(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179572
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】移動体搭載装置
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20231212BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231212BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B60R11/02 C
H05K5/02 A
H05K5/03 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023165277
(22)【出願日】2023-09-27
(62)【分割の表示】P 2020033562の分割
【原出願日】2020-02-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年1月8日、CES2020にて展示
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】河村 賢一
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本体部とディスプレイユニットとのねじ締結作業が高効率となる移動体搭載装置を提供する。
【解決手段】移動体搭載装置は、本体部とディスプレイユニットと本体部とディスプレイユニットとを連結する連結部とを備える。連結部は、ディスプレイユニットから本体部に向け突出し第1方向に離隔配置され開口部を有する天板及び開口部に対応した第1雌ねじ部を有する底板を有するベースブラケットと、本体部からディスプレイユニットに向け突出し天板をねじ締結する第2雌ねじ部(124)を有する腕プレート部(12c)と、底板の第1雌ねじ部にねじ締結される基部(12a)とを有する連結プレート(12)と、開口部と第1雌ねじ部との間を柱状のガイド空間(SP2)として他空間と区画するよう天板と底板との間に側壁として配置されたカバー(3)とを備えた。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
ユニットハウジングと、
前記筐体と前記ユニットハウジングとを連結する連結部と、
を備え、
前記連結部は、
前記ユニットハウジングから前記筐体に向け突出し、開口部を有する天板及び前記開口部に対応した位置に第1雌ねじ部を有する底板を有するベースブラケットと、
前記筐体から前記ユニットハウジングに向け突出し、前記天板をねじ締結する第2雌ねじ部を有する腕プレート部と、前記底板の前記第1雌ねじ部にねじ締結される基部とを有する連結プレートと、
前記開口部と前記第1雌ねじ部との間を柱状の空間として他の空間と区画するよう前記天板と前記底板との間の一部に側壁として配置されたガイド部を有するカバーと、
を備えたことを特徴とする移動体搭載装置。
【請求項2】
前記筐体である本体部から突出した接続部材であるコネクタまたはレセプタクルの一方の接続部材と、前記ユニットハウジングであるディスプレイユニットから突出して前記一方の接続部材に係合接続する他方の接続部材と、前記他方の接続部材が取り付けられた基板と、を有し、
前記カバーは、前記他方の接続部材が通過した開口部を有すると共に前記基板を外部から見えないように覆っていることを特徴とする請求項1記載の移動体搭載装置。
【請求項3】
前記柱状の空間は、固定ねじを前記第1雌ねじ部に締結するための工具を挿通可能に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の移動体搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体部と、本体部に対しねじによって連結されたディスプレイユニットとを備えた移動体搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、本体部と、本体部にねじによって連結されたディスプレイユニットとを備えた車載装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された車載装置は、特許文献1の
図5に示されるように、ねじによって本体部側連結部材とディスプレイユニット側連結部材とからなる連結部を締結して本体部とディスプレイユニットとを連結している。また、電気接続のためのコネクタ端子も露出している。
【0005】
特許文献1の
図5に示されるように、ねじは、上方から挿入して連結部の下方で締結する。そのため、ねじが、上方からの挿入途中でドライバのビットから離脱すると、転がるなどして他の部位に移動して取り出しに手間がかかり作業効率が低下するという不具合がある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、本体部とディスプレイユニットとのねじ締結作業を高効率に行うことができる移動体搭載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は次の1)の構成を有する。
1) 筐体と、
ユニットハウジングと、
前記筐体と前記ユニットハウジングとを連結する連結部と、
を備え、
前記連結部は、
前記ユニットハウジングから前記筐体に向け突出し、開口部を有する天板及び前記開口部に対応した位置に第1雌ねじ部を有する底板を有するベースブラケットと、
前記筐体から前記ユニットハウジングに向け突出し、前記天板をねじ締結する第2雌ねじ部を有する腕プレート部と、前記底板の前記第1雌ねじ部にねじ締結される基部とを有する連結プレートと、
前記開口部と前記第1雌ねじ部との間を柱状のガイド空間として他の空間と区画するよう前記天板と前記底板との間の一部に側壁として配置されたガイド部を有するカバーと、
を備えたことを特徴とする移動体搭載装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本体部とディスプレイユニットとのねじ締結作業を高効率に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る移動体搭載装置の実施例であるナビゲーション装置91の組み立て図である。
【
図2】
図2は、ナビゲーション装置91を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示されるナビゲーション装置91の上面図である。
【
図4】
図4は、ナビゲーション装置91が備える目隠しカバー3の取り付け方法を示す組み立て図である。
【
図5】
図5は、
図4におけるS4-S4位置での断面図である。
【
図6】
図6は、
図5におけるS6-S6位置での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る移動体搭載装置を、実施例であるナビゲーション装置91により説明する。まず、
図1~
図3を参照してナビゲーション装置91の概略構成を説明する。
【0011】
図1は、ナビゲーション装置91の斜視的組み立て図であり、
図2は、ナビゲーション装置91を示す斜視図であり、
図3は、
図2における上面図である。説明の便宜のため、上下左右前後の各方向を、
図1に矢印で示した方向に規定する。
【0012】
ナビゲーション装置91は、車両などの移動体に搭載されて使用される移動体搭載装置である。
【0013】
図1に示されるように、ナビゲーション装置91は、本体部1及びディスプレイユニット2を有する。本体部1は、筐体11と、筐体11の前面から前方に突出する連結プレート12及びコネクタ13とを有する。
【0014】
ディスプレイユニット2は、ユニットハウジング21と、ユニットハウジング21から後方に突出して連結プレート12に係合するベースブラケット22を有する。
【0015】
ディスプレイユニット2は、連結プレート12にベースブラケット22を係合させ(矢印DRa参照)、連結プレート12とベースブラケット22とを固定ねじN1~N6の6本のねじで締結させることで本体部1に連結され一体化する。
【0016】
連結プレート12及びベースブラケット22と、後述する目隠しカバー3とを含み連結部RKが構成される。
【0017】
図2及び
図3は、本体部1とディスプレイユニット2とを連結部RKで固定した状態を示している。
【0018】
図2に示されるように、ディスプレイユニット2は、矢印DRbの方向の所定角度範囲で回動可能となっており、使用者の好みの姿勢に変えることができる。
【0019】
次に、連結部RKについて詳述する。
図6は、
図3におけるS6-S6位置での断面図である。
【0020】
図6に示されるように、ベースブラケット22は、天板22a,奥板22b,及び底板22cを有する。
【0021】
天板22aは、前後左右方向に延在した板状部位である。天板22aの右部には、前後に離隔した一対の貫通孔221,222が形成されており、左部には、前後に離隔した一対の貫通孔224,225が形成されている。
【0022】
また、天板22aの前部の左右に離隔した位置に、前後に延びる一対の開口部223,226が形成されている。開口部223,226は、前方から後方に切り込まれて開口した部分であるので、以下の説明においては、便宜的に切り込み部223,226とも称する。
【0023】
底板22cは、天板22aに対しその下方に平行に配置され、前方において奥板22bを介して天板22aと接続されている。
【0024】
底板22cにおける、天板22aの切り込み部223,226に対応した位置それぞれに、第1雌ねじ部として雌ねじ部22c1が形成されている。
【0025】
図4に示されるように、ベースブラケット22の奥板22bには、不図示の取り付け構造によって基板5が取り付けられている。基板5には、一方の接続部材であるコネクタ13に係合接続する他方の接続部材であるレセプタクル6が、後方に向け突出するように取り付けられている。
【0026】
奥板22bにおいて、レセプタクル6の左側及び右側には、それぞれ雌ねじ部22b1が形成されている。
【0027】
図3及び
図4に示されるように、ベースブラケット22の奥板22bには、カバー3が取り付けられている。カバー3は、基板5などを使用者から見えないように隠すものでもあるので、以下の説明では、便宜的に目隠しカバー3とも称する。
【0028】
目隠しカバー3は、
図4に示されるように、左右に長い短冊状に延びる基部3aと、基部3aの右方端部に連接形成された右ガイド部3b及び左方端部に連接形成された左ガイド部3cとを有する。
【0029】
基部3aは、中央部位においてレセプタクル6に適合した形状に形成され、レセプタクル6を挿通可能な開口部3a1と、開口部3a1の左側及び右側にそれぞれ形成され、貫通孔3a2aを有する段付きのねじ座部3a2とを有する。
【0030】
基部3aの前面の左右両端部位には、前方に突出し、基板5の左右縁と係合する基板当て部3dが形成されている。
【0031】
右ガイド部3bには、後方に突出するリブ3b1が形成されている。リブ3b1は、目隠しカバー3の左右の逆付けを防止すると共に目隠しカバー3をつまみ易くして作業効率を向上させる。
【0032】
図4に示されるように、目隠しカバー3は、開口部3a1にレセプタクル6を通し、ねじ座部3a2の貫通孔3a2aに固定ねじN7を通して奥板22bの雌ねじ部22b1に締結することで奥板22bに取り付けられる。
【0033】
右ガイド部3b及び左ガイド部3cは、上下に延びる軸線を有する円筒の、周面の一部の形状をもって形成されている。この円筒の軸線は、目隠しカバー3を奥板22bに取り付けた状態で、雌ねじ部22c1の軸線CLaと一致する。
【0034】
次に、連結プレート12とベースブラケット22との係合関係について、
図5も参照して説明する。
図5は、目隠しカバー3を取り付けたベースブラケット22を連結プレート12に係合させた状態の、
図4に示されるS5-S5位置での断面図である。
【0035】
まず、
図1に示されるように、連結プレート12は前後左右に延びる平板状の基部12aと、基部12aの左右端に接続し、上部から外方に延出する逆L字状に形成された腕プレート部12b,12cとを有する。
【0036】
腕プレート部12bは、前後に離隔して形成された、第2雌ねじ部である一対の雌ねじ部121,122を有し、腕プレート部12cは、前後に離隔して形成された一対の雌ねじ部124,125を有する。
【0037】
基部12aは、前縁側における腕プレート部12b,12cそれぞれに近い位置に、貫通孔123,126を有する。
【0038】
コネクタ13は、基部12aの上方において前方に突出して設置されている。
【0039】
連結プレート12に対し、目隠しカバー3を取り付けたベースブラケット22を係合させる際は、基準として、
図6に示されるように、連結プレート12の基部12aの下面12a1を、ベースブラケット22の底板22cの上面に当たるように差し込んで係合させる。
【0040】
この差し込み動作により、レセプタクル6は、コネクタ13に係合接続する。また、連結プレート12の腕プレート部12b,12cの上面12b1,12c1(
図5参照)が、ベースブラケット22の天板22aの下面22a1(
図6参照)に対しほぼ隙間なく近接対向する。
【0041】
天板22aの貫通孔221,222の位置は、連結プレート12の腕プレート部12bの雌ねじ部121,122の位置にそれぞれ対応し、貫通孔224,225の位置は、腕プレート部12cの雌ねじ部124,125の位置にそれぞれ対応している。
【0042】
また、連結プレート12の基部12aの貫通孔123,126の位置は、ベースブラケット22の底板22cの雌ねじ部22c1,22c1の位置に対応している。この状態で、雌ねじ部22c1,22c1は、上方から天板22aの切り込み部223,226を通して臨むことができる。
【0043】
これにより、ねじN1,N2を、貫通孔221,222を通して雌ねじ部121,122に締結し、ねじN4,N5を、貫通孔224,225を通して雌ねじ部124,125に締結させる。
【0044】
また、ねじN3,N6を、切り込み部223,226を通し、さらに連結プレート12の貫通孔123,126を通してベースブラケット22の底板の雌ねじ部22c1,22c1に締結させる。
【0045】
これら6本のねじ締結によって、ベースブラケット22は連結プレート12にしっかりと取り付けられる。すなわち、ディスプレイユニット2は、本体部1に取り付けられる。
【0046】
図6に示されるように、固定ねじN6の締結は、固定ねじN6をドライバのビット81の先端に係合保持させたまま、ベースブラケット22の天板22aの上方から切り込み部226を通して(挿通させて)、下方の底板22cの雌ねじ部22c1に対して行う。これは、固定ねじN3の締結についても同様である。
【0047】
連結部RKは、目隠しカバー3を有し、目隠しカバー3の右ガイド部3b及び左ガイド部3cは、
図5に示されるように、それぞれ固定ねじN3及び固定ねじN6の上方からの挿通経路を囲むように配置される。
【0048】
すなわち、固定ねじN3の挿通経路は、前方が奥板22bにより、右方が連結プレート12の腕プレート部12bにより、後方及び左方が側壁として右ガイド部3bによって囲まれて形成された、上下に延びる閉じた円柱状のガイド空間SP1内に設定されている。
【0049】
また、固定ねじN6の挿通経路は、同様に、前方が奥板22bにより、左方が連結プレート12の腕プレート部12cにより、後方及び右方が側壁として左ガイド部3cによって囲まれて形成された、上下に延びる閉じた円柱状のガイド空間SP2として設定されている。
【0050】
これにより、固定ねじN3,N6の締結において、固定ねじN3,N6がガイド空間SP1,SP2内で下降移動させている途中でビット81から離脱しても、容易に回収できる。
【0051】
すなわち、ガイド空間SP1,SP2は、固定ねじN3,N6に関して実質的に他の空間から区画された閉じた空間となっているので、固定ねじN3,N6は、ガイド空間SP1,SP2内に留まって、他の部位へ転がって移動することはない。
【0052】
そのため、固定ねじN3,N6はビット81から離脱しても取り出しが容易であり、再締結作業が簡単に行える。これにより、ナビゲーション装置91は、本体部1とディスプレイユニット2とのねじ締結作業を高い効率で行うことができる。
【0053】
また、目隠しカバー3は、レセプタクル6を挿通する開口部3a1を除いて基板5を覆い、外部から基板5が見えないようになっている。
【0054】
これにより、基板5に対し外部から金属部材などが進入して接触し、ショートなどの不具合が生じることが防止される。
【0055】
以上詳述した実施例は、上述の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形した変形例としてもよい。
【0056】
固定ねじN1~N7の種類は限定されない。例えば、ガイド空間SP1,SP2内に通される固定ねじを、六角頭の十字穴付き六角ねじとし、ガイド空間SP1,SP2を、固定ねじN7の十字穴付き六角ねじの六角頭に適合したボックスレンチを挿通可能とする大きさに形成してもよい。すなわち、ガイド空間SP1,SP2は、固定ねじN7を締結するための工具を挿通可能なように形成する。
【0057】
ビット81に保持させた固定ねじN7を移動させる方向は、重力の方向である上方から下方に限定されない。重力に対し傾斜又は直交する方向であってもよい。すなわち、ガイド空間SP1,SP2の軸線の延びる方向(第1の方向)は、上下方向に限定されない。
【0058】
実施例では、
図4に示されるように、基板5が上下左右方向に延在する姿勢とされ、基板5には立型のレセプタクル6が実装されている例を示したが、基板5の姿勢は限定されない。例えば、基板5を左右前後方向に延在する姿勢とし、伏せ型のレセプタクル6が実装されていてもよい。
【0059】
実施例及び変形例で説明したレセプタクル6とコネクタ13との関係は、逆であってもよい。すなわち、本体部1の側にレセプタクル6を有し、ディスプレイユニット2の側にコネクタ13を有していてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 本体部
11 筐体
12 連結プレート
12a 基部
12a1 下面
12b,12c 腕プレート部
12b1,12c1 上面
121,122,124,125 雌ねじ部
123,126 貫通孔
13 コネクタ
2 ディスプレイユニット
21 ユニットハウジング
22 ベースブラケット
22a 天板
22a1 下面
22b 奥板
22b1 雌ねじ部
22c 底板
22c1 雌ねじ部
221,222,224,225 貫通孔
223,226 切り込み部
3 目隠しカバー
3a 基部
3a1 開口部
3a2 ねじ座部
3a2a 貫通孔
3b 右ガイド部
3b1 リブ
3c 左ガイド部
3d 基板当て部
5 基板
6 レセプタクル
81 ビット
91 ナビゲーション装置(移動体搭載機器)
CLa 軸線
N1~N6,N7 固定ねじ
SP1,SP2 ガイド空間
RK 連結部