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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179869
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】グラブ
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/14 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
A63B71/14 H
A63B71/14 L
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092754
(22)【出願日】2022-06-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】391041590
【氏名又は名称】株式会社エスエスケイ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】浅見 優介
(57)【要約】
【課題】鋭い打球に対する安定した捕球を実現でき、耐久性に優れ、指の動きに馴染みやすく、製造時の縫製も容易なグラブを提供する。
【解決手段】内装袋2の指袋6を形成する裏平部材3の指片部7を、先端側が二股状に割れて、対向する先割片8の内側縁が中間部で間隔が広がる弧状をなすようにし、先割片8の内側縁同士を、紐状の芯材9を挟み込んで縫い合わせ、裏平部材3の指片部7を外装袋1の指袋5の湾曲と対応して捕球面側へ湾曲した形状とする。これにより、外装袋1と内装袋2の指袋5,6の先端部が強度に優れ、指の動きに対する追従性がよく、材料である革の劣化の影響を受けにくいものとなり、長期間にわたって球際の強さが維持され、鋭い打球に対しても安定した捕球を実現できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装袋(1)とその内部に設けられる内装袋(2)とから成り、前記内装袋(2)は、前記外装袋(1)の捕球面側の内面に沿う裏平部材(3)と、前記外装袋(1)の背面側の内面に沿う裏背部材(4)とを縫合して形成され、前記外装袋(1)の指袋(5)に前記内装袋(2)の指袋(6)が挿入されたグラブにおいて、
前記内装袋(2)の指袋(6)を形成する裏平部材(3)の指片部(7)は、先端側が二股状に割れて、割目に臨む先割片(8)が対向し、前記先割片(8)の内側縁同士の間隔が中間部で広がるように、前記先割片(8)の内側縁が弧状をなし、
前記裏平部材(3)の指片部(7)の対向する先割片(8)の内側縁同士を、紐状の芯材(9)を挟み込んで縫い合わせることにより、前記裏平部材(3)の指片部(7)が捕球面側に湾曲した形状とされ、前記裏平部材(3)の指片部(7)の湾曲と、前記外装袋(1)の指袋(5)の湾曲とが対応していることを特徴とするグラブ。
【請求項2】
前記裏平部材(3)の指片部(7)の捕球面側には、前記先割片(8)の内側縁同士の芯材(9)を挟んだ縫合後の形状に合致するクッション材(10)が縫着されていることを特徴とする請求項1に記載のグラブ。
【請求項3】
前記内装袋(2)の指袋(6)のうち、人差し指、中指及び薬指に対応した指袋(6a,6b,6c)を形成する裏平部材(3)の指片部(7)が共に、捕球面側に湾曲していることを特徴とする請求項1又は2に記載のグラブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、野球やソフトボールにおいて使用されるグラブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
野球やソフトボールの守備に使用されるグラブは、外装袋とその内部に設けられる内装袋とから成り、内装袋は、外装袋の捕球面側の内面に沿う裏平部材と、外装袋の背面側の内面に沿う裏背部材とを縫合して形成され、外装袋の指袋に内装袋の指袋が挿入された構造となっている。
【0003】
このようなグラブの指袋は、平坦であるよりも捕球面側に湾曲していた方が捕球時における落球等のミスが防止される。このため、製造時の縫製工程で指袋を捕球面側に湾曲させる技術が下記特許文献1,2において提案されている。
【0004】
特許文献1には、内装袋の指袋の捕球面側に重ねられる被覆部材の基端から先端までの寸法を、指袋の基端から先端までの寸法よりも短く設定し、被覆部材と指袋とをそれらの両端が合致するように重ね合わせて両者を縫着することにより、指袋の捕球面側に湾曲する湾曲面を形成する技術が記載されている。
【0005】
特許文献2には、裏平部材の指面の長さよりも長くした中央片と、中央片と裏平部材の指面との間に介在して両者と縫着される辺長に裁断された2つの側片とで裏背部材の指片を形成し、この指片と裏平部材の指面とで構成される内装袋の指袋を捕球面側に湾曲させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-13308号公報
【特許文献2】実願平1-56934号(実開平2-149274号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術によるグラブは、長期間使用すると、指袋の先端部が軟らかくなって、捕球時に反るように折れ曲がりやすくなり、体から離れた位置で鋭い打球を受け止める場合等に支障が生じる恐れがある。
【0008】
また、特許文献2に記載された技術によるグラブは、製造時に多数のパーツを長い寸法にわたって縫合する必要があり、手間がかかるほか、捕球動作時における指袋の指への追従性が低下し、違和感を覚えることがある。
【0009】
そこで、この発明は、鋭い打球に対する安定した捕球を実現でき、耐久性に優れ、指の動きに馴染みやすく、製造時の縫製も容易なグラブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、この発明は、外装袋とその内部に設けられる内装袋とから成り、前記内装袋は、前記外装袋の捕球面側の内面に沿う裏平部材と、前記外装袋の背面側の内面に沿う裏背部材とを縫合して形成され、前記外装袋の指袋に前記内装袋の指袋が挿入されたグラブにおいて、
前記内装袋の指袋を形成する裏平部材の指片部は、先端側が二股状に割れて、割目に臨む先割片が対向し、前記先割片の内側縁同士の間隔が中間部で広がるように、前記先割片の内側縁が弧状をなし、
前記裏平部材の指片部の対向する先割片の内側縁同士を、紐状の芯材を挟み込んで縫い合わせることにより、前記裏平部材の指片部が捕球面側に湾曲した形状とされ、前記裏平部材の指片部の湾曲と、前記外装袋の指袋の湾曲とが対応しているものとしたのである。
【0011】
また、前記裏平部材の指片部の捕球面側には、前記先割片の内側縁同士の芯材を挟んだ縫合後の形状に合致するクッション材が縫着されているものとしたのである。
【0012】
また、前記内装袋の指袋のうち、人差し指、中指及び薬指に対応した指袋を形成する裏平部材の指片部が共に、捕球面側に湾曲しているものとしたのである。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係るグラブでは、裏平部材の二股状に割れた先割片の弧状をなす内側縁同士を、紐状の芯材を挟み込んで縫い合わせ、裏平部材の指片部を外装袋の指袋の湾曲と対応して捕球面側へ湾曲する形状としたので、外装袋と内装袋の指袋の先端部が強度に優れ、指の動きに対する追従性がよく、材料である革の劣化の影響を受けにくくなり、長期間にわたって球際の強さが維持され、鋭い打球に対しても安定した捕球を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の実施形態に係るグラブの外観を示す斜視図
図2】同上の内装袋の縫製状態を示す斜視図
図3】同上の裏平部材を示す平面図
図4】同上の内装袋の指袋の先端部を示す平面図
図5】同上の内装袋の指袋の先端部を示す正面図
図6】同上の内装袋の指袋を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1及び図2に示すように、このグラブは、外装袋1とその内部に設けられる内装袋2とから成る。内装袋2は、外装袋1の捕球面側の内面に沿う裏平部材3と、外装袋1の背面側の内面に沿う裏背部材4とを縫合して形成される。そして、外装袋1の指袋5に内装袋2の指袋6が挿入される。
【0017】
内装袋2の指袋6のうち、人差し指、中指、薬指にそれぞれ対応する指袋6a,6b,6cを形成する裏平部材3の指片部7は、図3に示すように、丸みを帯びた先端側が二股状に割れている。
【0018】
指片部7の割目に臨む先割片8は対向し、先割片8の内側縁同士の間隔が中間部で広がるように、先割片8の内側縁が弧状をなしている。
【0019】
先割片8の内側縁同士は、図4及び図5に示すように、硬い革製の紐状の芯材9を挟み込んで縫い合わされ、図6に示すように、指片部7の先端部は、捕球面側に湾曲した形状とされている。
【0020】
指袋6をなす指片部7の背面側には、裏背部材4の指背部4aが縫着され、指片部7の捕球面側には、クッション材10が縫着されている。クッション材10の形状は、図5及び図6に示すように、先割片8の内側縁同士の芯材9を挟んだ縫合後の形状に合致するものとされている。これにより、内装袋2の指袋6は、捕球面側へ湾曲した形状が安定すると共に、緩衝性が確保される。
【0021】
このように縫製された内装袋2は、図1に示すように、グラブの製造工程において、外装袋1に収納され、裏平部材3の指片部7の湾曲と、外装袋1の指袋5の湾曲とが対応するようになっている。
【0022】
上記グラブでは、裏平部材3の二股状に割れた先割片8の弧状をなす内側縁同士を、紐状の芯材9を挟み込んで縫い合わせ、裏平部材3の指片部7を外装袋1の指袋5の湾曲と対応して捕球面側へ湾曲する形状としたので、指袋5,6の先端部が強度に優れ、指の動きに対する追従性がよく、材料である革の劣化の影響を受けにくくなり、長期間にわたって球際の強さが維持され、鋭い打球に対しても安定した捕球を実現できる。
【0023】
なお、上記実施形態では、内装袋2の指袋6のうち、人差し指、中指及び薬指に対応した指袋6a,6b,6cを形成する裏平部材3の指片部7が共に、捕球面側に湾曲しているものを例示したが、これらの指のうち、いずれかの指に対応する裏平部材3の指片部7だけが捕球面側に湾曲しているものとしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 外装袋
2 内装袋
3 裏平部材
4 裏背部材
4a 指背部
5,6(6a,6b,6c) 指袋
7 指片部
8 先割片
9 芯材
10 クッション材
図1
図2
図3
図4
図5
図6