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特開2023-179862移動体システム、建材、移動体、及び、移動体の移動方法
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  • 特開-移動体システム、建材、移動体、及び、移動体の移動方法 図1
  • 特開-移動体システム、建材、移動体、及び、移動体の移動方法 図2
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  • 特開-移動体システム、建材、移動体、及び、移動体の移動方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179862
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】移動体システム、建材、移動体、及び、移動体の移動方法
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/00 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
B61B13/00 L
B61B13/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092741
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】李 周浩
【テーマコード(参考)】
3D101
【Fターム(参考)】
3D101BA03
3D101BB08
3D101BB16
3D101BB28
3D101BE08
(57)【要約】
【課題】突起の対象面からの突出量を必要に応じて抑えることができる移動体システムを提供する。
【解決手段】移動体システム100は、対象面Sにおける軌道に沿って設けられ、突出方向に移動自在である複数の突起5と、突起と係合しつつ移動可能な移動体1と、突起の対象面からの突出量を変化させる突出量変化機構3と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象面における軌道に沿って設けられ、突出方向に移動自在である複数の突起と、
前記突起と係合しつつ移動可能な移動体と、
前記突起の前記対象面からの突出量を変化させる突出量変化機構と、を備える
移動体システム。
【請求項2】
前記突出量変化機構は、前記移動体が前記突起に近接したことに反応して、前記移動体が近接した前記突起を前記対象面から突出した第1状態にするよう構成され、前記移動体から離反した前記突起を前記第1状態よりも突出量を小さくするよう構成されている
請求項1に記載の移動体システム。
【請求項3】
前記突出量変化機構は、前記移動体に設けられた引出部材からの力を受けた反応として、前記移動体が近接した前記突起を前記第1状態にするよう構成されている
請求項2に記載の移動体システム。
【請求項4】
前記力は磁力である
請求項3に記載の移動体システム。
【請求項5】
前記移動体は、前記突起と係合するレールを有し、
前記引出部材は、前記レールの端部に配置されている
請求項3に記載の移動体システム。
【請求項6】
前記レールは前記移動体の異なる複数の方向それぞれに設けられて、
前記引出部材は、前記複数の方向それぞれの前記レールの端部に配置されている
請求項5に記載の移動体システム。
【請求項7】
前記突出量変化機構は、前記移動体の近接を非接触で感知した反応として、前記移動体が近接した前記突起を前記第1状態にするよう構成されている
請求項2に記載の移動体システム。
【請求項8】
前記突出量変化機構は、前記移動体に設けられた引出部材からの力を非接触で受けた反応として、前記移動体が近接した前記突起を第1状態にするよう構成されている
請求項2に記載の移動体システム。
【請求項9】
移動体の移動の軌道を有する対象面を含む建材であって、
前記対象面における前記軌道に沿って設けられ、突出方向に移動自在に設けられた複数の突起を備え、
前記移動体は、前記突起と係合しつつ移動可能である
建材。
【請求項10】
前記移動体は、前記対象面から突出した第1状態にある前記突起と係合し、
前記移動体と係合していない前記突起を、前記第1状態よりも突出量が小さい位置に維持する部材をさらに備える
請求項9に記載の建材。
【請求項11】
前記突起の前記対象面からの突出量を変化させる突出量変化機構をさらに備える
請求項9に記載の建材。
【請求項12】
前記突出量変化機構は、前記移動体が前記突起に近接したことに反応して、前記移動体が近接した前記突起を前記対象面から突出した第1状態にするよう構成され、前記移動体から離反した前記突起を前記第1状態よりも突出量を小さくするよう構成されている
請求項11に記載の建材。
【請求項13】
突出方向に移動自在に複数の突起が設けられた対象面を、前記突起と係合しつつ移動可能な移動体であって、
進行方向の前後の少なくとも一方に、前記突起の前記対象面からの突出量を変化させる突出量変化機構を備える
移動体。
【請求項14】
突出方向に移動自在に複数の突起が設けられた対象面を、前記突起と係合しつつ移動可能な移動体の移動方法であって、
前記複数の突起のうちの第1の突起への前記移動体の接近に反応して、前記第1の突起を前記対象面から突出した第1状態にし、
前記移動体から離反した前記第1の突起を前記第1状態よりも突出量を小さくする、ことを含む
移動体の移動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体システム、建材、移動体、及び、移動体の移動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-30922号公報(以下、特許文献1)などにおいて、対象面の軌道上に設けられた複数の突起を利用して移動体を移動させることができる移動体システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-30922号公報
【発明の概要】
【0004】
特許文献1の移動体システムでは、移動体は突起と係合しつつ、対象面の指示された位置に移動する。対象面は、壁面や天井面に取り付けられる。これにより、特許文献1の移動体システムでは、移動体を室内の指示された位置に自在に移動させることが可能になる。
【0005】
しかしながら、特許文献1の移動体システムでは、対象面から突起が突出しているため、対象面が壁面や天井面に取り付けられると、美観に影響を及ぼす場合や、人や物体などが突起と衝突するなどの可能性もある。そのため、突起の対象面からの突出量を必要に応じて抑えることが望まれる。
【0006】
ある実施の形態に従うと、移動体システムは、対象面における軌道に沿って設けられ、突出方向に移動自在である複数の突起と、突起と係合しつつ移動可能な移動体と、突起の対象面からの突出量を変化させる突出量変化機構と、を備える。
【0007】
ある実施の形態に従うと、建材は、移動体の移動の軌道を有する対象面を含む建材であって、対象面における軌道に沿って設けられ、突出方向に移動自在に設けられた複数の突起を備え、動体は、突起と係合しつつ移動可能である。
【0008】
ある実施の形態に従うと、移動体は、突出方向に移動自在に複数の突起が設けられた対象面を、突起と係合しつつ移動可能な移動体であって、進行方向の前後の少なくとも一方に、突起の対象面からの突出量を変化させる突出量変化機構を備える。
【0009】
ある実施の形態に従うと、移動体の移動方法は、突出方向に移動自在に複数の突起が設けられた対象面を、突起と係合しつつ移動可能な移動体の移動方法であって、複数の突起のうちの第1の突起への移動体の接近に反応して、第1の突起を対象面から突出した第1状態にし、移動体から離反した第1の突起を第1状態よりも突出量を小さくする、ことを含む。
【0010】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態に係る移動体システムの概略図である。
図2図2は、移動体の斜視図である。
図3図3は、移動体の平面図である。
図4図4は、移動体の底面図である。
図5図5は、移動体の正面図である。
図6図6は、移動体の側面図である。
図7図7は、移動体の切替部材を説明するための概略図である。
図8図8は、対象面を含む建材の構成の一例を表した概略図である。
図9図9は、突出量変化機構による、突起の突出量の変化のさせ方の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<1.移動体システム、建材、移動体、及び、移動体の移動方法の概要>
【0013】
(1)本実施の形態に含まれる移動体システムは、対象面における軌道に沿って設けられ、突出方向に移動自在である複数の突起と、突起と係合しつつ移動可能な移動体と、突起の対象面からの突出量を変化させる突出量変化機構と、を備える。これにより、突起の対象面からの突出量を、必要に応じて変更させることができる。そのため、移動体の移動に必要な突起の突出量を移動体と係合可能な量として移動体の移動を可能にするとともに、移動に不要な突起の突出量を抑えることができる。
【0014】
(2)(1)の移動体システムであって、好ましくは、突出量変化機構は、移動体が突起に近接したことに反応して、移動体が近接した突起を対象面から突出した第1状態にするよう構成され、移動体から離反した突起を第1状態よりも突出量を小さくするよう構成されている。これにより、移動体の移動に必要な突起を第1状態として移動体の移動を可能にするとともに、移動に不要な突起の突出量を抑えることができる。
【0015】
(3)(2)の移動体システムであって、好ましくは、突出量変化機構は、移動体に設けられた引出部材からの力を受けた反応として、移動体が近接した突起を第1状態にするよう構成されている。これにより、移動体の進行方向前方の突起を第1状態として、移動体の移動を可能にすることができる。
【0016】
(4)(3)の移動体システムであって、好ましくは、上記力は磁力である。これにより、突出量変化機構は、移動体に設けられた引出部材からの磁力を受けた反応として、移動体が近接した突起を第1状態にすることができる。なお、上記力は、他の例として、バキュームによる力や風圧を利用した力などの、磁力以外の力であってもよい。このような場合でも、突出量変化機構は、移動体に設けられた引出部材からの力を受けた反応として、移動体が近接した突起を第1状態にすることができる。
【0017】
(5)(3)又は(4)の移動体システムであって、好ましくは、移動体は、突起と係合するレールを有し、引出部材は、レールの端部に配置されている。これにより、少なくとも進行方向前方の突起に引出部材からの力を作用させることができる。
【0018】
(6)(3)の移動体システムであって、好ましくは、レールは移動体の異なる複数の方向それぞれに設けられて、引出部材は、複数の方向それぞれのレールの端部に配置されている。これにより、移動体の移動方向に関わらず、少なくとも進行方向前方の突起に引出部材からの力を作用させることができる。
【0019】
(7)(2)~(6)のいずれか1つの移動体システムであって、好ましくは、突出量変化機構は、移動体の近接を非接触で感知した反応として、移動体が近接した突起を第1状態にするよう構成されている。これにより、突出量変化機構は、移動体が近接した、進行方向前方の突起を第1状態にすることができる。
【0020】
(8)(2)~(7)のいずれか1つの移動体システムであって、好ましくは、突出量変化機構は移動体に設けられた引出部材からの力を非接触で受けた反応として、移動体が近接した突起を第1状態にするよう構成されている。これにより、突出量変化機構は、移動体が近接した、進行方向前方の突起を第1状態にすることができる。
【0021】
(9)本実施の形態に含まれる建材は、移動体の移動の軌道を有する対象面を含む建材であって、対象面における軌道に沿って設けられ、突出方向に移動自在に設けられた複数の突起を備え、移動体は、突起と係合しつつ移動可能である。これにより、突起の対象面からの突出量を、必要に応じて変更させることができる。そのため、移動体の移動に必要な突起の突出量を移動体と係合可能な量として移動体の移動を可能にするとともに、移動に不要な突起の突出量を抑えることができる
【0022】
(10)(9)の建材であって、移動体は、対象面から突出した第1状態にある突起と係合し、好ましくは、建材は、移動体と係合していない突起を、第1状態よりも突出量が小さい位置に維持する部材をさらに備える。これにより、移動体と係合していない突起を、第1状態よりも突出量が小さい位置に維持することができる。
【0023】
(11)(9)又は(10)の建材であって、好ましくは、突起の対象面からの突出量を変化させる突出量変化機構をさらに備える。これにより、突起の対象面からの突出量を、必要に応じて変更させることができる。
【0024】
(12)(11)の建材であって、好ましくは、突出量変化機構は、移動体が突起に近接したことに反応して、移動体が近接した突起を対象面から突出した第1状態にするよう構成され、移動体から離反した突起を第1状態よりも突出量を小さくするよう構成されている。これにより、移動体の移動に必要な突起を第1状態として移動体の移動を可能にするとともに、移動に不要な突起の突出量を抑えることができる。
【0025】
(13)本実施の形態に含まれる移動体は、突出方向に移動自在に複数の突起が設けられた対象面を、突起と係合しつつ移動可能な移動体であって、進行方向の前後の少なくとも一方に、突起の対象面からの突出量を変化させる突出量変化機構を備える。これにより、進行方向の前後の少なくとも一方の突起の対象面からの突出量を、必要に応じて変化させることができる。そのため、移動体の移動に必要な突起の突出量を移動体と係合可能な量として移動体の移動を可能にするとともに、移動に不要な突起の突出量を抑えることができる。
【0026】
(14)本実施の形態に含まれる移動体の移動方法は、突出方向に移動自在に複数の突起が設けられた対象面を、突起と係合しつつ移動可能な移動体の移動方法であって、複数の突起のうちの第1の突起への移動体の接近に反応して、第1の突起を対象面から突出した第1状態にし、移動体から離反した第1の突起を第1状態よりも突出量を小さくする、ことを含む。第1の突起は、複数の突起のうち移動体の接近に反応して突出した突起であり、複数の突起のいずれもが第1の突起になり得る。第1の突起は、同時に1つだけ存在してもよいし、同時に2以上存在してもよい。これにより、移動体の移動に必要な突起を第1状態として移動体を移動させるとともに、移動に不要な突起の突出量を抑えることができる。
【0027】
<2.移動体システム、建材、移動体、及び、移動体の移動方法の例>
【0028】
図1は、本実施の形態に係る移動体システム100の概略図である。図1を参照して、移動体システム100は、対象面S上を移動可能な移動体1と、対象面S上に設けられた、後述の突起5と、突起5の対象面Sからの突出量を変化させる、後述の突出量変化機構3と、を有する。対象面Sの表面は、移動体1が移動する側の面を指す。
【0029】
突起5は、対象面S上の、軌道Ox,Oyに沿って複数、設けられている。移動体1は、軌道Ox,Oyに沿って移動する。軌道Ox,Oyは、直線であっても曲線であってもよい。ここでは軌道Ox,Oyは、直線であるものとする。また、軌道Ox,Oyは、角度を有する。すなわち、軌道Ox,Oyは、それぞれ、第1の方向及び第2の方向の軌道である。一例として、第1の方向と第2の方向とは直交し、図1では第1の方向をX方向、第2の方向をY方向で表している。また、図1では、対象面S上に、X方向に伸びる複数の軌道Ox1,Ox2,Ox3,Ox4、及び、Y方向に伸びる複数の軌道OyA,OyB,OyC,OyD,OyEが併設されている。軌道Ox1,Ox2,Ox3,Ox4を代表させて軌道Ox、軌道OyA,OyB,OyC,OyD,OyEを代表させて軌道Oyとする。
【0030】
軌道Ox上には複数の突起5が間隔d1の等間隔に配置されている。また、軌道Oy上には複数の突起5が間隔d2の等間隔に配置されている。すなわち、複数の突起5は、第1の方向と第2の方向とに、対象面Sに二次元に配置されている。これにより、後述の仕組みで移動体1を移動させる際に、二次元に移動させることができる。なお、突起5の間隔d1,d2を代表して間隔dとも称する。
【0031】
詳しくは、図1の例では、軌道Ox1上に間隔d1で突起5-1A,5-1B,5-1C,5-1D,5-1Eが配置され、軌道Ox2上に間隔d1で突起5-2A,5-2B,5-2C,5-2D,5-2Eが配置され、…軌道Ox4上に間隔d1で突起5-4A,…,5-4Eが配置されている。また、軌道OyA上に間隔d2で突起5-1A,5-2A,5-3A,5-4Aが配置され、軌道OyB上に間隔d2で突起5-1B,5-2B,5-3B,5-4Bが配置され、…軌道OyE上に間隔d2で突起5-1E,…,5-4Eが配置されている。これら突起5-1A~5-4Eを代表させて突起5とする。
【0032】
軌道Ox上の突起5の間隔d1と軌道Oy上の突起5の間隔d2とは等しくてもよい(d1=d2)。つまり、複数の突起5は、直交するX方向及びY方向の両方向に等間隔で配置される。これにより、後述の仕組みで移動体1を移動させる際に、二次元の移動が容易になる。
【0033】
移動体1は、突起5からの脱落せずに係合した状態で、軌道Ox,Oyに沿って、つまり、X方向又はY方向を進行方向として移動する。そのため、移動体1及び突起5の少なくとも一方は、移動体1が突起5から脱落せずに係合するための係合構造を有する。突起5の係合構造の一例は、図1に示された係合部5aである。係合部5aは、突起5の対象面Sから遠い側の端部、つまり、突起5の先端に設けられた、突起5の凸方向とは異なる方向に突出した形状を有する。これにより、移動体1側に凹形状の部分を形成することで、移動体1を突起5から脱落せずに係合することが可能になる。
【0034】
突起5は、突出方向に移動自在である。突出量変化機構3は、突起5の対象面Sからの突出量を変化させる機構である。突出量は、突起5の対象面Sからの高さ(長さ)である。対象面Sからの長さは、対象面Sに対して直交する方向の長さであってもよいし、突出方向の長さであってもよい。突出方向は、突起5の延びる方向であって、一例として、対象面Sに直交する方向である。
【0035】
突出量変化機構3を有することによって、移動体システム100では、突起5の突出量を必要に応じて変更させることができる。それにより、移動体1から離反した突起5や、移動体1が係合しない突起5などの不要な突起5の突出量を抑えることができる。
【0036】
突出量変化機構3は、第1の例として、移動体1と、後述する対象面Sを含む建材500との両方に設けられている。第2の例として、突出量変化機構3は、建材500のみに設けられていてもよい。突出量変化機構3は、第3の例として、移動体1のみに設けられていてもよい。以降では、第1の例について説明する。
【0037】
突出量変化機構3は、移動体1が突起5に近接したことに反応して、移動体1が近接した突起5を対象面Sから突出させ(第1状態)、移動体1から離反した突起5を第1状態よりも突出量を小さくする(第2状態)、よう構成されている。
【0038】
第1の例において、反応は、例えば、移動体1から力を受けたことへの反応を指す。詳しくは、突出量変化機構3は、移動体1に設けられた、後述の引出部材31を含み、引出部材31からの力を受けた反応として、移動体1が近接した突起5を第1状態にするよう構成されている。引出部材31からの力は、例えば、無接触で引き出す力であって、一例として磁力である。
【0039】
図2図7は、移動体1を説明するための図である。図2は、移動体1の斜視図である。図3は、移動体1の平面図である。図4は、移動体1の底面図である。図5は、移動体1の正面図である。図6は、移動体1の側面図である。図7は、移動体1の切替部材14を説明するための概略図である。
【0040】
図を参照して、移動体1は、移動用レール(以下、レールと言う)11を有する。レール11は、例えば、アルミフレームである。詳しくは、移動体1は、第1の方向であるD1方向に延伸し、長さL1の2本のレール11-1A,11-1Bと、第2の方向であるD2方向に延伸し、長さL2の2本のレール11-2A,11-2Bと、を有する。これらレール11-1A,11-1B,11-2A,11-2Bを代表してレール11と称する。また、D1方向に延伸するレールをレール11-1、D2方向に延伸するレールをレール11-2とも称する。また、レール11の長さL1,L2を代表させて長さLとも称する。なお、ここでのレール11は、連続した一体のレールのみならず、延伸方向を同一として接手などによって接合された複数のレールを含んでもよい。
【0041】
レール11-1A,11-1Bの間隔E1、及び、レール11-2A,11-2Bの間隔E2は、いずれも、各レール11-1,11-2の方向に連続する突起5の間隔dの2倍(間隔d×2)の長さである。これにより、レール11-1A,11-1B、及び、レール11-2A,11-2Bは、共に、同時に複数の突起5と係合可能になる。その結果、移動体1は、軌道Ox,Oyに沿って移動することができる。
【0042】
D1方向とD2方向とのなす角度は、軌道Ox,Oyのなす角度に対応している。一方のレールが軌道Oxの移動に用いられ、他方のレールが軌道Oyの移動に用いられるためである。この例では、D1方向とD2方向とは直交する。これにより、移動時の方向転換が容易になる。
【0043】
移動体1は、さらに、移動体1を進行方向に移動させる移動部として、ローラ12と、ローラ12を回転させる駆動部13と、を有する。一例として、移動体1は、中央部分に、平行に取り付けられたローラ12A,12Bを有する。ローラ12A,12Bは、レール11を含む平面内にて回転可能に取り付けられている。ローラ12A,12Bを代表させてローラ12と称する。
【0044】
駆動部13はモータ等の動力源を含み、後述の制御装置200からの制御に従って、動力源からの動力によってローラ12A,12Bを回転させる。また、駆動部13は、後述の制御装置200からの制御に従って、ローラ12A,12Bの方向を、レール11を含む平面内にて変更する。また、駆動部13は、後述の制御装置200からの制御に従って、ローラ12A,12Bの回転方向を正回転と逆回転とで切り替える。
【0045】
ローラ12が対象面Sと接触しながら回転することによって、対象面Sとの間で生じる摩擦力に従って移動体1はD1方向又はD2方向の推進力を得る。これにより、移動体1の進行方向をD1方向又はD2方向とすることができる。また、移動体1の進行方向をD1方向とD2方向とで切り替えることができる。
【0046】
図5を参照して、レール11は、ガイド部112を有する。ガイド部112は、対象面Sから突出量Hの突起5の進入を許容するよう形成された、レール11の内空である。その内空は、突起5とレール11との相対移動をガイドするように、延伸方向に連続して溝を形成している。これにより、レール11内部に進入した突起5の、内部での延伸方向への移動がガイドされる。その結果、突起5とレール11との相対移動が実現される。
【0047】
図5を参照して、レール11は、係合部111を有する。係合部111は、レール11側の係合構造である。係合部111は、ガイド部112の内壁よりレール11の内側に突出した凸形状の鍔部である。図5の例の場合、突起5の係合部5aは突起5の凸方向を対称軸として少なくとも両側、好ましくは、放射状に突出している。これに対して、係合部111は、対象面Sから突出量Hの突起5を挟むように、突起5の凸方向を対称軸として両側から突出している。これにより、図5に示されたように、突起5の係合部5aは凸方向を対称軸とした両側が、係合部111と係合する。
【0048】
レール11の端部には、ガイドパーツ113が設置されている。ガイドパーツ113は開口している。これにより、突起5は、移動体1の移動に伴ってガイドパーツ113の開口を通過してガイド部112に進入する。鍔部は、延伸方向に連続して形成されている。そのため、突起5がガイド部112内で延伸方向に移動すると、係合部5aの係合部111への係合が突起5の移動の間も維持される。これにより、移動体1は突起5から脱落せずに係合状態を維持して軌道Ox,Oyに沿って移動することができる。
【0049】
ガイドパーツ113の幅はレール11の幅より大きい。そのため、ガイド部112の中心が多少、突起5から幅方向にずれていても、突起5がガイドパーツ113の幅内にあるような位置であれば、突起5を移動体1の移動に伴ってガイド部112に進入させることができる。これにより、開口しているガイド部112への突起5の進入が容易になる。
【0050】
突起5の係合構造及びレール11の係合構造は、例示された係合部5a及び係合部111に限定されない。他の例として、突起5及びレール11の係合構造は、いずれも、1方向のみに突出したかぎ型形状であって、それらが係合するものであってもよい。
【0051】
好ましくは、移動体1は、係合部111での係合を固定するロック部17を有する。ロック部17は、後述の制御装置200からの制御に従って、係合の固定、解除を行う。ロック部17の構成は特定の構成に限定されない。ロック部17は、一例として、支柱131によって駆動部13に取り付けられ、ローラ12A,12Bの回転を停止、許容する機構を含んでもよい。
【0052】
好ましくは、レール11の長さLは、進行方向に並ぶ突起5の3つ分の間隔、つまり、進行方向に連続する突起5の間隔dの2倍(間隔d×2)より長い(L>2×d)。これにより、移動体が軌道Ox,Oyに沿って移動する際に、レール11は、同時に複数の突起5と係合可能になる。その結果、レール11は軌道Ox、Oyとの平行が保たれやすくなり、開口しているガイド部112への突起5の進入が容易になる。そのため、移動体1を対象面Sに対して安定した状態で移動させることができる。
【0053】
各レール11の端部には、上面に引出部材31が配置されている。引出部材31は、突出量変化機構3に含まれる部材である。引出部材31は、一例として磁石31Aである。
【0054】
D1方向に延伸するレール11-1とD2方向に延伸するレール11-2との交差部には、切替部材14が配置されている。詳しくは、レール11-1Aとレール11-2Aとの交差部に切替部材14A、レール11-1Aとレール11-2Bとの交差部に切替部材14B、レール11-1Bとレール11-2Bとの交差部に切替部材14C、及び、レール11-1Bとレール11-2Aとの交差部に切替部材14Dが配置されている。これら切替部材14A~14Dを代表させて切替部材14と称する。
【0055】
切替部材14は、2本のレール11の交差部であって、レール11のガイド部112に内に設けられている。図7に示されるように、切替部材14は、交差する2本のレールの一方の延伸方向のガイド部112への突起5の進入を許容し、他方の延伸方向のガイド部112への突起5の進入を非許容とする。図7の上の図は、D1方向への突起5の進入を許容し、D2方向への進入を非許容とした状態であって、第1の進行状態とする。また、図7の下の図は、D2方向への突起5の進入を許容し、D1方向への進入を非許容とした状態であって、第2の進行状態とする。
【0056】
切替部材14A~14Dには、それぞれ、駆動部15A~15Dが接続されている。駆動部15A~15Dを代表させて駆動部15とも称する。なお、駆動部15A~15Dは、単一の駆動源を切替部材14A~14Dそれぞれに接続するものであってもよい。
【0057】
駆動部15は、制御装置200の制御信号に従って、接続されている切替部材14を駆動し、突起5の進入を許容するレール11を切り替えさせる。一例として、図7に示されたように、切替部材14をR3回転方向に回転させ、第1の進行状態と第2の進行状態とを切り替える。これにより、移動体1の進行方向を容易に切り替えることができる。その結果、目的とする位置に移動体1を容易に移動させることができる。
【0058】
一例として、切替部材14には、ガイド部112と同形状の溝が形成されている。そして、駆動部15は、溝の向く方向を切り替えるように切替部材14を回転させることによって各方向のレール11への突起5の進入を許容/非許容とする。この場合、交差部から所定範囲であって、多少、交差部からずれた位置に突起5があった場合であっても、切替部材14が駆動部15によってR3回転方向に回転することで、突起5が切替部材14の溝内にあった場合には交差部に位置合わせすることができる。従って、この場合、切替部材14は、交差部付近にある突起5を交差部に位置合わせする部材でもある。
【0059】
制御装置200の制御信号に従う駆動部13によってローラ12の向きがD1方向とD2方向とで切り替わる。また、制御装置200の制御信号に従う切替部材14によってレール11内で許容される突起5の進行状態が第1の状態と第2の状態とで切り替わる。この切替の組み合わせによって、移動体1は、対象面Sに二次元上に設置された突起5の上を移動することができる。すなわち、駆動部13B,13Dによってローラ12の向きをD1方向とし、切替部材14によって第1の進行状態としたとき、移動体1の進行方向はD1方向となる。
【0060】
移動体1は、方向転換を行うポイントに設置された突起5(対象突起)がレール11の交差部まで移動したタイミングで、進行方向をD1方向とD2方向とに転換する切替動作を行う。すなわち、対象突起がレール11内部のガイド部112をD1方向に進行して交差部まで達すると、駆動部13B,13Dによるローラ12A,12Bの回転が終了する。その位置にて、切替部材14によって進行状態が第1の進行状態から第2の進行状態に切り替えられる。その後に、駆動部13A,13Cによってローラ12A,12CのR2回転方向の回転が開始される。これにより、移動体1は、対象突起まで進行方向をD1方向として移動し、対象突起で進行方向をD2方向に切り替えることができる。この制御を繰り返すことによって、移動体1を対象面S上の任意の位置に移動させることができる。
【0061】
移動体1が進行方向を変えずに移動するとき、突起5は一延伸方向のレール11内を移動する。突起5が交差部を通過する場合、切替部材14は、そのレール11の延伸方向の突起5の進入を許可し、そのレール11に直交するレール11への突起5の進入を非許可とする進行状態としている。これにより、突起5はその交差部を通過可能であるとともに、直交するレール11への進入が防がれる。対象面Sが垂直面などの水平面から角度を有する面である場合、直交するレール11への進入が非許可とされていないと、通過時に直交するレール11へ突起5が進入してしまい、移動体1の落下につながる。従って、この場合、切替部材14は、突起5が交差部付近となった位置での軌道からの落下を防止する部材でもある。
【0062】
好ましくは、レール11の交差部にセンサ16A~16Dが設置される。これらセンサ16A~16Dを代表させてセンサ16と称する。センサ16は近接センサであって、赤外線や超音波などを利用するものであってよい。センサ16は、レール11の交差部への突起5の接近を検出する。突起5の検出結果をカウントすることによって、移動体1の移動距離が得られる。これにより、移動体1の対象面S上での位置をセンシングすることができる。
【0063】
移動体システム100は、移動体1の移動を制御する制御装置200を含む。制御装置200は、1台の装置によって構成されるものであってもよいし、複数台の装置が協働して構成されていてもよい。1又は複数の装置は、一般的なコンピュータであってよい。制御装置200は、ネットワーク上のサーバであってもよい。又は、移動体1近傍に設置された1台又は複数のコンピュータや、スマートフォンなどであってもよい。
【0064】
制御装置200は、一例として、1台のコンピュータによって構成されている。図1を参照して、制御装置200は、プロセッサ21とメモリ22とを有する。プロセッサ21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。また、制御装置200は、無線又は有線によって移動体1と通信するための通信部23を有する。また、制御装置200は、オペレータからの操作を受け付ける入力部24を有する。制御装置200は、オペレータから受け付けた移動体1の移動経路や、目的位置の指定に基づいて、移動体1が対象面S上を移動するように制御する。
【0065】
一例として、制御装置200は、対象面S上の突起5を位置情報として予め記憶しておく。これにより、制御装置200は、突起5によって、経路や目的位置を特定するとともに、移動体1を、現在位置から目的位置まで移動させる経路を突起5によって特定することができる。
【0066】
制御装置200は、特定された移動経路に基づいて、ローラ12の回転/停止を指示する制御信号を駆動部13に出力する。これにより、移動体1が進行方向に移動する。また、制御装置200は、特定された移動経路に基づいて、ローラ12の方向の変換を指示する制御信号を駆動部13に出力する。これにより、移動体1の進行方向が変更される。切替部材14を回転させる制御信号を駆動部15に出力する。これにより、移動体1が方向転換したり直進したりして移動する。
【0067】
制御装置200は、センサ16からセンサ信号を取得する。これにより、制御装置200は、移動体1の位置を検出することができる。検出された位置に従って、上記の制御信号を出力する。これにより、高精度で移動体1を移動させることができる。
【0068】
図8は、対象面Sを含む建材500の構成の一例を表した概略図である。図8を参照して、建材500は、表面が対象面Sとなる第1板501と、その裏面側に、第1板501と平行に間隔Gを隔てて配置される第2板502と、を有する。第1板501と第2板502との間には間隔Gによって空間503が形成されている。
【0069】
第2板502の第1板501から遠い側の面は、壁面Wに取り付け可能である。壁面Wは、例えば居室の壁面である。壁面Wは天井面や床面を含んでもよい。これにより、居室などの壁面に建材500が取り付けられる。そのため、壁面に対象面Sを設けることができる。
【0070】
第1板501には、複数の孔55が設けられている。複数の孔55は、軌道Ox上に間隔d1、及び、軌道Oy上に間隔d2で設けられている。各孔55には、突起5が、突出方向に移動自在に設けられている。これにより、突起5の対象面Sからの突出量は可変である。図8は、第2状態の突起5を表しており、一例として、突出量が0、すなわち、突起5が対象面Sから突出していない状態を表している。突起5の第2状態を、初期状態とする。
【0071】
突出量変化機構3は、建材500に設けられた磁石51,52,53を有する。磁石51は、突起5の第2板502側の端部(以下、基端)に設けられ、磁石52は、突起5の磁石51が設けられた端部と逆側の端部(以下、先端)に設けられ、磁石53は、第2板502の第1板501側の面上に設けられている。これにより、磁石51は、空間503内に位置する。磁石52は、対象面S上に位置する。
【0072】
磁石51と磁石53とは異極である。磁石53は、第2板502の第1板501側の面上の、磁石51に磁力を及ぼす位置に設けられる。これにより、磁石51と磁石53との間に磁力F1が作用する。
【0073】
磁力F1によって、突起5は突出量が小さい第2状態を維持する。言い換えると、磁石51と磁石53とは、突起5の、対象面Sからの突出量が小さい位置を維持する部材である。空間503は、第2状態における突起5の格納スペースであるとともに、建材500が壁面Wに取り付けられた際に、配線などの格納スペースにも活用され得る。
【0074】
磁力F1によって突起5は空間503に引き込まれて突出量が小さい位置が維持されることにより、対象面Sからの突起5の突出量が抑えられる。建材500が壁面Wに取り付けられると、対象面Sは壁面や天井面に露出する。その際に対象面Sからの突起5の突出量が抑えられることで、美観への影響を抑えることができる。また、安全性を高めることができる。
【0075】
磁石52は、移動体1に設けられた磁石31Aとは異極である。これにより、磁石52は、移動体1が接近することで、磁石52と磁石31Aとの間に磁力F2(図9)が発生する。そのため、磁石52は、移動体1が接近すると、移動体1の引出部材31である磁石31Aからの力を受ける。
【0076】
図9は、移動体1の移動方法の一例を説明するための図である。図9の上図から下図に、対象面S上の移動体1の移動が時系列に示されている。図9において、移動体1は、左から右に移動するものとする。
【0077】
移動体1は、少なくとも進行方向前方のレール11の先端に、引出部材31である磁石31Aを有する。これにより、移動体1の少なくとも進行方向前方の突起5に近接すると、その突起5に設けられた磁石52と磁石31Aとの間に磁力F2が発生する。
【0078】
磁石51,52,53,31Aの強さは、磁力F2が磁力F1より大きくなる(F2>F1)組み合わせの強さとする。これにより、突起5に対して磁力F1と磁力F2とが同時に作用すると、磁力F2の作用する方向に突起5が移動する。
【0079】
突起5は、突出量の大きな状態である第1状態となるまで磁石31Aによって引き出されるよう構成されている。第1状態は、第2状態より突起量の大きな状態であって、移動体1のレール11のガイド部112と係合可能な突出量Hである状態を指す。すなわち、移動体1が突起5に近接したことに反応して、突出量変化機構3は、移動体1が近接した突起5を対象面Sから突出させて第1状態とする。
【0080】
一例として、突起5は、基端に、対象面Sからの高さHの位置で磁石31Aによる引き出しが停止するようなストッパが設けられていてもよい。図8図9の例では、基端に孔55よりも大きい磁石51が配置されていることによって、磁石51がストッパの役割を果たしている。これにより、突起5は、磁石31Aによって突出量Hとなるまで対象面Sから引き出され、第1状態となる。
【0081】
突起5が第1状態となることによって、図5に示されたように、レール11のガイド部112に進入可能になる。磁石31Aが移動体1の進行方向の少なくとも前方に設けられていることによって、図9の上図に示されたように、移動体1の進行方向の少なくとも前方において突起5が第2の状態となる。これにより、移動体1の進行方向の前方に位置する突起5が移動体1のレール11のガイド部112に進入可能になる。
【0082】
移動体1と突起5との係合が解除されると、すなわち、移動体1が突起5から離反すると、磁石52と磁石31Aとの間の磁力F2が解消される。磁力F2が解消されると、突起5に対しては、磁石51と磁石53との間の磁力F1が作用する。これにより、第1状態であった突起5は、第2状態である初期状態に復帰する。すなわち、図9の下図のように、移動体1が突起5から離反すると磁力F2が解消され、その突起5は初期状態に復帰する。
【0083】
突出量変化機構3の、移動体1から力を受けたことへの反応の、引出部材31からの力は磁力に限定されない。他の例として、バキュームによる力や風圧を利用した力などの、磁力以外の力であってもよい。さらに、引出部材31からの力は、他の例として、引出部材31が突起5に接触して引き出す力であってもよい。引出部材31が突起5に接触して引き出す力は、例えば、引出部材31が突起5に対してプッシュ操作を行うものであってよい。プッシュ操作は、移動体1の部材が突起5に接触することであってもよいし、磁力を利用して非接触で力を作用させるものであってもよい。
【0084】
具体的に、突出量変化機構3は、ノックカム機構を利用したものであってもよい。すなわち、一例として、突起5と第2板502との間にノックカム機構が設けられる。移動体1の引出部材31は、突起5に近接することによって、突出側の端部に対してプッシュ操作する。突起5は、引出部材31に押されるたびに、ノックカム機構によって第1状態と第2状態とが切り替わる。
【0085】
引出部材31が突起5に対してプッシュ操作を行うものの他の例として、建材500が突起5の突出量を大きくするための部材を有し、移動体1が、突起5の先端に対してプッシュ操作する押込み部材を有してもよい。ことによって突出量を小さくしてもよい。突出量を大きくするための部材は、突起5の基端を直接、又は、空気圧や磁力などで間接的に押して、突起5を対象面Sから押し出す部材であってよい。
【0086】
突出量変化機構3が、第2の例として移動体1のみに設けられる場合、好ましくは、建材500は、移動体1によって移動された突起5の位置が維持される機構を有する。これにより、移動体1によって移動された突起5の位置が維持され、第1状態又は第2状態が維持されるようになる。突起5の位置が維持される機構は、一例として、建材500の孔55の内側の表面が、突起5の移動を阻止する摩擦力を生じさせる表面粗さで加工されていることであってよい。これにより、突起5の位置が摩擦力によって維持され、移動体1によって摩擦力以上の力が与えられることによって、突起5が第1状態又は第2状態に変化するようになる。
【0087】
突出量変化機構3が、第3の例として建材500のみに設けられている場合、一例として、建材500は、突起5に対する移動体1の近接を検知するセンサを有する。センサは、例えば、近接センサであってよい。センサは、一例として、建材500の対象面Sに設けられていてもよい。
【0088】
この場合、各突起5には、図示しない移動機構が設けられており、建材500は、各突起5の移動機構の動作を制御する、図示しないコントローラを有してもよい。コントローラは、一例として、空間503に格納することができる。コントローラは、センサからセンサ信号を受信する。コントローラは、センサ信号に基づいて、移動体1が近接した突起5の移動機構を制御するとともに、近接が検知されなくなった突起5の移動機構を制御する。これにより、自動的に、移動体1が近接した突起5を第1状態とし、移動体1から離反した突起5を第2状態とすることができる。
【0089】
突出量変化機構3が、第3の例として建材500のみに設けられている場合の他の例として、建材500のコントローラは、センサに替えて、制御装置200と通信可能であって、制御装置200からの制御信号を受信してもよい。この場合、コントローラは、制御信号に指示された移動体1の位置に応じた突起5の移動機構を制御してもよい。
【0090】
以上の構成により、移動体システム100では、突起5の対象面Sからの突出量を、必要に応じて変更させることができる。そのため、移動体1の移動に必要な突起5を第1状態として移動体1の移動を可能にするとともに、移動に不要な突起5を第2状態として突出量を抑えることができる。建材500において、移動体1の移動に不要な突起5は第2状態が維持される。これにより、美観への影響を抑えることができる。また、安全性を高めることができる。移動体1の移動に必要な突起5を第1状態とすることにより、移動体1は、突起5とガイド部112を係合させながら移動が可能になる。
【0091】
<3.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 :移動体
3 :突出量変化機構
5 :突起
5-1A :突起
5-1B :突起
5-1E :突起
5-2A :突起
5-4A :突起
5a :係合部
11 :レール
11-1 :レール
11-1A :レール
11-1B :レール
11-2 :レール
11-2A :レール
11-2B :レール
12 :ローラ
12A :ローラ
12B :ローラ
12C :ローラ
13 :駆動部
13A :駆動部
13B :駆動部
13C :駆動部
13D :駆動部
14 :切替部材
14A :切替部材
14B :切替部材
14C :切替部材
14D :切替部材
15 :駆動部
15A :駆動部
15B :駆動部
15C :駆動部
15D :駆動部
16 :センサ
16A :センサ
16B :センサ
16C :センサ
16D :センサ
17 :ロック部
21 :プロセッサ
22 :メモリ
23 :通信部
24 :入力部
31 :引出部材
31A :磁石
51 :磁石
52 :磁石
53 :磁石
55 :孔
100 :移動体システム
111 :係合部
112 :ガイド部
113 :ガイドパーツ
131 :支柱
200 :制御装置
500 :建材
501 :第1板
502 :第2板
503 :空間
F1 :磁力
F2 :磁力
H :突出量
Ox :軌道
Ox1 :軌道
Ox2 :軌道
Ox3 :軌道
Ox4 :軌道
Oy :軌道
OyA :軌道
OyB :軌道
OyC :軌道
OyD :軌道
OyE :軌道
S :対象面
W :壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9