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特開2023-179672オンライン蒸気純度分析のための蒸気サンプル濃縮及び調整
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179672
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】オンライン蒸気純度分析のための蒸気サンプル濃縮及び調整
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/22 20060101AFI20231212BHJP
   G01N 1/40 20060101ALI20231212BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01N1/22 P
G01N1/40
G01N1/00 101T
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023176450
(22)【出願日】2023-10-12
(62)【分割の表示】P 2021541084の分割
【原出願日】2020-01-14
(31)【優先権主張番号】16/246,961
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521311698
【氏名又は名称】サーモケム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】フォン ヒルツ,ポール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】蒸気サンプル濃縮調整(SSCC)システムに関する。SSCCは(例えば、発電や他の工業プロセスで使用される)蒸気中に運ばれる不純物を濃縮し、蒸気分析を容易にするための使用を見つける。
【解決手段】SSCCシステムにおいて、サンプルは、マルチノズル等速サンプルプローブ1を使用して、蒸気パイプラインから抽出される。部分凝縮プロセスが接触器13によって制御される。接触器を通る冷却水の流量は自動流量制御バルブ14によって排出口で調整される。高効率蒸気/液体セパレータ16により、サンプルは濃縮され、残留蒸気と凝縮物のサンプルとが分離される。蒸気注入口サンプルの流量は流量計7で測定され、凝縮物が分析器39に向けられるときに、凝縮物サンプルの流量が磁気流量計35によって測定される。蒸気サンプル濃縮係数Xは、X=蒸気注入口サンプルの流量/凝縮排出口サンプルの流量として計算される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料蒸気の流れ中の蒸気純度を測定するための方法であって、
a.ノズルを通る蒸気のサンプルの流れの等速の流れを維持する、等速の流れを制御する装置;
b.前記等速の流れを制御する装置の後に、前記蒸気のサンプルの流れが過熱されるのを防止する、ポンプ;
c.前記蒸気のサンプルの流れを凝縮させる、接触器;
d.凝縮したサンプルの流れを、残留した蒸気のサンプルの流れから分離する、セパレータ;
e.前記凝縮したサンプルの流れの流量を測定する、流量計;及び、
f.不純物を測定するように構成された、分析器を含む、装置を使用することを含む、方法。
【請求項2】
原料蒸気の流れ中の蒸気純度を測定する方法であって、
前記原料蒸気の流れから蒸気の流れのサンプルを得ること;
前記蒸気の流れのサンプルを部分的に凝縮させることで、前記蒸気の流れのサンプルから、凝縮したサンプルの流れと残留した蒸気の流れのサンプルとを生成すること;
前記残留した蒸気の流れのサンプルから前記凝縮したサンプルの流れを分離すること;
前記凝縮したサンプルの流れ中の1つ以上の不純物を検出及び/又は測定すること;
蒸気の流れのサンプルの流量、及び凝縮したサンプルの流れの流量を測定すること;
前記蒸気の流れのサンプルの流量及び前記凝縮したサンプルの流れの流量を利用して濃縮係数を計算すること;及び
前記濃縮係数に基づいて、前記原料蒸気の流れ中の1つ以上の不純物のレベルを決定することを含む、方法。
【請求項3】
蒸気/液体セパレータが、前記残留した蒸気の流れのサンプルから、前記凝縮したサンプルの流れを分離するために使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記蒸気/液体セパレータが、99%を超える分離効率を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
1つ以上の前記不純物が、ナトリウム(Na)、シリカ(SiO)、塩化物(Cl)、鉄(Fe)及び全ての懸濁した固体(TSS)からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記蒸気の流れのサンプルを部分的に凝縮させることが、前記蒸気の流れのサンプルから前記凝縮したサンプルの流れへの非凝縮性ガス(NCG)の溶解を防止する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記蒸気の流れのサンプルから前記凝縮したサンプルの流れへの非凝縮性ガス(NCG)の溶解を防止することにより、前記蒸気の流れのサンプルを部分的に凝縮しない場合よりも、前記蒸気の流れのサンプル中の前記不純物のより正確な測定が提供される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記濃縮係数を使用して、前記原料蒸気の流れ中の1つ以上の前記不純物の前記レベルを計算することにより、10億分の1の検出レベルでの1つ以上の前記不純物の測定が可能になる、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記蒸気の流れのサンプルを部分的に凝縮させることにより、前記蒸気の流れのサンプルからバルクの非凝縮性ガスを除去する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
空気及び/又は窒素パージを利用しない、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記蒸気の流れのサンプルの流れは、等速の流量を維持するように制御される、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
予備濃縮又は予備処理のためにイオン交換カートリッジを利用しない、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記蒸気の流れのサンプルを部分的に凝縮させることにより、前記蒸気の流れのサンプルを少なくとも1桁数濃縮する、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記原料蒸気の流れが、発電に使用される蒸気、地熱蒸気、油回収に使用される蒸気、加熱に使用される蒸気、冷却に使用される蒸気、食品加工に使用される蒸気、及び医療用滅菌用途に使用される蒸気からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
緩熱器の後に計量ポンプが前記サンプルの蒸気の流れに希酸を投与する、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記希酸が、HCl、HSO、および酢酸又はクエン酸からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記サンプルの蒸気の流れ中の前記酸が、凝縮物中へのHSの溶解を防ぎ、1ppmより多くのNHが存在する前記蒸気のサンプル中、NHの存在下において、1ppm未満のHSのレベルにする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記蒸気のサンプルを部分的に凝縮することが、熱交換器における凝縮プロセスを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
蒸気の純度を測定する装置であって、
a.ノズルを通る蒸気のサンプルの流れの等速の流れを維持する、等速の流れを制御する装置;
b.前記等速の流れを制御する装置の後に、前記蒸気のサンプルの流れが過熱するのを防止する、ポンプ;
c.前記蒸気のサンプルの流れを凝縮させる、接触器;
d.凝縮したサンプルの流れを、残留した蒸気の流れのサンプルから分離する、セパレータ;
e.前記凝縮したサンプルの流れの流量を測定する、流量計;及び、
f.不純物を測定するように構成された、分析器を含む、装置。
【請求項20】
前記等速の流れを制御する装置が、流量制御バルブを有する流量センサである、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記等速の流れを制御する装置が、上流圧力センサを有する臨界オリフィスである、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記ポンプは、前記不純物の堆積を防止する緩熱ポンプである、請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記接触器は、前記蒸気のサンプルの流れを部分的に凝縮する、請求項19に記載の装置。
【請求項24】
部分的な凝縮は、前記蒸気のサンプルの流れから前記凝縮したサンプルの流れへの不純物の接触及び移送を確実にするために、スタティックミキサーを用いた凝縮プロセス下で起こる、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
蒸気のサンプルの流れの流量及び前記凝縮したサンプルの流れの流量は、濃縮係数を計算するために利用され、前記濃縮係数は前記蒸気の注入口のサンプルの流量/凝縮した排気口のサンプルの流量に等しい、請求項19に記載の装置。
【請求項26】
前記濃縮係数は、分析された濃度を原料蒸気中の不純物の元の濃度に補正するために使用される、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記分析器が、ナトリウム(Na)、シリカ(SiO)、塩化物(Cl)、鉄(Fe)及び全ての懸濁した固体(TSS)からなる群から選択される不純物を測定する、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本出願は、蒸気サンプルの濃縮及び調整(SSCC:steam sample concentrator and conditioning)システム及びその使用方法に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は2019年1月14日に出願された米国特許出願第16/246,961号の利益を主張し、その含有量は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
〔背景技術〕
化石燃料発電所、原子力発電所、及び地熱発電所で使用される蒸気は、シリカ、ナトリウム、塩化物、鉄及び固体粒子のような不純物を含み、これらは発電所設備、特に蒸気タービン、の腐食、スケーリング及び侵食の原因となり得る。また、蒸気は、強化油回収(例えば、蒸気フラッド注入)、加熱、冷却、食品加工及び医療滅菌用途などの他の工業プロセスでも使用され、プロセスに有害な不純物を含有することもある。不純物は、蒸気中に同伴される液状水滴中の溶解種として、又は固体微粒子材料として存在する。揮発性シリカ及び塩化物は、高温の飽和蒸気中、又は水及び/又は蒸気の深部の高温リザーバに給水する地熱井から製造された過熱地熱蒸気中に存在する可能性がある。蒸気中のこれらの不純物の量を決定することは、プロセス制御のため、及び蒸気純度を改善し、装置の損傷を防止するための緩和対策をうまく実施するために重要である。
【0004】
液滴の状態あるいは固体粒子として運ばれる不純物は、周囲の気体蒸気相よりもはるかに高い密度を有する。等速サンプリングは、代表的なサンプルを得るために必要とされ、続いて、蒸気凝縮物サンプル中の種々の干渉種の存在下での低レベル検出のための特殊な分析技術が必要とされる。地熱蒸気はHS及びCOを含有し、これらは、蒸気不純物の実験室の解析およびオンライン解析に必要とされるほとんどの分析方法において、重大な干渉を引き起こす。典型的にはナトリウム、シリカ、塩化物及び鉄については、蒸気タービン及び他のプロセス装置におけるスケーリング、浸食及び腐食を防止するために、蒸気中での濃度を10ppb以下まで下げて測定、する必要がある。これらのレベルでの検出は、特に干渉種の存在下では非常に困難であり得る。市販の分析器は溶解ガスを含まない超純水蒸気凝縮液ではこれらの検出限界に達する可能性があるが、プロセス蒸気では確実ではなく、且つ原料の地熱蒸気中では決してない。
【0005】
蒸気純度のオンライン測定は、蒸気を利用する発電及び他の工業プロセスにとって重要と考えられている十分に確立された技術である。従来の技術は、典型的には等速的に収集される、蒸気サンプルの100%凝縮を含む。蒸気は完全に凝縮され、得られた液体凝縮物は、蒸気との螺旋管熱交換器を通る連続的な一段階プロセスでサブクール(凝縮圧力における蒸気飽和温度以下)される。蒸気はチューブ内部(チューブ側)を流れ、チューブ外側(シェル側)の水を冷却する。この完全に凝縮された蒸気凝縮物中で測定された質量による不純物の濃度は、それが抽出されたパイプライン又は処理中のバルク蒸気流中と同じである。凝縮したサンプルの不純物濃度を元の蒸気に戻すための質量による希釈又は濃度に必要な補正はない。
【0006】
蒸気サンプルを完全に凝縮し、凝縮物を過冷却するプロセスにおいて、液体蒸気凝縮物と非凝縮性ガスとの二相混合物が生成される。非凝縮性ガスは、典型的には20~30℃(1気圧での沸点よりかなり低い)である凝縮物排出口温度での分圧及び溶解度定数に比例して、凝縮装置を通って凝縮物中に溶解する。このような状態では、HSとCOは非常に溶解性が高い。地熱適用では、これらのガスを、上述の従来の凝縮処理で溶解した後に、凝縮物から除去するために、過冷却された凝縮物を窒素でパージし、凝縮物を再加熱し(沸点未満)、及び/又は凝縮物を脱気膜に通し、そこで溶解したガスが膜を透過して、窒素などのより高純度のガス流になるように努力がなされてきた。地熱蒸気、特にシリカ測定における不純物測定の成否にとって極めて重要なことは、蒸気中にNHが存在する場合にHSを効果的に取り除くことである。従来の技術では、HSを完全に除去し、NHが存在する場合に分析干渉を防止するには不十分である。これは、高溶解性NHガスの溶解が凝縮物のpHを上昇させ、HSの重硫化物イオンへの電離をもたらすからである:
NH + HO → NH + OH
OH + HS → H + HS
重硫化物イオンはイオンであり、蒸気圧を有さないので、重硫化物イオンは凝縮液からパージ又は脱気することができない。従来の縮合工程の後にHSを凝縮液から完全にパージすることができる唯一の手段は、酸を加えることによってpHを3.0以下に低下させ、すべての重硫化物をHSに戻すことである:
+ HS → HS.。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明は、(例えば、分析及び/又は使用の前に蒸気を前処理するための)蒸気サンプル濃縮及び調整(SSCC)システムを提供する。SSCCは蒸気中に運ばれる不純物を濃縮するために(例えば、発電及び他の工業プロセスで使用される)、及びナトリウム(Na)、シリカ(SiO)、塩化物(Cl)、鉄(Fe)、及び全ての懸濁した固体(TSS:total suspended solids)などの蒸気不純物の分析を容易にするために(例えば、10億分率(ppb)レベルで)使用することができる。SSCCはまた、蒸気(例えば、地熱蒸気)からの非凝縮性ガス(NCG:noncondensable gases)の、蒸気分析に干渉する凝縮物への溶解を防止するために使用され得、それによって、蒸気サンプル中の不純物の正確な測定を可能にする。
【0008】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明が本明細書で開示され説明されるように、蒸気サンプル濃縮調整(SSCC)システム、及びそれを使用する方法を提供する。いくつかの実施形態では、SSCCシステムが蒸気中に運ばれる不純物を濃縮する。本発明は、濃縮される不純物の種類によって限定されない。濃縮される例示的な不純物としてはナトリウム(Na)、シリカ(SiO)、塩化物(Cl)、鉄(Fe)、全懸濁固体(TSS)、又は当技術分野で公知の他の不純物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、不純物又は不純物は機器(例えば、発電所の機器(例えば、蒸気タービン))の腐食、スケーリング及び/又は侵食を引き起こすものである。いくつかの実施形態では、不純物が溶解種として(例えば、蒸気中の液滴中に)存在する。他の実施形態では、不純物は固体微粒子材料として存在する。本発明は本発明のSSCCシステムを使用して処理される(例えば、前処理される)蒸気のタイプによって限定されない。いくつかの実施態様において、蒸気は発電に使用される蒸気(例えば、地熱蒸気)である。処理される他の種類の蒸気の実施例としては油回収(実施例えば、蒸気フラッド注入)に使用される蒸気、加熱に使用される蒸気、冷却に使用される蒸気、食品加工に使用される蒸気、及び医療用滅菌用途に使用される蒸気が挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
いくつかの実施形態では、SSCCシステムが蒸気中に存在する(例えば、蒸気サンプルの分析を妨げる)1つ以上の不純物の分析を容易にする。本発明は、分析される1つ以上の不純物のタイプ又は供給源によって限定されない。分析される例示的な不純物としてはナトリウム(Na)、シリカ(SiO)、塩化物(Cl)、鉄(Fe)、全懸濁固体(TSS)、又は当技術分野で公知の他の不純物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、分析が蒸気中の1つ以上の不純物の量又はレベルを決定する。本発明は、測定され、検出され、及び/又は決定される不純物のレベルによって限定されない。いくつかの実施形態では不純物の分析(例えば、測定及び/又は検出)は10億分の1(ppb)レベルで行われる。しかし、本発明は、それに限定されない。蒸気中で測定、検出、及び/又は決定される不純物の範囲は約0.1ppbから約10,000ppbを超える範囲であり得るが、より少ない(例えば、0.1ppb未満)及びより多い(例えば、10,000ppbを超える)量の不純物が、測定、検出、及び/又は決定され得る。いくつかの実施形態では、SSCCシステムが蒸気中に運ばれる不純物を濃縮し、不純物の分析(例えば、測定及び/又は検出)を容易にする。いくつかの実施形態において、蒸気中の1つ以上の不純物の量を決定することは、優れたプロセス制御を提供する。他の実施形態では、蒸気中の1つ又は複数の不純物の量を決定することは、1つ又は複数の不純物の量を正確に決定しない場合には不可能である緩和対策を実施することを可能にする(例えば、蒸気純度を改善し、かつ/又は機器の損傷を防止するために)。
【0010】
いくつかの実施形態では、SSCCシステムが地熱蒸気中の非凝縮性ガス(NCG:noncondensable gases)の溶解を防止するために使用される。いくつかの実施形態では、蒸気中のNCGの溶解を防止することにより、蒸気中のNCGの溶解を防止しない場合に行われる測定と比較して、蒸気サンプル(例えば、凝縮物相と非凝縮性気相との分離後のサンプル)中のNCGのより正確な測定が可能になる。本発明はNCGの種類によって限定されない(例えば、その蒸気への溶解が防止される)。いくつかの実施形態では、NCGは硫化水素(HS)である。いくつかの実施形態では、NCGは二酸化炭素(CO)である。いくつかの実施形態において、NCGはガスの混合物(例えば、HS及びCO、HS及びCOと、1つ以上の他のガス)である。
【0011】
本発明はまた、本発明のSSCCシステムを用いてサンプル(例えば、蒸気のサンプル又はその部分(例えば、蒸気の流れのサンプル))を分析する方法を提供する。いくつかの実施形態では、(例えば、固定マルチノズル等速サンプルプローブを使用して)蒸気サンプルが収集される。いくつかの実施形態では、サンプル(例えば、サンプルの流れ)は加圧下で、管(例えば、ステンレス鋼管)を通してSSCCシステムに導かれる。いくつかの実施形態では、サンプリングポイント及びSSCCシステムが約1~50メートル(m)、約5~25m、約5~15m、約7~15m、又は約7~10mだけ分離される。いくつかの実施形態では、SSCCがサンプリングポイントから約10m以内である。いくつかの実施形態では、蒸気のサンプルの流量が等速流条件を維持するように(例えば、臨界流装置を使用して)調節される。本発明は、使用されるフローデバイスのタイプによって限定されない。例示的な流量装置としては差圧オリフィスメータ、臨界流量オリフィス、渦流量計、コリオリ流量計、及び熱式質量流量計が挙げられるが、これらに限定されない。さらに他の実施形態では、緩熱ポンプが凝縮液を再循環させて、サンプルが飽和したままであり、分析器の上流に不純物を堆積させないことを確実にする。いくつかの実施形態では、計量ポンプが緩熱器の後にサンプルの流れに酸を投与する。本発明は、計量ポンプを介してサンプルの流れに導入される酸の種類によって限定されない。例示的な酸としてはHCl、HSO、酢酸、及びクエン酸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、酸は希酸(例えば、水に添加することによって希釈された濃酸)である。いくつかの実施形態では、蒸気サンプルが制御された(例えば、正確に制御された)凝縮プロセス下で、単一管シェルアンドチューブ熱交換器で凝縮される(例えば、部分的に凝縮される)。さらなる実施形態では、生成される凝縮物の割合が(例えば、単一管熱交換器を通る冷却水の流量を変化させることによって自動的に)所望の設定点に調節される。本発明は、生成される凝縮物のフラクションによって限定されない。いくつかの実施形態では、フラクションが全サンプル蒸気流の約2~50%である。他の実施形態では、フラクションが全サンプル蒸気流の約5~10%である。不純物(例えば、ナトリウム(Na)、シリカ(SiO)、塩化物(Cl)、鉄(Fe)、全懸濁固体(TSS)、及び/又は他の目的の不純物)は凝縮温度(例えば、100~150℃)で高度に可溶性であるので、不純物は処理中で濃縮される(例えば、2~50倍)。いくつかの実施形態では、pHを3.0未満に維持するために酸を加える高温部分縮合工程が非凝縮性ガスが溶解するのを防止する(例えば、後に凝縮物を脱気するのに必要な工程及び/又はリソース(例えば、HS)を排除する)。いくつかの実施形態では、分離されたNCGが蒸気中のNCG濃度を決定するために質量流量計によって測定される。さらなる実施形態において、濃縮及び脱気された液体サンプルはオンライン分析器(例えば、ナトリウム、シリカ、塩化物、鉄及び/又は濁度レベルの測定のため)にポンプ輸送される。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態で提供されるSSCCシステム及びそれを使用する方法は蒸気純度(例えば、地熱蒸気純度)についてオンライン監視するための独特かつ基本的な利点を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるものを使用するシステム及び方法が蒸気中の生レベルよりも1桁以上(例えば、10~20倍)高いサンプル予備濃縮を可能にする。さらなる実施形態では、本明細書に記載されるものを使用するシステム及び方法が干渉種の溶解を防止するサンプル凝縮工程を含む(例えば、蒸気中のHS及びCOの<0.1%が凝縮サンプルに溶解される)。なおさらなる実施形態において、ガス溶解を伴わない凝縮は、本明細書中に開示されるシステム及び方法なしでは可能でない高度に正確なNCG測定を可能にする。さらに他の実施形態では、本明細書に記載されるものを使用するシステム及び方法が等速サンプルの流量制御を含む(例えば、臨界流量オリフィス又は自動流量制御バルブを使用してサンプル蒸気の流量を制御することによって、それによって、等速プローブが、蒸気及び液体及び/又は微粒子不純物の代表的なサンプルを生成するために、正確な流量で動作されることを確実にする)。さらに他の実施形態では、本明細書に記載されるシステム及びその使用方法が空気及び/又は窒素パージ(例えば、干渉除去に必要とされる)の必要性を排除する。本明細書に記載されたものを使用するシステム及び方法はまた、いくつかの実施形態では、イオン交換カートリッジ(例えば、予備濃縮又は予備処理に必要とされる)の必要性を排除する。
【0013】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、オンラインストリーム純度分析器に接続された本発明の一実施形態におけるSSCCシステムの主要な構成要素及び副構成要素ならびに全体構造を示す図である。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態におけるSSCCシステムの構成要素間における、電気的アナログ及びデジタル信号接続(破線、制御入力及び信号出力)を有する主要な構成要素及び副構成要素を示す図である。
【0015】
図3は、pH調整のための酸添加あり、及びなしによる、完全に凝縮した蒸気に溶解した残留COの計算値を、凝縮物を脱気するためのNパージガス量の機能として示す。
【0016】
図4は、pH調整のための酸添加あり、及びなしによる、完全に凝縮した蒸気に溶解した残留HSの計算値を、凝縮物を脱気するためのNパージガス量の機能として示す。
【0017】
図5は、pH調整のための酸添加あり、及びなしによる、測定した、実際の蒸気の凝縮物のサンプルに溶解した残留HSを、Nパージガス量の機能として示す。
【0018】
図6は、図3及び4と同じモデル及び蒸気組成を用い、pH調整のための酸添加の機能として、100℃で部分凝縮した蒸気に溶解した残留HSについてのSSCCプロセスのモデルからの計算結果を示す。
【0019】
図7はセパレータ9からの蒸気への液体の持ち越し量を決定するために、蒸気テストループを使用してSSCC上で実施されたテストの結果を示す。図7は、セパレータからの蒸気による液体持ち越し量が約0.2%に過ぎなかったことを示す。
【0020】
図8は、SSCCプロセスによる蒸気の不純物の濃縮係数及び回収効率を直接測定するために行われた試験の結果を示す。図8は試験した条件下で、凝縮物中のNaの予想濃度が1.02ppmであり、オンラインナトリウム分析器による平均測定濃度が0.99ppmであったことを示す。
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明は、蒸気サンプル濃縮調整(SSCC)システムに関する。SSCCシステムは蒸気中に運ばれる不純物を濃縮し、不純物の分析を容易にする。非凝縮性ガス(NCG)(例えば、硫化水素(HS)及び二酸化炭素(CO))の地熱蒸気中への溶解を防止し、蒸気分析に干渉する。例えば、蒸気を分析する場合、蒸気はしばしば、凝縮ガス相と非凝縮ガス相とに分離される。本発明のSSCCシステムは、凝縮及び非凝縮性ガス相の分離後の蒸気サンプル中のNCGの溶解を防止することによって、従来のシステムと比較して、サンプル中の不純物の著しく正確な測定を可能にする。
【0022】
本発明のSSCCシステムは、不純物の分析のための市販のオンライン分析機器とインターフェースするように構成することができる。市販の分析機器の非限定的な例は、Hach(Hach、Loveland、CO、USA)イオン特異電極(ISE)に基づくモデル9245低レベルナトリウムアナライザー;色分光光度法に基づくHachモデル5500sc低レベルシリカアナライザー;色分光光度法に基づくHachモデルEZ2005低レベル総鉄アナライザー;及び/又はレーザー光散乱に基づくHachモデルTU5300低レベル濁度(TSS)アナライザーである。
【0023】
分析器に提供されるSSCCシステムによって生成される濃縮された干渉のない液体サンプルは、不純物についての偽陽性結果の機会及び誤った上昇値への偏りを低減することによって、オンライン蒸気純度測定の信頼性を大幅に改善する。これは環境中に遍在的に見出されるこれらの同じ化合物による汚染及び溶存ガスからの前述の干渉のために、処理されていないサンプルについて測定を行う場合に、共通である。したがって、本明細書に開示されるSSCCシステムは、1.サンプル収集処理においてサンプル濃度を直接的に1桁数増加させること;、及び、2.NCGの溶解を防止することによって、(例えば、不純物によって引き起こされる、及び誤った上昇したレベルへの偏りによって引き起こされる)偽陽性の読み取りを減少及び/又は排除し、かつ/又は従来の蒸気サンプル解析システムに関連する溶解ガス(例えば、HS及び/又はCO)からの干渉を減少及び/又は排除する。
【0024】
ここで、本明細書で開示されるシステム及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つ又は複数の例が、添付の図面に示されている。当業者は、本明細書で具体的に説明され、添付の図面に示されるシステム及び方法が非限定的な例示的な実施形態であることを理解するのであろう。1つの例示的な実施形態に関連して図示又は説明された特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0025】
本発明のSSCCシステムの非限定的な例を図1に示す。同じ例が図2に示されており、プログラマブル論理制御(PLC)システムとの電気信号及び制御相互接続と共に示されている。
【0026】
本発明の一実施形態では、図1及び図2に示すように、SSCCシステムの主要な構成要素及び副構成要素を数字で以下に列挙し、本発明のSSCCにおけるそれぞれの機能及び相互関係を簡単に説明する:
1.等速プローブ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが等速プローブ(例えば、発電プラント/プロセス蒸気が流れるパイプラインから蒸気中の液相-固相不純物の代表的なサンプル(混合物)を抽出するために使用される)を含む。
2.等速プローブ用隔離バルブ
a.いくつかの実施形態では、SSCCが隔離バルブ(例えば、等速プローブからSSCCへの蒸気のサンプルの流れの隔離に利用される)を含む。
3.SSCCへのスチームサンプルライン。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが蒸気のサンプルライン(例えば、プローブからSSCCへの蒸気のサンプルの流れのための配管の導管)を含む。
4.蒸気のサンプルラインへの凝縮物の注入を加熱防止するための隔離バルブ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが((例えば、蒸気のサンプルを過熱防止する目的で)例えば、SSCCへの蒸気のサンプルの流れに戻る再循環する凝縮物の隔離を可能にする)蒸気サンプルラインへの過熱解除凝縮液注入のための隔離バルブを含む。
5.緩熱ポンプからの凝縮物を緩熱する配管。
a.いくつかの実施態様において、SSCCは、サンプル冷却器から、蒸気のサンプルの流れの蒸気に戻る、再循環する凝縮物のための導管を提供する配管を含む。
6.蒸気のサンプルラインの圧力センサ。
いくつかの実施形態では、SSCCが圧力センサ((例えば、流量計算のため)例えば、蒸気のサンプルの流量計の上流の圧力を測定し、及び/又は信号をSSCCのプログラマブルロジックコントローラ(PLC)構成要素に送信する)を含む。
7.蒸気サンプルの流量計。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが流量計((例えば、等速の流量の%及び蒸気サンプル濃縮係数を計算及び/又は調整するために)例えば、蒸気のサンプルの流量を測定し、かつ/又は信号をSSCCのPLCに送信する)を含む。
8.蒸気のサンプルの流量制御バルブ/隔離バルブ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが流量制御バルブ/隔離バルブ((例えば、PLCからの入力信号に基づいて蒸気のサンプルの流量を制御する(例えば、等速の流量を100%に近い状態に維持するために))例えば、蒸気のサンプルライン及び/又はシステム又はプロセスがアラーム状態を引き起こすときに蒸気のサンプルの流れを自動的に隔離する)を含む。
9.蒸気のサンプルの温度センサ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが温度センサ(例えば、蒸気のサンプルの流量計の下流の温度を測定し、蒸気飽和/過熱計算のために信号をPLCに送信する)を含む。10.接触器の冷却水供給用圧力スイッチ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが圧力スイッチ(例えば、接触器への冷却水圧力を測定し、及び/又は、圧力が事前設定値を下回る場合に、PLCにアラームを送信する)を備える。
11.接触器の冷却水供給用の温度センサ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが接触器冷却水供給用の温度センサ(例えば、接触器への冷却水温度を測定し、及び/又は、事前に設定された値を超えた場合に、値をPLCに送信し、アラームを引き起こす)を含む。
12.接触器冷却水供給用チェックバルブ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが逆止バルブ(例えば、接触器冷却水供給(例えば、接触器からの冷却水の逆流を防止する))を含む。
13.蒸気接触器。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが蒸気接触器(例えば、蒸気のサンプルから冷却水への制御された熱伝達を提供する(例えば、蒸気のサンプルから洗浄(接触)される不揮発性の不純物中に濃縮された、一定量の凝縮した蒸気を提供する))を含む。
14.接触器の冷却水の排出口の流量制御バルブ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが接触器冷却水用排出口の流量制御バルブ(例えば、標的凝縮した水の量を維持するために(例えば、プログラムされたロジックを介して)接触器からの冷却水流量を制御する(例えば、標的の凝縮物の流量を維持するために、PLCからの入力信号に基づいて)を含む。
15.接触器冷却水排出口の温度センサ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが接触器冷却水排出口用の温度センサ(例えば、接触器の排出口からの冷却水温度を測定し、及び/又は、事前設定値を超えた場合に値をPLCに送信し、アラームを引き起こす)を含む。
16.蒸気/凝縮セパレータ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが蒸気/凝縮セパレータ((例えば、遠心作用、慣性分離、及びワイヤメッシュ媒体捕捉によって)例えば、接触器を出る残留蒸気から凝縮物を分離する)を含む。
17.セパレータ圧力センサ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCがセパレータでの圧力センサ(例えば、セパレータ排出口での圧力を測定し、及び/又は、事前設定値を超えた場合に値をPLCに送信し、アラームを引き起こす)を含む。
18.セパレータ凝縮ダンプバルブ。
a.一部の実施形態では、SSCCがセパレータに凝縮液ダンプバルブ(例えば、セパレータから(例えば、アキュムレータ内で高レベルのアラームが引き起こされた場合に、PLCからの入力信号に基づいて)余分な凝縮物を(例えば、プログラムされたロジックを介して)排出することを可能にする)を含む。
19.サンプル冷却器へのセパレータ凝縮物の配管。
a.いくつかの実施態様において、SSCCはサンプル冷却器へのセパレータの凝縮物の移送のための配管(例えば、セパレータからサンプル冷却器への凝縮物のための配管の導管、アキュムレータに連結されている)を含む。
20.アキュムレータのレベルセンサ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCがSSCCのアキュムレータ構成要素のレベルセンサ(例えば、アキュムレータ内のレベルを測定し、(例えば、VSD凝縮ポンプの制御を可能にし、及び/又はアキュムレータ及びセパレータ内の一定の液体レベルを維持するために)信号をPLCに送信する)を含む。
21.アキュムレータ容器。
aいくつかの実施形態では、SSCCがアキュムレータ容器(例えば、セパレータと同じ液体レベルを反映する流れ乱流のない容器を提供する)を含む。
22.凝縮物のサンプル冷却器。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが凝縮物のサンプル冷却器(例えば、単一管熱交換器又は同等物(例えば、凝縮温度(例えば、約100~115℃から50℃未満まで)から凝縮物のサンプルを冷却する))を含む。
23.凝縮物のサンプルの冷却器の冷却水排出口の流量制御バルブ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが凝縮液サンプル冷却器の冷却水排出口に流量制御バルブ(例えば、サンプル冷却器への冷却水のための手動の流量制御を提供する)を含む。
24.凝縮物のサンプル冷却器の冷却水の排出口配管。
a.いくつかの実施態様において、SSCCは凝縮物のサンプル冷却器の冷却水排出口のための配管(例えば、サンプル冷却器からの冷却水を排水するための導管を提供する)を含む。
25.凝縮物のサンプル冷却器の冷却水の注入口隔離バルブ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが凝縮物のサンプル冷却器の冷却水の注入口の隔離バルブ(例えば、サンプル冷却器への冷却水の循環量の手動による隔離を可能にする)を含む。
26.凝縮物のサンプル冷却器の冷却水の注入口のフロースイッチ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが凝縮物のサンプル冷却器の冷却水の注入口のフロースイッチ(例えば、サンプル冷却器へのフロー冷却水のフローを測定し、及び/又は、フローが事前設定値を下回る場合に、アラームをPLCに送信する)を備える。
27.凝縮物のサンプル冷却器の冷却水の注入口の配管。
a.いくつかの実施態様において、SSCCは凝縮物のサンプル冷却器の冷却水の注入口のための配管(例えば、サンプル冷却器への冷却水の流れのための導管を提供する)を含む。
28.凝縮物のサンプル温度センサ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが凝縮物のサンプル温度センサ(例えば、サンプル冷却器の下流の凝縮したサンプルの温度を測定し、及び/又は、予め設定された値を超えた場合に、その値をPLCに送信し、アラームを引き起こす)を含む。
29.冷却器からの凝縮したサンプルの配管排出口。
a.いくつかの実施態様において、SSCCは凝縮液サンプル冷却器からの配管(例えば、サンプル冷却器から流出する水流を冷却するための導管を提供する)を含む。
30.緩熱ポンプ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが緩熱ポンプ(例えば、サンプル冷却器からの凝縮物の一部を、蒸気のサンプルの流れに戻してSSCC(例えば、蒸気サンプルを緩熱する)に送り込む)を含む。
31.緩熱ポンプ用空気供給の流量制御バルブ/隔離バルブ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが緩熱ポンプにおける空気供給のための流量制御バルブ/隔離バルブ(例えば、圧縮空気供給の制御が緩熱ポンプを駆動することを可能にする)を含む。
32.可変速駆動の凝縮物のサンプルポンプ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが凝縮物のサンプルポンプ(例えば、可変速駆動のポンプ(例えば、PLCからの信号に比例した速度で(例えば、アキュムレータ及びセパレータ内の一定の液体レベルを制御及び維持するために)アキュムレータ容器から(サンプル冷却器を通して)凝縮物をポンプで送出する)を含む。
33.分析器への凝縮したサンプルの配管。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが凝縮物のサンプルを分析器に送るための配管(例えば、冷却され、ポンプで送られた凝縮物のための導管を分析器に提供する)を含む。34.分析器又はドレン管への凝縮したサンプルの3方バルブ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが分析器又はドレンへの凝縮液サンプルのためのバルブ(例えば、3方向バルブ)(例えば、PLCのプログラムされた論理を介して)始動中に、及び/又は純水が分析器に流れる間に、冷却され、ポンピングされた凝縮物のサンプルの流れを排出することを可能にする)を含む。
35.凝縮したサンプルの分析器への流量センサ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが分析器に流量センサ(例えば、凝縮物のサンプルの流量を測定し、及び/又は蒸気サンプル濃縮係数を計算するための信号をPLCに送信する)を含む。
36.分析装置への脱イオン水の配管。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが分析器への脱イオン水のための配管(例えば、分析器への脱イオン水のための導管を提供する)を含む。
37.脱イオン水隔離バルブ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが(例えば、PLCのプログラムされた論理の制御下で)脱イオン水が分析器に流れることを可能にする)脱イオン水のための隔離バルブを含む。
38.脱イオン水のイオン交換カートリッジ。
a.いくつかの実施形態では、SSCCがイオン交換カートリッジ(例えば、溶解イオン及び他の不純物を脱イオン水供給源から除去する(例えば、高純度脱イオン水源を生成して流し、ゼロベースラインの水の流れを分析器に提供する))を含む。
39.蒸気不純物分析器。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが1つ以上の蒸気不純物分析器(例えば、不純物のレベルを測定する市販のオンラインの蒸気純度分析器(例えば、Na、Cl、SiO、Fe及びTSS分析器))を含む。
40.蒸気不純物分析器のサンプル排出配管。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが蒸気純度分析器からのドレン配管を含む(例えば、液体が分析器からドレンするための導管を提供する)。
41.プログラマブル・ロジック・コントロール(PLC)システム。
a.いくつかの実施形態では、SSCCが1つ又は複数のPLCシステム(例えば、入力信号を(例えば、測定機器から)受信し、制御信号を(例えば、バルブ、ポンプ、分析器及び/又は発電所制御室に)送出するために、SSCCのコンピュータベースの制御を提供する)を含む。
42.ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)。
a.いくつかの実施形態では、SSCCがHMI(例えば、それに接続されたPLC及びSSCC構成要素(例えば、タッチスクリーンディスプレイ又は同等物)をプログラム及び制御するための手段)を含む。
【0027】
以下に、本発明のSSCCシステム(例えば、図1及び図2に示すよう)の種々の構成要素が如何に共同して蒸気中に運ばれる不純物を濃縮し、不純物の分析を容易にするために機能するかを説明する。なお、本発明のSSCCシステムは、以下の例に限定されるものではない。
【0028】
蒸気サンプルの抽出。蒸気サンプルは、マルチノズル等速サンプルプローブ1を使用して、蒸気パイプライン(例えば、原料の地熱蒸気を運ぶ地熱蒸気パイプライン)から抽出される。いくつかの実施形態では、パイプラインの直径を横切って蒸気中に同伴される液相及び固相不純物の統合サンプルを提供するマルチノズルプローブが使用される。Thermochem(米国カリフォルニア州サンタローザ)のモデルSQ2000マルチノズル等速蒸気サンプリングプローブは、この目的のために特別に設計されている。他のシングルノズル等速蒸気サンプリングプローブ、例えば、ASTM D 1066-06「Standard Practice for Sampling Steam」に規定されているものを使用することができる。実施形態では、マルチノズル等速サンプルプローブが等速状態でのサンプルの流量(すなわち、パイプラインにおける周囲の蒸気速度とノズルへの蒸気の流入速度が同じである)が少なくとも1000g/分になるような大きさにされる。しかし、本発明は、それに限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、本発明のシステム及び方法が等速状態でのサンプルの流量が約100g/分~約10,000g/分である状態下で有用である。いくつかの実施形態では、蒸気純度分析器の最小濃縮液体凝縮物排出口のサンプルの流量が約10g/分である。濃縮液体凝縮物流の使用可能な範囲は、10g/分~1,000g/分である。したがって、一実施形態では、総注入口蒸気サンプルの流量が1000g/分であり、蒸気純度分析器への濃縮液体凝縮物サンプルの流量が50g/分である場合、SSCCシステムは濃縮係数20(すなわち、原料注入口蒸気流量よりも20倍濃縮されている)の濃縮サンプルを提供する。本発明は、いかなる特定の濃縮係数にも限定されない。実際、いくつかの実施形態では、注入口蒸気サンプルの流量及び蒸気純度分析器の流量が所望の濃縮係数を提供するために変化し、ここで、濃縮係数は約3~約50、約5~30、約10~20、3~50の間の任意の値、又は3より低い任意の値(例えば、1.5、2、2.5)又は50より高い任意の値(例えば、60、75、90等)である。好ましい実施形態では、濃縮係数は10~20の値である。いくつかの実施形態では、より大きな等速ノズル直径(例えば、5mm~25mm)を使用することによって、高い蒸気サンプルの流量が利用され(例えば、2000~10,000g/分)、それによって、蒸気中に運ばれる固体によるノズルの詰まりの発生率が低減される。
【0029】
いくつかの実施形態では、SSCCシステムが蒸気注入口サンプルの流量を測定する構成要素を含む。いくつかの実施形態では、蒸気注入口サンプルの流量が臨界オリフィス計、渦計及び/又は熱式質量流量計7によって測定される。いくつかの実施形態では、臨界オリフィス計が使用される場合、臨界オリフィス計は(例えば、等速状態を維持するために必要とされる)蒸気サンプルの流量調整を提供する。蒸気サンプルの流量は、上流のオリフィス圧力に直線的に比例する。上流側オリフィス圧力は本質的に蒸気パイプライン圧力と同じであるが、蒸気サンプルライン3内の圧力トランスデューサ6によって直接測定することができる。渦流量計及び/又は熱式質量流量計がSSCCシステムで使用される実施形態では、システムが流量制御バルブ8も備える。
【0030】
いくつかの実施形態では、SSCCシステムが蒸気サンプルの流れを部分的に凝縮する。本発明は、部分縮合の量によって限定されない。実際、SSCCシステムは、蒸気サンプルの流れを約2~50%、約5~40%、約5~30%、約5~25%、又は約5~20%、又はそれらの間の任意の値だけ凝縮させることができる。好ましい実施形態では、SSCCシステムが蒸気サンプルの流れを約5~20重量%凝縮して、濃縮凝縮サンプルの流れ(例えば、不純物に富む)を生成する。本発明は、濃縮の量によって限定されない。不純物の濃縮レベルはサンプルの流れの凝縮量を制御することによって制御し、変更することができる。例えば、サンプルの流れが本発明のSSCCシステムによって約5~20重量%凝縮される場合、これは、不純物を多く含む高濃度の凝縮サンプルの流れを生成する。
【0031】
蒸気サンプル濃縮係数をXとしたとき、X = 蒸気注入口サンプルの流量 / 凝縮排出口サンプルの流量である。一部の実施形態では、部分凝縮プロセスが接触器13と呼ばれる単一チューブのシェル管熱交換器内の冷却水流量を調整することによって制御される。このような実施形態では、冷却水供給圧力が熱交換器のシェル側での冷却水の沸騰を防止するために、蒸気サンプルの飽和圧力を超えなければならない。典型的には、接触器内の蒸気圧は1.5~2.0bar(bara)である。接触器を通る冷却水の流量は自動流量制御バルブ14(例えば、電子ステッパーモーター又は空圧制御によって作動)によって排出口で調整される。このような構成は接触器内の冷却水の圧力が冷却水注入口圧力と同じであり、蒸気サンプル飽和圧力を超えることを保証し、それによって接触器内の冷却水の沸騰を防止する。このようにして、冷却水の沸騰が回避される(例えば、不規則なスラグ流及び不十分な凝縮プロセス制御につながり得る)。いくつかの実施形態では、接触器が蒸気/液体の接触及び蒸気から凝縮相13への不純物の洗浄を確実にするために、混合羽根を有するスタティックミキサーを組み込む。したがって、いくつかの実施例では、本発明のSSCCシステムは、蒸気を濃縮するとともにバルクNCGを除去するために部分的な凝縮をするように構成されていてもよい。例えば、等速プローブ、蒸気サンプルラインへの除熱凝縮液注入用の隔離バルブ、蒸気サンプルラインからの除熱凝縮液注入用の隔離バルブ、蒸気サンプルラインの圧力センサ、蒸気サンプル用の流量センサ、蒸気サンプル用の流量制御バルブ/隔離バルブ、接触器冷却水供給用の圧力センサ、接触器冷却水供給用のチェックバルブ、蒸気接触器冷却水排出口の流量制御バルブ、接触器冷却水排出口の温度センサ、セパレータ圧力センサ、セパレータ凝縮液ダンプバルブ、サンプル冷却器へのセパレータ凝縮液配管、アキュムレータ容器、凝縮液冷却器、凝縮サンプル冷却器冷却水排出口配管、凝縮サンプル冷却器冷却水注入口隔離バルブ、凝縮サンプル冷却器冷却水注入口フロースイッチ、凝縮サンプル冷却器冷却水注入口配管、凝縮サンプル温度センサ、冷却器からの凝縮サンプル配管排出口、緩熱ポンプ、流量コントロールバルブ/緩熱ポンプへの給気用隔離バルブ、可変速駆動コンデンセートサンプルポンプ、分析器への凝縮サンプル配管、分析器又はドレンへの凝縮サンプル3方バルブ、分析器への凝縮サンプルの流量センサ、分析器への凝縮サンプルの流量センサ、純水分離バルブ、純水イオン交換カートリッジ、純水イオン交換カートリッジ、蒸気不純物分析装置(s)サンプルドレン配管、プログラム可能なロジックコントロール(PLC)システム、及びヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)がある。従って、本発明のSSCCシステムは、蒸気の流れから凝縮相中へ不純物を除去/洗浄するように機能する。したがって、本発明のSSCCシステムは蒸気純度分析の検出限界を下げ、分析プロセスから干渉(例えば、不純物)を除去する。例えば、SSCCと市販の分析器対市販の分析器を単独で使用して地熱蒸気中で典型的に達成される検出限界は、以下の通りである。
【0032】
不純物 SSSC使用 SSCC不使用
ナトリウム 1ppb 20ppb
塩化物 1ppb 50ppb
シリカ 1ppb 100ppb
鉄 1ppb 100ppb
いくつかの実施形態では、SSCCシステムが高効率蒸気/液体セパレータ16を含む。本発明のSSCCシステムの高効率蒸気/液体セパレータは、いくつかの実施形態では濃縮され、調整された(ガスを含まない)凝縮物の流れのみが分析されるように、残留蒸気と凝縮物のサンプルとを分離するために使用される。いくつかの実施形態では、セパレータが、サイクロン流を生成するための接線方向の注入口と、残りの蒸気を凝縮液から分離する、残留水分を捕捉するためのミストパッドを蒸気排出口に備える。蒸気/液体セパレータは非常に効率的である(例えば、注入口の凝縮物の非常に小さな割合のみ(例えば、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、又はそれ未満)が、残留排気蒸気中に持ち越される)。いくつかの実施形態では、蒸気/液体セパレータが>95%、>96%、>97%、>98%、又は>99%の分離効率を有する。いくつかの実施形態では、蒸気/液体セパレータが>99%の分離効率を有する(例えば、注入口の凝縮物の1%未満が残留排気蒸気中に持ち越されるように)。いくつかの実施形態では、SSCCシステムがセパレータ内の凝縮物のレベルを連続的に監視/測定する。凝縮物のレベルを監視/測定する複数の方法を使用することができ、これには磁気レベルセンサ及び/又は圧力レベルセンサ20を使用することが含まれるが、これらに限定されない。また、SSCCシステムは可変速駆動(VSD)の凝縮物の計量ポンプ32を含むが、これに限定されない、アキュムレータ容器21内の凝縮物のレベルを一定値に維持するための1つ又は複数の構成要素を備えることができる。いくつかの実施態様において、SSCCシステムは、単一管シェルアンドチューブ熱交換器(サンプル冷却器)22において、凝縮物のサンプルを約100℃から約30℃まで冷却する。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明のSSCCシステムが濃縮係数を計算するために、蒸気のサンプルの流れ、及び凝縮したサンプルの流れ両方を測定するように構成される。いくつかの実施形態では、濃縮係数が、分析された濃度を原料蒸気中の不純物の元の濃度に戻すように補正するために使用される。いくつかの実施形態では、SSCCシステムが冷却された凝縮物の一部(例えば、50%まで)が、VSD(可変速駆動)の凝縮物のポンプ32の前に、高圧下降熱(DSH)ポンプ30によって、凝縮物のラインから引き出されるように構成される。DSHポンプは、空気作動式又は電子式ソレノイド計量ポンプである。DSHポンプは、凝縮物を臨界オリフィスメータ7又は流量制御バルブ9の上流に再循環させる。再循環された凝縮物は、臨界オリフィス又は流量制御バルブの後で蒸気のサンプルが過熱するのを防ぐ。再循環された凝縮物は、蒸気流調整装置を経る圧力降下により発生するであろう。いくつかの実施形態では、圧力降下後に蒸気を少量の残留水分(~0.5%)で飽和状態に維持するのに必要な凝縮物の量は、接触器によって生成される凝縮物の約50%である。いくつかの実施形態ではSSCCシステムが典型的には電気抵抗温度装置(RTD)である温度センサ9を備え、これは蒸気の流れの調整装置の後の蒸気の温度を測定する(例えば、DSHポンプによって十分な凝縮物が注入されて飽和蒸気条件を生成することを確認することができる)。例えば、蒸気が蒸気流調整装置の後に過熱されると、不純物がサンプルライン内に堆積し、分析器39によって下流で測定される見かけの不純物濃度を低下させることがある。DSHポンプの凝縮物は閉ループで再循環されるので、アキュムレータのレベルセンサ20、又はVSD凝縮物ポンプ32からの凝縮物の流量には正味の影響はない。
【0034】
いくつかの実施形態において、SSCCシステムは、VSDポンプからの凝縮物の流れが、凝縮物を排水管又は分析器39に導く電子式3方向ソレノイドバルブ34を通過するように構成される。いくつかの実施形態では、凝縮物のサンプルの流れの流量が、ストリームが分析器39に向けられるときに、磁気流量計35によって測定される。いくつかの実施形態では、脱イオン(DI)水の供給源が一組のイオン交換カートリッジ38から処理中に提供される。加圧されたDI水は電子ソレノイドバルブ37が開くと分析器に流れることが可能であり、これにより自動的に3方サンプルバルブ34が閉じることになる。この構成ではSSCCがサンプルを処理し続けるが、分析器39はDI水流を測定して、ベースライン「ゼロ」データを提供する。
【0035】
いくつかの実施形態では、SSCCシステムが完全に自動化されたプログラマブル論理制御(PLC)制御システム41を備える。PLCシステムはSSCCシステムの任意の構成要素からのデータを実行、制御、監視、転送(例えば、他のローカル又はリモートコンピュータシステムへの)、及び/又は記録するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、PLCシステムが蒸気のサンプルと凝縮物との流量を含むすべてのSSCCプロセスデータを運転、制御、監視、転送及び/又は記録するように構成される。いくつかの実施形態では、PLCシステムが冷却水の流れ(制御バルブ)を制御することによって、予め設定された値に蒸気の凝縮物の量を制御する。いくつかの実施形態では、PLCシステムが分析器への凝縮物の流量制御バルブを制御することによって、セパレータレベルを制御する。さらに他の実施形態では、PLCシステムが蒸気のサンプルの濃縮係数Xを計算する。ここで、X=蒸気のサンプルの流量/凝縮物のサンプルの流量である。いくつかの実施態様において、本発明のSSCCシステムは、地熱蒸気発電システム及び/又は装置とともに利用される。本発明は、いかなる特定の蒸気サイクル発電システム、蒸気発生器又は工業プロセス蒸気システムにも限定されない。例示的なシステムには地熱、石炭火力、石油火力、バイオマス及び原子力発電所、工業用蒸気加熱及び冷却システム、蒸気消毒システム、及び石油増進回収及び他の産業用途のための蒸気発生器が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
いくつかの実施形態では、SSCCシステムが蒸気純度分析器39を含む。本発明は、いかなる特定の分析器にも限定されない。実際、本発明に使用される種々の市販の分析器がある。実際、凝縮した蒸気のサンプル中の不純物を測定するために設計された任意の市販の機器を使用することができる。例示的な分析器はHach、Loveland、CO、USAによって製造された1つ以上の分析器(例えば、イオン特異的電極(ISE)に基づくHach Model 9245低レベルナトリウム分析器;色分光光度法に基づくHach Model 5500sc低レベルシリカ分析器;色分光光度法に基づくHach Model EZ2005低レベル全鉄分析器;及び/又はレーザー光散乱に基づくHach Model TU5300低レベル濁度(TSS)分析器)を含むが、これらに限定されない。
【0037】
I.定義
本明細書中で使用される場合、「約"about"」は当業者によって理解され、そしてそれが使用される文脈に依存してある程度変化する。もし、それが使用される文脈を与えられた当業者に明らかでない当該用語の使用が存在するならば、「約」は、特定の当該用語のプラス又はマイナス10%までを意味する。
【0038】
本明細書で使用されるように、用語「含む"comprising"」はシステム、装置、及び方法が列挙された要素を含むが、他を排除しないことを意味することが意図される。したがって、システム、装置、及び方法は、追加のステップ及び特徴/要素(含む)を含むことができることが意図される。
【0039】
本発明のシステム、装置、及びそれらを使用する方法は以下の実施例を参照することによってさらに記載され、それらは例示のみのために提供される。本発明は、実施例に限定されず、むしろ、本明細書に提供される教示から明らかである全ての変形を含む。米国特許を含むがこれに限定されない、本明細書中で参照される全ての公に利用可能な文書は、特に参照により援用される。
【0040】
〔実施例〕
(実施例1-SSCCの実験室試験結果)
計算は、本発明の部分的な蒸気の凝縮を伴うSSCCシステム及びプロセスの適用と、窒素(N)ガスパージを伴う、オンライン分析アプリケーションのための完全な蒸気の凝縮物の従来の適用とを比較するために実行された。従来の方法では利用されていなかったが、残留CO及びHSの除去を補助するために、完全な凝縮のプロセスにおいて酸添加もモデル化された。使用されたコンピュータモデルは地熱蒸気プロセス用途(例えば、発電所凝縮器及びガス除去)におけるHS、CO及びNHの液体/ガス分配のために特別に開発された。このプログラムは、CNDSRのサブルーチンである「OneBox」と呼ばれ、元々、Lawrence Berkeley Laboratories(1985,LBID-622)のOleh Weresによって開発された。
【0041】
図3は、pHを天然状態の6.5から3.0に低下させるために酸を添加した場合と添加しなかった場合の、完全に凝縮した蒸気のサンプル中の溶解した残留CO濃度を、凝縮物を通過したNパージガス量の機能として示す。コンピュータモデルに使用した最初の蒸気組成は、10,000ppmのCO、180ppmのHS及び100ppmのNHであった。最初の蒸気組成は、非凝縮性ガスに対してほぼ中央の地熱蒸気組成である。図3に示すように、溶解したCO濃度は最初のパージで急速に低下したが、その後、約30リットルのガスパージ量の後に平坦化し、約50リットルの後に有意な利益はなかった。オンライン分析器における典型的なNパージガス流量は、約1リットル/分(lpm)であり、したがって、5リットル又は10リットルをはるかに超える量は、蒸気中の不純物をほぼリアルタイムで監視する必要があるオンライン分析器には実用的ではない(分析はサンプル当たり5分未満であるべきである)。10リットルのパージ量では、凝縮物中にまだ溶解している総COの6.5%が存在し、pHを3.0に低下させた同じパージ量ではまだ4.0%が溶解している。
【0042】
図4は、pHを6.5から3.0に低下させるために酸を添加した場合と添加しなかった場合の、完全に凝縮した蒸気のサンプル中の溶解した残留HS濃度を、凝縮物を通過したNパージガス量の機能として示す。図3に示すものと同じ蒸気組成を使用した。ガスパージなしで完全に凝縮すると、蒸気中の総HSの約30%が凝縮物中に溶解した。ガスパージを行わずに酸を添加することにはほとんど利点がない。10リットルのパージ量の後、凝縮物中にまだ溶解している総HSの14%が存在し、pHを3.0に低下させた同じパージ量では11%がまだ溶解している。pHにかかわらず、約30リットルのガスパージ後に、溶解したHSを減少させることにおいて有意な利点はない。
【0043】
Sガスパージ効率に関する化学モデリング結果を確認するために、制御された実験室試験も行った。図5は、pH調整のための酸添加あり、又はなしによる、実際の蒸気の凝縮物のサンプルに溶解し、測定された残留HSを、Nパージガス量の機能として示す。この場合、蒸気の凝縮したサンプルは、180ppmのHS及び30ppmのNHを含有していた。最初のサンプルの測定シリカ含有量は0.040ppmであり、HS干渉の存在下におけるシリカの検出を容易にするために、0.200ppmを添加して0.240ppmの既知濃度とした。モリブデン酸比色法によって測定されたシリカの濃度(蒸気中の低レベルシリカ測定のために全てのオンライン分析器によって使用されたものと同じ)を、ガスパージ量に対してプロットする。図4及び5に記載されたHSの化学モデリング実験及び結果を用いて観察されたように、測定シリカ値は最初の5リットルのガスパージで急速に低下したが、酸添加の有無にかかわらず、約30リットルで再び平坦化した。0.240ppmの真の値と比較して測定された高いシリカ値は、HS干渉によるものであった。酸添加ありの120リットルのガスパージの後でさえ、測定値は溶解した残留HSの干渉及びこのHSがサンプル中でゆっくりと酸化することによる濁りの形成のために、真の値のほぼ2倍であった。
【0044】
本発明のSSCCシステムは第一に、凝縮物中の干渉ガス溶解を防止するオンライン蒸気純度分析を提供する。図6は、図3及び4に記載されたものと同じモデル及び蒸気組成を使用し、pH調整のための酸添加の機能として、100℃で部分的に凝縮した蒸気中に溶解した残留HSについてのSSCCプロセスのモデルから計算された結果を示す。酸を添加しないと、蒸気中の総HSの約0.5%のみが凝縮物中に溶解した。pH5以下に酸を添加すると、蒸気中の総HSの0.07%のみが凝縮物中に溶解した。これは、Nパージ及び酸添加を使用する完全な凝縮プロセスで達成され得るよりも、2桁以上少ない、凝縮物中に溶解したHSである。
【0045】
本明細書中に記載したSSCCシステムの複数のプロトタイプを製作し、試験した。図面に描かれ、本明細書に記載されている完全に機能的で自動化されたSSCCを、発電所タービンの蒸気をシミュレートするために、実験室の蒸気発生試験ループを用いて試験した。SSCCを完全な設計流量(1kg/h蒸気、0.10kg/h凝縮物)、注入口圧力6.5bar(bara)で225℃までの飽和及び過熱蒸気温度で試験した。
【0046】
SSCCは、排気された残留蒸気から生成された凝縮物の効率的な分離を必要とする。不純物の濃縮係数Xは本明細書に記載されるように、濃縮係数計算において、蒸気/液体セパレータ(例えば、図1に示されるセパレータ9を参照)の後に測定された凝縮物の流れを使用する。したがって、測定された凝縮物の流量が、残留した排気蒸気との液体の持ち越しのために低い場合、濃縮係数Xは誤って高くなる。蒸気試験ループを用いてSSCCについて試験を行い、セパレータ9から蒸気中への液体の持ち越しの量を測定した。高度に検出可能なトレーサ(例えば、蛍光色素マーカー(例えば、PTSA))は、液相にのみ溶解し(蒸気分配なし)、精密計量ポンプによって接触器6の上流の蒸気の流れに注入した。SSCCの通常運転(注入口の蒸気流量が1kg/h及びX=10である場合)を通して生成した凝縮物のサンプル、及びセパレータからの完全に凝縮したベント蒸気のサンプル(補助シェル‐アンド‐チューブ熱交換器を用いる)をトレーサ含有量について解析した。図7に列挙した結果は、セパレータからの蒸気による液体の持ち越しの量が約0.2%に過ぎなかったことを示している。これは、結果に対する数学的補正を必要とする測定バイアスのレベルをはるかに下回った。典型的には、市販の分析器による各不純物の測定精度は+/-10%以下である。
【0047】
SSCCプロセスによる蒸気の不純物の濃縮係数及び回収効率を直接測定するための試験も行った。既知濃度のNaCl溶液(10.3ppm)を精密計量ポンプにより接触器6の上流に注入した。注入速度はリザーバからの溶液の経時的な重量損失を測定するために、電子天秤を使用して重量測定的に決定した。溶液の平均注入速度は9.8+/-0.1g/分であった。試験中にSSCCによって生成された測定凝縮物の流量は、0.0994g/分(35℃で0.100lpm)であった。これらの条件下で、図8に示すように、凝縮物中のNaの予想濃度は1.02ppmであり、オンラインナトリウム分析器による平均測定濃度は0.99ppmであった。この場合も、オンライン・アナライザの精度が与えられた結果に対する数学的補正が必要となる測定バイアスのレベルを大幅に下回った。サンプル注入口蒸気中の実際のNa濃度は、1.0kg/分の蒸気の流量及び既知のNa溶液の注入速度に基づいて0.10ppmであった。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、干渉する非凝縮性ガスのサンプルの流れへの溶解を効果的に防止しながら、地熱蒸気中の不揮発性の不純物を捕捉し、濃縮し、保持するのに非常に効率的なSSCCシステムを提供する。
【0048】
当業者には、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、本発明のシステム、装置、及び方法に様々な修正及び変形を行うことができることが明らかであろう。したがって、本発明は、本発明の変更及び変形が付加されている請求項及びそれぞれと等価な範囲内にある場合には本発明の変更及び変形をカバーすることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、オンラインストリーム純度分析器に接続された本発明の一実施形態におけるSSCCシステムの主要な構成要素及び副構成要素ならびに全体構造を示す図である。
図2図2は、本発明の一実施形態におけるSSCCシステムの構成要素間における、電気的アナログ及びデジタル信号接続(破線、制御入力及び信号出力)を有する主要な構成要素及び副構成要素を示す図である。
図3図3は、pH調整のための酸添加あり、及びなしによる、完全に凝縮した蒸気に溶解した残留COの計算値を、凝縮物を脱気するためのNパージガス量の機能として示す。
図4図4は、pH調整のための酸添加あり、及びなしによる、完全に凝縮した蒸気に溶解した残留HSの計算値を、凝縮物を脱気するためのNパージガス量の機能として示す。
図5図5は、pH調整のための酸添加あり、及びなしによる、測定した、実際の蒸気の凝縮物のサンプルに溶解した残留HSを、Nパージガス量の機能として示す。
図6図6は、図3及び4と同じモデル及び蒸気組成を用い、pH調整のための酸添加の機能として、100℃で部分凝縮蒸気に溶解した残留HSについてのSSCCプロセスのモデルからの計算結果を示す。
図7図7はセパレータ9からの蒸気への液体の持ち越し量を決定するために、蒸気テストループを使用してSSCC上で実施されたテストの結果を示す。図7は、セパレータからの蒸気による液体持ち越し量が約0.2%に過ぎなかったことを示す。
図8図8は、SSCCプロセスによる蒸気の不純物の濃縮係数及び回収効率を直接測定するために行われた試験の結果を示す。図8は試験した条件下で、凝縮物中のNaの予想濃度が1.02ppmであり、オンラインナトリウム分析器による平均測定濃度が0.99ppmであったことを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8