(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179888
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】作業機械、作業機械を制御するための方法、及びシステム
(51)【国際特許分類】
E02F 3/85 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
E02F3/85 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092789
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】園田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】中江 好秀
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴志
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA03
2D003AB04
2D003BA01
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
(57)【要約】
【課題】作業機械において、作業機の姿勢を変更するための操作を容易にすると共に、作業機の姿勢による操作感の低下を抑える。
【解決手段】作業機械は、車体と、作業機と、複数のアクチュエータと、操作装置と、センサと、コントローラとを備える。作業機は、ブレードを含む。センサは、ブレードの現在の姿勢を検出する。コントローラは、複数のアクチュエータのストローク動作の組み合わせにより、ブレードが、操作装置の操作に応じて、現在の姿勢から、ブレード法線方向に移動するための複数のアクチュエータのそれぞれの目標ストローク長を決定する。ブレード法線方向は、ブレードの長手方向に垂直な方向である。コントローラは、目標ストローク長に基づいて、複数のアクチュエータを制御する。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
ブレードを含み、前記車体に対して可動的に接続された作業機と、
前記作業機に接続され、前記車体に対する前記ブレードの姿勢を変更する複数のアクチュエータと、
前記ブレードの姿勢を変更するために操作可能な操作装置と、
前記ブレードの現在の姿勢を検出するセンサと、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記ブレードの現在の姿勢を取得し、
前記複数のアクチュエータのストローク動作の組み合わせにより、前記ブレードが、前記操作装置の操作に応じて、前記現在の姿勢から、前記ブレードの長手方向に垂直なブレード法線方向に移動するための前記複数のアクチュエータのそれぞれの目標ストローク長を決定し、
前記目標ストローク長に基づいて前記複数のアクチュエータを制御する、
作業機械。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記操作装置の操作に応じた前記ブレードの制御モードを、少なくとも第1モードと第2モードとから選択し、
前記第1モードでは、前記操作装置の操作に応じて、前記ブレードを、重力方向に平行な鉛直方向に移動するように、前記複数のアクチュエータを制御し、
前記第2モードでは、前記操作装置の操作に応じて、前記ブレードを、前記ブレード法線方向に移動するように、前記複数のアクチュエータを制御する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記操作装置の操作に応じた前記ブレードの制御モードを、前記ブレードの現在の姿勢に応じて、少なくとも前記第1モードと前記第2モードとから選択する、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記ブレードの現在の姿勢が、通常姿勢であるか、又は、前記通常姿勢よりも大きなロール角を有するバンクカット姿勢であるかを判定し、
前記ブレードの現在の姿勢が、前記通常姿勢である場合には、前記ブレードの制御モードとして前記第1モードを選択し、
前記ブレードの現在の姿勢が、前記バンクカット姿勢である場合には、前記ブレードの制御モードとして前記第2モードを選択する、
請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記センサは、地面、又は、前記車体に対する前記ブレードのロール角を検出し、
前記コントローラは、前記ロール角に基づいて、前記ブレードの姿勢が、前記通常姿勢であるか、又は前記バンクカット姿勢であるかを判定する、
請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
前記車体は、前記車体の前後方向に延びるフロントフレームを含み、
前記作業機は、前記フロントフレームに対して回転可能に接続されたリフタブラケットを含み、
前記ブレードは、前記リフタブラケットを介して前記フロントフレームに支持されており、
前記センサは、前記フロントフレームに対する前記リフタブラケットの回転角度を検出し、
前記コントローラは、前記リフタブラケットの回転角度に基づいて、前記ブレードの姿勢が、前記通常姿勢であるか、又は前記バンクカット姿勢であるかを判定する、
請求項4に記載の作業機械。
【請求項7】
前記操作装置は、左リフト操作部材を含み、
前記コントローラは、
前記第1モードでは、前記左リフト操作部材の操作に応じて、前記ブレードの左端部を前記鉛直方向に移動するように、前記複数のアクチュエータを制御し、
前記第2モードでは、前記左リフト操作部材の操作に応じて、前記ブレードの左端部を前記ブレード法線方向に移動するように、前記複数のアクチュエータを制御する、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項8】
前記操作装置は、右リフト操作部材を含み、
前記コントローラは、
前記第1モードでは、前記右リフト操作部材の操作に応じて、前記ブレードの右端部を前記鉛直方向に移動するように、前記複数のアクチュエータを制御し、
前記第2モードでは、前記右リフト操作部材の操作に応じて、前記ブレードの右端部を前記ブレード法線方向に移動するように、前記複数のアクチュエータを制御する、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項9】
作業機械を制御するための方法であって、前記作業機械は、車体と、ブレードを含み前記車体に対して可動的に接続された作業機と、前記作業機に接続され前記車体に対する前記ブレードの姿勢を変更する複数のアクチュエータと、を備え、前記方法は、
前記ブレードの現在の姿勢を取得することと、
操作装置への操作を示す信号を取得することと、
前記複数のアクチュエータのストローク動作の組み合わせにより、前記ブレードが、前記操作装置の操作に応じて、前記現在の姿勢から、前記ブレードの長手方向に垂直なブレード法線方向に移動するための前記複数のアクチュエータのそれぞれの目標ストローク長を決定することと、
前記目標ストローク長に基づいて前記複数のアクチュエータを制御すること、
を備える方法。
【請求項10】
前記操作装置の操作に応じた前記ブレードの制御モードを、少なくとも第1モードと第2モードとから選択することと、
前記第1モードでは、前記操作装置の操作に応じて、前記ブレードを、重力方向に平行な鉛直方向に移動するように、前記複数のアクチュエータを制御することと、
前記第2モードでは、前記操作装置の操作に応じて、前記ブレードを、前記ブレード法線方向に移動するように、前記複数のアクチュエータを制御すること、
をさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記操作装置の操作に応じた前記ブレードの制御モードを、前記ブレードの現在の姿勢に応じて、少なくとも前記第1モードと前記第2モードとから選択すること、
をさらに備える請求項10に記載の方法
【請求項12】
前記ブレードの現在の姿勢が、通常姿勢であるか、又は、前記通常姿勢よりも大きなロール角を有するバンクカット姿勢であるかを判定することと、
前記ブレードの現在の姿勢が、前記通常姿勢である場合には、前記ブレードの制御モードとして前記第1モードを選択することと、
前記ブレードの現在の姿勢が、前記バンクカット姿勢である場合には、前記ブレードの制御モードとして前記第2モードを選択すること、
を備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】
地面、又は、前記車体に対する前記ブレードのロール角を検出することと、
前記ロール角に基づいて、前記ブレードの姿勢が、前記通常姿勢であるか、又は前記バンクカット姿勢であるかを判定すること、
をさらに備える請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記車体は、前記車体の前後方向に延びるフロントフレームを含み、
前記作業機は、前記フロントフレームに対して回転可能に接続されたリフタブラケットを含み、
前記ブレードは、前記リフタブラケットを介して前記フロントフレームに支持されており、
前記フロントフレームに対する前記リフタブラケットの回転角度を検出することと、
前記リフタブラケットの回転角度に基づいて、前記ブレードの姿勢が、前記通常姿勢であるか、又は前記バンクカット姿勢であるかを判定すること、
をさらに備える請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記操作装置は、左リフト操作部材を含み、
前記第1モードでは、前記左リフト操作部材の操作に応じて、前記ブレードの左端部を前記鉛直方向に移動するように、前記複数のアクチュエータを制御することと、
前記第2モードでは、前記左リフト操作部材の操作に応じて、前記ブレードの左端部を前記ブレード法線方向に移動するように、前記複数のアクチュエータを制御すること、
をさらに備える請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記操作装置は、右リフト操作部材を含み、
前記第1モードでは、前記右リフト操作部材の操作に応じて、前記ブレードの右端部を前記鉛直方向に移動するように、前記複数のアクチュエータを制御することと、
前記第2モードでは、前記右リフト操作部材の操作に応じて、前記ブレードの右端部を前記ブレード法線方向に移動するように、前記複数のアクチュエータを制御すること、
をさらに備える請求項10に記載の方法。
【請求項17】
作業機械を制御するためのシステムであって、前記作業機械は、車体と、ブレードを含み前記車体に対して可動的に接続された作業機と、前記作業機に接続され前記車体に対する前記ブレードの姿勢を変更する複数のアクチュエータと、を備え、前記システムは、
前記ブレードの姿勢を変更するために操作可能な操作装置と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記ブレードの現在の姿勢を取得し、
前記複数のアクチュエータのストローク動作の組み合わせにより、前記ブレードが、前記操作装置の操作に応じて、前記現在の姿勢から、前記ブレードの長手方向に垂直なブレード法線方向に移動するための前記複数のアクチュエータのそれぞれの目標ストローク長を決定し、
前記目標ストローク長に基づいて前記複数のアクチュエータを制御する、
システム。
【請求項18】
前記コントローラは、
前記操作装置の操作に応じた前記ブレードの制御モードを、少なくとも第1モードと第2モードとから選択し、
前記第1モードでは、前記操作装置の操作に応じて、前記ブレードを、重力方向に平行な鉛直方向に移動するように、前記複数のアクチュエータを制御し、
前記第2モードでは、前記操作装置の操作に応じて、前記ブレードを、前記ブレード法線方向に移動するように、前記複数のアクチュエータを制御する、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラは、
前記操作装置の操作に応じた前記ブレードの制御モードを、前記ブレードの現在の姿勢に応じて、少なくとも前記第1モードと前記第2モードとから選択する、
請求項18に記載の作業機械。
【請求項20】
前記コントローラは、
前記ブレードの現在の姿勢が、通常姿勢であるか、又は、前記通常姿勢よりも大きなロール角を有するバンクカット姿勢であるかを判定し、
前記ブレードの現在の姿勢が、前記通常姿勢である場合には、前記ブレードの制御モードとして前記第1モードを選択し、
前記ブレードの現在の姿勢が、前記バンクカット姿勢である場合には、前記ブレードの制御モードとして前記第2モードを選択する、
請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械、作業機械を制御するための方法、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械には、ブレードなどの作業機と、複数のアクチュエータとを備えるものがある。複数のアクチュエータのストローク動作に応じて、作業機の姿勢が変更される。作業機の姿勢は、作業機の高さと向きとを含む。例えば、特許文献1のモータグレーダは、フロントフレームと、ドローバと、サークルと、ブレードと、左右のリフトシリンダと、ドローバシフトシリンダと、油圧モータとを備えている。
【0003】
ドローバは、フロントフレームに対して上下方向及び左右方向に揺動可能に支持される。サークルは、ドローバに対して回転可能に支持される。ブレードは、サークルに接続される。左右のリフトシリンダは、ドローバを上下に移動させる。ドローバシフトシリンダは、ドローバを左右に揺動させる。油圧モータは、サークルを回転させる。
【0004】
また、上記のモータグレーダは、各シリンダに対応する複数の操作レバーを備えている。例えば、左リフトレバーの操作に応じて、左リフトシリンダがストローク動作する。右リフトレバーの操作に応じて、右リフトシリンダがストローク動作する。ドローバシフトレバーの操作に応じて、ドローバシフトシリンダがストローク動作する。回転レバーの操作に応じて、油圧モータが回転動作する。オペレータは、これらの操作レバーを操作することで、ブレードの姿勢を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のモータグレーダでは、オペレータが目標とする姿勢をブレードにとらせるために、複数の操作レバーを同時に操作する必要がある。例えば、オペレータが、ブレードの左端のみを上昇させたい場合に、オペレータが左リフトレバーのみを操作すると、左リフトシリンダが収縮することでブレードの左端が上昇するが、同時にブレードの右端が下降してしまう。従って、オペレータが、ブレードの左端のみを上昇させたい場合には、右端の上昇を抑えるために他のレバーも同時に操作する必要がある。
【0007】
また、ブレードが水平に保持されている場合、オペレータが、左リフトレバーと右リフトレバーとを同時に操作しても、ブレードは鉛直方向にまっすぐ上昇せず、ドローバシフトシリンダを回転させながら斜め上方向に移動してしまう。ブレードをまっすぐ鉛直に上昇させるためには、左リフトレバー、右リフトレバー,ドローバシフトレバーの3本を同時に操作する必要がある。そのため、作業機の操作は容易ではない。
【0008】
本発明の目的は、作業機械において、作業機の姿勢を変更するための操作を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る作業機械は、車体と、作業機と、複数のアクチュエータと、操作装置と、センサと、コントローラとを備える。作業機は、ブレードを含む。作業機は、車体に対して可動的に接続される。複数のアクチュエータは、作業機に接続される。複数のアクチュエータは、車体に対するブレードの姿勢を変更する。操作装置は、ブレードの姿勢を変更するために操作可能である。センサは、ブレードの現在の姿勢を検出する。コントローラは、ブレードの現在の姿勢を取得する。コントローラは、複数のアクチュエータのストローク動作の組み合わせにより、ブレードが、操作装置の操作に応じて、現在の姿勢から、ブレード法線方向に移動するための複数のアクチュエータのそれぞれの目標ストローク長を決定する。ブレード法線方向は、ブレードの長手方向に垂直な方向である。コントローラは、目標ストローク長に基づいて複数のアクチュエータを制御する。
【0010】
本発明の第2の態様に係る方法は、作業機械を制御するための方法である。作業機械は、車体と、作業機と、複数のアクチュエータとを備える。作業機は、ブレードを含む。作業機は、車体に対して可動的に接続される。複数のアクチュエータは、作業機に接続される。複数のアクチュエータは、車体に対するブレードの姿勢を変更する。当該方法は、ブレードの現在の姿勢を取得することと、操作装置への操作を示す信号を取得することと、複数のアクチュエータのストローク動作の組み合わせにより、ブレードが、操作装置の操作に応じて、現在の姿勢から、ブレードの長手方向に垂直なブレード法線方向に移動するための複数のアクチュエータのそれぞれの目標ストローク長を決定することと、目標ストローク長に基づいて複数のアクチュエータを制御すること、を備える。
【0011】
本発明の第3の態様に係るシステムは、作業機械を制御するためのシステムである。作業機械は、車体と、作業機と、複数のアクチュエータとを備える。作業機は、ブレードを含む。作業機は、車体に対して可動的に接続される。複数のアクチュエータは、作業機に接続される。複数のアクチュエータは、車体に対するブレードの姿勢を変更する。当該システムは、操作装置とコントローラとを備える。操作装置は、ブレードの姿勢を変更するために操作可能である。コントローラは、ブレードの現在の姿勢を取得する。コントローラは、複数のアクチュエータのストローク動作の組み合わせにより、ブレードが、操作装置の操作に応じて、現在の姿勢から、ブレード法線方向に移動するための複数のアクチュエータのそれぞれの目標ストローク長を決定する。ブレード法線方向は、ブレードの長手方向に垂直な方向である。コントローラは、目標ストローク長に基づいて複数のアクチュエータを制御する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作装置の操作に応じて、ブレードをブレード法線方向に移動するように、複数のアクチュエータが制御される。それにより、作業機の姿勢を変更するための操作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】リフタブラケット及びその周辺の構成を示す分解斜視図である。
【
図4】作業機械の駆動系及び制御系を示す模式図である。
【
図5】作業機の姿勢を示す作業機械の模式的な背面図である。
【
図6】作業機の姿勢を示す作業機械の模式的な平面図である。
【
図7】作業機の姿勢を示す作業機械の模式的な側面図である。
【
図8】作業機の姿勢を示す作業機械の模式的な平面図である。
【
図9】作業機の姿勢を示す作業機械の模式的な平面図である。
【
図10】オペレータによって操作される操作部材と、駆動されるアクチュエータとの対応を示す表である。
【
図11】作業機の姿勢を示す数学モデルの背面図である。
【
図12】作業機の姿勢を示す数学モデルの背面図である。
【
図13】作業機の姿勢を示す数学モデルの背面図である。
【
図14】作業機の姿勢を変更するための統合制御の処理を示すフローチャートである。
【
図15】作業機の姿勢を示す数学モデルの背面図である。
【
図16】作業機の姿勢を示す数学モデルの側面図である。
【
図17】作業機の姿勢を示す数学モデルの側面図である。
【
図18】ブレードが通常姿勢である場合の作業機の正面図である。
【
図19】ブレードがバンクカット姿勢である場合の作業機の正面図である。
【
図20】統合制御の処理を示すフローチャートである。
【
図21】変形例に係る作業機械の駆動系及び制御系を示す模式図である。
【
図22】ブレードがバンクカット姿勢である場合の作業機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る作業機械1の側面図である。
図2は、作業機械1の前部の斜視図である。
図1に示すように、作業機械1は、車体2と、前輪3と、後輪4と、作業機5とを備える。車体2は、フロントフレーム11と、リアフレーム12と、キャブ13と、動力室14とを含む。
【0015】
リアフレーム12は、フロントフレーム11に接続されている。フロントフレーム11は、リアフレーム12に対して、左右にアーティキュレート可能である。なお、以下の説明において、前後左右の各方向は、アーティキュレート角が0、すなわち、フロントフレーム11とリアフレーム12とが真っすぐな状態での車体2の前後左右の各方向を意味するものとする。
【0016】
キャブ13と動力室14とは、リアフレーム12上に配置されている。キャブ13には、図示しない運転席が配置されている。動力室14には、後述する駆動系が配置されている。フロントフレーム11は、リアフレーム12から前方へ延びている。前輪3は、フロントフレーム11に取り付けられている。後輪4は、リアフレーム12に取り付けられている。
【0017】
作業機5は、車体2に対して可動的に接続されている。作業機5は、支持部材15と、ブレード16と、リフタブラケット29とを含む。支持部材15は、車体2に可動的に接続されている。支持部材15は、ブレード16を支持している。支持部材15とブレード16とは、リフタブラケット29を介して、フロントフレーム11に支持されている。支持部材15は、ドローバ17とサークル18とを含む。ドローバ17は、フロントフレーム11の下方に配置される。
【0018】
図2に示すように、ドローバ17は、フロントフレーム11の軸支部19に接続されている。軸支部19は、フロントフレーム11の前部に配置されている。ドローバ17は、フロントフレーム11の前部から後方へ延びている。ドローバ17は、フロントフレーム11に対して少なくとも車体2の上下方向と左右方向とに揺動可能に支持されている。例えば、軸支部19は、ボールジョイントを含む。ドローバ17は、ボールジョイントを介して、フロントフレーム11に対して回転可能に接続されている。
【0019】
サークル18は、ドローバ17の後部に接続されている。サークル18は、ドローバ17に対して回転可能に支持される。ブレード16は、サークル18に接続される。ブレード16は、サークル18を介して、ドローバ17に支持されている。ブレード16は、チルト軸21回りに回転可能にサークル18に支持されている。チルト軸21は、左右方向に延びている。ブレード16は、左右方向にスライド可能にサークル18に支持されている。
【0020】
作業機械1は、作業機5の姿勢を変更するための複数のアクチュエータ22-27を備えている。複数のアクチュエータ22-27は、複数の油圧シリンダ22-26を含む。複数の油圧シリンダ22-26は、作業機5に接続されている。複数の油圧シリンダ22-26は、油圧によって伸縮する。複数の油圧シリンダ22-26は、伸縮することで、車体2に対する作業機5の姿勢を変更する。以下の説明では、油圧シリンダの伸縮を「ストローク動作」と呼ぶ。
【0021】
詳細には、複数の油圧シリンダ22-26は、左リフトシリンダ22と、右リフトシリンダ23と、ドローバシフトシリンダ24と、ブレードチルトシリンダ25と、ブレードシフトシリンダ26とを含む。左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とは、左右方向に互いに離れて配置されている。左リフトシリンダ22は、ドローバ17の左部分に接続されている。右リフトシリンダ23は、ドローバ17の右部分に接続されている。左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とは、ドローバ17に対して左右に揺動可能に接続されている。
【0022】
左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とは、フロントフレーム11に対して、左右に揺動可能に接続されている。詳細には、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とは、リフタブラケット29を介して、フロントフレーム11に接続されている。リフタブラケット29は、フロントフレーム11に対して回転可能に接続されている。リフタブラケット29は、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とを左右に揺動可能に支持している。左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とのストローク動作により、ドローバ17は、軸支部19回りに上下に揺動する。それにより、ブレード16が上下に移動する。
【0023】
ドローバシフトシリンダ24は、ドローバ17とフロントフレーム11とに接続されている。ドローバシフトシリンダ24は、リフタブラケット29を介してフロントフレーム11に接続されている。ドローバシフトシリンダ24は、フロントフレーム11に対して、揺動可能に接続されている。ドローバシフトシリンダ24は、ドローバ17に対して、揺動可能に接続されている。ドローバシフトシリンダ24は、フロントフレーム11からドローバ17に向かって、斜め下方に延びている。ドローバシフトシリンダ24は、フロントフレーム11の左右の一側方から反対の側方へ向かって延びている。ドローバシフトシリンダ24のストローク動作により、ドローバ17は、軸支部19回りに左右に揺動する。
【0024】
図3は、リフタブラケット29及びその周辺の構成を示す分解斜視図である。
図3に示すように、フロントフレーム11には、リフタガイド30が固定されている。リフタガイド30は、円環状の形状を有しており、フロントフレーム11の周囲に配置されている。リフタガイド30には、複数のロック孔301が設けられている。複数のロック孔301は、リフタガイド30の周方向に並んで配置されている。なお、
図3においては、複数のロック孔301の一部のみに符号301がふされており、他のロック孔301の符号は省略されている。
【0025】
リフタブラケット29は、貫通孔291を含む。貫通孔291には、フロントフレーム11が通される。リフタブラケット29は、上ブラケット29aと、下ブラケット29bとを含む。上ブラケット29aと下ブラケット29bとは、それぞれ半円環状に形成されている。上ブラケット29aと下ブラケット29bとは、リフタガイド30を挟み込むように互いに連結される。上ブラケット29aには左右のリフトシリンダ22,23が取り付けられる。下ブラケット29bには、ドローバシフトシリンダ24が取り付けられる。
【0026】
図2に示すように、リフタブラケット29は、ロックピン51,52を含む。ロックピン51,52は、リフタガイド30に向かい合って配置される。ロックピン51,52は、ロック孔301内とロック孔301外とに移動可能に設けられる。ロックピン51,52がロック孔301外に配置されている状態(以下、「解除状態」と呼ぶ)では、リフタブラケット29は、フロントフレーム11に対して回転可能となる。ロックピン51,52がロック孔301内に配置されている状態(以下、「ロック状態」と呼ぶ)では、リフタブラケット29は、フロントフレーム11に対して回転不能となり、フロントフレーム11に固定される。リフタブラケット29が解除状態で、左右のリフトシリンダ22,23が伸縮することにより、ブレード16がフロントフレーム11回りに回転する。
【0027】
図1に示すように、ブレードチルトシリンダ25は、サークル18とブレード16とに接続されている。ブレードチルトシリンダ25のストローク動作により、ブレード16がチルト軸21回りに回転する。
図2に示すように、ブレードシフトシリンダ26は、サークル18とブレード16とに接続されている。ブレードチルトシリンダ25のストローク動作により、ブレード16がサークル18に対して左右にスライドする。
【0028】
複数のアクチュエータ22-27は、回転アクチュエータ27を含む。回転アクチュエータ27は、ドローバ17とサークル18とに接続されている。回転アクチュエータ27は、ドローバ17に対してサークル18を回転させる。それにより、ブレード16が、上下方向に延びる回転軸回りに回転する。
【0029】
図4は、作業機械1の駆動系6及び制御系7を示す模式図である。
図4に示すように、作業機械1は、駆動源31と、油圧ポンプ32と、動力伝達装置33と、制御弁34とを備えている。駆動源31は、例えば内燃機関である。或いは、駆動源31は、電動モータ、或いは内燃機関と電動モータとのハイブリッドであってもよい。油圧ポンプ32は、駆動源31によって駆動されることで、作動油を吐出する。
【0030】
制御弁34は、油圧回路を介して油圧ポンプ32と複数の油圧シリンダ22-26とに接続されている。制御弁34は、複数の油圧シリンダ22-26にそれぞれ接続される複数の弁を含む。制御弁34は、油圧ポンプ32から複数の油圧シリンダ22-26に供給される作動油の流量を制御する。
【0031】
本実施形態では、回転アクチュエータ27は、油圧モータである。制御弁34は、油圧回路を介して油圧ポンプ32と回転アクチュエータ27とに接続されている。制御弁34は、油圧ポンプ32から回転アクチュエータ27に供給される作動油の流量を制御する。なお、回転アクチュエータ27は、電動モータであってもよい。
【0032】
動力伝達装置33は、駆動源31からの駆動力を後輪4に伝達する。動力伝達装置33は、トルクコンバータ、及び/又は、複数の変速ギアを含んでもよい。或いは、動力伝達装置33は、HST(Hydraulic Static Transmission)、或いは、HMT(Hydraulic Mechanical Transmission)などのトランスミッションであってもよい。
【0033】
図4に示すように、作業機械1は、操作装置35とコントローラ36とを備えている。操作装置35は、作業機5の姿勢を変更するためにオペレータによって操作可能である。作業機5の姿勢は、複数のパラメータによって定義される。複数のパラメータは、車体2に対するブレード16の位置と向きとを示す。
図5は、作業機5の姿勢を示す作業機械1の模式的な背面図である。
図5に示すように、複数のパラメータは、ブレード16の左端部161の高さと、右端部162の高さとを含む。
【0034】
複数のパラメータは、ドローバ17のヨー角θ1と、ピッチ角θ2と、ロール角θ3とを含む。
図6は、作業機5の姿勢を示す作業機械1の模式的な平面図である。
図6に示すように、ドローバ17のヨー角θ1は、車体2の前後方向に対するドローバ17の左右方向の傾斜角度である。なお、ドローバ17のヨー角θ1は、フロントフレーム11の前後方向に対するドローバ17の左右方向の傾斜角度であってもよい。ブレード16の左右方向における位置は、ドローバ17のヨー角θ1に応じて変化する。
【0035】
図7は、作業機5の姿勢を示す作業機械1の模式的な側面図である。
図7に示すように、ドローバ17のピッチ角θ2は、車体2の前後方向に対するドローバ17の上下方向の傾斜角度である。
図5に示すように、ドローバ17のロール角θ3は、車体2の前後方向に延びるロール軸A1回りのドローバ17の傾斜角度である。
【0036】
複数のパラメータは、サークル18の回転角θ4と、ブレード16のチルト角θ5と、ブレード16のシフト量W1とを含む。
図8は、作業機5の姿勢を示す作業機械1の模式的な平面図である。
図8に示すように、サークル18の回転角θ4は、車体2の前後方向に対するサークル18の回転角θ4である。
図7に示すように、ブレード16のチルト角θ5は、左右方向に延びるチルト軸21回りのブレード16の傾斜角である。
図9は、作業機5の姿勢を示す作業機械1の模式的な平面図である。
図9に示すように、ブレード16のシフト量W1は、サークル18に対するブレード16の左右方向へのスライド量である。
【0037】
操作装置35は、上述したパラメータを変更するためにオペレータによって操作可能である。操作装置35は、複数の操作部材41-46を含む。複数の操作部材41-46は、上述した複数のパラメータのうち、ブレード16の左端部161の高さと、右端部162の高さと、ドローバ17のヨー角θ1と、サークル18の回転角θ4と、ブレード16のチルト角θ5と、ブレード16のシフト量W1とのそれぞれに対応して設けられている。
【0038】
複数の操作部材41-46は、左リフトレバー41と、右リフトレバー42と、ドローバシフトレバー43と、回転レバー44と、ブレードチルトレバー45と、ブレードシフトレバー46とを含む。左リフトレバー41は、ブレード16の左端部161の高さを変更するために操作される。右リフトレバー42は、ブレード16の右端部162の高さを変更するために操作される。
【0039】
ドローバシフトレバー43は、ドローバ17のヨー角θ1を変更するために操作される。回転レバー44は、サークル18の回転角θ4を変更するために操作される。ブレードチルトレバー45は、ブレード16のチルト角θ5を変更するために操作される。ブレードシフトレバー46は、ブレード16のシフト量W1を変更するために操作される。複数の操作部材41-46のそれぞれは、オペレータによる各操作部材41-46への操作を示す信号を出力する。
【0040】
また、操作装置35は、リフタロックスイッチ47を含む。作業機械1は、リフタロックアクチュエータ28を含む。リフタロックスイッチ47は、リフタブラケット29をロック状態と解除状態とに切り替えるために操作される。リフタロックアクチュエータ28は、ロックピン51,52をロック孔301内とロック孔301外とに移動させる。リフタロックアクチュエータ28は、例えば油圧アクチュエータであり、油圧によりロックピン51,52をロック孔301内とロック孔301外とに移動させる。或いは、リフタロックアクチュエータ28は、電動アクチュエータであってもよい。リフタロックアクチュエータ28は、リフタロックスイッチ47の操作に応じて、ロックピン51,52をロック孔301内とロック孔301外とに移動させる。
【0041】
コントローラ36は、駆動源31及び動力伝達装置33を制御することで、作業機械1を走行させる。また、コントローラ36は、油圧ポンプ32と制御弁34とを制御することで、作業機5を動作させる。コントローラ36は、プロセッサ37と記憶装置38とを含む。プロセッサ37は、例えばCPUであり、作業機械1を制御するためのプログラムを実行する。記憶装置38は、RAM及びROMなどのメモリと、SSD或いはHDDなどの補助記憶装置を含む。記憶装置38は、作業機械1を制御するためのプログラムとデータとを記憶している。
【0042】
図4に示すように、作業機械1は、作業機5の姿勢を検出するための複数のセンサS1-S6を含む。複数のセンサS1-S6は、例えば磁気センサである。ただし、複数のセンサS1-S6は、光学センサなどの他の方式のセンサであってもよい。複数のセンサS1-S5は、上述した複数の油圧シリンダ22-26のストローク長を検出する。複数のセンサS1-S5は、左リフトセンサS1と、右リフトセンサS2と、ドローバシフトセンサS3と、ブレードチルトセンサS4と、ブレードシフトセンサS5とを含む。
【0043】
左リフトセンサS1は、左リフトシリンダ22のストローク長を検出する。右リフトセンサS2は、右リフトシリンダ23のストローク長を検出する。ドローバシフトセンサS3は、ドローバシフトシリンダ24のストローク長を検出する。ブレードチルトセンサS4は、ブレードチルトシリンダ25のストローク長を検出する。ブレードシフトセンサS5は、ブレードシフトシリンダ26のストローク長を検出する。
【0044】
複数のセンサS1-S6は、回転センサS6を含む。回転センサS6は、サークル18の回転角θ4を検出する。複数のセンサS1-S6は、検出したストローク長及び回転角θ4を示す信号を出力する。
【0045】
コントローラ36は、複数のセンサS1-S6からの信号に基づいて、作業機5の姿勢を取得する。すなわち、コントローラ36は、複数のセンサS1-S6からの信号に基づいて、上述した複数のパラメータの現在の値を算出する。上述したように、コントローラ36は、複数の操作部材41-46の操作に応じて、複数のアクチュエータ22-27を制御することで、作業機5の姿勢を変更する統合制御を実行する。
【0046】
以下、統合制御について詳細に説明する。なお、以下の説明において、作業機5の姿勢は、フロントフレーム11に対する作業機5の姿勢を意味する。或いは、作業機5の姿勢は、アーティキュレート角が0であるときの車体2に対する作業機5の姿勢を意味する。以下、コントローラ36によって実行される作業機5の姿勢を変更するための制御について説明する。
【0047】
図10は、オペレータによって操作される操作部材と、駆動されるアクチュエータとの対応を示す表である。作業機械1では、上述した作業機5の構造により、1つのアクチュエータの動作に応じて、作業機5の姿勢を示す複数のパラメータが変化する。例えば、
図11及び
図12は、作業機5の姿勢を示す数学モデルM1の背面図である。数学モデルM1は、アクチュエータの動作に連動する作業機5の各部分の幾何学的な位置関係を示す。コントローラ36は、数学モデルM1により、油圧シリンダ22-26のストローク長と、回転アクチュエータ27の回転角θ4とに対応したドローバ17、サークル18、及びブレード16の位置と角度とを算出する。
【0048】
図11は、初期状態の作業機5を示している。
図12は、左リフトシリンダ22が初期状態から収縮したときの作業機5を示している。
図12では、左リフトシリンダ22以外のアクチュエータは初期状態に維持されている。
図12に示すように、左リフトシリンダ22が収縮することで、ブレード16の左端部161が初期状態の位置161’から上昇する。しかし、ブレード16の右端部162は初期状態の位置162’から下降する。また、ブレード16は、初期状態の位置から左方へ移動する。すなわち、左リフトシリンダ22のストローク動作に応じて、ブレード16の左端部161の高さが変化すると共に、ブレード16の右端部162の高さと、ドローバ17のヨー角θ1が変化する。
【0049】
従って、左リフトレバー41の操作に応じて左リフトシリンダ22のみを動作させる場合、ブレード16の左端部161の高さが変化するだけではなく、ブレード16の右端部162の高さと、ドローバ17の左右方向の位置も変化してしまう。そこで、コントローラ36は、左リフトレバー41が操作されているときには、
図13に示すように、左リフトレバー41の操作に応じてブレード16の左端部161の高さを変化させると共に、ブレード16の右端部162の高さと、ドローバ17のヨー角θ1とを一定に保持するように、左リフトシリンダ22と、右リフトシリンダ23と、ドローバシフトシリンダ24とを制御する。
【0050】
例えば、ブレード16の左端部161を上昇させるように左リフトレバー41が操作されているときには、コントローラ36は、左リフトシリンダ22を収縮させる。それにより、ブレード16の左端部161が上昇する。また、コントローラ36は、右リフトシリンダ23を収縮させる。それにより、ブレード16の右端部162の下降が抑えられる。また、コントローラ36は、ドローバシフトシリンダ24を収縮させる。それにより、ブレード16のヨー角θ1の変化が抑えられる。それにより、ブレード16の左端部161は、鉛直方向に上昇する。鉛直方向は、重力方向に平行な方向である。
【0051】
詳細には、
図14は、コントローラ36によって実行される作業機5の統合制御の処理を示すフローチャートである。
図14に示すように、ステップS101では、コントローラ36は、作業機5の現在の姿勢を取得する。コントローラ36は、複数のセンサS1-S6からの信号に基づいて、各油圧シリンダ22-26の現在のストローク長と、サークル18の現在の回転角θ4とを取得する。コントローラ36は、各油圧シリンダ22-26の現在のストローク長と、サークル18の現在の回転角θ4とに基づいて、作業機5の姿勢を示す上述した複数のパラメータを算出する。
【0052】
ステップS102では、コントローラ36は、操作装置35の操作を取得する。コントローラ36は、上述した複数の操作部材41-46のいずれかから、その操作部材の操作を示す信号を受信する。
【0053】
ステップS103では、コントローラ36は、目標姿勢を決定する。コントローラ36は、操作部材の操作に応じて目標姿勢を決定する。例えば、左リフトレバー41が操作されているときには、ブレード16の右端部162の高さと、ドローバ17の左右方向の位置とが一定に保持されながら、ブレード16の左端部161の高さが、左リフトレバー41の操作に応じた高さとなるような、ドローバ17のピッチ角θ2とロール角θ3とを、目標姿勢として決定する。なお、ドローバ17のヨー角θ1は、初期状態の値に維持される。
【0054】
ステップS104では、コントローラ36は、目標ストローク長を決定する。コントローラ36は、作業機5が目標姿勢をとるための各油圧シリンダ22-26の目標ストローク長を算出する。上記の例では、コントローラ36は、上述した目標姿勢を示すドローバ17のピッチ角θ2とロール角θ3とを実現する左リフトシリンダ22の第1目標ストローク長と、右リフトシリンダ23の第2目標ストローク長と、ドローバシフトシリンダ24の第3目標ストローク長とを算出する。
【0055】
ステップS105では、コントローラ36は、ストローク差を算出する。ストローク差は、目標ストローク長と現在のストローク長との差である。上記の例では、コントローラ36は、左リフトシリンダ22の現在のストローク長と第1目標ストローク長との差を、第1ストローク差として決定する。コントローラ36は、右リフトシリンダ23の現在のストローク長と第2目標ストローク長との差を、第2ストローク差として決定する。コントローラ36は、ドローバシフトシリンダ24の現在のストローク長と第3目標ストローク長との差を、第3ストローク差として決定する。
【0056】
ステップS106では、コントローラ36は、作業機5が目標姿勢をとるための各油圧シリンダ22-26の目標ストローク速度を決定する。コントローラ36は、各油圧シリンダ22-26のストローク差に基づいて、目標ストローク速度を決定する。上記の例では、コントローラ36は、第1ストローク差に基づいて、左リフトシリンダ22の第1目標ストローク速度を決定する。コントローラ36は、第2ストローク差に基づいて、右リフトシリンダ23の第2目標ストローク速度を決定する。コントローラ36は、第3ストローク差に基づいて、ドローバシフトシリンダ24の第3目標ストローク速度を決定する。
【0057】
ステップS107では、コントローラ36は、目標ストローク速度に基づいて、各アクチュエータを制御する。上記の例では、コントローラ36は、第1目標ストローク速度で左リフトシリンダ22がストローク動作するように、制御弁34を制御する。コントローラ36は、第2目標ストローク速度で右リフトシリンダ23がストローク動作するように、制御弁34を制御する。コントローラ36は、第3目標ストローク速度でドローバシフトシリンダ24がストローク動作するように、制御弁34を制御する。それにより、
図13に示すように、ブレード16の右端部162の高さと、ドローバ17の左右方向の位置とが一定に保持されながら、左リフトレバー41の操作に応じてブレード16の左端部161の高さが鉛直方向に変化する。
【0058】
以上のように、左リフトレバー41が操作されているときには、コントローラ36は、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とのストローク動作の組み合わせにより、左リフトレバー41の操作に応じた作業機5の目標姿勢を実現させる。他の操作部材が操作されているときも同様に、コントローラ36は、複数のアクチュエータ22-27の動作の組み合わせにより、当該操作部材の操作に応じた作業機5の目標姿勢を実現させる。
【0059】
例えば、
図10に示すように、右リフトレバー42が操作されているときには、コントローラ36は、左リフトシリンダ22と、右リフトシリンダ23と、ドローバシフトシリンダ24とを動作させる。左リフトシリンダ22と同様に、右リフトシリンダ23がストローク動作するときには、右リフトシリンダ23のストローク動作に応じて、ブレード16の右端部162の高さが変化すると共に、ブレード16の左端部161の高さとドローバ17の左右方向の位置も変化する。
【0060】
そのため、コントローラ36は、右リフトレバー42が操作されているときには、ブレード16の左端部161の高さと、ドローバ17のヨー角θ1とが一定に保持されながら、ブレード16の右端部162の高さが、鉛直方向に移動して、右リフトレバー42の操作に応じた高さとなるような、ドローバ17のピッチ角θ2とロール角θ3とを、目標姿勢として決定する。そして、コントローラ36は、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とのストローク動作の組み合わせにより、右リフトレバー42の操作に応じた作業機5の目標姿勢を実現させる。
【0061】
ドローバシフトレバー43が操作されているときには、コントローラ36は、左リフトシリンダ22と、右リフトシリンダ23と、ドローバシフトシリンダ24とを動作させる。
図15Aは、従来のモータグレーダにおける、ドローバシフトシリンダ24が初期状態からストローク動作するときの作業機5を示している。従来のモータグレーダにおいては、ドローバシフトシリンダ24がストローク動作するときには、
図15Aに示すように、ドローバシフトシリンダ24のストローク動作に応じて、ブレード16の左端部161の高さと右端部162の高さも変化する。また、ドローバシフトシリンダ24のストローク動作に応じて、ドローバ17のヨー角θ1が変化する。
【0062】
そのため、本実施形態に係る作業機械1では、コントローラ36は、ドローバシフトレバー43が操作されているときには、
図15Bに示すように、ブレード16の左端部161の高さと右端部162の高さとが一定に保持されながら、ドローバ17のヨー角θ1が、ドローバシフトレバー43の操作に応じた角度になるような、ドローバ17のピッチ角θ2とロール角θ3とを、目標姿勢として決定する。そして、コントローラ36は、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とのストローク動作の組み合わせにより、ドローバシフトレバー43の操作に応じた作業機5の目標姿勢を実現させる。
【0063】
回転レバー44が操作されているときには、コントローラ36は、左リフトシリンダ22と、右リフトシリンダ23と、ドローバシフトシリンダ24と、回転アクチュエータ27とを動作させる。
図16Aは、初期状態の作業機5を示す側面図である。
図16Bは、従来のモータグレーダにおける、サークル18が初期状態から回転したときの作業機5を示している。従来のモータグレーダにおいては、回転アクチュエータ27によってサークル18が回転するときには、
図16Bに示すように、サークル18の回転に応じて、ブレード16の左端部161の高さと右端部162の高さも変化する。また、サークル18の回転に応じて、サークル18の回転角θ4が変化する。
【0064】
そのため、本実施形態に係る作業機械1では、コントローラ36は、回転レバー44が操作されているときには、
図16Cに示すように、ブレード16の左端部161の高さと右端部162の高さとが一定に保持されながら、サークル18の回転角θ4が、回転レバー44の操作に応じた回転角θ4になるような、ドローバ17のヨー角θ1とピッチ角θ2とロール角θ3とを、目標姿勢として決定する。そして、コントローラ36は、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24のストローク動作と、回転アクチュエータ27の回転動作との組み合わせにより、回転レバー44の操作に応じた作業機5の目標姿勢を実現させる。
【0065】
ブレードチルトレバー45が操作されているときには、コントローラ36は、左リフトシリンダ22と、右リフトシリンダ23と、ドローバシフトシリンダ24と、ブレードチルトシリンダ25を動作させる。
図17Aは、初期状態の作業機5を示す側面図である。
図17Bは、従来のモータグレーダにおける、ブレードチルトシリンダ25が初期状態からストローク動作したときの作業機5を示している。従来のモータグレーダにおいては、
図17Bに示すように、ブレードチルトシリンダ25がストローク動作するときには、ブレードチルトシリンダ25のストローク動作に応じて、ブレード16の高さも変化する。また、ブレードチルトシリンダ25のストローク動作に応じて、ブレード16のチルト角θ5が変化する。
【0066】
そのため、本実施形態に係る作業機械1では、コントローラ36は、ブレードチルトレバー45が操作されているときには、
図17Cに示すように、ブレード16の高さが一定に保持されながら、ブレード16のチルト角θ5が、ブレードチルトレバー45の操作に応じた角度になるような、ドローバ17のヨー角θ1とピッチ角θ2とロール角θ3とを、目標姿勢として決定する。そして、コントローラ36は、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とブレードチルトシリンダ25とのストローク動作の組み合わせにより、ブレードチルトレバー45の操作に応じた作業機5の目標姿勢を実現させる。
【0067】
なお、ブレードシフトレバー46が操作されているときには、コントローラ36は、ブレード16のシフト量がブレードシフトレバー46の操作に応じた量になるように、ブレードシフトシリンダ26を制御する。
【0068】
以上説明した本実施形態に係る作業機械1では、操作装置35の操作に応じて、作業機5の目標姿勢が決定される。複数の油圧シリンダ22-26のストローク動作の組み合わせにより作業機5が目標姿勢をとるための複数の油圧シリンダ22-26のそれぞれの目標ストローク長と回転アクチュエータ27の回転角θ4が決定される。そして、決定された目標ストローク長と回転角θ4に基づいて、複数の油圧シリンダ22-26と回転アクチュエータ27とのそれぞれが制御される。それにより、操作装置35の簡易な操作によって、複数の油圧シリンダ22-26のストローク動作と回転アクチュエータ27の回転動作とが組み合わされることで、作業機5が目標姿勢をとる。そのため、作業機械1において、作業機5の操作が容易になる。
【0069】
例えば、オペレータは、左リフトレバー41のみを操作することで、ブレード16の右端部162の高さと、ドローバ17の左右方向の位置とを一定に保持しながら、ブレード16の左端部161の高さを変更することができる。オペレータは、右リフトレバー42のみを操作することで、ブレード16の左端部161の高さと、ドローバ17の左右方向の位置とを一定に保持しながら、ブレード16の右端部162の高さを変更することができる。
【0070】
オペレータは、ドローバシフトレバー43のみを操作することで、ブレード16の左端部161の高さと右端部162の高さとを一定に保持しながら、ドローバ17のヨー角θ1を変更することができる。オペレータは、回転レバー44のみを操作することで、ブレード16の左端部161の高さと右端部162の高さとを一定に保持しながら、サークル18の回転角θ4を変更することができる。オペレータは、ブレードチルトレバー45のみを操作することで、ブレード16の左端部161の高さと右端部162の高さとを一定に保持しながら、ブレード16のチルト角θ5を変更することができる。
【0071】
以上、ブレード16が通常姿勢である場合の統合制御について説明した。次に、ブレード16がバンクカット姿勢である場合の統合制御について説明する。
図18は、ブレード16が通常姿勢である場合の作業機5の正面図である。
図19は、ブレード16がバンクカット姿勢である場合の作業機5の正面図である。
図18及び
図19においては、車体2の位置が二点鎖線で示されている。
図18及び
図19に示すように、バンクカット姿勢において、ブレード16は、通常姿勢よりも大きなロール角θ6を有する。
【0072】
例えば、地形に斜面を形成する作業では、オペレータは、作業機5にバンクカット姿勢をとらせる。
図19に示すように、バンクカット姿勢では、ブレード16が、垂直方向に近いぐらい、水平方向に対して大きく傾斜して保持される。この状態で、ブレード16によって地形を掘削することで、斜面が形成される。
【0073】
例えば、オペレータは、以下のようにしてブレード16を通常姿勢からバンクカット姿勢に変更する。まず、オペレータは、リフタロックスイッチ47を操作して、ロックピン51,52をロック孔301外に移動させることで、リフタブラケット29を解除状態とする。オペレータは、左右のリフトレバー41,42を操作することで、リフタブラケット29と共にブレード16をフロントフレーム11回りに回転させる。オペレータは、ブレード16をバンクカット姿勢となる位置で停止させ、リフタロックスイッチ47を操作して、ロックピン51,52をロック孔301内に移動させることで、リフタブラケット29をロック状態とする。それにより、ブレード16がバンクカット姿勢に保持される。
【0074】
作業機5がバンクカット姿勢のような極端な姿勢をとっている場合に、上述した通常姿勢での統合制御が実行されると、操作装置35の操作と、ブレード16の動作との間の乖離により、オペレータの操作感が損なわれる可能性がある。例えば、地形に斜面を形成する作業では、オペレータは、斜面に垂直な方向にブレード16を移動させることで、ブレード16を斜面に押し付けることがある。この場合、上述した通常姿勢での統合制御では、オペレータが、左リフトレバー41と右リフトレバー42とを同時に操作すると、ブレード16は、斜面に垂直な方向ではなく、鉛直方向に動作してしまう。そのため、オペレータは、左リフトレバー41と右リフトレバー42のみならず、他のレバーも同時に操作する必要があり、むしろ操作感が損なわれてしまう。そこで、以下に説明するように、コントローラ36は、ブレード16がバンクカット姿勢である場合には、上述した通常姿勢である場合とは異なる制御モードで、統合制御を実行する。
【0075】
図20は、コントローラ36によって実行される統合制御の処理を示すフローチャートである。
図20に示すように、ステップ201では、コントローラ36は、ブレード16の現在の姿勢を取得する。コントローラ36は、ブレード16のロール角θ6により、ブレード16の現在の姿勢を取得する。ブレード16のロール角θ6は、例えば、地面100に対するブレード16の傾斜角である。或いは、ブレード16のロール角θ6は、車体2に対するブレード16の傾斜角であってもよい。コントローラ36は、例えば、上述したドローバ17のロール角θ3に基づいて、ブレード16のロール角θ6を取得する。
【0076】
ステップS202では、コントローラ36は、ブレード16の現在の姿勢が、バンクカット姿勢であるかを判定する。コントローラ36は、ブレード16のロール角θ6に基づいて、ブレード16の姿勢が、バンクカット姿勢であるかを判定する。コントローラ36は、例えば、ブレード16のロール角θ6が所定の閾値より大きい場合に、ブレード16の現在の姿勢が、バンクカット姿勢であると判定する。コントローラ36は、ブレード16のロール角θ6が所定の閾値以下である場合には、ブレード16の現在の姿勢が、バンクカット姿勢ではなく、通常姿勢であると判定する。コントローラ36が、ブレード16の現在の姿勢は通常姿勢であると、判定した場合には、処理は、ステップS203に進む。
【0077】
ステップS203では、コントローラ36は、ブレード16の統合制御として、第1モードを選択する。すなわち、ブレード16の現在の姿勢が、通常姿勢である場合には、コントローラ36は、ブレード16の制御モードとして第1モードを選択する。そして、ステップS204において、第1モードにて統合制御を実行する。第1モードでは、コントローラ36は、上述した統合制御の処理と同様の処理を実行する。
【0078】
図18に示すように、第1モードの統合制御では、コントローラ36は、左リフトレバー41と右リフトレバー42の操作に応じて、ブレード16を、鉛直方向H1,H2に移動するように、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とを制御する。例えば、オペレータが、左リフトレバー41のみを操作した場合、コントローラ36は、ブレード16の左端部161が鉛直方向H1に移動するように、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とを制御する。オペレータが、右リフトレバー42のみを操作した場合、コントローラ36は、ブレード16の右端部162が鉛直方向H2に移動するように、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とを制御する。
【0079】
オペレータが、左リフトレバー41と右リフトレバー42とを共に同じ量だけ操作した場合には、コントローラ36は、ブレード16全体が鉛直方向H1,H2に並行移動するように、複数のアクチュエータを制御する。例えば、オペレータが、左リフトレバー41と右リフトレバー42とを同様に上げ操作した場合には、コントローラ36は、ブレード16全体が鉛直方向H1,H2において上向きに並行移動するように、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とを制御する。オペレータが、左リフトレバー41と右リフトレバー42とを同様に下げ操作した場合には、コントローラ36は、ブレード16全体が鉛直方向H1,H2において下向きに並行移動するように、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とを制御する。
【0080】
ステップS202において、ブレード16の現在の姿勢が、バンクカット姿勢である場合には、処理はステップS205に進む。ステップS205では、コントローラ36は、ブレード16の統合制御として第2モードを選択する。そして、ステップS204において、第2モードにて統合制御を実行する。
【0081】
図19に示すように、第2モードの統合制御では、コントローラ36は、左リフトレバー41と右リフトレバー42の操作に応じて、ブレード16を、ブレード法線方向H3,H4に移動するように、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とを制御する。ブレード法線方向H3,H4は、ブレード16の長手方向に垂直な方向である。例えば、オペレータが、左リフトレバー41のみを操作した場合、コントローラ36は、ブレード16の左端部161がブレード法線方向H3に移動するように、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とを制御する。オペレータが、右リフトレバー42のみを操作した場合、コントローラ36は、ブレード16の右端部162がブレード法線方向H4に移動するように、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とを制御する。
【0082】
オペレータが、左リフトレバー41と右リフトレバー42とを同様に操作した場合には、コントローラ36は、ブレード16全体がブレード法線方向H3,H4に並行移動するように、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とを制御する。例えば、オペレータが、左リフトレバー41と右リフトレバー42とを同様に上げ操作した場合には、コントローラ36は、ブレード16全体がブレード法線方向H3,H4において上向きに並行移動するように、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とを制御する。オペレータが、左リフトレバー41と右リフトレバー42とを同様に下げ操作した場合には、コントローラ36は、ブレード16全体がブレード法線方向H3,H4において下向きに並行移動するように、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とを制御する。
【0083】
以上説明した本実施形態に係る作業機械1では、ブレード16の姿勢に応じて、第1モード又は第2モードが選択される。第1モードでは、左右のリフトレバー41,42の操作に応じて、ブレード16を鉛直方向H1,H2に移動するように、複数のアクチュエータが制御される。第2モードでは、左右のリフトレバー41,42の操作に応じて、ブレード16をブレード法線方向H3,H4に移動するように、複数のアクチュエータが制御される。それにより、作業機5の姿勢を変更するための操作が容易になる。また、バンクカット姿勢のように、ブレード16が極端な姿勢をとる場合でもあって、操作感の低下が抑えられる。
【0084】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0085】
作業機械1は、モータグレーダに限らず、ブルドーザなどの他の作業機械であってもよい。作業機5の姿勢を示すパラメータは、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。複数の操作部材41-46は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、操作部材は、レバーに限らず、ジョイスティック、スイッチ、或いはタッチパネルなどの他の部材であってもよい。
【0086】
作業機5の姿勢を検出するためのセンサは、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、センサは、慣性計測装置(IMU)であってもよい。IMUは、ドローバ17と、フロントフレーム11または車体2のそれぞれに装着されてもよい。IMUによって、ドローバ17とフロントフレーム11との姿勢が検出されてもよい。
【0087】
統合制御におけるモードは、2つに限らず、2つより多くてもよい。すなわち、上述した第1モードと第2モード以外のモードが選択可能であってもよい。ブレード16の姿勢は、上述した通常姿勢とバンクカット姿勢とに限らず、他の姿勢をさらに含んでもよい。
【0088】
左リフトレバー41と右リフトレバー42とが操作されたときに動作させるアクチュエータの組み合わせは、左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とドローバシフトシリンダ24とに限らない。例えば、ブレードシフトシリンダ26が組み合わされてもよい。
【0089】
ブレード16の姿勢は、ブレード16のロール角θ6に限らず、他のパラメータによって判定されてもよい。例えば、
図21は、変形例に係る作業機械1の駆動系6及び制御系7を示す模式図である。
図21に示すように、作業機械1は、リフタブラケットセンサS7を含んでもよい。リフタブラケットセンサS7は、
図22に示すように、フロントフレーム11に対するリフタブラケット29の回転角度θ7を検出する。リフタブラケット29の回転角度θ7は、フロントフレーム11に対する所定の標準位置からのリフタブラケット29の回転角度である。
【0090】
リフタブラケットセンサS7は、例えば近接センサであってもよい。リフタブラケットセンサS7は、リフタブラケット29とフロントフレーム11との間に配置されてもよい。或いは、リフタブラケット29のロックピン51,52と、リフタガイド30のロック孔301との間に配置されてもよい。例えば、ロックピン51,52がどのロック孔301に嵌っているかによって、ブレード16がバンクカット姿勢か否かが判定されてもよい。
【0091】
コントローラ36は、リフタブラケット29の回転角度θ7に基づいて、ブレード16の姿勢が、通常姿勢であるか、又はバンクカット姿勢であるかを判定してもよい。例えば、コントローラ36は、リフタブラケット29の回転角度θ7が所定の閾値より大きい場合に、ブレード16の姿勢が、バンクカット姿勢であると判定してもよい。コントローラ36は、リフタブラケット29の回転角度θ7が所定の閾値以下である場合に、ブレード16の姿勢が、通常姿勢であると判定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明によれば、作業機の姿勢を変更するための操作が容易になると共に、作業機の姿勢による操作感の低下が抑えられる。
【符号の説明】
【0093】
2:車体、 5:作業機、 11:フロントフレーム、 16:ブレード、 22-27:アクチュエータ、 29:リフタブラケット、 35:操作装置、 36:コントローラ、 41:左リフトレバー、 42:右リフトレバー、 S1-S7:センサ、 H1,H2:鉛直方向、 H3,H4:ブレード法線方向