(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179622
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】貫通電極基板及び実装基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20231212BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20231212BHJP
H01L 23/15 20060101ALI20231212BHJP
H05K 3/42 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H05K1/02 C
H01L23/12 F
H01L23/12 Q
H01L23/14 C
H01L23/12 L
H05K3/42 630Z
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023173209
(22)【出願日】2023-10-04
(62)【分割の表示】P 2022096770の分割
【原出願日】2017-06-02
(31)【優先権主張番号】P 2016112104
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】工藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】高野 貴正
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基板のうち貫通孔が設けられている領域に素子を配置することができる貫通電極基板及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】貫通電極基板10は、第1面13及び第1面13の反対側に位置する第2面14を含むとともに貫通孔20が設けられた基板12と、基板12の貫通孔20の内部に設けられた貫通電極22と、を備える。貫通電極22は、貫通孔20の側壁21に沿って広がる第1部分23と、第1部分23に接続され、基板12の第1面13側において貫通孔20の内部で第1面13の面方向において広がる第2部分24と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通電極基板であって、
第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含むとともに貫通孔が設けられた基板と、
前記基板の前記貫通孔の内部に設けられた貫通電極と、を備え、
前記貫通電極は、前記貫通孔の側壁に沿って広がる第1部分と、前記第1部分に接続され、前記基板の前記第1面側において前記貫通孔の内部で前記第1面の面方向において広がる第2部分と、を有し、
前記貫通電極基板は、前記基板の前記第1面側に設けられ、前記貫通電極の前記第2部分に接続された導電層を有する配線層を更に備え、
前記配線層は、前記貫通電極の前記第2部分の一部に接する絶縁層を有する、貫通電極基板。
【請求項2】
貫通電極基板であって、
第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含むとともに貫通孔が設けられた基板と、
前記基板の前記貫通孔の内部に設けられた貫通電極と、を備え、
前記貫通電極は、前記貫通孔の側壁に沿って広がる第1部分と、前記第1部分に接続され、前記基板の前記第1面側において前記貫通孔の内部で前記第1面の面方向において広がる第2部分と、を有し、
前記貫通電極基板は、前記基板の前記第1面側に設けられ、前記貫通電極の前記第2部分に接続された導電層を有する配線層を更に備え、
前記基板の前記第1面の面方向において、前記配線層の前記導電層のうち前記貫通電極の前記第2部分に接続されている部分の寸法が、前記貫通電極の前記第2部分の寸法よりも小さい、貫通電極基板。
【請求項3】
貫通電極基板であって、
第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含むとともに貫通孔が設けられた基板と、
前記基板の前記貫通孔の内部に設けられた貫通電極と、を備え、
前記貫通電極は、前記貫通孔の側壁に沿って広がる第1部分と、前記第1部分に接続され、前記基板の前記第1面側において前記貫通孔の内部で前記第1面の面方向において広がる第2部分と、を有し、
前記貫通電極基板は、前記基板の前記第1面側に設けられ、前記貫通電極の前記第2部分に接続された導電層を有する配線層を更に備え、
前記導電層は、前記基板の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記貫通電極の前記第2部分に重なり、且つ前記第2部分に囲われる輪郭を有する電極部を含む、貫通電極基板。
【請求項4】
前記導電層は、複数の前記電極部を含む、請求項3に記載の貫通電極基板。
【請求項5】
貫通電極基板であって、
第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含むとともに貫通孔が設けられた基板と、
前記基板の前記貫通孔の内部に設けられた貫通電極と、を備え、
前記貫通電極は、前記貫通孔の側壁に沿って広がる第1部分と、前記第1部分に接続され、前記基板の前記第1面側において前記貫通孔の内部で前記第1面の面方向において広がる第2部分と、を有し、
前記貫通電極基板は、前記基板の前記第1面側に設けられ、前記貫通電極の前記第2部分に接続された導電層を有する配線層を更に備え、
前記導電層は、前記基板の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記貫通電極の前記第2部分の輪郭と交差する導線部を含む、貫通電極基板。
【請求項6】
前記導電層は、複数の前記導線部を含む、請求項5に記載の貫通電極基板。
【請求項7】
前記配線層は、有機材料を含む絶縁層と、無機材料を含む応力緩和層と、を更に有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の貫通電極基板。
【請求項8】
前記配線層は、前記基板の前記第1面上に位置する前記導電層及び前記絶縁層を含む第1配線層と、前記第1配線層上に位置する前記導電層及び前記絶縁層を含む第2配線層と、を有し、
前記応力緩和層は、前記基板の前記第1面と前記第1配線層の前記絶縁層との間、若しくは、前記第1配線層の前記絶縁層と前記第2配線層の前記絶縁層との間、の少なくともいずれかに位置する、請求項7に記載の貫通電極基板。
【請求項9】
前記応力緩和層は、前記配線層の前記導電層及び前記基板の前記第1面に少なくとも部分的に接している、請求項7に記載の貫通電極基板。
【請求項10】
前記基板の前記第1面の面方向における前記貫通孔の寸法が、前記基板の前記第2面の面方向における前記貫通孔の寸法よりも小さい、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の貫通電極基板。
【請求項11】
前記基板は、ガラス基板を含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の貫通電極基板。
【請求項12】
前記基板は、200μm以上且つ600μm以下の厚さを有する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の貫通電極基板。
【請求項13】
前記貫通電極は、前記第2面側において前記第1部分の端部に接続され、前記第2面上に位置する第3部分を更に有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の貫通電極基板。
【請求項14】
前記貫通電極基板は、前記貫通電極の前記第2部分上に位置し、前記貫通電極基板に搭載される素子の端子が接続される電極部を更に備える、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の貫通電極基板。
【請求項15】
前記基板には、複数の前記貫通孔及び複数の前記貫通電極が形成されており、
前記基板の前記第1面の面方向において前記基板を仮想的に16等分した場合の、16個の領域に形成された前記貫通孔の数がそれぞれ、各領域における前記貫通孔の数の平均値±20%の範囲内である、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の貫通電極基板。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の貫通電極基板と、
前記貫通電極基板に搭載された素子と、を備える、実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、貫通電極基板及びその製造方法に関する。また、本開示の実施形態は、貫通電極基板を備えた実装基板に関する。
【背景技術】
【0002】
第1面及び第2面を含む基板と、基板に設けられた複数の貫通孔と、貫通孔の内部に設けられた電極と、を備える部材、いわゆる貫通電極基板が、様々な用途で利用されている。例えば、貫通電極基板は、LSIの実装密度を高めるために複数のLSIチップを積層させる際に2つのLSIチップの間に介在させるインターポーザとして利用される。また、貫通電極基板は、LSIチップなどの素子とマザーボードなどの実装基板との間に介在されることもある。なお、以下の記載において、貫通孔の内部に設けられた電極のことを、貫通電極と称することもある。
【0003】
貫通電極の例として、いわゆるフィルドビアやコンフォーマルビアが知られている。フィルドビアの場合、貫通電極は、貫通孔の内部に充填された銅などの導電性材料を含む。
図37に、フィルドビアとして構成された貫通電極22を備える貫通電極基板の一例を示す。コンフォーマルビアの場合、貫通電極は、例えば特許文献1に開示されているように、孔の側壁に沿って広がる壁面導電層と、基板の第1面上に設けられた第1面導電層と、基板の第2面上に設けられた第2面導電層と、を含む。
図38に、コンフォーマルビアとして構成された貫通電極22を備える貫通電極基板の一例を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
貫通電極基板の表面の面積を有効に活用するためには、基板のうち貫通孔が設けられている領域にLSIチップなどの素子を配置可能であることが好ましい。しかしながら、コンフォーマルビアの場合、貫通電極が貫通孔の壁面及び基板の表面に位置するので、基板のうち貫通孔が設けられている領域に素子を配置することができない。
【0006】
本開示の実施形態は、このような点を考慮してなされたものであり、基板のうち貫通孔が設けられている領域に素子を配置することができる貫通電極基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
本開示の一実施形態は、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含むとともに貫通孔が設けられた基板を準備する工程と、前記基板の前記第1面に、前記貫通孔を塞ぐ封止層を設ける工程と、前記貫通孔の内部に、前記貫通孔の側壁に沿って延びる第1部分と、前記第1部分に接続され、前記封止層に沿って広がる第2部分と、を有する貫通電極を形成する電極形成工程と、前記封止層を除去する工程と、を備える、貫通電極基板の製造方法である。
【0008】
本開示の一実施形態による貫通電極基板の製造方法は、前記基板の前記第1面側に、前記貫通電極の前記第2部分に接続された導電層を有する配線層を形成する工程を更に備えていてもよい。
【0009】
本開示の一実施形態による貫通電極基板の製造方法において、前記基板の前記第1面の面方向において、前記配線層の前記導電層のうち前記貫通電極の前記第2部分に接続されている部分の寸法が、前記貫通電極の前記第2部分の寸法よりも小さくなっていてもよい。
【0010】
本開示の一実施形態による貫通電極基板の製造方法において、前記導電層は、前記基板の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記貫通電極の前記第2部分に重なり、且つ前記第2部分に囲われる輪郭を有する電極部を含んでいてもよい。
【0011】
本開示の一実施形態による貫通電極基板の製造方法において、前記導電層は、複数の前記電極部を含んでいてもよい。
【0012】
本開示の一実施形態による貫通電極基板の製造方法において、前記導電層は、前記基板の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記貫通電極の前記第2部分の輪郭と交差する導線部を含んでいてもよい。
【0013】
本開示の一実施形態による貫通電極基板の製造方法において、前記導電層は、複数の前記導線部を含んでいてもよい。
【0014】
本開示の一実施形態による貫通電極基板の製造方法において、前記基板は、ガラスを含んでいてもよい。
【0015】
本開示の一実施形態は、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含むとともに貫通孔が設けられた基板と、前記基板の前記貫通孔の内部に設けられた貫通電極と、を備え、前記貫通電極は、前記貫通孔の側壁に沿って広がる第1部分と、前記第1部分に接続され、前記基板の前記第1面側において前記貫通孔の側壁に接するように前記第1面の面方向において広がる第2部分と、を有し、前記貫通孔の内部において対向する前記第1部分の表面の間に中空部が存在する、貫通電極基板である。
【0016】
本開示の一実施形態による貫通電極基板において、前記貫通電極の前記第2部分が、前記基板の前記第1面と同一平面上に位置していてもよい。
【0017】
本開示の一実施形態による貫通電極基板において、前記基板の前記第1面の面方向における前記貫通孔の寸法が、前記第1面から前記第2面に向かうにつれて増加していてもよい。
【0018】
本開示の一実施形態による貫通電極基板において、前記基板は、ガラスを含んでいてもよい。
【0019】
本開示の一実施形態による貫通電極基板において、前記基板には、複数の前記貫通孔及び複数の前記貫通電極が形成されており、前記基板の前記第1面において、前記貫通電極の前記第2部分が均一に分布していてもよい。
【0020】
本開示の一実施形態による貫通電極基板は、前記基板の前記第1面側に設けられ、前記貫通電極の前記第2部分に接続された導電層を有する配線層を更に備えていてもよい。
【0021】
本開示の一実施形態による貫通電極基板において、前記基板の前記第1面の面方向において、前記配線層の前記導電層のうち前記貫通電極の前記第2部分に接続されている部分の寸法が、前記貫通電極の前記第2部分の寸法よりも小さくなっていてもよい。
【0022】
本開示の一実施形態による貫通電極基板において、前記導電層は、前記基板の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記貫通電極の前記第2部分に重なり、且つ前記第2部分に囲われる輪郭を有する電極部を含んでいてもよい。
【0023】
本開示の一実施形態による貫通電極基板において、前記導電層は、複数の前記電極部を含んでいてもよい。
【0024】
本開示の一実施形態による貫通電極基板において、前記導電層は、前記基板の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記貫通電極の前記第2部分の輪郭と交差する導線部を含んでいてもよい。
【0025】
本開示の一実施形態による貫通電極基板において、前記導電層は、複数の前記導線部を含んでいてもよい。
【0026】
本開示の一実施形態による貫通電極基板において、前記配線層は、有機材料を含む絶縁層と、無機材料を含む応力緩和層と、を更に有していてもよい。
【0027】
本開示の一実施形態による貫通電極基板において、前記配線層は、前記基板の前記第1面上に位置する前記導電層及び前記絶縁層を含む第1配線層と、前記第1配線層上に位置する前記導電層及び前記絶縁層を含む第2配線層と、を有し、前記応力緩和層は、前記基板の前記第1面と前記第1配線層の前記絶縁層との間、若しくは、前記第1配線層の前記絶縁層と前記第2配線層の前記絶縁層との間、の少なくともいずれかに位置していてもよい。
【0028】
本開示の一実施形態は、貫通電極基板と、前記貫通電極基板に搭載された素子と、を備え、前記貫通電極基板は、第1面から前記第1面の反対側に位置する第2面へ貫通する貫通孔が設けられた基板と、前記基板の前記貫通孔の内部に設けられた貫通電極と、を備え、前記貫通電極は、前記貫通孔の側壁に沿って広がる第1部分と、前記第1部分に接続され、前記基板の前記第1面側において前記貫通孔の側壁に接するように前記第1面の面方向において広がる第2部分と、を有し、前記貫通孔の内部において対向する前記第1部分の表面の間に中空部が存在し、前記貫通電極基板は、前記貫通電極の前記第2部分上に位置する電極部を更に備え、前記素子は、前記電極部に接続された端子を有する、実装基板である。
【0029】
本開示の実施形態に係る貫通電極基板によれば、基板のうち貫通孔が設けられている領域に素子を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本開示の実施の形態に係る貫通電極基板を示す平面図である。
【
図2】
図1の貫通電極基板をII-II方向から見た断面図である。
【
図3】
図2の貫通電極基板の貫通電極を拡大して示す断面図である。
【
図4】
図1の貫通電極基板が更に配線層を備える例を示す断面図である。
【
図5A】
図4に示す例における貫通電極基板の平面図である。
【
図5B】貫通電極基板のその他の例を示す平面図である。
【
図5C】貫通電極基板のその他の例を示す平面図である。
【
図6】基板にレジスト層を設ける工程を示す図である。
【
図7】基板に貫通孔を形成する工程を示す図である。
【
図8】基板の第1面側に封止層を設ける工程を示す図である。
【
図9】第2面側から基板上に第1層を設ける工程を示す図である。
【
図10】第1層上にレジスト層を設ける工程を示す図である。
【
図11】第1層上に第2層を設ける工程を示す図である。
【
図12】封止層上の第2層の厚みを増加させる工程を示す図である。
【
図13】レジスト層を除去する工程を示す図である。
【
図14】第1層の一部を除去する工程を示す図である。
【
図16】比較の形態に係る貫通電極基板の製造方法を説明する図である。
【
図17】比較の形態に係る貫通電極基板の製造方法を説明する図である。
【
図18】比較の形態に係る貫通電極基板の製造方法を説明する図である。
【
図19】本開示の実施の形態に係る貫通電極基板を備える実装基板の一例を示す断面図である。
【
図20】
図19に示す例における実装基板を示す平面図である。
【
図21】実装基板のその他の例を示す断面図である。
【
図22】第1変形例に係る貫通電極基板を示す断面図である。
【
図23】第1変形例に係る貫通電極基板を示す平面図である。
【
図24】第2変形例に係る貫通電極基板を示す断面図である。
【
図25】第2変形例に係る貫通電極基板を示す平面図である。
【
図26】第3変形例に係る貫通電極基板を示す断面図である。
【
図27】第3変形例に係る貫通電極基板を備える実装基板を示す断面図である。
【
図28】第3変形例に係る貫通電極基板の製造方法を説明する図である。
【
図29】第3変形例に係る貫通電極基板の製造方法を説明する図である。
【
図30】第3変形例に係る貫通電極基板の製造方法を説明する図である。
【
図31】第3変形例に係る貫通電極基板の製造方法を説明する図である。
【
図32】第3変形例に係る貫通電極基板の製造方法を説明する図である。
【
図33】第4変形例に係る貫通電極基板を示す断面図である。
【
図34】第5変形例に係る貫通電極基板を示す断面図である。
【
図35】第6変形例に係る貫通電極基板を示す断面図である。
【
図36】第7変形例に係る貫通電極基板を示す断面図である。
【
図37】フィルドビアを備える従来の貫通電極基板を示す図である。
【
図38】コンフォーマルビアを備える従来の貫通電極基板を示す図である。
【
図39】本開示の実施形態に係る貫通電極基板が搭載される製品の例を示す図である。
【
図40】実施例1における貫通電極基板を示す断面図である。
【
図41】比較例1における貫通電極基板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本開示の実施形態に係る貫通電極基板の構成及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本明細書において、「基板」、「基材」、「シート」や「フィルム」など用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「基板」や「基材」は、シートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。更に、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0032】
以下、
図1乃至
図15を参照して、本開示の実施の形態について説明する。
【0033】
貫通電極基板
まず、
図1及び
図2を参照して、本実施の形態に係る貫通電極基板10について説明する。
図1は、貫通電極基板10を示す平面図である。
図2は、一点鎖線に沿って切断した
図1の貫通電極基板10をII-II方向から見た断面図である。
【0034】
貫通電極基板10は、基板12、基板12に設けられた複数の貫通孔20、及び、貫通孔20の内部に設けられた貫通電極22を備える。以下、貫通電極基板10の各構成要素について説明する。
【0035】
(基板)
基板12は、第1面13及び第1面13の反対側に位置する第2面14を含む。基板12は、一定の絶縁性を有する材料から構成されている。例えば、基板12は、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、樹脂基板、シリコン基板、炭化シリコン基板、アルミナ(Al2O3)基板、窒化アルミ(AlN)基板、酸化ジリコニア(ZrO2)基板など、又は、これらの基板が積層されたものである。基板12は、アルミニウム基板、ステンレス基板など、導電性を有する材料から構成された基板を含んでいてもよい。
【0036】
基板12の厚さは特に制限はないが、例えば、100μm以上且つ800μm以下の厚さの基板12を使用することが好ましい。より好ましくは、基板12は、200μm以上且つ600μm以下の厚さを有する。基板12の厚さを100μm以上とすることにより、基板12のたわみが大きくなることを抑制できる。このため、製造工程における基板12のハンドリングが困難になったり、基板12上に形成する薄膜等の内部応力に起因して基板12が反ってしまったりすることを抑制できる。また、基板12の厚さを800μm以下とすることにより、基板12に貫通孔20を形成する工程に要する時間が長くなり、貫通電極基板10の製造コストが上昇してしまうことを抑制できる。
【0037】
(貫通孔)
貫通孔20は、基板12の第1面13から第2面14に至るよう基板12に設けられる。第1面13の面方向D1における貫通孔20の寸法S1は、基板12の厚み方向の各位置において、例えば20μm以上且つ150μm以下の範囲内である。また、面方向D1において隣接する2つの貫通孔20の間の間隔P、すなわち貫通孔20の配列ピッチは、例えば40μm以上且つ300μm以下の範囲内である。なお、第1面13の面方向D1における貫通孔の寸法S1とは、第1面13に平行な任意の平面で貫通孔20を切断した場合の、貫通孔20の開口幅の最大値である。また、面方向D1とは、第1面13に平行な方向である。なお、
図1及び
図2において、符号S11は、基板12の第1面13上における貫通孔20の寸法を表す。また、
図2において、符号S11は、基板12の第2面14上における貫通孔20の寸法を表す。
【0038】
(貫通電極)
貫通電極22は、貫通孔20の内部に設けられた、導電性を有する部材である。貫通電極22は、
図2に示すように、少なくとも第1部分23及び第2部分24を有する。第1部分23は、第1面13側から第2面14側まで至るように貫通孔20の側壁21に沿って広がる部分である。第2部分24は、第1部分23の第1面13側の端部において第1部分23に接続され、第1面13側において貫通孔20の側壁21に接するように第1面13の面方向D1において広がる部分である。
【0039】
図2に示すように、貫通電極22は、第3部分25を更に有していてもよい。第3部分25は、第1部分23の第2面14側の端部において第1部分23に接続され、且つ、第2面14上に設けられた部分である。
【0040】
図3は、
図2の貫通電極基板10の貫通電極22を拡大して示す断面図である。貫通電極22の第2部分24は、好ましくは、基板12の第1面13と同一平面上に位置している。なお、「同一平面上」とは、基板12の第1面13の法線方向における、第1面13の位置と第2部分24の外面24aの位置との差ΔHが、1μm以下であることを意味する。差ΔHは、反射式共焦点レーザ顕微鏡又は触針式段差計を用いて測定することができる。なお、
図3においては、第2部分24の外面24aが第1面13よりも外方へ突出する例を示すが、これに限られることはない。図示はしないが、差ΔHが1μm以下である限りにおいて、第2部分24の外面24aが第1面13よりも内方へ凹んでいてもよい。
【0041】
貫通電極22が導電性を有する限りにおいて、貫通電極22の形成方法は特には限定されない。例えば、貫通電極22は、蒸着法やスパッタリング法などの物理成膜法で形成されていてもよく、化学成膜法やめっき法で形成されていてもよい。また、貫通電極22は、導電性を有する単一の層から構成されていてもよく、若しくは、導電性を有する複数の層を含んでいてもよい。ここでは、
図3に示すように、貫通電極22が、導電性を有する第1層22a及び第2層22bを含む例について説明する。
【0042】
第1層22aは、いわゆるシード層であり、めっき処理によって第2層22bを形成する電解めっき工程の際に、めっき液中の金属イオンを析出させて第2層22bを成長させるための土台となる、導電性を有する層である。第1層22aの材料としては、好ましくは、基板12の材料に対する高い密着性を有する導電性材料が用いられる。例えば、第1層22aの材料として、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ニッケル、クロム、アルミニウム、これらの化合物、これらの合金など、又はこれらを積層したものを使用することができる。また、第1層22aの材料として、第2層22bが基板12の内部に拡散することを抑制する材料を使用してもよい。例えば、第2層22bが銅を含む場合、第1層22aの材料として、窒化チタン、窒化モリブデン、窒化タンタル等、又はこれらを積層したものを用いることができる。また、第1層22aの材料として、第2層22bと同一の材料を用いてもよい。例えば、第2層22bが銅を含む場合、第1層22aも銅を含んでいてもよい。第1層22aが銅を含む場合、基板12と第1層22aとの密着性を向上させるため、基板12と第1層22aとの間に、チタン又は窒化チタンなどの、基板12に対する高い密着性を有する金属材料の層を設けてもよい。また、第1層22aが十分な厚み及び導電性を有する場合、第2層22bを設けず、第1層22aが貫通電極22を構成してもよい。
【0043】
第1層22a上に第2層22bが設けられる場合、第1層22aの厚さは、例えば0.2μm以下である。第2層22bが設けられない場合、第1層22aの厚さは、例えば1μm以上且つ10μm以下である。
【0044】
第2層22bは、貫通電極22の導電性を高めるために第1層22a上に設けられる、導電性を有する層である。第2層22bの材料としては、好ましくは、第1層22aに対する高い密着性を有し、且つ高い導電性を有する導電性材料が用いられる。例えば、第2層22bの材料として、銅、金、銀、白金、ロジウム、スズ、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属又はこれらを用いた合金など、あるいはこれらを積層したものを使用することができる。第2層22bの厚さは、例えば1μm以上且つ10μm以下の範囲内である。
【0045】
第2層22bの厚みは、貫通電極22に対して求められる導電性に応じて定められる。
例えば、貫通電極22が電源ラインや接地ラインを導通させるための部材である場合、十分な厚さを有する第2層22bが用いられる。また、貫通電極22が微弱な電気信号を導通させるための部材である場合、小さな厚みを有する第2層22bを用いてもよい。又は、第2層22bを設けることなく第1層22aのみを貫通孔20に設けて貫通電極22を構成してもよい。
【0046】
貫通電極22は、貫通孔20の内部に中空部が形成されるように構成されている。中空部とは、貫通孔20の内部の領域のうち第1層22aや第2層22bなどの固体が存在しない領域のことである。言い換えると、中空部26は、
図3に示すように、貫通孔20の内部の領域のうち、貫通孔20の内部において対向する第1部分23の表面23aの間の領域である。表面23aとは、第1部分23の面のうち貫通孔20の側壁の側の面とは反対側に位置する面である。第1面13の面方向D1における中空部26の寸法S5は、例えば、基板12の厚み方向の同一の位置において測定した場合の寸法S1の20%以上且つ90%以下である。
貫通孔20の内部に中空部26が形成されるように貫通電極22を形成することにより、貫通孔20の内部が完全に貫通電極22によって充填される場合に比べて、貫通電極22の形成に要する時間を短縮することができる。
なお、図示はしないが、樹脂などの絶縁性を有する材料が中空部26に設けられていてもよい。これにより、貫通電極基板10の製造工程において中空部26に現像液や洗浄液などの処理液が浸入することを抑制することができる。
【0047】
図2に示すように、好ましくは、基板12の第1面13の面方向D1における貫通孔20の寸法S1は、第1面13から第2面14に向かうにつれて増加している。言い換えると、貫通孔20は、第1面13に向かうにつれて細くなるテーパ形状を有している。これによって、後述する封止層17を貫通電極22の第2部分24から剥がす際に第2部分24が引っ張られて第1面13側へ移動してしまうことを抑制することができる。なお、貫通孔20が全域にわたってテーパ形状を有する必要はない。貫通電極22が封止層17に引っ張られて移動することを抑制することができる限りにおいて、貫通孔20の形状として様々な形状を採用することができる。
【0048】
基板12の第1面13における貫通孔20の寸法S11は、例えば10μm以上且つ100μm以下である。また、基板12の第2面14側における貫通孔20の寸法S12は、例えば20μm以上且つ200μm以下である。
【0049】
図1に示すように、好ましくは、複数の貫通電極22の第2部分24は、基板12の第1面13において均一に分布している。例えば、面方向D1において基板12を仮想的にN等分した場合の、N個の領域に形成された貫通孔20の数が、平均値±20%の範囲内になる。ここで、Nは適切な整数であり、例えば16である。
【0050】
(配線層)
図4に示すように、貫通電極基板10は、基板12の第1面13側に設けられた配線層30を更に備えていてもよい。配線層30は、貫通電極22の第2部分24に接続された導電層31を少なくとも有する。
図4に示す例において、導電層31は、貫通電極22の第2部分24上に設けられた電極部33を含む。電極部33は、例えば、後述する素子51の端子52に接続されるバンプである。導電層31の材料としては、金属など、導電性を有する材料が用いられる。
【0051】
図5Aは、
図4に示す例の貫通電極基板10を示す平面図である。
図5Aに示すように、貫通電極22の第2部分24及び電極部33はいずれも、平面視において円形状を有する。また、電極部33は、基板12の法線方向に沿って見た場合に貫通電極22の第2部分24に重なっている。また、電極部33は、基板12の法線方向に沿って見た場合に貫通電極22の第2部分24によって囲われる輪郭を有する。例えば、第1面13の面方向D1において、電極部33の寸法S3は、第2部分24の寸法S2よりも小さい。
【0052】
図5B及び
図5Cはそれぞれ、貫通電極基板10のその他の例を示す平面図である。平面視における電極部33の形状は任意である。例えば、
図5Bに示すように、電極部33は、平面視において楕円形状を有していてもよい。この場合、楕円形状の電極部33の、長軸方向における寸法S3は、第2部分24の寸法S2よりも小さくなっていてもよい。
また、
図5Cに示すように、電極部33は、平面視において四角形状を有していてもよい。この場合、四角形状の電極部33の一辺の寸法S3は、第2部分24の寸法S2よりも小さくなっていてもよい。
平面視における貫通電極22の第2部分24の形状も任意である。
【0053】
貫通電極基板の製造方法
以下、貫通電極基板10の製造方法の一例について、
図6乃至
図15を参照して説明する。
【0054】
(第1レジスト層形成工程)
まず、基板12を準備する。次に、
図6に示すように、基板12の第2面14に第1レジスト層16を設ける。第1レジスト層16は、基板12の第2面14のうち貫通孔20が形成されない領域を覆うよう設けられる。基板12の第2面14のうち貫通孔20が形成される領域には、第1レジスト層16の開口部16aが位置する。
【0055】
(貫通孔形成工程)
その後、第1レジスト層16の開口部16aにおいて基板12を第2面14側から加工して、
図7に示すように、基板12に複数の貫通孔20を形成する。基板12を加工する方法としては、反応性イオンエッチング法、深掘り反応性イオンエッチング法などのドライエッチング法や、ウェットエッチング法などを用いることができる。続いて、第1レジスト層16を除去する。このようにして、貫通孔20が設けられた基板12を準備することができる。
【0056】
好ましくは、
図7に示すように、貫通孔20が、第2面14側から第1面13側に向かうにつれて細くなるテーパ形状を有するよう、基板12を加工する。例えば、貫通孔20は、第2面14側において約50μmの寸法S12を有し、また、第1面13側において約30μmの寸法S11を有する。
【0057】
基板12がガラスを含む場合、基板12をウェットエッチングするためのエッチング液としては、フッ化水素(HF)、フッ化アンモニウム(NH4F)とフッ化水素の混合液、いわゆるバッファードフッ酸などを用いることができる。また、基板12がシリコンを含む場合、基板12をウェットエッチングするためのエッチング液としては、水酸化カリウム(KH)、テトラメチルアンモニアハイドロオキサイド(TMAH)、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)、水和ヒドラジン(N2H4・H2O)などを用いることができる。
【0058】
ドライエッチング法としては、プラズマを用いたドライエッチングRIE(Reactive Ion Etching)法、ボッシュプロセスを用いたDRIE(Deep Reactive Ion EtchingRIE)法、サンドブラスト法等を用いることができる。
【0059】
なお、基板12にレーザを照射することによって基板12に貫通孔20を形成してもよい。この場合、第1レジスト層16は設けられていなくてもよい。レーザ加工のためのレーザとしては、エキシマレーザ、Nd:YAGレーザ、フェムト秒レーザ等を用いることができる。Nd:YAGレーザを採用する場合、波長が1064nmの基本波、波長が532nmの第2高調波、波長が355nmの第3高調波等を用いることができる。
【0060】
また、レーザ照射とウェットエッチングを適宜組み合わせることもできる。具体的には、まず、レーザ照射によって基板12のうち貫通孔20が形成されるべき領域に変質層を形成する。続いて、基板12をフッ化水素などに浸漬して、変質層をエッチングする。これによって、基板12に貫通孔20を形成することができる。
【0061】
なお、
図6及び
図7においては、基板12を第2面14側から加工して基板12に貫通孔20を形成する例を示したが、これに限られることはない。例えば、基板12を第1面13側から加工して、基板12に貫通孔20を形成してもよい。また、基板12を第1面13側及び第2面14側の両方から加工して、基板12に貫通孔20を形成してもよい。
【0062】
(封止層形成工程)
次に、
図8に示すように、基板12の第1面13に、貫通孔20を塞ぐ封止層17を設ける。封止層17は、上述の貫通電極22の第2部分24を貫通孔20の内部に成膜する際の土台となる層である。封止層17は、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂を含む基材層と、基材層に積層され、基板12の第1面13に貼り付けられる粘着層と、を含む。封止層17は、例えばダイシングテープである。
【0063】
好ましくは、封止層17の粘着層は、紫外線などの光を照射されることによって硬化する光硬化性樹脂を含む。この場合、封止層17上に貫通電極22の第2部分24を形成した後、封止層17に紫外線などの光を照射することにより、封止層17の粘着層を硬化させて封止層17を容易に基板12の第1面13から剥がすことができる。
【0064】
(電極形成工程)
次に、貫通孔20の内部に貫通電極22を形成する電極形成工程を実施する。電極形成工程においては、まず、
図9に示すように、基板12の第2面14側から、基板12の第2面14、貫通孔20の側壁21、及び封止層17のうち貫通孔20を塞ぐ部分に第1層22aを形成する。第1層22aを形成する方法としては、例えば、蒸着法やスパッタリング法などの物理成膜法や、化学成膜法などを用いることができる。
【0065】
続いて、
図10に示すように、基板12の第2面14上の第1層22aに部分的に第2レジスト層18を形成する。具体的には、第2面14のうち貫通電極22の第3部分25が設けられない領域が第2レジスト層18によって覆われるよう、第2レジスト層18を形成する。
【0066】
続いて、
図11に示すように、電解めっきにより、第1層22a上に第2層22bを形成する。具体的には、基板12の第2面14側からめっき液を供給し、また、第1層22aに通電する。これによって、側壁21上、封止層17上、及び第2面14上に、封止層17に沿って広がる第1層22a及び第2層22bを形成することができる。第1層22a及び第2層22bのうち、側壁21に沿って延びる部分が、貫通電極22の第1部分23になり、封止層17に沿って広がる部分が、貫通電極22の第2部分24になり、第2面14に沿って広がる部分が、第3部分25となる。好ましくは、
図12に示すように、封止層17に形成される第1層22a及び第2層22bの厚みT2が、貫通孔20の側壁21に形成される第1層22a及び第2層22bの厚みT1よりも大きくなるまで、電解めっきを継続する。例えば、厚みT2は、厚みT1よりも少なくとも1μm大きい。
【0067】
続いて、
図13に示すように、第2レジスト層18を除去する。次に、
図14に示すように、第2レジスト層18によって覆われていた第1層22aを除去する。その後、
図15に示すように、封止層17を除去する。例えば、まず、封止層17に紫外線を照射し、封止層17の粘着層の粘着力を低下させる。次に、封止層17を基板12から剥がす。このようにして、第1層22a及び第2層22bを含む貫通電極22を形成することができる。貫通電極22は、貫通孔20の側壁21に沿って延びる第1部分23と、第1部分23に接続され、基板12の第1面13側において貫通孔20の側壁21に接するように第1面13の面方向D1において広がる第2部分24と、第1部分23に接続され、第2面14上に設けられた第3部分25と、を有する。
なお、上述の説明では、貫通電極22の第1部分23、第2部分24及び第3部分25を同時に形成する例を示したが、これに限られることはない。例えば、図示はしないが、第2部分24、第1部分23、第3部分25を順に形成してもよい。若しくは、第2部分24を形成した後、第1部分23及び第3部分25を同時に形成してもよい。この場合、第2部分24を形成する工程と第1部分23を形成する工程との間に、封止層17を除去する工程を実施してもよい。また、第2部分24及び第1部分23を同時に形成した後、第3部分25を形成してもよい。
【0068】
以下、本実施の形態による上述の貫通電極基板10の製造方法の利点について説明する。
【0069】
本実施の形態によれば、貫通孔20を封止層17で塞いだ状態で、貫通孔20の内部に貫通電極22を形成する。このため、貫通孔20の内部に中空部が存在する、いわゆるコンフォーマルビアを採用する場合であっても、貫通孔20と重なる領域に、基板12の第1面13と同一平面上に位置する貫通電極22の第2部分24を設けることができる。これによって、貫通孔20と重なる領域において貫通電極22と配線層30の導電層31とを接続することができる。従って、基板12の第1面13上に、配線層30の導電層31との接続のための領域を確保する必要がないので、隣接する2つの貫通孔20の間の間隔Pを小さくすることができる。このことにより、貫通電極基板10の貫通孔20の分布密度を高くすることができる。また、コンフォーマルビアを採用することにより、フィルドビアの場合に比べて、貫通電極22の形成工程に要する時間を短縮することができる。
【0070】
比較の形態における貫通電極基板の製造方法
ところで、第1部分23及び第2部分24を有する貫通電極22を形成する方法としては、上述の本実施の形態による方法の他にも、下記の比較の形態による方法が考えられる。以下、比較の形態による貫通電極基板10の製造方法について、
図16乃至
図18を参照して説明する。
【0071】
まず、
図16に示すように、基板12の第1面13上に導電層71を設ける。具体的には、基板12に後に形成される貫通孔20を覆うように、導電層71を設ける。次に、
図17に示すように、基板12に第2面14側から貫通孔20を形成する。例えば、ドライエッチング、ウェットエッチング、レーザ照射などによって基板12を加工して貫通孔20を形成する。その後、
図18に示すように、貫通孔20の内部に、導電層71に接続される貫通電極22を形成する。
【0072】
比較の形態においては、上述のように、基板12の第1面13側に導電層71を設けた後に、基板12の第2面14側から貫通孔20を形成する。この場合、基板12の加工が基板12の第1面13を超えて導電層71にまで進行すると、
図17に示すように、導電層71に窪み71aが形成される。このため、比較の形態においては、窪み71aが導電層71を貫通しないように、導電層71の厚みを十分に大きくする必要があり、この結果、貫通電極基板10全体の厚みが大きくなってしまう。また、導電層71の厚みが大きくなると、導電層71の内部の残留応力に起因して貫通電極基板10に反りが生じやすくなる。また、ドライエッチング、ウェットエッチングによって貫通孔20を形成する場合、エッチングガスやエッチング液が導電層71の窪み71aに残留していると、導電層71が腐食し易くなる。この結果、導電層71と貫通電極22との間の接続の信頼性が低下してしまう。
【0073】
また、基板12を第2面14側から加工して基板12に貫通孔20を形成する工程においては、製造公差に起因して貫通孔20の位置や寸法が設計からずれることがある。貫通孔20の位置や寸法が設計からずれた場合であっても、貫通孔20が導電層71によって覆われるようにするためには、基板12の第1面13の面方向における導電層71の寸法を、少なくとも製造公差の分だけ、貫通孔20や貫通電極22の第2部分24の寸法よりも大きくする必要がある。従って、導電層71は、貫通孔20とは重ならない部分にまで広がっている。この場合、隣接する2つの貫通孔20の間の間隔は、導電層71のうち貫通孔20とは重ならない部分にまで広がる部分を考慮して設定される。このため、比較の形態においては、貫通電極基板10の貫通孔20の分布密度を高くすることが容易ではない。
【0074】
これに対して、本実施の形態においては、貫通電極22の第2部分24を形成した後に、第2部分24上に配線層30の導電層31を形成する。また、第2部分24は、封止層17の面上に形成されるので、第2部分24の外面24aは、封止層17の面と同等の平坦性を有している。このため、導電層31の厚みが小さい場合であっても、導電層31と貫通電極22の第2部分24との間の接続の信頼性を確保することができる。従って、貫通電極基板10全体の厚みを小さくすることができる。また、導電層31の内部の残留応力に起因して貫通電極基板10に反りが生じることを抑制することができる。
【0075】
また、本実施の形態によれば、第2部分24の外面24aに配線層30の導電層31を形成するので、基板12の第1面13の面方向における導電層31の寸法S3を、第2部分24の寸法よりも小さくすることができる。このため、隣接する2つの貫通孔20の間の間隔Pを小さくすることができる。このことにより、貫通電極基板10の貫通孔20の分布密度を高くすることができる。
【0076】
実装基板
以下、本実施の形態による貫通電極基板10の用途の例について説明する。ここでは、貫通電極基板10に素子51を搭載して実装基板50を構成する例について説明する。
【0077】
図19は、実装基板50を示す断面図であり、
図20は、
図19に示す例における実装基板50を示す平面図である。実装基板50は、貫通電極基板10と、基板12の第1面13側において貫通電極基板10に搭載された素子51と、を備える。素子51は、ロジックICやメモリICなどのLSIチップである。また、素子51は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)チップであってもよい。MEMSチップとは、機械要素部品、センサ、アクチュエータ、電子回路などが1つの基板上に集積化された電子デバイスである。
図19に示すように、素子51は、貫通電極基板10の配線層30の電極部33に接続された端子52を有する。
【0078】
図21に示すように、実装基板50は、基板12の第2面14側において貫通電極基板10に接続された回路基板55を更に備えていてもよい。この場合、実装基板50の貫通電極基板10は、貫通電極22の第3部分25に設けられた電極部38を更に有する。また、回路基板55は、基材56と、基材56に設けられ、貫通電極基板10の電極部38に接続された電極部57と、を有する。
【0079】
回路基板55の基材56は、例えば、ポリイミド、エポキシ、アクリルなどの有機材料を含む。この場合、基材56に何らかの熱処理が施されると、熱膨張に起因して基材56に内部応力が発生することが考えられる。ここで本実施の形態によれば、貫通電極基板10の基板12が、ガラスやシリコンなどの高い剛性を有する材料を含むことにより、基材56の内部応力の影響が、貫通電極基板10の第1面13側に搭載された素子51や配線層30にまで及ぶことを抑制することができる。このため、貫通電極基板10と素子51との間の接続の信頼性を確保することができる。
【0080】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0081】
(第1変形例)
図22は、第1変形例に係る貫通電極基板10を示す断面図である。また、
図23は、第1変形例に係る貫通電極基板10を基板12の第1面13側から見た場合を示す平面図である。
図22及び
図23に示すように、配線層30の導電層31は、貫通電極22の第2部分24に設けられた複数の電極部33を含んでいてもよい。貫通電極基板10の貫通電極22の第2部分24を形成した後に、配線層30の導電層31を形成するので、第2部分24上の導電層31の電極部33を複数に分割することが可能になる。
【0082】
(第2変形例)
図24は、第2変形例に係る貫通電極基板10を示す断面図である。また、
図25は、第2変形例に係る貫通電極基板10を基板12の第1面13側から見た場合を示す平面図である。
図24及び
図25に示すように、配線層30の導電層31は、基板12の第1面13の法線方向に沿って見た場合に貫通電極22の第2部分24の輪郭と交差する導線部34を含む。
図25に示すように、第1面13の面方向D1において、第2部分24上に位置する導線部34の寸法S4は、第2部分24の寸法S2よりも小さい。なお、導線部34の寸法S4は、第2部分24上に位置する導線部34が延びる方向D2に直交する方向において測定される。
【0083】
上述のとおり、貫通電極基板10の貫通電極22の第2部分24は、基板12の第1面13と同一平面上に位置している。言い換えると、第2部分24の外面24aと基板12の第1面13との間には、段差がほとんど存在しない。このため、本変形例のように第2部分24及び第1面13に跨るように導線部34が延びる場合であっても、段差に起因して導線部34の一部に応力が集中することを抑制することができ、導線部34が断線してしまうことを抑制することができる。従って、導線部34の信頼性を確保することができる。また、導線部34の厚みを小さくすることができるので、貫通電極基板10全体の厚みを小さくすることができる。
【0084】
(第3変形例)
図26は、第3変形例に係る貫通電極基板10を示す断面図である。
図26に示すように、基板12の第1面13側に設けられる配線層30は、導電層31に加えて絶縁層36を更に有していてもよい。絶縁層36は、絶縁性を有する有機材料を含んでおり、例えばポリイミドを含んでいる。この場合、導電層31は、例えば、絶縁層36を貫通する貫通電極として機能する電極部33、及び、絶縁層36によって覆われる導線部34を含む。
【0085】
図26に示すように、配線層30は、導電層31及び絶縁層36を含む層を複数有していてもよい。例えば、配線層30は、基板12の第1面13上に設けられた導電層31及び絶縁層36を含む第1配線層41と、第1配線層41上に設けられた導電層31及び絶縁層36を含む第2配線層42と、を有する。
【0086】
図26に示すように、配線層30のうち最も表面に位置する層、ここでは第2配線層42は、電極部33上に設けられた被覆層35を更に含んでいてもよい。被覆層35は、耐食性を有する導電性材料を含み、例えば金を含む。また、被覆層35は、複数の層を含んでいてもよい。例えば、被覆層35は、最表面に位置する金の層と、金の層と電極部33との間に配置されたニッケルの層と、を含んでいてもよい。
【0087】
図27に示すように、
図26に示す配線層30に素子51を搭載して実装基板50を構成してもよい。上述の被覆層35は、素子51の端子52に接続されるパッドとして機能する。なお、図示はしないが、被覆層35が設けられていなくてもよい。この場合であっても、素子51の端子52を配線層30の第2配線層42の電極部33に接続することにより、実装基板50を構成することができる。
【0088】
以下、
図28乃至
図32を参照して、本変形例による配線層30の製造方法の一例について説明する。
【0089】
まず、上述の本実施の形態による貫通電極基板10を準備する。次に、
図28に示すように、貫通電極基板10の貫通電極22の第2部分24に電極部33を形成する。また、貫通電極基板10の基板12の第1面13に導線部34を形成する。
【0090】
電極部33及び導線部34を形成する方法としては、例えば、貫通電極基板10の貫通電極22を形成する方法と同一の方法を採用することができる。例えば、シード層として機能する第1層の形成、レジスト層の形成、電解めっき処理による第2層の形成、レジスト層の除去、及び第1層の除去を順に実施する。この場合、電極部33及び導線部34はそれぞれ、導電性を有し、シード層として機能する第1層と、導電性を有し、電解めっき工程によって第1層上に形成される第2層と、を含む。シード層として機能する第1層と、貫通電極22又は基板12との間には、チタン又は窒化チタンなどの、貫通電極22又は基板12に対する高い密着性を有する金属材料の層を設けてもよい。
【0091】
なお、上述の本実施の形態による貫通電極基板10においては、第2部分24の外面24aと基板12の第1面13との間に、段差がほとんど存在しない。このため、電極部33及び導線部34の上述の第1層など、第2部分24の外面24a及び基板12の第1面13に設けられる導電層31の厚みが小さい場合であっても、段差に起因して導電層31が断線することを抑制することができる。
【0092】
次に、電極部33及び導線部34を覆うよう、基板12の第1面13上に、感光性及び絶縁性を有する有機材料の層を設ける。その後、有機材料の層のうち電極部33上の部分が除去されるよう、有機材料の層を露光して現像する。これによって、
図29に示すように、貫通電極22上の電極部33を露出させる開口部36aを有するとともに導線部34を覆う絶縁層36を形成することができる。
【0093】
次に、
図30に示すように、電極部33上に更に電極部33を形成し、また、絶縁層36上に導線部34を形成する。例えば、基板12上の電極部33及び導線部34を形成する場合と同様に、シード層として機能する第1層の形成、レジスト層の形成、電解めっき処理による第2層の形成、レジスト層の除去、及び第1層の除去を順に実施する。
【0094】
次に、
図31に示すように、貫通電極22上の電極部33を露出させるとともに導線部34を覆う絶縁層36を形成する。続いて、
図32に示すように、電極部33が絶縁層36の表面から突出するよう、既に設けられている電極部33上に更に電極部33を形成する。このようにして、絶縁層36を貫通する電極部33と、絶縁層36によって覆われた導線部34と、を含む配線層30を形成することができる。
【0095】
(第4変形例)
図33は、第4変形例に係る貫通電極基板10を示す断面図である。
図33に示すように、1つの貫通電極22の第2部分24に対して、配線層30の絶縁層36を貫通する複数の電極部33が接続されていてもよい。貫通電極基板10の貫通電極22の第2部分24を形成した後に、配線層30の導電層31を形成するので、第2部分24上の導電層31の電極部33を複数に分割することが可能になる。
【0096】
(第5変形例)
図34は、第5変形例に係る貫通電極基板10を示す断面図である。
図34に示すように、基板12の第1面13側に設けられる配線層30は、基板12と絶縁層36との間に配置される応力緩和層37を更に有していてもよい。応力緩和層37は、絶縁層36の内部応力を緩和するための層である。応力緩和層37は、絶縁性を有する無機材料を含む。
例えば、応力緩和層37は、酸化珪素や酸化窒素などの窒素化合物を含む。
【0097】
以下、応力緩和層37を設けることの利点について説明する。配線層30の絶縁層36は、有機材料を含んでいる。このような絶縁層36を、ガラスを含む基板12に設けると、絶縁層36には、基板12を引っ張るように作用する内部応力が発生しやすい。以下、このような内部応力を、引張性応力と称する。引張性応力が大きくなると、基板12が沿ってしまうことが考えられる。
【0098】
一方、無機材料を含む応力緩和層37には、基板12を圧縮するように作用する内部応力が発生しやすい。以下、このような内部応力を、圧縮性応力と称する。本変形例によれば、基板12と絶縁層36との間に応力緩和層37を設けることにより、絶縁層36の引張性応力を緩和することができる。このため、基板12に反りが生じてしまうことを抑制することができる。
図34においては、基板12と第1配線層41の絶縁層36との間に応力緩和層37を設ける例を示した。しかしながら、応力緩和層37の具体的な位置は特には限定されない。
例えば、第1配線層41の絶縁層36と第2配線層42の絶縁層36との間に応力緩和層37が位置していてもよい。この場合、基板12と第1配線層41の絶縁層36との間にも更なる応力緩和層37が存在していてもよく、若しくは、基板12と第1配線層41の絶縁層36との間には応力緩和層37が存在していなくてもよい。
【0099】
絶縁層36の厚み及び応力緩和層37の厚みは、互いの応力を適切に打ち消し合うことができるよう設定される。例えば、絶縁層36が、ポリイミド、エポキシ、アクリルなどの、絶縁性を有する有機材料を含み、5μm且つ20μm以下の厚みを有する場合、応力緩和層37は、ケイ素化合物などの絶縁材料を含み、1μm且つ5μm以下の厚みを有する。ケイ素化合物の例としては、SiO2、SiN、SiOC、SiC、SiOF、SiON、SiCNなどを挙げることができる。
【0100】
(第6変形例)
上述の実施の形態においては、貫通孔20の側壁21が、断面図において直線的な形状を有する例を示した。しかしながら、第1部分23及び第2部分24を含む貫通電極22を設けることができる限りにおいて、貫通孔20の形状が特に限られることはない。例えば、
図35に示すように、貫通孔20の側壁21は、断面図において湾曲した形状を有していてもよい。
【0101】
(第7変形例)
上述の実施の形態においては、貫通電極22が、貫通孔20の側壁21に沿って広がる第1部分23、及び、第1面13側において貫通孔20の側壁21に接するように第1面13の面方向D1において広がる第2部分24に加えて、第2面14上に設けられた第3部分25を有する例を示した。しかしながら、
図36に示すように、貫通電極22は、第1部分23及び第2部分24を少なくとも有していればよい。
【0102】
〔貫通電極基板が搭載される製品の例〕
図39は、本開示の実施形態に係る貫通電極基板10が搭載されることができる製品の例を示す図である。本開示の実施形態に係る貫通電極基板10は、様々な製品において利用され得る。例えば、ノート型パーソナルコンピュータ110、タブレット端末120、携帯電話130、スマートフォン140、デジタルビデオカメラ150、デジタルカメラ160、デジタル時計170、サーバ180等に搭載される。
【実施例0103】
次に、本開示を実施例により更に具体的に説明するが、本開示はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0104】
(実施例1)
まず、上述の本開示の実施形態に係る貫通電極基板10の製造方法に基づいて、
図40に示す貫通電極基板10を作製した。貫通電極基板10は、貫通孔20が設けられた基板12と、貫通孔20の内部に設けられ、第1部分23、第2部分24及び第3部分25を含む貫通電極22と、基板12の第1面13側に設けられ、貫通電極22の第2部分24に接続された電極部33を含む配線層30と、を備える。配線層30は、基板12の第1面13側に設けられ、電極部33に対応する開口部が形成された絶縁層36と、絶縁層36上に設けられ、隣り合う2つの貫通孔20の貫通電極22の第2部分24上の電極部33を絶縁層36の開口部を介して接続する導線部34と、を有する。
【0105】
隣接する2つの貫通孔20の貫通電極22の間を通電させた状態で、温度サイクル試験を1000サイクル実施した。1サイクルは、貫通電極基板10の周囲温度を-45℃から125℃へ上昇させる工程と、周囲温度を125℃で維持する工程と、周囲温度を125℃から-45℃へ降下させる工程と、周囲温度を-45℃で維持する工程と、を含む。1サイクルの所要時間は、40分である。
【0106】
温度サイクル試験を1000サイクル実施した後、通電不良が生じているか否かを検査した。結果、全ての検査箇所において、通電不良が生じていないことを確認した。
【0107】
(比較例1)
まず、上述の比較の形態に係る貫通電極基板70の製造方法に基づいて、
図41に示す貫通電極基板70を作製した。貫通電極基板70は、貫通孔20が設けられた基板12と、貫通孔20の内部に設けられ、第1部分23、第2部分24及び第3部分25を含む貫通電極22と、基板12の第1面13側に設けられ、貫通電極22の第2部分24に接続された導電層71を含む配線層80と、を備える。配線層80は、基板12の第1面13側に設けられ、導電層71に対応する開口部が形成された絶縁層36と、絶縁層36上に設けられ、隣り合う2つの貫通孔20の貫通電極22の第2部分24上の導電層71を絶縁層36の開口部を介して接続する導線部34と、を有する。
【0108】
上述の実施例1の場合と同様にして、温度サイクル試験を1000サイクル実施した。結果、80%の検査箇所において、通電不良が生じていた。比較例1においては、導電層71に窪み71aが生じ、窪み71aの腐食によって導電層71と貫通電極22の第2部分24との間の電気的な接続が不安定になり、通電不良が生じていたと考えられる。