(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179701
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】医療装置消毒システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/12 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
A61B1/12 510
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023178137
(22)【出願日】2023-10-16
(62)【分割の表示】P 2021131897の分割
【原出願日】2016-08-18
(31)【優先権主張番号】62/208,239
(32)【優先日】2015-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/278,197
(32)【優先日】2016-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー セバスチャン バウコ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン ウォレス ベネット
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム スペンサー クルッベン ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】ホースト シュライバー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】医療装置を消毒するためのシステムを提供する。
【解決手段】本装置は、約10nm~約500nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する光源を備えている。本システムは、医療装置の少なくとも1つの内部チャネルと光学的に連通して配置された、少なくとも1つの円筒型光拡散装置であって、外面及び光源に光学的に結合された端部を有する光拡散装置を更に備えている。少なくとも1つの円筒型光拡散装置は、外面を通して導波光を散乱し、長さを有し、その長さにわたり実質的に均一な放射線を放出する光拡散部を形成するように構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置を消毒するためのシステムであって、
405nm~450nmの間の少なくとも1つの波長を有する光を生成する光源と、
医療装置の少なくとも1つの内部チャネルと光学的に連通して配置された、少なくとも1つの円筒型光拡散装置であって、外面及び前記光源に光学的に結合された端部を有する円筒型光拡散装置と、
を備え、
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、前記外面を通して導波光を散乱し、長さを有し、該長さにわたり実質的に均一な放射線を放出する光拡散部を形成するように構成され、
前記円筒型光拡散装置が、50dB/kmを超える散乱誘起減衰を有し、
前記実質的に均一な放射線の最小散乱照明強度が、前記実質的に均一な放射線の最大散乱照明強度の0.7以上であり、
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、コア、一次クラッド、及び複数のナノサイズ構造を有する光散乱光ファイバーを含み、前記導波光が、前記ナノサイズ構造を介し、前記コアから前記外面を通して散乱され、前記コア内に配置された前記ナノサイズ構造が、SO2、Kr、Ar、CO2、N2、O2の内の少なくとも1つまたはこれらの混合物を含むガス充填空孔である、
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連技術の相互参照】
【0001】
本出願は、2016年1月13日出願の米国仮特許出願第62/278,197号、及び2015年8月21日出願の米国仮特許出願第62/208,239号の米国特許法第119条に基づく優先権を主張するものであって、その内容に依拠し、参照により全内容が本明細書に援用されるものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、医療装置、医療装置消毒システム、及び消毒方法に関するものである。より具体的には、本開示は、少なくとも1つの円筒型光拡散装置を有する医療装置、少なくとも1つの円筒型光拡散装置を含む医療装置消毒システム、及び少なくとも1つの円筒型光拡散装置を用いた消毒方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
医療環境に存在する細菌は、一般的な社会環境において見られる細菌とは主に抗生物質療法に対する耐性が著しく異なる。多くの点で、病院環境は、細菌、菌類、及びウイルスの有毒な菌株を保有することによって、この問題に関係している。これは、少なくとも一部には、従来の多くの消毒方法に効果がなく、実際に汚染物質を拡散している可能性があることによるものである。加えて、定期的に消毒を施すことによって、細菌はやがてその消毒に抵抗力を示すようになる。これらの汚染物質は、対象物、特に、病院内の医療装置に存在している。使い捨てできない医療装置の場合には、使用と使用との間に装置を消毒する必要がある。加えて、長期にわたり、一部が体の内部に配置され、一部が体の外部に配置される一部の医療装置には、感染のリスクが増大している。
【0004】
かかる医療装置の例に軟性及び硬性内視鏡がある。かかる内視鏡をクリーニングする一部のシステムは、液体洗剤及び消毒液を用いて洗浄及び消毒を施す処理槽に、内視鏡が収容できるように構成されている。しかし、内視鏡は、届き難く消毒が困難な複数の内部チャネル又は内腔を有し得る。かかるチャネルは、液体洗浄剤の注入、吸引、及び生検鉗子等の柔軟な手術器具を通すために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内視鏡の内部チャネル又は内腔の洗浄に使用される、いくつかの機械的補助が開発されている。例えば、内部チャネル又は内腔に適合するブラシ装置は、中心軸から突出して内視鏡の内部チャネル又は内腔の表面を機械的に研磨するブリッスルを備えている。また、内部チャネル又は内腔に適合するスポンジ装置は、酵素クリーナーがより効率的かつ均一に汚染物質を消化できるように、内視鏡の内部チャネル又は内腔の表面の実質的に均一なフィルムに汚染物質を広げる。しかし、ブラシ装置のブリッスルは、内視鏡の内部チャネル又は内腔の表面に均一に接触せず、スポンジ装置は単に汚染物質を広げるのみで、内視鏡の内部チャネル又は内腔の表面に付着している汚染物質を除去するのに必要な機械力を与えるようには構成されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施の形態によれば、医療装置を消毒するためのシステムが提供される。本装置は、約10nm~約500nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する光源を備えている。本システムは、医療装置の少なくとも1つの内部チャネルと光学的に連通して配置された、少なくとも1つの円筒型光拡散装置であって、外面及び光源に光学的に結合された端部を有する光拡散装置を更に備えている。少なくとも1つの円筒型光拡散装置は、外面を通して導波光を散乱し、長さを有し、その長さにわたり実質的に均一な放射線を放出する光拡散部を形成するように構成されている。
【0007】
本開示の別の実施の形態によれば、医療装置が提供される。本医療装置は、少なくとも1つの内部チャネル、及び少なくとも1つの内部チャネルと光学的に連通する、少なくとも1つの円筒型光拡散装置であって、外面及び光源に光学的に結合された端部を有する光拡散装置を備えている。少なくとも1つの円筒型光拡散装置は、外面を通して導波光を散乱し、長さを有し、その長さにわたり実質的に均一な放射線を放出する光拡散部を形成するように構成されている。
【0008】
本開示の別の実施の形態によれば、消毒の方法が提供される。本方法は、少なくとも1つの円筒型光拡散装置の少なくとも一部を、医療装置の内部チャネルに挿入するステップと、光源からの光を、光源に光学的に結合された少なくとも1つの円筒型光拡散装置の端部に導入し、拡散装置の外面を通して光を放出して、拡散装置の一部を照らし、内部チャネルを放出光に曝露するステップとを備えている。少なくとも1つの円筒型光拡散装置は、外面を通して導波光を散乱し、長さを有し、その長さにわたり実質的に均一な放射線を放出する光拡散部を形成し、内部チャネルの少なくとも1つを消毒するように構成されている。
【0009】
更なる特徴及び効果は、これに続く詳細な説明に述べてあり、当業者はその記述から、一部は容易に明らかであり、これに続く詳細な説明、特許請求の範囲、及び添付図面を含め、本明細書に記載の実施の形態を実施することによって認識できるであろう。
【0010】
前述の概要説明及び以下の詳細な説明は、いずれも単なる例示であって、特許請求の範囲の性質及び特徴を理解するための概要、及び枠組みの提供を意図したものであることを理解されたい。添付図面は、更なる理解が得られることを意図して添付したもので、本明細書に組み込まれ、その一部を構成するものである。図面は1つ以上の実施の形態を示すもので、その説明と併せ、様々な実施の形態の原理及び作用の説明に役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示は、純粋に非限定的な例として示される、以下の説明及び添付図面から、より明確に理解されるであろう。
【
図1】光拡散光バイバーの例示的な実施の形態の部分概略側面図。
【
図2】方向II-IIに沿った、
図1の光ファイバーの概略断面図。
【
図3A】光拡散ファイバーの例示的な実施の形態について、ファイバー半径に対する相対屈折率をプロットした概略図。
【
図3B】光拡散ファイバーの別の例示的な実施の形態について、ファイバー半径に対する相対屈折率をプロットした概略図。
【
図3C】光拡散ファイバーの別の例示的な実施の形態を示す図。
【
図4A】波長(nm)に対するdB/m単位のファイバーの減衰(損失)を示す図。
【
図4B】波長(nm)に対するdB/m単位のファイバーの減衰(損失)を示す図。
【
図5】本開示の実施の形態による内視鏡手術システムの概略図。
【
図6】本開示の実施の形態による内視鏡の遠位端面の正面図。
【
図7】本開示の実施の形態による内視鏡の遠位端部の概略断面図。
【
図8】本開示の実施の形態による内視鏡の遠位端面の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面に例を示す、本実施の形態について以下詳細に説明する。図面全体を通して可能な限り、同じ又は同様の部品には同じ参照番号が用いられている。
【0013】
名詞は、文脈上明らかに別の意味に解釈されない限り、複数の支持対象を指す。同じ特性を示すすべての範囲の端点は、独立して組み合わせ可能であり、列挙された端点を含む。すべての参考文献は、参照により本明細書に援用される。
【0014】
本開示の実施の形態は、医療装置、医療装置消毒システム、及び消毒方法に関するものである。本開示の実施形態は、紫外線又は短波長の可視光を透過することができる、少なくとも1つの円筒型光拡散装置を含んでいる。本明細書において、円筒型光拡散装置は、光が導波光として装置内部に導入されたとき、その外面を通して光を放出する拡散装置を意味する。本明細書に含まれる一部の実施の形態には、「少なくとも1つの光拡散装置」との記述があるが、複数の円筒型光拡散装置も包含するものと解釈されたい。本明細書において、「紫外」(UV)光という用語は、波長が約400nm未満の光を意味し、「短波長可視光」という用語は、波長が約400~約500nmの光を意味する。紫外光、特にC帯域幅内の紫外光は、適切な線量で照射すると、すべての既知の病原菌を死滅させる。本明細書において、「C帯域幅内の紫外光」(UV-C)という用語は、その殺菌特性が利用される、波長が約100nm~約290nmの光を意味する。加えて、最近の研究では、紫色光及び青色光等の短波長の可視光も、特定の線量で、細菌、菌類、及びウイルスを死滅させることを示している。かかる短波長可視光は、例えば、約400nm~約450nm、又は約405nm~約415nmであってよい。
【0015】
円筒型光拡散装置は、例えば、側面発光ファイバー、又は2つ以上の側面発光ファイバーの束であってよい。側面発光ファイバーは、例えば、クラッド又はコーティングを有さない、単一のプラスチック又はガラスコアであって、コアに送られた光が閉じ込められない又は内部導光されないため、ファイバーの側面を通して失われるコアであってよい。側面発光ファイバーは、そのコアに小さい屈折性及び/又は反射性の光散乱粒子をドープすることにより、又は光を散乱する表面特性を有するようにコアの表面を改質することによって、ファイバーの様々な場所に設けられた散乱欠陥を有することができる。発光面欠陥の例には、セレーション、ノッチ、スクラッチ、テクスチャ、凹凸、波形、エッチング、アブレーション等がある。別法として、円筒型光拡散装置は、光拡散光ファイバーであってよい。本明細書において、「光拡散光ファイバー」という用語は、ファイバーの側面から光を拡散するように構成された可撓性光導波路であって、導波路のコアから導波路の外面を通して光が導かれて照明が提供されるように構成された導波路を意味する。
【0016】
特許請求した主題の基本原理に関する概念は、参照により、全内容が本明細書に援用される、米国特許公開第2011/0122646号(A1)明細書に開示されている。以下に詳細に説明するように、例示的な光散乱光ファイバーは、コア、一次クラッド、及びコアの内部又はコアとクラッドとの境界に配置された複数のナノサイズ構造を有することができる。本光ファイバーは、外面、及び光源に光学的に結合するように構成された端部を更に有している。光拡散光ファイバーは、導波光を、ナノサイズ構造を介し、コアから外面を通して散乱し、長さを有し、その長さにわたり実質的に均一な放射線を放出する光源ファイバー部を形成するように構成することができる。
【0017】
「光源」という用語は、UV光領域の波長、又は発光団と相互作用してUV光領域の波長の光を放出させることができる波長のうちの、いずれかの波長の電磁放射線を放出することができるレーザ、発光ダイオード、又は他の素子を意味する。
【0018】
「発光団」という用語は、発光を示す原子又は化学化合物を意味し、様々な蛍光分子及び蛍光体を含む。
【0019】
ナノサイズ構造を有する光拡散ファイバーに関連して、以下の用語及びフレーズが使用される。
【0020】
「屈折率プロファイル」は、屈折率又は相対屈折率と導波路(ファイバー)の半径との関係である。
【0021】
「相対屈折率パーセント」は以下のように定義される:
【0022】
【0023】
ここで、n(r)は、別段の定めがない限り、半径rにおける屈折率である。相対屈折率パーセントは、別段の定めがない限り、850nmにおいて定義される。1つの態様において、基準屈折率nREFは、850nmにおいて1.452498の屈折率を有するシリカガラスであり、別の態様では、850nmにおけるクラッドガラスの最大屈折率である。本明細書において、相対屈折率は、別段の定めがない限り、Δで示されその値は「%」単位で与えられる。ある領域の屈折率が基準屈折率nREF未満の場合には、相対屈折率パーセントは負であり、陥没領域又は陥没屈折率を有すると称し、別段の定めがない限り、最小相対屈折率は、相対屈折率が最も負の点において算出される。ある領域の屈折率が基準屈折率nREFより大きい場合には、相対屈折率パーセントは正であり、その領域は隆起している又は正の屈折率を有していると言える。
【0024】
本明細書において、「アップドーパント」は、純粋な非ドープSiO2に対し、屈折率を増加させる傾向を有するドーパントであると見なす。本明細書において、「ダウンドーパント」は、純粋な非ドープSiO2に対し、屈折率を低下させる傾向を有するドーパントであると見なす。アップドーパントは、アップドーパントではない別の1つ以上のドーパントを伴う場合、負の相対屈折率を有する光ファイバーの領域に存在することができる。同様に、アップドーパントではない別の1つ以上のドーパントは、正の相対屈折率を有する光ファイバーの領域に存在することができる。ダウンドーパントは、ダウンドーパントではない別の1つ以上のドーパントを伴う場合、正の相対屈折率を有する光ファイバーの領域に存在することができる。
【0025】
同様に、ダウンドーパントではない別の1つ以上のドーパントは、負の相対屈折率を有する光ファイバーの領域に存在することができる。
【0026】
「αプロファイル」又は「アルファプロファイル」は、「%」単位のΔ(r)で表わされる相対屈折率プロファイルを意味し、ここで、rは半径であり、下式に従う:
【0027】
【0028】
ここで、r0は、Δ(r)が最大である点、r1は、Δ(r)%がゼロの点、rはr1≦r≦rfの範囲であり、Δは先述の定義通り、r1はαロファイルの始点、rfはαプロファイルの終点、αは実指数である。
【0029】
従って、本明細書において、「放物線」という用語は、コアの1つ以上の点で2.0のα値からわずかに変化してもよい、及び小さい変動及び/又は中心線ディップを有する、実質的に放物線形状の屈折率プロファイル含む。一部の例示的な実施の形態において、αは、850nmにおいて、1.5を超え2.5未満、好ましくは1.7を超え2.3未満、より好ましくは1.8~2.3である。別の実施の形態において、屈折率プロファイルの1つ以上の部分が、850nmにおいて、8を超え、より好ましくは10を超え、更に好ましくは20を超えるα値を有する、実質的なステップインデックス形状を有している。
【0030】
「ナノ構造化ファイバー領域」という用語は、ガスを充填した多数の空孔又はナノサイズ構造を含む領域又は区域を有するファイバーを意味する。領域又は区域は、例えば、ファイバーの断面において、50を超える空孔、又は100を超える空孔、更には200を超える空孔を有することができる。ガス充填空孔は、例えば、SO2、Kr、Ar、CO2、N2、O2、又はこれ等の混合物を含むことができる。本明細書において、ナノサイズ構造(例えば、空孔)の断面サイズ(例えば、直径)は、約10nm~約1.0μm(例えば、約50nm~約500nm)、長さは約1.0mm~約50m(例えば、約2.0mm~約5.0m、又は約5.0mm~約1.0m)であってよい。
【0031】
標準シングルモード又はマルチモード光ファイバーにおいて、1300nm未満の波長における損失は、レイリー散乱が支配的である。これ等のレイリー散乱損失L
sは、材料特性によって決まり、通常、可視波長(400~700nm)に対し、約20dB/kmである。また、レイリー散乱損失は強い波長依存性(即ち、L
s∝1/λ
4、
図4Bの比較ファイバーA参照)を有しており、これは95%を超える入射光を消散させるためには、少なくとも約1km~2kmのファイバーが必要であることを意味している。かかるファイバーが短い場合には照明効率が低下し、長いファイバー(約1km~2km、又はそれ以上)を使用すると高価になると共に管理が困難になる。
【0032】
照明用途の特定の構成において、例えば、約0.02m~約100mの短尺ファイバーの使用が望ましい。そのためには、良好な角散乱特性(ファイバー軸からの均一な光の消散)及びブライトスポットを回避するためのファイバー湾曲部における良好な曲げ特性を維持しつつ、ファイバーの散乱損失を増加させる必要がある。本発明の少なくとも一部の実施の形態における好ましい属性は、ファイバー発光体の長さに沿った均一且つ高照度である。光ファイバーは柔軟性に富むため、多様な照明形状に展開することができる。ファイバーによる照明に30%を超える変動が生じないよう、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満となるよう、ファイバーの湾曲部において(曲げ損失の増加による)ブライトスポットが生じないことが好ましい。例えば、少なくとも一部の実施の形態において、ファイバーの平均散乱損失が50dB/kmを超え、長さ0.2mの任意のファイバー部分にわたる散乱損失の変動が30%以内(即ち、散乱損失が平均散乱損失の±30%以内)である。少なくとも一部の実施の形態において、ファイバーの平均散乱損失が50dB/kmを超え、長さ0.05m未満のファイバー部分にわたる散乱損失の変動が30%以内である。ファイバーの平均散乱損失が50dB/kmを超え、長さ0.01mのファイバー部分にわたる散乱損失の変動が30%以内とすることができる。また、ファイバーの平均散乱損失が50dB/kmを超え、長さ0.01mのファイバー部分にわたる散乱損失の変動が約20%以内、好ましくは約10%以内とすることもできる。
【0033】
本開示の実施の形態によれば、光ファイバーの側面から出射される照明波長における全光強度の変動は、例えば、0.02~100mとすることができる、ファイバーの目標長に対し30%未満である。クラッド又はコーティングに蛍光材料を含めることによって、指定照明波長における、光ファイバーの側面から出射される全光強度を変更することができる。蛍光材料によって散乱される光の波長は、ファイバー内を伝播する光の波長と異なる。
【0034】
本明細書に記載のファイバー設計は、ファイバーのコア区域、又はコアに近接配置された、ナノ構造化ファイバー領域(ナノサイズ構造を有する領域)を含んでいる。ファイバーは、例えば、約100dB/km超、約200dB/km超、約500dB/km超、約1000dB/km超、約3000dB/km超、更には約5000dB/km超等、約50dB/kmを超える散乱損失を有している。散乱損失、従って、照明又はファイバーの放射光が、角度空間において均一である。
【0035】
ファイバー湾曲部におけるブライトスポットの発生を抑制又は排除するため、曲げ直径が50mm未満であるとき、ファイバーを90度屈曲させたときの減衰量の増加が約5dB/ターン、例えば、約3.0dB/ターン未満、約2.0dB/ターン未満、更には約1.0dB/ターン未満であることが好ましい。例示的な実施の形態において、更に小さい曲げ直径、例えば、約20mm未満、約10mm未満、更には約5mm未満において、このような低曲げ損失を達成することができる。約5mmの曲げ半径において、全減衰量の増加が、約1.0dB/90度ターンとすることができる。
【0036】
曲げ損失は線状ファイバーのコアの固有散乱損失以下である。固有散乱は、主としてナノサイズ構造からの散乱によるものである。従って、少なくとも曲げに対する感受性が低い光ファイバーの実施の形態によれば、曲げ損失がファイバーの固有の散乱を超えることはない。しかし、散乱レベルは曲げ径の関数であるため、ファイバーの曲げ展開は散乱レベルに依存する。例えば、ファイバーは、約3.0dB/ターン未満、又は更には2.0dB/ターン未満の曲げ損失を有することができ、ブライトスポットを形成することなく、ファイバーを約5.0mmの半径まで、円弧状に湾曲させることができる。
【0037】
一部の実施の形態によれば、光散乱ファイバーは、光を散乱させるためのナノ構造で少なくとも部分的に充填されたコア、コアを囲むクラッド、及び必要に応じ、クラッドを囲む少なくとも1つのコーティングを有することができる。例えば、一次及び二次コーティング層、及び/又はインク層で、コア及びクラッドを囲むことができる。一部の実施の形態において、インク層は、光を更に吸収すると共に、ファイバーによって散乱される光のスペクトルを改変(例えば、拡散光に追加の色を付加)するための顔料を含んでいる。別の実施の形態において、コーティング層の1つ以上が、ファイバーのコーティングから発せられる光(ファイバによって拡散される光)が異なる波長となるように、ファイバーのコア内を伝播する光の波長を変換する分子を含んでいる。一部の実施の形態において、インク層及び/又はコーティング層は、コアからの散乱光を異なる波長の光に変換するための蛍光体を含むことができる。一部の実施の形態において、蛍光体及び/又は顔料は、一次コーティングに分散されている。一部の実施の形態において、顔料は二次コーティングに分散され、一部の実施の形態において、顔料は一次及び二次コーティングに分散されている。一部の実施の形態において、蛍光体及び/又は顔料はポリマーのクラッドに分散されている。ナノ構造化はSO2を充填した空孔であることが好ましい。
【0038】
一部の実施の形態によれば、光ファイバー12は、一次コーティング、必要に応じ、一次コーティングを囲む二次コーティング、及び/又は(例えば、クラッド上に直接又はコーティングの1つの上に)インク層を有している。一次及び/又は二次コーティングは、顔料、蛍光体、蛍光材料、親水性材料、光改質材料、又はこれ等の組み合わせの少なくとも1つを含むことができる。
【0039】
一部の実施の形態によれば、光拡散光ファイバーは(1)ガラスコア、クラッド、及びコア内又はコア-クラッド境界に配置された複数のナノサイズ構造を備え、光ファイバーは更に外面を有し、(i)導波光を、ナノサイズ構造を介し、コアから外面を通して散乱し、(ii)照明波長において50dB/kmを超える散乱誘起減衰を有するように構成され、(2)1つ以上のコーティングを備え、クラッド又は少なくとも1つのコーティングのいずれか一方が、蛍光体又は顔料を含んでいる。一部の実施の形態によれば、これ等の顔料は、ファイバーの外面によって与えられる照明(拡散光)の波長が、ファイバーコア内を伝播する光の波長と異なるように、光の波長を変えることができる。ナノ構造化はSO2を充填した空孔であることが好ましい。
【0040】
一部の実施の形態によれば、光拡散光ファイバーは、ガラスコア、クラッド、及びコア内又はコア-クラッド境界に配置された複数のナノサイズ構造を備えている。本光ファイバーは更に外面を有し、(i)導波光を、ナノサイズ構造を介し、コアから外面を通して散乱し、(ii)照明波長において50dB/kmを超える散乱誘起減衰を有するように構成され、コア全体がナノサイズ構造を有している。かかるファイバーは、必要に応じ、少なくとも1つのコーティングを有することができ、クラッド又は少なくとも1つのコーティングのいずれか一方が、蛍光体又は顔料を含んでいる。一部の実施の形態によれば、ナノ構造化はSO2を充填した空孔である。
【0041】
一部の実施の形態によれば、光拡散光ファイバーは、ガラスコア、及びコア全体がナノサイズ構造を含むように、コア内に配置された複数のナノサイズ構造備え、光ファイバーは更に外面を有し、(i)導波光を、ナノサイズ構造を介し、コアから外面を通して散乱し、(ii)照明波長において50dB/kmを超える散乱誘起減衰を有するように構成され、クラッドを有していない。一部の実施の形態によれば、ナノサイズ構造はSO2を充填した空孔である。ナノ構造化区域のSO2を充填した空孔は、散乱に大きく貢献する(散乱を向上させる)。
【0042】
一部の実施の形態によれば、光拡散光ファイバーは、ガラスコア、及びコア全体がナノサイズ構造を含むように、コア内に配置された複数のナノサイズ構造備え、光ファイバーは更に外面を有し、(i)、導波光を、ナノサイズ構造を介し、コアから外面を通して散乱し、(ii)照明波長において50dB/kmを超える散乱誘起減衰を有するように構成され、クラッドを有していない。一部の実施の形態によれば、ファイバーは必要に応じ、少なくとも1つのコーティングを有し、クラッド又はコーティングのいずれか一方が、蛍光体又は顔料を含んでいる。一部の実施の形態によれば、ナノ構造化はSO2を充填した空孔である。前述のように、ナノ構造化区域のSO2を充填した空孔は、散乱に大きく貢献する(散乱を向上させる)。
【0043】
図1は、中心軸又は中心線16を有し、コアに複数の空孔を備えた光拡散光ファイバー12の部分の概略側面図である。
図2は、
図1の方向II-IIに沿った、光拡散光ファイバー12の概略断面図である。光拡散光ファイバー12は、例えば、周期的又は非周期的なナノサイズ構造32を有するナノ構造化ファイバー領域を備えた、様々な種類の光ファイバーの任意の1つであってよい。一例として、ファイバー12は、3つの部分又は領域に分けられたコア20を含んでいる。この部分又は領域は、中実の中心領域22、ナノ構造化リング部26、及びナノ構造化リング部26を囲む外側中実部28を含んでいる。クラッド40が、コア20を囲み外面を有している。クラッド40は、例えば、UV又は熱硬化性フルオロアクリレート又はシリコーン等の低屈折率ポリマーであってよい。クラッド40は純粋な低屈折率ポリマーを含むことができる。加えて、クラッド40は、純粋又はFをドープしたシリカを含むこともできる。クラッド40の屈折率を低くして高開口数(NA)を得ることができる。ファイバー12のNAは、ファイバー12に光を誘導する光源のNA以上であってよい。本開示の実施の形態によれば、ファイバー12のNAは、約0.2、約0.3、更には約0.4より大きい。
【0044】
例示的な実施の形態によれば、光拡散ファイバー12のナノ構造化リング部26は、
図2の拡大差し込み図に詳細に示すように、内部に非周期的に配置された複数のナノサイズ構造を含むガラスマトリックス31を有している。空孔は、フォトニック結晶光ファイバーのように、周期的に配列することができ、一般に空孔の直径は、1.0×10
-6m~1.0×10
-5mである。空孔の直径は少なくとも10nmであってよい。また、空孔は非周期的又はランダムに配置することもできる。ナノ構造化リング部26ガラスマトリックス31は、例えば、フッ素をドープしたシリカ又は非ドープ純シリカであってよいが、これに限定されるものではない。
【0045】
ナノサイズ構造32は、コア20からファイバーの外面に向けて光を散乱する。次いで、散乱光はファイバー12の外面を通して拡散し照明が得られる。即ち、散乱によって、ファイバーの長さに沿って、ファイバー12の側面を通して光の大半が拡散される。本開示の実施の形態によれば、ファイバーは、その長さにわたり、実質的に均一な放射線を放出し、照明波長において、約50dB/kmを超える散乱誘起減衰を有している。散乱誘起減衰は、照明波長において、約100dB/km超、約500dB/km超、約1000dB/km超、約2000dB/km超、又は、更には5000dB/km超とすることができる。かかる散乱損失は、標準のシングルモード及びマルチモード光ファイバーのレイリー散乱損失の約2.5~約250倍大きい。ファイバー12の特性、ナノ構造化領域26の幅、並びにナノサイズ構造32のサイズ及び密度を変更することによって、散乱損失量を増加させることができる。
【0046】
一部の実施の形態において、ナノ構造化領域26は、複数のナノサイズ構造32を有する純シリカを含んでいる。空孔の存在を考慮した、ナノ構造化領域26の最小相対屈折率及び平均有効相対屈折率は、いずれも約-0.1%未満である。ナノサイズ構造32又は空孔は、アルゴン、窒素、酸素、クリプトン、又はSO2等の一種以上のガス、又は実質的にガスを含まない真空を含むことができる。しかし、ガスの有無に関わらず、ナノ構造化領域26の平均相対屈折率は、ナノサイズ構造32の存在によって低下する。ナノサイズ構造32は、ナノ構造化領域26にランダム又は非周期的に配置することができる。別法として、ナノサイズ構造32は、ナノ構造化領域26に周期的に配置することができる。
【0047】
例示的な実施の形態によれば、中実の中心領域22がゲルマニウムドープシリカを含むことができ、コア内部環状領域28が純シリカを含むことができ、クラッド40がガラス又は低屈折率ポリマーを含むことができる。ナノ構造化領域26は、純シリカ中に複数のナノサイズ構造32を含むことができ、別法として、ナノ構造化領域26は、フッ素ドープシリカ中に複数のナノサイズ構造32を含むことができる。別の例示的な実施の形態によれば、クラッド40に囲まれたコア20の全体を、ナノ構造化(例えば、空孔を充填)することができる。コア20は「ステップ」インデックスデルタ、又は、例えば、約1.8~約2.3のα値を有するαプロファイルのグレーデッドコアプロファイルを有することができる。
【0048】
中実中心領域22及びコア内部環状領域28のガラスは、Ge、Al、Ti、P、及びこれ等の組み合わせ等のアップドーパントを含むことができる。「非周期的に配置」又は「非周期的分布」とは、
図2に示すような光ファイバーの断面を取ったとき、ファイバーの部分にわたり、ナノサイズ構造32が、ランダム又は非周期的に分布していることを意味する。一例として、ナノサイズ構造32が空孔を含んでいる場合、ファイバーの長さに沿った別の点で取った同様の断面が、異なる断面空孔パターンを示す、即ち、それぞれの断面が異なる空孔パターンを有し、空孔の分布及び空孔のサイズが一致しない。即ち、空孔が非周期的である、即ち、空孔がファイバー構造内に周期的に配置されていない。これ等の空孔は、光ファイバーの長さに沿って(即ち、長手方向軸に平行に)延伸(伸長)されるが、通常の長さの伝送ファイバーについて、ファイバーの全長には延びていない。空孔は約10m未満に延びることができ、多くの場合、ファイバー12の長さに沿って、約1.0m未満に延びている。
【0049】
前述のように、中実中心領域22及びコア内部環状領域28は、ゲルマニウムをドープしたシリカ、即ち、ゲルマニウムドープシリカを含むことができる。ゲルマニウム以外のドーパントを単独又は組み合わせて、光ファイバー12のコア内部、特に中心線16又はその近傍に用いて、所望の屈折率及び密度を得ることができる。本明細書に開示の光ファイバー12の相対屈折率プロファイルは、コア部分の中実中心領域22及びコア内部環状領域28において非負である。光ファイバーは、コア内に屈折率を低下させるドーパントを含まなくてよい。加えて、光ファイバー12の相対屈折率プロファイルは、中実中心領域22、ナノ構造化リング部26、及び/又はコア内部環状領域28において非負であってよい。
【0050】
光ファイバー12は、必要に応じ、クラッド40を囲むコーティング44を有している。コーティング44は、低弾性率の一次コーティング層及び高弾性率の二次コーティング層を含むことができる。コーティング44は、アクリレート系又はシリコーン系ポリマー等のポリマーコーティングであってよい。コーティング44は、コア20からクラッド40を通過する光の分布、及び/又は性質を向上させるように設計することができる。クラッド40の外面、又は任意のコーティング44の外面若しくはコーティングは、ファイバー内を伝播する光が散乱によって出射する、本明細書に記載のファイバー12の側面48を表す。コーティング44は、UV光を透過する樹脂であってよい。例えば、UV光を透過する樹脂は、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、ポリエステルテトラアクリレート、ポリエステルヘキサアクリレート、脂肪族ウレタンジアクリレート+ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエーテルテトラアクリレート、シリコーンジアクリレート、シリコーンヘキサアクリレート、ビスフェノールAをベースとするエポキシジアクリレート、及びビスフェノールAをベースとするエポキシジアクリレート+25%のTPGDA構造を有する樹脂であってよいが、これに限定されるものではない。
【0051】
本開示の実施の形態によれば、コア20はグレーデッドインデックスコアであってよく、放物線(又は実質的な放物線)形状を有する屈折率プロファイルを有することができる。例えば、コア20の屈折率プロファイルは、850nmにおけるα値が約2.0のα形状を有することができる。α値は約1.8~2.3であってよい。別の例示的な実施の形態によれば、屈折率プロファイルの1つ以上の部分が、850nmにおけるα値が約8.0、約10、又は更には約20を超える、実質的なステップインデックス形状を有することができる。コアの屈折率は中心線ディップを有することができ、コア20の最大屈折率及び光ファイバー12全体の最大屈折率は、中心線16から僅かに離れて位置している。あるいは、コア20の屈折率は中心線ディップを有さず、コア20の最大屈折率及び光ファイバー12全体の最大屈折率は中心線に位置している。例示的な実施の形態によれば、ファイバー12の屈折率は放射対称性を有することができる。
【0052】
本開示の実施の形態によれば、ファイバー12はシリカベースのコア20、及び(シリカに対し)陥没屈折率のポリマークラッド40を有している。屈折率の低いポリマークラッド40は、負の相対屈折率を有することができる。例えば、屈折率の低いポリマークラッド40の相対屈折率は、約-0.5%、又は更には約-1.0%であってよい。クラッド40は、20μmを超える厚さを有することができ、クラッド40の外径は、ファイバー12の長さに沿って、一定であってよい。クラッド40は、コア20より低い屈折率を有し、約10μmを超える厚さを有することができる。クラッド40は、2×Rmaxの外径を有することができる。例えば、クラッド40は、約120μm~130μm、又は約123μm~約128μm等、約125μmの外径を有することができる。あるいは、クラッド40は、約60μm~約80μm等、約120μm未満の直径を有することができる。
【0053】
コア20の外径2R3は、ファイバー12の長さに沿って一定であってよい。加えて、中実領域22、ナノ構造化リング部26、及びコア内部環状領域28も、ファイバー12の長さに沿って一定であってよい。一定とは、直径の平均値に対する変動が、例えば、約10%未満、約5.0%未満、又は、更には約2.0%未満であることを意味する。
【0054】
コア20の外半径R
cは、約10μmを超え約600μm未満、例えば、約30μm~約400μm、又は約125μm~約300μmであってよい。コア20の外半径R
cは約50μm~約250μmであってよい。
図3Aに示すように、コア20の外半径R
cは、コア内部環状領域28の外半径R
3に等しい。
【0055】
中実中心領域22は、0.1Rc≦R1≦0.9Rc又は0.5Rc≦R1≦0.9Rcとなる半径R1を有することができる。R1は、中実中心領域22の直径が、約48μm~約100μmとなるように、約24μm~約50μmであってよい。例えば、R1は、約24μm、約30μm、又は、更には約40μmを超えることができる。ナノ構造化リング領域26は、0.05Rc≦W2≦0.9Rc又は0.1Rc≦W2≦0.9Rcとなる幅W2を有することができる。加えて、幅W2は、0.5Rc≦W2≦0.9Rcであってよい。本開示の実施の形態によれば、ナノ構造化領域26の幅が広いほど、ナノサイズ構造32の同じ濃度に対して、高い散乱誘起減衰が得られる。ナノ構造化領域26の半径方向幅W2は約1.0μmを超えてもよい。例えば、W2は、約200μm未満等、約5.0μm~約300μmであってよい。W2は、例えば、約2.0μm~約100μm、約2.0μm~約50μm、約2.0μm~約20μm、又は、更には約2.0μm~約12μmであってもよい。W2は、例えば、少なくとも約7.0μmであってよい。コア内部環状領域28は、W3=R3-R2となる幅W3を有し、中間点R3MID=(R2+R3)/2を有している。コア内部環状領域28は、0.1Rc>W3>0.9Rcとなる幅W3を有することができる。例えば、W3は約1.0μm~約100μmであってよい。加えて、クラッド40は、光ファイバー12の最外周でもある半径R4を有している。R4-R3に等しいクラッド40の幅は、例えば、約20μm、約50μm、又は、更には約70μmを超えてもよい。
【0056】
図3Aは、
図2に示す例示的なファイバー12の半径(実線)に対する例示的な相対屈折率Δをプロットした図である。コア20は、例えば、約1.7~2.3(例えば、約1.8~約2.3)のα値を有するαプロファイルのグレーデッドコアプロファイルを有していてもよい。中実中心領域22は、中心線から半径方向外側に半径R
1まで延び、最大屈折率n
1(及び相対屈折率パーセントΔ
1MAX)に対応する、相対屈折率プロファイルΔ
1(r)を有している。
図3Aの実施の形態によれば、基準屈折率n
REFは、クラッドにおける屈折率である。ナノ構造化領域26は、最小屈折率n
2、相対屈折率プロファイルΔ
2(r)、最大相対屈折率Δ
2MAX、及び最小相対屈折率Δ
2MINを有し、一部の実施の形態ではΔ
2MAX=Δ
2MINである。コア内部環状領域28は、最大屈折率n
3、相対屈折率プロファイルΔ
3(r)、最大相対屈折率Δ
3MAX、及び最小相対屈折率Δ
3MINを有し、一部の実施の形態ではΔ
3MAX=Δ
3MINである。更に
図3Aに示すように、クラッド40は、屈折率n
4、並びに最大相対屈折率Δ
4MAX及び最小相対屈折率Δ
4MINを有する、相対屈折率プロファイルΔ
4(r)を有している。一部の実施の形態では、Δ
4MAX=Δ
4MINである。一部の実施の形態において、Δ
1MAX>Δ
4MAX及びΔ
3MAX>Δ
4MAXである。一部の実施の形態において、Δ
2MIN>Δ
4MAXである。
図2及び3Aに示す実施の形態において、Δ
1MAX>Δ
3MAX>Δ
2MAX>Δ
4MAXであり、領域の屈折率は、n
1>n
3>n
2>n
4の関係を有している。
【0057】
中実中心領域22及びコア内部環状領域28は、
図3Aの一定のΔ
1(r)及びΔ
3(r)で示すように、実質的に一定の屈折率プロファイルを有することができる。加えて、Δ
2(r)は僅かに正(0<Δ
2(r)<0.1%)、負(-0.1%<Δ
2(r)<0)、又は実質的に一定のいずれかであってよい。Δ
2(r)の絶対値は、約0.1%未満、例えば、約0.05%未満であってよい。本開示の実施形態によれば、Δ
2(r)の絶対値は、ナノ構造化リング部26の半径方向幅の約50%超える部分について、約0.025%未満又は、更に約0.01%未満であってよい。クラッド40は、
図3Aの一定のΔ
4(r)(Δ
4(r)=0%)で示す、実質的に一定の屈折率プロファイルを有することができる。一部の実施の形態において、クラッド40は、-0.05%<Δ
4(r)<0.05%の屈折率を有することができる。中実中心領域22は、Δ
1(r)>0%である、屈折率を有することができる。加えて、ナノ構造化リング部26は、絶対値が約0.05%未満の負の屈折率を有する相対屈折率プロファイルΔ
2(r)を有することができ、コア内部環状領域28のΔ
3(r)は、例えば、正又はゼロであってよい。少なくとも一部の実施の形態において、n
1>n
2及びn
3>n
4である。
【0058】
図3Bは、光拡散ファイバー12の例示的な実施の形態を示す概略図である。図示のように、ファイバー12は、相対屈折率Δ
1を有するコア20、及びコア20の上に配置されコアを囲むナノ構造化領域26’を含んでいる。コア20は、ステップインデクスプロファイル、又は、例えば、約1.8~約2.3のα値を有するグレーデッドコアプロファイルを有することができる。ナノ構造化領域26’は、複数の空孔を含む環状リングである。ナノ構造化領域26’の幅は、約1.0μm~約2.0μmと小さくてよく、負の平均相対屈折率Δ
2を有することができる。約1.0μmと小さくてよい幅を有するクラッド40が、ナノ構造化領域26’を囲んでいる。クラッド40は負、正、又は実質的に一定の相対屈折率を有することができる。
図3Aと3Bに示す例の主な相違は、
図3Aに示すナノ構造化領域26が、光拡散ファイバー12のコア20内に位置し、
図3Bに示すナノ構造化領域26’が、コア20とクラッド40との界面に位置していることである。中心線から半径方向外側に移動する方向において、コアの相対屈折率が、約-0.05%未満の値に初めて到達する位置からナノ構造化領域26’が開始している。
図3Bに示す実施の形態において、クラッド40は、約0.1%の最大絶対値を有する相対屈折率プロファイルΔ
3(r)を有し、ここで、Δ
3MAX<0.05%、及びΔ
3MIN>-0.05%であり、ナノ構造化領域26’が、空孔充填領域で最も外側の空孔が発生する位置で終了している。加えて、
図3Bに示すように、コア20の屈折率が、ナノ構造化領域26’の屈折率n
2より大きく、クラッド40の屈折率n
1もナノ構造化領域の屈折率n
2より大きい。
【0059】
図3Cは本開示による光ファイバー12の実施の形態を示す図である。製造したファイバー12は、コア領域22、ナノ構造化領域26、第3のコア領域26、及びポリマークラッド40を有している。ファイバー12は、約33.4μmの外半径R
1を有する第1のコア22、約42.8μmの外半径R
2を有するナノ構造化領域26、約62.5μmの外半径R
3を有する第3のコア28、及び約82.5μmの外半径R
4を有するポリマークラッド40(図示せず)を有していた。コアの材料は純シリカであり、クラッド40の材料は、低屈折率ポリマー(例えば、ミシガン州ミッドランドのDow-Corning社から商品名Q3-6696として市販されている、1.413の屈折率を有するUV硬化シリコーン)であった。ファイバー12は、0.3のNAを有していた。ファイバー12は、SO
2ガスを含むナノサイズ構造を有していた。出願人等は、SO
2充填空孔が散乱に大きく寄与することを見出した。更に、ナノ構造の形成にSO
2ガスを使用すると、ガスによって熱可逆的損失が得られる、即ち、600℃未満では、ナノ構造化ファイバーは光を散乱するが、600℃を超えると同じファイバーが光を誘導することを見出した。SO
2によってもたらされるこの独特の挙動も、ファイバー12を600℃未満に冷却すると、同じファイバーが光拡散ファイバーとして機能し、再度観測可能な散乱効果が生成されるという点で可逆的である。
【0060】
本開示の実施の形態による光拡散ファイバー12は、相当量のガスが固化されたガラスブランクに閉じ込められ、それによって固化されたガラス光ファイバプリフォームに空孔が形成される、プリフォーム固化条件を利用する方法によって形成することができる。これらの空孔を除去するステップを実施するのではなく、得られたプリフォームを用いて空孔又はナノサイズ構造を有する光ファイバーを形成する。得られたファイバーのナノサイズ構造又は空孔は、ファイバーの長さに沿って、側面を介してファイバーから光を散乱または導光するために利用される。即ち、コア20からファイバーの外面を通して光が導光され、所望の照明が得られる。
【0061】
本明細書において、空孔等のナノサイズ構造の直径は、ファイバーの長手方向軸を横断する垂直断面でファイバーを見たとき、ナノサイズ構造の境界に終点を有するナノサイズ構造に含まれる最も長い線分である。ナノサイズ空孔を備えた光ファイバーを形成する方法は、参照により本明細書に援用される、米国特許出願公開第2007/0104437号(A1)明細書に記載されている。
【0062】
本開示の実施の形態によれば、光拡散ファイバー12によって、ファイバー12の長さに沿って均一な照明が得られる。ファイバーの表面から軸方向に散乱する光は、平均散乱強度に対し、約50%未満、約30%未満、約20%未満、又は、更には約10%未満の変動を有している。ナノサイズ構造を持たない従来のシリカベースの光ファイバーの主要な散乱メカニズムは、広い角度分布を有するレイリー散乱である。ファイバーの長さに沿った照明の均一性は、最小散乱照明強度が、最大散乱照明強度の約0.7以上であるように制御することができる。以下に説明するように、かかる最小散乱照明強度は、延伸工程中にファイバーの張力を制御することにより、又は適切な延伸張力を選択することによって達成することができる。適切な延伸張力は、例えば、約30g~約100g、又は約40g~約90gである。
【0063】
図4Aは、SO
2ガスを充填した空孔を備えた、
図3Cに示すようなファイバーの波長に対する減衰をプロットした図である。この図は、90gの張力で延伸した光散乱ファイバー12、及び400gの張力で延伸した光散乱ファイバー12の波長を関数とする減衰を示している。
図4Aは、光拡散ファイバー12が、可視波長範囲において、非常に大きい散乱損失、従って高い照明強度をもたらすことができることを示している。より具体的には、
図4Aは、延伸張力が高いほど散乱損失が低く、延伸張力が低いほど高い散乱損失、従って強い照明が得られることを示している。
【0064】
図4Bは、90gの張力で延伸した光拡散ファイバー12、40gの張力で延伸した光拡散ファイバー12、正規化した損失を有する比較マルチモードファイバー(Aとラベル付けされたファイバー)、及び1/λの損失依存性を有する理論的なファイバーの波長に対する減衰をプロットした図である。
図4Bに示す光拡散ファイバー12は、SO
2ガスを含むナノサイズ構造を有しているものであった(
図4Bのグラフは損失の波長依存性を示している)。本例において、光ファイバー12とファイバーAの散乱の傾きを比較するために、低損失ファイバ(ファイバA)の損失に係数20を乗じて、2つのプロットを同じ図に容易に示すことができるようにした。図示のように、400nm~1100nmにおける平均のスペクトル減衰は、約40gの張力で延伸したファイバーは、約0.4dB/mであり、約90gの張力で延伸したファイバーは、約0.1dB/mであった。
図4Bは、例えば、SMF-28e
Rファイバー等、標準のシングルモード伝送ファイバーと比較して、光ファイバー12は、比較的平坦な(弱い)波長依存性を有していることを示している。標準のシングルモード又はマルチモード光ファイバーにおいて、1300nm未満の波長における損失は、レイリー散乱が支配的である。レイリー散乱損失は、材料特性によって決まり、通常、約400~約700nmの可視波長において、約20dB/kmであり、レイリー散乱損失はλ
-pに比例し、ここでpは約4である。これに対し、本開示による光散乱ファイバー12は、λ
-pに比例する散乱損失を有し、ここで、pは2未満、1未満、又は、更には0.5未満である。本開示の実施の形態によれば、400nm~1100nmの波長範囲の少なくとも80%において、pは2未満、1未満、又は、更には0.5未満とすることができる。
【0065】
如何なる特定の理論にも拘束されるものではないが、延伸張力が、例えば、約90gから約40gに低下したときの散乱損失の増加は、ナノ構造の平均径の増加に起因するものであると考えられる。従って、このファイバー張力の効果を利用し、延伸工程においてファイバーの張力を変えることによって、ファイバーの長さに沿って一定の減衰を生じさせることができる。例えば、α1の損失及び長さL1を有し、高い張力T1で延伸された第1のファイバー部分は、光のパワーを入射レベルP0からP0exp(-α1*L1/4.343)に減衰させる。α2の損失及び長さL2を有し、第1のファイバー部分に光学的に結合され、より低い張力で延伸された第2のファイバー部分は、光パワーをP0exp(-α1*L1/4.343)からP0exp(-α1*L1/4.343)exp(-α2*L2/4.343)に更に減衰させる。第1及び第2のファイバー部分の長さ及び減衰を調整し、結合ファイバーの長さに沿って一定の強度を得ることができる。
【0066】
本開示の実施の形態は、内部チャネルを有する医療装置、及び内部チャネルを有する医療装置を消毒するシステムに更に関連している。説明を容易にするため、軟性内視鏡を用いて、かかる医療装置について説明する。しかし、本開示の実施の形態は、少なくとも1つの内部チャネルを有する任意の医療装置、特に、従来から2回以上の処置に使用され、使用と使用との間に消毒を行うことが推奨される医療装置を含むことができることを理解されたい。例えば、かかる医療装置は、腹腔鏡装置、留置カテーテル、非留置カテーテル、IV及びその他の医療チューブ(即ち、給排水管)、管腔内腔手術用装置、歯科用装置、関節鏡用シェーバー、及び流入/流出カニューレであってよいが、これに限定されるものではない。加えて、内部チャネルは、図示の軟性内視鏡に限定されるものではないことを理解されたい。本明細書において、内部チャネルは、医療装置の1つの開口部を医療装置の別の開口部に流体接続する任意の通路であってよいが、これに限定されるものではい。
【0067】
図5は、本開示の実施の形態による、内視鏡手術システムの概略図である。内視鏡手術システムは、内視鏡111及び操作部114を備えている。内視鏡111は、操作部114に結合されるように構成された近位端部を有する、細長い挿入部113を備えている。挿入部113は、患者の体内に挿入されるように構成されている。挿入部113は、細長い可撓管部115、可撓管部115の遠位端部に結合された屈曲部116、及び屈曲部116の遠位端部に結合された遠位端硬質部117を有している。操作部114は、屈曲部116を制御して、上方向、下方向、左方向、右方向等を含み、これに限定されない異なる方向に屈曲させるためのノブ等の機構を有している。操作部114は、手術器具を挿入するための使用チャネル150(
図7に示す)と連通するチャネル部126も有している。
【0068】
図6は、本開示の実施の形態による、内視鏡の遠位端硬質部の端面の正面図である。遠位端硬質部117は、観察窓118、照明窓119a、119b、使用開口部120、及び送気/送水ノズル121を有している。
図6に示す遠位端硬質部117の構成は、単なる例示であって、本開示の実施の形態を如何なる特定の構成にも限定することを意図するものではない。種々の機構を、任意の方法で、遠位端硬質部117の端面に配置することができることを理解されたい。本開示の一部の実施の形態は、
図6のすべての機構を備えているわけではないこと、並びに観察窓118、照明窓119a、119b、使用開口部120、及び送気/送水ノズル121の様々な組み合わせを含むことを更に理解されたい。
【0069】
図7は、本開示の実施の形態による、内視鏡の遠位端硬質部の断面図である。図示のように、窓118には、対物レンズ148等の光学系及びCCD(図示せず)等の撮像素子を有する撮像部を取り付けることができる。照明窓119a、119bには、照明レンズを取り付けることができる。内視鏡手術システムは、窓119a、119bの照明レンズと対向するように配置された先端部を有する導光体149を更に有している。導光体149は、光源に取り外し可能に接続することができ、光源からの照明光をそれぞれの照明窓119a、119bに送る。導光体149は、例えば、光ファイバーケーブル、又は光ファイバーケーブルの束であってよい。
図7に更に示すように、内視鏡は、使用開口部120を通して患者の体内に手術器具を挿入するための通路を提供する、使用チャネル150を有している。使用チャネル150はチャネルポート126と連通し、手術を行う間、使用チャネル150及び使用開口部120を通して、手術器具をチャネルポート126に挿入することができる。加えて、送気/送水ノズル121は、水チャネル141を介して水源に流体接続され、ガスチャネル142を介してガス源に流体接続される。
【0070】
図5は、内視鏡111の内部チャネルに挿入された円筒型光拡散装置129も示している。図示のように、円筒型光拡散装置129は、UV及び/又は短波長可視光波長範囲の電磁放射線を放出することができる光源101に接続されている。円筒型光拡散装置129は、チャネルポート126を通して、内視鏡111の少なくとも1つの内部チャネルに挿入され、そこでUV又は短波長可視光を放出して、少なくとも1つの内部チャネルを消毒することができる。例えば、前述のように、チャネルポート126が、手術器具を挿入するための使用チャネル150と連通している場合、チャネルポート126を通して、円筒型光拡散装置129を使用チャネル150に挿入することができる。次いで、光源101からの光を円筒型光拡散装置129に導入して、ファイバーがUV又は短波長可視光を放出して、使用チャネル150を消毒することができる。本開示の実施の形態によれば、内視鏡111は、水チャネル141及びガスチャネル142と連通するポートを更に有することができ、ポートを通して、少なくとも1つの円筒型光拡散装置129を水チャネル141及びガスチャネル142に挿入し、円筒型光拡散装置129からUV又は短波長可視光を放出させてチャネルを消毒することができる。別法として、内視鏡手術システムを分解して、使用チャネル150、水チャネル141、及び/又はガスチャネルにアクセスできるようにし、少なくとも1つの円筒型光拡散装置129を直接使用チャネル150、水チャネル141、及び/又はガスチャネルに挿入し、円筒型光拡散装置129からUV又は短波長可視光を放出させてチャネルを消毒することができる。
【0071】
図8は、本開示の別の実施の形態による、内視鏡の遠位端硬質部の端面の正面図である。遠位端硬質部117は、観察窓118、照明窓119a、119b、使用開口部120、及び送気/送水ノズル121を有している。図示のように、内視鏡は、内視鏡に物理的に組み込まれた円筒型光拡散装置129も有している。
図8に示す一体化された円筒型光拡散装置129の構成は単なる例示であって、本開示の実施の形態を如何なる特定の構成にも限定することを意図するものではない。また、本開示による内視鏡は、任意の数の一体化された円筒型光拡散装置を含むことができることも理解されたい。
【0072】
図8は、医療装置に物理的に一体化された、円筒型光拡散装置の1つの例示的な構成を示す図である。図示のように、内視鏡は、使用チャネル150、水チャネル141、及びガスチャネル142に光学的に結合された円筒型光拡散装置を含んでいる。
図8の実施の形態において、内部チャネルの壁の少なくとも一部が、UV及び/又は短波長可視光を透過する材料で形成されている。従って、内部チャネルを消毒するための光は、チャネルの外側に配置された円筒型光拡散装置から、内部チャネルに透過させることができる。別の実施の形態によれば、円筒型光拡散装置を完全に内部チャネル内に配置することができる。別法として、円筒型光拡散装置を内部チャネルの内部に部分的に配置して、ファイバーに占有されるチャネル容積を制限することができる。例えば、円筒型光拡散装置の一部を内部チャネルの壁に組み込むことができる。本開示による内視鏡は、
図8に示す任意の数のチャネルに一体化された円筒型光拡散装置を含むことができることを理解されたい。
【0073】
本開示の別の実施の形態は、患者の体内の一部に配置された内部チャネルを有する医療装置に関連している。前述のように、かかる装置は、例えば、内壁及び患者の一部に直接接触する表面を有する外壁を備えた内部チャネルを含む、カテーテル又は医療チューブであってよい。かかる実施の形態において、医療装置は、UV及び/又は短波長可視光を透過する材料で形成され、円筒型光拡散装置は内部チャネルの内側又は外側に配置することができる。かかる実施の形態において、医療装置を消毒するための光は、内壁の表面及び外壁の表面に送られる。かかる医療装置を患者の体内の一部に配置したまま、医療装置の内部チャネルの壁の表面を消毒することができる。
【0074】
内部チャネルの壁の表面を消毒することに加え、内部チャネルから光を送出して、患者の体内に消毒効果を持たせることもできる。例えば、光は、細菌を含む可能性がある患者の体内の組織、及び体液等の人体物質を消毒することができる。医療装置を患者の体内に挿入することは、多くの医療分野において一般的に行われているが、細菌および真菌感染症の危険性にも関連している。特定の医療装置を患者の体内に単に配置するだけでは、細菌が付着する表面を提供することによって細菌の成長を促進し、医療装置周囲の組織に感染させる可能性がある。同様に、患者の体内の血液、尿、若しくは他の体液、又は医療器具を介して患者の体内に又は体外から輸送される体液も感染しているか、感染する可能性がある。かかる感染に対する1つの標準的な反応は、患者から医療装置を取り外すことである。しかし、医療装置を取り外すことは、医療装置の主な目的を無にするため、理想的ではない。また、様々な状況によって、一部の患者から医療装置を取り外すことができないか又は実現不能のいずれかである。別法として、抗菌剤を投与することによって、かかる感染症に対処することができる。しかし、細菌が感受性を有する可能性がある抗菌剤を選択するためには、患者の内部に存在する細菌の種類を知る必要がある。細菌が耐性を有する抗菌剤を使用すると、消毒効果が得られず、患者の体内の感染を長引かせることになる。特定の例において、患者の体の一部に、かかる医療装置を長期間、例えば、約6時間を超える期間配置し、医療装置の表面に成長又は存在する可能性がある細菌の消毒を行うことができる。別の例において、患者の体内に存在する細菌に関連する状態を治療する目的で、患者の組織及び/又は体液中等の患者の体の一部に、かかる医療装置を配置することができる。かかる医療装置の円筒型光拡散装置は、UV及び/又は短波長可視光を透過するように構成することができる。しかし、周知のように、UV光に対する長時間の曝露は、患者の健康に有害であるため、代わりに、医療装置が患者の体の一部に配置されている間、短波長可視光を送って内部チャネルの表面を消毒することが好ましい場合がある。かかる短波長可視光は、例えば、約400nm~約450nm、又は約405nm~約415nmであってよい。
【0075】
本開示の実施の形態によれば、円筒型光拡散装置は、光源からの光が円筒型光拡散装置に入力される端部と反対側の円筒型光拡散装置の端部に配置された、コーティングを含むことができる。コーティングは、円筒型光拡散装置の端部の少なくとも一部を覆い、円筒型光拡散装置内の導波光が、円筒型光拡散装置の端部から出射するのを防止することができる。円筒型光拡散装置が側面発光ファイバーの場合、コーティングは、少なくともコアの端部を覆うことができると共に、クラッドの一部を覆うことができる。コーティングは、例えば、反射コーティング又は吸収コーティングであってよい。本開示の実施の形態の特定の用途において、円筒型光拡散装置から放出される実質的にすべての光が、拡散器の外面を通して放出されるように、拡散装置の端部からの光の透過を制限することが有益であり得る。
【0076】
本開示の実施の形態は消毒方法にも関連している。本開示による方法は、少なくとも1つの円筒型光拡散装置の少なくとも一部を、医療装置の内部チャネルに挿入するステップを備えている。本開示の目的上、少なくとも1つの円筒型光拡散装置の少なくとも一部を、医療装置の内部チャネルに挿入するステップは、円筒型光拡散装置を内部チャネルに導入するための任意の手動又は自動処理を含むことができる。加えて、少なくとも1つの円筒型光拡散装置の少なくとも一部を、医療装置の内部チャネルに挿入するステップは、一体化された円筒型光拡散装置を備えた医療装置を用意するステップであって、一体化された光拡散装置が、内部チャネルに光を放出するように構成されている、ステップを含むことができる。加えて、本方法は、UV及び/又は短波長可視光を透過する材料で形成された内部チャネルの外部に、円筒型光拡散装置を配置するステップを備えることができる。
【0077】
本方法は、光源からの光を、光源に光学的に結合された少なくとも1つの円筒型光拡散装置の端部に導入し、円筒型光拡散装置の外面を通して光を放出して、医療装置の内部チャネルの少なくとも1つの表面を消毒するステップを更に備えている。円筒型光拡散装置の外面を通して放出される光は、細菌を含む可能性がある患者の体内の組織、及び体液等の人体物質も消毒することができる。
【0078】
本開示の方法は、医療装置の内部チャネルの消毒、及び/又は患者の体内の人体物質の消毒に十分な光の線量に医療装置の内部チャネルを曝露するステップを備えている。光の線量は、90%を超えて、医療装置の内部チャネルの細菌、菌類、及び/又はウイルスを低減するのに十分とすることができる。あるいは、光の線量は、99%を超えて、医療装置の内部チャネルの細菌、菌類、及び/又はウイルスを低減するのに十分とすることができる。光がUV光の場合、光の線量は、例えば、約5mJ/cm2より大きく、約5mJ/cm2~約175mJ/cm2等であってよい。光の線量は、約10mJ/cm2~約150mJ/cm2、又は、更には約15mJ/cm2~約80mJ/cm2であってよい。光が短波長可視光の場合、光の線量は、例えば、約25mJ/cm2より大きく、約25mJ/cm2~約250mJ/cm2等であってよい。光の線量は、約50mJ/cm2~約215mJ/cm2、又は、更には約75mJ/cm2~約190mJ/cm2であってよい。
【0079】
医療装置の内部チャネルの消毒、及び/又は患者の体内の人体物質の消毒に十分な光の線量に医療装置の内部チャネルを曝露するステップは、任意の曝露時間にわたった実施することができる。しかし、曝露時間は、例えば、4.0分より長く、約4.0分~約24時間等とすることができる。曝露時間は、約30分~約12時間、又は、更には約1.0時間~約6.0時間とすることができる。
【0080】
本開示の態様(1)によれば、医療装置を消毒するためのシステムが提供される。本システムは、約100nm~約500nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する光源と、医療装置の少なくとも1つの内部チャネルと光学的に連通して配置された、少なくとも1つの円筒型光拡散装置であって、外面及び光源に光学的に結合された端部を有する光拡散装置とを備え、少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、外面を通して導波光を散乱し、長さを有し、その長さにわたり実質的に均一な放射線を放出する光拡散部を形成するように構成されている。
【0081】
本開示の別の態様(2)によれば、円筒型光拡散装置が、約50dB/kmを超える散乱誘起減衰を有する、態様(1)に記載のシステムが提供される。
【0082】
本開示の別の態様(3)によれば、円筒型光拡散装置の放射線が実質的に均一であり、散乱照明強度の最小値と最大値との差が、最大散乱照明強度の約30%未満である、態様(1)又は(2)に記載のシステムが提供される。
【0083】
本開示の別の態様(4)によれば、少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、コア、一次クラッド、及び複数のナノサイズ構造を含む光拡散光ファイバーを有し、導波光が、ナノサイズ構造を介し、コアから外面を通して散乱される、態様(1)~(3)のいずれか1つに記載のシステムが提供される。
【0084】
本開示の別の態様(5)によれば、ナノサイズ構造がコア内に配置された、態様(4)に記載のシステムが提供される。
【0085】
本開示の別の態様(6)によれば、ナノサイズ構造が、約10nmを超える直径を有するガス充填空孔である、態様(4)又は(5)に記載のシステムが提供される。
【0086】
本開示の別の態様(7)によれば、少なくとも1つの円筒型光拡散装置の光源に光学的に結合された端部と反対側の端部が、反射コーティングで被覆された、態様(1)~(6)のいずれか1つに記載のシステムが提供される。
【0087】
本開示の別の態様(8)によれば、少なくとも1つの円筒型光拡散装置の光源に光学的に結合された端部と反対側の端部が、吸収コーティングで被覆された、態様(1)~(7)のいずれか1つに記載のシステムが提供される。
【0088】
本開示の別の態様(9)によれば、少なくとも1つの円筒型光拡散装置が外側コーティングを有し、外側コーティングが、UV光を透過する樹脂である、態様(1)~(8)のいずれか1つに記載のシステムが提供される。
【0089】
本開示の別の態様(10)によれば、UV光を透過する樹脂が、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、ポリエステルテトラアクリレート、ポリエステルヘキサアクリレート、脂肪族ウレタンジアクリレート+ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエーテルテトラアクリレート、シリコーンジアクリレート、シリコーンヘキサアクリレート、ビスフェノールAをベースとするエポキシジアクリレート、及びビスフェノールAをベースとするエポキシジアクリレート+25%のTPGDA構造を有する樹脂から成る群より選択される、態様(9)に記載のシステムが提供される。
【0090】
本開示の別の態様(11)によれば、光源が、約100nm~約400nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する、態様(1)~(10)のいずれか1つに記載のシステムが提供される。
【0091】
本開示の別の態様(12)によれば、光源が、約100nm~約290nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する、態様(1)~(11)のいずれか1つに記載のシステムが提供される。
【0092】
本開示の別の態様(13)によれば、光源が、約400nm~約500nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する、態様(1)~(10)のいずれか1つに記載のシステムが提供される。
【0093】
本開示の別の態様(14)によれば、医療装置が提供される。本医療装置は、少なくとも1つの内部チャネルと、少なくとも1つの内部チャネルと光学的に連通して配置された少なくとも1つの円筒型光拡散装置であって、外面及び光源に光学的に結合された端部を有する光拡散装置とを備え、少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、外面を通して導波光を散乱し、長さを有し、その長さにわたり実質的に均一な放射線を放出する光拡散部を形成するように構成されている。
【0094】
本開示の別の態様(15)によれば、少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、少なくとも1つの内部チャネルの外部に配置された、態様(14)の医療装置が提供される。
【0095】
本開示の別の態様(16)によれば、少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、少なくとも1つの内部チャネルの内部に配置された、態様(14)の医療装置が提供される。
【0096】
本開示の別の態様(17)によれば、少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、少なくとも1つの内部チャネルの内部に部分的に配置された、態様(16)の医療装置が提供される。
【0097】
本開示の別の態様(18)によれば、少なくとも1つの内部チャネルが壁を有し、壁の少なくとも一部が、約100nm~約500nmの少なくとも1つの波長を有する光を透過する材料を含む、態様(14)~(17)のいずれか1つに記載の医療装置が提供される。
【0098】
本開示の別の態様(19)によれば、円筒型光拡散装置が約50dB/kmを超える散乱誘起減衰を有する、態様(14)~(18)のいずれか1つに記載の医療装置が提供される。
【0099】
本開示の別の態様(20)によれば、円筒型光拡散装置の放射線が実質的に均一であり、散乱照明強度の最小値と最大値との差が、最大散乱照明強度の約30%未満である、態様(14)~(19)のいずれか1つに記載の医療装置が提供される。
【0100】
本開示の別の態様(21)によれば、少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、コア、一次クラッド、及び複数のナノサイズ構造を有する光拡散光ファイバーを含み、導波光が、ナノサイズ構造を介し、コアから外面を通して散乱される、態様(14)~(20)のいずれか1つに記載の医療装置が提供される。
【0101】
本開示の別の態様(22)によれば、ナノサイズ構造がコア内に配置された、態様(21)の医療装置が提供される。
【0102】
本開示の別の態様(23)によれば、ナノサイズ構造が、ガスを充填した、約10nmを超える直径を有する空孔である、態様(21)又は(22)に記載の医療装置が提供される。
【0103】
本開示の別の態様(24)によれば、少なくとも1つの円筒型光拡散装置の光源に光学的に結合された端部と反対側の端部が、反射コーティングで被覆された、態様(14)~(23)のいずれか1つに記載の医療装置が提供される。
【0104】
本開示の別の態様(25)によれば、少なくとも1つの円筒型光拡散装置の光源に光学的に結合された端部と反対側の端部が、吸収コーティングで被覆された、態様(14)~(23)のいずれか1つに記載の医療装置が提供される。
【0105】
本開示の別の態様(26)によれば、少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、外側コーティングを有し、外側コーティングが、UV光を透過する樹脂である、態様(14)~(25)のいずれか1つに記載の医療装置が提供される。
【0106】
本開示の別の態様(27)によれば、UV光を透過する樹脂が、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、ポリエステルテトラアクリレート、ポリエステルヘキサアクリレート、脂肪族ウレタンジアクリレート+ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエーテルテトラアクリレート、シリコーンジアクリレート、シリコーンヘキサアクリレート、ビスフェノールAをベースとするエポキシジアクリレート、及びビスフェノールAをベースとするエポキシジアクリレート+25%のTPGDA構造を有する樹脂から成る群より選択される、態様(26)に記載の医療装置が提供される。
【0107】
本開示の別の態様(28)によれば、光源が約100nm~約500nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する、態様(14)~(27)のいずれか1つに記載の医療装置が提供される。
【0108】
本開示の別の態様(29)によれば、光源が約100nm~約400nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する、態様(14)~(28)のいずれか1つに記載の医療装置が提供される。
【0109】
本開示の別の態様(30)によれば、光源が約100nm~約290nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する、態様(14)~(29)のいずれか1つに記載の医療装置が提供される。
【0110】
本開示の別の態様(31)によれば、光源が約100nm~約500nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する、態様(14)~(28)のいずれか1つに記載の医療装置が提供される。
【0111】
本開示の別の態様(32)によれば、消毒方法が提供される。本消毒方法は、少なくとも1つの円筒型光拡散装置の少なくとも一部を、医療装置の内部チャネルに挿入するステップと、光源からの光を、光源に光学的に結合された少なくとも1つの円筒型光拡散装置の端部に導入し、拡散装置の外面を通して光を放出して、拡散装置の一部を照らし、内部チャネルを放出光に曝露するステップとを備え、少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、外面を通して導波光を散乱し、長さを有し、その長さにわたり実質的に均一な放射線を放出する光拡散部を形成し、内部チャネルの少なくとも1つの表面を消毒するように構成された、方法である。
【0112】
本開示の別の態様(33)によれば、少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、コア、一次クラッド、及び複数のナノサイズ構造を含む光拡散光ファイバーを有し、導波光が、ナノサイズ構造を介し、コアから外面を通して散乱される、態様(32)に記載の消毒方法が提供される。
【0113】
本開示の別の態様(34)によれば、光源からの光を導入するステップが、医療装置の少なくとも一部が、患者の体内に配置されている間に実施される、態様(32)又は(33)に記載の消毒方法が提供される。
【0114】
本開示の別の態様(35)によれば、少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、外面を通して導波光を散乱して、人体物質を消毒するように構成されている、態様(32)~(34)のいずれか1つに記載の消毒方法が提供される。
【0115】
本開示の別の態様(36)によれば、人体物質が患者の体内の組織である、態様(35)に記載の消毒方法が提供される。
【0116】
本開示の別の態様(37)によれば、人体物質が患者の体内の体液である、態様(35)に記載の消毒方法が提供される。
【0117】
本開示の別の態様(38)によれば、内部チャネルを約5mj/cm2を超える光の線量に曝露するステップを更に備えた、態様(32)~(37)のいずれか1つに記載の消毒方法が提供される。
【0118】
本開示の別の態様(39)によれば、内部チャネルを約5mj/cm2~約175mj/cm2の光の線量に曝露するステップを更に備えた、態様(32)~(38)のいずれか1つに記載の消毒方法が提供される。
【0119】
本開示の別の態様(40)によれば、内部チャネルを約10mj/cm2~約150mj/cm2の光の線量に曝露するステップを更に備えた、態様(32)~(39)のいずれか1つに記載の消毒方法が提供される。
【0120】
本開示の別の態様(41)によれば、内部チャネルを約15mj/cm2~約80mj/cm2の光の線量に曝露するステップを更に備えた、態様(32)~(40)のいずれか1つに記載の消毒方法が提供される。
【0121】
本開示の別の態様(42)によれば、光源からの光を導入するステップが、約100nm~約500nmの少なくとも1つの波長を有する光を導入するステップを含む、態様(32)~(41)のいずれか1つに記載の消毒方法が提供される。
【0122】
本開示の別の態様(43)によれば、光源からの光を導入するステップが、約100nm~約400nmの少なくとも1つの波長を有する光を導入するステップを含む、態様(32)~(42)のいずれか1つに記載の消毒方法が提供される。
【0123】
本開示の別の態様(44)によれば、光源からの光を導入するステップが、約100nm~約290nmの少なくとも1つの波長を有する光を導入するステップを含む、態様(32)~(43)のいずれか1つに記載の消毒方法が提供される。
【0124】
本開示の別の態様(45)によれば、光源からの光を導入するステップが、約400nm~約500nmの少なくとも1つの波長を有する光を導入するステップを含む、態様(32)~(42)のいずれか1つに記載の消毒方法が提供される。
【0125】
本開示の精神又は範囲を逸脱せずに、様々な改良及び変形が可能であることは当業者には明らかであろう。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0126】
実施形態1
医療装置を消毒するためのシステムであって、
約100nm~約500nmの、少なくとも1つの波長を有する光を生成する光源と、
医療装置のすくなとも1つの内部チャネルと光学的に連通して配置された、少なくとも1つの円筒型光拡散装置であって、外面及び前記光源に光学的に結合された端部を有する光拡散装置と、
を備え、
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、前記外面を通して導波光を散乱し、長さを有し、該長さにわたり実質的に均一な放射線を放出する光拡散部を形成するように構成されたシステム。
【0127】
実施形態2
前記円筒型光拡散装置が、約50dB/kmを超える散乱誘起減衰を有する、実施形態1に記載のシステム。
【0128】
実施形態3
前記円筒型光拡散装置の放射線が実質的に均一であり、散乱照明強度の最小値と最大値との差が、最大散乱照明強度の約30%未満である、実施形態1又は2に記載のシステム。
【0129】
実施形態4
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、コア、一次クラッド、及び複数のナノサイズ構造を有する光拡散光ファイバーを含み、前記導波光が、前記ナノサイズ構造を介し、前記コアから前記外面を通して散乱される、実施形態1~3のいずれか1つに記載のシステム。
【0130】
実施形態5
前記ナノサイズ構造が前記コア内に配置された、実施形態4に記載のシステム。
【0131】
実施形態6
前記ナノサイズ構造が、約10nmを超える直径を有するガス充填空孔である、実施形態4又は5に記載のシステム。
【0132】
実施形態7
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置の前記光源に前記光学的に結合された端部と反対側の端部が、反射コーティングで被覆された、実施形態1~6のいずれか1つに記載のシステム。
【0133】
実施形態8
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置の前記光源に前記光学的に結合された端部と反対側の端部が、吸収コーティングで被覆された、実施形態1~6のいずれか1つに記載のシステム。
【0134】
実施形態9
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、外側コーティングを有し、該外側コーティングが、UV光を透過する樹脂である、実施形態1~8のいずれか1つに記載のシステム。
【0135】
実施形態10
前記UV光を透過する樹脂が、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、ポリエステルテトラアクリレート、ポリエステルヘキサアクリレート、脂肪族ウレタンジアクリレート+ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエーテルテトラアクリレート、シリコーンジアクリレート、シリコーンヘキサアクリレート、ビスフェノールAをベースとするエポキシジアクリレート、及びビスフェノールAをベースとするエポキシジアクリレート+25%のTPGDA構造を有する樹脂から成る群より選択される、実施形態9に記載のシステム。
【0136】
実施形態11
前記光源が、約100nm~約400nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する、実施形態1~10のいずれか1つに記載のシステム。
【0137】
実施形態12
前記光源が、約100nm~約290nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する、実施形態1~11のいずれか1つに記載のシステム。
【0138】
実施形態13
前記光源が、約400nm~約500nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する、実施形態1~10のいずれか1つに記載のシステム。
【0139】
実施形態14
医療装置であって、
少なくとも1つの内部チャネルと、
前記少なくとも1つの内部チャネルと光学的に連通して配置された、少なくとも1つの円筒型光拡散装置であって、外面及び光源に光学的に結合された端部を有する光拡散装置とを備え、
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、外面を通して導波光を散乱し、長さを有し、該長さにわたり実質的に均一な放射線を放出する光拡散部を形成するように構成された医療装置。
【0140】
実施形態15
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、前記少なくとも1つの内部チャネルの外部に配置された、実施形態14に記載の医療装置。
【0141】
実施形態16
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、前記少なくとも1つの内部チャネルの内部に配置された、実施形態14に記載の医療装置。
【0142】
実施形態17
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、前記少なくとも1つの内部チャネルの内部に部分的に配置された、実施形態16に記載の医療装置。
【0143】
実施形態18
前記少なくとも1つの内部チャネルが壁を有し、該壁の少なくとも一部が、約100nm~約500nmの少なくとも1つの波長を有する光を透過する材料を含む、実施形態14~17のいずれか1つに記載の医療装置。
【0144】
実施形態19
前記円筒型光拡散装置が約50dB/kmを超える散乱誘起減衰を有する、実施形態14~18のいずれか1つに記載の医療装置。
【0145】
実施形態20
前記円筒型光拡散装置の前記放射線が実質的に均一であり、散乱照明強度の最小値と最大値との差が、最大散乱照明強度の約30%未満である、実施形態14~19のいずれか1つに記載の医療装置。
【0146】
実施形態21
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、コア、一次クラッド、及び複数のナノサイズ構造を有する光拡散光ファイバーを含み、前記導波光が、前記ナノサイズ構造を介し、前記コアから前記外面を通して散乱される、実施形態14~20のいずれか1つに記載の医療装置。
【0147】
実施形態22
前記ナノサイズ構造が前記コア内に配置された、実施形態21に記載の医療装置。
【0148】
実施形態23
前記ナノサイズ構造が、ガスを充填した、約10nmを超える直径を有する空孔である、実施形態21又は22に記載の医療装置。
【0149】
実施形態24
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置の、前記光源に光学的に結合された前記端部と反対側の端部が、反射コーティングで被覆された、実施形態14~23のいずれか1つに記載の医療装置。
【0150】
実施形態25
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置の、前記光源に光学的に結合された前記端部と反対側の端部が、吸収コーティングで被覆された、実施形態14~23のいずれか1つに記載の医療装置。
【0151】
実施形態26
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、外側コーティングを有し、該外側コーティングが、UV光を透過する樹脂である、実施形態14~25のいずれか1つに記載の医療装置。
【0152】
実施形態27
前記UV光を透過する樹脂が、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、ポリエステルテトラアクリレート、ポリエステルヘキサアクリレート、脂肪族ウレタンジアクリレート+ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエーテルテトラアクリレート、シリコーンジアクリレート、シリコーンヘキサアクリレート、ビスフェノールAをベースとするエポキシジアクリレート、及びビスフェノールAをベースとするエポキシジアクリレート+25%のTPGDA構造を有する樹脂から成る群より選択される、実施形態26記載の医療装置。
【0153】
実施形態28
前記光源が、約100nm~約500nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する、実施形態14~27のいずれか1つに記載の医療装置。
【0154】
実施形態29
前記光源が、約100nm~約400nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する、実施形態14~28のいずれか1つに記載の医療装置。
【0155】
実施形態30
前記光源が、約100nm~約290nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する、実施形態14~29のいずれか1つに記載の医療装置。
【0156】
実施形態31
前記光源が、約400nm~約500nmの少なくとも1つの波長を有する光を生成する、実施形態14~28のいずれか1つに記載の医療装置。
【0157】
実施形態32
消毒方法であって、
少なくとも1つの円筒型光拡散装置の少なくとも一部を、医療装置の内部チャネルに挿入するステップと、
光源からの光を、該光源に光学的に結合された、前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置の端部に導入し、前記拡散装置の外面を通して前記光を放出して、前記拡散装置の一部を照らし、前記内部チャネルを前記放出光に曝露するステップと、
を備え、
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、前記外面を通して導波光を散乱し、長さを有し、該長さにわたり実質的に均一な放射線を放出する光拡散部を形成し、前記内部チャネルの少なくとも1つの表面を消毒するように構成された方法。
【0158】
実施形態33
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、コア、一次クラッド、及び複数のナノサイズ構造を有する光拡散光ファイバーを含み、前記導波光が、前記ナノサイズ構造を介し、前記コアから前記外面を通して散乱される、実施形態32に記載の方法。
【0159】
実施形態34
前記光源からの光を導入するステップが、前記医療装置の少なくとも一部が、患者の体内に配置されている間に実施される、実施形態32又は33に記載の方法。
【0160】
実施形態35
前記少なくとも1つの円筒型光拡散装置が、前記外面を通して導波光を散乱して、人体物質を消毒するように構成された、実施形態32~34のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
実施形態36
前記人体物質が、前記患者の前記体内の組織である、実施形態35に記載の方法。
【0162】
実施形態37
前記人体物質が、前記患者の前記体内の体液である、実施形態35に記載の方法。
【0163】
実施形態38
前記内部チャネルを、約5mj/cm2を超える光の線量に曝露するステップを更に備えた、実施形態32~37のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
実施形態39
前記内部チャネルを、約5mj/cm2~約175mj/cm2の光の線量に曝露するステップを更に備えた、実施形態32~38のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
実施形態40
前記内部チャネルを、約10mj/cm2~約150mj/cm2の光の線量に曝露するステップを更に備えた、実施形態32~39のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
実施形態41
前記内部チャネルを、約15mj/cm2~約80mj/cm2の光の線量に曝露するステップを更に備えた、実施形態32~40のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
実施形態42
前記光源からの光を導入するステップが、約100nm~約500nmの少なくとも1つの波長を有する光を導入するステップを含む、実施形態32~41のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
実施形態43
前記光源からの光を導入するステップが、約100nm~約400nmの少なくとも1つの波長を有する光を導入するステップを含む、実施形態32~42のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
実施形態44
前記光源からの光を導入するステップが、約100nm~約290nmの少なくとも1つの波長を有する光を導入するステップを含む、実施形態32~43のいずれか1つに記載の方法。
【0170】
実施形態45
前記光源からの光を導入するステップが、約400nm~約500nmの少なくとも1つの波長を有する光を導入するステップを含む、実施形態32~42のいずれか1つに記載の方法。
【符号の説明】
【0171】
12 光ファイバー
20 コア
22 中実中心領域
26 ナノ構造化リング部
28 外側中実部
31 ガラスマトリックス
32 ナノサイズ構造
40 クラッド
44 コーティング
48 光ファイバーの側面
101 光源
111 内視鏡
113 挿入部
114 操作部
115 可撓管部
116 屈曲部
117 遠位端硬質部
118 観察窓
119a、119b 照明窓
120 使用開口部
121 送気/送水ノズル
126 チャネル部
129 円筒型光拡散装置
149 導光体
150 使用チャネル