(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179706
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】農作業機及び農作業機を用いた作業方法
(51)【国際特許分類】
A01B 35/04 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
A01B35/04 F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023178292
(22)【出願日】2023-10-16
(62)【分割の表示】P 2020175166の分割
【原出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】戸舘 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】野村 拓未
(72)【発明者】
【氏名】佐野 史知
(57)【要約】 (修正有)
【課題】耕耘後の砕土具合等の土の状態を機械的な判断によって行うことが可能な代掻き農作業機を提供する。
【解決手段】耕耘体6と、耕耘体6の後方に位置するとともに上下方向に回動可能なレーキ体42と、レーキ体42の回動角度を判定可能な制御部と、回動角度を検出するとともに検出された値を検出信号として制御部に送信可能なセンサ93と、制御部は前記検出信号を受信して、予め定められた値と前記検出信号に含まれる値とを比較演算が可能な演算部と、制御部は、比較演算に基いて判定結果を導出し、前記判定結果を基にして実行させる動作を選択するとともに動作を実行させるための動作信号を発信可能な動作処理部と、を備え、前記制御部は前記レーキ体を過度に後方に押すことなく、適度に押す状態となる場合は、土壌と混ざり合う水分が適正であると判断する、農作業機。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘体と、
前記耕耘体の後方に位置するとともに上下方向に回動可能なレーキ体と、
前記レーキ体の回動角度を判定可能な制御部と、
を備え
前記制御部は前記レーキ体を過度に後方に押すことなく、適度に押す状態となる場合は、土壌と混ざり合う水分が適正であると判断する、
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
前記回動角度を検出するとともに検出された値を検出信号として前記制御部に送信可能なセンサと、
前記制御部は前記検出信号を受信して、予め定められた値と前記検出信号に含まれる値とを比較演算が可能な演算部と、
前記制御部は、前記比較演算に基いて判定結果を導出し、前記判定結果を基にして実行させる動作を選択するとともに動作を実行させるための動作信号を発信可能な動作処理部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の農作業機。
【請求項3】
前記レーキ体は、前記耕耘体の後方に位置して上下方向に回動可能な整地体と前記耕耘体との間に位置するとともに、前記整地体に対して回動可能に設け、
前記センサは前記整地体に配置する、
ことを特徴とする請求項2に記載の農作業機。
【請求項4】
前記レーキ体は、回動可能なベース部材と、
前記ベース部材に、一端側を固着するとともに他端側を接地可能に設け、進行方向の幅方向に間隔を空けて配置し、前記ベース部材と一体となって回動可能な複数の棒状部材と、
前記ベース部材及び前記棒状部材を進行方向に向けて付勢可能な弾性部材と、を備え、
前記レーキ体の後方には、前記棒状部材を通過した土塊を土壌に鋤き込む押し込む第2のレーキ体と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の農作業機。
【請求項5】
前記制御部は前記レーキ体を後方側に大きく押す状態となる場合は、水分量が少ないと判断する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の農作業機。
【請求項6】
前記制御部は前記レーキ体が前方側に移動する状態となる場合は、土壌に含まれる水分量が多いと判断する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の農作業機。
【請求項7】
耕耘体と、
前記耕耘体の後方に位置するとともに上下方向に回動可能なレーキ体と、を備え、
前記レーキ体の回動角度を制御部によって判断し、
前記制御部は前記レーキ体を過度に後方に押すことなく、適度に押す状態となる場合は、土壌と混ざり合う水分が適正であると判断する、
ことを特徴とする農作業機の作業方法。
【請求項8】
耕耘体と、
前記耕耘体の後方に位置するとともに上下方向に回動可能なレーキ体と、
前記レーキ体の回動角度を判定可能な制御部と、
前記回動角度を検出するとともに検出された値を検出信号として前記制御部に送信可能なセンサと、を備え、
前記制御部は前記検出信号を受信して、予め定められた値と前記検出信号に含まれる値とを比較演算を行い、
前記比較演算に基いて判定結果を導出し、前記判定結果を基にして実行させる動作を選択するとともに動作を実行させるための動作信号を発信し、
前記レーキ体を過度に後方に押すことなく、適度に押す状態となる場合は、土壌と混ざり合う水分が適正であると判断する、
ことを特徴とする農作業機の作業方法。
【請求項9】
前記制御部は前記レーキ体を後方側に大きく押す状態となる場合は、水分量が少ないと判断する、
ことを特徴とする請求項7乃至請求項8のいずれかに記載の農作業機の作業方法。
【請求項10】
前記制御部は前記レーキ体が前方側に移動する状態となる場合は、土壌に含まれる水分量が多いと判断する、
ことを特徴とする請求項7乃至請求項8のいずれかに記載の農作業機の作業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、農作業機及び農作業機を用いた作業方法、詳細には農作業機である代掻き
作業機及び農作業機を用いた作業方法に係る。
【背景技術】
【0002】
代掻き作業を行う装置として、例えば特許文献1「農作業機」によって、その機構が開示されている。特許文献1には、ロータリ作業部により耕耘された耕土を整地するエプロンと、このエプロンの回動角度を検出するポテンショメータにより検出されたエプロンの回動角度に応じた情報を送信可能で、この情報に応じた複数の異なる耕深を示す指標を表示する耕深表示装置を備えることを要旨とする農作業機が示されている。これによれば、泥水や泥が耕深表示部に付着せず、作業者が耕深を示す指標を確認できるとされている。
【0003】
また、特許文献2には、特許文献1とほぼ同様の作業機形態でありながらも、エプロンあるいはレベラの回動を検出し、この検出した結果を用いて圃場の状態を判定し、その判定結果をモニタに表示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-23054号公報
【特許文献2】特開2019-88204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
代掻き作業は整地後の土壌の状態によって、作業者が耕耘深さや耕耘速度等の代掻き条件を決定し、作業を実行することが望ましい。とりわけ、耕耘整地後の土壌内の状態を、目視で瞬時に判断することは、熟練者でも容易ではない。
特許文献1のように、整地するエプロンと呼ばれる整地部の上下動を検知し、検知結果を表示装置に表示させれば、整地表面に対する耕耘深さを判断できる。しかしながら、代掻き作業を行う圃場の水分量や土質によっては、正確に耕耘深さを捉えることは困難であり、耕耘及び整地後の土塊の砕土具合等の土の状態を判断することはできない。
【0006】
特許文献2「表示方法」に記載のような圃場状態を判定方法は、地表面に設置する接地部材としてのエプロン及びレベラの回動状態を判定してすることによって得ているものであって、直接地中内の状態を測定しているわけではない。
実際に土塊が砕かれているかどうかは、作業者による確認がどうしても必要であり、砕土具合等の土の状態の判定を機械的に直接行うことが要望されている。
【0007】
本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、耕耘後の砕土具合等の土の状態の判断を機械的な判断によって行うことが可能な農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、
耕耘体と、
前記耕耘体の後方に位置するとともに上下方向に回動可能なレーキ体と、
前記レーキ体の回動角度を判定可能な制御部と、
を備え
前記制御部は前記レーキ体を過度に後方に押すことなく、適度に押す状態となる場合は、土壌と混ざり合う水分が適正であると判断する、
ことを特徴とする農作業機、
に係る。
【0009】
この発明は、更に、
前記回動角度を検出するとともに検出された値を検出信号として前記制御部に送信可能なセンサと、
前記制御部は前記検出信号を受信して、予め定められた値と前記検出信号に含まれる値とを比較演算が可能な演算部と、
前記制御部は、前記比較演算に基いて判定結果を導出し、前記判定結果を基にして実行させる動作を選択するとともに動作を実行させるための動作信号を発信可能な動作処理部と、
を備えたことを特徴とする農作業機、
に係る。
【0010】
この発明は、更に、
前記レーキ体は、前記耕耘体の後方に位置して上下方向に回動可能な整地体と前記耕耘体との間に位置するとともに、前記整地体に対して回動可能に設け、
前記センサは前記整地体に配置する、
ことを特徴とする農作業機、
に係る。
【0011】
この発明は、更に、
前記レーキ体は、回動可能なベース部材と、
前記ベース部材に、一端側を固着するとともに他端側を接地可能に設け、進行方向の幅方向に間隔を空けて配置し、前記ベース部材と一体となって回動可能な複数の棒状部材と、
前記ベース部材及び前記棒状部材を進行方向に向けて付勢可能な弾性部材と、を備え、
前記レーキ体の後方には、前記棒状部材を通過した土塊を土壌に鋤き込む押し込む第2のレーキ体と、
を備えたことを特徴とする農作業機、
に係る。
【0012】
この発明は、更に、
前記制御部は前記レーキ体を後方側に大きく押す状態となる場合は、水分量が少ないと判断する、
ことを特徴とする農作業機、
に係る。
【0013】
この発明は、更に、
前記制御部は前記レーキ体が前方側に移動する状態となる場合は、土壌に含まれる水分量が多いと判断する、
ことを特徴とする農作業機、
に係る。
【0014】
この発明は、
耕耘体と、
前記耕耘体の後方に位置するとともに上下方向に回動可能なレーキ体と、を備え、
前記レーキ体の回動角度を制御部によって判断し、
前記制御部は前記レーキ体を過度に後方に押すことなく、適度に押す状態となる場合は、土壌と混ざり合う水分が適正であると判断する、
ことを特徴とする農作業機の作業方法、
に係る。
【0015】
この発明は、
耕耘体と、
前記耕耘体の後方に位置するとともに上下方向に回動可能なレーキ体と、
前記レーキ体の回動角度を判定可能な制御部と、
前記回動角度を検出するとともに検出された値を検出信号として前記制御部に送信可能なセンサと、を備え、
前記制御部は前記検出信号を受信して、予め定められた値と前記検出信号に含まれる値とを比較演算を行い、
前記比較演算に基いて判定結果を導出し、前記判定結果を基にして実行させる動作を選択するとともに動作を実行させるための動作信号を発信し、
前記レーキ体を過度に後方に押すことなく、適度に押す状態となる場合は、土壌と混ざり合う水分が適正であると判断する、
ことを特徴とする農作業機の作業方法、
に係る。
【0016】
この発明は、更に、
前記制御部は前記レーキ体を後方側に大きく押す状態となる場合は、水分量が少ないと判断する、
ことを特徴とする農作業機の作業方法、
に係る。
【0017】
この発明は、更に、
前記制御部は前記レーキ体が前方側に移動する状態となる場合は、土壌に含まれる水分量が多いと判断する、
ことを特徴とする農作業機の作業方法、
に係る。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、耕耘後の砕土具合等の土の状態の判断を機械的な判断によって行うことが可能な代掻き農作業機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明の実施例に係る農作業機の正面図である。
【
図2】この発明の実施例に係る農作業機の平面図である。
【
図3】この発明の実施例に係る農作業機の
図1の進行方向後方斜め上からみた一部拡大図である。
【
図4】この発明の実施例に係る農作業機の一部拡大正面図である。
【
図5】この発明の実施例に係る農作業機の進行方向前方からみた一部拡大側面図である。
【
図6】この発明の実施例に係る農作業機レーキ体の作動(下限位置)を示した説明図である。
【
図7】この発明の実施例に係る農作業機レーキ体の作動(上限位置)を示した説明図である。
【
図8】この発明の実施例に係る農作業機のブロック図である。
【
図9】この発明の実施例に係る農作業機の動作フロー図である。
【
図10】この発明の実施例に係る判定結果と、判定結果に基づく動作の内訳図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施の一例を、
図1乃至
図10に基づいて説明する。
Aは、農作業機である代掻き作業機である。Bは、走行機体であるトラクタである。
1は、走行装置である。走行装置1は、タイヤ等からなり、走行機体Bに取り付ける。
2は、代掻き作業機である農作業機Aにおけるフレーム部である。
【0021】
8は装着部である。
20は、クイックヒッチフレームである。
10は昇降装置であるトップリンク、11は昇降装置であるロアリンクである。トップリンク10(昇降装置)とロアリンク11(昇降装置)で、3点リンク機構を構成する。
【0022】
図1に示すように、走行機体であるトラクタBの後部に設ける昇降リンクである3点リンク機構に、農作業機Aを、連結する。連結は、農作業機Aに設けたフレーム部2の前方部に位置した装着部8を構成するクイックヒッチフレーム20を介しておこなう。農作業機Aは、3点リンク機構によって昇降自在であるとともに、トラクタB側から出力される動力を、トラクタBの出力軸であるPTO軸Pから獲得することによって駆動される。
【0023】
クイックヒッチフレーム20は、農作業機Aの前方且つ進行方向左右に対する中央部に位置する。上部中央のトップリンクピン81と、その下方の左右に位置する一対のロアリンクピン80により、3点リンク機構を構成するトップリンク10(昇降装置)と、ロアリンク11(昇降装置)に、クイックヒッチフレーム20を、連結する。
21は、トップマストである。トップマスト21は、フレーム部2の進行方向左右に対する中央部から上方且つ前方に突出する。
【0024】
22は、ロワマストである。ロワマスト22は、フレーム部2の進行方向左右に対する中央部の左右それぞれから下方且つ前方に突出する。
トップマスト21と、ロワマスト22に、クイックヒッチフレーム20を係合させることで、農作業機AはトラクタBに装着する。図示はしないが、クイックヒッチフレーム20を省略し、トップマスト21及びロワマスト22のそれぞれに、3点リンク機構であるトップリンク10とロアリンク11を係合させることによって、農作業機AをトラクタBに装着させてもよい。
【0025】
31は、変速部である。
変速部31は、フレーム部2の進行方向左右に対する中央部に設ける。変速部31からは前方に向け入力軸32を突設する。入力軸32は、トラクタBの出力軸であるPTO軸Pとユニバーサルジョイント12で連結されトラクタB側の動力が入力される。
【0026】
2は、フレーム部である。フレーム部2は、農作業機Aの全体を保持する。フレーム部2は、変速部31、パイプ33、伝動部51、サポートフレーム52を有している。パイプ33は、変速部31の進行方向左右それぞれの側面から左あるいは右方向に突出させている。
変速部31から突出したパイプ33の左右いずれか一方側のパイプ33の端部には、下方に向けて設けたケース状からなる伝動部51を設ける。他方側のパイプ33の端部には、下方に向けて配置したサポートフレーム52を設けている。
【0027】
6は、耕耘体である。耕耘体6は、耕耘ロータからなる。61は、耕耘爪である。
60は、ロータ軸である。ロータ軸60は、伝動部51下端部とサポートフレーム(図示せず)の下端部との間に、回転自在に架設支持して配置する。
耕耘爪61は、ロータ軸60に、放射状に一定間隔を設けて多数取り付け、耕耘体6を構成している。
図1に示すように、耕耘体6は未耕地側である前方側がダウンカットされるように左回転としているが、耕耘爪61の向きや回転方向に限定はない。
【0028】
変速部31の入力軸32から入力された動力は、変速部31に内装するギヤによって減速し、左右一方側の側方に突設したパイプ33内を通る出力軸(図示せず)により伝動部51内に伝達する。伝動部51内の出力軸端部に固着された出力スプロケットと、伝動部51下端部に支持されたロータ軸60の端部固着されたロータ軸スプロケットとの間に巻着されたローラチェーン(図示せず)により、動力がロータ軸60に伝達されて、ロータ軸60は回転駆動が可能である。
【0029】
ロータ軸60の両端側の支持部は、ベアリングにより回転自在に支持する。伝動部51の上部にはオイル給油口を設け、給油した潤滑オイルによりローラチェーンやベアリングを潤滑する。
【0030】
7は、カバー体である。カバー体7は、耕耘体6の上方部に設け、耕耘爪61の回転外周端に沿うように耕耘体6と離間して設ける。カバー体7は、耕耘体6の上方部を覆っている。カバー体7は、耕耘体6によって耕耘された土壌の上方への飛散を防ぐとともに、砕土や整地の性能を向上させるように補助する。カバー体7は、伝動部51とサポートフレーム52の、それぞれ上下中央部同士を架け渡すように配置する。
【0031】
4は、整地体である。整地体4は、板状からなる。整地体4は、第1整地体40と、第2整地体41からなる。
耕耘体6後方部およびカバー体7後方部には、整地体4を設ける。整地体4は、カバー体7の後端部に前端側を上下方向に回動自在に連結した第1整地体40と、第1整地体40の後端部に、前端側を上下方向に回動自在に設けた第2整地体41で構成する。整地体4は、耕耘体6により耕耘された土壌の後方側への飛散を受け止めるとともに、整地体4の耕耘体6側の面を土壌に接地させて前進することで耕耘後、均平に整地を行う。
【0032】
第1整地体40と第2整地体41の左右幅は、カバー体7とほぼ同じか、やや長くなるように設定する。このように設定することで、耕耘体6で耕耘後の土壌を漏れなく整地できる。
【0033】
カバー体7の後端部には、進行方向と直交する水平方向に軸方向を向けた第1整地体40の回動支点43を設けている。回動支点43に第1整地体40の前端部を取り付けることで、第1整地体40の後方が上下方向に回動自在にされている。
第1整地体40後端部には第2整地体41を連結する。第2整地体41は、第1整地体40後端部に設けた進行方向と直交する水平方向に軸方向を向けた第2整地体の回動支点45に前端部を保持されて、後方側が上下方向に回動自在に設ける。
【0034】
作業時の第1整地体40は、カバー体7後端部から下方斜め後方側に傾斜した状態で、耕耘体6によって耕耘され後方側に撥ね飛ばされた泥土を受け止め、後方に傾斜した斜面によって盛り上げられた泥土をトラクタBの進行とともに押圧し整地していく。
代掻き整地作業時の第2整地体41は、接地面をほぼ水平状態に維持して第1整地体40によって整地した面をさらに押圧して整地する。
【0035】
カバー体7の後端部の第1整地体40の回動支点43下方部には、カバー体7から後方側に向け片持ち状に設けられた連結部カバー(図示せず)を設けてもよい。連結部カバーは左右方向に長い帯状の弾性体の板状となっていて、耕耘体6によって撥ね上げられた土壌あるいは泥土が第1整地体40とカバー体7との連結部である回動支点43から飛び出さないようにガードするとともに、土壌あるいは泥土を後方に案内する。
【0036】
42は、レーキ体である。
走行機体であるトラクタBから獲得した動力を耕耘ロータである耕耘体6に伝達し、耕耘体6を回転駆動させることで土壌を耕耘あるいは砕土する。耕耘あるいは砕土した土壌は、整地体4によって整地するとともに、整地体4に設けたレーキ体42で土壌表面に浮いた夾雑物を埋没させる。農作業機Aは、代掻き作業における土壌を耕耘あるいは砕土しながら整地を行うものである。本実施例の説明においては、
図1、
図2の図中左側を進行方向の前方側とし、図中右側を後方側として説明する。
【0037】
レーキ体42は、第1レーキ体420と、第2レーキ体421とで構成する。
第1整地体40の耕耘体6側の面には、レーキ体42を設ける。レーキ体42は、
図5に示すように、第1レーキ体420と、第2レーキ体421のそれぞれが有する進行方向に延びる棒状部材423,425を、進行方向に対し左右方向に所定の間隔を置いて複数設けている。
【0038】
第1レーキ体420は、棒状部材423と、ベース部材424と、弾性部材44とを有する。
図5に図示するベース部材424は、第1整地体40の前端部で回動可能な左右方向に長い板状部材である。説明する実施例においては、ベース部材424の回動支点は、回動支点43と同軸に設けている。棒状部材423は複数設け、ベース部424材に、一端側を固着するとともに他端側を接地可能に設け、進行方向の幅方向に間隔を空けて配置する。棒状部材423はベース部材424と一体となって回動可能である。
弾性部材44は、ベース部材424及び棒状部材423を進行方向に向けて付勢可能である。弾性部材44は、第1整地体40の前方部の上方に位置させていて、耕耘土の等の飛散による付着を避けることができる。
レーキ体42は、耕耘体6の後方に位置するとともに上下方向に回動可能な整地体4と耕耘体6の間に位置し、整地体4に対して回動可能に設ける。
【0039】
第1レーキ体420は、進行方向に向けた棒状部材423を第1整地体40の前方部から第1整地体40の後端側に設ける。複数の棒状部材423の前端部は、進行方向の左右に延びるベース部材424によって一体に設けている。実施例における第1レーキ体420は、第1整地体40の耕耘体6側に、進行方向左右に複数並べて設けているが、単数として一体に設けてもよい。
第2レーキ体421は、第1レーキ体420の後端部に位置し、かつ第1整地体40の後端部に取り付け、第1レーキ体420の棒状部材423の間に第2レーキ体421を構成する棒状部材425を位置させている。第2レーキ体421を構成する棒状部材425は、
図5に図示するようにほぼM字状からなる。棒状部材425は、第1レーキ体420より、前後方向の距離が短い。
第2レーキ体421を構成する棒状部材425は、第1レーキ体420を構成する棒状部材423を通過した土塊(大)W1、土塊(小)W2を土壌に鋤き込み押し込む。
【0040】
第1レーキ体420の前端は、第1整地体40の回動支点43と同軸上に、第1レーキ体420の回動軸である回動ボス426を設けて取り付ける。回動ボス426とベース部材424は一体となっているので、回動ボス426によって、第1レーキ体420は、第1整地体40に対して上下に第1整地体40と同軸上で回動自在であり、第1レーキ体420の後部は第1整地体40の後部に接離自在である。
【0041】
第1レーキ体420は、前端の回動ボス426の後方側から上部に向けて突出させたアーム部422を有している。アーム部422は、上下方向に長い帯状部材であり、棒状部材423およびベース部材424とともに一体となって回動ボス426を軸にして回動する。
この実施例に示すアーム部422は、帯状部材であり、第1レーキ体420の左右それぞれの端部に2か所設けているが、形状や設置する個数に限定はない。アーム部422の端部は第1整地体40の上面側に突出していて、端部を後方側に曲げている。ベース部材424の曲げられた面は、第1整地体40の前方側の上面とほぼ平行に設ける。
【0042】
アーム部422の先端部には、
図4に図示するように孔427を設けていて、この孔427に位置決め部材403が貫通している。この実施例では、位置決め部材403はボルトを採用している。位置決め部材403の一端側は、第1整地体40の耕耘体6側に固着されたナット404に差し込まれる。
位置決め部材403は、第1整地体40の前方側の上面に対して、ほぼ垂直に設けている。位置決め部材403の他端であるボルト頭部は、第1整地体40の前方側の上面より上方且つ、アーム部422の先端部の孔427よりも上方に位置する。
【0043】
図4に図示するように、位置決め部材403の周囲には、弾性部材44である圧縮バネを配置する。弾性部材44の両端は、位置決め部材403の他端部であるボルト頭部と、アーム部422の先端部の上面との間に配置されている。弾性部材44は、位置決め部材403の軸部およびボルト頭部の下面およびアーム部422によって、挟まれている。このように構成することで、第1レーキ体420は、第1整地体40から離間する方向、すなわち、耕耘体6側に向けて、弾性部材44によって付勢された状態で取り付けることが可能となる。
【0044】
図6に示すように、第1レーキ体420が第1整地体40から離間する方向にあるときは、アーム部422の上部に位置する先端部の面は、第1整地体40の上面とほぼ平行に設定されている。その後、第1レーキ体420が土壌及び泥土によって上方に押圧されると、上方に回動する。回動の最後には、
図7に示すように、第1レーキ体420の後端部が第1整地体40の後端部に当接して回動が止まる。この状態のアーム部422は、第1整地体40の上面から相対的に持ち上げられたようになることで、弾性部材44をアーム部422の先端部と位置決め部材403の他端部との間で圧縮する。
【0045】
ねじによって取り付けた位置決め部材403は、捻じ込む位置を調整することで弾性部材44の反発力を微調整することができる。弾性部材44によって付勢されている第1レーキ体420の付勢力も微調整が可能となる。これにより、第1レーキ体420の付勢力は、第1整地体40の上面側の位置決め部材403を操作することによって、作業者の好みあるいは土壌条件等に合わせた任意の付勢力に微調整が容易にできる。
第1レーキ体420は弾性部材44によって、常時回動下限側に付勢されている。この付勢によって、土中に埋まる第1レーキ体420が走行によって上限側に回動し続けることがない。第1レーキ体420は弾性部材44によって回動下限側に付勢されているので、機体の進行とともに土中の土塊W1、W2等に接触し、後方側に押圧されると、回動することができる。第1レーキ体420の回動の有無を利用して、土中の土塊W1、W2等を検出することができる。
【0046】
第2レーキ体421は、第1整地体40の後方部に前方部を取り付け、後方に向けるとともに第1整地体40の整地面より下方側に突出して設ける。本実施例においては、第2レーキ体421は、第1レーキ体420より径が細い部材で形成されていて、自身の弾性力で撓むことができる。また、第2レーキ体421を構成する棒状部材425は、左右方
向に離間して複数設けられた第1レーキ体420の棒状部材423の左右間にそれぞれ配置されている。
【0047】
レーキ体42は、耕耘ロータである耕耘体6の後方に位置するとともに上下方向に回動可能である。
レーキ体42は、耕耘体6によって耕耘砕土された泥土中の稲わらなどの夾雑物を整地と同時に土中に押し込んで埋め込むためのもので、作業状態では前方が高く後方側が低い傾斜した姿勢となっている。前進走行によって、前方側でとらえた夾雑物を斜面で土中に誘導して埋め込むことができる。
【0048】
第1整地体40の前方側には第1レーキ体420のみを配置してあり、左右方向の間隔が棒状部材423によって、第1レーキ体420及び第2レーキ体421で構成するレーキ体42の後方側に対し、比較的広く設けられている。第1レーキ体420(レーキ体42)の後方側には第2レーキ体421を構成する棒状部材425が、第1レーキ体420を構成する棒状部材423の間に位置するため、棒状部材423,425同士の左右方向の間隔が狭い状態となっている。このため、第1レーキ体420前方側で泥土を濾し出す作用をさせ、水と土と夾雑物に分離させる。
【0049】
第1レーキ体420(レーキ体42)は夾雑物を後方に誘導すると、後方に位置する第2レーキ体421を構成する棒状部材425と第1レーキ体420の棒状部材423とによって後方側の間隔を狭くして、レーキ体42から上方に夾雑物が逃げないように押し込むことができる。
第1レーキ体420と第1整地体40の回動軸中心が同軸に設けられているとともに、第1レーキ体420に付勢力を加えている弾性部材44が第1整地体40の前方上面部に設けられていることで、耕耘深さが変化して第1整地体40の角度が変化しても第1レーキ体420の押し込み圧力は変化しない。
【0050】
図1、
図4、
図6、
図7に示すように、第1整地体40は、第1レーキ体420が第1整地体40側に回動して後端側が第1整地体40に当接した状態で、第1レーキ体420の前方から中間部上方部に空間部が形成されるように山形に外側へ膨らんだ形状となっている。これによって、前記の第1レーキ体420前方側で泥土を濾し出す作用を促進させることができる。
【0051】
第1レーキ体420と第2レーキ体421後端部は、第1整地体40後端部の整地面より後方側に位置しているとともに、第2整地体41の整地面より前方に位置して設けられている。この構成により、レーキ体42によって土中に押し込まれた夾雑物が浮上する前に第2整地体41により抑え込まれ、確実に夾雑物を埋め込むことができる。
【0052】
センサ93は、レーキ体42に対して整地体4を挟んだ位置である整地体4の上部に配置する。センサ93は、第1レーキ体420の回動角度を検出するとともに、検出された値を検出信号として後述する制御部101に送信可能である。
この発明の実施例でのセンサ93は、変位センサであるポテンショメータを用い、制御部101は電位差を検出することによって、レーキ体42の回動角度を認識する。このセンサ93は、回転角度または回転位相または移動距離等を検出できるものであれば、検出方式、種類等は問わない。
【0053】
91は検出アーム、92はピン、93はセンサである。検出アーム91は、
図3、
図4に図示するように、センサ93から後方に向けた帯状部材であり、センサ93を軸にして上下に回動自在に突設する。検出アーム91の中央部から後方の長手方向に沿って長孔94を設ける。
ピン92は、アーム部422に設け、アーム部422側から検出アーム91方向に向けた進行方向に対する幅方向に突設させ、検出アーム91に設けた長孔94に嵌合する。そのため、アーム部422側の移動に伴い、ピン92は長孔94を移動し、検出アーム91を上下に回動させる。センサ93は検出アーム91の移動を検知することによって、レーキ体42の移動である第1レーキ体420の回動を感知する。
【0054】
レーキ体42は、第1レーキ体420によって、回動支点43近傍の幅方向に長いベース部材424に、複数の棒状部材423を左右方向に間隔を置いて複数配置しているので、複数の棒状部材423は一体的に回動が可能である。また、この発明の実施例では、第1レーキ体420は整地体4に2個分割して配置しているが、整地体1つ当たりのレーキ体42の配置個数に限定はない。
レーキ体42の回動を検知するセンサ93は、農作業機A1つにつき少なくとも1つ配置できれば、その部分の仕上がり状態を判断でき、装置の構造を簡略化することが可能となっている。無論、レーキ体42の配置した個数ごとに、それぞれセンサ93を配置してもよい。この場合、検出した仕上がり状況をより高い精度で検出することができる。
【0055】
図8に図示する情報伝達関係をあらわすブロック図について説明する。
走行機体Bは、操作部、警報装置、表示装置を備える。操作部は、走行機体Bの運転席に設ける。更に、走行機体Bあるいは農作業機Aは、作業機制御部101(制御部)と走行機体制御部(制御部)とを有する。実施例においては、走行機体Bに走行機体制御部(制御部)、農作業機Aに作業機制御部101(制御部)を、それぞれ配置している。農作業機Aが備える作業機制御部101(制御部)も、走行機体B同様に、操作部、警報装置、表示装置を備える。
【0056】
警報装置は、この発明の実施例では、単に鳴動するか否かで示しているが、他の具体的な例として、音階を変化させることを含むブザー音や、言語からなる案内音声があげられる。実施に関して、作業者が正しく聴覚認識できればよく、報知形式に限定はない。
表示装置は、この実施例では、色彩で表示される旨の記載であるが、図形表示や言語表示でもよく、作業者が正しく視覚認識できるものであれば、表示形式に限定はない。
表示装置、及び警報装置は、走行機体B側もしくは農作業機A側の少なくとも何れか一方に配置される、あるいは動作できればよい。
【0057】
図8に図示するように、作業機制御部101(制御部)には、通信処理部、演算部、動作処理部、記憶部を設ける。さらに、作業機制御部101(制御部)は、センサ93と接続していて、センサ93が検出した第1レーキ体420の回動情報である検出信号を受領することができる。また、作業機制御部101(制御部)は、農作業機Aが備える操作部、警報装置、表示装置に接続していて、作業機制御部101の操作を行ったり、情報を取得したりすることができる。走行機体制御部(制御部)には、通信処理部及び動作指示部を設ける。
走行機体制御部(制御部)に設けた通信処理部は、走行機体Bが備える操作部、警報装置、表示装置、から入力される情報を処理して農作業機である農作業機Aが備える
図2に図示する作業機制御部101(制御部)に伝送することができる。
【0058】
走行機体制御部(制御部)は、作業機制御部101(制御部)と通信し接続する。作業機制御部101(制御部)の通信処理部は、走行機体制御部(制御部)から入力する情報を走行機体制御部(制御部)の通信処理部と相互に通信可能になるように処理する。
走行機体制御部(制御部)は走行機体Bの操縦席付近に設置し、
図2に図示する農作業機Aに備える作業機制御部101(制御部)と通信可能に設ける。
走行機体側の操作部、警報装置、表示装置は、走行機体制御部(制御部)と接続する。
【0059】
作業機制御部101は、センサ93が検出した第1レーキ体420の回動角度について検出した情報をセンサ93から検出信号として受信する。作業機制御部101(制御部)は、検出信号を情報として受信可能であるとともに、情報として発信することができる。制御部101は、センサ93からの検出信号である情報によってレーキ体42の回動角度を判定可能である。
作業機制御部101は、情報に基づいて、動作信号を発信するか否かを判断する。
【0060】
作業機制御部101(制御部)に設けた演算部によって、センサ93から受領した情報を基にして比較演算する。作業機制御部101(制御部)の動作処理部によって、得られた演算結果に基づいて、走行機体Bあるいは農作業機Aにあらかじめ定められた動作指令を与えるための動作の選択処理を行う。動作処理部は、判定結果を基にして実行させる動作を選択するとともに動作を実行させるための動作信号を発信可能である。この選択処理に基づく動作信号を通信処理部で処理し、走行機体Bに発信する。
記憶部は、演算部での演算結果を記憶する。
作業機制御部101(制御部)は、農作業機Aが備える操作部、警報装置、表示装置と接続する。
【0061】
制御部101の動作処理部によって、比較演算の結果に基づいて、走行機体B側に動作指示である動作信号を発信する。
農作業機Aの制御部101から発信された動作信号は、走行機体Bの走行機体制御部で受信可能であり、制御部101から発せられた動作信号を受領した走行機体Bは、動作信号に基づいて走行機体Bの動作を制御することができる。また、制御部101から発せられた動作信号に基いて、農作業機Aが備える表示装置及び警報装置の動作を制御することができる。
【0062】
作業機制御部101(制御部)は、演算部によって得られた演算結果に基づいて、農作業機Aあるいは走行機体Bに、予め定められた動作指令を与えるための動作の選択処理が可能であり、選択処理に基づく動作信号を走行機体Bに発信可能に設けた
図8に図示する動作処理部を備える。
【0063】
図2に図示する作業機制御部101(制御部)内に設けた演算部によって演算計測して、取得値を出力する。演算部では、記憶部に記憶された値である予め定められた設定回動量と、センサ90から入力される回動量である回動角度について検出された検出信号を基にした記憶部に記憶された検出値Xとを比較演算する。さらに演算部は、比較演算に基いて判定結果を導出する。入力される回動角度は、検出信号に含まれる値であり、取得値である。
【0064】
図10は、演算部での比較演算の結果、得られたレーキ体42の回動量の判定結果に基づいて、各装置がすべき動作を示した動作内訳である。
この実施例の場合、第1乃至第3の判定結果に基づいて、各装置が判定結果に対応した動作をするように、動作処理部が動作指示を選択する。
【0065】
例えば、レーキ体42の回動量が大きい場合は、第1判定結果として対応させ、耕耘土の仕上がりが荒いものとして判定する。第1判定結果に基づいて、表示装置を青色表示させ、警報装置を鳴動させる。
レーキ体42の回動量が中程度の場合は、第2判定結果として対応させ、耕耘土の仕上がりが良好であるものとして判定する。
第2判定結果に基づいて、表示装置を緑色表示させ、警報装置を鳴動させない。
【0066】
レーキ体42の回動量が小さい場合及び回動が無い場合は、第3判定結果として対応させ、耕耘土の仕上がりが細かすぎる、又は、レーキ体42が設置していないものとして判定する。第3判定結果に基づいて、表示装置を赤色表示させ、警報装置を鳴動させる。第1乃至第3判定結果と、表示装置、警報装置のそれぞれの動作内容を対応させている。
【0067】
説明する実施例では、第1乃至第3判定結果としているが、判定結果の個数に限定はなく、また、動作させる装置も例示のものに限定はしない。
走行機体制御部の動作指示部は、通信によって作業機制御部101(制御部)から受信した走行機体B側が作動すべきこれら内容からなる動作指示を警報装置、表示装置に出力する。あるいは、作業機制御部101(制御部)は、動作処理部によって選択された作動すべき内容からなる動作指示を、農作業機Aの警報装置、表示装置に出力する。
【0068】
レーキ体42の他端側が地中に入り込んだ状態で、走行機体Bを前進させると、地中に存在する土塊大W1、土塊小W2にレーキ体42が接触する。土塊大W1、土塊小W2によるレーキ体42への押圧度合いで、土壌の仕上がりを判定できる。この発明の実施例で言う、土壌の仕上がりとは、土壌の砕土の程度を示す指標であり、砕土後の土塊大W1、土塊小W2の大きさで判定する。
【0069】
第2レーキ体421(レーキ体42)は、その接地部分である棒状部材425を、前方に位置する第1レーキ体420(レーキ体42)を構成する棒状部材425の間に位置させているので、レーキ体42の棒状部材425間を通過した土塊大W1、土塊小W2等を地中に押し込むことができる。
【0070】
レーキ体42は、耕耘体の後方で上下に回動可能としていて、実施例の場合は、整地体4の回動支点43と同軸に設けている。レーキ体42である第1レーキ体420(レーキ体42)が有する棒状部材423を可能な限り長くできるので、土壌に埋没する先端部の回動を、センサ93がより高い精度で検出することが可能である。
【0071】
次に、本発明の農作業機Aによる代掻き作業について説明する。走行機体Bであるトラクタの3点リンク機構に装着部8のロアリンクピン80及びトップリンクピン81により連結させ、トラクタの3点リンク機構により上下に昇降可能な状態とする。また、トラクタの出力軸であるPTO軸Pとユニバーサルジョイント12で入力軸と連結させ動力の入力が可能な状態とする。
【0072】
代掻き圃場において、トラクタBを操作して耕耘体6を回転させ、3点リンク機構を下降させると、耕耘体6の耕耘爪61により土壌が耕耘される。この状態でトラクタBを走行させると、順次圃場を耕耘して代掻き作業を行うことができる。また、耕耘体6の後方部には整地体4が位置していて、耕耘された土壌表層部を整地しながら作業が行われる。整地体4の圃場面側にはレーキ体42が位置していて、夾雑物を土中に埋没させる。第1整地体40と第1レーキ体420は、耕耘体6により耕耘され飛散した土壌の水と土と夾雑物を分離させる作用を有する。夾雑物は、第1レーキ体420と第2レーキ体421によって、後方に案内されるとともに土中に埋没される。その後、第2整地体41によって土壌および泥土を均平に仕上げることができる。
【0073】
土壌及び泥土の状態によって第1レーキ体420の付勢力を調整する場合は、位置決め部材403を回して調整することで、任意の付勢力を弾性部材44によって与えることができる。第1レーキ体420の付勢力の微調整が可能であるため、多数ある圃場の条件に対し適正な付勢力を第1レーキ体420に与えることができ、夾雑物を土中に埋没させることができる。夾雑物が土中に埋没された泥土あるいは土壌の表面は、異物がなく均平に整地されているため、その後に行われる苗の植付けに最適な圃場表面となる。
【0074】
また、位置決め部材403による弾性部材44での第1レーキ体420への付勢力の調整は、同様の構成で作業幅が異なる複数の作業機を品揃えしても、圃場面に対する第1レーキ体420が土壌面に接したときの棒状部材423の1本当たりそれぞれの押圧力を一定にできる。このことから、製品出荷時の初期設定において、作業幅が異なっても第1レーキ体420の接地押圧力を同一にできるため、作業幅の変化による夾雑物の埋没性が変化しない。
【0075】
(レーキ体42と土塊大W1、土塊小W2の関係1)
耕耘体6で土壌を砕土すると、土壌や耕耘等を含む代掻き条件によって、土塊大W1、土塊小W2が発生することがある。代掻き作業は土壌中に水分を含んだ状態で耕耘を行うため、耕耘後の土壌は水分を含んだ泥土状態となっている。
図7に図示するように、レーキ体42を後方側に大きく押す状態となる場合は、水分量が少ない、あるいは、土壌の砕土が十分ではなく仕上がりが荒いと判断することについて説明する。
図7に図示するのは、耕耘体6が通過後の圃場の耕耘土表面部に、大きい土塊である土塊大W1がある場合である。
【0076】
図7に図示するように土塊大W1が耕耘土中に存在する場合は、レーキ体42に接触した土塊大W1がレーキ体42の棒状部材423の間を通過できないため、レーキ体42を後方側に大きく押す状態となる。このため、耕耘後の土壌の仕上がりを、十分に砕土されずに荒い状態であると、作業機制御部101(制御部)が判断できる。また代掻き作業においては、土壌と混ざり合う水分が過少であるために、土壌からなる泥の粘性が高くなる。したがって、レーキ体42に対する衝突抵抗が増し、レーキ体42を後方側に大きく押す状態なり、水分量が少ないと判断できる。この時の第1レーキ体420は回動上限に達する程度に、大きく上方に回動する。すると、センサ90は、回動量が大きいものとして検出値Xを検出する。
【0077】
(レーキ体42と土塊大W1、土塊小W2の関係2)
レーキ体42を過度に後方に押すことなく、適度に押す状態となる場合は、土壌と混ざり合う水分が適正であると判断することについて説明する。
土塊大W1、土塊小W2の大きさが程よい場合は、土塊大W1、土塊小W2がレーキ体42に接触及び引っ掛かりつつも、レーキ体42の棒状部材423の間を適度量の土塊大W1、土塊小W2が通過するため、レーキ体42を過度に後方に押すことなく、適度に押す状態となる。このため、レーキ体42が上限と下限の間に位置するので(図示なし)、耕耘後の土壌の仕上がりが良好であると、作業機制御部101(制御部)が判断できる。また、代掻き作業においては、土壌と混ざり合う泥土中の水分が適正であり、泥土の粘性が適正であるため、第1レーキ体420を適度に押圧する。したがって、回動するレーキ体42が上限と下限の間に位置するので、土壌と混ざり合う泥土中の水分が適正であると、作業機制御部101(制御部)が判断できる。
【0078】
(レーキ体42と土塊大W1、土塊小W2の関係3)
図6に図示するように、レーキ体42が前方側に移動する状態となる場合は、土壌に含まれる水分量が多い、あるいは、土壌の砕土が過多で仕上がりが細かすぎると判断することについて説明する。
図6に図示するのは、圃場表面は土塊小W2が、土塊大W1の上部を覆っている場合である。
図6に図示するように土塊小W2が土塊大W1の上部を覆っている場合は、土塊小W2の大きさが小さすぎて、レーキ体42の棒状部材423の間を土塊小W2が容易に通過するため、レーキ体42への後方に押す抵抗が減り、弾性部材44によって付勢されたレーキ体42が前方側に移動する状態となる。
【0079】
また、レーキ体42が接地していない場合も同様に、レーキ体42が完全に前方側に復帰する状態となる。このため、レーキ体42の回動量が少ない、または、上方への回動が無いことをセンサ90が検知し、耕耘後の土壌の仕上がりが細かすぎる、あるいは、接地していないと、作業機制御部101(制御部)が判断できる。また、代掻き作業においては、土壌と混ざり合う水分が過多であるため、レーキ体42を泥が容易に通過するため、レーキ体42を押圧する力が不足し、レーキ体42の回動量が少なくなる。したがって、土壌に含まれる水分量が多いと、作業機制御部101(制御部)が判断できる。
【0080】
図9に図示する動作フローについて説明する。
(1)回動量を検出する。
ここでは、アーム部422の移動量を、ピン92、検出アーム91で感知し、センサ93で回動量として検出する。
【0081】
(2)回動量を検出値Xとして発信する。
センサ93で検出した回動量を作業機制御部101(制御部)に発信する。
【0082】
(3)検査値Xを比較する。
作業機制御部101(制御部)の演算部は、発信された、センサ93で検出された検出信号に含まれる値である回動量である検出値Xと、予め定められた設定回動量とを比較する。
(4)判定結果を選択する。
演算部は、比較結果に応じて、検出値Xに対応する判定結果を選択する。
(5)判定結果に基づく動作信号を発信する。
動作処理部は、演算部が導出した判定結果に基づいて、予め定められた動作内訳に対応する動作すべき情報である動作信号を発信する。
【0083】
図10に図示する判定結果と、判定結果に基づく動作の内訳について説明する。
第1判定結果では、判定の内容は、「仕上がりが荒い状態を示す」。動作の内容において、表示装置は「青色表示」し、警報装置は「鳴動する」ように、それぞれを制御する。
【0084】
第2判定結果では、判定の内容は、「仕上がりは良好である状態を示す」。動作の内容において、表示装置は「緑色表示」し、警報装置は「鳴動なし」ように、それぞれを制御する。
【0085】
第3判定結果では、判定の内容は、「仕上がりが細かすぎる、又は、接地していない状態を示す」。動作の内容において、表示装置は「赤色表示」し、警報装置は「鳴動する」ように、それぞれを制御する。
【0086】
この発明の実施例における判定結果は、
図10に図示するように、第1~第3までとしているが、さらに細分化してもよい。この場合、レーキ体42の回動に伴う表示や報知が、さらに細やかにできるので、より作業者がレーキ体42の回動状態、すなわち、土壌の仕上がり状態をより高い精度且つリアルタイムに認識できる。また、判定結果によって動作させる表示装置や警報装置は、農作業機A及び走行機体Bの内、少なくとも何れか一方であれば、作業者は認知できる。また、走行機体Bにおける動作指示は、走行機体Bが備える表示装置や警報装置の動作に留まらず、走行装置1や、トップリンク10とロアリンク11を含む3点リンク機構を動作させてもよい。
【0087】
以上に開示した構成の農作業機によって、耕耘後の砕土具合等の土の状態の判断を機械的な判断によって行うことが可能となった。さらに、この判断によって、制御部が他の装置の動作を制御することが可能となった。
本発明は、例えば、農作業機を作業幅方向の任意の部分で折り畳み可能な構造であったとしても、上記に開示した構造は適用可能である。また、第1レーキ体420は第1整地体に作業幅方向に複数設けると説明したが、1つでも実施可能である。
【符号の説明】
【0088】
4 整地体
40 第1整地体
403 位置決め部材
41 第2整地体
42 レーキ体
420 第1レーキ体
421 第2レーキ体
44 弾性部材
6 耕耘体
7 カバー体
93 センサ
A 農作業機(代掻き作業機)
B 走行機体
W1 土塊大
W2 土塊小