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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179698
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】搬送装置および搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/30 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
B65G47/30 C
B65G47/30 F
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177964
(22)【出願日】2023-10-16
(62)【分割の表示】P 2020031323の分割
【原出願日】2020-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】長山 弘之
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容器等の物品に過大な圧力が作用することや物品の転倒を避けながら、上流のコンベヤから下流のコンベヤへ幅方向に十分に分散させた状態で物品を移載可能な搬送装置および搬送方法を提供する。
【解決手段】p列(p>2)に並ぶ複数の物品2を第1方向D1に対して直交する第2方向D2に搬送する第1コンベヤ12と、物品2を第1方向D1および第2方向D2の双方に対して傾斜した第3方向D3に移動させつつ、下流に位置する第1コンベヤ12へ物品2を供給する供給部11とを備える。供給部11は、第2方向D2にp列に並ぶ物品2に第1方向D1の搬送力を与える供給コンベヤと、供給コンベヤにより搬送されるp列に並ぶ物品を第3方向D3に案内する姿勢が固定される単一の整列ガイド22とを備え、供給部11は、物品2をp列および列ピッチP1で搬送し、第1コンベヤ12は、物品2をp列および列ピッチP2(P2>P1)で搬送する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
p列(p>2)に並ぶ複数の物品を第1方向に対して直交する第2方向に搬送する第1コンベヤと、
前記第1方向にp列に並ぶ前記物品を前記第1方向および前記第2方向の双方に対して傾斜した第3方向に移動させつつ、下流に位置する前記第1コンベヤへ前記物品を供給する供給部と、を備え、
前記供給部は、
前記第2方向に前記p列に並ぶ前記物品に前記第1方向の搬送力を与える供給コンベヤと、
前記供給コンベヤにより搬送される前記p列に並ぶ前記物品を前記第3方向に案内する 姿勢が固定される単一の整列ガイドと、を備え、
前記供給部は、前記物品を前記p列および列ピッチP1で搬送し、
前記第1コンベヤは、前記物品を前記p列および列ピッチP2(P2>P1)で搬送する、搬送装置。
【請求項2】
前記供給コンベヤで搬送される前記p列の前記物品は、
前記整列ガイドに近い側の列の前記物品が前記第1コンベヤに供給されるまでの第1移動距離CD1と、前記整列ガイドに遠い側の前記列の前記物品が前記第1コンベヤに供給されるまでの第2移動距離CD2とは、CD1>CD2の関係を有する、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記整列ガイドよりも上流に設けられ、前記第2方向に間隔を隔てて設けられる一対の上流ガイドを備え、
複数の前記物品は、一対の前記上流ガイドの間を、前記p列で搬送され、かつ、前記p列を維持したまま、前記整列ガイドによる案内領域に移送される、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記整列ガイドで案内される、前記p列で搬送される複数の前記物品のうち、前記第3方向において隣り合う前記物品は、千鳥状に配列されている、請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第1コンベヤに対して直列に接続され、前記物品が密集した状態に前記物品を貯留する第2コンベヤを備え、
前記第1コンベヤの速度をv1、前記第2コンベヤの速度をv2とすると、v1>v2である、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項6】
p列(p>2)に並ぶ複数の物品を第1方向に対して直交する第2方向に物品を搬送する第1コンベヤの上流側に向けて、
前記第1方向にp列に並ぶ前記物品を前記第1方向および前記第2方向の双方に対して傾斜した第3方向に移動させる第1ステップと、
前記第3方向に前記物品を移動させる供給部から下流に位置する前記第1コンベヤへと、前記供給部および前記第1コンベヤの前記第1方向に沿った境界を超えて前記物品を移載する第2ステップと、
を備え、
前記第1ステップでは、
平面視における少なくとも両端部の間に亘り直線状または略直線状に形成された姿勢が固定される単一の整列ガイドにより、前記物品が前記第3方向に沿ってP列および列ピッチP1に配列され、
前記第2ステップでは、
前記物品が前記p列および列ピッチP2(P2>P1)で前記第1コンベヤに移載される、
搬送方法。
【請求項7】
前記第1コンベヤから、前記第1コンベヤに対して直列に接続され、密集した状態に前記物品を貯留する第2コンベヤへと前記物品を移載する第3ステップを備え、
前記第3ステップでは、
前記第1コンベヤの速度をv1、前記第2コンベヤの速度をv2とすると、v1>v2に基づく列数の増加により前記物品の分布範囲が前記第1方向に拡大する、
請求項6に記載の搬送方法。
【請求項8】
前記供給部により前記第3方向に前記物品が移動する速度をv0、前記第1コンベヤの速度をv1とすると、v0<v1に基づいて、
前記第1コンベヤ上に、前記物品が前記第2方向に隙間のある状態で分布する、
請求項6または7に記載の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器等の物品を搬送する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器入りの飲料製品を製造するラインは、例えば、容器に製品液を充填する上流の装置と、検査装置等の下流の装置との間に、多数の容器を貯留可能な貯留コンベヤ(アキュームコンベヤ)を備えている。
【0003】
貯留コンベヤの幅は、貯留コンベヤに容器を供給する供給コンベヤの幅と比べて十分に広い。供給コンベヤから、供給コンベヤに対して直交する貯留コンベヤへと容器を移載し、貯留コンベヤの幅方向の全体に亘り容器を分散させた状態で多数の容器を貯留する。そうすると、上流装置と下流装置との能力差に対応でき、また、上流装置および下流装置の一方を停止させても他方を継続して稼働させることができる。
【0004】
貯留コンベヤへ幅方向に容器を分散させて供給するため、特許文献1に示すように、供給コンベヤにより密集した状態で搬送される容器群を下流に向けて押圧する押圧ガイドが知られている。
あるいは、特許文献2に示すように、容器を複数列に仕切る複数の仕切ガイドが知られている。これらの仕切ガイドにより整列された各列の容器は、下流のコンベヤにおける幅方向に離間する箇所へと案内される。
【0005】
特許文献1の図1に記載された搬送装置は、ガイド(20A)および押圧ガイド(20B)が設置された供給コンベヤ(4)と、供給コンベヤ(4)に対して直交する第1コンベヤ(18A)と、第1コンベヤ(18A)に対して順次直列に接続される第2コンベヤ(18B)、第3コンベヤ(8)、および貯留コンベヤ(10)とを備えている。
【0006】
押圧ガイド(20B)は、供給コンベヤ(4)により所定方向に搬送される容器群の一部の移動を妨げて滞留させるように、容器群に対して凸の向きに湾曲した堰を有している。同様の押圧ガイドは、特許文献3の第4図にも記載されている。
【0007】
供給コンベヤから下流のコンベヤへと容器が移載される際には、容器の列数が増加する。所定の能力下における容器の列数と搬送速度との関係から、容器を貯留する際の貯留コンベヤの速度は、供給コンベヤの速度よりも低く設定される。密集した容器が押圧ガイドにより押圧されると、供給コンベヤ上に容器が広がって貯留コンベヤへと押し出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006-069744号公報
【特許文献2】特開2015-202913号公報
【特許文献3】実開平4-037122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
所定のラインプレッシャが加えられる密集した容器が押圧ガイドにより押圧されることで、供給コンベヤ上の容器に過大な圧力が作用することを避けたい。 また、押圧ガイドの凸状の堰に起因して容器の配置が偏り易いので、例えば堰の裏側の隙間において容器が他の容器により押されて転倒し易い。
【0010】
特許文献1では、供給コンベヤ(4)、第1~第3コンベヤ(18A,18B,8)および貯留コンベヤ(10)のうち最も上流の供給コンベヤ(4)の速度が速い。より詳細には、供給コンベヤ(4)を構成する並列接続のコンベヤ(4A,4B)のうち、第1コンベヤ(18A)へ容器を移載するコンベヤ(4B)の速度が最も速い。つまり、供給コンベヤ(4)から第1コンベヤ(18A)への移載にあたり容器に対して相対的に大きなラインプレッシャを与え、かつ押圧ガイド(20B)を用いることにより、供給コンベヤ(4)上に容器を拡げて第1コンベヤ(18A)へと押し出す。特許文献1の構成によれば、移動する容器への押圧ガイド(20B)による抵抗が大きいため、特に薄肉の容器のプレッシャによる変形を防ぐことが難しい。
【0011】
一方、仕切ガイドを用いる特許文献2の構成によれば、容器が複数列に仕切られていることで、容器に付与される圧力を抑えることができる。しかしながら、仕切ガイドよりも上流において容器を複数列に振り分ける必要があるため、容器振り分け機構が必要となることに加え、複数の仕切ガイドをそれぞれコンベヤに支持する構造が、単一のガイドをコンベヤに支持する場合と比べて複雑となるので、装置コストが増大する。
【0012】
以上より、本開示は、容器等の物品に過大な圧力が作用することや物品の転倒を避けながら、上流のコンベヤから下流のコンベヤへ幅方向に十分に分散させた状態で物品を移載可能な搬送装置および搬送方法を簡易な構造により実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示に係る搬送装置は、
p列(p>2)に並ぶ複数の物品を第1方向に対して直交する第2方向に搬送する第1コンベヤと、
第1方向にp列に並ぶ物品を第1方向および第2方向の双方に対して傾斜した第3方向に移動させつつ、下流に位置する第1コンベヤへ物品を供給する供給部と、を備え、
供給部は、
第2方向にp列に並ぶ物品に第1方向の搬送力を与える供給コンベヤと、
供給コンベヤにより搬送されるp列に並ぶ物品を第3方向に案内する 姿勢が固定される単一の整列ガイドと、を備え、
供給部は、物品をp列および列ピッチP1で搬送し、
第1コンベヤは、物品をp列および列ピッチP2(P2>P1)で搬送する。
【0014】
本開示に係る搬送方法は、
p列(p>2)に並ぶ複数の物品を第1方向に対して直交する第2方向に物品を搬送する第1コンベヤの上流側に向けて、
第1方向にp列に並ぶ物品を第1方向および第2方向の双方に対して傾斜した第3方向に移動させる第1ステップと、
第3方向に物品を移動させる供給部から下流に位置する第1コンベヤへと、供給部および第1コンベヤの第1方向に沿った境界を超えて物品を移載する第2ステップと、
を備え、
第1ステップでは、
平面視における少なくとも両端部の間に亘り直線状または略直線状に形成された姿勢が固定される単一の整列ガイドにより、物品が第3方向に沿ってP列および列ピッチP1に配列され、
第2ステップでは、
物品がp列および列ピッチP2(P2>P1)で第1コンベヤに移載される。
【発明の効果】
【0015】
本開示の搬送装置および搬送方法によれば、押圧ガイドや仕切ガイドの使用により物品に過大な圧力が作用したり、物品の配置の偏りに起因して物品が転倒したりすることを避けながら、整列ガイドが境界に対してなす三角状の領域における物品の配列に基づいて物品を第1方向に拡げることができる。そうすることで、ラインプレッシャを低減しつつ、下流のコンベヤへ幅方向に十分に分散した状態に物品を移載することができる。
【0016】
また、複数列の物品の配列方向を変換するガイドとして、直線的で簡素な形状の単一の整列ガイドを設置すれば足りるため、押圧ガイドや複数の仕切ガイドを用いる場合と比べて構造が簡略である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の実施形態に係る搬送装置と、搬送対象である容器群とを示す平面図である。図示された容器の配置はあくまで一例である。
図2図1の要部拡大図である。図1の一部の容器の図示が省略されている。
図3】整列ガイドの変形例を示す平面図である。
図4】(a)~(c)は、整列ガイドの傾斜の角度および容器の基本的な進路につ いて幾何学的に説明するための模式図である。
図5】(a)は、容器の基本的な進路を示す模式図である。(b)は、容器の進路 の一例を示す模式図である。
図6A】整列ガイドの位置調整を説明するための平面図である。
図6B】整列ガイドの位置調整により容器の進路の位置が変化する様子を示す模式図である。
図7】(a)~(d)は、整列ガイドの変形例を示す模式図である。
図8】整列ガイドの変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、実施形態について説明する。
〔搬送装置の全体構成〕
図1に示す搬送装置1は、図示しない殺菌や充填等の装置による処理を終えた容器2を貯留可能な貯留コンベヤ装置3の上流部に相当する貯留上流コンベヤ13と、貯留上流コンベヤ13へと容器2を供給する供給部11および中間コンベヤ12とを備えている。貯留コンベヤ装置3の全体の図示は省略する。
容器2は、例えば缶やボトルであり、搬送装置1によりコンベヤ上に起立した状態で搬送される。容器2の形状は限定されない。容器2の横断面の形状は、円形状には限らず、例えば矩形状であってもよい。
【0019】
供給部11は、第1方向D1に容器2を搬送する供給コンベヤ110と、供給コンベヤ110上に並ぶ容器2を中間コンベヤ12に向けて案内する整列ガイド22とを含んでいる。
中間コンベヤ12および貯留上流コンベヤ13は、第1方向D1に対し、搬送装置1の平面視において直交する第2方向D2に容器2を搬送する。
搬送装置1の平面視において、第1方向D1および第2方向D2の双方に対して傾斜した方向のことを第3方向D3と称する。供給コンベヤ110は、第3方向D3に容器2を移動させつつ、中間コンベヤ12へ容器2を供給する。
【0020】
供給部11により複数列(p列)で第1方向D1に整列ガイド22まで搬送された容器2は、整列ガイド22により第3方向D3へ配列方向が変換された状態で中間コンベヤ12へと移載され、さらに中間コンベヤ12から貯留上流コンベヤ13への移載により、貯留上流コンベヤ13上にr列で密集した状態に貯留される。
【0021】
〔供給部〕
供給コンベヤ110(図1および図2)は、第1方向D1に対して平行に配置され、第1方向D1に容器2を搬送する。
供給コンベヤ110としては、チェーンコンベヤ、ベルトコンベヤ等の公知のコンベヤ装置を用いることができる。中間コンベヤ12および貯留上流コンベヤ13も同様である。
供給コンベヤ110は、直列に接続された複数のコンベヤから構成されていてもよい。
【0022】
本実施形態の供給コンベヤ110は、詳細な図示を省略するが、第1方向D1に対して平行に配置されるチェーン110A、チェーン110Aが係合するスプロケット、およびチェーンを駆動するモータ等を備えたチェーンコンベヤに相当する。本実施形態の中間コンベヤ12および貯留上流コンベヤ13もチェーンコンベヤに相当する。
供給コンベヤ110のチェーン110Aは、中間コンベヤ12のチェーン12Aの上流側に対して第1方向D1に沿った境界B1をなしている。
【0023】
コンベヤ110,12,13のそれぞれにおいて、チェーンがモータにより所定の速度で駆動される。本明細書において、コンベヤの速度(搬送速度)は、チェーンが駆動される速度に相当する。
【0024】
供給コンベヤ110上の容器群には、必要に応じて所定のラインプレッシャが付与される。ラインプレッシャは、容器2が搬送方向に互いに押される圧力をいう。
【0025】
供給コンベヤ110上の容器群には、ラインプレッシャが付与されていないか、あるいは殆ど付与されていなくてもよい。
【0026】
供給コンベヤ110には、第1方向D1に対して平行な上流ガイド部211,212と、上流ガイド部211の下流側に連なる整列ガイド22とが設けられている。
上流ガイド部211,212は、第2方向D2の両側から、供給コンベヤ110上に並ぶ容器群を第1方向D1に案内する。
上流ガイド部211,212のうち、境界B1に対して第2方向D2に遠い一方のガイド部211は、整列ガイド22の始点22Aに滑らかに連続している。
他方の上流ガイド部212は、整列ガイド22の始点22Aに対応する境界B1上の位置まで第1方向D1にほぼ沿って延びている。
【0027】
整列ガイド22は、搬送装置1の平面視において直線状に形成されている。整列ガイド22は、厳密には、少なくとも両端部(22A,22B)の間に亘り直線状に、第3方向D3に沿って形成されている。この整列ガイド22には、容器2に対して突出した部位は形成されていない。
整列ガイド22の始点22Aに相当する部位は、上流ガイド部211と滑らかに接続されるように湾曲していてもよい。同様に、整列ガイド22の終点22Bに相当する部位は、下流のガイド部(231)と滑らかに接続されるように湾曲していてもよい。
【0028】
整列ガイド22は、上流側に位置する始点22Aと比べ、下流側に位置する終点22Bが境界B1に近接する向きに、第1方向D1および第2方向D2に対して傾斜している。
終点22Bは、境界B1あるいはその近傍に位置している。整列ガイド22は、境界B1に対して角度θ1(鋭角)をなしている。θ1は、90°未満であって、例えば、10~30°である。
【0029】
供給コンベヤ110上における整列ガイド22と境界B1との間には、三角状の領域R2(以下、三角領域R2)が形成されている。上流ガイド部211,212間の領域R1に並んだ容器群は、整列ガイド22により案内されることで、供給コンベヤ110上を滑りつつ、配列方向を第1方向D1から第3方向D3へと変化させて、三角領域R2に配置される。
【0030】
領域R1,R2のいずれにも、容器2の複数の列を互いに仕切る仕切りは配置されていない。同一の整列ガイド22により複数列の容器群が案内され、三角領域R2の形状に倣い、全体として略三角状に配列される。
【0031】
上流ガイド部211,212間の領域R1において容器2が密集しておらず、容器2間に空隙が存在する場合であっても、整列ガイド22による作用により容器2を密集した状態に集合させて、略三角状に整列させることができる。
上流ガイド部211,212間の領域R1においては、容器2が千鳥状あるいは不規則に密集していても、密集していなくてもよく、例えば外乱等により、領域R1において容器2の例えば数個分に相当する空隙が容器群に存在することも許容される(図6A参照)。
【0032】
整列ガイド22は、複数列の容器群を略三角状に整列させる作用が得られる限度において、図7(a)に示す整列ガイド22-1または図7(b)に示す整列ガイド22-2のように始点22Aと終点22Bとの間で折れ曲がっていたり、図7(c)に示す整列ガイド22-3または図7(d)に示す整列ガイド22-4のように始点22Aと終点22Bとの間で湾曲していたりしてもよい。こうした整列ガイドは、略直線状に形成されている。
【0033】
さらに、図8に、変形例に係る整列ガイド22-5を示す。整列ガイド22-5は、境界B1に隣接する側に、容器2を整列させる直線状の整列作用部22Dを備えている。この整列ガイド22-5のように、境界B1に隣接する側に、境界B1の直前および境界B1上の容器2を整列させる整列作用部22Dを境界B1上に容器2が分布する第1方向D1の範囲に亘り備えている限り、整列作用部22Dの上流側の領域22Eが整列作用部22Dに対して屈曲していてもよく、整列作用部22Dおよび領域22Eの全体として非直線状であってもよい。
なお、整列作用部22Dの領域のみが整列ガイドに相当するとも言える。その場合、整列ガイドとしての整列作用部22Dが、ガイド領域22Eを介して上流ガイド部211に接続されている。
【0034】
三角領域R2では、整列ガイド22に沿って、容器2が複数の列をなして第3方向D3に並ぶ。整列ガイド22により容器2の移動方向が第1方向D1に対して曲げられ、第3方向D3に沿って容器2が配列されるため、第3方向D3に沿った容器2の列A1に対して境界B1が傾斜している。これら容器列と境界B1との位置関係より、領域R1,R2における容器列のピッチL1と比べ、境界B1における容器列の第1方向D1のピッチL2が大きい。そのため、供給コンベヤ11から境界B1を超えて中間コンベヤ12へと、容器2が第1方向D1に隙間のある状態に分布して移載される。
ここで、整列ガイド22が境界B1に対してなす角度θ1が小さいほど、容器2を第1方向D1に広く分布させることができる。
【0035】
図4(a)を参照し、供給部11から中間コンベヤ12(第1コンベヤ)へと移載される容器2の基本的な進路について説明する。
図4(a)に示す例では、供給部11上の容器2の各列について、容器2の平面中心が境界B1上に位置するように整列ガイド22の位置や角度が設定されている。加えて、境界B1の直前および境界B1上において容器2が密に千鳥状に配置されている。
なお、供給部11上の全ての容器2が千鳥状に配置される必要はなく、例えば、図4(a)にドット状のパターンを付した、境界B1の直前および境界B1上の容器2が千鳥状に配置されていれば足りる。また、容器2の平面中心が境界B1上からずれていても、以下に述べる容器2の挙動と近似する。
【0036】
上記の例において、図5(a)は、容器2の基本的な進路を一点鎖線で示している。一点鎖線は、容器2の平面中心の軌跡を示している。図5(a)に示すように、容器2の各列が、供給部11および中間コンベヤ12のいずれにおいても、等間隔に配置される。供給部11上のピッチP1が等しければ、中間コンベヤ12上のピッチP2も等しい。
実際には、図5(b)に示すように、第3方向D3に速度v0で移動する容器2の慣性および中間コンベヤ12と容器2との摩擦により、境界B1を超えた容器2が、二点鎖線で示すような進路βを辿る場合がある。この進路βは、一点鎖線で示す基本的な進路αに対して第1方向D1に矢印で示す量だけシフトしている。
進路βが進路αを第1方向D1に超える量、および進路βが第2方向に向けて転向していく軌跡は、速度v0と、中間コンベヤ12および容器2との摩擦力で決まり、さらに、容器2の摩擦力の個体差、外乱によりばらつく。
なお、容器2と中間コンベヤ12との摩擦力が、容器2とチェーンコンベヤとの標準的な摩擦力よりも大きい場合には、容器2の平面中心が境界B1上に到達するよりも前に、容器2の底の一部が境界B1を超えた時点で、容器2の進路が第2方向D2に向けて転向する場合もある(図6B参照)。
【0037】
中間コンベヤ12における各容器2の進路は、個体差や外乱により第1方向D1にばらつく場合がある。また、摩擦のばらつきや外乱が、各容器2の移載のタイミングに影響した場合は、容器2の流れの中で一時的に、容器2が第2方向D2に等間隔に並ばずに、容器2が第2方向D2に近接して接触する場合もある。
【0038】
図4(a)に示すように、供給部11と中間コンベヤ12との境界B1の直前において容器2が密に千鳥状に配置され、かつ、容器2の平面中心が境界B1上を通るならば、整列ガイド22の角度θ1は、次式(1)により表すことができる。
【0039】
【数1】
【0040】
R:千鳥状に隣接した容器2のピッチ(容器2の直径に等しい)
L:供給部11から中間コンベヤ12へと移載された容器2の列間に設定される距離
【0041】
図4(a)に示すように辺tを共有可能な2つの直角三角形T1,T2を設定する。作図の都合上、これらの三角形T1,T2を離して示した。
図4(b)により、容器2の直径Rと、T1の辺tとの関係を示すと、容器2の千鳥配列に基づいて、
t=Rcos30° (2)
図4(c)により、列間の距離Lと、T2の辺tとの関係を示すと、
t=Lsinθ1 (3)
【0042】
(2)および(3)より、Rcos30°=Lsinθ1 であるから、上記の式(1)が導かれる。
【0043】
図4(a)に示す全ての容器2が千鳥状に配置される必要はなく、例えば、ドット状のパターンを付した、境界B1の近傍の容器2が千鳥状に配置されていればよい。厳密な千鳥状の配置から容器2の位置がずれているとしても、容器2同士がほぼ密着していれば、容器2は略千鳥状に配置されているので、その場合のθ1は式(1)に近似する。
【0044】
〔中間コンベヤ〕
中間コンベヤ12(第1コンベヤ)は、供給部11から移載された容器2を第2方向D2に搬送し、貯留上流コンベヤ13に移載する。
三角領域R2から境界B1を超えて中間コンベヤ12に導入された容器2は、中間コンベヤ12上で幅方向(第1方向D1)に分布する。
中間コンベヤ12には、第1方向D1に分布した容器2を配置するに足りる十分な幅が与えられている。本実施形態の中間コンベヤ12には、貯留上流コンベヤ13と同じ幅が与えられているが、この限りではない。
中間コンベヤ12は、直列に接続された複数のコンベヤから構成されていてもよい。
【0045】
中間コンベヤ12上には、貯留上流コンベヤ13への容器2の移載時に容器2の分布範囲をさらに幅方向に拡大させ、貯留上流コンベヤ13において容器2をr列で貯留するため、容器2が移動可能な、容器2の配置されていない空隙が残される。
【0046】
供給コンベヤ110および整列ガイド22により容器2が第3方向D3に移動する速度をv0、第1コンベヤ12の速度をv1とすると、それらの速度を例えばv0<v1となるように設定することができる。
0<v1である場合は、供給部11から中間コンベヤ12への移載に伴い容器2の移動速度が増加することで、第2方向D2の隙間G1(図1)が容器2間に与えられる。隙間G1が存在するため、容器2は第2方向D2に加圧されていない。
中間コンベヤ12が複数のコンベヤから構成される場合は、搬送速度の変化による容器2の転倒を防止するため、容器2の移動速度が次第に変化するように各コンベヤの速度を設定することができる。
【0047】
0は、領域R1において容器2が密集している場合には、領域R1における第1方向D1への容器2の移動速度に一致する。さらに、領域R1において容器2とチェーン110Aとの間に滑りがない場合には、v0は、供給コンベヤ110のチェーン110Aの駆動速度にも一致する。領域R1において容器2間に空隙が存在する場合には、v0は、領域R1における第1方向D1への容器2の移動速度と比べて低速である。
【0048】
図1および図2には、v0<v1であるため、供給コンベヤ11から中間コンベヤ12への移載の前後で容器2の列数が変わらない例を示しているが、v0,v1の関係によっては、これに限られない。
供給部11および中間コンベヤ12の速度の関係は、v0≧v1であってもよい。供給部11および中間コンベヤ12が同じ速度である場合には、例えば、図6Aに示すように、中間コンベヤ12において容器2が第2方向D2に近接して連なる。また、供給部11の速度v0に対して中間コンベヤ12の速度v1が遅い場合は、中間コンベヤ12において容器2同士が接触することで、供給部11における容器2の列数に対して中間コンベヤ12における容器2の列数が増える。
供給部11および中間コンベヤ12の速度の関係は、必要に応じて、v0≧v1と、v0<v1とに切り替えることも可能である。
【0049】
速度v1が遅いとき、容器2が滞留して第1方向D1に拡がり、それによって中間コンベヤ12上の容器2の列数が増加することも許容される。但し、貯留上流コンベヤ13への移載に伴い容器2の分布範囲が幅方向に拡がるための余地(空隙)が中間コンベヤ12上から失われない限度において、中間コンベヤ12の速度v1を低く設定することができる。
【0050】
中間コンベヤ12の幅方向の両側には、中間ガイド部231,232が設置されている。容器2同士の衝突等により容器2がコンベヤの外部に飛び出すことを防ぐため、整列ガイド22と中間ガイド部231とが連続し、上流ガイド部212と中間ガイド部232とが連続していることが好ましいが、その限りではない。また、容器2の噛み込みや傷付きを防ぐため、ガイド部が滑らかな形状に連続していることが好ましい。
【0051】
中間ガイド部231,232は、適宜な形状に形成することができる。
図1および図2に示す例によると、中間ガイド部231は、整列ガイド22の終点22Bから境界B1に沿って供給コンベヤ110の搬送方向の下流に向けて延びた部分231Aと、部分231Aに対して屈曲し、第2方向D2に沿って延びる部分231Bとを備えている。
また、中間ガイド部232は、上流ガイド部212の終点212Bから境界B1に対して傾斜した部分232Aと、第2方向D2に沿って延びる部分232Bとを備えている。
【0052】
上流ガイド部211、整列ガイド22、中間ガイド部231、および貯留コンベヤ装置3のガイド部241は、この順で連続している。これらガイド部211,22,231,241は、単一の部材から、あるいは2以上の部材に適宜に分割して構成することができる。
一方、上流ガイド部212、中間ガイド部232、および貯留コンベヤ装置3のガイド部242は、この順で連続している。これらガイド部212,232,242も、単一の部材から、あるいは2以上の部材に適宜に分割して構成することができる。
【0053】
〔貯留上流コンベヤ〕
貯留上流コンベヤ13(第2コンベヤ)は、上述したように貯留コンベヤ装置3の上流部に相当する。
貯留上流コンベヤ13は、中間コンベヤ12に対して直列に接続され、密集した状態に容器2を貯留する。中間コンベヤ12と貯留上流コンベヤ13との境界B2には、必要に応じて図示しない渡し板が配置される。
【0054】
供給コンベヤ110上の領域R1にp列で第1方向D1に並んでいた容器2は、三角領域R2および中間コンベヤ12を経て、貯留上流コンベヤ13上にp列よりも多いr列で第2方向D2に並ぶ。貯留上流コンベヤ13には、密集したr列の容器2を配置するに足りる十分な幅が与えられている。
【0055】
中間コンベヤ12の速度がv1であって、また、貯留上流コンベヤ13の速度がv2であるとすると、v1>v2である。つまり、中間コンベヤ12から貯留上流コンベヤ13への移載に伴い容器2が減速する。v1>v2により、所定の搬送能力下における容器2の列数と搬送速度との関係から、容器2の列数が増加する。加えて、v2は、貯留上流コンベヤ13において密集した状態に容器2が貯留されるように設定されている。
したがって、貯留上流コンベヤ13への移載に伴い、容器2の分布範囲が第1方向D1に拡大し、貯留上流コンベヤ13上の幅方向のほぼ全体に亘り容器2が密集した状態に分布する。
【0056】
貯留上流コンベヤ13への移載時の速度変化による容器2の転倒を防止するため、直列接続された複数のコンベヤを用いて容器2の移動する速度が次第に変化するように各コンベヤの速度を設定することができる。
【0057】
〔貯留コンベヤ装置〕
貯留コンベヤ装置3は、貯留上流コンベヤ13、および貯留下流コンベヤ14等の直列に接続された複数のコンベヤからなり、多数の容器2を搬送しつつ貯留可能に構成されている。貯留コンベヤ装置3を構成する複数のコンベヤのそれぞれには、適切な速度が与えられる。なお、貯留上流コンベヤ13と貯留下流コンベヤ14との間に、貯留コンベヤ装置3を構成する他のコンベヤが介在していてもよい。
【0058】
貯留コンベヤ装置3に多数の容器2を貯留することにより、上流と下流との能力差を吸収し、製造ラインの一部を停止しても生産を継続して行うことができる。こうしたアキュームレーティング(accumulating)機能を有していることにより、貯留コンベヤ装置3はアキュームコンベヤと称される。貯留コンベヤ装置3には、上流装置および下流装置の能力等に応じて、必要な貯留量を確保できるように適宜な幅および長さが与えられている。
【0059】
貯留コンベヤ装置3は、上流装置および下流装置のいずれも稼働している定常時において、上流から容器2を受け入れて貯留しつつ、下流へ必要量の容器2を払い出す。
貯留コンベヤ装置3上に、出来るだけ偏り無く均一に容器2を貯留するため、貯留コンベヤ装置3の幅方向(第1方向D1)の全体に亘り容器2が分散していることが好ましい。
【0060】
〔搬送装置の作用および効果〕
充填や殺菌等の上流装置から図示しない搬送機構を経て供給コンベヤ110に送られた容器2は、図1に示すように、p列に並ぶ容器2を中間コンベヤ12の上流側に向けて第3方向D3に移動させる第1ステップS1と、供給部11から中間コンベヤ12へと境界B1を超えて容器2を移載する第2ステップS2と、中間コンベヤ12から貯留上流コンベヤ13へと境界B2を超えて容器2を移載する第3ステップS3とを経て、貯留上流コンベヤ13上に、幅方向(第1方向D1)の全体に亘り分布した状態に貯留される。
【0061】
第1ステップS1では、整列ガイド22により容器群の移動方向が第1方向D1に対して曲げられることで、三角領域R2に容器2が第3方向D3に沿って複数列に配列される。そうすると、第3方向D3に対して傾斜した境界B1上において容器列の第1方向D1のピッチがL2に拡大されていることにより、各容器2が境界B1を超えて中間コンベヤ12へと幅方向に均等に分布した状態で移載される(第2ステップS2)。
【0062】
凹凸のある押圧ガイドが用いられる場合とは異なり、直線状に形成された整列ガイド22により容器2を第3方向D3に整列させることができるので、三角領域R2において容器2の転倒に繋がるような大きな空隙が形成され難い。上流の領域R1において容器群に比較的大きな空隙が存在していたとしても、多くの場合、その容器群が三角領域R2に整列される際に当該空隙は容器2に置換される。
但し、三角領域R2に配置された容器群に当該空隙が存在していることも許容される。
境界B1上の一部において容器2が存在しないとしても、供給部11から境界B1を超えて中間コンベヤ12へと幅方向に分散した状態で容器2が移載される。
【0063】
各容器2が中間コンベヤ12に移載されるのに伴い、後続の容器2が三角領域R2に補充される。したがって、三角領域R2における容器2の配列を一定に維持しつつ、三角領域R2から中間コンベヤ12へと容器2を安定して一定の供給量で供給することができる。
【0064】
供給コンベヤ110の速度v0と中間コンベヤ12の速度v1とが異なる場合は、供給コンベヤ110から中間コンベヤ12への移載に伴い容器2の移動速度がv1に追従して変化する。例えばv0<v1ならば、容器2の増速によって容器2間に第2方向D2の隙間G1が与えられる。
【0065】
第3ステップS3では、中間コンベヤ12から、中間コンベヤ12よりも低速であって、密集した状態に容器2を貯留する貯留上流コンベヤ13へと容器2が移載される。すると、容器2は減速しつつ、密集した容器群の末尾で幅方向に拡がり、列数が増加するため、貯留上流コンベヤ13上にr列の容器2が貯留される。
なお、図1に示す例では、中間コンベヤ12の下流部12Bにおいても容器2が密集しているが、この限りではない。密集した容器群の末尾が貯留上流コンベヤ13上にあってもよい。
【0066】
さらに容器2は、貯留上流コンベヤ13から、貯留コンベヤ装置3に備わるコンベヤ14等の下流のコンベヤを経て検査装置や箱詰め装置等の下流装置に向けて搬送される。貯留上流コンベヤ13およびコンベヤ14を含め、貯留コンベヤ装置3の各コンベヤにおける容器2の分布状態は、製造ラインの各処理装置の稼働状況等によって変動する。
【0067】
本実施形態の搬送装置1、ステップS1~S3による搬送方法によれば、上流の供給部11から、中間コンベヤ12を介して貯留コンベヤ装置3へと容器2を幅方向(第1方向D1)に十分に分布した状態で供給することができる。
つまり、供給部11から中間コンベヤ12への移載に単一の整列ガイド22が用いられることで、整列ガイド22に沿って配列された容器2と境界B1との幾何学的関係に基づいて容器2の分布範囲が拡大され、続いて、中間コンベヤ12と貯留上流コンベヤ13とのv1,v2の速度差に基づいて容器2の列数が増えると共に分布範囲がさらに拡大される。その結果、貯留コンベヤ装置3の幅方向に偏りなく、幅方向の全体に亘り容器2を均一に分布させて、貯留コンベヤ装置3に容器2を効率よく貯留することができる。
【0068】
直交したコンベヤへ容器2を幅方向に分布させるための典型例としては、ラインプレッシャ付与下において押圧ガイドを用いて容器2を加圧することで、貯留コンベヤ装置3の幅方向に容器2を分布させたり、予め容器2を各列に振り分け、複数の仕切ガイドにより列毎に容器2を案内することで貯留コンベヤ装置3の幅方向に容器2を分布させたりする。
上記典型例に対し、本実施形態によれば、押圧ガイドや仕切ガイドの使用により容器2に過大な圧力が作用したり、ガイド周辺の容器2の配置の偏りに起因して容器2が転倒したりすることを避けながら、供給部11から中間コンベヤ12への移載時にはラインプレッシャを付与しない条件下でも容器2を第1方向D1に拡げ、さらに中間コンベヤ12から貯留上流コンベヤ13への移載時にも容器2を第1方向D1に拡げることができる。本実施形態によれば、押圧ガイドを用いて容器2を第1方向D1に一度に拡げる場合と比べてラインプレッシャを低減することができる。
【0069】
整列ガイド22は、容器2に向けて突出した堰の無い、直線的または略直線的な形状に形成されているため、移動する容器2に与える抵抗が小さい。そのため、容器2が薄肉であったとしても容器2の変形を防ぐことができ、また、搬送速度の増大による能力増大に対応することができる。
その上、整列ガイド22は直線的または略直線的で簡素な形状であるため加工が容易であり、さらに、容器2の配列方向を変換するガイドとして単一の整列ガイド22を設置すれば足りるので、整列ガイド22の支持構造が簡略であるから、押圧ガイドや複数の仕切ガイドを用いる場合と比べて搬送装置1の製造コストを低減することができる。
【0070】
以上より、簡易な構造でありながら、低ラインプレッシャにより容器群をスムーズに第1方向D1の広い範囲に分布させることが可能な搬送装置1および搬送方法を実現することができる。
【0071】
〔変形例〕
図3に示すように、境界B1に対して角度θ2をなす整列ガイド22-5を採用することもできる。θ2がθ1図2)よりも大きいため、整列ガイド22-5により配列方向が変換される容器2の第1方向D1への分布範囲が、整列ガイド22を用いる場合と比べて狭い。そのため、整列ガイド22-5は、貯留コンベヤ装置3においてrよりも少ない列数で容器2を貯留する場合に適合している。
【0072】
図6Aに示すように、中間ガイド部231,232の間に均等に容器2の列が位置するように、中間ガイド部231,232に対して、整列ガイド22を実線で示す位置から例えば一点鎖線または破線で示す位置へと第1方向D1に移動させることができる。
図6Bは、整列ガイド22を第1方向D1に沿って矢印の向きに移動させたときの容器2の進路を一点鎖線で示している。整列ガイド22の位置の調整は、容器2の進路のずれやばらつきを確認しながら行うとよい。その際に、中間コンベヤ12に分布した容器2の全体を中間ガイド部231,232の中央に合わせるように整列ガイド22の位置を調整してもよいし、あえて中間ガイド部231,232のいずれか一方に容器2が近接するように整列ガイド22の位置を調整してもよい。
【0073】
〔付記〕
以上で説明した搬送装置および搬送方法は、以下のように把握される。
(1)搬送装置1は、第1方向D1に対して直交する第2方向D2に物品(2)を搬送する第1コンベヤ12と、第1コンベヤ12の上流側に対して第1方向D1に沿った境界B1をなし、複数列に並ぶ物品を第1方向および第2方向に対して傾斜した第3方向D3に移動させつつ、第1コンベヤ12へ物品を供給する供給部11と、を備える。
供給部11は、複数列に並ぶ物品を第3方向D3に案内する整列ガイド22を含む。整列ガイド22は、平面視における少なくとも両端部の間に亘り直線状または略直線状に形成され、同一の整列ガイド22により複数列の物品が案内される。
(2)搬送装置1は、第1コンベヤ12に対して直列に接続され、物品が密集した状態に物品を貯留する第2コンベヤ13を備える。第1コンベヤ12の速度をv1、第2コンベヤ13の速度をv2とすると、v1>v2である。
(3)供給部11により第3方向D3に物品が移動する速度をv0、第1コンベヤ12の速度をv1とすると、v0<v1である。
(4)供給部11により第3方向D3に物品が移動する速度をv0、第1コンベヤ12の速度をv1とすると、v0≧v1である。
上記(3)および上記(4)の構成は、択一的に採用することができるし、あるいは、
(3)と(4)とを切り替えることも可能である。
(5)供給部11は、第1方向D1に物品を搬送する供給コンベヤ110と、供給コンベヤ110上に並ぶ物品を第3方向D3に案内する整列ガイド22と、を含む。
(6)搬送方法は、第1方向D1に対して直交する第2方向D2に物品(2)を搬送する第1コンベヤ12の上流側に向けて、複数列に並ぶ物品を第1方向および第2方向に対して傾斜した第3方向D3に移動させる第1ステップS1と、第3方向D3に物品を移動させる供給部11から第1コンベヤ12へと、供給部11および第1コンベヤ12の第1方向D1に沿った境界B1を超えて物品を移載する第2ステップS2と、を備える。
第1ステップS1では、平面視における少なくとも両端部の間に亘り直線状または略直線状に形成された同一の整列ガイド22により、物品が第3方向D3に沿って複数列に配列される。
第2ステップS2では、第3方向D3に沿って複数列に配列された物品と境界B1との位置関係から、境界B1上に、第1方向D1に隙間G1のある状態に分布した物品が第1コンベヤ12に移載される。
(7)搬送方法は、第1コンベヤ12から、第1コンベヤ12に対して直列に接続され、密集した状態に物品を貯留する第2コンベヤ13へと物品を移載する第3ステップS3を備える、第3ステップS3では、第1コンベヤ12の速度をv1、第2コンベヤ13の速度をv2とすると、v1>v2に基づく列数の増加により物品の分布範囲が第1方向D1に拡大する。
(8)供給部11により第3方向D3に物品が移動する速度をv0、第1コンベヤ12の速度をv1とすると、v0<v1に基づいて、第1コンベヤ12上に、物品が第2方向D2に隙間G1のある状態で分布する。
【0074】
上記以外にも、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
本開示の搬送装置および搬送方法は、飲料や食品、医薬品の容器に適用できる他、容器以外の物品にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 搬送装置
2 容器(物品)
3 貯留コンベヤ装置
11 供給部
12 中間コンベヤ(第1コンベヤ)
12A チェーン
13 貯留上流コンベヤ(第2コンベヤ)
14 貯留下流コンベヤ
22 整列ガイド
22A 始点
22B 終点
110 供給コンベヤ
110A チェーン
211,212 上流ガイド部
212B 終点
231,232 中間ガイド部
231A,231B 部分
232A,232B 部分
241,242 ガイド部
A1 列
B1,B2 境界
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向
G1 隙間
L1,L2 ピッチ
R1 領域
R2 三角領域
S1 第1ステップ
S2 第2ステップ
S3 第3ステップ
v0,v1 速度
θ1,θ2 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8