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特開2023-17974フィルタリング機能を有する学習システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017974
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】フィルタリング機能を有する学習システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20230131BHJP
   G09B 5/12 20060101ALI20230131BHJP
   H04L 67/02 20220101ALI20230131BHJP
【FI】
G06Q50/20
G09B5/12
H04L67/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022181997
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】506404094
【氏名又は名称】チエル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078776
【弁理士】
【氏名又は名称】安形 雄三
(74)【代理人】
【識別番号】100121887
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 好章
(72)【発明者】
【氏名】本部 景一
(57)【要約】      (修正有)
【課題】使用中の学習アプリに関係しないサイトの閲覧利用を確実に抑制できるフィルタリング機能を有する学習システムを提供する。
【解決手段】学習システムは、Web閲覧のブラウザ機能、フィルタリング拡張機能部及び学習アプリを備える学習者情報端末機器と、制御API、DB、管理機能部を備えるフィルタリングサーバと、制御APIを備える学習アプリサーバとがネットワークを介して相互に接続され、学習アプリの学習状態に基づく起動状態を管理機能部に送付し、管理機能部は起動状態に基づく設定変更をDBに送付し、DBは制御APIに設定データを送付し、制御APIが設定データに基づき、フィルタリング拡張機能部に対してフィルタリング設定を行うことにより、フィルタリング拡張機能部はブラウザ機能を規制し、学習者は、許可されていないWeb閲覧ができない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともWebサイト閲覧のブラウザ機能、フィルタリング拡張機能部及び学習アプリを備える学習者情報端末機器と、少なくとも第1の制御API(Application Programming Interface)、データベース、管理機能部を備えるフィルタリングサーバと、少なくとも第2の制御APIを備える学習アプリサーバとがネットワークを介して相互に接続され、学習者が前記学習アプリを使用して学習する学習システムであり、
前記学習アプリの学習状態が前記第2の制御APIに送付され、前記第2の制御APIは前記学習状態に基づく起動状態を前記管理機能部に送付し、前記管理機能部は前記起動状態に基づく設定変更を前記データベースに送付し、前記データベースは前記第1の制御APIに設定データを送付し、前記第1の制御APIが前記設定データに基づき、前記フィルタリング拡張機能部に対してフィルタリング設定を行うことにより、前記フィルタリング拡張機能部は前記ブラウザ機能を規制し、
前記学習者は、許可されていないWebサイト閲覧を行うことができないようになっていることを特徴とするフィルタリング機能を有する学習システム。
【請求項2】
前記フィルタリング拡張機能部は、前記データベースに対して前記第1の制御APIを介して周期的に設定問い合わせ信号を出力し、前記データベースは、前記設定問い合わせ信号に対応する応答信号を前記第1の制御APIを介して前記フィルタリング拡張機能部に入力するようになっている請求項1に記載のフィルタリング機能を有する学習システム。
【請求項3】
前記学習アプリによる学習の終了を指示したときに、前記データベースの設定を元に復帰させるようになっている請求項1又は2に記載のフィルタリング機能を有する学習システム。
【請求項4】
前記学習者情報端末機器がパソコンである請求項3に記載のフィルタリング機能を有する学習システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットなどのネットワークを通じた学習に供される学習アプリケーションソフトウェア(以下、単に「学習アプリ」とする)により、小中高、専門学校、大学、大学院などの教育機関(以下、単に「学校」とする)の学習者がPC(パソコン)などの情報端末機器を用いて学習する学習システムに関し、特に学習アプリのWebサイト閲覧規制(許可と不許可)を行うフィルタリング機能を有する学習システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、教育現場では「教育の情報化」の流れが進んでおり、特に最近では、コロナウイルス感染症の拡大などの移り行く社会情勢の中で、教育事情も大きく変化しており、学校の教育現場の環境も大きく変化して来ている。インターネットなどのネットワークを介して、学習者がパソコンやタブレット等の情報端末機器を使用して学習するオンライン授業ないしオンライン講義が広く普及して来ており、小学校から高校向けには、GIGAスクール構想を活用した円滑な通信環境づくりが提唱されている。特に小学校から高校にあっては、情報端末機器は貸与されることが多い。また、大学向けには、既にオンライン授業化が進む中で、より一層求められている通信の高速・大容量化や端末認証などが課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-288519号公報
【特許文献2】特開2020-520609号公報
【特許文献3】特開2021-96395号公報
【特許文献4】特開2022-33110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、学校で、学習者に貸与される情報端末機器の活用が進んでおり、活用の増大に伴い、情報端末機器への適切なフィルタリング(Web閲覧規制)についてのニーズが益々増大している。また、文部科学省及びデジタル庁を中心に、学習アプリを含む教育用アプリケーションのデータ送受信仕様の共通化が進んでおり、学習アプリサーバにおける他社製品との連携が容易になる可能性が出てきている。
【0005】
従来技術では、フィルタリング機能はフィルタリングを提供するアプリケーション単体で動作していた。しかしながら、既存の技術は「学習アプリを利用中にWeb閲覧規制をして、学習アプリ以外を使えないようにする」という制御をかけるためには不十分であり、その環境整備が要請されている。
【0006】
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、学習アプリを使用中の際には、使用中の学習アプリに関係しないWebサイトの閲覧利用を確実に抑制できるフィルタリング機能を有する学習システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくともWebサイト閲覧のブラウザ機能、フィルタリング拡張機能部及び学習アプリを備える学習者情報端末機器と、少なくとも第1の制御API(Application Programming Interface)、データベース、管理機能部を備えるフィルタリングサーバと、少なくとも第2の制御APIを備える学習アプリサーバとがネットワークを介して相互に接続され、学習者が前記学習アプリを使用して学習する学習システムに関し、本発明の上記目的は、前記学習アプリの学習状態が前記第2の制御APIに送付され、前記第2の制御APIは前記学習状態に基づく起動状態を前記管理機能部に送付し、前記管理機能部は前記起動状態に基づく設定変更を前記データベースに送付し、前記データベースは前記第1の制御APIに設定データを送付し、前記第1の制御APIが前記設定データに基づき、前記フィルタリング拡張機能部に対してフィルタリング設定を行うことにより、前記フィルタリング拡張機能部は前記ブラウザ機能を規制し、前記学習者は、許可されていないWebサイト閲覧を行うことができないようになっていることにより達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のフィルタリング機能を有する学習システムによれば、予め学校管理者が設定を行い、システム運営者のフィルタリングサービスの基盤にて、学習アプリから共通規格に基づいたWebサイト閲覧のトリガー信号を受信すると、フィルタリングサービスのモードを「学習アプリ使用中」に切り換え、「学習アプリ使用中」のモードの際は、当該学習アプリに関係しないWebサイトの学習アプリの閲覧を確実に抑制することができる。これにより、学習アプリ使用中の不適切なサイト利用や、試験の際のカンニングを防止することなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の全体構成を示す概念図である。
図2】本発明の情報(データ)の流れを示すブロック構成図である。
図3】フィルタリング拡張機能部の機能ブロック例を示すブロック図である。
図4】本発明の動作例を示すシーケンス図である。
図5】本発明の一部動作例(ブラウザ起動)を示すフローチャートである。
図6】本発明の一部動作例(学習モード)を示すフローチャートである。
図7】本発明の一部動作例(終了モード)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、インターネットなどのネットワークを通じた学習アプリの使用により、学校の学習者がPCなどの情報端末機器を用いて学習するWeb学習システムであり、学習アプリを使用中の際には、使用中の学習アプリに関係しないWebサイトの閲覧利用を確実に抑制するようにし、許可した学習アプリのみを使用できるようにしたフィルタリング機能を有する学習システムである。
【0011】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の全体構成をブロック図で示しており、インターネット1に学習者PC10、フィルタリングサーバ20及び学習アプリサーバ30が相互に接続された構成となっている。学習アプリサーバ30は学習アプリ提供者となるが、フィルタリングサーバ20に含まれていても良く、いずれの場合も共通仕様で通信する。
【0013】
学習者PC10は、少なくともWebサイト閲覧のブラウザ11、フィルタリング拡張機能部12及び学習アプリ13を内蔵しており、フィルタリングサーバ20は、少なくとも制御API(Application Programming Interface)21、データベース(DB)22及び管理機能部23を内蔵している。また、学習アプリサーバ30には、少なくとも制御API31が搭載されている。学習者PC10、フィルタリングサーバ20及び学習アプリサーバ30の相互接続は、制御APIの仕様次第で、管理機能部23に設定して、学習アプリサーバ30にプッシュで聞きに行く仕様でも可能である。
【0014】
フィルタリング拡張機能部12は、例えばHyper-V拡張可能スイッチフィルタリング拡張機能を使用すると、拡張可能スイッチのデータパスにパケットを検査、変更、挿入することができる。拡張スイッチポートとスイッチポリシー設定に基づいて、拡張機能はパケットを削除したり、1つ以上の宛先ポートへの配信を除外することができる。フィルタリング拡張機能は、イングレスデータパスで拡張機能をキャプチャした後、エグレスデータパスの転送拡張機能の後に呼び出される。最近のフィルタリングは異なるパターンで動作することが多く、パケットキャプチャをしないフィルタリングでも良い。
【0015】
また、制御API21及び制御API31は、ソフトウェアやプログラム、Web閲覧サービスの一部を公開する手段の接続、つまりアプリケーション同士の接点を制御する機能を有している。更に、フィルタリングサーバ20と学習アプリサーバ30との間の通信は、xAPI(Experience API)に準拠した通信である。xAPIは、米国国防省内の標準化機関であるADL(Advanced Distributed Learning)より2013年に発表された「トータル学習アーキテクチャ」のための国際標準規格である。現在広く世界中に普及している“SCORM”規格は、教材とシステム間の通信を規定したものであるが、xAPIはシステムと学習経験履歴間での通信を規定するものであり、教材と管理システムと履歴データベースは分離して機能することができる。
【0016】
図2は、学習者PC10、フィルタリングサーバ20及び学習アプリサーバ30の情報若しくはデータの流れを示しており、学習モードにおいて、学習アプリ13の学習状態が学習アプリサーバ30内の制御API31に送付され、制御API31は学習状態に基づく起動状態をフィルタリングサーバ20内の管理機能部23に送付し、管理機能部23は起動状態に基づくサイト許可・不許可の設定変更をデータベース22に送付する。データベース22は制御API21に設定データを送付し、制御API21が設定データに基づき、フィルタリング拡張機能部12に対してフィルタリング設定を行うことにより、フィルタリング拡張機能部12はブラウザ11の閲覧機能を規制し、学習者は、許可されていないWeb閲覧を行うことができないようになっている。
【0017】
図3はフィルタリング拡張機能部12の機能ブロック例を示しており、システム(ブラウザ機能)を起動するための起動信号EN1を受信する受信部121と、学習者(若しくはPC)を識別するための識別子122と、識別子122を含む設定問い合わせ信号ST1を周期的に出力する信号出力部123と、学習モードにおける設定問い合わせ信号ST3及び終了モードにおける設定問い合わせ信号ST5を、それぞれ周期的に出力する設定問い合わせ信号出力部124と、起動後のWeb閲覧トリガーTG1及び学習モードにおけるWeb閲覧トリガーTG2を受信する受信部125と、Webサイトのブロック(遮断)を指定する応答信号RS2及びRS4を受信する受信部126と、学習終了のための応答信号RS6を受信する受信部128と、Web閲覧トリガーTG1及びTG2が入力されたときに、指定されたWebサイトのブロックを設定するブロック設定部127とを具備している。
【0018】
図4は本発明のシーケンス動作例を示しており、その動作を、図5図7のフローチャート及び図3の機能ブロック構成を参照して説明する。
【0019】
先ず、学習者PC10でブラウザ11を起動するための起動信号EN1が出力され(ステップS10)、起動信号EN1はフィルタリング拡張機能部12内の受信部121に入力され、当該PC10の識別子122を含む設定問い合わせ信号ST1が信号出力部123から出力され、フィルタリングサーバ20内の制御API21に入力される(ステップS11)。制御API21は、設定問い合わせ信号ST1に基づいて設定問い合わせ信号ST2を出力してDB22に入力し(ステップS12)、DB22は設定問い合わせ信号ST2の入力に基づいて、ユーザーの個別設定を取得するための応答信号RS1を出力する(ステップS13)。DB22からの応答信号RS1を入力した制御API21は、フィルタリング設定のための応答信号RS2を出力し、学習者PC10内のフィルタリング拡張機能部12に入力する(ステップS14)。応答信号RS2には、学習者PC10でWeb閲覧トリガーTG1が動作(出力)しても、「どのカテゴリーの、どのサイトの閲覧をブロック(遮断)するか」の設定内容が含まれている。
【0020】
従って、ブラウザ11からWeb閲覧トリガーTG1が出力されても(ステップS15)、フィルタリング拡張機能部12はフィルタリング処理を実施し、学習者は許可されていない他のカテゴリーやサイトのWebサイト閲覧ができない仕様となる(ステップS16)。即ち、Web閲覧トリガーTG1はフィルタリング拡張機能部12内の受信部125に入力され、応答信号RS2を受信している受信部126からのブロック信号に基づいて、ブロック設定部127は許可されていないカテゴリーやサイトのWebサイト閲覧をブロックする。
【0021】
その後、学習者により、学習者PC10で学習のための起動信号EN2が出力されると、起動信号EN2は学習のための学習アプリ13に入力される(ステップS20)。起動信号EN2に基づき、学習アプリ13は学習が始まった状態を送付して学習アプリサーバ30内の制御API31に入力する(ステップS21)。これにより、学習アプリサーバ30は起動状態をフィルタリングサーバ20内の管理機能部23に送付し(ステップS22)、管理機能部23はDB22に対して設定書き換えを行う(ステップS23)。起動状態には、学習アプリサーバ30に周期的に状態を聞きに行き、変更がある場合は取得を行うプル型と、学習アプリサーバ30で起動されたときに、管理機能部23に状態を送信するプッシュ型とがある。設定書き換えは、例えば「学校側管理者が設定したドメイン以外を規制する」といった動作であり、そのWebサイト閲覧の規制内容を変更する。
【0022】
一方、フィルタリング拡張機能部12の設定問い合わせ信号出力部124から周期的に設定問い合わせ信号ST3が出力され、設定問い合わせ信号ST3は制御API21に入力され(ステップS30)、設定問い合わせ信号ST3の入力に基づいて制御API21から設定問い合わせ信号ST4が出力され、設定問い合わせ信号ST4はDB22に入力される(ステップS31)。上記ステップS23において規制の設定内容が書き換えられているので、DB22から、書き換えられた設定内容に対応する応答信号RS3が出力され、制御API21に入力される(ステップS32)。続いて制御API21から応答信号RS4が出力されて、フィルタリング拡張機能部12内の受信部126に入力される(ステップS33)。
【0023】
以後、ブラウザ11からWeb閲覧トリガーTG2が出力されても(ステップS34)、ブロック設定部127によりフィルタリング拡張機能部12はフィルタリング処理を実施、つまり許可されていないカテゴリーやサイトのWebサイトの閲覧をブロックする(ステップS35)。
【0024】
学習を終了する場合には、ブラウザ11から終了信号CLが出力されて学習アプリ13に入力され(ステップS40)、学習アプリ13から学習終了の状態が送付されて、学習アプリサーバ30内の制御API31に入力される(ステップS41)。制御API31からは起動状態が送付され、フィルタリングサーバ20内の管理機能部23に入力される(ステップS42)。管理機能部23は、DB22に対してサイト規制の設定書き換えを行う(ステップS43)。設定書き換えは、例えば「学校側管理者が設定したドメインを規制」といった動作である。
【0025】
一方、フィルタリング拡張機能部12から設定問い合わせ信号ST5が出力されて制御API21に入力され(ステップS50)、制御API21から設定問い合わせ信号ST6が出力されてDB22に入力される(ステップS51)。これに対して、DB22から応答信号RS5が出力されて制御API21に入力される(ステップS52)。続いて制御API21から応答信号RS6が出力されて、フィルタリング拡張機能部12内の受信部128に入力される(ステップS53)。この結果、「学習アプリ実行中」という学習状態が解除され、フィルタリングの動作設定が元に復帰される。
【符号の説明】
【0026】
1 インターネット
10 学習者PC(パソコン)
11 ブラウザ
12 フィルタリング拡張機能部
13 学習アプリ
20 フィルタリングサーバ
21 制御API
22 データベース(DB)
23 管理機能部
30 学習アプリサーバ
31 制御API
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7