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  • 特開-トナー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179875
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】トナー
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/09 20060101AFI20231213BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
G03G9/09
G03G9/087 325
G03G9/087 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092760
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小室 昌也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正郎
(72)【発明者】
【氏名】大久保 顕治
(72)【発明者】
【氏名】磯野 直也
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500AA03
2H500AA06
2H500BA24
2H500CA03
2H500CA06
2H500CA29
2H500CA36
2H500CA40
2H500CB06
2H500EA40B
2H500EA42C
2H500EA46C
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カブリや濃度ムラを抑制できるトナー。
【解決手段】結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナー粒子が、構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物を含有し、該トナーにおける構造式(2)で表される化合物の含有量が、0.3質量ppm以上であるトナー。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子が、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物を含有し、
該トナーにおける下記構造式(2)で表される化合物の含有量が、0.3質量ppm以上であることを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記トナーにおける前記構造式(1)で表される化合物の含有量が、0.5~10.0質量%である請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記トナーにおける前記構造式(2)で表される化合物の含有量が、0.5~10.0質量ppmである請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
前記トナーにおける前記構造式(2)で表される化合物の含有量に対する、前記トナーにおける前記構造式(1)で表される化合物の含有量の比の値(A)が、5000~100000である請求項1又は2に記載のトナー。
(A)=前記構造式(1)で表される化合物の含有量/前記構造式(2)で表される化合物の含有量
【請求項5】
前記結着樹脂のSP値が、9.5~10.6(cal/cm0.5である請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項6】
前記トナー粒子が、アルミニウム元素を含有し、
前記トナーにおける前記トナー粒子に含まれる該アルミニウム元素の含有量に対する、前記トナーにおける前記構造式(1)で表される化合物の含有量の比の値(B)が、3~105である請求項1又は2に記載のトナー。
(B)=前記構造式(1)で表される化合物の含有量/該アルミニウム元素の含有量
【請求項7】
前記結着樹脂は、ビニル系樹脂及びポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも一の樹脂を含む請求項1又は2に記載のトナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子写真法、静電記録法、トナージェット方式記録法のような方法によって形成される静電潜像を現像してトナー画像を形成するために用いられるトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター、ファクシミリの受信装置などに用いられる電子写真技術は装置の発展とともに利用者からの要求も年々厳しくなっている。近年の動向では、広告やデザイン用途が拡大し、出力画像には高い色再現性が必要とされる。そのため、画像形成に用いられるトナーには色域の拡大や着色力の向上が強く求められている。
【0003】
イエロートナーの着色剤として、下記構造式(1)で表される化合物を含有する耐候性に優れた顔料が好んで採用されている。
【化1】

構造式(1)で表される化合物を含有する顔料はカルボニル基とイミノ基による分子間水素結合を形成し、トナー中で強固な結晶構造をもつため、耐候性に優れていると考えられる。しかしながら、構造式(1)で表される化合物を有する顔料を着色剤として用いた場合、水素結合による顔料凝集が発生しやすく、着色力が低下してしまう。
着色力を向上させる手段として、特許文献1及び2では、顔料に対してロジン酸によるロジン処理を行い着色剤の分散性を向上させたトナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-280246号公報
【特許文献2】特開2013-113981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献のの技術により、ロジン酸が界面活性剤として作用し着色力は向上するが、ロジン酸がカルボキシ基を有することから、構造式(1)の化合物の親水性は低下しない。これにより、依然親水性の高い構造式(1)の化合物が、特に高温高湿環境下で水分を吸着し、カブリの発生や、帯電立ち上がりの速度の差に起因する濃度ムラといった画像弊害を引き起こしてしまう。
本開示は、高温高湿環境下において、特定の顔料を用いた場合でもカブリや濃度ムラと
いった画像弊害を抑制できるトナーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子が、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物を含有し、
該トナーにおける下記構造式(2)で表される化合物の含有量が、0.3質量ppm以上であるトナーに関する。
【化2】
【発明の効果】
【0007】
本開示により、高温高湿環境下において、特定の顔料を用いた場合でもカブリや濃度ムラといった画像弊害を抑制できるトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】濃度ムラの評価画像
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
【0010】
以下に、本開示の実施態様を具体的に説明する。
本開示は、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子が、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物を含有し、
該トナーにおける下記構造式(2)で表される化合物の含有量が、0.3質量ppm以上であるトナーに関する。
【化3】
【0011】
本発明者らは、トナー粒子が、少なくとも構造式(1)で表される化合物と構造式(2)で表される化合物を含有することで、高温高湿環境下におけるカブリや濃度ムラを抑制できることを見出した。
詳細なメカニズムについて、本発明者らは以下のように考えている。
【0012】
構造式(1)で表される化合物は分子中にイミノ基やカルボニル基といった極性基を有しており、比較的親水性が高い。そのため、構造式(1)で表される化合物を含むトナーは高温高湿環境下において、空気中の水分を吸着しやすくなる。水分を吸着することでトナー表面の電荷がリークし、帯電量が低下してしまう。これによりカブリや濃度ムラを引き起こすと考えられる。
顔料の分散性を向上させるためロジン処理を行っても、ロジン酸が分子中にカルボキシ基を有していることから、構造式(1)で表される化合物の親水性は低下せず、水分吸着を起こしてしまう。しかしながら、トナー粒子が構造式(2)で表される化合物を含有することで、帯電の低下を抑制し、カブリや濃度ムラを抑制することができる。
【0013】
構造式(2)で表される化合物は構造式(1)で表される化合物と相互作用しやすい構造をもつ一方で、分子極性は低く、結着樹脂ともなじみやすい。このことから、結着樹脂中においては、構造式(1)で表される化合物は構造式(2)で表される化合物と相互作用した方が安定となり、親水性の低い構造式(2)で表される化合物の存在によって構造式(1)で表される化合物の見かけの親水性が低下する。
これにより水分吸着が阻害され、カブリや濃度ムラといった画像弊害が抑制されると推定している。
【0014】
トナーにおける構造式(2)で表される化合物の含有量は、0.3質量ppm以上である必要がある。化合物(2)で表される化合物の含有量が0.3質量ppm以上であることで初めて、カブリや濃度ムラといった画像弊害の抑制効果が発揮される。
【0015】
以下にトナーの好ましい形態について説明する。
トナーにおける、構造式(1)で表される化合物の含有量は、0.5~10.0質量%であることが好ましく、2.5~8.0質量%であることがより好ましく、3.0~7.0質量%であることがさらに好ましく、4.0~6.0質量%であることがさらにより好ましい。
構造式(1)で表される化合物の含有量が0.5質量%以上であることで、着色力や色味などをより向上させることができる。一方で、構造式(1)で表される化合物の含有量を10.0質量%以下にすると、構造式(1)で表される化合物による水分吸着量の増加に伴ったカブリや濃度ムラをより抑制できる。
【0016】
また、トナーにおける構造式(2)で表される化合物の含有量は、0.5~10.0質量ppmであることが好ましく、1.0~7.0質量ppmであることがより好ましく、1.5~5.0質量ppmであることがさらに好ましく、2.0~3.0質量ppmであることがさらにより好ましい。
構造式(2)で表される化合物の含有量が0.5質量ppm以上であることで、高温高湿環境下における水分吸着をより一層抑制することができる。一方で、構造式(2)で表される化合物の含有量を10.0質量ppm以下にすることで、相互作用する構造式(1)で表される化合物が疎水性の上昇によってトナー内部に局在化することを防ぎ、着色力をより良好に保てる。構造式(2)で表される化合物の含有量は添加量により制御することができる。
【0017】
また、トナーにおける構造式(2)で表される化合物の含有量に対する、トナーにおける構造式(1)で表される化合物の含有量の比の値(A)は、5000~100000であることが好ましい。より好ましくは10000~50000であり、さらに好ましくは15000~30000である。
上記範囲であることで、トナーの着色力を担保しつつ、高湿環境での帯電低下をより抑制できる。
(A)=構造式(1)で表される化合物の含有量/構造式(2)で表される化合物の含有量
【0018】
また、結着樹脂のSP値が9.5~10.6(cal/cm0.5であることが好ましい。より好ましくは9.6~10.0(cal/cm0.5である。
SP値が上記範囲にあることで、構造式(2)が結着樹脂との親和性を良好に保つことができ、構造式(1)で表される化合物とより相互作用しやすくなる。
【0019】
また、トナー粒子はアルミニウム元素を含むことが好ましい。そして、トナーにおけるトナー粒子に含まれるアルミニウム元素の含有量に対する、トナーにおける構造式(1)で表される化合物の含有量の比の値(B)は、3~105であることが好ましい。より好ましくは、4~70であり、さらに好ましくは4~60であり、さらにより好ましくは5~50である。アルミニウム元素の含有量は、トナーの質量を基準としたトナー粒子に含まれるアルミニウム元素の含有量を示す。
(B)=構造式(1)で表される化合物の含有量/アルミニウム元素の含有量
【0020】
アルミニウムはイオン化傾向が比較的大きくイオン化しやすいため、比率(B)が105以下のとき、構造式(1)で表される化合物にアルミニウムイオンが効率よく配位する。これにより、構造式(1)で表される化合物の芳香環の電子密度が下がり、より強く構造式(2)で表される化合物と相互作用するため、帯電低下の抑制効果がより大きくはたらく。一方、比率(B)が3以上となる条件では、アルミニウムイオンによるトナー電荷のリークが抑制され、カブリや濃度ムラをより抑制できる。
【0021】
トナー粒子の製造方法は特に限定されないが、トナー粒子の内部に効率よく構造式(2)で表される化合物を取り込む観点から、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法などの水系媒体中でトナー粒子を製造する方法が好ましい。
【0022】
[着色剤]
イエロー顔料として構造式(1)で表される化合物を用いる。例えば構造式(1)で表される化合物を主成分として含むC.I.ピグメントイエロー155を用いることができる。
トナーに用いるイエロー顔料は、処理剤で処理が施されていてもよい。
また、顔料分散剤として、脂肪酸金属塩や芳香族カルボン酸の金属塩を用いてもよい。
顔料分散剤として用いる脂肪酸金属塩や芳香族カルボン酸の金属塩は、構造式(1)で表される化合物に配位しやすいアルミニウムイオンを含むアルミニウム化合物が好ましい。
【0023】
着色剤として、構造式(1)で表される化合物に加えて、他の顔料や染料を併用してもよい。例えば、C.I.ソルベントイエロー98やC.I.ソルベントイエロー162のようなイエロー染料を構造式(1)で表される化合物に併用してもよい。
構造式(1)で表される化合物以外の着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.3~10.0質量部が好ましく、0.5~3.0質量部がより好ましい。
【0024】
[添加剤]
高温高湿環境下におけるカブリや濃度ムラといった画像弊害を抑制しうるトナーを提供するために構造式(2)で表される化合物を添加する。
構造式(2)で表される化合物は、市販のものを使用してもよく、例えば、構造式(2)で表される化合物のイソオクタン溶液(不二化学薬品(株)社製)として入手することができる。
【0025】
[荷電制御剤]
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。荷電制御剤としては、公知のものが利用できる。
具体的な化合物としては、負帯電制御剤としては、例えば、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等の芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。
正帯電制御剤としては、例えば、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
荷電制御剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
樹脂系帯電制御剤以外の荷電制御剤としては、含金属サリチル酸系及びステアリン酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウム又はジルコニウムのものが好ましい。特に好ましい制御剤は、ジステアリン酸アルミニウムなど、アルミニウムと炭素数12~30(好ましくは16~24)の直鎖飽和脂肪酸との塩である。
樹脂系帯電制御剤としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基、サリチル酸部位、安息香酸部位を有する重合体又は共重合体を用いることが好ましい。
荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100.0質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上10.0質量部以下、より好ましくは0.06質量部以上1.2質量部以下である。
【0027】
[凝集剤]
トナーの製造において、必要に応じて凝集剤を用いるもできる。凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
トナー粒子にアルミニウム元素を含有させる観点から、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウムなど、アルミニウムを含有する凝集剤が好ましい。
【0028】
[アルミニウム元素]
トナー粒子はアルミニウム元素を含有することが好ましい。アルミニウム元素は、例えば上記荷電制御剤や凝集剤において、アルミニウム化合物を用いることで、トナー内部に投入することができる。
【0029】
[結着樹脂]
結着樹脂に用いることのできる樹脂としては特に限定されることはなく、従来トナーに用いられる樹脂を使用することができる。例えば、ポリエステル樹脂;ビニル系樹脂;ポリアミド樹脂;フラン樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂;シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0030】
その中でも、結着樹脂は、ビニル系樹脂及びポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも一の樹脂を含むことが好ましい。より好ましくはビニル系樹脂である。結着樹脂のSP値は、9.5~10.6(cal/cm0.5であることが好ましい。
トナー粒子は、コア粒子及びコア粒子の表面のシェルを有するコアシェル構造のトナー粒子であってもよい。例えば、コア粒子に含まれる結着樹脂がビニル系樹脂であることが好ましく、シェルがポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0031】
ビニル系樹脂を形成し得る重合性単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼンのようなスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシルのような不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸のような不飽和カルボン酸;マレイン酸のような不飽和ジカルボン酸;マレイン酸無水物のような不飽和ジカルボン酸無水物;アクリロニトリルのようなニトリル系ビニル単量体;塩化ビニルのような含ハロゲン系ビニル単量体;ニトロスチレンのようなニトロ系ビニル単量体;などが挙げられる。これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
好ましくは、スチレン系単量体と不飽和カルボン酸エステルとの共重合体である。
【0032】
ポリエステル樹脂を用いる場合は、公知のポリエステル樹脂を用いることができる。具体例として、二塩基酸やその誘導体(カルボン酸ハロゲン化物、エステル、酸無水物)及び二価のアルコールの縮重合物が挙げられる。必要に応じて三価以上の多塩基酸及びその誘導体(カルボン酸ハロゲン化物、エステル、酸無水物)、一塩基酸、三価以上のアルコール、一価のアルコールなどを用いてもよい。
【0033】
二塩基酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン-1,10-ジカルボン酸などの脂肪族二塩基酸;フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸、ヘット酸、ハイミック酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などの芳香族の二塩基酸;などが挙げられる。
また、二塩基酸の誘導体としては、上記脂肪族二塩基酸及び芳香族二塩基酸のカルボン酸ハロゲン化物、エステル化物及び酸無水物などが挙げられる。
【0034】
一方、二価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの非環式の脂肪族ジオール類;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などのビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物;キシリレンジグリコールなどのアラルキレングリコール類;イソソルビド;などが挙げられる。
三価以上の多塩基酸やその無水物としては、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸などが挙げられる。
【0035】
[ワックス]
トナー粒子はワックスを含むことが好ましい。ワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
【0036】
さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸などの脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどのアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
ワックスの含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して、0.5質量部以上25.0質量部以下が好ましい。
【0037】
また、トナーの保存性と耐高温オフセット性の両立の観点から、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、温度30℃以上200℃以下の範囲に存在する最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上110℃以下であることが好ましい。
【0038】
[キャリア]
トナーは、長期にわたり安定した画像が得られるという点で、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いてもよい。
磁性キャリアとしては、下記のような公知のものを使用できる。表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持する結着樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)。
【0039】
[無機微粒子]
トナー粒子は、そのままトナーとして用いてもよい。必要に応じてトナー粒子に各種無機微粒子を外添してトナーを得てもよい。無機微粒子としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
シリカ、金属酸化物(例えばチタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化クロム)、窒化物(例えば窒化ケイ素)、金属塩(例えば硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム)。
外添剤としての無機微粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対し、好ましくは0.5~5.0質量部である。
【0040】
無機微粒子は、トナーの流動性の改良及びトナー粒子の帯電均一化のために疎水化処理することもできる。無機微粒子の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で使用してもよいし、併用してもよい。
【0041】
[製造法]
トナー粒子の製造方法は、特に制限されず、公知のどのような製造方法であってもよいが、懸濁重合法が好ましい。
例えば、結着樹脂を生成する重合性単量体、構造式(1)で表される化合物、構造式(2)で表される化合物、並びに必要に応じて、アルミニウム元素を含む化合物、離型剤、他の着色剤などその他の添加剤を混合して重合性単量体組成物を得る。
その後、この重合性単量体組成物を連続相(例えば、水系媒体(必要に応じて、分散安定剤を含有させてもよい。))中に加える。そして、連続相中(水系媒体中)で重合性単量体組成物の粒子を形成し、重合性単量体を重合させる。こうすることによって、トナー粒子を得ることができる。
【0042】
以下、各種物性の測定方法について説明する。
<結着樹脂、着色剤の同定と定量>
トナーに含有される樹脂や着色剤などの構成化合物の組成と比率の同定は、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析計(以下、「熱分解GC/MS」とも称する)及びNMRを用いる。なお、トナーに含有される樹脂を単独で入手できる場合は単独で測定することもできる。
樹脂の構成化合物の種類の分析には熱分解GC/MSが用いられる。樹脂を550℃~
700℃で熱分解させた際に生じる、樹脂の分解物の成分のマススペクトルを分析する事で構成化合物の種類を同定する。具体的な測定条件は以下の通りである。
【0043】
[熱分解GC/MSの測定条件]
熱分解装置:JPS-700(日本分析工業)
分解温度:590℃
GC/MS装置:Focus GC/ISQ (Thermo Fisher)
カラム:HP-5MS 長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
注入口温度:200℃
フロー圧:100kPa
スプリット:50mL/min
MSイオン化:EI
イオン源温度:200℃ Mass Range 45-650
【0044】
続いて同定した樹脂の構成化合物の存在量比を、固体H-NMRで測定・算出する。構造決定は、核磁気共鳴分光分析(H-NMR)[400MHz、CDCl、室温(25℃)]を用いて行う。
測定装置:FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:1024回
得られたスペクトルの積分値から各モノマー成分のmol比を求め、これを基に組成比(質量%)を算出する。なお、トナーの50質量%以上を構成する樹脂を結着樹脂とする。
【0045】
<構造式(2)で表される化合物の含有量>
[抽出サンプルの作製]
トナー2gに対し18gのエタノールを加え、5分間超音波を照射する。続いて60℃の恒温槽内で18時間静置した後、常温下で24時間静置する。上澄みを採取してPTFE製のシリンジフィルター(口径250nm)でろ過し、ろ液を測定サンプルとする。
[GC/MS分析]
GC:TRACE-1310(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
MS:ISQ LT (サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
カラム:HP-5MS 長さ30m × 内径250 μm × 膜厚0.25μm(アジレント・テクノロジー社製)
キャリアガス:Heガス(純度99.99995%)
注入口温度:250℃
MSトランスファーライン温度:250℃
MSイオン源温度:250℃
MSイオン源:EI(電子イオン化法)
MS検出範囲(m/z):45~800
GCカラム温度:40℃で3分間保持した後、10℃/minの昇温速度で300℃まで加熱した。その後300℃で1分間ホールドする。
GCキャリアガス流量:1.5mL/min
注入方式:スプリット方式、スプリット比10/1
注入量:1.0μL
ライブラリ:NIST
【0046】
[検量線の作成]
標準試料として構造式(2)で表される化合物のイソオクタン溶液(不二化学薬品(株)社製)を使用して検量線を作成する。具体的には、上記標準試料をエタノールで5水準(0.10ppm、0.25ppm、0.54ppm、1.16ppm、26.5ppm)の濃度に希釈した溶液を検量線作成用のサンプルとして測定し、ピークの面積値と構造式(2)の濃度の関係をプロットして、検量線を得る。相関係数は、0.992で良好な直線性を示した。続いてサンプルを測定し、構造式(2)に帰属されるピークの面積値からトナーに含まれる構造式(2)で表される化合物の含有量を算出する。
【0047】
<構造式(1)で表される化合物の含有量>
上記構造式(2)で表される化合物の含有量の算出において、以下の様に作成した検量線を用いて構造式(1)で表される化合物の含有量を算出する。
標準試料としてC.I.ピグメントイエロー155を使用して検量線を作成する。具体的には、上記標準試料をエタノールで5水準(0.10%、0.55%、1.10%、7.89%、15.7%)の濃度に希釈した溶液を検量線作成用のサンプルとして測定し、ピークの面積値と構造式(1)で表される化合物の濃度の関係をプロットして、検量線を得る。相関係数は、0.986で良好な直線性を示した。続いてサンプルを測定し、構造式(1)に帰属されるピークの面積値からトナーに含まれる構造式(1)で表される化合物の含有量を算出する。
【0048】
<アルミニウム元素の含有量の測定方法>
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「ZSX Primus IV」(リガク社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ZSX
Guidance」(リガク社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径は30mm、測定時間20秒とする。
半自動MiniPressマシン(Specac社製)の試料成型用ダイス上にアルミリング(内径40mm、外径43mm、高さ5mm)をセットする。その中にトナー3gを
入れて、プレス圧15tで1分加圧成型して測定用ペレットを作製した。厚さ3mm、直径40mmに成型したペレットを用いる。
上記条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、32kV、125mAとする。
なお、外添剤としてアルミニウムを含有する微粒子などがトナー粒子に添加されている場合は、公知の方法で外添剤を除去した後に、得られたトナー粒子を用いて上記方法で測定しうる。
【0049】
(アルミニウム元素の検量線の作成)
含有量を求めるための検量線を作成するためのペレットとして、バインダー[商品名:Spectro Blend、成分:C 81.0、O 2.9、H 13.5、N 2.6(質量%)、化学式:C1938ON、形状:粉末(44μm);(株)リガク製]100質量部に対して、水酸化アルミニウムAl(OH)が0.001質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて充分混合し、上記測定用ペレットと同様にペレット成型したものを用意する。同様にして、水酸化アルミニウムが0.005質量部、0.01質量部、0.05質量部、0.1質量部、0.5質量部、1.0質量部、5.0質量部となるように混合・ペレット成型したものをそれぞれ用意する。
得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のアルミニウム元素の添加濃度を横軸として、一次関数の検量線を得る。
得られた検量線に基づき、トナーにおけるトナー粒子に含まれるアルミニウム元素の含有量を算出する。
【0050】
<SP値の算出方法>
SP値は、Fedorsによって提案された算出方法に従い、以下のようにして求める。それぞれの重合性単量体について、分子構造中の原子又は原子団に対して、「Polym.Eng.Sci,14(2),147-154(1974)」に記載の表から蒸発エネルギー(Δei)(cal/mol)及びモル体積(Δvi)(cm/mol)を求め、(ΣΔei/ΣΔvi)0.5をSP値(cal/cm0.5とする。
結着樹脂のSP値は結着樹脂を構成する重合性単量体に由来するモノマーユニットの蒸発エネルギー(Δei)及びモル体積(Δvi)をモノマーユニット毎に求め、各モノマーユニットの結着樹脂におけるモル比(j)との積をそれぞれ算出し、各モノマーユニットの蒸発エネルギーの総和をモル体積の総和で割ることによって求め、{(Σj×ΣΔei)/(Σj×ΣΔvi)}0.5をSP値(cal/cm0.5とする。
【0051】
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
【0052】
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1,600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下のとおりである。
【0053】
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として下記の希釈液を約0.3mL加える。
・希釈液:「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力が120Wである下記の超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
・超音波分散器:「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス(株)製)
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が15℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
【実施例0054】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。なお、以下の処方における部数及び%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
【0055】
<結着樹脂用ポリエステル樹脂1の製造>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表1に示す量のモノマーを入れた後、触媒としてジブチル錫オキサイドをモノマー総量100部に対して1.5部添加した。次いで、窒素雰囲気下にて常圧で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。
210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行い、ポリエステル樹脂1を得た。
【0056】
<結着樹脂用ポリエステル樹脂2の製造>
表1に示すような原料に変更すること以外はポリエステル1と同様の製造方法でポリエステル樹脂2を製造した。
【表1】

BPA-PO:ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2mol付加物
SP値の単位は、(cal/cm0.5である。
【0057】
<トナー1の製造>
(シェル用ポリエステル樹脂Aの製造)
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレーブ中に以下の材料を添加した。
・テレフタル酸 32.3部(50.0モル%)
・ビスフェノールA-プロピレンオキサイド2モル付加物 67.7部(50.0モル%)
・シュウ酸チタンカリウム(触媒) 0.02部
続いて、窒素雰囲気下、常圧下220℃で所望の分子量に到達するまで反応を行った。降温後粉砕し、シェル用のポリエステル樹脂Aを得た。
【0058】
(分散液の調製)
造粒タンクに、イオン交換水100.0部、リン酸ナトリウム5.0部、及び10質量%塩酸0.8部を添加し、リン酸ナトリウム水溶液を作製し、50℃に加温した。この造粒タンクに、イオン交換水7.0部に塩化カルシウム6水和物1.0部を溶解し作製した塩化カルシウム水溶液を添加し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて周速25m/sにて30分撹拌した。これにより、難水溶性無機微粒子として、リン酸カルシウム微粒子を含有する分散液(水分散液)を得た。
【0059】
(顔料分散組成物1の調製)
・重合性単量体(スチレン): 50.0部
・着色剤(C.I.ピグメントイエロー155): 6.0部
・構造式(2)で表される化合物: 0.0003部
・ジステアリン酸アルミニウム: 0.12部
上記材料を、アトライター(日本コークス社製)に導入し、半径1.25mmのジルコニアビーズを用いて200rpmにて25℃で180分間撹拌を行い、顔料分散組成物1を調製した。
【0060】
(顔料分散組成物2の調製)
構造式(2)で表される化合物の代わりにデヒドロアビエチン酸を0.0003部添加したこと以外は顔料分散組成物1と同様の調整方法で顔料分散組成物2を作成した。
【0061】
(着色剤含有組成物1の調製)
下記材料を同一容器内に投入し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、周速20m/sにて混合及び分散した。
・顔料分散組成物1: 56.1003部
・重合性単量体:スチレン: 20.0部
・重合性単量体:n-ブチルアクリレート: 30.0部
・着色剤(C.I.ソルベントイエロー98): 1.0部
・ポリエステル樹脂A: 2.0部
・架橋剤:ジビニルベンゼン: 0.5部
さらに、60℃に加温した後、離型剤:ベヘン酸ベヘニル 9.0部を投入し、30分間分散及び混合を行い、着色剤含有組成物1を調製した。
【0062】
(トナー粒子1の作製)
リン酸カルシウム微粒子を含有する分散液中に、上記着色剤含有組成物1を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、T.K.ホモミクサー(商品名、特殊機化工業製)にて周速30m/sで撹拌した。これに、重合開始剤t-ブチルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルPV」、分子量:174.2、10時間半減期温度:58℃)9.0部を添加し、重合性単量体組成物粒子を含む分散液を調製した。
次に、上記重合性単量体組成物粒子の分散液を別のタンクに移し、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度70℃に昇温し、70℃で5時間反応させた後、液温82℃とし、さらに2時間反応させた。冷却後、撹拌を保持したままpHが1.5になるまで希塩酸を加えて分散安定剤を溶解させた。固形分をろ別し、イオン交換水で充分に洗浄した後、40℃で24時間真空乾燥して、重量平均粒径(D4)6.8μmのトナー粒子1を得た。
【0063】
(外添工程)
上記より得たトナー粒子1の100部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会
社製、RY50)1.5部を加え、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機社製)を用いて混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナー1を得た。
【0064】
<トナー2~3、5、7~13の製造>
トナー1の顔料分散組成物1の調製において、構造式(2)で表される化合物、ジステアリン酸アルミニウムの添加量を表2の通り変更した。また、着色剤含有組成物1の調整において、重合性単量体の添加量を変更すること以外は同様にして、トナー2~3、5、7~13を得た。
【表2】

表2における、スチレン及びn-ブチルアクリレートの部数は、着色剤含有組成物の調製において顔料分散組成物に添加した部数である。顔料は構造式(1)で表される化合物の部数である。
【0065】
<トナー14の製造>
トナー1の着色剤含有組成物1の調製において、顔料分散組成物1を顔料分散組成物2に変更すること以外は同様にしてトナー14を得た。
【0066】
<トナー4の製造>
(ポリエステル樹脂粒子分散液の調製)
・ポリエステル樹脂1: 200.0部
・イオン交換水: 500.0部
上記材料をステンレス製の容器に入れ、温浴下95℃まで加熱溶融し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて7800rpmで十分撹拌しながら、0.1N炭酸水素ナトリウムを加えpHを7.0よりも大きくする。その後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部とイオン交換水297部の混合溶液を徐々に滴下し乳化分散することでポリエステル樹脂粒子分散液を得た。
このポリエステル樹脂粒子分散液の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-950)を用いて測定したところ、含まれるポリエステル樹脂粒子の個数平均粒径は、0.25μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
【0067】
(ワックス粒子分散液の調製)
・イオン交換水: 500.0部
・ベヘン酸ベヘニル: 250.0部
上記材料をステンレス製の容器に入れ、温浴下95℃まで加熱溶融し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて7800rpmで十分撹拌しながら、0.1N炭酸水素ナトリウムを加えpHを7.0よりも大きくする。その後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5質量部とイオン交換水245部の混合溶液を徐々に滴下し乳化分散を行った。このワックス粒子分散液に含まれるワックス粒子の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-920)を用いて測定したところ、含まれるワックス粒子の個数平均粒径は、0.35μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
【0068】
(着色剤粒子分散液の調製)
・着色剤(C.I.ピグメンイエロー155): 150.0部
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム: 5.0部
・構造式(2)で表される化合物: 0.0075部
・イオン交換水: 350.0部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この着色剤粒子分散液に含まれる着色剤粒子の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-920)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の個数平均粒径は、0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
【0069】
(トナー粒子4の製造)
・ポリエステル樹脂粒子分散液: 450.0部
・着色剤粒子分散液: 100.0部
・ワックス粒子分散液: 45.0部
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム: 5.0部
反応器(容積1リットルフラスコ、バッフル付きアンカー翼)にポリエステル樹脂粒子分散液、ワックス粒子分散液及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを仕込み、均一に混合した。一方、500mLビーカーに着色剤粒子分散液を均一に混合しておき、これを撹拌しながら反応器に徐々に添加し混合分散液を得た。得られた混合分散液を撹拌しながら塩化アルミニウム水溶液を固形分として9.8部、滴下し凝集粒子を形成させた。
滴下終了後、窒素を用いて系内を置換し、50℃にて1時間、さらに55℃にて1時間保持した。
その後昇温して90℃にて30分保持した。その後、63℃まで降温したのち3時間保持させ、融合粒子を形成させた。所定時間終了後、毎分0.5℃の降温速度にて常温(約25℃)まで冷却し、洗浄・ろ過・固液分離した後、真空乾燥機を用いて乾燥することでトナー粒子4を得た。
(外添工程)
上記トナー粒子4を用いた以外はトナー粒子1の外添工程と同様にしてトナー4を得た。
【0070】
<トナー6の製造>
トナー4のポリエステル樹脂粒子分散液の調製において、ポリエステル樹脂1をポリエステル樹脂2に変更した。また、着色剤粒子分散液の調製において、構造式(2)で表される化合物を0.0015部に変更した。また、トナー粒子製造工程において、ポリエステル樹脂粒子分散液を420部、着色剤粒子分散液を130部、添加する塩化アルミニウム水溶液を固形分として12.8部に変更し、それ以外は同様にしてトナー6を得た。
【0071】
<トナー15の製造>
(分散液の調製)
造粒タンクに、イオン交換水250.0部、塩化マグネシウム10.2部を溶解し、塩化マグネシウム水溶液を作製した。この造粒タンクに、イオン交換水50.0部に水酸化ナトリウム6.2部を溶解した水溶液を、T.K.ホモミクサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて周速25m/sにて撹拌しながら、徐々に添加し、水酸化マグネシウム(の微粒子)を含有する分散液を得た。
【0072】
(顔料分散組成物3の調整)
・重合性単量体(スチレン): 50.0部
・着色剤(C.I.ピグメントイエロー155): 6.0部
・構造式(2)で表される化合物: 0.00002部
上記材料を、アトライター(日本コークス社製)に導入し、半径1.25mmのジルコニアビーズを用いて200rpmにて25℃で180分間撹拌を行い、顔料分散組成物3を調製した。
【0073】
(着色剤含有組成物3の調製)
下記材料を同一容器内に投入し、T.K.ホモミクサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて、周速20m/sにて混合及び分散した。
・上記顔料分散組成物3 56.00002部
・重合性単量体:スチレン 20.0部
・重合性単量体:n-ブチルアクリレート 30.0部
・着色剤(ソルベントイエロー98) 1.0部
・帯電制御剤:FCA-5(商品名、藤倉化成製) 2.0部
・架橋剤:ジビニルベンゼン 0.5部
さらに、60℃に加温した後、離型剤:ベヘン酸ベヘニル10.0部を投入し、30分間分散及び混合を行い、着色剤含有組成物3を調製した。
【0074】
(重合性単量体組成物粒子の作製)
水酸化マグネシウム微粒子を含有する分散液中に上記着色剤含有組成物3を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、T.K.ホモミクサー(商品名、特殊機化工業製)にて周速30m/sで撹拌した。これに、重合開始剤t-ブチルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルPV」、分子量:174.2、10時間半減期温度:58℃)9.0部を添加し、重合性単量体組成物粒子を含む分散液を調製した。
次に、上記重合性単量体組成物粒子の分散液を別のタンクに移し、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度70℃に昇温し、重合反応させた。
【0075】
重合性単量体の転化率が95%に達したときに、90℃へ昇温し、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート2.0部、及び水溶性開始剤としてイオン交換水10部に2,2'-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)0.2部を溶解した水
溶液を添加した。90℃で3時間重合反応させ、トナー粒子1を含む重合反応液(重合スラリー)を得た。
冷却後、硫酸を加えpHを6.5以下にし、2時間撹拌し、トナー粒子表面の難水溶性無機微粒子を溶解した。トナー粒子の分散液を濾別し、水洗後、温度40℃にて48時間乾燥し重量平均粒径(D4)6.8μmのコアシェル構造を有するトナー粒子15を得た。
【0076】
(外添工程)
トナー粒子15:100.0部、乾式シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」:正帯電性疎水化処理されたシリカ粒子)1.5部を、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて3分間混合し、トナー粒子15
にシリカ粒子を付着させた。その後、300メッシュ(目開き48μm)で篩い、トナー15を得た。
【0077】
<トナー1~15の物性>
トナー1~15に対し上述した各種物性の測定を実施し、得られた物性を表4に示す。
【表3】
【0078】
<カブリ評価>
トナー300gを40℃95%RHにて30日間恒温槽に放置し、苛酷放置後のトナーを評価した。画像形成装置として、ヒューレットパッカード製のカラーレーザービームプリンター(HP LaserJet Enterprise Color M652n)を用い、プロセススピードが300mm/secとなるように改造を施した。
カートリッジとして、HP 656X LaserJetトナーカートリッジ(イエロー)を用いた。カートリッジ内部から製品トナーを抜き取り、エアブローによって清掃した後、評価するトナーを300g充填した。
【0079】
上記カートリッジを用い、下記の試験を行うことによりトナーを評価した。上記カートリッジを、イエローステーションに装着し、その他にはダミーカートリッジを装着することで評価を実施した。なお、トナー15のみ正帯電性トナーであるため、正帯電性トナーの現像が可能になるよう、各種電位設定を変更した。
評価条件は、高温高湿環境下(温度32℃/湿度85%RH)において、初期と横線で0.5%の印字率の画像を30000枚プリントアウト試験終了後の非画像部の反射率(%)をREFLECTOMETER MODEL TC-6DS」(東京電色社製)で測定した。
得られた反射率を、同様にして測定した未使用のプリントアウト用紙(標準紙)の反射率(%)から差し引いた数値(%)を用いて以下の基準で評価した。数値が小さい程、画像カブリが抑制されていることになる。評価は、グロス紙モードで、普通紙(HP Brochure Paper 200g , Glossy、HP社製、200g/m)を用いて行った。
(評価基準)
A:0.5%未満
B:0.5%以上1.5%未満
C:1.5%以上3.0%未満
D:3.0%以上
【0080】
<濃度ムラ>
トナー300gを40℃95%RHにて30日間恒温槽に放置し、苛酷放置後のトナーを評価した。評価は、高温高湿環境下(温度32℃/湿度85%RH)において、図2で示す画像をプリントし、印字部分の下流のベタ画像の画像濃度と非印字部分の下流のベタ画像の画像濃度の差により評価した。
画像濃度の測定には「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白下地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
転写材は、LETTERサイズの普通紙(XEROX 4200、XEROX社製、75g/m)を用いた。
(評価基準)
A:0.05未満
B:0.05以上0.10未満
C:0.10以上0.20未満
D:0.20以上
【0081】
<画像濃度>
トナーの着色力はベタ画像(トナーの載り量:0.4mg/cm)の画像濃度により評価した。なお、画像濃度の測定には「マクベス反射濃度計RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白下地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。記録媒体としては、LETTERサイズの普通紙(XEROX 4200、XEROX社製、75g/m)を使用した。
(評価基準)
A:1.40以上
B:1.20以上1.40未満
C:1.00以上1.20未満
D:1.00未満
【0082】
<実施例1~15>
実施例1~13では、トナーとして、トナー1~13をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表4に示す。
【0083】
<比較例1、2>
比較例1、2では、トナーとしてトナー14、15をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表4に示す。
【0084】
【表4】
【0085】
本開示は以下の構成に関する。
(構成1)
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子が、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物を含有し、
該トナーにおける下記構造式(2)で表される化合物の含有量が、0.3質量ppm以上であることを特徴とするトナー。

(構成2)
前記トナーにおける前記構造式(1)で表される化合物の含有量が、0.5~10.0質量%である構成1に記載のトナー。
(構成3)
前記トナーにおける前記構造式(2)で表される化合物の含有量が、0.5~10.0質量ppmである構成1又は2に記載のトナー。
(構成4)
前記トナーにおける前記構造式(2)で表される化合物の含有量に対する、前記トナーにおける前記構造式(1)で表される化合物の含有量の比の値(A)が、5000~100000である構成1~3のいずれかに記載のトナー。
(A)=前記構造式(1)で表される化合物の含有量/前記構造式(2)で表される化合物の含有量
(構成5)
前記結着樹脂のSP値が、9.5~10.6(cal/cm0.5である構成1~4のいずれかに記載のトナー。
(構成6)
前記トナー粒子が、アルミニウム元素を含有し、
前記トナーにおける前記トナー粒子に含まれる該アルミニウム元素の含有量に対する、前記トナーにおける前記構造式(1)で表される化合物の含有量の比の値(B)が、3~105である構成1~5のいずれかに記載のトナー。
(B)=前記構造式(1)で表される化合物の含有量/該アルミニウム元素の含有量
(構成7)
前記結着樹脂は、ビニル系樹脂及びポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも一の樹脂を含む構成1~6のいずれかに記載のトナー。
図1