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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179892
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/28 20060101AFI20231213BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20231213BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20231213BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20231213BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20231213BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
G02B27/28 Z
B60R1/26 100
B60K35/00 Z
B60R11/02 C
G02F1/1333
G09F9/00 359
G09F9/00 313
G09F9/00 362
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092801
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 祐樹
【テーマコード(参考)】
2H189
2H199
3D020
3D344
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA52
2H189AA70
2H189LA17
2H189LA19
2H189MA15
2H199AB12
2H199AB42
2H199AB47
2H199AB52
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC02
3D344AA03
3D344AA27
3D344AB01
3D344AC27
5G435AA01
5G435AA18
5G435BB05
5G435BB12
5G435DD11
5G435EE49
5G435FF03
5G435FF05
5G435GG09
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】表示装置の光学系を小型化する。
【解決手段】表示装置10は、直線偏光の表示光を出力する表示器20と、表示器20から出力される表示光を透過し、直線偏光を円偏光に変換する第1波長板22と、第1波長板22から出射する表示光の一部を透過し、一部を反射する第1凹曲面24aを有し、第1凹曲面24aが第1方向に曲率を有する部分反射ミラー24と、部分反射ミラー24から出射する表示光を透過し、円偏光を直線偏光に変換する第2波長板26と、第2波長板26から出射する表示光の第1直線偏光成分を反射し、表示光の第1直線偏光成分に直交する第2直線偏光成分を透過する第2凹曲面28aを有し、第2凹曲面28aが第1方向と直交する第2方向に曲率を有し、第2凹曲面28aが第1凹曲面24aと向かい合うように配置される反射型偏光子28と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線偏光の表示光を出力する表示器と、
前記表示器から出力される前記表示光を透過し、直線偏光を円偏光に変換する第1波長板と、
前記第1波長板から出射する前記表示光の一部を透過し、一部を反射する第1凹曲面を有し、前記第1凹曲面が第1方向に曲率を有する部分反射ミラーと、
前記部分反射ミラーから出射する前記表示光を透過し、円偏光を直線偏光に変換する第2波長板と、
前記第2波長板から出射する前記表示光の第1直線偏光成分を反射し、前記表示光の前記第1直線偏光成分に直交する第2直線偏光成分を透過する第2凹曲面を有し、前記第2凹曲面が前記第1方向と直交する第2方向に曲率を有し、前記第2凹曲面が前記第1凹曲面と向かい合うように配置される反射型偏光子と、を備える表示装置。
【請求項2】
前記第1凹曲面の前記第1方向の曲率は、前記第2凹曲面の前記第2方向の曲率よりも小さい、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1凹曲面は、前記第2方向に曲率を有さず、前記第2凹曲面は、前記第1方向に曲率を有しない、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1波長板および前記第2波長板の少なくとも一方は、前記部分反射ミラーに隣接する、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示器は、車両の後方を撮影した映像を表示し、
前記表示装置は、前記車両に搭載される、請求項1または2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の表示装置として、車両の後方を撮影した映像をディスプレイに表示し、車両の乗員に視認させる電子ミラーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-210229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の先行技術では、ディスプレイから出力される表示光をハーフミラーによって直角に折り返す構成としているため、装置の光学系が大型化する。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、表示装置の光学系を小型化する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の表示装置は、直線偏光の表示光を出力する表示器と、表示器から出力される表示光を透過し、直線偏光を円偏光に変換する第1波長板と、第1波長板から出射する表示光の一部を透過し、一部を反射する第1凹曲面を有し、第1凹曲面が第1方向に曲率を有する部分反射ミラーと、部分反射ミラーから出射する表示光を透過し、円偏光を直線偏光に変換する第2波長板と、第2波長板から出射する表示光の第1直線偏光成分を反射し、表示光の第1直線偏光成分に直交する第2直線偏光成分を透過する第2凹曲面を有し、第2凹曲面が第1方向と直交する第2方向に曲率を有し、第2凹曲面が第1凹曲面と向かい合うように配置される反射型偏光子と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表示装置の光学系を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る表示装置が設置される車両を模式的に示す図である。
図2】実施形態に係る表示装置の構成を模式的に示す図である。
図3】実施形態に係る表示装置の構成を模式的に示す図である。
図4】表示装置に入射する外光の影響を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。実施形態に示す具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る表示装置10が設置される車両12を模式的に示す図である。表示装置10は、車両12に搭載されるカメラ14が撮影した映像を表示する。表示装置10は、例えば、車両12のリアビューミラーの位置に配置される。車両12の乗員16は、表示装置10を視認することにより、車両12の後方を撮影した映像を視認できる。表示装置10は、いわゆる電子式のリアビューミラーとして機能する。
【0012】
乗員16は、車両12の前方を視認するための第1視線方向Aと、表示装置10を視認して車両12の後方を確認するための第2視線方向Bとを切り替えながら車両12を運転する。乗員16は、第1視線方向Aにおいて、2m以上の遠方にピントを合わせることが通常である。一方、乗員16から表示装置10までの距離は50cm程度と近い。そのため、表示装置10の位置にそのまま映像を表示した場合、乗員16は、第1視線方向Aと第2視線方向Bの間で視線を切り替える際のピント調整に苦労することがある。
【0013】
本実施形態において、表示装置10は、車両12の後方の映像を虚像18として表示し、乗員16から虚像18までの虚像表示距離が1m~2m程度となるようにする。これにより、第1視線方向Aと第2視線方向Bの間で視線を切り替える際の乗員16のピント調整の負担を軽減できる。
【0014】
図2および図3は、実施形態に係る表示装置10の構成を模式的に示す図である。図2および図3において、表示装置10から乗員16に向かう光軸をz方向とし、光軸に直交する方向をx方向およびy方向としている。図2は、x方向から見た表示装置10を示し、図3は、y方向から見た表示装置10を示す。
【0015】
表示装置10は、表示器20と、第1波長板22と、部分反射ミラー24と、第2波長板26と、反射型偏光子28と、偏光板30と、筐体32と、表示制御装置34とを備える。表示器20、第1波長板22、部分反射ミラー24、第2波長板26、反射型偏光子28および偏光板30は、筐体32の内部に配置され、光軸上に一列に順に並ぶように配置される。
【0016】
表示器20は、虚像18を表示するための画像を表示する。表示器20は、液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)や有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OELD;Organic Electro Luminescence Display)などの画像表示素子である。表示器20は、表示制御装置34によって駆動される。
【0017】
表示器20は、表示光L1を出力する表示面20aを有する。表示器20は、直線偏光となる表示光L1を出力する。表示器20が液晶ディスプレイである場合、液晶ディスプレイを構成する偏光板によって直線偏光となる表示光L1が出力される。表示器20が有機ELディスプレイである場合、表示面20aに追加で設けられる偏光板によって直線偏光となる表示光L1が出力される。表示器20から出力される表示光L1の直線偏光の方向は特に限られないが、例えばx方向である。
【0018】
表示器20は、横長の形状を有しており、表示器20のx方向の幅Wxが相対的に長く、表示面20aのy方向の幅Wyが相対的に短い。表示器20のx方向の幅Wxは、表示器20に表示される画像の横方向のサイズに相当する。表示器20のy方向の幅Wyは、表示器20に表示される画像の縦方向のサイズに相当する。表示器20のx方向の幅Wxは、例えば、表示器20のy方向の幅Wyの2倍~5倍程度である。
【0019】
第1波長板22は、z方向に延びる光軸上において、表示器20の次に配置される。第1波長板22は、1/4波長板であり、直線偏光を円偏光に変換する。表示器20から出力される直線偏光の表示光L1は、第1波長板22を透過すると円偏光の表示光となる。第1波長板22は、例えば、第1波長板22に入射するx方向の直線偏光を右回り円偏光に変換するように配置される。
【0020】
部分反射ミラー24は、z方向に延びる光軸上において、第1波長板22の次に配置される。部分反射ミラー24は、表示光の一部を透過し、表示光の一部を反射するように構成される。部分反射ミラー24は、いわゆるハーフミラーであってもよく、表示光の透過率と反射率が50%となるように構成されてもよい。部分反射ミラー24は、例えば、ガラスなどの透明材料で構成される基材と、基材の表面に設けられる部分反射膜とを含む。部分反射膜は、金属膜であってもよいし、誘電体多層膜であってもよい。
【0021】
部分反射ミラー24は、第1凹曲面24aを有する。第1凹曲面24aは、+z方向に向けられる曲面であり、反射型偏光子28と向かい合う曲面である。第1凹曲面24aは、光軸(z方向)に直交する第1方向に曲率を有し、第1方向に屈折力を有する。第1方向の一例は、y方向であるが、x方向であってもよい。第1凹曲面24aは、第1方向に直交する第2方向に曲率を有しない。第2方向の一例は、x方向であるが、y方向であってもよい。第1凹曲面24aの一例は、円筒面である。
【0022】
第1凹曲面24aは、第2方向(例えばx方向)に僅かな曲率を有してもよい。この場合、第1凹曲面24aの第2方向の曲率は、第1凹曲面24aの第1方向の曲率よりも小さく、例えば、第1方向の曲率の20%以下、10%以下または5%以下である。
【0023】
第2波長板26は、z方向に延びる光軸上において、部分反射ミラー24の次に配置される。第2波長板26は、1/4波長板であり、円偏光を直線偏光に変換し、直線偏光を円偏光に変換する。部分反射ミラー24を透過する円偏光の表示光は、第2波長板26を透過すると直線偏光の表示光となる。第2波長板26は、例えば、第2波長板26に入射する右回り円偏光をx方向の直線偏光に変換するように配置される。
【0024】
第1波長板22は、部分反射ミラー24に隣接して配置される。第1波長板22は、例えば、部分反射ミラー24の凸曲面24bに接触する。ここで、凸曲面24bは、-z方向に向けられる曲面であり、表示器20と向かい合う曲面である。第1波長板22は、凸曲面24bを被覆する1/4波長フィルムであってもよく、凸曲面24bに対応した曲面形状を有してもよい。
【0025】
第2波長板26は、部分反射ミラー24に隣接して配置される。第2波長板26は、例えば、部分反射ミラー24の第1凹曲面24aに接触する。第2波長板26は、第1凹曲面24aを被覆する1/4波長フィルムであってもよく、第1凹曲面24aに対応した曲面形状を有してもよい。
【0026】
第1波長板22、部分反射ミラー24および第2波長板26は、順に積層されて一体となる光学素子として構成されてもよい。
【0027】
なお、第1波長板22および第2波長板26の少なくとも一方は、部分反射ミラー24から離れて配置されてもよい。この場合、第1波長板22および第2波長板26の少なくとも一方は、部分反射ミラー24の凸曲面24bまたは第1凹曲面24aに対応した曲面形状を有してもよいし、平板形状を有してもよい。
【0028】
反射型偏光子28は、z方向に延びる光軸上において、第2波長板26の次に配置される。反射型偏光子28は、第1直線偏光を反射し、第1直線偏光に直交する第2直線偏光を透過する。反射型偏光子28は、例えば、ワイヤーグリッド偏光子である。反射型偏光子28は、例えば、x方向の直線偏光を反射し、y方向の直線偏光を透過するように構成される。
【0029】
反射型偏光子28は、第2凹曲面28aを有する。第2凹曲面28aは、-z方向に向けられる曲面であり、部分反射ミラー24と向かい合う曲面である。第2凹曲面28aは、第2方向(例えばx方向)に曲率を有し、第2方向に屈折力を有する。第2凹曲面28aは、第1方向(例えばy方向)に曲率を有しない。第2凹曲面28aの一例は、円筒面である。
【0030】
第2凹曲面28aは、第1方向(例えばy方向)に僅かな曲率を有してもよい。この場合、第2凹曲面28aの第1方向の曲率は、第2凹曲面28aの第2方向の曲率よりも小さく、例えば、第2方向の曲率の20%以下、10%以下または5%以下である。
【0031】
反射型偏光子28は、例えば、ガラスなどの透明材料で構成される基材と、基材の表面に設けられる偏光フィルムとを含む。偏光フィルムは、第2凹曲面28aを被覆し、第2凹曲面28aに対応した曲面形状を有する。第2凹曲面28aは、表示光の第1直線偏光成分を反射し、第1直線偏光成分に直交する第2直線偏光成分を透過する。例えば、第1直線偏光成分は、x方向の直線偏光であり、第2直線偏光成分は、y方向の直線偏光である。
【0032】
偏光板30は、z方向に延びる光軸上において、反射型偏光子28の次に配置される。偏光板30は、平板形状を有する。偏光板30は、筐体32の開口32aを塞ぐように設けられるカバーである。偏光板30は、例えば、反射型の偏光子であり、第1直線偏光を反射し、第2直線偏光を透過するよう構成される。偏光板30は、例えば、x方向の直線偏光を反射し、y方向の直線偏光を透過するよう構成される。偏光板30は、吸収型の偏光子であってもよい。
【0033】
表示制御装置34は、表示器20の動作を制御する。表示制御装置34は、カメラ14が撮影する映像を取得し、取得した映像が表示器20に表示されるように表示器20を駆動する。表示制御装置34により提供される各種機能は、例えば、ハードウェアおよびソフトウェアの連携によって実現されうる。表示制御装置34のハードウェアは、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や機械装置で実現される。表示制御装置34のソフトウェアは、コンピュータプログラム等によって実現される。
【0034】
つづいて、表示装置10の動作について説明する。表示器20から出力される表示光L1は、第1波長板22、部分反射ミラー24および第2波長板26を透過する。第1波長板22、部分反射ミラー24および第2波長板26を透過した後の表示光L2は、第1直線偏光であり、例えば、x方向の直線偏光である。
【0035】
第1直線偏光の表示光L2は、反射型偏光子28にて反射される。反射型偏光子28で反射された後の表示光L3は、第1直線偏光である。反射型偏光子28から第2波長板26に向かう表示光L3は、第2波長板26を透過して円偏光となり、その一部は、部分反射ミラー24の第1凹曲面24aにて反射される。部分反射ミラー24の第1凹曲面24aにて反射された表示光は、第2波長板26を透過して第1直線偏光に直交する第2直線偏光となる。
【0036】
第2波長板26から出射する第2直線偏光の表示光L4は、反射型偏光子28を透過し、偏光板30を透過する。車両12の乗員16は、筐体32の開口32aから出射する表示光L5を視認する。したがって、乗員16は、部分反射ミラー24の第1凹曲面24aおよび反射型偏光子28の第2凹曲面28aにて反射された表示光L5を視認する。
【0037】
表示器20は、第1凹曲面24aの焦点距離よりも近い位置に配置される。表示器20を出射してから第1凹曲面24aにて反射されるまでに表示光が進行する第1距離d1(図2参照)は、第1凹曲面24aの焦点距離よりも小さい。第1距離d1は、表示器20の表示面20aから第2凹曲面28aまでの第2距離d2と、第1凹曲面24aから第2凹曲面28aまでの第3距離d3の合計である(つまり、d1=d2+d3)。
【0038】
表示器20は、第2凹曲面28aの焦点距離よりも近い位置に配置される。表示器20を出射してから第2凹曲面28aにて反射されるまでに表示光が進行する第2距離d2(図2参照)は、第2凹曲面28aの焦点距離よりも小さい。第2凹曲面28aの第2方向の焦点距離は、第1凹曲面24aの第1方向の焦点距離より小さくてもよい。凹曲面の曲率は、凹曲面の焦点距離に反比例するため、第1凹曲面24aの第1方向の曲率は、第2凹曲面28aの第2方向の曲率より小さくてもよい。
【0039】
第1凹曲面24aの焦点距離よりも近い位置であって、第2凹曲面28aの焦点距離よりも近い位置に表示器20を配置することにより、表示器20に表示される画像を虚像18として提示できる。例えば、乗員16から虚像18までの虚像表示距離が1m~2m程度となるように第1凹曲面24aの曲率、第2凹曲面28aの曲率および表示器20の配置を決めることができる。
【0040】
本実施形態によれば、表示器20、部分反射ミラー24および反射型偏光子28を光軸上に一列に配置できるため、光軸を直角に折り返す構成に比べて、装置の光学系を小型化できる。本実施形態によれば、第1方向に曲率を有する部分反射ミラー24と、第2方向に曲率を有する反射型偏光子28とを組み合わせることにより、表示装置10に太陽光などの強い外光が入射する場合に、凹面鏡によって外光が1点に強く集光されるのを防止できる。
【0041】
図4は、表示装置10に入射する外光の影響を模式的に示す図である。太陽光などの外光L10は、偏光板30に入射する。偏光板30は、第1直線偏光L11を反射し、第2直線偏光L12を透過させる。偏光板30は、外光L10の一部である第1直線偏光L11を反射するミラーとして機能する。偏光板30は、表示装置10の電源がオフであり、表示器20に画像が表示されない場合、一般的な光学式のリアビューミラーとして機能できる。なお、偏光板30は必須の構成ではなく、表示装置10が偏光板30を備えなくてもよい。
【0042】
偏光板30を透過した第2直線偏光L12は、反射型偏光子28をさらに透過し、第2波長板26に入射する。第2直線偏光L12は、第2波長板26を透過し、部分反射ミラー24の第1凹曲面24aにて反射され、第2波長板26をさらに透過することにより、第1直線偏光L13となる。第1直線偏光L13は、反射型偏光子28の第2凹曲面28aに入射する。第1直線偏光L13の大部分は、第2凹曲面28aにて反射する第1直線偏光L14となり、残りのごく一部は、反射型偏光子28および偏光板30を透過して開口32aから筐体32の外部に出射する第1直線偏光L15となる。
【0043】
第2凹曲面28aにて反射した第1直線偏光L14は、第2波長板26を透過し、部分反射ミラー24の第1凹曲面24aにて反射され、第2波長板26をさらに透過することにより、第2直線偏光L16となる。第2直線偏光L16の大部分は、反射型偏光子28および偏光板30を透過して開口32aから筐体32の外部に出射する第2直線偏光L17となる。
【0044】
筐体32の外部に出射する第1直線偏光L15は、第1凹曲面24aのみで反射されるため、第1方向に集光されるが、第2方向には集光されない。したがって、本実施形態によれば、第1直線偏光L15が筐体32の外部にて1点に強く集光されることによる集光箇所での温度上昇を抑制できる。
【0045】
筐体32の外部に出射する第2直線偏光L17は、第2凹曲面28aにて1回反射され、第1凹曲面24aにて2回反射される。そのため、第2直線偏光L17が第1方向に集光される位置は、第2直線偏光L17が第2方向に集光される位置からずれる。したがって、本実施形態によれば、第2直線偏光L17が筐体32の外部にて1点に強く集光されることによる集光箇所での温度上昇を抑制できる。
【0046】
本実施形態によれば、第1凹曲面24aにおける第1方向の曲率が相対的に小さいため、筐体32の外部にて第1直線偏光L15および第2直線偏光L17が第1方向に集光される程度を小さくすることができる。したがって、本実施形態によれば、筐体32の外部における第1直線偏光L15および第2直線偏光L17の集光箇所での温度上昇を抑制できる。
【0047】
以上、本発明を上述の実施形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、各実施例に示す構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
10…表示装置、12…車両、20…表示器、22…第1波長板、24…部分反射ミラー、24a…第1凹曲面、26…第2波長板、28…反射型偏光子、28a…第2凹曲面。
図1
図2
図3
図4