(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179615
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】活性ベースのプローブ化合物、組成物、および使用方法
(51)【国際特許分類】
C07D 209/60 20060101AFI20231212BHJP
A61K 49/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
C07D209/60
A61K49/00
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172741
(22)【出願日】2023-10-04
(62)【分割の表示】P 2021186871の分割
【原出願日】2017-12-23
(31)【優先権主張番号】62/438,959
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マシュー エス. ボギョ
(72)【発明者】
【氏名】マルテイン フェルドゥース
(57)【要約】
【課題】システインプロテアーゼの標識化での使用のための活性ベースプローブ化合物を提供すること。
【解決手段】これらの化合物は、特異的標的要素を介してプロテアーゼに標的とされる。これらの化合物は、蛍光標識、放射性標識またはキレーターなどの検出可能な要素をさらに含む。いくつかの場合、これらの化合物は、プロテアーゼとの反応の際に放出されるクエンチング要素をさらに含む。例えば動物におけるプロテアーゼの標識化においておよび動物における腫瘍の可視化において、これらの化合物を含む組成物、および、これらの化合物を使用するための方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)
【化36】
(式中、Dはベンゾインドール色素を含み;
前記ベンゾインドール色素は、構造:
【化37】
を有し、
L
1はリンカーであり;
AA
1はアミノ酸側鎖であり;
U
1
はO、NHまたはSであり;
R
1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルまたは保護基であり、1~3個のA基で任意選択で置換されており;
各Aは、独立にアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アラルキル、アラルコキシ、アラルカノイル、アラルカミノ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルコキシ、ヘテロアラルカノイル、ヘテロアラルカミノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルカノイル、シクロアルカミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルコキシ、ヘテロシクリルアルカノイル、ヘテロシクリルアルカミノ、ヒドロキシル、チオ、アミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、アルキルカルボキシ、カルボネート、カルバメート、グアニジニル、尿素、ハロ、トリハロメチル、シアノ、ニトロ、ホスホリル、スルホニル、スルホンアミド、またはアジドであり、
L
3はリンカーであり、
Qは
QC-1クエンチャーを含む)
を有する、化合物
を含む、プロテアーゼの標識化において使用するための組成物。
【請求項2】
前記ベンゾインドール色素が、構造:
【化38】
を有する、請求項
1に記載の
組成物。
【請求項3】
L1が、任意選択で置換されたアルキルリンカーであり、各炭素原子はヘテロ原子で任意選択で置き換えられている、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
AA1が、1~3個のA基で任意選択で置換された、アラルキルアミノ酸側鎖である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
U1がOである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
L3が必要に応じて置換されたアルキルリンカーであり、各炭素原子はヘテロ原子で必要に応じて置き換えられている、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記QC-1クエンチャーが、構造:
【化40】
を有する、請求項
1に記載の
組成物。
【請求項8】
前記ベンゾインドール色素が、構造:
【化41】
を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ベンゾインドール色素が、構造:
【化42】
を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記QC-1クエンチャーが、構造:
【化43】
を有する、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
式(III):
【化44】
(式中
、mおよびnは独立に、1~8の整数であ
り、
Rは、
【化45】
である)
を有する、請求項
9に記載の
組成物。
【請求項12】
以下の式:
【化46】
に従う構造またはその薬学的に許容される塩を有する組成物。
【請求項13】
前記薬学的に許容される塩が、以下の式:
【化47】
に従う構造を有する、請求項12に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年12月23日に出願された米国仮出願第62/438,959号の利益を主張し、その開示の全体が、参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0002】
政府支援の陳述
本発明は、国立衛生研究所によって授与された、契約EB005011のもとの政府支援により行われた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
現在、様々な技術が、分子画像化および疾患の監視の領域での使用のために開発されている。特に、光学的蛍光画像化は、その感度、特異性および非侵襲性を考慮すると、臨床的なツールとして有望性を示し始めているアプローチである。蛍光光プローブの特異性は、いくつかの場合、それらの生物学標的によって提供され得る。例えば、生体試料中の酵素標的によって認識される光プローブは、プローブの蛍光が酵素反応の際にのみ放たれる場合、極めて特異的なシグナルをしばしば発生する。理想的には、蛍光シグナルが酵素反応によって活性化された後であっても、プローブの蛍光部分は、その酵素標的と結合したままである。このような蛍光活性ベースプローブ(ABP)が、プロテアーゼ標的に関連して記載されている。Blumら(2009年)PLoS One 4巻:e6374;doi:10.1371/journal.pone.0006374。ABPは、ABPと酵素の活性部位の触媒残基との反応からもたらされる永久的な共有結合によって、単純な蛍光発生基質と区別することができる。蛍光基質は、それらの標的酵素による触媒ターンオーバーからもたらされるシグナル増幅のために有利であるように見えるが、APBは、標的酵素のそれらの共有結合修飾に起因して、増加した組織取り込み動力学および標的組織におけるプローブの長期保持を示すことが見出された。
【0004】
蛍光ベース光プローブとの使用のための問題の標的酵素の中には、プロテアーゼ、特にシステインプロテアーゼがある。システインカテプシンは、健康および疾患において重要な役割を果たすプロテアーゼのファミリーである。Reiserら(2010年)J. Clin. Invest. 120巻:3421~31頁。これらの機能は、主に、エンドソーム経路に限られるとして記載されているが、それらがマトリックス分解の主要な制御因子であるという証拠が蓄積されており、それらが細胞外の状況においても機能することを示唆している。BroemmeおよびWilson(2011年)Role of
Cysteine Cathepsins in Extracellular Proteolysis. Biology of Extracellular Matrix 2巻、23~51頁。加えて、システインカテプシンファミリーのメンバーは、いくつかの種類のがんの発生および進行における主要なプレーヤーであることが示されている。MohamedおよびSloane(2006年)Nat. Rev. Cancer(2006年)6巻:764~75頁;PalermoおよびJoyce(2008年)Trends Pharmacol. Sci. 29巻:22~8頁。さらに、カテプシンの内因性阻害因子であるシスタチンの発現の変化が、がんにおいて観察されている。Cox(2009年)Cystatins and cancer. Front. Biosci. 14巻:463~74頁。これらの観察は、細胞内および細胞外の環境における潜在的な変化と組み合わせると、天然の腫瘍の微小環境の状況におけるこれらのプロテアーゼの活性の直接評価を可能にするツールの重要性を強く主張する。システインカテプシンファミリーを標的とするいくつかのABPが合成されている。Edgingtonら(2011年)Curr. Opin. Chem. Biol. 15巻:798~805頁。特に、蛍光的にクエンチされたABP(qABP)は、がんの非侵襲的光学的画像化、およびその後の組織学的な細胞およびタンパク質レベルでの標的カテプシンのキャラクタリゼーションのための強力なツールであることが証明されている。Blumら(2007年)Nat. Chem. Biol. 3巻:668~77頁;Verdoesら(2012年)Chem. Biol. 19巻:619~28頁。
【0005】
2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシアリールメチルケトン反応基に基づくジペプチジルペプチダーゼIの活性ベース阻害剤が報告されているが(Deuら(2010年)Chem. Biol. 17巻:808~819頁)、これらの阻害剤は、非ペプチド性であって、検出可能な基を含んでいなかった。
【0006】
カテプシンなどの活性なプロテアーゼを含む細胞の蛍光画像化における使用のためのクエンチされた活性ベースペプチド性阻害剤も報告されている。例えば、米国特許出願公開第2007/0036725号を参照されたい。これらのプローブは、プロテアーゼ活性部位と結合するために、エステル結合したアシルオキシメチルケトン反応基を利用する。いくつかの場合、活性ベース蛍光プローブは非ペプチド性である。例えば、PCT国際公開番号WO2012/118715を参照されたい。いくつかの場合、活性ベースプローブは、それらの標的酵素を放射性標識するために使用される。例えば、PCT国際公開番号WO2009/124265を参照されたい。
【0007】
カスパーゼおよび他のシステインプロテアーゼの他の活性ベース阻害剤は、PCT国際公開番号WO2012/021800;米国特許出願公開第2002/0052323号;米国特許出願公開第2002/0028774号;PCT国際公開番号WO96/41638;および欧州特許出願公開第0272671号に報告されている。
しかしながら、より高い細胞取り込みを有し、より広範囲のシステインプロテアーゼ活性を標的とし、高い検出感度およびより低いバックグラウンドシグナルを提供する、システインプロテアーゼの新規な活性ベース蛍光プローブに対する必要性が、当該分野において依然としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0036725号明細書
【特許文献2】国際公開第2012/118715号
【特許文献3】国際公開第2012/021800号
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0052323号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2002/0028774号明細書
【特許文献6】国際公開第96/41638号
【特許文献7】欧州特許出願公開第0272671号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Blumら(2009年)PLoS One 4巻:e6374;doi:10.1371/journal.pone.0006374
【非特許文献2】Reiserら(2010年)J. Clin. Invest. 120巻:3421~31頁
【非特許文献3】Wilson(2011年)Role of Cysteine Cathepsins in Extracellular Proteolysis. Biology of Extracellular Matrix 2巻、23~51頁
【非特許文献4】MohamedおよびSloane(2006年)Nat. Rev. Cancer(2006年)6巻:764~75頁;PalermoおよびJoyce(2008年)Trends Pharmacol. Sci. 29巻:22~8頁
【非特許文献5】Cox(2009年)Cystatins and cancer. Front. Biosci. 14巻:463~74頁
【非特許文献6】Edgingtonら(2011年)Curr. Opin. Chem. Biol. 15巻:798~805頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要約
本発明は、動物プロテアーゼを標的とする化合物、組成物、ならびにその化合物および組成物の使用方法を提供することによって上記およびその他の必要性に対処する。
特に、本発明の一態様によれば、構造式(II):
【化1】
(式中、Dはベンゾインドール色素を含み;
L
1はリンカーであり;
AA
1はアミノ酸側鎖であり;
UはO、NHまたはSであり;
R
1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルまたは保護基であり、1~3個のA基で任意選択で置換されており;
各Aは、独立にアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アラルキル、アラルコキシ、アラルカノイル、アラルカミノ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルコキシ、ヘテロアラルカノイル、ヘテロアラルカミノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルカノイル、シクロアルカミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルコキシ、ヘテロシクリルアルカノイル、ヘテロシクリルアルカミノ、ヒドロキシル、チオ、アミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、アルキルカルボキシ、カルボネート、カルバメート、グアニジニル、尿素、ハロ、トリハロメチル、シアノ、ニトロ、ホスホリル、スルホニル、スルホンアミド、またはアジドであり、
L
3はリンカーであり、
Qはクエンチャーを含む)
によって表される通りの化合物が提供される。
【0011】
いくつかの実施形態では、ベンゾインドール色素は、構造:
【化2】
(式中、oは1~4の整数であり;
R
2は、スルホネートまたはカーボネートで必要に応じて置換されたC
2~C
8アルキル基であり;
各R
3は、独立に、C
1~C
6アルキル基であり;
L
4は必要に応じて置換されたアルキルリンカーであり、各炭素原子はヘテロ原子で必要に応じて置き換えられている)
を有する。
【0012】
より具体的な実施形態では、ベンゾインドール色素は、構造:
【化3】
を有する。
【0013】
構造式(II)の化合物のる実施形態では、L
1は、任意選択で置換されたアルキルリンカーであり、各炭素原子はヘテロ原子で任意選択で置き換えられているか、AA
1は、1~3個のA基で任意選択で置換された、アラルキルアミノ酸側鎖であるか、UはOであるか、L
3は必要に応じて置換されたアルキルリンカーであり、各炭素原子はヘテロ原子で必要に応じて置き換えられているか、またはL
3-Qは、
【化4】
(式中、RはQSYクエンチャーまたはQC-1クエンチャーを含み;
nは1~8の整数である)
である。より具体的には、QSYクエンチャーは親水性QSYクエンチャーであってもよいし、スルホ-QSYクエンチャーであってもよい。いくつかの実施形態では、QC-1クエンチャーは、構造:
【化5】
を有する。
【0014】
他の実施形態では、本発明の化合物は、式(III):
【化6】
(式中、RはQSYクエンチャーまたはQC-1クエンチャーを含み;
mおよびnは独立に、1~8の整数であり、R
1、AA
1およびDは、上で定義される通りである)
を有する。
【0015】
より具体的には、これらの化合物において、Rは
【化7】
であってよく、Dは
【化8】
であってよい。
【0016】
さらにより具体的な実施形態では、本化合物は、構造:
【化9】
を有し得る。
【0017】
別の態様によれば、本発明は、本開示の化合物および薬学的に許容される担体を含む、動物におけるプロテアーゼの標識化において使用するための組成物を提供する。
【0018】
別の態様によれば、本発明は、動物におけるプロテアーゼを標識化する方法であって、
本開示の組成物を動物に投与するステップ
を含む方法を提供する。
【0019】
本発明は、動物における腫瘍を可視化する方法であって、
本開示の組成物を動物に投与するステップ;および
動物において、組成物のカテプシンシステインプロテアーゼとの反応から発生した検出可能なシグナルを測定するステップ
を含み、検出可能なシグナルが動物における腫瘍と関係している、
方法をなおさらに提供する。
【0020】
具体的な方法の実施形態では、検出可能なシグナルは蛍光シグナルである。具体的な別の方法の実施形態では、蛍光シグナルは腫瘍周辺で発生する。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式(II)
【化36】
(式中、Dはベンゾインドール色素を含み;
L
1はリンカーであり;
AA
1はアミノ酸側鎖であり;
UはO、NHまたはSであり;
R
1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルまたは保護基であり、1~3個のA基で任意選択で置換されており;
各Aは、独立にアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アラルキル、アラルコキシ、アラルカノイル、アラルカミノ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルコキシ、ヘテロアラルカノイル、ヘテロアラルカミノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルカノイル、シクロアルカミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルコキシ、ヘテロシクリルアルカノイル、ヘテロシクリルアルカミノ、ヒドロキシル、チオ、アミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、アルキルカルボキシ、カルボネート、カルバメート、グアニジニル、尿素、ハロ、トリハロメチル、シアノ、ニトロ、ホスホリル、スルホニル、スルホンアミド、またはアジドであり、
L
3はリンカーであり、
Qはクエンチャーを含む)
を有する、プロテアーゼの標識化において使用するための化合物。
(項目2)
前記ベンゾインドール色素が、構造:
【化37】
(式中、oは1~4の整数であり;
R
2は、スルホネートまたはカーボネートで必要に応じて置換されたC
2~C
8アルキル基であり;
各R
3は、独立に、C
1~C
6アルキル基であり;
L
4は必要に応じて置換されたアルキルリンカーであり、各炭素原子はヘテロ原子で必要に応じて置き換えられている)
を有する、項目1に記載の化合物。
(項目3)
前記ベンゾインドール色素が、構造:
【化38】
を有する、項目2に記載の化合物。
(項目4)
L
1が、任意選択で置換されたアルキルリンカーであり、各炭素原子はヘテロ原子で任意選択で置き換えられている、項目1に記載の化合物。
(項目5)
AA
1が、1~3個のA基で任意選択で置換された、アラルキルアミノ酸側鎖である、項目1に記載の化合物。
(項目6)
UがOである、項目1に記載の化合物。
(項目7)
L
3が必要に応じて置換されたアルキルリンカーであり、各炭素原子はヘテロ原子で必要に応じて置き換えられている、項目1に記載の化合物。
(項目8)
L
3-Qが、
【化39】
(式中、RはQSYクエンチャーまたはQC-1クエンチャーを含み;
nは1~8の整数である)
である、項目1に記載の化合物。
(項目9)
前記QSYクエンチャーが親水性QSYクエンチャーである、項目8に記載の化合物。(項目10)
前記親水性QSYクエンチャーがスルホ-QSYクエンチャーである、項目9に記載の化合物。
(項目11)
前記QC-1クエンチャーが、構造:
【化40】
を有する、項目8に記載の化合物。
(項目12)
式(III):
【化41】
(式中、RはQSYクエンチャーまたはQC-1クエンチャーを含み;
mおよびnは独立に、1~8の整数である)
を有する、項目1に記載の化合物。
(項目13)
Rが
【化42】
であり、
Dが
【化43】
である、項目12に記載の化合物。
(項目14)
構造:
【化44】
を有する、項目13に記載の化合物。
(項目15)
項目1~14のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む、動物におけるプロテアーゼの標識化において使用するための組成物。
(項目16)
動物におけるプロテアーゼを標識化する方法であって、
項目15に記載の組成物を前記動物に投与するステップ
を含む方法。
(項目17)
動物における腫瘍を可視化する方法であって、
項目15に記載の組成物を前記動物に投与するステップ;および
前記動物において、前記組成物のカテプシンシステインプロテアーゼとの反応から発生した検出可能なシグナルを測定するステップ
を含み、前記検出可能なシグナルが前記動物における腫瘍と関係している、
方法。
(項目18)
前記検出可能なシグナルが蛍光シグナルである、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記蛍光シグナルが腫瘍周辺で発生する、項目18に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1Aは、qABPのGB137(1)およびプローブ2~8の構造である。
図1Bは、1μMでの生RAW細胞におけるプローブ1~8の標識化プロファイルである。
図1Cは、生RAW細胞におけるプローブ1および8による濃度依存性標識化である。
図1Dは、5μMのGB137(1)に対する、生RAW細胞におけるプローブ1~8の総カテプシン標識化強度である。
【0022】
【
図2】
図2Aは、pH5.5でのプローブ8によるRAW細胞溶解物の濃度依存性標識化である。
図2Bは、生RAW細胞における0.5μMのプローブ8での標識化の時間経過である。
図2Cは、JPM-OEt(50μM)での前処理による生RAW細胞におけるプローブ1および8の標識化の阻害、ならびに血清安定性である。
図2Dは、1μMのプローブ8に曝露したRAW細胞の生細胞蛍光顕微鏡検査(パネルの上列)、およびlysotrackerとの共局在化(パネルの第2列、スケールバー10μm)である。
【0023】
【
図3-1】
図3Aは、プローブ8および1を注射された腫瘍を有するマウスの、非侵襲的光学的画像化の時間経過(右パネル)である。下部パネルは、各時点での最適蛍光コントラストを表す。
図3Bは、プローブ1または8で処置したマウスについての、時間依存性腫瘍特異的蛍光(腫瘍-バックグラウンド)である(n=3;データは、平均値±標準誤差を表す)。
図3Cは、ex vivo腫瘍蛍光(上部パネル)、およびゲル中での蛍光スキャニングによって可視化されたSDS-PAGE後のin vivo蛍光標識化タンパク質(下部パネル)である。
【
図3-2】
図3Dは、非侵襲的光学的画像化(3Aにおいて示す)、ex vivo腫瘍画像化およびゲル中での蛍光標識化(3Cにおいて示す)のエンドポイントでの蛍光強度である。プローブ1に対する強度を表す(n=3;データは、平均値±標準誤差を表す)。
図3Eは、CD68免疫染色(中間パネル)および核染色(DAPI-右パネル、スケールバー50μm)を伴う、プローブ8(左パネル)処理腫瘍組織切片の蛍光顕微鏡検査である。
図3Fは、CD68免疫染色(オリジナルでは緑)および核染色(DAPI-オリジナルでは青)を伴う、プローブ8(オリジナルでは赤)処理腫瘍組織切片のCLSMの3D再構築である。
【0024】
【
図4】
図4Aは、BMV109(プローブ8)標識化システインカテプシンの免疫沈降である。
図4Bおよび
図4Cは、生RAW細胞におけるプローブ1~8による濃度依存性標識化である。4Bおよび4Cにおけるパネルは、それぞれ、同一のゲル上での実行であった。
【0025】
【
図5-1】
図5Aは、プローブ1、2、6または8の注射8時間後の、腫瘍を有するマウスの非侵襲的光学的画像化である。下部パネルは、各時点での最適蛍光コントラストを表す。
図5Bは、プローブ1、2、6または8で処置したマウスについての、時間依存性腫瘍特異的蛍光(腫瘍-バックグラウンド)である(n=3;データは、平均値±標準誤差を表す)。
【
図5-2】
図5Cは、ex vivo腫瘍蛍光(上部パネル)、およびゲル中での蛍光スキャニングによって可視化されたSDS-PAGE後のin vivo蛍光標識化タンパク質(下部パネル)である。
図5Dは、非侵襲的光学的画像化(5Aにおいて示す)、ex vivo腫瘍画像化およびゲル中での蛍光標識化(5Cにおいて示す)の、エンドポイントの蛍光強度である。プローブ1に対する強度を表す(n=3;データは、平均値±標準誤差を表す)。
【
図5-3】
図5Eは、CD68免疫染色(第2、第3および第4カラム)および核染色(DAPI-第3および第4カラム、スケールバー50μm)を伴う、プローブ8(第1、第3および第4カラム)処理腫瘍組織切片の蛍光顕微鏡検査である。プローブなし対照(中間列パネル)および免疫染色用アイソタイプ対照(下列パネル)を表す。
図5Fは、プローブ8(Cy5)およびCD68(FITC)に対する共局在化の図である。
【0026】
【
図6】
図6Aは、in vivoおよびex vivoデータにおける、BMV109-DyLight780およびBMV109-ICG(10nmol、24時間、Pearl、ex/em=785/820nm)の比較である。
図6Bは、様々な濃度(10nmol、50nmol、100nmol、24時間、Pearl、ex/em=785/820nm)のBMV109-Dylight780およびBMV109-ICGのex vivo研究である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
システインカテプシンは、正常細胞生理学および多くのヒト疾患の病理学の両方において、重要な役割を果たすプロテアーゼのファミリーである。したがって、いくつかの基質および活性ベースプローブ(ABP)の部類が、これらの酵素の機能を研究するために開発されている。本明細書において、一部の実施形態では、フェノキシメチルケトン(PMK)求電子試薬を含む、クエンチされた蛍光活性ベースプローブの部類が提供される。これらの試薬は、先に報告されたABPと比較して、in vitroおよびin vivo標識化特性の劇的な改善をもたらす、システインカテプシンに対する増強された広い反応性を示す。さらに、プローブは、本明細書において、前例のないシグナル強度およびコントラストで、マウス中の腫瘍を強調することが実証される。これらの新たな試薬は、ヒト疾患の多様なモデルにおいて、生物、組織、細胞およびタンパク質レベルに対するシステインカテプシンの研究を可能にする。このような試薬の例は、その全体について参照により本明細書に組み込まれるPCT国際公開番号WO2014/145257に記載されている。
化合物
【0028】
したがって、一部の態様では、本開示は、プロテアーゼ酵素、特に、カテプシンの標識化における使用のための新規な化合物を提供する。本開示の化合物は、式(I):
【化10】
(式中、
Lは、エーテル結合脱離要素であり;
Tは、標的要素であり;
Dは、検出可能な要素である)
の化合物であり得る。
【0029】
本化合物の標的要素Tは、ペプチド性または非ペプチド性構造であってよく、好ましくは、化合物を、システインプロテアーゼに対して標的とする。
【0030】
これらの目的のために、本化合物内に有用に組み込まれる非ペプチド性構造要素の非限定的な例は、その全体について参照により本明細書に組み込まれるPCT国際公開番号WO2012/118715に記載されている。好ましい実施形態では、非ペプチド性標的要素は、トリアゾール構造を含む。
【0031】
非ペプチド性標的要素を有する本発明の化合物の具体的な例は、
【化11】
である。
【0032】
化合物を、システインプロテアーゼ、特に、システインカテプシンに標的化する(targeting)ために、本化合物内に有用に組み込まれ得るペプチド性構造要素の非限定的な例は、その全体について参照により本明細書に組み込まれるPCT国際公開番号WO2009/124265に記載されている。
【0033】
本化合物のいくつかの実施形態では、D-T-は、
【化12】
(式中、
L
1はリンカーであり;
AA
1はアミノ酸側鎖であり;
UはO、NまたはSであり;
R
1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルまたは保護基であり、1~3個のA基で任意選択で置換されており;
各Aは、独立にアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アラルキル、アラルコキシ、アラルカノイル、アラルカミノ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルコキシ、ヘテロアラルカノイル、ヘテロアラルカミノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルカノイル、シクロアルカミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルコキシ、ヘテロシクリルアルカノイル、ヘテロシクリルアルカミノ、ヒドロキシル、チオ、アミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、アルキルカルボキシ、カルボネート、カルバメート、グアニジニル、尿素、ハロ、トリハロメチル、シアノ、ニトロ、ホスホリル、スルホニル、スルホンアミド、またはアジドである)
である。
【0034】
本明細書で使用する場合、「アルキル」という用語は、直鎖状アルキル基、分枝鎖状アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基のラジカルを指す。いくつかの実施形態では、直鎖状または分枝鎖状アルキルは、その主鎖(例えば、直鎖についてはC1~C30、分枝鎖についてはC3~C30)中に30個またはそれ未満、より具体的には、20個またはそれ未満の炭素原子を有する。同様に、いくつかのシクロアルキルはそれらの環構造中に3~10個の炭素原子を有し、より具体的には、環構造中に5、6または7個の炭素を有する。
【0035】
さらに、本明細書、実施例および特許請求の範囲を通して使用される「アルキル」(または「低級アルキル」)という用語は、「非置換アルキル」と「置換アルキル」との両方を含むことを意図し、その後者は、炭化水素主鎖の1つまたは複数の炭素上の水素を置き換える置換基を有するアルキル部分を指す。そのような置換基は、例えば、ハロ、ヒドロキシル、カルボニル(ケト、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ホルミルまたはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテートまたはチオホルメートなど)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、チオ、アルキルチオ、サルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキルまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を含むことができる。炭化水素鎖上で置換されている部分は、適切な場合、それら自体置換されていてよいことを当業者は理解する。例えば、置換アルキルの置換基は、置換または非置換形態のアミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネートおよびホスフィネートを含む)、スルホニル(サルフェート、スルホンアミド、スルファモイルおよびスルホネートを含む)およびシリル基ならびにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレートおよびエステルを含む)、-CF3、-CNなどを含むことができる。例示的な置換アルキルを以下で説明する。シクロアルキルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、-CF3、-CNなどでさらに置換されていてよい。
【0036】
本明細書で使用する場合、「アルコキシ」という用語は、アルキル基、ある種の特定の実施形態では、それと結合した酸素を有する低級アルキル基を指す。代表的なアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、t-ブトキシなどが含まれる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合を含む脂肪族基を指し、「非置換アルケニル」と「置換アルケニル」の両方を含むことを意図し、その後者は、アルケニル基の1つまたは複数の炭素上の水素を置き換える置換基を有するアルケニル部分を指す。そのような置換基は、1つまたは複数の二重結合中に含まれるかまたは含まれない1つまたは複数の炭素上に現れ得る。さらに、そのような置換基は、安定性が妨げられる場合を除いて、上記で論じたアルキル基について考えられるものすべてを含む。例えば、1つまたは複数のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール基によるアルケニル基の置換が考えられる。
【0038】
アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアルコキシなどの化学的部分と一緒に使用される場合、「Cx~y」という用語は、鎖中にx~y個の炭素を含む基を含むことを意味する。例えば、「Cx~y-アルキル」という用語は、ハロアルキル基、例えばトリフルオロメチルおよび2,2,2-トリフルオロエチル等を含む、鎖中にx~y個の炭素を含む直鎖状アルキルおよび分枝鎖状アルキル基を含む置換または非置換の飽和炭化水素基を指す。「C0-アルキル」は、基が末端位置にある場合、水素を示す、または内部にある場合、結合である。「C2~y-アルケニル」および「C2~y-アルキニル」という用語は、長さが類似しており、上記アルキルへの置換が可能であるが、それぞれ少なくとも1つの二重または三重結合を含む置換または非置換の不飽和脂肪族基を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「アルキルアミノ」という用語は、少なくとも1つのアルキル基で置換されたアミノ基を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「アルキルチオ」という用語は、アルキル基で置換されたチオール基を指し、一般式アルキル-S-によって表すことができる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合を含む脂肪族基を指し、「非置換アルキニル」と「置換アルキニル」の両方を含むことを意図し、その後者は、アルキニル基の1つまたは複数の炭素上の水素を置き換える置換基を有するアルキニル部分を指す。そのような置換基は、1つまたは複数の三重結合中に含まれるかまたは含まれない1つまたは複数の炭素上に現れ得る。さらに、そのような置換基は、安定性が妨げられる場合を除いて、上記で論じたアルキル基について考えられるものすべてを含む。例えば、1つもしくは複数のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール基によるアルキニル基の置換が考えられる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「アミド」という用語は基
【化13】
(式中、R
xおよびR
yはそれぞれ独立に、水素もしくはヒドロカルビル基を表すか、またはR
xおよびR
yは、それらが結合しているN原子と一緒になって環構造中に4~8個の原子を有する複素環を完成している)
を指す。
【0043】
「アミン」および「アミノ」という用語は、当技術分野で認識されているものであり、非置換アミンおよび置換アミンとその塩との両方、例えば
【化14】
(式中、R
x、R
yおよびR
zはそれぞれ独立に、水素もしくはヒドロカルビル基を表すか、またはR
xおよびR
yは、それらが結合しているN原子と一緒になって環構造中に4~8個の原子を有する複素環を完成している)
によって表すことができる部分を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「アミノアルキル」という用語は、アミノ基で置換されたアルキル基を指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、「アラルキル」という用語は、アリール基で置換されたアルキル基を指す。
【0046】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、環の各原子が炭素である置換または非置換の単環芳香族基を含む。ある特定の実施形態では、その環は5~7員環であり、より具体的な実施形態では、6員環である。「アリール」という用語は、2つまたはそれ超の環状環を有する多環式環系であって、2つまたはそれ超の炭素が、2つの隣接環で共有されており、その環のうちの少なくとも1つが芳香族であり、例えばその他の環状環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび/またはヘテロシクリルであり得る、多環式環系も含む。アリール基は、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリンなどを含む。
【0047】
「カルバメート」という用語は、当技術分野で認識されているものであり、基
【化15】
(式中、R
xおよびR
yは独立に、水素もしくはヒドロカルビル基を表すか、またはR
xおよびR
yは、それらが結合している原子と一緒になって環構造中に4~8個の原子を有する複素環を完成している)
を指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、環の各原子が炭素である非芳香族の飽和または不飽和環を指す。ある特定の実施形態では、シクロアルキル環は3~10個の原子、より具体的な実施形態では5~7個の原子を含む。
【0049】
「カーボネート」という用語は、当技術分野で認識されているものであり、基-OCO2-Rxを指し、式中、Rxはヒドロカルビル基を表す。
【0050】
本明細書で使用される場合、「カルボキシ」という用語は、式-CO2Hによって表される基を指す。
【0051】
本明細書で使用される場合、「エステル」という用語は、基-C(O)ORxを指し、式中、Rxはヒドロカルビル基を表す。
【0052】
本明細書で使用される場合、「エーテル」という用語は、酸素を介して別のヒドロカルビル基と結合しているヒドロカルビル基を指す。したがって、ヒドロカルビル基のエーテル置換基はヒドロカルビル-O-であってよい。エーテルは、対称性であっても非対称性であってもよい。エーテルの例には、これらに限定されないが、複素環-O-複素環およびアリール-O-複素環が含まれる。エーテルには、一般式アルキル-O-アルキルによって表され得る「アルコキシアルキル」基が含まれる。
【0053】
「グアニジニル」という用語は、当技術分野で認識されているものであり、一般式
【化16】
(式中、R
xおよびR
yは独立に、水素またはヒドロカルビルを表す)
によって表すことができる。
【0054】
本明細書で使用される、「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、ハロゲンを意味し、クロロ、フルオロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0055】
本明細書で使用される場合、「ヘタラルキル」および「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘタリル基で置換されたアルキル基を指す。
【0056】
「ヘテロアリール」および「ヘタリル」という用語は、置換または非置換の芳香族単環構造、ある種の特定の実施形態では、5~7員環、より具体的には5~6員環を含み、それらの環構造は、少なくとも1個のヘテロ原子、いくつかの実施形態では、1~4個のヘテロ原子、より具体的な実施形態では、1または2個のヘテロ原子を含む。「ヘテロアリール」および「ヘタリル」という用語は、2つまたはそれ超の環状環を有する多環式環系であって、2つまたはそれ超の炭素が、2つの隣接環で共有されており、その環のうちの少なくとも1つがヘテロ芳香族であり、例えばその他の環状環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび/またはヘテロシクリルであり得る、多環式環系も含む。ヘテロアリール基には、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどが含まれる。
【0057】
本明細書で使用される「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。典型的なヘテロ原子は、窒素、酸素および硫黄である。
【0058】
「ヘテロシクリル」、「複素環(heterocycle)」および「複素環式(heterocyclic)
」という用語は、置換または非置換の非芳香族環構造、ある特定の実施形態では3~10員環、より具体的には3~7員環を指し、それらの環構造は、少なくとも1個のヘテロ原子、いくつかの実施形態では1~4個のヘテロ原子、より具体的な実施形態では1または2個のヘテロ原子を含む。「ヘテロシクリル」および「複素環式」という用語は、2つまたはそれ超の環状環を有する多環式環系であって、2つまたはそれ超の炭素が、2つの隣接環で共有されており、その環のうちの少なくとも1つが複素環式であり、例えばその他の環状環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび/またはヘテロシクリルであり得る、多環式環系も含む。ヘテロシクリル基には、例えばピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどが含まれる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、複素環基で置換されたアルキル基を指す。
【0060】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」という用語は、=Oまたは=S置換基を有していない炭素原子を介して結合されており、一般に少なくとも1つの炭素-水素結合および主に炭素の主鎖を有するが、任意選択でヘテロ原子を含んでよい基を指す。したがって、メチル、エトキシエチル、2-ピリジルおよびトリフルオロメチルのような基は、本明細書での目的のためにヒドロカルビルであると見なされるが、アセチル(これは結合炭素上に=O置換基を有する)およびエトキシ(これは炭素ではなく酸素を介して結合している)などの置換基はヒドロカルビルであると見なされない。ヒドロカルビル基には、これらに限定されないが、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびそれらの組合せが含まれる。
【0061】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシアルキル」という用語は、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基を指す。
【0062】
「低級(lower)」という用語は、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、ア
ルキニルまたはアルコキシなどの化学的部分と一緒に使用される場合、その置換基中に10個またはそれ未満、ある特定の実施形態では、6個またはそれ未満の非水素原子がある基を含むことを意味する。「低級アルキル」は、例えば10個またはそれ未満の炭素原子、特定の実施形態では、6個またはそれ未満の炭素原子を含むアルキル基を指す。ある特定の実施形態では、本明細書で定義されるアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシ置換基は、それらが単独で現れても、または、ヒドロキシアルキルおよびアラルキルといった記載などの他の置換基との組合せで現れても(その場合、例えば、アルキル置換基中の炭素原子をカウントする場合、アリール基中の原子はカウントされない)、それぞれ、低級アシル、低級アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニルおよび低級アルコキシである。
【0063】
「ポリシクリル」、「多環(polycycle)」および「多環式(polycyclic)」という用
語は、2個またはそれ超の原子が2つの隣接環と共有されている2つまたはそれ超の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび/またはヘテロシクリル)を指し、例えば、その環は「縮合環」である。多環の環のそれぞれは、置換されていても置換されていなくてもよい。ある特定の実施形態では、多環のそれぞれの環は、その環中に3~10個、より具体的には5~7個の原子を含む。
【0064】
「置換(された)(substituted)」という用語は、主鎖の1つまたは複数の炭素上の
水素を置き換える置換基を有する部分を指す。「置換」または「~で置換された(substituted with)」とは、このような置換が、置換される原子および置換基の許容される原
子価に従っており、その置換が、安定な化合物、例えばその化合物が使用されることになる条件下で転位、環化、脱離等などによって自発的に変換を受けない化合物をもたらすという暗黙の条件を含むことが理解される。本明細書で使用する場合、「置換された(substituted)」という用語は、有機化合物のすべての許容される置換基を含むものと考えら
れる。広い態様では、許容される置換基は、有機化合物の非環式および環式、分枝状および非分枝状、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基を含む。許容される置換基は、適切な有機化合物について、1つであっても複数であっても、また、同じであっても異なっていてもよい。本発明の目的のため、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を充足する本明細書で説明する有機化合物の任意の許容される置換基を有することができる。置換基は、本明細書で説明する任意の置換基、例えばハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(ケト、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ホルミルまたはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテートまたはチオホルメートなど)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、サルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキルまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を含むことができる。炭化水素鎖上で置換されている部分は、適切な場合、それら自体置換されていてよいことを当業者は理解する。
【0065】
「非置換(unsubstituted)」と特に記載されていない限り、本明細書での化学的部分への参照は、置換された変形体を含むものと理解すべきである。例えば、「アリール」基または部分への参照は、暗黙のうちに、置換変形体と非置換変形体との両方を含む。
【0066】
「サルフェート」という用語は、当技術分野で認識されているものであり、基-OSO3Hまたは薬学的に許容されるその塩を指す。
【0067】
「スルホンアミド」という用語は、当技術分野で認識されているものであり、一般式
【化17】
(式中、R
xおよびR
yは独立に、水素またはヒドロカルビルを表す)
によって表される基を指す。
【0068】
「スルホキシド」という用語は、当技術分野で認識されているものであり、基-S(O)-Rxを指し、式中、Rxはヒドロカルビルを表す。
【0069】
「スルホ」または「スルホネート」という用語は、当技術分野で認識されているものであり、基-SO3Hまたは薬学的に許容されるその塩を指す。
【0070】
「スルホン」という用語は、当技術分野で認識されているものであり、基-S(O)2-Rxを指し、式中、Rxはヒドロカルビルを表す。
【0071】
本明細書で使用される場合、「チオアルキル」という用語は、チオール基で置換されたアルキル基を指す。
【0072】
本明細書で使用される場合、「チオエステル」という用語は、基-C(O)SRxまたは-SC(O)Rxを指し、式中、Rxはヒドロカルビルを表す。
【0073】
本明細書で使用される場合、「チオエーテル」という用語は、酸素が硫黄で置き換えられているエーテルと同等である。
【0074】
「尿素」という用語は、当技術分野で認識されているものであり、一般式
【化18】
(式中、R
xおよびR
yは独立に、水素またはヒドロカルビルを表す)
によって表され得る。
【0075】
本発明の化合物は、一般に、標準的な合成化学技術を使用して、例えば以下の実施例の部で説明される方法を使用して合成される。他の有用な合成技術は、例えばMarch’s Advanced Organic Chemistry:Reactions, Mechanisms, and Structure、第7版、(Wiley、2013年);CareyおよびSundberg、Advanced Organic Chemistry、第4版、AおよびB巻(Plenum 2000、2001年);Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis、1~27巻(Wiley、2013年);Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds、1~5巻および補足(Elsevier Science
Publishers、1989年);Organic Reactions、1~81巻(Wiley、2013年);ならびにLarock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.、1989年)(これらのすべてが、それらの全体について参照により組み込まれる)に記載されている。これらの化合物は、通常、一般に商業的供給業者から入手できるか、または当業者に周知の方法を使用して容易に調製される出発材料を使用して合成される。例えば、Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis、1~27巻(Wiley、2013年)、または補足を含むBeilsteins Handbuch
der organischen Chemie、第4版、Springer-Verlag、Berlinを参照されたい。
【0076】
本発明の化合物の成分を参照する場合、「~から誘導される残基(residue derived from)」という用語は、第1の成分上の第1の反応性官能基と第2の成分上の第2の反応性官能基が反応して共有結合を形成することによって形成される残基を説明するために使用され得る。例示的な実施形態では、第1の成分上のアミン基は、第2の成分上の活性化されたカルボキシル基と反応して、1つまたは複数のアミド部分を含む残基を形成することができる。第1および第2の反応性官能基の他の並べ替えは本発明によって包含される。例えば、アジド置換された第1の成分とアルキン置換された第2の成分の、銅触媒による反応または銅を含まない反応は、当業者によって理解される周知の「クリック」反応を介して、トリアゾール含有残基をもたらす。Kolbら、(2001年)Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 40巻:2004年;Evans(2007年)Aus. J. Chem. 60巻:384頁を参照されたい。「クリック」反応を使用して非ペプチド性蛍光画像化プローブを作りだす例示的な方法が、PCT国際公開番号WO2012/118715に提供されている。本特許請求の範囲の化合物を生成または修飾するためにこれらの方法を適合させることは、当技術分野の技術の範囲内である。
【0077】
当業者は、保護基は、分子の所望位置に可逆的に結合して、その位置での他の薬剤の反応を制御することを理解している。本発明の実施において有用な保護基は、当技術分野において周知である。例えばP.G.M. WutsおよびT.W. GreeneによるGreene’s Protective Groups in Organic Synthesis、第4版(Wiley-Interscience、2006年);およびP. KocienskiによるProtecting Groups(Thieme、2005年)を参照されたい。
【0078】
本化合物のL1基は、検出可能な要素Dを標的要素と連結するリンカー基である。この基は、当業者によりが理解されているように、任意の適切なリンカーであってよい。L1基は好ましくはアルキルリンカー基であり、そのアルキルリンカーは任意選択で置換されており、さらに、そのリンカー中の炭素は、得られる構造が化学的に安定である程度まで、ヘテロ原子によって任意選択で置き換えられている。このような置換および置き換えは、リンカー中の介在基に、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、エステル、アミド、カルボネート、カルバメートなどを含むものと理解すべきである。好ましいリンカーは、5~40個の結合の長さに及び、分枝状、直鎖状であるか、または環を含んでよい。リンカーは、いくつかの場合、二重結合を含み得る。これらは、具体的な要件に応じて、所望の通りに疎水性であっても親水性であってもよい。
【0079】
L1基と検出可能な要素Dとの間の連結は、当業者により理解されるような任意の適切な化学的連結であってよいことをさらに理解すべきである。例えば、本化合物は、いくつかの場合、検出可能な要素前駆体中に、例えばアミノ基、チオール基などの特定の化学基と反応性の部分を含めることによって好都合に調製することができる。検出可能な要素は、そのような状況で、標的要素上のこの基の反応を介して標的要素と容易に結合させることができる。したがって、連結の構造的詳細がはっきりと示されていないとしても、これらの種類の結合は、開示された化合物の範囲内であると理解される。
【0080】
本化合物のAA1基は、当業者により理解されるように、独立に任意の天然もしくは非天然のアミノ酸側鎖であってよい。好ましい実施形態では、AA1基はアラルキルアミノ酸側鎖であり、1~3個のA基で任意選択で置換されている。さらにより好ましい実施形態では、AA1基はフェニルアラニン側鎖である。
【0081】
好ましい本化合物では、U基はOである。
【0082】
本化合物の検出可能な要素は、特定の実施形態では、蛍光標識、放射性標識、キレーターなどである。これらの化合物で使用するのに適した放射性標識およびキレーターの例は、PCT国際公開番号2009/124265に記載されている。
【0083】
本化合物の好ましい実施形態では、検出可能な要素は蛍光標識である。当業者に公知であるように、入射電磁放射線の吸収により刺激された場合、蛍光標識は、電磁放射線、好ましくは可視光を発する。標識を、例えばアミノ基、チオール基などの反応基に結合させるのに有用な反応性部分を有する標識を含む様々な蛍光標識が市販されている。例えば、その全体が参考として本明細書に援用されるThe Molecular Probes(R) Handbook-A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologiesを参照されたい。
【0084】
蛍光標識の例は、免疫蛍光標識化において広範に使用されているフルオレセインである。フルオレセインは、495ナノメートルで吸収極大を有するキサンテン色素である。関連するフルオロフォアは、オレゴングリーン、フルオレセインのフッ素化誘導体である。
【0085】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物の検出可能な要素において使用される蛍光標識は、pH依存性のフルオロフォアであってよい。例えば、下で示される「LES12」および「LES13」と標識された化合物において使用されるようなこのような蛍光標識は、当業者により理解されるように、標識の環境のpHに依存する蛍光スペクトルを示し、したがって、反応後の標識の環境についての情報、例えば、反応性化合物によって標識化されたプロテアーゼの位置または種類についての情報を報告するのに有用であり得る。本化合物の検出可能な要素に有用に含められる種々の標識のpH依存性の蛍光は周知である。例えば、The Molecular Probes(R) Handbook-A
Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologiesを参照されたい。
【0086】
本化合物で使用するのに適した他の例示的な蛍光標識は、ボラ-ジアザ-インデセン、ローダミンおよびシアニン色素である。特に、ボラ-ジアザ-インデセン色素は、4,4-ジフルオロ-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセンによって表され、BODIPY(登録商標)色素として公知である。これらの色素の種々の誘導体が公知であり、本開示の化合物における検出可能な要素として使用するのに適していると考えられる。例えばChenら、(2000年)J. Org. Chem. 65巻:2900~2906頁を参照さ
れたい。
【0087】
本発明の化合物において有用に利用される蛍光標識の別の部類は、Li-Cor(www.licor.com)から入手することができるIRDye赤外色素である。これらの色素の非限定的な例はIRDye800CW、IRDye680RD、IRDye680LT、IRDye750、IRDye700DX、IRDye800RSおよびIRDye650である。
【0088】
ローダミン色素は、ローダミン環構造をベースとした色素の部類である。ローダミンには、とりわけ、タンパク質コンジュゲート、特に抗体およびアビジンコンジュゲートを調製するための非常に一般的なフルオロフォアであるテトラメチルローダミン(TMR)、ならびにオリゴヌクレオチド標識化および自動核酸配列決定に一般に使用される色素であるカルボキシテトラメチル-ローダミン(TAMRA)が含まれる。ローダミンは、より長い波長の発光極大を提供し、したがって多色標識化または染色のための機会を開く、フルオレセインベースのフルオロフォアへの天然の補助剤として確立されている。
【0089】
Alexa Fluor色素として公知のフルオロフォアのスルホン化されたローダミンシリーズも、ローダミン色素のグループに含められる。最新のフルオロフォア技術における劇的な進歩は、Molecular Probesによって導入されたAlexa Fluor色素によって例示される。これらのスルホン化されたローダミン誘導体は、スペクトル的に類似したプローブより、強い蛍光発光に対してより高い量子収量を示し、高い光安定性、一般的なレーザー線に適合した吸収スペクトル、pH非感受性および高度の水溶性を含むいくつかの追加的な改善された特徴を有している。
【0090】
シアニン色素は、様々な炭素数のポリアルケン架橋を介して連結されている2つ芳香族単位を有する、部分飽和のインドール窒素複素環式核をベースとした、関連する色素のファミリー、Cy2、Cy3、Cy5、Cy7およびそれらの誘導体に相当する。これらのプローブは、フルオレセインおよびテトラメチルローダミンなどの伝統的な色素の多くと類似した蛍光励起および発光プロファイルを示すが、高い水溶性、光安定性およびより高い量子収量を有している。シアニン色素の大部分は、これらの伝統的な同等物より環境的に安定であり、これらの蛍光発光強度を、pHおよび有機封入剤に対し、より低感度にする。Alexa Fluorと同様の仕方で、合成色素のCyシリーズの励起波長は、一般的なレーザーおよびアーク放電源での使用に対して特異的に調整され、その蛍光発光は、従来のフィルターの組合せで検出することができる。シアニン色素は、反応性色素またはフルオロフォアとして容易に入手することができる。シアニン色素は、一般に、Alexa Fluorファミリーのメンバーより広い吸収スペクトルを有しており、このことは、これらの色素を、共焦点顕微鏡検査のためのレーザー励起源の選択において、幾分かより融通の利くものにしている。
【0091】
好ましい実施形態では、本化合物の検出可能な要素はシアニン色素、Cy5である。
【0092】
一部の実施形態では、検出可能な要素は、インドシアニングリーン(「ICG」)またはインドシアニングリーンの残基:
【化19】
などのベンゾインドール色素を含む。インドシアニングリーンは、様々な医療診断用途において、例えば、ある特定の心臓、肝臓、眼および循環の状態の監視ならびに画像化において、使用される。有利には、インドシアニングリーンおよび関連する化合物は、近赤外領域の吸収および発光スペクトルを示す。例えば、ICGは、主に600nm~900nmの間で吸光し、主に750nm~950nmの間で発光する。このような波長は、生物組織を貫通することができ、そのため、ICGおよび関連する化合物を使用してこれらの組織の画像化を可能にする。さらに、医療診断研究におけるICGの長期間および広範な使用は、これらの化合物の生体適合性を証拠付ける。
【0093】
したがって、一部の実施形態では、検出可能な要素は、構造:
【化20】
(式中、oは1~4の整数であり;
R
2は、スルホネートまたはカーボネートで必要に応じて置換されたC
2~C
8アルキル基であり;
各R
3は、独立に、C
1~C
6アルキル基であり;
L
4は必要に応じて置換されたアルキルリンカーであり、各炭素原子はヘテロ原子で必要に応じて置き換えられている)
を有するベンゾインドール色素を含む。
【0094】
より具体的には、ベンゾインドール色素は、構造:
【化21】
を有し得る。ベンゾインドール含有色素は、例えば、Zhangら(2005年)Chem. Commun. 2005年:5887頁(DOI:10.1039/b512315a)に記載のようにして合成することができる。例えば、米国特許出願公開第2009/0214436A1号も参照されたい。
【0095】
一部の実施形態では、L4は必要に応じて置換されたアルキルリンカーであり得、各炭素原子はヘテロ原子で必要に応じて置き換えられている。
【0096】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物の検出可能な要素中に、多重の蛍光標識、放射性標識、キレーターなどを含むことは、有益である可能性がある。例えば、以下で「LES12」および「LES13」で標識化された例示的な化合物は、単一の検出可能な要素内に2つの異なる蛍光標識を含む。このような多重の標識化は、当業者により理解されるような慣行的カップリング化学を使用して達成することができる。例えば、「LES12」および「LES13」化合物中の蛍光標識は、「クリック」化学を使用して連結された。検出可能な要素内に複数の標識を含む化合物の、「クリック」化学による合成における有用な中間体化合物の例を以下に示す(「WL938」)。この化合物はアジド基を含み、したがって、「クリック」反応において適切なアルキン含有試薬と容易に反応し得る。アルキン基およびアジド基の位置はまた、当業者によって理解されるように、所望により、逆であってよい。
【0097】
本化合物のエーテル結合脱離要素Lは、それらの標的酵素活性部位との本化合物の反応性に影響を与え、特定の酵素に標的化する特異性にも影響を与え得る。これらの化合物中の脱離要素のエーテル結合は、アシルオキシメチルケトン(AOMK)などの他の活性ベースプローブのエステル結合と対照的である。例えば、フェノールエーテル結合脱離要素などのエーテル結合脱離要素は、エステル結合プローブまたは他の種類のプローブよりも、in vivoでの改善された安定性を提供し得る。
【0098】
一部の実施形態では、本化合物のエーテル結合脱離要素はクエンチャーを含む。「クエンチャー」という用語は、フルオロフォアの発光を調節する化学エンティティーを指す。いくつかの場合、クエンチャーは、それ自体、蛍光がクエンチングしている標識と異なる特徴的波長で蛍光を発する蛍光分子であり得る。したがって、フルオロフォアは、別の色素と適切に結合された場合、クエンチャーとして作用することができ、その逆も可能である。これらの状況において、ドナー標識の波長と異なる波長のアクセプター分子からの蛍光の増大は、標識化された化合物の、例えば標的酵素の活性部位などの環境との相互作用を別個に報告し得る。いくつかの場合、クエンチャーはそれ自体蛍光を発しない(すなわち、クエンチャーは「ダークアクセプター」である)。このようなクエンチャーには、例えばdabcyl、メチルレッド、QSYジアリールローダミン色素などが含まれる。特に、dabcyl(4-ジメチルアミノ-フェニルアゾ)安息香酸)は、DNA検出のための「分子ビーコン」などの、多くのアッセイにおいて広く使用される一般的なダーククエンチャーである。米国特許第5,989,823号。「ブラックホールクエンチャー」と称されるBHQシリーズのジアゾ色素は、多くのフルオロフォアの発光と十分に重なる広範囲の吸収を提供する。PCT国際公開番号WO01/86001。Molecular ProbesからのQSYシリーズ色素は、多くのバイオアッセイにおいてクエンチング試薬として幅広く使用されているダーククエンチャー色素の別の例である。米国特許第6,399,392号。
【0099】
特にQSY7は、非蛍光性ジアリールローダミン誘導体である。米国特許出願公開第2005/0014160号。QSY21は、可視スペクトルにおいて強い吸収を有する非蛍光ジアリールローダミン発色団であり、効果的な蛍光クエンチャーである。フルオロフォア/クエンチャー対が、米国特許出願公開第2004/0241679号にさらに例示されている。
【0100】
IRDye QC-1(Li-Corから入手可能)は、本化合物でのクエンチャーとして使用するのに適した非蛍光性色素の別の例である。これは、可視領域から近赤外までの波長の範囲のものを含む広範囲のフルオロフォアからの蛍光を効率的にクエンチする。
【0101】
本化合物の一部の実施形態では、脱離基要素、LはL
2-L
3-Q(式中、L
2はフェノキシ基であり、L
3はリンカーであり、Qはクエンチャーを含む)である。脱離基要素は、例えば、
【化22】
(式中、各Yは独立に、電子求引基または水素である)
であり得る。このような化合物において、各Yは独立に、ハロゲンまたは水素であり得る。具体的な化合物において、L基は、例えば、
【化23】
である。
【0102】
上記の脱離要素のL3リンカー基は、当業者によって理解されるように、任意の好適なリンカーであり得る。特に、L3リンカー基は、例えば、上記のL1基であり得る。
【0103】
他の具体的な化合物において、L基は、例えば、
【化24】
(式中、RはQSYクエンチャーを含み、nは1~8の整数である)
である。具体的な実施形態では、QSYクエンチャーは、例えば、スルホ-QSYクエンチャーなどの親水性クエンチャーである。
【0104】
一部の具体的な実施形態では、本開示の化合物は式(II):
【化25】
の構造を有する。
【0105】
一部の実施形態では、L
3-Qは、
【化26】
(式中、RはQSYクエンチャーまたはQC-1クエンチャーを含み;
nは1~16の整数である)
である。より具体的には、QSYクエンチャーは、例えば、スルホ-QSYクエンチャーなどの親水性クエンチャーである。
【0106】
一部の実施形態では、QC-1クエンチャーは、構造:
【化27】
を有する。
【0107】
一部のより具体的な実施形態では、本開示の化合物は式(III):
【化28】
の構造を有する。
【0108】
これらの実施形態では、mおよびnは独立に、1~16の整数である。
【0109】
一部の実施形態では、RはQSY21またはスルホ-QSY21を含み、DはCy5である。
【0110】
あるいは、RはQC-1クエンチャーを含み、Dはベンゾインドール色素を含む。
【0111】
式(III)の具体的な実施形態では、Rは
【化29】
であり、Dは
【化30】
である。
【0112】
さらにより具体的には、本化合物は、構造:
【化31】
を有する。
【0113】
本発明の他の具体的な非限定的な化合物の実施形態は、
【化32】
(式中、R=QSY21およびn=6;
R=スルホ-QSY21およびn=6;
R=QSY21およびn=2;
R=スルホ-QSY21およびn=2)
を含む。
【0114】
医薬組成物
別の態様では、本発明は、本発明の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。このような組成物は、例えば、動物における組織の画像化において有用であり、動物における酵素、例えばプロテアーゼ酵素の活性を評価するのにさらに有用である。特に、カテプシンを標識する本発明の化合物について、医薬組成物は、がん細胞の非侵襲的な光学的画像化用のツールとしての役目を有用に果たし得る。
【0115】
薬学的に許容される担体は当技術分野で周知であり、それらには、例えば、水もしくは生理学的緩衝食塩水などの水溶液、または、グリコール、グリセロール、オリーブ油などの油、もしくは注入可能な有機エステルなどの、他の溶媒もしくはビヒクルが含まれる。特定の実施形態では、このような医薬組成物がヒトへの投与用である場合、水溶液は、パイロジェンフリーであるかまたは実質的にパイロジェンフリーである。賦形剤は、例えば、薬剤の遅延放出をもたらすか、または、1つもしくは複数の細胞、組織もしくは臓器を選択的に標的とするように選択することができる。医薬組成物は、投薬単位形態、例えば錠剤、カプセル剤、スプリンクルカプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、坐剤、注射剤などであってよい。組成物は、経皮送達系、例えば皮膚用パッチ剤中に存在してもよい。
【0116】
薬学的に許容される担体は、例えば、本発明の化合物の吸収を安定化させる、または増大させるように作用する生理学的に許容される薬剤を含むことができる。そのような生理学的に許容される薬剤には、例えば、グルコース、スクロースもしくはデキストランなどの炭水化物、アスコルビン酸もしくはグルタチオンなどの酸化防止剤、キレート剤、低分子量タンパク質または他の安定剤もしくは賦形剤が含まれる。生理学的に許容される薬剤を含む薬学的に許容される担体の選択は、例えば組成物の投与経路に依存する。医薬組成物は、その中に、例えば本発明の化合物を取り込んでいてよいリポソームまたは他のポリマーマトリクスを含むこともできる。例えば、リン脂質または他の脂質からなるリポソームは、作製し投与するのが比較的簡単な非毒性の生理学的に許容されかつ代謝可能な担体である。
【0117】
「薬学的に許容される」という語句は、本明細書では、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、炎症、アレルギー反応または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適しており、妥当な便益/リスク比に相応する化合物、材料、組成物および/または剤形を指すのに用いられる。
【0118】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」という語句は、本化合物を、1つの臓器または体の一部から別の臓器または体の一部へ運ぶまたは輸送するのに関与する液体もしくは固体のフィラー、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化用材料などの薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の構成要素と適合し、患者に有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体としての役目を果たすことができる材料のいくつかの例には、(1)ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖;(2)コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;(4)粉末トラガカント;(5)モルト;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココアバターおよび坐剤用ワックスなどの賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ごま油、オリーブ油、コーン油および大豆油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)パイロジェンフリー水;(17)等張食塩水;(18)リンガー溶液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;ならびに(21)医薬製剤で使用される他の非毒性の適合物質が含まれる。Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版(Alfonso R.
Gennaro編)、2000年を参照されたい。
【0119】
本発明の化合物を含む医薬組成物は、例えば、経口(例えば、水性または非水性の液剤または懸濁剤のような水薬、錠剤、巨丸剤、散剤、顆粒剤、舌への施用のためのペースト剤);舌下;経肛門、経直腸もしくは経膣(例えば、ペッサリー剤、クリーム剤またはフォーム剤として);非経口(例えば滅菌液剤または懸濁剤として、筋肉内、静脈内、皮下または髄腔内を含む);経鼻;腹腔内;皮下;経皮(例えば、皮膚に施用されるパッチ剤として);または局所(例えば、皮膚に施用されるクリーム剤、軟膏剤または噴霧剤として)を含むいくつかの投与経路のいずれかによって対象に投与することができる。化合物は、吸入用に製剤化することもできる。ある特定の実施形態では、本発明の化合物は、滅菌水に容易に溶解または懸濁させることができる。適切な投与経路およびそれに適した組成物の詳細は、例えば米国特許第6,110,973号、同第5,763,493号、同第5,731,000号、同第5,541,231号、同第5,427,798号、同第5,358,970号および同第4,172,896号ならびにそれらの中で引用されている特許において見出すことができる。
【0120】
標識化および可視化の方法
別の態様では、本発明は、本発明の組成物を動物に投与するステップを含む、動物における腫瘍を可視化する方法を提供する。
【0121】
さらに別の態様では、本発明は、動物における腫瘍を可視化する方法であって、本発明の組成物を動物に投与するステップ、および組成物とカテプシンシステインプロテアーゼとの反応により動物において発生した検出可能なシグナルを測定するステップを含み、検出可能なシグナルが動物における腫瘍と関係している、方法を提供する。
【0122】
いくつかの方法の実施形態では、検出可能なシグナルは蛍光シグナルである。いくつかの実施形態では、蛍光シグナルは腫瘍周辺において発生する。
【0123】
動物へのペプチド画像化剤の投与は、当業者によってよく理解されている。好ましい実施形態では、この薬剤は、注射によって投与されるが、任意の他の適切な投与手段は本発明の範囲内にあると考えられる。
【0124】
本発明の方法は、動物におけるプロテアーゼ、特にシステインプロテアーゼの標識化および可視化を指向する。適切な動物には、特に腫瘍細胞において、システインプロテアーゼを発現する動物が含まれる。好ましい実施形態では、動物は哺乳動物である。非常に好ましい実施形態では、動物はヒトである。他の好ましい実施形態では、動物は家畜動物またはペットである。
【0125】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、動物において発生した検出可能なシグナルを測定するステップを含む。検出可能なシグナルを測定する方法には、これに限定されないが、画像化法、例えば蛍光画像化法が含まれる。いくつかの実施形態では、蛍光画像化システムは、例えばXenogen IVIS 100システムであるが、任意の適切な画像化システムが使用され得る。
【0126】
本発明の範囲またはその任意の実施形態から逸脱することなく、本明細書で説明される方法および適用への他の適切な改変および適合を行うことができることは当業者に容易に理解できる。本発明をここに詳細に説明してきたが、以下の実施例を参照することによって、それはより明瞭に理解される。これらの実施例は、例示のためだけにここで含まれるものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例0127】
新規なフェノキシメチルケトン(PMK)求電子試薬を含むクエンチされた蛍光システインカテプシン画像化プローブの合成およびキャラクタリゼーション
本研究の目標は、がんの非侵襲的光学的画像化のために使用することができる既存のqABPと比較して、全体的に改善されたin vivo特性を有するqABPを開発することであった。したがって、プローブの3つの主要な要素である、クエンチャー、リンカーおよび求電子「弾頭部」を最適化することを決定した。これまでに報告されたシステインカテプシンqABPの最も大きな欠点の1つは、比較的劣った水溶解度である。したがって、プローブの水溶性を改善し、それによってプローブの生体内分布を改善するために、スルホネート基をQSY21クエンチャー(Xingら(2005年)J. Am. Chem. Soc. 127巻:4158~9頁)に導入した。求電子試薬およびクエンチャーをつなぐスペーサーの長さを、qABPの親油性を減少させるためにも変化させた。最後に、新たな求電子試薬を、可能性があるカテプシン標的の範囲を増加させるために、探索した。システインカテプシンファミリーのいくつかのメンバーは、様々ながんにおいて上方調節されるので(MohamedおよびSloane(2006年)Nat.
Rev. Cancer(2006年)6巻:764~75頁)、プローブが広範囲のシステインカテプシン活性を標的にする場合、腫瘍中のより明るい蛍光シグナルが予想される。より汎反応性プローブを得るために、求電子試薬のサイズを減少させ、反応性を増加させた。2,3,5,6-テトラフルオロ置換フェノキシメチルケトン(PMK)求電子試薬が、2,6-ジメチル安息香酸誘導化アシルオキシメチルケトン(AOMK)と比較して、システインジペプチジルアミノペプチダーゼに対するより大きな反応性を有することが以前に示されている。Deuら(2010年)Chem. Biol. 17巻:808~819頁。より小さなサイズのPMKは、システインカテプシンの一部の結合溝が、立体的に制限されるので、汎反応性を増加させることもできる。Blumら(2005年)Nat. Chem. Biol. 1巻:203~9頁;Blumら(2007年)Nat. Chem. Biol. 3巻:668~77頁;PaulickおよびBogyo(2011年)ACS Chem. Biol. 6巻:563~72頁。さらに、フェノールエーテルは、エステラーゼによって分解され得るエステル結合を含むAOMK求電子試薬と比較して、in vivoでより安定であると予想される。
【0128】
本研究のための出発点として、qABP GB137(1)の7つの類似体(2~8)を合成した。Blumら(2007年)Nat. Chem. Biol. 3巻:668~77頁;PCT国際公開番号WO2014/145257。(
図1A)これらの化合物は、2つの求電子試薬、2つのクエンチャーおよび2つのリンカー長のすべての組合せを表す。すべてのプローブを、以下のスキーム1と関連する説明において記載した通りの、最適化された溶液化学に基づく手順を使用して合成した。プローブの特異性および効力を、最初に、インタクトなRAW264.7細胞(マウス白血病単球マクロファージ細胞株)を標識化することによって試験した(
図1B)。いくつかの傾向が、プローブの特性において観察された。すべてのスルホ-QSY21官能化qABP(2、4、6および8)が、より疎水性のQSY21を含むプローブ(1、3、5および7)と比較して、より強い全体的なカテプシン標識化を示した。興味深いことに、ヘキシルからエチルリンカーまでのスペーサー長の変化は、標識化プロファイルに劇的な影響を与えなかった。おそらく、最も目立った観察は、PMK求電子試薬を有するqABPが、それらのAOMK同等物と比較して、より広いシステインカテプシン標識化プロファイルを示したことであった。プローブ5~8は、強固なカテプシンX標識化を示し、スルホ-QSY21官能化プローブ6および8は、カテプシンLのより高分子量のプロフォームを標識化することが可能であった。蛍光標識化カテプシンの同一性を、免疫沈降によって決定した(
図4A)。生RAW細胞において滴定標識化実験を行う際に、いくつかの他の興味深い傾向が観察された(
図1C、1D;
図4B、4C)。最も疎水性のqABP(1および5)は、0.5μMで標識化強度が低下した最大値に達し、これは、それらの低下した水溶性が、より高い濃度でのプローブの沈降をもたらすことを示唆する。エチルスペーサーを有するすべてのプローブが、それらのヘキシル含有同等物と比較して、より明るい標識化を与えるので、より短いスペーサー長が有益であるように見える。AOMKをPMKと比較する場合、選択性における明確な相違が観察される。AOMK qABPは、カテプシンSおよびLを優先的に標識化し、より高い濃度でのみカテプシンBを標識化する。驚くべきことに、以前の研究は、いくつかの他の関連するAOMKが、この標的を標識化できないことを示していたにもかかわらず(PaulickおよびBogyo(2011年)ACS Chem. Biol. 6巻:563~72頁)、AOMK qABP2~4は、カテプシンXを標識化する。PMK qABPは、より低いプローブ濃度であっても、等しい強度で、すべての標的システインカテプシンも標識化する。一緒に、これらの実験は、親水性の増加が、標識化強度を改善すること、および新規のPMK qABPがより広い、より汎システインカテプシン標識化プロファイルを有することを実証する。
【0129】
PMK qABP8が、全体的な標識化強度および広いカテプシン反応性に関して最適であったので、さらなるin vivo研究のために、このプローブで進めることを決定した。標的選択性をさらに定義するために、RAW細胞溶解物を、pH5.5で、増加させた濃度のqABP8で標識化した。これらの結果は、プローブが、5nM程度の低い濃度で観察される標識化で、カテプシンBおよびXに対して最も強力であることを実証した。しかしながら、すべてのカテプシン(B、S、L、X)の標識化は、500nMのプローブで飽和した(
図2A)。プローブを、500nMの設定濃度で、生RAW細胞の時間経過標識化のために使用したときに、カテプシンXの迅速な飽和が観察され、次いで、カテプシンS、LおよびBの標識化がより遅く、120分においてさえ、カテプシンB標識化シグナルが増加することが観察された(
図2B)。これらのデータは、プローブが、おそらく細胞内または細胞の表面上のその局在化に起因して、カテプシンXのプールに最も迅速にアクセスすることができる可能性があることを示す。カテプシンBおよびXが、異なる程度で、プローブによってアクセスされ得る細胞中の交互の位置に存在し得ることも示す。新たなPMKプローブの安定性を試験するために、RAW細胞における標識化に対する血清曝露の効果を調べた(
図1C)。元のAOMKプローブ1への血清前曝露の4時間が、標的標識化のほぼ70%の減少をもたらしたのに対して、80%より多い標識化が、PMK qABP8について維持された。システインカテプシン阻害剤のJPM-OEtでの細胞の前処理は、90%より多いこの標識化もブロックした。PMKプローブの安定性および改善された標識化特性を考慮して、次に、生細胞蛍光顕微鏡検査研究を行った。これらの結果は、プローブが、明るい特異的標識化シグナルを生成したこと、およびプローブ標識化カテプシンの大部分が、リソソームに存在することを確認した(
図2D)。
【0130】
新たなPMK求電子試薬の陽性の生細胞標識化特性を考慮して、最もよく機能するPMK qABPの2、6および8を、乳がんの同所性マウスモデルにおいて試験した。Taoら(2008年)BMC Cancer 8巻:228頁。加えて、これらのPMKプローブを元のAOMKプローブ1と比較した(
図3A~3Fおよび
図5A~5F)。4T1細胞をBalb/cマウスの、番号2および7の乳腺脂肪体に移植し、腫瘍成長を監視した。腫瘍が定着したら、マウスに、等モル量のqABP(20nmol)を、尾静脈を通して注射し、Cy5蛍光を経時的に非侵襲的画像化した(
図3A、3B)。これらの結果から、qABP8が優れていることが判明したことが改めて確認された。蛍光の強固な腫瘍特異的活性化は、具体的には、高い全体的なコントラストで、腫瘍領域において、プローブ8について観察することができた。このシグナルは、時間経過の最後まで、経時的に増加し続けた。最終的に、プローブ8は、プローブ1と比較して、腫瘍特異的蛍光シグナルの20倍を上回る増強を達成した。良好な腫瘍特異的コントラストはまた、プローブ6について観察され、プローブ2についてより少ない程度で観察されたが、両方とも依然としてプローブ1よりも10倍を上回って大きかった(
図5A、5B)。時間経過の終了後、腫瘍を切除し、腫瘍蛍光をex vivoで測定し、続いて均質化およびSDS-PAGEによる蛍光標識化タンパク質の解析を行った(
図3Cおよび
図5C)。ex vivoの蛍光および総システインカテプシン標識化の定量は、非侵襲的光学的画像化の研究において見られたものと同様の傾向を示した(
図3Dおよび
図5D)。プローブ蛍光の細胞の供給源を決定するために、プローブ標識化マウスからの腫瘍組織切片の免疫蛍光染色を、マクロファージマーカーCD68を使用して染色した(
図3Eおよび
図5E)。Cy5蛍光はCD68陽性細胞に局在化したが、しかしながら、すべてのCD68陽性細胞がまたプローブ8陽性であったのではなく、これは、腫瘍関連マクロファージの異なる活性化状態を示している。共焦点レーザー走査顕微鏡検査(CLSM)を用いるより詳細な解析により、プローブ8について陽性であったすべての細胞が、CD68陽性であるが、プローブ標識化カテプシンおよびCD68シグナルが、同一の小胞に共局在化していないことを確認した(
図3Fおよび
図5F)。これらのデータを合わせると、クエンチャーの親水性を増加させることと、スペーサーの短縮化、およびより反応性で立体的に制限の少ない求核捕捉の導入が、広いシステインカテプシンの反応性、およびin vivo特性の全体的な改善を有するqABPをもたらしたことが確認される。
【0131】
非常に異なる機能が、一部のシステインカテプシンファミリーメンバーについて記載されているが(ConusおよびSimon(2010年)Swiss Med. Wkly. 140巻:w13042頁)、他の役割は重複しており、1つのカテプシンの活性の変化が、他のカテプシンの活性に影響を与え得る。例えば、カテプシンBの損失は、カテプシンXの活性の増加によって代償され(Sevenichら(2010年)Proc. Natl Acad. Sci. USA 107巻:2497~502頁)、カテプシンBの上方調節は、カテプシンLの下方調節をもたらす(Gopinathanら(2012年)Gut 61巻:877~84頁)。したがって、広範囲のプローブは、1つの実験において複数のシステインカテプシンの読み出しを促進し、互いに関して個々のカテプシンの活性の比較を可能にするので、高い価値がある。このような汎反応性ABPの有用性は 、汎セリンヒドロラーゼフルオロホスホネートプローブ(Liuら(1999年)Proc. Natl Acad. Sci. USA 96巻:14694~9頁)および汎反応性プロテアソームプローブMV151(Verdoesら(2006年)Chem. Biol. 13巻:1217~26頁)によって実証されている。さらに、PMKベースqABPは、カテプシンXに対して非常に反応性であるので、それらの足場は、この依然としてほとんど理解されていないシステインカテプシンに対する選択的qABPを作り出すために使用することができる。(PaulickおよびBogyo(2011年)ACS Chem. Biol. 6巻:563~72頁)。
【0132】
結論として、以前に報告されたAOMKベースプローブと比較して、より高い反応性およびより広い選択性を有する、PMK求電子試薬を有する新規の部類のクエンチされた蛍光活性ベースプローブが合成された。さらに、qABPの親水性は、スルホン酸化クエンチャーを導入し、ならびに求電子試薬およびクエンチャーをつなぐスペーサーを短くすることによって増加し、がんの非侵襲的光学的画像化において増強されたコントラストをもたらす、より高い水溶解度および改善されたin vivo特性をもたらす。
【0133】
方法
一般
すべての樹脂および試薬は、商業的供給業者から購入し、さらに精製することなく使用した。全ての使用した溶媒はUPLCグレードであった。試薬グレードの溶媒を、すべての非水系抽出のために使用した。すべての水分感受性反応は、アルゴン陽圧下、無水溶媒中で実施した。反応物は、API 150EXシングル四重極質量分析計(Applied Biosystems)を使用したLC-MSにより分析した。C18カラムを使用して、ÅKTA explorer 100(Amersham Pharmacia Biotech)を用いた逆相HPLCを実施した。NMRスペクトルは、パルス磁場勾配アクセサリーを備えたVarian 400MHz(400/100)、Varian
500MHz(500/125)またはVarian Inova 600MHz(600/150MHz)で記録した。化学シフトは、内部標準としてのテトラメチルシランに対して、ppm(δ)で与えられる。カップリング定数はHzで与えられる。蛍光ゲルは、Typhoon 9400フラットベッドレーザースキャナー(GE Healthcare)使用してスキャンした。ゲル中での標識化強度は、Image Jソフトウェアを使用して定量した。統計解析は、Microsoft Excelを使用して行い、s.e.m.は、s.d.をnの平方根で割ることによって計算した。蛍光顕微鏡検査画像は、10倍、40倍および63倍の対物レンズを備えたZeiss共焦点LSM 710およびZeiss Axiovert 200M倒立顕微鏡(Carl Zeiss)で取得した。Slidebookソフトウェアを、顕微鏡およびカメラを制御するため、およびデータ解析のために、使用した(Intelligent Imaging Innovations)。
qABP合成
【0134】
以下の化合物の合成のための合成スキームを、下記のスキーム1に表す。
【0135】
2,6-ジメチル-4-((6-(トリチルアミノ)ヘキシル)カルバモイル)安息香酸(11a)。モノ-トリチル1,6-ジアミノヘキサン酢酸塩(9a)(117.2mg、0.28mmol)を、DCMに溶解し、飽和水性NaHCO3で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、真空中で濃縮した。アミンをDMFに溶解し、HOBt一水和物(43mg、0.28mmol、1当量)、EDC(54mg、0.28mmol、1当量)および2,6-ジメチルテレフタル酸(10)(54.4mg、0.28mmol、1当量)を添加し、反応混合物を終夜撹拌した後、真空中で濃縮した。粗製物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM→DCM中5%MeOH)により精製し、その後、DCMに溶解し、水で洗浄し、MgSO4で乾燥して、70mg(0.13mmol、47%単離収率)を得た。
【0136】
2,6-ジメチル-4-((2-(トリチルアミノ)エチル)カルバモイル)安息香酸(11b)。モノ-トリチルエチレンジアミン酢酸塩(9b)(97.9mg、0.27mmol)を、DCMに溶解し、飽和水性NaHCO3で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、真空中で濃縮した。アミンをDMFに溶解し、HOBt一水和物(43mg、0.28mmol、1.04当量)、EDC(61mg、0.32mmol、1.2当量)および2,6-ジメチルテレフタル酸(10)(52mg、0.27mmol、1当量)を添加し、反応混合物を終夜撹拌した後、真空中で濃縮した。粗製物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM→DCM中5%MeOH)により精製し、その後、DCMに溶解し、水で洗浄し、MgSO4で乾燥して、28mg(0.06mmol、22%単離収率)を得た。
【0137】
2,3,5,6-テトラフルオロ-4-ヒドロキシ-N-(6-(トリチルアミノ)ヘキシル)ベンズアミド(13a)。モノ-トリチル1,6-ジアミノヘキサン酢酸塩(9a)(117.2mg、0.28mmol)を、DCMに溶解し、飽和水性NaHCO3で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、真空中で濃縮した。アミンをDMFに溶解し、HOBt一水和物(43mg、0.28mmol、1当量)、EDC(54mg、0.28mmol、1当量)および2,3,5,6-テトラフルオロ-4-ヒドロキシ安息香酸(12)(59mg、0.28mmol、1当量)を添加し、反応混合物を終夜撹拌した後、真空中で濃縮した。粗製物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(15%→30%ヘキサン中酢酸エチル)により精製して、90mg(0.16mmol、58%単離収率)を得た。
【0138】
2,3,5,6-テトラフルオロ-4-ヒドロキシ-N-(2-(トリチルアミノ)エチル)ベンズアミド(13b)。モノ-トリチルエチレンジアミン酢酸塩(9b)(100mg、0.28mmol)を、DCMに溶解し、飽和水性NaHCO
3で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、真空中で濃縮した。アミンをDMFに溶解し、HOBt一水和物(43mg、0.28mmol、1当量)、EDC(54mg、0.28mmol、1当量)および2,3,5,6-テトラフルオロ-4-ヒドロキシ安息香酸(12)(59mg、0.28mmol、1当量)を添加し、反応混合物を終夜撹拌した後、真空中で濃縮した。粗製物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(20%→35%ヘキサン中酢酸エチル)により精製して、90mg(0.18mmol、65%単離収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 8.77 (t, J=6.0, 1H), 7.39 (d, J=7.8, 6H), 7.27 (t, J=7.7, 6H), 7.17 (t, J=7.2, 3H), 3.40 - 3.35 (m, 2H), 2.86 - 2.77 (m, 1H), 2.14 - 2.04 (m, 2H).
【化33】
スキーム1。試薬および条件:i.EDC、HOBt、DMF。ii.a)KF、DMF。b)1%TFA、DCM。iii.a)QSY21-NHSまたはスルホ-QSY21-NHS、DiPEA、DMSO。b)TFA/DCM=1/1。c)Cy5-NHS、DiPEA、DMSO。iv.a)KF、DMF、80℃。b)1%TFA、DCM。
【0139】
中間体15。フッ化カリウム(3mg、52μmol、3当量)を、5分間の超音波処理によってDMFに懸濁させ、その後、カルボン酸11a(10mg、19μmol、1.1当量)を添加した。反応混合物を、10分間撹拌した後、クロロメチルケトン14(9.7mg、17.3μmol、1当量)を添加した。1.5時間後、反応混合物を真空中で濃縮し、粗製物をDCM中1%TFAに溶解し、30分間撹拌した後、溶液が無色になるまで、トリイソプロピルシランの添加によってクエンチした。トルエンとの共蒸発(3回)後、表題化合物を、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて15:85から55:45;5mL/分)により精製し、続いて、凍結乾燥して、15を白色粉末(3.12mg、3.46μmol、2ステップで20%)を得た。
【0140】
中間体16。フッ化カリウム(3mg、52μmol、3当量)を、5分間の超音波処理によってDMFに懸濁させ、その後、カルボン酸11b(9.5mg、20μmol、1.1当量)を添加した。反応混合物を、10分間撹拌した後、クロロメチルケトン14(10mg、17.9μmol、1当量)を添加した。1.5時間後、反応混合物を真空中で濃縮し、粗製物をDCM中1%TFAに溶解し、30分間撹拌した後、溶液が無色になるまで、トリイソプロピルシランの添加によってクエンチした。トルエンとの共蒸発(3回)後、中間体16を、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて15:85から55:45;5mL/分)により精製し、続いて、凍結乾燥して、白色粉末(3.99mg、4.57μmol、2ステップで26%)を得た。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.80 (s, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.35 - 7.18 (m, 10H), 5.06 (s, 2H), 4.85 - 4.78 (m, 2H), 4.42 (dd, J = 13.1, 6.2 Hz, 1H), 4.37 (dd, J = 10.1, 4.0 Hz, 1H), 3.64 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 3.18 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 3.12 (dd, J = 13.7, 7.0 Hz, 1H), 3.01 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.94 (dd, J = 13.6, 8.9 Hz, 1H), 2.41 (s, 3H), 2.34 (s, 3H), 1.92 - 1.82 (m, 1H), 1.67 - 1.57 (m, 1H), 1.49 - 1.26 (m, 4H), 1.42 (s, 9H).
【0141】
中間体17。フッ化カリウム(6.3mg、108μmol、3当量)を、5分間の超音波処理によってDMFに懸濁させ、その後、フェノール13a(21.5mg、39μmol、1.1当量)を添加した。反応混合物を、10分間撹拌した後、クロロメチルケトン14(20mg、36μmol、1当量)を添加した。反応混合物を5時間80℃で撹拌した後、真空中で濃縮した。粗製物をDCM中1%TFAに溶解し、30分間撹拌した後、溶液が無色になるまで、トリイソプロピルシランの添加によってクエンチした。トルエンとの共蒸発(3回)後、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて25:75から70:30;5mL/分)により精製し、続いて、凍結乾燥して、表題化合物を白色粉末(16.6mg、17.5μmol、2ステップで49%)として得た。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.29 (m , 10H), 5.07 (s, 2H), 4.86 (m , 2H), 4.44 (m , 2H), 3.41 (t, J = 6.8, 2H), 3.10 (dd, J = 13.5, 7.0, 1H), 3.02 (t, J = 6.8, 2H), 2.97 - 2.91 (m, 3H), 1.93 - 1.81 (m, 1H), 1.73 - 1.62 (m, 4H), 1.62 - 1.53 (m, 1H), 1.51 - 1.46 (m, 4H),
1.43 (s, 9H), 1.45 - 1.25 (m, 4H).
【0142】
中間体18。フッ化カリウム(6.3mg、108μmol、3当量)を、5分間の超音波処理によってDMFに懸濁させ、その後、フェノール13b(19.4mg、39μmol、1.1当量)を添加した。反応混合物を、10分間撹拌した後、クロロメチルケトン14(20mg、36μmol、1当量)を添加した。反応混合物を3時間80℃で撹拌した後、真空中で濃縮した。粗製物をDCM中1%TFAに溶解し、30分間撹拌した後、溶液が無色になるまで、トリイソプロピルシランの添加によってクエンチした。トルエンとの共蒸発(3回)後、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて20:80から60:40;5mL/分)により精製し、続いて、凍結乾燥して、表題化合物を白色粉末(15.4mg、17.3μmol、2ステップで48%)として得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ = 7.36 - 7.12 (m, 10H), 5.05 (s, 2H), 4.86 - 4.81 (m, 2H), 4.42 - 4.37 (m, 2H), 3.64 (t, J=6.5, 2H), 3.14 (t, J=6.5, 2H), 3.08 (dd, J=13.9, 7.2, 1H), 2.99 (t, J=6.5, 2H), 2.91 (dd, J=13.9, 8.4, 1H), 1.90 - 1.78 (m, 1H), 1.62 - 1.48 (m, 1H),
1.41 (s, 9H), 1.46 - 1.20 (m, 4H).
【0143】
プローブ1(GB137)。中間体15(1.5mg、1.7μmol)をDMSO(50μl)に溶解し、QSY21-NHS(1.39mg、1.7μmol、1当量)およびDiPEA(1.5μl、8.5μmol、5当量)を添加した。1時間後、QSY21アミドを、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて40:60から80:20;5mL/分)により精製し、続いて、凍結乾燥した。Boc保護基を除去するために、得られた暗青色粉末をTFA/DCM(1/1)に溶解し、30分間反応させた後、トルエンとの共蒸発(3回)を行い、2.42mgの相当するTFA塩(1.6μmol、2ステップで95%)を得た。アミンをDMSO(50μl)に溶解し、Cy5-NHS(1.3mg、1.76μmol、1.1当量)およびDiPEA(1.4μl、8μmol、5当量)を添加した。1時間後、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて40:60から75:25;5mL/分)による精製、続いて、凍結乾燥して、プローブ1を暗青色粉末(2.0mg、0.99μmol、62%)として得た。
【0144】
プローブ2(BMV122)。中間体15(1.5mg、1.7μmol)をDMSO(50μl)に溶解し、スルホ-QSY21-NHS(1.66mg、1.7μmol、1当量)およびDiPEA(1.5μl、8.5μmol、5当量)を添加した。1時間後、スルホ-QSY21アミドを、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて30:70から70:30;5mL/分)により精製し、続いて、凍結乾燥した。Boc保護基を除去するために、得られた暗青色粉末をTFA/DCM(1/1)に溶解し、30分間反応させた後、トルエンとの共蒸発(3回)を行い、2.29mgの相当するTFA塩(1.39μmol、2ステップで81%)を得た。アミンをDMSO(50μl)に溶解し、Cy5-NHS(1.1mg、1.5μmol、1.1当量)およびDiPEA(1.2μl、7μmol、5当量)を添加した。1時間後、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて15:85から50:50;5mL/分)による精製、続いて、凍結乾燥して、プローブ2を暗青色粉末(1.83mg、0.84μmol、61%)として得た。
【0145】
プローブ3(BMV145)。中間体16(1.5mg、1.7μmol)をDMSO(50μl)に溶解し、QSY21-NHS(1.39mg、1.7μmol、1当量)およびDiPEA(1.5μl、8.5μmol、5当量)を添加した。1時間後、QSY21アミドを、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて40:60から80:20;5mL/分)により精製し、続いて、凍結乾燥した。Boc保護基を除去するために、得られた暗青色粉末をTFA/DCM(1/1)に溶解し、30分間反応させた後、トルエンとの共蒸発(3回)を行い、0.86mgの相当するTFA塩(0.6μmol、2ステップで35%の単離収率)を得た。アミンをDMSO(50μl)に溶解し、Cy5-NHS(0.5mg、0.66μmol、1.1当量)およびDiPEA(0.57μl、3.3μmol、5当量)を添加した。1時間後、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて40:60から75:25;5mL/分)による精製、続いて、凍結乾燥して、プローブ3を暗青色粉末(0.67mg、0.34μmol、57%)として得た。
【0146】
プローブ4(BMV146)。中間体16(1.0mg、1.2μmol)をDMSO(50μl)に溶解し、スルホ-QSY21-NHS(1.25mg、1.2μmol、1当量)およびDiPEA(1.05μl、6μmol、5当量)を添加した。1時間後、スルホ-QSY21アミドを、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O
0.1%TFA、20分かけて20:80から80:20;5mL/分)により精製し、続いて、凍結乾燥した。Boc保護基を除去するために、得られた暗青色粉末をTFA/DCM(1/1)に溶解し、30分間反応させた後、トルエンとの共蒸発(3回)を行い、1.06mgの相当するTFA塩(0.66μmol、2ステップで55%)を得た。アミンをDMSO(50μl)に溶解し、Cy5-NHS(0.55mg、0.73μmol、1.1当量)およびDiPEA(0.64μl、3.65μmol、5当量)を添加した。1時間後、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて15:85から50:50;5mL/分)による精製、続いて、凍結乾燥して、プローブ4を暗青色粉末(0.63mg、0.3μmol、45%)として得た。
【0147】
プローブ5(BMV118)。中間体17(1.2mg、1.3μmol)をDMSO(50μl)に溶解し、QSY21-NHS(1.0mg、1.3μmol、1当量)およびDiPEA(1.13μl、6.5μmol、5当量)を添加した。2時間後、QSY21アミドを、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて40:60から80:20;5mL/分)により精製し、続いて、凍結乾燥した。Boc保護基を除去するために、得られた暗青色粉末をTFA/DCM(1/1)に溶解し、30分間反応させた後、トルエンとの共蒸発(3回)を行い、2.0mgの相当するTFA塩(1.3μmol、2ステップで定量可能量)を得た。アミンをDMSO(50μl)に溶解し、Cy5-NHS(1.0mg、1.3μmol、1当量)およびDiPEA(1.1μl、6.5μmol、5当量)を添加した。1時間後、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて40:60から85:15;5mL/分)による精製、続いて、凍結乾燥して、プローブ5を暗青色粉末(1.91mg、0.94μmol、72%)として得た。
【0148】
プローブ6(BMV119)。中間体17(1.2mg、1.3μmol)をDMSO(50μl)に溶解し、スルホ-QSY21-NHS(1.35mg、1.3μmol、1当量)およびDiPEA(1.13μl、6.5μmol、5当量)を添加した。1時間後、スルホ-QSY21アミドを、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて30:70から90:10;5mL/分)により精製し、続いて、凍結乾燥した。Boc保護基を除去するために、得られた暗青色粉末をTFA/DCM(1/1)に溶解し、30分間反応させた後、トルエンとの共蒸発(3回)を行い、1.98mgの相当するTFA塩(0.9μmol、2ステップで70%)を得た。アミンをDMSO(50μl)に溶解し、Cy5-NHS(0.7mg、0.9μmol、1.1当量)およびDiPEA(0.8μl、4.5μmol、5当量)を添加した。1時間後、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて15:85から50:50;5mL/分)による精製、続いて、凍結乾燥して、プローブ6を暗青色粉末(1.63mg、0.74μmol、82%)として得た。
【0149】
プローブ7(BMV108)。中間体18(1.2mg、1.3μmol)をDMSO(50μl)に溶解し、QSY21-NHS(1.2mg、1.4μmol、1.1当量)およびDiPEA(1.13μl、6.5μmol、5当量)を添加した。1時間後、QSY21アミドを、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて30:70から70:30;5mL/分)により精製し、続いて、凍結乾燥して暗青色粉末(1.43mg、0.99μmol、76%)を得た。その後、TFA/DCM(1/1)中で30分間Boc保護基を除去した後、トルエンとの共蒸発(3回)を行った。TFA塩をDMSO(50μl)に溶解し、Cy5-NHS(0.83mg、1.1μmol、1.1当量)およびDiPEA(0.88μl、5μmol、5当量)を添加した。1時間後、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O
0.1%TFA、20分かけて30:70から70:30;5mL/分)による精製、続いて、凍結乾燥して、プローブ7を暗青色粉末(0.95mg、0.48μmol、2ステップで49%)として得た。
【0150】
プローブ8(BMV109)。中間体18(5.8mg、6.5μmol)をDMSO(100μl)に溶解した。スルホ-QSY21-NHS(9.75mg、10.39μmol、1.6当量)およびDiPEA(8.4μl、50.5μmol、7.8当量)を添加し、混合物を一晩撹拌した。スルホ-QSY21アミドを、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて25:75から55:45;5mL/分)により精製し、続いて、凍結乾燥して、暗青色粉末を得た。その後、TFA/DCM(1/1)中で30分間Boc保護基を除去した後、トルエンとの共蒸発(3回)を行った。残留物をDMSO(250μl)に溶解し、Cy5-NHS(10.5mg、13.9μmol、2.1当量)およびDiPEA(12μl、72μmol、11当量)を添加した。4時間後、HPLC(分取逆相C18カラム、CH3CN/H2O 0.1%TFA、20分かけて25:75から45:55;5mL/分)による精製、続いて、凍結乾燥して、プローブ8を暗青色粉末(7.74mg、4.61μmol、2ステップで71%)として得た。1H NMR (600 MHz, CD3CN) δ 8.12 - 8.08 (m, 1H), 8.01 - 7.93 (m, 2H), 7.89 - 7.85 (m, 2H), 7.75 (dd, J = 12.0, 1.5 Hz, 2H), 7.72 (dd, J = 8.4, 1.7
Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 8.3, 1.2 Hz, 1H), 7.66 (s, 2H), 7.62 - 7.57 (m, 2H), 7.51 (dd, J = 8.4, 5.1 Hz, 2H), 7.46 (d, J = 9.4 Hz, 2H), 7.41 - 7.35 (m, 3H), 7.24
(s, 1H), 7.22 (s, 1H), 7.21 - 7.14 (m, 6H), 7.13 - 7.09 (m, 6H), 7.05 (dd, J = 8.8, 4.6 Hz, 1H), 6.39 (t, J = 12.8 Hz, 1H), 6.11 (t, J = 12.6 Hz, 1H), 4.87 (q,
J = 12.7 Hz, 2H), 4.83 (dd, J = 39.7, 14.1 Hz, 2H), 4.23 - 4.12 (m, 4H), 3.93 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.86 (t, J = 7.4 Hz,
2H), 3.34 (dd, J = 6.7, 4.1 Hz, 2H), 3.28 - 3.15 (m, 9H), 3.04 - 2.92 (m, 3H), 2.80 - 2.74 (m, 1H), 2.45 (t, J = 11.9 Hz, 2H), 2.15 - 2.09 (m, 1H), 2.09 - 2.03
(m, 2H), 1.74 - 1.58 (m, 7H), 1.57 (s, 6H), 1.55 (s, 6H), 1.49 (dd, J = 15.1, 7.4 Hz, 4H), 1.35 - 1.22 (m, 7H), 1.20 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.16 - 1.12 (m, 4H).
細胞培養ならびに生細胞および細胞溶解物の標識化
【0151】
RAW細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS;GIBCO)、100ユニット/mLのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシン(GIBCO)を補充したDMEM(GIBCO)中で培養した。4T1細胞(ATCC)を、10%ウシ胎児血清(FBS;GIBCO)、100ユニット/mLのペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(GIBCO)を補充したRPMI(GIBCO)中で培養した。すべての細胞は、5%CO2加湿インキュベーター中、37℃で培養した。インタクトな細胞の標識化のために、特に明記しない限り、細胞を、培養培地中、プローブ(DMSO中500倍)に曝露し、37℃で2時間インキュベートした。示された場所で、細胞を、阻害剤のJPM-OEt(DMSO中500倍)とともに、1時間、プレインキュベートしたか、または細胞への添加の前に、4時間、マウス血清(1μlのDMSO中のプローブストック溶液を9μlの血清に添加した)に曝露した。標識化の後、細胞をPBSで洗浄し、低張溶解緩衝液(50mM PIPES pH7.4、10mM KCl、5mM MgCl2、2mM EDTA、4mM DTTおよび1%NP-40)中に再懸濁させ、15分間氷上に置き、4℃で30分間遠心分離し、上清を収集し、タンパク質濃度を、BCAキット(pierce)を使用して決定した。40μgの総タンパク質を、4倍のSDS試料緩衝液の添加および100℃での3分間の加熱によって変性させ、SDS-PAGE(15%)によって分離し(resolved)、標識化プロテアーゼを、Typhoonイメージャー(GE Healthcare)でゲルをスキャンすることによって可視化した。標識化強度は、Image Jソフトウェアを使用して定量した。細胞溶解物中のカテプシン標識化のために、細胞を回収し、PBSで洗浄し、クエン酸緩衝液(50mMクエン酸緩衝液pH5.5、5mM DDT、0.5%CHAPS、0.1%Triton X)中に再懸濁させた。氷上で15分間、および4℃で30分間の遠心分離の後、上清を収集し、タンパク質濃度を、BCAキット(pierce)を使用して決定した。40μgの総タンパク質を、示されたプローブ(DMSO中200倍)に、37℃で1時間曝露した。4倍のSDS試料緩衝液を添加し、タンパク質を100℃で3分間変性させ、上記のようにして解析した。生細胞顕微鏡検査のために、RAW細胞を、フェノールレッドを含まない完全培地中、1×105細胞の密度で、35mmガラス底ディッシュ(in vitro scientific)に播種し、終夜培養した。細胞を、DMSOまたは1μMプローブ(DMSO中500倍)のいずれかに2時間曝露した。最後の1時間、Lysotracker-green(200nM最終濃度、DMSO中1000倍)を細胞に添加した。示された場所で、細胞を、阻害剤のJPM-OEt(DMSO中500倍)とともに、1時間、プレインキュベートした。細胞を、Zeiss Axiovert 200M共焦点顕微鏡を使用して40倍で、Cy5チャネルおよびFITCチャネルの両方で画像化した。
動物モデル
【0152】
すべての動物ケアおよび実験を、現在のNational Institutes of Health および Stanford University Institutional Animal Care and Use Committeeガイドラインに従って実施した。雌BALB/cマウス(6~8週齢、The Jackson Laboratory)に、イソフルラン麻酔下、PBS中1×105の4T1細胞(ATCC)を、脂肪体番号2および7に注射し、腫瘍成長を監視した。画像化の24時間前に、目的の領域の毛を、「Nair lotion」を使用して除去した。10日目に、示されたプローブ(20nmol;0.8nmol・g-1)を、100μL容量(PBS中20%DMSO)で、尾静脈を介して投与した。注射の後、マウスを、IVIS 100システム(Xenogen)を使用して、示された時点で、非侵襲的に画像化した。画像を、Living Imageソフトウェア(PerkinElmer)を用いて解析した。最後の時点の後、マウスをイソフルラン(isofluorane)で麻酔し、頸椎脱臼によって殺した。ex vivo蛍光測定、およびin vivoプローブ標識化プロファイルの評価のために、腫瘍を除去し、FMT 2500(PerkinElmer)を使用して画像化し、組織を、クエン酸緩衝液(50mMクエン酸緩衝液pH5.5、5mM DDT、0.5%CHAPS、0.1%TritonX)中で超音波処理した(氷上で1分間)。4℃で30分間の遠心分離の後、上清を収集し、タンパク質濃度を、BCAキット(pierce)を使用して決定した。40μgの総タンパク質を、SDS試料緩衝液中、100℃での3分間、変性させ、上記のようにして解析した。免疫蛍光のために、切除した腫瘍を、PBS中4%PFA溶液の中で、4℃で6時間インキュベートし、続いて、30%スクロース溶液中で終夜インキュベートし、OCT培地中で組織を凍結した。6μm切片をアセトン中で固定し、PNBブロッキング緩衝液でブロックし、ラット抗マウスCD68(1:1000;Serotec)とともに終夜インキュベートした。AlexaFluor-488とコンジュゲートしたヤギ抗ラット(1:500;Invitrogen)を、室温で1時間インキュベートした。次いで、切片を、DAPI(2μg/mL;Invitrogen)で、5分間染色し、次いで、ProLong
Gold Mounting Medium(Invitrogen)にマウントした。次いで、組織をZeiss Axiovert 200M顕微鏡を使用して可視化した。
インドシアニングリーン標識化された画像化プローブの合成およびキャラクタリゼーション
【0153】
インドシアニングリーン検出可能な要素およびQC-1クエンチャーを含む画像化プローブを、以下のスキームにおいて例示するようにして合成した。
【化34-1】
【化34-2】
ここで、第2ステップにおいて使用されるBoc保護ペプチドは、上記のようにして調製した。QC-1およびICGとのカップリング反応の生成物を液体クロマトグラフィー-質量分析(「LCMS」)の分析によって確認した。
【0154】
ICGフルオロフォアおよびQC-1クエンチャーを含むプローブ(BMV109-ICG)を、Dylight780フルオロフォアおよびQC-1クエンチャーを含むプローブ(BMV109-Dylight780)と、in vivoおよびex vivo研究において比較した。
図6Aおよび
図6Bに示すように、ICG標識化プローブは、Dylight780標識化プローブと比較して、改善された腫瘍取り込みおよびより低いバックグラウンドシグナルを示す(特に、
図6Bの50nmol投与量を参照されたい)。
【化35】
【0155】
本明細書で挙げたすべての特許、特許公開および他の公開文献を、それぞれが個別にかつ具体的に参照により本明細書に組み込まれているかのように、それらの全体について参照により本明細書に組み込む。
【0156】
具体的な例を提供してきたが、上記説明は例示であり限定ではない。上記に説明した実施形態の特徴のいずれか1つまたは複数を、本発明中の任意の他の実施形態の1つまたは複数の特徴と任意の仕方で組み合わせることができる。さらに、本明細書を概観すれば、本発明の多くの変更形態が当業者に明らかになる。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、それらの全範囲の均等物と併せて参照することによって決定されるべきである。