(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179740
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】位置指示器
(51)【国際特許分類】
G06F 3/046 20060101AFI20231212BHJP
G06F 3/03 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G06F3/046 P
G06F3/03 400F
G06F3/03 400A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023179949
(22)【出願日】2023-10-19
(62)【分割の表示】P 2020565593の分割
【原出願日】2019-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2019000568
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】田中 航平
(72)【発明者】
【氏名】二宮 健一
(57)【要約】
【課題】 筆記機能を有する部品を容易に交換可能な位置指示器を提供する。
【解決手段】 筐体10、20と、筆記機能を有するリフィル30と、筐体10、20のうちリフィル30を収納しリフィル30を突出可能な第1の開口部10ftを一端に有しリフィル30を挿抜可能な第2の開口部10bkを他端に有する第1の筐体10と、第1の筐体10の内部に配置されるコイル12と、筐体10、20のうち第2の開口部10bkに係合する第3の開口部20ftを有する第2の筐体20と、第2の筐体20の内部に配置されリフィル30にかかる筆圧を検出する筆圧検出部22と、第2の開口部10bkと第3の開口部20ftとが係合される回路を含む共振回路12、22とを備え、共振回路12、22は筐体10、20にリフィル30が収納された場合に筆圧を検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
筆記機能を有するリフィルと、
前記筐体のうち前記リフィルを収納し前記リフィルを突出可能な第1の開口部を一端に有し前記リフィルを挿抜可能な第2の開口部を他端に有する第1の筐体と、
前記第1の筐体内部に配置されるコイルと、
前記筐体のうち前記第2の開口部に係合する第3の開口部を有する第2の筐体と、
前記第2の筐体内部に配置され前記リフィルにかかる筆圧を検出する筆圧検出部と、
前記第2の開口部と前記第3の開口部とが係合される回路を含む共振回路と、
を備え、
前記共振回路は前記筐体に前記リフィルが収納された場合に前記筆圧を検出することを特徴とする位置指示器。
【請求項2】
請求項1に記載の位置指示器であって、
前記第2の開口部と前記第3の開口部とが分離する状態において前記コイルと前記筆圧検出部とが電気的に接続されていないことを特徴とする位置指示器。
【請求項3】
請求項1に記載の位置指示器であって、
前記第1の筐体の内部に位置し、前記コイルに電気的に接続される第1の端子部材と、
前記第2の筐体の内部に位置し、前記筆圧検出部に電気的に接続される第2の端子部材と、をさらに有し、
前記第2の開口部と前記第3の開口部とが係合する状態において前記第1の端子部材と前記第2の端子部材とが電気的に接続されることを特徴とする位置指示器。
【請求項4】
請求項3に記載の位置指示器であって、
前記第1の端子部材の一部は前記第2の開口部の外面に位置し、前記第2の端子部材の一部は前記第3の開口部の内面に位置することを特徴とする位置指示器。
【請求項5】
請求項3に記載の位置指示器であって、
前記第1の筐体の内部に位置し、前記コイルおよび前記第1の端子部材に電気的に接続する回路基板をさらに有することを特徴とする位置指示器。
【請求項6】
請求項1に記載の位置指示器であって、
前記第1の筐体の内部に位置し、前記筆記機能を有する部品を収納するフォルダをさらに有し、
前記第2の開口部は、前記筆記機能を有する部品のペン先の位置と反対側に位置する前記フォルダの端部に形成されることを特徴とする位置指示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の位置指示器であって、
前記第1の筐体の内部に位置し、前記コイルに電気的に接続される第1の端子部材をさらに有し、
前記第1の端子部材の一部は、前記第2の開口部の外面に位置することを特徴とする位置指示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の位置指示器であって、
前記筆記機能を有する部品は、インクを保持するインク保持部と前記ペン先を有する芯体とを含むことを特徴とする位置指示器。
【請求項9】
請求項8に記載の位置指示器であって、
前記第1の筐体の内部に位置し、前記インク保持部を収納するフォルダをさらに有し、
前記芯体は、前記フォルダに固定される前記コイルの有する貫通孔に貫通した状態で位置することを特徴とする位置指示器。
【請求項10】
請求項1に記載の位置指示器であって、
前記第2の開口部と前記第3の開口部とが係合する状態において、前記第1の筐体の内部に位置する前記筆記機能を有する部品と前記第2の筐体の内部に位置する前記筆圧検出部との間に設けられ、前記筆記機能を有する部品にかかる筆圧を前記筆圧検出部に伝達する押圧部材をさらに有することを特徴とする位置指示器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置検出装置に対する位置指示機能を備えると共に、例えば紙媒体に情報を記す筆記機能をも備える位置指示器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スマートフォンと呼ばれる高機能電話端末やタブレットPC(Personal Computer)といった種々の電子機器の入力デバイスの1つとして、位置検出装置および一般的に電子ペンと称される位置指示器からなるデバイスが存在する。位置検出装置と位置指示器の方式の1つとして、電磁誘導方式(Electro Magnetic Resonance technology(EMR)方式)がある。
【0003】
電磁誘導方式を採用する位置検出装置は、X軸方向とY軸方向とのそれぞれに複数のループコイルを配設したセンサ部を有する。センサ部の複数のループコイルに順次に電力を供給して磁界を発生させる送信期間と、電力の供給を停止し外部からの磁界を受信する受信期間とを交互に設ける。
【0004】
一方、電磁誘導方式を採用する位置指示器は、コイルとコンデンサとからなる共振回路を有する。位置指示器は、位置検出装置のセンサ部からの磁界に応じてコイルに電流が流れることにより信号を発生させる。位置指示器は、筆圧情報を含む信号を位置検出装置に送信する。そして、位置検出装置は、受信期間において位置指示器から送信された信号を受信し、電子ペンによる指示位置と筆圧を検出する。
【0005】
電磁誘導方式を採用する位置指示器として、位置検出装置に対する位置指示機能を有すると共に、例えば紙媒体に情報を記す筆記機能を有する位置指示器が知られている。一例として、特許文献1には、紙媒体等への記録機能を合わせ持つ電磁誘導方式の電子ペンに関する技術が開示されている。特許文献1の
図5に示すように、この電子ペンは、インク筆記部、コイル部、回路基板および筆圧検知部等で構成されるモジュールを筐体の後端に位置する開口部から筐体内に収納するタイプのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示される電子ペンにおいて紙媒体への記録に支障を及ぼすためにインキ筆記部を交換する場合、まず、インク筆記部、コイル部、回路基板および筆圧検知部等で構成されるモジュールを筐体から取り出し、そして、モジュールからインク筆記部を取り外し新たなインク筆記部に交換する。インク筆記部がモジュールを構成する一つの部品であるため、インキ筆記部の交換が簡単ではない。
【0008】
また、
図9(A)に示すように、位置指示器100のペン先に位置する開口部から、筆記機能を有する部品である所定の規格のリフィル(替え芯)110を着脱可能にする構成が知られている。この場合、特許文献1に開示されるインク筆記部の交換とは異なり、リフィル110を簡単に交換することが可能である。
【0009】
ところで、
図9(B)に示す、インクタンクが比較的大きなリフィル120を位置指示器に採用する場合、大量のインクにより筆記機能を長く維持できるだけでなく、大量のインクによる圧力によって、滑らかな書き味も実現できる。このため、インクタンクが比較的大きなリフィル120を、位置指示器に交換可能なリフィルとして採用したい、というニーズがある。
【0010】
しかしながら、
図9(B)に示す、インクタンクが比較的大きなリフィル120について、
図9(A)に示す場合と同じように位置指示器のペン先側からリフィルを着脱可能な構成にするためには、位置指示器のペン先側の開口部を大きくしなければならない。この場合、比較的大きなインクタンクの形状を考慮して形成されたペン先側の開口部に、リフィル120のペン先を安定して位置づけることが困難となるので、筆記時に影響を及ぼす恐れが生じる。
【0011】
以上のことに鑑み、本発明の目的の一つは、筆記機能を有する部品を容易に交換可能な位置指示器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の位置指示器は、筐体と、筆記機能を有するリフィルと、前記筐体のうち前記リフィルを収納し前記リフィルを突出可能な第1の開口部を一端に有し前記リフィルを挿抜可能な第2の開口部を他端に有する第1の筐体と、前記第1の筐体内部に配置されるコイルと、前記筐体のうち前記第2の開口部に係合する第3の開口部を有する第2の筐体と、前記第2の筐体内部に配置され前記リフィルにかかる筆圧を検出する筆圧検出部と、前記第2の開口部と前記第3の開口部とが係合される回路を含む共振回路と、を備え、前記共振回路は前記筐体に前記リフィルが収納された場合に前記筆圧を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、筆記機能を有する部品を容易に交換可能な位置指示器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態の電子ペンの外観図及び分解斜視図である。
【
図2】実施の形態の電子ペンのフロントユニットの分解斜視図である。
【
図3】実施の形態の電子ペンのリアユニットの分解斜視図である。
【
図4】実施の形態の電子ペンのケースを除いた場合の外観図とケースを含む断面図である。
【
図5】実施の形態の電子ペンの等価回路を示す図である。
【
図6】実施の形態の電子ペンの等価回路の他の例を示す図である。
【
図7】実施の形態の電子ペンの等価回路の他の例を示す図である。
【
図8】実施の形態の電子ペンの変形例を説明するための図である。
【
図9】リフィル(替え芯)の交換が可能な従来の電子ペンの例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照して、発明に係わる電子ペンの実施の形態について説明する。
【0016】
[電子ペン1の外観及び概略構成]
図1は、電子ペン1の外観図及び分解斜視図である。
図1(A)の外観図に示すように、電子ペン1の筐体は、フロントユニット10とリアユニット20とを有する。
図1(B)の分解斜視図に示すように、電子ペン1は、フロントユニット10と、リアユニット20とが分離可能に構成される。後述にて詳細に説明するが、フロントユニット10とリアユニット20とが分離された状態で、リフィル(替え芯)30は、フロントユニット10に着脱可能に構成される。
【0017】
フロントユニット10の形状は、ペン先側(先端側)の端部がテーパー形状となった筒状体である。フロントユニット10のペン先側の端部には、リフィル30の芯体31が突出する開口部10ftが設けられる。一方、フロントユニット10のペン先側とは反対側(後端側)の端部には、リフィル30の挿抜口となる開口部10bkが設けられる。また、フロントユニット10の後端側に、リアユニット20と係合(嵌合)する係合部10egが設けられる。この係合部10egの直径は、フロントユニット10の中央部分の直径に比べて短い。
【0018】
リアユニット20の形状は、フロントユニット10の係合部10egが差し込まれて係合する開口部20ftを有する筒状体である。一方、リアユニット20の開口部20ft側とは反対側に位置する端部は閉じた形状である。
【0019】
リフィル30は、芯体31とインクタンク32とを有する。芯体31およびインクタンク32の形状は筒状部である。インクタンク32の直径は芯体31の直径よりも大きい。リフィル30のインクの保持容量は、従来例の
図9(A)に示す芯体の直径と同程度の直径を有するインク保持部を有するリフィル110のインク保持容量と比較して大容量である。リフィル30は、紙媒体等に情報を記す筆記機能を実現する。
【0020】
図1(B)中の点線矢印で示すように、フロントユニット10の開口部10bkにリフィル30を挿入することが可能に構成されている。また、
図1(B)中の点線矢印で示すように、フロントユニット10とリアユニット20とが接続可能に構成されている。すなわち、リアユニット20の開口部20ftに、フロントユニット10の後端側に位置する係合部10egを差し込むと、フロントユニット10の係合部10egの側面とリアユニット20の開口部20ft側の内壁とが係合する。この状態は、フロントユニット10とリアユニット20とは物理的かつ電気的に接続された状態であり、電子ペン1として使用可能である。
【0021】
また、フロントユニット10とリアユニット20とは分離可能に構成される。一例として、
図1(A)に示した電子ペン1のフロントユニット10とリアユニット20とのそれぞれを異なる手に持ち、そのそれぞれを異なる方向にひねるようにして引っ張ると、フロントユニット10とリアユニット20とが分離される。すると、フロントユニット10に挿入されているリフィル30の後端側部分がフロントユニット10から露呈する。そこで、一例として、ユーザはこの露呈した部分を持ち、リフィル30をフロントユニット10から抜き出すことが可能に構成される。電子ペン1は、フロントユニット10に挿入されるリフィル30によって、紙媒体等に情報を記す筆記機能を実現する。
【0022】
[フロントユニット10の構成例]
図2は、フロントユニット10の構成の一例を説明する分解斜視図である。フロントユニット10は、フロントケース11、コイル部12、接続部材13、フロントフォルダ14、回路基板15、および、板金(接点部)16a、16bを備える。
【0023】
フロントケース11の形状は、ペン先側(先端側)の端部がテーパー形状となった筒状体である。ペン先側の端部には、リフィル30の芯体31が突出する開口部10ftが設けられる。一方、後端側には、収納口11bkが設けられる。
【0024】
フロントケース11の内部のペン先側にコイル部12が設けられる。コイル部12は、ノイズ対策用の筒状体のフェライトコアに被覆導線を巻回してコイルを形成したものである。コイル部12の後端に、環状体の接続部材13が設けられる。さらに、接続部材13の後端に、リフィル30のインクタンク32部分を収納する筒状体のフロントフォルダ14が設けられる。このように、接続部材13は、コイル部12とフロントフォルダ14との間に設けられ、これらを安定に接続するためのものである。
【0025】
コイル部12と接続部材13とフロントフォルダ14とを接続した状態では、これらの両端面の中心を接続した線(軸心)を中心とする貫通孔が形成される。そして、フロントフォルダ14の後端側の端部には、リフィル30の挿抜口である開口部10bkが設けられる。
【0026】
また、フロントフォルダ14の上側側面が平坦な面に構成されており、この面上に、一例としてPCBA(Printed Circuit Board Assembly)の構成とされた回路基板15が取り付けられる。回路基板15には、コンデンサ、抵抗、IC(Integrated Circuit)などの種々の回路部品が搭載されている。
【0027】
また、回路基板15には、接続端子15t1、15t2が設けられている。接続端子15t1には、コイル部12のコイルの一方の端部から延伸された被覆導線12aが電気的に接続される。一方、接続端子15t2には、コイル部12のコイルの他方の端部から延伸された被覆導線12bが電気的に接続される。コイル部12と回路基板15に搭載されたコンデンサとが電気的に接続されることで、共振回路が構成される。
【0028】
更に、回路基板15には、金属部材である板金(接点部)16a、16bが電気的に接続される。板金16a、16bは、フロントフォルダ14の後端側側面に設けられた溝部に嵌め込まれるようにして、フロントフォルダ14に対して取り付けられる。板金16a、16bは、その後端側の幅広になった部分が、フロントフォルダ14の後端側の細くなった部分である係合部10egに位置するように構成される。
【0029】
そして、コイル部12と、接続部材13と、フロントフォルダ14と、回路基板15と、板金16a、16bとが一体に構成されたモジュールが、フロントケース11に挿入されて、
図1(B)に示したフロントユニット10が構成される。この場合に、フロントフォルダ14の後端部分は、フロントケース11の後端から突出して、リアユニット20との係合部10egを構成する。
【0030】
フロントユニット10に設けられる係合部10egを、リアユニット20に設けられる開口部20ftに差し込むことで、フロントユニット10とリアユニット20とを接続する。この状態では、係合部10egに位置する板金16a、16bの幅広の部分が、後述するリアユニット20に設けられている板金(接点部)と電気的に接続することが可能な構成である。
【0031】
[リアユニット20の構成例]
図3は、電子ペン1のリアユニット20の構成の一例を説明する分解斜視図である。リアユニット20は、押圧部材21、筆圧検出部22、リアフォルダ23、板金24a、24b、および、リアケース25を備える。押圧部材21は、フロントユニット10とリアユニット20とが接続された状態において、フロントユニット10に挿入されたリフィル30の後端部分と当接する。したがって、押圧部材21は、リフィル30の芯体31の先端部にかけられる筆圧を、筆圧検出部22に伝達する。
【0032】
筆圧検出部22は、可変容量コンデンサの構成とされたものである。すなわち、所定の厚みを有する板状の誘電体の一方の面に第1の電極を貼り付け、当該一方の面に対向する他方の面には、例えばスペーサを設けるなどして所定の間隔を空けて第2の電極を設ける。この第2の電極は、芯体31の先端にかけられる筆圧に応じて、押圧部材21に当接されるリフィル30が軸心方向に移動する。これにより、筆圧に応じて、誘電体を挟む第1の電極と第2の電極間の静電容量が変化し、この変化する静電容量に応じて、筆圧を検出することができるようになっている。
【0033】
リアフォルダ23は、筆圧検出部22を収納し、筆圧検出部22を収納したリアフォルダ23をリアユニットに内蔵することで、筆圧検出部22の位置をリアユニット20内において固定する。板金24aの前端側の部分は筆圧検出部22の第1の電極に接続される。一方、板金24bの前端側の部分は筆圧検出部22の第2の電極に接続される。板金24aの後端側の部分、24bの後端側の部分は、リアフォルダ23の側面に設けられた溝部に嵌め込まれるようにして、リアフォルダ23に対して取り付けられる。板金24a、24bの前端側の端部は、リアフォルダ23の内側に頂点が位置するように山型に折り曲げられた構成を有する。
【0034】
そして、板金24a、24bが取り付けられたリアフォルダ23に、押圧部材21が取り付けられた筆圧検出部22が収納される。これにより、筆圧検出部22の第1の電極が板金24aに電気的に接続されるとともに、筆圧検出部22の第2の電極が板金24bに接続される。押圧部材21、筆圧検出部22、リアフォルダ23、板金24a、24bが一体に構成されたモジュールが、リアケース25に収納されて、
図1(B)に示すリアユニット20が構成される。
【0035】
フロントユニット10に設けられる係合部10egを、リアユニット20に設けられる開口部20ftに差し込むことで、係合部10egに位置する板金16a、16bが、リアユニット20に設けられている板金24a、24bの山型に折り曲げられた頂点部分と電気的に接続される。すなわち、フロントユニット10に設けられる回路基板15と、リアユニット20に設けられる筆圧検出部22とが電気的に接続される。
【0036】
上述したように、回路基板15はコイル部12と接続されている。したがって、コイル部12と、回路基板15のコンデンサと、可変容量コンデンサの構成とされた筆圧検出部22とが接続されることで、共振回路が構成されるので、電子ペン1は、位置検出装置への位置指示機能を有する電磁誘導方式の電子ペンとして機能する。位置検出装置にて生じる磁界に応じて電子ペン1の有するコイル部12に電流が流れ、電子ペン1は信号を生成する。電子ペンは、筆圧情報を含む信号を位置検出装置に送信するように構成される。
【0037】
[フロントユニット10とリアユニット20の接続体の構成]
次に、
図2を用いて説明したフロントユニット10と
図3を用いて説明したリアユニット20とを接続して構成される電子ペン1の構造の一例について
図4を用いて説明する。
図4(A)は、フロントケース11とリアケース25とを除いた場合の電子ペン1の外観図である。
図4(B)は、フロントケース11、リアケース25を含む電子ペン1の断面図である。
【0038】
図4(A)に示すように、電子ペン1の内部には、コイル部12と、接続部材13と、回路基板15および板金16a、16bが取り付けられたフロントフォルダ14とが直列に接続されている。これらの軸心を中心とする貫通孔にリフィル30が挿入されて、芯体31の先端がコイル部12から突出するようにされる。また、回路基板15には、コンデンサ15a、抵抗、制御ICなどの回路部品が実装されている。
【0039】
そして、フロントフォルダ14の係合部10egが、リアユニット20の開口部20ftに差し込まれ、
図4(A)に示すように、リアユニット20のリアフォルダ23に係合する。リアフォルダ23の内部には、
図3を用いて説明したように、筆圧検出部22が設けられており、筆圧検出部22の第1、第2の端子は、リアフォルダ23に取り付けられた板金24a、24bに電気的に接続されている。従って、フロントフォルダ14の係合部10egが、リアユニット20のリアフォルダ23にて係合する、フロントフォルダ14に取り付けられた板金16a、16bと、リアフォルダ23に取り付けられた板金24a、24bとが電気的に接続される。
【0040】
図4(A)には、表側に位置する板金16bと板金24bとの接続部分が示される。すなわち、板金16bの幅広部分の上側に板金24bの山型に折り曲げられた部分が位置し、板金16bの幅広部分と板金24bの山型に折り曲げられた部分の頂点部分が接触することで電気的に接続される。なお、板金16aと板金24aとの接続部分は、板金16bと板金24bとの接続部分と同様の電気的な接続構成になっている。
【0041】
このように、フロントユニット10とリアユニット20とが接続されると、コイル部12と、回路基板15のコンデンサ15aと、筆圧検出部22とが並列に電気的に接続され、共振回路を構成する。
【0042】
また、
図4(B)に示すように、リフィル30を挿入したフロントユニット10をリアユニット20に係合させた状態では、リフィル30の芯体31がコイル部12の貫通孔を通って、芯体31の先端部分がフロントユニット10の開口部10ftから突出するにように構成される。また、この状態では、リフィル30のインクタンク32の後端が、リアユニット20内に位置し押圧部材21に当接する。
【0043】
押圧部材21は、筆圧検出部22に取り付けられており、筆圧検出部22の第2の電極を誘電体側に押圧したり、その押圧を解除したりすることができるようになっている。また、リフィル30もまた、電子ペン1の内部において、軸心方向(電子ペン1の長手方向)に所定の長さ分、入ったり出たりする、いわゆる摺動移動ができるように構成される。これにより、リフィル30の芯体31の先端(ペン先)に加わる筆圧は、リフィル30を通じて、押圧部材21に伝達され、この押圧部材21を介して、筆圧検出部22に伝達される。これにより、筆圧検出部22は、誘電体を挟む電極間の静電容量の変化として、筆圧を検出することが可能である。
【0044】
そして、コイル部12と回路基板15と筆圧検出部22と共振回路を構成していることにより、位置検出装置からの磁界(信号)の供給を受けて、これに応じた磁界(信号)を発生させ、これに筆圧情報をも含めて、位置検出装置に送信することができる。すなわち、電磁誘導方式の電子ペンとして機能することができる。同時に、リフィル30が内部に搭載されることにより、紙媒体等への筆記具としての機能することもできる。
【0045】
[電子ペン1の等価回路]
図5は、実施の形態の電子ペン1の等価回路を示している。上述したように、フロントユニット10には、コイル部12と、コンデンサ15aなどが搭載された回路基板15とが設けられており、これらは電気的に接続されている。また、リアユニット20には、筆圧検出部22が搭載されている。そして、フロントユニット10の係合部10egを、リアユニット20の開口部20ftに差し込むと、フロントユニット10側の板金16a、16bと、リアユニット20の板金24a、24bが自動的に接続される。
【0046】
これにより、
図5に示すように、コイル部12と、コンデンサ15a等と、筆圧検出部22とが並列に接続されて共振回路が形成される。そして、位置検出装置からの磁界(信号)を電子ペン1が受信したとする。この場合、電子ペン1の共振回路が受信した当該磁界に応じた信号を発生させるが、この信号に対して筆圧検出部22での筆圧の検出結果を示す情報も含めるようにして、位置検出装置に送信することができる。すなわち、電磁誘導方式の電子ペン1が実現できる。
【0047】
しかし、上述した電子ペン1の場合、フロントユニット10とリアユニット20とを切り離しても、コイル部12と回路基板15のコンデンサ15a等との電気的な接続は切断されない。このため、筆圧が検出されない不完全な状態で電子ペンとして機能してしまう場合がある。そこで、回路基板15をリアユニット20側に設けるようにしてもよい。回路基板15をリアユニット20側に設けた場合、フロントユニット10とリアユニット20とを分離した場合、コイル部12を、回路基板15のコンデンサ15a等とも、また、筆圧検出部22とも切り離すことができるので共振回路を構成しないようにできる。
【0048】
図6は、実施の形態の電子ペン1の等価回路の他の例を示す図である。この他の例の場合には、回路基板15を、リアユニット20側に設けた場合の例である。
図6に示すように、板金16a、16bが設けられているフロントユニット10側には、共振回路の構成要素としては、コイル部12しか存在しない。一方、リアユニット20側には、回路基板15に搭載されているコンデンサ15a等と筆圧検出部22とが搭載されている。
【0049】
これにより、フロントユニット10とリアユニット20とを係合させれば、フロントユニット10側の板金16a、16bと、リアユニット20の板金24a、24bが自動的に接続される。この場合には、
図6に示したように、コイル部12とコンデンサ15a等と筆圧検出部22とが接続されて、共振回路が構成され、電磁誘導方式の電子ペンとして有効に機能する。しかし、フロントユニット10とリアユニット20とを分離すれば、フロントユニット10側の板金16a、16bと、リアユニット20の板金24a、24bとの接続も解除される。
【0050】
この場合には、コイル部12は、コンデンサ15a等と筆圧検出部22とは切断される。この場合には、共振回路は構成されないので、電磁誘導方式の電子ペンとしては機能しないようにされる。従って、筆圧が検出されない不完全な状態で、電子ペンとして機能させないようにすることができる。
【0051】
なお、フロントユニット10とリアユニット20との大きさの関係から、回路基板15のサイズを調整したとしてもリアユニット20に搭載できない場合も考えられる。このような場合、回路基板15をフロントユニット10に搭載したまま、
図6に示した等価回路の場合と同様の効果を得るようにすることもできる。
図7は、電子ペン1の等価回路の他の例を示す図であり、回路基板15をフロントユニット10に搭載したまま、
図6に示した等価回路の場合と同様の効果を得るようにしたものである。
【0052】
すなわち、
図7と
図5とを比較すると分かるように、いずれの場合にも、板金16a、16bを含むフロントユニット10側には、コイル部12とコンデンサ15a等を備えた回路基板15を搭載している。そして、いずれの場合にも、板金24a、24bを含むリアユニット20側には、筆圧検出部22を搭載している。異なる点は、フロントユニット10側において、コイル部12とコンデンサ15a等との間にスイッチSWを設けている点である。
【0053】
スイッチSWは、フロントユニット10側の板金16a、16bとリアユニット20側の板金24a、24bとが接続されている場合には、
図7(A)に示すようにオン状態になるように制御される。また、スイッチSWは、フロントユニット10側の板金16a、16bとリアユニット20側の板金24a、24bとが接続されていない場合には、
図7(A)に示すようにオフ状態になるように制御される。
【0054】
従って、フロントユニット10側の板金16a、16bとリアユニット20側の板金24a、24bとが接続されれば、スイッチSWはオン状態になる。この場合には、
図7(A)に示したように、コイル部12とコンデンサ15a等と筆圧検出部22とが接続されて共振回路を構成し、電磁誘導方式の電子ペンとして機能するようにされる。
【0055】
これに対して、フロントユニット10側の板金16a、16bとリアユニット20側の板金24a、24bとが非接続となれば、スイッチSWはオフ状態になる。この場合には、
図7(B)に示したように、コイル部12と、コンデンサ15a等と筆圧検出部22とは接続されないので、共振回路は構成されず、電磁誘導方式の電子ペンとしては機能しないようにされる。
【0056】
このように、この実施の形態の電子ペン1の場合には、フロントユニット10とリアユニット20とを切り離した場合には、コイル部12と、コンデンサ15a等及び筆圧検出部22と接続されないようにすることによって共振回路を構成されないようにできる。これにより、筆圧検出部22が共振回路に含まれない不完全な状態で、電磁誘導方式の電子ペンとして機能しないようにすることができる。なお、スイッチSWは、いわゆる機械的にオン/オフを切り替えるスイッチでもよいし、電気的にオン/オフを切り替えるスイッチでもよい。
【0057】
[電子ペンの構造上の改良]
図8は、電子ペン1の変形例を説明するための図である。
図8(A)は、
図4(B)に示した電子ペン1の断面図と同じ断面図である。上述した実施の形態の電子ペン1の場合、フロントユニット10にリフィル30を挿入した場合、構造上、フロントフォルダ14内のペン先側には、フロントフォルダ14とリフィル30のインクタンク32との間にギャップ(空隙)が生じる場合がある。このギャップが生じたままだと、リフィル30が軸心方向にがたつくことがあり好ましくない。
【0058】
そこで、
図8(B)に示すように、当該ギャップ部分に、スプリングSPを設け、フロントフォルダ14とリフィル30とが、常時、互いに反対方向に所定の圧力をかけておくようにする。これにより、リフィル30の軸心方向のがたつきを防止できる。また、リフィル30の芯体31に掛かる筆圧を適切に筆圧検出部22に伝達することができる。なお、
図8(B)において、スプリングSPを設けた部分以外に、
図4(B)に示した電子ペン1と構成上の大きな違いはないので、同一に格子される部分の参照符号は省略している。
【0059】
また、
図8(C)に示すように、押圧部材21Aに示すように、筆圧検出部22に対して設けられる押圧部材21Aを、リフィル30の後端部が嵌合可能なキャップ形状のものとし、これにリフィル30を押し込んで取り付けることができるようにする。これにより、リフィル30の軸心方向のがたつきを防止できる。また、リフィル30の芯体31に掛かる筆圧を適切に筆圧検出部22に伝達することができる。また、
図8(C)においても、押圧部材21A以外に、
図4(B)に示した電子ペン1と構成上の大きな違いはないので、同一に格子される部分の参照符号は省略している。
【0060】
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の電子ペン1の場合には、フロントユニット10とリアユニット20との2つの部分に分離可能な構成にすることによって、インクタンクの大きなボールペンのリフィル30を挿抜可能にした電子ペンを実現できる。換言すれは、インクタンクの大きなボールペンのリフィル30を交換可能に利用することができる電子ペンを実現できる。当該電子ペン1は、位置検出装置に対する位置指示機能と、紙媒体等への筆記機能との両方を実現できるものである。
【0061】
また、上述した実施の形態の電子ペン1は、フロントユニット10とリアユニット20との2つの部分を接続した場合に、フロントユニット10に設けられたコイル部12とリアユニット20に設けられた筆圧検出部22とを接続し、共振回路を構成できる。そして、共振回路が構成できた場合にのみ、電磁誘導方式の電子ペンとして機能することができる。
【0062】
また、上述した実施の形態の電子ペン1は、フロントユニット10とリアユニット20との2つの部分を接続した場合にのみ、コイル部12を含む共振回路を構成するようにすることもできる。従って、筆圧検出部22が接続されない不完全な状態で、電子ペンとして機能することがないようにできる。
【0063】
[変形例]
なお、上述した電子ペン1の場合には、リフィル30をフロントユニット10に挿入していない状態で、フロントユニット10とリアユニット20とを係合させると、コイル部12とコンデンサ15a等と筆圧検出部22とが接続されて共振回路が構成される。しかし、リフィル30が挿入されていない状態では、筆圧の検出は不可能であり、不完全な状態で電子ペンとして機能することになる。
【0064】
そこで、リフィル30が挿入された状態で、フロントユニット10とリアユニット20とを係合させた場合にのみ、コイル部12が、筆圧検出部22を含む回路部分に接続されて共振回路を構成するようにスイッチを設けるようにしてもよい。簡単には、
図7を用いて説明した構成において、リフィル30が挿入された状態で、フロントユニット10とリアユニット20とを係合させ場合にのみ、スイッチSWがオン状態になるようにすればよい。これにより、リフィル30が挿入された状態で、フロントユニット10とリアユニット20とを係合させ場合にのみ機能する電子ペンを構成できる。
【0065】
また、上述した実施の形態では、共振回路には、コイル部12と筆圧検出部22とに加え、回路基板15に搭載されたコンデンサ15a等を含むようにしたが、これに限るものではない。共振回路の最小構成は、コイル部12と筆圧検出部22があればよい。従って、電子ペン1において構成される共振回路は、少なくともコイル部12と筆圧検出部22とが含まれる種々の構成のものを電子ペン1に搭載することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…電子ペン、10…フロントユニット、10ft…第1の開口部、10eg…係合部、10bk…第2の開口部、11…フロントケース、11bk…収納口、12…コイル部、12a、12b…被覆導線、13…接続部材、14…フロントフォルダ、15…回路基板、15a…コンデンサ、15t1、15t2…接続端子、16a、16b…板金(接点部)、20…リアユニット、20ft…第3の開口部、21…押圧部材、22…筆圧検出部、23…リアフォルダ、24a、24b…板金(接点部)、25…リアケース、30…リフィル、31…芯体、32…インクタンク、SP…スプリング、21A…押圧部材