(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179889
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】読取装置及び読取処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231213BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H04N1/00 C
H04N1/00 127B
H04N1/387 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092793
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩見 大史
(72)【発明者】
【氏名】近本 忠信
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】大濱 貴志
(72)【発明者】
【氏名】星野 元季
【テーマコード(参考)】
5C062
5C076
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA29
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC07
5C062AC12
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AE03
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF00
5C076AA02
5C076BA01
(57)【要約】
【課題】プレスキャンによるプレビュー画像の表示後にユーザにより読取設定の変更が行われた場合であっても、その読取設定の変更に対応した処理を速やかに行う。
【解決手段】スキャナ装置1のコントローラ100は、読取設定を受け付けるステップS5と、プレスキャンを実行するステップS10と、プレスキャン画像データに基づくプレビュー画像を表示させるステップS15と、プレビュー画像の表示がなされている状態で本スキャンを開始するステップS20と、読取設定の変更を受け付けるステップS30と、読取設定の変更内容に基づき、本スキャンを終了するか継続するかを判断するステップS35、ステップS40、ステップS55と、判断結果に応じて本スキャンを終了するステップS80又はステップS85と、判断結果に応じて本スキャンを継続するステップS45~ステップS50又はステップS60~ステップS70と、を実行する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス面と、
前記ガラス面に対して移動しつつ、前記ガラス面に載置された原稿の読取を行う画像読取ユニットと、
入力インタフェースと、
コントローラと、
を備える読取装置であって、
前記コントローラは、
前記入力インタフェースからの入力に応じて読取設定を受け付ける設定受付処理と、
前記画像読取ユニットにより前記原稿の画像を読取、当該読取結果に対応するプレスキャン画像データを生成するプレスキャン処理と、
前記プレスキャン処理の終了後、生成された前記プレスキャン画像データに基づくプレビュー画像をディスプレイに表示させるプレビュー処理と、
前記プレビュー処理により前記ディスプレイでの前記プレビュー画像の表示を開始したら、当該プレビュー画像の表示がなされている状態で、前記設定受付処理で受け付けられた前記読取設定に応じた前記画像読取ユニットによる前記原稿の画像の読取と当該読取結果に対応する本スキャン画像データの生成とを含む本スキャン処理を開始する本スキャン開始処理と、
前記本スキャン処理の開始後、前記プレビュー処理による前記プレビュー画像の表示に対する、前記入力インタフェースを介した前記読取設定の変更を受け付ける変更受付処理と、
前記変更受付処理で受け付けた前記読取設定の変更内容に基づき、前記本スキャン開始処理で開始した前記本スキャン処理を終了するか若しくは終了せず継続するかを判断する判断処理と、
前記判断処理で前記本スキャン処理を終了すると判断された場合は前記本スキャン開始処理で開始した前記画像読取ユニットによる前記本スキャン処理を終了し、前記判断処理で前記本スキャン処理を継続すると判断された場合は前記本スキャン開始処理で開始した前記画像読取ユニットによる前記本スキャン処理を終了せずに継続する、本スキャン切替処理と、
を実行する、読取装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記変更受付処理において読取範囲の変更を受け付け可能であり、
前記変更受付処理で受け付けた変更を反映した変更後の読取範囲が、前記本スキャン開始処理で開始した前記本スキャン処理によって既に読取済みであった場合には、
前記判断処理において前記本スキャン処理を終了すると判断し、
前記本スキャン切替処理において前記本スキャン開始処理で開始した前記画像読取ユニットによる前記本スキャン処理を終了し、
さらに、
終了するまでの前記本スキャン処理により読み取られた本スキャン画像データに基づき、前記変更後の読取範囲に応じた第1画像データを出力する、第1画像データ出力処理を実行する、
請求項1記載の読取装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記本スキャン開始処理において前記画像読取ユニットが所定のスキャン開始位置から所定方向へ移動して前記原稿の画像の読取を開始し、
前記変更受付処理で受け付けた変更を反映するために前記画像読取ユニットを前記スキャン開始位置に戻して再度前記原稿の画像の読取をやり直す必要がある場合には、
前記判断処理において前記本スキャン処理を継続すると判断し、
前記本スキャン切替処理において前記本スキャン開始処理で開始した前記画像読取ユニットによる前記本スキャン処理を終了せず中断し、
さらに、
前記画像読取ユニットを前記本スキャン処理の中断時の位置から前記スキャン開始位置まで移動させる第1移動処理
を実行し、
前記第1移動処理による前記画像読取ユニットの移動の完了後、前記変更受付処理で受け付けた前記変更に対応して、改めて前記本スキャン開始処理により前記本スキャン処理を再開する、請求項1記載の読取装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記変更受付処理において読取範囲の変更を受け付け可能であり、
前記本スキャン開始処理で開始した前記本スキャン処理により移動している前記画像読取ユニットの位置が、前記変更受付処理で受け付けた変更を反映した変更後の読取範囲の読取開始位置に到達していない場合には、
前記判断処理において前記本スキャン処理を継続すると判断し、
前記本スキャン切替処理において前記本スキャン開始処理で開始した前記画像読取ユニットによる前記本スキャン処理を終了せず中断し、
前記画像読取ユニットを前記本スキャン処理の中断時の位置から前記読取開始位置まで移動させる第2移動処理
を実行し、
前記第2移動処理による前記画像読取ユニットの移動の完了後に前記読取開始位置から前記本スキャン処理を再開する、請求項1記載の読取装置。
【請求項5】
メモリをさらに備え、
前記コントローラは、さらに、
前記プレスキャン処理で生成された前記プレスキャン画像データを前記メモリに記憶する記憶処理を実行し、
前記変更受付処理で受け付けた前記読取設定の変更内容が、前記設定受付処理で受け付けた読取設定に対して所定条件を満たす場合は、
前記判断処理において前記本スキャン処理を終了すると判断し、
前記本スキャン切替処理において前記本スキャン開始処理で開始した前記画像読取ユニットによる前記本スキャン処理を終了し、
さらに、
前記メモリに記憶されている前記プレスキャン画像データに基づき、当該プレスキャン画像データに対し前記所定条件に対応した加工を行った後の第2画像データを出力する、第2画像データ出力処理を実行する、
請求項1記載の読取装置。
【請求項6】
前記コントローラは、 前記第2移動処理において、
前記本スキャン処理における前記画像読取ユニットの移動速度よりも速い速度で、前記画像読取ユニットを前記本スキャン処理の中断時の位置から前記読取開始位置まで移動させる、
請求項4記載の読取装置。
【請求項7】
前記入力インタフェースは、
外部端末との信号通信を行う通信インタフェースを含み、
前記コントローラは、
前記プレビュー処理において、前記通信インタフェースを介して外部端末の前記ディスプレイに前記プレビュー画像を表示させ、
前記変更受付処理において、前記通信インタフェースを介して前記外部端末から受信された前記読取設定の変更を受け付ける、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の読取装置。
【請求項8】
ガラス面と、前記ガラス面に対して移動しつつ、前記ガラス面に載置された原稿の読取を行う画像読取ユニットと、入力インタフェースと、を備える読取装置に備えられたコンピュータに対し、
前記入力インタフェースからの入力に応じて読取設定を受け付ける設定受付処理と、
前記画像読取ユニットにより前記原稿の画像を読取、当該読取結果に対応するプレスキャン画像データを生成するプレスキャン処理と、
前記プレスキャン処理の終了後、生成された前記プレスキャン画像データに基づくプレビュー画像をディスプレイに表示させるプレビュー処理と、
前記プレビュー処理により前記ディスプレイでの前記プレビュー画像の表示を開始したら、当該プレビュー画像の表示がなされている状態で、前記設定受付処理で受け付けられた前記読取設定に応じた前記画像読取ユニットによる前記原稿の画像の読取と当該読取結果に対応する本スキャン画像データの生成とを含む本スキャン処理を開始する本スキャン開始処理と、
前記プレビュー処理による前記プレビュー画像の表示に対する、前記入力インタフェースを介した前記読取設定の変更を受け付ける変更受付処理と、
前記変更受付処理で受け付けた前記読取設定の変更内容に基づき、前記本スキャン開始処理で開始した前記本スキャン処理を終了するか若しくは終了せず継続するかを判断する判断処理と、
前記判断処理で前記本スキャン処理を終了すると判断された場合は前記本スキャン開始処理で開始した前記画像読取ユニットによる前記本スキャン処理を終了し、前記判断処理で前記本スキャン処理を継続すると判断された場合は前記本スキャン開始処理で開始した前記画像読取ユニットによる前記本スキャン処理を終了せずに継続する、本スキャン切替処理と、
を実行させるための、読取処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本スキャンに先立ちプレスキャンを実行する読取装置及び読取処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のように、本スキャンよりも低解像度でプレスキャンを実行し、その後の印刷プレビューの表示中に、本スキャンを開始して印刷処理の直前まで画像処理を進める技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、プレスキャン後に表示されたプレビュー画像に対応してユーザが読取設定を変更した場合に関しては、特に考慮されていない。
【0005】
本発明の目的は、プレスキャンによるプレビュー画像の表示後にユーザにより読取設定の変更が行われた場合であっても、その読取設定の変更に対応した処理を速やかに行うことができる、読取装置及び読取処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明の読取装置は、ガラス面と、前記ガラス面に対して移動しつつ、前記ガラス面に載置された原稿の読取を行う画像読取ユニットと、入力インタフェースと、コントローラと、を備える読取装置であって、前記コントローラは、前記入力インタフェースからの入力に応じて読取設定を受け付ける設定受付処理と、前記画像読取ユニットにより前記原稿の画像を読取、当該読取結果に対応するプレスキャン画像データを生成するプレスキャン処理と、前記プレスキャン処理の終了後、生成された前記プレスキャン画像データに基づくプレビュー画像をディスプレイに表示させるプレビュー処理と、前記プレビュー処理により前記ディスプレイでの前記プレビュー画像の表示を開始したら、当該プレビュー画像の表示がなされている状態で、前記設定受付処理で受け付けられた前記読取設定に応じた前記画像読取ユニットによる前記原稿の画像の読取と当該読取結果に対応する本スキャン画像データの生成とを含む本スキャン処理を開始する本スキャン開始処理と、前記本スキャン処理の開始後、前記プレビュー処理による前記プレビュー画像の表示に対する、前記入力インタフェースを介した前記読取設定の変更を受け付ける変更受付処理と、前記変更受付処理で受け付けた前記読取設定の変更内容に基づき、前記本スキャン開始処理で開始した前記本スキャン処理を終了するか若しくは終了せず継続するかを判断する判断処理と、前記判断処理で前記本スキャン処理を終了すると判断された場合は前記本スキャン開始処理で開始した前記画像読取ユニットによる前記本スキャン処理を終了し、前記判断処理で前記本スキャン処理を継続すると判断された場合は前記本スキャン開始処理で開始した前記画像読取ユニットによる前記本スキャン処理を終了せずに継続する、本スキャン切替処理と、を実行する。
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明の読取処理プログラムは、ガラス面と、前記ガラス面に対して移動しつつ、前記ガラス面に載置された原稿の読取を行う画像読取ユニットと、入力インタフェースと、を備える読取装置に備えられたコンピュータに対し、前記入力インタフェースからの入力に応じて読取設定を受け付ける設定受付処理と、前記画像読取ユニットにより前記原稿の画像を読取、当該読取結果に対応するプレスキャン画像データを生成するプレスキャン処理と、前記プレスキャン処理の終了後、生成された前記プレスキャン画像データに基づくプレビュー画像をディスプレイに表示させるプレビュー処理と、前記プレビュー処理により前記ディスプレイでの前記プレビュー画像の表示を開始したら、当該プレビュー画像の表示がなされている状態で、前記設定受付処理で受け付けられた前記読取設定に応じた前記画像読取ユニットによる前記原稿の画像の読取と当該読取結果に対応する本スキャン画像データの生成とを含む本スキャン処理を開始する本スキャン開始処理と、前記プレビュー処理による前記プレビュー画像の表示に対する、前記入力インタフェースを介した前記読取設定の変更を受け付ける変更受付処理と、前記変更受付処理で受け付けた前記読取設定の変更内容に基づき、前記本スキャン開始処理で開始した前記本スキャン処理を終了するか若しくは終了せず継続するかを判断する判断処理と、前記判断処理で前記本スキャン処理を終了すると判断された場合は前記本スキャン開始処理で開始した前記画像読取ユニットによる前記本スキャン処理を終了し、前記判断処理で前記本スキャン処理を継続すると判断された場合は前記本スキャン開始処理で開始した前記画像読取ユニットによる前記本スキャン処理を終了せずに継続する、本スキャン切替処理と、を実行させる。
【0008】
本願発明においては、コントローラが実行するプレビュー処理によりプレビュー画像の表示が開始されると、本スキャン開始処理により本スキャン処理が開始される。本スキャン処理の開始後、プレビュー画像の表示に対する読取設定の変更がユーザにより行われると、その変更が変更受付処理により受け付けられる。受け付けられた読取設定の変更内容に基づき、判断処理において、上記のように開始された本スキャン処理を終了するか、終了せず継続するか、が判断される。判断処理で本スキャン処理を終了すると判断された場合は、本スキャン切替処理により、本スキャン開始処理で開始した画像読取ユニットによる本スキャン処理が終了する。判断処理で本スキャン処理を継続すると判断された場合は、本スキャン切替処理により、本スキャン開始処理で開始した画像読取ユニットによる本スキャン処理が終了することなく継続する。本願発明によれば、本スキャン処理の実行中に受け付けた読取設定の変更に基づき、本スキャン処理を継続するか終了するかを切り替えるため、ユーザによる読取設定の変更に対して速やかに対応することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プレスキャンによるプレビュー画像の表示後にユーザにより読取設定の変更が行われた場合であっても、その読取設定の変更に対応した処理を速やかに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るスキャナの全体構造の一例を表す側断面図、及び、スキャナの上面カバーを開いた状態を表す平面図である。
【
図2】スキャナの制御系の構成の一例を表すブロック図である。
【
図3】スキャナの読取対象である原稿の用紙サイズと配置の一例を表す説明図である。
【
図4】本スキャンを終了する場合の読取設定の変更の一例を表す説明図である。
【
図5】本スキャンを中断して再開する場合の読取設定の変更の一例を表す説明図である。
【
図6】本スキャンを中断して再開する場合の読取設定の変更の他の例を表す説明図である。
【
図7】本スキャンを中断して再開する場合の読取設定の変更のさらに他の例を表す説明図である。
【
図8】本スキャンを終了する場合の読取設定の変更の他の例を表す説明図である。
【
図9】コントローラが実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図10】外部端末でプレビュー画像の表示及び読取設定の変更を行う変形例に係るスキャナの制御系の構成の一例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<スキャナの全体構成>
図1に、本発明の実施形態に係るスキャナ1の全体構成の一例を示す。
図1(a)はスキャナ1の内部構造を示し、
図1(b)は回動カバーを開いた状態で上方向から見た全体構成を示している。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、スキャナ1は、筐体2と、ヒンジ3と、回動カバー4と、開閉検出スイッチ5と、ガラス面7と、画像読取ユニット8と、ガイドレール9と、を備えている。本実施形態では、説明の便宜上、ヒンジ3のある側を前側、その逆側を後側、ガラス面7のある側を上側、その逆側を下側とする。スキャナ1が読取装置の一例である。
【0013】
筐体2は中空の箱形形状に形成された構造物であり、上側に矩形形状のガラス面7が水平に設けられている。ガラス面7の下側には、ガイドレール9に沿って前後方向に移動可能な画像読取ユニット8が設けられている。画像読取ユニット8は、左右方向におけるガラス面7の全体に渡って延伸したライン画像読取りセンサである。画像読取ユニット8は、モータ6(
図2参照)の駆動によってガラス面7に対して移動しつつ、ガラス面7に載置された原稿Pの読取を行う。画像読取ユニット8は、ガラス面7の前側に位置するスキャン開始位置HPから読取範囲に対応するスキャン終了位置まで後方向に移動することで、スキャンを実行する。スキャン開始位置HPは、画像読取ユニット8のホームポジションともいう。画像読取ユニット8で一括してスキャンできる1ライン分の方向である左右方向が主走査方向であり、画像読取ユニット8が移動する前後方向が副走査方向である。後方向が所定の方向の一例である。
【0014】
回動カバー4は、ガラス面7の前側に配置されたヒンジ3を中心に回動することで、筐体2に対して開閉する。原稿Pは回動カバー4が開いた状態でガラス面7上に載置され、回動カバー4が閉じた状態で画像読取ユニット8により下面を読み取られる。筐体2の上面には、回動カバー4の開閉状態を検出する開閉検出スイッチ5が設けられている。
【0015】
<制御系>
図2に、スキャナ1の制御系の構成の一例を示す。
図2に示すように、スキャナ1は、各部の動作を制御するコントローラ100を有する。コントローラ100は、CPU110と、特定用途向け集積回路であるASIC(application specific integrated circuit)120と、ROM130と、RAM140等を有する。コントローラ100は、タッチパネル150、駆動回路160、画像読取ユニット8、開閉検出スイッチ5等にそれぞれ接続されている。コントローラ100がコンピュータの一例である。
【0016】
ROM130には、後述の
図9に示すフローチャートを実行するための読取処理プログラムを含む、スキャナ1が動作するのに必要な各種制御プログラムが記憶されている。CPU110は、ROM130から読み出したプログラムに従って各部の制御を行うとともに、後述する
図9に示すフローチャートを実行する。CPU110は、ASIC120を介して駆動回路160へ制御信号を出力することで、モータ6の駆動を制御する。RAM140の記憶領域の一部には、画像読取ユニット8で原稿Pを読み取った結果のスキャン画像データが記憶される。RAM140がメモリの一例である。
【0017】
タッチパネル150は、ユーザによる各種の入力を受け付けるとともに、各種の情報の表示を行う。タッチパネル150が入力インタフェースの一例であり、ディスプレイの一例でもある。
【0018】
<用紙サイズと配置>
図3に、スキャナ1の読取対象である原稿Pの用紙サイズと配置の一例を示す。
図3に示すように、スキャナ1は、例えばA3、A4、A5、及び写真の各定型用紙サイズにある原稿Pをスキャン対象とする。各用紙は、長手方向が前後方向に略平行に載置される場合を横置き、長手方向が左右方向に略平行に載置される場合を縦置きの姿勢とする。矩形状のガラス面7は、前後方向及び左右方向の両方の寸法で横置きのA3の原稿Pよりも少しだけ大きく形成されている。ユーザが原稿Pをガラス面7上に載置する際には、ガラス面7の前方右側の角点である載置基準点Tに原稿Pのいずれかの角を合わせ、原稿Pの各辺を前後方向と左右方向に対して略平行にさせる、いわゆる前詰めかつ右詰めの配置で載置させる。用紙サイズがA3の原稿Pは横置きの姿勢でしか載置できないが、その他の用紙サイズの原稿Pに対しては、横置きの姿勢と縦置きの姿勢をユーザが選択できる。
【0019】
A4の定型サイズは、A3の定型サイズを長手方向に2分割した大きさであり、A5の定型サイズは、A4の定型サイズを長手方向に2分割した大きさである。写真の定型サイズは、例えばL版サイズであり、長手方向寸法がA5の幅方向寸法よりも少し短い大きさである。これらの各定型サイズの原稿Pを上記の載置条件に従ってガラス面7上に載置した場合、
図3に示すような位置と姿勢の配置関係となり、それぞれの画像読取ユニット8による読取範囲が一意に決まる。読取範囲は、画像読取ユニット8によるスキャン結果に応じて自動的に設定されてもよいし、ユーザが読取設定の中で手動で設定してもよい。ユーザが読取範囲を設定する場合には、用紙サイズや向きで設定可能であると共に、用紙サイズ中の特定の領域を指定することも可能である。本実施形態では、ユーザが読取範囲を設定する場合について説明する。
【0020】
<読取設定の変更の具体例>
スキャナ1においては、コントローラ100が読取設定に基づいて本スキャンを実行する前に、プレスキャンを実行してプレビュー画像を表示する。コントローラ100は、プレビュー画像の表示と並行して本スキャンを開始する。本スキャンの開始後、ユーザが読取設定の変更を行わない場合には、コントローラ100はそのまま本スキャンを継続して完了する。一方、本スキャンの開始後、ユーザがプレビュー画像に基づいて読取設定の変更を行うと、コントローラ100は読取設定の変更内容に基づき、開始した本スキャンを終了するか、終了せず継続するかを判断する。なお、本スキャンの継続には本スキャンを中断して再開することが含まれる。コントローラ100は、本スキャンを終了すると判断した場合は開始した本スキャンを終了し、本スキャンを継続すると判断した場合は開始した本スキャンを終了することなく継続する。以下、本スキャンを終了する場合と継続する場合における、読取設定の変更の具体例について説明する。
【0021】
図4に、本スキャンを終了する場合の読取設定の変更の一例を示す。読取設定の変更には、読取範囲の変更が含まれる。
図4に示す例では、例えばA4サイズの原稿Pがガラス面7に横置きに載置され、読取範囲ARが横置きのA4サイズに設定されている。当該設定に基づきプレスキャンが実行されてプレビュー画像が表示されると、例えば実際に読み取りを行いたい部分である読取対象OB1が原稿Pの前側半分の領域である等により、読取範囲ARが縦置きのA5サイズに変更されている。
図4に示すように、プレビュー画像の表示と並行して開始される本スキャンにおいて、読取範囲ARの変更が行われた時点で画像読取ユニット8が変更後の読取範囲ARを読み取り中であった場合、すなわち画像読取ユニット8の位置CPが変更後の読取範囲ARの読取終了位置EPよりも前側であった場合には、画像読取ユニット8が読取終了位置EPに到達するまで本スキャンが継続され、読取終了位置EPに到達すると本スキャンが終了される。
【0022】
なお、読取範囲ARの変更が行われた時点で画像読取ユニット8が読取対象OB1の読み取りを完了していた場合、すなわち画像読取ユニット8の位置CPが読取終了位置EPよりも後側であった場合には、画像読取ユニット8の位置CPに関わらず直ちに本スキャンが終了される。
【0023】
図5に、本スキャンを中断して再開する場合の読取設定の変更の一例を示す。
図5に示す例では、例えばA4サイズの原稿Pがガラス面7に横置きに載置され、読取範囲ARが誤って横置きの写真サイズに設定されている。当該設定に基づきプレスキャンが実行されてプレビュー画像が表示されると、ユーザが読取範囲ARの誤設定に気付き、読取範囲ARが横置きのA4サイズに変更されている。この場合、読取範囲ARが拡張されているので、画像読取ユニット8をスキャン開始位置HPに戻して再度原稿Pの画像の読み取りをやり直す必要がある。そこで
図5に示すように、プレビュー画像の表示と並行して開始される本スキャンにおいて、読取範囲ARの変更が行われた時点で本スキャンが中断され、画像読取ユニット8が中断時の位置CPからスキャン開始位置HPまで移動される。スキャン開始位置HPへの移動完了後、画像読取ユニット8がスキャン開始位置HPから後方への移動を開始し、本スキャンが再開される。画像読取ユニット8が変更後の読取範囲ARの読取終了位置EPに到達すると、本スキャンが終了される。
【0024】
図6に、本スキャンを中断して再開する場合の読取設定の変更の他の例を示す。読取設定の変更には、ユーザが原稿Pを置き直すことにより画像の向きや位置を変更することが含まれる。
図6に示す例では、例えば矩形状の比較的小型のサイズである原稿Pがガラス面7に縦置きに載置され、読取範囲ARが縦置きのA4サイズに設定されている。原稿Pとしては例えば名刺や免許証等が想定される。当該設定に基づきプレスキャンが実行されてプレビュー画像が表示されると、画像の向きがユーザの意図したものと異なる等により、読取範囲ARは変更されずに、ガラス面7上で原稿Pの向きが横置きに変更されている。コントローラ100は、例えばプレビュー画像の表示後に開閉検出スイッチ5により回動カバー4の開放が検出された場合に、原稿Pの置き直しが実行されたと判断する。
図6に示すように、プレビュー画像の表示と並行して開始される本スキャンにおいて、原稿Pの置き直しによる画像の向きの変更が行われた時点で本スキャンが中断され、画像読取ユニット8が中断時の位置CPからスキャン開始位置HPまで移動される。スキャン開始位置HPへの移動完了後、画像読取ユニット8がスキャン開始位置HPから後方への移動を開始し、本スキャンが再開される。画像読取ユニット8が読取範囲ARの読取終了位置EPに到達すると、本スキャンが終了される。
【0025】
図7に、本スキャンを中断して再開する場合の読取設定の変更のさらに他の例を示す。
図7に示す例では、例えばA3サイズの原稿Pがガラス面7に横置きに載置され、読取範囲ARが横置きのA3サイズに設定されている。当該設定に基づきプレスキャンが実行されてプレビュー画像が表示されると、実際に読み取りを行いたい部分である読取対象OB2が原稿Pの後側半分の領域である等により、読取範囲ARが横置きのA3サイズの後側半分の領域に変更されている。
図7に示すように、プレビュー画像の表示と並行して開始される本スキャンにおいて、読取範囲ARの変更が行われた時点で画像読取ユニット8が変更後の読取範囲ARを読み取る前であった場合、読取範囲ARの変更が行われた時点の画像読取ユニット8の位置CPで本スキャンが中断され、画像読取ユニット8が中断位置CPから変更された読取範囲ARの読取開始位置SPまで移動される。このとき、画像読取ユニット8は本スキャン実行中の移動速度よりも速い速度で移動される。読取開始位置SPへの移動完了後、画像読取ユニット8が読取開始位置SPから後方への移動を開始して本スキャンが再開され、画像読取ユニット8が変更された読取範囲ARの読取終了位置EPに到達すると本スキャンが終了される。
【0026】
なお、読取範囲ARの変更が行われた時点で画像読取ユニット8が変更後の読取範囲ARを読み取り中であった場合には、前述の
図4と同様に、画像読取ユニット8が変更後の読取範囲ARの読み取りを完了するまで本スキャンが継続され、読み取りを完了すると本スキャンが終了される。
【0027】
図8に、本スキャンを終了する場合の読取設定の変更の他の例を示す。読取設定の変更には、読み取りの画像色や解像度の変更が含まれる。画像色や解像度は画質要素の一例である。
図8に示す例では、例えばA4サイズの原稿Pがガラス面7に横置きに載置され、読取範囲ARが横置きのA4サイズで且つ画像色がカラーに設定されている。当該設定に基づきプレスキャンが実行されてプレビュー画像が表示されると、例えばカラー画像は不要でモノクロ画像で足りると判断される等により、画像色がカラーからモノクロに変更されている。モノクロ画像は、本スキャンを実行しなくてもプレスキャンで得られたカラーのプレスキャン画像データを画像加工によりモノクロ化することで得ることが可能である。そこで
図8に示すように、プレビュー画像の表示と並行して開始される本スキャンにおいて、画像色がカラーからモノクロに変更された時点で、画像読取ユニット8の位置CPに関わらず直ちに本スキャンが終了される。
【0028】
なお、画像色がカラーからモノクロに変更される場合以外にも、例えば解像度がより粗い低解像度に変更される場合等においても、プレスキャン画像データを画像加工により低解像度化することで得ることが可能であるため、上記と同様の処理が実行される。
【0029】
<制御手順>
図9に、上記の処理を実現するためにコントローラ100が実行する制御手順の一例を示す。
【0030】
ステップS5では、コントローラ100は、タッチパネル150からの入力に応じて読取設定を受け付ける。読取設定には、例えば読取範囲、読み取りの画像色や解像度、画像の向き等が含まれる。当該ステップS5が設定受付処理の一例である。
【0031】
ステップS10では、コントローラ100は、上記ステップS5で受け付けた読取設定に基づいて、画像読取ユニット8により原稿Pの画像を読み取るプレスキャンを実行し、当該プレスキャンの読取結果に対応するプレスキャン画像データを生成する。なお、プレスキャンは上記ステップS5で受け付けた読取設定に基づいて実行されるが、例えば解像度については本スキャンよりも低解像度である予め設定されたプレスキャン用の解像度で実行される。当該ステップS10がプレスキャン処理の一例である。
【0032】
ステップS13では、コントローラ100は、上記ステップS10で生成されたプレスキャン画像データを例えばRAM140に記憶する。当該ステップS13が記憶処理の一例である。
【0033】
ステップS15では、コントローラ100は、上記ステップS10で生成されたプレスキャン画像データに基づくプレビュー画像をタッチパネル150に表示させる。当該ステップS15がプレビュー処理の一例である。
【0034】
ステップS20では、コントローラ100は、上記ステップS15によりタッチパネル150でのプレビュー画像の表示を開始したら、当該プレビュー画像の表示がなされている状態で、上記ステップS5で受け付けられた読取設定に基づいて画像読取ユニット8により原稿Pの画像を読み取る本スキャンを開始する。本スキャンは、画像読取ユニット8をスキャン開始位置HPから後方向へ移動させて原稿Pの画像の読取を開始することで開始される。本スキャンの読取結果に対応する本スキャン画像データの生成も開始される。画像読取ユニット8による原稿Pの画像の読取と本スキャン画像データの生成を含む処理が本スキャン処理の一例であり、当該ステップS20が本スキャン開始処理の一例である。
【0035】
ステップS25では、コントローラ100は、ユーザによりタッチパネル150を介して読取設定の変更が行われたか否かを判定する。コントローラ100は、読取設定の変更が行われていないと判定した場合には(ステップS25:No)、後述のステップS75に移行する。一方、コントローラ100は、読取設定の変更が行われたと判定した場合には(ステップS25:Yes)、次のステップS30に移行する。
【0036】
ステップS30では、コントローラ100は、タッチパネル150を介した読取設定の変更を受け付ける。コントローラ100は、当該ステップS30において、読取範囲AR、画像色または解像度、画像の向きのうち少なくとも1つに係わる変更を受け付け可能である。当該ステップS30が変更受付処理の一例である。
【0037】
ステップS35では、コントローラ100は、上記ステップS30で受け付けた読取設定の変更内容が読取範囲の縮小であるか否かを判定する。コントローラ100は、読取設定の変更内容が読取範囲の縮小であると判定した場合には(ステップS35:Yes)、次のステップS40に移行する。
【0038】
ステップS40では、コントローラ100は、上記ステップS20で開始した本スキャンにより移動している画像読取ユニット8の位置CPが、上記ステップS30で受け付けた変更を反映した変更後の読取範囲ARの読取開始位置SPに到達しているか否か、言い換えると変更後の読取範囲ARを読取中であるか否かを判定する。なお、読取範囲ARの読取が完了している場合も読取中に含まれる。コントローラ100は、読取中であると判定した場合には(ステップS40:Yes)、後述のステップS75に移行する。一方、コントローラ100は、読取中でないと判定した場合には(ステップS40:No)、本スキャンを継続すると判断し、次のステップS45に移行する。
【0039】
ステップS45では、コントローラ100は、上記ステップS20で開始した画像読取ユニット8による本スキャンを終了せずに中断する。
【0040】
ステップS47では、コントローラ100は、画像読取ユニット8を上記ステップS45における本スキャンの中断時の位置CPから変更後の読取範囲ARの読取開始位置SPまで移動させる。この際、コントローラ100は、本スキャンにおける画像読取ユニット8の移動速度よりも速い速度で、画像読取ユニット8を中断位置CPから読取開始位置SPまで移動させる。当該ステップS47が第2移動処理の一例である。
【0041】
ステップS50では、コントローラ100は、上記ステップS47による画像読取ユニット8の移動の完了後に、読取開始位置SPから本スキャンを再開する。その後、後述のステップS75に移行する。
【0042】
なお、上記ステップS35において、コントローラ100は、読取設定の変更内容が読取範囲の縮小でないと判定した場合には(ステップS35:No)、次のステップS55に移行する。
【0043】
ステップS55では、コントローラ100は、上記ステップS30で受け付けた読取設定の変更内容が、上記ステップS5で受け付けた読取設定に対して所定条件を満たすか否かを判定する。コントローラ100は、上記所定条件として、例えば上記ステップS13で記憶したプレスキャン画像データに対し所定の画像加工を施すことにより変更後の読取設定に対応した画像データを生成することが可能か否かを判定する。コントローラ100は、例えば読取の画像色がカラーからモノクロに変更された場合や、読取の解像度が高解像度から低解像度に変更された場合等には、プレスキャン画像データに画像加工を施すことにより所望の画像データを生成することが可能であるため、所定条件を満たすと判定する。一方、コントローラ100は、例えば読取の画像色がモノクロからカラーに変更された場合や、読取の解像度が低解像度から高解像度に変更された場合等には、プレスキャン画像データに画像加工を施しても所望の画像データを生成することができないため、所定条件を満たさないと判定する。コントローラ100は、プレスキャン画像データから所望の画像データを生成することができないと判定した場合には(ステップS55:No)、上記ステップS30で受け付けた変更を反映するために画像読取ユニット8をスキャン開始位置HPに戻して再度原稿Pの画像の読取をやり直す必要があるため、本スキャンを継続すると判断し、次のステップS60に移行する。
【0044】
ステップS60では、コントローラ100は、上記ステップS20で開始した画像読取ユニット8による本スキャンを終了せずに中断する。
【0045】
ステップS65では、コントローラ100は、画像読取ユニット8を上記ステップS60における本スキャンの中断時の位置CPからスキャン開始位置HPまで移動させる。当該ステップS65が第1移動処理の一例である。
【0046】
ステップS70では、コントローラ100は、上記ステップS65による画像読取ユニット8の移動の完了後、上記ステップS30で受け付けた変更に対応して、変更後の読取設定に基づいて改めて本スキャンを再開する。
【0047】
ステップS75では、コントローラ100は、上記ステップS20で開始した本スキャン、又は、上記ステップS50若しくはステップS70で再開した本スキャンにより読取範囲ARの読取が完了したか否かを判定する。具体的には、コントローラ100は、上記ステップS25でNo判定となって当該ステップS75に移行した場合には、上記ステップS20で開始した本スキャンにより移動している画像読取ユニット8の位置CPが上記ステップS5で受け付けた読取設定の読取範囲ARの読取終了位置EPに到達しているか否かを判定する。またコントローラ100は、上記ステップS35及びステップS40でYes判定となって当該ステップS75に移行した場合には、上記ステップS20で開始した本スキャンにより移動している画像読取ユニット8の位置CPが上記ステップS30で受け付けた変更を反映した変更後の読取範囲ARの読取終了位置EPに到達しているか否かを判定する。またコントローラ100は、上記ステップS50又はステップS70から当該ステップS75に移行した場合には、上記ステップS50又はステップS70で再開した本スキャンにより移動している画像読取ユニット8の位置CPが上記ステップS30で受け付けた変更を反映した変更後の読取範囲ARの読取終了位置EPに到達しているか否かを判定する。コントローラ100は、本スキャンにより読取範囲ARの読取が完了するまで本ステップS75を繰り返し(ステップS75:No)、読取範囲ARの読取が完了したと判定した場合には(ステップS75:Yes)、次のステップS80に移行する。
【0048】
なお、上記ステップS35及びステップS40でYes判定となって上記ステップS75に移行し、上記ステップS75でYes判定となった場合は、上記ステップS30で受け付けた変更を反映した変更後の読取範囲ARが上記ステップS20で開始した本スキャンによって既に読取済みであった場合に相当し、この場合にはコントローラ100は本スキャンを終了すると判断し、次のステップS80に移行する。
【0049】
ステップS80では、コントローラ100は、上記ステップS20で開始した本スキャン、又は、上記ステップS50若しくはステップS70で再開した本スキャンを終了する。コントローラ100は、本スキャンの読取結果に対応する本スキャン画像データを生成する。その後、後述のステップS95に移行する。なお、上記ステップS35、ステップS40及びステップS75でYes判定となって当該ステップS80に移行した場合に、終了するまでの本スキャンにより読み取られた本スキャン画像データに基づき変更後の読取範囲ARに応じて生成される本スキャン画像データが第1画像データの一例である。
【0050】
なお、上記ステップS55において、コントローラ100は、プレスキャン画像データから所望の画像データを生成することができると判定した場合には(ステップS55:Yes)、本スキャンを終了すると判断し、次のステップS85に移行する。
【0051】
ステップS85では、コントローラ100は、上記ステップS20で開始した本スキャンを終了する。
【0052】
ステップS90では、コントローラ100は、上記ステップS13でRAM140に記憶されているプレスキャン画像データを読み出し、当該プレスキャン画像データに対して上記ステップS55で判定した所定条件に対応した加工を行うことでスキャン画像データを生成する。当該スキャン画像データが第2画像データの一例である。その後、ステップS95に移行する。
【0053】
ステップS95では、コントローラ100は、上記ステップS80で生成した本スキャン画像データ、又は、上記ステップS90で生成したスキャン画像データを出力する。出力には、タッチパネル150による表示、例えばRAM140等の記憶手段への記憶、スキャナ1に接続された他の機器への送信等が含まれる。当該ステップS95が第1画像データ出力処理の一例であり、第2画像データ出力処理の一例でもある。以上により、コントローラ100は本フローチャートを終了する。
【0054】
なお、上記ステップS35、ステップS40、ステップS55の処理は、上記ステップS30で受け付けた読取設定の変更内容に基づき、上記ステップS20で開始した本スキャンを終了するか若しくは終了せず継続するかを判断することに相当する。ステップS35、ステップS40、ステップS55が判断処理の一例である。
【0055】
また、上記ステップS80及びステップS85の処理は、上記ステップS20で開始した画像読取ユニット8による本スキャンを終了する処理に相当する。また、上記ステップS45~ステップS50、及び、ステップS60~ステップS70の処理は、上記ステップS20で開始した画像読取ユニット8による本スキャンを終了せずに継続する処理に相当する。ステップS80及びステップS85、並びに、ステップS45~ステップS50及びステップS60~ステップS70が、本スキャン切替処理の一例である。
【0056】
なお、
図9に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。例えば、上記ではステップS15の後にステップS20を実行するようにしたが、ステップS15とステップS20は略同時に実行されてもよいし、ステップS20の後にステップS15を実行してもよい。すなわち、プレビュー画像が表示されている状態と本スキャンが実行されている状態とが同時並行していればよく、それらが開始されるタイミングの前後は特に限定されない。
【0057】
<実施形態の効果>
本実施形態においては、コントローラ100が実行するステップS15によりプレビュー画像の表示が開始されると、ステップS20により本スキャンが開始される。本スキャンの開始後、プレビュー画像の表示に基づく読取設定の変更がユーザにより行われると、その変更がステップS30により受け付けられる。受け付けられた読取設定の変更内容に基づき、ステップS35、ステップS40、ステップS55において、上記のように開始された本スキャンを終了するか、終了せず継続するか、が判断される。ステップS35、ステップS40、ステップS55で本スキャンを終了すると判断された場合は、ステップS80又はステップS85により、ステップS20で開始した画像読取ユニット8による本スキャンが終了する。ステップS35、ステップS40、ステップS55で本スキャンを継続すると判断された場合は、ステップS45~ステップS50又はステップS60~ステップS70により、ステップS20で開始した画像読取ユニット8による本スキャンが終了することなく継続する。本実施形態によれば、本スキャンの実行中に受け付けた読取設定の変更に基づき、本スキャンを継続するか終了するかを切り替えるため、ユーザによる読取設定の変更に対して速やかに対応することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態では特に、本スキャンの開始後に読取範囲ARの変更が行われたとき、変更後の読取範囲ARが、その時点で既に本スキャンによる読み取り済みの場合があり得る。例えば
図9のフローチャートにおいて、ステップS35及びステップS40でYes判定となってステップS75に移行し、ステップS75でYes判定となった場合である。本実施形態においてはこのような場合には本スキャンは終了すると判断され、すでに読み取り済の当該読取範囲ARに対応した本スキャン画像データが出力される。本実施形態によれば、引き続き実行する必要のなくなった本スキャンを省略することで、ユーザは、所望の画像データを速やかに入手することができる。
【0059】
また、本実施形態では特に、本スキャンの開始後に、読取範囲ARの変更、画像色や解像度の変更、画像の向きの変更等の読取設定の変更が行われたとき、その変更を反映するためには、画像読取ユニット8をスキャン開始位置HPに戻して再度原稿Pの画像の読取をやり直す必要がある場合がある。例えば
図9のフローチャートにおいて、ステップS35及びステップS55でNo判定となった場合である。本実施形態においてはこのような場合には、本スキャンは継続すると判断された後にステップS60で中断されてステップS65が行われ、画像読取ユニット8が当該本スキャンの中断時の位置CPからスキャン開始位置HPへと移動する。移動完了後、前述の読取設定の変更に対応して、改めてステップS70により本スキャンが再開される。本実施形態によれば、本スキャンのやり直しが必要な場合には実行中の本スキャンを直ちに中断し、再度スキャン開始位置HPから本スキャンが行われる。本実施形態によれば、読取設定の変更に伴う処理時間のロスを最小限に抑制できるので、ユーザは、所望の画像データを速やかに入手することができる。
【0060】
また、本実施形態では特に、本スキャンの開始後に読取範囲ARの変更が行われたとき、その時点での画像読取ユニット8の移動位置が、変更後の読取開始位置SPにまだ到達していない場合がある。例えば
図9のフローチャートにおいて、ステップS35でYes判定となり、且つ、ステップS40でNo判定となった場合である。本実施形態においてはこのような場合には本スキャンは継続すると判断された後にステップS45で中断されてステップS47が行われ、画像読取ユニット8が本スキャンの中断時の位置CPから当該読取開始位置SPへと移動する。移動完了後、改めてステップS50により本スキャンが再開される。本実施形態によれば、変更された読取範囲ARに対して本スキャンがまだ始まっていない場合には速やかに画像読取ユニット8を移動させて本スキャンが行われる。本実施形態によれば、読取設定の変更により短縮可能な処理時間を見極めて当該短縮を実現できるので、ユーザは、所望の画像データを速やかに入手することができる。
【0061】
また、本実施形態では特に、本スキャンの開始後に読取設定の変更が行われたとき、その変更の結果、本スキャンを実行しなくてもユーザが希望する画像を提供可能となる場合があり得る。例えば
図9のフローチャートにおいて、ステップS35でNo判定となり、且つ、ステップS55でYes判定となった場合である。本実施形態においてはこのような場合には本スキャンは終了すると判断されてステップS85で終了され、ステップS90で取得済のプレスキャン画像データに対して対応する所定の加工を行ってスキャン画像データが生成され、ステップS95で出力される。本実施形態によれば、実行する必要のなくなった本スキャンを速やかに終了しスキャン画像データを出力することで、ユーザは所望の画像データを速やかに入手することができる。
【0062】
また、本実施形態では特に、ステップS47における画像読取ユニット8の移動速度を、通常の本スキャンの実行時の移動速度よりも速くすることで、本スキャンの再開タイミングをより早くすることができる。
【0063】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0064】
(1)外部端末でプレビュー画像の表示及び読取設定の変更を行う場合
上記実施形態では、プレビュー画像の表示及び読取設定の変更等をスキャナ1のタッチパネル150で行う構成としたが、外部端末で行ってもよい。
【0065】
図10に、本変形例に係るスキャナ1Aの制御系の構成の一例を示す。
図10に示すように、スキャナ1Aはコントローラ100に接続されたネットワーク制御部170を有する。ネットワーク制御部170は、無線又は有線によるネットワーク通信を介し、外部端末200との信号通信を行う。外部端末200は、例えばスマートフォン等の携帯端末でもよいし、例えば汎用パーソナルコンピュータ等でもよい。外部端末200は、ディスプレイ210を有する。ネットワーク制御部170が入力インタフェースの一例であり、通信インタフェースの一例でもある。スキャナ1Aの上記以外の構成は、前述の
図2に示したスキャナ1の構成と同様であるため説明を省略する。
【0066】
スキャナ1Aのコントローラ100は、前述の
図9に示した制御手順と同様の制御手順を実行する。この際、コントローラ100は、前述のステップS5において、ネットワーク制御部170を介して外部端末200から受信された読取設定を受け付ける。またコントローラ100は、前述のステップS15において、ネットワーク制御部170を介して外部端末200のディスプレイ210にプレビュー画像を表示させる。またコントローラ100は、前述のステップS30において、ネットワーク制御部170を介して外部端末200から受信された読取設定の変更を受け付ける。上記以外の制御手順は、前述の
図9に示した内容と同様であるため説明を省略する。
【0067】
本変形例においては、ステップS15により外部端末200のディスプレイ210にプレビュー画像の表示が開始されると、スキャナ1Aで本スキャンが開始される。本スキャンの開始後、プレビュー画像の表示に基づく読取設定の変更が外部端末200において行われると、その変更内容がネットワーク制御部170を介しスキャナ1A側で取得され、ステップS35、ステップS40、ステップS55における前述の判断が行われる。本変形例によれば、プレビュー画像の表示及び読取設定の変更を外部端末200にて行う構成においても、ユーザによる読取設定の変更に対して速やかに対応することが可能となる。
【0068】
(2)その他
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0069】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0070】
但し、例えばしきい値(
図9のフローチャート参照)や基準値等、所定の判定基準となる値あるいは区切りとなる値の記載がある場合は、それらに対しての「同一」「等しい」「異なる」等は、上記とは異なり、厳密な意味である。
【0071】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0072】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0073】
1 スキャナ(読取装置の一例)
1A スキャナ(読取装置の一例)
7 ガラス面
8 画像読取ユニット
100 コントローラ(コンピュータの一例)
140 RAM(メモリの一例)
150 タッチパネル(入力インタフェース、ディスプレイの一例)
170 ネットワーク制御部(入力インタフェース、通信インタフェースの一例)
200 外部端末
210 ディスプレイ
AR 読取範囲
CP 位置(中断時の位置の一例)
HP スキャン開始位置
P 原稿
SP 読取開始位置