(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179626
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】バルク弾性波デバイスにおける多層隆起フレーム
(51)【国際特許分類】
H03H 9/17 20060101AFI20231212BHJP
H03H 9/54 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H03H9/17 F
H03H9/54 Z
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023173371
(22)【出願日】2023-10-05
(62)【分割の表示】P 2019170536の分割
【原出願日】2019-09-19
(31)【優先権主張番号】62/735,523
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/760,470
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519331291
【氏名又は名称】スカイワークス グローバル プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】シン、 ガン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】リウ、 ジエンソン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多層隆起フレーム構造物を含む低損失バルク弾性波デバイス(FBAR)並びに関連するフィルタ、マルチプレクサ、パッケージ状モジュール、無線通信デバイス及び方法を提供する。
【解決手段】二重隆起フレームバルク弾性波デバイス20において、多層隆起フレーム構造物は、第1電極21と第2電極22の間に位置決めされた第1隆起フレーム層23と、第2隆起フレーム層24と、を含む。第1隆起フレーム層23は、第1電極21よりも低い音響インピーダンスを有する。第1隆起フレーム層23と第2隆起フレーム層24とは、バルク弾性波デバイス20のアクティブ領域において重なる。アクティブ領域は、圧電層16の、第1電極21及び第2電極22双方と重なる部分によって画定される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク弾性波デバイスであって、
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に位置決めされた圧電層と、
前記バルク弾性波デバイスのアクティブ領域の中間エリアの外側にある多層隆起フレーム
構造物と
を含み、
前記多層隆起フレーム構造物は、第1隆起フレーム層及び第2隆起フレーム層を含み、
前記第1隆起フレーム層は、前記第1電極と前記第2電極との間に位置決めされ、
前記第1隆起フレーム層は、前記第1電極よりも低い音響インピーダンスを有し、
前記第2隆起フレーム層は、前記アクティブ領域において前記第1隆起フレーム層と重な
る、バルク弾性波デバイス。
【請求項2】
前記第1隆起フレーム層は、隆起フレームモードの周波数を、前記バルク弾性波デバイス
の主要共振周波数から離れるように移動させるべく構成される、請求項1のバルク弾性波
デバイス。
【請求項3】
前記多層隆起フレーム構造物は、前記アクティブ領域から前記バルク弾性波デバイスのパ
ッシブ領域への横方向エネルギー漏洩をブロックするべく構成される、請求項1のバルク
弾性波デバイス。
【請求項4】
前記第1隆起フレーム層の音響インピーダンスは、前記圧電層の音響インピーダンスより
も低い、請求項1のバルク弾性波デバイス。
【請求項5】
前記第1隆起フレーム層は二酸化ケイ素層である、請求項1のバルク弾性波デバイス。
【請求項6】
前記第1電極は、モリブデン、タングステン、ルテニウム、白金又はイリジウムの少なく
とも一つを含む、請求項1のバルク弾性波デバイス。
【請求項7】
前記第1隆起フレーム層は、前記圧電層と前記第1電極との間に位置決めされる、請求項
1のバルク弾性波デバイス。
【請求項8】
前記第1隆起フレーム層は、前記バルク弾性波デバイスの隆起フレームドメインにおいて
前記アクティブドメインのエッジに沿って配置される、請求項1のバルク弾性波デバイス
。
【請求項9】
前記バルク弾性波デバイスはさらに、前記隆起フレームドメインと前記中間エリアとの間
に陥凹フレームドメインを含む、請求項8のバルク弾性波デバイス。
【請求項10】
前記第2隆起フレーム層と前記圧電層とは、前記第2電極の対向側に配置され、
前記第1隆起フレーム層は、前記圧電層と前記第2電極との間に位置決めされる、請求項
1のバルク弾性波デバイス。
【請求項11】
前記第2隆起フレーム層は前記圧電層よりも高い密度を有する、請求項1のバルク弾性波
デバイス。
【請求項12】
前記第2隆起フレーム層は、前記第2電極と同じ材料を含む、請求項1のバルク弾性波デ
バイス。
【請求項13】
エアキャビティをさらに含み、
前記エアキャビティと前記圧電層とは前記第1電極の対向側に存在する、請求項1のバル
ク弾性波デバイス。
【請求項14】
音響ブラッグ反射器をさらに含み、
前記音響ブラッグ反射器と前記圧電層とは前記第1電極の対向側に存在する、請求項1の
バルク弾性波デバイス。
【請求項15】
マルチプレクサであって、
第1通過帯域を有する第1フィルタと、
第2通過帯域を有する第2フィルタと
を含み、
前記第1フィルタはバルク弾性波デバイスを含み、
前記バルク弾性波デバイスは、前記バルク弾性波デバイスのアクティブ領域の中間エリア
の外側にある多層隆起フレーム構造物を含み、
前記多層隆起フレーム構造物は、第1隆起フレーム層及び第2隆起フレーム層を含み、
前記第1隆起フレーム層は、電極と圧電層との間に位置決めされ、
前記第1隆起フレーム層は、前記電極よりも低い音響インピーダンスを有し、
前記第2隆起フレーム層は、前記アクティブ領域において前記第1隆起フレーム層と重な
り、
前記第2フィルタは、共通ノードにおいて前記第1フィルタに結合され、
前記多層隆起フレーム構造物は、前記バルク弾性波デバイスの隆起フレームモードを前記
第2通過帯域から離れるように移動させるべく構成される、マルチプレクサ。
【請求項16】
前記共通ノードは、少なくとも前記第1通過帯域に関連付けられた第1キャリアと前記第
2通過帯域に関連付けられた第2キャリアとを含むキャリアアグリゲーション信号を受信
するべく構成される、請求項15のマルチプレクサ。
【請求項17】
前記多層隆起フレームモードは、前記第2通過帯域における前記第1フィルタの反射係数
を増加させるように構成される、請求項15のマルチプレクサ。
【請求項18】
前記第1弾性フィルタはさらに、第2バルク弾性波デバイスを含み、
前記第2バルク弾性波デバイスは、前記第2バルク弾性波デバイスのアクティブ領域の中
間エリアの外側にある第2多層隆起フレーム構造物を含む、請求項15のマルチプレクサ
。
【請求項19】
前記第1隆起フレーム層の音響インピーダンスは、前記圧電層の音響インピーダンスより
も低い、請求項15のマルチプレクサ。
【請求項20】
パッケージ状モジュールであって、
パッケージ基板と、
前記パッケージ基板上において無線周波数信号をフィルタリングするべく構成された弾性
波フィルタと、
前記弾性波フィルタに電気的に結合されて前記パッケージ基板上に位置決めされた無線周
波数コンポーネントと
を含み、
前記弾性波フィルタはバルク弾性波デバイスを含み、
前記バルク弾性波デバイスは、前記バルク弾性波デバイスのアクティブ領域の中間エリア
の外側にある多層隆起フレーム構造物を含み、
前記多層隆起フレーム構造物は、第1隆起フレーム層及び第2隆起フレーム層を含み、
前記第1隆起フレーム層は、電極と圧電層との間に位置決めされ、
前記第1隆起フレーム層は、前記電極よりも低い音響インピーダンスを有し、
前記第2隆起フレーム層は、前記アクティブ領域において前記第1隆起フレーム層と重な
り、
前記弾性波フィルタ及び前記無線周波数コンポーネントは共通パッケージ内に封入される
、パッケージ状モジュール。
【請求項21】
前記無線周波数コンポーネントは、無線周波数増幅器又は無線周波数スイッチの少なくと
も一方を含む、請求項20のパッケージ状モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願の相互参照
本願は、2018年9月24日に出願された「バルク弾性波デバイスにおける多層隆起
フレーム」との名称の米国仮特許出願第62/735,523号の優先権の利益を主張す
るとともに、2018年11月11日に出願された「バルク弾性波デバイスにおける多層
隆起フレーム」との名称の米国仮特許出願第62/760,470号の優先権の利益を主
張する。これらそれぞれの開示は、全体がここに参照により組み入れられる。
【0002】
本開示の実施形態は、弾性波デバイスに関し、詳しくはバルク弾性波デバイスに関する
。
【背景技術】
【0003】
無線周波数電子システムには弾性波フィルタを実装することができる。例えば、携帯電
話機の無線周波数フロントエンドにおけるフィルタは、一つ以上の弾性波フィルタを含み
得る。複数の弾性波フィルタを、マルチプレクサとして配列することができる。例えば、
2つの弾性波フィルタをデュプレクサとして配列することができる。
【0004】
弾性波フィルタは、無線周波数信号をフィルタリングするべく配列された複数の共振器
を含み得る。複数例の弾性波フィルタには、弾性表面波(SAW)フィルタ及びバルク弾
性波(BAW)フィルタが含まれる。BAWフィルタはBAW共振器を含む。複数例のB
AW共振器が、薄膜バルク弾性波共振器(FBAR)及びソリッドマウント共振器(SM
R)を含む。BAW共振器において、弾性波は、圧電層のバルクの中を伝播する。
【0005】
高性能BAWフィルタに対し、低挿入損失かつ低ガンマ損失が一般に望ましい。しかし
ながら、所望レベルの挿入損失及びガンマ損失を達成することは難しい。
【発明の概要】
【0006】
特許請求の範囲に記載のイノベーションはそれぞれが、いくつかの側面を有し、その単
独の一つのみが、その所望の属性に対して関与するわけではない。特許請求の範囲を制限
することなく、本開示のいくつかの卓越した特徴の概要が以下に記載される。
【0007】
本開示の一つの側面は、第1電極と、第2電極と、当該第1電極と第2電極との間に位
置決めされた圧電層と、多層隆起フレーム構造物とを含むバルク弾性波デバイスであり、
当該多層隆起フレーム構造物は当該バルク弾性波デバイスのアクティブ領域の中間エリア
の外側にある。多層隆起フレーム構造物は、第1隆起フレーム層及び第2隆起フレーム層
を含む。第1隆起フレーム層は、第1電極と第2電極との間に位置決めされる。第1隆起
フレーム層は、第1電極よりも低い音響インピーダンスを有する。第2隆起フレーム層は
、アクティブ領域において第1隆起フレーム層と重なる。
【0008】
第1隆起フレーム層は、隆起フレームモードの周波数を、バルク弾性波デバイスの主要
共振周波数から離れるように移動させることができる。第1隆起フレーム層の音響インピ
ーダンスは、圧電層の音響インピーダンスよりも低くてよい。第1隆起フレーム層は二酸
化ケイ素層としてよい。第1隆起フレーム層は、圧電層と第1電極との間に位置決めして
よい。第1隆起フレーム層は、アクティブドメインのエッジに沿ったバルク弾性波デバイ
スの隆起フレームドメインに配置してよい。バルク弾性波デバイスはさらに、隆起フレー
ムドメインと中間エリアとの間に陥凹フレームドメインを含んでよい。
【0009】
多層隆起フレーム構造物は、バルク弾性波デバイスのアクティブ領域からパッシブ領域
への横方向エネルギー漏洩をブロックすることができる。
【0010】
第1電極はモリブデンを含み得る。第1電極はタングステンを含み得る。第1電極はル
テニウムを含み得る。第1電極は白金を含み得る。第1電極はイリジウムを含み得る。第
1電極は、モリブデン、タングステン、ルテニウム、白金及び/又はイリジウムの任意の
適切な合金を含み得る。
【0011】
第2隆起フレーム層と圧電層とは、第2電極の対向側に配置することができる。第1隆
起フレーム層は、圧電層と第2電極との間に位置決めしてよい。第2隆起フレーム層は、
圧電層よりも高い密度を有してよい。第2隆起フレーム層は、第2電極と同じ材料を含む
。第2隆起フレーム層はまた、第1電極と同じ材料を含んでよい。
【0012】
バルク弾性波デバイスは、多層隆起フレーム層を覆うパッシベーション層を含んでよい
。バルク弾性波デバイスは、多層隆起フレーム層を覆う二酸化ケイ素層を含んでよい。
【0013】
バルク弾性波デバイスは、エアキャビティを含んでよい。ここで、エアキャビティと圧
電層とは、第1電極の対向側に存在する。
【0014】
バルク弾性波デバイスは、音響ブラッグ反射器を含んでよい。ここで、音響ブラッグ反
射器と圧電層とは第1電極の対向側に存在する。
【0015】
本開示の他側面は、第1通過帯域を有する第1フィルタと第2通過帯域を有する第2フ
ィルタとを含むマルチプレクサである。第1フィルタはバルク弾性波デバイスを含む。バ
ルク弾性波デバイスは、バルク弾性波デバイスのアクティブ領域の中間エリアの外側に多
層隆起フレーム構造物を含む。多層隆起フレーム構造物は、第1隆起フレーム層及び第2
隆起フレーム層を含む。第1隆起フレーム層は、電極と圧電層との間に位置決めされる。
第1隆起フレーム層は、第1電極よりも低い音響インピーダンスを有する。第2隆起フレ
ーム層は、アクティブ領域において第1隆起フレーム層と重なる。第2フィルタは、共通
ノードにおいて第1弾性波フィルタに結合される。多層隆起フレーム構造物は、バルク弾
性波デバイスの隆起フレームモードを、第2通過帯域から移動させるべく構成される。
【0016】
第1隆起フレーム層の音響インピーダンスは、圧電層の音響インピーダンスよりも低く
てよい。第1弾性フィルタはさらに、第2バルク弾性波デバイスを含む。ここで、第2バ
ルク弾性波デバイスは、第2バルク弾性波デバイスのアクティブ領域の中間エリアの外側
に第2多層隆起フレーム構造物を含む。
【0017】
第2フィルタは弾性波フィルタとしてよい。マルチプレクサは、共通ノードに結合され
た一つ以上の付加フィルタを含んでよい。
【0018】
共通ノードは、少なくとも第1通過帯域に関連付けられた第1キャリア及び第2通過帯
域に関連付けられた第2キャリアを含むキャリアアグリゲーション信号を受信することが
できる。
【0019】
多層隆起フレームモードにより、第2通過帯域における第1弾性波フィルタの反射係数
が増加し得る。
【0020】
本開示の他側面は、パッケージ基板と、当該パッケージ基板上にあって無線周波数信号
をフィルタリングするべく構成された弾性波フィルタと、当該弾性波フィルタに電気的に
結合されて当該パッケージ基板上に位置決めされた無線周波数コンポーネントとを含むパ
ッケージ状モジュールである。弾性波フィルタ及び無線周波数コンポーネントは、共通パ
ッケージの中に封入される。弾性波フィルタはバルク弾性波デバイスを含む。バルク弾性
波デバイスは、バルク弾性波デバイスのアクティブ領域の中間エリアの外側に多層隆起フ
レーム構造物を含む。多層隆起フレーム構造物は、第1隆起フレーム層及び第2隆起フレ
ーム層を含む。第1隆起フレーム層は、電極と圧電層との間に位置決めされる。第1隆起
フレーム層は、第1電極よりも低い音響インピーダンスを有する。第2隆起フレーム層は
、アクティブ領域において第1隆起フレーム層と重なる。
【0021】
無線周波数コンポーネントは、電力増幅器又は低雑音増幅器のような無線周波数増幅器
を含み得る。無線周波数コンポーネントは無線周波数スイッチを含み得る。
【0022】
本開示の他の側面は、第1電極と、第2電極と、当該第1電極と第2電極との間に位置
決めされた圧電層と、多層隆起フレーム構造物とを含むバルク弾性波デバイスであり、当
該多層隆起フレーム構造物は当該バルク弾性波デバイスのアクティブ領域の中間エリアの
外側にある。多層隆起フレーム構造物は、第1隆起フレーム層及び第2隆起フレーム層を
含む。第1隆起フレーム層は、第1電極と第2電極との間に位置決めされる。第1隆起フ
レーム層は、圧電層よりも低い音響インピーダンスを有する。第2隆起フレーム層は、ア
クティブ領域において第1隆起フレーム層と重なる。
【0023】
第1隆起フレーム層は、隆起フレームモードの周波数を、バルク弾性波デバイスの主要
共振周波数から離れるように移動させることができる。第1隆起フレーム層は二酸化ケイ
素層としてよい。第1隆起フレーム層は、圧電層と第1電極との間に位置決めしてよい。
第1隆起フレーム層は、アクティブドメインのエッジに沿ったバルク弾性波デバイスの隆
起フレームドメインに配置してよい。バルク弾性波デバイスはさらに、隆起フレームドメ
インと中間エリアとの間に陥凹フレームドメインを含んでよい。
【0024】
多層隆起フレーム構造物は、バルク弾性波デバイスのアクティブ領域からパッシブ領域
への横方向エネルギー漏洩をブロックすることができる。
【0025】
第1電極はモリブデンを含み得る。第1電極はタングステンを含み得る。第1電極はル
テニウムを含み得る。
【0026】
第2隆起フレーム層と圧電層とは、第2電極の対向側に配置することができる。第1隆
起フレーム層は、圧電層と第2電極との間に位置決めしてよい。第2隆起フレーム層は、
圧電層よりも高い密度を有してよい。第2隆起フレーム層は、第2電極と同じ材料を含む
。第2隆起フレーム層はまた、第1電極と同じ材料を含んでよい。
【0027】
バルク弾性波デバイスは、多層隆起フレーム層を覆うパッシベーション層を含んでよい
。バルク弾性波デバイスは、多層隆起フレーム層を覆う二酸化ケイ素層を含んでよい。
【0028】
バルク弾性波デバイスは、エアキャビティを含んでよい。ここで、エアキャビティと圧
電層とは、第1電極の対向側に存在する。
【0029】
バルク弾性波デバイスは、音響ブラッグ反射器を含んでよい。ここで、音響ブラッグ反
射器と圧電層とは第1電極の対向側に存在する。
【0030】
バルク弾性波デバイスは、ここに開示される任意の適切なフィルタ、マルチプレクサ及
び/又はモジュールに含まれ得る。
【0031】
本開示をまとめる目的で本イノベーションの所定の側面、利点及び新規な特徴が、ここ
に記載されてきた。理解されることだが、そのような利点の必ずしもすべてが、いずれか
の特定の実施形態において達成されるというわけではない。よって、本イノベーションは
、ここに教示される一つの利点又は一群の利点を、ここに教示又は示唆される他の利点を
必ずしも達成することなく、達成又は最適化する態様で、具体化し又は実行することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本開示の実施形態が、添付図面を参照する非限定的な例を介して以下に記載される。
【0033】
【
図1】二重隆起フレームバルク弾性波デバイスの平面図である。
【
図2】一実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイスの断面図である。
【
図3】他実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイスの断面図である。
【
図4】他実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイスの断面図である。
【
図5】他実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイスの断面図である。
【
図6】他実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイスの断面図である。
【
図7A】他実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイスの断面図である。
【
図7B】他実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイスの断面図である。
【
図8】他実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイスの断面図である。
【
図9】他実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイスの断面図である。
【
図10】
図10Aは、一の隆起フレームバルク弾性波デバイスの断面図である。
図10Bは、他の隆起フレームバルク弾性波デバイスの断面図である。
図10Cは、一実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイスの断面図である。
【
図11A】
図10A、10B及び10Cのバルク弾性波デバイスの品質係数を比較するグラフである。
【
図11B】
図10A、10B及び10Cのバルク弾性波デバイスのコンダクタンスを、
図11Aよりも大きな周波数範囲にわたって比較するグラフである。
【
図12】弾性波ラダーフィルタの一例の模式的な図である。
【
図13】
図13Aは、デュプレクサの一例の模式的な図である。
図13Bは、デュプレクサの一例の模式的な図である。
【
図14】アンテナスイッチと、一つ以上の多層隆起フレームバルク弾性波デバイスを含むデュプレクサとを含むモジュールの模式的なブロック図である。
【
図15】
図15Aは、電力増幅器と、無線周波数スイッチと、一つ以上の多層隆起フレームバルク弾性波デバイスを含むデュプレクサとを含むモジュールの模式的なブロック図である。
図15Bは、低雑音増幅器と、無線周波数スイッチと、一つ以上の多層隆起フレームバルク弾性波デバイスを含む弾性波フィルタとを含むモジュールの模式的なブロック図である。
【
図16】電力増幅器と、無線周波数スイッチと、一つ以上の多層隆起フレームバルク弾性波デバイスを含むデュプレクサとを含むモジュールの模式的なブロック図である。
【
図17】
図17Aは、一つ以上の多層隆起フレームバルク弾性波デバイスを含むフィルタを含む一の無線通信デバイスの模式的なブロック図である。
図17Bは、一つ以上の多層隆起フレームバルク弾性波デバイスを含むフィルタを含む他の無線通信デバイスの模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
所定の実施形態の以下の詳細な説明は、特定の実施形態の様々な記載を表す。しかしな
がら、ここに記載のイノベーションは、例えば特許請求の範囲によって画定され及びカバ
ーされる多数の異なる態様で具体化することができる。本記載において、同じ参照番号が
同一の又は機能的に類似の要素を示し得る図面が参照される。理解されることだが、図面
に示される要素は必ずしも縮尺どおりではない。さらに理解されることだが、所定の実施
形態は、図面に示されるよりも多くの要素を含んでよく、及び/又は図面に示される要素
の部分集合を含んでよい。さらに、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面からの特徴の
いずれかの適切な組み合わせを組み入れてよい。
【0035】
高性能のバルク弾性波(BAW)フィルタを開発するには、挿入損失を低減するととも
に、ガンマ損失を減少させることが一般に望ましい。低い挿入損失を達成するべく、BA
W共振器は、高い品質係数(Q)を有するのが典型的である。高いQを達成するべく、境
界リングとも称される隆起フレームは、BAW共振器のアクティブドメインからBAW共
振器のパッシブドメインへの横方向エネルギー漏洩をブロックすることができる。隆起フ
レームはQを改善し得るが、すべての漏洩エネルギーをトラップすることができるという
わけではない。隆起フレームは、BAW共振器の主要共振周波数未満において、相対的に
大きなスプリアスモードを発生させ得る。これは、隆起フレームモードとも称される。こ
れは、フィルタのキャリアアグリゲーション帯域にガンマ劣化を生じさせ得る。ガンマは
、反射係数とも称する。低いガンマ損失は、隆起フレームスプリアスモード(RaFモー
ド)をキャリアアグリゲーション帯域から離すことによって達成することができる。
【0036】
本開示の複数側面は、低挿入損失及び低ガンマ損失を達成することができる多層隆起フ
レーム構造物を含むバルク弾性波共振器に関する。多層隆起フレーム構造物は、第1隆起
フレーム層及び第2隆起フレーム層を含む。第1隆起フレーム層は、圧電層の対向側の電
極間に配置された二酸化ケイ素のような低音響インピーダンス材料を含む。例えば、低音
響インピーダンス材料を、バルク弾性波共振器の頂部電極と圧電層との間に配置すること
ができる。多層隆起フレーム構造物を、バルク弾性波共振器のアクティブ領域の周縁に沿
って配置することができる。第2隆起フレーム層は、相対的に重い材料を含み得る。第2
隆起フレーム層は、バルク弾性波共振器の電極と同じ材料としてよい。
【0037】
低音響インピーダンスに起因して、相対的に強い隆起フレームスプリアスモードを生成
する多層隆起フレームドメインの周波数を、低音響インピーダンスの第1隆起フレーム層
が存在しない同様の隆起フレームドメインよりも、有意に低くすることができる。低音響
インピーダンスにより、多層隆起フレーム構造に対する隆起フレームモードは、ガンマ損
失を与えることがないようにキャリアアグリゲーション帯域の外側に存在することとなる
。例えば、キャリアアグリゲーションアプリケーションにおいて、マルチプレクサは、キ
ャリアアグリゲーション信号を受信するべく配列された共通ノードと、キャリアアグリゲ
ーション信号の第1キャリアに関連付けられた通過帯域を有する第1フィルタと、共通ノ
ードにおいて第1フィルタに結合されて、キャリアアグリゲーション信号の第2キャリア
に関連付けられた第2通過帯域を有する第2フィルタとを含み得る。第1フィルタは、こ
こに開示される一実施形態に係る多層隆起フレーム構造物BAW共振器を含み得る。多層
隆起フレーム構造物を有するBAW共振器は、第2フィルタの通過帯域において第1フィ
ルタに対するガンマを増加させることができる。
【0038】
付加的に、多層隆起フレーム構造物の相対的に低周波数に起因して、多層隆起フレーム
ドメインとアクティブドメインとの実効音響インピーダンスの差は、第2隆起フレーム層
に対応する単層を含む隆起フレーム構造物に対するものよりも大きくなる。多層隆起フレ
ーム構造物は、横方向エネルギーの高モード反射を与えて、主要モードから反共振周波数
付近の他の横モードへのモード変換を減少させることができる。したがって、Qは有意に
増加し得る。
【0039】
ここに開示される実施形態が、2つの隆起フレーム層を有する二重隆起フレーム構造物
を参照して説明され得るにもかかわらず、ここに説明される任意の適切な原理及び利点は
、2つ以上の隆起フレーム層を含む多層隆起フレーム構造物に適用することができる。
【0040】
二重隆起フレーム層を有する複数例のバルク弾性共振器が以下に説明される。これらの
二重隆起フレーム層の任意の適切な原理及び利点を、多層隆起フレームバルク弾性波デバ
イスにおいて互いに一緒に実装することができる。
【0041】
図1は、二重隆起フレームバルク弾性波デバイスの平面図である。
図1に示されるよう
に、バルク弾性波デバイスは、バルク弾性波デバイスのアクティブ領域の周縁まわりに隆
起フレームゾーン12を含む。隆起フレームゾーン12は、所定例において、境界リング
と称してよい。二重隆起フレーム構造物は、隆起フレームゾーン12に存在し得る。二重
隆起フレーム構造は、
図2~9の二重隆起フレームバルク弾性波デバイスの任意の適切な
原理及び利点に従って実装することができる。二重隆起フレーム構造物は、バルク弾性波
デバイスのアクティブ領域の中間エリア14の外側に存在する。隆起フレーム層は、隆起
フレームゾーン12に存在して金属電極の上に延びてよい。
図1は、中間エリア14の金
属電極と、隆起フレームゾーン12における隆起フレーム層とを示す。一つ以上の他の層
を、金属電極及び隆起フレーム層を覆うように含めてもよい。例えば、二酸化ケイ素を、
金属電極及び隆起フレーム層を覆うように含めてもよい。
図1はまた、バルク弾性波デバ
イスの圧電層16が、金属電極及び隆起フレーム層の下に存在することも示す。
【0042】
二重隆起フレームバルク弾性波デバイスの複数の実施形態が、
図1のAからA’の線に
沿った複数例の断面を参照して説明される。
図2~9は、二重隆起フレームバルク弾性波
デバイスの、
図1におけるAからA’の線に沿った複数例の断面を示す。
図2~9のバル
ク弾性波デバイスの特徴の任意の適切な組み合わせを、互いに組み合わせることができる
。ここに開示されるバルク弾性波デバイスのいずれも、無線周波数信号をフィルタリング
するべく配列されたフィルタにおけるバルク弾性波共振器としてよい。
【0043】
図2は、一実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイス20の断面図である
。図示のように、二重隆起フレームバルク弾性デバイス20は、圧電層16、第1電極2
1、第2電極22、第1隆起フレーム層23、第2隆起フレーム層24、シリコン基板2
5、エアキャビティ26及び二酸化ケイ素層27を含む。
【0044】
圧電層16は、第1電極21と第2電極22との間に配置される。圧電層16は、窒化
アルミニウム(AlN)層又は任意の他の適切な圧電層としてよい。バルク弾性波デバイ
ス20のアクティブ領域又はアクティブドメインが、圧電層16の、第1電極21及び第
2電極22双方と重なる部分によって画定される。第1電極21は、相対的に高い音響イ
ンピーダンスを有し得る。例えば、第1電極21は、モリブデン(Mo)、タングステン
(W)、ルテニウム(Ru)、インジウム(Ir)、白金(Pt)、Ir/Pt、又はこ
れらの任意の適切な合金及び/若しくは組み合わせを含んでよい。同様に、第2電極22
も、相対的に高い音響インピーダンスを有してよい。第2電極22は、所定例において第
1電極21と同じ材料から形成してよい。
【0045】
バルク弾性波デバイス20の二重隆起フレーム構造物は、第1隆起フレーム層23及び
第2隆起フレーム層24を含む。第1隆起フレーム層23と第2隆起フレーム層24とは
、バルク弾性波デバイス20のアクティブ領域において互いに重なる。バルク弾性波デバ
イス20の隆起フレームドメインが、バルク弾性波デバイス20のアクティブドメインに
おいて、二重隆起フレーム構造物の部分によって画定される。二重隆起フレーム構造物の
少なくとも一部分が、バルク弾性波デバイス20のアクティブ領域に含まれる。二重隆起
フレーム構造物は、横方向エネルギーの高効率反射に起因してQを有意に改善することが
できる。
【0046】
第1隆起フレーム層23は、第1電極21と第2電極22との間に位置決めされる。図
2に示されるように、第1隆起フレーム層23は、圧電層16と第2電極22との間に位
置決めされる。第1隆起フレーム層23は低音響インピーダンス材料である。低音響イン
ピーダンス材料は、第1電極21よりも低い音響インピーダンスを有する。低音響インピ
ーダンス材料は、第2電極22よりも低い音響インピーダンスを有する。低音響インピー
ダンス材料は、圧電層16よりも低い音響インピーダンスを有してよい。一例として、第
1隆起フレーム層23は、二酸化ケイ素(SiO
2)層としてよい。二酸化ケイ素はすで
に様々なバルク弾性波デバイスにおいて使用されているので、二酸化ケイ素の第1隆起フ
レーム層23は、相対的に容易に製造することができる。第1隆起フレーム層23は、窒
化ケイ素(SiN)層、炭化ケイ素(SiC)層、又は任意の他の適切な低音響インピー
ダンス層としてよい。第1隆起フレーム層23は、相対的に低い密度を有し得る。第1隆
起フレーム層23は、
図2に示されるようにバルク弾性波デバイス20のアクティブ領域
を超えるように延びてよい。これは、所定例において製造上の理由のためとなり得る。
【0047】
第1隆起フレーム層23は、バルク弾性波デバイス20の隆起フレームドメインの実効
電気機械結合係数(k2)を、第1隆起フレーム層23が存在しない同様のデバイスと比
べて低減することができる。これにより、隆起フレームスプリアスモードの励振強度が低
減され得る。さらに、第1隆起フレーム層23は、隆起フレームモードの周波数を、バル
ク弾性波デバイス20の主要共振周波数から相対的に遠くに離すように移動させることに
寄与し得る。これにより、ガンマ損失に有意な影響がもたらされることがない。
【0048】
図示のように、第2隆起フレーム層24は、バルク弾性波デバイス20のアクティブ領
域において第1隆起フレーム層23と重なる。第2隆起フレーム層24は、第2電極22
と同じ材料としてよい。これは、製造上の視点から便宜となり得る。第2隆起フレーム層
24は、相対的に高い密度の材料としてよい。例えば、第2隆起フレーム層24は、モリ
ブデン(Mo)、タングステン(W)、ルテニウム(Ru)等、又はこれらの任意の適切
な合金を含んでよい。第2隆起フレーム層24は、金属層としてよい。代替的に、第2隆
起フレーム層24は、密度が相対的に高い適切な非金属材料としてよい。第2隆起フレー
ム層24の密度は、第2電極22の密度と同様か又はそれよりも重い。第2隆起フレーム
層24は、相対的に高い音響インピーダンスを有し得る。
【0049】
第2隆起フレーム層24は、隆起フレームドメインにおいてバルク弾性波デバイス20
の高さを増加させる。したがって、バルク弾性波デバイス20は、隆起フレームドメイン
における高さが、アクティブドメインの他の部分、例えばアクティブドメインの中間エリ
アにおける高さよりも大きい。第2電極22を覆うように第2隆起フレーム層24を形成
することは、製造上の観点から相対的に用意となり得る。しかしながら、いくつかの他の
実施形態において、第2隆起フレーム層は、隆起フレームドメインにおける異なる位置に
含めてもよい。
【0050】
バルク弾性波デバイス20において、二酸化ケイ素層27は、第2電極22及び第2隆
起フレーム層24を覆うように含められる。二酸化ケイ素層27は、バルク弾性波デバイ
ス20の異なる領域において異なる厚さを有するように形成することができる。例えば、
図2に示されるように、二酸化ケイ素層27は、陥凹フレームドメインにおいて薄くされ
る。二酸化ケイ素層27の代わりに及び/又は二酸化ケイ素層27に加えて、任意の適切
なパッシベーション層が含まれてよい。
【0051】
二重隆起フレームバルク弾性波デバイス20はFBARである。エアキャビティ26が
、第1電極21の下に含まれる。エアキャビティ26は、第1電極21及びシリコン基板
25の幾何学構成によって画定される。シリコン基板25の代わりに、他の適切な基板を
代替的に実装してよい。パッシベーション層のような一つ以上の層を、第1電極21とシ
リコン基板25との間に位置決めすることができる。
【0052】
バルク弾性波デバイス20がFBARであるにもかかわらず、ここに説明される任意の
適切な原理及び利点は、ソリッドマウント共振器(SMR)にも適用することができる。
【0053】
図3は、一実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイス30の断面図である
。二重隆起フレームバルク弾性デバイス30は、
図2の二重隆起フレームバルク弾性波デ
バイス20と同様であるが、バルク弾性波デバイス30がFBARの代わりにSMRであ
る点を除く。バルク弾性波デバイス30において、ソリッド音響ミラーが、第1電極21
とシリコン基板35との間に配置される。図示される音響ミラーは、音響ブラッグ反射器
32を含む。図示される音響ブラッグ反射器32は、交互にされた低インピーダンス層3
3と高インピーダンス層34とを含む。一例として、ブラッグ反射器32は、交互にされ
た、低インピーダンス層33としての二酸化ケイ素層と、高インピーダンス層34として
のタングステン層とを含み得る。SMRの任意の他の適切な特徴を、多層隆起フレームバ
ルク弾性波デバイスに代替的又は付加的に実装することができる。
【0054】
図4は、一実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイス40の断面図である
。二重隆起フレームバルク弾性デバイス40は、
図2の二重隆起フレームバルク弾性波デ
バイス20と同様であるが、バルク弾性波デバイス40においては二酸化ケイ素層27が
省略され、バルク弾性波デバイス40に陥凹フレームドメインが存在しない点を除く。
【0055】
図5は、一実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイス50の断面図である
。二重隆起フレームバルク弾性デバイス50は、
図4の二重隆起フレームバルク弾性波デ
バイス40と同様であるが、バルク弾性波デバイス50の第1隆起フレーム層53が、バ
ルク弾性波デバイス40の第1隆起フレーム層23とは異なる点を除く。
図5に示される
ように、第1隆起フレーム層53は、隆起フレームドメインに広がる。第1隆起フレーム
層53は、バルク弾性波デバイス50のアクティブ領域を超えて延びることがない。
【0056】
図6は、一実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイス60の断面図である
。二重隆起フレームバルク弾性デバイス60は、
図4の二重隆起フレームバルク弾性波デ
バイス40と同様であるが、バルク弾性波デバイス60の第2電極62がバルク弾性波デ
バイス40の第2電極22と異なる点を除く。第2電極62は、異なる領域において異な
る厚さを有する。第2電極62が薄い領域が、バルク弾性波デバイス60における陥凹フ
レームドメインを実装する。
【0057】
図7Aは、一実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイス70の断面図であ
る。二重隆起フレームバルク弾性デバイス70は、
図4の二重隆起フレームバルク弾性波
デバイス40と同様であるが、バルク弾性波デバイス70が2つの隆起フレームドメイン
を含む点を除く。バルク弾性波デバイス70は、第1隆起フレームドメインRaF及び第
2隆起フレームドメインRaF3に第1隆起フレーム層73を含む。バルク弾性波デバイ
ス70における第1隆起フレームドメインRaFは、
図4のバルク弾性波デバイス40に
おける隆起フレームドメインと同様である。第1隆起フレーム層73及び第2隆起フレー
ム層24は、第1隆起フレームドメインRaFに含まれる。第1隆起フレーム層73は、
図2の第1隆起フレーム層23の任意の適切な特徴を含んでよい。第1隆起フレーム層7
3は、第2隆起フレームドメインRaF3において薄くされる。ここで、第1隆起フレー
ム層73及び第2電極72は、圧電層16を覆うようにされる。
【0058】
第2隆起枠領域RaF3は、陥凹隆起枠領域と称してよい。第2電極72は、断面図に
おいて、
図4の第2電極22とは異なる形状を有する。第2隆起フレーム層24は、第2
隆起フレームドメインRaF3の外側に存在する。第1隆起フレーム層73により、第2
隆起フレームドメインRaF3は、(1)アクティブ領域の中間エリア及び(2)第1隆
起フレームドメインとは異なる音響インピーダンスを有する。これは、スプリアスモード
の抑制に役立ち得る。第1隆起枠領域は、バルク弾性波デバイス70の平面図において第
2隆起枠領域を取り囲み得る。
【0059】
図7Bは、一実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイス75の断面図であ
る。二重隆起フレームバルク弾性デバイス75は、
図7Aの二重隆起フレームバルク弾性
波デバイス70と同様であるが、バルク弾性波デバイス75が、2つの隆起フレームドメ
インを覆うように延びる第2隆起フレーム層77を含む点を除く。
図7Bに示されるよう
に、第2隆起フレーム層77は、第1隆起フレームドメインRaF及び第2隆起フレーム
ドメインRaF3に含まれる。第1隆起フレーム層73は、バルク弾性波デバイス75の
第2隆起フレームドメインにおいて薄くされる。第2隆起フレーム層77は、バルク弾性
波デバイス75における第1隆起フレームドメインRaF及び第2隆起フレームドメイン
RaF3双方の上で実質的に同じ厚さを有する。バルク弾性波デバイス75における2つ
の隆起フレームドメインは、スプリアスモードの抑制に役立ち得る。
【0060】
図8は、一実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイス80の断面図である
。二重隆起フレームバルク弾性デバイス80は、
図5の二重隆起フレームバルク弾性波デ
バイス50と同様であるが、これらのデバイスにおいて第1隆起フレーム層の異なる位置
に存在する点を除く。バルク弾性波デバイス80において、第1隆起フレーム層83は、
第1電極21と圧電層86との間に位置決めされる。第1隆起フレーム層83は、圧電層
86及び第1電極21と物理的に接触する。第1隆起フレーム層83は、第1隆起フレー
ム層23と同様に機能し得る。第1隆起フレーム層83は、第1隆起フレーム層23の任
意の適切な特徴を含んでよい。圧電層86は、断面図において、
図5の圧電層16とは異
なる形状を有する。
【0061】
図9は、一実施形態に係る二重隆起フレームバルク弾性波デバイス90の断面図である
。二重隆起フレームバルク弾性デバイス90は、
図8の二重隆起フレームバルク弾性波デ
バイス80と同様であるが、第2電極及び圧電層が断面図において異なる形状を有する点
を除く。
図9に示されるように、第2電極92は、第2隆起フレーム層24が配置された
平面状の頂面を有する。平面上の頂面は、所定例において容易に製造することができる。
【0062】
上述したように、ここに説明される二重隆起フレームバルク弾性波デバイスは、単層隆
起フレームデバイスと比べて改善されたQを有し得る。
図10A~10Cは、単数隆起フ
レームバルク弾性波デバイス及び二重隆起フレームバルク弾性波デバイスを含む隆起フレ
ームバルク弾性波デバイスを示す。
図11A~11Bは、
図10A~10Cの隆起フレー
ムバルク弾性波デバイスのQを比較するグラフである。
【0063】
図10Aは、隆起フレームバルク弾性波デバイス100の断面図である。隆起フレーム
バルク弾性波デバイス100は、単層隆起フレーム構造を含む。バルク弾性波デバイス1
00の隆起フレーム構造物は、隆起フレーム層23を含む。
【0064】
図10Bは、隆起フレームバルク弾性波デバイス104の断面図である。隆起フレーム
バルク弾性波デバイス104は、単層隆起フレーム構造物を含む。バルク弾性波デバイス
104の隆起フレーム構造物は、隆起フレーム層24を含む。
【0065】
図10Cは、隆起フレームバルク弾性波デバイス108の断面図である。隆起フレーム
バルク弾性波デバイス108は、隆起フレーム層23及び隆起フレーム層24双方を含む
二重層隆起フレーム構造物を含む。
【0066】
図11Aは、
図10A、10B及び10Cそれぞれのバルク弾性波デバイス100、1
04及び108のQを比較するグラフである。バルク弾性波デバイス108は、バルク弾
性波デバイス104及び108よりも良好な横方向エネルギー反射を与えることができる
。
図11Aは、バルク弾性108波デバイスが、バルク弾性波デバイス100及び104
よりも高いQを達成することができることを示す。
【0067】
図11Bは、
図10A、10B及び10Cそれぞれのバルク弾性波デバイス100、1
04及び108のデシベル(dB)単位のコンダクタンスを、
図11Aよりも大きな周波
数範囲にわたって比較するグラフである。
図11Bは、バルク弾性波デバイス104が、
共振周波数との周波数差F
D3において相対的に大きな雑音を有することと、バルク弾性
波デバイス100が、共振周波数との周波数差F
D2において相対的に大きな雑音を有す
ることと、バルク弾性波デバイス108が、共振周波数から周波数差F
D1において相対
的に大きな雑音を有することとを示す。これらのバルク弾性デバイスに対するこれらの周
波数差における相対的に大きな雑音は、隆起フレームスプリアスモードに対応する。
図1
1Bに示されるように、これらの周波数差は以下の関係、F
D1>F
D2>F
D3を満た
す。周波数差F
D3は、様々なアプリケーションに対して望ましい共振周波数に近くなり
得る。例えば、マルチプレクサの文脈において、共振周波数から離れた周波数差F
D3に
おける雑音は、隣接するフィルタの性能に影響を与え得る。
【0068】
図11Bは、バルク弾性波デバイス108の隆起フレームスプリアスモードが、バルク
弾性波デバイス100及び104の隆起フレームスプリアスモードよりも共振周波数から
離れていることを示す。
図11Bに示されるように、隆起フレームスプリアスモードと、
バルク弾性波デバイス108の共振周波数との間には、ほぼ1ギガヘルツ(GHz)の分
離が存在する。したがって、そのような隆起フレームスプリアスモードは、バルク弾性波
デバイス108の共振周波数と同様の周波数を有する無線周波数信号をフィルタリングす
るべく配列された他の弾性波フィルタ(例えばマルチプレクサの一つ以上の他の弾性波フ
ィルタ)に影響を与えることがない。これは、例えばキャリアアグリゲーションアプリケ
ーションにおいて有利となり得る。
【0069】
図11Bは、バルク弾性波デバイス108が、バルク弾性波デバイス100及び104
の隆起フレームスプリアスモードよりも振幅が小さい隆起フレームスプリアスモードを有
することを示す。
【0070】
ここに開示される多層隆起フレームバルク弾性波共振器は、弾性波フィルタに実装する
ことができる。所定のアプリケーションにおいて、弾性波フィルタは、一の無線周波数帯
域を通過させて当該無線周波数帯域の外側の周波数を減衰させるべく配列された帯域通過
フィルタとしてよい。2つ以上の弾性波フィルタは、共通ノードにおいて一緒に結合して
デュプレクサのようなマルチプレクサとして配列することができる。
【0071】
図12は、弾性波ラダーフィルタ120の一例の模式的な図である。弾性波フィルタ1
20は、送信フィルタ又は受信フィルタとしてよい。弾性波ラダーフィルタ120は、一
の無線周波数信号をフィルタリングするべく配列された帯域通過フィルタとしてよい。弾
性波フィルタ120は、無線周波数入力/出力ポートRF
I/OとアンテナポートANT
との間に結合された直列共振器R1、R3、R5、R7及びR9、並びにシャント共振器
R2、R4、R6及びR8を含む。無線周波数入力/出力ポートRF
I/Oは、送信フィ
ルタにおける送信ポート、又は受信フィルタにおける受信ポートとしてよい。例示される
弾性波共振器の一つ以上が、ここに説明される任意の適切な原理及び利点に従う多層隆起
フレームバルク弾性波共振器であってよい。弾性波ラダーフィルタは、任意の適切な数の
直列共振器、及び任意の適切な数のシャント共振器を含んでよい。
【0072】
弾性波フィルタは、ラティストポロジー又はハイブリッドラダー及びラティストポロジ
ーのような任意の他の適切なフィルタトポロジーで、配列することができる。ここに開示
される任意の適切な原理及び利点に従うバルク弾性波共振器は、帯域通過フィルタに実装
することができる。いくつかの他のアプリケーションにおいて、ここに開示される任意の
適切な原理及び利点に従うバルク弾性波共振器は、帯域阻止フィルタに実装することがで
きる。
【0073】
図13Aは、デュプレクサ130の一例の模式的な図である。デュプレクサ130は、
アンテナノードANTにおいて互いに結合された送信フィルタ131及び受信フィルタ1
32を含む。シャントインダクタL1を、アンテナノードANTに接続することができる
。送信フィルタ131及び受信フィルタ132は双方とも、デュプレクサ130における
弾性波ラダーフィルタである。
【0074】
送信フィルタ131は、一の無線周波数信号をフィルタしてフィルタリングされた無線
周波数信号をアンテナノードANTに与えることができる。直列インダクタL2を、送信
フィルタ131の送信入力ノードTXと弾性波共振器との間に結合することができる。図
示される送信フィルタ131は、弾性波共振器T01~T09を含む。これらの共振器の
一つ以上を、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う多層隆起フレームバルク
弾性波共振器としてよい。図示される受信フィルタは、弾性波共振器R01~R09を含
む。これらの共振器の一つ以上を、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う多
層隆起フレームバルク弾性波共振器としてよい。受信フィルタは、アンテナノードANT
において受信した無線周波数信号をフィルタリングすることができる。直列インダクタL
3を、共振器と受信出力ノードRXとの間に結合することができる。受信フィルタの受信
出力ノードRXが無線周波数受信信号を与える。
【0075】
図13Bは、一実施形態に係る弾性波フィルタを含むマルチプレクサ135の模式的な
図である。マルチプレクサ135は、共通ノードCOMにおいて一緒に結合された複数の
フィルタ136A~136Nを含む。複数のフィルタは、任意の適切な数のフィルタを含
み得る。例えば、3つのフィルタ、4つのフィルタ、5つのフィルタ、6つのフィルタ、
7つのフィルタ、8つのフィルタ、又はそれより多くのフィルタを含み得る。複数の弾性
波フィルタの一部又はすべてを弾性波フィルタとしてよい。図示されるフィルタ136A
、136B及び136Nはそれぞれが、共通ノードCOMと入力/出力ノードRF
I/O
1、RF
I/O2及びRF
I/ONそれぞれとの間に結合される。
【0076】
いくつかの例において、マルチプレクサ135のフィルタすべてを受信フィルタとする
ことができる。いくつかの他例によれば、マルチプレクサ135のフィルタすべてを送信
フィルタとしてよい。様々なアプリケーションにおいて、マルチプレクサ135は、一つ
以上の送信フィルタ、及び一つ以上の受信フィルタを含んでよい。したがって、マルチプ
レクサ135は、任意の適切な数の送信フィルタ、及び任意の適切な数の受信フィルタを
含んでよい。図示されるフィルタのそれぞれを、異なる対応通過帯域を有する帯域通過フ
ィルタとしてよい。
【0077】
マルチプレクサ135は、共通ノードCOMとの固定接続部を有するフィルタ136A
~136Nによりハード多重化を行うように示される。いくつかの他のアプリケーション
において、マルチプレクサのフィルタのうちの一つ以上を、対応スイッチを介して共通ノ
ードに電気的に接続することができる。そのようなフィルタはいずれも、ここに開示され
る任意の適切な原理及び利点に従うバルク弾性波共振器を含んでよい。
【0078】
第1フィルタ136Aは、第1通過帯域を有して一の無線周波数信号をフィルタリング
するべく配列された弾性波フィルタである。第1フィルタ136Aは、ここに開示される
任意の適切な原理及び利点に従う一つ以上のバルク弾性波共振器を含んでよい。第2フィ
ルタ136Bは第2通過帯域を有する。第1フィルタ136Aの、一つ以上のバルク弾性
波共振器の多層隆起フレーム構造物は、当該一つ以上のバルク弾性波共振器の隆起フレー
ムモードを、第2通過帯域から離れるように移動させることができる。これにより、第2
フィルタ136Bの通過帯域における第1フィルタ136Aの反射係数(ガンマ)を増加
させることができる。第1フィルタ136Aのバルク弾性波共振器の多層隆起フレーム構
造物はまた、当該隆起フレームモードを、マルチプレクサ135の、一つ以上の他のフィ
ルタの通過帯域から離れるように移動させる。
【0079】
所定例において、マルチプレクサ135の共通ノードCOMは、キャリアアグリゲーシ
ョン信号を受信するように配列される。このキャリアアグリゲーション信号は少なくとも
、第1フィルタ136Aの第1通過帯域に関連付けられた第1キャリアと、第2フィルタ
136Bの第2通過帯域に関連付けられた第2キャリアとを含む。第1フィルタ136A
のバルク弾性波共振器の多層隆起フレーム構造物は、キャリアアグリゲーション信号の第
2キャリアに関連付けられた第2フィルタ136Bの第2通過帯域における第1フィルタ
136Aの反射係数を維持し及び/又は増加させることができる。
【0080】
マルチプレクサ135のフィルタ136B~136Nは、一つ以上の弾性波フィルタ、
多層隆起フレーム構造物を有する少なくとも一つのバルク弾性波共振器を含む一つ以上の
弾性波フィルタ、一つ以上のLCフィルタ、一つ以上のハイブリッド弾性波LCフィルタ
、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含み得る。
【0081】
ここに開示される多層隆起フレームバルク弾性波共振器は、様々なパッケージ状モジュ
ールに実装することができる。ここに開示されるバルク弾性波デバイスの任意の適切な原
理及び利点が実装され得るいくつかの例のパッケージ状モジュールが、以下に説明される
。当該例のパッケージ状モジュールは、図示の回路素子を封入するパッケージを含み得る
。図示される回路素子は、共通パッケージ基板上に配置することができる。パッケージ基
板は、例えば、積層基板としてよい。
図14、15A、15B及び16は、所定実施形態
に係る例示のパッケージ状モジュールの模式的なブロック図である。所定例のパッケージ
状モジュールは、一つ以上の電力増幅器及び/又は一つ以上の低雑音増幅器のような一つ
以上の無線周波数増幅器を含む。当該モジュールの特徴の任意の適切な組み合わせを相互
に一緒に実装することができる。デュプレクサが、
図14、15A及び16のパッケージ
状モジュールの例に示されるが、共通ノードに結合された複数の弾性波フィルタを含む任
意の他の適切なマルチプレクサを、一つ以上のデュプレクサの代わりに実装することがで
きる。例えば、所定のアプリケーションにおいて、クアッドプレクサを実装してよい。代
替的又は付加的に、パッケージ状モジュールの一つ以上のフィルタを、マルチプレクサに
含まれない送信フィルタ又は受信フィルタとして配列することができる。
【0082】
図14は、デュプレクサ141A~141N及びアンテナスイッチ142を含むモジュ
ール140の模式的なブロック図である。デュプレクサ141A~141Nの一つ以上の
フィルタは、ここに説明される任意の適切な原理及び利点に従う任意の適切な数の多層隆
起フレームバルク弾性波共振器を含み得る。任意の適切な数のデュプレクサ141A~1
41Nを実装することができる。アンテナスイッチ142は、デュプレクサ141A~1
41Nの数に対応する一定数の投を有し得る。アンテナスイッチ142は、選択されたデ
ュプレクサをモジュール140のアンテナポートに電気的に結合することができる。
【0083】
図15Aは、電力増幅器152、無線周波数スイッチ154、及び一つ以上の実施形態
に係るデュプレクサ141A~141Nを含むモジュール150の模式的なブロック図で
ある。電力増幅器152は、無線周波数信号を増幅することができる。無線周波数スイッ
チ154は多投無線周波数スイッチとしてよい。無線周波数スイッチ154は、電力増幅
器152の出力を、デュプレクサ141A~141Nの選択された送信フィルタに電気的
に結合することができる。デュプレクサ141A~141Nのうちの一つ以上のフィルタ
は、ここに説明される任意の適切な原理及び利点に従う任意の適切な数の多層隆起フレー
ムバルク弾性波共振器を含み得る。任意の適切な数のデュプレクサ141A~141Nを
実装することができる。
【0084】
図15Bは、フィルタ156A~156N、無線周波数スイッチ157、及び一実施形
態に係る低雑音増幅器158を含むモジュール155の模式的なブロック図である。フィ
ルタ156A~156Nのうちの一つ以上のフィルタは、ここに開示される任意の適切な
原理及び利点に従う任意の適切な数の多層隆起フレームバルク弾性波共振器を含み得る。
任意の適切な数のフィルタ156A~156Nを実装することができる。例示のフィルタ
156A~156Nは受信フィルタである。いくつかの実施形態(例示せず)において、
フィルタ156A~156Nの一つ以上を、送信フィルタも含むマルチプレクサに含める
ことができる。無線周波数スイッチ157は多投無線周波数スイッチとしてよい。無線周
波数スイッチ157は、フィルタ156A~156Nの選択されたフィルタの出力を、低
雑音増幅器157に電気的に結合することができる。いくつかの実施形態(例示せず)に
おいて、複数の低雑音増幅器を実装することができる。モジュール155は、所定のアプ
リケーションにおいて、ダイバーシティ受信特徴部を含み得る。
【0085】
図16は、電力増幅器152、無線周波数スイッチ154、及び一つ以上の実施形態に
係る多層隆起フレームバルク弾性波デバイスを含むデュプレクサ14、並びにアンテナス
イッチ142を含むモジュール160の模式的なブロック図である。モジュール160は
、モジュール140の複数の素子、及びモジュール150の複数の素子を含み得る。
【0086】
任意の適切な数の多層隆起フレームバルク弾性デバイスを有する一つ以上のフィルタを
、様々な無線通信デバイスに実装することができる。
図17Aは、ここに開示される任意
の適切な原理及び利点に従う一つ以上の多層隆起フレームバルク弾性波共振器を有するフ
ィルタ173を含む無線通信デバイス170の模式的なブロック図である。無線通信デバ
イス170は、任意の適切な無線通信デバイスでよい。例えば、無線通信デバイス170
は、スマートフォンのような携帯電話機としてよい。図示のように、無線通信デバイス1
70は、アンテナ171、フィルタ173を含むRFフロントエンド172、送受信器1
74、プロセッサ175、メモリ176及びユーザインタフェイス177を含む。アンテ
ナ171は、RFフロントエンド172が与えるRF信号を送信することができる。アン
テナ171は、受信したRF信号を、処理を目的としてRFフロントエンド172に与え
得る。
【0087】
RFフロントエンド172は、一つ以上の電力増幅器、一つ以上の低ノイズ増幅器、R
Fスイッチ、受信フィルタ、送信フィルタ、デュプレクスフィルタ、マルチプレクサのフ
ィルタ、ダイプレクサ若しくは他の周波数多重化回路のフィルタ、又はこれらの任意の適
切な組み合わせを含んでよい。RFフロントエンド172は、任意の適切な通信規格に関
連づけられたRF信号を送信及び受信することができる。ここに開示される多層隆起フレ
ームバルク弾性波共振器はいずれも、RFフロントエンド172のフィルタ173に実装
することができる。
【0088】
RF送受信器174は、増幅及び/又は他の処理を目的としてRF信号をRFフロント
エンド172に与えることができる。RF送受信器174はまた、RFフロントエンド1
72の低雑音増幅器が与えるRF信号を処理することができる。RF送受信器174は、
プロセッサ175と通信する。プロセッサ175は、ベース帯域プロセッサとしてよい。
プロセッサ175は、無線通信デバイス170のための、任意の適切なベース帯域処理機
能を与えることができる。メモリ176には、プロセッサ175がアクセス可能である。
メモリ176は、無線通信デバイス170のための任意の適切なデータを格納することが
できる。プロセッサ175はまた、ユーザインタフェイス177とも通信する。ユーザイ
ンタフェイス177は、ディスプレイのような任意の適切なユーザインタフェイスとして
よい。
【0089】
図17Bは、無線周波数フロントエンド172にフィルタ173を、ダイバーシティ受
信モジュール182に第2フィルタ183を含む無線通信デバイス180の模式的な図で
ある。無線通信デバイス180は
図17Aの無線通信デバイス170と同様であるが、無
線通信デバイス180がさらにダイバーシティ受信機能を含む点を除く。
図17Bに示さ
れるように、無線通信デバイス180は、ダイバーシティアンテナ181と、ダイバーシ
ティアンテナ181が受信した信号を処理するべく構成されてフィルタ183を含むダイ
バーシティモジュール182と、無線周波数フロントエンド172及びダイバーシティ受
信モジュール182双方と通信する送受信器174とを含む。第2フィルタ183の一つ
以上が、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う多層隆起フレーム構造物を有
するバルク弾性波共振器を含み得る。
【0090】
ここに開示されるバルク弾性波デバイスは、周波数範囲1(FR1)内の第5世代(5
G)ニューラジオ(NR)動作帯域にある無線周波数信号をフィルタリングするべく配列
されたフィルタ及び/又はマルチプレクサに含まれ得る。FR1は、現行の5GNR仕様
に特定されるように、例えば410メガヘルツ(MHz)から7.125ギガヘルツ(G
Hz)とすることができる。5GNRFR1動作帯域にある無線周波数信号をフィルタリ
ングするべく配列されたフィルタは、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従っ
て実装される一つ以上のバルク弾性波共振器を含み得る。
【0091】
5GNRキャリアアグリゲーション仕様は、技術的な課題を提示し得る。例えば、5G
キャリアアグリゲーションは、第4世代(4G)ロングタームエボリューション(LTE
)キャリアアグリゲーションよりも広い帯域幅及び/又はチャネル間隔を有し得る。所定
の5GFR1アプリケーションにおけるキャリアアグリゲーション帯域幅は、120MH
zから200MHzの範囲のような、120MHzから400MHzの範囲にある。所定
の5GFR1アプリケーションにおけるキャリア間隔は、100MHzまでとなり得る。
ここに開示される多層隆起フレーム構造物を有するバルク弾性波共振器は、低挿入損失及
び低ガンマ損失を達成することができる。そのようなバルク弾性波共振器の隆起フレーム
モードの周波数は、バルク弾性波共振器の共振周波数から有意に離れるように移動させる
ことができる。したがって、5G仕様におけるFR1内の広いキャリアアグリゲーション
帯域幅及び/又はチャネル間隔であっても、隆起フレームモードを、キャリアアグリゲー
ション帯域の外側に存在させることができる。これにより、キャリアアグリゲーションの
他のキャリアの動作帯域におけるガンマ劣化を低減及び/又は排除することができる。い
くつかの例において、ガンマは、キャリアアグリゲーションの他のキャリアの動作帯域に
おいて増加し得る。
【0092】
上述された実施形態のいずれもが、セルラーハンドセットのような携帯デバイスに関連
して実装することができる。実施形態の原理及び利点は、ここに説明される実施形態のい
ずれかから有益となり得る任意のアップリンク無線通信デバイスのような、任意のシステ
ム又は装置によって使用することができる。ここでの教示は、様々なシステムに適用可能
である。本開示がいくつかの実施形態例を含むにもかかわらず、ここに説明される教示は
、様々な構造に適用することができる。ここに説明される原理及び利点はいずれも、約3
0kHzから300GHzの周波数範囲、例えば約450MHzから8.5GHzの周波
数範囲、にある信号を処理するべく構成されたRF回路に関連して実装することができる
。
【0093】
本開示の複数の側面は、様々な電子デバイスに実装することができる。電子デバイスの
例は、消費者用電子製品、パッケージ状無線周波数モジュールのような消費者用電子製品
の部品、アップリンク無線通信デバイス、無線通信インフラストラクチャ、電子試験機器
等を含むがこれらに限られない。電子デバイスの例は、スマートフォンのような携帯型電
話機、スマートウォッチ又はイヤーピースのような装着可能コンピューティングデバイス
、電話機、テレビ、コンピュータモニタ、コンピュータ、モデム、ハンドヘルドコンピュ
ータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、電子レンジ、冷蔵庫、自動
車電子システムのような車載電子システム、ステレオシステム、デジタル音楽プレーヤー
、ラジオ、デジタルカメラのようなカメラ、携帯型メモリーチップ、洗濯機、乾燥機、洗
濯/乾燥機、コピー機、ファクシミリ装置、スキャナ、多機能周辺デバイス、腕時計、置
時計等を含むがこれらに限られない。さらに、電子デバイスは未完成の製品も含んでよい
。
【0094】
本明細書及び特許請求の範囲全体にわたり、文脈上そうでないことが示されない限り、
「備える」、「含む」、「包含する」等の用語は、排他的又は網羅的な意味とは反対の包
括的意味に、すなわち「~を含むがこれらに限られない」との意味に解釈すべきである。
とりわけ「できる」、「し得る」、「してよい」、「かもしれない」、「例えば」、「の
ような」等のようなここに記載の条件付き言語は一般に、特にそうでないことが述べられ
、又は使用の文脈上そうでないことが理解される場合を除き、所定の実施形態が所定の特
徴、要素及び/又は状態を含む一方で他の実施形態がこれらを含まないことを伝えるよう
に意図される。ここで一般に使用される単語「結合」は、直接接続されるか又は一つ以上
の中間要素を介して接続されるかのいずれかとなり得る2つ以上の要素を言及する。同様
に、ここで一般に使用される単語「接続」は、直接接続されるか又は一つ以上の中間要素
を介して接続されるかのいずれかとなり得る2つ以上の要素を言及する。加えて、単語「
ここ」、「上」、「下」及び同様の趣旨の単語は、本アプリケーションにおいて使用され
る場合、本アプリケーション全体を言及し、本アプリケーションの任意の固有部分を言及
するわけではない。文脈が許容する場合、単数又は複数を使用する上述の詳細な説明にお
ける用語はそれぞれ、複数又は単数をも含み得る。
【0095】
所定の実施形態が記載されてきたが、これらの実施形態は、例により提示されたにすぎ
ないので、本開示の範囲を制限することを意図しない。実際のところ、ここに記載される
新規な共振器、デバイス、モジュール、装置、方法及びシステムは、様々な他の形態で具
体化することができる。さらに、ここに記載される共振器、デバイス、モジュール、装置
、方法及びシステムの形態における様々な省略、置換及び変更は、本開示の要旨から逸脱
することなく行い得る。例えば、ブロックが所与の配列で提示されるが、代替実施形態は
、異なる部品及び/又は回路トポロジーで同様の機能を果たすことができ、いくつかのブ
ロックは削除、移動、追加、細分化、結合、及び/又は修正することができる。これらの
ブロックはそれぞれが、様々な異なる態様で実装することができる。上述した様々な実施
形態の要素及び工程の任意の適切な組み合わせを、さらなる実施形態を与えるように組み
合わせることができる。添付の特許請求の範囲及びその均等物が、本開示の範囲及び要旨
に収まるかかる形態又は修正をカバーすることが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク弾性波デバイスであって、
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に位置決めされた圧電層と、
前記バルク弾性波デバイスのアクティブ領域の周縁に沿って形成される隆起フレームドメインにある多層隆起フレーム構造物と
を含み、
前記多層隆起フレーム構造物は、前記隆起フレームドメインにおいて互いに重なる第1隆起フレーム層及び第2隆起フレーム層を含み、
前記第1隆起フレーム層は、前記第1電極と前記第2電極との間に位置決めされ、
前記第1隆起フレーム層は、前記第1電極よりも低い音響インピーダンスを有し、
前記第2電極の頂面が、前記隆起フレームドメインにおいて前記第1隆起フレーム層によって隆起される、バルク弾性波デバイス。
【請求項2】
前記第1隆起フレーム層の音響インピーダンスは、前記圧電層の音響インピーダンスよりも低い、請求項1のバルク弾性波デバイス。
【請求項3】
前記第1隆起フレーム層は二酸化ケイ素層である、請求項1のバルク弾性波デバイス。
【請求項4】
前記第1電極は、モリブデン、タングステン、ルテニウム、白金又はイリジウムの少なくとも一つを含む、請求項1のバルク弾性波デバイス。
【請求項5】
前記第1隆起フレーム層は、前記圧電層と前記第1電極との間に位置決めされる、請求項1のバルク弾性波デバイス。
【請求項6】
前記バルク弾性波デバイスはさらに、前記隆起フレームドメインと前記アクティブ領域の中間エリアとの間に陥凹フレームドメインを含む、請求項1のバルク弾性波デバイス。
【請求項7】
前記第1隆起フレーム層は、前記圧電層と前記第2電極との間に位置決めされる、請求項1のバルク弾性波デバイス。
【請求項8】
前記第2隆起フレーム層は前記圧電層よりも高い密度を有する、請求項1のバルク弾性波デバイス。
【請求項9】
前記第2隆起フレーム層は、前記第2電極と同じ材料を含む、請求項1のバルク弾性波デバイス。
【請求項10】
エアキャビティをさらに含み、
前記エアキャビティと前記圧電層とは前記第1電極の対向側に存在する、請求項1のバルク弾性波デバイス。
【請求項11】
音響ブラッグ反射器をさらに含み、
前記音響ブラッグ反射器と前記圧電層とは前記第1電極の対向側に存在する、請求項1のバルク弾性波デバイス。
【請求項12】
前記第2隆起フレーム層は、前記隆起フレームドメインにおいて前記第2電極を覆うように形成される、請求項1のバルク弾性波デバイス。
【請求項13】
さらに前記第2電極の上にパッシベーション層を含み、
前記パッシベーション層は、前記中間エリアにおいてよりも前記陥凹フレームドメインにおいての方が薄い、請求項6のバルク弾性波デバイス。
【請求項14】
前記第2電極は、前記中間エリアにおいてよりも前記陥凹フレームドメインにおいての方が薄い、請求項6のバルク弾性波デバイス。
【請求項15】
前記第1隆起フレーム層は、前記第2隆起フレーム層よりも低い音響インピーダンスを有する、請求項1のバルク弾性波デバイス。
【請求項16】
パッケージ状モジュールであって、
パッケージ基板と、
前記パッケージ基板において無線周波数信号をフィルタリングするべく構成された弾性波フィルタと、
前記弾性波フィルタに電気的に結合されて前記パッケージ基板に位置決めされた無線周波数コンポーネントと
を含み、
前記弾性波フィルタはバルク弾性波デバイスを含み、
前記バルク弾性波デバイスは、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置決めされた圧電層と、前記バルク弾性波デバイスのアクティブ領域の周縁に沿って形成される隆起フレームドメインにある多層隆起フレーム構造物とを含み、
前記多層隆起フレーム構造物は、前記隆起フレームドメインにおいて互いに重なる第1隆起フレーム層及び第2隆起フレーム層を含み、
前記第1隆起フレーム層は、前記第1電極と第2電極との間に位置決めされ、
前記第1隆起フレーム層は、前記第1電極よりも低い音響インピーダンスを有し、
前記第2電極の頂面が、前記隆起フレームドメインにおいて前記第1隆起フレーム層によって隆起され、
前記弾性波フィルタ及び前記無線周波数コンポーネントは共通パッケージ内に封入される、パッケージ状モジュール。
【請求項17】
前記無線周波数コンポーネントは、無線周波数増幅器又は無線周波数スイッチの少なくとも一方を含む、請求項16のパッケージ状モジュール。
【請求項18】
前記バルク弾性波デバイスは、前記隆起フレームドメインと前記アクティブ領域の中間エリアとの間に陥凹フレームドメインを含む、請求項16のパッケージ状モジュール。
【請求項19】
前記第2隆起フレーム層は、前記隆起フレームドメインにおいて前記第2電極を覆うように形成される、請求項16のパッケージ状モジュール。
【外国語明細書】