(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179570
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】光学スペクトル測定システム
(51)【国際特許分類】
G01J 3/36 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
G01J3/36
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023164151
(22)【出願日】2023-09-27
(62)【分割の表示】P 2022000082の分割
【原出願日】2017-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000206967
【氏名又は名称】大塚電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】前田 吾郎
(57)【要約】
【課題】より優れた光学スペクトル測定装置および光学スペクトル測定方法を提供する。
【解決手段】光学スペクトル測定装置は、2次元配列された複数の受光素子を含むCCD(Charge Coupled Device)検出器と、入射光を分光して前記CCD検出器に照射する光学系と、前記複数の受光素子の各行の一部の行および各列の一部の列の少なくともいずれか一方への前記光学系からの光の照射を制限する制限部とを備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元配列された複数の受光素子を含むCCD(Charge Coupled Device)検出器と、
入射光を分光して前記CCD検出器に照射する光学系と、
前記複数の受光素子の行列配置における各行の一部の行および各列の一部の列の少なくともいずれか一方への前記光学系からの光の照射を制限する制限部と、
コントローラとを備え、
前記CCD検出器は、前記列ごとに設けられ、前記列に属する複数の前記受光素子にそれぞれ対応して複数の列電荷蓄積素子が設けられた複数の列シフトレジスタと、前記複数の列シフトレジスタにそれぞれ対応して複数の行電荷蓄積素子が設けられた行シフトレジスタとを含み、
前記コントローラは、各前記列シフトレジスタに垂直側転送信号を与えることにより各列に属する前記列電荷蓄積素子における蓄積電荷をシフトさせる垂直転送処理、および前記行シフトレジスタに水平側転送信号を与えることにより前記行電荷蓄積素子における蓄積電荷をシフトさせる水平転送処理を行い、
前記列シフトレジスタは、前記コントローラから前記垂直側転送信号を受けて、前記行に属する前記受光素子に対応する自己の前記列電荷蓄積素子における蓄積電荷を、他の前記行に属する前記受光素子に対応する自己の前記列電荷蓄積素子、または前記行シフトレジスタにおける対応の前記行電荷蓄積素子へ移動させ、
前記行シフトレジスタは、前記コントローラから前記水平側転送信号を受けて、前記行電荷蓄積素子における蓄積電荷を、他の前記行電荷蓄積素子、または前記行シフトレジスタの外部へ移動させ、
前記制限部の制限対象は、前記行列配置において複数に分割されておらず、
前記コントローラは、前記制限対象ではない前記行の数をNとし(Nは整数)、前記制限対象ではない前記列の数をMとしたとき(Mは整数)、各前記列シフトレジスタに前記垂直側転送信号をN回与えることにより各列に属する前記列電荷蓄積素子における蓄積電荷をN回シフトさせる前記垂直転送処理を行った後、前記行シフトレジスタに前記水平側転送信号をM回与えることにより前記行電荷蓄積素子における蓄積電荷をM回シフトさせる前記水平転送処理を行う処理手順を、複数回行う、光学スペクトル測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学スペクトル測定装置および光学スペクトル測定方法に関し、特に、対象光を分光する光学スペクトル測定装置および光学スペクトル測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、光の電磁波スペクトルを測定する光学機器である光学スペクトル測定装置の概略が記載されている。そして、近年、波長ごとの強度を測定するための光学スペクトル測定装置が開発されている。
【0003】
また、CCD(Charge Coupled Device)検出器を受光手段とする撮影装置が開発されている。たとえば、特開2010-266538号公報(特許文献1)には、以下のような構成が開示されている。すなわち、撮影装置は、画像を撮影するCCDイメージセンサと、画像のズーム倍率を変更する変倍レンズおよびレンズドライバと、ズーム倍率の変更を指示する操作部と、CCDイメージセンサによって撮影された画像から特徴部分を検出する特徴検出部と、操作部によってズーム倍率の変更が指示された場合に、特徴検出部によって検出された特徴部分の大きさと、特徴検出部が検出可能な特徴部分の大きさの限界値とを比較し、操作部が指示したズーム倍率と比較の結果とに応じて変倍レンズおよびレンズドライバを制御するCPUとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-266538号公報
【特許文献2】特開平10-145679号公報
【特許文献3】特開2000-324400号公報
【特許文献4】特開2001-268444号公報
【特許文献5】特開2001-268446号公報
【特許文献6】特開2003-298959号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“ウィキペディア”、[online]、[平成29年1月4日検索]、インターネット〈URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/分光器〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光学スペクトル測定装置における受光手段として、たとえば特許文献1に記載のCCD検出器等を用いる構成が考えらえる。このような構成において、光学スペクトルを測定するためのより優れた装置を提供する技術が求められている。
【0007】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、より優れた光学スペクトル測定装置および光学スペクトル測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる光学スペクトル測定装置は、2次元配列された複数の受光素子を含むCCD検出器と、入射光を分光して前記CCD検出器に照射する光学系と、前記複数の受光素子の各行の一部の行および各列の一部の列の少なくともいずれか一方への前記光学系からの光の照射を制限する制限部とを備える。
【0009】
このような構成により、たとえば汎用のCCD検出器への光の照射を制限することで、新規のCCD検出器を開発することなく検出領域をダウンサイズしたCCD検出器を実現することができるので、装置の開発コストを低減することができる。また、光が照射される行数および列数の少なくともいずれか一方を減らすことができるので、光の照射先を制限しない構成と比べて、各受光素子において生成された電荷の取得処理に要する時間を短縮することができる。したがって、より優れた光学スペクトル測定装置を提供することができる。
【0010】
(2)好ましくは、スペクトル測定に関する条件に基づいて前記制限部の制限対象が設定されている。
【0011】
このような構成により、測定すべき光学スペクトルの内容に応じた適切な制限対象を設定することができる。
【0012】
(3)より好ましくは、前記光学系によって分光された各波長の光が対応の前記列に照射され、前記CCD検出器による1つの光学スペクトルの測定時間、および前記CCD検出器が検出すべき光量の少なくともいずれか一方に基づいて、前記制限対象となる前記行の数が設定されている。
【0013】
このような構成により、たとえば、要求される測定時間内での光学スペクトルの測定完了を実現したり、要求されるSN(Signal Noise)比を満たす光学スペクトルの測定を実現したりすることができる。
【0014】
(4)より好ましくは、前記光学系によって分光された各波長の光が対応の前記列に照射され、前記光学スペクトル測定装置が取得すべき光学スペクトルの複数の波長にそれぞれ対応する複数の前記列以外の、1または複数の前記列が前記制限対象として設定されている。
【0015】
このような構成により、要求される波長範囲の光学スペクトルを効率的に測定することができる。
【0016】
(5)好ましくは、前記光学系は、前記制限部が制限対象としない前記受光素子群に分光後の光を集光する集光部を含む。
【0017】
このような構成により、使用すべき受光素子群に照射される光の強度を高めることができるので、光学スペクトルのSN比を向上させることができる。
【0018】
(6)好ましくは、前記CCD検出器は、前記列ごとに設けられ、前記列に属する複数の前記受光素子にそれぞれ対応して複数の列電荷蓄積素子が設けられた複数の列シフトレジスタと、前記複数の列シフトレジスタにそれぞれ対応して複数の行電荷蓄積素子が設けられた行シフトレジスタとを含み、前記列シフトレジスタは、前記行に属する前記受光素子に対応する自己の前記列電荷蓄積素子における蓄積電荷を、他の前記行に属する前記受光素子に対応する自己の前記列電荷蓄積素子、または前記行シフトレジスタにおける対応の前記行電荷蓄積素子へ移動させる。
【0019】
このように、光が照射された受光素子において生成された電荷を列ごとに集約する構成により、波長ごとの所望の電荷量を効率よく取得することができる。
【0020】
(7)好ましくは、前記制限部は、前記各行の一部の行および前記各列の一部の列への前記光学系からの光の照射を制限する。
【0021】
このような構成により、光が照射される行数および列数の両方を減らすことができるので、各受光素子において生成された電荷の取得処理に要する時間をより短縮することができる。
【0022】
(8)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる光学スペクトル測定方法は、2次元配列された複数の受光素子を含むCCD検出器を備える光学スペクトル測定装置における光学スペクトル測定方法であって、入射光を分光して前記CCD検出器に照射するステップと、前記CCD検出器に照射された前記入射光によって前記複数の受光素子において生成された電荷を取得するステップとを含み、前記CCD検出器に光を照射するステップにおいては、前記複数の受光素子の各行の一部の行および各列の一部の列の少なくともいずれか一方への分光した前記入射光の照射を制限する。
【0023】
このような方法により、たとえば汎用のCCD検出器への光の照射を制限することで、新規のCCD検出器を開発することなく検出領域をダウンサイズしたCCD検出器を実現することができるので、装置の開発コストを低減することができる。また、光が照射される行数および列数の少なくともいずれか一方を減らすことができるので、光の照射先を制限しない構成と比べて、各受光素子において生成された電荷の取得処理に要する時間を短縮することができる。したがって、より優れた光学スペクトル測定装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、より優れた光学スペクトル測定装置および光学スペクトル測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置の比較例を備える光学スペクトル測定システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定システムにおける光学スペクトル測定装置の比較例の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係るCCD検出器における受光素子に蓄積された電荷の読み出し方法の比較例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係るCCD検出器における受光素子に蓄積された電荷の読み出し方法の比較例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係るCCD検出器における受光素子に蓄積された電荷の読み出し方法の比較例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係るCCD検出器における受光素子に蓄積された電荷の読み出し方法の比較例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態に係るCCD検出器における受光素子に蓄積された電荷の読み出し方法の比較例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定システムにおける光学スペクトル測定装置の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置に設けられるCCD検出器を水平転送方向にみた側面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置に設けられる制限部の変形例の構成を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置に設けられる制限部の変形例の構成を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態に係るCCD検出器における受光素子に蓄積された電荷の読み出し方法を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施の形態に係るCCD検出器における受光素子に蓄積された電荷の読み出し方法を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施の形態に係るCCD検出器における受光素子に蓄積された電荷の読み出し方法を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定システムの効果を説明するための図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置における光学系の変形例の構成を示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定システムの変形例の構成を示す図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定システムにおける光学スペクトル測定装置の変形例の構成を示す図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定システムにおける光学スペクトル測定装置の変形例の構成を示す図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定システムにおいて、光学スペクトルが測定される際のシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置の比較例を備える光学スペクトル測定システムの構成を示す図である。
【0028】
図1を参照して、光学スペクトル測定システム301は、比較例である光学スペクトル測定装置1と、コントローラ41と、パーソナルコンピュータ(PC)42とを備える。
【0029】
ユーザは、たとえば、光学スペクトル測定装置1の測定対象として対象物43を設置する。対象物43は、照明および表示装置等の自ら光を発する物体、または光源からの光を反射もしくは透過する物体等である。
【0030】
パーソナルコンピュータ42は、ユーザの操作を受け付けることが可能である。パーソナルコンピュータ42は、たとえば、測定を開始するためのユーザの操作を受け付けると、受け付けた操作に従って、測定開始命令をコントローラ41へ送信する。
【0031】
コントローラ41は、パーソナルコンピュータ42から送信された測定開始命令に従って、光学スペクトル測定装置1を制御し、光学スペクトル測定装置1の測定結果に基づく光学スペクトルを取得する。
【0032】
コントローラ41は、たとえば、取得した光学スペクトルに対して所定の演算処理を施すことにより対象物43の良否判定を行う。コントローラ41は、判定結果を示す結果情報をパーソナルコンピュータ42へ送信する。
【0033】
パーソナルコンピュータ42は、コントローラ41から結果情報を受信すると、受信した結果情報の内容をたとえば図示しないディスプレイに表示する。
【0034】
なお、コントローラ41は、結果情報をパーソナルコンピュータ42へ送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。コントローラ41は、光学スペクトルを示す情報をパーソナルコンピュータ42へ送信する構成であってもよい。
【0035】
図2は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定システムにおける光学スペクトル測定装置の比較例の構成を示す図である。
【0036】
図2を参照して、光学スペクトル測定装置1は、光学系5と、CCD検出器6とを備える。光学系5は、スリット5aと、回折格子5bと、コリメートミラー5dと、フォーカスミラー5eとを含む。
【0037】
図1および
図2を参照して、光学スペクトル測定装置1は、対象物43からの入射光を分光することにより、入射光の波長ごとの強度を示す光学スペクトルを測定することが可能である。具体的には、光学スペクトル測定装置1は、ツェルニターナ分光器である。
【0038】
詳細には、光学スペクトル測定装置1における光学系5は、入射光を分光してCCD検出器6へ照射する。
【0039】
より詳細には、光学系5におけるスリット5aの開口部は、たとえば、長方形の形状を有しており、長辺が鉛直方向に沿うように設けられている。
【0040】
コリメートミラー5dは、たとえば球面形状の反射面を有しており、スリット5aを通過した対象物43からの入射光を反射して平行光に変換し、変換後の平行光を回折格子5bに照射する。
【0041】
回折格子5bは、コリメートミラー5dからの入射光を、波長に応じて異なる方向に回折する。
【0042】
より詳細には、回折格子5bは、たとえば、反射型回折格子であり、鉛直方向に沿った溝が反射面に設けられている。回折格子5bは、コリメートミラー5dからの入射光を、波長に応じた方向の各々において強度が大きくなるように反射する。
【0043】
フォーカスミラー5eは、たとえば球面形状の反射面を有しており、回折格子5bによって回折された入射光を反射してCCD検出器6に集光する。
【0044】
CCD検出器6は、具体的には、CCDイメージセンサであり、2次元配列された複数の受光素子を含む。
【0045】
より詳細には、CCD検出器6は、m行n列の行列状に配列されたm×n個の受光素子を含む。ここで、列に属する受光素子の並ぶ方向および行に属する受光素子の並ぶ方向は、それぞれ垂直(V)方向および水平(H)方向に沿っている。また、m,nは2以上の整数である。
【0046】
CCD検出器6は、たとえば、光学系5によって分光された各波長の光が対応の列に属する受光素子に照射されるように配置されている。したがって、同じ列に属する受光素子には、同じ波長の入射光が照射される。
【0047】
受光素子は、たとえば、ホトダイオードであり、コントローラ41により逆バイアスが加えられ、受けた入射光の強度に応じた電荷を生成して蓄積する。
【0048】
CCD検出器6は、たとえば、列ごとに設けられたn個の列シフトレジスタと、行シフトレジスタと、出力部とを含む。n個の列シフトレジスタにおいて、たとえば、列に属するm個の受光素子にそれぞれ対応してm個の列電荷蓄積素子が設けられる。行シフトレジスタにおいて、列シフトレジスタにそれぞれ対応してn個の行電荷蓄積素子が設けられる。
【0049】
[ビニング処理の比較例]
図3~
図7は、本発明の実施の形態に係るCCD検出器における受光素子に蓄積された電荷の読み出し方法の比較例を示す図である。
【0050】
図3を参照して、この例では、説明を簡単にするために4行4列に配列された4×4個の受光素子を含むCCD検出器6における電荷の読み出し方法について説明する。
【0051】
CCD検出器6は、たとえば、インターラインCCDまたはフレームトランスファーCCDである。
【0052】
CCD検出器6は、たとえば、列ごとに設けられ、当該列に属する4個の受光素子にそれぞれ対応して4個の列電荷蓄積素子Ccが設けられた4個の列シフトレジスタScと、列シフトレジスタScにそれぞれ対応して4個の行電荷蓄積素子Crが設けられた行シフトレジスタSrと、出力部6aとを含む。出力部6aは、たとえばアンプである。
【0053】
なお、CCD検出器6は、インターラインCCDまたはフレームトランスファーCCDに限らず、フルフレームトランスファーCCDであってもよい。この場合、CCD検出器6は、列に属する4個の受光素子がそれぞれ4個の列電荷蓄積素子Ccとしても機能する。
【0054】
各行には、行シフトレジスタSrに近いほど番号が大きくなるように行番号を付している。また、各列には、出力部6aに近いほど番号が大きくなるように列番号を付している。
【0055】
また、列に平行な方向であって行シフトレジスタSrへの方向を垂直転送方向Dvと定義する。また、行に平行な方向であって出力部6aへの方向を水平転送方向Dhと定義する。
【0056】
列シフトレジスタScは、たとえば、行に属する受光素子に対応する自己の列電荷蓄積素子Ccにおける蓄積電荷を、他の行に属する受光素子に対応する自己の列電荷蓄積素子Cc、または行シフトレジスタSrにおける対応の行電荷蓄積素子Crへ移動させる。
【0057】
具体的には、まず、コントローラ41は、所定の露光時間が経過すると、各受光素子に蓄積された電荷を対応の列電荷蓄積素子Ccへ転送させる一斉転送制御を行う(ステップS102)。
【0058】
このとき、16個の列電荷蓄積素子Ccは、それぞれQ1~Q16の電荷を蓄積する。また、各受光素子は、上記露光時間の経過後にコントローラ41から新たな一斉転送制御を受けるまで、受けた入射光の強度に応じた電荷を生成して蓄積する。
【0059】
次に、コントローラ41は、各列シフトレジスタScに垂直側転送信号Vc1を与えることにより、各列に属する列電荷蓄積素子Ccに蓄積された電荷を行シフトレジスタSrへの方向すなわち垂直転送方向Dvにシフトさせる(ステップS104)。
【0060】
このとき、行シフトレジスタSrにおける4個の行電荷蓄積素子Crは、4行目における4個の列電荷蓄積素子Ccから転送されたQ4,Q3,Q2,Q1の電荷をそれぞれ蓄積する。
【0061】
図4を参照して、次に、コントローラ41は、各列シフトレジスタScに垂直側転送信号Vc2を与えることにより、各列に属する列電荷蓄積素子Ccに蓄積された電荷を行シフトレジスタSrへの方向にシフトさせる(ステップS106)。
【0062】
このとき、行シフトレジスタSrにおける4個の行電荷蓄積素子Crは、それぞれ、4行目における4個の列電荷蓄積素子Ccから転送された電荷をさらに蓄積することで、(Q4+Q8),(Q3+Q7),(Q2+Q6),(Q1+Q5)の電荷を蓄積する。
【0063】
次に、コントローラ41は、各列シフトレジスタScに垂直側転送信号Vc3を与えることにより、各列に属する列電荷蓄積素子Ccに蓄積された電荷を行シフトレジスタSrへの方向にシフトさせる(ステップS108)。
【0064】
このとき、行シフトレジスタSrにおける4個の行電荷蓄積素子Crは、それぞれ、4行目における4個の列電荷蓄積素子Ccから転送された電荷をさらに蓄積することで、(Q4+Q8+Q12),(Q3+Q7+Q11),(Q2+Q6+Q10),(Q1+Q5+Q9)の電荷を蓄積する。
【0065】
図5を参照して、次に、コントローラ41は、各列シフトレジスタScに垂直側転送信号Vc4を与えることにより、各列に属する列電荷蓄積素子Ccに蓄積された電荷を行シフトレジスタSrへの方向にシフトさせる(ステップS110)。
【0066】
このとき、行シフトレジスタSrにおける4個の行電荷蓄積素子Crは、それぞれ、4行目における4個の列電荷蓄積素子Ccから転送された電荷をさらに蓄積することで、(Q4+Q8+Q12+Q16),(Q3+Q7+Q11+Q15),(Q2+Q6+Q10+Q14),(Q1+Q5+Q9+Q13)の電荷を蓄積する。
【0067】
次に、コントローラ41は、行シフトレジスタSrに水平側転送信号Hc1を与えることにより、行シフトレジスタSrに属する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷を出力部6aへの方向すなわち水平転送方向Dhにシフトさせる(ステップS112)。
【0068】
このとき、4列目の列シフトレジスタScに対応する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷(Q1+Q5+Q9+Q13)は、出力部6aに転送される。出力部6aは、蓄積した電荷(Q1+Q5+Q9+Q13)に応じたレベルを有する成分信号S4をコントローラ41へ出力する。
【0069】
図6を参照して、次に、コントローラ41は、行シフトレジスタSrに水平側転送信号Hc2を与えることにより、行シフトレジスタSrに属する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷を出力部6aへの方向にシフトさせる(ステップS114)。
【0070】
このとき、4列目の列シフトレジスタScに対応する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷(Q2+Q6+Q10+Q14)は、出力部6aに転送される。出力部6aは、蓄積した電荷(Q2+Q6+Q10+Q14)に応じたレベルを有する成分信号S3をコントローラ41へ出力する。
【0071】
次に、コントローラ41は、行シフトレジスタSrに水平側転送信号Hc3を与えることにより、行シフトレジスタSrに属する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷を出力部6aへの方向にシフトさせる(ステップS116)。
【0072】
このとき、4列目の列シフトレジスタScに対応する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷(Q3+Q7+Q11+Q15)は、出力部6aに転送される。出力部6aは、蓄積した電荷(Q3+Q7+Q11+Q15)に応じたレベルを有する成分信号S2をコントローラ41へ出力する。
【0073】
図7を参照して、次に、コントローラ41は、行シフトレジスタSrに水平側転送信号Hc4を与えることにより、行シフトレジスタSrに属する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷を出力部6aへの方向にシフトさせる(ステップS118)。
【0074】
このとき、4列目の列シフトレジスタScに対応する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷(Q4+Q8+Q12+Q16)は、出力部6aに転送される。出力部6aは、蓄積した電荷(Q4+Q8+Q12+Q16)に応じたレベルを有する成分信号S1をコントローラ41へ出力する。
【0075】
コントローラ41は、出力部6aから送信された成分信号S4~S1に基づいて、波長ごとの強度を示す光学スペクトルを取得する。
【0076】
[課題]
上述のステップS102~S118によって1つの光学スペクトルが測定されるが、この1つの光学スペクトルの測定に要する時間(以下、単位測定時間とも称する。)をより短縮することが求められる。
【0077】
たとえば、行数のより少ないCCD検出器6を用いる方法が考えられるが、適正な行数のCCD検出器6が市販されていない場合、CCD検出器6を新規開発する必要があり、コスト負担が大きくなってしまう。
【0078】
また、適正な行数より少ない行数のCCD検出器6を用いる場合、単位測定時間を短縮することが可能であるが、列における複数の列電荷蓄積素子Ccに蓄積される電荷の合計が少なくなるため、SN比が低下してしまう。
【0079】
すなわち、CCD検出器を新規開発することなく汎用のCCD検出器を用いて、単位測定時間を短縮するとともに、一定レベルのSN比を確保することが可能な技術が求められる。
【0080】
そこで、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定システムでは、以下のような構成および動作により、このような課題を解決する。
【0081】
[光学スペクトル測定装置の構成]
図8は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定システムにおける光学スペクトル測定装置の構成を示す図である。
【0082】
図8を参照して、光学スペクトル測定システム301は、
図1に示す光学スペクトル測定装置1の代わりに、光学スペクトル測定装置11を備える。光学スペクトル測定装置11は、光学系5と、CCD検出器6と、制限部(制限機構)21とを備える。
【0083】
光学スペクトル測定装置11における光学系5およびCCD検出器6の構成および動作は、
図2に示す光学スペクトル測定装置1における光学系5およびCCD検出器6とそれぞれ同様である。CCD検出器6は、たとえば汎用品である。
【0084】
図9は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置に設けられるCCD検出器を水平転送方向にみた側面図である。
【0085】
図8および
図9を参照して、制限部21は、たとえば、複数の受光素子の各行の一部の行への光学系5からの光の照射を制限する。
【0086】
具体的には、制限部21は、たとえばマスク部材である。制限部21は、CCD検出器6における受光素子が感度を有する波長帯において不透明である。
図8では、理解を容易にするために制限部21が半透明で示されている。
【0087】
制限部21は、たとえば、金属または樹脂により形成される。制限部21は、CCD検出器6の受光面における、光学系5からの光の照射先を制限すべきエリア(以下、制限対象エリアとも称する)Auに設けられる。言い換えると、制限部21は、CCD検出器6の受光面における、光学系5からの光を照射すべきエリア(以下、照射対象エリアとも称する)Ar以外のエリアに設けられる。
【0088】
制限部21は、たとえば、光学系5からの光を反射することにより光学系5からの光のCCD検出器6への照射先を制限する。
【0089】
しかしながら、制限部21によって反射された光は、光学スペクトル測定装置11の内部において迷光となるので、制限部21は、光学系5からの光を吸収することにより、CCD検出器6への光学系5からの光の照射を制限する構成が好ましい。
【0090】
制限部21の制限対象は、たとえば、スペクトル測定に関する条件に基づいて設定されている。
【0091】
より詳細には、たとえば、CCD検出器6による1つの光学スペクトルの測定時間すなわち単位測定時間に基づいて、制限対象となるCCD検出器6の行の数が設定されている。
【0092】
具体的には、単位測定時間が、仕様上要求される時間より短くなるように、制限対象となるCCD検出器6の行の数が設定されている。制限対象の行の数は、1つでもよいし、複数でもよい。
【0093】
また、制限対象エリアAuは、垂直転送方向Dvにおける始点側の最初の行すなわち1番目の行を含むように設けられる。
【0094】
なお、制限対象エリアAuは、複数に分割されて設けられてもよい。この場合、分割された制限対象エリアAuのうちの1つが、1番目の行を含むように設けられる。
【0095】
[制限部21の変形例1]
図10は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置に設けられる制限部の変形例の構成を示す図である。
図10では、理解を容易にするために制限部21が半透明で示されている。
【0096】
制限部21の変形例1は、たとえば、複数の受光素子の各列の一部の列への光学系5からの光の照射を制限する。
【0097】
たとえば、光学スペクトル測定装置11が取得すべき光学スペクトルの複数の波長にそれぞれ対応する複数の列以外の、1または複数の列が制限対象として設定されている。
【0098】
具体的には、仕様上要求される複数の波長にそれぞれ対応する複数の列以外の、1または複数の列が制限対象として設定されている。制限対象の列の数は、1つでもよいし、複数でもよい。
【0099】
また、制限対象エリアAuは、水平転送方向Dhにおける始点側の最初の列すなわち1番目の列を含むように設けられる。
【0100】
なお、制限対象エリアAuは、複数に分割されて設けられてもよい。この場合、分割された制限対象エリアAuのうちの1つが、1番目の列を含むように設けられる。
【0101】
[制限部21の変形例2]
図11は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置に設けられる制限部の変形例の構成を示す図である。
図11では、理解を容易にするために制限部21が半透明で示されている。
【0102】
制限部21の変形例2は、たとえば、複数の受光素子の各行の一部の行および各列の一部の列への光学系5からの光の照射を制限する。
【0103】
たとえば、光学スペクトル測定装置11が取得すべき光学スペクトルの複数の波長にそれぞれ対応する複数の列以外の、1または複数の列が制限対象として設定されている。
【0104】
具体的には、
図11に示す制限対象エリアAuは、たとえば、行方向については
図8に示す設定方法に従って設定され、列方向については
図10に示す設定方法に従って設定される。
【0105】
[ビニング処理]
図12~
図14は、本発明の実施の形態に係るCCD検出器における受光素子に蓄積された電荷の読み出し方法を示す図である。
【0106】
図12に示すCCD検出器6は、
図3に示すCCD検出器6と同様である。また、
図12に示すCCD検出器6には、
図11に示す制限部21の変形例2と同形状の制限部21が設けられる。この例では、制限部21の制限対象は、第1行、第2行および第1列である。
【0107】
列シフトレジスタScは、たとえば、照射対象エリアArにおける受光素子であって行に属する受光素子に対応する自己の列電荷蓄積素子Ccにおける蓄積電荷を、他の行に属する受光素子に対応する自己の列電荷蓄積素子Cc、または行シフトレジスタSrにおける対応の行電荷蓄積素子Crへ移動させる。
【0108】
具体的には、まず、コントローラ41は、所定の露光時間が経過すると、各受光素子に蓄積された電荷を対応の列電荷蓄積素子Ccへ転送させる一斉転送制御を行う(ステップS202)。
【0109】
このとき、照射対象エリアArにおける6個の列電荷蓄積素子Ccは、それぞれQ1~Q6の電荷を蓄積する。
【0110】
次に、コントローラ41は、各列シフトレジスタScに垂直側転送信号Vc1を与えることにより、各列に属する列電荷蓄積素子Ccに蓄積された電荷を行シフトレジスタSrへの方向にシフトさせる(ステップS204)。
【0111】
このとき、制限対象エリアAuに含まれる1番目の列における列電荷蓄積素子Ccは電荷を蓄積しないので、行シフトレジスタSrにおける4個の行電荷蓄積素子Crは、それぞれ、4行目における4個の列電荷蓄積素子Ccに基づくゼロ,Q3,Q2,Q1の電荷を蓄積する。
【0112】
図13を参照して、次に、コントローラ41は、各列シフトレジスタScに垂直側転送信号Vc2を与えることにより、各列に属する列電荷蓄積素子Ccに蓄積された電荷を行シフトレジスタSrへの方向にシフトさせる(ステップS206)。
【0113】
このとき、行シフトレジスタSrにおける4個の行電荷蓄積素子Crは、それぞれ、4行目における4個の列電荷蓄積素子Ccに基づく電荷をさらに蓄積することで、ゼロ,(Q3+Q6),(Q2+Q5),(Q1+Q4)の電荷を蓄積する。
【0114】
次に、コントローラ41は、行シフトレジスタSrに水平側転送信号Hc1を与えることにより、行シフトレジスタSrに属する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷を出力部6aへの方向にシフトさせる(ステップS208)。
【0115】
このとき、4列目の列シフトレジスタScに対応する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷(Q1+Q4)は、出力部6aに転送される。出力部6aは、蓄積した電荷(Q1+Q4)に応じたレベルを有する成分信号S4をコントローラ41へ出力する。
【0116】
図14を参照して、次に、コントローラ41は、行シフトレジスタSrに水平側転送信号Hc2を与えることにより、行シフトレジスタSrに属する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷を出力部6aへの方向にシフトさせる(ステップS210)。
【0117】
このとき、4列目の列シフトレジスタScに対応する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷(Q2+Q5)は、出力部6aに転送される。出力部6aは、蓄積した電荷(Q2+Q5)に応じたレベルを有する成分信号S3をコントローラ41へ出力する。
【0118】
次に、コントローラ41は、行シフトレジスタSrに水平側転送信号Hc3を与えることにより、行シフトレジスタSrに属する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷を出力部6aへの方向にシフトさせる(ステップS212)。
【0119】
このとき、4列目の列シフトレジスタScに対応する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷(Q3+Q6)は、出力部6aに転送される。出力部6aは、蓄積した電荷(Q3+Q6)に応じたレベルを有する成分信号S2をコントローラ41へ出力する。
【0120】
コントローラ41は、出力部6aから送信された成分信号S4~S2に基づいて、波長ごとの強度を示す光学スペクトルを取得する。
【0121】
図15は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定システムの効果を説明するための図である。
【0122】
図15を参照して、比較例である光学スペクトル測定装置1では、
図3~
図7に示すように、CCD検出器6は、一斉転送制御U1をコントローラ41から受けた後、垂直側転送信号Vc1~Vc4および水平側転送信号Hc1~Hc4をコントローラ41から順番に受ける。当該CCD検出器6が、水平側転送信号Hc1~Hc4の応答として成分信号S4~S1をそれぞれコントローラ41へ送信することで、コントローラ41では、1つの光学スペクトルの取得が完了する。
【0123】
一方、光学スペクトル測定装置11では、
図12~
図14に示すように、CCD検出器6は、一斉転送制御U1をコントローラ41から受けた後、垂直側転送信号Vc1,Vc2および水平側転送信号Hc1~Hc3をコントローラ41から順番に受ける。当該CCD検出器6は、水平側転送信号Hc1~Hc3の応答として成分信号S4~S2をそれぞれコントローラ41へ送信することで、コントローラ41では、1つの光学スペクトルの取得が完了する。
【0124】
このように、光学スペクトル測定装置11では、照射対象エリアArに蓄積された電荷を転送対象とする構成により、垂直転送方向Dvおよび水平転送方向Dhの電荷転送の回数を減ずることができるので、単位測定時間を光学スペクトル測定装置1の単位測定時間より短縮することができる。
【0125】
[光学系5の変形例]
図16は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置における光学系の変形例の構成を示す図である。
図16は、CCD検出器6を水平転送方向にみた側面図である。
【0126】
図16を参照して、光学系5の変形例は、
図8に示す光学系5と比べて、さらに、集光部5gを含む。
【0127】
集光部5gは、たとえば、制限部21が制限対象としない受光素子群に分光後の光を集光する。
【0128】
より詳細には、集光部5gは、たとえばレンズである。当該レンズの形状は、球面であってもよいし、円筒形であってもよい。
【0129】
集光部5gは、たとえば、フォーカスミラー5eとCCD検出器6との間における光路上に設けられる。なお、集光部5gは、スリット5aとフォーカスミラー5eとの間における光路上に設けられてもよい。
【0130】
集光部5gは、フォーカスミラー5eから受ける光のうち集光部5gが設けられない場合において制限部21へ照射される光(
図9参照)を、CCD検出器6における照射対象エリアArに集光する。
【0131】
このような構成により、照射対象エリアArに照射される光量を増加させることができるので、光学スペクトル測定装置11が測定する光学スペクトルのSN比を向上させることができる。
【0132】
なお、集光部5gは、レンズに限らず、CCD検出器6における照射対象エリアArに集光可能なミラーであってもよい。
【0133】
また、集光部5gを、
図10または
図11に示す照射対象エリアArへ分光後の光を集光する構成とすることも可能である。
【0134】
[光学スペクトル測定システム301の変形例]
図17は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定システムの変形例の構成を示す図である。
【0135】
図17を参照して、光学スペクトル測定システム301の変形例では、対象物43からの光が光ファイバ44を介して光学スペクトル測定装置11におけるスリット5aへ入射される。
【0136】
光学スペクトル測定システム301の変形例におけるコントローラ41およびパーソナルコンピュータ42の構成および動作は、
図1に示す光学スペクトル測定システム301におけるコントローラ41およびパーソナルコンピュータ42とそれぞれ同様である。
【0137】
光学スペクトル測定システム301の変形例における光学スペクトル測定装置11の構成および動作は、
図8に示す光学スペクトル測定装置11と同様である。
【0138】
[光学スペクトル測定装置11の変形例1]
図18は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定システムにおける光学スペクトル測定装置の変形例の構成を示す図である。
【0139】
図18を参照して、
図18に示す光学スペクトル測定装置11の変形例1は、
図8に示す光学スペクトル測定装置11と比べて、光学系5の代わりに、光学系7を備える。光学系7は、スリット5aと、凹面回折格子5fとを含む。
【0140】
光学スペクトル測定装置11の変形例1における制限部21、スリット5aおよびCCD検出器6の構成および動作は、
図8に示す光学スペクトル測定装置11における制限部21、スリット5aおよびCCD検出器6とそれぞれ同様である。
【0141】
図18に示す光学スペクトル測定装置11は、パッシェンルンゲ分光器である。光学スペクトル測定装置11における光学系7は、入射光を分光してCCD検出器6へ照射する。
【0142】
より詳細には、光学系5における凹面回折格子5fは、たとえば凹面形状を有する反射型回折格子であり、スリット5aを通過した入射光を波長に応じて異なる方向に回折させ、かつ回折させた入射光をCCD検出器6に集光する。
【0143】
[光学スペクトル測定装置11の変形例2]
図19は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定システムにおける光学スペクトル測定装置の変形例の構成を示す図である。
【0144】
図19を参照して、
図19に示す光学スペクトル測定装置11の変形例2は、
図8に示す光学スペクトル測定装置11と比べて、制限部21の代わりに、制限部(制限機構)22を備える。
【0145】
光学スペクトル測定装置11の変形例2における光学系5およびCCD検出器6の構成および動作は、
図8に示す光学スペクトル測定装置11における光学系5およびCCD検出器6とそれぞれ同様である。
【0146】
制限部22は、たとえば、複数の受光素子の各行の一部の行への光学系5からの光の照射を制限する。
【0147】
具体的には、制限部22は、たとえばレンズである。当該レンズの形状は、球面であってもよいし、円筒形であってもよい。
【0148】
制限部22は、たとえば、フォーカスミラー5eとCCD検出器6との間における光路上に設けられる。なお、制限部22は、スリット5aとフォーカスミラー5eとの間における光路上に設けられてもよい。
【0149】
制限部22は、フォーカスミラー5eから受ける光のうち制限部22が設けられない場合において制限部21へ照射される光(
図9参照)を、CCD検出器6における照射対象エリアArに集光することにより、CCD検出器6への光学系5からの光の照射を制限する。
【0150】
なお、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置の変形例2では、制限部22は、複数の受光素子の各行の一部の行への光学系5からの光の照射を制限する構成であるとしたが、これに限定するものではない。制限部22は、複数の受光素子の各列の一部の列への光学系5からの光の照射を制限する構成であってもよいし、複数の受光素子の各行の一部の行および各列の一部の列への光学系5からの光の照射を制限する構成であってもよい。
【0151】
[動作の流れ]
光学スペクトル測定システム301における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図またはフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0152】
図20は、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定システムにおいて、光学スペクトルが測定される際のシーケンスの一例を示す図である。
【0153】
図20を参照して、まず、ユーザは、光学スペクトル測定装置11の測定対象として対象物43を設置する(ステップS302)。
【0154】
次に、ユーザは、測定を開始するための操作をパーソナルコンピュータ42に対して行う(ステップS304)。
【0155】
次に、パーソナルコンピュータ42は、当該操作をユーザから受け付けると、受け付けた操作に従って、測定開始命令をコントローラ41へ送信する(ステップS306)。
【0156】
次に、コントローラ41は、測定開始命令をパーソナルコンピュータ42から受信すると、受信した測定開始命令に従って、CCD検出器6における各受光素子に蓄積された電荷をクリアするリセット処理を行う(ステップS308)。
【0157】
より詳細には、コントローラ41は、リセット処理として、たとえば、CCD検出器6の照射対象エリアArに含まれる行(以下、対象行とも称する。)の個数回、垂直側転送信号を繰り返しCCD検出器6へ送信した後、照射対象エリアArに含まれる列(以下、対象列とも称する。)の個数回、水平側転送信号を繰り返しCCD検出器6へ送信する。また、リセット処理のタイミングが、所定の露光時間の開始タイミングとなる。
【0158】
次に、コントローラ41は、上記露光時間が経過するまで待機する(ステップS310)。
【0159】
次に、コントローラ41は、各受光素子に蓄積された電荷を対応の列電荷蓄積素子Ccへ転送させる一斉転送制御を行う(ステップS312)。
【0160】
次に、コントローラ41は、最初の垂直側転送信号をCCD検出器6へ送信する(ステップS314)。
【0161】
次に、コントローラ41は、対象行の個数が3以上である場合には垂直側転送信号を1または複数回CCD検出器6へ送信し、最後の垂直側転送信号、すなわち対象行の行数回目の垂直側転送信号をCCD検出器6へ送信する(ステップS316)。
【0162】
次に、コントローラ41は、最初の水平側転送信号をCCD検出器6へ送信する(ステップS318)。
【0163】
次に、コントローラ41は、最初の水平側転送信号の応答である成分信号をCCD検出器6から受信する(ステップS320)。
【0164】
次に、コントローラ41は、対象列の個数が3以上である場合には水平側転送信号の送信および成分信号の受信を1または複数回行い、最後の水平側転送信号、すなわち対象列の列数回目の水平側転送信号をCCD検出器6へ送信する(ステップS322)。
【0165】
次に、コントローラ41は、最後の水平側転送信号の応答である成分信号をCCD検出器6から受信する(ステップS324)。
【0166】
次に、コントローラ41は、連続測定を行う場合(ステップS326でYES)、次の露光時間が経過するまで待機する(ステップS310)。
【0167】
一方、コントローラ41は、連続測定を行わない場合(ステップS326でNO)、CCD検出器6から受信した各成分信号から光学スペクトルを生成し、生成した光学スペクトルに対して所定の演算処理を施すことにより対象物43の良否判定を行う(ステップS328)。
【0168】
次に、コントローラ41は、判定結果を示す結果情報をパーソナルコンピュータ42へ送信する(ステップS330)。
【0169】
なお、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置では、単位測定時間に基づいて、制限対象となるCCD検出器6の行の数が設定される構成であるとしたが、これに限定するものではない。CCD検出器6が検出すべき光量に基づいて、制限対象となるCCD検出器6の行の数が設定される構成であってもよい。具体的には、要求されるSN比に基づいて、制限対象となるCCD検出器6の行の数が設定される。また、単位測定時間、およびCCD検出器6が検出すべき光量に基づいて、制限対象となるCCD検出器6の行の数が設定される構成であってもよい。また、単位測定時間および当該光量に関わらず、制限対象となるCCD検出器6の行の数がたとえば任意に設定されている構成であってもよい。
【0170】
また、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置では、スペクトル測定に関する条件に基づいて制限部21の制限対象が設定されている構成であるとしたが、これに限定するものではない。光学スペクトル測定装置11では、スペクトル測定に関係しない条件に基づいて制限部21の制限対象が設定されている構成であってもよい。具体的には、たとえば、行シフトレジスタSrにおける行電荷蓄積素子Crの蓄電容量に基づいて、制限対象となるCCD検出器6の行の数が設定される構成であってもよい。より具体的には、ビニング処理によって列シフトレジスタScにおける各列電荷蓄積素子Ccに蓄積された電荷が、対応の行電荷蓄積素子Crに転送された場合において、転送される電荷の総量が、行電荷蓄積素子Crの蓄電容量を超えないように、制限対象となるCCD検出器6の行の数が設定される。
【0171】
また、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置では、光学スペクトル測定装置11が取得すべき光学スペクトルの複数の波長にそれぞれ対応する複数の列以外の、1または複数の列が制限対象として設定されている構成であるとしたが、これに限定するものではない。光学スペクトル測定装置11では、光学スペクトル測定装置11が取得すべき光学スペクトルの複数の波長に関わらず、他の条件に基づいて1または複数の列が制限対象として設定されている構成であってもよい。
【0172】
また、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置では、ビニング処理が行われる構成であるとしたが、これに限定するものではない。光学スペクトル測定装置11は、ビニング処理が行われない構成であってもよい。具体的には、光学スペクトル測定装置11は、たとえば、複数の受光素子に蓄積された電荷がそれぞれ別個に読み出される構成であってもよい。
【0173】
また、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置では、制限対象エリアAuは、垂直転送方向Dvにおける始点側の最初の行すなわち1番目の行を含むように設けられる構成であるとしたが、これに限定するものではない。制限対象エリアAuは、垂直転送方向Dvにおける始点側の最初の行を含まないように設けられる構成であってもよい。
【0174】
具体的には、たとえば、
図12に示すCCD検出器6において、制限対象エリアAuが3番目の行および4番目の行を含み、かつ照射対象エリアArが1番目の行および2番目の行を含む場合、以下の方法により、正しい成分信号を取得することが可能である。
【0175】
すなわち、コントローラ41は、第1の露光時間経過後、各列シフトレジスタScに垂直側転送信号Vc1を2回与えることにより、各列に属する列電荷蓄積素子Ccに蓄積された電荷を垂直転送方向Dvにシフトさせる。
【0176】
このとき、制限対象エリアAuにおける列電荷蓄積素子Ccの電荷は、自己の属する列に対応する、行シフトレジスタSrにおける行電荷蓄積素子Crへ移動する。また、照射対象エリアArにおける列電荷蓄積素子Ccに蓄積された電荷は、制限対象エリアAuにおける対応の列電荷蓄積素子Ccへ移動する。
【0177】
次に、コントローラ41は、行シフトレジスタSrに水平側転送信号Hc1を4回与えることにより、行シフトレジスタSrに属する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷をクリアする。このとき、コントローラ41は、出力部6aから送信される成分信号を破棄する。
【0178】
次に、コントローラ41は、第2の露光時間経過後、各列シフトレジスタScに垂直側転送信号Vc1を2回与えることにより、各列に属する列電荷蓄積素子Ccに蓄積された電荷を垂直転送方向Dvにシフトさせる。
【0179】
このとき、制限対象エリアAuにおける列電荷蓄積素子Ccの電荷すなわち第1の露光時間において蓄積された電荷は、自己の属する列に対応する行電荷蓄積素子Crへ移動する。また、照射対象エリアArにおける列電荷蓄積素子Ccに蓄積された電荷すなわち第2の露光時間において蓄積された電荷は、制限対象エリアAuにおける対応の列電荷蓄積素子Ccへ移動する。
【0180】
次に、コントローラ41は、行シフトレジスタSrに水平側転送信号Hc1を4回与えることにより、第1の露光時間において蓄積された電荷に基づく成分信号を順次取得する。
【0181】
また、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置では、制限対象エリアAuは、水平転送方向Dhにおける始点側の最初の列すなわち1番目の列を含むように設けられる構成であるとしたが、これに限定するものではない。制限対象エリアAuは、水平転送方向Dhにおける始点側の最初の列を含まないように設けられる構成であってもよい。
【0182】
具体的には、たとえば、
図12に示すCCD検出器6において、制限対象エリアAuが3番目の列および4番目の列を含み、かつ照射対象エリアArが1番目の列および2番目の列を含む場合、以下の方法により、正しい成分信号を取得することが可能である。
【0183】
すなわち、コントローラ41は、行シフトレジスタSrに水平側転送信号Hc1を2回与えることにより、照射対象エリアArに対応する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷をクリアする。このとき、コントローラ41は、出力部6aから送信される成分信号を破棄する。
【0184】
次に、コントローラ41は、第1の露光時間経過後、各列シフトレジスタScに垂直側転送信号Vc1を4回与えることにより、各列に属する列電荷蓄積素子Ccに蓄積された電荷を垂直転送方向Dvにシフトさせる。
【0185】
このとき、照射対象エリアArにおける列電荷蓄積素子Ccに蓄積された電荷は、自己の属する列に対応する、行シフトレジスタSrにおける行電荷蓄積素子Crへ移動する。
【0186】
次に、コントローラ41は、行シフトレジスタSrに水平側転送信号Hc1を2回与えることにより、照射対象エリアArに対応する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷すなわち第1の露光時間において蓄積された電荷を、制限対象エリアAuに対応する行電荷蓄積素子Crへ移動する。このとき、コントローラ41は、出力部6aから送信される成分信号を破棄する。
【0187】
次に、コントローラ41は、第2の露光時間経過後、各列シフトレジスタScに垂直側転送信号Vc1を4回与えることにより、各列に属する列電荷蓄積素子Ccに蓄積された電荷を垂直転送方向Dvにシフトさせる。
【0188】
このとき、照射対象エリアArにおける列電荷蓄積素子Ccに蓄積された電荷は、自己の属する列に対応する、行シフトレジスタSrにおける行電荷蓄積素子Crへ移動する。
【0189】
次に、コントローラ41は、行シフトレジスタSrに水平側転送信号Hc1を2回与えることにより、第1の露光時間において蓄積された電荷に基づく成分信号を順次取得するとともに、照射対象エリアArに対応する行電荷蓄積素子Crに蓄積された電荷すなわち第2の露光時間において蓄積された電荷を、制限対象エリアAuに対応する行電荷蓄積素子Crへ移動する。
【0190】
制限対象エリアAuが、垂直転送方向Dvにおける始点側の最初の行を含まないように設けられる構成、および制限対象エリアAuが、水平転送方向Dhにおける始点側の最初の列を含まないように設けられる構成では、コントローラ41は、第1の露光時間において蓄積された電荷に基づく成分信号を第2の露光時間経過後に取得する。
【0191】
これに対して、
図8、
図10および
図11に示すように、制限対象エリアAuが、垂直転送方向Dvにおける始点側の最初の行を含むように設けられる構成、および制限対象エリアAuが、水平転送方向Dhにおける始点側の最初の列を含むように設けられる構成では、コントローラ41は、第1の露光時間において蓄積された電荷に基づく成分信号をより早く取得することができる。具体的には、コントローラ41は、たとえば当該成分信号を第2の露光時間中または第2の露光時間前に取得することができる。
【0192】
ところで、光学スペクトル測定装置における受光手段として、たとえば特許文献1に記載のCCD検出器等を用いる構成が考えらえる。このような構成において、光学スペクトルを測定するためのより優れた装置を提供する技術が求められている。
【0193】
これに対して、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置では、CCD検出器6は、2次元配列された複数の受光素子を含む。光学系5は、入射光を分光してCCD検出器6に照射する。そして、制限部21は、複数の受光素子の各行の一部の行および各列の一部の列の少なくともいずれか一方への光学系5からの光の照射を制限する。
【0194】
このような構成により、たとえば汎用のCCD検出器6への光の照射を制限することで、新規のCCD検出器を開発することなく検出領域をダウンサイズしたCCD検出器を実現することができるので、装置の開発コストを低減することができる。また、光が照射される行数および列数の少なくともいずれか一方を減らすことができるので、光の照射先を制限しない構成と比べて、各受光素子において生成された電荷の取得処理に要する時間を短縮することができる。したがって、より優れた光学スペクトル測定装置を提供することができる。
【0195】
また、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置では、スペクトル測定に関する条件に基づいて制限部21の制限対象が設定されている。
【0196】
このような構成により、測定すべき光学スペクトルの内容に応じた適切な制限対象を設定することができる。
【0197】
また、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置では、光学系5によって分光された各波長の光が対応の列に照射される。そして、CCD検出器6による1つの光学スペクトルの測定時間、およびCCD検出器6が検出すべき光量の少なくともいずれか一方に基づいて、制限対象となる行の数が設定されている。
【0198】
このような構成により、たとえば、要求される測定時間内での光学スペクトルの測定完了を実現したり、要求されるSN比を満たす光学スペクトルの測定を実現したりすることができる。
【0199】
また、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置では、光学系5によって分光された各波長の光が対応の列に照射される。そして、光学スペクトル測定装置11が取得すべき光学スペクトルの複数の波長にそれぞれ対応する複数の列以外の、1または複数の列が制限対象として設定されている。
【0200】
このような構成により、要求される波長範囲の光学スペクトルを効率的に測定することができる。
【0201】
また、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置では、光学系5は、制限部21が制限対象としない受光素子群に分光後の光を集光する集光部5gを含む。
【0202】
このような構成により、使用すべき受光素子群に照射される光の強度を高めることができるので、光学スペクトルのSN比を向上させることができる。
【0203】
また、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置では、CCD検出器6は、列ごとに設けられ、列に属する複数の受光素子にそれぞれ対応して複数の列電荷蓄積素子Ccが設けられた複数の列シフトレジスタScと、複数の列シフトレジスタScにそれぞれ対応して複数の行電荷蓄積素子Crが設けられた行シフトレジスタSrとを含む。そして、列シフトレジスタScは、行に属する受光素子に対応する自己の列電荷蓄積素子Ccにおける蓄積電荷を、他の行に属する受光素子に対応する自己の列電荷蓄積素子Cc、または行シフトレジスタSrにおける対応の行電荷蓄積素子Crへ移動させる。
【0204】
このように、光が照射された受光素子において生成された電荷を列ごとに集約する構成により、波長ごとの所望の電荷量を効率よく取得することができる。
【0205】
また、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定装置では、制限部21は、各行の一部の行および各列の一部の列への光学系5からの光の照射を制限する。
【0206】
このような構成により、光が照射される行数および列数の両方を減らすことができるので、各受光素子において生成された電荷の取得処理に要する時間をより短縮することができる。
【0207】
また、本発明の実施の形態に係る光学スペクトル測定方法では、まず、入射光を分光してCCD検出器6に照射する。次に、CCD検出器6に照射された入射光によって複数の受光素子において生成された電荷を取得する。そして、CCD検出器6に光を照射する際、複数の受光素子の各行の一部の行および各列の一部の列の少なくともいずれか一方への分光した入射光の照射を制限する。
【0208】
このような方法により、たとえば汎用のCCD検出器6への光の照射を制限することで、新規のCCD検出器を開発することなく検出領域をダウンサイズしたCCD検出器を実現することができるので、装置の開発コストを低減することができる。また、光が照射される行数および列数の少なくともいずれか一方を減らすことができるので、光の照射先を制限しない構成と比べて、各受光素子において生成された電荷の取得処理に要する時間を短縮することができる。したがって、より優れた光学スペクトル測定装置を提供することができる。
【0209】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0210】
1 光学スペクトル測定装置
5 光学系
5a スリット
5b 回折格子
5d コリメートミラー
5e フォーカスミラー
5f 凹面回折格子
5g 集光部
6a 出力部
6 CCD検出器
7 光学系
11 光学スペクトル測定装置
21 制限部
22 制限部
41 コントローラ
42 パーソナルコンピュータ
43 対象物
44 光ファイバ
301 光学スペクトル測定システム