(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179716
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】システム、及びプログラム等
(51)【国際特許分類】
H04W 48/18 20090101AFI20231212BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20231212BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20231212BHJP
H04W 28/06 20090101ALI20231212BHJP
【FI】
H04W48/18
H04W52/02
H04W88/06
H04W28/06
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023178633
(22)【出願日】2023-10-17
(62)【分割の表示】P 2019121609の分割
【原出願日】2019-06-28
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWITTER
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭三
(72)【発明者】
【氏名】服部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田縁 正義
(72)【発明者】
【氏名】小池 茂
(72)【発明者】
【氏名】浅野 隆
(72)【発明者】
【氏名】梶田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】小林 典仙
(72)【発明者】
【氏名】上村 浩司
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇喜
(57)【要約】
【課題】LPWAによる通信手段を制御するシステムにおいて、さらに消費される電力を抑制する。
【解決手段】カメラ18は、運転席の映像を撮像してこの映像を示す映像信号を出力し、コントローラ11は、この映像信号を映像データに変換して解析し運転の危険性を判断する。そして、コントローラ11は、判断した結果を示す判断結果データを生成し、生成したこの判断結果データをLPWA通信機13によりサーバ2へ送信させる。この判断結果データは、映像データの内容を解析して運転手の各部位等の動きや位置を予め決められたパターンや閾値等と比較して総合的に判断した結果を示すデータであるため、その情報量は、映像データの情報量よりも小さい。したがって、ドライブレコーダ1がサーバ2へデータを送信する際に消費される電力は、ドライブレコーダ1が加工前のデータである映像データをそのまま送信する場合に比べて、抑制される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LPWA(Low Power Wide Area)による通信手段を制御するシステムであって、
消費される電力を抑制するように前記通信手段を制御する消費電力抑制手段を有する
システム。
【請求項2】
前記消費電力抑制手段は、他の種類のデータに比べて送信するデータ量が少ない特定の種類のデータを前記通信手段に送信させる
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記消費電力抑制手段は、映像を示すデータを前記通信手段に送信させない
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記消費電力抑制手段は、送信すべきデータがあっても、決められた状況下において前記データを前記通信手段に送信させない
請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記消費電力抑制手段は、取得した取得データを、調整された間隔で送信する
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記消費電力抑制手段は、取得した取得データを、ユーザの前記LPWAの契約内容を示す情報に基づいて調整された間隔で前記通信手段に送信させる
請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記消費電力抑制手段は、取得した取得データを、前記取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように加工し、加工後のデータを送信させる
請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記消費電力抑制手段は、取得した取得データを、前記取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように加工し、加工後のデータを前記通信手段に送信させる機能と、前記取得データをそのまま前記通信手段に送信させる機能と、を有する
請求項1から7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記消費電力抑制手段は、決められた状況下において取得した取得データを、前記取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように加工し、加工後のデータを送信させる
請求項1から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記消費電力抑制手段は、対象となる対象装置において検知された事象の程度に応じて、取得した取得データを、前記取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように加工し、加工後のデータを送信させる
請求項1から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記消費電力抑制手段は、対象となる対象装置において検知された1以上の事象が決められた条件を満たすとき、取得した取得データに応じたデータを送信させる
請求項1から10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記消費電力抑制手段は、取得した取得データを、前記取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように、ユーザの前記LPWAの契約内容を示す情報に基づいて加工し、加工後のデータを送信させる
請求項1から11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記消費電力抑制手段は、取得した取得データを、前記取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように、前記LPWAの契約内容に基づいてユーザに送信が許可されているデータ残量に応じて加工し、加工後のデータを送信させる
請求項1から12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記消費電力抑制手段は、送信先を探索する間隔を調整する
請求項1から13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記消費電力抑制手段は、送信先の探索を停止する時間の間隔を調整する
請求項1から14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記通信手段と通信方式が異なる他方式通信手段を制御する
請求項1から15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記通信手段は、データを蓄積するサーバ装置とやり取りする第1通信手段と、前記サーバ装置とやり取りしない第2通信手段と、を有する
請求項1から16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記通信手段は、ハンドオーバ通信が可能な第3通信手段と、前記ハンドオーバ通信が可能でない第4通信手段と、を有する
請求項1から17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記通信手段は、前記通信手段に対して着脱可能なSIMを用いる機能と、前記通信手段内に設けられたSIMを用いる機能と、を有する
請求項1から18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
位置を測定する第1測位手段を有し、
前記通信手段は、前記第1測位手段と異なる第2測位手段を有する
請求項1から19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記通信手段の状態を報知手段からユーザに報知させる制御を行う
請求項1から20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記通信手段は、移動しない固定通信手段と通信する、移動体に取り付けられた通信手段であり、前記固定通信手段から受信したデータを前記移動体が移動した先で送信する
請求項1から21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか1項に記載のシステムに対して情報を送信する側の第2システムであって、
該第2システム側から前記システム側へ送信されるデータを前記通信手段が受信するときに該通信手段により消費される電力を抑制するように該データを生成する第2消費電力抑制手段を有する
第2システム。
【請求項24】
前記第2消費電力抑制手段は、前記システムからのアクセスの状況に基づいて、対象となる対象装置の稼働の可否を判断した判断結果を示すデータを生成する
請求項23に記載の第2システム。
【請求項25】
前記第2消費電力抑制手段は、対象となる対象装置を稼働しようとするユーザへの警告を示すデータを生成する
請求項23又は24に記載の第2システム。
【請求項26】
前記第2消費電力抑制手段は、対象となる対象装置の位置を示す位置データを前記通信手段に送信させ、該位置データに基づいて前記データを生成する
請求項23から25のいずれか1項に記載の第2システム。
【請求項27】
前記第2消費電力抑制手段は、対象となる対象装置の周囲に向けて、前記対象装置の存在を報知する報知装置を駆動させるよう指示する指示データを生成する
請求項23から26のいずれか1項に記載の第2システム。
【請求項28】
前記システムを稼働させるためのファームウェア及びいずれかの位置を示す位置データを、料金が他のデータよりも安価になるように、他のデータと区別して送信する
請求項23から27のいずれか1項に記載の第2システム。
【請求項29】
コンピュータを、
請求項1から22のいずれか1項に記載のシステムにおける消費電力抑制手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項30】
コンピュータを、
請求項23から28のいずれか1項に記載の第2システムにおける第2消費電力抑制手段
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、従来よりも優れたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の請求項16には、設備機器に関する設備機器情報を取得する情報処理装置と、前記情報処理装置との間で前記設備機器情報を所定の通信条件で通信して前記設備機器を管理する管理装置と、を備えた設備機器管理システム、に用いられる通信条件調整方法であって、前記設備機器の状態及び/又は前記設備機器の設置空間の状態の変化に応じて、前記通信条件を調整する、通信条件調整方法と、その方法において、前記通信条件の調整による通信量の変化に応じて、第3世代移動通信システム(3G)、第4世代移動通信システム(4G)、第5世代移動通信システム(5G)、及びローパワーワイドエリア(LPWA)の少なくともいずれかを含む遠距離無線通信の通信方式に変更する、通信条件調整方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LPWA(Low Power Wide Area)による通信は、4Gや5Gに比べて、一般的に消費電力が小さいものとして知られている。
【0005】
本願の発明は、例えば、4Gや5Gによる通信と比べて一般的に消費電力が小さいLPWAによる通信手段を制御するシステムにおいて、さらに消費される電力を抑制すること等を目的とする。また、これに限らず、従来よりも優れたシステムを提供することを目的とする。
【0006】
本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、各々の課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正又は分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題を解決する構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)LPWA(Low Power Wide Area)による通信手段を制御するシステムであって、
消費される電力を抑制するように前記通信手段を制御する消費電力抑制手段を有する
システムとするとよい。
【0008】
消費電力抑制手段を有しない場合に比べて、消費される電力が抑制される。
LPWAとは、例えば、4Gや5G等の通信方式に比べて低消費電力で長距離のデータ通信を実現するものを用いるとよい。LPWAは、例えば、920MHz帯などを利用するとよい。LPWAは、例えば、低消費電力で数キロメートル程度の長距離伝送が可能であるとするとよい。LPWAは、例えば、低ビットレートで期間あたりの伝送量に制限があるもの等を用いるとよい。
【0009】
LPWAとしては、例えば、「ELTRES」「LoRa」「LoRaWAN」「LTE-MTC」「NB-IoT」「NB-Fi Protocol」「RPMA」「GreenOFDM」「DASH7」「RPMA」「Wi-SUN」「EnOcean Long Range」「Weightless-P」「SIGFOX」「LTE Cat.0」「LTE Cat.M1」等の少なくともいずれかを用いるとよい。
特にシステムは、電池で駆動させる機器として構成するとよい。
消費される電力を抑制するように制御する方法としては、例えば、後述する(2)~(22)に例示する方法を用いるとよい。特に、このように送信したデータは受信した側のシステムでデータベースに記憶するようにしてもよいが、ブロックチェーンに記憶するようにすると極めてよい。
【0010】
(2)前記消費電力抑制手段は、他の種類のデータに比べて送信するデータ量が少ない特定の種類のデータを前記通信手段に送信させる
システムとするとよい。
【0011】
他の種類のデータを送信するシステムに比べて、送信するデータ量が少なくなる。
消費される電力を抑制するように通信手段を制御する制御の内容として、消費電力抑制手段が他の種類のデータに比べて送信するデータ量が少ない特定の種類のデータを通信手段に送信させるよう制御するとよい。
例えば、居酒屋等の施設に、LPWA通信機能とタクシー呼び出しボタンと表示器とを、備えたタクシー呼び出し装置を設置する。タクシーには、GPSとLPWA通信機能とタクシー運転手が操作可能な空車ボタンと表示装置を備えた空車通知装置を設置する。タクシー呼び出し装置は装置毎に異なる施設IDを記憶しており、タクシー呼び出しボタンの押下が検出されると、記憶されている施設IDをLPWA通信機能によってサーバへ無線送信する。タクシーの空車通知装置には空車ボタンが押されている状態と押されていない状態で保持されるボタンがあり、空車ボタンが押されている状態で保持されているときだけ、LPWA通信機能により予め記憶されたタクシー毎に異なるタクシーIDと、GPSからの現在位置情報を対応づけて、1分毎にサーバへ送信する(サーバ側にもLPWA通信機能を備える)。サーバには予め施設IDとその施設の位置情報・施設名等が対応付けて記憶されており、サーバに施設IDの送信があった場合、タクシー会社には設置されたタブレットで動作するアプリに対して、施設の位置情報と施設名と当該施設位置から所定範囲内にあり、位置情報を所定時間前までに送信してきたタクシーの位置情報とタクシーIDとの群を、プッシュ通知する。タブレットのアプリはこのプッシュ通知を受けると、タクシーの位置と現在位置情報受信時刻、施設の位置と施設ID受信時刻とを、地図上に表示する。タクシー会社の配車担当者は、表示されたタクシーの位置と施設の位置とそれぞれの受信時刻を見て、表示された複数のタクシーの中から配車するタクシーをタッチする。タブレットは、サーバに対して、このタッチされたタクシーのタクシーIDを配車対象タクシーIDとし対応する配車先の施設IDとともにサーバへ送信する。サーバは当該タクシーIDの空車通知装置に対してLPWA通信機能により、配車先の施設IDの施設名と施設位置の情報とを送信するとともに、タクシー呼び出し装置に対して当該タクシーIDのタクシーの位置情報と配車先の施設の位置情報との経路から算出した到着予想時間の情報を送信する。タクシー呼び出し装置はこれを受信すると配車中である旨と到着予想時間を表示器に表示する。配車先の施設IDの施設名と施設位置の情報とを受信した当該タクシーIDの空車通知装置は、受信した情報を用いて表示装置に配車先の施設までの経路を表示装置に表示するとともに空車ボタンが押されている状態の保持を解除する。
このようにすれば、タクシーの依頼者はボタン一つでタクシーの呼び出しが可能となる。店舗等の施設は、スマートフォンよりも小さく電池も充電が不要な簡易な機器を、レジや待合の近くに設置しておくだけでよい。タクシー会社は依頼者の近くのタクシーを知り、依頼場所への配送が可能となる。
なお、タクシー呼び出し装置には、タクシーの再呼び出しボタンを設け同様に再呼び出しがあった旨をサーバへ送信するようにしてもよい。またタクシー呼び出し装置には配車を希望する台数を入力する機能を設けこの台数の情報もともに送信するようにして、サーバ側では台数の情報も合わせてアプリにプッシュ通知し、アプリは台数の情報も地図上に表示してその台数分のタクシーの地図上からの選択を受け付けるようにしてもよい。また、呼び出しボタンの押下時刻のリストを表示し、誤って押してしまったリスト中のものをキャンセルする機能を備えるようにしてもよい。この場合、キャンセルの旨の情報とキャンセルの対象がリストの何番目かの情報と施設IDとをサーバ側へ送信し、サーバ側ではこの情報に基づいて地図への表示に取り消しの旨を表示するとともに、すでに配車済みである場合には、キャンセル情報の配信をタクシー呼び出し装置及び空車通知装置に対して行い。これを受けてキャンセルの旨をそれぞれの装置が表示するようにし、空車ボタンが押されている状態へと空車ボタンを復帰させるとよい。また、サーバはブロックチェーン用のサーバとするとよく、特に複数のタクシー会社のタブレットのアプリで共有されるブロックチェーンとするとよい。
また例えば、いわゆるゴルフナビにLPWA通信機能を備え、ユーザの打球位置の情報をLPWA通信機能によりサーバ側へ送信する機能を備えるとよい。ゴルフナビは例えば、ゴルフコースにおいて、GPS等で測定した現在位置から、予め記憶された現在プレー中のコースのホールのピンの位置までの距離を報知する機能を備えるとともに、ボールを打つ位置でユーザが押下する地点登録ボタンを備え、地点登録ボタンを押した位置の位置情報をLPWA通信機能によりサーバに送信する構成とすると特によい。さらに、少なくとも次のいずれかの機能を備えるとよく、望ましくはすべての機能を備えるとよい。地点登録ボタンで登録した位置を記憶しておく機能を備えるとよい。地点登録ボタンで登録した位置を記憶しておく機能を備えるとよい。LPWAで送信する地点登録ボタンを押した位置の情報にはその押した時刻の時刻情報を対応づけて送信するとよい。LPWAによる送信は、地点登録ボタンを押した時点にすぐに行うようにしてもよいが、ユーザからのカップインの指示を入力するボタン等によって検出されたカップイン、または、GPSで検出している現在位置が、予め記憶された他のホールの位置に移動された、または、移動が開始されたの少なくともいずれか一方に基づいて、当該移動前にプレーしていたホールでの地点登録ボタンの位置情報の履歴を、一括して、LPWA通信機能によって、サーバ側へ送信するようにすると特によい。また、さらに、プレー後等に記憶した位置をPC等の他の機器へ転送する機能、あるいは、ゴルフコースの模式図とともに記憶した位置に対応するホール上の位置を表示する機能を備えるとよい。
またいわゆるレーダー探知機にLPWA通信機能を備え、ユーザからの取締等の目撃情報をLPWA通信機能によってサーバ側へ送信する機能を備えるとよい。ユーザからの投稿ボタンが押された位置情報を、当該ボタンが押されたときの時刻情報とともにLPWA通信機能でサーバ側に送信するとよい。
【0012】
(2-1)他の種類のデータが、例えば、加工前のデータ(例えば、いわゆる生データ)であるとき、特定の種類のデータは、これらの加工後のデータとするとよい。
【0013】
加工前のデータを加工後のデータとする処理を行うとよい。
加工前のデータは、例えば、センサや計測装置等により検知、計測等されたデータ等や、実体を示すデータ等とするとよい。
加工前のデータは、例えば、テキストデータとする一方、加工後のデータはバイナリデータとするとよい。
【0014】
加工後のデータは、例えば、冗長度等に着目した可逆圧縮、非可逆圧縮処理等を加工前のデータに施して得られたデータ等とするとよい。
【0015】
また、加工後のデータは、例えば、複数の加工前のデータに対して統計処理を施して得られた、相加平均値、相乗平均値、中央値、最頻値等の代表値や統計量を示すデータ等とするとよい。加工後のデータは、例えば、事故のサンプルデータに対する、そのサンプルデータを統計処理した統計値、サンプルデータに対して機械学習を行って生成された学習モデルデータ、学習モデルデータの入力と出力を利用して生成された蒸留モデルデータ等とするとよい。機械学習は、例えば、機器の故障の予測等に用いられるとよい。
【0016】
また、人工知能、特にディープラーニングを行う人工知能において、学習済みモデルデータは、学習に用いるデータに対して統計的な情報圧縮をしたもの等に値するから、学習に用いるデータに比べてデータ量が小さい。そこで、加工前のデータを上述した学習に用いるデータとし、加工後のデータは、人工知能で用いられる学習済みモデルデータ等とするとよい。また、特に、加工後のデータは、例えばニューラルネットワークの層数、各層のニューロンの数と構成、各層間のネットワーク接続構成とその重み、発火関数とその閾値等とするとよい。また、特に、加工後のデータは、学習によって変化する部分だけとするとよい。特に、加工後のデータは、重みデータとするとよい。このようにすれば、ニューラルネットワークの静的構成を動的に変えない通常の学習においては、特に優れた効果を発揮する。加工後のデータは、複数のフレームワークからエクスポート可能かつ、サイズが相対的に小さいフォーマットを用いるとよい。特にNNEFとしてもよいが、ONNX(Open Neural Network Exchange Format)とするとよい。
【0017】
本システムは、例えば、学習済みモデルデータで標識や車両を画像認識して識別する場合、工場出荷時のドライブレコーダには初期モデルを記憶しておく。画像認識の誤りがあった場合、ユーザに訂正のための入力として、ボタン等の操作子を押してもらうようにするとよい。本システムは、この誤りについてのユーザによる訂正を教師あり学習にしてエッジサイド(この例ではドライブレコーダ)で実施していくとよい。この結果、初期モデルに対して派生モデルがエッジサイドでできあがっていく。しかも、複数の車両のドライブレコーダで同時並行的に多数の派生モデルができあがっていく。本システムにおけるエッジサイドは、この派生モデルを所定のタイミングでサーバへ送信するとよい。所定のタイミングは、車両の走行距離が所定距離に達したタイミングでもよいし、モデルの変化量が大きくなったことが検出されたタイミングでもよいが、エッジサイドで評価用画像データによる評価結果に改善が見られたタイミングとすると特によい。評価結果の改善は、例えば、評価結果に含まれる評価の指標となる数値と閾値との比較に応じて決まるとよい。
【0018】
なお、本システムは、エッジサイドで学習に用いた情報をSDカード等のリムーバブルメディアに記録しておき、LPWA以外の通信手段で接続されたとき、この情報をサーバに学習データと対応づける情報とともに送信するとよい。
【0019】
サーバサイドでは、評価用の画像を用いて各車両のドライブレコーダから本システムで送られてきたモデルデータを評価し、最も良いものを、サーバから、まだ学習されていないドライブレコーダへ一斉配信する。相当数の人は誤りがあった場合にもボタンを押さない、つまり、学習への協力はせずにデフォルトのまま使うユーザである、と思われるので、このようにすると特によい。
【0020】
一方、本システムは、個別に学習の進んでいるドライブレコーダに対しては、配信をしないようにするとよい。また、本システムは、個別に学習の進んでいるドライブレコーダに対して配信するようにして、エッジ側で配信されたモデルデータと、現在そのドライブレコーダで学習済みのデータとのいずれが高性能かを評価して良い方を採用するとよい。ドライブレコーダの取り付け方法等によって、映像の内容が変わるため、サーバ側で評価の高いモデルデータがそのドライブレコーダの映像に最適なモデルデータとは限らないからである。なお、まだ学習されていないエッジサイド(ドライブレコーダ等)が複数ある場合に、サーバは最も良いモデルデータを、それらエッジサイドのそれぞれに一対一で送信してもよいが、上述したとおり、LPWAによるコネクションレス型の通信を用いて一斉配信するとよい。
【0021】
本システムは、派生モデルをサーバ等へ送信した場合、その派生モデルを生成したエッジ機器のIDか、そのエッジ機器の所有者のID、望ましくはこれら双方のIDとともに、モデルデータのハッシュ値をブロックチェーンに書き込むとよい。このようにすれば、派生モデルの権利者を容易に特定できる。
【0022】
また、加工後のデータは、例えば、加工前のデータの中から所定の条件を満たすことによって抽出されたデータ等とするとよい。
【0023】
加工後のデータは、例えば、運転に関する挙動を計測したデータに対する、それらのデータから保険料の算出のために抜粋されたデータ、とするとよい。
【0024】
また、加工前のデータが、例えば、変化前のPOI(Point of interest)データであるとき、加工後のデータが変化前後のPOIデータの差分とするとよい。
【0025】
また、加工後のデータは、時間に伴って値が変動し得る複数の加工前のデータの中から、或る時点で抽出されたデータ等とするとよい。
【0026】
加工前のデータが、例えば、実体を示す対象を表現する実体データであるとき、加工後のデータとは、この実体データに対して、機械又は人間が判定をした結果を示すデータ等とするとよい。加工後のデータは、例えば、加工前のデータと閾値との比較結果等とするとよい。
【0027】
加工後のデータは、例えば、画像そのものを示す画像データに対する、その画像を認識した結果を示すデータ、衝撃の計測値に対する、その計測値が閾値を超えたか否かを示す情報、ユーザの挙動そのものを示すデータに対する、その挙動をラベル付けした情報、CAPTCHA用の画像等に対する、そのCAPTCHAをユーザが認識した結果を示すデータ、アルコール摂取量の測定値に対する、その測定値が閾値を超えたか否か等により示される飲酒運転の危険性の判断結果、車両等の整備点検対象の測定値等に対する、その点検結果を示すデータ、等とするとよい。
受信側では受信した加工後のデータをブロックチェーンに書き込む処理を行うとよい。
【0028】
(2-2)他の種類のデータが、例えば、複数の或るデータであるとき、特定の種類のデータは、そのデータを特定するために割り当てられた識別情報等とするとよい。
【0029】
特定の種類のデータは、例えば、車両の周囲を撮像した画像や、録画した動画、録音した音声の各データに対する、その撮像、録画、録音のタイミングに検知された車両に関する情報とするとよい。例えば、本システムに含まれるドライブレコーダが、特定の種類のデータとして、この車両に関する情報を通信すると、映像は送れないが、事故等のイベントが発生したことと、その位置データだけでも連絡できる。
【0030】
特定の種類のデータは、例えば、ゲームアイテムそのものを示す画像・動画・音声の各データに対する、そのゲームアイテムの識別に用いられる識別情報とするとよい。
【0031】
また、特定の種類のデータは、例えば、ウェブコンテンツの各データに対する、そのウェブコンテンツの識別に用いられるURI(Uniform Resource Identifier)とするとよい。また例えばURLとするとよい。特にURLは、実態のURLを短縮URLサービスのURLへ加工した(変換した)URLとして生成するとよい。
【0032】
特定の種類のデータは、例えば、機械が対象を検知した旨を示す検知データや、ユーザが対象を発見した旨の報告をする報告データ等とするとよい。
【0033】
特定の種類のデータは、例えば、電波検知器によって自動速度違反取締装置が出力する電波(レーダー波)や、警察無線等で使用される特定の周波数の無線電波等を検知した旨を示す検知データとするとよい。
【0034】
また、特定の種類のデータは、例えば、路上を撮像した画像を解析して、その画像に交通機動隊員や警察官、又はその車両(パトカーやオートバイ)を認識して、それらを検知した旨を示す検知データとするとよい。
【0035】
また、特定の種類のデータは、例えば、ユーザが目視等により自動速度違反取締装置や交通機動隊員を発見した旨の報告をする報告データとするとよい。
【0036】
本システムは、例えば、全地球航法衛星システム(GNSS: Global Navigation Satellite System)等により検知装置自身の位置を測定する検知装置と、自動速度違反取締装置の通報ボタンとを自動車内に備え、自動車外にサーバを備えた構成とし、ユーザがこの通報ボタンを押した場合、検知装置が自身の位置を示す座標値をサーバへ送るとよい。これにより本システムは、リアルタイムに行われる速度違反取締のビックデータを収集できる。また、本システムにおけるサーバは、座標値に加えて渋滞情報を取得するとよい。
【0037】
本システムは、例えば、侵入や火災等の異常事態を検知する検知装置をユーザの自宅内や自動車内等に備え、ユーザの留守中にこれらの異常事態が発生し、検知装置によって検知されたときに、異常事態を検知した旨の通知等を特定の種類のデータとしてメール等で、ユーザに知らせるとよい。
【0038】
特に、本システムは撮像装置も備え、検知装置が上記の異常事態の発生を検知したときに、撮像装置が撮像した画像を送るとよい。異常事態の発生時には、その一回の異常事態の発生ごとに、例えば、20バイトのコマンドヘッダと、16バイトの日時を示すデータと、4バイトの、異常事態の種別を示すデータと、を含む合計で40バイトのデータがサーバに送られる。さらに、上記の40バイトのデータに加えて327×252(82404ピクセル)の画像データを追加した合計でおよそ40キロバイトのデータがサーバに送られるとよい。
【0039】
一回の異常事態の発生ごとに合計でおよそ40キロバイトのデータがサーバに送られる場合に、例えば、1か月に10回の異常事態を検知すると、1か月当たりの合計で400キロバイトのデータが送信される。データの送信に用いられるメールは、サーバに送信されて、そのサーバから例えば、ユーザのスマートフォン(以下、「スマホ」ともいう)等、携帯端末等に送信するとよい。このケースでは、サーバを経由しない場合に比べて、サーバでデータ量を減らすことが可能である。上記のメールはフリーメール等で直接、ユーザのスマホ等に送信されてもよい。
【0040】
他の種類のデータが、例えば、画像を示す画像データや音声を示す音声データであるとき、特定の種類のデータとは文字を示す文字データ等とするとよい。
【0041】
TwitterやインスタグラムなどのSNSデータは主に文字データと画像データや動画データからなる。本システムはこのうち、文字データだけを送り、画像データや動画データをLPWAではない他の通信手段で送るようにするとよい。本システムは文字データと画像データ等を紐づけるため情報をそれぞれに付加して送り、サーバ側で両者の対応を紐づけて処理するように構成するとよい。
【0042】
他の種類のデータが、例えば、人間により一度に認知、記憶、入力等が可能とされている量を超えるデータであるとき、特定の種類のデータとは、この量を超えないデータ等とするとよい。
【0043】
特定の種類のデータは、例えば、文字データでは、まとまった意味を伝えるのに最適な文字数以内の文字データとするとよい。
【0044】
まとまった意味を伝えるのに最適な文字数の例としては、例えば、葉書に記載可能な一般的な文字数とするとよい。また、まとまった意味を伝えるのに最適な文字数の例としては、例えば、ショートメッセージサービス(SMS)において採用されている全角の70文字又は半角英数字の160文字等とするとよい。
【0045】
特に、特定の種類のデータは、文字データでは、例えば、人間が短期記憶により一度に覚えることができるとされている文字数以内の文字データとするとよい。
【0046】
人間が短期記憶により一度に覚えることができるとされている文字数の例としては、例えば3~9文字程度とするとよい。
【0047】
特定の種類のデータは、その種類そのものの性質上、他の種類のデータに比べて量が少ないデータとするとよい。
【0048】
特定の種類のデータは、例えば、認証のため情報、ユーザIDとパスワードの組からなるクレデンシャル、免許証に記載又は電子的に記憶された運転者の氏名、生年月日、本籍地等の情報や識別情報、車両情報、点呼を示すデータ、留守中の屋内に侵入者を検知したデータ、ブロックチェーン等のためのハッシュ値、ブロックチェーンにおいて1回のトランザクションで生じるデータ、タイムスタンプ、イーサリアム(Ethereum)等のブロックチェーンプラットフォームで用いられるソリディティ(Solidity)等のコントラクト指向言語のスクリプトやソースコード、SNS等で用いられるハッシュタグ、SNS等で用いられるスタンプや絵文字等の識別情報、接点入力データ、カウント結果を示すデータ、サムターン等の開閉検知データ、アプリケーションプログラム(アプリという)のダウンロード又は実行の際にユーザが許可する許可情報、収容物の重量測定データ等とするとよい。システムは、特定の種類のデータを、例えば証拠として用いるとよい。
【0049】
上述した認証のため情報とは、例えば、自動車内に設けられた免許証の読込装置や、アルコールチェッカーが、利用者(運転者)の免許や、飲酒状態についてのチェック結果等とするとよい。自動車内に設けられた装置は、これらのチェック結果を運行開始前に、サーバに送信する。特に運転者を特定するための情報(例えば運転者ID等)と、チェック結果の情報とを対応付けた情報を送信するとよい。
【0050】
例えば、1回の運行で送るデータは、20バイトのコマンドヘッダと、12バイトの免許証番号を示すデータと、4バイトのアルコール測定結果を示すデータと、を含む合計で36バイトのデータとなる。この場合、1日1回として1か月当たり、1キロバイト程度の通信量となる。サーバは、履歴を管理するとよい。
【0051】
上述したブロックチェーン等のためのハッシュ値とは、ブロックチェーンの分散データベースを利用するユーザがこの分散データベースを更新したときに記録するハッシュ値とするとよい。ブロック自体は更新の度に増大していくが、ある時点でのブロックのハッシュ値は、ブロックそのものに比べて小さいからデータの送信量が抑制される。なお、公開されている分散データベースの内容はブロックチェーンへの参加者が参照更新でき、次のブロックには前のブロックのハッシュ値が入るため、ブロックの情報を改ざんすることは事実上できない。そのため、利害が対立する者同士でのデータ蓄積・流通に極めて有用である。こうした性質上ブロックチェーンは、仮想通貨への利用のほか、例えば流通の場面での利用も盛んである。本システムは現在どの業者からどの業者へ積荷が渡されたのかを示すハッシュ値を、特定の種類のデータとして送信し、ブロックチェーンに記録することでサプライチェーンに参加する者間での物のトレースを完全かつ容易にするとよい。また、本システムは、例えば、広告枠を買った者(広告の出稿企業)と広告枠を売る会社(広告代理店等)の間で利用するとよい。さらに本システムは、利害が対立する契約全般においてその履行状況を示すハッシュ値を、特定の種類のデータとして送信し、ブロックチェーンに記録するとよい。さらに本システムは、契約の執行に応じて次の契約や事実行為をプログラムで自動的に行うようスクリプトを、特定の種類のデータとして送信しブロックチェーンに記録するとよい。
【0052】
また、上述した「ブロックチェーンにおいて1回のトランザクションで生じるデータ」とは、ブロックチェーンの分散データベースを更新する度に生じるデータである。このデータは、例えば、仮想通貨であれば誰から誰にいくら移転したかという程度の情報量しかないものである。そのため、本システムは、このデータを、特定の種類のデータとして送信するとよい。
【0053】
また、本システムは、センサが特定状態になったことや、ユーザにより特定の操作が行われたこと等を検出したときにスマートコントラクトを執行するように定めるとよい。
本システムは、例えば保険契約時に、危険運転に相当する加速度が検出された場合に保険料を0.1%アップさせる契約を執行するようスマートコントラクトの条件に設定しておく。また、本システムは、例えば安全運転に相当する状況が所定の期間継続した場合には保険料を0.1%ダウンさせる契約を執行するようスマートコントラクトの条件に設定しておく。運転状況に応じてこれらの条件が成立した場合に自動的に本システムは、検出の結果を、特定の種類のデータとして送信し、ブロックチェーンへ書き込む。これにより、これらの契約が執行される。
【0054】
また、本システムは、例えば、使用量が少ないうちは単価を高く課金し、使用量が多くなると単価を安くし、使用量が特定量を超えるとそれ以降は使い放題にするというモデルが構築するとよい。本システムは、カーナビゲーションシステムの利用の契約をスマートコントラクトにより、例えば最初の5000kmまでは1kmあたり2円、5000kmから20000kmまでは1kmあたり1円、20000km以上は無料とするとよい。またユーザがカーナビゲーションシステムを操作して地図の更新の購入指示ボタンを押した場合、本システムは、地図更新購入のスマートコントラクトを実行するとよい。ここで、地図の更新データの情報量は大きいのでLPWA以外の通信手段、SDの配布等で更新し、それ以降は上記のナビ金額に加え、地図更新後、最初の2500kmまでは2円、10000kmまでは1円、それ以降は無料とするなどのスマートコントラクトを実行して課金を行うとよい。
【0055】
なお、特定の種類のデータとして、上述したゲームアイテムの識別情報を送信する場合に、本システムは、ゲームで用いられる武器、防具、薬等のいわゆるアイテムのほか、例えば、ガチャの執行、クリスタルの購入、イベントまでの時間短縮その他の有利な条件が付与される権利の識別情報をブロックチェーンに記録するとよい。
【0056】
また、本システムは、ユーザ認証情報の入力・アクセス権情報への承諾に関する情報をブロックチェーンへ記録するとよい。本システムは、例えば、ユーザのIDとパスワードとの組からなる認証情報を送り、その認証結果の是非に関する情報をブロックチェーンへ記録するとよい。また例えばアプリのハードウェア・ソフトウェア資源へのアクセスの許諾指示を行ったか否かの情報を、アプリを特定する情報とその許諾の内容とともにブロックチェーンに記録するとよい。
【0057】
また、一般の民家を旅行者等に宿泊させる、いわゆる民泊では、鍵の受け渡しが困難である。本システムは、民泊における鍵を示す鍵情報やドアの開閉を検知した開閉情報等をLPWAによりサーバ等に送るとよい。鍵情報や開閉情報等の特定の種類のデータは、映像データ等、他の種類のデータに比べてデータ量が少ないので、本システムは、LPWAによりサーバ等にデータを送る際の消費電力を、他の種類のデータを送る場合に比べて抑制する。本システムは、鍵情報そのものをサーバに送るのではなくそのハッシュ値を生成して送るとよい。
【0058】
また、サーバ等は、鍵情報や鍵情報のハッシュ値、開閉情報等を受け取ったときに、受け取った時刻の情報とともに、これらをブロックチェーンに書き込むとよい。ブロックチェーンは、改ざんに対して堅牢であるため、民泊等における宿泊記録の証明として利用されるとよい。
【0059】
また、サーバ等は、ドアを開閉するサムターンと連動していてもよいし、サムターンを駆動する装置とLPWAにより通信してもよい。サーバ等は、本システムから受け取った鍵情報の認証を行い、認証に成功したときに、サムターンを駆動する装置に、鍵を開けるよう指示するとよい。LPWAにより消費電力が抑制されるため、抑制された分の電力はサムターンの駆動に使われ、電池寿命が比較的長くなる。
【0060】
また、消費電力抑制手段は、時系列に沿って出力される情報量の大きなものについて、上述した接点入力と関連付けてエッジコンピューティングが判定した結果を示すデータを、特定の種類のデータとして通信手段に送信させるとよい。時系列に出力される情報量の大きなものとしては、マイクロ波センサ等の各種センサからの出力、音声、映像等が挙げられる。エッジコンピューティングの内容としては、例えば、接点状態がオンの間の時系列に出力される情報量の大きなものだけを、認識する処理等が挙げられる。すなわち、本システムは、例えば上述した「情報量の大きなもの」が映像であれば、その映像に含まれている物体等をディープラーニングのモデルに通して認識した結果の確率ベクトルを、その接点オンの時刻情報とともに、通信手段に送信させるとよい。
【0061】
上述したカウント結果を示すデータは、例えば、道路の新設その他の都市計画等のため、全国の至る場所で行われている交通量調査において人力又は機械により計数(カウント)されている交通量を示すデータ等が挙げられる。交通量をカウントする作業は、どちらからどちらの方向へ、どのような移動体が移動したかを記録するため1人で4~8個のカウンタを操作する必要がある。また、多くの人や車が行き交う交差点などでは1つの交差点で4から10箇所の観測点が必要であり、これら観測点ごとに観測者が必要になるから、この作業には、観測者の交代要員も含めると8人から20人程度を確保する必要がある。そのため、人件費がかかるとともに人材の確保が困難であり、また計測の精度も悪いという問題がある。
【0062】
そこで、本システムは、カメラと画像認識とで交通量をカウントし、カウント結果を通信手段に送信させるとよい。カウント結果は、1日の集計結果を送ればよいため、本システムにおける通信手段の通信量は、1日当たり数十バイト程度で十分である。
【0063】
上述した接点入力を発生させる接点等は、例えば、宅配ボックスに取り付けられるとよい。本システムは、宅配便業者やシェアリングエコノミーにサービス提供役として参加する参加者等が、宅配ボックスへ荷物を入れた場合に、上述した通信手段に荷物の配達完了信号を送信させるとよい。また、本システムは、宅配ボックス内に電子天秤やバネ秤等の重量計を設置して、宅配ボックスに収容された収容物の重量を測定させて得られた重量測定データを、上述した通信手段に送信させるとよい。
特定種類のデータは、ブロックチェーン等の分散台帳に記録する一方、他の種類のデータは一般的なデータベース(リレーショナルデータベース等、NoSQLデータベース等)の所定のサーバに記録する処理を行うとよい。
【0064】
(2-3)他の種類のデータが、例えば、LPWAではない通信手段により既に送信済みのデータであるとき、特定の種類のデータは、その送信済みのデータ以外のデータとするとよい。
【0065】
特定の種類のデータは、本システムが制御するLPWAによる通信手段によって送信し得るデータのうち、スマホや近接通信、4G、5G等、LPWAではない他の通信手段によって既に送信されたデータ以外のデータの中から選択されたものとするとよい。
システムは、特にLPWAではない通信手段により既に送信済みのデータその送信済みのデータを送信しないとよい。
【0066】
(3)前記消費電力抑制手段は、映像を示すデータを前記通信手段に送信させない
システムとするとよい。
【0067】
映像を送信する場合に比べて、送信するデータ量が少なくなる。
消費される電力を抑制するように通信手段を制御する制御の内容として、消費電力抑制手段が映像を示すデータを通信手段に送信させないよう制御するとよい。また、この制御の内容として、映像を示すデータを通信手段に送信させないように制御するとともに、例えば(2)に示した特定の種類のデータを送信させるように制御するとよい。
【0068】
(4)前記消費電力抑制手段は、送信すべきデータがあっても、決められた状況下において前記データを前記通信手段に送信させない
システムとするとよい。
【0069】
決められた状況下においてデータ送信による電力消費が抑制される。
送信すべきデータとは、例えば(2)に示した特定の種類のデータとするとよい。
【0070】
決められた状況とは、本システムの環境が、決められた条件を満たしている、又は満たしていない状況等とするとよい。本システムの環境は、例えば、時刻、経過時間、緯度・経度・標高等の位置、通信環境、利用可能な電力量、情報や信号の取得の有無、及びこれらの組み合わせ等とするとよい。
【0071】
決められた条件は、特に複数の条件の組み合わせとするとよい。決められた条件は、所定のルール、パターン、及びこれらの組み合わせ等とするとよい。
【0072】
例えば、或る対象を検知したときに、その検知に関するデータを送信するシステムが、決められた状況下においてその対象を検知したときには、その検知そのものが誤っていることがある。例えば、システムが、自動速度違反取締装置等が出力する所定帯域の電波を検知する場合、同じ帯域の電波が、コンビニエンスストア等、各種店舗の自動ドア等にも使われていることがある。このシステムでは、これらの店舗の営業時間にその店舗から一定の距離内にこのシステムが制御する検知装置が入ると、目的と異なる自動ドア等の発する電波を検知してしまうことがある。
【0073】
本システムは、例えば、GNSS等により検知装置の位置を測定し、現在時刻と検知装置の位置とを特定して、予め決められた時間及び場所に検知装置が存在しているか否かを判定する。そして、本システムは、その時間及び場所に検知装置が存在していると判定するときに、検知した旨を示す検知データを送信させないようにするとよい。これにより、決められた状況下において不要なデータ送信が抑制され、送信される特定の種類のデータがさらに間引かれ、データ送信による電力消費が抑制される。
【0074】
(5)前記消費電力抑制手段は、取得した取得データを、調整された間隔で送信する
システムとするとよい。
【0075】
取得データを調整されない間隔で送信する場合に比べて、送信するデータ量が少なくなる。
【0076】
調整された間隔とは、一日や一週間等、所定期間において、データを送信する回数を、取得データを取得する回数より少なくするように、少なくとも取得データを取得する間隔よりも長い間隔とするとよい。
【0077】
調整された間隔は、例えば、取得データを取得する間隔の整数倍(ただし、ここでいう整数は正の整数であって1を除く)とするとよい。調整された間隔を、例えば、取得データを取得する間隔のN倍とすると(Nは2以上の整数)、取得データをN回取得するごとに、1回だけデータを送信することとなる。
【0078】
例えば、本システムは、開始日時及び終了日時をそれぞれ示すデータ(各16バイト=32バイト)と、8時間にわたって5分間隔で記録された車両の座標値のデータ(20バイト×96回=1920バイト)とを、送信手段に送信させる。この5分間隔とは、取得データを取得する間隔の整数倍である。
【0079】
また、本システムは、イベントが発生したときには、そのイベントに関する4バイトの計測値(例えばGセンサ値)と、そのイベントが発生した日時を示す16バイトのデータと、そのイベントが発生した場所を示す20バイトのデータと、を臨時で記録し、送信手段に送信させる。臨時で記録されるイベント関連のデータ量は、イベントが1日に10回起きるとすると、(4+16+20)バイト×10回の合計であり、400バイトである。また、これらのレポートには、運転手のID、運転時間、平均速度、最高速度、走行距離の5種類のデータをそれぞれ4バイトずつで現した、合計して20バイトのデータが、書誌事項を示すデータとして含められる。したがって、本システムは、例えば、32+1920+400+20=2372バイトを1日1回送るとよい。本システムの1か月の通信量は、およそ71キロバイトとなる。本システムは、レポートを業務終了時にまとめて送るので、コマンド種別、送り元情報等のいわゆるコマンドヘッダ分のデータ量を削減できる。
【0080】
また、調整された間隔は、一定でなくてもよい。調整された間隔は、例えば、所定の条件を満たしたタイミングに送信した結果として決まる不定の間隔とするとよい。所定の条件を満たしたタイミングとは、システムが、そのシステムによって監視される監視対象者の業務内容の切り替わりを示す信号を取得したタイミングとするとよい。本システムは、例えば、監視対象者が配達業務をしている場合、この監視対象者が一つの荷物を預かって宛先に送り届けるまでの一連の業務が完了したタイミングで取得データをまとめて送信するとよい。配達業務が完了したタイミングは、例えば配達時に配達先に渡す控えに記載されたバーコードをバーコード読み取り装置が読み取ったタイミングで決められてもよい。
【0081】
また、このタイミングとは、システムの監視対象が所定位置に到達したことを示す信号、その監視対象の移動距離が閾値に到達したことを示す信号、その監視対象の移動速度が閾値を超えた・下回ったことを示す信号等、監視対象に関する各種信号をシステムが取得したタイミングとするとよい。また、このタイミングは、タクシー等が利用客を乗車又は降車させたタイミングであるとよい。また、このタイミングは、トラック等が積荷を載せたタイミングや降ろしたタイミングであるとよい。
【0082】
また、このタイミングは、エンジンをかけた、又は切ったタイミング、ライトを点灯した、又は消灯したタイミング、並びに、登場者がドアを開けた、又は閉めたタイミングであるとよい。
【0083】
また、このタイミングは、ユーザの操作を受付けたサーバ装置やスマートフォン等から、システムが、その操作に応じた制御信号を受けたタイミングであるとよい。
【0084】
上述した所定の条件には、例えば、エンジンが停止しているか否かといった条件等が挙げられる。例えば、LTE-Mでは、eDRXのように電波の送信間隔を調整する機能がある。本システムは、車両において、エンジンが停止した場合には、電波の送信間隔を、エンジンが始動しているときに比べ、長くする制御を行なうとよい。
【0085】
(6)前記消費電力抑制手段は、取得した取得データを、ユーザの前記LPWAの契約内容を示す情報に基づいて調整された間隔で前記通信手段に送信させる
システムとするとよい。
【0086】
ユーザの契約内容に応じて、送信するデータ量が少なくなる程度が変わる。LPWAの契約内容を示す情報は、例えばクラウドやサーバ装置等の記憶手段に記憶されており、システムは、これらの記憶手段からLPWAの契約内容を示す情報を取得するとよい。システムは、取得したこの情報に基づいてデータを送信する間隔を調整するとよい。例えば、上述した自動速度違反取締装置の通報ボタンをユーザが押した場合、検知した座標値を送信する間隔を、検知の間隔に比べてあけることにより、通信量を減らすとよい。
【0087】
例えば、上述した座標値を5分間隔で送った場合、1か月のデータ量は例えば115キロバイトである。また、ユーザによって上述した通報ボタンが押下される度に、検知装置は例えば16バイトの日時を示すデータと、20バイトの座標値を示すデータと、20バイトのコマンドヘッダを示すデータと、の合計で56バイトのデータを送信する。なお日時を示すデータを送信するのは、送信が失敗した場合に再送する必要があるためである。1週間に一回通報するとして本システムは1か月で224バイトのデータを送信する。また、通報された情報を1か月に10回受信するならば、本システムは1か月で560バイトのデータを受信する。これらを合計すると、1か月のデータ量は例えば116キロバイトである。
【0088】
(7)前記消費電力抑制手段は、取得した取得データを、前記取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように加工し、加工後のデータを送信させる
システムとするとよい。
【0089】
取得データを加工せずに送信する場合に比べて、送信するデータ量が少なくなる。この取得データを、上述した他の種類のデータに対応させ、加工後のデータを(2)で示した特定の種類のデータに対応させるとよい。
【0090】
例えば、加工前のデータが1又は複数のフィールドや列等で構成されるメッセージや行等を1以上含んだテキストデータであるとき、加工後のデータは、このテキストデータから、特定のメッセージや行だけ、又は、特定のフィールドや列だけを抽出したデータとするとよい。
【0091】
例えば、加工前のデータが米国海洋電子機器協会(National Marine Electronics Association)により規定・管理されているNMEA0183(以下、単に「NMEA」ともいう)等の規格に沿って生成されたテキストデータであるとき、加工後のデータは、例えば、RMCメッセージやGGAメッセージ等、一部の種類のメッセージだけを抽出したデータとするとよい。上述した自動速度違反取締装置の通報ボタンをユーザが押した場合、NMEA等のいわゆる生データを送るのではなく、GNSS等による座標値のみをサーバに送るとよい。
【0092】
(8)前記消費電力抑制手段は、取得した取得データを、前記取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように加工し、加工後のデータを前記通信手段に送信させる機能と、前記取得データをそのまま前記通信手段に送信させる機能と、を有する
システムとするとよい。
【0093】
加工後のデータだけでなく、加工前のデータを送信させることができる。
データを受信した側では、受信した加工後のデータはブロックチェーンに記録する一方、受信した取得データは一般的なデータベース(リレーショナルデータベース等、NoSQLデータベース等)の所定のサーバに記録する処理を行うとよい。
【0094】
(9)前記消費電力抑制手段は、決められた状況下において取得した取得データを、前記取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように加工し、加工後のデータを送信させる
システムとするとよい。
【0095】
決められた状況下においてデータ送信による電力消費が抑制される。
決められた状況とは、(4)に示した状況とするとよい。
【0096】
(10)前記消費電力抑制手段は、対象となる対象装置において検知された事象の程度に応じて、取得した取得データを、前記取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように加工し、加工後のデータを送信させる
システムとするとよい。
【0097】
対象装置において検知された事象の程度に応じて、送信するデータ量が少なくなる程度が変わる。
【0098】
対象装置は、例えば車両とし、検知される事象は、車両の姿勢、向き、位置や車両に加えられた衝撃、車両にかかる圧力、車両の温度等とするとよい。
【0099】
システムは、例えば、車両が上下逆転するといった所定の姿勢になっていると検知されたときには、取得データをデータ量が少なくなるように第1の水準まで加工して送信し、所定の姿勢以外であると検知されたときには、取得データを、第1の水準よりもさらにデータ量が少ない第2の水準まで加工した加工後のデータを送信させるとよい。
【0100】
(11)前記消費電力抑制手段は、対象となる対象装置において検知された1以上の事象が決められた条件を満たすとき、取得した取得データに応じたデータを送信させる
システムとするとよい。
【0101】
対象装置において検知された事象が決められた条件を満たすか否かに応じて取得データに応じたデータの送信が決まる。
【0102】
対象装置は、例えば車両及び車両の運転手とし、検知される事象は、車両の姿勢、向き、位置や車両に加えられた衝撃、車両にかかる圧力、車両の温度等及び、運転手の覚醒レベル、開眼状態、眼の開度、まばたきの回数や速度、呼吸数、心拍数等とするとよい。
【0103】
システムは、例えば、運転手の覚醒レベルの検知の結果、運転手が居眠り状態と判定されて、かつ、車両に閾値以上の衝撃が加わったときには、取得データを加工せず、又は、第1の水準まで加工を施して、取得データそのものや取得データから加工された加工後のデータ、すなわち、取得データに応じたデータを送信させる。システムは、例えば、運転手の居眠り状態又は、よそ見・脇見状態が検知され、かつ、車両に閾値以上の衝撃が加わったときには、第1の水準よりもさらにデータ量が少ない第2の水準まで取得データを加工した加工後のデータを送信させるとよい。
(12)前記消費電力抑制手段は、取得した取得データを、前記取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように、ユーザの前記LPWAの契約内容を示す情報に基づいて加工し、加工後のデータを送信させる
システムとするとよい。
【0104】
ユーザのLPWAの契約内容に応じて、送信するデータ量が少なくなる程度が変わる。
【0105】
LPWAの契約内容を示す情報は、例えば(6)に示した態様で記憶され、取得されるとよい。システムは、LPWAの契約内容を示す情報を取得して、例えば、通信可能なデータのデータ量が少なく制限されているほど、送信するデータ量が少なくなるように加工すればよい。
【0106】
(13)前記消費電力抑制手段は、取得した取得データを、前記取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように、前記LPWAの契約内容に基づいてユーザに送信が許可されているデータ残量に応じて加工し、加工後のデータを送信させる
システムとするとよい。
【0107】
LPWAの契約内容に基づいてユーザに送信が許可されているデータ残量に応じて、送信するデータ量が少なくなる程度が変わる。
【0108】
LPWAの契約内容を示す情報は、例えば(6)に示した態様で記憶され、取得されるとよい。LPWAの契約内容に基づいてユーザの送信が許可されているデータ残量とは、例えば、ユーザがLPWAの契約上で送信してよいと決められているデータの残量とするとよい。
【0109】
例えば、ユーザが毎月の更新日ごとに所定量の通信が許可されるLPWAの契約をしている場合、その更新日までに通信をしたデータのデータ量は、契約した月極のデータ量から引かれていき、更新日が近づくほど、データ残量が少なくなる。この構成では、例えば、更新日前にデータ残量が少なくなっているときには、データ残量に余裕があるときに比べてデータ量が少なくなるように加工される。これにより、この構成を備えないシステムに比べて、データ残量が不足になり難くなる。
【0110】
(14)前記消費電力抑制手段は、送信先を探索する間隔を調整する
システムとするとよい。
【0111】
送信先を探索する間隔を調整しない場合に比べて、消費される電力が抑制される。
【0112】
本システムが制御する通信手段は、送信先を探索する機能を持つとよく、さらにその探索する間隔を外部から調整可能な機能を持つとよい。また、送信先を探索する機能は、本システムが持つとよい。また、送信先を探索する機能は、本システムと本システムが制御する通信手段との双方が持つと特によい。
特に、本システムの消費電力抑制手段は、通信手段の送信先を探索する間隔を調整するとよい。
【0113】
システムは、ユーザからの指示を受付ける手段を有し、送信先を探索する間隔においてもユーザからの指示を受付けたときに、強制的に送信先の探索を再開するようにするとよい。
【0114】
(15)前記消費電力抑制手段は、送信先の探索を停止する時間の間隔を調整する
システムとするとよい。
【0115】
送信先の探索を停止する時間の間隔を調整しない場合に比べて、消費される電力が抑制される。
本システムが制御する通信手段は、(14)に示す機能を持つとよい。
特に、本システムの消費電力抑制手段は、通信手段の送信先の探索を停止する時間の間隔を調整するとよい。
【0116】
通信手段の送信先の探索を停止する時間の間隔は、所定の条件を満たしたタイミング同士の間隔とするとよい。上述した所定の条件には、例えば、エンジンが停止しているか否かといった条件等が挙げられる。例えば、LTE-Mでは、省電力モード(Power Saving Mode:PSM)がある。本システムは、車両において、エンジンが停止した場合には、電波サーチの停止間隔を、エンジンが始動しているときに比べ、長くする制御を行なうとよい。
【0117】
電波サーチを止める時間を最大時間にしたとき、その最大時間を経過するとまた電波サーチが始まってしまう。そこで、本システムは、最大時間経過時の電波サーチで基地局が見つからなかったらまた最大時間で電波サーチを停止する機能を備えるとよい。
【0118】
本システムは、決められた時間にわたって電波サーチを止めた後、この電波サーチを再開した直後は、電波の送信間隔を比較的短く設定し、以後、時間が経過するにつれて送信間隔を長くしていくよう制御を行なうとよい。
【0119】
(16)前記通信手段と通信方式が異なる他方式通信手段を制御する
システムとするとよい。
【0120】
通信手段と特定方式通信手段とを同時に稼働させる場合に比べて、消費される電力が抑制される。特に、消費電力抑制手段は、通信手段と他方式通信手段とを切り替える機能を有するとよい。
【0121】
他方式通信手段としては、3G、LTE、4G、5G、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、電子料金収受システム(ETC: Electronic Toll Collection System)等、LPWAでない通信方式を採用した通信手段とするとよい。
【0122】
また、基礎技術エッジコンピューティングにおけるモジュール差し替えエッジコンピューティング用のエッジ側の機器には通信モジュールを差し替え可能なものがある。そこで他方式通信手段は、本システムに差し替え可能な構成とするとよい。本システムは、差し替え可能な他方式通信手段が利用可能な状態であるか否かを検知する機能を有し、本システムの消費電力抑制手段は、その検知結果に応じて通信手段と他方式通信手段とを切り替える機能を有するとよい。すなわち、本システムは、エッジ側の機器に差されている通信モジュールの種別を検知し、通信モジュールの種別に応じた通信先と通信データを選択するようにするとよい。本システムは、例えば通信手段が接続されておらず、かつ、他方式通信手段としてWi-Fiモジュールが差されている状態であれば画像・動画なども含めすべての通信をWi-Fiモジュールにより行い、他方式通信手段が接続されておらず、かつ、通信手段としてLPWAモジュールが差されている状態では、画像・動画は通信せずローカルのストレージに蓄えておくとよい。本システムは、その蓄えた情報を例えばWi-Fiモジュールが接続されたときにそのWi-Fiモジュールにより転送するとよい。
【0123】
また、例えばLPWAモジュールとWi-Fiモジュールの両方が差されている状態では、LPWAで画像・動画等(データ量が一定量を超えるデータ)以外の情報の通信を行う一方、画像・動画等はWi-Fiモジュールで通信を行うとよい。
【0124】
また、例えば、車載器(カーセキュリティー・ドアロック等)にLPWAを利用する場合、圏外では全く使えない状態に陥ってしまうことがある。特に、降車時にドアロックできたのに乗車時に不通になってドアアンロックできない状態や、さらに車載器からユーザ手持ち端末(スマホ)へ圏外通知を行うことすら不能になる状態等が起こり得る。
【0125】
本システムは、上述した状態に陥ることを防止するためにユーザが持つ端末(スマホ)とBluetooth等による予備の通信手段を設けるとよい。つまり、本システムは、LPWA圏外・不通の際には予備の通信手段による接続を用いて、ユーザが持つ端末への圏外・不通通知、及び最小限の機能使用を保証するとよい。ここで、保証する機能は、予備の通信手段が有する複数の機能のうち、例えばドアロック・アンロックのみ等に限定するとよい。予備の通信手段における通信の確立は、ユーザに意識されないことが望ましい。
【0126】
また、本システムは、例えばユーザが他方式通信手段を利用するための設定を、LPWAによる通信手段を用いてサーバから読み出し、そのユーザの端末に供給するとよい。本システムは、ユーザの端末を、直接LPWA基地局経由でインターネット(サーバ)に接続させることにより、端末自体が自立的に使用環境を準備するように仕向けるとよい。その結果、ユーザは複雑な機能のネットワーク利用製品の接続の設定をする必要が無くなり、利用のための煩雑さが軽減する。
【0127】
(17)前記通信手段は、データを蓄積するサーバ装置とやり取りする第1通信手段と、前記サーバ装置とやり取りしない第2通信手段と、を有する
システムとするとよい。
【0128】
第1通信手段と第2通信手段とを同時に稼働させる場合に比べて、消費される電力が抑制される。特に、消費電力抑制手段は、第1通信手段と第2通信手段とを切り替える機能を有するとよい。
【0129】
データを蓄積するサーバ装置としては、例えばSIGFOX等が提供するクラウドに含まれるサーバ装置とするとよい。
サーバ装置とやり取りする第1通信手段は、例えばSIGFOX等とするとよい。
サーバ装置とやり取りしない第2通信手段は、例えばLoRa等とするとよい。第2通信手段は、LPWAの通信方式によって直接にサーバ装置とやり取りしないものとするとよい。第2通信手段は、例えば、第2通信手段で形成されるネットワークに含まれる、LPWA以外の通信方式で他のネットワークに接続されたゲートウェイ装置等を介して、間接的に他のネットワークに接続されたサーバ装置とやり取りをするものを含むとよい。
【0130】
本システムは、サーバ装置とやり取りする第1通信手段と、サーバ装置とやり取りしない第2通信手段とを有し、例えば、LoRaとセルラーLPWA(例えばLTE-M)の通信機能、LoRaとWi-Fiの通信機能などの組み合わせを持つ。
そして本システムは、第2通信手段による通信で他の機器からデータを取得し第1通信手段によってインターネット上のサーバに転送する。
【0131】
本システムは、例えばWi-Fiによる通信手段を備えたドライブレコーダにLoRaによるリモコン操作等の機能を設け、LoRaリモコンの操作内容をWi-Fi接続時に伝送するとよい。この場合、Wi-Fi接続されていないときはディレイが生じることになる。よってリアルタイムな操作が必要な場合にはWi-FiではなくセルラーLPWA等が望ましい。LoRa通信機はLoRaリモコン以外にもLoRa搭載の各種センサとの通信を行い、取得した情報をセルラーLPWA等のネット接続機能によってサーバに転送するとよい。
【0132】
(18)前記通信手段は、ハンドオーバ通信が可能な第3通信手段と、前記ハンドオーバ通信が可能でない第4通信手段と、を有する
システムとするとよい。
【0133】
第3通信手段と第4通信手段とを同時に稼働させる場合に比べて、消費される電力が抑制される。特に、消費電力抑制手段は、第3通信手段と第4通信手段とを切り替える機能を有するとよい。
【0134】
ハンドオーバ通信としては、例えば、移動局と通信する基地局を、移動局の移動中に切り替える通信が用いられるとよい。
ハンドオーバ通信が可能な第3通信手段は、例えば、LTE-M等とするとよい。
ハンドオーバ通信が可能でない第4通信手段は、例えば、LoRaWAN、SIGFOX等とするとよい。
【0135】
ハンドオーバ機能が可能な第3通信手段は、ハンドオーバ通信が可能でない第4通信手段より利用料が高くなる傾向にある。そこで、本システムは、ハンドオーバが必要ない可能性が高い状況であるか否かを判定して、ハンドオーバが必要のない可能性が高いときには、第4通信手段を使用し、ハンドオーバの必要がある可能性が高いときには、第3通信手段を使用する。
【0136】
ハンドオーバが必要ない可能性が高い状況であるか否かの判定は、移動体の位置が移動しているか否かを検出して行なうとよい。本システムは、例えば移動体の位置が特定の範囲にとどまっている場合に、ハンドオーバが必要である可能性が低い(つまりハンドオーバが必要ない可能性が高い)状況である、と判断するとよい。特定の範囲は例えば半径数十メートル程度とするとよい。
【0137】
本システムは、ハンドオーバが可能な第3通信手段を用いて通信を行っているか、ハンドオーバが不可能な第4通信手段を用いて通信を行っているかを、ユーザが認識可能に報知する機能を備えるとよい。
前記通信手段は、車両が所定速度を超えて移動している移動中であっても通信を行うことができる移動通信可能通信手段と、車両が所定速度を超えて移動している移動中には通信ができない移動通信困難通信手段とを備える、 システムとするとよい。
このようにすれば、高速移動中も、車両が駐車中も、通信を行うことができるとともに、通信量を両方の通信手段に分散させることができるため、料金に応じて通信量に制限のあるLPWAサービスを効率よく利用することが可能となる。移動通信可能通信手段は例えばELTRESとし、移動通信困難通信手段としては例えばSIGFOXとするとよい。
前記通信手段は、GPSによる時刻情報を通信に用いることを必須するGPS必須通信手段と、GPSによる時刻情報を通信に用いることを必須としないGPS不要通信手段とを備える、 システムとするとよい。
このようにすれば、GPSが受信できない屋内でも通信を行うことができるとともに、GPSが受信できる屋外でも通信ができ、通信量を両方の通信手段に分散させることができるため、料金に応じて通信量に制限のあるLPWAサービスを効率よく利用することが可能となる。移動通信可能通信手段は例えばELTRESとし、移動通信困難通信手段としては例えばSIGFOXとするとよい。
なお異なる通信手段を切り替えて通信可能な構成をとった場合、サーバ側ではいずれの通信手段を介してデータを受信したかを受信したデータと対応付けて記録する処理を行うとよく、特にブロックチェーンに記録する場合にこのような記録を行うとさらにデータの信頼性の検証を容易にすることや、データの出自を特定することが容易となる。
【0138】
(19)前記通信手段は、前記通信手段に対して着脱可能なSIMを用いる機能と、前記通信手段内に設けられたSIMを用いる機能と、を有する
システムとするとよい。
【0139】
通信手段に対して着脱可能なSIMと通信手段内に設けられたSIMとをそれぞれの用途に応じて制御することができる。特に、消費電力抑制手段は、通信手段に対して着脱可能なSIMと通信手段内に設けられたSIMとを切り替える機能を有するとよい。これらのSIMを同時に稼働させる場合に比べて、消費される電力が抑制される。
【0140】
LPWAで用いられるSIMにはスロット差し込むカード状の通常のSIMと、基板にはんだ付けするチップ型のSIMがある。本システムは、チップ型のSIMを内蔵した上で、さらにカード状の通常のSIMスロットも設けるとよい。本システムは、通常のSIMスロットにSIMが挿入されていない場合にはチップ型のSIMを用いて通信を行なう一方、通常のSIMスロットにSIMが挿入されている場合にはチップ型のSIMよりもスロットに挿入されたSIMを優先して用いる処理を行なうとよい。
【0141】
また、上述した『通信手段に対して着脱可能なSIMと通信手段内に設けられたSIMとを切り替える機能』は、車両のエンジンがかかっている状態か否か、又は、車両が走行している状態か否か等に応じて、切り替え先を決めるものとするとよい。車両のエンジンの状態や、車両の走行の状態は、振動の発生を検知して、その程度により推定するとよい。本システムは、例えば、振動が発生する状態と判定された場合にはチップ型のSIMを用い、振動が発生する状態と判定されない場合には通常のSIMを使用するとよい。
【0142】
また、上述した機能は、温度に応じて切り替え先を決めるものとするとよい。本システムは、例えば、温度計の計測結果に基づいて温度が高い状態か否かを判定し、温度が高い状態ではチップ型のSIMを用い、温度が高い状態でないときには通常のSIMを使用するとよい。
【0143】
また、上述した機能は、通信手段の場所に応じて切り替え先を決めるものとするとよい。本システムは、例えば、GNSS等の測位システムによって特定された通信手段の場所に応じて、いずれのSIMを使うか自動的に切替えるとよい。
【0144】
(20)位置を測定する第1測位手段を有し、
前記通信手段は、前記第1測位手段と異なる第2測位手段を有する
システムとするとよい。
【0145】
第1測位手段で得られない情報を、第2測位手段から得られる。特に、消費電力抑制手段は、第1測位手段と第2測位手段とを切り替える機能を有するとよい。第1測位手段と第2測位手段とを同時に稼働させる場合に比べて、消費される電力が抑制される。第2測位手段は、通信手段が通信するために必要な情報を提供するものとするとよい。
【0146】
第1測位手段は、例えば、ドライブレコーダに内蔵されたGNSS等による測位装置とし、第2測位手段は、例えば、LTE-MやELTRES等に含まれる測位装置とするとよい。
【0147】
例えばLTE-Mには測位機能がある。そこで本システムは、この測位機能とは別の測位機能を設け、両者の情報のうちいずれかの情報を利用する情報として選択する機能を備えるとよい。本システムは、ユーザによる操作を受付けていずれの測位機能を選択するかを設定可能とする機能を備えるとよいが、両者の出力データを比較していずれを使用するか自動的に選択する機能を備えるとよい。
【0148】
(21)前記通信手段の状態を報知手段からユーザに報知させる制御を行う
システムとするとよい。
【0149】
システムにおいて変化する通信手段の状態をユーザが知ることができる。
【0150】
ユーザに報知する内容としては、例えば、間欠送信を行った通信手段による最終の送信時刻、(14)や(15)で示した送信先の探索状態を示す情報、(16)で示した第1通信手段と第2通信手段とを有しているシステムで、いずれを使用しているかを示す情報、(17)で示した第3通信手段と第4通信手段とを有しているシステムで、いずれを使用しているかを示す情報等とするとよい。
【0151】
本システムは、電波サーチを止めている状態であるか否かをユーザが認識可能に報知する機能を備えるとよい。
本システムは、電波サーチの間隔に関する情報をユーザが認識可能に報知する機能を備えるとよい。
【0152】
本システムは、送信間隔に関する情報をユーザが認識可能に報知する機能を備えるとよい。
【0153】
本システムは、チップSIMと通常のSIMのいずれを使用しているかをユーザが認識可能に報知する機能を備えるとよい。
【0154】
(22)前記通信手段は、移動しない固定通信手段と通信する、移動体に取り付けられた通信手段であり、前記固定通信手段から受信したデータを前記移動体が移動した先で送信する
システムとするとよい。
【0155】
LPWA以外の通信手段でデータを送信する場合に比べて、消費される電力が抑制される。
【0156】
固定通信手段は、例えば、温度計、湿度計等の計測器に固定的に接続され、その計測器による計測値を取得して計測値を示す信号をLPWAにより送信するLoRa、NB-IoT、SIGFOX等であり、移動体は、例えば、鉄道輸送、自動車輸送、船舶輸送、航空輸送等の運輸業で用いられる自動車(トラック、タクシー、オートバイ)や、鉄道、船舶、航空機等とするとよい。
【0157】
システムは、例えば、宅配業者のトラックやタクシー事業者のタクシー等の移動体にLPWAによる通信手段を取り付けるとよい。システムは、移動体が上述した固定通信手段を中心とする所定範囲に入ったときに、その移動体に取り付けた通信手段に、その固定通信手段から発信される信号を受信させ、その信号が示すデータを記憶装置に記憶させるとよい。そして、宅配業者やタクシー事業者等の営業所や休憩所等の施設に上述したトラックやタクシー等の移動体が入ったときに、記憶装置に記憶されたデータをその施設に設けられたサーバ装置等に転送すればよい。この構成では、例えば、通信が困難な地域に移動体が移動することにより、その地域に設けられた計測器の計測結果を集めることができる。
【0158】
通信状態の悪いエリアのIoT機器からの情報取得には、エッジ機器と基地局機器との通信を行い基地局機器からインターネット接続するものと、基地局機器はインターネット接続されずエッジ機器と基地局機器間とで通信を行い基地局機器でデータを取得するものとがある。いずれのものでも、両機器間で通信ができる必要がある。ところが例えば山間部については山、谷があって通信ができないことがある。
【0159】
本システムにおいて、上述した移動体に取り付けられるLPWAによる通信手段は、電波状況の悪い箇所、基地局の整備されていない箇所のLPWA機器と通信して情報を取得して記憶し、基地局に接続されたときに記憶したこれらの情報を基地局経由で例えばサーバ等へ送信するとよい。
【0160】
(23)(1)から(22)のいずれかに記載のシステムに対して情報を送信する側の第2システムであって、
該第2システム側から前記システム側へ送信されるデータを前記通信手段が受信するときに該通信手段により消費される電力を抑制するように該データを生成する第2消費電力抑制手段を有する
第2システムとするとよい。
【0161】
(1)から(22)のいずれかに記載のシステムの通信手段が、第2システムからデータを受信する際の消費電力が、第2システムに第2消費電力抑制手段がない場合に比べて、少なくなる。
【0162】
消費される電力を抑制するように制御する方法としては、上述したシステムにおいて消費電力抑制手段が行う(2)~(22)に例示した方法と同等の方法を用いるとよい。
【0163】
また、第2消費電力抑制手段は、他の種類のデータに比べて送信するデータ量が少ない特定の種類のデータを生成するとよい。第2消費電力抑制手段が生成するデータは、例えば、システムを遠隔から制御するためのデータ等とするとよい。
【0164】
すなわち、第2システムの第2消費電力抑制手段は、例えば、住居・車両の冷房機、暖房機、加湿器、空気清浄機等の空気調和設備や、車両のエンジンスターター等の車両始動装置や、キーレスエントリーシステム等のカーセキュリティー装置や、ドライブレコーダ等の記録装置といった、住居・車両等に設置された各種装置等の制御対象を遠隔から制御するための制御信号を、上述したデータとして生成するとよい。この第2システムをユーザのスマホに適用すると、このスマホは、いわゆるリモートコントローラとして機能する。
【0165】
第2システムは、例えば移動体に設けられたドライブレコーダやカーナビゲーションシステム等の車載器であって、LPWAによる通信手段を制御するシステムに対して情報を送信する側のシステムとするとよい。
【0166】
そして、このシステムが制御する通信手段に向けて、第2システムが定期的にPOIデータを配信する場合、第2システムは、POIデータの全てをLPWAによって送信するのではなく、例えばユーザからの投稿に基づくPOIデータのみをLPWAによって配信し、他のPOIデータをLPWAでない通信方式(Wi-Fi等)を採用した、上述の他方式通信手段によって配信するとよい。
【0167】
また、第2システムは、例えば、自動速度違反取締装置や交通機動隊員等の位置を示すPOIデータ等、所定の条件を満たすPOIデータだけを選別してLPWAによって配信するとよい。
【0168】
また、第2消費電力抑制手段は、ドライブレコーダ、監視カメラ、車載セキュリティーシステム等の制御対象にて、駆動の開始や停止のきっかけ・トリガーの発生を示す制御信号を、上述したデータとして生成するとよい。
【0169】
(24)前記第2消費電力抑制手段は、前記システムからのアクセスの状況に基づいて、対象となる対象装置の稼働の可否を判断した判断結果を示すデータを生成する
第2システムとするとよい。
【0170】
(1)から(22)のいずれかに記載のシステムの通信手段が、判断結果以外を受信する場合に比べて、受信するデータ量が少なくなる。
【0171】
第2システムは、例えば、判断結果を対象装置の制御信号として第2送信手段に送信させるとよい。対象装置は、稼働を禁止する旨の判断結果を示す信号を通信手段が受信したときに、システムにより、ユーザの操作に関わらずその対象装置の稼働を阻止するように制御されるとよい。
【0172】
対象装置は、例えばタクシーや宅配業者で用いられる自動車やオートバイ等の荷物や人を乗せて移動する移動装置とするとよい。
【0173】
この第2システムにおいて、対象装置は、起動時に、サーバにアクセスして手続を行い、一定時間、認証がパスしないと動作しないようにするとよい。また、第2システムにおいて、サーバが対象装置の盗難を検知した場合は、認証を通らないようにするとよい。
【0174】
(25)前記第2消費電力抑制手段は、対象となる対象装置を稼働しようとするユーザへの警告を示すデータを生成する
第2システムとするとよい。
【0175】
警告を示すデータ以外を送信する場合に比べて、送信するデータ量が少なくなる。
【0176】
対象装置及び対象装置の稼働は、(23)で示したものとするとよい。第2システムは、車両を運転しようとするユーザに対して、運転を禁じる旨のメッセージを示す画像、文字列、音声等のデータ、又はこれらのインデックス等、識別情報を第2通信手段に送信させるとよい。
【0177】
(26)前記第2消費電力抑制手段は、対象となる対象装置の位置を示す位置データを前記通信手段に送信させ、該位置データに基づいて前記データを生成する
第2システムとするとよい。
【0178】
対象装置の位置で計測された、その位置を特定するための計測データを送信する場合に比べて、送信するデータ量が少なくなる。
【0179】
対象装置は、(24)で示したものとするとよい。第2システムは、第2通信手段に受信させた車両それぞれの位置を示す位置データを、管理センター等に備えられた管理装置に記憶させて、車両の位置を管理させるとよい。
【0180】
車両等に搭載されたドライブレコーダ等の対象装置は、例えばGNSS等により計測して自装置のいる位置を示す位置データを上述したNMEAフォーマットで取得するが、位置データをNMEAフォーマットのままサーバに送信すると、例えばコマンドをGPMRCとGPGGAに絞ったとしても、1時間で大量の容量となってしまう。そこで第2システムとやり取りするシステムは、NMEAの生データを送るのではなく、座標値のみをサーバに送るとよく、また、座標値の送信間隔をあけることにより、通信量を減らすと特によい。
【0181】
例えば、タクシー等の配車管理を行うサーバを備えたこの第2システムは、タクシーを求める顧客のスマホ等から、そのスマホの場所を示す場所データを含んだ新規の配車手配を受けると、その場所に近い車両の対象装置(ドライブレコーダ、ナビゲーションシステム等)に次の目的地を送信して配車の指示をするとよい。この第2システムは、タクシーへの利用のほか、バス会社によるバスの運行管理業務、ピザの配達業、運送業等の運行管理業務、パトカーによる警察の巡回業務等に適用するとよい。
【0182】
本システムでは、例えば、ユーザがスマホの地図アプリでどこに自分の車両がいるか確認できる。本システムでは、常に車両の位置を示す座標値を送るのではなく、スマホやサーバ等の外部装置から要求があった場合にのみ座標値を送る。これにより通信量が節約される。
【0183】
(27)前記第2消費電力抑制手段は、対象となる対象装置の周囲に向けて、前記対象装置の存在を報知する報知装置を駆動させるよう指示する指示データを生成する
第2システムとするとよい。
【0184】
対象装置の位置を見失ったユーザに対してその対象装置を見つけさせるために、指示データ以外を送信する場合に比べて、送信するデータ量が少なくなる。
【0185】
対象装置は、例えば、駐車場に駐車された車両とするとよい。第2システムは、第2通信手段に指示データを送信させ、通信手段が指示データを受信すると、システムは、車両の存在をその車両の周囲に向けて報知する報知装置を駆動させればよい。報知装置は、例えば、車両に設けられたヘッドライト、テールランプ、フォグランプ等の照明装置を用いるとよい。報知装置は、車両の存在をその車両の周囲に向けて報知する目的で、照明装置を制御する場合に、照明装置を所定のパターンで明滅させるとよい。
【0186】
この第2システムでは、例えば、ユーザが自分の車両を駐車場のどこに止めたか分からなくなった時、スマホから要求すると、車のライトや、音が鳴る。この第2システムでは、車両の位置を示す座標値をスマホへ送るのではなく、報知装置を駆動させる。これにより通信量が節約される。この第2システムを適用することで、例えば携帯電話が見つからない場合に、その携帯電話へ電話をかけて呼び出し音を鳴らす感覚で、ユーザは車両等の位置を知ることとなる。
【0187】
(28)前記システムを稼働させるためのファームウェア及びいずれかの位置を示す位置データを、料金が他のデータよりも安価になるように、他のデータと区別して送信する
第2システムとするとよい。
【0188】
ファームウェアと同じ料金体系で位置データを送信しない場合に比べて、位置データの送信によって発生する料金が抑制される。
【0189】
車載器等のシステムには、自身を稼働させるための基本ソフトウェアである「ファームウェア」が必要であり、ファームウェアが更新されると第2システムは、各システムに更新されたそのファームウェアを送信する必要がある。ファームウェアを送信する場合、他のデータと比べて安価(無料を含む)ように料金体系が設定されていることも多い。ファームウェアをアップデートする際の通信であるファームアップ用データ通信と、通常の通信とを別の料金体系で管理する場合、第2システムは、ファームウェアのアップデート用データに、例えば、POIデータ等の位置を示す位置データを包含させ、又は添付して、ファームウェアアップデート用データ通信でLPWAにより送信すればよい。
【0190】
(29)コンピュータを、
(1)から(22)のいずれか1項に記載のシステムにおける消費電力抑制手段
として機能させるためのプログラムとするとよい。
【0191】
コンピュータによって(1)から(22)のいずれかに示したシステムが実現される。
【0192】
(30)コンピュータを、
(23)から(28)のいずれか1項に記載の第2システムにおける第2消費電力抑制手段
として機能させるためのプログラムとするとよい。
【0193】
コンピュータによって(23)から(27)のいずれかに示したシステムが実現される。
【0194】
上述した(1)から(29)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(1)に示した発明の全て又は一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、例えば消費電力抑制手段を有しない構成や、LPWAによる通信手段を備えない構成、LPWAによる通信手段を他の通信手段に置換えた構成など、(1)から(29)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしても、その場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらはよりよい構成の例を示しているものであって、これらの場合やときでない構成についても権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えたりした構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0195】
例えば、4Gや5Gによる通信と比べて一般的に消費電力が小さいLPWAによる通信手段を制御するシステムにおいて、さらに消費される電力を抑制すること等ができる。
【0196】
本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」と記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【
図1】本発明の一実施形態に係る管理システム9の全体構成を示す概念図。
【
図3】ドライブレコーダ1が自動車7に設置されている様子を示す図。
【
図4】ドライブレコーダ1、カーナビゲーションシステム4、及び自動車7の各構 成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0198】
<管理システムの全体構成>
本発明の実施の形態について、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る管理システム9の全体構成を示す概念図である。管理システム9は、第1システムの一例としてのドライブレコーダ1と、第2システムの一例としてのサーバ2と、スマートフォン3と、カーナビゲーションシステム4と、を有する。
【0199】
ドライブレコーダ1は、自動車7に搭載されている。自動車7は移動体の一例である。自動車7は、ドライブレコーダ1のほかに、カーナビゲーションシステム4を搭載している。ドライブレコーダ1とカーナビゲーションシステム4とは、自動車7の車室内で有線によって通信可能に接続している。
【0200】
ドライブレコーダ1とサーバ2とは、LPWA(Low Power Wide Area)によって通信可能に接続している。
【0201】
ドライブレコーダ1とスマートフォン3とは、Bluetooth(登録商標)によって通信可能に接続している。
【0202】
サーバ2とスマートフォン3とは、通信回線6を介して通信可能に接続している。通信回線6は、インターネットである。
【0203】
<ドライブレコーダの構成>
図2は、ドライブレコーダ1の外観を示す図である。
図3は、ドライブレコーダ1が自動車7に設置されている様子を示す図である。
図4は、ドライブレコーダ1、カーナビゲーションシステム4、及び自動車7の各構成を示す図である。
【0204】
以下にドライブレコーダ1に備えられた各構成を説明する。
図4に示す通り、ドライブレコーダ1は、コントローラ11、SSD12、LPWA通信機13、操作子14、ディスプレイ15、接続端子16、加速度センサ17、カメラ18、GNSS受信機19、及び近距離通信機10を有する。
【0205】
コントローラ11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びタイマを備える。CPUは、ROMやSSD12に記憶されているプログラムを、作業領域としてのRAMに読み出して実行することにより、ドライブレコーダ1の各構成を制御する。
【0206】
SSD12は、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive)であり、データを永続的に記憶する記憶装置の一つである。SSD12は、コントローラ11のCPUで実行されるオペレーティングシステムのプログラムやアプリケーションプログラム等を記憶する。
【0207】
LPWA通信機13は、比較的長距離の通信を低消費電力で行うLPWAの方式に沿った通信機であり、具体的には「ELTRES」である。
【0208】
図4に示すLPWA通信機13は、コントローラ11の制御の下、LPWAの方式に沿ってサーバ2と情報の遣りとりをする。
【0209】
LPWA通信機13は、内蔵GNSS受信機131、SIM挿入口132を有する。また、LPWA通信機13は、
図4において破線で示すオンチップSIM133を有する。
【0210】
内蔵GNSS受信機131は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を用いて自機の位置を測定するデバイスである。LPWA通信機13は、内蔵GNSS受信機131により測定された位置の情報を用いて、通信を同期させる。
【0211】
SIM挿入口132は、SIM(Subscriber Identity Module)カードを挿入する部位であり、
図2に示す通り、ドライブレコーダ1の筐体の上部等に設けられる。LPWA通信機13は、SIM挿入口132に挿入されたSIMカードから契約者情報を読み取って契約者(ユーザ)を特定し、通信量と契約者とを紐付ける。
【0212】
オンチップSIM133は、「Enbedded SIM」又はこれを略した「eSIM」等と呼ばれるSIMであり、リモート操作で内容を書き換えることが可能なSIMである。オンチップSIM133は、内容を書き換える際にSIMカードを差し替える必要がない。
【0213】
ここで、オンチップSIM133を有するLPWA通信機13は、SIM挿入口132に挿入又は抜取りをすることにより自機に対して着脱可能なSIMであるSIMカードを用いる機能と、オンチップSIM133を用いる機能と、を有する。LPWA通信機13は、SIM挿入口132にSIMカードが挿入されているときに、このSIMカードとオンチップSIM133とを切り替える機能を有する。
【0214】
LPWA通信機13は、後述するカーナビゲーションシステム4の接続端子46を介して接続する自動車7のECU71から、エンジン72の稼働状態やタコメータ74の経時変化等、自動車7における各種の状態を示す情報を取得する。そして、LPWA通信機13は、取得した情報に応じてSIM挿入口132に挿入されSIMカードと、オンチップSIM133と、のいずれを用いて通信を行うかを決める。
【0215】
操作子14は、各種の指示をするためのタッチパネル141、スイッチ142を有する。操作子14は、ユーザによる操作を受付けてその操作内容に応じた信号をコントローラ11に送る。
図2に示す通り、スイッチ142は、ドライブレコーダ1の筐体のうちディスプレイ15に隣接して設けられる。
【0216】
ディスプレイ15は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、コントローラ11の制御の下、画像を表示する。
図2に示す通りディスプレイ15の表示画面の上には、操作子14の透明のタッチパネル141が重ねて配置されている。
【0217】
接続端子16は、ドライブレコーダ1とカーナビゲーションシステム4とを有線で通信可能に接続するための端子である。
【0218】
加速度センサ17は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)方式で加速度を測定するセンサである。
【0219】
カメラ18は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を備えたデジタルスチルカメラであり、運転席の映像を撮像して、撮像した映像を示す映像信号をコントローラ11に出力する。カメラ18から出力された映像信号は、コントローラ11により、撮像した映像を示す映像データに変換されてSSD12に記録される。
【0220】
GNSS受信機19は、GNSSを用いて自機の位置を測定するデバイスである。GNSS受信機19は、LPWA通信機13の内蔵GNSS受信機131とは別に設けられたデバイスであり、その精度や測定間隔等が異なっている。
【0221】
GNSS受信機19は、位置を測定する第1測位手段の一例であり、LPWA通信機13の内蔵GNSS受信機131は、LPWA通信機13が有する、GNSS受信機19と異なる第2測位手段の一例である。
【0222】
近距離通信機10は、Bluetooth(登録商標)を用いて比較的近距離に存在する装置と通信する。すなわち、近距離通信機10は、LPWA通信機13と通信方式が異なる他方式通信手段である。ドライブレコーダ1は、近距離通信機10を用いてスマートフォン3と通信する。
【0223】
<カーナビゲーションシステムの構成>
カーナビゲーションシステム4は、
図3に示す通り自動車7の運転席の前方、ダッシュボードの中央に取り付けられる。以下にカーナビゲーションシステム4に備えられた各構成を説明する。
【0224】
図4に示す通り、カーナビゲーションシステム4は、コントローラ41、SSD42、操作子44、ディスプレイ45、及び接続端子46を有する。
【0225】
図4に示すコントローラ41は、CPU、ROM、RAMを備え、CPUが、ROMやSSD42に記憶されているプログラムをRAMに読み出して実行することにより、カーナビゲーションシステム4の各構成を制御する。
【0226】
SSD42は、ソリッドステートドライブであり、データを永続的に記憶する記憶装置の一つである。SSD42は、コントローラ41で実行されるオペレーティングシステムのプログラムやアプリケーションプログラム等を記憶する。
【0227】
操作子44は、ユーザによる操作を受付けてその操作内容に応じた信号をコントローラ41に送る。操作子44は、各種の指示をするためのタッチパネル441、及びスイッチ442を有する。
【0228】
ディスプレイ45は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、コントローラ41の制御の下、画像を表示する。表示画面の上には、操作子44の透明のタッチパネル441が重ねて配置されている。
【0229】
図3に示す通り、操作子44とディスプレイ45とは、それぞれ運転席からの操作と視認とが可能な位置に取り付けられる。
【0230】
接続端子46は、ドライブレコーダ1とカーナビゲーションシステム4とを有線で通信可能に接続するための端子である。
【0231】
ドライブレコーダ1は、
図3に示す通り、自動車7のフロントガラスの上辺近傍のシャシーから車内側に吊り下げるように取り付けられている。そして、
図3に示す通り、ドライブレコーダ1の接続端子16に接続されたコードは、フロントガラスの縁に沿って自動車7のシャシーに貼り付けられ、カーナビゲーションシステム4の接続端子46に接続されている。
【0232】
<自動車の構成>
以下に自動車7に備えられた各構成を説明する。
図4に示す通り、自動車7は、ECU(engine control unit)71、エンジン72、トランスミッション73、タコメータ74、及びランプ75を有する。
【0233】
ECU71は、エンジン72等、自動車7の各構成を制御するエンジンコントロールユニット(engine control unit)である。ECU71は、カーナビゲーションシステム4のバスにも接続しており、カーナビゲーションシステム4のコントローラ41と情報の遣りとりをする。ドライブレコーダ1のコントローラ11は、カーナビゲーションシステム4を介して自動車7のECU71と通信する。
【0234】
エンジン72は、自動車7に推進力を与える内燃機関であり、ガソリンエンジンである。
【0235】
トランスミッション73は、エンジン72の回転出力をホイールに伝達する動力伝達機構であり、歯車や軸等で構成される。
【0236】
タコメータ74は、エンジン72の軸の回転数を測定する機器である。
【0237】
ランプ75は、LED(light emitting diode)等の発光素子を備えた照明器具であり、自動車7におけるヘッドランプやテールランプ、フォグランプ、ブレーキランプ等である。
【0238】
<サーバの構成>
以下にサーバ2に備えられた各構成を説明する。
図5は、サーバ2の構成を示す図である。サーバ2は、ドライブレコーダ1とLPWAの方式に沿って通信し、データを蓄積するサーバ装置の一例である。
図5に示す通り、サーバ2は、コントローラ21、HDD22、LPWA通信機23、及び通信機27を有する。
【0239】
コントローラ21は、CPU、ROM、RAM、及びタイマを備える。CPUは、ROMやHDD22に記憶されているプログラムを、作業領域としてのRAMに読み出して実行することにより、サーバ2の各構成を制御する。
【0240】
HDD22は、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)であり、データを永続的に記憶する記憶装置の一つである。HDD22は、コントローラ21のCPUで実行されるオペレーティングシステムのプログラムやアプリケーションプログラム等を記憶する。
【0241】
LPWA通信機23は、比較的長距離の通信を低消費電力で行うLPWAの方式に沿った通信機であり、具体的には「ELTRES」である。LPWA通信機23は、コントローラ21の制御の下、LPWAの方式に沿ってドライブレコーダ1と情報の遣りとりをする。
【0242】
通信機27は、モデムであり、コントローラ21の制御の下で通信回線6と接続する。通信機27は、接続した通信回線6を介してスマートフォン3と情報の遣りとりをする。
【0243】
<スマートフォンの構成>
以下にスマートフォン3に備えられた各構成を説明する。
図6は、スマートフォン3の構成を示す図である。
図6に示す通り、スマートフォン3は、コントローラ31、SSD32、操作子34、ディスプレイ35、通信機37、及び近距離通信機30を有する。
【0244】
コントローラ31は、CPU、ROM、RAM、及びタイマを備える。CPUは、ROMやSSD32に記憶されているプログラムを、作業領域としてのRAMに読み出して実行することにより、スマートフォン3の各構成を制御する。
【0245】
SSD32は、ソリッドステートドライブであり、データを永続的に記憶する記憶装置の一つである。SSD32は、コントローラ31のCPUで実行されるオペレーティングシステムのプログラムやアプリケーションプログラム等を記憶する。
【0246】
操作子34は、ユーザによる操作を受付けてその操作内容に応じた信号をコントローラ31に送る。操作子34は、各種の指示をするためのタッチパネル341、及びスイッチ342を有する。
【0247】
ディスプレイ35は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、コントローラ31の制御の下、画像を表示する。表示画面の上には、操作子34の透明のタッチパネル341が重ねて配置されている。
【0248】
近距離通信機30は、Bluetooth(登録商標)を用いて比較的近距離に存在する装置と通信する。近距離通信機30は、コントローラ31の制御の下、ドライブレコーダ1と情報の遣りとりをする。
【0249】
通信機37は、セルラーモジュールであり、コントローラ31の制御の下で通信事業者が提供する基地局(図示略)を介して通信回線6と接続する。通信機37は、接続した通信回線6を介してサーバ2と情報の遣りとりをする。
【0250】
<ドライブレコーダの機能>
以下に、第1システムの一例であるドライブレコーダ1の機能について説明する。
ドライブレコーダ1のコントローラ11は、消費される電力を抑制するようにLPWA通信機13を制御する「消費電力抑制手段」として機能する。
【0251】
上述した通りカメラ18は、運転席の映像を撮像してこの映像を示す映像信号を出力し、コントローラ11は、この映像信号を映像データに変換してSSD12に記録する。コントローラ11は、この映像データを「加工前のデータ」として加工する。
【0252】
具体的に、コントローラ11は、この映像データを解析し、これに映った運転手の首、顔、胴体、腕等、各部位の位置や動きを認識する。そして、認識した運転手の各部位の位置や動きに基づいて、運転手による運転の危険性を判断する。
【0253】
例えば、映像データを解析した結果、運転手の首が呼吸のタイミング等に応じて周期的に動いていたり、閾値を超えた割合で瞼が閉じていたりすることを認識すると、コントローラ11は、この運転手が居眠り運転をしていると判断する。また、運転手が目を閉じてから10秒が経過すると、コントローラ11は、運転に危険性がある、と判断する。
【0254】
コントローラ11は、上述した映像データを解析して運転手による運転の危険性を判断すると、判断した結果を示すデータ(判断結果データ)を「加工後のデータ」として生成し、生成したこの判断結果データをLPWA通信機13によりサーバ2へ送信させる。
【0255】
この判断結果データは、映像データの内容を解析して運転手の各部位等の動きや位置を予め決められたパターンや閾値等と比較して総合的に判断した結果を示すデータであるため、その情報量は、映像データの情報量よりも小さい。
【0256】
したがって、上述した構成により、ドライブレコーダ1がサーバ2へデータを送信する際に消費される電力は、ドライブレコーダ1が加工前のデータである映像データをそのまま送信する場合に比べて、抑制される。
【0257】
すなわち、このコントローラ11は、取得した取得データを、その取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように加工し、加工後のデータをLPWA通信機13によって送信することで、「消費電力抑制手段」として機能する。
【0258】
上述した通り、ドライブレコーダ1のコントローラ11は、消費される電力を抑制するようにLPWA通信機13を制御する「消費電力抑制手段」として機能する。そのため、ドライブレコーダ1は、4Gや5Gによる通信と比べて一般的に消費電力が小さいLPWAによる通信手段を制御するシステムにおいて、さらに消費される電力を抑制することができる。
【0259】
<変形例>
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組合せてもよい。
【0260】
<変形例1>
上述したドライブレコーダ1のコントローラ11は、取得データを、データ量が少なくなるように加工して送信させていたが、取得データの中から、送信させるデータの種類を選抜することにより、そのデータ量が少なくなるようにしてもよい。
【0261】
すなわち、コントローラ11は、他の種類のデータに比べて送信するデータ量が少ない特定の種類のデータをLPWA通信機13に送信させることにより、消費される電力を抑制してもよい。この場合、ドライブレコーダ1は、取得データを加工する必要がない。
【0262】
例えば、ドライブレコーダ1が、情報量の大きい連続的な時系列データと、接点入力(トリガー情報)の2種類のデータを取得する場合、コントローラ11は、時系列データを選択せずに、接点入力のみをLPWAで送信するとよい。接点入力は、時系列データに比べて比較的情報量が小さい。ドライブレコーダ1は、情報量の大きい時系列データを送らないことにより、通信における消費電力を抑制する。
【0263】
また、コントローラ11は、複数のデータ群のそれぞれに割り当てられた、各データを識別するための識別情報をLPWA通信機13に送信させてもよい。それぞれのデータそのものに比べて、それぞれのデータの識別情報はデータ量が小さいため、この構成によると、LPWA通信により消費される電力が抑制される。
【0264】
また、コントローラ11は、例えば、近距離通信機10等、LPWA通信機13と異なる通信手段によって既に送信済みのデータがある場合には、その送信済みのデータ以外のデータをLPWA通信機13に送信させてもよい。
【0265】
<変形例2>
コントローラ11は、映像を示すデータをLPWA通信機13に送信させないことにより、消費される電力を抑制してもよい。
【0266】
すなわち、コントローラ11は、映像データを選択せずに、文字列データや接点入力データ等を選択してLPWAで送信するとよい。画像や動画(音声を含んでもよい)を示す映像データは、一般に、文字列や接点入力、判断結果等を示す他のデータに比べてデータ量が大きい。コントローラ11は、LPWA通信機13による送信の対象から除外することで、LPWA通信機13を用いた通信に費やす消費電力を抑制する。
【0267】
映像データ以外のデータは、文字列や接点入力、判断結果等を示すデータのほか、例えば、ドライブレコーダ1とスマートフォン3との接続状態を示すデータであってもよい。また、映像データ以外のデータは、ドライブレコーダ1とスマートフォン3とが接続している場合にスマートフォン3からドライブレコーダ1が受け取るデータであってもよい。
【0268】
なお、映像データは、SSD12に記録され、後日に回収されてもよい。また、映像データは、近距離通信で接続されたスマートフォン3から、通信回線6を介して、サーバ2に送られてもよい。
【0269】
<変形例3>
コントローラ11は、送信すべきデータがあっても、決められた状況下においてそのデータをLPWA通信機13に送信させないことにより、消費される電力を抑制してもよい。
【0270】
例えば、上述したドライブレコーダ1は、対象を検知する検知装置を有しており、検知装置が対象を検知すると、この対象を検知した旨を示す検知データをLPWA通信機13に送信させる。つまり、検知装置が対象を検知したときとは、送信すべきデータがあるときである。
【0271】
一方、上述したドライブレコーダ1は、例えば、GNSS受信機19によりGNSS受信機自身の位置、すなわち、自身を含むドライブレコーダ1の位置を測定し、現在時刻とドライブレコーダ1の位置とを特定している。
【0272】
そして、このドライブレコーダ1は、予め決められた時間及び場所にドライブレコーダ1自身が存在していると判定するときに限り、検知装置が対象を検知しても、上述した検知データをLPWA通信機13に送信させないようにするとよい。つまり、予め決められた時間及び場所にドライブレコーダ1自身が存在している、という決められた状況下においては、送信すべきデータがあっても、そのデータはLPWA通信機13によって送信されない。
【0273】
<変形例4>
コントローラ11は、取得した取得データを、調整された間隔で送信することにより、消費される電力を抑制してもよい。コントローラ11は、例えば、GNSS受信機19から取得したドライブレコーダ1の位置を示す位置データを、調整された間隔でLPWA通信機13に送信させてもよい。
【0274】
調整された間隔とは、データを送信する回数を、GNSS受信機19がデータを出力しコントローラ11がこれを取得する回数よりも少なくするようにした間隔である。つまり、このコントローラ11は、位置データをLPWA通信機13に送信させる間隔を、少なくともコントローラ11がGNSS受信機19から位置データを取得する間隔よりも長くなるように調整する。調整された間隔は、一定でなくてもよい。
【0275】
<変形例5>
コントローラ11は、取得した取得データを、ユーザのLPWAの契約内容を示す情報に基づいて調整された間隔でLPWA通信機13に送信させてもよい。
【0276】
この場合、SSD12は、ドライブレコーダ1のユーザの契約内容を示す情報を記憶している。コントローラ11は、SSD12に記憶された上述の契約内容を示す情報に基づいて調整された間隔で、GNSS受信機19から取得した位置データを、LPWA通信機13に送信させる。これにより、例えば、位置データを全て送信する場合に比べて、消費される電力を抑制される上に、その電力が抑制される程度は、ユーザの契約内容に応じたものとなる。
【0277】
<変形例6>
上述したコントローラ11は、カメラ18が撮像しSSD12に記憶された運転席の映像を示す映像データを取得して解析し、運転手による運転の危険性を判断した結果を示す判断結果データを生成して、これをLPWA通信機13に送信させていた。
【0278】
つまり、コントローラ11は、映像データを判断結果データに加工してLPWA通信機13に送信させていたが、他の方法で、取得した取得データを、その取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように加工し、加工後のデータを送信させてもよい。
【0279】
例えば、コントローラ11は、GNSS受信機19から取得した位置データを、データ量が少なくなるように加工し、加工後のデータをLPWA通信機13に送信させてもよい。
【0280】
例えばGNSS受信機19から取得した位置データが、米国海洋電子機器協会(National Marine Electronics Association)により規定・管理されているNMEA0183等の規格に沿って生成されたテキストデータであるとき、コントローラ11は、この位置データのうち、一部の種類のメッセージだけを抽出することで、データを加工してもよい。ここで、一部の種類のメッセージとは、例えばRMCメッセージやGGAメッセージ等が挙げられる。
【0281】
なお、取得した位置データを、データ量が少なくなるように加工する加工処理は、コントローラ11ではない構成が行ってもよい。この加工処理は、例えば、コントローラ11がコントローラ41やECU71に委託してもよい。コントローラ11は、委託して生成された加工済みのデータを受け取って、LPWA通信機13に送信させればよい。
【0282】
また、運転の危険性は、運転手を撮像した映像を解析した結果によって判断されるものに限られない。本発明に係るドライブレコーダ1は、例えば、トラックの荷物を締め付けるベルトやロープのテンションをリアルタイムで検知する機器を備えてもよい。コントローラ11は、検知されたテンションに基づいて、荷崩れ等を予測し、運転の危険性を判断すればよい。
【0283】
また、判断の対象は運転の危険性に限られない。判断の対象は、例えば、冷蔵品や動物の配送の際における、温度・湿度・照度等に基づく積荷の安全性であってもよい。
【0284】
また、例えば、コントローラ11は、カメラ18が撮像しSSD12に記憶された路上の映像を示す映像データを取得して解析し、その解析した結果を示す判断結果データを生成してLPWA通信機13に送信させてもよい。コントローラ11は、映像データを解析した結果、例えば、路上における車両の接触・変形・破損の有無やそれらの程度を判断するとよい。
【0285】
この場合、判断の対象は車両接触事故の有無や、その程度である。コントローラ11は、取得した映像データに基づいて、例えば、自動車7と他の車両との輪郭を抽出して、映像におけるそれぞれの位置を特定する。そして、コントローラ11は、これらの車両同士が接触しているか否かを判断することで、事故が発生したか否かを認識すればよい。
【0286】
また、コントローラ11は、映像データに基づいて、発生したイベントの種類を特定し、そのイベントの種類を識別する識別情報のみをLPWAでサーバ2に送信してもよい。
【0287】
さらに、コントローラ11は、事故等のイベントが発生したときに、映像データを送らずに、そのイベントの種類を示すコードに加えて、イベントの発生に関する情報をLPWA通信機13に送信させてもよい。イベントの発生に関する情報とは、そのイベントの発生を契機として計測が開始される情報や、そのイベントの発生を基準にして抽出される情報や、計測、抽出等をされたそれらの情報を解析した結果を示す情報等が挙げられる。
【0288】
例えば、コントローラ11は、衝突事故が起きた前後の20秒間に計測された運転手の挙動を示す挙動情報をLPWA通信機13に送信させてもよい。挙動情報は、例えば、運転手の顔の向きや、視線の向き、瞼の開閉状態等であり、映像データに比較してデータ量が小さい。
【0289】
また、コントローラ11は、衝突事故が起きた時刻における加速度センサの感知した加速度や、タコメータ74の計測した速度の情報等をLPWA通信機13に送信させてもよい。
【0290】
また、コントローラ11は、GNSS等により測位された自動車7の位置を示す情報、車両の挙動を示す車両挙動情報等をLPWA通信機13に送信させてもよい。
【0291】
つまり、ドライブレコーダ1は、「事故が発生したこと」や「発生したイベントの種類コード」、「イベントの発生に関する情報」のみをドライブレコーダ1の識別情報とともにサーバ2にLPWAにより送る。そのため、ドライブレコーダ1は、映像データや音声データそのものを送る場合に比べて通信量を抑制し、通信の際の電力消費量も抑制する。
【0292】
<変形例7>
コントローラ11は、取得した取得データを、この取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように加工し、加工後のデータをLPWA通信機13に送信させる機能と、この取得データをそのままLPWA通信機13に送信させる機能と、を有してもよい。
【0293】
例えば、コントローラ11は、GNSS受信機19から取得した位置データを、データ量が少なくなるように加工する。そして、コントローラ11は、この加工後のデータをLPWA通信機13に送信させる機能と、取得した位置データをそのままLPWA通信機13に送信させる機能と、を有してもよい。
【0294】
<変形例8>
コントローラ11は、決められた状況下において取得した取得データを、データ量が少なくなるように加工し、加工後のデータをLPWA通信機13に送信させてもよい。
【0295】
ここで、決められた状況とは、対象となる対象装置において検知された事象の程度に応じて定まる状況であってもよい。例えば自動車7が交通事故等により外部から衝撃を受けると、加速度センサ17は、この衝撃を検知する。
【0296】
また、例えば、自動車7が事故等により横転や反転等した場合、加速度センサ17は、自動車7のその姿勢を検知する。コントローラ11は、例えば、自動車7において検知された衝撃や姿勢等の事象の程度に応じて、GNSS受信機19から取得した位置データを、データ量が少なくなるように加工し、加工後のデータをLPWA通信機13に送信させてもよい。この場合、自動車7は、対象となる対象装置の例である。
【0297】
また、事故の程度が著しく大きい場合に、コントローラ11は、映像データをLPWA通信機13に送信させてもよい。すなわち、このコントローラ11は、事故の程度が著しく大きくない、通常の場合には、映像データ等のデータ量が大きなデータを送信しないため、事故の程度に関わらず映像データを送信する場合に比べて通信に費やす消費電力を抑制する。
【0298】
また、事故の程度が閾値を超えて大きい場合は、自動車7が運転不能に陥っていて、これ以降の通信が行われないことが明確なこともある。この場合、LPWA通信機13で通信可能なデータ量を残しておく意義がないので、ドライブレコーダ1は、映像データ等のデータ量が大きなデータをLPWA通信機13により送信してもよい。
【0299】
映像データを送信することにより、サーバ2の利用者は、その映像データに基づいて、事故等の事象が本当に発生したものであるか否かを判断し易くなる。そして、事象が本当に発生したものであるか否かを判断し易くなることで、その後の手配等の判断を正確に行い易くなる。
【0300】
この手配とは、例えば、救急車を呼ぶ、警察を呼ぶ、等である。また、映像データから、自動車7がダム等の水に落ちたことが分かる場合もある。この場合、例えば、サーバ2の利用者は、対策として水中の探索訓練を受けたダイバーを招集することができる。
【0301】
なお、加速度センサ17は、MEMS方式で加速度を測定するセンサであったが、自動車7の回転角速度を測定するジャイロセンサであってもよいし、これらの組合せであってもよい。
【0302】
また、事故の程度が著しく大きい場合に、コントローラ11は、LPWA通信機13によりサーバ2に送信するデータの量を増やしてもよい。
【0303】
また、事故の程度が著しく大きい場合に、コントローラ11は、近距離通信で接続されたスマートフォン3から、通信回線6を経由して、サーバ2にデータを送信してもよい。スマートフォン3から、通信回線6を経由して、送信されるデータには、比較的データ量の大きい映像データが選択されてもよい。スマートフォン3は、例えばバックグラウンドで近距離通信機30を稼働してドライブレコーダ1と接続してもよい。スマートフォン3は、例えば、近距離通信機30でドライブレコーダ1と接続し、通信機37で通信回線6と接続することで、ドライブレコーダ1をインターネット等の通信回線6に接続させる、いわゆるテザリング機能を有していてもよい。
【0304】
スマートフォン3は、図示しない加速度センサを有してもよい。スマートフォン3のコントローラ31は、上述した加速度センサが検知する衝撃に基づいて、テザリングを開始し、ドライブレコーダ1と接続してもよい。ドライブレコーダ1と接続したスマートフォン3は、映像データを取得して、その映像データを通信回線6経由でサーバ2に送信してもよい。
【0305】
<変形例9>
コントローラ11は、自動車7において検知された1以上の事象が決められた条件を満たすとき、取得した取得データに応じたデータをLPWA通信機13に送信させてもよい。
【0306】
例えば、運転手を撮像した第1の映像を解析した結果、70%以上の確率で運転手が居眠りをしていることが判明し、かつ、計測された衝撃力が例えば5G等の閾値を超えるという条件を満たしたとする。この衝撃力は、例えば、ドライブレコーダ1に設けられた衝撃力計測装置(図示せず)で計測される。
【0307】
この場合に、コントローラ11は、取得した取得データに応じたデータをLPWA通信機13に送信させるとよい。取得データに応じたデータとは、映像データの解析結果を示すデータや、運転手の挙動情報を示すデータ等である。
【0308】
これにより、例えば、単に衝撃があっただけでは、段差を乗り越えただけでもデータを送信してしまうところ、上述した複数事象の条件判定の組合せに応じてデータ送信を行うことで、より衝突事故が発生している可能性が高いときのみにデータの送信が行われる。
【0309】
また、ドライブレコーダ1は、例えば、自動速度違反取締装置や交通機動隊員を機械によって検知した旨を示す検知データと、ユーザが発見した旨を示す報告データと、の両方を取得したときに、データの送信を行ってもよい。これにより、自動速度違反取締装置や交通機動隊員の発見の精度が高められる。
【0310】
この変形例に係るドライブレコーダ1は、検知した1以上の事象について条件を満たすか否か判断してデータの送信の是非を決定するため、1つの事象だけに着目してデータを送信する場合に比べて、送信する機会が絞られ、通信に費やす電力消費量が抑制される。
【0311】
<変形例10>
コントローラ11は、取得した取得データを、その取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように、ユーザのLPWAの契約内容を示す情報に基づいて加工し、加工後のデータを送信させてもよい。
【0312】
例えば、コントローラ11は、SSD12に記憶されたユーザの契約内容(上述)を示す情報に基づいてGNSS受信機19から取得した位置データを、データ量が少なくなるように加工し、加工後のデータをLPWA通信機13に送信させてもよい。
【0313】
例えば、利用者は、契約している一ヶ月当たりの通信可能データ量に応じて、データを送信する種別や、送信の条件を定めてもよい。
【0314】
<変形例11>
コントローラ11は、取得した取得データを、その取得データよりも送信するデータ量が少なくなるように、LPWAの契約内容に基づいてユーザに送信が許可されているデータ残量に応じて加工し、加工後のデータを送信させてもよい。
【0315】
例えば、コントローラ11は、上述した契約内容に基づいてユーザに送信が許可されているデータ残量に応じて、GNSS受信機19から取得した位置データを、データ量が少なくなるように加工し、加工後のデータをLPWA通信機13に送信させてもよい。
【0316】
通信が許可されているデータ残量は、例えば、月極で契約している場合、月初に最大であって、通信実績に応じて減少し、月末に最小になる。データが送信される条件は、上述したデータ残量の変動に応じて変動するので、例えば、データ残量が多かった時期で送信されるデータも、データ残量が少なくなった時期には送信されなくなることがある。
【0317】
<変形例12>
コントローラ11は、LPWA通信機13がデータを送信する送信先を探索する間隔を調整してもよい。
【0318】
ドライブレコーダ1のコントローラ11が制御するLPWA通信機13は、送信先を探索する機能を持つとよく、さらにその探索する間隔を外部から調整可能な機能を持つとよい。また、送信先を探索する機能は、コントローラ11が持つとよい。また、送信先を探索する機能は、コントローラ11とLPWA通信機13との双方が持つと特によい。
特に、本システムの消費電力抑制手段であるコントローラ11は、LPWA通信機13の送信先を探索する間隔を調整するとよい。
【0319】
ドライブレコーダ1は、ユーザからの指示を受付ける手段を有し、送信先を探索する間隔においてもユーザからの指示を受付けたときに、強制的に送信先の探索を再開するようにするとよい。
【0320】
<変形例13>
コントローラ11は、LPWA通信機13がデータを送信する送信先の探索を停止する時間の間隔を調整してもよい。
【0321】
LPWA通信機13の送信先の探索を停止する時間の間隔は、所定の条件を満たしたタイミング同士の間隔とするとよい。ドライブレコーダ1のコントローラ11は、例えば、自動車7のエンジン72の状態を監視した結果の通知をECU71から受けている。そして、このコントローラ11は、エンジン72が停止した旨の通知を受けた場合には、電波サーチの停止間隔を、エンジン72が始動しているときに比べ、長くする制御を行なうとよい。
【0322】
コントローラ11は、最大時間経過時の電波サーチで基地局が見つからなかったら、また最大時間で電波サーチを停止する機能を備えるとよい。
【0323】
コントローラ11は、決められた時間にわたって電波サーチを止めた後、この電波サーチを再開した直後は、電波の送信間隔を比較的短く設定し、以後、時間が経過するにつれて送信間隔を長くしていくよう制御を行なうとよい。
【0324】
<変形例14>
上述したコントローラ11は、LPWA通信機13を制御するとともに、LPWA通信機13と通信方式が異なる近距離通信機10を制御していたが、データを送信する際に、LPWA通信機13と近距離通信機10とを切り替えるとよい。
【0325】
この切り替えは、例えば、LPWA通信機13及び近距離通信機10の通信状態に応じて決められてもよいし、時間帯に応じて決められてもよいし、送信するデータのサイズに応じて決められてもよい。
【0326】
なお、上述した実施形態において、「他方式通信手段」の一例である近距離通信機10には、Bluetoothが採用されていたが、他方式通信手段としては、3G、LTE、4G、5G、Wi-Fi、DSRC、電子料金収受システム等、を採用し得る。
【0327】
また、近距離通信機10は、ドライブレコーダ1に差し替え可能な構成とするとよい。ドライブレコーダ1は、差し替え可能な近距離通信機10が利用可能な状態であるか否かを検知する機能を有し、コントローラ11は、その検知結果に応じてLPWA通信機13と近距離通信機10とを切り替える機能を有するとよい。
【0328】
例えば、このドライブレコーダ1は、LPWA通信機13が接続されておらず、かつ、近距離通信機10としてWi-Fiモジュールが差されている状態で、画像・動画なども含めすべての通信をWi-Fiモジュールにより行う。
【0329】
一方、このドライブレコーダ1は、近距離通信機10が接続されておらず、かつ、LPWA通信機13が差されている状態では、画像・動画は通信せずローカルのストレージであるSSD12に蓄えておくとよい。ドライブレコーダ1は、SSD12に蓄えた情報を例えばWi-Fiモジュールである近距離通信機10が接続されたときにその近距離通信機10により転送するとよい。
【0330】
また、ドライブレコーダ1は、例えばLPWA通信機13と近距離通信機10の両方が差されている状態では、LPWAで画像・動画等(データ量が一定量を超えるデータ)以外の情報の通信を行う一方、画像・動画等は近距離通信機10で通信を行うとよい。
【0331】
<変形例15>
上述したドライブレコーダ1のLPWA通信機13は、データを蓄積するサーバ2とやり取りする第1通信手段と、サーバ2とやり取りしない第2通信手段と、を有してもよい。特に、ドライブレコーダ1のコントローラ11は、LPWA通信機13が有する第1通信手段と第2通信手段とを切り替える機能を有するとよい。サーバ2とやり取りする第1通信手段は、例えばSIGFOX等とするとよい。サーバ2とやり取りしない第2通信手段は、例えばLoRa等とするとよい。第2通信手段は、通信回線6を介してサーバ2とやり取りする機能を有するとよい。
【0332】
<変形例16>
また、LPWA通信機13は、ハンドオーバ通信が可能な第3通信手段と、ハンドオーバ通信が可能でない第4通信手段と、を有してもよい。ハンドオーバ通信としては、例えば、移動局と通信する基地局を、移動局の移動中に切り替える通信が用いられるとよい。ハンドオーバ通信が可能な第3通信手段は、例えば、LTE-M等とするとよい。ハンドオーバ通信が可能でない第4通信手段は、例えば、LoRaWAN、SIGFOX等とするとよい。
【0333】
<変形例17>
上述したドライブレコーダ1のLPWA通信機13は、自機に対して着脱可能なSIMを用いる機能と、自機内に設けられたSIMを用いる機能と、を有していたが、自機内にはSIMが設けられていなくてもよい。つまり、LPWA通信機13は、
図4に破線で示すオンチップSIM133を有しなくてもよい。この場合、LPWA通信機13は、着脱可能なSIMのみを用いればよい。
【0334】
<変形例18>
また、LPWA通信機13は、自機内に着脱可能なSIMが設けられていなくてもよい。この場合、LPWA通信機13は、オンチップSIM133のみを用いればよい。
【0335】
<変形例19>
上述したドライブレコーダ1は、位置を測定する第1測位手段としてのGNSS受信機19を有していた。そして、LPWA通信機13は、GNSS受信機19と異なる第2測位手段としての内蔵GNSS受信機131を有していたが、ドライブレコーダ1はGNSS受信機19を有しなくてもよい。また、LPWA通信機13は内蔵GNSS受信機131を有しなくてもよい。
【0336】
<変形例20>
コントローラ11は、LPWA通信機13の状態をディスプレイ15等の報知手段からユーザに報知させる制御を行ってもよい。
【0337】
例えば、コントローラ11は、LPWA通信機13が最後にデータを送信した時刻や、送信先の探索状態や、電波の受信強度、複数方式の通信手段を有している場合にいずれを使用中であるか等をそれぞれ示す情報を、ディスプレイ15により表示してもよい。また、ドライブレコーダ1は、この報知を音やLEDの発光等によりユーザに報知してもよい。表示にはピクトグラムが用いられてもよい。
【0338】
<変形例21>
ドライブレコーダ1のLPWA通信機13は、移動しない固定通信手段と通信してもよい。この場合、コントローラ11は、自動車7が上述した固定通信手段に近づいたときにデータを受信し、自動車7が移動した先でサーバ2に近づいたときに、受信したそのデータをLPWA通信機13によってサーバ2に送信させてもよい。上述した固定通信手段は、例えば、温度計、湿度計、風速計、雨量計、震度計、照度計等の計測器による計測値を取得して計測値を示す信号をLPWAにより送信するLoRa、NB-IoT、SIGFOX等とするとよい。
【0339】
ドライブレコーダ1は、移動体であれば、自動車7のほか、運輸業で用いられるトラック、タクシー、バス等に搭載されてもよく、オートバイや原動機付自転車、自転車等に搭載されてもよい。また、ドライブレコーダ1は、鉄道輸送、船舶輸送、航空輸送等の運輸業で用いられる鉄道、船舶、航空機等に搭載されてもよい。
【0340】
<変形例22>
通信回線6は例えばLAN(Local Area Network)のほか、WAN(Wide Area Network)であってもよいし、これらの組合せやこれらとインターネットとの組合せであってもよい。
また、通信回線6は、公衆交換通信網(PSTN:Public Switched Telephone Networks)やサービス統合デジタル網(ISDN:Integrated Services Digital Network)等を含むものでもよい。
【0341】
<変形例23>
ドライブレコーダ1とカーナビゲーションシステム4とは、無線によって通信可能に接続していてもよい。
【0342】
<変形例24>
上述した実施形態において、ドライブレコーダ1とスマートフォン3とは、Bluetooth(登録商標)によって通信可能に接続していたが、例えば3G、LTE、4G、5G、Wi-Fi、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、電子料金収受システム(ETC: Electronic Toll Collection System)等の、LPWAと異なる方式による通信手段(他方式通信手段)で接続していればよい。
【0343】
<変形例25>
上述したLPWA通信機13は、比較的長距離の通信を低消費電力で行うLPWAの方式に沿った通信機であれば、上述した「ELTRES」のほか、「LoRa」「LoRaWAN」「LTE-MTC」「NB-IoT」「NB-Fi Protocol」「RPMA」「GreenOFDM」「DASH7」「RPMA」「Wi-SUN」「EnOcean Long Range」「Weightless-P」「SIGFOX」「LTE Cat.0」「LTE Cat.M1」等であってもよい。
【0344】
<変形例26>
ドライブレコーダ1は、SSD12に代えて、又は加えて、データを永続的に記憶するためのSDカード等のリムーバブルメディアを挿入する挿入口を有してもよい。
【0345】
<変形例27>
カメラ18から出力された映像信号は、SSD12に記録されていたが、SDカード等のリムーバブルメディアに記録されてもよい。また、映像信号から変換された映像データは、LTEやWi-fi等、LPWAではない方式でドライブレコーダ1とサーバ2とが接続したときにサーバ2に送られてもよい。この場合、ドライブレコーダ1は、スマートフォン3を介して、映像データをサーバ2に送ってもよい。ドライブレコーダ1のコントローラ11は、カメラ18の状態を監視してこの状態を示す情報をLPWAによりサーバ2に送るとよい。カメラ18の状態とは、温度や露光量、カメラ18が動いているか否か、正常か否かという情報等である。
【0346】
<変形例28>
上述した近距離通信機10は、Bluetooth(登録商標)を用いて通信していた。すなわち、上述した近距離通信機10は、IEEE802.15.1に準じた通信手段であるが、他の規格、例えば、無線LANシステム(IEEE802.11)、超広帯域無線システム(IEEE802.15.3a)、ZigBee(IEEE802.15.4)、近接無線通信(ISO/IEC 10536、ISO/IEC 14443、ISO/IEC 15693、ISO/IEC 18092、ISO/IEC 21481等及びこれらの組合せ)に基づいて通信する機器であってもよい。
【0347】
<変形例29>
カーナビゲーションシステム4は、SSD42に代えて、又は加えて、データを永続的に記憶するためのSDカード等のリムーバブルメディアを挿入する挿入口を有してもよい。
【0348】
<変形例30>
上述したドライブレコーダ1のコントローラ11は、消費される電力を抑制するようにLPWA通信機13を制御してサーバ2と情報の遣りとりさせる「消費電力抑制手段」として機能していた。これに加えて又は代えてサーバ2のコントローラ21は、サーバ2の側からドライブレコーダ1の側へ送信されるデータをLPWA通信機13が受信するときにLPWA通信機13により消費される電力を抑制するようにこのデータを生成する「第2消費電力抑制手段」として機能してもよい。
【0349】
この場合、サーバ2は、ドライブレコーダ1に対して情報を送信する側の第2システムである。コントローラ21は、上述したドライブレコーダ1のコントローラ11が消費電力抑制手段として機能するための方法と同等の方法を用いるとよい。
【0350】
<変形例31>
本発明におけるシステムは、車両における監視システムとしてドライブレコーダ1に限らず、他の機器等であってもよい。例えば、本発明におけるシステムは、ドライブレコーダ1に代えて、自動販売機の監視システムや、ガスメータ、水道メータ等の監視システムとするとよい。
【0351】
また、例えば、本発明におけるシステムは、住宅を監視する住宅監視システムであってもよい。この住宅監視システムはカメラでドアを撮影し、その映像をコントローラで解析して、ドアが開いたか否かを判断する。また、この住宅監視システムのコントローラは、上述した映像を解析して、開いたドアから入ってきた人物が予め登録された家族であるか否かを判断する。そして、住宅監視システムは、これらの判断結果をサーバ2にLPWAで送信するとよい。
【0352】
サーバ2は、これらの判断結果を総合的に判断して「泥棒の虞が70%」というように、判定結果を住宅監視システムにLPWAで送るとよい。住宅監視システムからサーバ2への通信も、サーバ2から住宅監視システムへの通信も、LPWAで行われ、それぞれが取得したデータをそのまま送るのではなく、加工や種類の選抜等をして送っているため、通信に必要な消費電力が抑制される。
【0353】
<変形例32>
サーバ2のコントローラ21は、ドライブレコーダ1からのアクセスの状況に基づいて、対象となる対象装置の稼働の可否を判断した判断結果を示すデータを生成してもよい。
【0354】
例えば、ドライブレコーダ1は、映像データを解析して運転の危険性を判断すると、この判断結果を示す判断結果データをLPWA通信機13によってサーバ2へ送信する。サーバ2は、取得した判断結果データに応じた自動車7の制御信号をLPWA通信機23に送信させるとよい。
【0355】
例えば、運転の危険性が閾値を超えている場合に、サーバ2は、自動車7の運転を禁止する制御信号を、LPWA通信機23によってドライブレコーダ1に送信するとよい。ドライブレコーダ1は、LPWA通信機13によってサーバ2からこの運転を禁止する制御信号を受信すると、例えば、上述したカーナビゲーションシステム4を介して自動車7のECU71にこの制御信号を伝えるとよい。
【0356】
自動車7のECU71は、運転を禁止する制御信号を受け取ると、エンジン72やトランスミッション73を制御して、ユーザの操作に関わらず自動車7の運転を阻止するように自動車7の各部を制御するとよい。
【0357】
ドライブレコーダ1は、起動時にサーバ2にアクセスして手続を行い、一定時間、認証がパスしないときに、ユーザに自動車7を動作させないようにECU71に指示するとよい。また、サーバ2が、自動車7の盗難を検知した場合は、認証を通らないようにするとよい。
【0358】
なお、自動車7は、タクシーや宅配業者等で用いられる自動車のほか、オートバイ、原動機付自転車、自転車等の荷物や人を乗せて移動する他の移動体であってもよい。
【0359】
また、判断される運転の危険性が閾値を超えない場合に、ドライブレコーダ1は、その判断の内容、又はその判断に用いた情報をSSD12に記録してもよい。この記録はいわゆるライフログとしてユーザに用いられるとよい。つまり、ユーザは、運転の危険性を判断した内容、又はその判断に用いた情報をドライブレコーダ1に記録することで、運転の内容を反省したり、自己の運転の傾向を把握したり、正常な運転をするモチベーションを高めたりすることができる。
【0360】
<変形例33>
サーバ2のコントローラ21は、対象となる対象装置を稼働しようとするユーザへの警告を示すデータを生成してもよい。
【0361】
例えば、サーバ2がドライブレコーダ1に送信する、自動車7の運転を禁止する制御信号には、自動車7を運転しようとするユーザへ警告をするよう指示するデータが含まれていてもよい。ドライブレコーダ1のコントローラ11がこの制御信号を受け取ると、自動車7の運転を禁止する制御を行うとともに、自動車7を運転しようとする者に対する警告を、ディスプレイ15により表示してもよい。
【0362】
<変形例34>
サーバ2のコントローラ21は、対象となる対象装置の位置を示す位置データを前記通信手段に送信させ、該位置データに基づいて前記データを生成してもよい。
【0363】
例えば、サーバ2は、タクシーの配車管理を行う場合、タクシーを求める顧客のスマートフォン3から、そのスマートフォン3の場所を示す場所データを含んだ新規の配車手配を受ける。そして、サーバ2は、その場所データが示す場所に近い自動車7のドライブレコーダ1や、カーナビゲーションシステム4に次の目的地を送信して配車の指示をするとよい。
【0364】
また、サーバ2は、ユーザのスマートフォン3から自動車7の位置を示す位置情報の要求を受け取ると、LPWA通信機23によりこの要求をドライブレコーダ1に送ってもよい。ドライブレコーダ1のLPWA通信機13は、この要求をサーバ2から受け取り、GNSS受信機19が測定した自装置の位置を示す位置情報をサーバ2に、LPWA通信機13により送ればよい。
【0365】
サーバ2は、通信機27及び通信回線6を介してドライブレコーダ1から取得した位置情報をスマートフォン3に送る。そして、スマートフォン3は、送られた位置情報に基づいて、ドライブレコーダ1の位置、すなわち、ドライブレコーダ1が備え付けられている自動車7の位置をディスプレイ35に表示すればよい。
【0366】
これにより、ユーザはスマートフォン3の地図アプリでどこに自分の自動車7がいるか確認できる。本システムでは、ドライブレコーダ1が常に自動車7の位置を示す座標値を送るのではなく、スマートフォン3やサーバ2等の外部装置から要求があった場合にのみ座標値を送るから、通信量が節約され、通信のための消費電力が抑制される。
【0367】
<変形例35>
サーバ2のコントローラ21は、対象となる対象装置の周囲に向けて、この対象装置の存在を報知する報知装置を駆動させるよう指示する指示データを生成してもよい。
【0368】
例えば、ドライブレコーダ1のコントローラ11は、この指示データをサーバ2から受け取ると、カーナビゲーションシステム4を介して自動車7のECU71と通信する。そして、コントローラ11は、この指示データに応じて自動車7の存在を報知するようにランプ75を駆動させるように、自動車7のECU71に指示してもよい。この場合、自動車7は対象装置の一例であり、ランプ75は、報知装置の一例である。
【0369】
<変形例36>
サーバ2のコントローラ21は、LPWA通信機23を制御して、ドライブレコーダ1を稼働させるためのファームウェア及びいずれかの位置を示す位置データを、料金が他のデータよりも安価になるように、他のデータと区別して送信してもよい。
【0370】
<変形例37>
ドライブレコーダ1のコントローラ11によって実行されるプログラムは、磁気テープ及び磁気ディスク等の磁気記録媒体、光ディスク等の光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリ等の、コンピュータ装置が読取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネット等の通信回線経由でダウンロードさせてもよい。なお、上述したコントローラ11によって例示した制御手段としてはCPU以外にも種々の装置が適用される場合があり、例えば、専用のプロセッサ等が用いられる。
【0371】
<変形例38>
また、サーバ2のコントローラ21によって実行されるプログラムは、磁気テープ及び磁気ディスク等の磁気記録媒体、光ディスク等の光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリ等の、コンピュータ装置が読取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネット等の通信回線経由でダウンロードさせてもよい。なお、上述したコントローラ21によって例示した制御手段としてはCPU以外にも種々の装置が適用される場合があり、例えば、専用のプロセッサ等が用いられる。
<別例1>
例えば、居酒屋等の施設に、LPWA通信機能とタクシー呼び出しボタンと表示器とを、備えたタクシー呼び出し装置を設置する。タクシーには、GPSとLPWA通信機能とタクシー運転手が操作可能な空車ボタンと表示装置を備えた空車通知装置を設置する。タクシー呼び出し装置は装置毎に異なる施設IDを記憶しており、タクシー呼び出しボタンの押下が検出されると、記憶されている施設IDをLPWA通信機能によってサーバへ無線送信する。タクシーの空車通知装置には空車ボタンが押されている状態と押されていない状態で保持されるボタンがあり、空車ボタンが押されている状態で保持されているときだけ、LPWA通信機能により予め記憶されたタクシー毎に異なるタクシーIDと、GPSからの現在位置情報を対応づけて、1分毎にサーバへ送信する(サーバ側にもLPWA通信機能を備える)。サーバには予め施設IDとその施設の位置情報・施設名等が対応付けて記憶されており、サーバに施設IDの送信があった場合、タクシー会社には設置されたタブレットで動作するアプリに対して、施設の位置情報と施設名と当該施設位置から所定範囲内にあり、位置情報を所定時間前までに送信してきたタクシーの位置情報とタクシーIDとの群を、プッシュ通知する。タブレットのアプリはこのプッシュ通知を受けると、タクシーの位置と現在位置情報受信時刻、施設の位置と施設ID受信時刻とを、地図上に表示する。タクシー会社の配車担当者は、表示されたタクシーの位置と施設の位置とそれぞれの受信時刻を見て、表示された複数のタクシーの中から配車するタクシーをタッチする。タブレットは、サーバに対して、このタッチされたタクシーのタクシーIDを配車対象タクシーIDとし対応する配車先の施設IDとともにサーバへ送信する。サーバは当該タクシーIDの空車通知装置に対してLPWA通信機能により、配車先の施設IDの施設名と施設位置の情報とを送信するとともに、タクシー呼び出し装置に対して当該タクシーIDのタクシーの位置情報と配車先の施設の位置情報との経路から算出した到着予想時間の情報を送信する。タクシー呼び出し装置はこれを受信すると配車中である旨と到着予想時間を表示器に表示する。配車先の施設IDの施設名と施設位置の情報とを受信した当該タクシーIDの空車通知装置は、受信した情報を用いて表示装置に配車先の施設までの経路を表示装置に表示するとともに空車ボタンが押されている状態の保持を解除する。
このようにすれば、タクシーの依頼者はボタン一つでタクシーの呼び出しが可能となる。店舗等の施設は、スマートフォンよりも小さく電池も充電が不要な簡易な機器を、レジや待合の近くに設置しておくだけでよい。タクシー会社は依頼者の近くのタクシーを知り、依頼場所への配送が可能となる。
なお、タクシー呼び出し装置には、タクシーの再呼び出しボタンを設け同様に再呼び出しがあった旨をサーバへ送信するようにしてもよい。またタクシー呼び出し装置には配車を希望する台数を入力する機能を設けこの台数の情報もともに送信するようにして、サーバ側では台数の情報も合わせてアプリにプッシュ通知し、アプリは台数の情報も地図上に表示してその台数分のタクシーの地図上からの選択を受け付けるようにしてもよい。また、呼び出しボタンの押下時刻のリストを表示し、誤って押してしまったリスト中のものをキャンセルする機能を備えるようにしてもよい。この場合、キャンセルの旨の情報とキャンセルの対象がリストの何番目かの情報と施設IDとをサーバ側へ送信し、サーバ側ではこの情報に基づいて地図への表示に取り消しの旨を表示するとともに、すでに配車済みである場合には、キャンセル情報の配信をタクシー呼び出し装置及び空車通知装置に対して行い。これを受けてキャンセルの旨をそれぞれの装置が表示するようにし、空車ボタンが押されている状態へと空車ボタンを復帰させるとよい。また、サーバはブロックチェーン用のサーバとするとよく、特に複数のタクシー会社のタブレットのアプリで共有されるブロックチェーンとするとよい。
なお、タクシーに備える空車通信装置のLPWA通信機能はELTRES通信モジュールとSIGFOX通信モジュールの双方を備え、地下駐車場などGPSが受信できている状況か否かを判定してその状況に応じていずれの通信モジュールを用いてサーバ側へ通信するかを切り替える処理を行うとよい、GPSが受信できない状況のときにはSIGFOX通信モジュールを、GPSが受信できる状況のときはELTRES通信モジュールを使用して通信を行うとよい。
また例えば、いわゆるゴルフナビにLPWA通信機能を備え、ユーザの打球位置の情報をLPWA通信機能によりサーバ側へ送信する機能を備えるとよい。ゴルフナビは例えば、ゴルフコースにおいて、GPS等で測定した現在位置から、予め記憶された現在プレー中のコースのホールのピンの位置までの距離を報知する機能を備えるとともに、ボールを打つ位置でユーザが押下する地点登録ボタンを備え、地点登録ボタンを押した位置の位置情報をLPWA通信機能によりサーバに送信する構成とすると特によい。さらに、少なくとも次のいずれかの機能を備えるとよく、望ましくはすべての機能を備えるとよい。地点登録ボタンで登録した位置を記憶しておく機能を備えるとよい。地点登録ボタンで登録した位置を記憶しておく機能を備えるとよい。LPWAで送信する地点登録ボタンを押した位置の情報にはその押した時刻の時刻情報を対応づけて送信するとよい。LPWAによる送信は、地点登録ボタンを押した時点にすぐに行うようにしてもよいが、ユーザからのカップインの指示を入力するボタン等によって検出されたカップイン、または、GPSで検出している現在位置が、予め記憶された他のホールの位置に移動された、または、移動が開始されたの少なくともいずれか一方に基づいて、当該移動前にプレーしていたホールでの地点登録ボタンの位置情報の履歴を、一括して、LPWA通信機能によって、サーバー側へ送信するようにすると特によい。また、さらに、プレー後等に記憶した位置をPC等の他の機器へ転送する機能、あるいは、ゴルフコースの模式図とともに記憶した位置に対応するホール上の位置を表示する機能を備えるとよい。
またいわゆるレーダー探知機にLPWA通信機能を備え、ユーザからの取締等の目撃情報をLPWA通信機能によってサーバ側へ送信する機能を備えるとよい。ユーザからの投稿ボタンが押された位置情報を、当該ボタンが押されたときの時刻情報とともにLPWA通信機能でサーバ側に送信するとよい。
【0372】
本発明の範囲は,明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく,本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも,その範囲に含むものである。本発明のうち,特許を受けようとする構成を,添付の特許請求の範囲に特定したが,現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても,本明細書に開示される構成を,将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と,発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えたりした構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
また,意匠出願への変更出願により,全体意匠又は部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが,全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと,部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては,装置の一部の部材としても良いし,その部材の部分としても良い。全体意匠はもちろんのこと,図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を,権利化する意思を有する。
【符号の説明】
【0373】
1…ドライブレコーダ、10…近距離通信機、11…コントローラ、12…SSD、13…LPWA通信機、131…内蔵GNSS受信機、132…SIM挿入口、133…オンチップSIM、14…操作子、141…タッチパネル、142…スイッチ、15…ディスプレイ、16…接続端子、17…加速度センサ、18…カメラ、19…GNSS受信機、2…サーバ、21…コントローラ、22…HDD、23…LPWA通信機、27…通信機、3…スマートフォン、30…近距離通信機、31…コントローラ、32…SSD、34…操作子、341…タッチパネル、342…スイッチ、35…ディスプレイ、37…通信機、4…カーナビゲーションシステム、41…コントローラ、42…SSD、44…操作子、441…タッチパネル、442…スイッチ、45…ディスプレイ、46…接続端子、6…通信回線、7…自動車、71…ECU、72…エンジン、73…トランスミッション、74…タコメータ、75…ランプ、9…管理システム。