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特開2023-179900業務割当装置、業務割当方法及び業務割当プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179900
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】業務割当装置、業務割当方法及び業務割当プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20231213BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092814
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池上 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】椿 泰範
(72)【発明者】
【氏名】濱田 雅樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA10
(57)【要約】
【課題】予定された業務とは別に突発業務が発生した場合に、速やかに対応できるようにする。
【解決手段】優先度計算部24は、駅と空港とショッピングモールといった施設において、スタッフの対応が必要な突発業務が発生した場合に、1人以上のスタッフそれぞれについて、突発業務の対応を開始可能な開始可能時刻からスタッフ優先度を計算する。業務割当部25は、優先度計算部24によって計算されたスタッフ優先度が高いスタッフから順に突発業務を割り当てる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設のスタッフの対応が必要な突発業務が発生した場合に、1人以上のスタッフそれぞれについて、前記突発業務の対応を開始可能な開始可能時刻からスタッフ優先度を計算する優先度計算部と、
前記優先度計算部によって計算された前記スタッフ優先度が高いスタッフから順に前記突発業務を割り当てる業務割当部と
を備える業務割当装置。
【請求項2】
前記優先度計算部は、対応中の業務が終了する予定の終了予定時刻と、前記突発業務を行う現場までの移動時間とから前記開始可能時刻を計算する
請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項3】
前記優先度計算部は、前記対応中の業務の業務優先度が前記突発業務の業務優先度より低い場合には、前記終了予定時刻を前倒しした前倒し時刻と、前記移動時間とから前記開始可能時刻を計算する
請求項2に記載の業務割当装置。
【請求項4】
前記優先度計算部は、前記1人以上のスタッフそれぞれについて、過去基準期間における勤務時間から前記スタッフ優先度を計算する
請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項5】
前記優先度計算部は、前記1人以上のスタッフそれぞれについて、前記突発業務の種別に対するスキルから前記スタッフ優先度を計算する
請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項6】
前記業務割当装置は、さらに、
前記施設のスタッフから顧客対応中のスタッフを除外して、前記突発業務に対応するスタッフの候補である対応候補を特定する候補特定部
を備え、
前記業務割当部は、前記候補特定部によって特定された前記対応候補に含まれるスタッフに対して前記突発業務を割り当てる
請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項7】
前記候補特定部は、前記施設のスタッフから、前記突発業務の種別に対応可能な資格を有していないスタッフを除外して、前記対応候補を特定する
請求項6に記載の業務割当装置。
【請求項8】
前記業務割当装置は、さらに、
突発業務に対応可能な駅員ができるように、スタッフの現在時刻以降のスケジュールを調整するスケジュール管理部
を備える請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項9】
前記業務割当部は、前記突発業務の対応に必要な機器に対して、動作指示を行う
請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項10】
前記業務割当装置は、さらに、
前記突発業務を含む業務毎に、対応状況をスタッフによって使用されるユーザ端末に表示する状況表示部
を備える請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項11】
前記業務割当装置は、さらに、
前記業務割当部によって前記突発業務が割り当てられたことを示す情報を表示する状況表示部
を備える請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項12】
前記優先度計算部は、前記開始可能時刻を含む複数の項目それぞれから計算される優先度に対して重み付けを行い得られた値を総合することにより、前記スタッフ優先度を計算し、
前記業務割当部は、前記スタッフ優先度が高いスタッフから順に前記突発業務の対応を打診し、対応可能の回答があった場合に、前記突発業務を割り当て、
前記優先度計算部は、前記打診に対する回答を入力として、前記重み付けで用いる重みを更新する
請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項13】
前記優先度計算部は、状況を表すパラメータを入力として前記対応中の業務の所要時間を推論する学習済モデルに対して、現在の状況を表すパラメータを入力として与えることにより、前記対応中の業務の所要時間を計算し、前記対応中の業務の開始時刻よりも計算された前記所要時間だけ後の時刻を前記終了予定時刻として特定する
請求項2に記載の業務割当装置。
【請求項14】
コンピュータが、施設のスタッフの対応が必要な突発業務が発生した場合に、1人以上のスタッフそれぞれについて、前記突発業務の対応を開始可能な開始可能時刻からスタッフ優先度を計算し、
コンピュータが、前記スタッフ優先度が高いスタッフから順に前記突発業務を割り当てる業務割当方法。
【請求項15】
施設のスタッフの対応が必要な突発業務が発生した場合に、1人以上のスタッフそれぞれについて、前記突発業務の対応を開始可能な開始可能時刻からスタッフ優先度を計算する優先度計算処理と、
前記優先度計算処理によって計算された前記スタッフ優先度が高いスタッフから順に前記突発業務を割り当てる業務割当処理と
を行う業務割当装置としてコンピュータを機能させる業務割当プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、業務に対応するスタッフを割り当てる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
駅と空港とショッピングモールといった施設では、複数のスタッフが働いている。各スタッフには業務が割り当てられており、各スタッフは割り当てられた業務をスケジュールに従い処理する。しかし、元々予定されていない業務が突発的に発生する場合がある。例えば、車椅子に乗った人が来場した場合には、介助を行うという業務が発生する。
【0003】
突発的に発生した突発業務に対しては、アナウンスを行い対応可能なスタッフを探すといった対応がとられている。そのため、突発業務を行う現場から離れた場所にいるスタッフが突発業務に対応することになる場合がある。すると、スタッフが現場に移動するまでに時間を要してしまい、対応が遅れてしまう。
【0004】
特許文献1には、駅務機器の故障が発生した場合等に、近くにいる駅員に対して通知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-67498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現場の近くにいるスタッフであっても、すぐには突発業務を行うことができない状況である場合がある。そのため、特許文献1のように近くにいるスタッフに突発業務を割り当てても、すぐに対応できるとは限らない。
本開示は、突発業務が発生した場合に、速やかに対応できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る業務割当装置は、
施設のスタッフの対応が必要な突発業務が発生した場合に、1人以上のスタッフそれぞれについて、前記突発業務の対応を開始可能な開始可能時刻から前記スタッフ優先度を計算する優先度計算部と、
前記優先度計算部によって計算された前記スタッフ優先度が高いスタッフから順に前記突発業務を割り当てる業務割当部と
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示では、開始可能時刻から計算されたスタッフ優先度が高いスタッフに対して優先的に突発業務が割り当てられる。これにより、突発業務が発生した場合に、速やかに対応できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る業務割当システム100の構成図。
図2】実施の形態1に係る業務割当装置10の構成図。
図3】実施の形態1に係る駅員情報31の説明図。
図4】実施の形態1に係る業務情報32の説明図。
図5】実施の形態1に係る距離情報33の説明図。
図6】実施の形態1に係るスケジュール34の説明図。
図7】実施の形態1に係る勤務時間35の説明図。
図8】実施の形態1に係る業務ログ36の説明図。
図9】実施の形態1に係る業務割当装置10の全体的な処理のフローチャート。
図10】実施の形態1に係る候補特定処理のフローチャート。
図11】実施の形態1に係る優先度計算処理のフローチャート。
図12】実施の形態1に係るチャットアプリケーションプログラムの説明図。
図13】変形例5に係る処理の説明図。
図14】変形例6に係る処理の説明図。
図15】変形例4に係る業務割当装置10の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1では、施設である駅における突発業務に対応するスタッフを割り当てるケースについて説明する。しかし、施設は、駅に限るものではない。施設は、空港又はショッピングモール等であってもよい。
【0011】
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係る業務割当システム100の構成を説明する。
業務割当システム100は、業務割当装置10と、複数の端末51と、複数の機器52とを備える。業務割当装置10と、複数の端末51及び複数の機器52とは、ネットワーク91を介して接続される。
業務割当装置10は、突発業務に対応するスタッフを割り当てるコンピュータである。各端末51は、いずれかの駅50で働く駅員が所持する携帯端末である。各端末51は、具体例としては、スマートフォン、タブレット端末又はスマートウォッチである。各機器52は、いずれかの駅に設置された設備である。各機器52は、具体例としては、スピーカ、サイネージ端末又はプロジェクタである。
【0012】
業務割当装置10は、各駅50に設置された監視カメラ53と、外部サーバ54と、ネットワーク91を介して接続されている。外部サーバ54は、鉄道会社のウェブサーバと、各種SNSのサーバと等である。SNSは、Social Networking Serviceの略である。
【0013】
図2を参照して、実施の形態1に係る業務割当装置10の構成を説明する。
業務割当装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14とのハードウェアを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0014】
プロセッサ11は、プロセッシングを行うICである。ICはIntegrated Circuitの略である。プロセッサ11は、具体例としては、CPU、DSP、GPUである。CPUは、Central Processing Unitの略である。DSPは、Digital Signal Processorの略である。GPUは、Graphics Processing Unitの略である。
【0015】
メモリ12は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ12は、具体例としては、SRAM、DRAMである。SRAMは、Static Random Access Memoryの略である。DRAMは、Dynamic Random Access Memoryの略である。
【0016】
ストレージ13は、データを保管する記憶装置である。ストレージ13は、具体例としては、HDDである。HDDは、Hard Disk Driveの略である。また、ストレージ13は、SD(登録商標)メモリカード、CompactFlash(登録商標)、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク、DVDといった可搬記録媒体であってもよい。SDは、Secure Digitalの略である。DVDは、Digital Versatile Diskの略である。
【0017】
通信インタフェース14は、外部の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース14は、具体例としては、Ethernet(登録商標)、USB、HDMI(登録商標)のポートである。USBは、Universal Serial Busの略である。HDMIは、High-Definition Multimedia Interfaceの略である。
【0018】
業務割当装置10は、機能構成要素として、業務特定部21と、候補特定部22と、スケジュール管理部23と、優先度計算部24と、業務割当部25と、状況表示部26とを備える。候補特定部22は、客対応判定部221と、資格判定部222とを備える。優先度計算部24は、開始優先度特定部241と、勤務時間優先度特定部242と、スキル優先度特定部243と、優先度総合部244とを備える。業務割当装置10の各機能構成要素の機能はソフトウェアにより実現される。
ストレージ13には、業務割当装置10の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ11によりメモリ12に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。これにより、業務割当装置10の各機能構成要素の機能が実現される。
【0019】
ストレージ13には、駅員情報31と、業務情報32と、距離情報33と、スケジュール34と、勤務時間35と、業務ログ36とが記憶される。
【0020】
図2では、プロセッサ11は、1つだけ示されていた。しかし、プロセッサ11は、複数であってもよく、複数のプロセッサ11が、各機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
【0021】
***動作の説明***
図3から図12を参照して、実施の形態1に係る業務割当装置10の動作を説明する。
実施の形態1に係る業務割当装置10の動作手順は、実施の形態1に係る業務割当方法に相当する。また、実施の形態1に係る業務割当装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態1に係る業務割当プログラムに相当する。
【0022】
まず、ストレージ13に記憶される各情報について説明する。その後、業務割当装置10の処理を説明する。
【0023】
図3を参照して、実施の形態1に係る駅員情報31を説明する。
駅員情報31は、駅のスタッフである駅員についての情報である。
駅員情報31には、駅員氏名と、駅員IDと、性別と、端末IDと、資格情報と、スキルと、現在位置と等が含まれる。IDは、IDentifierの略である。駅員氏名は、駅員の氏名である。駅員IDは、駅員を識別可能な符号である。性別は、駅員の性別である。端末IDは、駅員が所持する端末51を識別可能な符号である。資格情報は、駅員が保有する資格である。ここでは、資格情報は、語学関連資格と、介護関連資格と、観光関連資格と、機器点検資格を含む各種業務に関連する資格についての保有状態を示す。スキルは、各種業務についての習熟度である。現在位置は、駅員が現在いる位置を示す。
【0024】
図4を参照して、実施の形態1に係る業務情報32を説明する。
業務情報32は、突発業務として発生し得る業務を含む各業務についての情報である。
業務情報32には、業務名と、業務IDと、トリガーと、通常所要時間と、必要資格と、必要機器と、業務優先度と、許容待ち時間とが含まれる。業務名は、業務の名称である。業務IDは、業務を識別可能な符号である。トリガーは、突発する業務が発生するきっかけとなる事象である。通常所要時間は、業務を行うために必要な概ねの時間である。必要資格は、業務を行うために必要になる資格である。ここでは、必要資格は、語学関連資格と、介護関連資格と、観光関連資格と、機器点検資格を含む各種業務に関連する資格のうち必要な資格を示す。必要機器は、業務に必要な機器52の種別を示す。業務優先度は、業務の優先度である。許容待ち時間は、業務を開始するまで待つことが可能な時間である。
【0025】
図5を参照して、実施の形態1に係る距離情報33を説明する。
距離情報33は、駅50における場所間の距離である。図5では、距離情報33は、改札1とホーム1とホーム2と駅務室と改札2とのそれぞれの間の距離を示す。この距離は単純な直線距離ではなく、階段を経由するなど、移動が可能な経路を考慮したうえでの移動距離である。また、ホームのように広い場所は、1つの場所として扱うのではなく、北側及び南側のように基点を複数設置してもよい。
【0026】
図6を参照して、実施の形態1に係るスケジュール34を説明する。
スケジュール34は、突発業務を含む駅員が対応する通常業務の対応スケジュールである。
スケジュール34には、スケジュールIDと、駅員IDと、業務IDと、開始時刻と、終了時刻と、場所と、備考とが含まれる。スケジュールIDは、発生した突発業務を識別可能な符号である。駅員IDは、対応に当たる駅員についての駅員IDである。業務IDは、対応される業務についての業務IDである。開始時刻は、対応を開始した時刻である。終了時刻は、対応を終了した時刻である。場所は、対応を行う場所である。備考は、対応内容等を説明する情報である。
【0027】
図7を参照して、実施の形態1に係る勤務時間35を説明する。
勤務時間35は、各駅員の過去基準期間における勤務時間の実績である。図7では、勤務時間35は、駅員ID毎に、現在の月(2022年3月)の勤務時間が示されている。
【0028】
図8を参照して、実施の形態1に係る業務ログ36を説明する。
業務ログ36は、突発業務の対応履歴である。
業務ログ36には、スケジュールIDと、所要時間と、対応内容と、反応とが含まれる。スケジュールIDは、スケジュール34に含まれるスケジュールIDである。所要時間は、実際に対応に要した時間である。対応内容は、対応した内容である。反応は、顧客への対応である場合における顧客の反応の良し悪しである。反応は、機器の故障のように対応相手が顧客でない場合には記録されない。
【0029】
図9を参照して、実施の形態1に係る業務割当装置10の全体的な処理を説明する。
(ステップS11:業務特定処理)
業務特定部21は、突発業務が発生したことを特定する。
具体的には、業務特定部21は、監視カメラ53から映像データを定期的に取得する。また、業務特定部21は、外部サーバ54からSNS等の情報を定期的に取得する。業務特定部21は、映像データ及びSNS等の情報から、画像認識機能又は音声認識機能又は文書認識機能等を用いて、業務情報32におけるトリガーが示す事象が発生したことを検知する。すると、業務特定部21は、検知された事象に対応する突発業務が発生したと特定する。
具体例としては、業務特定部21は、車椅子の顧客、白杖を有する顧客又は転倒した顧客が検知されると、介助業務が発生したと特定する。業務特定部21は、駅50構内の混雑が検知される、又は、列車の遅延情報が取得されると、人流制御業務が発生したと特定する。業務特定部21は、駅50の設備の故障が検知されると、設備修理業務が発生したと特定する。業務特定部21は、駅の汚れの書き込みが検知されると、口コミ対応業務が発生したと特定する。
この際、業務特定部21は、映像を取得した監視カメラの設置場所等の情報から、突発業務がどの駅のどの場所で発生したかを特定する。そして、業務特定部21は、業務情報32を参照して、特定した業務の情報(業務ID及び場所)をスケジュール管理部23に送信する。スケジュール管理部23は、スケジュール34に突発業務の情報を設定したレコードを追加する。
【0030】
(ステップS12:候補特定処理)
候補特定部22は、駅員のうち、ステップS11で特定された突発業務に対応する駅員の候補である対応候補を特定する。
【0031】
図10を参照して、実施の形態1に係る候補特定処理を説明する。
(ステップS121:客対応判定処理)
客対応判定部221は、突発業務が発生した駅50にいる駅員から顧客対応中の駅員及び列車対応中の駅員を除外して、対応候補を絞り込む。
具体的には、客対応判定部221は、駅員情報31における現在位置を参照して、突発業務が発生した駅50にいる駅員を特定する。客対応判定部221は、監視カメラ53の映像データを参照して、突発業務が発生した駅50にいる各駅員について、顧客対応中又は列車対応中であるかを判定する。駅員がウェアラブルカメラを装着している場合には、客対応判定部221は、ウェアラブルカメラの映像データを参照して、その駅員が顧客対応中又は列車対応中であるかを判定してもよい。また、客対応判定部221は、マイクによって駅員の会話の音声データを取得可能な場合には、音声データを参照して、その駅員が顧客対応中又は列車対応中であるかを判定してもよい。客対応判定部221は、突発業務が発生した駅50にいる駅員から、顧客対応中であると判定された駅員を除外して残った駅員を対応候補として特定する。
【0032】
(ステップS122:資格判定処理)
資格判定部222は、突発業務が発生した駅50にいる駅員から、突発業務の種別に対応可能な資格を有していない駅員を除外して、対応候補を絞り込む。
具体的には、資格判定部222は、業務情報32を参照して、ステップS11で特定された突発業務で必要な資格を特定する。資格判定部222は、駅員情報31を参照して、特定された資格を保有する駅員を特定する。資格判定部222は、資格判定部222は、ステップS121で絞り込まれた対応候補から、資格を保有しない駅員を除外する。つまり、資格判定部222は、資格を保有する駅員として特定された駅員以外を除外する。資格判定部222は、資格を保有しない駅員を除外して残った駅員を対応候補として特定する。客対応判定部221は、突発業務で必要な資格が特定されない場合は、ステップS121で絞り込まれた駅員を対応候補として特定する。
【0033】
(ステップS13:候補有無判定処理)
候補特定部22は、ステップS12で対応候補となった駅員がいるか否かを判定する。つまり、候補特定部22は、突発業務に対応可能な駅員がいるか否かを判定する。
候補特定部22は、駅員がいない場合には、処理をステップS14に進める。候補特定部22は、駅員がいる場合には、処理をステップS15に進める。
【0034】
(ステップS14:スケジュール変更処理)
スケジュール管理部23は、突発業務に対応可能な駅員ができるように、突発業務が発生した駅50にいる駅員の現在時刻以降のスケジュールを調整する。例えば、スケジュール管理部23は、突発業務の種別に対応可能な資格を有している駅員に割り当てられた業務のうち、資格が無くても行える業務を、突発業務の種別に対応可能な資格を有していない駅員に割り当て直す。スケジュール管理部23は、資格を有していない駅員に空きがない場合には、業務優先度が基準よりも低い業務を後回しにさせて、空きを作らせてもよい。その上で、スケジュール管理部23は、資格を有している駅員に割り当てられた業務を、資格を有していない駅員に割り当て直してもよい。また、スケジュール管理部23は、資格の有無に関係なく、駅員が対応中の業務の優先度が突発業務の優先度よりも低い場合、または対応中の業務の優先度が基準優先度よりも低い場合に、対応中の業務を突発業務の作業時間分後に割り当て直してもよい。
これにより、スケジュール管理部23は、突発業務に対応可能になった駅員を対応候補とする。そして、スケジュール管理部23は、処理をステップS15に進める。
【0035】
(ステップS15:優先度計算処理)
優先度計算部24は、ステップS12で特定された対応候補に含まれる各駅員について、スタッフ優先度を計算する。ステップS12で特定された対応候補とは、ステップS122で特定された対応候補である。スタッフ優先度は、突発業務の割り当てを優先する度合である。
【0036】
図11を参照して、実施の形態1に係る優先度計算処理を説明する。
(ステップS151:開始優先度特定処理)
開始優先度特定部241は、ステップS11で特定された突発業務の対応を開始可能な開始時刻からスタッフ優先度を計算する。
具体的には、開始優先度特定部241は、対応候補に含まれる各駅員を対象の駅員に設定する。開始優先度特定部241は、対象の駅員について、突発業務の対応を開始可能な開始可能時刻を計算する。開始優先度特定部241は、対象の駅員が対応中の業務が終了する予定の終了予定時刻と、突発業務を行う現場までの移動時間とから開始可能時刻を計算する。開始優先度特定部241は、開始可能時刻が早いほどスタッフ優先度が高くなるように、スタッフ優先度を計算する。
この際、開始優先度特定部241は、業務情報32を参照して、対象の駅員が対応中の業務についての通常所要時間を特定する。開始優先度特定部241は、スケジュール34を参照して、対応中の業務の開始時刻を特定する。開始優先度特定部241は、開始時刻の通常所要時間だけ後の時刻を終了予定時刻として特定する。
また、開始優先度特定部241は、距離情報33を参照して、対象の駅員の現在の場所と、突発業務を行う現場との間の距離を特定する。開始優先度特定部241は、距離から現場までの移動時間を特定する。開始優先度特定部241は、単位距離当たりの移動時間を事前に設定しておくことで、距離から移動時間を特定可能である。対象の駅員の現在の場所は、対象の駅員が所持する端末51の位置情報から特定される。
【0037】
ここで、開始優先度特定部241は、対応中の業務の業務優先度がステップS11で特定された突発業務の業務優先度より低い場合には、終了予定時刻を前倒しした前倒し時刻を用いて、開始可能時刻を計算してもよい。つまり、開始優先度特定部241は、終了予定時刻に代えて前倒し時刻を用いてもよい。
具体的には、開始優先度特定部241は、スケジュール34を参照して、対応中の業務の業務IDを特定する。開始優先度特定部241は、業務情報32を参照して、特定された業務IDが示す業務の業務優先度を、対応中の業務の業務優先度として特定する。また、開始優先度特定部241は、業務情報32を参照して、突発業務の業務優先度を特定する。開始優先度特定部241は、対応中の業務の業務優先度が突発業務の業務優先度よりも低いか否かを判定する。開始優先度特定部241は、対応中の業務の業務優先度が突発業務の業務優先度よりも低い場合には、終了予定時刻を前倒して前倒し時刻を特定する。そして、開始優先度特定部241は、前倒し時刻と移動時間とから開始可能時刻を計算する。
開始優先度特定部241は、例えば、対応中の業務をすぐに中断するとして、現在時刻を前倒し時刻とすることが考えられる。あるいは、開始優先度特定部241は、現在時刻の一定時間後の時刻を前倒し時刻としてもよい。
【0038】
開始優先度特定部241は、対応中の業務の業務優先度が突発業務の業務優先度よりも低いという条件だけでなく、対応中の業務の業務優先度が基準優先度よりも低いという条件も用いてもよい。つまり、開始優先度特定部241は、対応中の業務の業務優先度が突発業務の業務優先度よりも低く、かつ、対応中の業務の業務優先度が基準優先度よりも低い場合に、前倒し時刻を用いてもよい。
対応中の業務の業務優先度がある程度高い場合には、対応中の業務を中断することが好ましくない可能性があるためである。
【0039】
(ステップS152:勤務時間優先度特定処理)
勤務時間優先度特定部242は、過去基準期間における勤務時間からスタッフ優先度を計算する。
具体的には、勤務時間優先度特定部242は、対応候補に含まれる各駅員を対象の駅員に設定する。勤務時間優先度特定部242は、勤務時間35を参照して、対象の駅員についての過去基準期間における勤務時間を特定する。ここでは、過去基準期間は、現在の月であるとする。そのため、勤務時間優先度特定部242は、現在の月の総勤務時間を特定する。勤務時間優先度特定部242は、総勤務時間が短いほどスタッフ優先度が高くなるように、スタッフ優先度を計算する。
【0040】
ここで、勤務時間優先度特定部242は、過去基準期間の勤務時間に加えて、その前の期間の勤務時間も考慮して、スタッフ優先度を計算してもよい。例えば、勤務時間優先度特定部242は、過去基準期間の勤務時間に重みXを乗じた値と、その前の期間の勤務時間に重みYを乗じた値との和を計算する。勤務時間優先度特定部242は、和が小さいほどスタッフ優先度が高くなるように、スタッフ優先度を計算する。
過去基準期間が現在の月であるとすると、その前の期間は、現在の月の前の月、又は、現在の月の前の数か月等である。
【0041】
(ステップS153:スキル優先度特定処理)
スキル優先度特定部243は、突発業務に対する駅員のスキルからスタッフ優先度を計算する。
具体的には、スキル優先度特定部243は、駅員情報31を参照して、突発業務に対する駅員のスキルを特定する。スキル優先度特定部243は、スキルが高いほどスタッフ優先度が高くなるように、スタッフ優先度を計算する。
【0042】
(ステップS154:優先度総合処理)
優先度総合部244は、ステップS151からステップS153で特定されたスタッフ優先度を総合する。ここでは、ステップS151で特定されたスタッフ優先度を、開始優先度と呼ぶ。ステップS152で特定されたスタッフ優先度を、勤務時間優先度と呼ぶ。ステップS153で特定されたスタッフ優先度を、スキル優先度と呼ぶ。
優先度総合部244は、開始優先度と、勤務時間優先度と、スキル優先度とを重み付けして加算することで、総合されたスタッフ優先度を計算する。この際、優先度総合部244は、突発業務の種別毎に重みを変更してもよい。例えば、優先度総合部244は、開始時間を重視する突発業務の場合には、開始優先度が重視される重みを用いる。また、スキルを重視する突発業務の場合には、スキル優先度が重視される重みを用いる。
【0043】
(ステップS16:業務割当処理)
業務割当部25は、ステップS15で計算されたスタッフ優先度が高いスタッフに対して優先的に突発業務を割り当てる。
具体的には、業務割当部25は、対応候補に含まれる駅員について、スタッフ優先度が高い駅員から順に、突発業務の対応を打診する。ここでは、各端末51には、業務管理用のチャットアプリケーションプログラムが導入されているものとする。図12に示すように、業務割当部25は、チャットアプリケーションプログラムを利用して、駅員が所持する端末51に対して、文字メッセージを送信して、突発業務の対応を打診する。業務割当部25は、突発業務の対応を打診した駅員から対応可能と回答があれば、スケジュール34の駅員ID、開始時刻を更新する。駅員は、所持する端末51に音声で対応可能であるとの回答を行う。又は、駅員は、端末51に表示される突発業務の対応を打診するメッセージに対して、対応可能ボタンを押下することで回答してもよい。
業務割当部25は、対応不可との返信があった場合と、一定時間内に返信がない場合とには、次に優先度が高い駅員に、突発業務の対応を打診する。業務割当部25は、対応候補に含まれる全ての駅員に打診しても対応する駅員が決まらない場合には、改めて、優先度が高い駅員から順に対応を打診する。その結果、いずれかの駅員に突発業務の対応が割り当てられる。
【0044】
(ステップS17:機器指示処理)
業務割当部25は、突発業務の対応に必要な機器52に対して、動作指示を行う。
例えば、業務割当部25は、スピーカとサイネージ端末とプロジェクタと等を用いて、混雑情報又は介助が必要な顧客が来ることを顧客及び駅員に通知する。また、業務割当部25は、車椅子に乗った顧客が来る場合には、改札を開いた状態にする開放モードに設定する。また、業務割当部25は、混雑時又は列車遅延時には、SNSに駅の状態を書き込む。また、業務割当部25は、列車遅延時には、鉄道会社のウェブサーバに対して、遅延証明書の発行を指示する。
【0045】
その後、対応を割り当てられた駅員によって突発業務の対応が行われる。状況表示部26は、突発業務を含む業務毎に、対応状況をスタッフによって使用されるユーザ端末に表示する。
具体的には、状況表示部26は、図12に示すように、チャットアプリケーションプログラムの表示画面に、業務毎の対応状況を表示する。この際、業務優先度が高い業務ほど上位になるように、対応状況を表示する。これにより、業務優先度が高い業務の対応が遅れているような場合に、各駅員がその状況を認識可能になる。なお、状況表示部26は、駅員毎に、その駅員が割り当てられている業務についての対応状況だけを表示してもよい。また、新たに割り当てられた業務ほど上位になるように、対応状況を表示してもよい。
状況表示部26は、突発業務が割り当てられた駅員に対して、開始可能時刻又は開始可能時刻の少し前になると、プッシュ通知を送信してもよい。プッシュ通知については、文字データだけでなく、音又は音声を用いてもよい。この際、状況表示部26は、合成音声生成機能を用いて、突発業務の内容等を示す音声データを生成して、出力させてもよい。これにより、突発業務の対応の失念が防止される。
また、状況表示部26は、チャットアプリケーションプログラムの表示画面に、突発業務の発生した駅の各駅員の状態についても表示する。具体的には、状況表示部26は、駅員の状態として、現在顧客対応中であるか、一定時間以内に業務優先度が基準以上の業務を行う予定があるか、突発業務の対応可能な状態であるかを表示する。突発業務の対応可能な状態は、他の2つの状態以外の状態を意味する。
【0046】
また、業務割当部25は、突発業務の対応が終了すると、業務ログ36に対応履歴を書き込む。
この際、業務割当部25は、業務ログ36における対応内容については、対応した駅員に入力させてもよい。あるいは、業務割当部25は、駅員と顧客との会話の音声データを取得可能な場合には、音声データから自動生成してもよい。例えば、業務割当部25は、音声データを音声認識機能により認識して文字データを生成する。そして、業務割当部25は、文字データを入力として対応内容を特定する学習済モデルに、生成された文字データを入力することにより、対応内容を特定する。
また、業務割当部25は、業務ログ36における反応については、顧客に入力させてもよい。あるいは、業務割当部25は、駅員と顧客との会話の音声データを取得可能な場合には、音声データから自動生成してもよい。例えば、業務割当部25は、音声データを音声認識機能により認識して文字データを生成する。そして、業務割当部25は、文字データを入力として対応に対する反応を特定する学習済モデルに、生成された文字データを入力することにより、対応に対する反応を特定する。
業務割当部25は、突発業務の種別毎の対応数と、対応に対する反応により、駅員情報31のスキルを更新してもよい。これにより、業務ログ36の内容が、次からのスタッフ優先度の計算に反映される。
【0047】
***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係る業務割当装置10は、開始可能時刻から計算されたスタッフ優先度が高いスタッフに対して優先的に突発業務が割り当てられる。開始可能時刻は、対応中の業務が終了する終了予定時刻と、突発業務を行う現場までの移動時間とから計算される。これにより、突発業務が発生した場合に、速やかに対応できるようになる。
【0048】
また、実施の形態1に係る業務割当装置10は、対応中の業務の業務優先度が低い場合には、終了予定時刻を前倒した前倒し時刻に基づき開始可能時刻を特定する。これにより、業務優先度を考慮した上で、突発業務に速やかに対応できるようになる。
【0049】
また、実施の形態1に係る業務割当装置10は、勤務時間からスタッフ優先度を計算する。これにより、特定の駅員に突発業務が集中して割り当てられ、業務が集中してしまうことを防ぐことができる。
【0050】
また、実施の形態1に係る業務割当装置10は、距離からスタッフ優先度を計算する。これにより、無駄な移動をできるだけ発生させないように、突発業務が割り当てられる。
【0051】
また、実施の形態1に係る業務割当装置10は、突発業務の種別に対するスキルからスタッフ優先度を計算する。これにより、スキルが高い駅員が突発業務に割り当てられ、顧客の満足度を高くできる。
【0052】
また、実施の形態1に係る業務割当装置10は、顧客対応中の駅員と必要な資格を有していない駅員とを対応候補から除外する。これにより、対応が困難な駅員に対応を打診し、対応が遅れるといったことを防止できる。
【0053】
また、実施の形態1に係る業務割当装置10は、駅員を割り当てるとともに、必要な機器52に対して動作指示を行う。これにより、突発業務に対して速やかな対応がし易い状況を作ることができる。
【0054】
また、実施の形態1に係る業務割当装置10は、業務毎の対応状況を色、枠等で分けて表示する。これにより、業務優先度が高い業務の対応が遅れているような場合に、各駅員がその状況を認識可能になる。その結果、他の駅員が対応を代わりに行うといったことも可能になる。
【0055】
***他の構成***
<変形例1>
図9のステップS13で候補特定部22は、突発業務の対応開始までの時間が許容待ち時間以内であることを考慮して、突発業務に対応可能な駅員がいるかを判定してもよい。
具体的には、候補特定部22は、業務情報32を参照して、突発業務の許容待ち時間を特定する。候補特定部22は、開始可能時刻までの時間が、許容待ち時間以内である駅員が対応候補に含まれている場合には、突発業務に対応可能な駅員がいると判定する。開始可能時刻は、ステップS151で説明した通りである。
【0056】
<変形例2>
実施の形態1では、突発業務が発生した駅で対応する駅員を割り当てた。しかし、例えば、車椅子に乗った顧客の介助業務は、乗車駅だけでなく、降車駅でも必要になる。そのため、業務割当部25は、このように駅を跨ぐ業務については、両方の駅で対応する駅員を割り当ててもよい。この際、状況表示部26は、降車側の駅員に対して、乗車側の駅での状況を通知してもよい。例えば、状況表示部26は、列車に乗車した場合に、降車側の駅に何時何分に到着する列車に乗車したかを通知してもよい。状況表示部26は、列車の時刻管理システムから時刻表情報を取得することで、列車が降車側の駅に何時何分に到着するかを特定可能である。業務割当部25は、特定された到着時刻に介助作業ができる駅員の割り当てを行う。
【0057】
<変形例3>
状況表示部26は、介助業務では、どの列車を案内すべきかを提案してもよい。例えば、プラットホームに到着するまでの時間を考慮して、案内すべき列車の発車時刻を通知してもよい。案内すべき列車の特定に関しては、状況に応じた列車を特定する機能を設けておけばよい。
【0058】
<変形例4>
状況表示部26は、1日に対応した突発業務を規定のフォーマットにまとめて日報として出力してもよい。例えば、駅員毎、駅毎といった単位で1日に対応した突発業務を日報として出力してもよい。
【0059】
<変形例5>
図11のステップS154で用いられる重みは更新されてもよい。図13に参照して、重みの更新方法について説明する。ここでは、強化学習により生成された学習済モデルにより重みが更新される例を説明する。
【0060】
以下の入力1及び入力2の複数の組を学習用データとし、報酬減少基準及び報酬増加基準に従い、開始優先度と勤務時間優先度とスキル優先度とに対する重みを出力する学習済モデルが学習用プログラムにより生成される。<入力1>開始優先度と勤務時間優先度とスキル優先度とに対する重み。<入力2>業務割当部25の打診に対する回答。ここでは、打診に対して否(対応不可)と入力された回答の数が用いられる。<報酬減少基準>否と入力された数が基準値以上の場合には、開始優先度と勤務時間優先度とスキル優先度との重みのうち、最も高い重みを減少させる。<報酬増加基準>否と入力された数が基準値未満の場合には、開始優先度と勤務時間優先度とスキル優先度との重みのうち、最も高い重みを増加させる。つまり、否と入力された数を報酬基準として、開始優先度と勤務時間優先度とスキル優先度とに対する重みを学習することにより、学習済モデルが生成される。
ステップS154では優先度総合部244は、学習済モデルによって開始優先度と勤務時間優先度とスキル優先度とに対する重みを設定する。その後、ステップS16で打診に対する回答が得られると、優先度総合部244は否の回答の数を入力として、学習済モデルを更新する。これにより、次にステップS154で設定される重みが更新される。
なお、優先度総合部244は、ステップS16が実行される度に学習済モデルを更新しなくてもよい。例えば、優先度総合部244は、ステップS16が基準回だけ実行されると、基準回実行されて得られた否の回答の数を入力として、学習済モデルを更新してもよい。
【0061】
否の回答は、打診が適切であったかを示す適切性情報に相当する。したがって、上述した処理により、打診した駅員の適切性情報から適切な重みを設定することが可能になる。その結果、スタッフ優先度を総合することが可能になる。
【0062】
<変形例6>
図11のステップS151で用いられる通常所要時間は計算されてもよい。図14を参照して、通常所要時間の計算について説明する。ここでは、教師あり学習により生成された学習済モデルにより通常所要時間が計算される例を説明する。
【0063】
以下の入力1及び入力2を学習用データとして、学習用プログラムにより通常所要時間を計算する学習済モデルが生成される。<入力1>月日、曜日、時間帯、天気、気温、周辺のイベント有無、運行状況といった状況を表すパラメータ。<入力2>実際に業務にかかった実時間。つまり、パラメータを説明変数とし、所要時間を目的変数として学習することにより、学習済モデルが生成される。この際、入力1が入力層に入力されると、入力1の値に重みW1を掛けて中間層に入力され、その結果に更に重みW2を掛けて出力層から出力される。入力1を入力して出力層から出力された結果(業務の所要時間(予測))が、入力2(実時間)に近づくように重みW1及び重みW2が調整されることで学習される。すなわち、入力1を入力して、出力された予測した所要時間と実時間とを比較し、学習に用いるニューラルネットワークの入力層と中間層と出力層との重みが調整される。
開始優先度特定部241は、通常所要時間が必要になると、そのときのパラメータを入力として学習済モデルに与えることにより、通常所要時間を計算する。
【0064】
これにより、通常所要時間が必要になったときのパラメータに応じた通常所要時間を計算することが可能になる。その結果、適切な通常所要時間を用いて、開始可能時刻が計算され、適切な開始優先度が計算可能になる。
例えば、パラメータとして混雑度合を考慮して、車椅子介助の業務の通常所要時間が計算される。空いている場合には、次に来た電車を案内できるが、混んでいる場合には電車を何本か見送る必要がある。そのため、通常所要時間は、混雑度合に応じて大きく異なる。このような場合にも、通常所要時間が必要になったときのパラメータに応じた通常所要時間を計算することで、適切な通常所要時間を得ることが可能である。
【0065】
開始優先度特定部241は、通常所要時間を計算した後、実際に業務にかかった実時間を計測しておき、入力されたパラメータと計測された実時間とを新たな学習用データとして生成してもよい。そして、開始優先度特定部241は、定期的に、又は、何らかのイベントが発生すると、新たな学習用データを入力として学習済モデルを更新してもよい。
【0066】
なお、学習用データからは例外的なデータは除外してもよい。例えば、例外的に時間がかかったケースのデータは学習用データから除外してもよい。
【0067】
<変形例7>
実施の形態1では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例7として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例7について、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0068】
図15を参照して、変形例7に係る業務割当装置10の構成を説明する。
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、業務割当装置10は、プロセッサ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、電子回路15を備える。電子回路15は、各機能構成要素と、メモリ12と、ストレージ13との機能とを実現する専用の回路である。
【0069】
電子回路15としては、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、FPGAが想定される。GAは、Gate Arrayの略である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略である。
各機能構成要素を1つの電子回路15で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路15に分散させて実現してもよい。
【0070】
<変形例6>
変形例6として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
【0071】
プロセッサ11とメモリ12とストレージ13と電子回路15とを処理回路という。つまり、各機能構成要素の機能は、処理回路により実現される。
【0072】
また、以上の説明における「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「処理回路」に読み替えてもよい。
【0073】
以上、本開示の実施の形態及び変形例について説明した。これらの実施の形態及び変形例のうち、いくつかを組み合わせて実施してもよい。また、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施してもよい。なお、本開示は、以上の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【0074】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
施設のスタッフの対応が必要な突発業務が発生した場合に、1人以上のスタッフそれぞれについて、前記突発業務の対応を開始可能な開始可能時刻からスタッフ優先度を計算する優先度計算部と、
前記優先度計算部によって計算された前記スタッフ優先度が高いスタッフから順に前記突発業務を割り当てる業務割当部と
を備える業務割当装置。
(付記2)
前記優先度計算部は、対応中の業務が終了する予定の終了予定時刻と、前記突発業務を行う現場までの移動時間とから前記開始可能時刻を計算する
付記1に記載の業務割当装置。
(付記3)
前記優先度計算部は、前記対応中の業務の業務優先度が前記突発業務の業務優先度より低い場合には、前記終了予定時刻を前倒しした前倒し時刻と、前記移動時間とから前記開始可能時刻を計算する
付記2に記載の業務割当装置。
(付記4)
前記優先度計算部は、前記1人以上のスタッフそれぞれについて、過去基準期間における勤務時間から前記スタッフ優先度を計算する
付記1又は2に記載の業務割当装置。 (付記5)
前記優先度計算部は、前記1人以上のスタッフそれぞれについて、前記突発業務の種別に対するスキルから前記スタッフ優先度を計算する
付記1から4までのいずれか1項に記載の業務割当装置。
(付記6)
前記業務割当装置は、さらに、
前記施設のスタッフから顧客対応中のスタッフを除外して、前記突発業務に対応するスタッフの候補である対応候補を特定する候補特定部
を備え、
前記業務割当部は、前記候補特定部によって特定された前記対応候補に含まれるスタッフに対して前記突発業務を割り当てる
付記1から5までのいずれか1項に記載の業務割当装置。
(付記7)
前記候補特定部は、前記施設のスタッフから、前記突発業務の種別に対応可能な資格を有していないスタッフを除外して、前記対応候補を特定する
付記6に記載の業務割当装置。
(付記8)
前記業務割当装置は、さらに、
突発業務に対応可能な駅員ができるように、スタッフの現在時刻以降のスケジュールを調整するスケジュール管理部
を備える付記1から7までのいずれか1項に記載の業務割当装置。
(付記9)
前記業務割当部は、前記突発業務の対応に必要な機器に対して、動作指示を行う
付記1から8までのいずれか1項に記載の業務割当装置。
(付記10)
前記業務割当装置は、さらに、
前記突発業務を含む業務毎に、対応状況をスタッフによって使用されるユーザ端末に表示する状況表示部
を備える付記1から9までのいずれか1項に記載の業務割当装置。
(付記11)
前記業務割当装置は、さらに、
前記業務割当部によって前記突発業務が割り当てられたことを示す情報を表示する状況表示部
を備える付記1から9までのいずれか1項に記載の業務割当装置。
(付記12)
前記優先度計算部は、前記開始可能時刻を含む複数の項目それぞれから計算される優先度に対して重み付けを行い得られた値を総合することにより、前記スタッフ優先度を計算し、
前記業務割当部は、前記スタッフ優先度が高いスタッフから順に前記突発業務の対応を打診し、対応可能の回答があった場合に、前記突発業務を割り当て、
前記優先度計算部は、前記打診に対する回答を入力として、前記重み付けで用いる重みを更新する
付記1から11までのいずれか1項に記載の業務割当装置。
(付記13)
前記優先度計算部は、状況を表すパラメータを入力として前記対応中の業務の所要時間を推論する学習済モデルに対して、現在の状況を表すパラメータを入力として与えることにより、前記対応中の業務の所要時間を計算し、前記対応中の業務の開始時刻よりも計算された前記所要時間だけ後の時刻を前記終了予定時刻として特定する
付記2に記載の業務割当装置。
(付記14)
コンピュータが、施設のスタッフの対応が必要な突発業務が発生した場合に、1人以上のスタッフそれぞれについて、前記突発業務の対応を開始可能な開始可能時刻からスタッフ優先度を計算し、
コンピュータが、前記スタッフ優先度が高いスタッフに対して優先的に前記突発業務を割り当てる業務割当方法。
(付記15)
施設のスタッフの対応が必要な突発業務が発生した場合に、1人以上のスタッフそれぞれについて、前記突発業務の対応を開始可能な開始可能時刻からスタッフ優先度を計算する優先度計算処理と、
前記優先度計算処理によって計算された前記スタッフ優先度が高いスタッフに対して優先的に前記突発業務を割り当てる業務割当処理と
を行う業務割当装置としてコンピュータを機能させる業務割当プログラム。
【符号の説明】
【0075】
100 業務割当システム、10 業務割当装置、11 プロセッサ、12 メモリ、13 ストレージ、14 通信インタフェース、15 電子回路、50 駅、51 端末、52 機器、53 監視カメラ、54 外部サーバ、21 業務特定部、22 候補特定部、221 客対応判定部、222 資格判定部、23 スケジュール管理部、24 優先度計算部、241 開始優先度特定部、242 勤務時間優先度特定部、243 スキル優先度特定部、244 優先度総合部、25 業務割当部、26 状況表示部、31 駅員情報、32 業務情報、33 距離情報、34 スケジュール、35 勤務時間、36 業務ログ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設のスタッフの対応が必要な突発業務が発生した場合に、1人以上のスタッフそれぞれについて、前記突発業務の対応を開始可能な開始可能時刻からスタッフ優先度を計算する優先度計算部と、
前記優先度計算部によって計算された前記スタッフ優先度が高いスタッフから順に前記突発業務の対応を打診し、対応可能と回答があったスタッフに前記突発業務を割り当てる業務割当部と
を備える業務割当装置。
【請求項2】
前記優先度計算部は、対応中の業務が終了する予定の終了予定時刻と、前記突発業務を行う現場までの移動時間とから前記開始可能時刻を計算する
請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項3】
前記優先度計算部は、前記対応中の業務の業務優先度が前記突発業務の業務優先度より低い場合には、前記終了予定時刻を前倒しした前倒し時刻と、前記移動時間とから前記開始可能時刻を計算する
請求項2に記載の業務割当装置。
【請求項4】
前記優先度計算部は、前記1人以上のスタッフそれぞれについて、過去基準期間における勤務時間から前記スタッフ優先度を計算する
請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項5】
前記優先度計算部は、前記1人以上のスタッフそれぞれについて、前記突発業務の種別に対するスキルから前記スタッフ優先度を計算する
請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項6】
前記業務割当装置は、さらに、
前記施設のスタッフから顧客対応中のスタッフを除外して、前記突発業務に対応するスタッフの候補である対応候補を特定する候補特定部
を備え、
前記業務割当部は、前記候補特定部によって特定された前記対応候補に含まれるスタッフに対して前記突発業務を割り当てる
請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項7】
前記候補特定部は、前記施設のスタッフから、前記突発業務の種別に対応可能な資格を有していないスタッフを除外して、前記対応候補を特定する
請求項6に記載の業務割当装置。
【請求項8】
前記業務割当装置は、さらに、
突発業務に対応可能な駅員ができるように、スタッフの現在時刻以降のスケジュールを調整するスケジュール管理部
を備える請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項9】
前記業務割当部は、前記突発業務の対応に必要な機器に対して、動作指示を行う
請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項10】
前記業務割当装置は、さらに、
前記突発業務を含む業務毎に、対応状況をスタッフによって使用されるユーザ端末に表示する状況表示部
を備える請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項11】
前記業務割当装置は、さらに、
前記業務割当部によって前記突発業務が割り当てられたことを示す情報を表示する状況表示部
を備える請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項12】
前記優先度計算部は、前記開始可能時刻を含む複数の項目それぞれから計算される優先度に対して重み付けを行い得られた値を総合することにより、前記スタッフ優先度を計算し
記優先度計算部は、前記打診に対する回答を入力として、前記重み付けで用いる重みを更新する
請求項1に記載の業務割当装置。
【請求項13】
前記優先度計算部は、状況を表すパラメータを入力として前記対応中の業務の所要時間を推論する学習済モデルに対して、現在の状況を表すパラメータを入力として与えることにより、前記対応中の業務の所要時間を計算し、前記対応中の業務の開始時刻よりも計算された前記所要時間だけ後の時刻を前記終了予定時刻として特定する
請求項2に記載の業務割当装置。
【請求項14】
コンピュータが、施設のスタッフの対応が必要な突発業務が発生した場合に、1人以上のスタッフそれぞれについて、前記突発業務の対応を開始可能な開始可能時刻からスタッフ優先度を計算し、
コンピュータが、前記スタッフ優先度が高いスタッフから順に前記突発業務の対応を打診し、対応可能と回答があったスタッフに前記突発業務を割り当てる業務割当方法。
【請求項15】
施設のスタッフの対応が必要な突発業務が発生した場合に、1人以上のスタッフそれぞれについて、前記突発業務の対応を開始可能な開始可能時刻からスタッフ優先度を計算する優先度計算処理と、
前記優先度計算処理によって計算された前記スタッフ優先度が高いスタッフから順に前記突発業務の対応を打診し、対応可能と回答があったスタッフに前記突発業務を割り当てる業務割当処理と
を行う業務割当装置としてコンピュータを機能させる業務割当プログラム。