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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179757
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】溶接電流源
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/32 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
B23K9/32 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180833
(22)【出願日】2023-10-20
(62)【分割の表示】P 2020537842の分割
【原出願日】2018-09-22
(31)【優先権主張番号】102017009141.2
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520098109
【氏名又は名称】エスケーエス ウエルディング システムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クライン,トーマス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】溶接電流ケーブルに対する干渉をできる限り防止し得る可能性を提供することを目的とする。
【解決手段】溶接電流源(1)のハウジング(4)上には、2つの電極コンタクトデバイス(6)が設けられ、電極コンタクトデバイスの各々は、それぞれの長手方向軸線に沿ってハウジング(4)から突出しているとともに、電極コンタクトデバイスの各々には、溶接電流ケーブル(3)を受領するための接続手段が設けらている。2つの電極コンタクトデバイス(6)のうちの少なくとも1つを、溶接電流源(1)の設置基礎が位置している面に対してのハウジング(4)の投影面の内部に完全に配置し、その投影を、設置基礎に対して垂直に延びる軸線に沿って行われたものとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーク溶接方法を実行するためにアーク溶接トーチに対して電流及び電圧を供給するための溶接電流源であって、
前記アーク溶接電流源には、ハウジングが設けられ、このハウジングには、アーク溶接方法の適合性のために前記溶接電流源内へと供給される電流及び電圧を処理するために変流器が設けられ、前記溶接電流源の前記ハウジング上には、2つの電極コンタクトデバイスが、さらに設けられ、前記電極コンタクトデバイスの各々は、長手方向軸線に沿って前記ハウジングから突出しているとともに、前記電極コンタクトデバイスの各々には、溶接電流ケーブルを受領するための接続手段が設けられ、
前記2つの電極コンタクトデバイスのうちの少なくとも1つは、前記溶接電流源の設置基礎が位置している面に対しての前記ハウジングの投影面の内部に全体的に位置しており、前記投影面は、前記設置基礎に対して垂直に延びる軸線に沿った投影によって行われたものであることを特徴とする、溶接電流源。
【請求項2】
前記溶接電流源の双方の前記電極コンタクトデバイスが、前記溶接電流源の前記設置基礎上において前記ハウジングの前記投影面の内部に全体的に位置していることを特徴とする、請求項1に記載の溶接電流源。
【請求項3】
前記少なくとも一方の前記電極コンタクトデバイスには、溶接電流ケーブルに対しての前記電極コンタクトデバイスの取り外し可能な接続を形成して固定するための接続手段が設けられ、この取り外し可能な接続の形成及び固定は、前記電極コンタクトデバイスの長手方向軸線まわりにおける(前記接続手段の)回転移動を使用して行われるものであり、前記長手方向軸線は、前記長手方向軸線が前記設置基礎の前記面を向くようにして、前記溶接電流源の前記ハウジングから出現していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の溶接電流源。
【請求項4】
前記電極コンタクトデバイスのうちの少なくとも1つは、前記ハウジングの下面がなす面上に配置され、前記下面は、前記ハウジングの前記設置基礎から距離を置いたところに位置していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の溶接電流源。
【請求項5】
前記ハウジングは、少なくとも1つの下側部分と、少なくとも1つの上側部分と、を有し、前記上側部分は、前記設置基礎の前記面から、前記ハウジングの前記下側部分と比較して、より大きな距離を置いたところに位置し、前記上側部分は、前記下側部分を超えて突出していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の溶接電流源。
【請求項6】
前記電極コンタクトデバイスのうちの少なくとも1つは、前記少なくとも1つの突出した上側部分の下面上に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の溶接電流源。
【請求項7】
前記ハウジングの前記上側部分は、前記ハウジングの2つの側面上において、前記下側部分を超えて突出していることを特徴とする、請求項5に記載の溶接電流源。
【請求項8】
前記2つの電極コンタクトデバイスの1つは、各場合において、前記ハウジングの前記突出した側面の1つ上に、配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の溶接電流源。
【請求項9】
少なくとも1つの溶接電流ケーブルに関して前記ハウジング上に配置された少なくとも1つのケーブル案内手段を特徴とし、この少なくとも1つのケーブル案内手段を通して、前記溶接電流ケーブルを、前記ハウジングの背面へと案内し得るものとされている、請求項7又は8に記載の溶接電流源。
【請求項10】
前記電極コンタクトデバイスのうちの少なくとも1つの電極コンタクトデバイスの前記長手方向軸線の向きを特徴とし、その電極コンタクトデバイスのその長手方向軸線は、前記設置基礎に対して交差する鉛直方向線に対して、0°~45°という範囲の角度を形成している、請求項1~9のいずれか一項に記載の溶接電流源。
【請求項11】
前記溶接電流源の前記電極コンタクトデバイスに対して、前記溶接電流ケーブルのコンタクト接続デバイス(17)を介して接続された少なくとも1つの通電ケーブルを特徴とし、前記溶接電流ケーブルの前記コンタクト接続デバイス(17)は、前記溶接電流源の前記設置基礎が位置している前記面に対しての前記ハウジングの前記投影面の内部に全体的に位置している、請求項1~10のいずれか一項に記載の溶接電流源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーク溶接方法を実行するためにアーク溶接トーチに対して電流及び電圧を供給するためのアーク溶接電流源に関し、このアーク溶接電流源には、ハウジングが設けられ、このハウジングには、アーク溶接方法の適合性のために溶接電流源内へと供給される電流を処理するために変流器が設けられ、アーク溶接電流源のハウジング上には、2つの電極コンタクトデバイスが、さらに設けられ、電極コンタクトデバイスの各々は、異なる長手方向軸線に沿ってハウジングから突出しているとともに、電極コンタクトデバイスの各々には、溶接電流ケーブルを受領するための接続手段が設けられている。
【背景技術】
【0002】
様々な異なる溶接方法が存在する。本発明は、アーク溶接の様々な方法にとって特に重要である。これらのアーク溶接は、溶接電極と、溶接の実行対象をなすワークピースと、の間の電気アークによる熱生成に基づくものである。熱生成に基づき、溶接されるべき材料を、局所的に溶融することができる。ほぼすべてのアーク溶接方法においては、保護ガスがアークの領域に対して供給され、これは、一方においては、溶接電極とワークピースとの間の抵抗を低減するイオン化雰囲気を可能とするためであり、他方においては、溶接電極及びワークピースの酸化を防止するためである。ここで保護ガスとして提供される不活性ガスに代えて、反応に寄与する活性ガス又は混合ガスを供給することもできる。同様に、このために必要な物質が電極内に組み込まれていて電極の溶融時に放出されることのために、電極は、外部のガス供給源を必要としないように構成することもできる。
【0003】
アーク溶接トーチは、通常、ユーザ又はロボットが、金属フィラとも称され得る金属溶接ワイヤを、ターゲット金属片の指定されたジョイントへと案内し得るように、設計されている。溶接ワイヤは、溶接トーチを挿通し、そして、溶接トーチの端部に位置したコンタクトチップの開口を通ってターゲット金属片へと移送される。
【0004】
溶接トーチのインナーチューブに対して電圧が印加され、溶接ワイヤがターゲット金属片に対して接触した時には、大電流が、溶接トーチのインナーチューブから、いわゆるチップアダプタを通して、さらにコンタクトチップを通して、溶接ワイヤを通して、そして可能であればアークを通して、そしてターゲット金属片へと、さらにはグランドへと、流れる。大電流及びアークにより、溶接ワイヤは、保護ガス雰囲気内で溶融し、ワイヤの滴下を引き起こすとともに、アークの形成をもたらす。
【0005】
このアークは、ターゲット金属片をなす金属と、連続的に供給される溶接ワイヤと、を溶融させる。結果として生じる溶接ワイヤ滴下からなる複数の液滴、又は、ターゲット金属片の液化ポイントへと短絡移行される複数の液滴は、これらを互いに結合させる。
【0006】
アーク溶接システム及び/又はアーク溶接回路の各々には、必要な電流及び電圧を提供するための溶接電流源が設けられ、アーク溶接システムの溶接トーチは、それぞれのアーク溶接ポイントに対して電流を供給し得るとともにそのポイントに対して電圧を印加し得るよう、溶接電流源に対して、電気伝導可能な態様で接続されなければならない。この接続は、通常、溶接電流ケーブルを使用して行われ、溶接電流ケーブルは、所与の溶接電流源の2つの電極の各々に対して準備される。溶接トーチに対しての接続に加えて、及び、ワークピースに対しての接続に加えて、各溶接電流ケーブルは、また、溶接電流源に対しても接続されなければならない。保護ガス及び/又は溶接ワイヤなどの溶接媒体が、所与の溶接方法におけるプロセスポイントに対して供給されるべき場合には、この供給は、また、2つの溶接電流ケーブルのうちの一方によって、特に溶接媒体のための中央通路を有した同軸溶接電流ケーブルによって、実行することもできる。本発明は、一体化された媒体供給部材が設けられていない場合とそれが設けられている場合との双方において、溶接電流ケーブルに関する。
【0007】
溶接電流源は、溶接電流源を溶接電流ケーブルに対してコンタクト結合させるための2つの電極コンタクトデバイスを有している。DIN EN 60974-12規格において規定されて記載されている電極コンタクトデバイスは、広く普及している。電極コンタクトデバイスは、実質的に、所与の溶接電流源のハウジングから突出したコンタクトピンであって、溶接電流ケーブルのプラグのピンが内部に係合するグルーブが、その周面上に設けられたコンタクトピンである。ピンがグルーブ内へと挿入された後には、プラグの回転移動によって、及び、グルーブ内におけるピンの関連する移動によって、コンタクトピンとプラグとの間の接続が行われる。以前から公知のこのような解決策の欠点は、電極コンタクト部材が、これらの溶接電流源のハウジングから突出しているとともに、ハウジングを超えて飛び出していることである。その結果、電極コンタクト部材に対して接続された溶接電流ケーブルも、また、溶接電流源から突出してしまう。これらの突出したケーブルは、多くの場合、邪魔なものであるとともに、溶接電流源のために必要なスペースを増大させてしまう。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明は、冒頭において言及したタイプの溶接電流源に対して接続された溶接電流ケーブルに対する干渉を回避する可能性を作り出すという目的に基づくものである。
【0009】
この目的は、冒頭において言及したタイプの溶接電流源において、本発明により達成され、2つの電極コンタクトデバイスのうちの少なくとも1つは、溶接電流源の設置基礎が位置している面に対してのハウジングの投影面の内部に全体的に位置しており、投影面は、設置基礎に対して垂直に延びる軸線に沿った投影によって行われたものである。本発明は、本発明による溶接電流源の少なくとも一方の電極コンタクトデバイスが、好ましくは双方の電極コンタクトデバイスが、溶接電流源の投影面の内部に全体的に配置されることを提供する。したがって、本発明によれば、少なくとも1つの電極コンタクトデバイスは、ハウジングによって規定される外側輪郭を超えて突出してはならない。このことは、接続部材を備えた溶接ケーブルが、ハウジングを超えて突出することを低減させるだけでなく、及び任意選択的に、その単一部材型の又は複数部材型の接続部材をも超えて突出することを低減させだけでなく、そしてこれにより、損傷リスクも低減させるだけでなく、同時に、製造ホールなどの産業環境における溶接電流源の設置面をも、いわゆる設置面積をも、低減させる。特に自動アーク溶接機が使用される産業環境においては、製造ホール内に多数の溶接製造セルを設置することが一般的である。そのような溶接製造セルの各々は、少なくとも1つの溶接電流源を有することができる。よって、本発明に従って設計された多数の溶接電流源は、製造システムのスペース要求を低減することができ、これにより、製造ホール内に追加的な溶接製造セルを設置する可能性を作り出すことができる。製造ホールのより良好な利用は、製造コストの削減を意味する。
【0010】
本発明の好ましい実施形態においては、溶接電流源の双方の電極コンタクトデバイスが、溶接電流源の設置基礎内においてハウジングの投影面の内部に全体的に位置することができる。その結果、スペース要求を低減するとともに溶接電流ケーブルに対しての干渉リスクを低減するという本発明による利点は、特定の結果を伴って特別な程度にまで、達成することができる。
【0011】
本発明の同様に好ましい実施形態は、電極コンタクトデバイスのうちの少なくとも1つの電極コンタクトデバイスの長手方向軸線の向きを特徴とすることができ、その電極コンタクトデバイスのその長手方向軸線は、設置基礎に対して交差する鉛直方向線に対して、0°~45°という範囲の角度を形成している。さらに、少なくとも一方の電極コンタクトデバイスに、電流ケーブルに対しての電極コンタクトデバイスの取り外し可能な接続を形成して固定するための接続手段が設けられることを有利なものとすることができ、この取り外し可能な接続の形成及び固定は、電極コンタクトデバイスの長手方向軸線まわりにおける接続手段の回転移動を使用して行われるものであり、長手方向軸線は、長手方向軸線が設置基礎の面の方向においてハウジングから始まる向きとされているようにして、溶接電流源の前記ハウジングから出現している。これらの特徴に従って設計された本発明の好ましい実施形態においては、各電極コンタクトデバイスは、長手方向軸線の向きを有し、長手方向軸線の空間的プロファイルの少なくとも1つの成分は、ハウジングの設置基礎に対して垂直である向きとされている。それぞれの電極コンタクトデバイスの長手方向軸線が、設置面積の方向に対して斜めに延びている場合には、あるいは、特に好ましくは設置面積に対して垂直に延びている場合には、溶接電流源に関しての及びそれに対して接続される溶接電流ケーブルに関してのスペース要求を可能な限り小さなものに維持し得るだけでなく、溶接電流ケーブルの取付と取り外しとに関して人間工学的に好ましい取り扱い特性を達成することもできる。加えて、溶接電流源の領域内における溶接電流ケーブルの配置を、溶接電流源に対してできる限り近くに維持することができ、これにより、電極コンタクトデバイスに対しての及びそれらに対して接続される溶接電流ケーブルに対しての干渉リスクを低減することができる。特に、本発明の特に好ましい展開においては、少なくとも1つの電極コンタクトデバイスの長手方向軸線が、好ましくは双方の電極コンタクトデバイスの長手方向軸線が、コンタクト面に対して垂直な向きとされ、上記の利点が特に顕著である。
【0012】
1つの溶接電流ケーブルは、それぞれ対応する溶接電流ケーブルのコンタクト接続デバイスによって、少なくとも1つの電極コンタクトデバイスに対して、好ましくは2つの電極コンタクトデバイスの各々に対して1つずつ、接続される。各コンタクト接続デバイスは、溶接電流ケーブルと電極コンタクトデバイスとの間の取り外し可能な機械的連結及び電気的コンタクトを形成し得るような適切な態様で設計されている。電極コンタクトデバイスは、特にハウジング上における電気的コンタクトデバイスの向き及び位置は、及びハウジング自体は、本発明の好ましい実施形態によれば、それに対して接続される溶接電流ケーブルもまたハウジングの設置面積の内部に位置しているように、さらに、溶接電流ケーブルが、電極コンタクトデバイスから距離を置いたかつコンタクト接続デバイスから距離を置いた所定のポイントにおいてだけしか、ハウジングの設置面積から外へとはみ出さないように、設計されている。したがって、特に、溶接電流ケーブルの各コンタクト接続デバイスも、また、溶接電流源の設置基礎上へのハウジングの(垂直な)投影の内部に配置されるものとされ、したがって、ハウジングを超えて突出してはならない。
【0013】
本発明による少なくとも1つの電極コンタクトデバイスに対しての溶接電流ケーブル接続の良好なアクセス性を可能とし得るよう、本発明によるさらに好ましい実施形態においては、ハウジングは、少なくとも1つの下側部分と、少なくとも1つの上側部分と、を有し、上側部分は、設置基礎の面から、ハウジングの下側部分と比較して、より大きな距離を置いたところに位置し、上側部分は、下側部分を超えて突出している構成とすることができる。この場合、電極コンタクトデバイスのうちの少なくとも1つは、設置基礎から距離を置いたところにおいて、ハウジングの上側部分の下面上に位置することができる。その結果、各電極コンタクトデバイスと、それに対して接続されるそれぞれ対応する溶接電流ケーブルとは、容易にアクセス可能なものとされ、それでもなお、ハウジングによって保護されている。
【0014】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、ハウジングの上側部分は、上側ハウジング部分の2つの側部において、ハウジング部分の下側に配置された下側ハウジング部分を超えて、飛び出す及び/又は突出することができる。これにより、2つの電極コンタクトデバイスを、ハウジングの上側部分の2つの突出した側部のそれぞれに1つずつ、特にその下面上に、配置し得るという有利な可能性がもたらされる。これにより、溶接電流ケーブルが特に単純な態様で接続される時に、2つの電極コンタクトデバイスを混同する可能性を減らすことができ、これは、2つの電極コンタクトデバイスが、互いに比較的大きな距離で離間しているからであり、また、ハウジングの下側部分によって互いに空間的に離間しているからである。
【0015】
本発明によって達成可能な利点は、少なくとも1つのケーブル案内部材が少なくとも1つの溶接電流ケーブルに関してハウジング上に配置されているという、本発明の好ましい展開によって、さらに増強することができる。特に、そのようなケーブル案内部材を使用することにより、溶接電流ケーブルが設置面積から出る特定のポイントへと、溶接電流ケーブルの少なくとも1つを、可能な限り設置面積内において、案内することができる。この場合、溶接電流ケーブルをケーブル案内部材によってハウジングの背面へと案内し得るような態様で、ケーブル案内部材がハウジング上に配置されていて、そのような向きとされていることを、特に有利なものとすることができる。溶接電流源が、通常は、その前面上で操作されることのために、少なくとも1つの溶接電流ケーブルをハウジングの背面へと案内することは、オペレータが溶接電流ケーブルに対して干渉してしまうことを、特に信頼性高く阻止することができる。同じことは、少なくとも1つの溶接電流ケーブルを溶接電流源の下側へと案内し得るケーブル案内部材に対しても当てはまり、特に、溶接電流源が、設置面から距離を置いて吊り下げられている場合に、当てはまる。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施形態は、特許請求の範囲、説明、及び図面における図からもたらされる。
【0017】
本発明は、図において純粋に概略的に示される例示的な実施形態を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、アーク溶接方法のための溶接電流源の斜視図を示し、溶接電流源は、この溶接電流源の2つの電極コンタクトデバイスに対して接続された溶接電流ケーブルを有している。
図2図2は、溶接電流源の電極コンタクトデバイスの分解図を示す。
図3図3は、図2による電極コンタクトデバイスの断面図を示す。
図4図4は、溶接電流ケーブルのコンタクト接続デバイスの分解図を示す。
図5図5は、図4のコンタクト接続デバイスの断面図を示す。
図6図6は、保護ガスのための供給デバイスが組み込まれたコンタクト接続デバイスの断面図を示す。
図7図7は、延長ケーブルとして設計された溶接電流ケーブルであって、端部にそれぞれソケット接続部材及びプラグ接続部材が設けられている溶接電流ケーブルを、断面図、側面図、及び斜視図で示す。
図8図8aは、溶接電流ケーブルの端部と、この溶接電流ケーブルに対して適合した電極コンタクトデバイスの一部と、を断面図で示す。 図8bは、さらなる溶接電流ケーブルの端部と、この溶接電流ケーブルに対して適合した電極コンタクトデバイスの一部と、を断面図で示す。
図9図9は、溶接電流源のハウジングのための設置部材の一部を示す。
図10図10は、図1の溶接電流源を側面図で示す。
図11図11は、図1及び図10の溶接電流源を側面図で示す。
図12図12は、変更されたケーブル配線を備えた図1の溶接電流源を正面図で示す。
図13図13は、図12の溶接電流源を側面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、アーク溶接トーチ(詳細には図示されていない)によってアーク溶接方法を実施するために電流及び電圧を提供する溶接電流源1を示している。加えて、溶接電流源1は、操作パネル2を備えた制御デバイスを含み、操作パネル2を使用することにより、実施されるべき各アーク溶接方法のパラメータを設定し得るとともに、溶接方法を制御することができる。この場合、溶接電流源1は、例えば、MIG/MAG溶接、また、TIG溶接、プラズマ溶接、電極溶接、及び、他のすべてのアーク溶接方法、あるいは、大電流応用、を実行するために使用することができる。本発明のさらに可能な実施形態においては、他のアーク溶接及び切断プロセスを実行することもできる。以下において説明する溶接電流ケーブル3、及び、溶接電流源1に対してのその接続、に関する好ましい実施形態を、また、この場合にも使用することができる。
【0020】
2つの電極コンタクトデバイス5、6は、溶接電流源1のハウジング4から突出しており、これらの電極コンタクトデバイスは、それぞれ1つの溶接電流ケーブル3を接続するために設けられているとともに、図1においては、溶接電流ケーブル3のユニオンナット10によってカバーされている。電極コンタクトデバイス5、6の電極コンタクト部材の各々は、実質的に円柱形状のコンタクトピン7という形態で設計されている。これらのコンタクトピン7の各々は、それぞれ対応する電極コンタクトデバイス5、6のハウジング部分8の中央凹所内に配置されている(図3)。コンタクト面は、各電極コンタクト部材の端面7a上に、この場合にはコンタクトピン7上に、形成されている。特に、コンタクトピン7の側面7bは、及び任意選択的に端面7aは、溶接電流ケーブル上の1つ又は複数のコンタクト部材に対しての導電性コンタクトのために、例えば詳細には図示されていないコンタクトブレードに対しての導電性コンタクトのために、構成することができる。コンタクトピン7が、全体的に導電性材料から形成されていることのために、特に全体的に銅又は銅合金から形成されていることのために、コンタクトピンは、その全体的外面上において及び/又はその全体的周面上において導電性コンタクト相手となることができる。ハウジング部分8は、直径が異なる複数の部分を有して形成され、この場合、部分8aは、ハウジング部分8の長手方向軸線に対してほぼ中央に位置した最大直径を有している。溶接電流源のハウジング寄りの方向においては、第1部分8aよりも小さな直径を有した他の部分8bが続いている。第3部分8cは、この第3部分8c上に、電力ケーブル上のユニオンナット10(図4)を全体的に配置するために、設けられている。この例示的な実施形態においてはキャップの形態とされた後方ハウジング部分11が、第2部分8b上に配置されている。コンタクトピン7は、ハウジング部分8上において、後方ハウジング部分11に対してさらには固定手段12に対して、取り外し可能に固定される。
【0021】
端面7aは、コンタクトピン7のうちの、先行する部分よりも小さな直径を有した端部上に形成されている。よって、先行部分は、ハウジング部分8内におけるコンタクトピン7の位置決めのための係止体として機能する。
【0022】
ハウジング部分8は、第3部分8cの外周面上に、互いに同じ2つのグルーブ形状凹所14であって、外周上において互いに180°をなす位置に配置され、深さ及び幅が少なくともほぼ一定であり、さらに、部分8cがなす外周の一部に沿って延びる、互いに同じ2つのグルーブ形状凹所14を有している。グルーブ形状凹所14は、ハウジング部分の端面15上において開放しているとともに、最初はハウジング部分8の長手方向軸線に対してほぼ平行に延びている。グルーブ14のさらなる経路においては、グルーブ14の各々は、周方向の方向成分を有しつつ、最大直径の部分8aへと向けて延びるとともに、その後、同様に周方向の方向成分を有しつつ、ハウジング部分8の端面15に対して再び接近する。周方向にも延びるグルーブ14の部分は、好ましい実施形態においては、ほぼV字形状を有し、その場合、ほぼV字形状の2つの脚部は、軸線方向においては少なくともほぼ同じ長さ成分を有しているとともに、径方向においては異なる長さを有している。
【0023】
図4に示すように、溶接電流ケーブル3には、溶接電流源の近くの端部から少しの部分にわたって絶縁されていない端部上に、コンタクト接続デバイス17が設けられている。コンタクト接続デバイス17のワイヤ端部スリーブ18は、非絶縁ケーブル3のストランド上に押し込まれる。ワイヤ端部スリーブ18は、溶接電流ケーブルのためのコンタクト手段として設けられたコンタクトソケット19によって囲まれていて、ワイヤ端部スリーブ18は、コンタクトソケット19の端面上に設けられた止まり穴19a内に位置している。コンタクトソケット19は、また、他方の端面上にすなわち電流源側の端面上に、止まり穴19bを有している。この止まり穴19bのうちの、端面に最も近い端部は、止まり穴に配置されることとなるコンタクトピン7を中心合わせする中央ピン20を有している。
【0024】
その少なくとも実質的に円筒形状の外側面上において、コンタクトソケット19は、長手方向に見て2つの止まり穴19a、19bの間に位置した2つの止まり穴凹所21(図5)を有している。加えて、コンタクトソケット19は、その外側面上に、再び長手方向に見て、止まり穴凹所21と、コンタクトソケットのうちの、電流源に最も近い端部と、の間に位置した肩部22を有している。コンタクトソケット19は、2つの止めネジ23によって、非絶縁溶接電流ケーブル3に対して、ワイヤ端部スリーブ18と一緒に、クランプされている。
【0025】
非導電性の絶縁スリーブ25が、好ましくは銅又は銅合金から形成された金属製コンタクトソケット19上へと押し込まれる。コンタクトソケット19上における絶縁スリーブの最終位置においては、絶縁スリーブ25は、その一方の端面が、コンタクトソケット19の止まり穴凹所21の直前のところに位置するとともに、その他方の端面が、コンタクトソケット19のうちの、電流源に対して最も近い端部のところに位置する。絶縁スリーブ25の凹所を規定する内壁にも、また、コンタクトソケット19の外面の肩部22に対応した肩部26が設けられており、これにより、絶縁スリーブ25内へのコンタクトソケット19の挿入は、絶縁スリーブ25の肩部26によって制限されることとなる。絶縁スリーブ25は、肩部22の領域と、長手方向に見て肩部22の両側方と、の双方において、コンタクトソケット19の外面に対して当接している。その外側面上において、絶縁スリーブ25には、溶接ケーブルの端部から距離を置いたところに配置された環状フランジ27が設けられている。
【0026】
溶接電流ケーブル3には、その取り扱いのために、取り扱いデバイスの一部として把持スリーブ29が設けられている。把持スリーブ29は、コンタクトソケット19上に、及び、溶接電流ケーブル3上に、クランプされる。把持スリーブ29は、コンタクトソケット19の一部と、溶接電流ケーブル3の端部と、を取り囲む。把持スリーブ29は、クリック接続によって互いに接続される2つの把持シェル29a、29bを有している。この目的のために、2つの把持シェル29a、29bには、複数のラッチフック30及び複数の凹所31が設けられている。各々が把持シェル29a、29bの一方に対して一体的に結合されているラッチフック30は、それぞれ対応する凹所に対しての係合及びラッチのために設けられている。把持スリーブの一方の端部の領域においては、把持スリーブは、その内周面上に、内部にシールリング32が挿入される環状グルーブを有しており、シールリング32の内面は、溶接電流ケーブル3の外面保護絶縁スリーブ(シース)3aに対して当接する。
【0027】
他方の端部の端面のところにおいて、把持スリーブ29には、その内面上に、内壁の切欠35が設けられている。内壁を、絶縁スリーブ25の外面の端部領域上へと着座させつつ、把持スリーブ29のうちの、切欠によって形成された境界面は、ユニオンナット10の外周面の肩部10aであって、ユニオンナット10のうちの、溶接電流ケーブルの側方上における端部領域内に位置した肩部10aであるとともに、実質的に中空円筒形状のユニオンナット10の残部の側面よりも直径が小さな肩部10aと、重なり合っている。特に図4から理解されるように、ユニオンナット10は、2つのカム36の存在を除いては円滑なその内面上に、内周上において180°だけオフセットした位置に、互いに同じ2つのカム36を有し、これらカムのサイズは、カム36がグルーブ14内に配置され得るようにそして可能な限りスムーズに移動し得るように、ハウジング部分8のグルーブ14の高さ及び幅に適合したものとされている。カム36は、ユニオンナットの内面10b上において、溶接電流源に対して最も近い端面上のユニオンナット10の端部から短い距離を置いたところに、位置している。ユニオンナット10は、溶接電流ケーブルの端部領域内の内面上に、さらに小さな直径の第2領域へと連接する第1低減直径を有した領域に向けて、肩部を有している。
【0028】
特に図5から理解されるように、スプリング部材39が、直径の低減によって形成された内部環状端面38に対して当接しているとともに、一方の端部がこの内部端面38上に支持されている。ユニオンナット10が絶縁スリーブ25上へと押し込まれると、スプリング部材39は、他方の端部が、絶縁スリーブ25のフランジ27に対して当接する。絶縁スリーブ25は、コンタクトソケット19上へと軸線方向において固定されているけれども、ユニオンナット10は、把持スリーブ29と絶縁スリーブ25のフランジ27との間に位置したスプリング部材39のばね力に抗して軸線方向において前後に移動し得ることのために、スプリング部材39を、ユニオンナット10の軸線方向移動によって圧縮することができる。同様に、ユニオンナット10は、圧縮されたスプリング部材39のばね力によって、把持スリーブに向けて軸線方向に移動することができ、これにより、ロック位置においてはバヨネット内にしっかりとフィットすることを確保することができる。
【0029】
溶接電流ケーブル3を、溶接電流源1に対してあるいは他の溶接電流源に対して接続するに際し、溶接電流ケーブル3は、把持スリーブ29上において手動で取り扱うことができる。この目的のために、ユニオンナット10から突出しているコンタクトソケット19が、溶接電流源1の電極コンタクトデバイス5、6のうちの一方のコンタクトピン7に対して接続されるべきである。その場合、コンタクトソケット19は、コンタクトピン7上へと止まり穴19bを使用して案内される。自身の長手方向軸線まわりに回転可能であるユニオンナット10は、この時点で、手動操作によって、カム36が軸線方向においてハウジング部分8の端面の手前に位置するようにかつグルーブ14の入口のところにおいて回転方向に位置するように、カム36を位置合わせすることができる。次に、カム36を、長手方向軸線に対して平行な移動によって、グルーブ14内へと挿入することができる。これにより、スプリング部材39は、圧縮状態とされる。各カム36を、そのさらなる移動経路に沿って、それぞれ対応するグルーブ14内において案内することができる。カム36は、それぞれ対応するグルーブ14のうちの、長手方向軸線に対して平行に延びるセグメントを移動した後に、グルーブ14の略V字形状セグメントへと案内され、その略V字形状セグメントにおいて、カム36は、周方向の成分と長手方向軸線に対して平行な成分とを有した動きを実行する。この場合、ユニオンナット10は、周方向に移動し、これと同時に、最初に、スプリング部材39のばね力に抗してさらに持ち上げる動きを実行する。カム36が、V字形状の頂点へと到達した後には、スプリング部材は、回転移動時に、及び、これと同時的な、把持スリーブ29から離間する向きとは反対向きの、長手方向軸線に対して平行なわずかな持ち上げ移動時に、わずかに解放される。次に、溶接電流ケーブル3のユニオンナット10と、溶接電流源1のハウジング部分8と、の間のバヨネット接続が、形成される。V字形状のうちの、それぞれ対応するカム36が最初に横断したセグメントは、すなわち、グルーブの軸線方向に平行なセグメントとV字形状の頂点との間に延びるセグメントは、少なくとも長手方向においてはほぼ同じ長さを有しつつも、V字形状の第2セグメントよりも小さな勾配を有している。その結果、カム36をそのラッチ位置へと移動させるには、カム36をそのラッチ位置から移動させるよりも、より小さな力しか必要とされない。この設計は、バヨネット接続の意図しない緩みに対する追加的なセキュリティを可能とする。
【0030】
溶接電流ケーブル3と、溶接電流源1の電極コンタクトデバイス5、6の一方と、の間のこの接続は、この時点では、圧縮されたスプリング部材39に抗した力を及びこれと同時にハウジング部分8の周方向における逆向きの回転移動をもたらす力を印加することによってしか、解除することができない。
【0031】
本発明による溶接電流ケーブル3に関するさらに好ましい例示的な実施形態が、図6に示されている。この実施形態においては、アルゴン、CO、又は混合ガスなどの保護ガスのための媒体供給部材42が、バヨネット接続の直後において、ユニオンナット10の後方側において、そして、把持スリーブ29の止まり穴凹所21の後方側において、溶接電流ケーブル3内に組み込まれており、溶接電流ケーブルの中央凹所46内へと供給している。この点を除いては、図6の溶接電流ケーブルは、図2図5において図示して説明した溶接電流ケーブルに対応し、特に、溶接電流ケーブルと溶接電流源との間において溶接電流源と一緒に生成されるバヨネット接続にも対応している。したがって、図2図5による実施形態との相違点のみについて、以下において説明する。
【0032】
2部材型把持スリーブ29のシェル29a、29bには、その壁を貫通する通路43が設けられており、この通路に対して、外部からの供給ライン44が接続されている。この通路43は、把持スリーブ29を通って、コンタクトソケット19の止まり穴45内へと通じている。次に、止まり穴45は、この実施形態の溶接電流ケーブル3において媒体供給部材から他方の端部へと設けられた中央凹所46へと、通じている。この実施形態の溶接電流ケーブル3は、また、導電性銅ストランド47であって、凹所46と同軸的にケーブル内に配置された導電性銅ストランド47であり、さらに、一方の端部のところにおいて、コンタクトソケット19内の対応凹所内に挿入されてその中に配置される導電性銅ストランド47を、有している。次に、銅ストランド47は、溶接電流ケーブルのうちの、同様に同軸的に形成された絶縁スリーブ及び/又はシース48によって、囲まれている。この溶接電流ケーブル3を使用することにより、溶接電流源の電流及び電圧を、コンタクトソケット19を介して、溶接トーチに対してあるいは溶接回路内のデバイスに対して、伝達し得るとともに、保護ガスを、溶接トーチに対して供給することができる。溶接電流源と溶接電流ケーブルとの間の取り外し可能な接続は、図2図5における例示的な実施形態の場合と同じバヨネット接続を使用して行うことができ、溶接電流ケーブル上の構成要素は、とりわけユニオンナット10及びそのカム36は、回転移動及び負荷に関して、溶接電流ケーブル3自体から切り離されている。その結果、溶接電流ケーブル3も、また、ユニオンナット10の回転移動から切り離される。これに関しては、図1図5に関しての、対応する図示及び説明を参照することができる。
【0033】
本発明のさらに好ましい例示的な実施形態が、図7に示されている。これは、延長ケーブル50として設計された溶接電流ケーブルである。このような延長ケーブル50は、例えば、図4に示す溶接電流ケーブルなどの溶接電流ケーブルを延長するために、提供することができる。このような延長ケーブル50の用途は、例えば、図4の溶接電流ケーブルが溶接電流源を溶接回路の構成要素に対して接続するには短すぎる場合であり得る。その場合、延長ケーブル50を使用することにより、電極コンタクトデバイス5、6と、例えばアーク溶接トーチなどの溶接回路構成要素と、の間のより大きな距離を橋渡しすることができる。この目的のために、延長ケーブル50は、一方の端部のところに、プラグ接続部材51であって、そのジオメトリ及び形状が、図2及び図3に示すような電極コンタクトデバイスのプラグ部分に対応しているプラグ接続部材51を有している。プラグ接続部材51は、実質的に、図2及び図3の電極コンタクトデバイスのハウジング部分8及びコンタクトピン7に対応している。ケーブルのその端部のところにおいて、及び、プラグ接続部材51の領域において、延長ケーブル50には、また、把持スリーブ52であって、互いに連結される2つの把持シェルを有するとともに図4及び図5の把持スリーブ29と同様の設計を有した把持スリーブ52が、設けられている。溶接電流ケーブルのシース上にクランプされた把持スリーブ52は、プラグ接続部材51のハウジング部分53をその端面上において把持し、そのハウジング部分53を、延長ケーブル50のシース上に、シースに対して相対回転しない態様で固定する。
【0034】
プラグ接続部材51のコンタクトピン107は、ケーブル側の端面上に、凹所54を有し、この凹所内には、ケーブルの非絶縁端部が配置されて、ワイヤ端部スリーブ及びネジによってコンタクトピン107に対してクランプされる。コンタクトピン107の他端は、ハウジング部分53がコンタクトピン107を同心的に取り囲むようにして、ハウジング部分53内において突出する。コンタクトピン107のこの端部は、ハウジング部分53の端面58と比較して、わずかに引っ込んでいる。
【0035】
他方の端部のところにおいては、延長ケーブル50には、ソケット接続部材60であって、図4及び図5の溶接電流ケーブルにおけるソケット接続部材に対応するソケット接続部材60が、設けられている。特に、ここで使用されるユニオンナット110と把持スリーブ129とコンタクトソケット119とは、図4及び図5による例示的な実施形態における対応構成要素と同じである。この場合にも、ユニオンナット110は、延長ケーブル50のシースに対して回転可能である。図7から理解されるように、図4及び図5による例示的な実施形態の場合と同様に、コンタクトソケット119は、プラグ接続部材のユニオンナット110の端面を超えて突出する。ユニオンナットを超えて突出している端面の領域において、コンタクトソケット119は、ピン120が形成されている端面上に、止まり穴119aを有している。
【0036】
図8a、8bは、それぞれソケット接続部材67、68が設けられた2つの溶接電流ケーブル65、66の端部領域を示している。図8aにおけるソケット接続部材67は、図4及び図5におけるソケット接続部材に対して、完全に対応している。他方、図8bにおけるソケット接続部材68は、コンタクトソケット71の止まり穴69の端面の幾何形状の点で、相違している。図8aにおけるコンタクトソケット70とは異なり、コンタクトソケット71の場合には、円柱形状ピン73が、軸線方向においてより大きな長さを有しているとともに、図5におけるピン20と比較して及び図8aにおけるピンと比較して、より小さな直径を有している。図8a及び図8bの双方の実施形態において、それぞれのユニオンナットは、溶接電流ケーブルのシースに対して無限に回転させることができる。
【0037】
2つのコンタクトソケット70、71の各々には、プラグ接続部材77、78が割り当てられており、各プラグ接続部材のそれぞれ対応するコンタクトピン79、80は、関連するコンタクトソケット70、71に対して適合するように設計されている。特に、各コンタクトピン79、80のうちの、自由端面上に形成された凹所79a、80aは、長さ及び直径に関して、それぞれ対応するピン72、73の幾何形状に適合したものとされている。その結果、2つのソケット接続部材67、68の各々は、それぞれ対応するユニオンナットのカムをハウジング部分のグルーブ内へと挿入し得るとともにそれぞれ対応するラッチ位置へと駆動し得る位置において、それぞれ割り当てられたプラグ接続部材77、78に対してしか、挿入することができない。よって、これらのソケット/プラグ接続部材は、符号化され、これにより、プラグ接続部材を、他のタイプのそれぞれ対応するソケット接続部材と混同することがない。2つの電極コンタクトデバイスの各々に、2つのうちの一方が設けられている場合には、つまり、異なるソケット接続部材のうちの一方が設けられている場合には、それぞれ対応する電極コンタクトデバイス5、6に対して接続する時に、グランド電流ケーブルと、溶接電流源の正電極に関する溶接電流ケーブルと、を逆としてしまうことを、除外することができる。
【0038】
特に、図1から理解されるように、ハウジング4の上側部分4aは、下側ハウジング部分4bがなすT字形状の狭い前方部分130に対して、ハウジングの両側部において突出している。下側ハウジング部分4bがなすT字形状の後方側の幅広部分131に関し、上側ハウジング部分4aは、下側ハウジング部分4bの後方側の幅広部分131の幅に対して、少なくともほぼ対応した幅を有している。この構成においては、ハウジング4の両側部上における上側ハウジング部分4aの領域は、上側ハウジング部分の突出部分の下面132がハウジングカバーによってこの場合にはハウジングプレート133、134によって覆われているとともに、自由にアクセス可能とされている。上側ハウジング部分4aの下面132のこれらの2つの領域は、例示的な実施形態においては、長方形であり、ハウジング4の正面から及び片側から、自由にアクセスすることができる。上側ハウジング部分4aの下面132のこれら2つの領域は、下側ハウジング部分がなすT字形状の狭い部分によって、互いに離間されている。2つの電極コンタクトデバイス5、6のうちの1つは、各場合において、上側ハウジング部分4aの下面132の2つの領域のうちの1つ上に配置され、これにより、電極コンタクトデバイス5、6のうちの一方だけを、これらの2つの領域のいずれか上に配置することができる。よって、2つの電極コンタクトデバイス5、6は、本発明による好ましい溶接電流源のハウジング4から、上側ハウジング部分4aの下面132上において、突出している。
【0039】
ハウジング4の下面上においては、ハウジング4には、複数の構成部材からなる、とりわけ2つの構成部材からなる、設置部材138が設けられている。例示的な実施形態においては、2つの構成部材のうちの1つが図9に示されている設置部材138の2つの構成部材139は、互いに同じである。設置部材138の2つの構成部材139の各々は、ハウジング4の両側面の一方に対して連結されて、そこに固定される。設置部材138には、4つの脚部材140が設けられ、これらの各々は、設置部材138の長方形の基礎形状のコーナーのところに配置されている。4つの脚部材140の各々は、下面として平坦な設置面141(図1)を有しており、設置面により、それぞれ対応する脚部材140は、製造ホールの床などの適切な設置面上において自立する。すべての設置面141は、同じ2次元平面内に、とりわけ設置基礎/設置領域内に、位置している。設置基礎は、溶接電流源を設置することが意図されたほぼ平坦な設置面の表面と同じである。溶接電流源のいわゆる設置面積も、また、設置基礎の内部に位置している。設置面積は、設置基礎に対する垂直な向きでの、設置基礎に対しての溶接電流源1の投影である。よって、設置面積のサイズは、溶接電流源1の平面視に関して、溶接電流源の外形輪郭に起因する。
【0040】
図示された本発明の好ましい例示的な実施形態においては、上側ハウジング部分の下面132の2つの領域は、少なくとも実質的に、設置面141に対して及び設置基礎に対して平行な向きとされている。加えて、上側ハウジング部分の下面132の2つの領域は、設置面141から比較的大きな距離のところにあり、そのような大きな距離は、下側ハウジング部分4b及び設置部材138の高さに起因している。このようにして、電極コンタクトデバイス5、6は、上側ハウジング部分の下面の2つの領域に配置されているにもかかわらず、容易にアクセス可能である。
【0041】
電極コンタクトデバイス5、6の電極コンタクト部材の各々は、実質的に円柱形状のコンタクトピン7という形態で設計されている。それぞれのコンタクトピンの長手方向軸線は、下面132がなす面に対して、及び、上面上で設置が行われる設置基礎に対して、実質的に垂直な向きとされている。よって、2つの電極コンタクトデバイス5、6のコンタクトピン7の長手方向軸線は、互いに平行に延びている。本発明による溶接電流源は、好ましくは、さらに、少なくとも1つの溶接電流ケーブルを案内するためのデバイスを有することができる。溶接電流源1には、好ましくは、2つの溶接電流ケーブル3の各々に対して少なくとも1つの個別のケーブル案内手段145を提供するケーブル案内デバイスが設けられている。ケーブル案内手段145を使用することにより、溶接電流ケーブル3を、各溶接電流ケーブル3が所定のポイントにおいてハウジング4の輪郭から現れるようにして、溶接電流源1のハウジング上において所定の態様で案内することができる。図1図13の実施形態においては、チャネル状のケーブル案内手段145が、設置部材138上の溶接電流源4の各端面上に配置されている。チャネル状ケーブル案内手段145は、2つの脚部材140どうしの間において設置部材139上に位置しているとともに、溶接電流ケーブルを通過させ得るよう、その2つの端面上において解放されている。同様に、双方のチャネル状ケーブル案内手段145には、側方に、ケーブル案内手段145の全長にわたって延びるスロットであって、溶接電流ケーブル3をチャネル状ケーブル案内手段145内へと側方から内部へと挿入し得るスロットが設けられている。特に図10の正面視から理解されるように、2つのチャネル状ケーブル案内手段145は、溶接電流源1の輪郭の内部に配置されている。よって、各電極コンタクトデバイス5からの溶接電流ケーブル5、6は、設置基礎への投影に関して、それぞれ対応する電極コンタクトデバイス5、6から溶接電流源の背面へと進む設置面積内において延び、溶接電流源の背面のところにおいて、設置面積から所定の態様でのみ出現する。ケーブル案内手段145は、その内部と外部との双方において、ハンドル凹所の態様で設計することができ、これにより、溶接電流源を、ケーブル案内手段145を把持することによって、輸送することができる。
【0042】
図11に示すように、各チャネル状ケーブル案内手段145は、同じ設置部材139の前方の脚部材140から距離を置いて配置される。ケーブル案内手段145と前方脚部材との間のこの開放領域は、図12及び図13に示すように、他のケーブル案内手段として使用することができる。これらのケーブル案内手段を使用することにより、2つの溶接電流ケーブルの各々を、溶接電流源の輪郭内において、脚部材の設置基礎がなす面へと案内することができ、そこから及び/又は溶接電流源の輪郭外へと、引き出すことができる。このような解決策は、溶接電流源が吊り下げ位置に配置される用途においては特に重要なものとすることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 溶接電流源
2 制御パネル
3 溶接電流ケーブル
3a 保護絶縁スリーブ
4 ハウジング
4a 上側部分
4b 下側部分
5 電極コンタクトデバイス
6 電極コンタクトデバイス
7 コンタクトピン
7a 端面
7b 側面
8 ハウジング部分
8a 第1部分
8b 第2部分
8c 第3部分
10 ユニオンナット
10a 肩部
10b 内面
11 後方ハウジング部分
12 固定手段
14 グルーブ形状の凹所
15 端面
17 コンタクト接続デバイス
18 ワイヤ端部スリーブ
19 コンタクトソケット
19a 止まり穴
19b 止まり穴
20 ピン
21 止まり穴凹所
22 肩部
23 止めネジ
25 絶縁スリーブ
26 肩部
27 フランジ
29 把持スリーブ
29a 把持シェル
29b 把持シェル
30 ラッチフック
31 凹所
32 シールリング
33
35 切欠
36 カム
37 端面
38 端面
39 スプリング部材
42 媒体供給部材
43 通路
44 供給ライン
45 止まり穴
46 中央凹所
47 銅ストランド
48 絶縁スリーブ
50 延長ケーブル
51 プラグ接続部材
52 把持スリーブ
53 ハウジング部分
54 凹所
58 端面
60 ソケット接続部材
65 溶接電流ケーブル
66 溶接電流ケーブル
67 ソケット接続部材
68 ソケット接続部材
69 止まり穴
70 コンタクトソケット
71 コンタクトソケット
72 ピン
73 ピン
77 プラグ接続部材
78 プラグ接続部材
79 コンタクトピン
79a 凹所
80 コンタクトピン
80a 凹所
107 コンタクトピン
110 ユニオンナット
119 コンタクトソケット
119 止まり穴
120 ピン
130 狭い前方部分
131 後方側の幅広部分
132 下面
133 下面ハウジングプレート
134 下面ハウジングプレート
138 設置部材
139 設置部材の一部
140 脚部材
141 設置面
145 ケーブル案内手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-11-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーク溶接方法を実行するためにアーク溶接トーチに対して電流及び電圧を供給するための溶接電流源であって、
前記アーク溶接電流源には、ハウジングが設けられ、このハウジングには、アーク溶接方法の適合性のために前記溶接電流源内へと供給される電流及び電圧を処理するために変流器が設けられ、前記溶接電流源の前記ハウジング上には、2つの電極コンタクトデバイスが、さらに設けられ、前記電極コンタクトデバイスの各々は、長手方向軸線に沿って前記ハウジングから突出しているとともに、前記電極コンタクトデバイスの各々には、溶接電流ケーブルを受領するための接続手段が設けられ、
前記2つの電極コンタクトデバイスのうちの少なくとも1つは、前記溶接電流源の設置基礎が位置している面に対しての前記ハウジングの投影面の内部に全体的に位置しており、前記投影面は、前記設置基礎に対して垂直に延びる軸線に沿った投影によって行われたものであることを特徴とする、溶接電流源。