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特開2023-179658車両用クリーナシステムおよび車両用クリーナシステムを備える車両
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179658
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】車両用クリーナシステムおよび車両用クリーナシステムを備える車両
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/48 20060101AFI20231212BHJP
   B60S 1/62 20060101ALI20231212BHJP
   B60S 1/56 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B60S1/48 Z
B60S1/62 110B
B60S1/62 110A
B60S1/56 120B
B60S1/62 110C
B60S1/62 120B
B60S1/62 120C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175832
(22)【出願日】2023-10-11
(62)【分割の表示】P 2022136031の分割
【原出願日】2018-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2017115872
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017115873
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017115875
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017115877
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪井 健
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅之
(72)【発明者】
【氏名】河村 和貴
(72)【発明者】
【氏名】久保田 晃宜
(57)【要約】      (修正有)
【課題】洗浄媒体の使用量を抑えつつ、洗浄対象物の清浄度を維持可能なクリーナシステムを提供する。
【解決手段】車両用クリーナシステム100は、単一のポンプ112と、単一のポンプ112にそれぞれ接続され、車両の外部の情報を検出するセンサを含む異なる洗浄対象物を、洗浄媒体により洗浄する複数のクリーナ101~108と、信号の入力に応じて複数のクリーナ101~108を作動させるクリーナ制御部116と、を備えている。クリーナ制御部116は、複数のクリーナ101~108での洗浄方式が互いに異なるように、複数のクリーナ101~108を作動可能に構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウィンドウシールドを洗浄媒体により洗浄するウィンドウウォッシャと、
前記ウィンドウウォッシャに前記洗浄媒体を供給するための第一のポンプと、
車両の外部の情報を検出するセンサを前記洗浄媒体により洗浄するセンサクリーナと、
前記センサクリーナに前記洗浄媒体を供給するための第二のポンプと、を有し、
前記ウィンドウウォッシャと前記第一のポンプとの間を接続し前記洗浄媒体を前記ウィンドウウォッシャへ供給する第一の管路が、前記センサクリーナと前記第二のポンプとの間を接続し前記洗浄媒体を前記センサクリーナへ供給する第二の管路とは異なっている、車両用クリーナシステム。
【請求項2】
前記第一のポンプおよび前記第二のポンプを制御可能なクリーナ制御部をさらに有する、請求項1に記載の車両用クリーナシステム。
【請求項3】
前記センサクリーナからの前記洗浄媒体の噴射圧が、前記ウィンドウウォッシャからの前記洗浄媒体の噴射圧よりも高くなるように前記第一のポンプおよび前記第二のポンプが制御される、請求項1または2に記載の車両用クリーナシステム。
【請求項4】
前記第二の管路は、第一の管路よりも太い、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用クリーナシステム。
【請求項5】
前記第二の管路は、第一の管路よりも短い、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用クリーナシステム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車両用クリーナシステムを備えている、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄対象物を洗浄する車両用クリーナシステムおよび車両用クリーナシステムを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のヘッドランプクリーナが特許文献1などに知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開2016-187990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年は自動運転可能な車両の開発が試みられている。自動運転を実現するにあたっては、LiDARやカメラなどの車載センサの感度を良好に維持することが求められる。そこで、これらの車載センサを洗浄するためのセンサクリーナが求められている。車載センサ等の洗浄対象物の配置場所や種類によって適した洗浄方式が異なるが、これら複数の洗浄対象物に対してそれぞれ別個でポンプを設けると、システムが複雑となりコスト増となる。
【0005】
また、ヘッドランプやウィンドウシールドに加えて、各種センサを洗浄するために、多量の洗浄媒体が必要となるが、洗浄媒体の貯蔵量には限界がある。
【0006】
また、ヘッドランプを洗浄する他に、これらセンサを洗浄するクリーナが求められている。そこで本発明者は、洗浄液を噴射して洗浄対象物を洗浄するとともに、空気を噴射して洗浄対象物を洗浄するクリーナを検討した。
【0007】
本発明は、コストを抑えつつ、洗浄対象物ごとに適切な洗浄方式で洗浄可能な車両用クリーナシステムおよび車両用クリーナシステムを備える車両を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、洗浄媒体の使用量を抑えつつ、洗浄対象物の清浄度を維持可能なクリーナシステムを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、洗浄液と空気を噴射することができ、使い勝手の良い車両用クリーナシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の車両用クリーナシステムは、
単一のポンプと、
前記単一のポンプにそれぞれ接続され、車両の外部の情報を検出するセンサを含む異なる洗浄対象物を、洗浄媒体により洗浄する複数のクリーナと、
信号の入力に応じて前記複数のクリーナを作動させるクリーナ制御部と、を備え、
前記クリーナ制御部は、前記複数のクリーナでの洗浄方式が互いに異なるように、前記複数のクリーナを作動可能に構成されている。
【0011】
上記構成によれば、単一のポンプを用いて例えば配置場所や種類の異なる複数の洗浄対象物を洗浄する際に、クリーナごとに洗浄方式が異なる。このため、洗浄対象物ごとに別個のポンプを使用する場合に比べて、コストを抑えつつ、洗浄対象物ごとに適切な洗浄方式で洗浄することができる。
【0012】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記洗浄方式として、所定回数の前記信号の入力に応じた前記複数のクリーナの作動回数、前記洗浄媒体の噴射時間、噴射量、噴射圧、噴射面積の少なくとも一つが異なっていてもよい。
【0013】
例えば、上記のようにクリーナ制御部において洗浄方式を異ならせることで、洗浄対象物ごとに適切な洗浄方式かつ低コストで洗浄することができる。
【0014】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記クリーナは、前記センサを洗浄するセンサクリーナと、前記車両のウィンドウシールドを洗浄するウィンドウォッシャおよび前記車両のランプを洗浄するランプクリーナの少なくとも一方と、を含み、
前記クリーナ制御部は、前記センサクリーナの作動回数と、前記ウィンドウォッシャおよび前記ランプクリーナの少なくとも一方の作動回数との大小関係が変更可能に構成されていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、様々なシーンに対応して、センサクリーナの作動回数と、ウィンドウォッシャおよび/またはランプクリーナの作動回数との適した大小関係を選択することができる。
【0016】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記クリーナは、前記センサを洗浄するセンサクリーナと、前記車両のランプを洗浄するランプクリーナと、を含み、
前記センサクリーナでの前記洗浄媒体の噴射圧が前記ランプクリーナでの前記洗浄媒体の噴射圧よりも高くてもよい。
【0017】
求められる清浄度がランプよりも高いセンサに対して洗浄媒体をより高圧で吹き付けて洗浄することが好ましい。
【0018】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記センサクリーナには、前記洗浄媒体として洗浄液およびエアが供給可能であってもよい。
【0019】
洗浄液の残留が問題となりやすいセンサに対して、洗浄液とは別途でエアを噴射させることで、センサ表面への洗浄液の残留を確実に防ぐことができる。
【0020】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記クリーナは、検出方法または前記車両における搭載位置の少なくとも一つが互いに異なる複数の前記センサをそれぞれ洗浄する複数のセンサクリーナを含み、
前記クリーナ制御部は、複数の前記センサクリーナでの洗浄方式が互いに異なるように、前記複数のセンサクリーナを作動させてもよい。
【0021】
例えば、LiDARとカメラなど、検出方法が異なるセンサは求められるシーンが異なる場合が多い。また、センサの搭載位置によって汚れ方も異なる。そこで、センサの種類ごとに洗浄方式を異ならせることで、特定のシーンに応じたセンサごとに清浄度を維持しやすくなる。
【0022】
また、本発明の別の例に係る車両用クリーナシステムは、
単一のポンプと、
前記単一のポンプにそれぞれ接続され、車両の外部の情報を検出するセンサを含む異なる洗浄対象物を、洗浄媒体により洗浄する複数のクリーナと、
前記洗浄媒体の種類、前記洗浄媒体の噴射形状、前記複数のクリーナのノズル形状、ワイパーの有無、チェックバルブの有無、前記洗浄対象物の配置場所の少なくとも一つが異なっている。
【0023】
例えば、上記のように洗浄方式を異ならせることで、洗浄対象物ごとに適切な洗浄方式かつ低コストで洗浄することができる。
【0024】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記クリーナは、前記センサを洗浄するセンサクリーナを含み、
前記センサクリーナは、前記洗浄媒体の流路を変化させるフルイディクス機構を備えていてもよい。
【0025】
フルイディクス機構を備えることで、センサに対して高圧で洗浄媒体を噴射しつつ広範囲を洗浄することができる。
【0026】
また、上記目的を達成するために、本発明の車両用クリーナシステムは、
車両のウィンドウシールドを洗浄媒体により洗浄するウィンドウウォッシャと、
前記ウィンドウウォッシャに前記洗浄媒体を供給するための第一のポンプと、
車両の外部の情報を検出するセンサを前記洗浄媒体により洗浄するセンサクリーナと、
前記センサクリーナに前記洗浄媒体を供給するための第二のポンプと、を有し、
前記ウィンドウウォッシャと前記第一のポンプとの間を接続し前記洗浄媒体を前記ウィンドウウォッシャへ供給する第一の管路が、前記センサクリーナと前記第二のポンプとの間を接続し前記洗浄媒体を前記センサクリーナへ供給する第二の管路とは異なっている。
【0027】
本発明のクリーナシステムによれば、ウィンドウウォッシャとセンサクリーナとで管路を異ならせることにより、洗浄対象物に応じて例えば洗浄媒体の噴射圧や噴射時間、噴射回数等の洗浄方式を変更することができる。そのため、洗浄対象物ごとに適切な洗浄方式で洗浄可能となる。
【0028】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記第一のポンプおよび前記第二のポンプを制御可能なクリーナ制御部をさらに有してもよい。
【0029】
この構成によれば、各ポンプを統一制御することで、クリーナ制御処理が容易となる。
【0030】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記センサクリーナからの前記洗浄媒体の噴射圧が、前記ウィンドウウォッシャからの前記洗浄媒体の噴射圧よりも高くなるように前記第一のポンプおよび前記第二のポンプが制御されてもよい。
【0031】
求められる清浄度がウィンドウシールドよりも高いセンサに対して洗浄媒体をより高圧で吹き付けて洗浄することが好ましい。
【0032】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記第二の管路は、第一の管路よりも太くてもよい。
【0033】
この構成によれば、簡便な構成でセンサに対して洗浄媒体をより高圧で吹き付けて洗浄することができる。
【0034】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記第二の管路は、第一の管路よりも短くてもよい。
【0035】
この構成によれば、簡便な構成でセンサに対して洗浄媒体をより高圧で吹き付けて洗浄することができる。
【0036】
上記目的を達成するために、本発明の車両用クリーナシステムは、
洗浄対象物を洗浄するための車両用クリーナシステムであって、
前記洗浄対象物の洗浄対象面に洗浄媒体を噴射して前記洗浄対象面を洗浄するクリーナと、
複数の領域を含む前記洗浄対象面において、前記複数の領域の少なくとも一つに対する洗浄強度と他の領域に対する洗浄強度とを異ならせるように、前記クリーナを作動するクリーナ制御部と、を有する。
【0037】
本開示のクリーナシステムによれば、洗浄対象面のうち洗浄すべき領域に対して効率的に洗浄媒体を噴射させることができるため、洗浄媒体を節約しつつ、洗浄対象物の清浄度を維持することができる。
【0038】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記洗浄強度を異ならせることは、前記洗浄媒体の噴射回数、噴射時間、噴射量、噴射圧、噴射面積の少なくとも一つを異ならせることを含んでもよい。
【0039】
この構成によれば、洗浄対象面の領域に応じて洗浄方式を異ならせることで、洗浄効率を高めることができる。
【0040】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記複数の領域のうちどの領域に汚れがあるかを検知する汚れ検知部を、さらに備え、
前記クリーナ制御部は、前記汚れ検知部の出力に応じて、前記洗浄強度を変更してもよい。
【0041】
この構成によれば、汚れが検知された部分にのみ洗浄媒体を噴射させることができるため、洗浄媒体を節約しつつ、例えば洗浄対象の領域に対する洗浄媒体の噴射圧を高めることができる。これにより洗浄効率を向上させ、洗浄対象物の清浄度を維持することができる。
【0042】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記複数の領域は、前記洗浄対象面の左右方向において分割された各領域により構成されていてもよい。
【0043】
上記のように洗浄対象領域が分割されていることが好ましい。
【0044】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記クリーナは、前記洗浄媒体を噴射する少なくとも一つの開口部を備えたノズルを有し、
前記少なくとも一つの開口部は、前記複数の領域の各々に向くように、その向きが変更可能であってもよい。
【0045】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記クリーナは、前記洗浄媒体を噴射する複数の開口部を備えたノズルを有し、
前記複数の開口部は、前記複数の領域の各々に対応して配置されていてもよい。
【0046】
また、本発明の車両用クリーナシステムにおいて、
前記クリーナは、前記洗浄媒体を噴射する複数のノズルを有し、
前記複数のノズルの各々は、前記洗浄対象物の左右方向と上方の少なくとも三方に配置されていてもよい。
【0047】
これらの構成によれば、洗浄対象領域を簡便に変更することができる。
【0048】
また、本発明の一側面に係る車両用クリーナシステムは、
車両のウィンドウ、ランプおよび車外情報を取得可能なセンサの少なくとも一つである車両部品を洗浄するクリーナと、
前記クリーナを作動させる駆動制御部を有し、
前記クリーナは、
空気を前記車両部品に噴射するエアノズルと、
洗浄液を前記車両部品に噴射するリキッドノズルを有し、
前記駆動制御部は、前記エアノズルと前記リキッドノズルを作動させる第一信号と、前記エアノズルを作動させて前記リキッドノズルを作動させない第二信号のみが入力されるように構成されている。
【0049】
また、本発明の車両用クリーナシステムを備える車両は、
上記いずれかの構成を有する車両用クリーナシステムを備えている。
【0050】
上記構成によれば、車両に搭載された洗浄対象物ごとに別個のポンプを使用する場合に比べて、コストを抑えつつ、洗浄対象物ごとに適切な洗浄方式で洗浄することができる。
【0051】
また、上記構成によれば、洗浄媒体の使用量を抑えつつ、洗浄対象物の清浄度を維持することができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明の車両用クリーナシステムおよび当該車両用クリーナシステムを備える車両によれば、洗浄対象物ごとに別個のポンプを使用する場合に比べて、コストを抑えつつ、洗浄対象物ごとに適切な洗浄方式で洗浄することができる。
【0053】
本発明の車両用クリーナシステムおよび当該車両用クリーナシステムを備える車両によれば、洗浄媒体の使用量を抑えつつ、洗浄対象物の清浄度を維持することができる。
【0054】
本発明の一側面によれば、洗浄液と空気を噴射することができ、使い勝手の良い車両用クリーナシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】車両用クリーナシステムを搭載した車両の上面図である。
図2】車両システムのブロック図である。
図3】車両用クリーナシステムのブロック図である。
図4】車両用クリーナシステムの第1の実施例に係る動作を説明するためのタイミングチャートである。
図5】車両用クリーナシステムの第2の実施例に係る動作を説明するためのタイミングチャートである。
図6】車両用クリーナシステムの第3の実施例に係る動作を説明するためのタイミングチャートである。
図7】車両用クリーナシステムの第4の実施例に係る動作を説明するためのタイミングチャートである。
図8】第5の実施例に係る車両用クリーナシステムが備えるクリーナノズルによる洗浄液の噴射方式を説明するための模式図である。
図9】第5の実施例に係る車両用クリーナシステムが備えるクリーナノズルによる洗浄液の噴射方式を説明するための模式図である。
図10図9に示すクリーナノズルの内部構造を示す断面図である。
図11】車両用クリーナシステムの第6の実施例に係るブロック図である。
図12】車両用クリーナシステムの第6の実施例に係る動作を説明するためのタイミングチャートである。
図13】車両用クリーナシステムの第7の実施例に係るブロック図である。
図14】車両用クリーナシステムの第8から第11の実施例に係るブロック図である。
図15】第8の実施例に係る車両用クリーナシステムの模式図である。
図16】センサと、センサに洗浄液を噴射する第9の実施例に係るセンサクリーナとを示す模式図である。
図17A】第9の実施例に係るセンサクリーナの動作例を示す図である。
図17B】第9の実施例に係るセンサクリーナの動作例を示す図である。
図18】センサと、センサに洗浄液を噴射する第10の実施例に係るセンサクリーナとを示す模式図である。
図19】第10の実施例に係るセンサクリーナの動作例を示す図である。
図20】センサと、センサに洗浄液を噴射する第11の実施例に係るセンサクリーナとを示す模式図である。
図21】第11の実施例に係るセンサクリーナの動作例を示す図である。
図22】第12の実施例および第13の実施例に係るクリーナシステムを搭載した車両の上面図である。
図23図22のクリーナシステムのブロック図である。
図24】第12の実施例に係るクリーナシステムのブロック図である。
図25】第12の実施例に係るクリーナシステムのフローチャートである。
図26】第13の実施例に係るクリーナシステムのブロック図である。
図27】第13の実施例に係るクリーナシステムのフローチャートである。
図28】第14の実施例に係るクリーナシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0057】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、図1に示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。
【0058】
図1は、本実施形態に係る車両用クリーナシステム100(以降、クリーナシステム100と称す)が搭載された車両1の上面図である。車両1は、クリーナシステム100を備えている。本実施形態において、車両1は自動運転モードで走行可能な自動車である。
【0059】
まず、図2を参照して車両1の車両システム2について説明する。図2は、車両システム2のブロック図を示している。図2に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、内部センサ5と、外部センサ6と、ランプ7と、HMI8(Human Machine Interface)と、GPS9(Global Positioning System)と、無線通信部10と、地図情報記憶部11とを備えている。さらに、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備えている。
【0060】
車両制御部3は、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。車両制御部3は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、各種車両制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、各種車両制御データが一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)とにより構成されている。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されている。車両制御部3は、車両1の走行を制御するように構成されている。
【0061】
内部センサ5は、自車両の情報を取得可能なセンサである。内部センサ5は、例えば、加速度センサ、速度センサ、車輪速センサ及びジャイロセンサ等の少なくとも一つである。内部センサ5は、車両1の走行状態を含む自車両の情報を取得し、該情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
内部センサ5は、運転者が運転席に座っているかどうかを検出する着座センサ、運転者の顔の方向を検出する顔向きセンサ、外部天候状態を検出する外部天候センサ及び車内に人がいるかどうかを検出する人感センサ等をさらに備えてもよい。さらに、内部センサ5は、車両1の周辺環境の照度を検出する照度センサを備えていてもよい。
【0062】
外部センサ6は、自車両の外部の情報を取得可能なセンサである。外部センサは、例えば、カメラ、レーダ、LiDAR等の少なくとも一つである。外部センサ6は、車両1の周辺環境(他車、歩行者、道路形状、交通標識、障害物等)を含む自車両の外部の情報を取得し、該情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
カメラは、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラは、可視光を検出するカメラや、赤外線を検出する赤外線カメラである。
レーダは、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ又はレーザーレーダ等である。
LiDARとは、Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Rangingの略語である。LiDARは、一般にその前方に非可視光を出射し、出射光と戻り光とに基づいて、物体までの距離、物体の形状、物体の材質、物体の色などの情報を取得するセンサである。
【0063】
ランプ7は、車両1の前部に設けられるヘッドランプやポジションランプ、車両1の後部に設けられるリヤコンビネーションランプ、車両の前部または側部に設けられるターンシグナルランプ、歩行者や他車両のドライバーに自車両の状況を知らせる各種ランプなどの少なくとも一つである。
【0064】
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイである。
【0065】
GPS9は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車の走行情報を他車から受信すると共に、車両1の走行情報を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。地図情報記憶部11は、地図情報が記憶されたハードディスクドライブ等の外部記憶装置であって、地図情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0066】
車両1が自動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号のうち少なくとも一つを自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、自動運転モードでは、車両1の走行は車両システム2により自動制御される。
【0067】
一方、車両1が手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダル及びステアリングホイールに対する運転者の手動操作に従って、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を生成する。このように、手動運転モードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号が運転者の手動操作によって生成されるので、車両1の走行は運転者により制御される。
【0068】
次に、車両1の運転モードについて説明する。運転モードは、自動運転モードと手動運転モードとからなる。自動運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードとからなる。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御のうち一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両1を運転する。一方、手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2の運転支援なしに運転者が車両1を運転する。
【0069】
また、車両1の運転モードは、運転モード切替スイッチを操作することで切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、運転モード切替スイッチに対する運転者の操作に応じて、車両1の運転モードを4つの運転モード(完全自動運転モード、高度運転支援モード、運転支援モード、手動運転モード)の間で切り替える。また、車両1の運転モードは、自動運転車が走行可能である走行可能区間や自動運転車の走行が禁止されている走行禁止区間についての情報または外部天候状態についての情報に基づいて自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、これらの情報に基づいて車両1の運転モードを切り替える。さらに、車両1の運転モードは、着座センサや顔向きセンサ等を用いることで自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、着座センサや顔向きセンサからの出力信号に基づいて、車両1の運転モードを切り替える。
【0070】
図1に戻り、車両1は、外部センサ6として、前LiDAR6f、後LiDAR6b、右LiDAR6r、左LiDAR6lを有している。前LiDAR6fは車両1の前方の情報を取得するように構成されている。後LiDAR6bは車両1の後方の情報を取得するように構成されている。右LiDAR6rは車両1の右方の情報を取得するように構成されている。左LiDAR6lは車両1の左方の情報を取得するように構成されている。
【0071】
なお、図1に示した例では、前LiDAR6fは車両1の前部に設けられ、後LiDAR6bは車両1の後部に設けられ、右LiDAR6rは車両1の右部に設けられ、左LiDAR6lは車両1の左部に設けられた例を示しているが、本発明はこの例に限られない。例えば車両1の天井部に前LiDAR、後LiDAR、右LiDAR、左LiDARがまとめて配置されていてもよい。
【0072】
車両1は、ランプ7として、右ヘッドランプ7rと左ヘッドランプ7lを有している。右ヘッドランプ7rは車両1の前部のうちの右部に設けられ、左ヘッドランプ7lは車両1の前部のうちの左部に設けられている。右ヘッドランプ7rは左ヘッドランプ7lよりも右方に設けられている。
【0073】
車両1は、ウィンドウシールドとして、フロントウィンドウ1fとリヤウィンドウ1bを有している。
【0074】
車両1は、クリーナシステム100を有している。クリーナシステム100は、車室の外に設けられた洗浄対象物を洗浄する、すなわち、これらの洗浄対象物に付着する水滴や泥や塵埃等の異物を、洗浄媒体を用いて除去するシステムである。本実施形態において、クリーナシステム100は、前ウィンドウウォッシャノズル(以降、前WWノズルと称す)101、後ウィンドウウォッシャノズル(以降、後WWノズルと称す)102、前LiDARクリーナノズル(以降、前LCノズルと称す)103、後LiDARクリーナノズル(以降、後LCノズルと称す)104、右LiDARクリーナノズル(以降、右LCノズルと称す)105、左LiDARクリーナノズル(以降、左LCノズルと称す)106、右ヘッドランプクリーナノズル(以降、右HCノズルと称す)107、左ヘッドランプクリーナノズル(以降、左HCノズルと称す)108を有する。
【0075】
前WWノズル101は、フロントウィンドウ1fの洗浄に利用可能である。後WWノズル102は、リヤウィンドウ1bの洗浄に利用可能である。前LCノズル103は、前LiDAR6fを洗浄可能である。後LCノズル104は、後LiDAR6bを洗浄可能である。右LCノズル105は、右LiDAR6rを洗浄可能である。左LCノズル106は、左LiDAR6lを洗浄可能である。右HCノズル107は、右ヘッドランプ7rを洗浄可能である。左HCノズル108は、左ヘッドランプ7lを洗浄可能である。
【0076】
図3は、クリーナシステム100のブロック図である。クリーナシステム100は、ノズル101~108の他に、タンク111、ポンプ112(単一のポンプの一例)、操作部115、制御部116(クリーナ制御部の一例)を有している。本実施形態において、各々のノズル101~108は洗浄液を洗浄対象に向かって吐出可能に構成されている。
【0077】
ノズル101~108は、ポンプ112を介してタンク111に接続されている。ポンプ112は、タンク111に貯留された洗浄液を、ノズル101~108にそれぞれ送る。
【0078】
操作部115は、車両1のユーザが操作可能な装置である。操作部115は、ユーザの操作に伴って信号を出力し、この信号は制御部116に入力される。例えば操作部115は、車室内部に設けられたスイッチなどで構成することができる。
【0079】
各々のノズル101~108には、ノズルを開状態にさせて洗浄液を洗浄対象に吐出させるアクチュエータが設けられている。各々のノズル101~108に設けられたアクチュエータは、制御部116に電気的に接続されている。また、制御部116は、ポンプ112、操作部115、車両制御部3にも電気的に接続されている。
【0080】
例えば制御部116にフロントウィンドウ1fを洗浄させる信号が入力された場合には、制御部116はポンプ112を作動させてタンク111から前WWノズル101に洗浄液を送り、前WWノズル101のアクチュエータを作動させて前WWノズル101から洗浄液を吐出させる。
【0081】
本実施形態において、制御部116は、ノズル101~108(異なる洗浄対象物を洗浄するための複数のクリーナ)での洗浄方式が互いに異なるように、ノズル101~108を作動可能に構成されている。制御部116の制御によりノズル101~108における洗浄方式を相異らせる方法について、第1の実施例~第4の実施例を例示して以下説明する。
【0082】
(第1の実施例)
図4は、クリーナシステム100の第1の実施例に係る動作(作動モードA)を説明するためのタイミングチャートである。
制御部116にフロントウィンドウ1fを洗浄させる信号が入力された場合には、制御部116は、ポンプ112を作動させてタンク111から前WWノズル101に洗浄液を送り、前WWノズル101のアクチュエータを作動させて前WWノズル101から洗浄液を吐出させるとともに、タンク111から各LCノズル103~105、および各HCノズル107,108に洗浄液を送り、これらのノズル103~108のアクチュエータを作動させて各ノズル103~108から洗浄液を吐出させる。すなわち、制御部116は、前WWノズル101から洗浄液を吐出させるのと連動して、各LCノズル103~106および各HCノズル107,108から洗浄液を吐出させる。なお、フロントウィンドウ1fを洗浄させる信号が入力された場合に、制御部116は、前WWノズル101とともに後WWノズル102から洗浄液を吐出させてもよい。このとき、制御部116は、入力された作動信号の回数(入力回数)に対するノズル101~108の作動回数が洗浄対象物の種類に応じて相異なるように各ノズルのアクチュエータを作動させる。
【0083】
例えば、図4に示す作動モードAは、車両が自動運転モードのうち完全自動運転モードや高度運転支援モードで運転されている場合に適した作動モードである。この場合、制御部116は、作動信号の入力に対してLCノズル103~106の作動回数をWWノズル101,102やHCノズル107,108の作動回数よりも多くするように各ノズルのアクチュエータの作動を制御する。具体的には、例えば、制御部116は、LCノズル103~106のアクチュエータを作動信号4回あたり4回作動させ、一方で、WWノズル101,102のアクチュエータおよびHCノズル107,108のアクチュエータを作動信号4回あたり2回作動させる。この作動モードAは、車両が自動運転で運転されており、且つ車両の周囲が明るい(昼間の)場合に特に適している。
【0084】
車両が完全自動運転モードや高度運転支援モードで運転されている場合には、各LiDAR6f,6b,6r,6lの感度が落ちないように、これらのセンサの清浄度を保つことが重要となる。一方で、タンク111の容量には限界があり、洗浄液の使用量はできるだけ節約することが求められる。そこで、第1の実施例においては、作動信号の入力に対してLCノズル103~106の作動回数をWWノズル101,102やHCノズル107,108の作動回数よりも多くするように制御することで、WWノズル101,101、LCノズル103~106、HCノズル107,108を同じ作動回数で作動させた場合に比べて、洗浄液を節約しつつ各LiDAR6f,6b,6r,6lの感度を保つことができる。
【0085】
なお、本実施例では、LCノズル103~106の作動回数がWWノズル101,102やHCノズル107,108の作動回数よりも多くなるように制御されればよく、作動信号の入力に対する各ノズルの作動回数は図4に示す例に限られない。例えば、WWノズル101,102の作動回数とHCノズル107,108の作動回数とを異ならせてもよい。車両が自動運転モード(完全自動運転モード、高度運転支援モード)で運転されており、且つ、車両の周囲が暗い(夜間の)場合には、左右のヘッドランプ7r,7lの点灯によりLiDAR(例えば、LiDAR6f,6r,6l)の感度を維持する必要がある場合がある。そのため、左右のヘッドランプ7r,7lについても比較的高い清浄度が求められる。したがって、この場合は、HCノズル107,108の作動回数をWWノズル101,102の作動回数よりも多くすることが好ましい。また、前WWノズル101の作動回数と後WWノズル102の作動回数とを異ならせてもよく、作動信号の入力に対してWWノズル101,102のうちいずれか一方のみを作動させてもよい。
【0086】
(第2の実施例)
図5は、クリーナシステム100の第2の実施例に係る動作(作動モードB)を説明するためのタイミングチャートである。例えば、図5に示す作動モードBは、車両が運転支援モードで運転されている場合に適した作動モードである。この場合、制御部116は、作動信号の入力に対してWWノズル101,102の作動回数をLCノズル103~106の作動回数よりも多くするとともに、LCノズル103~106の作動回数をHCノズル107,108の作動回数よりも多くするように、各ノズルのアクチュエータの作動を制御する。具体的には、例えば、制御部116は、WWノズル101,102のアクチュエータを作動信号4回あたり4回作動させ、LCノズル103~106のアクチュエータを作動信号4回あたり2回作動させ、HCノズル107,108のアクチュエータを作動信号4回あたり1回作動させる。
【0087】
車両が運転支援モードで運転されている場合には、運転者の前方視界や後方視界を良好に保つために、フロントウィンドウ1fおよびリヤウィンドウ1bの清浄度を保つことが重要となる。また、運転者の視界を確保しつつ、各LiDAR6f,6b,6r,6lの感度を維持することも求められる。そのため、図5に示す例のような作動回数とすることで、洗浄液を節約しつつフロントウィンドウ1fおよびリヤウィンドウ1bの清浄度やLiDAR6f,6b,6r,6lの感度を保つことできる。
【0088】
(第3の実施例)
図6は、クリーナシステム100の第3の実施例に係る動作(作動モードC)を説明するためのタイミングチャートである。例えば、図6に示す作動モードCは、車両が手動運転モードで運転されており、且つ昼間の場合に適した作動モードである。この場合、制御部116は、作動信号の入力に対してWWノズル101,102の作動回数をHCノズル107,108の作動回数よりも多くするとともに、HCノズル107,108の作動回数をLCノズル103~106の作動回数よりも多くするように、各ノズルのアクチュエータの作動を制御する。具体的には、例えば、制御部116は、WWノズル101,102のアクチュエータを作動信号4回あたり4回作動させ、HCノズル107,108のアクチュエータを作動信号4回あたり2回作動させ、LCノズル103~106のアクチュエータを作動信号4回あたり1回作動させる。
【0089】
車両が手動運転モードで運転されており、且つ昼間である場合には、運転者の前方視界や後方視界を良好に保つために、フロントウィンドウ1fと、リヤウィンドウ1bの清浄度を保つことが重要となる。一方で、左右ヘッドランプ7r,7lから出射される光の照度を保つ必要性は低く、また、LiDAR6f,6b,6r,6l等により車両の外部の情報を取得する必要はない。そのため、第2の実施例においては、図6に示す作動回数とすることで、洗浄液を節約しつつフロントウィンドウ1fおよびリヤウィンドウ1bや左右ヘッドランプ7r,7lの清浄度を保つことできる。
【0090】
なお、本実施例においては、WWノズル101,102の作動回数がLCノズル103~106やHCノズル107,108の作動回数よりも多くなるように制御されればよく、作動信号の入力に対する各ノズルの作動回数は図6に示す例に限られない。例えば、LCノズル103~106の作動回数とHCノズル107,108の作動回数とは同一であっても良い。
【0091】
(第4の実施例)
図7は、クリーナシステム100の第4の実施例に係る動作(作動モードD)を説明するためのタイミングチャートである。例えば、図7に示す作動モードDは、車両が手動運転モードで運転されており、且つ夜間の場合に適した作動モードである。この場合、制御部116は、作動信号の入力に対してHCノズル107,108の作動回数をWWノズル101,102の作動回数よりも多くするとともに、WWノズル101,102の作動回数をLCノズル103~106の作動回数よりも多くするように、各ノズルのアクチュエータの作動を制御する。具体的には、例えば、制御部116は、HCノズル107,108のアクチュエータを作動信号4回あたり4回作動させ、WWノズル101,102のアクチュエータを作動信号4回あたり2回作動させ、LCノズル103~106のアクチュエータを作動信号4回あたり1回作動させる。
【0092】
車両が手動運転モードで運転されており、且つ夜間である場合には、車両の前方視界を良好に保つために、左右ヘッドランプ7r,7lから出射される光の照度を保つことが最優先される。また、左右ヘッドランプ7r,7lにより照らされる前方視界を運転者が良好に視認可能とするためにフロントウィンドウ1fやリヤウィンドウ1bの清浄度を保つことも求められる。一方で、LiDAR6f,6b,6r,6l等により車両の外部の情報を取得する必要性はない。そのため、第2の実施例においては、図7に示す作動回数とすることで、洗浄液を節約しつつ左右ヘッドランプ7r,7lやフロントウィンドウ1fの清浄度を保つことできる。
【0093】
上記第1の実施例から第4の実施例で説明したように、本クリーナシステム100において、制御部116は、WWノズル101,102の作動回数と、LCノズル103~106の作動回数と、HCノズル107,108の作動回数との大小関係が変更可能となるように構成されている。すなわち、本クリーナシステム100では、複数の運転モードに対応して、LCノズル103~106の作動回数と、WWノズル101,102および/またはHCノズル107,108の作動回数との適した大小関係を選択することができる。このように、様々なシーンに適したように本クリーナシステム100を作動させることができるため、本クリーナシステム100の使い勝手が高められている。また、単一のタンク111および単一のポンプ112により、洗浄対象物がそれぞれ異なるWWノズル101,102、LCノズル103~106、およびHCノズル107,108に洗浄液を吐出させることができるため、システムが簡便化されコストを抑えることができる。
【0094】
なお、ノズル101~108で洗浄方式を相異ならせる方法としては、第1~第4の実施例において説明したようなノズル101~108で作動回数を異ならせる方法に限られない。例えば、制御部116は、ノズル101~108において、洗浄媒体の噴射時間、噴射量、噴射圧、噴射面積等を相異ならせても良い。具体的には、例えば、制御部116は、前LCノズル103、後LCノズル104、右LCノズル105、および左LCノズル106での洗浄媒体の噴射圧が、右HCノズル107および左HCノズル108での洗浄媒体の噴射圧よりも高くなるように設定する。自動運転モードの場合、LiDAR6f,6b,6r,6lの方が、左右ヘッドランプ7r,7lよりも高い清浄度が求められる。そのため、これらのLiDAR6f,6b,6r,6lに対して洗浄液をより高圧で吹き付けて洗浄することが好ましい。
【0095】
(第5の実施例)
ノズル101~108で洗浄方式を相異ならせる方法としては、上記の各実施例において説明したような制御部116による制御により洗浄方式を異ならせる方法に限られない。以下、洗浄方式を相異ならせる方法の別の例として、ノズルからの洗浄液の噴射方式を異ならせる手法について図8図10を参照して説明する。
【0096】
図8および図9は、クリーナシステム100が備えるクリーナノズルからの洗浄液の噴射方式を説明するための模式図である。図8は、HCノズルによる噴射方式を示す図であり、図9は、LCノズルによる噴射方式を示す図である。図8では、HCノズル107,108のうち右HCノズル107を例示している。また、図9ではLC103~106のうち前LCノズル103を例示している。
【0097】
図8に示すように、例えば、右HCノズル107は、略扇状の開口部107aを備えている。この開口部107aからは、洗浄液が放射状に噴射される。ここで、開口部107aから洗浄液の噴射方向において所定の位置までの距離L(mm)における洗浄液の噴射幅をα(mm)とする。
【0098】
一方、図9に示す前LCノズル103は、フルイディクス式ノズル(拡散噴射ノズル)として構成されている。フルイディクス式ノズルとは、流体の流れを干渉させてその方向を偏向させて制御を行うノズルである。フルイディクス式ノズルとしての前LCノズル103は、図9に示すように、洗浄液の流路を偏向させることで、洗浄液の噴射方向を左右に変化させることができる。
【0099】
具体的には、図10に示すように、前LCノズル103は、その内部にノズルチップ(拡散流体素子)130としての構成を有している。ノズルチップ130には、流路131と、発振室132と、一対のフィードバック流路133,134と、拡散噴射口135とが形成されている。発振室132は流路131に連続して形成されており、流路131からの洗浄液が供給される。一対のフィードバック流路133,134は、発振室132の左右にそれぞれ設けられている。フィードバック流路133,134は、発振室132の出口側において発振室132に開口する入口133A,134Aと、発振室132の入口側において発振室132に開口する出口133B、134Bとを有している。これにより、フィードバック流路133,134は、流路131から発振室132へ送給された洗浄液の一部を、各入口133A、134Aから各出口133B、134Bへとそれぞれ分岐して案内し再び発振室132へ戻すように構成されている。すなわち、洗浄液はフィードバック流路133,134によりそれぞれフィードバックして流通される。これにより、フィードバック流路133,134に案内された洗浄液がいわゆる「フィードバック制御流」となって発振室132を流れる洗浄液を自励発振させ、拡散噴射口135から洗浄液を左右に振動させて拡散噴射させることができる。このように、前LCノズル103がフルイディクス式のノズルチップ130を備えることで、LiDAR6fに対して洗浄液を左右に振動させながら高圧で噴射することができる。
【0100】
ここで、図9に示すように、拡散噴射口135から洗浄液の噴射方向において所定の位置までの距離L(mm)における洗浄液の噴射幅をβ(mm)とする。前LCノズル103の噴射幅βは、右HCノズル107の噴射幅αよりも短くなるように設定されていることが好ましい。これにより、前LCノズル103は、右HCノズル107に比べて、洗浄液をより高圧で噴射させることができる。
【0101】
(第6の実施例)
図11は、第6の実施例に係るクリーナシステム200のブロック図である。クリーナシステム200は、ノズル101~108やタンク111、ポンプ112等の他に、前LiDARクリーナエアノズル203(以降、前LCエアノズル203と称す)、後LiDARクリーナエアノズル204(以降、後LCエアノズル204と称す)、右LiDARクリーナエアノズル205(以降、右LCエアノズル205と称す)、左LiDARクリーナエアノズル206(以降、左LCエアノズル206と称す)、エアポンプ212を有している。
【0102】
前LCエアノズル203、後LCエアノズル204、右LCエアノズル205、左LCエアノズル206は、圧縮空気生成装置212に接続されている。圧縮空気生成装置212は外部から取り込んだ空気(エア)を圧縮し、圧縮空気を各LCエアノズル203~206にそれぞれ送る。
【0103】
前LCエアノズル203は、前LCノズル103の近傍に設けられ、前LiDAR6fに向けて圧縮空気を噴射可能である。後LCエアノズル204は、後LCノズル104の近傍に設けられ、後LiDAR6bに向けて圧縮空気を噴射可能である。右LCエアノズル205は、右LCノズル105の近傍に設けられ、右LiDAR6rに向けて圧縮空気を噴射可能である。左LCエアノズル206は、左LCノズル106の近傍に設けられ、左LiDAR6lに向けて圧縮空気を噴射可能である。
【0104】
図12は、クリーナシステム200の動作(作動モードE)を説明するためのタイミングチャートである。例えば、図12に示す作動モードEは、車両が完全自動運転モードや高度運転支援モードで運転されている場合に適した作動モードである。本実施例において、制御部116は、第1の実施例に係る作動モードAと同様に、LCノズル103~104の作動回数をWWノズル101,102やHCノズル107,108の作動回数よりも多くするとともに、LCノズル103~106の作動後にLCエアノズル203~206を作動させる。例えば、制御部116は、LCノズル103~106による洗浄液の噴射が完了した後に、圧縮空気生成装置212を作動させ、LCエアノズル203~206による圧縮空気の噴射を開始することが好ましい。
【0105】
このように、クリーナシステム200は、LiDAR6f,6b,6r,6lには、洗浄液とともに圧縮空気が供給可能となるように構成されている。LiDAR6f,6b,6r,6lに洗浄液が残留した場合、車両外部の情報を適切に取得できなくなり、自動運転時の安全性が損なわれる可能性がある。そこで、洗浄液の残留が問題となりやすいLiDAR6f,6b,6r,6l等の外部センサに対して、洗浄液とは別途で圧縮空気を噴射させることで、センサ表面への洗浄液の残留を確実に防ぐことができる。
【0106】
洗浄方式を相異させる手法としては、上記の実施例に挙げられた手法の他に、洗浄液の種類、ワイパーの有無、チェックバルブの有無を異ならせる手法を採用することができる。
【0107】
(第7の実施例)
上述した実施形態では、ノズル101~108がタンク111に接続されている構成を例示したが、本実施形態はこれに限られない。
図13は、第7の実施例に係るクリーナシステム100A,100Bに係るブロック図である。
図13に示すように、クリーナシステム100Aは、前WWノズル101、前LCノズル103、右LCノズル105、左LCノズル106、右HCノズル107、左HCノズル108、前タンク111A、前ポンプ112A(単一のポンプの一例)、制御部116A(クリーナ制御部の一例)を有している。前WWノズル101、前LCノズル103、右LCノズル105、左LCノズル106、右HCノズル107、左HCノズル108は、前ポンプ112Aを介して前タンク111Aに接続されている。前ポンプ112Aは、前タンク111Aに貯留された洗浄液を、ノズル101,103,105~108にそれぞれ送る。
【0108】
また、クリーナシステム100Bは、後WWノズル102、後LCノズル104、後タンク113、後ポンプ114(単一のポンプの一例)、制御部116B(クリーナ制御部の一例)を有している。後WWノズル102と後LCノズル104は、後ポンプ114を介して後タンク113に接続されている。後ポンプ114は、後タンク113に貯留された洗浄液を後WWノズル102と後LCノズル104にそれぞれ送る。
【0109】
図13に示すように、車両1の前部と後部とでクリーナシステムを分けて構成してもよい。この場合にも、制御部116Aは、前WWノズル101の作動回数と、LCノズル103,105~106の作動回数と、HCノズル107,108の作動回数との大小関係が変更可能となるように構成されている。また、制御部116Bは、後WWノズル102の作動回数と、後LCノズル104の作動回数との大小関係が変更可能となるように構成されている。これにより、それぞれ単一のポンプ112A,114を備えた各クリーナシステム100A,100Bは、様々なシーンに適したように作動させることができるため、システムが簡素化されるとともにその使い勝手が高められている。
【0110】
ノズル101~108がそれぞれ互いに異なるタンクに接続されていてもよい。あるいは、ノズル101~108が、その洗浄対象の種類ごとに共通のタンクに接続されていてもよい。例えば、LiDAR用のノズル105~108が共通の第一タンクに接続され、ランプ用のノズル107,108が、第一タンクと異なる第二タンクに接続されるように構成してもよい。
あるいは、ノズル101~108が、その洗浄対象の配置位置ごとに共通のタンクに接続されていてもよい。例えば、前WWノズル101と前LCノズル103が共通の前タンクに接続され、右LCノズル105と右HCノズル107が共通の右タンクに接続され、後WWノズル102と後LCノズル104が共通の後タンクに接続され、左LCノズル106と左HCノズル108が共通の左タンクに接続されるように構成してもよい。
これらの場合にも、単一のポンプにより、洗浄対象物に応じて各ノズル101~108での洗浄方式が互いに異なるように、これらのノズル101~108を作動可能に構成させることで、使い勝手の良いクリーナシステムを提供することができる。
【0111】
本実施形態では、車両の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、手動運転モードとを含むものとして説明したが、車両の運転モードは、これら4つのモードに限定されるべきではない。車両の運転モードは、これら4つのモードの少なくとも1つを含んでいてもよい。例えば、車両の運転モードは、完全自動運転モードのみを含んでいてもよい。
【0112】
さらに、車両の運転モードの区分や表示形態は、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って適宜変更されてもよい。同様に、本実施形態の説明で記載された「完全自動運転モード」、「高度運転支援モード」、「運転支援モード」のそれぞれの定義はあくまでも一例であって、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って、これらの定義は適宜変更されてもよい。
【0113】
上述した実施例では、クリーナシステム100を自動運転可能な車両に搭載した例を説明したが、クリーナシステム100は自動運転不可能な車両に搭載してもよい。
【0114】
上述した実施例では、外部センサを洗浄するノズルとして、LiDARを洗浄するノズル103~106を説明したが、本発明はこれに限られない。クリーナシステム100は、カメラを洗浄するノズル、レーダを洗浄するノズルなどを、ノズル103~106の代わりに有していてもよいし、ノズル103~106とともに有していてもよい。また、検出方法の異なる複数の外部センサ(例えば、LiDARとカメラ)や車両1における搭載位置が互いに異なる複数の外部センサ(例えば、前LiDARと後LiDAR)に対して、それぞれ対応する複数のセンサクリーナ(センサクリーナノズル)を含んでいた場合に、制御部116は、複数のセンサクリーナでの洗浄方式が互いに異なるように、これらのセンサクリーナを作動させてもよい。LiDARとカメラなど、検出方法が異なる外部センサは求められるシーンが異なる場合が多い。そこで、外部センサの種類ごとに洗浄方式を異ならせることで、特定のシーンに応じたセンサごとに清浄度を維持しやすくなる。
【0115】
なお、LiDARなどの外部センサは、検出面と、検出面を覆うカバーを有していることがある。外部センサを洗浄するノズルは、検出面を洗浄するように構成されていてもよいし、センサを覆うカバーを洗浄するように構成されていてもよい。
【0116】
クリーナシステム100が吐出する洗浄媒体は、空気や水、あるいは洗剤を含む洗浄液などを含む。フロント・リヤウィンドウ、ヘッドランプ、LiDARのそれぞれに吐出する洗浄媒体は、相異なっていてもよいし、同じでもよい。
【0117】
また上述した実施例では、ノズル101~108に設けられたアクチュエータを作動させることによりノズル101~108から洗浄媒体を吐出させる例を説明したが、本発明はこれに限られない。
ノズル101~108のそれぞれに常閉バルブが設けられており、タンクとノズル101~108との間が常に高圧となるようにポンプが作動されており、ノズル101~108に設けられたバルブを制御部116が開けることにより、ノズル101~108から洗浄媒体を吐出させるように構成してもよい。
【0118】
ノズル101~108には、洗浄媒体を吐出する1つ以上の吐出穴が設けられている。ノズル101~108は、洗浄液を吐出する1つ以上の吐出穴と、空気を吐出する1つ以上の吐出穴とが設けられていてもよい。
【0119】
各々のノズル101~108は、それぞれ個別に設けてもよいし、複数をユニット化して構成してもよい。例えば、右LCノズル105と右HCノズル107を単一のユニットとして構成してもよい。右ヘッドランプ7rと右LiDAR6rとが一体化された態様に対して、右LCノズル105と右HCノズル107を単一のユニットとして構成するとよい。
【0120】
また、上記の実施例では、制御部116への作動信号の入力は、ユーザが操作するスイッチなどの操作部115から出力される信号に基づいているが、例えば車両の各部に搭載された汚れセンサが汚れを検出したときに出力する信号が制御部116に入力されるように構成されていてもよい。
あるいは、汚れセンサが汚れを検出したときに出力する信号が車両制御部3(ECUまたは自動運転制御部)に入力され、車両制御部3から各種クリーナノズルの少なくとも一つを作動させる信号が制御部116に入力されるように構成されていてもよい。
センサが汚れを検出したときに出力する信号が車両制御部3に入力され、車両制御部3から各種クリーナの少なくとも一つを作動させる信号が各種クリーナに入力されるように構成されていてもよい。この場合には、制御部116が車両制御部3の一部として実装される。
【0121】
図14は、第8の実施例から第11の実施例に係るクリーナシステム1100のブロック図である。クリーナシステム1100は、ノズル1101~1108の他に、前タンク1111、前ポンプ1112、後タンク1113、後ポンプ1114、操作部1115、制御部1116(クリーナ制御部の一例)、を有している。本実施例において、各々のノズル1101~1108は洗浄液を洗浄対象に向かって吐出可能に構成されている。
【0122】
前WWノズル1101、前LCノズル1103、右LCノズル1105、左LCノズル1106、右HCノズル1107、左HCノズル1108は、前ポンプ1112を介して前タンク1111に接続されている。前ポンプ1112は前タンク1111に貯留された洗浄液を、前WWノズル1101、前LCノズル1103、右LCノズル1105、左LCノズル1106、右HCノズル1107、左HCノズル1108に送る。
【0123】
後WWノズル1102と後LCノズル1104は、後ポンプ1114を介して後タンク1113に接続されている。後ポンプ1114は後タンク1113に貯留された洗浄液を後WWノズル1102と後LCノズル1104に送る。
【0124】
操作部1115は、車両1のユーザが操作可能な装置である。操作部1115は、ユーザの操作に伴って信号を出力し、この信号は制御部1116に入力される。例えば操作部1115は、車室内部に設けられたスイッチなどで構成することができる。
【0125】
各々のノズル1101~1108には、ノズルを開状態にさせて洗浄液を洗浄対象に吐出させるアクチュエータが設けられている。各々のノズル1101~1108に設けられたアクチュエータは、制御部1116に電気的に接続されている。また、制御部1116は、前ポンプ1112、後ポンプ1114、操作部1115、車両制御部3にも電気的に接続されている。
【0126】
例えば制御部1116にフロントウィンドウ1fを洗浄させる信号が入力された場合には、制御部1116は前ポンプ1112を作動させて前タンク1111から前WWノズル1101に洗浄液を送り、前WWノズル1101のアクチュエータを作動させて前WWノズル1101から洗浄液を吐出させる。
【0127】
(第8の実施例)
図15は、第8の実施例に係るクリーナシステム1100の模式図である。
図15に示すように、前タンク1111には、前ポンプ1112の例として、複数のポンプ(WW用前ポンプ1112A、LC・HC用前ポンプ1112B)が取り付けられている。WW用前ポンプ1112A(第一のポンプの一例)は、前WWノズル1101に洗浄液を供給するためのポンプであり、例えば、前タンク1111の後方側に設けられている。LC・HC用前ポンプ1112B(第二のポンプの一例)は、前LCノズル1103、右LCノズル1105、左LCノズル1106、右HCノズル1107、および左HCノズル1108に洗浄液を供給するためのポンプであり、例えば前タンク1111の前方側に設けられている。
【0128】
WW用前ポンプ1112Aと前WWノズル1101との間は、管路1120(第一の管路の一例)で接続されている。また、LC・HC用前ポンプ1112Bと前LCノズル1103、右LCノズル1105、左LCノズル1106との間、および、LC・HC用前ポンプ1112Bと右HCノズル1107、左HCノズル1108との間は管路1122(第二の管路の一例)でそれぞれ接続されている。管路1122の途中には、第二の管路1122をLCノズル1103,1105,1106側とHCノズル1107,1108側とに分岐させる分岐部1124が設けられている。分岐部1124の内部には切替弁1126が設けられている。切替弁1126は、制御部1116に接続されており、制御部1116からの信号を受信して、管路1122を流通する洗浄液を、LCノズル1103,1105,1106側の管路1122Aに流入させる場合と、HCノズル1107,1108側の管路1122Bに流入させる場合とで適宜切り替えることができる。この場合、LCノズル1103,1105,1106から洗浄液を噴射させている間は、HCノズル1107,1108からは洗浄液は噴射されない(逆も同様である)。なお、切替弁1126を設けず、LC・HC用前ポンプ1112Bが作動した場合には常にLCノズル1103,1105,1106側の管路1122AとHCノズル1107,1108側の管路1122Bとの双方に流入させる構成としてもよい。
【0129】
ここで、前タンク1111から各LCノズル1103,1105,1106や各HCノズル1107,1108に洗浄液を供給する管路1122(1122A,1122Bを含む)は、前タンク1111から前WWノズル1101に洗浄液を供給する管路1120よりも太いものであることが好ましい。また、LCノズル側の管路1122は、WWノズル側の管路1120よりも短くなるように構成されていることが好ましい。すなわち、管路1120の長さよりも、管路1122の長さ(具体的には、LC・HC用前ポンプ1112Bから各LCノズル1103,1105,1106までの長さ)が短くなるように設定されていることが好ましい。
【0130】
WW用前ポンプ1112AおよびLC・HC用前ポンプ1112Bは、制御部1116に接続されている。制御部1116は、例えば、各LCノズル1103,1105,1106から噴射される洗浄液の噴射圧が、前WWノズル1101から噴射される洗浄液の噴射圧よりも高くなるように、WW用前ポンプ1112AおよびLC・HC用前ポンプ1112Bを制御する。また、制御部1116は、噴射圧の制御に加えて、あるいは噴射圧の制御に代えて、洗浄液の噴射時間や噴射回数等などを前WWノズル1101と各LCノズル1103,1105,1106とで異ならせるように、WW用前ポンプ1112AおよびLC・HC用前ポンプ1112Bを制御することもできる。この場合、制御部1116は、各LCノズル1103,1105,1106から噴射される洗浄液の噴射時間を前WWノズル1101から噴射される洗浄液の噴射時間よりも長くしたり、各LCノズル1103,1105,1106から噴射される洗浄液の噴射回数を前WWノズル1101から噴射される洗浄液の噴射回数よりも多くすることが好ましい。
【0131】
なお、WW用前ポンプ1112AおよびLC・HC用前ポンプ1112Bを制御するポンプ制御部を制御部1116とは別個で設け、車両制御部3または制御部1116からの信号を受信することにより、ポンプ制御部がWW用前ポンプ1112AおよびLC・HC用前ポンプ1112Bによる洗浄液の噴射圧や噴射時間、噴射回数等を制御することとしてもよい。
【0132】
また、図示は省略するが、後ポンプ1114は、複数のポンプ(WW用後ポンプ、LC用後ポンプ)を含み、WW用後ポンプとLC用後ポンプは後タンク1113の異なる位置に取り付けられている。WW用後ポンプと後WWノズル1102との間を連結する管路は、LC用後ポンプと後LCノズル1104との間を連結する管路とは別個で設けられており、後LCノズル1104側の管路は、後WWノズル1102側の管路よりも太く、および/または、短くなるように構成されていることが好ましい。また、WW用後ポンプおよびLC用後ポンプは、制御部1116に接続され、制御部1116は、後LCノズル1104からの洗浄液の噴射圧が、後WWノズル1102からの洗浄液の噴射圧よりも高くなるように、WW用後ポンプおよびLC用後ポンプを制御することが好ましい。
【0133】
ところで、車両が自動運転モード(特に、完全運転モードおよび高度運転支援モード)で運転される場合、各LiDAR6f,6b,6r,6lの感度を良好に維持することが求められる。従って、この場合は、LiDAR6f,6b,6r,6lの方がフロントウィンドウ1f、リヤウィンドウ1b、およびヘッドランプ7r,7lよりも求められる清浄度が高い。
【0134】
そこで、第8の実施例のクリーナシステム1100においては、前WWノズル1101とWW用前ポンプ1112Aとの間を接続し洗浄液を前タンク1111から前WWノズル1101へ供給する管路1120を、各LCノズル1103,1105,1106とLC・HC用前ポンプ1112Bとの間を接続し洗浄液を前タンク1111から各LCノズル1103,1105,1106へ供給する管路1122と異ならせる(別個に設ける)ように構成されている。また、後WWノズル1102とWW用後ポンプとの間を接続し洗浄液を後タンク1113から後WWノズル1102へ供給する管路を、後LCノズル1104とLC用後ポンプとの間を接続し洗浄液を後タンク1113から後LCノズル1104へ供給する管路と異ならせるように構成されている。これにより、例えば、WWノズル1101,1102とLCノズル1103~1106とで洗浄液の噴射圧や、噴射時間、噴射回数等を異ならせることができるため、洗浄対象物ごとに適切な洗浄方式で洗浄可能となる。また、本クリーナシステム1100では、タンクを洗浄対象物ごとに設ける必要がないため、システムを簡素化できるとともにコストを削減することができる。
【0135】
なお、これらの管路が例えば円管の場合、Lを管路の長さとし、dを管径とし、ρを密度とし、流速をvとすると、圧力損失は次式(1)で示される。なお、λは管摩擦係数である。(式1)
・・・式(1)
【0136】
上記の式(1)によれば、管路の長さLが長いと圧力損失ΔPが大きくなる。一方、管路の長さLが短いと圧力損失ΔPが小さくなる。また、管径dが大きいと圧力損失ΔPが小さくなり、管径dが小さいと圧力損失ΔPが大きくなる。そこで、本クリーナシステム1100においては、各LCノズル1103~1106に洗浄液を供給する管路(例えば、管路1122)の方が、各WWノズル1101,1102等に洗浄液を供給する管路(例えば、管路1120)よりも太く、および/または、短くなるようにしている。これにより、各LCノズル1103~1106から、各WWノズル1101,1102よりも、洗浄液を高圧で噴射させることができる。
【0137】
また、上述の通り、制御部1116による前ポンプ1112(WW用前ポンプ1112AおよびLC・HC用前ポンプ1112B)および後ポンプ1114(WW用後ポンプおよびLC用後ポンプ)の制御により、各LCノズル1103~1106からLiDAR6f,6b,6r,6lに対してより高圧で洗浄液を噴射させることもできる。
【0138】
上述した第8から第11の実施例では、ノズル1101,1103,1105~1108が前タンク1111に接続され、ノズル1102,1104が後タンク1113に接続された構成を説明したが、この例に限られない。例えば、ノズル1101~1108が単一のタンクに接続されていてもよい。この場合にも、各LCノズル1103~1106とタンクとの間を接続する管路を、WWノズル1101,1102と当該タンクとの間を接続する管路とは別個に設け、LCノズル側の管路がWWノズル側の管路よりも太くおよび/または短くなるように構成する。
【0139】
あるいは、ノズル1101~1108が、その洗浄対象の配置位置ごとに共通のタンクに接続されていてもよい。例えば、前WWノズル1101と前LCノズル1103が共通の前タンクに接続され、右LCノズル1105と右HCノズル1107が共通の右タンクに接続され、後WWノズル1102と後LCノズル1104が共通の後タンクに接続され、左LCノズル1106と左HCノズル1108が共通の左タンクに接続されるように構成してもよい。この場合にも、例えば、共通の前タンクと前WWノズル1101との間を接続する管路と、共通の前タンクと前LCノズル1103との間を接続する管路とを異ならせるとともに、前LCノズル1103側の管路が前WWノズル1101側の管路よりも太くおよび/または短くなるように構成する。さらに、共通の後タンクと後WWノズル1102との間を接続する管路と、共通の後タンクと後LCノズル1104との間を接続する管路とを異ならせるとともに、後LCノズル1104側の管路が後WWノズル1102側の管路よりも太くおよび/または短くなるように構成する。
【0140】
あるいは、ノズル1101~1108のそれぞれがそれぞれ個別のポンプに接続されており、それぞれのポンプを個別に制御部1116が制御することにより、ノズル1101~1108からの洗浄媒体の吐出を制御するように構成してもよい。この場合、ノズル1101~1108のそれぞれが相異なるタンクに接続されていてもよいし、共通のタンクに接続されていてもよい。この場合にも、ポンプとWWノズルとの間を接続する管路と、ポンプとLCノズルとの間を接続する管路とを異ならせるとともに、LCノズル側の管路がWWノズル側の管路よりも太くおよび/または短くなるように構成することが好ましい。
【0141】
上述した実施例では、外部センサを洗浄するノズルとして、LiDARを洗浄するノズル1103~1106を説明したが、本発明はこれに限られない。クリーナシステム1100は、カメラを洗浄するノズル、レーダを洗浄するノズルなどを、ノズル1103~1106の代わりに有していてもよいし、ノズル1103~1106とともに有していてもよい。また、検出方法の異なる複数の外部センサ(例えば、LiDARとカメラ)や車両1における搭載位置が互いに異なる複数の外部センサ(例えば、前LiDARと後LiDAR)に対して、それぞれ対応する複数のセンサクリーナ(センサクリーナノズル)を含んでいた場合に、制御部1116は、複数のセンサクリーナとポンプとの間の管路が互いに異なるようにしてもよい。LiDARとカメラなど、検出方法が異なる外部センサは求められるシーンが異なる場合が多い。そこで、外部センサの種類ごとに管路を異ならせることで、洗浄液の噴射圧や噴射時間、噴射回数などを異ならせることができ、特定のシーンに応じたセンサごとに清浄度を維持しやすくなる。
【0142】
(第9の実施例)
図16は、LiDARと、LiDARに洗浄液を噴射するLCノズルの実施例(第9の実施例)とを示す模式図である。図16においては、複数のLiDAR6f,6b,6r,6lのうち前LiDAR6fを例示して、前LCノズル2103とともに図示する。
前LiDAR6fは、例えば、図16に示すような横長矩形状の洗浄対象面Pを有している。前LCノズル2103は、前LiDAR6fの洗浄対象面Pに対して可動式となるように取り付けられている。すなわち、前LCノズル2103は、不図示の可動装置により回転軸2103Sを中心に回転角θ内で回転可能に構成されている。なお、前LCノズル2103の本体部分は固定し、開口部2103Aの部分のみ回転可能に構成されていてもよい。
【0143】
前LiDAR6fの近傍には、前LiDAR6fの洗浄対象面Pの汚れの有無を検知するための汚れセンサ2130(汚れ検知部の一例)が設けられている。汚れセンサ2130は、制御部2116と接続されており、前LiDAR6fの洗浄対象面Pの汚れを検知した場合、制御部2116に対して汚れ信号を送信する。汚れセンサ2130は、前LiDAR6fの洗浄対象面Pを複数の領域に区画し、どの領域に汚れが付着しているかを検知することができる。具体的には、洗浄対象面Pは、その左右方向において、右領域R1、中央領域R2、左領域R3の3つの領域に区画されている。
【0144】
制御部2116は、汚れセンサ2130から受信した汚れ信号に基づいて、洗浄対象面Pの複数の領域R1~R3のうち汚れが付着していると判定された領域に前LCノズル2103の開口部2103Aが向くように、前LCノズル2103を可動させる。例えば、複数の領域R1~R3のうち右領域R1に汚れが付着していると判定された場合には、図17Aに示すように、制御部2116は前LCノズル2103の開口部2103Aが右領域R1に向くように、前LCノズル2103を回転軸2103Sを中心に回転させ、前LCノズル2103から洗浄液を右領域R1に向けて噴射する。また、右領域R1および左領域R3に汚れが付着していると判定された場合には、制御部2116は、前LCノズル2103の開口部2103Aがまずは右領域R1に向くように前LCノズル2103を回転させて前LCノズル2103から洗浄液を右領域R1に向けて噴射した後に、図17Bに示すように、前LCノズル2103の開口部2103Aが左領域R3に向くように前LCノズル2103を回転させて、前LCノズル2103から洗浄液を左領域R3に向けて噴射する。このように、制御部2116は、前LiDAR6fの洗浄対象面Pの複数の領域R1~R3のうち汚れが付着していた領域、すなわち、洗浄すべき領域のみに対して洗浄液を噴射させることができる。すなわち、制御部2116は、複数の領域R1~R3のうち洗浄対象の領域に対する洗浄強度と洗浄対象ではない領域に対する洗浄強度とを異ならせるように、可動式の前LCノズル2103を作動させる。これにより、洗浄対象面Pのうち洗浄すべき領域に対して効率的に洗浄液を噴射させることができるため、洗浄液を節約しつつ、洗浄対象物である前LiDAR6fの清浄度を維持することができる。
【0145】
また、汚れセンサ2130は、洗浄対象面Pに付着した汚れの度合い(汚れ度)を検知し、汚れ度情報を含む汚れ信号を制御部2116に送信することも可能である。この場合、複数の領域R1~R3のうち洗浄対象の領域に対する洗浄強度と洗浄対象ではない領域に対する洗浄強度とを異ならせる手法の一例として、制御部2116は、汚れセンサ2130から受信した汚れ度情報に基づいて、洗浄対象面Pの各領域における汚れ度に応じて、前LCノズル2103からの洗浄液の噴射圧や噴射時間、噴射回数を異ならせることもできる。例えば、汚れセンサ2130において右領域R1の汚れ度が左領域R3の汚れ度よりも高いと判定された場合には、制御部2116は、右領域R1に対する前LCノズル2103からの洗浄液の噴射圧を左領域R3に対する洗浄液の噴射圧よりも高くすることができる。同様に、制御部2116は、右領域R1への洗浄液の噴射時間を長くしたり、洗浄液の噴射回数を多くしたりすることもできる。
【0146】
なお、複数の領域R1~R3のいずれにも汚れが付着していると判定された場合には、制御部2116は、図16に示すように、前LCノズル2103の開口部2103Aが右領域R1、中央領域R2、および左領域R3に順に向くように前LCノズル2103を動かし、洗浄液が洗浄対象面P全体に噴射されるように、複数の領域R1~R3に向けて洗浄液を順次噴射すればよい。
【0147】
(第10の実施例)
図18は、前LiDAR6fと、第10の実施例にかかる前LCノズル2203を示す模式図である。
図18に示すように、第10の実施例にかかる前LCノズル2203は、複数の(ここでは、3つの)開口部2203A~2203Cを備えている。開口部2203A~2203Cは、前LiDAR6fの洗浄対象面Pの複数の領域R1~R3のそれぞれに対して向くように配置されている。具体的には、開口部2203Aは、洗浄対象面Pの右領域R1に向かう方向に設けられ、開口部2203Bは、洗浄対象面Pの中央領域R2に向かう方向に設けられ、開口部2203Cは、洗浄対象面Pの左領域R3に向かう方向に設けられている。
【0148】
制御部2116は、汚れセンサ2130からの汚れ信号に基づいて、洗浄対象面Pの複数の領域R1~R3のうち汚れが付着していると判定された領域に対応する前LCノズル2203の開口部から洗浄液を噴射するよう、前LCノズル2203を作動させることができる。例えば、複数の領域R1~R3のうち右領域R1に汚れが付着していると判定された場合には、制御部2116は、右領域R1に対応する前LCノズル2203の開口部2203Aから洗浄液を右領域R1に向けて噴射する。また、右領域R1および左領域R3に汚れが付着していると判定された場合には、図19に示すように、制御部2116は、右領域R1に対応する開口部2203Aおよび左領域R3に対応する開口部2203Cから洗浄液を右領域R1および左領域R3に向けてそれぞれ噴射する。このように、第10の実施例においても、制御部2116は、前LiDAR6fの洗浄対象面Pのうち洗浄すべき領域のみに対して洗浄液を噴射させることができる。これにより、洗浄対象面Pの洗浄すべき領域に対して効率的に洗浄液を噴射させることができるため、洗浄液を節約しつつ、洗浄対象面Pの清浄度を維持することができる。
【0149】
また、複数の領域R1~R3のうち洗浄対象の領域に対する洗浄強度と洗浄対象ではない領域に対する洗浄強度とを異ならせる手法の一例として、制御部2116は、汚れセンサ2130から受信した汚れ度情報に基づいて、洗浄対象面Pの各領域における汚れ度に応じて、各開口部2203A~2203Cからの洗浄液の噴射圧や噴射時間、噴射回数を互いに異ならせることもできる。例えば、汚れセンサ2130において右領域R1の汚れ度が左領域R3の汚れ度よりも高いと判定された場合には、制御部2116は、右領域R1に対する開口部2203Aからの洗浄液の噴射圧を左領域R3に対する開口部2203Cからの洗浄液の噴射圧よりも高くしたり、洗浄液の噴射時間を長くしたり、洗浄液の噴射回数を多くしたりすることができる。
【0150】
なお、洗浄対象面P全体に汚れが付着していると判定された場合には、図18に示すように、制御部2116は前LCノズル2203の各開口部2203A~2203Cから対応する各領域R1~R3に向けて洗浄液をそれぞれ噴射すればよい。
【0151】
(第11の実施例)
図20は、前LiDAR6fと、第11の実施例にかかる複数の前LCノズルを示す模式図である。
図20に示すように、第11の実施例にかかる複数の前LCノズル2303A~2303Cは、前LiDAR6fの洗浄対象面Pの複数の領域R1~R3のそれぞれに対応して配置されている。具体的には、前LCノズル2303Aは、洗浄対象面Pの右領域R1に対応する位置、例えば、洗浄対象面Pの左側面に対向する位置に配置されている。前LCノズル2303Bは、洗浄対象面Pの中央領域R2に対応する位置、例えば、洗浄対象面Pの上面に対向する位置に配置されている。前LCノズル2303Cは、洗浄対象面Pの左領域R3に対応する位置、例えば、洗浄対象面Pの右側面に対向する位置に配置されている。
【0152】
制御部2116は、汚れセンサ2130からの汚れ信号に基づいて、洗浄対象面Pの複数の領域R1~R3のうち汚れが付着していると判定された領域に対応する前LCノズル2303A~2303Cから洗浄液を噴射するよう、各前LCノズル2303A~2303Cを作動させることができる。例えば、複数の領域R1~R3のうち右領域R1に汚れが付着していると判定された場合には、制御部2116は、右領域R1に対応する前LCノズル2303Aから洗浄液を右領域R1に向けて噴射する。また、右領域R1および左領域R3に汚れが付着していると判定された場合には、図21に示すように、制御部2116は、右領域R1に対応する前LCノズル2303Aおよび左領域R3に対応する前LCノズル2303Cからそれぞれ洗浄液を右領域R1および左領域R3に向けて噴射する。このように、第11の実施例においても、制御部2116は、前LiDAR6fの洗浄対象面Pのうち洗浄すべき領域のみに対して洗浄液を噴射させることができる。すなわち、制御部2116は、前LiDAR6fの複数の領域R1~R3のうち洗浄対象の領域に対する洗浄強度と洗浄対象ではない領域に対する洗浄強度とを異ならせるように、複数の前LCノズル2303A~2303Cから洗浄液を噴射させる。これにより、洗浄対象面Pのうち洗浄すべき領域に対して効率的に洗浄液を噴射させることができるため、洗浄液を節約しつつ、洗浄対象面Pの清浄度を維持することができる。
【0153】
また、第9の実施例や第10の実施例と同様に、制御部2116は、汚れセンサ2130から受信した汚れ度情報に基づいて、洗浄対象面Pの各領域R1~R3における汚れ度に応じて、各前LCノズル2303A~2303Cからの洗浄液の噴射圧や噴射時間、噴射回数を互いに異ならせることもできる。また、洗浄対象面P全体に汚れが付着していると判定された場合には、図20に示すように、制御部2116は、各前LCノズル2303A~2303Cから各領域R1~R3に向けて洗浄液をそれぞれ噴射すればよい。
【0154】
複数の領域R1~R3のうち洗浄対象の領域に対する洗浄強度と洗浄対象ではない領域に対する洗浄強度とを異ならせる手法としては、上記の実施例に挙げられた手法の他に、洗浄液の噴射量や噴射面積を洗浄対象面Pの領域R1~R3ごとに異ならせる手法を採用することができる。
【0155】
上記の実施例では、洗浄対象面Pは、その左右方向において、右領域R1、中央領域R2、左領域R3の3つの領域に区画されているが、この例に限られない。洗浄対象面Pを2分割あるいは4分割以上に区画してもよく、また、左右に区画された領域R1~R3のそれぞれを上下に例えば2分割してもよい。これらの区画された領域ごとに、上記の実施例に係るノズル構成を用いて、洗浄対象の領域に対する洗浄強度と洗浄対象ではない領域に対する洗浄強度とを異ならせるように洗浄液の噴射方式を制御できればよい。
【0156】
検出方法の異なる複数の外部センサ(例えば、LiDARとカメラ)や車両1における搭載位置が互いに異なる複数の外部センサ(例えば、前LiDARと後LiDAR)に対して、それぞれ対応する複数のセンサクリーナ(センサクリーナノズル)を含んでいた場合に、制御部2116は、複数のセンサクリーナでの洗浄強度が互いに異なるように、これらのセンサクリーナを作動させてもよい。LiDARとカメラなど、検出方法が異なる外部センサは求められるシーンが異なる場合が多い。そこで、外部センサの種類ごとに洗浄強度を異ならせることで、特定のシーンに応じたセンサごとに清浄度を維持しやすくなる。
【0157】
上記の実施形態では、洗浄対象物(例えば、LiDAR6f)の近傍に配置された汚れセンサ2130により、LiDAR6fの洗浄対象面Pの汚れを検知しているが、この例に限られない。LiDAR6fが、それ自身の洗浄対象面Pの汚れを検知することもできる。この場合は、別途で汚れセンサ2130を設けずにLiDAR6f自身を汚れ検知部として用いることができる。
【0158】
また、上記の実施形態では、汚れセンサ2130がLiDAR6fの洗浄対象面Pの汚れを検出したときに出力する信号が制御部2116に入力されるように構成されているがこの例に限られない。例えば、汚れセンサ2130が汚れを検出したときに出力する信号が車両制御部3(ECUまたは自動運転制御部)に入力され、車両制御部3から各種クリーナノズルの少なくとも一つを作動させる信号が制御部2116に入力されるように構成されていてもよい。
汚れセンサ2130が汚れを検出したときに出力する信号が車両制御部3に入力され、車両制御部3から各種クリーナの少なくとも一つを作動させる信号が各種クリーナに入力されるように構成されていてもよい。この場合には、制御部2116が車両制御部3の一部として実装される。
【0159】
図22は、第12の実施例および第13の実施例に係る車両用クリーナシステム3100(以下、クリーナシステム3100と称す)が搭載された車両1の上面図である。図22に示すように、車両1は、本発明の第12の実施例および第13の実施例に係るクリーナシステム3100を有している。クリーナシステム3100は、洗浄対象物に付着する水滴や泥や塵埃等の異物を洗浄媒体を用いて除去するシステムである。本実施形態において、クリーナシステム3100は、前ウィンドウウォッシャ(以降、前WWと称す)3101、後ウィンドウウォッシャ(以降、後WWと称す)3102、前LiDARクリーナ(以降、前LCと称す)3103、後LiDARクリーナ(以降、後LCと称す)3104、右LiDARクリーナ(以降、右LCと称す)3105、左LiDARクリーナ(以降、左LCと称す)3106、右ヘッドランプクリーナ(以降、右HCと称す)3107、左ヘッドランプクリーナ(以降、左HCと称す)3108、前カメラクリーナ3109a、後カメラクリーナ3109bを有する。各々のクリーナ3101~3109bは一つ以上のノズルを有し、ノズルから洗浄液または空気といった洗浄媒体を洗浄対象物に向けて吐出する。
【0160】
前WW3101は、フロントウィンドウ1fの洗浄に利用可能である。後WW3102は、リヤウィンドウ1bの洗浄に利用可能である。前LC3103は、前LiDAR6fを洗浄可能である。後LC3104は、後LiDAR6bを洗浄可能である。右LC3105は、右LiDAR6rを洗浄可能である。左LC3106は、左LiDAR6lを洗浄可能である。右HC3107は、右ヘッドランプ7rを洗浄可能である。左HC3108は、左ヘッドランプ7lを洗浄可能である。前カメラクリーナ3109aは、前カメラ6cを洗浄可能である。後カメラクリーナ3109bは、後カメラ6dを洗浄可能である。
【0161】
図23は、クリーナシステム3100のブロック図である。クリーナシステム3100は、クリーナ3101~3109bの他に、前タンク3111、前ポンプ3112、後タンク3113、後ポンプ3114、クリーナスイッチ3115、クリーナ制御部3116(制御部)、モード切替スイッチ3117を有している。
【0162】
前WW3101、前LC3103、右LC3105、左LC3106、右HC3107、左HC3108、カメラクリーナ3109は、前ポンプ3112を介して前タンク3111に接続されている。前ポンプ3112は前タンク3111に貯留された洗浄液を、前WW3101、前LC3103、右LC3105、左LC3106、右HC3107、左HC3108、前カメラクリーナ3109aに送る。
【0163】
後WW3102と後LC3104は、後ポンプ3114を介して後タンク3113に接続されている。後ポンプ3114は後タンク3113に貯留された洗浄液を後WW3102と後LC3104と後カメラクリーナ3109bに送る。
【0164】
各々のクリーナ3101~3109bには、ノズルを開状態にさせて洗浄液を洗浄対象物に吐出させるアクチュエータが設けられている。各々のクリーナ3101~3109bに設けられたアクチュエータは、クリーナ制御部3116に電気的に接続されている。また、クリーナ制御部3116は、前ポンプ3112、後ポンプ3114、車両制御部3にも電気的に接続されている。
【0165】
(第12の実施例)
図24は、本発明の第12の実施例に係るクリーナシステム3100のより詳細なブロック図である。図24に示したようにクリーナ制御部3116は、駆動制御部3121と、信号生成部3122と、汚れ判定部3123を備えている。駆動制御部3121は、各クリーナ3101~3109bを作動させる電気信号を各クリーナ3101~3109bへ出力する。信号生成部3122は、駆動制御部3121へ入力する信号を生成する。汚れ判定部3123は、洗浄対象物が汚れているか否かを判定し、汚れていると判定した場合に汚れ信号を信号生成部122へ出力する。
【0166】
前LC3103は、リキッドノズル3103aと、エアノズル3103bを備えている。リキッドノズル3103aは、前タンク3111から供給される洗浄液を前LiDAR6fに向けて吐出する。駆動制御部3121がリキッドノズル3103aへ電気信号を出力すると、リキッドノズル3103aに設けられたアクチュエータが作動して洗浄液を前LiDAR6fに向けて吐出する。
エアノズル3103bは周囲から空気を取り込み、取り込んだ空気を前LiDAR6fに向けて吐出する。駆動制御部3121がエアノズル3103bへ電気信号を出力すると、エアノズル3103bに設けられたアクチュエータが作動して空気を前LiDAR6fに向けて吐出する。
【0167】
なお、図24においては、他のクリーナ3101,3102,3104~3109bに設けられたリキッドノズルおよびエアノズルを省略して描いているが、他のクリーナ3101,3102,3104~3109bもそれぞれリキッドノズルおよびエアノズルを有している。図26,28についても同様である。以降の説明においては、クリーナ制御部3116が前LC3103の動作を制御する例を説明するが、他のクリーナ3101,3102,3104~3109bもクリーナ制御部3116によって前LC3103と同様に動作が制御される。
【0168】
駆動制御部3121は、各種クリーナ3101~3109bを作動させる電気信号を出力する。駆動制御部3121は、エアノズル3103aとリキッドノズル3103bを作動させる第一信号と、エアノズル3103aを作動させてリキッドノズル3103bを作動させない第二信号のいずれかのみが入力されるように構成されている。
【0169】
前タンク3111などに貯留された洗浄液は有限であるが、空気は周囲から取り込めば際限なく使うことができる。また、洗浄対象物に付着した汚れは、埃など軽度な汚れであれば空気を吹き付けることによって十分に除去することができる。
そこで第12の実施例に係るクリーナシステム3100は、駆動制御部3121に入力される信号が第一信号か第二信号のいずれかのみとなるように構成されている。つまり、駆動制御部3121が前LC3103を作動させる機会において、エアノズル3103aを作動させずにリキッドノズル3103bを作動させることがない。このため、エアノズル3103aの作動機会が常にリキッドノズル3103bの作動機会と同じか多くなる。空気による洗浄の機会が洗浄液による洗浄の機会と同じか多いので、洗浄液の使用量を抑えつつ洗浄対象物を清浄に保ちやすい。これにより、洗浄液の補充頻度を低減することができ、使い勝手が高められている。
【0170】
次に、上述のように構成されたクリーナシステム3100の動作を図25を用いて説明する。図25は、本発明の第12の実施例に係るクリーナシステム3100が実行する処理のフローチャートである。クリーナシステム3100は、図25に示した処理を所定時間おきに定期的に繰り返し実行するように構成されている。
【0171】
図25に示すように、まず汚れ判定部3123が前LiDAR6fが汚れているか否かを判定する(ステップS01)。汚れ判定部3123は前LiDAR6fが汚れていれば汚れ信号を信号生成部3122へ出力し、汚れていなければ汚れ信号を信号生成部3122へ出力しない。
【0172】
次に、信号生成部3122が汚れ判定部3123から汚れ信号が入力されているか否かを判定する(ステップS02)。汚れ信号が入力されていなければ(ステップS02:No)、信号生成部3122は第一信号および第二信号のいずれも駆動制御部3121へ出力せず、処理を終了する。
【0173】
信号生成部3122に汚れ信号が入力されている場合(ステップS02:Yes)、信号生成部3122は第二信号を生成し駆動制御部3121へ出力する(ステップS03)。第二信号が入力された駆動制御部3121は、エアノズル3103aを作動させリキッドノズル3103bを作動させないように、前LC3103を駆動する(ステップS04)。
【0174】
信号生成部3122は、第二信号を出力した後に再び汚れ判定部3123から汚れ信号が入力されているか否かを判定する(ステップS05)。第二信号を出力した後に汚れ信号が入力されていなければ(ステップS05:No)、信号生成部3122は第一信号および第二信号のいずれも出力せず、処理を終了する。
第二信号を出力した後も汚れ信号が入力されている場合には(ステップS05:Yes)、信号生成部3122は第一信号を駆動制御部3116へ出力する(ステップS06)。第一信号が入力された駆動制御部3121は、エアノズル3103aとリキッドノズル3103bを作動させるように、前LC3103を駆動する。
なお、第一信号が入力された駆動制御部3121は、リキッドノズル3103bを作動させた後にエアノズル3103aを作動させることが望ましい。洗浄液を吹き付けた後に空気を洗浄対象物に吹き付けることにより、洗浄対象物に付着した洗浄液の滴を空気で吹き飛ばし、洗浄対象物をより清浄に保ちやすい。
【0175】
つまり、第12の実施例のクリーナシステム3100は、
車両部品1f,1b,6f,6b,6r,6l,6c,6d,7r,7lの汚れを検出し、少なくとも一つに汚れを検出したときに汚れ信号を出力する汚れ判定部3123と、
駆動制御部3121に入力する第一信号または第二信号を生成する信号生成部3122を有し、
信号生成部3122は、汚れ判定部3123の出力する汚れ信号に応じて第二信号を駆動制御部3121へ出力し、
信号生成部3122は、第二信号を送信した後も汚れ信号を受信したときに第一信号を駆動制御部3121へ出力するように構成されている。
【0176】
上記構成のクリーナシステム3100によれば、空気を吹き付けても汚れが落ちなかった場合には洗浄液を吹き付けて汚れを落とすことができる。また、始めに空気のみを吹き付けて汚れを落とそうとするため、始めから洗浄液を使って汚れを落とそうとする場合に比べて、洗浄液の消費を抑えることができる。これにより、洗浄液の消費を抑えつつ洗浄対象物を清浄に保ちやすい。
【0177】
(第13の実施例)
次に、本発明の第13の実施例に係るクリーナシステム3100Aを説明する。図26は、本発明の第13の実施例に係るクリーナシステム3100Aのブロック図である。図27は、第13の実施例のクリーナシステム3100Aが実行する処理のフローチャートである。上述した第12の実施例に係るクリーナシステム3100と共通する要素については説明を省略する。
【0178】
図26に示すように、クリーナシステム3100Aにおいて、クリーナスイッチ3115が信号生成部3122へ電気信号を出力できるように構成されている。クリーナスイッチ3115は車室内に設けられ、乗員に操作可能なスイッチである。乗員がクリーナスイッチ3115を操作すると、その操作に応じて操作信号が信号生成部3122へ出力される。
【0179】
クリーナ制御部3116は、図27に示したステップS11~ステップS15の処理を所定時間をおいて定期的に繰り返し実行するように構成されている。
まず、信号生成部3122はクリーナスイッチ3115から操作信号が入力されているか否かを判定する(ステップS11)。
操作信号が入力されていない場合(ステップS11:No)、信号生成部3122は第二信号を駆動制御部3121へ出力する(ステップS14)。第二信号が入力された駆動部3121は、エアノズル3103aを作動させ、リキッドノズル3103bを作動させないように、前LC3103を駆動する。つまり、ユーザがクリーナスイッチ3115を操作しない限り、クリーナシステム3100Aの信号生成部3122は、所定時間の間隔をおいて第二信号を定期的に駆動制御部3121へ出力するように構成されている。
【0180】
一方、操作信号が入力されている場合(ステップS11:Yes)、信号生成部3122は第一信号を駆動制御部3121へ出力する(ステップS12)。第一信号が入力された駆動制御部3121は、エアノズル3103aとリキッドノズル3103bを作動させるように、前LC3103を駆動する(ステップS13)。
【0181】
つまり、第13の実施例のクリーナシステム3100Aは、
駆動制御部3121に入力する第一信号または第二信号を生成する信号生成部3122を有し、
信号生成部3122は、所定時間の間隔をおいて第二信号を定期的に駆動制御部3121へ出力するように構成され、
信号生成部3122は、ユーザの操作に応じて信号を出力する操作部3115の出力する操作信号が信号生成部3122に入力されたときに第一信号を駆動制御部3121へ出力するように構成されている。
【0182】
上記構成のクリーナシステム3100Aによれば、定期的に洗浄対象物が洗浄されるので洗浄対象物を清浄な状態に保ちやすい。このとき、定期的な洗浄が空気のみで行われるので洗浄液が消費されない。一方で、ユーザが洗浄対象物の汚れに気が付いたときにはクリーナスイッチ3115を操作して空気と洗浄液の両方を使って洗浄するので、汚れを効果的に落とすことができる。このように、クリーナシステム3100Aは、洗浄液の消費を抑えつつ洗浄対象物を清浄な状態に保ちやすく、かつ、ユーザが望んだ時に効果的に汚れを落とすことができる。
【0183】
なお、クリーナシステム3100Aは、図26に示したように、上述したクリーナスイッチ3115による信号が信号生成部に入力される構成の他に、第12の実施例で説明した汚れ判定部3123による信号が信号生成部に入力される構成を有していてもよい。
【0184】
(第14の実施例)
次に、本発明の第14の実施例に係るクリーナシステム3100Bを説明する。図28は、本発明の第14の実施例に係るクリーナシステム3100Bのブロック図である。上述した第13の実施例に係るクリーナシステム3100Aと共通する要素については説明を省略する。
【0185】
図28に示すように、クリーナシステム3100Bにおいて、スタータスイッチ3124が信号生成部3122へ電気信号を出力できるように構成されている。スタータスイッチ3124は車室内に設けられ、乗員に操作可能なスイッチである。乗員がスタータスイッチ3124を操作すると、エンジンを搭載した車両においてはエンジンが始動したり、あるいは、電気自動車の場合には車両システムがON状態になる。乗員がスタータスイッチ3124を操作すると、その操作に応じてスタータ信号が信号生成部3122へ出力される。
【0186】
クリーナシステム3100Bは、スタータスイッチ3124のスタータ信号が信号生成部3122に入力されたときに第二信号を駆動制御部3121へ出力するように構成されている。また、クリーナシステム3100Bは、ユーザの操作に応じて信号を出力するクリーナスイッチ3115の出力する操作信号が信号生成部3122に入力されたときに第一信号を駆動制御部3121へ出力するように構成されている。さらに、汚れ判定部3123から信号生成部3122に汚れ信号が入力された場合に、信号生成部3122が第二信号を駆動制御部3121へ出力するように構成されている。
【0187】
なお、信号生成部3122は車両制御部3の一部として実現されており、駆動制御部3121はクリーナ制御部3116の一部として実現されている。このように、信号生成部3122や駆動制御部3121は、車両制御部3の一部として実現したりクリーナ制御部3116の一部として実現することができる。あるいは、クリーナ制御部3116が駆動制御部3121,信号生成部3122および汚れ判定部3123のすべてを含むように構成してもよい。また、車両制御部3が駆動制御部3121,信号生成部3122および汚れ判定部3123のすべてを含むように構成してもよい。
【0188】
第14の実施例のクリーナシステム3100Bによれば、エンジンの始動時あるいは車両システムのON時に必ず空気で洗浄対象物が洗浄されるため、洗浄対象物が清浄な状態で車両1の使用を開始することができる。また、この際には空気のみで洗浄対象物が洗浄され、洗浄液が消費されない。このため、車両1の使用開始時に洗浄対象物が汚れていなかった場合など洗浄液が無駄に消費されることがない。
【0189】
なお、上述した第12の実施例~第14の実施例では、クリーナ制御部3116が前LC3103の動作を制御する例を説明したが、同様の制御を他のクリーナ3101,3102,3104~3109bに行ってもよい。あるいは、クリーナ3101~3109bの少なくとも一つに上記の制御を行うように構成してもよい。
もっとも、本発明は、外部センサ6を洗浄するセンサクリーナ3103~3106,3109a,3109bの駆動を制御する駆動制御部3121に適用することが望ましい。自動運転モードで走行する車両においては、フロントウィンドウ1fやヘッドランプ7と比較して外部センサ6を清浄に保つことが求められ、外部センサ6の洗浄回数が多くなる。本発明によれば、外部センサ6を洗浄液だけで洗浄する場合に比べて洗浄液の使用量を抑えることができ、洗浄液の補充頻度を低減できる。
【0190】
また、上述した第12の実施例~第14の実施例では、全てのクリーナ3101~3109bがリキッドノズルとエアノズルを有する構成を説明したが、クリーナ3101~3109bの少なくとも一つがリキッドノズルとエアノズルを有し、他のクリーナ3101~3109bがリキッドノズルのみあるいはエアノズルのみを有する構成であってもよい。
【0191】
また、上述した実施例では、クリーナシステム3100は、外部センサ6を含む構成として説明したが、クリーナシステム3100は、外部センサ6を含まない構成としてもよい。もっとも、クリーナシステム3100が外部センサ6を含んだアセンブリ体として構成されていると、外部センサ6に対するクリーナ3103~3106,3109a,3109bの位置決め精度を高めやすいので好ましい。また、クリーナシステム3100の車両1への搭載時に、外部センサ6も一緒に組み込むことができるので、車両1への組み付け性も高められる。
【0192】
上述した実施例では、外部センサ6を洗浄するクリーナとして、LiDAR6f,6b,6r,6lを洗浄する3103~3106、および前カメラ6cを洗浄する3109a、後カメラ6dを洗浄する3109bを説明したが、本発明はこれに限られない。クリーナシステム3100は、レーダを洗浄するクリーナなどを、センサクリーナ3103~3106,3109a,3109bの代わりに有していてもよいし、センサクリーナ3103~3106,3109a,3109bとともに有していてもよい。
【0193】
なお上述した実施例では、クリーナ3101,3103,3105~3109aが前タンク3111に接続され、クリーナ3102,3104,3109bが後タンク3113に接続された例を説明したが、本発明はこれに限られない。
クリーナ3101~3109bが単一のタンクに接続されていてもよい。クリーナ3101~3109bがそれぞれ互いに異なるタンクに接続されていてもよい。
あるいは、クリーナ3101~3109bが、その洗浄対象の種類ごとに共通のタンクに接続されていてもよい。例えば、LC3103~3106が共通の第一タンクに接続され、HC3107,3108が、第一タンクと異なる第二タンクに接続されるように構成してもよい。
あるいは、クリーナ3101~3109bが、その洗浄対象の配置位置ごとに共通のタンクに接続されていてもよい。例えば、前WW3101と前LC3103と前カメラクリーナ3109aが共通の前タンクに接続され、右LC3105と右HC3107が共通の右タンクに接続され、後WW3102と後LC3104と後カメラクリーナ3109bが共通の後タンクに接続され、左LC3106と左HC3108が共通の左タンクに接続されるように構成してもよい。
【0194】
また上述した実施例では、クリーナ3101~3109bに設けられたアクチュエータを作動させることによりクリーナ3101~3109bから洗浄媒体を吐出させる例を説明したが、本発明はこれに限られない。
クリーナ3101~3109bのそれぞれに常閉バルブが設けられており、タンクとクリーナ3101~3109bとの間が常に高圧となるようにポンプが作動されており、クリーナ3101~3109bに設けられたバルブをクリーナ制御部3116が開けることにより、クリーナ3101~3109bから洗浄媒体を吐出させるように構成してもよい。
あるいは、クリーナ3101~3109bのそれぞれがそれぞれ個別のポンプに接続されており、それぞれのポンプを個別にクリーナ制御部3116が制御することにより、クリーナ3101~3109bからの洗浄媒体の吐出を制御するように構成してもよい。この場合、クリーナ3101~3109bのそれぞれに相異なるタンクに接続されていてもよいし、共通のタンクに接続されていてもよい。
【0195】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0196】
本出願は、2017年6月13日出願の日本特許出願2017-115872号、2017年6月13日出願の日本特許出願2017-115873号、2017年6月13日出願の日本特許出願2017-115875号、および2017年6月13日出願の日本特許出願2017-115877号に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28