(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179874
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】車載両開き収容装置
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
B60R7/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092759
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】住谷 大樹
(72)【発明者】
【氏名】飯谷 憲司
(72)【発明者】
【氏名】山田 大貴
(72)【発明者】
【氏名】大竹 正俊
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022CA07
3D022CB01
3D022CC19
3D022CD12
3D022CD18
3D022CD21
(57)【要約】
【課題】突出部への車両乗員の接触を防止してフラップの誤動作を防止すること。
【解決手段】車載両開き収容装置は、開口が設けられた収容体と、開口を開閉する蓋体と、左側又は右側回転軸を中心にして蓋体を閉位置と右側開位置と左側開位置との間で開閉動作させると共に、蓋体の少なくとも左側又は右側を閉位置にロックする開閉機構と、を備える。開閉機構は、それぞれ、蓋体の前後方向の外方に突出する係合位置と、蓋体の前後方向の内方に引っ込む解除位置との間で移動可能な一対のロッドと、それぞれ、蓋体が右側又は左側開位置にあるときに対応する開側のロッドに当接してロッドの係合位置への突出を規制する一対のフラップと、を有する。各フラップは、蓋体の前後方向の外部に露出する突出部を有する。開閉機構は、蓋体において突出部ごとに対応して前後方向の外側に配置され、左右方向の位置範囲が突出部の左右方向の位置範囲を包含するリブを有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が設けられた収容空間を有する箱状の収容体と、
前記開口を開閉する蓋体と、
互いに左右方向に離れて配置された左側回転軸及び右側回転軸のうちの何れかの軸を選択的に中心にして前記蓋体を閉位置と右側開位置との間及び前記閉位置と左側開位置との間で開閉動作させると共に、前記蓋体の左側及び右側の少なくとも一方側を閉位置にロックする開閉機構と、
を備え、
前記開閉機構は、
前記蓋体の内部又は裏面側に互いに左右方向に離れて配置され、それぞれ、前記蓋体の前後方向の外方に突出して前記収容体に係合可能な係合位置と、前記蓋体の前後方向の内方に引っ込んで前記収容体との係合が解除される解除位置との間で移動可能な一対のロッドと、
前記蓋体の内部又は裏面側に一対の前記ロッドに対応して配置され、それぞれ、前記蓋体が前記右側開位置又は前記左側開位置にあるときに対応する開側の前記ロッドに当接して該ロッドの前記係合位置への突出を規制する一対のフラップと、
を有し、
各前記フラップは、前後方向に延びて前記蓋体の前後方向の外部に露出する突出部を有し、
前記開閉機構は、更に、前記蓋体に設けられて前記突出部ごとに対応して前後方向の外側に配置され、左右方向の位置範囲が該突出部の左右方向の位置範囲を包含するリブを有する、車載両開き収容装置。
【請求項2】
前記収容体は、前記蓋体が前記開口を閉じた際に前記リブが挿入される凹部又は孔部を有する、請求項1に記載された車載両開き収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載両開き収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されて、蓋体を左側及び右側のどちらからでも開閉動作させることが可能な車載両開き収容装置装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1記載の車載両開き収容装置は、蓋体を閉位置と右側開位置との間及び閉位置と左側開位置との間で開閉動作させると共に、蓋体の左側及び右側の少なくとも一方側を閉位置にロックする開閉機構を備えている。開閉機構は、一対のロッドと、一対のフラップと、を有している。
【0003】
一対のロッドは、蓋体の内部又は裏面側に互いに左右方向に離れて配置されており、それぞれ前後方向に延びている。各ロッドは、収容空間を形成する収容体に係合可能な係合位置と、その収容体との係合が解除される解除位置との間で移動可能である。また、一対のフラップは、蓋体の内部又は裏面側に一対のロッドに対応して配置されている。各フラップは、蓋体が右側開位置又は左側開位置にあるときに対応する開側のロッドに当接してそのロッドの係合位置への突出を規制する。
【0004】
従って、上記の開閉機構によれば、蓋体がその左側が閉じかつその右側が開いた右側開位置にあるときに右側のロッドが係合位置へ突出するのを規制することができると共に、蓋体がその右側が閉じかつその左側が開いた左側開位置にあるときに左側のロッドが係合位置へ突出するのを規制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フラップは、蓋体の開閉に応じて収容体に当接することができる突出部を有している。蓋体が何れかの開位置から閉動作した際に突出部が収容体に当接すると、この突出部が上方に持ち上げられてフラップが回転軸を中心にして揺動する。かかる揺動が生じると、フラップとロッドとの当接位置が変化するので、ロッドの係合位置への突出規制が解除される。かかる解除がなされると、ロッドは、突出位置まで突出して収容体10に係合する。ロッドが収容体10に係合すると、蓋体は、閉位置にロックされる。
【0007】
上記したフラップの突出部は、収容体との当接を確保するために、蓋体の外部に露出している。この構造では、フラップの突出部は車両乗員に触れられる可能性があり、特に蓋体が右側開位置又は左側開位置にあるときに車両乗員がそのフラップの突出部に誤って触れると、フラップが誤動作して蓋体におけるその触れた側を閉位置にロックすることができなくなるおそれがある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、突出部への車両乗員の接触を防止してフラップの誤動作を防止することが可能な車載両開き収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、開口が設けられた収容空間を有する箱状の収容体と、前記開口を開閉する蓋体と、互いに左右方向に離れて配置された左側回転軸及び右側回転軸のうちの何れかの軸を選択的に中心にして前記蓋体を閉位置と右側開位置との間及び前記閉位置と左側開位置との間で開閉動作させると共に、前記蓋体の左側及び右側の少なくとも一方側を閉位置にロックする開閉機構と、を備え、前記開閉機構は、前記蓋体の内部又は裏面側に互いに左右方向に離れて配置され、それぞれ、前記蓋体の前後方向の外方に突出して前記収容体に係合可能な係合位置と、前記蓋体の前後方向の内方に引っ込んで前記収容体との係合が解除される解除位置との間で移動可能な一対のロッドと、前記蓋体の内部又は裏面側に一対の前記ロッドに対応して配置され、それぞれ、前記蓋体が前記右側開位置又は前記左側開位置にあるときに対応する開側の前記ロッドに当接して該ロッドの前記係合位置への突出を規制する一対のフラップと、を有し、各前記フラップは、前後方向に延びて前記蓋体の前後方向の外部に露出する突出部を有し、前記開閉機構は、更に、前記蓋体に設けられて前記突出部ごとに対応して前後方向の外側に配置され、左右方向の位置範囲が該突出部の左右方向の位置範囲を包含するリブを有する、車載両開き収容装置である。
【0010】
この構成によれば、突出部への車両乗員の接触を防止してフラップの誤動作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車載両開き収容装置が備える蓋体の左側開位置での斜視図である。
【
図2】本実施形態の車載両開き収容装置が備える蓋体の右側開位置での斜視図である。
【
図3】本実施形態の車載両開き収容装置の分解斜視図である。
【
図4】本実施形態の車載両開き収容装置が備える開閉機構の有するヒンジ部材の斜視図である。
【
図5】本実施形態の車載両開き収容装置が備える開閉機構の有するヒンジ部材の分解斜視図である。
【
図6】本実施形態の車載両開き収容装置が備える開閉機構の構成図である。
【
図7】本実施形態の車載両開き収容装置が備える開閉機構の、蓋体の左側開位置での構成図である。
【
図8】本実施形態の車載両開き収容装置が備える開閉機構の、蓋体の右側開位置での構成図である。
【
図9】本実施形態の車載両開き収容装置が備えるフラップ装置の蓋体開位置での断面図である。
【
図10】本実施形態の車載両開き収容装置が備えるフラップ装置の蓋体閉位置での断面図である。
【
図11】本実施形態の車載両開き収容装置が備える蓋体を裏側から見た斜視図である。
【
図12】本実施形態の車載両開き収容装置が備える蓋体を裏側から見た裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る車載両開き収容装置の具体的な実施形態について
図1~
図12を用いて説明する。
【0013】
本実施形態の車載両開き収容装置1は、車両に搭載され、車室内に設置される例えばセンターコンソールに装着されるコンソールボックスである。尚、本実施形態において、方向を示す内容は、車載両開き収容装置1が設置される車両を基準にしたものとする。例えば、「右側」とは車両進行方向である車両前方に対する車両右側を指し、「左側」とはその車両前方に対する車両左側を指すものとする。また、蓋体の「右側」及び「左側」とは、特段の事情が無い限り、蓋体が閉位置にあるときを基準にした側を指すものとする。また、「前後方向」とは車両前後方向を指し、「左右方向」とは車幅方向すなわち車両左右方向を指すものとする。
【0014】
車載両開き収容装置1は、互いに左右方向に離れて配置された左側回転軸及び右側回転軸のうちの何れかの軸を選択的に中心にして蓋体を開閉動作させることが可能である。すなわち、車載両開き収容装置1は、蓋体を、右側及び左側が共に閉じた閉位置と左側が閉じてかつ右側が開いた右側開位置との間、及び、右側及び左側が共に閉じた閉位置と左側が開いてかつ右側が閉じた左側開位置との間で開閉動作させることが可能である。
【0015】
車載両開き収容装置1は、
図1、
図2、及び
図3に示す如く、収容体10と、蓋体20と、開閉機構30と、を備えている。尚、車載両開き収容装置1は、蓋体20が閉位置にあるときに乗員の腕を置くためのアームレストとして用いられるものであってよい。
【0016】
収容体10は、物を収容可能な箱状のボックス体である。収容体10は、上面に開口11が設けられた収容空間12を有している。収容空間12は、例えば直方体形状などに形成されている。尚、収容体10は、収容空間12を取り囲む側壁及び底壁からなるものであればよく、例えばカップホルダーなどを収めるための枠などを含んでいてもよい。
【0017】
開口11は、例えば四角形状に形成されている。開口11の周縁は、それぞれ前後方向に延びる二つの前後辺と、それぞれ前後辺に直交する方向すなわち左右方向に延びる二つの左右辺と、を有している。すなわち、車載両開き収容装置1は、開口11の前後辺が前後方向に延びかつ開口11の左右辺が左右方向に延びるように形成配置されている。
【0018】
蓋体20は、収容体10の開口11を開閉するリッドである。蓋体20は、収容体10の開口11に対応した大きさに形成されており、その開口11を覆うことが可能である。蓋体20は、薄肉矩形状に形成されている。蓋体20は、互いに左右方向に離れて配置された左側回転軸及び右側回転軸のうちの何れかの軸を選択的に中心にして開閉動作することが可能である。
【0019】
左側回転軸は、開口11の周縁の左側の前後辺に沿って前後方向に延びている。右側回転軸は、開口11の周縁の右側の前後辺に沿って前後方向に延びている。蓋体20は、右側回転軸を中心にして回転可能であると共に、左側回転軸を中心にして回転可能である。蓋体20は、収容体10の開口11を覆った閉位置と収容体10に対して右側が開いて閉位置から所定角度(例えば100°)をなす右側開位置との間、及び、その閉位置と収容体10に対して左側が開いて閉位置から所定角度(例えば100°)をなす左側開位置との間で開閉動作することが可能である。
【0020】
蓋体20は、
図3に示す如く、インナ蓋材21と、アウタ蓋材22と、成形ウレタン材23と、表皮材24と、を有している。インナ蓋材21及びアウタ蓋材22は、蓋体20の基材をなす部材である。インナ蓋材21及びアウタ蓋材22はそれぞれ、矩形板状に形成されている。アウタ蓋材22は、インナ蓋材21の上面を覆っており、外観において丸みを帯びた形状に形成されている。インナ蓋材21とアウタ蓋材22とは、その間に開閉機構30の構成部品などを収容した状態で凹凸嵌合などにより蓋体20の基材として一体化されている。
【0021】
成形ウレタン材23は、アウタ蓋材22の上面を覆って蓋体20の外形をなす部材である。成形ウレタン材23は、アウタ蓋材22の上面全域に亘って設けられている。成形ウレタン材23は、クッション性や柔軟性を有しており、軟質ウレタンフォームなどにより構成されている。成形ウレタン材23は、アウタ蓋材22の上面に接着剤などにより固定されている。
【0022】
表皮材24は、成形ウレタン材23の上面を覆って蓋体20の外表面をなす袋状の部材である。表皮材24は、成形ウレタン材23の上面全域に亘って設けられている。表皮材24は、ポリウレタンやポリ塩化ビニル等の合成皮革やファブリック,皮革等により構成されている。表皮材24は、成形ウレタン材23の上面やインナ蓋材21の下面などに接着剤などにより固定されている。
【0023】
開閉機構30は、左側回転軸及び右側回転軸のうちの何れか一の回転軸を選択的に中心にして蓋体20を開閉動作させるためのユニットである。開閉機構30は、
図4、
図5、
図6、
図7、及び
図8に示す如く、ヒンジ部材32と、右側枢支部33Rと、左側枢支部33Lと、を有している。
【0024】
ヒンジ部材32は、長尺形状に形成されたアーム状の部材である。ヒンジ部材32は、収容体10の後基部13と蓋体20との間に介在するように配置されている。ヒンジ部材32は、蓋体20の閉位置において左右方向に延びて、蓋体20の後側に形成された壁部に沿うように配置される。ヒンジ部材32は、長手方向において蓋体20の左右方向の幅と略同じ長さを有している。
【0025】
ヒンジ部材32は、右側回転軸を中心にして蓋体20に対して揺動可能であると共に、左側回転軸を中心にして収容体10の後基部13に対して揺動可能である。すなわち、ヒンジ部材32の長手方向右端部は、蓋体20に右側回転軸を中心にして揺動可能に支持されていると共に、ヒンジ部材32の長手方向左端部は、収容体10の後基部13に左側回転軸を中心にして揺動可能に支持されている。
【0026】
ヒンジ部材32には、二つの貫通孔32R,32Lが設けられている。貫通孔32Rは、ヒンジ部材32の長手方向右端部に設けられており、前後方向に貫通している。貫通孔32Lは、ヒンジ部材32の長手方向左端部に設けられており、前後方向に貫通している。
【0027】
右側枢支部33Rは、右側回転軸を構成するための部位であって、蓋体20をその右側回転軸を中心にして開閉(すなわち、左側開閉)動作させる部位である。右側枢支部33Rは、蓋体20の右側すなわちヒンジ部材32の長手方向右端側に配置されている。右側枢支部33Rは、軸体34Rと、アームスプリング35Rと、筒体36Rと、ダンパ37Rと、を有している。
【0028】
軸体34Rは、円筒状に形成されたカラーである。軸体34Rは、ヒンジ部材32の長手方向右端部の後側から前方に向けて貫通孔32Rに挿通されている。軸体34Rの後端側は、そのヒンジ部材32に固定されている。軸体34Rの前端側は、その貫通孔32Rの前側の開口から車両前方に向けて突出している。軸体34Rの前端側は、蓋体20のインナ蓋材21に設けられた支持孔(図示せず)に挿入されている。軸体34Rは、蓋体20に対して回転可能に支持されている。軸体34Rは、開口11周縁の右側の前後辺に沿って前後方向に延びており、右側回転軸を構成している。ヒンジ部材32は、長手方向右端側の軸体34Rにより蓋体20に対して揺動可能である。
【0029】
アームスプリング35Rは、ヒンジ部材32を蓋体20に対して揺動させるための付勢力を発生するねじりバネである。アームスプリング35Rは、軸体34Rに巻装されている。アームスプリング35Rの付勢力は、蓋体20の閉位置を含め蓋体20が左側開閉動作していないときに最大である。アームスプリング35Rは、一端部がヒンジ部材32に支持されかつ他端部が蓋体20のインナ蓋材21に支持されるように配置されている。
【0030】
筒体36Rは、軸体34Rに外挿された中空筒状の部材である。筒体36Rは、軸体34Rに対して同軸上に設けられている。筒体36Rは、軸体34Rの回転に伴って一体的に回転する。筒体36Rには、外歯36Raが形成されている。外歯36Raは、筒体36Rの外周に沿って複数並んでいる。
【0031】
ダンパ37Rは、ヒンジ部材32が蓋体20に対して揺動するとき(すなわち、蓋体20の左側開動作時)の揺動速度を減速させる減衰装置である。ダンパ37Rは、円筒状に形成されている。ダンパ37Rは、蓋体20のインナ蓋材21に取り付け固定されている。ダンパ37Rには、外歯37Raが形成されている。外歯37Raは、ダンパ37Rの外周に沿って複数並んでいる。ダンパ37Rの外歯37Raと筒体36Rの外歯36Raとは互いに噛合している。ダンパ37Rは、上記の揺動速度を減速させる減衰力を筒体36Rを通じて軸体34Rに付与する。
【0032】
左側枢支部33Lは、左側回転軸を構成するための部位であって、蓋体20をその左側回転軸を中心にして開閉(すなわち、右側開閉)動作させる部位である。左側枢支部33Lは、蓋体20の左側すなわちヒンジ部材32の長手方向左端側に配置されている。左側枢支部33Lは、軸体34Lと、アームスプリング35Lと、筒体36Lと、ダンパ37Lと、を有している。
【0033】
軸体34Lは、円柱状に形成された部材である。軸体34Lは、ヒンジ部材32の長手方向左端部の前側から後方に向けて貫通孔32Lに挿通されている。軸体34Lの前端側は、そのヒンジ部材32に固定されている。軸体34Lの後端側は、その貫通孔32Lの後側の開口から車両後方に向けて突出している。軸体34Lの後端側は、収容体10の後基部13に設けられた支持孔13Lに挿入されている。軸体34Lは、収容体10の後基部13に対して回転可能に支持されている。軸体34Lは、開口11周縁の左側の前後辺に沿って前後方向に延びており、左側回転軸を構成している。ヒンジ部材32は、長手方向左端側の軸体34Lにより収容体10の後基部13に対して揺動可能である。
【0034】
アームスプリング35Lは、ヒンジ部材32を収容体10の後基部13に対して揺動させるための付勢力を発生するねじりバネである。アームスプリング35Lは、軸体34Lに巻装されている。アームスプリング35Lの付勢力は、蓋体20の閉位置を含め蓋体20が右側開閉動作していないときに最大である。アームスプリング35Lは、一端部がヒンジ部材32に支持されかつ他端部が収容体10の後基部13に支持されるように配置されている。
【0035】
筒体36Lは、軸体34Lに外挿された中空筒状の部材である。筒体36Lは、軸体34Lに対して同軸上に設けられている。筒体36Lは、軸体34Lの回転に伴って一体的に回転する。筒体36Lには、外歯36Laが形成されている。外歯36Laは、筒体36Lの外周に沿って複数並んでいる。
【0036】
ダンパ37Lは、ヒンジ部材32が収容体10の後基部13に対して揺動するとき(すなわち、蓋体20の右側開動作時)の揺動速度を減速させる減衰装置である。ダンパ37Lは、円筒状に形成されている。ダンパ37Lは、収容体10の後基部13に取り付け固定されている。ダンパ37Lには、外歯37Laが形成されている。外歯37Laは、ダンパ37Lの外周に沿って複数並んでいる。ダンパ37Lの外歯37Laと筒体36Lの外歯36Laとは互いに噛合している。ダンパ37Lは、上記の揺動速度を減速させる減衰力を筒体36Lを通じて軸体34Lに付与する。
【0037】
開閉機構30は、また、蓋体20の左右方向の両側の少なくとも一方側を収容体10に対して閉位置にロックすることが可能である。すなわち、開閉機構30は、
図6、
図7、及び
図8に示す如く、ロックユニット39を有している。ロックユニット39は、蓋体20の右側及び左側の少なくとも一方側を収容体10に対して閉位置にロックするユニットであって、一方側を収容体10に対して閉位置にロックした状態で他方側の閉位置ロックを解除することが可能である。
【0038】
ロックユニット39は、左側ロック装置40と、右側ロック装置50と、伝達ロッド60と、フラップ装置70と、を有している。左側ロック装置40は、蓋体20の左側を閉位置にロックすると共に、その左側の閉位置ロックを解除する装置である。右側ロック装置50は、蓋体20の右側を閉位置にロックすると共に、その右側の閉位置ロックを解除する装置である。左側ロック装置40は、蓋体20の左側に配置されている。右側ロック装置50は、蓋体20の右側に配置されている。
【0039】
左側ロック装置40は、第一左側ロッド41と、第二左側ロッド42と、左側同期装置43と、左側ロッド付勢部材44と、左側操作部45と、を有している。第一左側ロッド41は、蓋体20の後部側に配設された、略前後方向に延びるロッド部材である。第二左側ロッド42は、蓋体20の前部側に配設された、略前後方向に延びるロッド部材である。第一左側ロッド41及び第二左側ロッド42はそれぞれ、蓋体20に対して前後方向に進退可能に支持されている。
【0040】
第一左側ロッド41は、係合位置と解除位置との間で前後移動可能である。この係合位置は、第一左側ロッド41の後端部が蓋体20の本体の後端よりも後方に突出して収容体10側(具体的には、ヒンジ部材32)に係合する位置のことである。また、この解除位置は、第一左側ロッド41の後端部が蓋体20の本体内に入り込んで収容体10側との係合が解除される位置のことである。ヒンジ部材32の前面には、第一左側ロッド41が挿入され係合される係合孔32Hが設けられている。第一左側ロッド41の後端部は、蓋体20の本体の後端よりも後方に突出した際にヒンジ部材32の係合孔32Hに挿入されて係合される。
【0041】
第二左側ロッド42は、係合位置と解除位置との間で前後移動可能である。この係合位置は、第二左側ロッド42の前端部が蓋体20の本体の前端よりも前方に突出して収容体10の前基部14に係合する位置のことである。また、この解除位置は、第二左側ロッド42の前端部が蓋体20の本体内に入り込んで収容体10との係合が解除される位置のことである。収容体10の前基部14の後面には、第二左側ロッド42が挿入され係合される係合孔14aが設けられている。第二左側ロッド42の前端部は、蓋体20の本体の前端よりも前方に突出した際に収容体10の前基部14の係合孔14aに挿入されて係合される。第二左側ロッド42は、前基部14に係合した際に左側回転軸を構成する。
【0042】
左側同期装置43は、第一左側ロッド41と第二左側ロッド42とを互いに近づける方向又は遠ざける方向に同期して移動させる装置である。左側同期装置43は、第一左側ロッド41の前端部と第二左側ロッド42の後端部との間に配置されている。左側同期装置43は、蓋体20のインナ蓋材21に回転可能に支持された円板状の回転体である。左側同期装置43には、第一左側ロッド41の前端部が回動可能に支持されていると共に、第二左側ロッド42の後端部が回動可能に支持されている。左側同期装置43における第一左側ロッド41の支持点と第二左側ロッド42の支持点とは、周方向に略180°離間しており、その左側同期装置43の回転中心を挟んで略対称に位置している。
【0043】
左側ロッド付勢部材44は、第二左側ロッド42を蓋体20に対して前方へ付勢する付勢力を発生するつるまきバネである。左側ロッド付勢部材44は、一端部が第二左側ロッド42に支持されかつ他端部が蓋体20のインナ蓋材21に支持されるように配置されている。左側ロッド付勢部材44の付勢力は、第二左側ロッド42の前方への付勢により左側同期装置43を上方から見て時計回り(右回り)に回転させる力となり、これにより、第一左側ロッド41を蓋体20に対して後方へ付勢する力となる。
【0044】
左側操作部45は、蓋体20の左側の閉位置ロックを解除するために操作者により押圧操作される部位である。左側操作部45は、収容体10の前基部14の左側に配設されている。左側操作部45は、操作者の押圧操作時に触れるボタン部45aと、ボタン部45aと第二左側ロッド42とを係合させる機構部45bと、を有している。
【0045】
ボタン部45aは、前基部14の左側壁に左右方向にスライド移動可能に設けられている。ボタン部45aは、スプリング(図示せず)により前基部14に対して左方に付勢されており、操作者が右方へ押圧していない状態において前基部14の左側壁に沿って面一となるように保持されている。ボタン部45aは、操作者の押圧操作によりスプリングの付勢力に抗して前基部14に対して右方に相対移動される。
【0046】
機構部45bは、第二左側ロッド42の前端に当接している。ボタン部45aと機構部45bとは、傾斜面同士で当接している。ボタン部45aが右方へ押圧操作されていない状態すなわちボタン部45aが前基部14の左側壁に沿って面一となっている状態では、機構部45bは、初期位置にある。一方、ボタン部45aが右方へ押圧操作されると、機構部45bが第二左側ロッド42を左側ロッド付勢部材44の付勢力に抗して蓋体20内に入り込むように後方へ移動させる。第二左側ロッド42が後方へ移動すると、左側同期装置43が左回りに回転することで、第一左側ロッド41が前方へ移動する。
【0047】
蓋体20が閉位置にありかつ左側操作部45のボタン部45aが右方へ押圧操作されていないとき、又は、蓋体20が右側開位置にあるときは、第二左側ロッド42の前端部は、蓋体20の本体の前端よりも前方に突出しており、収容体10の前基部14に係合している。また、このとき、第一左側ロッド41の後端部は、蓋体20の本体の後端よりも後方に突出しており、ヒンジ部材32に係合している。以下、この状態を左ロック状態と称す。
【0048】
また、蓋体20の閉位置において左側操作部45のボタン部45aが右方へ押圧操作されると、第二左側ロッド42の前端部が蓋体20の本体の前端よりも後方に位置して蓋体20内に入り込むことで、第二左側ロッド42と前基部14との係合が解除される。また、このとき、左側同期装置43の左回転により第一左側ロッド41の後端部が蓋体20の本体の後端よりも前方に位置して蓋体20内に入り込むことで、第一左側ロッド41とヒンジ部材32との係合が解除される。以下、この状態を左ロック解除状態と称す。尚、左側ロック装置40は、第二左側ロッド42と収容体10の前基部14との係合解除と第一左側ロッド41とヒンジ部材32との係合解除とが互いに略同じタイミングで行われるように構成されていることが望ましい。
【0049】
右側ロック装置50は、第一右側ロッド51と、第二右側ロッド52と、右側同期装置53と、右側ロッド付勢部材54と、右側操作部55と、を有している。第一右側ロッド51は、蓋体20の後部側に配設された、略前後方向に延びるロッド部材である。第二右側ロッド52は、蓋体20の前部側に配設された、略前後方向に延びるロッド部材である。第一右側ロッド51及び第二右側ロッド52はそれぞれ、蓋体20に対して前後方向に進退可能に支持されている。
【0050】
第一右側ロッド51の後端部は、右側枢支部33Rの軸体34Rの中心に空いた貫通孔34Raに挿通されている。第一右側ロッド51は、係合位置と解除位置との間で前後移動可能である。この係合位置は、第一右側ロッド51の後端部が蓋体20の本体の後端よりも後方に突出し更にはヒンジ部材32の後端よりも後方に突出して収容体10の後基部13に係合する位置のことである。また、この解除位置は、第一右側ロッド51の後端部がヒンジ部材32内に入り込んで収容体10との係合が解除される位置のことである。収容体10の後基部13の前面には、第一右側ロッド51が挿入され係合される係合孔13aが設けられている。第一右側ロッド51の後端部は、ヒンジ部材32の後端よりも後方に突出した際に収容体10の後基部13の係合孔13aに挿入されて係合される。
【0051】
第二右側ロッド52は、係合位置と解除位置との間で前後移動可能である。この係合位置は、第二右側ロッド52の前端部が蓋体20の本体の前端よりも前方に突出して収容体10の前基部14に係合する位置のことである。また、この解除位置は、第二右側ロッド52の前端部が蓋体20の本体内に入り込んで収容体10との係合が解除される位置のことである。収容体10の前基部14の後面には、第二右側ロッド52が挿入され係合される係合孔14bが設けられている。第二右側ロッド52の前端部は、蓋体20の本体の前端よりも前方に突出した際に収容体10の前基部14の係合孔14bに挿入されて係合される。第二右側ロッド52は、前基部14に係合した際に右側回転軸を構成する。
【0052】
右側同期装置53は、第一右側ロッド51と第二右側ロッド52とを互いに近づける方向又は遠ざける方向に同期して移動させる装置である。右側同期装置53は、第一右側ロッド51の前端部と第二右側ロッド52の後端部との間に配置されている。右側同期装置53は、蓋体20のインナ蓋材21に回転可能に支持された円板状の回転体である。右側同期装置53には、第一右側ロッド51の前端部が回動可能に支持されていると共に、第二右側ロッド52の後端部が回動可能に支持されている。右側同期装置53における第一右側ロッド51の支持点と第二右側ロッド52の支持点とは、周方向に略180°離間しており、その右側同期装置53の回転中心を挟んで略対称に位置している。
【0053】
右側ロッド付勢部材54は、第二右側ロッド52を蓋体20に対して前方へ付勢する付勢力を発生するつるまきバネである。右側ロッド付勢部材54は、一端部が第二右側ロッド52に支持されかつ他端部が蓋体20のインナ蓋材21に支持されるように配置されている。右側ロッド付勢部材54の付勢力は、第二右側ロッド52の前方への付勢により右側同期装置53を上方から見て反時計回り(左回り)に回転させる力となり、これにより、第一右側ロッド51を蓋体20に対して後方へ付勢する力となる。
【0054】
右側操作部55は、蓋体20の右側の閉位置ロックを解除するために操作者により押圧操作される部位である。右側操作部55は、収容体10の前基部14の右側に配設されている。右側操作部55は、操作者の押圧操作時に触れるボタン部55aと、ボタン部55aと第二右側ロッド52とを係合させる機構部55bと、を有している。
【0055】
ボタン部55aは、前基部14の右側壁に左右方向にスライド移動可能に設けられている。ボタン部55aは、スプリング(図示せず)により前基部14に対して右方に付勢されており、操作者が左方へ押圧していない状態において前基部14の右側壁に沿って面一となるように保持されている。ボタン部55aは、操作者の押圧操作によりスプリングの付勢力に抗して前基部14に対して左方に相対移動される。
【0056】
機構部55bは、第二右側ロッド52の前端に当接している。ボタン部55aと機構部55bとは、傾斜面同士で当接している。ボタン部55aが左方へ押圧操作されていない状態すなわちボタン部55aが前基部14の右側壁に沿って面一となっている状態では、機構部55bは、初期位置にある。一方、ボタン部55aが左方へ押圧操作されると、機構部55bが第二右側ロッド52を右側ロッド付勢部材54の付勢力に抗して蓋体20内に入り込むように後方へ移動させる。第二右側ロッド52が後方へ移動すると、右側同期装置53が右回りに回転することで、第一右側ロッド51が前方へ移動する。
【0057】
蓋体20が閉位置にありかつ右側操作部55のボタン部55aが左方へ押圧操作されていないとき、又は、蓋体20が左側開位置にあるときは、第二右側ロッド52の前端部は、蓋体20の本体の前端よりも前方に突出しており、収容体10の前基部14に係合している。また、このとき、第一右側ロッド51の後端部は、ヒンジ部材32の後端よりも後方に突出しており、ヒンジ部材32を通過して収容体10の後基部13に係合している。以下、この状態を右ロック状態と称す。
【0058】
また、蓋体20の閉位置において右側操作部55のボタン部55aが左方へ押圧操作されると、第二右側ロッド52の前端部が蓋体20の本体の前端よりも後方に位置して蓋体20内に入り込むことで、第二右側ロッド52と前基部14との係合が解除される。また、このとき、右側同期装置53の右回転により第一右側ロッド51の後端部がヒンジ部材32の後端よりも前方に位置してヒンジ部材32内に入り込むことで、第一右側ロッド51と後基部13との係合が解除される。以下、この状態を右ロック解除状態と称す。尚、右側ロック装置50は、第二右側ロッド52と収容体10の前基部14との係合解除と第一右側ロッド51と収容体10の後基部13との係合解除とが互いに略同じタイミングで行われるように構成されていることが望ましい。
【0059】
伝達ロッド60は、左側ロック装置40及び右側ロック装置50のうちの何れか一方がロック解除状態にある場合に、そのうちの他方がロック状態からロック解除状態へ状態変化するのを阻止する部材である。伝達ロッド60は、左右方向に延在しており、蓋体20のインナ蓋材21に設けられたガイド61に沿って左右方向に移動可能に支持されている。伝達ロッド60は、右端部が右側同期装置53の前部に支持されかつ左端部が自由端となるように構成されている。伝達ロッド60は、右側同期装置53が右回転したときは右方へ移動し、右側同期装置53が左回転したときは左方へ移動する。
【0060】
伝達ロッド60の左端側には、前後方向に貫通する係合孔62が設けられている。この係合孔62には、第二左側ロッド42に一体に設けられた係合凸部42aが係合可能である。
図6に示す如く、蓋体20の閉位置(すなわち、左ロック状態かつ右ロック状態)では、係合凸部42aは、係合孔62に係合しておらず、係合孔62の前方位置でその係合孔62に対面している。
【0061】
一方、蓋体20の閉位置から第二左側ロッド42が後方へ移動して蓋体20が左ロック解除状態になると、
図7に示す如く、係合凸部42aが係合孔62に係合する。このため、左ロック解除状態では、伝達ロッド60が左右方向に移動することが規制されるので、第一及び第二右側ロッド51,52が前後方向に移動することは規制され、右側ロック装置50が右ロック解除状態となるのは阻止される。
【0062】
また、蓋体20の閉位置から第二右側ロッド52が後方へ移動して蓋体20が右ロック解除状態になると、
図8に示す如く、伝達ロッド60が右方へ移動し、係合凸部42aが、その伝達ロッド60の係合孔62の左側に隣接する端部60aの前方位置でその端部60aに対面する。この対面状態では、第一及び第二左側ロッド41,42が前後方向に移動しても、係合凸部42aが伝達ロッド60の端部60aに当接する。このため、右ロック解除状態では、第一及び第二左側ロッド41,42が前後方向に移動することは規制され、左側ロック装置40が左ロック解除状態となるのは阻止される。
【0063】
フラップ装置70は、蓋体20の左側又は右側が開いているときに対応のロッドに当接してそのロッドの係合位置への突出を規制する装置である。フラップ装置70は、左側フラップ装置71と、右側フラップ装置72と、を有している。
【0064】
左側フラップ装置71は、蓋体20が右ロック状態かつ左ロック解除状態すなわち左側開位置にあるときに左側ロック装置40を左ロック解除状態に維持させる装置である。左側フラップ装置71は、蓋体20の左前部側に配設されており、左側ロック装置40と係合可能である。また、右側フラップ装置72は、蓋体20が左ロック状態かつ右ロック解除状態すなわち右側開位置にあるときに右側ロック装置50を右ロック解除状態に維持させる装置である。右側フラップ装置72は、蓋体20の右前部側に配設されており、右側ロック装置50と係合可能である。
【0065】
左側フラップ装置71と右側フラップ装置72とは、互いに同じ構造を有している。そこで、以下では、右側フラップ装置72を例に挙げてフラップ装置70を説明する。右側フラップ装置72は、
図9及び
図10に示す如く、フラップ73と、回転軸体74と、付勢部材75と、を有している。
【0066】
フラップ73は、前後方向に延びる長板体である。フラップ73は、突出部73aと、ロッド当接部73bと、を有している。突出部73aは、蓋体20の前後方向の外部に露出する部位である。突出部73aは、フラップ73の前端部に設けられている。突出部73aは、前後方向に延びて蓋体20(具体的には、インナ蓋材21の収容空間)よりも前方に突出している。突出部73aは、その下面で収容体10と当接することが可能である。ロッド当接部73bは、第二右側ロッド52のフラップ当接部52fに当接可能な部位である。ロッド当接部73bは、フラップ73の後端部に設けられている。フラップ当接部52fは、上部から下部にかけて後方に傾斜する傾斜面をなしている。
【0067】
回転軸体74は、フラップ73の回転中心(揺動中心)となる部位である。回転軸体74は、フラップ73の中央部に設けられており、フラップ73の左右両端からそれぞれ左右方向に突出している。回転軸体74は、蓋体20に支持されている。フラップ73は、回転軸体74を中心にしてシーソー状に揺動することが可能である。
【0068】
付勢部材75は、突出部73aが下方側に位置しかつロッド当接部73bが上方側に位置するようにフラップ73を揺動(傾動)させる付勢力を発生する。付勢部材75の一端部は、フラップ73に支持されている。付勢部材75の他端部は、蓋体20に支持されている。付勢部材75の発生する付勢力は、右側ロッド付勢部材54の発生する付勢力よりも大きい。
【0069】
フラップ73の突出部73aが収容体10と当接していない状態では、
図9に示す如く、フラップ73は、突出部73aが下方側に位置しかつロッド当接部73bが上方側に位置する第一揺動位置にある。この場合、第二右側ロッド52は、フラップ当接部52fの上部がロッド当接部73bに当接することで右側ロッド付勢部材54の付勢力に抗して位置規制されており、蓋体20の本体内に入り込んでいる。すなわち、フラップ73の突出部73aが収容体10と当接していないとき、第二右側ロッド52及び第一右側ロッド51それぞれは、その先端が蓋体20から突出していない解除位置に位置する。
【0070】
一方、フラップ73の突出部73aが収容体10と当接している状態では、
図10に示す如く、フラップ73は、突出部73aが上方側に位置しかつロッド当接部73bが下方側に位置する第二揺動位置にある。この場合、第二右側ロッド52は、フラップ当接部52fの下部がロッド当接部73bに当接することで右側ロッド付勢部材54の付勢力により前方へ移動し、蓋体20よりも前方に突出する。更に、第二右側ロッド52の前進と同時に、第一右側ロッド51は、後方へ移動し、ヒンジ部材32の後端よりも後方に突出する。すなわち、フラップ73の突出部73aが収容体10と当接しているとき、第二右側ロッド52及び第一右側ロッド51それぞれは、その先端が蓋体20から突出する係合位置に位置して、収容体10と係合する。
【0071】
蓋体20が右側開位置(尚、左側閉位置を含む。)から右側閉位置へ変化する過程において、突出部73aが収容体10に当接すると、その後、フラップ73は、回転軸体74を中心にして揺動する。この揺動により、付勢部材75の付勢力に抗して、突出部73aは収容体10に押圧されて押し上げられると共に、ロッド当接部73bは押し下げられる。そして、蓋体20が右側閉位置になると、フラップ73の揺動は終了して、フラップ73は、蓋体20に対して略水平となり、ロッド当接部73bが第二右側ロッド52のフラップ当接部52fの下部に当接した状態になる。
【0072】
ロッド当接部73bが第二右側ロッド52のフラップ当接部52fの下部に当接すると、右側ロッド付勢部材54の付勢力により、第二右側ロッド52が前方へ移動して蓋体20よりも前方に突出すると共に、第一右側ロッド51が後方へ移動してヒンジ部材32の後端よりも後方に突出する。そして、第二右側ロッド52及び第一右側ロッド51のそれぞれの先端部が係合位置まで突出して収容体10と係合する。これにより、蓋体20が右側閉位置にロックされる。
【0073】
ところで、フラップ73の突出部73aが収容体10と当接していないときすなわち蓋体20が右側開位置にあるとき、突出部73aは、蓋体20の外部に露出している。このように蓋体20が右側開位置にある状態で車両乗員の誤操作により突出部73aが押し上げられると、フラップ73が誤動作するおそれがある。すなわち、上記の誤操作によってロッド当接部73bが第二右側ロッド52のフラップ当接部52fの下部に当接することになると、右側ロッド付勢部材54の付勢力により第二右側ロッド52及び第一右側ロッド51の先端部が蓋体20から突出するおそれがある。この誤動作が生じると、蓋体20を右側閉位置にロックすることができなくなってしまう。尚、蓋体20が左側開位置にあるときも同様の不都合が生じ得る。
【0074】
そこで、本実施形態の車載両開き収容装置1において、開閉機構30は、リブ31を有している。リブ31は、フラップ73の突出部73aを前後方向の外側(具体的には、前方側)からガードしてその突出部73aを車両乗員に触れ難くする機能を有していると共に、蓋体20の閉位置での収容体10への位置決めを補助する機能を有している。
【0075】
リブ31は、蓋体20に設けられている。蓋体20のインナ蓋材21は、
図9、
図10、
図11、及び
図12に示す如く、底壁部21aと、前壁部21bと、突壁部21cと、を有している。底壁部21aは、前後方向及び左右方向の双方に延びて平板状に形成されている。前壁部21bは、底壁部21aの前端から上方へ延びる壁部である。前壁部21b及び底壁部21aは、開閉機構30の各部が収容される空間を形成する。突壁部21cは、前壁部21bの上端から前方へ略水平に延びる壁部である。
【0076】
インナ蓋材21の前壁部21b及び突壁部21cには、フラップ73の突出部73aが貫通する貫通孔部21dが設けられている。貫通孔部21dは、左側フラップ装置71側の突出部73aと右側フラップ装置72側の突出部73aとに対応してインナ蓋材21に二つ設けられている。各突出部73aは、蓋体20の内部から対応の貫通孔部21dを介して外部へ突出しており、蓋体20の前方の外部に露出している。
【0077】
上記のリブ31は、蓋体20の突壁部21cの前端部の下面に設けられている。リブ31は、突出部73aに対して前後方向の外側すなわち前側に配置されている。リブ31は、突出部73aごとに対応して一つずつ設けられており、蓋体20に局所的に設けられている。二つのリブ31は、左右方向に離れて配置されている。各リブ31は、突壁部21cの前端部の下面から下方に平板状に延びている。各リブ31は、リブ31の前側から見た場合に、突出部73aがリブ31の後側に隠れて視認されないような大きさに形成されていることが好ましい。
【0078】
各リブ31の左右方向の幅は、突出部73aの左右方向幅以上である。各リブ31の左右方向の位置範囲は、突出部73aの左右方向の位置範囲を包含する。すなわち、各リブ31の左右方向端の位置は、突出部73aの左右方向端の位置と同じ又はその位置よりも外側である。尚、各リブ31の下端位置は、第一揺動位置にあるフラップ73の突出部73aの高さ位置又はその高さ位置よりも下方であることが好ましい。
【0079】
収容体10(具体的には、前基部14)は、凹部15を有している。凹部15は、蓋体20が開口11を閉じた際にリブ31が挿入される溝である。凹部15は、前基部14の上面に上方に開口するように形成されている。凹部15は、前基部14にリブ31の数と同数だけ設けられており、対応のリブ31に対向する箇所に形成されている。二つの凹部15は、二つのリブ31に合わせて左右方向に離れて配置されている。
【0080】
各凹部15は、対応のリブ31の左右方向及び前後方向双方の位置決めを行うことができるように構成されている。各リブ31は、対応の凹部15に挿入された際に、前基部14における凹部15を構成する周縁部により囲われる。この前基部14の周縁部は、凹部15に挿入されたリブ31に左方向に対向する部位と、そのリブ31に右方向に対向する部位と、そのリブ31に前方に対向する部位と、そのリブ31に後方に対向する部位と、を含み、リブ31を左右方向及び前後方向で位置決めする。
【0081】
次に、車載両開き収容装置1の動作について説明する。
車載両開き収容装置1において、蓋体20の右側及び左側が共に閉位置にあるときは、第一左側ロッド41がヒンジ部材32に係合し、第一右側ロッド51がヒンジ部材32を通して収容体10の後基部13に係合し、かつ第二左側ロッド42及び第二右側ロッド52が収容体10の前基部14に係合する。この場合、蓋体20は、収容体10の開口11を閉塞する閉位置にロックされる。
【0082】
蓋体20の右側及び左側が共に閉位置にあるときに左側操作部45のボタン部45aが右方へ押し込み操作されると、第二左側ロッド42が後方へ移動すると共に、左側同期装置43が左回りに回転して第一左側ロッド41が前方へ移動する。これらの移動が第二左側ロッド42と収容体10の前基部14との係合解除まで行われかつ第一左側ロッド41とヒンジ部材32との係合解除まで行われると、第一及び第二右側ロッド51,52が収容体10と係合した状態(すなわち、右側ロック装置50の右ロック状態)が維持されたまま左側ロック装置40が左ロック解除状態になる。これにより、蓋体20が右側閉位置にロックされたまま、蓋体20の左側についての閉位置ロックが解除される。
【0083】
蓋体20の左側閉位置のロックが解除されると、ヒンジ部材32が収容体10の後基部13に対して揺動しない一方、蓋体20が右側枢支部33Rのアームスプリング35Rの付勢力によりヒンジ部材32に対して揺動する。このため、左側操作部45のボタン部45aの右方への押圧操作が行われた場合は、ヒンジ部材32が収容体10に一体化された状態で、蓋体20がそのヒンジ部材32ひいては収容体10に対して右側の右側回転軸を中心にして回動する。これにより、蓋体20の左側が開位置に向けて開かれる。
【0084】
また、蓋体20の右側及び左側が共に閉位置にあるときに右側操作部55のボタン部55aが左方へ押し込み操作されると、第二右側ロッド52が後方へ移動すると共に、右側同期装置53が右回りに回転して第一右側ロッド51が前方へ移動する。これらの移動が第二右側ロッド52と収容体10の前基部14との係合解除まで行われかつ第一右側ロッド51と収容体10の後基部13との係合解除まで行われると、第一及び第二左側ロッド41,42が収容体10の前基部14又はヒンジ部材32と係合した状態(すなわち、左側ロック装置40の左ロック状態)が維持されたまま右側ロック装置50が右ロック解除状態になる。これにより、蓋体20が左側閉位置にロックされたまま、蓋体20の右側についての閉位置ロックが解除される。
【0085】
蓋体20の右側閉位置のロックが解除されると、蓋体20がヒンジ部材32に対して揺動しない一方、ヒンジ部材32が左側枢支部33Lのアームスプリング35Lの付勢力により収容体10の後基部13に対して揺動する。このため、右側操作部55のボタン部55aの左方への押圧操作が行われた場合は、蓋体20がヒンジ部材32に一体化された状態で収容体10に対して左側の左側回転軸を中心にして回動する。これにより、蓋体20の右側が開位置に向けて開かれる。
【0086】
このように、車載両開き収容装置1において、蓋体20は、収容体10の開口11を塞いだ閉位置から、右側の右側回転軸を中心にして左側の開位置へ向けて開動作することが可能であると共に、左側の左側回転軸を中心にして右側の開位置へ向けて開動作することが可能である。蓋体20は、右側回転軸及び左側回転軸のうちの何れか一方の回転軸を選択的に中心にして開閉動作することが可能である。
【0087】
また、開閉機構30は、互いに左右方向に離れた一対のロッド42,52と、それら左右の一対のロッド42,52に対応した一対のフラップ装置71,72(すなわち、一対のフラップ73)と、を有している。
【0088】
左側フラップ装置71は、蓋体20が左側開位置(すなわち右ロック状態)にあるときに第二左側ロッド42の係合位置への突出を規制して左側ロック装置40を左ロック解除状態に維持させる。そして、蓋体20の左側が閉動作してフラップ73の突出部73aが収容体10と当接すると、突出部73aが押し上げられかつロッド当接部73bが押し下げられるので、そのロッド当接部73bが第二左側ロッド42のフラップ当接部42fの下部に当接して左側ロッド付勢部材44の付勢力により第二左側ロッド42が前方へ移動して突出位置に至る。これにより、蓋体20が右側閉位置にあるときに蓋体20の左側が閉位置に位置するので、蓋体20が左右両側で閉位置にロックされる。
【0089】
また、右側フラップ装置72は、蓋体20が右側開位置(すなわち左ロック状態)にあるときに第二右側ロッド52の係合位置への突出を規制して右側ロック装置50を右ロック解除状態に維持させる。そして、蓋体20の右側が閉動作してフラップ73の突出部73aが収容体10と当接すると、突出部73aが押し上げられかつロッド当接部73bが押し下げられるので、そのロッド当接部73bが第二右側ロッド52のフラップ当接部52fの下部に当接して右側ロッド付勢部材54の付勢力により第二右側ロッド52が前方へ移動して突出位置に至る。これにより、蓋体20が左側閉位置にあるときに蓋体20の右側が閉位置に位置するので、蓋体20が左右両側で閉位置にロックされる。
【0090】
このように、車載両開き収容装置1においては、蓋体20の左側又は右側が開いているときに、その開いている側の第二左側ロッド42又は第二右側ロッド52のフラップ当接部42f,52fの上部にフラップ73のロッド当接部73bが当接するので、そのロッド42,52の係合位置への突出が規制されると共に、同時に、ロッド41,51の係合位置への突出が規制される。
【0091】
そして、蓋体20の開いている側が収容体10に当接したときに、その開いていた側の第二左側ロッド42又は第二右側ロッド52のフラップ当接部42f,52fの下部にフラップ73のロッド当接部73bが当接するので、そのロッド42,52の係合位置への突出規制が解除されると共に、同時に、ロッド41,51の係合位置への突出規制が解除され、これにより、ロッド41,42,51,52と収容体10との係合が可能になる。
【0092】
従って、蓋体20の左側又は右側が開いているときに、その開いている側の第二左側ロッド42又は第二右側ロッド52が係合位置に突出したままになるのを防止して、蓋体20の開いている側を閉位置にロックすることができなくなるのを防止することができる。
【0093】
また、開閉機構30において、左側フラップ装置71及び右側フラップ装置72それぞれのフラップ73は、前後方向に延びて蓋体20の外部に露出する突出部73aを有している。開閉機構30は、更に、蓋体20に設けられて突出部73aに対して前後方向の外側(すなわち前方)に配置されるリブ31を有している。このリブ31は、突出部73aごとに対応して設けられている。このリブ31の左右方向の位置範囲は、突出部73aの左右方向の位置範囲を包含している。
【0094】
この開閉機構30によれば、フラップ装置70の有する二つのフラップ73それぞれの突出部73aを、対応のリブ31の存在により前後方向の外側(具体的には、前側)からガードすることができるので、蓋体20の開側における突出部73aへの車両乗員の接触を防止してフラップ73の誤動作を防止することができる。このため、蓋体20における開側のロッド42,52が突出位置まで突出した状態でその蓋体20の開側が収容体10に対して閉位置まで閉じられるのを回避し、すなわち、蓋体20の開側が収容体10に対して閉位置まで閉じられる前にその開側のロッド42,52が突出位置まで突出するのを回避することができる。従って、蓋体20の開側が収容体10に対して閉まらなくなるのを防止し、蓋体20の閉位置ロックを収容体10との当接によって適切に実行させることができる。
【0095】
また、収容体10は、蓋体20が開口11を閉じた際にリブ31が挿入される凹部15を有している。凹部15は、挿入されるリブ31の左右方向及び前後方向双方の移動制限を行うことが可能である。この構造によれば、蓋体20の閉位置での収容体10への位置決めをリブ31を用いて実現することができる。このため、蓋体20の開位置からの閉動作を安定して行うことができ、蓋体20の閉位置での姿勢を安定させることができる。
【0096】
このように、蓋体20の開側における突出部73aへの車両乗員の接触を防止する機能と、蓋体20の閉位置での収容体10への位置決めを補助する機能とを、蓋体20に設けたリブ31を用いて実現することができる。
【0097】
尚、上記の実施形態においては、第二左側ロッド42と第二右側ロッド52とが特許請求の範囲に記載した「一対のロッド」に相当している。
【0098】
ところで、上記の実施形態においては、フラップ73が蓋体20の前部側に配設されており、そのフラップ73の突出部73aが蓋体20のインナ蓋材21の前壁部21bよりも前方に突出している。そして、フラップ73の後端部が前側のロッド42,52のフラップ当接部42f,52fに当接している。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、逆に、フラップ73が蓋体20の後部側に配設され、そのフラップ73の突出部73aが蓋体20のインナ蓋材21の後壁部よりも後方に突出し、そして、フラップ73の前端部が後側のロッド41,51のフラップ当接部に当接していてもよい。
【0099】
また、上記の実施形態においては、収容体10が、蓋体20が開口11を閉じた際にリブ31が挿入される溝である凹部15を有する。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、収容体10が、蓋体20が開口11を閉じた際にリブ31が挿入される孔である孔部を有するものであってよい。
【0100】
また、上記の実施形態においては、リブ31が、フラップ73の突出部73aに対して前後方向の外側(具体的には、前方)に配置されたうえで、蓋体20の突壁部21cの前端部の下面から下方に平板状に延びている。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、蓋体20の開側における突出部73aへの車両乗員の接触を防止することができれば、リブ31が平板状に代えて、突出部73aを前方側や側方側からガードし易くなるような形状、例えば断面コの字状に形成されていてもよい。
【0101】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0102】
1:車載両開き収容装置、10:収容体、11:開口、12:収容空間、15:凹部、20:蓋体、30:開閉機構、31:リブ、32:ヒンジ部材、39:ロックユニット、40:左側ロック装置、41:第一左側ロッド、42:第二左側ロッド、42f:フラップ当接部、44:左側ロッド付勢部材、50:右側ロック装置、51:第一右側ロッド、52:第二右側ロッド、52f:フラップ当接部、54:右側ロッド付勢部材、70:フラップ装置、71:左側フラップ装置、72:右側フラップ装置、73:フラップ、73a:突出部、73b:ロッド当接部。