(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179565
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】非接触工具設定装置および方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/22 20060101AFI20231212BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B23Q17/22 D
B23Q17/24 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023163022
(22)【出願日】2023-09-26
(62)【分割の表示】P 2020512460の分割
【原出願日】2018-08-31
(31)【優先権主張番号】17189504.8
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム アーネスト リー
(72)【発明者】
【氏名】ポール マックステッド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光ビームを発する送信機と光ビームを受信する受信機を含む非接触工具設定装置を使用して、工具のプロファイルを評価する方法および装置を提供する。
【解決手段】受信機(14)は、受信された光の強度を記述するビーム強度信号を生成する。非接触工具設定装置は、工具が非接触工具設定装置に対して移動させられることを可能にする、工作機械などの座標位置決め装置に取り付けられる。方法は、工具検査行路に沿って、非接触工具設定装置に対して工具を移動させるために、座標位置決め装置を使用することを含み、工具検査行路は、光ビームが、検査される工具の周縁の周りに沿って実質的に進むように選択される。工具検査行路が通過されるときに、受信機(14)によって生成されるビーム強度信号を記述する、ビーム強度データが収集され、収集されたビーム強度データの分析は、工具プロファイルを評価するために使用される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを発する送信機と前記光ビームを受信する受信機を含む非接触工具設定装置であって、前記受信機は、受信された光の強度を記述するビーム強度信号を生成し、前記非接触工具設定装置は、工具が、前記非接触工具設定装置に対して移動させられることを可能にする、座標位置決め装置に取り付けられた、前記非接触工具設定装置を使用して工具プロファイルを評価する方法であって、前記工具は、複数の切削歯を有し、該方法は、
(i)工具検査行路に沿って、前記非接触工具設定装置に対して前記工具を移動させるために、前記座標位置決め装置を使用する工程であって、前記工具検査行路は、前記光ビームが、検査される前記工具の周縁に実質的に沿って進むように選択される、前記工程と、
(ii)工程(i)の前記工具検査行路が通過されるときに、前記受信機によって生成される前記ビーム強度信号を記述するビーム強度データを収集する工程と、
(iii)前記工具プロファイルを評価するために、工程(ii)で収集された前記ビーム強度データを、同じ工具の以前の測定から、または、前記工具と同じ公称プロファイルを有する基準工具から収集された、以前に取得されたビーム強度データと比較することにより、工程(ii)で収集された前記ビーム強度データを分析する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、前記工具検査行路は、前記光ビームが前記工具の周縁の公称位置に沿った行路を進むように選択されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2の方法であって、工程(iii)は、前記収集されたビーム強度データが、検査される前記工具の前記プロファイルが、その公称プロファイルに適合した場合に期待されるデータに対応するかどうかを評価することを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項の方法であって、工程(iii)の分析は、前記工具プロファイルが、以前の測定値に対して変化したかどうかの指示を提供することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項の方法であって、前記工具は、前記座標位置決め装置の回転可能なスピンドルに保持され、前記工具は、前記工具検査行路に沿って移動させられながら、その長手方向軸の周りに回転させられることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5の方法であって、工程(iii)は、前記ビーム強度データにおける最小値および/または最大値を識別することを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6の方法であって、前記工具は、複数の切削歯を含み、工程(iii)は、前記工具の各歯に関連する、前記最小値および/または最大値を識別して、各歯のプロファイルを別々に評価することを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6~7のいずれか一項の方法であって、工程(iii)は、前記最小値および/または前記最大値の形状を分析して、前記最小値および/または前記最大値を生成する歯のプロファイルを評価することを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項の方法であって、工程(ii)は、前記ビーム強度信号をデジタル化して前記ビーム強度データを生成することを含み、工程(iii)は、デジタル信号プロセッサを使用して、前記ビーム強度データを分析することを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項の方法であって、前記工具検査行路は、前記工程(i)を開始する前に、前記座標位置決め装置がたどるようにプログラムされる、事前にプログラムされた行路を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項の方法であって、前記座標位置決め装置は、工作機械であることを特徴とする方法。
【請求項12】
座標位置決め装置上で、非接触工具プロファイル測定を実行する装置であって、該装置は、
光ビームを発する送信機、
光ビームを受信し、受信機で受信された光の強度を記述するビーム強度信号を生成する受信機、
前記ビーム強度信号からビーム強度データを生成するアナログ-デジタル変換器、および、
前記ビーム強度データを分析するためのプロセッサを含み、
前記プロセッサは、複数の切削歯を有する工具が、工具検査行路に沿って移動させられるときに生成される前記ビーム強度データを、同じ工具の以前の測定から、または、前記工具と同じ公称プロファイルを有する基準工具から収集された、以前に取得されたビーム強度データと比較することにより、前記ビーム強度データを分析することによって、前記工具のプロファイルを評価するように構成され、前記工具検査行路は、前記工具の周縁の周りに前記光ビームを進めるように選択されることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標位置決め装置用の非接触工具設定装置に関し、特に、工具のプロファイルを測定するための改良された方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械で使用するためのビーム遮断工具設定装置は、たとえば、特許文献1で知られている。このタイプの工具設定装置は、光検出器に進められる光ビームを生成する光源を含む。工具設定操作中、工作機械は、工具を光ビームに出し入れするように操作される。工具による光ビームの遮断は、検出器出力信号の分析によって検出され、装置は、いわゆる「トリガー信号」を生成して、光ビームが遮断されたことを、関連する工作機械に示す。通常、このトリガー信号は、光レベルが「ビーム通過」状態の50%に達すると(つまり、光ビームの50%が、検出器に到達するのを阻止されると)、発せられる。工作機械は、「トリガー信号」の受信で、工具設定装置に対する工具の位置を記録し、それにより、工具エッジ上の単一の位置が決定されることを可能にする。この測定動作は、工具のエッジ上の複数の異なる位置を1つずつ測定するために、複数回繰り返され得る。したがって、この配置は、工具の長さ及び/又は工具直径などの工具サイズが測定されることを可能にする。
【0003】
特許文献2は、回転または非回転工具が光ビームに出入りさせられる測定移動中に、「トリガー信号」を生成する代替方法を記載する。特に、特許文献2は、検出器出力信号をデジタル化すること、および、測定移動中にビームに出入りする切削工具の1つ以上の歯に対応する、デジタル化データの最小値および/または最大値を識別することを記載する。デジタルプロセッサは、最小値/最大値が、期待されるタイプの曲線に適合するかどうかをリアルタイムで判断し、そのような適合曲線が、しきい値を超える場合にのみトリガー信号を発する。このようにして、それらの光ビームへの出入りの間に、工具上の単一の点の位置を測定することが可能である。静止工具の場合、測定された位置は、光ビームをブロックするエッジ上にある。ビームの内外に回転させられる複数の切削歯を備えた回転工具の場合、測定位置は最大直径を有する切削エッジ上にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6496273号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1587648号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、上述の工具設定装置は、工具のエッジ上の点の位置が、比較的迅速に確立され、したがって、工具の長さまたは工具の直径の測定値を提供することを可能にする。また、工具のエッジに沿った複数の異なる点を測定するように、測定移動を繰り返すことによって、工具のプロファイルを測定することが可能であるが、そのようなプロセスは非常に時間がかかり得(つまり、工具は、複数回、ビームに出し入れ移動させられねばならない)、および、通常、非実用的と見なされる。そのような従来技術の工具測定プロセスのさらなる詳細は、
図9aを参照して以下に説明される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、光ビームを発する送信機と、光ビームを受信する受信機を備える、非接触工具設定装置を使用して工具のプロファイルを評価する方法が提供され、受信機は、受信光の強度を表すビーム強度信号を生成し、非接触工具設定装置は、工具が非接触工具設定装置に対して移動させられることを可能にする、座標位置決め装置に取り付けられ、方法は、
(i)工具検査行路に沿って、非接触工具設定装置に対して工具を移動させるために、座標位置決め装置を使用する工程であって、工具検査行路は、光ビームが、検査される工具の周縁に実質的に沿って進むように選択される工程、
(ii)工程(i)の工具検査行路が通過されるときに、受信機によって生成される、ビーム強度信号を記述するビーム強度データを収集する工程、および、
(iii)工程(ii)で収集されたビーム強度データを分析して、工具プロファイルを評価する工程を含む。
【0007】
したがって、本発明の第1の態様は、非接触工具設定装置を使用して工具のプロファイルを評価する方法に関する。評価されるプロファイルは、工具の1つ以上の切削構造の形状、位置、または寸法である。非接触工具設定装置は、送信機から(例えば、送信機のレーザーダイオードによって)放射された光ビーム(例えば、レーザービーム)が、自由空間の領域を通って受信機に通過させられる、ビーム遮断型の工具検出システムを含む。受信機は、受信された光を検出し(たとえば、フォトダイオードを使用して)、受信された光の強度を表すビーム強度信号を生成する。非接触工具設定装置は、非接触工具設定装置に対して工具を動かすようにプログラムされ得る、工作機械などの座標位置決め装置に取り付けられる。相対移動は、工具および/または非接触工具設定装置を動かすことによって与えられ得る。
【0008】
本発明の方法は、光ビームと工具との間に相対運動を与え、工具検査行路を画定するように、座標位置決め装置を使用する工程(i)を含む。特に、工程(i)は、光ビームが、工具の周縁に沿って進むように、非接触工具設定装置に対して工具を移動させることを含む。したがって、座標位置決め装置は、工具の周縁に沿って光ビームが走査されることをもたらす工具検査行路に沿って、光ビームを移動させるように配置される。言い換えれば、工具検査経路は、光ビームが、工具の周縁にほぼ接する方向に移動させられるように選択される。これは、測定点を取得するために、工具が光ビームに出入りするように(すなわち、工具のエッジに対して実質的に垂直な方向に)移動させられる、上述の従来技術と比較対照されるべきである。
【0009】
回転しない(静止した)工具の場合には、工具の周縁は、単純に、検査されるべき工具のエッジである。工具が回転している場合、工具検査行程は、回転する工具の複数のエッジの最も外側の範囲に沿って光ビームを進めるように設定される。したがって、工具の周縁に沿って光ビームを進める動きは、また、工具の周辺のさまざまな部分が、光ビーム内外に回転させられることをもたらす、任意の回転工具の動き(たとえば、工具の長手方向軸の周りの工具の回転)に加えて実行される。工具の周縁に沿って光ビームを進める動きは、好ましくは、直線(並進)運動のみであり、いかなる回転運動をも含まない。換言すれば、工具検査行路は、好ましくは、光ビームに対する工具の直線運動(例えば、相互に直交するx、yおよび/またはz軸に沿った動き)のみを画定する。工具検査行路は、工具の形状に応じて、直線であり得、および/または、曲線状工具の周縁をたどるための1つまたは複数の曲線部分を含み得る。工具検査行路は、測定されるべき工具の一部のみを通過し得、または、工具の全周縁の周りを通過し得る。好ましくは、光ビームの少なくとも一部は、工具検査行路の通過の間、工具に当たる。以下で説明されるように、工具検査行路は、工具周縁の周りの単一の行路を含み得、また、工具周縁の周りの複数の行程を含み得る。
【0010】
工程(ii)は、工具検査行路が通過されるときに生成されるビーム強度信号をサンプリングし、それによりビーム強度データを生成することを含む。例えば、ビーム強度信号は、アナログ-デジタル変換器によってデジタル化されて、ビーム強度データのセットを生成し得る。言い換えれば、ビームの掩蔽のレベルを表すビーム強度信号は、通常、工具検査行路が通過されるときに変化するだろう。工程(ii)は、ビーム強度信号を定期的にサンプリングし、分析されるべきビーム強度データを生成することを含む。任意の適切なサンプリング速度が使用され得る。たとえば、回転する工具のために、より高いサンプリング速度が使用され得る(たとえば、工具が回転させられるときのビームの掩蔽を記述するビーム強度データを取得するため)。光ビームが工具検査行路を通過するときサンプリング速度は変更され得、工具の特定の領域で、より多くのビーム強度データが収集されることを可能にする。また、光ビームは、単一の一定の速度で、工具検査行路を通過し得、また、工具検査行路の異なる部分に沿って通過する際に異なる速度で移動させられ得ることが留意されるべきである。また、工具に対して光ビームが移動させられない、工具検査行路の一部として画定される、1つ以上の滞留期間が存在し得る(ただし、そのような滞留期間中、工具自体は、なお回転し続け得る)。そのような滞留期間中に収集されたビーム強度データは、回転工具を測定する場合に、特に有用である(たとえば、異なる切削歯のエッジなど、工具周辺の周りの複数の点の位置が、測定されることを可能にするため)。そのような滞留期間中に、非接触工具設定装置に対する工具位置に関して、座標位置決め装置からより正確な情報を取得することが、また可能である。
【0011】
以下で説明されるように、収集されたビーム強度データは、工具のプロファイルに関する情報を含む。したがって、工程(iii)は、以下で説明される技術のいずれか一つを使用して、ビーム強度データを分析することを含む。分析は、収集されたビーム強度データのすべてを分析することを含み得、または、データのサブセットを選択することを含み得る(例えば、工具検査行路に沿った関心のある領域または複数の領域から)。この方法で、工具のプロファイが評価され得る。
【0012】
したがって、本発明は、工具のプロファイルを測定するための迅速かつ簡単な技術を提供する。上述のタッチトリガータイプの測定のように、工具を光ビームに繰り返し出し入れ駆動することにより工具の周囲の複数の点を個別に測定する代わりに、工具周辺の周りで光ビームを進める走査タイプの操作で、工具の周辺が詳細に測定され得る。これは、工具のプロファイリングプロセスを迅速かつ簡単にする。
【0013】
有利には、工具検査行路は、光ビームが工具周辺の公称位置に沿った行路を進むように選択される。言い換えれば、公称のまたは期待される工具プロファイルの知識を使用して、工具検査行路が生成され得る。たとえば、工具検査行路は、工具の工具設計(例えば、CAD)データから生成され得る。工具検査行路は、その公称仕様に合致する工具の場合、工具が、工具検査行路を通過する際に、光ビームが、特定の予め設定されたレベル(たとえば50%)で遮られるように選択され得る。したがって、予め設定されレベルからのビーム強度データにおける偏差は、工具プロファイルが公称値からはずれることを示す。したがって、工程(iii)は、収集されたビーム強度データが、検査される工具のプロファイルがその公称プロファイルに適合するなら期待されるデータに、対応するかどうかを評価することを含み得る。特定の量を超える偏差は、必要な工具許容値が満たされていないことを示すために使用され得る。あるいは、偏差は、工具の想定寸法を調整するために使用され得る。
【0014】
上記で説明されたように、あらかじめ設定されたレベルからの(たとえば50%レベルからの)ビーム強度データにおける任意の偏差は、工具プロファイルが公称値から逸脱していることを示すために使用され得る。また、光ビーム内の工具エッジの位置に特定の変位が存在するときに生ずるであろう、ビーム強度信号における変化を確認するために、測定前に、較正プロセスが実行され得る。たとえば、ビーム内の工具エッジ位置とビーム強度信号との関係を記述する較正テーブルまたは関数が生成され得る。工具のエッジ位置とビーム強度信号の関係は、特にビーム内の位置におけるより大きな変化に対して、非線形であり得ることが留意されるべきである。そのような較正プロセスは、例えば、小さな間隔(例えば、10μmの間隔)で、50%のビーム掩蔽をもたらす位置から工具エッジを移動させること、および、各位置での結果としてのビーム強度信号を記録することを含み得る。このタイプの較正は、ビーム強度信号のいかなる変化(たとえば、50%から60%または50%から40%へのシフト)も、工具エッジ位置の偏位またはシフトに変換されることを可能にする。このようにして、工具の想定寸法は、取得された測定値に基づいて調整され得る。
【0015】
有利には、工程(iii)は、工程(ii)で収集されたビーム強度データを、以前に取得されたビーム強度データと比較することを含む。比較は、個々のビーム強度データ値の直接比較であり得る。あるいは、間接的な比較(例えば、以下で説明される回転工具に対する最小強度値の)が実行され得る。便利には、以前に取得されたビーム強度データは、同じ工具の以前の測定から収集されたデータを含む。例えば、以前に取得されたビーム強度データは、工具が切削目的で使用される前に収集され得る。あるいは、以前に取得されたビーム強度データは、工具と同じ公称プロファイルを有する基準工具の測定から収集されたデータを含み得る。言い換えれば、測定される工具と公称同一の「ゴールデン」または基準工具は、工程(ii)で収集されたビーム強度データが比較される、基準またはベースライン測定値を提供し得る。したがって、工程(iii)は、工具プロファイルが、前の測定値に対して変化したかどうかの指示を、便利には提供し得る。これは、工具プロファイルの任意の重要な部分が、切削性能が損なわれる可能性がある量を超えて変更されたかどうかを指示することを含み得る。したがって、指示は、特定の工具プロファイルの変化が発生したときにエラーフラグを立てることを含み得る。
【0016】
方法は、回転していない工具を使用して実行され得る(つまり、測定中の唯一の動きは、工具検査行路に沿った光ビームに対する工具の動きであり得る)。あるいは、工具は、測定中に回転させられ得る。したがって、工具は、座標位置決め装置の回転可能なスピンドルに保持され得る。工具は、その半径の周りに位置する1つ以上の切削歯を含み得る。便利には、工具は、工具検査行路に沿って移動させられながら、その長手方向軸の周りを回転させられる。このようにして、工具の回転中に、異なる切削歯が光ビームに順に出入りし、ビーム強度データにおける最小値および/または最大値を生成する。したがって、工程(iii)は、便利には、ビーム強度データにおける最小値および/または最大値を識別することを含み得る。そのような最小値および/または最大値の識別は、特許文献2に記載されているタイプのデジタル信号処理方法によって実行され得る。
【0017】
有利には、工具は、複数の切削歯を含む。便利には、工程(iii)は、工具の各歯に関連する最小値および/または最大値を識別することを含む。このようにして、各歯のプロファイルを個別に評価することが可能である。例えば、工具検査行路が通過されるときに生じる、歯に関連する最小値および/または最大値における変動は、その歯のプロファイルを評価するために使用され得る。このことは、回転工具の異なる歯の個別のプロファイリングが、工具検査行路の単一の通過で実行されることを可能にする。たとえば、個々の歯のサイズ偏差は、前述のように以前に取得された較正データを使用して決定され得、または、任意のそのような偏差が、以前の測定値と比較され得る。最小値および/または最大値を識別することに加えて、最小値および/または最大値の形状が、特定の工具プロファイル情報を推測するために使用され得る。したがって、工程(iii)は、最小値および/または最大値を生成する歯のプロファイルを評価するために、最小値および/または最大値の形状を分析することを含み得る。
【0018】
有利には、工程(ii)は、ビーム強度信号をデジタル化して、ビーム強度データを生成することを含む。これは、アナログからデジタルへのコンバータ(ADC)を使用して実行され、ビーム強度信号をサンプリングする。少なくとも10kHzのサンプリング速度が、好ましくは使用される(たとえば、3000rpmで回転する工具の場合)。便利には、少なくとも100kHzのサンプリング速度が使用される。100kHz~500kHzのサンプリング周波数が、便利に使用され得る。工程(iii)は、有利には、デジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して、ビーム強度データを分析することを含む。これは、すべてのデータが収集された後に実行され得、または、分析は、データがまだ収集されているときに開始され得る。上述のように、一定のサンプリング速度が使用され得る。あるいは、工具検査行路が通過されるときに、サンプリング速度は、変更され得る。
【0019】
座標位置決め装置が工具を移動する前に、工具検査行路は、事前に計算され得る。換言すれば、工具検査行路は、工程(i)を開始する前に、座標位置決め装置がたどるようにプログラムされた、事前にプログラムされた行路を含み得る。そのような既知の行路技術の代わりに、工具検査行路は、非接触工具設定装置から座標位置決め装置に渡される、フィードバックを使用して、工程(i)中に生成され得る。たとえば、工具検査行路は、ビーム強度信号を、特定の範囲内に維持するように選択され得る。
【0020】
任意の適切な座標位置決め装置が、本方法を実施するために使用され得る。有利には、座標位置決め装置は、工作機械(例えば、コンピュータ数値制御またはCNC工作機械)である。あるいは、座標位置決め装置は、座標測定機(CMM)、フレキシブルゲージ(英国Wotton-Under-Edgeのレニショーplcによって販売されるEquatorシステムなど)またはオフライン工具検査装置などであり得る。
【0021】
方法で使用される非接触工具設定装置は、それぞれブラケットに取り付けられ得る別個の送信機ユニットおよび受信機ユニットを含み得る。あるいは、送信機と受信機を含む単一のユニットが提供され得る。装置は、送信機/受信機ユニットとは別個のインターフェースを含み得るか、または、インターフェースが、そのようなユニットと一体的に形成され得る。プロセッサが、方法の工程(iii)を実行するために提供され得る。工程(ii)を実行するためにADCが提供され得る。プロセッサおよび/またはADCは、インターフェース内で、別個の処理ユニット内に配置され、または、座標位置決め装置の一部として提供され得る。
【0022】
有利には、送信機は、光を生成するためのレーザーを含む。送信機は、また、コリメートされた光ビームを提供するための光学系を含み得る。あるいは、送信機は、(コリメートされるよりは)集束されたレーザービームを提供し得る。光ビームは、実質的に楕円形または円形のプロファイル(例えば、ガウス型ビームプロファイル)を有し得る。光ビームは、0.5mm未満、1mm未満、2mm未満、または3mm未満の直径を有し得る。
【0023】
本発明の第2の態様は、座標位置決め装置上で非接触工具プロファイル測定を実行するための装置を含み、装置は、光ビームを発する送信機、光ビームを受信し、受信機で受信された光の強度を記述するビーム強度信号を生成する受信機、ビーム強度信号からビーム強度データを生成するアナログ-デジタル変換器、および、ビーム強度データを分析するためのプロセッサを含み、プロセッサは、工具が、工具検査行路に沿って移動させられるときに生成されるビーム強度データを分析することによって、工具のプロファイルを評価するように構成され、工具検査行路は、工具の周縁の周りに、光ビームを進めるように選択されることを特徴とする。装置は、類似の方法の文脈において、上記の任意の1つまたは複数の特徴を含み得る。
【0024】
本発明の第3の態様によれば、光ビームを発する送信機と光ビームを受信する受信機を含む非接触工具設定装置を使用して工具を測定する方法が提供され、受信機は、受診された光の強度を記述するビーム強度信号を生成し、非接触工具設定装置は、工具が非接触工具設定装置に対して移動させられることを可能にする、座標位置決め装置に取り付けられ、方法は、(i)工具を、光ビームを通して移動させるために座標位置決め装置を使用する工程、および、(ii)工程(i)中で、受信機によって生成される、ビーム強度信号を記述するビーム強度データを収集する工程を含み、工程(ii)で収集されたビーム強度データを、以前に取得されたビーム強度データと比較する工程(iii)であって、比較は、工具のプロファイルが変化したかどうかの指示を提供する工程(iii)を特徴とする。工程(i)は、工具を工具検査行路に沿って移動させることを含み得、以前に取得されたビーム強度データは、同じ検査行路に沿って工具を移動させることによって作成済みであり得る。
【0025】
次いで、本発明は、添付の図面を参照して、例示のみを目的で、説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の非接触工具設定装置を示す図である。
【
図2】光ビームがその周縁に沿って移動させられる切削工具を示す図である。
【
図3】
図2に示される行路が通過されるときに収集される、ビーム強度データを示す図である。
【
図4】光ビームがその周縁に沿う検査経路に沿って移動させられながら回転させられる複数歯の切削工具を示す図である。
【
図5】
図4に示された経路が通過されるときに収集されるビーム強度データを示す図である。
【
図6】検査行路に沿った位置の関数としてプロットされた、
図5に示された工具の異なる歯に関連する強度の最小値を示す図である。
【
図7】同じ工具の以前の測定値に対してプロットされた強度最小値曲線を示す図である。
【
図8】任意の特定の工具欠陥を撮影するために、いかにカメラが使用されるかを示す図である。
【
図9a】従来技術の工具検査プロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照すると、本発明の工具設定装置が示される。装置は、実質的にコリメートされた光ビーム12を生成するための送信機10を含む。送信機10は、コリメートされた光ビーム12を生成するためのレーザーダイオードおよび適切な光学系(図示せず)を含む。光ビーム12を受信するための受信機14も示される。受信機は、光ビーム12を検出するためのフォトダイオード(図示せず)を含む。
【0028】
送信機10と受信機14は両方とも支柱18により共通ベース20に固定される。この配置は、送信機10と受信機14が互いに対して一定の間隔と方向を維持することを保証する。次いで、ベース20は、工作機械のベッド、または、実際には任意の適切な部分に、直接取り付けられ得る。また、送信機と受信機を取り付けるためのさまざまな代替構造が使用され得ることが、留意されるべきである。例えば、送信機と受信機に共通のハウジングが提供され得、別個の送信機と受信機ユニットが、工作機械に別々に取り付けられ得る。
【0029】
装置は、また、電気ケーブル17を介して送信機10および受信機14に接続されたインターフェース15を備える。インターフェース15は、送信機10および受信機14に電力を提供し、また、受信機14のフォトダイオード検出器からビーム強度信号を受信する。インターフェース15は、受信機14によって生成されたアナログビーム強度信号をサンプリングし、デジタルビーム強度値のストリームを生成するアナログデジタル変換器(ADC)18を含む。ビーム強度データとも呼ばれるこのデジタルビーム強度値のストリームは、分析のためにデジタルシグナルプロセッサ(DSP)20に渡される。分析の結果は、リンク28を介して工作機械30に渡され得る。この例では、ADC18およびDSP20は、インターフェース15に設けられているが、システムの任意の部分(例えば、受信機、工作機械制御装置など)に含まれ得る。ここまでは、装置は、特許文献2に記載されているものと類似している。
【0030】
次に
図2および
図3を参照して、本発明の工具プロファイル評価技術が、非回転工具について説明されるであろう。
図2は、刃先52を含む切削工具50を示す。切削工具は、公称の工具プロファイルを有し、工作機械の可動スピンドル(図示せず)によって保持される。工作機械内における切削工具の位置および工具設定装置の位置は既知であり、工作機械は、工具設定装置に対して切削工具50を動かすようにプログラムされ得る。
【0031】
使用中、工作機械は、工具を動かすように構成され、光ビームは、最初に工具周辺部の第1の点54に突き当たる。この最初の位置では、光ビームの約50%が覆い隠される。次に、工具は移動させられ、光ビームは、それが、第2の点58に到達するまで、工具の周縁の周りに、工具検査行路を進む(一対の破線56で示されるように)。工具検査行路に沿った動きは、工具の周縁に対して実質的に接線方向であることが、理解され得る。工具検査行路56に沿ったビームの移動中に、ビーム強度信号から、工具設定具のADC18によって生成された、ビーム強度データが収集され、保存される。
【0032】
次に
図3を参照すると、ビーム強度データ60は、工具検査行路に沿った位置Pの関数としてプロットされる。工作機械が一定の速度で工具を移動させる場合、工具検査行路に沿った相対位置は、ビーム強度データの取得時間から簡単に推測され得る。
図3は、また、公称寸法の工具が、同じ工具検査行路に沿って移動させられた場合に予測される、公称または予測ビーム強度データ62を示す。収集されたビーム強度データ60と予測されたビーム強度データ62との差は、工具50が、その公称サイズおよび形状からどれだけ逸脱しているかの尺度を提供する。
【0033】
次に
図4を参照すると、4つの切削歯を有する回転可能な切削工具80が示される。3つの歯82a、82bおよび82cは実線で示され、一方、
図4に示される向きで、工具シャフトの後面に位置する、第4の歯82dは破線で示されることが留意されるべきである。工具80は、それが保持される工作機械のスピンドルによって、その長手方向軸Rの周りに回転させられる間に、測定される。光ビームは、工具検査行路に沿って、工具の周縁の周りを進む。特に、工具検査行路は、工具の周縁の周りで、第1の点84から第2の点86まで延びる。光ビームが行路を通過するときの光ビームの空間範囲は、破線88で示される。工具検査行路に沿ったビームの移動中に、工具設定具のADC18によって生成されたビーム強度データが収集され、保存される。
【0034】
図5は、
図4を参照して説明された、工具の検査中に収集されたビーム強度データの一部を示す。ビーム強度データは、工具検査行路に沿った位置Pの関数としてプロットされる。繰り返すが、この位置は、行路が一定の速度で通過される場合、データ収集の時点から推測され得る。工具は測定中に回転し続けており、したがって、ビーム強度データは、4本の切削歯の一つ一つが、ビームを大きく覆い隠すときに生じる最小値を含む。一連の最小値は、4本の歯が、ビーム中に回転するとき、4本の歯のそれぞれによって順番に生成される。したがって、
図5においてa、b、c、およびdとラベル付けされた最小値は、4つの異なる切削歯82a~dのそれぞれが、それぞれビームを覆い隠すときに得られる、ビーム遮蔽に対応する。最小値は、特許文献2に記載されている技術のいずれかを使用して、DSP20によって識別され得る。さらに、DSP20は、切削工具の異なる歯から得られる最小値を分離するように構成され得る。
【0035】
図6は、工具検査行路に沿った位置の関数としてプロットされた、各々の特定された最小値でのビーム強度を示す。特に、曲線90a、90b、90cおよび90dは、それぞれ歯82a、82b、82cおよび82dから生じる最小値を示す。収集されたビーム強度データのごくわずかの量のみ(つまり、工具の3回転中に収集されたデータ)が、
図5に示され、
図6の曲線はそのような最小値の多数から生成されることが留意されるべきである。したがって、曲線90a、90b、90c、および90dは、工具検査行路が回転工具によって通過されるときに、切削工具の4つの異なる歯82a、82b、82c、および82dのそれぞれが、光ビームを覆い隠す程度を示す。
【0036】
図6にプロットされているデータは、切削工具の任意の歯の欠けや材料の堆積が特定されることを可能にする。特に、曲線90dの山92は、工具の歯82dに欠けがあることを示し、この山92は、チップがより多くの光を受信機に通すことを可能にするため、歯82dに関連する最小値の強度が増大することから生じる。同様に、曲線90cの谷94は、歯82c上での過剰な材料の蓄積を示し、この谷94は、過剰な材料が、より多くの光を遮断するため、歯82cに関連する最小値の強度が、さらに減少することから生じる。さらに、各歯での欠陥(たとえば、欠け、または、過剰な材料)の位置は、工具検査行路に沿った山および/または谷の位置Pから決定され得る。
【0037】
図6に示す最小値は、それだけで、欠陥の存在と位置が決定されることを可能にする。また、
図7に示されるように、一定の工具に対して測定された最小値のプロットを、その工具に対する以前に取得された最小データと比較することが、また可能である。特に、工具検査行路に沿った位置の関数として、一定の特定された最小値の強度を決定するプロセスは、複数回繰り返され得る。例えば、そのような最小値データは、切削目的でその工具を使用する前に、工具から収集され得る。したがって、未使用工具のプロファイルに関する情報を提供する参照曲線100が取得され得る。工具が切断操作に使用された後、同じ工具検査行路を使用して測定プロセスが繰り返され得る。次に、最小値曲線102が生成され、参照曲線100と比較され得る。また、曲線が示す、切断面の摩耗と、欠け、または、材料の堆積との任意の差異は、曲線102と参照曲線100の差異から特定され得る。プロット差(すなわち、曲線100から曲線102を引く、または、その逆)は、存在する任意の差異の視覚的表示を提供するために使用され得る。
【0038】
図8を参照すると、工具を視覚的に検査するためのカメラの追加が説明される。特に、
図8は、光ビーム152を放射し、工作機械のベッド160に取り付けられた、上述のタイプの工具設定装置150を示す。工具設定装置150は、その工具が、光ビーム152の領域174に位置づけられるときに、工作機械のスピンドル172によって保持された工具170を検査するように配置される。上述のように、工具設定装置150は、工具170内の欠陥188が識別されることを可能にし、特に、それは、工具上のそのような欠陥の位置が決定されることを可能にする。工具設定装置150に加えて、前面照明カメラシステム180が、また、提供され得る。カメラシステムは、白色光ビーム182を放射し、その視野184内に位置する任意の対象の画像を撮影し得る。視野184の位置は、工具設定装置150に対して知られており、すなわち、それらは位置差Vで離される。
【0039】
使用中、工具設定装置150は、工具170上の欠陥188を識別するために使用される。工具設定装置150、カメラの視野184、および工具170の位置はすべて、工作機械の座標系で知られている。これは、工作機械がスピンドル172を動かし、工具設定装置150によって特定された工具170上の欠陥188が、カメラシステム180の視野184内に配置され得ることを意味する。これは、工具の欠陥の画像が捕捉されることを可能にし、さらに、オペレータが、検出された欠陥の性質を評価することを可能にする。工具設定装置150は、好ましくは上述のタイプであるが、任意の工具設定装置を含み得る。
【0040】
完全を期すために、本発明の技術に対する、従来の工具設定技術の詳細な比較が、
図9a-9cを参照して示されるであろう。
【0041】
図9aを参照すると、従来技術の工具測定プロセスが示される。上記の導入部で説明されたように、先行技術の非接触工具設定装置の光ビームは、工具202から離れた初期位置204から工具202に向かって移動させられる。実際には、光ビームは、通常、静止しており、工具が、光ビーム内に移動させられるが、光ビームが移動させられる場合と同じ相対運動が生じる。したがって、光ビームは、測定される工具202のエッジに対して、実質的に垂直な行路に沿って移動する。
図9aにおいて、光ビームは、最初に開始位置204にある。工具202が光ビームの50%を覆い隠す点206で、トリガー信号が、非接触工具設定装置によって発せられる。工作機械は、トリガー信号を受信し、トリガー事象が生じた位置を記録する。これは、工具202の表面上の単一の点208の位置が決定されることを可能にする。このプロセスは、工具エッジの複数の点を測定するために繰り返され得る。
【0042】
図9bは、本発明による工具測定プロセスを示す。上述のように、光ビームは工具のエッジ上の開始位置222に向けられる。この例では、公称寸法の工具は、光ビームの約50%を覆い隠すであろう。次いで、光ビームは、工具の周縁に沿って、開始位置222から終了位置224までを進む(光ビームによってたどられる行路は、いわゆる工具検査行路である)。工具検査行路に沿った複数の点226で、ビーム強度データが収集される。工具検査行路は、連続的な動きで(たとえば、一定の速度で)進み得、または、経路が通過されるときに、速度が変えられ得る。また、点226のそれぞれに留まることが可能であり(つまり、工具に対する光ビームの動きを瞬間的に停止する)、任意に、各点で平均化手順を実行することが可能である(たとえば、ビーム強度データの、信号-雑音比を改善するために、および/または、非接触工具設定装置に対する工具の位置のより正確な測定値を取得するために)。
【0043】
完全な工具(つまり、公称上の工具プロファイルに正確に対応する工具)に対し、(この例では)工具検査行路に沿った各点で、光ビームの50%が覆い隠されるであろう。実際の工具(機械加工中に摩耗するか、材料の堆積を経験した工具)に対し、工具のエッジ位置における任意の局所的な偏位は、覆い隠される光ビームの量が、公称上の工具に対し期待される50%レベルとは異なることをもたらすであろう。換言すれば、各点226での期待される50パーセントからのビーム強度データの偏差は、工具が期待されるよりも大きい(より多くの光ビームを覆い隠す)、または、より小さい(より少ない光ビームを覆い隠す)ことを示す。ビーム強度データは、各点226での光ビーム220の位置を記述する工作機械からの情報と組み合わされ、工具の表面位置の複数の測定値を提供する。このようにして、
図9aに示される従来技術の手法のように、工具をビーム内で前後に動かす必要なしに、複数の点226が、高速走査型動作で測定され得る。
【0044】
図9cを参照すると、工具検査行路は、工具の周縁に沿った複数の通過を含み得ることが留意される。これは、たとえば、工具エッジの公称位置の不確実性が光ビームの幅よりも大幅に大きい場合に行われ得る。
【0045】
図9cは、光ビームが初期位置250から第1の位置252まで直線的に下方に移動させられる工具検査行路を示す。次いで、光ビームは、第3の位置256まで直線的に上方に移動させられる前に、第2の位置254まで横方向に進められる。次いで、最終位置260まで直線的に下向きに移動させられる前に、第4の位置258まで横方向に進められる。第2の位置254と第3の位置256の間の直線移動は、それだけで、公称位置にある工具264のエッジを測定するのに十分であるが、それは、その公称位置からビーム幅以上(たとえば、破線の輪郭の工具266で示される工具位置まで)、変位した工具を測定し得ないだろう。しかし、複数の行路を提供することは、任意のそのような位置(または工具サイズ)のより大きな偏位が測定されることを可能にするだろう。例えば、光ビームが、第4の位置258から最終位置260に移動するときに、収集されるビーム強度データは、破線の輪郭の工具266のエッジを測定することを可能にするだろう。もちろん、たとえば、工具が曲げられ、工具エッジの異なる領域が、光ビームの異なる通過に存在する場合、光ビームの異なる通過からのビーム強度データを使用することが、また、可能である。そのような複数行路技術の代替として、光ビームの幅が増大させられ得る。
【0046】
当業者は、上記の実施形態に対する変形が可能であることを理解するであろう。たとえば、方法は、工作機械だけでなく、任意の座標位置決め装置(例えば、CMM、ロボット、オフライン工具検査システムなど)に取り付けられた、非接触工具設定装置を使用して実施され得る。