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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179627
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】改良型超広帯域通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/7163 20110101AFI20231212BHJP
   H04J 3/00 20060101ALI20231212BHJP
   H04L 47/43 20220101ALI20231212BHJP
【FI】
H04B1/7163
H04J3/00 B
H04L47/43
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023173460
(22)【出願日】2023-10-05
(62)【分割の表示】P 2020546361の分割
【原出願日】2019-03-06
(31)【優先権主張番号】62/639,022
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/667,909
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/695,140
(32)【優先日】2018-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518276357
【氏名又は名称】デカウェーブ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】マクラフリン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マッケルロイ シアラン
(72)【発明者】
【氏名】ドットリッチ イゴール
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルソ ビリー
(72)【発明者】
【氏名】ニェフチャス ヤロスロー
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】第1部分と第2部分とを含むパケットを送信するための、UWB通信システムに用いる方法であって、受信器10は、特に、選択された第1パルス繰返周波数(「PRF」)でパケットの第1部分を送信する工程と、第1PRFとは異なる選択された第2PRFでパケットの第2部分を送信する工程と、を実行するようにシステムの送信機機能を構成する。この方法はさらに、パケットを非連続的に送信する工程を実行するようにシステムを構成する。
【効果】最良の従来技術に匹敵する性能を提供し、パケットが非連続的に送信されることを可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分と第2部分とを含むパケットを、超広帯域通信システムを用いて送信する方法であって、
前記方法は、
前記システムの送信手段が、
第1長さを備える前記パケットの前記第1部分を、第1バーストで送信する工程と、
前記第1長さと異なる第2長さを備える前記パケットの前記第2部分を、前記第1バーストから第3長さを備える無音ギャップにより時間的に分離された第2バーストで送信する工程と、
を有してなる、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記パケットの前記第1部分と前記第2部分との構成は、予め定義されている、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記パケットの前記第1部分は、
前記パケットの構造を定義するフィールド、
を備える、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記パケットの第3部分を、第4長さを備える第3バーストで送信する工程、
を有してなり、
前記第2長さと、前記第4長さと、は、前記パケットの前記構造を定義する前記フィールド内に示される、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記パケットの第3部分を、前記第2長さを備える第3バーストで送信する工程、
を有してなる、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記パケットの前記第1部分の送信と、前記パケットの前記第2部分の送信と、の間に、同期シーケンスを送信しない工程、
を有してなる、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記パケットの前記第2部分は、
暗号シーケンス、
を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
第1部分と第2部分とを含むパケットを、超広帯域通信システムを用いて送信する方法であって、
前記方法は、
前記システムの送信手段が、
前記パケットの前記第1部分を、第1バーストで送信する工程と、
前記パケットの前記第2部分を、前記第1バーストから無音ギャップにより時間的に分離された第2バーストで送信する工程と、
前記パケットの前記第2部分の送信の前に同期シーケンスを即座に送信する工程と、
を有してなる、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記パケットの前記第2部分の送信の前に即座に送信される前記同期シーケンスは、先に送信された同期シーケンスよりも短い、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記第1バーストの送信の後に、第1ACKリターンメッセージを受信する工程と、
前記第2バーストの送信の後に、第2ACKリターンメッセージを受信する工程と、
を有してなる、
請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記第1バーストの送信と、前記第2バーストの送信と、の後に、ACKリターンメッセージを受信する工程、
を有してなる、
請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記パケットの前記第1部分と前記第2部分との構成は、予め定義されている、
請求項8記載の方法。
【請求項13】
前記パケットの前記第1部分は、
前記パケットの構造を定義するフィールド、
を備える、
請求項8記載の方法。
【請求項14】
前記パケットの第3部分を、第3バーストで送信する工程、
を有してなり、
前記第2部分と前記第3部分との長さは、前記パケットの前記構造を定義する前記フィールドに示される、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記パケットの第3部分を、第3バーストで送信する工程、
を有してなり、
前記パケットの前記第2部分の長さは、前記パケットの前記第3部分の長さと同じである、
請求項8記載の方法。
【請求項16】
第1部分と、第2部分と、プリアンブルと、物理ヘッダと、データペイロードと、暗号と、を含むパケットを、超広帯域通信システムを用いて送信する方法であって、
前記方法は、
前記システムの送信手段が、
前記パケットの前記第1部分を、第1バーストで送信する工程と、
前記パケットの前記第2部分を、前記第1バーストから無音ギャップにより時間的に分離された第2バーストで送信する工程と、
を有してなり、
前記パケットの前記第1部分は、
前記プリアンブルと、前記物理ヘッダと、前記データペイロードの第1データペイロード選択部分と、前記暗号の第1暗号選択部分と、
の中から選択された少なくとも1を含み、
前記パケットの前記第2部分は、
前記データペイロードの第2データペイロード選択部分と、
前記暗号の第2暗号選択部分と、
の中から選択された少なくとも1を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記パケットの前記第1部分と前記第2部分との構成は、予め定義されている、
請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記パケットの前記第1部分は、
前記パケットの構造を定義するフィールド、
を備える、
請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記パケットの第3部分を、第3バーストで送信する工程、
を有してなり、
前記第2部分と前記第3部分との長さは、前記パケットの前記構造を定義する前記フィールド内に示される、
請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記パケットの第3部分を、第3バーストで送信する工程、
を有してなり、
前記第2部分の長さは、前記第3部分の長さと同じである、
請求項16記載の方法。
【請求項21】
前記パケットの前記第1部分の送信と、前記パケットの前記第2部分の送信と、の間に、同期シーケンスを送信しない工程、
を有してなる、
請求項16記載の方法。
【請求項22】
前記パケットの前記第2部分は、
前記暗号の前記第2暗号選択部分、
を含む、
請求項16記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、以下の出願に関連する。
1.仮出願第62/639,022号、2018年3月6日申請(第1特許仮出願)。
2.仮出願第62/667,909号、2018年5月7日申請(第2特許仮出願)
3.仮出願第62/695,140号、2018年7月8日申請(第3特許仮出願)
【0002】
本出願は、第1、第2、第3特許仮出願の優先権を主張し、それにより米国特許法施行規則第1.78条第(a)項(4)の規定に従い、それらの出願日の利益を主張する。
【0003】
第1、第2、第3特許仮出願の内容は、その全体が参照により明白に本出願に援用される。
【0004】
本発明は、概して、無線通信システムに関し、特に、性能が改良された無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0005】
以下の記述全般において、超広帯域(Ultra-Wideband:UWB)通信システムの分野で当業者に周知の特殊用語が初出した場合、その用語を斜体で表記(その用語を「 」内に表記)する。また、新規と思われる用語、または、新規と思われる文脈で用いられる用語を最初に示す場合、その用語を太字で表記(その用語を[ ]内に表記)すると共に、同用語に適用するつもりである定義を示す。また、本明細書全体を通じて、信号、信号フラグ、ステータスビット、または類似の装置を論理的に真または論理的に偽の状態にすることの表現について言及するとき、それぞれアサートまたはネゲートという用語を用いることがある。また、信号を一方の論理状態から他方の論理状態に論理反転することを示すとき、トグルという用語を用いることがある。また、相互に排他的なブール状態をlogic_0およびlogic_1として言及することがある。当然のことながら、周知のとおり、これら全ての信号の論理的意味を逆転することにより、本明細書において論理的に真と述べた信号が論理的に偽となる、およびその逆となるような一貫したシステムオペレーションが得られる。さらに、これらのシステムでは、各論理状態を表すためにどの特定の電圧レベルが選択されるかは、重要ではない。
【0006】
一例として、「超広帯域(UWB)」通信システムでは、「パケットベースのUWBチャネル」を介した「送信」のための「ペイロードデータ」を作成するために、一連の特別処理ステップが「UWB送信機」により実行される。「受信」時に、データペイロードを「回復」するために、対応する一連の逆ステップが「UWB受信機」により実行される。両者の一連の処理ステップの詳細はIEEE標準規格802.15.4と802.15.4a(標準規格)とに詳しく記載されており、そのコピーは本出願と併せて提出され、その全内容は参照により本明細書に明白に援用される。既知のとおり、これらの標準規格は、システムの「送信部(Tx)」と「受信部(Rx)」との両方の必要な機能について記載しているが、システムの送信部のみの実施の詳細を特定し、受信部を実施する方法の選択を実施者に委ねている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
本発明者らの1人以上は、UWB通信システムに用いる、ある特定の改良を開発してきた。それらの改良は、以下の係属中の出願、または、発行された特許に詳細に記載されている。その全体は、本願に明白に援用される。
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,636,397号「畳み込み符号化データを送受信する方法と装置」、2009年12月22日発行。
【0009】
【特許文献2】米国特許第7,787,544号「コードワードを生成する方法と装置」、2010年7月31日発行。
【0010】
【特許文献3】米国特許第8,358,709号「畳み込み符号化データを送受信する方法と装置」、2013年1月22日発行。
【0011】
【特許文献4】米国特許第8,437,432号「超広帯域通信システムに用いる受信機」、2013年5月7日発行。
【0012】
【特許文献5】米国特許第8,677,224号「通信システムに用いる畳み込み符号」、2014年3月18日発行。
【0013】
【特許文献6】米国特許第8,436,758号「超広帯域通信システムに用いる適応3値A/Dコンバータ」、2013年5月7日発行。
【0014】
【特許文献7】米国特許第8,760,334号「超広帯域通信システムに用いる受信機」、2014年6月24日発行。
【0015】
【特許文献8】米国特許第9,054,790号「超広帯域通信システムに用いる受信機」、2015年6月9日発行。
【0016】
【特許文献9】米国特許第9,325,338号「超広帯域通信システムに用いる適応3値A/Dコンバータ」、2016年4月26日発行。
【0017】
【特許文献10】国際出願番号EP2017/052564号「安全なチャネルサウンディング」、2017年2月6日申請。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
標準規格に準拠して、UWB通信システムは、既知の27Mbps「変調スキーマ」の実施形態を実装するように適合され得る。このスキーマに従い、現在定義されている最高データレートは、64MHzの「パルス繰返周波数(Pulse Repetition Frequency: PRF)」で6.8Mbpsである。本発明者らは、PRFをパケット内で変化させることが可能であり、かつ望ましい、と考える。
【0019】
一般的なUWB通信システムが「高速パルス(High Rate Pulse: HRP)」で動作するように適合されていても、パケット送信は「連続的」であり、「プリアンブル」と、「SFD」と、データと、さらに、場合によっては「暗号」とは、全て、連続送信において一緒に「連結」される。一般に、これは、「キャリア同期」を「獲得」し、「維持」することをより容易にする。しかしながら、受信機のいくつかの実装で実装困難を引き起こすにもかかわらず、本発明者らは、非連続的なパケットを有することは利点をもたらす、と考える。
【0020】
本発明者らは、可変PRFでパケットを送信するために、無線通信システムの受信機に用いられる改良された方法と装置とが必要とされている、と考える。さらに、本発明者らは、このような可変PRFパケットが非連続的に送信されるべきである、と考える。特に、本発明者らは、これらの方法と装置とが総じて最良の従来技術に匹敵する性能を提供し、パケットが非連続的に送信されることを可能にする、と考える。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、第1部分と第2部分とを含むパケットを送信するための、無線通信システムに用いる方法が提供される。この方法は、特に、選択された第1パルス繰返周波数(「PRF」)でパケットの第1部分を送信する工程と、第1PRFとは異なる選択された第2PRFでパケットの第2部分を送信する工程と、を実行するようにシステムの送信機機能を構成することを含む。さらに、この方法は、パケットを非連続的に送信する工程を実行するようにシステムを構成することを含む。
【0022】
さらに他の実施形態において、無線通信システムは、非連続的パケットを送信するための本発明の方法を実行するように構成される。
【0023】
本発明の方法は、適当な非一時的コンピュータ可読媒体におけるコンピュータ可読符号において実現されてもよく、プロセッサがコンピュータ可読符号を実行すると、同プロセッサは各方法を実行する。
【0024】
本発明の方法は、適当なコンピュータ可読媒体における非一時的コンピュータ可読符号において実現されてもよく、プロセッサがコンピュータ可読符号を実行すると、同プロセッサは各方法を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明は、添付図面と関連したある特定の好適な実施形態の説明により、より十分に理解される。
【0026】
図1図1は、UWB通信システムでの使用に適合された、送信機機能と受信機機能との両方を備える受信機の一実施形態を示すブロック図である。
【0027】
図2図2は、本発明の実施に適合された受信機機能の一実施形態を示すブロック図である。
【0028】
図3図3は、バーストプリアンブル(bursty preamble)を有する連続パケット送信シーケンスを線形時間形式で示す。
【0029】
図4図4は、集中プリアンブルを有する連続パケット送信シーケンスを線形時間形式で示す。
【0030】
図5図5は、非連続パケット送信シーケンスの第1例を線形時間形式で示す。
【0031】
図6図6は、非連続パケット送信シーケンスの第2例を線形時間形式で示す。
【0032】
図7図7は、非連続パケット送信シーケンスの第3例を線形時間形式で示す。
【0033】
図8図8は、非連続パケット送信シーケンスの第4例を線形時間形式で示す。
【0034】
図9図9は、非連続パケット送信シーケンスの第5例を線形時間形式で示す。
【0035】
図10図10は、非連続パケット送信シーケンスの第6例を線形時間形式で示す。
【0036】
図11図11は、非連続パケット送信シーケンスの第7例を線形時間形式で示す。
【0037】
図12図12は、非連続パケット送信シーケンスの第8例を線形時間形式で示す。
【0038】
図13図13は、非連続パケット送信シーケンスの第9例を線形時間形式で示す。
【0039】
図14図14は、本発明の実施に適合された畳み込み符号器の一実施形態のブロック図である。
【0040】
図15図15は、本発明にかかる開発されたチップシーケンスの一例のグラフ図である。
【0041】
各図において、同様の部品には、可能な限り同様の番号が付される。しかしながら、この操作は、単に参照の便宜のため、および、不要な番号の増加を避けるためのものであり、複数の実施形態において、本発明が機能または構造のいずれかにおいて同一性を必要とすることを暗示または示唆するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1には、UWB通信システムでの使用に適合された受信機10の一実施形態が例示され、受信機10は、送信機機能12と受信機機能14との両方を含む。図2には、本発明の実施に適合された受信機機能14の一実施形態が例示される。受信機10の構造と操作方法、および、送信機機能と受信機機能12-14に関する全詳細は、前述の1つまたは複数の特許に見出すことができる。
【0043】
本発明者らの第3特許仮出願において、本発明者らは、標準規格UWBパケットの異なる構成部品のPRFを変化させるための複数の方法を開示した。スライド11では、標準規格が64MHzの公称PRFで27Mbpsのデータレートをサポートする可能性について言及し、第1変形例であるV1では各バーストが2ナノ秒(ns)の区間を有する2つのパルスからなる。しかしながら、本発明者らは、スライド12では、高い「スペクトルピーク対平均比」(spectral peak to average ratio: SPAR)のために、このV1が望ましくないことについて留意されたい。そのため、本発明者らは、スライド13では、バースト当たりのパルスが2から8に増加される第2変形例であるV2を提案した。これまで実施されてきたシミュレーションの一部に基づいて、V2により次のいくつかの重要な利点が予測されることに留意されたい。
V1の性能よりも6dB優れた性能;
標準規格6.8Mbpsモードを超えるV1と同一の範囲(ピークアンテナ電圧が0.7vまで制限されていると仮定);
「フレーム」のTxとRxとのデータ部分の消費電力は標準の6.8Mbpsモードの1/4であること。
【0044】
本発明者らの第1特許仮出願において、本発明者らは、本発明の基礎を形成する本発明者らのシミュレーションの範囲と結果とを開示した。ここで、これらのシミュレーション研究を、本発明者らの第1特許仮出願を参照して要約する。
【0045】
本発明者らの[圧縮変調スキーマ(Compressed Modulation Schema: CMS)]によれば、「入力ビット」当たりの送信「チップ」数、したがって、送信「シンボル」当たりの送信チップ数は、標準規格で指定されている現行の最高「データレート」におけるlogic_1s、すなわち、64MHz PRFで6.8 Mbpsに等しい。しかしながら、本発明者らのCMSでは、データレートは、最高の標準規格データレートの4倍である。さらに、本発明者らのCMSに従い、既存の「連結誤り訂正符号」、すなわち、「Reed-Solomon(RS)」と「畳み込み」との両方は、保存され、修正されない。言い換えると、誤り訂正符号化方式と復号化方式との両方は、修正されない。修正されるものは、「畳み込み符号化」されたビットがTxにおいて送信「バースト」に「拡散」され、したがってRxにおいて「逆拡散」される方法である。
【0046】
【0047】
【0048】
なお、シーケンスの直交性は、スクランブリング後に保存される。さらに、式1の前述の2つのシーケンスの代わりに、任意の2つの2進(±1)直交シーケンスが使用可能であり、それらは、それぞれの「コンステレーションポイント(constellation point)」間の同一の「ユークリッド距離(Euclidian distances)」を提供するであろう。簡略化のために、これらの例が選択された。なお、使用されるシーケンスの長さは、直交性が維持される限り、例えば、データレート変更のために変更することも可能である。
【0049】
図15は、本発明者らの「Matlab(登録商標)テストベンチ」で生成されたチップシーケンスの一例を示す。この実施形態では、「物理ヘッダ(physical header: PHR)」および「物理層(physical layer: PHY)サービスデータユニット(service data unit: PSDU)」の両方が同じ圧縮変調フォーマットを使用する。
【0050】
【0051】
したがって、それらは、ビタビ復号器、「キャリアループフェーザ(carrier loop phasor)」などの入力として、これらのメトリックスの代わりに使用される。本発明者らのMatlab(登録商標)符号では、これは以下のように行われる。
これは、既存の逆スクランブラ(descrambler)のわずかな修正でおそらく十分であるため、ハードウェア内に2つの逆クランブラを実装する必要がないことを示唆する。
【0052】
圧縮データモードでは、全ての実施されたデータレートに既に使用されている1024nsのキャリアループサンプリング期間が保存されている。シンボル期間は32nsに等しいため、このモードは、シンボルのサンプルの回転のためにキャリアループの1024/32=32の滑らかな工程を使用する。
【0053】
完全を期するために、第2特許仮出願において本発明者らのCMS上で行われた研究のシミュレーションパラメータと性能結果とは、本明細書内に提供される。見て分かるとおり、本発明の27Mbps圧縮データモードの感度は、27MbpsのPHRエラーに大きく影響を受ける。しかしながら、PHRは、「SECDED符号」により、弱く「誤り保護」されることが知られている。PHRが850kbpsの8倍低いデータレートで送信されるため、この弱いPHR保護は6.8Mbpsモード感度にあまり影響を与えず、したがって、各シンボルは6.8MbpsのPSDUシンボルよりも8倍高いエネルギー(9dB)を有する。一方、圧縮モードPHRシンボルは、そのPSDUシンボルと同一のエネルギーを有する。SECDED符号化PHRを用いた場合と、「BCH(15,7)」符号化PHRを用いた場合との圧縮データレート性能を比較すると、BCH(15,7)符号の使用による影響が明確に分かり、0ppmおよび20ppmのCFOに対して約0.3dBだけ性能が改良される。他には、「BCH(31,11)符号」など、より強力な「2進ブロック符号」も考慮する必要がある。
【0054】
また、ハミング自由距離21の1/8畳み込み符号を用いて研究した(J.Proakis, Digital Communications, ser. Electrical engineering series. McGrawHill, 2001, p.495参照)。
この符号の二乗ユークリッド自由距離は84に等しく、2つの直交シーケンスを使用する任意の符号については80に等しい。したがって、理論的には、AWGNチャネル上でこの符号を使用することによる符号化利得の改良は以下のとおりである。

(式5)10log10(84/80)=0.21dB

符号は、既存の畳み込み符号器を介して生成することができるため、既存のビタビ複合器により最適に復号することもできる。ビタビメトリックスの算出方法のみが、変更される。
本発明者らの現行のMatlab(登録商標)テストベンチでは、上述の直交符号の使用と圧縮データモード用のこの符号の使用との間で切り替わる単一の共有「xml制御」が存在し、それはそのデフォルト値と共に以下に示される。
【0055】
本発明者らの第2特許仮出願の図10に示されるように、AWGNチャネル上のこの符号の10-2PERの性能は、直交符号の性能よりも概ね0.25dB良好である。これは、本発明者らの理論的予測と一致する。しかしながら、本発明者らの第2特許仮出願の図11に示されるように、IEEE CM1チャネル上の10-2PERの性能は、直交符号の性能よりも約0.5dB低下する。
【0056】
第2特許仮出願の4.2章に示されるその結果は、IEEE CM1モデルに基づき、トランクテストベンチ(trunk testbench)で実装された。しかしながら、このモデルは、チャネルモデル文書が規定するように完全には実装されなかった。すなわち、パスの位相は、ランダムではなく、全てゼロ(0)に設定された。さらに、チャネルモデル文書においてκパラメータで表されるチャネルの周波数選択性は、実装されなかった。そのため、本発明者らは、これらの効果の両方を含む新しいチャネルモデル実装を実行した。このようなIEEE CM上の2つの符号の性能比較は、第2特許仮出願に記載されている。
【0057】
要約すると、本発明者らのシミュレーション研究は、本発明者らの27MbpsのCMSを実装することが、標準規格6.8 Mbps方式に対して比較的小さい性能損失をもたらすことを示唆した。さらに、感度損失は、主に27MbpsのPHR受信エラーに起因することが観察された。これは、PHR誤り訂正のためにより強いブロック符号を使用することにより、少なくとも部分的に軽減され得る。この時点で、BCH(15,7)符号を考慮することが推奨される。しかし、本発明者らは、この改良は比較的重要ではないと予想する。
【0058】
しかしながら、シミュレーション研究を全体として考慮すると、「直交符号」と「Proakis符号」という2つの可能性のある符号の相対的パフォーマンスから、明確な勝者はいないと結論付けられる。一方で、「Proakis符号」は理論から予測されるように、AWGN上で感度を高める。他方で、「直交符号」は本発明者らが検討したIEEEマルチパスチャネルモデルの全てでより良好に機能する。したがって、これら2つの符号から選択する場合、実装の複雑さが決定的な要因であるはずだと結論付けられる。
【0059】
本発明者らはシミュレーション研究を完了したため、直交符号が多くの実施形態で役立ち得るProakis符号に比べて、さらなる利点を有すると結論付けた。例として、本発明者らの第3特許仮出願のスライド16とスライド17とにおいて、直交符号を使用して、「平均PRF」は、パケットの異なる部分の相対パラメータを最適化するように変化し得ることに留意されたい。標準規格では、平均PRFを変化させたが、ほんのわずか、例えば、数パーセント以内であった。この柔軟性により、例えば、「自動利得制御:(automatic gain control: AGC)」アルゴリズムの設計がより容易になった。フレーム全体にわたる類似のPRFでは、同じエネルギーレベルが単位時間当たりの受信機に到達するので、「利得パラメータ」は大きく変化しないであろう。可変PRFを導入することの1つの結果は、AGC受信機利得アルゴリズムが受信パルスを歪ませることなく、受信電力の突然の変化に適応するように設計されなければならないことである。PRFに変化が起こると、例え送信パルス振幅が変化しなくても、平均受信電力は変化するが、受信機はパルス振幅を維持するために利得を同一に維持するべきである。受信機がPRFにいつ変化が起こるかを知っている場合、受信機は、AGCアルゴリズムに、信号を受信する特定の時点で、利得を著しく変化させてはならないことを示すことができる。いくつかの実施形態では、「受信機ストリップ」内に複数の利得段がある。このような実施形態において、利得を著しく変化させないことに相当することは、ストリップ利得のうち1つを別のストリップ利得と反対方向に調整することである。
【0060】
いくつかの実施形態では、送信機がパケットの異なるセクションについてパルス振幅を変更することが有利である。これはPRFの変化に関連し得るが、それを行う別の理由は異なるセクションをよりロバストにするため、またはよりロバストにしないためである。このような場合、受信機は、信号の各部分のパルス間の振幅の差を知っていることが多く、受信機内で振幅を一定に維持する量だけ利得を変化させることができる。
【0061】
言い換えると、PRFがいつ変化するかを知っていれば、変化が起こる前に、利得(または全体的なストリップ利得)をフリーズさせることができる。または、パルス振幅が変化しようとしていることを知っていれば、AGCに自動的にそれを行わせるのではなく、既知の量だけ利得を明示的に変化させることができる。
【0062】
以下の例について考察する。
1.フレームは、通常、同期プリアンブルと、SFDと、(任意選択の)暗号シーケンスと、(任意選択の)データペイロードと、で構成される。一実施形態では、これらの部分の各々が実質的に異なるPRFを使用して送信されてもよい。例えば、同期プリアンブルは、「長さ-127」の「4a」標準規格「Ipatov」符号(「PRF64」)、または「長さ-31」Ipatov3値符号(本発明者らの第2特許仮出願、6ページの表2および7ページの表3を参照)と、100MHzの平均PRF、または異なる平均PRFを有する何らかの他の同期シーケンスと、から構成されてもよい。
2.暗号シーケンスが存在する場合、本発明者らの第2特許仮出願の章16.2.8.3に記載されているように、暗号シーケンスは、可変平均PRFを有し得て、2つの変形例が、62.4または121MHzのいずれかの平均PRFを用いて、考察される。
3.データペイロードも、可変平均PRFを有し得る。標準規格に準拠して、通常の「4a」データ変調モードでは平均PRF64 が使用される。しかしながら、平均ペイロードPRFをPRF256に増加させることにより(本発明者らの第2特許仮出願の章16.3.4参照)、またはPRF100、167または125を有する他の可能な変形例を使用することにより(本発明者らの第3特許仮出願のスライド11参照)、データペイロードパフォーマンスを向上させることが可能であることに留意されたい。
【0063】
フレームの部分間で異なるPRFを有することとは別に、フレームの異なる部分において異なるシンボル長を有することも有益である。例えば、ここでは、Ipatov-31プリアンブルがより短い248nsシンボルからなる。(平均PRF121を有する)圧縮された暗号シンボルが間にギャップが生じずに連続的に送信される場合、この暗号シーケンスは、任意の長さを有することができるシンボルからなるものとして扱い、処理することが可能である。例えば、64 1024nsのシンボルからなる暗号は、128 512nsのシンボルとして、または256 256nsのシンボルとして扱われてもよい。同様に、連続的に送信されるデータペイロードは、多くの可能な長さを有するシンボルからなるものとして処理されてもよい。一般に、異なるシンボル長を使用することの利点としては、例えば、「キャリア再生」と「タイミング追跡」とが挙げられ、一般に、より短いシンボルは、特に高い「キャリア周波数オフセット」を用いて、同期を獲得および追跡することをより容易にする。
【0064】
シンボルのより短い長さは、いくつかの処理アルゴリズムにおいて有益であり得る。例えば、より長いシンボルにおいては、高いCFOではシンボル間に非常に大きな「位相回転」が生じる。その結果、典型的なキャリア再生アルゴリズムは、同期に失敗する可能性がある。より短いシンボルを導入し、それによりシンボル当たりの位相回転を減少させ、この問題を低減させることが実証できる。より短いシンボルはまた、典型的にはシンボルごとに動作する他のアルゴリズムのより速い性能をもたらし得る。例えば、32*1016nsの代わりに、より短いIpatov-31を用いて、32*248nsで処理を終了することができる。これにより、フレームが短くなり、送信エネルギーと受信機処理に使用されるエネルギーとの両方が節約される。
【0065】
しかしながら、本発明者らは、フレーム全体にわたってより高いPRFを使用することが最善ではないことを提示する。例えば、初期同期プリアンブルの送信中、プリアンブル検出および同期中の通常のシステム感度は十分であり、一般にデータペイロード復調のシステム感度よりも高いので、(より高いPRFに関連して)エネルギー密度を大幅に増加させる必要はない。言い換えると、パケットの「ボトルネック」の間にPRFを増加させることはより意味がある。例えば、そのような「ボトルネック」の1つは、データ復調である。したがって、データ送信中により高いPRFを使用することは、データがうまく復調され得る範囲を増加させることにより、パケットの全ての部分のパフォーマンスを等化することを可能にする。
【0066】
さらに、本発明者らは、より高いPRFを使用することは、一般に、各ビットの送信に要する時間がより短い、最高ビットレートモードの間に特に有用であることを提示する。例えば、本発明者らの27Mbit/s方式は、6.8Mbit/s方式よりも4x短い時間で各ビットを送信する。一定のPRFが使用された場合、本発明者らの27Mbit/s方式は6.8Mbit/s方式よりもビット当たり4x少ないエネルギーを送信することができ、これにより、かなりの範囲の低減につながる。この場合、PRFを増加させることは、失われた性能を回復することに役立つ。
【0067】
前述のとおり、パケットのデータペイロード部分において、より高いPRFを使用することには、著しい利点がある。利点のひとつは、エアタイム(airtime)が短くなるため、送受信機のバッテリ節約になることである。しかしながら、「ファイル転送」や「ビデオストリーミング」などのいくつかの用途では、より高いビットレートとはるかに大きなデータペイロードとが必要になる。このような用途では、フレームは再び非常に長くなり、特に、PRFが増大すると、Txは規制上の制限に従って1ミリ秒(ms)当たりのパルス当たりの電力を低減することが要求される。その結果、非常に長いデータフレーム(または長い暗号)は、はるかに短い範囲を有する。
【0068】
(バッテリ節約のために)パケットをより短く保ち、依然として満足のいく範囲を有するために、本発明者らは、パケットを非連続的に送信することを提案する。パケットを連続的に送信することは、以下の大きな利点がある。
1.送信時間1ms当たりの固定Tx電力最大値に対する標準規格に記載されている「送信電力制限」を回避することに役立つ。しかしながら、パケットが複数の部分に分割され、数ミリ秒にわたって送信される場合、複数のTx電力制限を使用することができる。
2.非連続または「バースト」送信は、連続する送信バースト間の電力を節約するために、受信機をシャットダウンすることを可能にする。本発明者らには、パケットの時間の経過に伴ってパケットの送信を「伸ばす」、すなわち、低いPRFを用いて遅くしたり「広げたり」するよりも、「無音ギャップ」により分離された短いバーストを用いてパケットコンポーネントを送信する方が意味がある。理由は、ギャップの間に受信機をシャットダウンでき、したがって、電力の節約が可能となり、これは、特に「バッテリ駆動」受信機において重要である。そのため、図3に示される例では、送信機は、例えば100マイクロ秒(μs)の間連続的に動作し、次いで、900μsの間無音のままであり、次いで、100μsの間連続的な操作を再開し、次いで、900μsの間無音に戻ることができる。いくつかの実施形態では、図4に示されるように、バーストを集中させることができる。
3.最大Tx電力が問題にならない場合でも、非連続パケットは、例えば、コンデンサで支持されている小型バッテリで電力供給される製品では、非常に役立つ(小型バッテリ自体がUWB回路に十分に高いピーク電流を供給できないため、コンデンサがしばしば必要になる)。このような用途には、例えば、小型の「自動車用キーフォブ」、または他の小型のウェアラブルアイテムが含まれる。このような実施形態では、空間制限により、コンデンサ自体のサイズが制限される。小型バッテリと小型コンデンサとの組み合わせは、(UWB回路に電力を供給するために)非常に限られた時間だけ高電流を供給することができるので、本発明者らのバーストパケット構造では、次のバーストの前に、コンデンサを再充電するしばらくの時間が与えられる。
【0069】
図3図4とに示されるパケット構造の両方は、より長いチャネルの「インパルス応答」のラップアラウンド(wrap-around)を犠牲にして「コヒーレントプリアンブル(coherent preamble)検出」を容易にするため、短いIpatovプリアンブルシンボルを使用する。第2共通の特徴は、パケットのエネルギーが高エネルギーパルスを有する「アクティブ」期間に集中することであり、一方、「サイレント」期間はTxとRxとができるだけ多くのブロック、特にアナログのブロックをオフにし、電力を節約することを意図している。したがって、図3に示されるパケット構造は、任意の長さのパケットを可能にするが、図4に示されるパケット構造は、パケット長を所定の最大値を超えて増大させると、標準規格で設定された-41.3dBm/MHz制限を超えるレベルを有する「平均電力スペクトル」を生成することになるため、短いパケットのみを対象とする。一方、図3における同期は、プリアンブルが存在するか否かの単純な決定のみならず、予測される「バースト位置」を見つけることから、より長い「プリアンブル検出時間」を必要とするため、非常に複雑である。さらに、図3のTxと、特にRxとの「デューティサイクル」は、TxとRxとの一部が図4の場合よりもかなり頻繁にオン・オフする必要があるため、非常に効率が悪い。また、図3では、全てのプリアンブルバーストの前後に、より多くの「オン」時間が必要とされる。図3と比較して図4の上記利点の全てを考慮すると、その1つの欠点、すなわちパケットサイズの制限を緩和することが非常に有益であるように思われる。ここで、これを実現するためのアプローチについて考察する。
【0070】
主なアイデアは、集中パケットが通常の集中パケットの最大長以下の長さのチャンクに分割されることである。この最大長は、1ms以内に41.3dBm/MHz制限を満たす平均パワースペクトルレベルを生成する。チャンクの開始間の距離は、1msよりわずかに上でなければならない。このようにして、「パワースペクトル密度(power spectra density: PSD)」の1msウィンドウは、規定の制限を超えることは決してない。
【0071】
ここで、パケットの構造例、すなわち、可変PRFで送信可能なチャンクにパケットを分割する方法について考察する。Ipatovプリアンブルと、「フレーム開始デリミタ(start of frame delimiter: SFD)」と、「物理ヘッダ(physical header: PHR)」とは、同じチャンクで一緒に送信される必要があることは明らかである。PHRは、パケットの構造、すなわち、異なるフィールドの必要とされる長さに依る、異なるチャンクへの分割を規定するフィールドを含む必要がある。ペイロード長に応じて、Ipatovプリアンブル、SFD、およびPHRと同じチャンクにすることもできる。通常の集中パケットとは異なる部分は、「暗号」である。暗号は、図5に示されるように、別のチャンクになっている。2つのチャンクの始まりは、1msをわずかに超えて離れている。しかし、この構造は、暗号の長さを1つのチャンクに制限する。
【0072】
より長い暗号が必要とされる場合、考えられる1つのアプローチは、複数の暗号フィールドを有することである。その場合、図6に示されるように、各暗号フィールドは別々に「積算」され、処理される。なお、受信機機能14が次の暗号の開始前に終了するのに十分な時間を有するため、既存のアキュムレータのみが必要とされる。
【0073】
例えば、「ストリーミングアプリケーション」用の長いペイロードを有するパケットは、図7に示されるように、チャンクに分割されたペイロードを有する。一実施形態では、各チャンクに先行して、「タイミングおよび位相回復」のために「同期パイロット」が追加されてもよい。
【0074】
それぞれが全受信暗号エネルギーの一部しか含まない異なるアキュムレータ上で「チャネルインパルス応答解析」を実行することは、暗号全体が単一のアキュムレータに蓄積される場合と比較して、性能の劣化を引き起こすことが予想される。そのため、図8に示されるように、各暗号の前に任意の同期パイロットを使用することが考慮されるべきである。そのとき、そのような暗号フィールドは、単一のアキュムレータに一緒に蓄積されてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、パケットに関する前述の概念の混合が可能である。例えば、ペイロードは図9に示されるように、暗号の後に配置されてもよい。
【0076】
本発明のこれらの原理を適用することにより、平均送信電力を低減することなく、効率的な受信機デューティサイクルが可能となる。主な未決の課題は、パイロットフィールドの長さと構造とである。また、関連して、パイロットタイミングと位相同期とをどのようにして実施するかも課題である。一般に、受信機14は、パイロットフィールドを受信する前に、「キャリア周波数オフセット(carrier frequency offset:CFO)」推定値から数ns以内に正しいタイミングを推定できるはずである。同期を達成するための1つのアプローチは、「チャネル整合フィルタ(channel match filter: CMF)」の出力をパイロットシーケンスと相関させ、次いで、「キャリア/タイミングループ」を使用して相関を定期的に更新することである。
【0077】
本発明者らは、様々なバーストパターンが可能であることを確定したが、各々は独特の利点と欠点とを有する。先ず、Txバーストは、正確に同じ長さまたは内容を有する必要がないことに留意されたい。例えば、図3図4とでは、第1バーストは同期プリアンブルとデータペイロードとを含むことができ、後続のバーストは暗号シーケンスの一部を含むことができる。あるいは、図5のように、より長いデータペイロードの部分が含まれてもよい。
【0078】
タイミングパターンは、柔軟であってもよい。例えば、低速スイッチングは、各Txバーストが100μs持続し、その後に900μsの無音が続くように実施されてもよく、あるいは、より短いギャップ、例えば、50μs Tx/450μsのギャップがあってもよい。図4には、特に「密」なオン/オフ方式が示され、ここでTxは1μsの間オンであり、続いて7μsの間の無音となる。好ましくは、Txパターンが非常に柔軟であるべきであり(任意のTx時間/任意の無音ギャップ)、デューティサイクルも可変であるべきである。一般的に、ギャップが長くなると、スイッチングが容易になり、例えば小型バッテリを支持するコンデンサを再充電する時間が長くなる。しかしながら、より長いギャップはいくつかの再同期問題を引き起こす可能性があり、(図7と、図8と、図9とに示されるように)各バーストの前に追加の短いパイロットを必要とする場合がある。図10では、複数のデータペイロードの送信例が示されるが、余分なSYNCはない。一方、図11に示される例では、データペイロードの各チャンクの前にそれぞれのSYNCが先行する。図12に示される例では、データペイロードの最初のチャンクの送信の後に「ACK」リターンメッセージが続き、次いで、データペイロードの次のチャンクに進む。一方、図13に示される例では、ACKはデータペイロードの複数のチャンクの送信の後に続く。当然のことながら、他のパケット構造が構成されてもよく、全てが本発明により可能となる。
【0079】
特定の実施形態の文脈で本発明を説明してきたが、そのような実施形態において、当業者は、特定の実施態様に適合するために多くの変更を行ってもよいことを容易に理解するであろう。例えば、少ない労力で本発明を様々な通信方式での使用に適合させることができる。さらに、前述の数種の素子は、任意の種々の既知の半導体製造方法を用いて実現されてもよく、また一般に、この技術分野で既知のとおり、ハードウェア制御またはソフトウェア制御のいずれか、あるいは、それらの組み合わせの下で動作するように適合されてもよい。また、特殊用途受信装置の文脈で開示した数種の本発明の方法は、適当な非一時的コンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読符号において実現されてもよく、それにより汎用または特定用途向けコンピュータのプロセッサが該コンピュータ可読符号を実行すると、プロセッサは各方法を実行する。
【0080】
したがって、本発明者らが、無線通信システムのトランシーバに用いられる、可変PRFでパケットを送信するために複数の改良された方法と装置とを提供したことが明らかである。本発明者らは、さらに、パケットを非連続的に送信するための改良された方法と装置とを提供した。これまで本発明をパケットベースのUWB通信システムの文脈でのみ開示してきたが、本発明が、パケットベースであるか否かに関わらず、チャネルサウンディングを実行する他の種類の無線通信システムに広く適用可能であることは言うまでもない。さらに、本発明者らは、本発明の提供する性能は総じて最良の先行技術に匹敵するものであるが、それら先行技術の既知の実施態様よりも遥かに効率的である、と考える。
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