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特開2023-179863ゲームプログラム、情報処理装置の制御方法、および情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179863
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】ゲームプログラム、情報処理装置の制御方法、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/80 20140101AFI20231213BHJP
   A63F 13/5375 20140101ALI20231213BHJP
   A63F 13/2145 20140101ALI20231213BHJP
   A63F 13/426 20140101ALI20231213BHJP
   A63F 13/55 20140101ALI20231213BHJP
   G09B 19/22 20060101ALI20231213BHJP
   G09B 7/02 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A63F13/80 E
A63F13/5375
A63F13/2145
A63F13/426
A63F13/55
G09B19/22
G09B7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092746
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】320010848
【氏名又は名称】伊藤 博
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
【テーマコード(参考)】
2C028
【Fターム(参考)】
2C028AA02
2C028BA01
2C028BB04
2C028BC04
2C028BD01
(57)【要約】
【課題】 ゲームを通じて楽しみながら学ぶことができるゲームプログラム、情報処理装置の制御方法、および情報処理装置を提供する。
【解決手段】 スライドパズルPの対象となる作品として、百人一首に取り上げられている和歌が選択されている。ヒント画面GHには、詠み人「山部赤人」、および初句、二句、三句が表示されている。また、パズル画面GPには、四句、結句を構成する文字画像GLが90度単位で回転した状態で文字配置領域G1にランダムに配置されている。文字画像GLは、プレイヤーのタッチ操作によって文字配置領域G1、収容領域G2内を縦横に移動できる。また、回動ポイントRPにおいて文字画像GLを90度単位で回動できる。文字画像GLの回動ポイントRPへの移動は、通路ASを使用する。なお、文字画像GLは、通路ASでの回動はできないように設定されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の文字画像を所定の位置に配列することによって作品が完成するスライドパズルをプレイヤーに提供するゲームプログラムであって、
作品群ごとに格納された複数の作品の中から1つの作品を選択する作品選択機能と、
前記作品の一部を構成する文言および/または前記作品の内容を理解するために必要なヒントとなる文言を提供するためのヒント画面を表示するヒント表示機能と、
前記スライドパズルを実行するためのパズル画面を表示するパズル表示機能と、
入力面で検知されたタッチ操作に従って、前記文字画像を所定の方向に移動可能となるように表示する移動表示機能と、
前記文字画像の配列の正否を判定する判定機能と、を情報処理装置に実行させることを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
前記パズル表示機能は、前記文字画像をランダムに配置する文字配置領域と、前記作品を完成させるために設けられた正規配置領域と、を表示し、
前記移動表示機能は、前記文字画像を前記文字配置領域から前記正規配置領域に移動するように表示することを特徴とする請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記パズル表示機能は、前記文字配置領域に表示される前記文字画像を90度単位で回動した状態でランダムに配置するとともに、回動ポイントをさらに表示し、
前記移動表示機能は、前記回動ポイントに移動した前記文字画像を回動して表示できるとともに、前記正規配置領域に移動するように表示できることを特徴とする請求項2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記パズル表示機能は、前記文字画像をランダムに配置する文字配置領域と、前記文字配置領域に接続して前記文字画像を収容できる収容領域と、を表示し、
前記移動表示機能は、前記文字画像を前記文字配置領域および前記収容領域内で移動できるように表示することを特徴とする請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記パズル表示機能は、前記文字画像を90度単位で回転した状態でランダムに配置する文字配置領域と、前記文字配置領域に接続して前記文字画像を収容できる収容領域と、両端部が異なる前記収容領域に接続する通路と、前記通路の中間部に設けられる回動ポイントと、を表示し、
前記移動表示機能は、前記文字画像を文字配置領域、前記収容領域、前記通路、および前記回動ポイントに移動出来て、前記通路において前記文字画像は前記通路が延びる方向に沿って移動するとともに、前記回動ポイントにおいて、90度単位で回転できるように表示することを特徴とする請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
複数の文字画像を所定の位置に配列することによって作品が完成するスライドパズルをプレイヤーに提供可能な情報処理装置の制御方法であって、
作品群ごとに格納された複数の作品の中から1つの作品を選択する作品選択ステップと、
前記作品の一部を構成する文言および/または前記作品の内容を理解するために必要なヒントとなる文言を表示するヒント画面と、前記スライドパズルを実行するためのパズル画面と、を表示するゲーム表示ステップと、
前記パズル画面に設けられた入力面で検知されたタッチ操作に従って、前記文字画像を所定の方向に移動可能となるように表示する移動表示ステップと、
前記文字画像の配列の正否を判定する判定ステップと、を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
複数の文字画像を所定の位置に配列することによって作品が完成するスライドパズルをプレイヤーに提供可能な情報処理装置であって、
作品群ごとに格納された複数の作品の中から1つの作品を選択する作品選択部と、
前記作品の一部を構成する文言および/または前記作品の内容を理解するために必要なヒントとなる文言を表示するヒント表示部と、
前記スライドパズルを実行するためのパズル画面を表示するパズル表示部と、
入力面で検知されたタッチ操作に従って、前記文字画像を所定の方向に移動可能となるように表示する移動表示部と、
前記文字画像の配列の正否を判定する判定部と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドパズルをプレイヤーに提供することができるゲームプログラム、情報処理装置の制御方法、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脳のトレーニングを行うと、学習能力が向上するといわれている。具体的な効果として、子供の能力向上、脳の老化予防、認知症予防が期待できる。研究機関で実施した調査によると、脳のトレーニングができるパズル、例えばスライドパズルに定期的に取り組んでいる人ほど、注意力・推論力・記憶力が優れているとの結果が出ている。このような実態から、スライドパズルは、従来から様々な形態で提供されてきている。
【0003】
特許文献1では、六角形で駒が落ちないための縁のある盤と、三角形または六角形で角を落とし盤内で移動できるようにした駒からなるスライディングブロックパズルが提案されている。スライディングブロックパズルに駒の回転機能を付与したものである。
【0004】
特許文献2では、駒を正六面体とすることで、一つの駒に6通りの絵または文字等の印刷を可能にし、一対の箱枠の対辺に一駒分の待避場所をそれぞれ設けることで完成した図柄を四角形に構成することを可能とするパズルゲームが提案されている。
【0005】
特許文献3では、プレイヤーが画像を構成する複数の部分画像のそれぞれをタッチ操作で移動させることにより、スライドパズルを解いた場合、他のゲームを進行させるために上記プレイヤーに与えられる報酬であって、上記画像に対応づけられた報酬として、当該他のゲームにおいて使用可能なゲーム媒体、または当該他のゲームにおける所定のゲーム媒体に設定された情報を変化させる変化情報を取得することができるゲームプログラムが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7-275514号公報
【特許文献2】実用新案登録第3070718号公報
【特許文献3】特開2015-205008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1、2で提案されているパズルは、パズル開始前の段階で駒の配置作業を気軽に行うことができないと考えられるため、パズルをすること自体をためらうようになるという問題がある。特許文献3で提案されているパズルは、提供されるコンテンツのカテゴリーが偏ってしまう傾向にあり、プレイヤーがゲームに飽きてしまう可能性がある。また、特許文献1、2、3は、主に娯楽を目的としたものであり、ゲームを通じて「楽しく学ぶ」という視点は考慮されていない。
【0008】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、ゲームを通じて楽しみながら学ぶことができるゲームプログラム、情報処理装置の制御方法、および情報処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための発明は、複数の文字画像を所定の位置に配列することによって作品が完成するスライドパズルをプレイヤーに提供するゲームプログラムであって、作品群ごとに格納された複数の作品の中から1つの作品を選択する作品選択機能と、作品の一部を構成する文言および/または前記作品の内容を理解するために必要なヒントとなる文言を提供するためのヒント画面を表示するヒント表示機能と、スライドパズルを実行するためのパズル画面を表示するパズル表示機能と、入力面で検知されたタッチ操作に従って、文字画像を所定の方向に移動可能となるように表示する移動表示機能と、文字画像の配列の正否を判定する判定機能と、を情報処理装置に実行させることを特徴とする。
【0010】
「作品群」とは、百人一首、奥の細道で詠まれた俳句、小林一茶俳句集などの著名な古典集や、普段に使用する機会がある四字熟語の集合体など、記憶することで教養が身につくと考えられるコンテンツである。「作品」とは、作品群を構成する一単位であり、具体的には百人一首で詠まれたそれぞれの和歌や四字熟語である。なお、作品は、著作権を有しないものであることが好ましい。
【0011】
また、「タッチ操作」とは、プレイヤーが上記入力面に指または指示具(例えば、スタイラスなど)を接触または近接させることによって、情報処理装置に入力を与える操作をいう。
【0012】
好ましくは、パズル表示機能は、文字画像をランダムに配置する文字配置領域と、作品を完成させるために設けられた正規配置領域と、を表示し、移動表示機能は、文字画像を文字配置領域から正規配置領域に移動するように表示する。
【0013】
好ましくは、パズル表示機能は、文字配置領域に表示される文字画像を90度単位で回動した状態でランダムに配置するとともに、回動ポイントをさらに表示し、移動表示機能は、回動ポイントに移動した文字画像を回動して表示できるとともに、正規配置領域に移動するように表示できる。
【0014】
好ましくは、パズル表示機能は、文字画像をランダムに配置する文字配置領域と、文字配置領域に接続して文字画像を収容できる収容領域と、を表示し、移動表示機能は、文字画像を文字配置領域および収容領域内で移動できるように表示する。
【0015】
好ましくは、パズル表示機能は、文字画像を90度単位で回転した状態でランダムに配置する文字配置領域と、文字配置領域に接続して文字画像を収容できる収容領域と、両端部が異なる収容領域に接続する通路と、通路の中間部に設けられる回動ポイントと、を表示し、移動表示機能は、文字画像を文字配置領域、収容領域、通路、および回動ポイントに移動出来て、通路において文字画像は通路が延びる方向に沿って移動するとともに、回動ポイントにおいて、90度単位で回転できるように表示する。
【0016】
上記課題を解決するための他の態様の発明は、複数の文字画像を所定の位置に配列することによって作品が完成するスライドパズルをプレイヤーに提供可能な情報処理装置の制御方法であって、作品群ごとに格納された複数の作品の中から1つの作品を選択する作品選択ステップと、作品の一部を構成する文言および/または前記作品の内容を理解するために必要なヒントとなる文言を表示するヒント画面と、スライドパズルを実行するためのパズル画面と、を表示するゲーム表示ステップと、パズル画面に設けられた入力面で検知されたタッチ操作に従って、文字画像を所定の方向に移動可能となるように表示する移動表示ステップと、文字画像の配列の正否を判定する判定ステップと、を備えることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するための他の態様の発明は、複数の文字画像を所定の位置に配列することによって作品が完成するスライドパズルをプレイヤーに提供可能な情報処理装置であって、作品群ごとに格納された複数の作品の中から1つの作品を選択する作品選択部と、作品の一部を構成する文言および/または前記作品の内容を理解するために必要なヒントとなる文言を表示するヒント表示部と、スライドパズルを実行するためのパズル画面を表示するパズル表示部と、入力面で検知されたタッチ操作に従って、文字画像を所定の方向に移動可能となるように表示する移動表示部と、文字画像の配列の正否を判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のゲームプログラム、情報処理装置の制御方法、および情報処理装置は、ゲームの対象となる作品を作品群の中から選ぶことができる。様々な作品をゲームの対象とすることで、ゲームに飽きることがない。また、作品群を、百人一首、奥の細道で詠まれた俳句、小林一茶俳句集などの古典とすることで、作品が強く印象づけられ、楽しみながらゲームする中で、自ずとゲームの対象となった古典作品の記憶の定着が図れ、暗記できるようになる。また、ヒント範囲を変化させることで、スライドパズルの難易度を替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は、実施形態1におけるゲーム開始直前のスライドパズルの画面である。(b)は、同、ゲームが終了したときのスライドパズルの画面である。
図2】実施形態1における、モバイル端末の要部構成を示すブロック図である。
図3】同、モバイル端末が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図4】(a)~(c)は、文字画像の移動、回転を説明する部分画像図である。
図5】実施形態1におけるスライドパズルの変形例である。
図6】同上
図7】同上
図8】実施形態2における、サーバの要部構成を示すブロック図である。
図9】同、サーバおよびモバイル端末が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1~4を参照して、本発明の実施形態1を説明する。
【0021】
図1(a)、(b)は、スライドパズルPの一例である。図1(a)は、ゲームを開始する直前の画面であり、図1(b)は、ゲームが終了したときの画面である。スライドパズルPの対象となる作品として、百人一首に取り上げられている和歌が選択されている。図1(a)に示す通り、ヒント画面GHには、詠み人「山部赤人」、および初句、二句、三句が表示されている。また、パズル画面GPには、四句、結句を構成する文字画像GLが90度単位で回転した状態で文字配置領域G1にランダムに配置されている。文字画像GLは、プレイヤーのタッチ操作によって文字配置領域G1、収容領域G2を縦横に移動できる。また、回動ポイントRPにおいて90度単位で回動できる。文字画像GLの回動ポイントRPへの移動は、通路ASを使用する。なお、文字画像GLは、通路ASでの回動はできないように設定されている。
【0022】
ヒント画像は、詠み人のみの表示としてもよいし、詠み人、および和歌の全体を表示してもよい。また、ヒント画面GHと、パズル画面GPに表示する範囲は重複してもよい。例えば、ヒント画面GHに詠み人、および和歌の全体を表示し、パズル画面GPに、四句、結句を構成する文字画像GLを90度単位で回転した状態で文字配置領域G1に配置してもよい。
【0023】
90度単位で回動した状態で文字配置領域G1にランダムに配置されている文字画像GLを、通路ASおよび回動ポイントRPを活用して正規の姿勢にするとともに、この文字画像GLを、文字配置領域G1、収容領域G2内で縦横に移動することで図1(b)に示す通り作品は完成する。なお、ゲームの途中段階で文字画像GLを一時的に通路ASに退避させた状態で、他の文字画像GLを文字配置領域G1、収容領域G2内で縦横に移動させてもよい。
【0024】
図2に示す通り、モバイル端末100(情報処理装置)は、入力部10、制御部20、記憶部30、表示部40を備えている。モバイル端末100とは、小型あるいは薄型、軽量で簡単に持ち運ぶことができ、電源コードを繋がなくても一定時間使用できる情報機器であり、本実施形態1では、スマートフォンが例示される。なお、ノートパソコンや、タブレット端末であってもよい。
【0025】
モバイル端末100は、プレイヤーによるタッチ操作1aを検知して、ヒント画面GH、パズル画面GPを表示するとともに、文字画像GLを所定の方向に移動することで作品を完成できる装置となっている。本実施形態1では、情報処理装置をモバイル端末100としているが、以下で説明する処理を実行可能な装置であればよい。
【0026】
入力部10は、入力面11、および入力制御部12を有しており、プレイヤーによる入力面11へのタッチ操作1aを受け付ける。入力面11は、プレイヤーによるタッチ操作1aによって指定された位置を検知可能なデバイスである。入力部10は、マルチタッチを検知可能なタッチパネルであってもよい。
【0027】
制御部20は、モバイル端末100が有する各種機能を統括的に制御する。制御部20は、作品選択部21、ヒント表示部22、パズル表示部23、移動表示部24、および判定部25を有する。
【0028】
作品選択部21は、複数の作品群からゲームの対象となる作品を選択する。それぞれの作品群は複数の作品で構成されており、複数の作品群から特定の作品群を選択すると、その作品群の中の一つの作品が自動的に選択される。また、作品群を構成する作品の中から、所定の操作で、特定の作品を選択できるようにしてもよい。作品とは、それ自体で内容を理解できる語句、または語句の集合体である。また、語句の一部であってもよい。具体的には、和歌、俳句、四字熟語、外国語、漢字、および漢字を構成する偏・旁などである。作品群とは、百人一首、奥の細道で詠まれた俳句、四字熟語の集合など同一のカテゴリーに属する作品の集合体である。
【0029】
本実施形態1の例示では、作品群は複数であるとしているが、一つの作品群のみであってもよい。
【0030】
これにより、モバイル端末100はプレイヤーが興味を抱く内容を適時、適切にゲームに取り入れることができる。また、プレイヤーはゲームを通じて作品を強く印象づけられるので、作品を暗記する一助となる。
【0031】
ヒント表示部22は、入力面11によって検知されたタッチ操作1aに従ってヒント範囲を選択するとともに、選択されたヒント範囲を含むヒント画面GHを表示部40に表示する。百人一首の作品を例に説明すると、図1(a)に示す通り、ヒント範囲は、歌人のみでもよいし、初句、二句、三句としてもよい。すなわち、作品が想起できる内容であればよい。ヒント範囲の設定を変えることで、ゲームの難易度を変化させることができる。
【0032】
パズル表示部23は、ランダムに配置された文字画像GL等のパズル情報を含むパズル画面GPを、入力面11によって検知されたタッチ操作1aに従って表示部40に表示する。
【0033】
移動表示部24は、入力面11によって検知されたタッチ操作1aに従って、文字画像GLを所定の方向に移動させて、表示部40に表示する。
【0034】
判定部25は、作品が完成したか否かを判定し、その結果を表示部40に出力する。
【0035】
表示部40は、スライドパズルPを表示するデバイスである。本実施形態1において、表示部40は、液晶ディスプレイを例示している。図2において、入力部10および表示部40のそれぞれが具備する機能を明確にするために、両者を分離して示しているが、表示部40が液晶ディスプレイである場合、両者は一体として構成させてもよい。
【0036】
記憶部30は、モバイル端末100を制御できるプログラム、および作品群のデータを記憶する。本実施形態1では、ハードディスク、SSD、半導体メモリなどの記憶媒体が例示される。
【0037】
図3を参照して、モバイル端末100が実行する処理について説明する。なお、以後の説明において、カッコ書きの「~ステップ」は、情報処理装置の制御方法に含まれる各ステップを表す。
【0038】
所定の操作によって、作品群を構成する作品の中からゲームの対象となる作品を選択する(ステップ1(S1)(作品選択ステップ)、以後、「ステップ」を「S」と略記する。)作品群は複数でもよいし、一つであってもよい。また、作品群を選択すると同時に、ゲームの対象となる作品が自動的に選択されるようにしてもよいし、プレイヤーが特定の作品を選択できるようにしてもよい。
【0039】
選択された作品に基づいて、ヒント画面GH、パズル画面GPを表示する(S2(ゲーム表示ステップ))。ヒント画面GHに表示するヒント範囲は、適宜選択できる。
【0040】
タッチ操作1aによって、パズル画面GPにランダムに配置された文字画像GLを、作品が完成するように移動表示させる(S3(移動表示ステップ))。判定部によって作品が完成されたと判定された場合(S4(判定ステップ))、プレイヤーに作品が完成した旨の情報を通知する。
【0041】
図1(a)、(b)、および図4(a)~(c)を参照して、タッチ操作1aによって作品を完成する手順について説明する。
【0042】
図1(a)、(b)で選択された作品は、作品群「百人一首」から選択された和歌である。液晶ディスプレイに表示されるスライドパズルは、ヒント画面GH、およびパズル画面GPで構成されている。
【0043】
パズル画面GPは、文字配置領域G1、収容領域G2、通路ASが画定されている。文字配置領域G1は、小区画SE1で構成されており、小区画SE1には四句、および結句を構成する文字の文字画像GLが、90度単位で回転した状態でランダムに配置されている。それぞれの列の小区画SE1の個数は、四句、結句の個数と同数に設定されている。
【0044】
収容領域G2は、文字配置領域G1を構成する小区画SE1に接続する小区画SE2で構成される。文字画像GLはタッチ操作1aによって、空白となっている小区画SE1、および小区画SE2へ縦横方向に移動できる。小区画SE2の個数は、タッチ操作1aによって作品が完成できる個数以上の個数となるように設定される。小区画SE2の個数を増加させることで、ゲームの難易度を下げることができる。
【0045】
通路ASの両端は、収容領域G2を構成する2個の小区画SE2に接続して設けられている。すなわち、通路ASは、小区画SE2を介して小区画SE1に接続している。文字画像GLはタッチ操作1aによって、一辺または対向する二辺の方向と通路ASの接線方向が一致した状態で通路ASを往来できる。(図4参照。)すなわち、文字画像GLは通路ASでの回動は拘束される。また、中間地点に回動ポイントRPが設定されている。回動ポイントRPではタッチ操作1aによって文字画像GLを90度単位で回動できる。また、通路ASは、文字画像GLを一時的に収容できる機能が付与されている。小区画SE2の個数、および通路ASに収容できる文字画像GLの個数は、設定されたゲーム領域や、各列に収容する文字画像GLの個数を勘案して適宜定める。
【0046】
文字画像GLを並び替えて作品を完成させる手順の一例を説明する。具体的には、回転した状態で配置されている文字画像GLを回転していない状態の表示とした後、文字画像GLを文字配置領域G1、収容領域G2内で移動させる手順を踏んで文字画像GLを並び替えればよい。
【0047】
図4(a)に示す通り、180度回転した姿勢の「雪」を表示する文字画像GLは、タッチ操作1aによって通路ASの一端から他端に移動することで、回転していない姿勢の表示とすることができる。
【0048】
図4(b)に示す通り、反時計回りに90度回転した状態の「雪」を表示する文字画像GLは、タッチ操作1aによって、通路ASの一端から回動ポイントRPに移動して、反時計回りに90度回動した後に、通路ASの他端に移動することで回転していない姿勢の表示とすることができる。
【0049】
図4(c)に示す通り、時計回りに90度回転した状態の「雪」を表示する文字画像GLは、タッチ操作1aによって、通路ASの一端から回動ポイントRPに移動して、時計回りに90度回動した後に、通路ASの他端に移動することで回転していない姿勢の表示とすることができる。
【0050】
文字画像GLを回転していない姿勢の表示とした後、タッチ操作1aによって文字画像GLを文字配置領域G1、収容領域G2内で縦横に移動させる手順を踏んで文字画像GLを並び替えることで作品は完成する。また、文字画像GLを一時的に通路ASに収容してもよい。通路ASに収容する文字画像GLの数が多くなるにしたがって、スライドパズルの難易度は低下する。
【0051】
スライドパズルPの一例を例示して、作品の完成手順について説明したが、スライドパズルは、様々に変形できる。スライドパズルの変形例について図5図7を参照して説明する。
【0052】
図5に示す通り、文字画像GLを正規の姿勢でランダムに文字配置領域G1に配置して収容領域G2を設け、通路AS、および回動ポイントを省略してもよい。
【0053】
図6に示す通り、パズル画面GP200として文字画像GLを正規の姿勢でランダムに配置する文字配置領域G201、および作品を完成させるために設けられる正規配置領域G211を設定してもよい。この場合、タッチ操作1aによって、文字画像GLを文字配置領域G201から正規配置領域G211に移動することで作品を完成することができる。また、文字画像GLを作品が完成できない位置に誤って移動した場合は、タッチ操作1aによって正規配置領域G211を構成する小区画SE3のうちで文字画像GLが配置されていない区画、あるいは文字配置領域G201内の文字画像GLが配置されていない小区画SE1に移動できるようにしてもよい。
【0054】
さらに、図7に示す通り、パズル画面GP300として、文字画像GLを90度単位で回転した状態でランダムに配置する文字配置領域G301、回動ポイントRP300、および作品を完成させるために設けられる正規配置領域G211を設定してもよい。この場合、90度単位で回転した状態で表示された文字画像GLを、タッチ操作1aで回動ポイントに移動して、回動しない姿勢とした後に、正規配置領域G211に配置することで作品を完成できる。
【0055】
図8、9を参照して、本発明の実施形態2について説明する。実施形態2は実施形態1と重複する部分があることから、主に相違する構成について説明する。実施形態1において記載された構成は、実施形態2にも含まれ得るものであり、その逆も同様である。また、実施形態1において記載された用語の定義は、実施形態2においても同様である。
【0056】
実施形態2は、ゲームプログラムがサーバ200において実行されて、その結果がモバイル端末100に反映される構成すなわち、クラウド構成である。一方で、実施形態1は、ゲームプログラムがモバイル端末100で実行される構成、すなわちスタンドアロン構成である点で実施形態1と実施形態2は相違する。
【0057】
図8に示す通り、サーバ200は、入出力部210、制御部220(作品選択部221、ヒント表示部222、パズル表示部223、移動表示部224、判定部225)、受信部261、送信部262、および、記憶部230を備えている。
【0058】
サーバ200は、軌跡(モバイル端末100に対するプレイヤーからの入力としてのタッチ操作1a)をモバイル端末100から取得し、ヒント画面情報、パズル画面情報を生成し、この情報をモバイル端末に送信することによって、作品の完成を目的とするスライドパズルを、プレイヤーに提供可能な装置である。
【0059】
入出力部210は、受信部261によって受信された軌跡を取得し、軌跡をパズル表示部223等を含む制御部220に出力する。また、入出力部210は、制御部220からパズル情報1b等が入力された場合、送信部262に出力することによって、パズル情報1b等をモバイル端末100に送信する。
【0060】
制御部220は、モバイル端末100が有する各種機能を統括的に制御する。
【0061】
受信部261、および送信部262は、所定の通信方式にしたがう通信網を介して外部と通信する。外部の機器(例えば、モバイル端末100)との通信を実現する本質的な機能が備わってさえいればよく、通信回線、通信方式、または通信媒体などは限定されない。
【0062】
受信部261は、モバイル端末100から軌跡(すなわち、モバイル端末100に対する入力として与えられたタッチ操作1a)を受信する。
【0063】
送信部262は、入出力部210から入力されたパズル情報1b等をモバイル端末100に送信する。
【0064】
記憶部230は、実施形態1で説明した記憶部30と同様に、例えば、ハードディスク、SSD、半導体メモリなどの任意の記録媒体によって構成される記憶機器であり、サーバ200を制御可能なゲームプログラムおよびデータを記憶する。
【0065】
図9を参照して、サーバ200およびモバイル端末100が実行する処理について説明する。なお、以後の説明において、カッコ書きの「~ステップ」は、情報処理装置の制御方法に含まれる各ステップを表す。
【0066】
所定の操作によって、作品群を構成する作品の中からゲームの対象となる作品を選択する(S201(作品選択ステップ))。作品群は複数でもよいし、一つであってもよい。また、作品群を選択すると同時に、ゲームの対象となる作品が自動的に選択されるようにしてもよいし、プレイヤーが特定の作品を選択できるようにしてもよい。
【0067】
選択された作品に基づいて、ヒント画面情報、パズル画面情報をモバイル端末100に送信する(S202)。モバイル端末100は、ヒント画面情報、パズル画面情報をサーバ200から受信しスライドパズルを液晶ディスプレイに表示する(S203)。(S202~S203はゲーム表示ステップ。)
【0068】
モバイル端末100は、タッチ操作1aによって入力として与えられた軌跡をサーバ200に送信する(S204)。サーバ200が当該軌跡を受信することによって、サーバ200はタッチ操作1aを取得できる(S205)。サーバ200は、取得したタッチ操作1aに基づいて、移動表示情報をモバイル端末100に送信する(S206)。モバイル端末100は、移動表示情報を受信して、当該情報に基づく画像を液晶ディスプレイに表示する(S207)。(S204~S207は移動表示ステップ。)サーバ200は、S206に続き、作品が完成されたか判断する(S208(判定ステップ))。作品が完成されたと判定された場合(S208(判定ステップ)においてYESの場合)、モバイル端末100に作品の完成情報を送信する(S209)。モバイル端末100は、作品の完成情報を受信する(S210)。
【0069】
実施形態1では、スタンドアロン構成を例示し、実施形態2では、クラウド構成を例示した。しかし、これに限らず、各種処理をモバイル端末100とサーバ200に適宜に分担させてもよい。
【0070】
例えば、スライドパズルPが解かれたか否かを判定する処理をサーバ200が実行し、スライドパズルPを表示する処理をモバイル端末100が実行する構成にしてもよい。
【0071】
ゲームプログラムによるゲームの実現について説明する。
【0072】
モバイル端末100の制御部20、サーバ200の制御部220は、いずれも集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路によって実現してもよいし、CPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。後者の場合、モバイル端末100およびサーバ200は、ゲームプログラムの命令を実行するCPU、ゲームプログラムや各種データがCPUで読み取ることができるように記録されたROMや記憶装置、ゲームプログラムを展開するRAMなどを備えている。
【0073】
CPUが、ROMや記憶装置からゲームプログラムを読み取って実行することで、本発明が達成される。記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記ゲームプログラムは、当該ゲームプログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介してモバイル端末100に供給されてもよい。本発明は、ゲームプログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0074】
本発明の実施形態に係るゲームプログラムは、作品選択機能、ヒント表示機能、パズル表示機能、移動表示機能、判定機能を実現させる。それぞれの機能についての詳細は前述したとおりであることから、説明は省略する。
【0075】
実施形態1、2は例示であり、本発明の技術的思想を超えない範囲で改変できることは勿論である。例えば、作品群を四字熟語の集合体、作品を四字熟語としてもよい。また、同一の意味を認識できる各国の言語を作品群に取り入れてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、楽しみながら様々な分野の学習ができて、頭脳の活性化を図る効果も期待できる。さらに、ゲームを通じて、海外の方々に、和歌や俳句などの日本固有の古典文学を発信することができることから産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0077】
21、221 :作品選択部
22、222 :ヒント表示部
23、223 :パズル表示部
24、224 :移動表示部
25、225 :判定部
100 :モバイル端末(情報処理装置)
200 :サーバ(情報処理装置)
S1、S201 :作品選択ステップ
S2、S202~S203:ゲーム表示ステップ
S3、S204~S207:移動表示ステップ
S4、S208 :判定ステップ
P :スライドパズル
GH :ヒント画面
GP :パズル画面
GL :文字画像
G1、G201 :文字配置領域
G2 :収容領域
G211 :正規配置領域
AS :通路
RP :回動ポイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9