(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179714
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】防災システム
(51)【国際特許分類】
G08B 29/12 20060101AFI20231212BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20231212BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20231212BHJP
G08B 17/10 20060101ALI20231212BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G08B29/12
G08B25/10 D
G08B17/00 D
G08B17/10 L
H04M11/00 301
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023178595
(22)【出願日】2023-10-17
(62)【分割の表示】P 2019083629の分割
【原出願日】2019-04-25
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】武田 紘己
(72)【発明者】
【氏名】越智 誠
(57)【要約】 (修正有)
【課題】警戒区域の平面図等に示された火災感知器等の防災端末と現場に設置されている防災端末との対応関係を簡単且つ確実に確認可能とする。
【解決手段】受信機10と火災感知器14等の防災端末を備えた防災システムであり、防災端末を指定した確認信号を携帯電話網28、インターネット24を経由して受信機10に送信する携帯電話端末30と、受信機10に設けられ、確認信号に基づく制御信号を防災端末に送信して確認応答を報知させる確認応答報知手段と、が設けられ、携帯電話端末30は、少なくとも防災端末の動作履歴情報又は防災端末の障害履歴情報の一方を含む履歴情報を履歴情報画面として表示し、履歴情報画面で1又は複数の履歴情報が選択操作されると、履歴情報に対応する防災端末又は履歴情報を指定した確認信号を送信して、防災端末から確認応答を報知させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機と防災端末を備えた防災システムに於いて、
前記防災端末を指定した確認信号を所定のネットワークを経由して前記受信機に送信する確認手段と、
前記受信機に設けられ、前記ネットワークを経由して前記確認手段から受信した前記確認信号に基づく制御信号を前記防災端末に送信して確認応答を報知させる確認応答報知手段と、
が設けられ、
前記確認手段は、少なくとも前記防災端末の動作履歴情報又は前記防災端末の障害履歴情報の一方を含む履歴情報を履歴情報画面として表示し、
前記履歴情報画面で1又は複数の履歴情報が選択操作されると、履歴情報に対応する前記防災端末又は履歴情報を指定した確認信号を送信して、前記防災端末から確認応答を報知させることを特徴とする防災システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機と火災感知器等の防災端末を備えた防災システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受信機から引き出された信号回線に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備としては、所謂R型(Record type)の火災報知設備が知られている。
【0003】
R型火災報知設備にあっては、受信機から引き出された信号回線に、固有のアドレスが設定された伝送機能を有するアナログ型の火災感知器を接続し、煙濃度又は温度等のアナログデータが所定の注意レベルに達すると火災感知器からの火災割込みに基づき、受信機から検索コマンドを発行して発報した火災感知器のアドレスを特定してアナログデータを集中的に収集し、アナログデータが所定の火災レベルに達したときに火災と判断し、受信機の火災代表灯を点灯して音響警報を出力し、更に、ディスプレイ等に火災を検出した感知器アドレスを表示するようにしている。
【0004】
このように、火災を検出した火災感知器のアドレスが分かると、適切な避難誘導や消火活動が可能となり、特に規模の大きな設備の火災監視には不可欠な機能となっている。
【0005】
また、R型火災報知設備の受信機から引き出された信号回線には、伝送機能を備えた中継器を介して防火扉や防火ダンパー等の制御端末機器が接続されており、火災時には受信機からの制御信号により防火扉の保持を解除して閉鎖させ、また、防火ダンパーを開放して煙を排出する防排煙制御を行っている。
【0006】
一方、火災報知設備は設備機能を維持するために定期点検が義務付けられており、例えば、煙感知器にあっては、天井面の感知器ベースから煙感知器を取り外して感度試験を行い、感度試験が済んだら感知器ベースに戻した後に、炙り試験により発報試験を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-219870号公報
【特許文献2】特開2017-191418号公報
【特許文献3】特開2018-112951号公報
【特許文献4】特開2017-204807号公報
【特許文献5】特開平06-052462号公報
【特許文献6】特開2004-030050号公報
【特許文献7】特開2013-092993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような火災報知設備にあっては、設備規模の大型化と複雑化に伴い火災感知器や防排煙機器が設置される警戒区域が広大となり、例えば、火災感知器の炙り試験にあっては、図面等で試験を行う警戒区域の感知器設置状況を調べ、これに基づき現場に出向いて炙り試験を行うことになるが、図面等で確認した試験対象とする火災感知器と実際に設置されている火災感知器の対応関係が分かりづらく、炙り試験による試験発報の結果から別の火災感知器を誤って試験している場合があり、試験を行う火災感知器の確認に手間と時間がかかる問題がある。
【0009】
また、火災感知器が火災以外の原因で動作して受信機から非火災報が出された場合や、火災感知器の故障等により受信機から障害警報が出された場合には、受信機に表示された地区名称等に基づき現場に出向いで確認することになるが、同じ区画に複数の火災感知器が設置されているような場合には、非火災報や障害を起した火災感知器の確認に手間と時間がかかる問題もある。
【0010】
本発明は、警戒区域の平面図等に示された火災感知器等の防災端末と現場に設置されている防災端末との対応関係を簡単且つ確実に確認可能とする火災報知設備を含む防災システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(防災システム)
本発明は、受信機と防災端末を備えた防災システムに於いて、
防災端末を指定した確認信号を所定のネットワークを経由して受信機に送信する確認手段と、
受信機に設けられ、ネットワークを経由して確認手段から受信した確認信号に基づく制御信号を防災端末に送信して確認応答を報知させる確認応答報知手段と、
が設けられ、
確認手段は、少なくとも防災端末の動作履歴情報又は防災端末の障害履歴情報の一方を含む履歴情報を履歴情報画面として表示し、
履歴情報画面で1又は複数の履歴情報が選択操作されると、履歴情報に対応する防災端末又は履歴情報を指定した確認信号を送信して、防災端末から確認応答を報知させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
(基本的な効果)
本発明は、受信機と防災端末を備えた防災システムに於いて、防災端末を指定した確認信号を所定のネットワークを経由して受信機に送信する確認手段と、受信機に設けられ、ネットワークを経由して確認手段から受信した確認信号に基づく制御信号を防災端末に送信して確認応答を報知させる確認応答報知手段とが設けられ、確認手段は、少なくとも防災端末の動作履歴情報又は防災端末の障害履歴情報の一方を含む履歴情報を履歴情報画面として表示し、履歴情報画面で1又は複数の履歴情報が選択操作されると、履歴情報に対応する防災端末又は履歴情報を指定した確認信号を送信して、防災端末から確認応答を報知させるため、例えば、防災端末として所定の火災感知器の炙り試験を行いたい場合には、試験を行う火災感知器を指定した確認信号が送信されて現場に設置されている火災感知器から確認応答の報知が行われ、これにより試験対象とした火災感知器の現場確認を簡単に行うことができ、効率良く炙り試験を進めることができる。
【0013】
また、確認手段には、例えば火災感知器の火災発報を示す動作履歴情報(発報履歴情報)が表示され、火災発報した火災感知器の設置現場に出向いて動作履歴情報を選択操作すると、履歴発報の対処となった火災感知器から確認応答の報知が行われ、履歴発報している火災感知器を現場で特定して火災の検証作業等を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】受信機と火災感知器を備えた防災システムの概要を示した説明図
【
図2】受信機とサーバの機能構成を示したブロック図
【
図3】携帯電話端末の機能構成の概略を示したブロック図
【
図4】携帯電話端末のログイン画面とログインで開いたメニュー画面を示した説明図
【
図5】
図4の端末確認メニューの選択により開いた確認端末選択画面と火災感知器の選択により開いた階選択画面を示した説明図、
【
図6】
図5の2階選択により開いた2階平面図を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態の基本的概念]
図1は防災システムの概要を示した説明図である。本実施形態による防災システムの基本的概念は、受信機10と防災端末として例えば火災感知器14を備えた1又は複数の火災報知設備1を含む防災システムに於いて、確認手段として機能する例えば携帯電話端末30に、防災端末、例えば火災感知器14を示す感知器シンボルが配置された配置図として機能する警戒区域の平面図を表示し、1又は複数の感知器シンボルを選択操作すると対応する火災感知器14のアドレスを指定した確認信号を所定のネットワーク、例えば、携帯電話網28、インターネット24、サーバ26を経由して受信機10に送信し、受信機10に確認応答報知手段して設けられた確認応答報知部は、インターネット24を経由して携帯電話端末30から受信した確認信号に基づき、所定の制御信号を信号回線12-1に送信し、アドレス一致となった火災感知器14に設けた例えば発報表示灯14aを点灯又は点滅して確認応答を報知させる、というものである。
【0016】
このため、警戒区域に設置されている特定の火災感知器14の例えば炙り試験を行う場合には、携帯電話端末30に表示している警戒区域の平面図の中の試験対象とする感知器シンボルを選択操作すると、インターネット24上のサーバ26を経由して受信機10に確認信号が送信され、現場に設置されている火災感知器14の発報表示灯14aが点灯又は点滅して確認応答の報知が行われ、これにより試験対象とした火災感知器の現場確認を簡単に行うことができ、効率良く炙り試験を進めることができる。以下詳細に説明する。
【0017】
[防災システムの概要]
図1に示すように、建物等に設置された火災報知設備1は、建物の一階の管理人室などには例えばR型(Record type)の受信機10が設置され、受信機10から警戒区域に対し系統毎に分けて信号回線12-1が引き出され、固有のアドレスが設定された伝送機能を有する複数のアナログ式の火災感知器14が接続され、火災を監視している。また、信号回線12-nには、固有のアドレスが設定された伝送機能を有する中継器16を介して防火戸や防排煙ダンパー等の防排煙機器18等が接続される。これ以外にも、信号回線には、固有のアドレスが設定された伝送機能を有する中継器16を介してガス漏れ検知器やガス遮断弁等が接続されるが、図示を省略している。なお、信号回線12-1,12-nは区別する必要がない場合は信号回線12という場合がある。
【0018】
また、受信機10にはゲートウェイ装置22が設けられ、インターネット24を経由してサーバ26に通信接続できるようにしている。
【0019】
本実施形態は、例えば受信機10からの信号回線12-1に接続された火災感知器14の炙り試験を行う際に、試験員が確認手段として機能する例えばスマートフォン等の携帯電話端末30に表示した警戒区域の平面図の中の感知器シンボルをクリックすることで、現場に設置している火災感知器14の発報表示灯14aを点灯又は点滅して確認報知させるものである。
【0020】
このため携帯電話端末30の画面の感知器シンボルのクリック操作により、クリックした感知器シンボルに対応した火災感知器14に対する確認信号が携帯電話網28からインターネット24を経由してサーバ26に送信され、更に、サーバ26からインターネット24及びゲートウェイ装置22を経由して受信機10に送信される。ここで、携帯電話端末30から送信される確認信号には、受信機IPアドレス、信号回線12に対応した系統番号、感知器アドレス及び確認コマンドが含まれる。
【0021】
受信機10はサーバ26を経由して携帯電話端末30から受信した確認信号に基づき、確認信号から得られた感知器アドレスを指定した確認制御信号、例えば、発報表示灯14aの動作コマンドを含む確認制御信号を送信し、当該確認制御信号を受信した火災感知器14は自己の発報表示灯14aを点灯又は点滅させ、携帯電話端末30からの確認信号に対し、確認応答を報知する。
【0022】
サーバ26には携帯電話端末30に表示させる防災端末シンボルを配置した警戒区域の平面図が予め記憶されている。サーバ26に記憶している警戒区域の平面図は、例えば受信機10にイントラネットワーク(構内ネットワーク)として機能するシリアル伝送路15を介して接続している防災表示装置20に予め記憶されており、サーバ26はインターネット24から受信機10を経由して防災表示装置20から警戒区域の平面図を取得して記憶している。
【0023】
携帯電話端末30は必要とする警戒区域の平面図をサーバ26からダウンロードし、画面表示した平面図中の任意の感知器シンボルをクリックすると、確認信号がサーバ26を経由して受信機10に送信され、現場に設置している対応する火災感知器14の発報表示灯14aを点灯又は点滅して確認応答を報知させることができる。
【0024】
また、サーバ26から携帯電話端末30にダウンロードした警戒区域の平面図には、受信機10からの信号回線12-nに接続している防排煙機器18の機器シンボルも配置されていることから、例えば、防排煙機器18の動作確認を点検時に行う場合には、画面表示された平面図中の任意の防排煙機器18の機器シンボルをクリックすると、確認信号がサーバ26を経由して受信機10に送信され、現場に設置している対応する防排煙機器18に設けられた動作表示灯18aを点灯又は点滅して確認応答を報知させることができる。
【0025】
なお、サーバ26に対しては複数の火災報知設備1が接続され、各火災報知設備1において携帯電話端末30を利用した防災端末の確認を可能としている。
【0026】
[受信機及びサーバの機能構成]
(受信機の機能)
図2は受信機とサーバの機能構成を示したブロック図である。
図2に示すように、受信機10は、CPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等で構成されており、メインCPU32と複数のサブCPU基板34が設けられ、サブCPU基板34にはサブCPU36と伝送部38が設けられている。メインCPU32とサブCPU36は、シリアル転送バス40で接続されており、相互にデータを送受信する。
【0027】
メインCPU32には、液晶表示パネル等を用いたタッチパネル付きのディスプレイ42、LED等の表示灯を用いた表示部44、火災断定スイッチ、主音響停止スイッチ、地区音響一時停止スイッチ等の各種スイッチが設けられた操作部46、スピーカが設けられた音響警報部48及び移報部50が接続されている。
【0028】
また、メインCPU32にはプログラムの実行により実現される受信制御部54と確認応答報知部56の機能が設けられる。
【0029】
(受信機の火災監視制御)
図2に示す受信機10に設けたサブCPU基板34のサブCPU36は、伝送部38に指示して火災感知器14との間で所定の通信プロトコルに従って信号を送受信することで、火災監視制御を行っている。
【0030】
サブCPU36による火災監視制御は、通常の監視中にあっては、一定周期毎に、伝送部38に指示して、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換信号を送信しており、この一括AD変換信号を受信した火災感知器14は、煙濃度又は温度をセンサデータとして検出して保持する。続いて、サブCPU36は、感知器アドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を送信している。
【0031】
火災感知器14は自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出信号を受信すると、そのとき保持しているセンサデータを含む応答信号を受信機10の伝送部38に送信する。また、火災感知器14は煙濃度又は温度が所定の火災注意レベルを超えると受信機10の伝送部38に対し火災割込み信号を送信する。
【0032】
サブCPU36は伝送部38を介して火災割込み信号を受信すると、グループ検索コマンド信号を送信して火災を検出している火災感知器14を含むグループを特定し、続いて、グループ内検索コマンド信号を送信して火災を検出している火災感知器14のアドレスを特定してセンサのアナログデータを集中的に収集し、シリアル転送バス40を介してメインCPU32に送信する。
【0033】
メインCPU32はサブCPU36から受信したアナログデータを、火災注意レベルより高い所定の火災判定レベルと比較しており、アナログデータが火災判定レベルに達した場合に火災と判定し、表示部44の火災代表灯を点灯し、音響警報部48のスピーカから火災発生を示す所定の音響警報を出力させ、ディスプレイ42に火災が検出された感知器アドレスに基づき火災発生場所を含む火災情報を表示させ、更に、移報部50により火災移報信号を外部に出力して所定の移報制御等を行わせる。
【0034】
(受信機の確認応答報知)
図2に示す受信機10のメインCPU32には確認応答報知手段として機能する確認応答報知部56が設けられ、確認応答報知部56はゲートウェイ装置22を介してサーバ26から携帯電話端末30の操作で送信された、系統番号、端末アドレス及び確認コマンドを含む確認信号を受信した場合、系統番号に基づき対応するサブCPU36を選択して端末アドレスを指定した確認制御信号を伝送部38から信号回線12に送信し、アドレス一致となった火災感知器14の発報表示灯14a又は防排煙機器18の動作表示灯18aを点灯又は点滅して確認応答を報知させる制御を行う。
【0035】
(サーバ)
図2に示すように、サーバ26は、CPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等で構成されおり、通信制御部72、サーバ制御部70、キーボートやマウス等の操作部74、ディスプレイを用いた表示部76、記憶部78を備える。
【0036】
サーバ制御部70には防災情報管理部80が設けられ、防災情報管理部80は携帯電話端末30からの要求によりダウンロードする警戒区域の平面図を記憶部78に予め記憶している。また、防災情報管理部80は携帯電話端末30から端末確認信号を受信すると、端末確認信号から得られた受信機10のIPアドレスを指定して、受信した端末確認信号を中継送信する。
【0037】
本実施形態にあっては、受信機10には防災表示装置20が接続されている。防災表示装置20は受信機10のメインCPU32とシリアル伝送部52を介して接続されており、受信機10で発生した全てのイベントを防災情報としてディスプレイに表示すると共に記憶部に記憶している。
【0038】
また、防災表示装置20には、火災感知器や防排煙機器等の端末を示す端末シンボルを配置した警戒区域平面
図62が予め記憶されており、例えば、受信機10から火災感知器14の火災検出に基づく火災情報を受信すると、火災発生階の平面図を画面表示すると共に、火災を検知した火災感知器の感知器シンボルを赤点滅して発報シンボルとして表示する。
【0039】
このためサーバ26は防災表示装置20に記憶している警戒区域平面
図62を受信機10を経由して取得することで記憶部78に記憶し、携帯電話端末30からの要求に対しダウンロードする。ここで、サーバ26の防災情報管理部80は、防災表示装置20から取得した警戒区域平面
図62を、携帯電話端末30で画面表示してシンボル操作可能な画面情報に変換して記憶部78に記憶している。
【0040】
また、防災表示装置20には端末の動作履歴情報64や障害履歴情報66が記憶管理されている。サーバ26は防災表示装置20に記憶している動作履歴情報64や障害履歴情報66についても、受信機10を経由して取得することで記憶部78に記憶し、携帯電話端末30からの要求に対しダウンロードする。
【0041】
動作履歴情報64を携帯電話端末30でダウンロードした場合は、動作履歴情報64に基づき、端末機器の動作状態を示すシンボルを配置した警戒区域の平面図を表示し、シンボルをクリック操作すると、受信機IPアドレス、系統番号、端末アドレス及び確認コマンドを含む確認信号を、サーバ26を経由して受信機10に送信し、クリック操作した動作履歴に対応する端末機器の動作表示灯を点灯又は点滅して確認応答を報知させ、動作した端末の現場確認を可能とする。
【0042】
また、障害履歴情報66を携帯電話端末30でダウンロードした場合は、障害履歴情報66に基づき、端末機器の障害を示す障害シンボルを配置した警戒区域の平面図を表示し、障害シンボルをクリック操作すると、受信機IPアドレス、系統番号、端末アドレス及び確認コマンドを含む確認信号を、サーバ26を経由して受信機10に送信し、クリック操作した障害履歴に対応する端末機器の動作表示灯を点灯又は点滅して確認応答を報知させ、障害となっている端末を現場で確認し、障害を起している端末を見誤ることなく、修理交換等の対処を適切に行うことを可能とする。
【0043】
[携帯電話端末]
(携帯電話端末の機能構成)
図3は防災端末の確認手段として使用する携帯電話端末の機能構成の概略を示した説明図であり、個人用の携帯コンピュータの機能を併せもつ携帯電話端末として知られたスマートフォンを例にとっている。
【0044】
図3に示すように、携帯電話端末30は、携帯電話制御部82、携帯電話通信部84、無線LAN通信部86、高速移動通信部88、GPS通信部(全地球測位システム通信部)90、カメラ部92、SIMカード94、ディスプレイ96、タッチパネル98、音声入出力部100、操作部102及びメモリカード104等を備える。
【0045】
携帯電話端末30の携帯電話制御部82は、プロセッサを構成するCPU、メモリ、各種入出力インタフェースを備えたLSIで実現され、インストールされたプログラムを実行する。
【0046】
携帯電話通信部84は、第3世代移動通信システム(3G)として知られたW-CDMAにより携帯電話通信を行う。
【0047】
無線LAN通信部86は、イーサネット(登録商標)による無線ネットワークをベースにしたIEEE802.11に準拠した無線通信を行う。また無線LAN通信部86は、無線LANのアクセスポイントとして機能する無線LAN通信機能、例えばデザリング機能を備えている。
【0048】
高速移動通信部88は、IEEE802.16eに準拠したモバイルWiMAX(R)によるモバイル高速移動通信を行う。
【0049】
GPS通信部90は、米国が運用する周回衛星を使用した全地球測位システム(Global Positioning System)を利用して、現在位置の経度と緯度を取得するための通信を行う。
【0050】
カメラ部92は、CMOS撮像素子を使用して画像の撮像を行い、静止画及び動画を取得する。
【0051】
SIMカード94は、携帯電話番号を識別するための番号であるIMSI(International Mobile Subscriber Identity)番号を格納したカードであり、SIMカード94の差し替えにより、複数の携帯電話端末で同じ携帯電話番号を利用可能とする。
【0052】
ディスプレイ96は、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示デバイスを使用し、パネル表面にはタッチパネル98を配置している。音声入出力部100は、マイク、スピーカ、及びオーディオコーデック(Audio CODEC)を備えて音声入出力を行う。
【0053】
操作部102は、キーパッドや操作釦による利用者の操作を受け付けて携帯電話制御部82に通知する。メモリカード104は、着脱自在な外部メモリであり、カメラ部92で撮像した画像等の各種データの外部記憶に使用する。
【0054】
携帯電話制御部82は、通話接続、メール接続、インターネット接続などの通信接続及び関連する各種の制御を行う。
【0055】
また、携帯電話制御部82には、確認手段として機能する防災端末確認部106が設けられている。防災端末確認部106は、火災感知器等の防災端末を示す端末シンボルが配置された警戒区域の平面図を表示し、平面図の中の確認対象とする1又は複数の端末シンボルを選択操作すると、対応する防災端末を指定した確認信号、例えば受信機IPアドレス、系統番号、端末アドレス、確認コマンドを含む確認信号を送信する制御を行い、この確認信号をサーバ26を経由して受信機10に送信し、受信機10から確認制御信号を防災端末に送信し、表示灯を点灯又は点滅して確認応答を報知させる。
【0056】
[携帯電話端末の操作画面]
図4は携帯電話端末のログイン画面とログインで開いたメニュー画面を示した説明図、
図5は
図4(B)の端末確認メニューの選択により開いた端末選択画面と火災感知器の選択により開いた階選択画面を示した説明図、
図6は
図5(B)の2階選択により開いた2階平面図を示した説明図である。
【0057】
(ログイン画面)
図4(A)は携帯電話端末30のログイン画面108を示す。ログイン画面108には、ID入力枠110とパスワード入力枠112が設けられ、予め行った利用者登録で設定した所定のIDとパスワードを入力してログイン釦114を操作すると、入力したIDとパスワードがサーバ26に送信され、認証成功により
図2のサーバ26に設けた防災情報管理部80からの防災端末の確認操作に必要な操作画面がダウンロードされる。
【0058】
(メニュー画面)
図4(B)は
図4(A)のログイン成功により開かれた携帯電話端末30のメニュー画面116を示す。メニュー画面116には、「防災設備メニュー選択」のタイトルに続いて、端末確認釦118、動作履歴釦120、障害履歴釦122が設けられる。
【0059】
ここで、炙り試験で火災感知器14を確認したい場合には、斜線部で示すように端末確認釦118を操作すると、
図5(C)に示す端末選択画面124が開かれる。
【0060】
なお、動作履歴の中の防災端末を確認したい場合は動作履歴釦120を操作し、また、障害履歴の中の防災端末を確認したい場合は障害履歴釦122を操作する。
【0061】
(端末選択画面)
図5(C)に示す端末選択画面124には、確認すべき防災端末の種別を選択するため、火災感知器釦126、防排煙機器釦128、ガス漏れ監視釦130が表示される。炙り試験の場合には、斜線部で示す火災感知器釦126を操作し、この操作により
図5(D)に示す階選択画面134が開かれる。
【0062】
なお、防火戸や排煙ダンパー等の防排煙機器を確認したい場合には防排煙機器釦128を選択し、ガス漏れ検知器やガス遮断弁を確認したい場合にはガス漏れ監視釦130を操作する。
【0063】
(階選択画面)
図5(D)に示す階選択画面134には、確認対象とする建物の階を示したフロア
図136が表示され、例えば斜線部で示す2階138を選択すると、
図6(A)に示す端末確認画面140が開かれる。
【0064】
(端末確認画面)
図6(E)に示す端末確認画面140には、「確認したい火災感知器をクリックします」のガイダンスに続いて、選択した2階の平面
図142が表示される。平面
図142は監視区画となる例えば部屋毎に仕切られており、監視区画には火災感知器14の設置を示す感知器シンボル144が配置されている。
【0065】
端末確認画面140の下側には縮小平面
図146が表示され、縮小平面
図146の中の斜線で示すエリア146aの部分が平面
図142として表示されている。縮小平面
図146についてはエリア146aをタッチ操作で移動すると、平面
図142を操作方向にスクロールすることができる。
【0066】
炙り試験を行う火災感知器14を確認したい場合には、例えば平面
図142の左上の斜線で示す感知器シンボル144をクリック操作により選択すると、選択した感知器シンボルに対応した受信機IPアドレス、系統番号、感知器アドレス及び確認コマンドを含む確認信号がサーバ26を経由して受信機10に送信され、確認信号により指定された系統(信号回線)に感知器アドレスを指定した確認制御信号が送信され、アドレス一致となった火災感知器14に設けている発報表示灯14aが点灯又は点滅し、確認応答を報知する。
【0067】
試験員は、火災感知器14の発報表示灯14aの点灯又は点滅による確認報知をみて、炙り試験を行うべき火災感知器14を現場確認し、試験作業を開始する。
【0068】
火災感知器14の発報表示灯14aの点灯又は点滅による確認応答報知は、所定時間が経過すると停止(消灯)するか、或いは、携帯電話端末30の確認終了操作により確認終了信号を送信して停止(消灯)させても良い。
【0069】
なお、火災感知器14以外の防災端末、例えば、防排煙機器、ガス漏れ検知器、ガス遮断弁の確認についても、火災感知器14の確認の場合と同様になる。
【0070】
(動作履歴情報、障害履歴情報に基づく防災端末確認)
携帯電話端末30を用いた動作履歴情報又は障害履歴情報に基づく防災端末の確認も火災感知器14等の防災端末の確認の場合と同様であり、確認したい建物の階を選択すると、動作した防災端末又は障害を起した防災端末のシンボルを配置して平面図が表示され、確認したい防災端末のシンボルを選択すると、確認信号がサーバ26を経由して受信機10に送信され、確認対象となった防災端末の表示灯が点灯又は点滅して確認応答を報知する。
【0071】
[本発明の変形例]
(配置図)
上記の実施形態は、配置図を平面図としたが、これに限らない。建物を立体形状で捉える立体図であっても、シンボルを配置する配置図として機能すれば適宜採用可能である。
【0072】
(近傍防災端末を含めた確認表示)
また、本発明の他の実施形態として、指定された防災端末は、第1の確認応答表示として例えば表示灯の点滅を行い、少なくとも指定された防災端末の近傍に配置された防災端末を含む指定された防災端末以外の防災端末は、第1の確認応答表示とは異なる第2の確認応答表示として例えば表示灯の点灯を行うようにしても良い。これにより、対象の防災端末に異常があり表示灯を点滅(第1の確認応答表示)できなくても近傍の防災端末が点灯(第2の確認応答表示)するので異常のある防災端末を一目で把握可能となる。
【0073】
例えば、同一フロア・部屋内を近傍の防災端末として選択することで、防災端末のおおまかな位置を把握したうえで、対象の防災端末を探すことが可能となるので、より簡単に防災端末を探すことができる。
【0074】
また、第2の確認応答表示を指定された以外の防災端末全てが行うようにしても良い。
【0075】
受信機と確認端末がWiFi等の公知の無線通信方法によって直接通信するようにしても良い。
【0076】
確認端末は携帯電話網や棟内のWiFi通信に加え、発信機に備え付けられる電話ジャックと接続する通信装置を介した通信を行うようにしても良い。
【0077】
(確認応答の終了)
確認応答は時間経過や所定時間の経過により終了するとしているが、適宜の方法をとってよい。例えば、火災感知器への加煙試験等で指定された防災端末が動作したとき、受信機が当該動作信号を検出し、近傍の防災端末を含めて確認応答を終了するようにしても良い。また、この際に、確認端末に確認応答を終了した旨を示す信号を送信し、確認端末で表示するようにしても良い。
【0078】
(配置図)
サーバは確認応答及び動作した端末を配置図上で識別可能に表示するようにしても良い。これにより、サーバから配置図を取得して表示した確認手段は、試験の漏れを配置図上で確認可能とすると共に、試験で漏れた防災端末について確認応答表示をさせることにより、試験で漏れた感知器が現地のどの感知器か識別可能となる。
【0079】
確認端末で配置図を修正できるようにしても良い。当該修正した配置図はサーバ又は防災表示装置に送信され、修正が反映されるものとしても良い。
【0080】
(確認応答報知)
上記の実施形態は、確認応答の報知として、火災感知器は発報表示灯を作動し、防排煙機器等は動作表示灯を作動しているが、更に、所定の確認報知音を出力するスピーカやブザー等の音響報知手段を設けても良い。このように防災端末の確認応答を音とすることにより、確認対象とした防災端末が見えない位置で携帯電話端末による確認操作を行った場合にも音により確認応答が分かり、その方向に移動して表示灯の作動により確認できる。
【0081】
(携帯電話端末)
上記の実施形態は、防災端末の確認手段として携帯電話端末を例にとっているが、これに限定されず、WiFi(登録商標)等の無線LANネットワークを介してインターネット上のサーバに接続するタブレット等の携帯型の情報端末機器を用いても良い。
【0082】
(P型受信機)
また、上記の実施形態は、R型の受信機からの信号回線を介してR型の火災感知器を接続した火災報知設備を例にとっているが、P型(Proprietary-type)の受信機から引き出した感知器回線にアドレスを設定すると共に伝送機能を備えたアドレッサブル火災感知器を接続した防災設備についても、同様に、携帯電話端末に画面表示したアドレッサブル火災感知器の感知器シンボルを選択して確認信号を送信することで、発報表示灯の作動により確認応答の報知させることができる。
【0083】
(その他)
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0084】
1:火災報知設備
10::受信機
12-1,12-n:信号回線
14:火災感知器
14a:発報表示灯
16:中継器
18:防排煙機器
18a:動作表示灯
20:防災表示装置
22:ゲートウェイ装置
24:インターネット
26:サーバ
28:携帯電話網
30:携帯電話端末
32:メインCPU
34:サブCPU基板
36:サブCPU
38:伝送部
54:受信制御部
56:確認応答報知部
62:警戒区域平面図
64:動作履歴情報
66:障害履歴情報
70:サーバ制御部
80:防災情報管理部
82:携帯電話制御部
106:防災端末確認部