、個々の対象に合わせて調整することができる。これは、通常、標準用量の調節(例えば、患者が軽量体重である場合の用量の低減)を含む。
【0120】
個々のニーズは、様々であるが、化合物の有効量の最適範囲の決定は、当技術分野の技術の範囲内である。本明細書で特定される病態及び障害の根治的又は予防的処置におけるヒトへの投与では、例えば、本発明の化合物の典型的な投与量は、約0.05mg/kg/日~約50mg/kg/日、例えば少なくとも0.05mg/kg、少なくとも0.08mg/kg、少なくとも0.1mg/kg、少なくとも0.2mg/kg、少なくとも0.3mg/kg、少なくとも0.4mg/kg又は少なくとも0.5mg/kg及び好ましくは50mg/kg以下、40mg/kg以下、30mg/kg以下、20mg/kg以下又は10mg/kg以下であり得、これは、例えば、約2.5mg/日(0.5mg/kg×5kg)~約5000mg/日(50mg/kg×100kg)であり得る。例えば、化合物の投与量は、約0.1mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約5mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約3mg/kg/日、約0.07mg/kg/日~約3mg/kg/日、約0.09mg/kg/日~約3mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約0.1mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約1mg/kg/日、約1mg/kg/日~約10mg/kg/日、約1mg/kg/日~約5mg/kg/日、約1mg/kg/日~約3mg/kg/日、約3mg/日~約1500mg/日、約5mg/日~約1000mg/日、約10mg/日~約750mg/日、約3mg/日~約350mg/日又は約100mg/日~約250mg/日であり得る。このような用量は、単回用量で投与され得るか、又は複数回用量に分割され得る。
【0121】
KRAS G12C阻害剤を使用する方法
本開示は、RAS媒介性細胞シグナル伝達を阻害する方法であって、細胞を、有効量の、本明細書に開示される1つ又は複数の化合物と接触させるステップを含む方法を提供する。RAS媒介性シグナル伝達の阻害は、当技術分野において公知の多様な方法によって評価し、実証することができる。非限定的な例としては、(a)RASのGTPアーゼ活性の減少;(b)GTP結合親和性の減少若しくはGDP結合親和性の増加;(c)GTPのKoffの増加若しくはGDPのKoffの減少;(d)pMEK、pERK若しくはpAKTの各レベルの減少など、RAS経路下流のシグナル伝達分子のレベルの減少;及び/又は(e)Rafを含むが、これに限定されない下流のシグナル伝達分子へのRAS複合体の結合の減少を示すことが挙げられる。上記の1つ又は複数を決定するために、キット及び市販のアッセイを利用することができる。
【0122】
本開示は、G12C KRAS、HRAS又はNRASの変異の影響で生じる病態(例えば、がん)を含むが、これに限定されない疾患状態を処置するために本開示の化合物又は医薬組成物を使用する方法も提供する。
【0123】
一部の実施形態では、がんを処置する方法が提供され、この方法は、有効量の、本明細書に開示される化合物を含む前述の医薬組成物のいずれかを、それを必要とする対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、がんは、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの変異によって媒介される。様々な実施形態において、がんは、膵がん、大腸がん又は肺がんである。一部の実施形態では、がんは、胆嚢がん、甲状腺がん及び胆管がんである。
【0124】
一部の実施形態では、本開示は、障害の処置を、それを必要とする対象において行う方法を提供し、前記方法は、対象がKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの変異を有しているかどうかを決定するステップを含み、対象がKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの変異を有していると決定された場合、対象に、本明細書に開示される少なくとも1つの化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効用量を投与するステップを含む。
【0125】
開示される化合物は、足場非依存性の細胞増殖を阻害し、したがって腫瘍転移を阻害する可能性を有する。したがって、別の実施形態では、本開示は、腫瘍転移を阻害する方法を提供し、この方法は、有効量の、本明細書に開示される化合物を投与するステップを含む。
【0126】
KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの変異は、血液悪性腫瘍(例えば、血液、骨髄及び/又はリンパ節を冒すがん)でも確認されている。したがって、特定の実施形態は、血液悪性腫瘍の処置を必要とする患者への、開示される化合物(例えば、医薬組成物の形態で)の投与を対象とする。そのような悪性腫瘍には、白血病及びリンパ腫が含まれるが、これらに限定されない。例えば、本開示の化合物は、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性単球性白血病(AMoL)及び/又は他の白血病などの疾患の処置に使用することができる。他の実施形態では、化合物は、ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫の全てのサブタイプなどのリンパ腫の処置に有用である。様々な実施形態では、化合物は、多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの形質細胞悪性腫瘍の処置に有用である。
【0127】
腫瘍又はがんがG12C KRAS、HRAS又はNRASの変異を含むかどうかの決定は、KRAS、HRAS又はNRASタンパク質をコードするヌクレオチド配列を評価することにより、KRAS、HRAS又はNRASタンパク質のアミノ酸配列を評価することにより、又は推定KRAS、HRAS又はNRASの変異体タンパク質の特性を評価することにより行うことができる。野生型ヒトKRAS、HRAS又はNRASの配列は、当技術分野において公知である(例えば、受託番号NP203524)。
【0128】
KRAS、HRAS又はNRASのヌクレオチド配列における変異を検出する方法は、当業者に公知である。これらの方法としては、以下に限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応-制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応-一本鎖高次構造多型(PCR-SSCP)アッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、PCRシークエンシング、変異体アレル特異的PCR増幅(MASA)アッセイ、直接シークエンシング、プライマー伸長反応、電気泳動、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、TaqManアッセイ、SNP遺伝子型判定アッセイ、高解像度融解アッセイ及びマイクロアレイ分析が挙げられる。一部の実施形態では、試料は、リアルタイムPCRにより、G12C KRAS、HRAS又はNRASの変異について評価される。リアルタイムPCRでは、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの変異に特異的な蛍光プローブが使用される。変異が存在すると、プローブが結合し、蛍光が検出される。一部の実施形態では、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの変異は、KRAS、HRAS又はNRASの遺伝子中の特定の領域(例えば、エクソン2及び/又はエクソン3)の直接シークエンシング法を使用して同定される。この手法は、配列決定された領域において起こり得る変異を全て同定する。
【0129】
KRAS、HRAS又はNRASタンパク質における変異を検出する方法は、当業者に公知である。これらの方法は、変異体タンパク質に特異的な結合剤(例えば、抗体)、タンパク質の電気泳動及びウエスタンブロット並びにペプチドの直接シークエンシングを使用する、KRAS、HRAS又はNRASの変異体の検出を含むが、これらに限定されない。
【0130】
腫瘍又はがんがG12C KRAS、HRAS又はNRASの変異を含むかどうかを決定する方法には、様々な試料を使用することができる。一部の実施形態では、試料は、腫瘍又はがんを有する対象から採取される。一部の実施形態では、試料は、新鮮な腫瘍/がん試料である。一部の実施形態では、試料は、冷凍された腫瘍/がん試料である。一部の実施形態では、試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋試料である。一部の実施形態では、試料は、循環腫瘍細胞(CTC)試料である。一部の実施形態では、試料を処理して細胞溶解物にする。一部の実施形態では、試料を処理してDNA又はRNAにする。
【0131】
本開示は、哺乳動物の過剰増殖性障害を処置する方法であって、前記哺乳動物に、治療有効量の、本明細書に開示される化合物又はその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法にも関する。一部の実施形態では、前記方法は、急性骨髄性白血病、青年期のがん、小児期の副腎皮質がん、AIDS関連のがん(例えば、リンパ腫及びカポジ肉腫)、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、非定型奇形腫、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、非定型奇形腫、胚芽腫、胚細胞腫瘍、原発性リンパ腫、子宮頚がん、小児がん、脊索腫、心臓腫瘍、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性疾患、結腸がん、大腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、肝外胆管上皮内がん(DCIS)、胚芽腫、CNSがん、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、感覚神経芽腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼がん、骨の線維性組織球腫、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、有毛細胞白血病、頭頚部がん、心臓がん、肝がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼球内黒色腫、島細胞腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、腎がん、喉頭がん、唇及び口腔がん、肝がん、非浸潤性小葉がん(LCIS)、肺がん、リンパ腫、原発不明転移性扁平上皮性頸部がん、正中線管がん、口腔がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、多発性骨髄腫、メルケル細胞がん、悪性中皮腫、骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫、鼻腔及び副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、経口がん、唇及び口腔がん、中咽頭がん、卵巣がん、膵がん、乳頭腫、傍神経節腫、副鼻腔及び鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、移行上皮がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、皮膚がん、胃(stomach)(胃(gastric))がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部肉腫、T細胞リンパ腫、精巣がん、咽喉がん、胸腺腫及び胸腺がん、甲状腺がん、腎盂及び尿管の移行上皮がん、絨毛性腫瘍、小児の異例のがん、尿道がん、子宮肉腫、腟がん、外陰がん又はウイルス誘導性のがんなどのがんに罹患している対象の処置に関する。一部の実施形態では、前記方法は、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄又は前立腺(例えば、良性の前立腺肥大(BPH))などの非がん性過剰増殖性障害の処置に関する。
【0132】
一部の実施形態では、処置する方法は、肺がんを処置することを対象とし、この方法は、有効量の、上記の化合物(又はそれを含む医薬組成物)のいずれかを、それを必要とする対象に投与するステップを含む。特定の実施形態では、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば腺がん、扁平上皮細胞肺がん又は大細胞肺がんである。一部の実施形態では、肺がんは、小細胞肺がんである。開示される化合物で処置可能な他の肺がんには、以下に限定されないが、線管腫瘍、カルチノイド腫瘍及び未分化がんが含まれる。
【0133】
本開示は、G12C変異型KRAS、HRAS又はNRASタンパク質を、有効量の、本開示の化合物と接触させることにより、タンパク質の活性を調節する方法をさらに提供する。調節により、タンパク質の活性を阻害又は活性化することができる。一部の実施形態では、本開示は、G12C変異型KRAS、HRAS又はNRASタンパク質を、有効量の、溶解した本開示の化合物と接触させることにより、タンパク質の活性を阻害する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、目的のタンパク質を発現する細胞、組織又は器官を接触させることにより、G12C変異型KRAS、HRAS又はNRASタンパク質の活性を阻害する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、齧歯動物及び哺乳動物(例えば、ヒト)を含むが、これらに限定されない対象に、有効量の、本開示の化合物を投与することにより、対象のタンパク質の活性を阻害する方法を提供する。一部の実施形態では、調節のパーセンテージは、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%を超える。一部の実施形態では、阻害のパーセンテージは、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%を超える。
【0134】
一部の実施形態では、本開示は、細胞中でKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記細胞を、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を前記細胞中で阻害するのに十分な量の、本開示の化合物と接触させることによる方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、組織中でKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記組織を、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を前記組織中で阻害するのに十分な量の、本開示の化合物と接触させることによる方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、器官中でKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記器官を、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を前記器官中で阻害するのに十分な量の、本開示の化合物と接触させることによる方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、動物においてKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記動物を、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を前記動物において阻害するのに十分な量の、本開示の化合物と接触させることによる方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、哺乳動物においてKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記哺乳動物を、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を前記哺乳動物において阻害するのに十分な量の、本開示の化合物と接触させることによる方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、ヒトにおいてKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害する方法であって、前記ヒトを、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を前記ヒトにおいて阻害するのに十分な量の、本開示の化合物と接触させることによる方法を提供する。本開示は、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性によって媒介される疾患の処置を、そのような処置を必要とする対象において行う方法を提供する。
【0135】
併用療法:
本開示は、他の経路を調節することが知られている薬剤若しくは同じ経路の他の構成成分又はさらに標的酵素が重複するセットが本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩と併用される、併用療法の方法も提供する。一態様において、そのような治療には、相乗的又は相加的な治療効果をもたらすための、本開示の1つ又は複数の化合物と、化学療法剤、治療抗体及び放射線処置との併用が含まれるが、これらに限定されない。
【0136】
現在、多くの化学療法薬が当技術分野で知られており、本開示の化合物と併用することができる。一部の実施形態では、化学療法薬は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、挿入抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生体応答修飾物質、抗ホルモン剤、血管新生阻害剤及び抗アンドロゲン剤からなる群から選択される。非限定的な例は、化学療法剤、細胞毒性剤及びGleevec(登録商標)(イマチニブメシル酸塩)、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、Casodex(ビカルタミド)、Iressa(登録商標)(ゲフィチニブ)、Venclexta(商標)(ベネトクラクス)及びAdriamycin(商標)、(ドキソルビシン)などの非ペプチド低分子並びに化学療法剤のホストである。化学療法剤の非限定的な例としては、チオテパ及びシクロホスファミド(Cytoxan(商標))などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ及びウレドパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド及びトリメチロールメラミンを含むエチレンイミン及びメチルメラミン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロシクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロソ尿素;アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、Casodex(商標)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗薬;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フォリン酸などの葉酸補給剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デホファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えばパクリタキセル及びドセタキセル;レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体が挙げられる。
【0137】
また、好適な化学療法の細胞調節剤として挙げられるものは、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するために作用する抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン(Nolvadex(商標))、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲンなど;並びにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;カンプトテシン-11(CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)である。
【0138】
必要に応じて、本開示の化合物又は医薬組成物は、Herceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、Erbitux(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Taxol(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Taxotere(登録商標)、ABVD、AVICINE、アバゴボマブ、アクリジンカルボキサミド、アデカツムマブ、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、アルファラジン、アルボシジブ、3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン、アモナフィド、アントラセンジオン、抗CD22免疫毒素、抗新生物薬、抗腫瘍性薬草、アパジコン、アチプリモド、アザチオプリン、ベロテカン、ベンダムスチン、BIBW2992、ビリコダル、ブロスタリシン、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシミン、CBV(化学療法)、カリクリン、細胞周期非特異性抗新生物剤、ジクロロ酢酸、ディスコデルモリド、エルサミトルシン、エノシタビン、エポチロン、エリブリン、エベロリムス、エキサテカン、エクシスリンド、フェルギノール、フォロデシン、ホスフェストロール、ICE化学療法計画、IT-101、イメキソン、イミキモド、インドロカルバゾール、イロフルベン、ラニキダル、ラロタキセル、レナリドミド、ルカントン、ルルトテカン、マホスファミド、ミトゾロミド、ナホキシジン、ネダプラチン、オラパリブ、オルタタキセル、PAC-1、パパイア、ピクサントロン、プロテアソーム阻害剤、レベッカマイシン、レシキモド、ルビテカン、SN-38、サリノスポラミドA、サパシタビン、スタンフォードV、スワインソニン、タラポルフィン、タリキダル、テガフール-ウラシル、テモダール、テセタキセル、四硝酸トリプラチン、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロキサシタビン、ウラムスチン、バジメザン、ビンフルニン、ZD6126又はゾスキダルなどの一般に処方される抗がん薬と併用することができる。
【0139】
本開示は、哺乳動物の異常な細胞増殖を阻害するために又は過剰増殖性障害を処置するために、放射線療法と併用して、本明細書で提供される化合物又は医薬組成物を使用する方法にさらに関する。放射線療法を施す手法は、当技術分野において知られており、これらの手法は、本明細書に記載の併用療法で使用することができる。この併用療法における本開示の化合物の投与は、本明細に記載しているように決定することができる。
【0140】
放射線療法は、体外照射療法、体内照射療法、インプラント放射線、定位放射線手術、全身放射線療法、放射線療法及び永続的又は一時的な組織内小線源治療を含むが、これらに限定されない幾つかの方法の1つ又は方法の組合せによって施すことができる。「小線源治療」という用語は、本明細書で使用する場合、腫瘍若しくは他の増殖性組織疾患部位又はその付近で体内に挿入された、空間的に閉じ込められた放射性物質によって送達される放射線療法を指す。この用語は、放射性同位体(例えば、At-211、I-131、I-125、Y-90、Re-186、Re-188、Sm-153、Bi-212、P-32及びLuの放射性同位体)への曝露を含むことが意図されているが、これらに限定されない。本開示の細胞調節剤として使用するための好適な放射線源は、固体及び液体の両方を含む。非限定的な例として、放射線源は、I-125、I-131、Yb-169、固体源としてのIr-192、固体源としてのI-125などの放射性核種又は光子、ベータ粒子、ガンマ放射線若しくは他の治療用放射線を放出する他の放射性核種であり得る。放射性物質は、放射性核種の任意の溶液、例えばI-125若しくはI-131の溶液から作製される流体であり得るか、又は放射性流体は、Au-198、Y-90などの固体放射性核種の小粒子を含有する好適な流体のスラリーを使用して製造され得る。さらに、放射性核種は、ゲル又は放射性のマイクロスフィアとして具体化することができる。
【0141】
本開示の化合物又は医薬組成物は、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤、抗増殖剤、解糖阻害剤又はオートファジー阻害剤から選択される1つ又は複数の物質の一定量と併用することができる。
【0142】
MMP-2(マトリックス-メタロプロテイナーゼ2)阻害剤、MMP-9(マトリックス-メタロプロテイナーゼ9)阻害剤及びCOX-11(シクロオキシゲナーゼ11)阻害剤などの抗血管新生剤は、本開示の化合物及び本明細書に記載の医薬組成物とともに使用することができる。抗血管新生剤には、例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD001)、ソラフェニブ、スニチニブ及びベバシズマブが含まれる。有用なCOX-II阻害剤の例としては、アレコキシブ、バルデコキシブ及びロフェコキシブが挙げられる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、国際公開第96/33172号パンフレット、国際公開第96/27583号パンフレット、欧州特許出願公開第0818442号明細書、欧州特許第1004578号明細書、国際公開第98/07697号パンフレット、国際公開第98/03516号パンフレット、国際公開第98/34918号パンフレット、国際公開第98/34915号パンフレット、国際公開第98/33768号パンフレット、国際公開第98/30566号パンフレット、欧州特許第606046号明細書、欧州特許第931788号明細書、国際公開第90/05719号パンフレット、国際公開第99/52910号パンフレット、国際公開第99/52889号パンフレット、国際公開第99/29667号パンフレット、国際公開第1999007675号パンフレット、欧州特許第1786785号明細書、欧州特許第1181017号明細書、米国特許出願公開第20090012085号明細書、米国特許第5863949号明細書、米国特許第5861510号明細書及び欧州特許第0780386号明細書に記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に援用される。好ましいMMP-2及びMMP-9阻害剤は、MMP-1を阻害する活性をほとんど又は全く有していないものである。より好ましくは、他のマトリックス-メタロプロテイナーゼ(即ちMAP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12及びMMP-13)と比較して、MMP-2及び/又はAMP-9の方を選択的に阻害するものである。本開示において有用なMMP阻害剤の一部の特定の例は、AG-3340、RO32-3555及びRS13-0830である。
【0143】
本化合物は、アセマンナン、アクラルビシン、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、ANCER、アンセスチム、ARGLABIN、三酸化ヒ素、BAM002(Novelos)、ベキサロテン、ビカルタミド、ブロクスウリジン、カペシタビン、セルモロイキン、セトロレリクス、クラドリビン、クロトリマゾール、シタラビンオクホスフェート、DA3030(Dong-A)、ダクリズマブ、デニロイキンディフチトクス、デスロレリン、デキスラゾキサン、ジラゼプ、ドセタキセル、ドコサノール、ドキセルカルシフェロール、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ブロモクリプチン、カルムスチン、シタラビン、フルオロウラシル、HITジクロフェナク、インターフェロンアルファ、ダウノルビシン、ドキソルビシン、トレチノイン、エデルホシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エミテフル、エピルビシン、エポエチンベータ、リン酸エトポシド、エキセメスタン、エクシスリンド、ファドロゾール、フィルグラスチム、フィナステリド、フルダラビンリン酸エステル、ホルメスタン、ホテムスチン、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ギメラシル/オテラシル/テガフールの組合せ、グリコピン、ゴセレリン、ヘプタプラチン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎児アルファフェトプロテイン、イバンドロン酸、イダルビシン、イミキモド、インターフェロンアルファ、天然型インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-N1、インターフェロンアルファ-n3、インターフェロンアルファコン-1、天然型インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、インターフェロンガンマ、天然型インターフェロンガンマ-1a、インターフェロンガンマ-1b、インターロイキン-1ベータ、ヨーベングアン、イリノテカン、イルソグラジン、ランレオチド、LC9018(ヤクルト)、レフルノミド、レノグラスチム、レンチナンスルフェート、レトロゾール、白血球アルファインターフェロン、リュープロレリン、レバミソール+フルオロウラシル、リアロゾール、ロバプラチン、ロニダミン、ロバスタチン、マソプロコール、メラルソプロール、メトクロプラミド、ミフェプリストン、ミルテホシン、ミリモスチム、ミスマッチ塩基対二本鎖RNA、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトキサントロン、モルグラモスチム、ナファレリン、ナロキソン+ペンタゾシン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ニルタミド、ノスカピン、新規赤血球生成刺激タンパク質、NSC631570オクトレオチド、オプレルベキン、オサテロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロン酸、ペガスパルガーゼ、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペントサンポリ硫酸ナトリウム、ペントスタチン、ピシバニール、ピラルビシン、ウサギ抗胸腺細胞ポリクローナル抗体、ポリエチレングリコールインターフェロンアルファ-2a、ポルフィマーナトリウム、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラスブリエンボディメント(rasburiembodiment)、レニウムRe186エチドロネート、RIIレチンアミド、リツキシマブ、ロムルチド、サマリウム(153Sm)レキシドロナム、サルグラモスチム、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソネルミン、塩化ストロンチウム-89、スラミン、タソネルミン、タザロテン、テガフール、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、サリドマイド、サイマルファシン、チロトロピンアルファ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ-ヨウ素131、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トリロスタン、トリメトレキサート、トリプトレリン、天然型腫瘍壊死因子アルファ、ウベニメクス、膀胱がんワクチン、丸山ワクチン、黒色腫溶解物ワクチン、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビノレルビン、VIRULIZIN、ジノスタチンスチマラマー又はゾレドロン酸;アバレリクス;AE941(Aeterna)、アンバムスチン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、bcl-2(Genta)、APC8015(Dendreon)、セツキシマブ、デシタビン、デキサミノグルテチミド、ジアジコン、EL532(Elan)、EM800(Endorecherche)、エニルウラシル、エタニダゾール、フェンレチニド、フィルグラスチムSD01(Amgen)、フルベストラント、ガロシタビン、ガストリン17免疫原、HLA-B7遺伝子治療(Vical)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒスタミン二塩酸塩、イブリツモマブチウキセタン、イロマスタット、IM862(Cytran)、インターロイキン-2、イプロキシフェン、LDI200(Milkhaus)、レリジスチム、リンツズマブ、CA125MAb(Biomira)、がんMAb(日本薬品開発株式会社)、HER-2及びFc MAb(Medarex)、イディオタイプ105AD7MAb(CRC Technology)、イディオタイプCEA MAb(Trilex)、LYM-1-ヨウ素131MAb(Techniclone)、多形上皮性ムチン-イットリウム90MAb(Antisoma)、マリマスタット、メノガリル、ミツモマブ、モテキサフィンガドリニウム、MX6(Galderma)、ネララビン、ノラトレキセド、P30タンパク質、ペグビソマント、ペメトレキセド、ポルフィロマイシン、プリノマスタット、RL0903(Shire)、ルビテカン、サトラプラチン、フェニル酢酸ナトリウム、スパルホス酸、SRL172(SR Pharma)、SU5416(SUGEN)、TA077(Tanabe)、テトラチオモリブデート、タリブラスチン、トロンボポエチン、スズエチルエチオプルプリン、チラパザミン、がんワクチン(Biomira)、黒色腫ワクチン(New York University)、黒色腫ワクチン(Sloan Kettering Institute)、黒色腫腫瘍崩壊産物ワクチン(New York Medical College)、ウイルス性黒色腫細胞溶解物ワクチン(Royal Newcastle Hospital)又はバルスポダールなどの他の抗新生物剤との併用療法でも使用することができる。
【0144】
本発明の化合物は、VEGFR阻害剤とともにさらに使用され得る。以下の特許及び特許出願に記載の他の化合物は、併用療法において使用することができる:米国特許第6,258,812号明細書、米国特許出願公開第2003/0105091号明細書、国際公開第01/37820号パンフレット、米国特許第6,235,764号明細書、国際公開第01/32651号パンフレット、米国特許第6,630,500号明細書、米国特許第6,515,004号明細書、米国特許第6,713,485号明細書、米国特許第5,521,184号明細書、米国特許第5,770,599号明細書、米国特許第5,747,498号明細書、国際公開第02/68406号パンフレット、国際公開第02/66470号パンフレット、国際公開第02/55501号パンフレット、国際公開第04/05279号パンフレット、国際公開第04/07481号パンフレット、国際公開第04/07458号パンフレット、国際公開第04/09784号パンフレット、国際公開第02/59110号パンフレット、国際公開第99/45009号パンフレット、国際公開第00/59509号パンフレット、国際公開第99/61422号パンフレット、米国特許第5,990,141号明細書、国際公開第00/12089号パンフレット及び国際公開第00/02871号パンフレット。
【0145】
一部の実施形態では、併用は、本発明の組成物を少なくとも1つの抗血管新生剤と組み合わせて含む。薬剤は、インビトロで合成により調製された化学組成物、抗体、抗原結合領域、放射性核種並びにそれらの組合せ及びコンジュゲートを含むが、これらに限定されない。薬剤は、アゴニスト、アンタゴニスト、アロステリック調節剤、毒素であり得るか、又はより一般的にその標的を阻害又は刺激(例えば、受容体又は酵素を活性化又は阻害)するように作用し、それにより細胞死を促進するか又は細胞増殖を停止させ得る。
【0146】
例示的な抗血管新生剤としては、ERBITUX(商標)(IMC-C225)、KDR(キナーゼドメイン受容体)阻害剤(例えば、キナーゼドメイン受容体に特異的に結合する抗体及び抗原結合領域)、AVASTIN(商標)又はVEGF-TRAP(商標)などの抗VEGF剤(例えば、VEGF又は可溶性VEGF受容体若しくはそのリガンド結合領域に特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)及び抗VEGF受容体剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)、Vectibix(パニツムマブ)、IRESSA(商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(商標)(エルロチニブ)などのEGFR阻害剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)、抗Ang1剤及び抗Ang2剤(例えば、それら又はそれらの受容体、例えばTie2/Tekに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)並びに抗Tie2キナーゼ阻害剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)が挙げられる。本発明の医薬組成物は、特異的に結合し、増殖因子の活性を阻害する1つ又は複数の薬剤(例えば、抗体、抗原結合領域又は可溶性受容体)、例えば受容体「c-met」に特異的に結合する、肝細胞増殖因子(HGF、分散因子としても知られる)のアンタゴニスト及び抗体又は抗原結合領域などを含むこともできる。
【0147】
他の抗血管新生剤には、Campath、IL-8、B-FGF、Tekアンタゴニスト(Ceretti et al.,米国特許出願公開第2003/0162712号明細書;米国特許第6,413,932号明細書)、抗TWEAK剤(例えば、特異的に結合する抗体若しくは抗原結合領域又は可溶性TWEAK受容体アンタゴニスト;Wiley、米国特許第6,727,225号明細書を参照されたい)、インテグリンのそのリガンドへの結合に拮抗するADAMディスインテグリンドメイン(Fanslow et al.,米国特許出願公開第2002/0042368号明細書)、特異的に結合する抗eph受容体及び/又は抗エフリン抗体若しくは抗原結合領域(米国特許第5,981,245号明細書;同第5,728,813号明細書;同第5,969,110号明細書;同第6,596,852号明細書;同第6,232,447号明細書;同第6,057,124号明細書及びそれらの特許ファミリーのメンバー)及び抗PDGF-BBアンタゴニスト(例えば、特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)並びにPDGF-BBリガンドに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域及びPDGFRキナーゼ阻害剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)が含まれる。
【0148】
さらなる抗血管新生剤/抗腫瘍剤には、SD-7784(Pfizer、USA);シレンギチド(Merck KGaA、ドイツ、欧州特許第770622号明細書);ペガプタニブ八ナトリウム(Gilead Sciences、USA);アルファスタチン(BioActa、UK);M-PGA(Celgene、USA、米国特許第5712291号明細書);イロマスタット(Arriva、USA、米国特許第5892112号明細書);エマキサニブ(emaxanib)(Pfizer、USA、米国特許第5792783号明細書);バタラニブ(Novartis、スイス);2-メトキシエストラジオール(EntreMed、USA);TLC ELL-12(Elan、アイルランド);アネコルタブ酢酸エステル(Alcon、USA);アルファ-D148Mab(Amgen、USA);CEP-7055(Cephalon、USA);抗Vn Mab(Crucell、オランダ)DAC:抗血管新生薬(ConjuChem、カナダ);アンジオシジン(InKine Pharmaceutical、USA);KM-2550(協和発酵、日本);SU-0879(Pfizer、USA);CGP-79787(Novartis、スイス、欧州特許第970070号明細書);ARGENT技術(Ariad、USA);YIGSR-Stealth(Johnson&Johnson、USA);フィブリノゲン-Eフラグメント(BioActa、UK);血管新生阻害剤(Trigen、UK);TBC-1635(Encysive Pharmaceuticals、USA);SC-236(Pfizer、USA);ABT-567(Abbott、USA);Metastatin(EntreMed、USA);血管新生阻害剤(Tripep、スウェーデン);マスピン(株式会社そーせい、日本);2-メトキシエストラジオール(Oncology Sciences Corporation、USA);ER-68203-00(IVAX、USA);ベネフィン(Lane Labs、USA);Tz-93(株式会社ツムラ、日本);TAN-1120(武田薬品工業株式会社、日本);FR-111142(藤沢薬品工業株式会社、日本、特開平02233610号公報);血小板第4因子(RepliGen、USA、欧州特許第407122号明細書);血管内皮増殖因子アンタゴニスト(Borean、デンマーク);ベバシズマブ(pINN)(Genentech、USA);血管新生阻害剤(SUGEN、USA);XL784(Exelixis、USA);XL647(Exelixis、USA);MAb、アルファ5ベータ3インテグリン、第二世代(Applied Molecular Evolution、USA及びMedImmune、USA);遺伝子治療、網膜症(Oxford BioMedica、UK);エンザスタウリン塩酸塩(USAN)(Lilly、USA);CEP7055(Cephalon、USA及びSanofi-Synthelabo、フランス);BC1(Genoa Institute of Cancer Research、イタリア);血管新生阻害剤(Alchemia、オーストラリア);VEGFアンタゴニスト(Regeneron、USA);rBPI21及びBPI由来抗血管新生薬(XOMA、USA);PI88(Progen、オーストラリア);シレンギチド(pINN)(Merck KGaA、ドイツ;Munich Technical University、ドイツ、Scripps Clinic and Research Foundation、USA);セツキシマブ(INN)(Aventis、フランス);AVE8062(味の素株式会社、日本);AS1404(Cancer Research Laboratory、ニュージーランド);SG292(Telios、USA);エンドスタチン(Boston Childrens Hospital、USA);ATN161(Attenuon、USA);ANGIOSTATIN(Boston Childrens Hospital、USA);2-メトキシエストラジオール(Boston Childrens Hospital、USA);ZD6474(AstraZeneca、UK);ZD6126(Angiogene Pharmaceuticals、UK);PPI2458(Praecis、USA);AZD9935(AstraZeneca、UK);AZD2171(AstraZeneca、UK);バタラニブ(pINN)(Novartis、スイス及びSchering AG、ドイツ);組織因子経路阻害剤(EntreMed、USA);ペガプタニブ(Pinn)(Gilead Sciences、USA);キサントリゾール(Yonsei University、韓国);遺伝子ワクチン、VEGF-2(Scripps Clinic and Research Foundation、USA);SPV5.2(Supratek、カナダ);SDX103(University of California、San Diego、USA);PX478(ProlX、USA);METASTATIN(EntreMed、USA);トロポニンI(Harvard University、USA);SU6668(SUGEN、USA);OXI4503(OXiGENE、USA);o-グアニジン(Dimensional Pharmaceuticals、USA);モツポラミンC(British Columbia University、カナダ);CDP791(Celltech Group、UK);アチプリモド(pINN)(GlaxoSmithKline、UK);E7820(エーザイ株式会社、日本);CYC381(Harvard University、USA);AE941(Aeterna、カナダ);ワクチン、血管新生(EntreMed、USA);ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子阻害剤(Dendreon、USA);オグルファニド(pINN)(Melmotte、USA);HIF-1アルファ阻害剤(Xenova、UK);CEP5214(Cephalon、USA);BAY RES2622(Bayer、ドイツ);アンジオシジン(InKine、USA);A6(Angstrom、USA);KR31372(Korea Research Institute of Chemical Technology、韓国);GW2286(GlaxoSmithKline、UK);EHT0101(ExonHit、フランス);CP868596(Pfizer、USA);CP564959(OSI、USA);CP547632(Pfizer、USA);786034(GlaxoSmithKline、UK);KRN633(キリンホールディングス株式会社、日本);眼内薬物送達システム、2-メトキシエストラジオール(EntreMed、USA);アンギネキス(anginex)(Maastricht University、オランダ及びMinnesota University、USA);ABT510(Abbott、USA);AAL993(Novartis、スイス);VEGI(ProteomTech、USA);腫瘍壊死因子-アルファ阻害剤(National Institute on Aging、USA);SU11248(Pfizer、USA及びSUGEN、USA);ABT518(Abbott、USA);YH16(Yantai Rongchang、中国);S-3APG(Boston Childrens Hospital、USA及びEntreMed、USA);MAb、KDR(ImClone Systems、USA);MAb、アルファ5ベータ1(Protein Design、USA);KDRキナーゼ阻害剤(Celltech Group、UK及びJohnson&Johnson、USA);GFB116(South Florida University、USA及びYale University、USA);CS706(第一三共株式会社、日本);コンブレタスタチンA4プロドラッグ(Arizona State University、USA);コンドロイチナーゼAC(IBEX、カナダ);BAY RES2690(Bayer、ドイツ);AGM1470(Harvard University、USA、武田薬品工業株式会社、日本及びTAP、USA);AG13925(Agouron、USA);テトラチオモリブデート(University of Michigan、USA);GCS100(Wayne State University、USA)CV247(Ivy Medical、UK);CKD732(Chong Kun Dang、韓国);MAb、血管内皮増殖因子(Xenova、UK);イルソグラジン(INN)(日本新薬株式会社、日本);RG13577(Aventis、フランス);WX360(Wilex、ドイツ);スクアラミン(pINN)(Genaera、USA);RPI4610(Sirna、USA);がん治療(Marinova、オーストラリア);ヘパラナーゼ阻害剤(InSight、イスラエル);KL3106(Kolon、韓国);ホノキオール(Emory University、USA);ZK CDK(Schering AG、ドイツ);ZK Angio(Schering AG、ドイツ);ZK229561(Novartis、スイス及びSchering AG、ドイツ);XMP300(XOMA、USA);VGA1102(大正製薬株式会社、日本);VEGF受容体調節剤(薬局方、USA);VE-カドヘリン-2アンタゴニスト(ImClone Systems、USA);バソスタチン(National Institutes of Health、USA);ワクチン、Flk-1(ImClone Systems、USA);TZ93(株式会社ツムラ、日本);タムスタチン(Beth Israel Hospital、USA);切断型可溶性FLT1(血管内皮増殖因子受容体1)(Merck&Co、USA);Tie-2リガンド(Regeneron、USA);及びトロンボスポンジン1阻害剤(Allegheny Health、Education and Research Foundation、USA)が含まれる。
【0149】
オートファジー阻害剤としては、以下に限定されないが、クロロキン、3-メチルアデニン、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(商標))、バフィロマイシンA1、5-アミノ-4-イミダゾールカルボキサミドリボシド(AICAR)、オカダ酸、2A型又は1型のタンパク質ホスファターゼを阻害するオートファジー抑制藻類毒素、cAMPの類似体並びにcAMPレベルを上昇させる、アデノシン、LY204002、N6-メルカプトプリンリボシド及びビンブラスチンなどの薬物が挙げられる。加えて、ATG5(オートファジーに関与する)を含むが、これに限定されない、タンパク質の発現を阻害するアンチセンス又はsiRNAも使用することができる。
【0150】
がんの処置に使用することができ、本発明の1つ又は複数の化合物と併用することができるさらなる薬学的に活性な化合物/薬剤には、エポエチンアルファ;ダルベポエチンアルファ;パニツムマブ;ペグフィルグラスチム;パリフェルミン;フィルグラスチム;デノスマブ;アンセスチム;AMG102;AMG176;AMG386;AMG479;AMG655;AMG745;AMG951;及びAMG706又はそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0151】
特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、化学療法剤と併用して投与される。好適な化学療法剤としては、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビン)、パクリタキセル、エピジポドフィロトキシン(epidipodophyllotoxin)(例えば、エトポシド及びテニポシド)などの天然物、抗生物質類(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシン、酵素類(例えば、L-アスパラギンを全身的に代謝し、自らのアスパラギンを合成する能力を有さない細胞を奪うL-アスパラギナーゼ)、抗血小板剤、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド及び類似体、メルファラン並びにクロラムブシル)、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)などの抗増殖性/抗有糸分裂性アルキル化剤、CDK阻害剤(例えば、セリシクリブ、UCN-01、P1446A-05、PD-0332991、ディナシクリブ、P27-00、AT-7519、RGB286638及びSCH727965)、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン(BCNU)及び類似体並びにストレプトゾシン)、トリアゼン類-ダカルバジン(DTIC)、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)、ピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン及びシタラビン)、プリン類似体及び関連阻害剤(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン及び2-クロロデオキシアデノシン)などの抗増殖性/抗有糸分裂性代謝拮抗剤、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、エキセメスタン及びレトロゾール)及び白金配位錯体(例えば、シスプラチン及びカルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤(例えば、トリコスタチン、酪酸ナトリウム、アピシジン、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、ボリノスタット、LBH589、ロミデプシン、ACY-1215及びパノビノスタット)、mTor阻害剤(例えば、テムシロリムス、エベロリムス、リダホロリムス及びシロリムス)、KSP(Eg5)阻害剤(例えば、Array520)、DNA結合剤(例えば、Zalypsis)、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、GS-1101及びTGR-1202)、PI3Kデルタ及びガンマ阻害剤(例えば、CAL-130)、多標的キナーゼ阻害剤(例えば、TG02及びソラフェニブ)、ホルモン類(例えば、エストロゲン)及び黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト(例えば、ゴセレリン、リュープロリド及びトリプトレリン)などのホルモンアゴニスト、BAFF-中和抗体(例えば、LY2127399)、IKK阻害剤、p38MAPK阻害剤、抗IL-6(例えば、CNTO328)、テロメラーゼ阻害剤(例えば、GRN163L)、オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、MLN8237)、細胞表面モノクローナル抗体(例えば、抗CD38(HUMAX-CD38)、抗CS1(例えば、エロツズマブ)、HSP90阻害剤(例えば、17AAG及びKOS953)、P13K/Akt阻害剤(例えば、ペリホシン)、Akt阻害剤(例えば、GSK-2141795)、PKC阻害剤(例えば、エンザスタウリン)、FTI(例えば、Zarnestra(商標))、抗CD138(例えば、BT062)、Torc1/2特異的キナーゼ阻害剤(例えば、INK128)、キナーゼ阻害剤(例えば、GS-1101)、ER/UPR標的剤(例えば、MKC-3946)、cFMS阻害剤(例えば、ARRY-382)、JAK1/2阻害剤(例えば、CYT387)、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ及びベリパリブ(ABT-888))、BCL-2アンタゴニストを挙げることができる。他の化学療法剤としては、メクロレタミン、カンプトテシン、イホスファミド、タモキシフェン、ラロキシフェン、ゲムシタビン、ナベルビン、ソラフェニブ又は上記のいずれかの類似体若しくは誘導変形体を挙げることができる。
【0152】
本発明の化合物は、当業者に周知の放射線療法、ホルモン療法、手術及び免疫療法と併用することもできる。
【0153】
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、ステロイドと併用して投与される。好適なステロイドとしては、以下に限定されないが、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコルト、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロンアセテート、フルプレドニデンアセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ホルモコルタール、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタソール、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、マジプレドン、メドリソン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フランカルボン酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25-ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニゾン、プレドニバール、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド並びにそれらの塩及び/又は誘導体を挙げることができる。特定の実施形態では、本発明の化合物は、悪心を処置する追加の薬学的に活性な薬剤と併用することもできる。悪心を処置するために使用することができる薬剤の例としては、ドロナビノール;グラニセトロン;メトクロプラミド;オンダンセトロン;及びプロクロルペラジン;又はそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0154】
本発明の化合物は、RAS-RAF-ERKシグナル伝達経路又はPI3K-AKT-TORシグナル伝達経路を中断又は阻害する追加の薬学的に活性な化合物と併用することもできる。そのような他の併用において、追加の薬学的に活性な化合物は、PD-1及びPD-L1のアンタゴニストである。本開示の化合物又は医薬組成物は、EGFR阻害剤、MEK阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤、TOR阻害剤、Mcl-1阻害剤、BCL-2阻害剤、SHP2阻害剤、プロテアソーム阻害剤並びに免疫療法[モノクローナル抗体、免疫調節剤(IMiD)(例えば、サリドマイド、レナリドミド及びポマリドミド)、抗PD-1剤、抗PDL-1剤、抗CTLA4剤、抗LAG1剤及び抗OX40剤、GITRアゴニスト、CAR-T細胞並びにBiTEを含む]から選択される1つ又は複数の物質のある量と併用することもできる。
【0155】
EGFR阻害剤としては、以下に限定されないが、低分子アンタゴニスト、抗体阻害剤又は特異的アンチセンスヌクレオチド若しくはsiRNAが挙げられる。EGFRの有用な抗体阻害剤としては、セツキシマブ(Erbitux)、パニツムマブ(Vectibix)、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブが挙げられる。EGFRの低分子アンタゴニストとしては、ゲフィチニブ、エルロチニブ(Tarceva)及び最近ではラパチニブ(TykerB)が挙げられる。例えば、Yan L,et.al.,Pharmacogenetics and Pharmacogenomics In Oncology Therapeutic Antibody Development,BioTechniques 2005;39(4):565-8及びPaez J G,et.al.,EGFR Mutations In Lung Cancer Correlation With Clinical Response To Gefitinib Therapy,Science 2004;304(5676):1497-500を参照されたい。
【0156】
低分子EGFR阻害剤の非限定的な例としては、以下の特許公報に記載のEGFR阻害剤及び前記EGFR阻害剤の薬学的に許容される全ての塩及び溶媒和物のいずれかが挙げられる:1992年12月30日に公開された欧州特許出願公開第520722号明細書;1993年10月20日に公開された欧州特許出願公開第566226号明細書;1996年10月31日に公開された国際公開第96/33980号パンフレット;1998年5月5日に発行された米国特許第5,747,498号明細書;1996年10月3日に公開された国際公開第96/30347号パンフレット;1997年8月6日に公開された欧州特許出願公開第787772号明細書;1997年8月21日に公開された国際公開第97/30034号パンフレット;1997年8月21日に公開された国際公開第97/30044号パンフレット;1997年10月23日に公開された国際公開第97/38994号パンフレット;1997年12月31日に公開された国際公開第97/49688号パンフレット;1998年4月22日に公開された欧州特許出願公開第837063号明細書;1998年1月22日に公開された国際公開第98/02434号パンフレット;1997年10月23日に公開された国際公開第97/38983号パンフレット;1995年7月27日に公開された国際公開第95/19774号パンフレット;1995年7月27日に公開された国際公開第95/19970号パンフレット;1997年4月17日に公開された国際公開第97/13771号パンフレット;1998年1月22日に公開された国際公開第98/02437号パンフレット;1998年1月22日に公開された国際公開第98/02438号パンフレット;1997年9月12日に公開された国際公開第97/32881号パンフレット;1998年1月29日に公開された独国特許出願公開第19629652号明細書;1998年8月6日に公開された国際公開第98/33798号パンフレット;1997年9月12日に公開された国際公開第97/32880号パンフレット;1997年9月12日に公開された国際公開第97/32880号パンフレット;1995年11月15日に公開された欧州特許出願公開第682027号明細書;1997年1月23日に公開された国際公開第97/02266号パンフレット;1997年7月31日に公開された国際公開第97/27199号パンフレット;1998年2月26日に公開された国際公開第98/07726号パンフレット;1997年9月25日に公開された国際公開第97/34895号パンフレット;1996年10月10日に公開された国際公開第96/31510号パンフレット;1998年4月9日に公開された国際公開第98/14449号パンフレット;1998年4月9日に公開された国際公開第98/14450号パンフレット;1998年4月9日に公開された国際公開第98/14451号パンフレット;1995年4月13日に公開された国際公開第95/09847号パンフレット;1997年5月29日に公開された国際公開第97/19065号パンフレット;1998年4月30日に公開された国際公開第98/17662号パンフレット;1998年8月4日に発行された米国特許第5,789,427号明細書;1997年7月22日に発行された米国特許第5,650,415号明細書;1997年8月12日に発行された米国特許第5,656,643号明細書;1999年7月15日に公開された国際公開第99/35146号パンフレット;1999年7月15日に公開された国際公開第99/35132号パンフレット;1999年2月18日に公開された国際公開第99/07701号パンフレット;及び1992年11月26日に公開された国際公開第92/20642号パンフレット。低分子EGFR阻害剤のさらなる非限定的な例には、Traxler,P.,1998,Exp.Opin.Ther.Patents 8(12):1599-1625に記載のEGFR阻害剤のいずれかが含まれる。
【0157】
抗体系EGFR阻害剤には、その天然のリガンドによりEGFR活性化を部分的に又は完全に遮断することができる任意の抗EGFR抗体又は抗体フラグメントが含まれる。抗体系EGFR阻害剤の非限定的な例としては、Modjtahedi,H.,et al.,1993,Br.J.Cancer 67:247-253;Teramoto,T.,et al.,1996,Cancer 77:639-645;Goldstein et al.,1995,Clin.Cancer Res.1:1311-1318;Huang,S.M.,et al.,1999,Cancer Res.15:59(8):1935-40;及びYang,X.,et al.,1999,Cancer Res.59:1236-1243に記載されているものが挙げられる。したがって、EGFR阻害剤は、モノクローナル抗体Mab E7.6.3(Yang,1999,前掲)若しくはMab C225(ATCC受託番号HB-8508)又はその結合特異性を有する抗体若しくは抗体フラグメントであり得る。
【0158】
MEK阻害剤としては、以下に限定されないが、トラメチニブ、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、ARRY-142886、ARRY-438162及びPD-325901が挙げられる。
【0159】
PI3K阻害剤としては、以下に限定されないが、ウォルトマンニン、国際公開第06/044453号パンフレットに記載の17-ヒドロキシウォルトマンニン類似体、4-[2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-[[4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル]メチル]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル]モルホリン(別名GDC0941、国際公開第09/036,082号パンフレット及び国際公開第09/055,730号パンフレットに記載)、2-メチル-2-[4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]フェニル]プロピオニトリル(別名BEZ235又はNVP-BEZ235、国際公開第06/122806号パンフレットに記載)、(S)-1-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパン-1-オン(国際公開第2008/070740号パンフレットに記載)、LY294002(2-(4-モルホリニル)-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-4-オン、Axon Medchemから入手可能)、PI103塩酸塩(3-[4-(4-モルホリニルピリド-[3’,2’:4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル]フェノール塩酸塩、Axon Medchemから入手可能)、PIK75(N’-[(1E)-(6-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル)メチレン]-N,2-ジメチル-5-ニトロベンゼンスルホノ-ヒドラジド塩酸塩、Axon Medchemから入手可能)、PIK90(N-(7,8-ジメトキシ-2,3-ジヒドロ-イミダゾ[1,2-c]キナゾリン-5-イル)-ニコチンアミド、Axon Medchemから入手可能)、GDC-0941ビスメシレート(2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-(4-メタンスルホニル-ピペラジン-1-イルメチル)-4-モルホリン-4-イル-チエノ[3,2-d]ピリミジンビスメシレート、Axon Medchemから入手可能)、AS-252424(5-[1-[5-(4-フルオロ-2-ヒドロキシ-フェニル)-フラン-2-イル]-メタ-(Z)-イリデン]-チアゾリジン-2,4-ジオン、Axon Medchemから入手可能)及びTGX-221(7-メチル-2-(4-モルホリニル)-9-[1-(フェニルアミノ)エチル]-4H-ピリド-[1,2-a]ピリミジン-4-オン、Axon Medchemから入手可能)、XL-765並びにXL-147が挙げられる。他のPI3K阻害剤としては、デメトキシビリジン、ペリホシン、CAL101、PX-866、BEZ235、SF1126、INK1117、IPI-145、BKM120、XL147、XL765、パロミド529、GSK1059615、ZSTK474、PWT33597、IC87114、TG100-115、CAL263、PI-103、GNE-477、CUDC-907及びAEZS-136が挙げられる。
【0160】
AKT阻害剤としては、以下に限定されないが、Akt-1-1(Akt1を阻害する)(Barnett et al.(2005)Biochem.J.,385(Pt.2),399-408);Akt-1-1,2(Ak1及び2を阻害する)(Barnett et al.(2005)Biochem.J.385(Pt.2),399-408);API-59CJ-Ome(例えば、Jin et al.(2004)Br.J.Cancer 91,1808-12);1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジニル化合物(例えば、国際公開第05011700号パンフレット);インドール-3-カルビノール及びその誘導体(例えば、米国特許第6,656,963号明細書;Sarkar and Li(2004)J Nutr.134(12追補)、3493S-3498S);ペリホシン(例えば、Aktの膜局在を妨げる;Dasmahapatra et al.(2004)Clin.Cancer Res.10(15),5242-52,2004);ホスファチジルイノシトールエーテル脂質類似体(例えば、Gills and Dennis(2004)Expert.Opin.Investig.Drugs 13,787-97);及びトリシリビン(TCN又はAPI-2又はNCI、識別子:NSC154020;Yang et al.(2004)Cancer Res.64,4394-9)が挙げられる。
【0161】
TOR阻害剤としては、以下に限定されないが、AP-23573、CCI-779、エベロリムス、RAD-001、ラパマイシン、テムシロリムス、ATP競合的TORC1/TORC2阻害剤(PI-103、PP242、PP30及びTorin1を含む)が挙げられる。他のTOR阻害剤としては、以下を含めてFKBP12エンハンサー;ラパマイシン及びその誘導体が挙げられる:CCI-779(テムシロリムス)、RAD001(エベロリムス;国際公開第9409010号パンフレット)及びAP23573;ラパログ、例えば国際公開第98/02441号パンフレット及び国際公開第01/14387号パンフレットに開示されているもの、例えばAP23573、AP23464又はAP23841;40-(2-ヒドロキシエチル)ラパマイシン、40-[3-ヒドロキシ(ヒドロキシメチル)メチルプロパノエート]-ラパマイシン(別名CC1779)、40-エピ-(テトラゾリト)-ラパマイシン(別名ABT578)、32-デオキソラパマイシン、16-ペンチニルオキシ-32(S)-ジヒドロラパマイシン及び国際公開第05005434号パンフレットに開示されている他の誘導体;米国特許第5,258,389号明細書、国際公開第94/090101号パンフレット、国際公開第92/05179号パンフレット、米国特許第5,118,677号明細書、米国特許第5,118,678号明細書、米国特許第5,100,883号明細書、米国特許第5,151,413号明細書、米国特許第5,120,842号明細書、国際公開第93/111130号パンフレット、国際公開第94/02136号パンフレット、国際公開第94/02485号パンフレット、国際公開第95/14023号パンフレット、国際公開第94/02136号パンフレット、国際公開第95/16691号パンフレット、国際公開第96/41807号パンフレット、国際公開第96/41807号パンフレット及び米国特許第5,256,790号明細書に開示されている誘導体;リンを含有するラパマイシン誘導体(例えば、国際公開第05016252号パンフレット);4H-1-ベンゾピラン-4-オン誘導体(例えば、米国仮特許出願第60/528,340号明細書)。
【0162】
MCl-1阻害剤としては、以下に限定されないが、AMG-176、AMG397、MIK665及びS63845が挙げられる。骨髄細胞白血病-1(MCL-1)タンパク質は、B細胞リンパ腫-2(BCL-2)タンパク質ファミリーの重要な抗アポトーシスメンバーの1つである。MCL-1の過剰発現は、腫瘍進行に密接に関係し、且つ従来の化学療法に対する耐性のみならず、ABT-263などのBCL-2阻害剤を含む標的治療に対する耐性にも密接に関係している。
【0163】
SHP阻害剤としては、SHP099が挙げられるが、これに限定されない。
【0164】
プロテアソーム阻害剤としては、以下に限定されないが、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)及びオプロゾミブが挙げられる。
【0165】
免疫療法としては、以下に限定されないが、抗PD-1剤、抗PDL-1剤、抗CTLA-4剤、抗LAG1剤及び抗OX40剤が挙げられる。
【0166】
モノクローナル抗体としては、以下に限定されないが、Darzalex(登録商標)(ダラツムマブ)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)及びEylea(登録商標)(アフリベルセプト)が挙げられる。
【0167】
免疫調節剤(IMiD)は、イミド基を含有する免疫調節性薬物(免疫応答を調整する薬物)のクラスである。IMiDクラスは、サリドマイド及びその類似体(レナリドミド、ポマリドミド及びアプレミラスト)を含む。
【0168】
例示的な抗PD-1抗体及びそれらの使用方法は、Goldberg et al.,Blood 110(1):186-192(2007),Thompson et al.,Clin.Cancer Res.13(6):1757-1761(2007)及びKorman et al.,国際出願PCT/特開く2006/309606号公報(国際公開第2006/121168A1号パンフレット)に記載があり、これらの各々は、参照により本明細書に明示的に援用され、次のものを含む:Keytruda(登録商標)(ペムブロリズマブ)、Opdivo(登録商標)(ニボルマブ)、Yervoy(商標)(イピリムマブ)又はトレメリムマブ(CTLA-4に対する)、ガリキシマブ(B7.1に対する)、BMS-936558(PD-1に対する)、MK-3475(PD-1に対する)、AMP224(B7DCに対する)、BMS-936559(B7-H1に対する)、MPDL3280A(B7-H1に対する)、MEDI-570(ICOSに対する)、AMG557(B7H2に対する)、MGA271(B7H3に対する)、IMP321(LAG-3に対する)、BMS-663513(CD137に対する)、PF-05082566(CD137に対する)、CDX-1127(CD27に対する)、抗OX40(Providence Health Services)、huMAbOX40L(OX40Lに対する)、アタシセプト(TACIに対する)、CP-870893(CD40に対する)、ルカツムマブ(CD40に対する)、ダセツズマブ(CD40に対する)、ムロモナブ-CD3(CD3に対する)、イピリムマブ(CTLA-4に対する)。免疫療法は、遺伝子改変したT細胞(例えば、CAR-T細胞)及び二重特異性抗体(例えば、BiTE)も含む。
【0169】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、AMG404などの抗PD-1抗体と併用される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合抗体フラグメント)は、配列番号1~6のCDRアミノ酸配列(順にHC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を表す)の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つ全てを含む。特定の実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合抗体フラグメント)は、配列番号1~6のCDRアミノ酸配列の6つ全てを含む。他の実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合抗体フラグメント)は、(a)配列番号7又はその変異配列(1つ若しくは2つのアミノ酸のみが異なるか又は少なくとも若しくは約70%の配列同一性を有する)の重鎖可変領域アミノ酸配列、又は(b)配列番号8又はその変異配列(1つ若しくは2つのアミノ酸のみが異なるか又は少なくとも若しくは約70%の配列同一性を有する)の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。例示的な実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合抗体フラグメント)は、配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。他の実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合抗体フラグメント)は、(a)配列番号9又はその変異配列(1つ若しくは2つのアミノ酸のみが異なるか又は少なくとも若しくは約70%の配列同一性を有する)の重鎖アミノ酸配列;又は(b)配列番号10又はその変異配列(1つ若しくは2つのアミノ酸のみが異なるか又は少なくとも若しくは約70%の配列同一性を有する)の軽鎖アミノ酸配列を含む。例示的な実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合抗体フラグメント)は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0170】
本開示は、抗PD-1抗体(又はその抗原結合部分)をコードする核酸配列をさらに提供する。例示的な態様において、抗体は、配列番号11~16の核酸にコードされるCDR(順にHC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を表す)の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つ全てを含む。別の例示的な態様において、抗体は、配列番号11~16の核酸にコードされるCDRの6つ全てを含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合部分)は、(a)配列番号17又はその変異配列(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ若しくは6つの核酸のみが異なるか又は少なくとも若しくは約70%、85%、90%若しくは95%の配列同一性を有する)にコードされる重鎖可変領域、又は(b)配列番号18又はその変異配列(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ若しくは6つの核酸のみが異なるか又は少なくとも若しくは約70%、85%、90%若しくは95%の配列同一性を有する)にコードされる軽鎖可変領域を含む。例示的な実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合部分)は、配列番号17にコードされる重鎖可変領域及び配列番号18にコードされる軽鎖可変領域を含む。他の実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合部分)は、(a)配列番号19又はその変異配列(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ若しくは6つの核酸のみが異なるか又は少なくとも若しくは約70%、85%、90%若しくは95%の配列同一性を有する)にコードされる重鎖、又は(b)配列番号20又はその変異配列(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ若しくは6つの核酸のみが異なるか又は少なくとも若しくは約70%、85%、90%若しくは95%の配列同一性を有する)にコードされる軽鎖を含む。例示的な実施形態では、抗PD-1抗体(又はその抗原結合部分)は、配列番号19にコードされる重鎖及び配列番号20にコードされる軽鎖を含む。
【0171】
GITRアゴニストとしては、以下に限定されないが、GITR融合タンパク質及び抗GITR抗体(例えば、抗GITR二価抗体)、例えば米国特許第6,111,090box.c号明細書、欧州特許第090505B1号明細書、米国特許第8,586,023号明細書、国際公開第2010/003118号パンフレット及び同第2011/090754号パンフレットに記載のGITR融合タンパク質又は例えば米国特許第7,025,962号明細書、欧州特許第1947183B1号明細書、米国特許第7,812,135号明細書、米国特許第8,388,967号明細書、米国特許第8,591,886号明細書、欧州特許第1866339号明細書、国際公開第2011/028683号パンフレット、国際公開第2013/039954号パンフレット、国際公開第2005/007190号パンフレット、国際公開第2007/133822号パンフレット、国際公開第2005/055808号パンフレット、国際公開第99/40196号パンフレット、国際公開第2001/03720号パンフレット、国際公開第99/20758号パンフレット、国際公開第2006/083289号パンフレット、国際公開第2005/115451号パンフレット、米国特許第7,618,632号明細書及び国際公開第2011/051726号パンフレットに記載の抗GITR抗体が挙げられる。
【0172】
本明細書に記載の化合物は、処置される病態に依存して、本明細書に開示される薬剤又は他の好適な薬剤と併用することができる。したがって、一部の実施形態では、本開示の1つ又は複数の化合物は、上記の他の薬剤と併用投与されることになる。併用療法で使用される場合、本明細書に記載の化合物は、第2の薬剤と同時に又は別々に投与される。この併用投与には、同一剤形中の2種の薬剤の同時投与、別々の剤形での同時投与及び別々の投与を含めることができる。即ち、本明細書に記載の化合物及び上記の薬剤のいずれかを同一剤形に一緒に製剤化し、同時に投与することができる。代わりに、本開示の化合物及び上記の薬剤のいずれかを同時に投与し、その場合、両方の薬剤が別々の製剤中に存在していることが可能である。別の選択肢では、本開示の化合物を投与し、その後、上記の薬剤のいずれかを投与するか又はその逆も可能である。別々の投与プロトコルの一部の実施形態では、本開示の化合物及び上記の薬剤のいずれかは、数分空けて、又は数時間空けて、又は数日空けて投与される。
【0173】
本発明の一態様は、別々に投与され得る薬学的に活性な化合物を併用して疾患/病態を処置することを企図しているため、本発明は、別々の医薬組成物をキットの形態に組み合わせることにさらに関する。キットは、別々の2つの医薬組成物:本発明の化合物及び第2の医薬化合物を含む。キットは、別々の組成物を含有するための、分割されたボトル又は分割された金属箔の包みなどの容器を含む。容器のさらなる例としては、シリンジ、箱及びバッグが挙げられる。一部の実施形態では、キットは、別々の構成成分を使用するための説明書を含む。キットの形態は、別々の構成成分が異なる剤形(例えば、経口及び非経口)で投与されることが好ましい場合、異なる投与間隔で投与される場合又は併用の個々の構成成分の用量調整が、処方する医療専門家によって所望される場合に特に有利である。
【0174】
セクション1 - 一般手順
1.4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-アミン(中間体A)
【化35】
4,6-ジクロロ-5-アミノピリミジン(3.00g、18.3mmol、Combi-Blocks Inc.、San Diego、CA)のTHF(18mL)中溶液を、この混合物中にアルゴンを5分間バブリングすることにより脱気した。2-プロピル亜鉛ブロミド(THF中0.5M溶液、91.0mL、45.5mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)をシリンジで添加し、次いでキサントホスPd G3(434mg、0.5mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。得られた混合物を室温で16時間撹拌し、次いでセライトのパッドで濾過した。濾過ケーキをEtOAcですすぎ、濾液を回収し、減圧中で濃縮して、4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-アミン(中間体A、3.45g)を得た。m/z(ESI,陽イオン):180.2(M+H)+。
【0175】
2.2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-アミン(中間体B)
【化36】
3-アミノ-2-ブロモ-4-ピコリン(360mg、1.9mmol、Combi-Blocks、San Diego、CA)のTHF(4mL)中スラリーに[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のDCMとの錯体(79mg、0.1mmol)を添加した。得られたスラリーをアルゴンで2分間脱気し、次いで2-プロピル亜鉛ブロミド(THF中0.5M溶液、5.4mL、2.7mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。得られた溶液を60℃で17時間加熱し、次いで加熱を停止し、反応生成物を室温まで冷却した。反応混合物を水(10mL)及び1N NaOH溶液(20mL)でクエンチし、次いでEtOAcで抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で脱水し、減圧中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~15% MeOH/DCM)により精製して、2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-アミン(中間体B)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 7.66(d,J=4.6Hz,1H),6.78(d,J=4.8Hz,1H),4.72(br s,2H),3.14-3.25(m,1H),2.08(s,3H),1.14(d,J=6.8Hz,6H).m/z(ESI,陽イオン):151.1(M+H)+。
【0176】
3.2-クロロ-N,N-ジメチル-3-ニトロピリジン-4-アミン(中間体C)及び4-クロロ-N,N-ジメチル-3-ニトロピリジン-2-アミン(中間体D)
【化37】
アセトニトリル10ml中、2,4-ジクロロ-3-ニトロピリジン(7.0g、36mmol、Ark Pharm、Inc.)にトリエチルアミン(6ml、43mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。この混合物を0℃まで冷却し、THF中2Nジメチルアミン(19ml、38mmol)をゆっくりと添加した。2.5時間後、LCMSにより、反応が完了したことが示された。100ml酢酸エチルを添加し、ブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。シリカゲル上でのクロマトグラフィー精製(0~100%酢酸エチル/ヘプタン)により精製した後、4-クロロ-N,N-ジメチル-3-ニトロピリジン-2-アミン(中間体D)を、極性のピークが少ない方として:
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δppm7.98-8.22(m,1H)、及び2-クロロ-N,N-ジメチル-3-ニトロピリジン-4-アミン(中間体C)を、極性のピークが多い方として:
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ ppm 3.01-3.05(m,6H)6.61-6.70(m,1H)6.85-6.95(m,1H)7.80-7.87(m,1H)7.97-8.06(m,1H)得た。
【0177】
4.2-イソプロピル-N,N-4-ジメチルピリジン-3,4-ジアミン(中間体E)
【化38】
ステップ1:N,N-ジメチル-3-ニトロ-2-(プロパ-1-エン-2-イル)ピリジン-4-アミン。
三つ口フラスコに2-クロロ-N,N-ジメチル-3-ニトロピリジン-4-アミン(中間体C)(4.66g、23.1mmol)、ジオキサン30ml及び水15mlを添加した。この混合物を窒素下で10分間撹拌した。粉末の無水炭酸ナトリウム(7.35g、69.3mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(1.0g、1.4mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及び2-イソプロペニルボロン酸、ピナコールエステル(8.3g、49.4mmol、Combi-Blocks Inc.)を添加し、100℃浴で加熱した。5時間後、LCMSにより、反応が完了したことが示され、混合物を室温まで冷却した。酢酸エチル(200ml)を添加し、50mlのブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。シリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶離液:30~40%酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、N,N-ジメチル-3-ニトロ-2-(プロパ-1-エン-2-イル)ピリジン-4-アミンを黄色固体として得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ ppm 2.11-2.21(m,3H)2.95-3.01(m,6H)4.99-5.06(m,1H)5.16-5.23(m,1H)6.59-6.69(m,1H)8.19-8.28(m,1H)。
【0178】
ステップ2:2-イソプロピル-N,N-4-ジメチルピリジン-3,4-ジアミン。
N,N-ジメチル-3-ニトロ-2-(プロパ-1-エン-2-イル)ピリジン-4-アミン(4.8g、23.2mmol)のEtOH(60ml)中溶液にパラジウム10%担持炭素(0.6g、5.6mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。この混合物を45PSIで3日間水素化した。混合物をセライトのパッドで濾過し、酢酸エチルで洗浄し、蒸発させ、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、30~40%(3/1 EtOAc/EtOH)/ヘプタンで溶離して精製し、2-イソプロピル-N,N-4-ジメチルピリジン-3,4-ジアミン(中間体E)を得た。
【0179】
同じ順序で4-イソプロピル-N,N-2-ジメチルピリジン-2,3-ジアミン(中間体F)を4-クロロ-N,N-ジメチル-3-ニトロピリジン-2-アミン(中間体D)から調製した。
【0180】
5.4-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2-イソプロピルピリジン-3-アミン(中間体G)
【化39】
ステップ1:メチル3-アミノ-2-イソプロピルイソニコチネート。
Findenser冷却器を備える1Lの三つ口丸底フラスコに、テトラヒドロフラン(114ml)中、3-アミノ-2-クロロ-4-(メトキシカルボニル)ピリジン(10.6g、56.8mmol、Combi-BlocksInc.、San Diego、CA)及び[(4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン)-2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)メタンスルホネート(2.69g、2.8mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)をアルゴン下で添加した。テトラヒドロフラン中、2-プロピル亜鉛ブロミド0.5M(148ml、73.8mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加漏斗で4分かけて添加した。次いで、反応混合物を50℃で40分間撹拌した。反応混合物を氷水浴で冷却した。氷(約100g)及びセライト(約100g)を撹拌しながら添加し、混合物を微小フリットガラスフィルターで濾過し、DCMで洗浄して、不溶性エマルションを除去した。2つの層を分離し、水性層をDCM(3×200mL)で抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧中で濃縮して褐色油状物を得た。粗製物質を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、ヘプタン中0%~70%のEtOAcの勾配で溶離して精製し、メチル3-アミノ-2-イソプロピルイソニコチネートを黄色油状物として得た。
【0181】
ステップ2:3-アミノ-2-イソプロピルピリジン-4-イル)メタノール。
1Lの三つ口フラスコに冷却器を装備し、メチル3-アミノ-2-イソプロピルイソニコチネート(18.2g、94mmol)及びTHF(185mL)を入れた。THF中2M水素化ホウ素リチウム(94ml、187mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を滴下添加した。この混合物を室温で15分間撹拌した。次いで、メタノール(30.3ml)をゆっくりと添加し、この混合物を、40℃になるまで室温で3.5時間撹拌した。飽和NH4Cl(約100mL)をゆっくりと添加した。反応混合物を減圧中で濃縮して、THFの大部分を除去した。残渣混合物を水で希釈し、EtOAc(4×150mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で脱水し、濾過し、濃縮して、粗製3-アミノ-2-イソプロピルピリジン-4-イル)メタノールを得、次のステップに直接使用した。
【0182】
ステップ3:4-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2-イソプロピルピリジン-3-アミン。
1LのRBFにジクロロメタン(187ml)中、(3-アミノ-2-イソプロピルピリジン-4-イル)メタノール(15.6g、94mmol)、DIPEA(57.3ml、328mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及び4-(ジメチルアミノ)ピリジン(0.57g、4.7mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を入れた。tert-ブチルジフェニルクロロシラン(31.7ml、122mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を滴下添加した。この混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧中で濃縮して、黄色油状物を得た。粗製生成物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、ヘプタン中0%~50%のEtOAcの勾配で溶離して精製し、4-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2-イソプロピルピリジン-3-アミン(中間体G、28.1g、69.4mmol、収率74.1%)を白色固体として得た。
【0183】
6.2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ニコチン酸(中間体H)
【化40】
2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ニコチン酸。
2,5,6-トリクロロニコチン酸(1.03g、4.54mmol、Combi-Blocks、San Diego、CA)、パラジウムテトラキス(0.13g、0.1mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)、(2-フルオロフェニル)ボロン酸(0.70g、5.0mmol、TCI America、Portland、OR)及び炭酸ナトリウム(水中2M、6.8mL、13.6mmol)の1,4-ジオキサン(11mL)中混合物を窒素でパージし、80℃まで1時間加熱し、次いで90℃で5時間加熱した。反応混合物をEtOAc(150mL)で希釈し、1Nクエン酸水溶液(2×100mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na
2SO
4で脱水し、減圧中で濃縮して、2,5-ジクロロ-6-(2-フルオロフェニル)ニコチン酸(中間体H、1.27g、4.4mmol、収率97%)を琥珀色油状物として得た。m/z(ESI,陽イオン):285.8(M+H)
+。
【0184】
7.6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(中間体I)
【化41】
ステップ1:2-シアノ-N-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)アセトアミド。
4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-アミン(6.9g、38.5mmol、中間体A)及びシアノ酢酸(4.86g、57.1mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)にDCE(35ml)、1-プロパンホスホン酸環状無水物の酢酸エチル中50重量%溶液(45.8ml、77mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及び無水トリエチルアミン(16.2ml、115mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。この混合物を50℃まで30分間加熱した。混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル300ml及び飽和NaHCO
3(150)を添加し、5分間撹拌した。有機層を分離し、飽和NH
4Clで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、0~50%(3/1 EtOAc/EtOH)/ヘプタンで溶離して精製し、2-シアノ-N-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)アセトアミドを白色固体として得た。
【0185】
ステップ2:2,5,6-トリクロロニコチノイルクロリド。
2,5,6-トリクロロニコチン酸(2.92g、12.9mmol)のDCM(20ml)中懸濁液にDMF(0.3ml)及び塩化オキサリルの塩化メチレン中2.0M溶液(9.67ml、19.3mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。この混合物を室温で45分間撹拌し、蒸発させ、減圧中で乾燥して、粗製2,5,6-トリクロロニコチノイルクロリドを得、これを次のステップに使用した。
【0186】
ステップ3:6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
THF(30ml)中、2-シアノ-N-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)アセトアミド(3.1g、12.6mmol)に60%水素化ナトリウム(1.51g、37.8mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を少しずつ添加した。この混合物を15分間撹拌し、THF(30ml)中、2,5,6-トリクロロニコチノイルクロリド(3.08g、12.6mmol、Combi-Blocks、San Diego、CA)をゆっくりと添加した。15分後、この混合物を70℃浴で1時間加熱した。追加で0.5gの60%NaHを添加し、この混合物を10分間撹拌し、90℃で6時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水(5ml)をゆっくりと添加し、次いで2N HCl(50ml)をゆっくりと添加した。この混合物をEtOAc(100ml)で抽出した。有機層をブライン(3×)で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、0~60%(3/1 EtOH/EtOAc)/ヘプタンで溶離して精製し、6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(中間体I)を黄色固体として得た。
【0187】
【0188】
【0189】
8.4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(中間体R)
【化42】
アセトニトリル10ml中、6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(中間体I、0.97g、2.3mmol)にジイソプロピルエチルアミン(1.2ml、7mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及びオキシ塩化リン(0.3ml、3.4mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。この混合物を90℃で30分間加熱した。混合物を冷却し、蒸発させ、減圧中で乾燥した。これをアセトニトリル10mlに溶解し、氷水浴で冷却した。ジイソプロピルエチルアミン(1.22ml、6.96mmol)及び1-(t-ブトキシカルボニル)-ピペラジン(0.490ml、2.63mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加し、この混合物を0℃で1時間及び室温で16時間撹拌した。酢酸エチル(60ml)を添加し、この溶液をブライン(3×)で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、0~40%酢酸エチル/ヘプタンで溶離して精製し、4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(中間体R)を黄色固体として得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 0.92-1.00(m,6H)1.04-1.13(m,6H)1.40-1.55(m,9H)2.60-2.73(m,2H)3.56-3.70(m,4H)3.73-3.86(m,4H)8.38-8.65(m,1H)9.07-9.35(m,1H);m/z(ESI,陽イオン):586(M+H)
+。
【実施例0190】
実施例1
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
【化43】
ステップ1:tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-ホルミルフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート。
tert-ブチル4-(6,7-ジクロロ-3-シアノ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(中間体R、0.42g、0.7mmol)、2-ホルミルフェニルボロン酸(0.127g、0.8mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(0.067g、0.09mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及び酢酸セシウム塩(0.13g、0.7mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を二口フラスコに入れ、N
2で5分間フラッシュし、THF(4ml)を添加した。この混合物を90℃で1.5時間加熱した。これを室温まで冷却し、EtOAc(15ml)及びブライン8mlを添加した。2つの層を分離し、有機層を乾燥し、蒸発させた。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、0~40%(3/1 EtOH/EtOAc)/ヘプタンで溶離して精製し、tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-ホルミルフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートを白色固体として得た。
【0191】
ステップ2:tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート。
DCE(3ml)中、tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-ホルミルフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(0.2g、0.3mmol)にジメチルアミン(0.4ml、0.8mmol)(THF中2M、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.18g、0.8mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及びHOAc(1ml)を添加した。5時間後、DCM及び10%K2CO3溶液を各10mlずつ添加した。有機層を分離し、乾燥し、蒸発させた。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、0~30%(3/1 EtOH/EtOAc)/ヘプタンで溶離して精製し、tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートを得た。
【0192】
ステップ3:4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
DCM(2ml)中、tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(62mg、0.09mmol)及びTFA(1ml)(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を30分間撹拌し、蒸発させた。これをDCM(4×10ml)と共蒸発させた。残渣をDCM(6ml)に溶解し、℃まで冷却し、無水トリエチルアミン(50μl、0.3mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及び塩化アクリロイル(400μl、0.2mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。この混合物を15分間撹拌し、蒸発させ、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、0~80%(3/1 EtOH/EtOAc)/ヘプタンで溶離して精製し、黄色油状物を得た。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、0~90%(DCM中8%(MeOH中2N NH3))/DCMで溶離してさらに精製し、4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリルを黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ ppm 1.02-1.13(m,6H)1.19-1.27(m,6H)1.94-2.05(m,6H)2.05-2.15(m,2H)2.44-2.77(m,2H)3.79-4.12(m,8H)5.71-6.04(m,1H)6.29-6.54(m,1H)6.57-6.80(m,1H)6.90-7.08(m,1H),1HがCHCL3とオーバーラップ,7.36-7.45(m,1H)7.45-7.52(m,1H)8.00-8.36(m,1H)8.97-9.33(m,1H).m/z(ESI,陽イオン):638.9(M+H)+。
【0193】
実施例2
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-2-イソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
【化44】
ステップ1:6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(4-ホルミル-2-イソプロピルピリジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
THF(40ml)中、1-(4-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-2-イソプロピルピリジン-3-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(中間体O、3.0g、4.2mmol)にnBu
4NF(THF中1M、5.2ml、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。22時間後、酢酸エチル200ml及び飽和塩化アンモニウム60mlを添加した。有機層を分離し、2×飽和NH
4Clで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、20~90%(3/1 EtOAc/EtOH)/ヘプタンで溶離して精製し、アルコールを得た。DCM(40ml)中、6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-1-(4-(ヒドロキシメチル)-2-イソプロピルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(1.48g、3.1mmol)を酸化マンガン(IV)(7.4g、85mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)とともに室温で2日間撹拌した。この混合物をセライトで濾過し、蒸発させて、粗製アルデヒドを得た。
【0194】
ステップ2:6-クロロ-1-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-2-イソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
DCE(12ml)中、6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(4-ホルミル-2-イソプロピルピリジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(1.05g、2.2mmol)にTHF中2Mジメチルアミン(2.3ml、4.6mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。この混合物を5分間撹拌し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.80g、3.7mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。2時間後、この混合物をDCM(20ml)及び飽和NaHCO3(20ml)で希釈した。有機層を分離し、乾燥し、蒸発させた。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、20~100%(3/1 EtOAc/EtOH中7%2M NH3/MeOH)/ヘプタンで溶離して精製し、6-クロロ-1-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-2-イソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリルを黄色固体として得た。
【0195】
ステップ3:tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-2-イソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート。
6-クロロ-1-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-2-イソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(0.82g、1.6mmol)のアセトニトリル12ml中懸濁液に無水トリエチルアミン(3ml、21.3mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及びホスホルオキシクロリド(0.5ml、5.3mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。この混合物を75℃まで30分間加熱した。混合物を室温まで冷却し、蒸発させ、DCM(20ml)に溶解した。TEA(1.5ml)及び1-(t-ブトキシカルボニル)-ピペラジン(0.621g、3.3mmo、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。6時間後、LCMSにより、塩化物出発物質が依然として存在していることが示された。1-(t-ブトキシカルボニル)-ピペラジン(0.3g)を添加し、この混合物をさらに16時間撹拌した。DCM(40ml)及びブライン10mlを添加し、有機層を分離し、乾燥し、蒸発させた。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、10~40%(10%2N NH3/MeOH(3/1 EtOAc/EtOH))/ヘプタンで溶離して精製し、tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-2-イソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートを得た。
【0196】
ステップ4:4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-2-イソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
DCM(6ml)中、tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-2-イソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(0.8g、1.2mmol)にTFA(4ml)(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。この混合物を10分間撹拌し、蒸発させ、減圧中で乾燥した。残渣をDCM(6ml)に溶解し、氷水浴で冷却し、無水トリエチルアミン(1.0ml、7mmol)を添加した。DCM中0.5M塩化アクリロイル(既製)(4.5ml、2.2mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。10分後、この混合物を蒸発させた。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、10~30%(MeOH中10%2N NH3の(3/1 EtOAc/EtOH)溶液)/ヘプタンで溶離して精製し、4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-2-イソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリルを黄色固体として得た。19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -114.33(s,1F)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 0.89-0.98(m,3H)1.04-1.11(m,3H)1.82-1.95(m,6H)2.65-2.77(m,1H)2.92-3.09(m,2H)3.77-3.97(m,8H)5.75-5.81(m,1H)6.16-6.25(m,1H)6.85-6.97(m,1H)7.09-7.17(m,1H)7.21-7.32(m,2H)7.33-7.37(m,1H)7.45-7.54(m,1H)8.39-8.63(m,2H).m/z(ESI,陽イオン):614.0(M+H)+。
【0197】
実施例3
(E)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-(4-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
【化45】
ステップ1:tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート。
アセトニトリル6ml中、6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(中間体Q、0.37g、0.7mmol)をジイソプロピルエチルアミン(0.5ml、2.8mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及びオキシ塩化リン(0.1mL、1.0mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)とともに90℃で45分間加熱した。反応混合物を蒸発させ、減圧中で乾燥した。残渣をDCM(8ml)に溶解し、0℃まで冷却し、ヒューニッヒ塩基1ml及び1-(t-ブトキシカルボニル)-ピペラジン(0.18g、0.9mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。30分後、DCM(25ml)を添加した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、0~20%(3/1 EtOH/EtOAc)/ヘプタンで溶離して精製し、tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートを黄色固体として得た:
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 0.87-0.94(m,6H)1.03-1.13(m,6H)1.43-1.51(m,9H)2.64-2.75(m,2H)3.60-3.71(m,4H)3.77-3.89(m,4H)7.11-7.19(m,1H)7.23-7.36(m,2H)7.45-7.56(m,1H)8.47-8.54(m,1H)9.05-9.13(m,1H)。
19F NMR(376MHz,DMSO-d
6)δ ppm -114.61(s,1F)。
【0198】
ステップ2:6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-4-(ピペラジン-1-イル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
DCM(12ml)中、tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(1.3g、2.0mmol)及びトリフルオロ酢酸(8ml、107mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を1時間撹拌し、蒸発させた。残渣をEtOAc(50ml)に溶解し、飽和NaHCO3とともに撹拌した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて、6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-4-(ピペラジン-1-イル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリルを黄色固体として得た。
【0199】
ステップ3:(E)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-(4-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
DMF(1ml)中、6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-4-(ピペラジン-1-イル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(0.1g、0.18mmol)にtrans-4-ジメチルアミノクロトン酸塩酸塩(0.056g、0.3mmol、Matrix Scientific)、ジイソプロピルエチルアミン(0.25ml、1.431mmol)及びCOMU(0.23g、0.5mmol、Combi-Blocks、San Diego、CA)を添加した。17時間後、EtOAc(30ml)を添加し、有機層をブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させた。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、最初に0~60%(3/1 EtOH/EtOAc)/ヘプタンで、次いで60%(15%(MeOH中2N NH3)のDCM溶液)/ヘプタンで溶離して精製し、(E)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-4-(4-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリルを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 0.82-0.98(m,6H)1.08(br d,J=4.35Hz,6H)2.09-2.29(m,6H)2.63-2.78(m,2H)3.01-3.16(m,2H)3.74-4.08(m,8H)6.48-6.91(m,2H)7.08-7.65(m,4H)8.41-8.71(m,1H)8.94-9.30(m,1H)。19F NMR(376MHz,DMSO-d6)δ ppm -114.60(br s,1F).m/z(ESI,陽イオン):656.9(M+H)+。
【0200】
【0201】
実施例4
(E)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-4-(4-(4-(メチルアミノ)ブタ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリルトリフルオロ酢酸塩
【化46】
ステップ1:tert-ブチル(E)-(4-(4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-4-オキソブタ-2-エン-1-イル)(メチル)カルバメート。
DMF(3ml)中、6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-4-(ピペラジン-1-イル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(0.33g、0.6mmol、実施例3、ステップ2から)に(E)-4-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)ブタ-2-エン酸(0.24g、1.1mmol)(米国特許第9,951,077号明細書の実施例17bについて記載されているように合成することができる)、COMU(0.55g、1.2mmol、Combi-Blocks、San Diego、CA)及びジイソプロピルエチルアミン(0.3ml、1.7mmol)を添加した。この混合物を室温で1時間撹拌した。EtOAc(50ml)を添加し、ブライン(3×)で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、0~40%(3/1 EtOAc-EtOH)/ヘプタンで溶離して精製し、tert-ブチル(E)-(4-(4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-4-オキソブタ-2-エン-1-イル)(メチル)カルバメートを得た。
【0202】
ステップ2:(E)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-4-(4-(4-(メチルアミノ)ブタ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリルトリフルオロ酢酸塩。
DCM(3ml)中、tert-ブチル(E)-(4-(4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-4-オキソブタ-2-エン-1-イル)(メチル)カルバメート(0.16g、0.2mmol)にTFA(2ml)を添加した。1.5時間後、この混合物を蒸発させ、5×DCMを添加し、蒸発させて、(E)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-4-(4-(4-(メチルアミノ)ブタ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリルトリフルオロ酢酸塩を有色の泡沫として得た。19F NMR(376MHz,メタノール-d4)δ ppm -115.72(s,1F)-77.42(s,1F)。
1H NMR(400MHz,メタノール-d4)δ ppm 0.93-1.02(m,6H)1.12-1.18(m,6H)1.98-2.00(m,3H)2.66-2.73(m,2H)3.82-3.89(m,2H)3.91-4.04(m,8H)6.70-6.82(m,1H)6.89-6.99(m,1H)7.10-7.24(m,3H)7.42-7.54(m,1H)8.46-8.52(m,1H)8.99-9.06(m,1H).m/z(ESI,陽イオン):643.1(M+H)+。
【0203】
実施例4.1:(E)-4-(4-(4-アミノブタ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
【化47】
実施例4の手順に従い、(E)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブタ-2-エン酸(国際出願PCT/米国特許出願公開第2016/065954号明細書;国際公開第2017100662号パンフレットで中間体34について記載されているように合成することができる)から化合物を調製した。
1F NMRにより、2TFAの存在が示された。
19F NMR(376MHz,DMSO-d
6)δ ppm -114.60(s,1F),-74.47(s,1F)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 0.88-0.93(m,6H)1.05-1.11(m,6H)2.64-2.72(m,2H)3.65-3.75(m,2H)3.81-3.96(m,8H)6.64-6.77(m,1H)6.83-6.93(m,1H)7.09-7.18(m,1H)7.23-7.36(m,2H)7.46-7.66(m,1H)7.89-8.18(m,3H)8.38-8.65(m,1H)8.95-9.20(m,1H).m/z(ESI,陽イオン):629.2(M+H)
+。
【0204】
実施例5
(E)-6-クロロ-4-(4-(4-(シクロプロピルアミノ)ブタ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
【化48】
ステップ1:(E)-4-(4-(4-ブロモブタ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
DCM(3ml)中、(E)-4-ブロモブタ-2-エン酸(0.25g、1.5mmol、エナミン)にDMF数滴及び塩化オキサリルの塩化メチレン中2.0M溶液(1.5ml、3.0mmol)を添加した。室温で30分後、この混合物を蒸発させ、減圧中で乾燥した。残渣をTHF(6ml)及びDCM(6ml)に溶解し、(S)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-4-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(実施例3、ステップ2から、0.63g、1.2mmol)及び無水トリエチルアミン(0.33ml、2.3mmol)をTHF(12ml)中に含む予冷溶液にゆっくりと添加した(溶液は、氷/NaCl浴で冷却、温度のみでは-10℃~-15℃、添加後、浴温は、-5℃~-10℃に上昇した)。冷却浴を室温まで加温した。3時間後、EtOAC(150ml)及びブライン/飽和NaHCO
3を添加した。有機層を分離し、乾燥し、蒸発させた。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、0~60%のEtOAc/ヘプタンで溶離して精製し、(E)-4-(4-(4-ブロモブタ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリルを得た。
【0205】
ステップ2:(E)-6-クロロ-4-(4-(4-(シクロプロピルアミノ)ブタ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
(E)-4-(4-(4-ブロモブタ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(0.18g、0.26mmol)とシクロプロピルアミン(77μl、1.1mmol)とのアセトニトリル1.5ml中混合物を室温で5時間撹拌した。混合物を蒸発させ、分取HPLC(Phenomenex Gemini C18カラム、150×30mm、10u、110A、10~100% MeCN/H2O中0.1%TFA)により精製して、(E)-6-クロロ-4-(4-(4-(シクロプロピルアミノ)ブタ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリルをビスTFAとして得た。1H NMR(400MHz,メタノール-d4)δ ppm 0.86-0.99(m,4H)1.00-1.06(m,6H)1.16-1.23(m,6H)2.66-2.80(m,2H)2.81-2.90(m,1H)3.91-4.15(m,10H)6.74-6.90(m,1H)6.95-7.06(m,1H)7.14-7.29(m,3H)7.43-7.57(m,1H)8.48-8.58(m,1H)9.00-9.12(m,1H)。19F NMR(376MHz,メタノール-d4)δ ppm -119.71 - -118.25(m,6F)-83.14 - -71.43(m,1F).m/z(ESI,陽イオン):669.0(M+H)+。
【0206】
実施例5.1:(E)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-4-(4-(4-(イソプロピルアミノ)ブタ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
【化49】
実施例5の手順に従い、ステップ2のイソプロピルアミンを使用して、化合物を調製した。
1H NMR(400MHz,メタノール-d
4)δ ppm 0.97-1.06(m,6H)1.16-1.22(m,6H)1.37-1.43(m,6H)2.69-2.80(m,2H)3.88-3.95(m,2H)3.95-4.07(m,8H)4.09-4.16(m,1H)6.75-6.87(m,1H)6.97-7.06(m,1H)7.14-7.26(m,3H)7.44-7.59(m,1H)8.50-8.56(m,1H)9.02-9.12(m,1H)。
19F NMR(376MHz,メタノール-d
4)δ ppm -115.73(s,6F)-79.92 - -74.06(m,1F).2TFAと一致.m/z(ESI,陽イオン):671.2(M+H)
+。
【0207】
実施例5.2:(E)-4-(4-(4-(tert-ブチルアミノ)ブタ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
【化50】
実施例5の手順に従い、tert-ブチルアミンを使用して、化合物を調製した。:m/z(ESI,陽イオン):685.3(M+H)
+。
1H NMR(400MHz,メタノール-d
4)δ ppm 0.95-1.00(m,6H)1.14-1.18(m,6H)1.40-1.44(m,9H)2.61-2.76(m,2H)3.84-3.90(m,2H)3.92-4.06(m,8H)6.70-6.83(m,1H)6.94-7.03(m,1H)7.07-7.27(m,4H)7.42-7.52(m,1H)8.41-8.57(m,1H)8.95-9.11(m,1H)。
19F NMR(376MHz,メタノール-d
4)δ ppm -115.73(s,1F)-78.45 - -76.11(m,1F)
【0208】
実施例6
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
【化51】
ステップ1:tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート。
6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(中間体P、250mg、0.5mmol)とiPr
2EtN(0.29mL、1.6mmol)とのアセトニトリル(5mL)中溶液にオキシ塩化リン(0.08mL、0.8mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加し、得られた溶液を80℃で30分間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で留去した。得られた残渣をアセトニトリル(4mL)に溶解し、iPr
2EtN(0.29mL、1.6mmol)を添加した。この混合物を0℃まで冷却し、アセトニトリル(0.5mL)中、tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレート(207mg、1.1mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。室温で20分間撹拌した後、飽和NaHCO
3(5mL)及びEtOAc(5mL)を添加した。有機層を採取し、水で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、減圧中で濃縮した。残渣のクロマトグラフィー精製(シリカゲル、ヘプタン中0~25%のEtOAc:EtOH(3:1))により、tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートを淡黄色固体として得た:m/z(ESI,陽イオン)617.0(M+H)
+。
【0209】
ステップ2:4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
50mLの丸底フラスコにtert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(246mg、0.4mmol)、トリフルオロ酢酸(2mL、17.5mmol)及びDCM(4mL)を添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、溶媒を減圧下で留去して、6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-4-(ピペラジン-1-イル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリルをトリフルオロ酢酸塩として得た:m/z(ESI,陽イオン)517.0(M+H)+。粗製塩をDCM(5mL)に溶解し、iPr2EtN(0.28mL、1.6mmol)を添加した。反応混合物を0℃まで冷却し、DCM(0.5mL)中、塩化アクリロイル(0.036mL、0.44mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を添加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、NaHCO3の飽和水溶液(5mL)でクエンチし、EtOAc(10mL)で抽出した。有機層を分離し、ブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧中で濃縮した。残渣のクロマトグラフィー精製(シリカゲル、ヘプタン中0~50%のEtOAc:EtOH(3:1))により、4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-7-(2-フルオロフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリルを淡黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 8.50(s,1H),8.44(d,J=4.77Hz,1H),7.47-7.57(m,1H),7.25-7.34(m,2H),7.22(d,J=5.18Hz,1H),7.19(td,J=7.26,1.45Hz,1H),6.92(dd,J=16.59,10.37Hz,1H),6.21(dd,J=16.79,2.28Hz,1H),5.75-5.80(m,1H),3.79-4.00(m,8H),2.66(五重線,J=6.63Hz,1H),1.93(s,3H),1.07(d,J=6.63Hz,3H),0.91(d,J=6.63Hz,3H).m/z(ESI,陽イオン)571.0(M+H)+。
【0210】
上記の経路に従い、ステップ1の置換されている1-Boc-ピペラジンから、以下の化合物を調製した。
【0211】
【0212】
実施例7
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-2-オキソ-7-(o-トリル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
【化52】
ステップ1:ラセミのtert-ブチル4-(6,7-ジクロロ-3-シアノ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート。
250mLの丸底フラスコに、CH
3CN(24mL)中、6,7-ジクロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(中間体K、2.8g、6.7mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(3.5ml、20.1mmol)を添加した。次いで、POCl
3(0.94ml、10.1mmol)を滴下添加した。反応混合物を80℃で3時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で留去した。
【0213】
残渣をCH3CN(24mL)に再溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(3.5ml、20.1mmol)を添加した。反応生成物を0℃まで冷却し、1-Boc-ピペラジン(1.63g、8.7mmol、Aldrich)を一度に添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、室温まで加温し、飽和NaHCO3で処理し、EtOAc(3×)で抽出した。有機抽出物を水で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧中で濃縮した。粗製物質を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、ヘプタン中0%~25%の3:1 EtOAc:EtOHの勾配で溶離して精製し、tert-ブチル4-(6,7-ジクロロ-3-シアノ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(1.48g、2.5mmol、収率38%)を黄色固体として得た。m/z(ESI,陽イオン):585.0(M+1)。
【0214】
(M)-tert-ブチル4-(6,7-ジクロロ-3-シアノ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート及び(P)-tert-ブチル4-(6,7-ジクロロ-3-シアノ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
上記の物質を分取SFC精製により精製して、(M)異性体及び(P)異性体の両方を得た:[OX-H(5um、21×250mm)カラム、F=80ml、35%メタノール、65%二酸化炭素、背圧=90bar、1.2mlインジェクション]により以下を得た:ピーク1:580mg、化学的純度:>99.0%、D.E.>99.0%。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.67(d,J=5.18Hz,1H),8.11(s,1H),7.22(d,J=5.18Hz,1H),3.67-3.81(m,8H),2.26-2.56(m,2H),1.52(s,9H),1.19(dd,J=6.84,12.02Hz,6H),1.03(dd,J=6.84,18.45Hz,6H)及びピーク2:650mg、化学的純度:>99.0%,D.E 96.3%。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.67(d,J=5.18Hz,1H),8.11(s,1H),7.22(d,J=4.98Hz,1H),3.67-3.84(m,8H),2.29-2.53(m,2H),1.52(s,9H),1.19(dd,J=6.84,12.02Hz,6H),1.03(dd,J=6.84,18.45Hz,6H)。
【0215】
ステップ2:tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-2-オキソ-7-(o-トリル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート。
tert-ブチル4-(6,7-ジクロロ-3-シアノ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(210mg、0.36mmol、1つの異性体)を含有するバイアルにo-トリルボロン酸(54mg、0.4mmol、Sigma-Aldrich Corporation)、Pd(PPh3)4(25mg、0.022mmol)及び炭酸カリウム(99mg、0.72mmol)を添加した。バイアルを減圧下に排気し、次いで窒素でフラッシュした。次いで、1,4-ジオキサン(897μl)及び水(299μl)を添加し、反応混合物を100℃で1時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、EtOAcとブラインとに分配した。水性層をEtOAc(2×)で逆抽出し、合わせた有機物を脱水し(Na2SO4)、濃縮した。粗製物質を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、ヘプタン中0%~50%の3:1 EtOAc/EtOHの勾配で溶離して精製し、tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-2-オキソ-7-(o-トリル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(164mg、0.26mmol、収率71%)を淡黄色固体として得た。m/z(ESI,陽イオン):641.3(M+1)。
【0216】
ステップ3:4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-2-オキソ-7-(o-トリル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
ジクロロメタン(1.3ml)に溶解したtert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-2-オキソ-7-(o-トリル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(164mg、0.26mmol)にトリフルオロ酢酸(400μl、5.4mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧中で濃縮し、残渣をジクロロメタン(1.3mL)に再溶解し、1,1’-ジメチルトリエチルアミン(134μl、0.77mmol)を添加し、次いで塩化アクリロイル(23μl、0.28mmol、Sigma-Aldrich Corporation)を0℃で滴下添加した。反応生成物を0℃で30分間撹拌した。反応混合物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、ヘプタン中0%~60%のEtOAcの勾配で溶離して精製し、4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-2-オキソ-7-(o-トリル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(63mg、0.1mmol、収率41.4%)を白色固体として得た。m/z(ESI,陽イオン):595.3(M+1)。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.53(d,J=5.18Hz,1H),8.15(s,1H),8.03(s,1H),7.16(d,J=7.67Hz,2H),7.10(d,J=5.18Hz,1H),6.96(d,J=7.46Hz,1H),6.57-6.66(m,1H),6.39(dd,J=1.76,16.69Hz,1H),5.81(dd,J=1.76,10.47Hz,1H),3.72-4.02(m,8H),2.52(五重線,J=6.63Hz,1H),2.38-2.46(m,1H),1.94(s,3H),1.16(dd,J=6.74,11.09Hz,6H),0.97(d,J=6.84Hz,3H),0.92(d,J=6.84Hz,3H)。
【0217】
【0218】
実施例8
ラセミの4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
【化53】
ステップ1:6-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
6,7-ジクロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(中間体J、335mg、0.8mmol)、炭酸カリウム(222mg、1.6mmol)、Pd(PPh
3)
4(56mg、0.048mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)及び2-フルオロベンゼンボロン酸(124mg、0.9mmol)に1,4-ジオキサン(2ml)及び水(669μl)を添加し、反応混合物を100℃で3時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、EtOAcとブラインとに分配した。水性層をEtOAc(2×)で逆抽出し、合わせた有機物を脱水し(Na
2SO
4)、濃縮した。粗製物質を、シリカゲルカラム上でのクロマトグラフィーにより、ヘプタン中0%~50%の3:1 EtOAc/EtOHの勾配で溶離して精製し、6-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(326mg、0.68mmol、収率85%)を黄色固体として得た。m/z(ESI,陽イオン):477.2(M+1)。
【0219】
ステップ2:tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート。
6-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(326mg、0.7mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(358μl、2.0mmol)及びPOCl3(96μl、1.0mmol)にCH3CN(2.3mL)を添加した。反応混合物を80℃で1時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をCH3CN(2.3mL)に再溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(358μl、2.0mmol)を添加した。反応生成物を0℃まで冷却し、1-Boc-ピペラジン(166mg、0.9mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を一度に添加した。室温で2時間撹拌した後、飽和NaHCO3を添加し、水性層をEtOAc(3×)で抽出した。有機抽出物を水で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧中で濃縮した。粗製物質を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、ヘプタン中0%~25%のEtOAc:EtOH(3:1)の勾配で溶離して精製し、tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(270mg、0.4mmol、収率61%)を橙色固体として得た。m/z(ESI,陽イオン):645.2(M+1)。
【0220】
ステップ3:ラセミの4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
ジクロロメタン(4.1ml)中、tert-ブチル4-(6-クロロ-3-シアノ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(0.52g、0.8mmol)をトリフルオロ酢酸(1.3ml、17.4mmol)とともに1時間撹拌した。この混合物を減圧中で濃縮し、残渣をジクロロメタン(2mL)に再溶解した。1,1’-ジメチルトリエチルアミン(0.43ml、2.4mmol)を添加し、次いで塩化アクリロイル(0.073ml、0.9mmol)を0℃で滴下添加した。反応生成物を0℃で30分間撹拌した。反応混合物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、ヘプタン中0%~50%の3:1 EtOAc/EtOHの勾配で溶離して精製し、4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(0.23g、0.19mmol、収率46%)を得た。m/z(ESI,陽イオン):599.3(M+1)。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.67(d,J=5.39Hz,1H),8.18(s,1H),7.36-7.46(m,1H),7.22(d,J=5.18Hz,1H),7.03-7.18(m,3H),6.64(dd,J=10.57,16.79Hz,1H),6.41(dd,J=1.66,16.79Hz,1H),5.84(dd,J=1.66,10.57Hz,1H),3.78-4.10(m,8H),2.57(td,J=6.82,13.53Hz,1H),2.47(td,J=6.84,13.68Hz,1H),1.23(d,J=6.84Hz,3H),1.18(d,J=6.84Hz,3H),1.02(d,J=6.84Hz,3H),0.95(d,J=6.84Hz,3H)。
【0221】
実施例8.1及び8.2:上記の物質(実施例8)を分取SFC精製[OX-H(5um、21×250mm)、F=80ml、30%メタノール、70%二酸化炭素、背圧=90bar、1.0mlインジェクション]により精製して、以下を得た。
【0222】
実施例8.1:ピーク1として:14-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル、オフホワイト色固体として、化学的純度:>99.0%、D.E.>99.0%;m/z(ESI,陽イオン):599.3(M+1)。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.58(d,J=5.18Hz,1H),8.17(s,1H),7.36-7.47(m,1H),7.05-7.19(m,4H),6.64(dd,J=10.37,16.79Hz,1H),6.41(dd,J=1.66,16.79Hz,1H),5.83(dd,J=1.76,10.47Hz,1H),3.78-4.08(m,8H),2.48-2.60(m,1H),2.38-2.48(m,1H),1.18(dd,J=6.84,10.78Hz,6H),0.90-1.02(m,6H)。19F NMR(376MHz,クロロホルム-d)δ -113.03(s,1F)。
【0223】
実施例8.2:ピーク2として:4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル、オフホワイト色固体として、化学的純度>99.0%、D.E.98.2%.m/z(ESI,陽イオン):599.3(M+1)。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.58(d,J=5.18Hz,1H),8.17(s,1H),7.34-7.47(m,1H),7.03-7.19(m,4H),6.64(dd,J=10.57,16.79Hz,1H),6.41(dd,J=1.66,16.79Hz,1H),5.83(dd,J=1.76,10.47Hz,1H),3.76-4.12(m,8H),2.49-2.63(m,1H),2.37-2.49(m,1H),1.18(dd,J=6.74,10.68Hz,6H),0.90-1.02(m,6H)。19F NMR(376MHz,クロロホルム-d)δ -113.03(s,1F)。
【0224】
【0225】
実施例9
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
【化54】
オキシ塩化リン(0.334mL、3.57mmol)を7-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-6-フルオロ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(中間体K、1.1g、2.7mmol)とトリエチルアミン(1.157mL、8.23mmol)とのアセトニトリル(10mL)中溶液にアルゴン下で滴下添加した。この混合物を80℃まで1時間加熱し、減圧中で濃縮した。残渣をアセトニトリル(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(7.71mL、54.9mmol)及び1-(ピペラジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オンビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(1.314g、3.57mmol、eNovation、LLC)で処理した。反応混合物を室温で12時間撹拌し、水で希釈し、EtOAc(2×)で抽出した。有機抽出物を合わせ、減圧中で濃縮し、残渣を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、ヘプタン中0~80%のEtOAc/EtOH(3:1)で溶離して精製し、4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(0.102g、0.098mmol)をアトロプ異性体の混合物として得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.71(d,J=5.18Hz,1H),7.88(d,J=7.67Hz,1H),7.26-7.29(m,1H),6.66(dd,J=10.57,16.79Hz,1H),6.40-6.47(m,1H),5.86(dd,J=1.66,10.57Hz,1H),3.99(br s,4H),3.71-3.90(m,4H),2.36-2.54(m,2H),1.24(d,J=6.63Hz,3H),1.21(d,J=6.63Hz,3H),1.09(d,J=6.63Hz,3H),1.04(d,J=6.84Hz,3H)。
19F NMR(376MHz,クロロホルム-d)δ -124.74(s,1F).m/z(ESI,陽イオン):523.1(M+H)
+。
【0226】
実施例9.1:4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
【化55】
実施例9の手順に従い、中間体Iから化合物を調製した。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 0.93-1.01(m,6H)1.05-1.12(m,6H)2.61-2.75(m,2H)3.72-3.95(m,8H)5.62-5.97(m,1H)6.10-6.38(m,1H)6.83-7.01(m,1H)8.36-8.73(m,1H)8.97-9.77(m,1H).m/z(ESI,陽イオン):539.8(M+H)
+。
【0227】
実施例9.2:4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
【化56】
実施例9の手順に従い、中間体Lから化合物を調製した。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 0.95-1.02(m,3H)1.04-1.11(m,3H)1.89-1.96(m,3H)2.56-2.70(m,1H)3.74-3.95(m,8H)5.70-5.83(m,1H)6.10-6.28(m,1H)6.82-6.99(m,1H)7.26-7.36(m,1H)8.46-8.56(m,2H).m/z(ESI,陽イオン):511.1(M+H)
+。
【0228】
実施例10
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-7-(o-トリル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
【化57】
ステップ1:tert-ブチル4-(7-クロロ-3-シアノ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート。
実施例9に記載した手順に従い、1-(t-ブトキシカルボニル)-ピペラジン(0.657g、3.5mmol、Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を使用して、tert-ブチル4-(7-クロロ-3-シアノ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(0.71g、1.2mmol、収率49%)を得た。m/z(ESI,陽イオン):569.3(M+H)
+。
【0229】
ステップ2:4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
TFA(1.86mL、24.9mmol)をtert-ブチル4-(7-クロロ-3-シアノ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(0.71g、1.2mmol)のジクロロメタン(5mL)中溶液に添加した。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、次いで減圧中で濃縮した。残渣をDCM(5mL)中に懸濁し、TEA(0.710mL、5mmol)で処理し、次いで塩化アクリロイル(0.16mL、2mmol)で処理した。反応生成物を室温で10分間撹拌し、水でクエンチし、EtOAc(2×)で抽出した。有機層を合わせ、濃縮し、残渣を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、ヘプタン中0~80%のEtOAc/EtOH(3:1)の勾配で溶離して精製し、4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(0.610g、1.1mmol、収率93%)を得た。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.69(d,J=5.18Hz,1H),7.86(d,J=7.67Hz,1H),7.23-7.26(m,1H),6.62(dd,J=10.57,16.79Hz,1H),6.40(dd,J=1.76,16.69Hz,1H),5.83(dd,J=1.66,10.57Hz,1H),3.96(br s,4H),3.78(br s,4H),2.32-2.52(m,2H),1.22(br d,J=6.63Hz,3H),1.18(d,J=6.63Hz,3H),1.07(br d,J=6.43Hz,3H),1.01(d,J=6.84Hz,3H)。19F NMR(376MHz,クロロホルム-d)δ -124.72(s,1F).m/z(ESI,陽イオン):523.1(M+H)+。
【0230】
ステップ3:4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-7-(o-トリル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-クロロ-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(0.250g、0.478mmol)と、o-トリルボロン酸(0.097g、0.717mmol、Sigma-Aldrich Corporation)と、炭酸ナトリウム(0.15g、1.4mmol)と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.055g、0.048mmol)との1,4-ジオキサン(3mL)/水(2mL)中混合物を90℃で1時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機物を濃縮し、残渣を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、ヘプタン中0~90%のEtOAc/EtOH(3:1)で溶離して精製し、4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-6-フルオロ-2-オキソ-7-(o-トリル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(0.11g、0.09mmol、収率19%)をアトロプ異性体の混合物として得た。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.58(br d,J=4.98Hz,1H),7.86(d,J=9.12Hz,1H),7.26-7.32(m,1H),7.09-7.23(m,4H),6.62(dd,J=10.57,16.79Hz,1H),6.35-6.44(m,1H),5.81(dd,J=1.66,10.57Hz,1H),3.91-4.06(m,4H),3.82(br s,4H),2.39-2.60(m,2H),1.98(s,3H),1.13-1.22(m,6H),0.97(br d,J=6.01Hz,3H),0.91(d,J=6.63Hz,3H)。19F NMR(376MHz,クロロホルム-d)δ -126.76(s,1F).m/z(ESI,陽イオン):579.4(M+H)+。
【0231】
実施例10.1:4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-1-(2,4-ジイソプロピルピリジン-3-イル)-6-フルオロ-7-(2-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
【化58】
実施例10の手順に従い、2-フルオロフェニルボロン酸(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を使用して、化合物を調製した。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.65(d,J=5.18Hz,1H),7.92(d,J=9.12Hz,1H),7.38-7.49(m,1H),7.11-7.26(m,4H),6.66(dd,J=10.57,16.79Hz,1H),6.34-6.50(m,1H),5.85(dd,J=1.76,10.47Hz,1H),3.94-4.11(m,4H),3.86(br s,4H),2.44-2.63(m,2H),1.18-1.26(m,6H),1.02(br d,J=6.63Hz,3H),0.96(d,J=6.84Hz,3H)。
19F NMR(376MHz,クロロホルム-d)δ -112.53 - -112.64(s,1F),-125.66 - -125.77(s,1F)(アトロプ異性体の存在が原因で、シグナルが分裂).m/z(ESI,陽イオン):583.4(M+H)
+。
【0232】
実施例11
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-7-(o-トリル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル
【化59】
ステップ1:tert-ブチル4-(6,7-ジクロロ-3-シアノ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート。
中間体9について記載した手順に従い、中間体Lから化合物を調製した。
【0233】
ステップ2:4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
DCM(20ml)中、tert-ブチル4-(6,7-ジクロロ-3-シアノ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(6.26g、11.2mmol)にTFA(15ml)を添加した。この混合物を15分間撹拌し、蒸発させた。DCM(5×20ml)を添加し、蒸発させた。残渣を減圧中で乾燥し、DCM(40ml)に溶解し、氷水浴で冷却した。ジイソプロピルエチルアミン(13ml、74.4mmol)及び塩化アクリロイル(1.5ml、18.4mmol)を添加した。10分後、DCM(100ml)及びブライン50mlを添加し、2つの層を分離した。有機層を乾燥し、蒸発させ、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、25%~70%(3/1 EtOAc/EtOH)/ヘプタンで溶離して精製し、4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリルを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 0.95-1.02(m,3H)1.04-1.11(m,3H)1.89-1.96(m,3H)2.56-2.70(m,1H)3.74-3.95(m,8H)5.70-5.83(m,1H)6.10-6.28(m,1H)6.82-6.99(m,1H)7.26-7.36(m,1H)8.46-8.56(m,2H).m/z(ESI,陽イオン):511.1(M+H)+。
【0234】
ステップ3:4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリルの単一のアトロプ異性体。
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリルを、分取SFCにより、OX(250×30mm、5u)、30%iPrOH:ACNの1:1混合物の移動相、流速150mL/分を使用して精製し、ピーク1をee>99%(化学的純度>99%)で、且つピーク2をee97.53%(化学的純度97.53%)で生成した。ピーク同定は、OXカラムを用いるSFCにより、30%iPrOH:ACNの1:1混合物を使用して決定した。
【0235】
ステップ4:4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-7-(o-トリル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル。
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6,7-ジクロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル、SFC分離による第1の溶離ピーク(0.156g、0.305mmol)と、o-トリルボロン酸(0.050g、0.36mmol)と、酢酸カリウム(0.090g、0.9mmol)と、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(0.022g、0.03mmol)との1,4-ジオキサン(1mL)/水(0.4mL)中混合物を90℃で1時間撹拌した。得られた混合物を水で希釈し、EtOAc(2×)で抽出した。有機物を減圧中で濃縮し、残渣を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、ヘプタン中0~80%のEtOAc/EtOH、(3:1)で溶離して精製し、4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-7-(o-トリル)-1,2-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-カルボニトリル(0.021g、0.037mmol、収率12%)を得た。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.48(d,J=4.77Hz,1H),8.18(s,1H),7.28-7.32(m,1H),7.14-7.22(m,2H),7.01-7.12(m,2H),6.64(dd,J=10.57,16.79Hz,1H),6.40(dd,J=1.66,16.79Hz,1H),5.82(dd,J=1.55,10.47Hz,1H),3.99(br s,4H),3.84(br s,4H),2.49-2.65(m,1H),1.97(d,J=6.63Hz,6H),1.19(d,J=6.63Hz,3H),0.98(d,J=6.63Hz,3H).m/z(ESI,陽イオン):567.4(M+H)+。
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
【0240】
【0241】
【0242】
【0243】
【0244】
【0245】
【0246】
【0247】
【0248】
【0249】
【0250】
生物学的解析
表10の化合物について以下のアッセイ条件を使用した。
【0251】
結合ヌクレオチド交換アッセイ:G12C及びC118Aの両方のアミノ酸置換並びにN-末端のHis-tagを含有する精製GDP結合型KRASタンパク質(aa1-169)をアッセイ緩衝液(25mM HEPES pH7.4、10mM MgCl2及び0.01%Triton X-100)中で化合物の用量反応滴定とともに5分間プレインキュベートした(表10を参照されたい)。化合物をプレインキュベートした後、精製SOSタンパク質(aa564-1049)及びGTP(Roche 10106399001)をアッセイウェルに添加し、さらに30分間インキュベートした。SOS媒介性ヌクレオチド交換の阻害の程度を決定するために、精製GSTタグ付きcRAF(aa1-149)、ニッケルキレートAlphaLISAアクセプタービーズ(PerkinElmer AL108R)及びAlphaScreenグルタチオンドナービーズ(PerkinElmer 6765302)をアッセイウェルに添加し、10分間インキュベートした。次いで、アッセイプレートを、PerkinElmer EnVision Multilabel Readerで、AlphaScreen(登録商標)技術を使用して読み取り、4パラメーターロジスティックモデルを使用してデータを解析し、IC50値を算出した。
【0252】
ホスホ-ERK1/2 MSDアッセイ:MIA PaCa-2(ATCC(登録商標)CRL-1420(商標))細胞及びA549(ATCC(登録商標)CCL-185(商標))細胞を、10%ウシ胎仔血清(ThermoFisher Scientific 16000044)及び1×ペニシリン-ストレプトマイシン-グルタミン(ThermoFisher Scientific 10378016)を含有するRPMI 1640培地(ThermoFisher Scientific 11875093)に入れて培養した。化合物処理の16時間前にMIA PaCa-2を96ウェル細胞培養プレートに25,000細胞/ウェルの密度で播種し、37℃、5%CO2でインキュベートした。化合物の用量反応滴定を増殖培地で希釈し、細胞培養プレートの適切なウェルに添加し、次いで37℃、5%CO2で2時間インキュベートした(表10を参照されたい)。化合物処理に続き、細胞を10ng/mL EGF(Roche 11376454001)で10分間刺激し、氷冷ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(Ca2+もMg2+も不含)(ThermoFisher Scientific 14190144)で洗浄し、次いでプロテアーゼ阻害剤(Roche 4693132001)及びホスファターゼ阻害剤(Roche 4906837001)を含有するRIPA緩衝液(50mM Tris-HCl pH7.5、1% Igepal、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、150mM NaCl及び0.5%ドデシル硫酸ナトリウム)中に溶解させた。化合物処理した溶解物中のERK1/2のリン酸化を、ホスホ-ERK1/2全細胞溶解物キット(Meso Scale Discovery K151DWD)を使用し、製造元のプロトコルに従ってアッセイした。アッセイプレートをMeso Scale Discovery Sector Imager 6000で読み取り、4パラメーターロジスティックモデルを使用してデータを解析し、IC50値を算出した。
【0253】
【0254】
【0255】
本発明は、好ましい実施形態に関して記載されている。しかし、本発明は、開示される実施形態に限定されるものではないことが理解されるべきである。本明細書に本発明の実施形態の説明が記載されれば、当業者によって様々な変更形態がなされ得ることが理解される。そのような変更形態は、以下の特許請求の範囲に包含される。