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特開2023-179843半導体装置及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179843
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/48 20060101AFI20231213BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H01L23/48 P
H01L21/60 321Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092691
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100200104
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 実
(72)【発明者】
【氏名】田靡 京
(57)【要約】
【課題】電気特性の向上、及び破壊を抑制することができる半導体装置、及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、ベッド部と、半導体素子と、コネクタと、を有する。半導体素子は、ベッド部と電気的に接続された第1電極と、第1方向において前記第1電極と対向する面に設けられた第2電極と、を有する。コネクタは、第2電極と電気的に接続された第1面を有し、第1面の端部から中央に向かう方向において第1面が傾斜している第1接続部と、第1接続部と電気的に接続され、ベッド部と離間して設けられるリード部と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド部と、
前記ベッド部と電気的に接続された第1電極と、
第1方向において前記第1電極と対向する面に設けられた第2電極と、
を有する半導体素子と、
前記第2電極と電気的に接続された第1面を有し、前記第1面の端部から中央に向かう方向において前記第1面が傾斜している第1接続部と、
前記第1接続部と電気的に接続され、前記ベッド部と離間して設けられるリード部と、
を有するコネクタと、を有する半導体装置。
【請求項2】
前記第1接続部は、前記第1方向において貫通する貫通孔をさらに有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記傾斜は、前記第1方向において角錐状または円錐状に設けられる請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1面は、前記第1面の端部から中央に向かう方向において溝部がさらに設けられた、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記コネクタは、前記第1接続部と前記リード部とを電気的に接続する第2接続部をさらに有し、
前記第2接続部と前記リード部とがはんだによって接続された、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
ベッド部と、
前記ベッド部と電気的に接続された第1電極と、
第1方向において前記第1電極と対向する面に設けられた第2電極と、
を有する半導体素子と、
前記第2電極と電気的に接続された第1面と、
前記第1面の端部から中央に向かう方向において前記第1面に設けられた溝部と、
を有する第1接続部と、
前記第1接続部と電気的に接続され、前記ベッド部と離間して設けられるリード部と、
を有するコネクタと、を有する半導体装置。
【請求項7】
前記第1接続部は、前記第1方向において貫通する貫通孔をさらに有する、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記溝部は、前記第1面に平行な面において、矩形または三角形である請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ベッド部に接合材を介して前記半導体素子を接続する工程と、
前記第2電極に接合材を介して前記コネクタを接続する工程と、
加熱により前記半導体素子に前記ベッド部及び前記コネクタの前記第1接続部を固着する工程と、
を有する請求項1乃至8いずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の1つとして、樹脂等で封止された半導体装置がある。樹脂等で封止された半導体装置は、例えば、半導体素子を載置するベッド部と、半導体素子の電極と電気的に接続されたコネクタと、半導体素子とベッド部とコネクタの少なくとも一部を封止する樹脂などで構成される。また、コネクタは外部端子となるリード部を有し、リード部の一部は樹脂から露出し、外部電極との電気的接続を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-335538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、電気特性の向上、及び破壊を抑制することができる半導体装置、及び半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、ベッド部と、半導体素子と、コネクタと、を有する。半導体素子は、ベッド部と電気的に接続された第1電極と、第1方向において第1電極と対向する面に設けられた第2電極と、を有する。コネクタは、第2電極と電気的に接続された第1面を有し、第1面の端部から中央に向かう方向において第1面が傾斜している第1接続部と、第1接続部と電気的に接続され、ベッド部と離間して設けられるリード部と、を有する。
【0006】
実施形態の半導体装置は、ベッド部と、半導体素子と、コネクタと、を有する。半導体素子は、ベッド部と電気的に接続された第1電極と、第1方向において第1電極と対向する面に設けられた第2電極と、を有する。コネクタは、第2電極と電気的に接続された第1面を有し、第1面の端部から中央に向かう方向において第1面に設けられた溝部と、を有する第1接続部と、第1接続部と電気的に接続され、ベッド部と離間して設けられるリード部と、を有する。
【0007】
また、実施形態の半導体装置の製造方法は、ベッド部に接合材を介して半導体素子を接続する工程と、第2電極に接合材を介してコネクタを接続する工程と、加熱により半導体素子にベッド部及びコネクタの第1接続部を固着する工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)第1の実施形態に係る半導体装置100の表面平面図。(b)第1の実施形態に係る半導体装置100の裏面平面図。
図2図1(a)に示すA-A’線による断面図。
図3】(a)第1の実施形態に係るコネクタ30の断面図。(b)第1の実施形態に係る第1接続部31の平面図。(c)図3(a)に示すB-B’線による断面図。
図4】(a)第1の実施形態の変形例に係るコネクタ30の断面図。(b)第1の実施形態の変形例に係る第1接続部31の平面図。(c)図4(a)に示すC-C’線による断面図。
図5】(a)~(c)第1の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す図。
図6】従来例に係る半導体装置400の断面図。
図7】従来例に係る半導体装置500の断面図。
図8】従来例に係る半導体装置500の製造方法を示す断面図
図9】(a)第1の実施形態の半導体装置100の製造途中を示す図。(b)図9(a)に示すD-D’線による断面図。
図10】第1の実施形態の半導体装置100の製造途中を示す図。
図11】(a)、(b)第1の実施形態の変形例に係る第1接続部31の平面図。
図12】(a)第2の実施形態に係る第1接続部31の平面図。(b)図12(a)に示すE-E’線による断面図。
図13】第2の実施形態の変形例に係る第1接続部31の平面図。
図14】第2の実施形態の変形例に係る第1接続部31の平面図。
図15】半導体素子20の上面と下面の斜視図。
図16】第1の実施形態の変形例に係る半導体装置の断面図。
図17】第1の実施形態の変形例に係る半導体装置の断面図。
図18】(a)第2の実施形態の変形例に係るコネクタ30の断面図。(b)第2の実施形態の変形例に係る第1接続部31の平面図。
図19】第1の実施形態の変形例に係る第1接続部31の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する符号を付す。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。なお、本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0010】
[第1の実施形態]
(半導体装置100の構造)
第1の実施形態に係る半導体装置100について、図1及び図2を参照して説明する。図1(a)は第1の実施形態に係る半導体装置100の表面平面図、図1(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置100の裏面平面図を示している。図2は、図1(a)に示すA-A’線による断面図を示している。なお、図1(a)において、後述する樹脂50は透過しているように示している。
【0011】
半導体装置100は、ベッド部10と、半導体素子20と、コネクタ30と、接合材40と、樹脂50と、を有する。
【0012】
以下、ベッド部10から半導体素子20に向かう方向をZ方向(第1方向)とする。また、Z方向と直交する方向をX方向(第2方向)、X方向及びZ方向と直交する方向をY方向(第3方向)とする。図1(a)及び図1(b)に示す半導体装置100はX-Y平面における平面図、図2に示す半導体装置100はY-Z平面における断面図を示している。なお、X方向、Y方向、及びZ方向は本実施形態では直交関係で示しているが直交に限定されず、互いに交差する関係であればよい。
【0013】
ベッド部10は、例えば、矩形形状である。ベッド部10は、金属である。ベッド部10は、例えば、銅(Cu)又は銅合金である。
【0014】
図15は、半導体素子20の上面と下面の斜視図を示している。半導体素子20は例えば縦型MOSFETであり、Z方向における下面にドレイン電極21、上面にソース電極22とゲート電極23が形成され、電流は下面から上面に流れる。半導体素子20はMOSFETに限定されず、IGBTなどでも適用可能である。また、半導体素子20は、例えばシリコン(Si)、炭化シリコン(SiC)、または窒化ガリウム(GaN)などで構成される。半導体素子20のドレイン電極21、ソース電極22及びゲート電極23は例えばアルミニウム(Al)が用いられる。
【0015】
半導体素子20のドレイン電極21とベッド部10は、Z方向において、接合材40を介して電気的に接続されている。
【0016】
コネクタ30は、第1接続部31と、第2接続部32と、リード部33と、を有する。第1の実施形態に係るコネクタ30について、図1図3を参照して説明する。図3(a)は第1の実施形態に係るコネクタ30の断面図、図3(b)は第1の実施形態に係る第1接続部31の平面図、図3(c)は図3(a)に示すB-B’線による断面図を示している。説明のために、図3(a)においては、後述する下面S1の傾斜を鎖線で示しており、図3(b)においては、実線で示している。また、図1図2、及び後述する図5図10において第1接続部31は鎖線、第2接続部32は一点鎖線、リード部33は二点鎖線によって示されている。
【0017】
図3(b)に示すように、第1接続部31のX-Y平面に平行な面の外周は、例えば、矩形形状である。第1接続部31のX-Y平面に平行な下面S1の各辺を、それぞれr1、r2、r3、r4とする。辺r1及び辺r3は、Y方向に並行な辺である。辺r2及び辺r4は、X方向に平行な辺である。第1接続部31には、X-Y平面において、貫通孔35が設けられている。貫通孔35は、Z方向において貫通している。図3(c)に示すように、第1接続部31の下面S1は、端部から中心に向かってZ方向において傾斜している。詳細には、第1接続部31の下面S1は、辺r1から貫通孔35に向かって、Z方向において傾斜している。すなわち、X方向において貫通孔35よりも辺r1に近い第1接続部31のZ方向の厚さは、X方向において辺r1よりも貫通孔35に近い第1接続部31の厚さよりも大きい。また、第1接続部31の下面は、辺r2から貫通孔35に向かって、Z方向において傾斜している。すなわち、Y方向において貫通孔35よりも辺r2に近い第1接続部31のZ方向の厚さは、X方向において辺r1よりも貫通孔35に近い第1接続部31の厚さよりも大きい。同様に、第1接続部31の下面S1は、辺r3、及び辺r4から貫通孔35に向かって、Z方向においてそれぞれ傾斜している。なお、半導体装置100において貫通孔35が設けられていない場合、図19に示すように、第1接続部31の下面S1のZ方向における傾斜は角錐状となる。図3(b)及び図3(c)に示すように、第1接続部31の下面S1のZ方向における傾斜は、下面S1において線対称であることが望ましい。
【0018】
以下、説明のために、Z方向の傾斜が始まる点を、始点O1とする。図3、及び後述する図4図11において、始点О1は一点鎖線によって示されている。第1の実施形態に係る半導体装置100においては、始点О1は第1接続部31の下面S1の各辺と一致しているように示した。しかしながら、図4に示すように、始点О1は、下面S1の各辺から離間した下面S1の領域と貫通孔35との間に設けられていても実施可能である。図4(a)は第1の実施形態の変形例に係るコネクタ30の断面図、図4(b)は第1の実施形態の変形例に係る第1接続部31の平面図、図4(c)は図4(a)に示すC-C’線による断面図を示している。始点О1が下面S1の各辺から離間した領域に設けられている点以外、第1の実施形態に係るコネクタ30と構成は同じである。
【0019】
第1接続部31の下面S1のZ方向における傾斜は、例えば、金属製の板材をプレスすることによって形成される。
【0020】
図2に示すように、第2接続部32は、一端321と他端322を有する。コネクタ30は、複数のリード部33を有する。複数のリード部33と第1接続部31は、第2接続部32を介して電気的に接続されている。詳細には、第2接続部32の一端321と第1接続部31の辺r3とが一体に形成されており、第2接続部32の他端322と各リード部33の一端331とが一体に形成されている。すなわち、第1接続部31、第2接続部32、及び複数のリード部33は一体に形成されている。また、図2においては、ベッド部10の下面及びリード部33の他端332の下面は、同一平面上にあるように示した。しかしながら、図16に示すように、ベッド部10の下面よりもリード部33の他端332の下面が下にあっても実施可能である。さらに、図2、及び図3(a)においては、第2接続部32の他端322と各リード部33の一端331とが一体に形成されているように示した。しかしながら、図17に示すように、第2接続部32の他端322と各リード部33の一端331とが分離しており、接合材40によって電気的に接続されていても実施可能である。
【0021】
第1の実施形態における半導体装置100は、半導体素子20のソース電極22とゲート電極23のそれぞれに接続される、複数のコネクタ30を有する。本実施形態においては、コネクタ30は2つ設けられている。1つのコネクタ30の第1接続部31の下面S1と半導体素子20のソース電極22は、接合材40を介して電気的に接続されている。
【0022】
また、別のコネクタ30の第1接続部31の下面S1と半導体素子20のゲート電極23は、接合材40を介して電気的に接続されている。なお、ゲート電極23と電気的に接続されているコネクタ30の第1接続部31の下面S1が端部から中心に向かう方向において傾斜していなくてもよく、第1接続部31の下面S1がX-Y平面において平坦でも実施可能である。コネクタ30は、例えばCuが用いられる。接合材40は、例えばはんだが使用される。
【0023】
樹脂50は、ベッド部10、半導体素子20、及びコネクタ30の少なくとも一部を覆う。詳細には、ベッド部10の下面と、コネクタ30の複数のリード部33の他端332の下面は、外部電源と接続される端子として樹脂50の外部に露出している。樹脂50は、例えばエポキシ樹脂が使用される。
【0024】
(半導体装置100の製造方法)
続いて、第1の実施形態に係る半導体装置100の製造方法について図5を参照して説明する。図5(a)~(c)は第1の実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す断面図である。
【0025】
まず、図5(a)に示すように、ベッド部10に接合材40を塗布し、接合材40が半導体素子20下面のドレイン電極21と接するように半導体素子20を搭載する。同様に、半導体素子20上面のソース電極22及びゲート電極23にそれぞれ接合材40を塗布し、接合材40がコネクタ30の第1接続部31の下面S1と接するようにコネクタ30を搭載する。
【0026】
その後、リフロー炉にて温度を上昇させ、接合材40を融解させる。これにより、接合材40がX-Y平面において広がる。この時、図5(b)に示すように、貫通孔35に余剰の接合材40が入り込む。その後、リフロー炉の温度を降下させ、図5(c)に示すように、接合材40を固着させることによってベッド部10と半導体素子20のドレイン電極21とを電気的に接続させる。同様に、半導体素子20のソース電極22及びゲート電極23とコネクタ30とを電気的に接続させる。
【0027】
最後に、ベッド部10、半導体素子20、及びコネクタ30の少なくとも一部を樹脂50で封止(モールド)する。この時、ベッド部10の下面の少なくとも一部と、コネクタ30の複数のリード部33の他端332の下面を樹脂50の外に露出させる。半導体装置100は、以上の工程によって形成される。
【0028】
(第1の実施形態の効果)
第1の実施形態の半導体装置100の効果について、比較例に係る半導体装置400及び半導体装置500を用いて説明する。図6は比較例に係る半導体装置400の断面図、図7は比較例に係る半導体装置500の断面図を示している。
【0029】
比較例に係る半導体装置400は、コネクタ30の第1接続部31の下面S1がZ方向において傾斜しておらず、且つ貫通孔35が設けられていない点で第1の実施形態の半導体装置100と異なる。すなわち、第1接続部31の下面S1はX-Y平面において平坦である。半導体装置400において、コネクタ30の第1接続部31の外周と半導体素子20の外周との間の、X方向またはY方向における距離が小さい場合、半導体装置400の製造時、半導体素子20とコネクタ30との間の接合材40が半導体素子20の外周からはみ出してしまうおそれがある。はみ出した接合材40がベッド部10と接触すると短絡し、半導体装置400が動作しない。
【0030】
一方、比較例の半導体装置500は、コネクタ30の第1接続部31に貫通孔35が設けられている点で、比較例の半導体装置400と異なる。貫通孔35が設けられることによって、半導体装置500の製造時、貫通孔35の内部に余剰の接合材40が入り込むため、半導体素子20の外周から接合材40がはみ出すことを防ぐことができる。しかしながら、図8に示すように、半導体装置500の製造時、貫通孔35の中心と半導体素子20の上面に塗布された接合材40の中心が大幅にずれると、接合材40を融解させた際に接合材40がX-Y平面において広がりきらず、第1接続部31の下面S1の一部と接しないおそれがある。この場合、半導体装置500の導電率の低下を引き起こすため、半導体装置500の電気特性悪化につながる。さらに、接合材40がX-Y平面において広がりきらず、半導体素子20の上面に設けられたソース電極22が貫通孔35から樹脂50に対して露出していると、外部から水分が侵入する可能性があり、ソース電極22が腐食するおそれがある。その場合、半導体装置500の破壊につながる。
【0031】
以上の内容を踏まえ、第1の実施形態に係る半導体装置100の効果について、図9及び図10を参照して説明する。図9(a)及び図10は第1の実施形態の半導体装置100の製造途中を示す図、図9(b)は図9(a)のD-D’線による断面図を示す図である。なお、図9(a)及び図9(b)は、貫通孔35の中心と半導体素子20の上面に塗布された接合材40の中心が大幅にずれた場合を示している。ここで、上述したように、第1の実施形態の半導体装置100はコネクタ30の第1接続部31の下面S1が貫通孔35に向かって傾斜している。リフロー炉にて温度を上昇させ接合材40を融解させると、図10に示すように、第1接続部31の下面S1の傾斜に沿って接合材40が広がる。そのため、第1接続部31の下面S1と接合材40との接触面積が大きくなるため、導電率の向上、及び外部からソース電極22への水分侵入を防ぐことができ、半導体装置100の電気特性悪化及び破壊を抑制することができる。第1接続部31の下面S1と接合材40とが偏りなく接触することにより、半導体装置100の使用時に発生する熱を分散して放熱できるため、半導体装置100の破壊をさらに抑制することができる。また、第1接続部31の下面S1に傾斜が設けられていることにより、半導体素子20と第1接続部31との間の接合材40のZ方向における厚さを大きくすることができる。これにより、半導体装置100に外力が加わった場合に接合材40の割れや剥がれを防ぐことができるため、半導体装置100の破壊を抑制することができる。
【0032】
本実施形態に係る半導体装置100は歩留まり改善への寄与や、第1接続部31の中心(貫通孔35の中心)と接合材40とのずれを許容できることなどから、製造効率の向上も可能となる。
【0033】
さらに、図3(b)及び図3(c)に示したように、第1接続部31の下面S1のZ方向における傾斜は、下面S1において線対称であることが望ましい。下面S1の傾斜が対称であると、接合材40が第1接続部31の下面S1に対して均等に広がり易くなる。
【0034】
[第1の実施形態の変形例]
第1の実施形態の変形例に係る半導体装置について、図11を参照して説明する。図11(a)は第1の実施形態の変形例に係る半導体装置に用いられる第1接続部31の断面図を示す断面図である。
【0035】
第1の実施形態の変形例に係る半導体装置は、コネクタ30の第1接続部31の下面S1に設けられた傾斜の始点О1が、X-Y平面上において45度回転している点で、第1の実施形態に係る半導体装置100と異なる。言い換えると、始点О1はr1、r2、r3、r4の各辺上に位置している。なお、図11(a)のB-B’線による断面図は図3(c)、図11(a)のC-C’線による断面図は図4(c)にそれぞれ対応している。第1の実施形態に係る半導体装置100と重複する点については、記載を省略する。
【0036】
第1の実施形態の変形例に係る半導体装置においても、第1の実施形態に係る半導体装置100と同様に、リフロー炉にて温度を上昇させ接合材40を融解させると、接合材40が第1接続部31の下面S1の傾斜に沿って広がる。そのため、第1接続部31の下面S1と接合材40が接する面積を大きくすることができ、半導体装置の電気特性悪化及び破壊を抑制することができる。
【0037】
なお、コネクタ30の第1接続部31の下面S1に設けられた傾斜の始点О1は、図11(b)に示すように、円形でも実施可能である。半導体装置において貫通孔35が設けられていない場合、図19に示すように、第1接続部31の下面S1のZ方向における傾斜は円錐状となる。この場合においても、第1の実施形態に係る半導体装置100と同様の効果を得ることができる。
【0038】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る半導体装置について、図12を参照して説明する。図12(a)は第2の実施形態に係る半導体装置に用いられる第1接続部31の平面図、図12(b)は図12(b)のE-E’線による断面図を示している。
【0039】
第2の実施形態に係る半導体装置は、コネクタ30の第1接続部31の下面S1に複数の溝部36が設けられている点で、第1の実施形態に係る半導体装置100と異なる。より詳細には、下面S1の辺または角部から貫通孔35に向かって、溝部36が形成されている。第1の実施形態に係る半導体装置100と重複する点については、記載を省略する。
【0040】
第2の実施形態に係る半導体装置においても、第1の実施形態に係る半導体装置100と同様に、リフロー炉にて温度を上昇させ接合材40を融解させると、接合材40が第1接続部31の下面S1の溝部36に沿って広がる。そのため、第1接続部31の下面S1と接合材40が接する面積を大きくすることができ、半導体装置の電気特性悪化及び破壊を抑制することができる。
【0041】
図12において、溝部36と第1接続部31の角部は離間しているように示した。しかしながら、図13に示すように、溝部36が第1接続部31の角部まで形成されていても実施可能である。第1接続部31の下面S1と接合材40が接する面積を大きくする観点では、溝部36が長い、すなわち溝部36が第1接続部31の角部まで形成されている方が好ましい。
【0042】
図12において、溝部36は4つ設けられているように示した。しかしながら、これに限らず、1つ以上設けられていれば実施可能である。なお、第1の実施形態に係る半導体装置100と同様、接合材40を第1接続部31の下面S1に対して均等に広げるために、下面S1において線対称であることが望ましい。
【0043】
図12において、溝部36は第1接続部31の角部から貫通孔35に向かって形成されているように示した。しかしながら、これに限らず、下面S1の各辺(r1、r2、r3、r4)から貫通孔35に向かって溝部36が形成されていても実施可能である。
【0044】
さらに、図12において、溝部36はX-Y平面において矩形であるように示した。しかしながら、図14に示すように、溝部36がX-Y平面において三角形であっても実施可能である。この場合においても、第1の実施形態に係る半導体装置100と同様の効果を得ることができる。
【0045】
[第2の実施形態の変形例]
第2の実施形態に係る半導体装置について、図18を参照して説明する。図18(a)は第2の実施形態の変形例に係る半導体装置に用いられる第1接続部31の断面図、図18(b)は第2の実施形態の変形例に係る半導体装置に用いられる第1接続部31の平面図を示している。図18(a)においては、説明のために、下面S1に設けられる傾斜、及び溝部36を鎖線で示している。
【0046】
第2の実施形態に係る半導体装置は、コネクタ30の第1接続部31の下面S1に複数の溝部36がさらに設けられている点で、第1の実施形態の変形例に係る半導体装置と異なる。
【0047】
第2の実施形態の変形例に係る半導体装置においても、第1の実施形態の変形例に係る半導体装置と同様に、リフロー炉にて温度を上昇させ接合材40を融解させると、接合材40が第1接続部31の下面S1の傾斜、及び溝部36に沿って広がる。そのため、第1接続部31の下面S1と接合材40が接する面積を大きくすることができ、半導体装置の電気特性悪化及び破壊を抑制することができる。
【0048】
なお、本実施形態における溝部36は、図14に示すような三角形に置き換えても実施可能である。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
10 ベッド部
20 半導体素子
21 ドレイン電極
22 ソース電極
23 ゲート電極
30 コネクタ
31 第1接続部
32 第2接続部
321 第2接続部の一端
322 第2接続部の他端
33 リード部
331 リード部の一端
332 リード部の他端
35 貫通孔
36 溝部
40 接合材
50 樹脂
100、400、500 半導体装置
S1 第1接続部の下面
O1 始点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19