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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179854
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 37/04 20060101AFI20231213BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20231213BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B60K37/04
B60R13/02 B
B60J5/00 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092717
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 駿
(72)【発明者】
【氏名】堀川 一樹
【テーマコード(参考)】
3D023
3D344
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB08
3D023BC01
3D023BD03
3D023BE25
3D344AA19
3D344AB01
3D344AD04
3D344AD13
(57)【要約】
【課題】 車両の傾斜状態を乗員に気付き易く表示することができる表示装置を提供する。
【解決手段】 ライン状に形成され発光様態が周囲と異なるマーカ部M,M1,M2を有する表示部L1,L2と、車両1の傾斜角度θ1,θ2に応じて表示部L1,L2のマーカ部M,M1,M2を制御する制御部と、を備え、表示部L1は、フロントガラス11の下辺に沿って延びるライン状に形成され、傾斜角度θ1は、車両1の左右方向の傾きであり、表示部L2は、サイドガラス14の下部にそって延びるライン状に形成され、傾斜角度θ2は、車両1の前後方向の傾きである。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン状に形成され発光様態が周囲と異なるマーカ部を有する表示部と、
車両の傾斜角度に応じて前記表示部の前記マーカ部を制御する制御部と、を備え、
ることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示部はフロントガラスの下辺に沿って延びる前記ライン状に形成され、
前記傾斜角度は前記車両の左右方向の傾きであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示部はサイドガラスの下部にそって延びる前記ライン状に形成され、
前記傾斜角度は前記車両の前後方向の傾きであることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示部は前記車両の前席及び後席のドアインナパネルに配置されることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御部は前記傾斜角度に応じて前記マーカ部の発光色を変化させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載される表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、表示装置は、送風口の外周に沿うように配置されたLED群でリング状に構成された発光手段を含み、取得された車両の傾斜角情報に基づき発光手段の発光を制御し、乗員に車両の傾斜状態(地面の傾斜状態)を報知するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-206140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の表示装置は、インストルメントパネルの下方に位置し、表示サイズも小さく、乗員が気づき難いといった問題点があった。
【0005】
そこで、本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の傾斜状態を乗員に気付き易く表示することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の表示装置は、ライン状に形成され発光様態が周囲と異なるマーカ部M,M1,M2を有する表示部L1,L2と、車両1の傾斜角度θ1,θ2に応じて表示部L1,L2の前記マーカ部M,M1,M2を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の第1の実施形態を示す表示装置の使用様態図。
図2】同上の表示装置の車両の左右方向が傾いた時の使用様態図。
図3】同上の表示装置の車両の前後方向が傾いた時の使用様態図。
図4】本開示の第2の実施形態を示す表示装置のロール角とマーカ部の点灯色の関係を表す図。
図5】本開示の第3の実施形態を示す表示装置の使用様態図。
図6】本開示の変形例を示す表示装置の使用様態図。
図7】本開示の変形例を示す表示装置の使用様態図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面に基づいて、本開示の表示装置の実施形態を、自動車である車両用の表示装置を用いて説明する。本開示は、車両用の表示装置にし、例えば、自動車や農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載される車両用の表示装置に適用することができる。
【0009】
(第1の実施形態)
本開示に係る表示装置の第1の実施形態を図1乃至3に基づいて説明する。
【0010】
以下の説明において、「前」、「後」、「上」、「下」、「右」及び「左」は、図中における定義「Fr.」、「Re.」、「To.」、「Bo.」、「R」、及び「L」に従う。尚、「前」は車両1の進行方向且つ該進行方向を見る運転者の視線方向であり、「上」は運転者の頭の方向であり、「右」は運転者の右手側である。また、図中の「H」は、重力が働く方向に垂直な水平面である。
【0011】
図1に示すように、表示装置は、表示部として前方表示部(表示部)L1と、側方表示部(表示部)L2と、制御部(図示せず)と、を有する。
【0012】
前方表示部L1は、運転席に着座した運転者(乗員)及び助手席に着座した乗員の前方に配置された車両1のフロントガラス11の下部のダッシュボード12に配置される。前方表示部L1は、フロントガラス11の下辺に沿って、左右のAピラー(フロントピラー)13の下部間を結ぶように延びるライン状に形成される。
【0013】
側方表示部L2は、運転者及び助手席の側方に配置された車両1のサイドガラス14の下部のドアインナパネル15に配置される。側方表示部L2は、サイドガラス14の下辺に沿って、Aピラー13の下部からBピラー(センターピラー)16(図5参照)の方へ延びるライン状に形成される。側方表示部L2は、左右2個両方のドアインナパネル15に配置される。
【0014】
表示装置は、透明又は半透明の透光部材の内部に複数の光源が前記ライン状に沿って配置される。光源は、何れも発光色の可変可能な赤光源、緑光源、青光源を有する3色LED(Light Emitting Diode)からなるフルカラーLEDで構成される。表示装置は、光源が発光した箇所が発光する。
【0015】
制御部は、合成樹脂からなる筐体に格納された回路基板上に、CPU、ROMやRAMといった記憶部、I/O、それらを相互に接続するバスラインを含むコンピュータを主体として構成される。この筐体は、車両1のダッシュボード12の内部に配置される。制御部は、検出部や車両1のECU(Electronic Control Unit)と接続され、それらから信号が入力されて情報を得る。制御部は、ECUや検出部からの情報に応じて前方表示部L1,側方表示部L2の発光を制御する。
【0016】
検出部は、車両1の内部に配置され、地面傾斜検出部と、車両傾斜検出部と、を少なくとも有する。
【0017】
地面傾斜検出部は、傾斜によるチャンバ内の液面の変化による静電容量の変化を角度として捉え、水平面(重力が働く方向に垂直な水平面)に対する角度を検出する傾斜センサからなり、検出信号を制御部へ出力(送信)する。地面傾斜検出部は、車両1の内部に複数個配置され、車両1の左右方向と前後方向の傾斜角度をそれぞれ検出することで、地面自体の水平面に対する傾斜角度を推定する。
【0018】
左右方向の地面傾斜検出部は、例えば図2に示すように、地面(地面)の左右方向の勾配が右側から左側へ下がる(道路の外側が内側に対し高くなるバンク、所謂片勾配)傾斜角度θ1で3度傾いていると、+3度という値を検出する。前後方向の地面傾斜検出部は、例えば図3に示すように、地面の前後方向の勾配が前側から後側へ下がる(登り坂道)傾斜角度θ2で10度傾いていると、+10度という値を検出する。
【0019】
車両傾斜検出部は、車両1の地面に対する傾斜角度であるピッチ角、ヨー角、ロール角といった姿勢角度を検出し、検出信号を制御部へ出力(送信)する。ロール角は、車両1の左右方向の傾き角度を示し、地面に対し、右側から左側へ下がるような傾斜の時は正数(+)で角度を示し、その逆の傾斜の時は、負数(-)で角度を示す。ロール角は、前方表示部L1により表示される。ピッチ角は、車両1の前後方向の傾き角度を示し、地面に対し、前側から後側へ下がるような傾斜の時は正数(+)で角度を示し、その逆の傾斜の時は、負数(-)で角度を示す。ピッチ角は、側方表示部L2により表示される。
【0020】
表示装置は、車両1の走行中やACC(アクセサリー)がON状態で、例えば、緑色等で発光し、車両1のIGN(イグニッション)がOFF状態になった後、所定時間後に消灯する。尚、この発光色は、乗員が任意に設定することができる。
【0021】
表示装置は、図1に示すように、乗員の設定により、車両1の水平面に対する傾斜角度を表示する路面傾斜モードになると、全体的に白色で発光すると共にマーカ部Mとして黄色の点光源で局所的に発光する。制御部は、このマーカ部Mの位置を地面傾斜検出部の傾斜角度の検出結果に応じて変化させる。制御部は、所定時間(例えば、1秒)毎に、マーカ部Mの位置を制御する。尚、マーカ部Mは、その中心部から離れるに従い色は白色になるグラデーション状に発光する。
【0022】
車両1が、左右方向及び前後方向共に水平な地面を走行中又は地面に停止している場合、図1に示すように、前方表示部L1のマーカ部Mである前方マーカ部M1は、前方表示部L1の左右方向の中央位置L1cに位置する。また、側方表示部L2のマーカ部Mである側方マーカ部M2は、側方表示部L2の前後方向の中央位置L2cに位置する。
【0023】
このように形成されることにより、乗員は、現在の車両1の地面が、略水平であることを確認することができ、車高調の調整時、アライメントの調整時、オイル残量のチェック時、残念量のチェック時、車中泊の場所を選定する時等に利用することができる。
【0024】
前方表示部L1は、左右方向の地面傾斜検出部の傾斜角度の検出結果に応じて前方マーカ部M1の発光位置を変える。前方表示部L1は、図2では、左右方向の地面傾斜検出部が+5度の時、前方表示部L1の最も右端L1rを前方マーカ部M1として点灯し、-5度の時、前方表示部L1の最も左端L1lを前方マーカ部M1として点灯するように設定されている。そのため、前方表示部L1は、図2に示すように、左右方向の地面傾斜検出部が+3度の時、中央位置L1cと右端L1rとの間の位置(詳細には、中央位置L1cから右端L1rまで6割の位置)が前方マーカ部M1として点灯する。
【0025】
従来、乗員は、ダッシュボード12などに取り付けられる傾斜計(水平器、水準器)で傾斜具合(角度)を知ることにより車酔いを軽減することができることが知られている。このように形成されることにより、乗員は、地面が左右方向にどの程度傾いているか確認することができ、車酔いを軽減することができる。
【0026】
側方表示部L2は、前後方向の地面傾斜検出部の傾斜角度の検出結果に応じて側方マーカ部M2の発光位置を変える。側方表示部L2は、図3では、前後方向の地面傾斜検出部が+5度の時、側方表示部L2の最も前端L2fを側方マーカ部M2として点灯し、-5度の時、側方表示部L2の最も後端L2rを側方マーカ部M2として点灯するように設定されている。そのため、側方表示部L2は、図3に示すように、左右方向の地面傾斜検出部が+3度の時、側方表示部L2の中央位置L2cと前端L2fとの間の位置(詳細には、中央位置L2cから前端L2fまで6割の位置)が側方マーカ部M2として点灯する。
【0027】
このように形成されることにより、乗員は、地面が前後方向にどの程度傾いているかをマーカ部Mの位置により容易に確認することができ、車酔いも軽減することができる。
【0028】
(第2の実施形態)
本開示に係る表示装置の第2の実施形態を図4に基づいて説明する。前述した第1の実施形態と同一部分、均等部箇所については同一符号を付して説明する。
【0029】
第1の実施形態では、表示装置は、路面傾斜モードにより車両1の地面に対する傾斜角度を表示していたが、本実施形態では、図4に示すように、乗員の設定により、姿勢傾斜モードにより車両1の地面に対する傾斜角度を表示する。表示装置は姿勢傾斜モードになると、全体的に水色(薄い青色)で発光すると共にマーカ部Mとして傾斜角度に応じた色の点光源で局所的に発光する。制御部は、このマーカ部Mの位置と色を車両傾斜検出部の傾斜角度の検出結果に応じて変化させる。
【0030】
例えば、前方表示部L1は、ロール角の検出結果に応じて前方マーカ部M1の位置と色を変化させる。前方表示部L1は、ロール角が+5度の時、右端L1rを前方マーカ部M1として点灯し、-5度の時、左端L1lを前方マーカ部M1として点灯する。前方マーカ部M1は、-1度から+1度の時は黄色で発光し、-1度から-3度の時及び+1度から+3度の時は橙色で発光し、-3度から-5度の時及び+3度から+5度の時は赤色で発光する。
【0031】
このように形成されることにより、乗員は、車両1の姿勢が地面に対しどの程度傾いているかをマーカ部Mの位置と色とにより容易に確認することができる。
【0032】
(第3の実施形態)
本開示に係る表示装置の第3の実施形態を図5に基づいて説明する。前述した第1の実施形態と同一部分、均等部箇所については同一符号を付して説明する。
【0033】
第1の実施形態では、表示装置は、前方表示部L1と側方表示部L2とを有していたが、本実施形態では、第2の側方表示部(表示部)L3を有する。第2の側方表示部L3は、運転者及び助手席の後ろ側の後席のサイドガラス17の下部のドアインナパネル18に配置される。第2の側方表示部L3は、サイドガラス17の下辺に沿って、Bピラー16の下部からCピラー(リアピラー)19の方へ延びるライン状に形成される。第2の側方表示部L3も、左右2個両方のドアインナパネル18に配置される。
【0034】
第2の側方表示部L3は、側方表示部L2と連なるように配置される。第2の側方表示部L3は、側方表示部L2と同様に発光を行う。
【0035】
このように形成されることにより、後席に着座した乗員は、車両1の左右方向の傾きを前方表示部L1で確認し、車両1の前後方向の傾きを第2の側方表示部L3で確認することができるので、地面が前後方向にどの程度傾いているかをマーカ部Mの位置により容易に確認することができ、車酔いも軽減することができる。
【0036】
(変形例)
尚、本開示の表示装置を上記した実施形態の構成を例に挙げて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。
【0037】
例えば、第1の実施形態では、表示装置は、全体的に白色で発光し、マーカ部Mが黄色で発光する発光様態であったが、図6に示すように、全体的に白色で発光し、マーカ部Mが非発光となるような発光様態であってもよい。つまり、マーカ部Mは、発光様態が周囲と異なる。また、図7示すように、前方表示部L1の中央位置L1cと右端L1rと左端L1lの位置のみ白色で発光し、マーカ部M1を黄色で発光してもよい。
【0038】
また、図1乃至6に示すように、表示装置の幅(太さ)は略一定であったが、適宜任意に変更してもよい。例えば、前方表示部L1は、図7示すように、中央位置L1cが最も太く、右端L1rや左端L1lに向かうに従い細くなってもよい。また、表示装置の長さも、適宜任意に変更してもよい。
【0039】
また、マーカ部Mは、点灯であったが、点滅であってもよい。また、表示装置の発光範囲や明るさも、適宜変更してもよい。また、表示装置は、フルカラーLEDからなる光源で構成されていたが、液晶表示素子と単色光源からなる構成であってもよく、また、有機ELパネルから構成されてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 車両
11 フロントガラス
12 ダッシュボード
13 Aピラー
14 サイドガラス
15 ドアインナパネル
16 Bピラー
17 サイドガラス
18 ドアインナパネル
19 Cピラー
L1 前方表示部(表示部)
L1c 中央位置
L1r 右端
L1l 左端
L2 側方表示部(表示部)
L2c 中央位置
L2f 前端
L2r 後端
L3 第2の側方表示部(表示部)
M マーカ部
M1 前方マーカ部
M2 側方マーカ部
θ1 傾斜角度
θ2 傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7