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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179915
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】エレベータ巻上機及び追加綱車装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20231213BHJP
   B66B 11/08 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B66B7/00 G
B66B11/08 M
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092848
(22)【出願日】2022-06-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】深貝 聖史
【テーマコード(参考)】
3F305
3F306
【Fターム(参考)】
3F305AA11
3F305BC15
3F306AA01
3F306BB01
(57)【要約】
【課題】隣り合う分割片間におけるシーブ溝のずれを抑制することができるエレベータ巻上機を得ることを目的とする。
【解決手段】追加綱車装置16は、円環状の追加綱車本体21と、複数の固定具22とを有している。追加綱車本体21は、複数の分割片23と、複数の連結ピン24とを有している。複数の分割片23は、綱車15の外周に沿って円環状に並べられている。各分割片23には、複数のシーブ溝23aが設けられている。複数の連結ピン24は、それぞれ隣り合う分割片23を連結している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
綱車、
前記綱車を回転させる巻上機モータ、及び
前記綱車に装着されており、前記綱車と一体に回転する追加綱車装置
を備え、
前記追加綱車装置は、
前記綱車の外周を覆い、懸架体が掛けられる円環状の追加綱車本体と、
前記追加綱車本体を前記綱車に固定する複数の固定具と
を有しており、
前記追加綱車本体は、
前記綱車の外周に沿って円環状に並べられている複数の分割片と、
それぞれ隣り合う前記分割片を連結している複数の連結ピンと
を有しており、
各前記分割片には、前記懸架体が挿入されるシーブ溝が設けられており、
各前記連結ピンは、前記綱車の軸方向に平行であり、
各前記分割片は、隣の前記分割片に対して前記連結ピンを中心として回転可能に連結されているエレベータ巻上機。
【請求項2】
各前記分割片は、
前記綱車の外周に重ねられており、かつ前記シーブ溝が設けられている分割片主部と、
前記分割片主部から、前記追加綱車本体の径方向外側へ突出している突出部と、
前記分割片主部から、前記追加綱車本体の周方向へ突出しており、隣の前記分割片における前記突出部に重ねられる連結部と
を有しており、
各前記分割片は、前記連結部において、前記連結ピンによって隣の前記分割片に連結されている請求項1記載のエレベータ巻上機。
【請求項3】
各前記分割片は、
前記分割片主部から、前記追加綱車本体の径方向内側へ突出しており、前記固定具によって前記綱車に固定されている固定部
をさらに有している請求項2記載のエレベータ巻上機。
【請求項4】
前記追加綱車本体には、前記追加綱車本体の径方向に沿うねじ孔が設けられており、
前記追加綱車装置は、前記ねじ孔にねじ込まれている調整ボルトをさらに有しており、
前記調整ボルトの先端は、前記綱車の外周に当たっている請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエレベータ巻上機。
【請求項5】
エレベータ巻上機の綱車の外周を覆うように前記綱車に巻き付けられ、懸架体が掛けられる帯状の追加綱車本体と、
前記追加綱車本体を前記綱車に固定する複数の固定具と
を備え、
前記追加綱車本体は、
前記懸架体が挿入されるシーブ溝が設けられており、前記綱車の外周に沿って円環状に並べられる複数の分割片と、
それぞれ隣り合う前記分割片を連結する複数の連結ピンと
を有しており、
各前記連結ピンは、前記追加綱車本体が前記綱車に巻き付けられときの前記綱車の軸方向に相当する方向に平行であり、
各前記分割片は、隣の前記分割片に対して前記連結ピンを中心として回転可能に連結されている追加綱車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベータ巻上機及び追加綱車装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータ巻上機では、エレベータの据付作業時に、綱車の外周に仮設シーブが装着される。仮設シーブは、2つの分割体を組み合わせて構成されている。各分割体には、ロープ溝が設けられている。2つの分割体は、複数の締付具を締め付けることによって、一体化され、綱車の外周に装着されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭59-195248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のエレベータ巻上機では、2つの分割体は、複数の締付具を締め付けることによって、一体化され、綱車の外周に装着されている。このため、2つの分割体の間にずれが生じ易く、一方の分割体のロープ溝と、他方の分割体のロープ溝とを1つの円として連続させることが難しい。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、隣り合う分割片間におけるシーブ溝のずれを抑制することができるエレベータ巻上機及び追加綱車装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベータ巻上機は、綱車、綱車を回転させる巻上機モータ、及び綱車に装着されており、綱車と一体に回転する追加綱車装置を備え、追加綱車装置は、綱車の外周を覆い、懸架体が掛けられる円環状の追加綱車本体と、追加綱車本体を綱車に固定する複数の固定具とを有しており、追加綱車本体は、綱車の外周に沿って円環状に並べられている複数の分割片と、それぞれ隣り合う分割片を連結している複数の連結ピンとを有しており、各分割片には、懸架体が挿入されるシーブ溝が設けられており、各連結ピンは、綱車の軸方向に平行であり、各分割片は、隣の分割片に対して連結ピンを中心として回転可能に連結されている。
本開示に係る追加綱車装置は、エレベータ巻上機の綱車の外周を覆うように綱車に巻き付けられ、懸架体が掛けられる帯状の追加綱車本体と、追加綱車本体を綱車に固定する複数の固定具とを備え、追加綱車本体は、懸架体が挿入されるシーブ溝が設けられており、綱車の外周に沿って円環状に並べられる複数の分割片と、それぞれ隣り合う分割片を連結する複数の連結ピンとを有しており、各連結ピンは、追加綱車本体が綱車に巻き付けられときの綱車の軸方向に相当する方向に平行であり、各分割片は、隣の分割片に対して連結ピンを中心として回転可能に連結されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、隣り合う分割片間におけるシーブ溝のずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1によるエレベータ巻上機を示す側面図である。
図2図1の綱車及び追加綱車装置を示す正面図である。
図3図2のIII-III線に沿う断面図である。
図4図2の分割片を拡大して示す正面図である。
図5図4の分割片を示す側面図である。
図6図4の分割片を示す平面図である。
図7】実施の形態2による追加綱車装置が綱車に装着された状態を示す正面図である。
図8図7のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9図7の分割片を拡大して示す正面図である。
図10図9の分割片を示す側面図である。
図11図9の分割片を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1によるエレベータ巻上機を示す側面図である。機械室には、機械台11が設置されている。機械室は、図示しない昇降路の上に設けられている。機械台11上には、エレベータ巻上機12と、そらせ車13とが設置されている。
【0010】
エレベータ巻上機12は、巻上機モータ14と、図示しない巻上機ブレーキと、綱車15と、追加綱車装置16とを有している。
【0011】
巻上機モータ14は、綱車15を回転させる。巻上機ブレーキは、綱車15の静止状態を保持する。また、巻上機ブレーキは、綱車15の回転を制動する。追加綱車装置16は、綱車15に装着されており、綱車15と一体に回転する。
【0012】
追加綱車装置16は、既設のエレベータにおいて、綱車15が摩耗した際に、綱車15に装着され、新たな綱車として使用される。
【0013】
追加綱車装置16及びそらせ車13には、複数本の懸架体17が掛けられている。図1では、1本の懸架体17のみが示されている。各懸架体17としては、ロープ又はベルトが用いられている。
【0014】
複数本の懸架体17には、図示しないかごと、図示しない釣合おもりとが吊り下げられている。かごは、エレベータ巻上機12に対して一側において、複数本の懸架体17によって吊り下げられている。釣合おもりは、エレベータ巻上機12に対して他側において、複数本の懸架体17によって吊り下げられている。
【0015】
かご及び釣合おもりは、綱車15及び追加綱車装置16を回転させることによって、昇降路内を昇降する。
【0016】
なお、追加綱車装置16は、新設のエレベータの据付作業においてエレベータ巻上機12を揚重装置として利用する場合に、綱車15に装着され、仮設の綱車として使用することもできる。この場合、エレベータの据付後に、追加綱車装置16は、エレベータ巻上機12から撤去され、複数本の懸架体17は、綱車15に巻き掛けられる。
【0017】
図2は、図1の綱車15及び追加綱車装置16を示す正面図である。図3は、図2のIII-III線に沿う断面図である。
【0018】
追加綱車装置16は、円環状の追加綱車本体21と、複数の固定具22とを有している。追加綱車本体21は、綱車15の外周を全周に渡って覆っている。追加綱車本体21には、複数本の懸架体17が掛けられる。
【0019】
複数の固定具22は、追加綱車本体21を綱車15に固定している。各固定具22としては、リーマピンが用いられている。複数の固定具22は、綱車15の回転中心を中心とする同一の円周上に、互いに等間隔をおいて配置されている。
【0020】
また、各固定具22は、綱車15の軸方向に平行に、綱車15にねじ込まれている。綱車15の軸方向は、綱車15の回転中心線に平行な方向であり、図3の左右方向である。
また、全ての固定具22は、綱車15に対して同じ向きにねじ込まれている。
【0021】
追加綱車本体21は、複数の分割片23と、複数の連結ピン24とを有している。複数の分割片23は、綱車15の外周に沿って円環状に並べられている。各分割片23には、複数のシーブ溝23aが設けられている。各シーブ溝23aには、懸架体17が挿入される。
【0022】
複数の連結ピン24は、それぞれ隣り合う分割片23を連結している。各分割片23は、2本の連結ピン24によって、隣の分割片23に連結されている。各連結ピン24は、綱車15の軸方向に平行である。
【0023】
各分割片23は、1つの固定具22によって、綱車15に固定されている。また、各分割片23は、隣の分割片23に対して、2本の連結ピン24を中心として回転可能に連結されている。但し、追加綱車本体21が綱車15に装着されており、各分割片23が固定具22によって綱車15に固定されている状態では、各分割片23における隣の分割片23に対する回転は規制されている。
【0024】
追加綱車本体21は、綱車15に対して未装着の状態では、いずれか2つの隣り合う分割片23の連結が解除され、帯状に展開されている。この状態では、各連結ピン24は、追加綱車本体21が綱車15に巻き付けられたときの綱車15の軸方向に相当する方向に平行であると言える。
【0025】
追加綱車本体21を綱車15に装着する場合、追加綱車本体21は、綱車15の外周を覆うように、綱車15に巻き付けられる。そして、両端に位置する分割片23同士が2本の連結ピン24によって連結されるとともに、各分割片23が固定具22によって綱車15に固定される。
【0026】
図4は、図2の分割片23を拡大して示す正面図である。図5は、図4の分割片23を示す側面図である。図6は、図4の分割片23を示す平面図である。
【0027】
各分割片23は、分割片主部23b、一対の突出部23c、一対の連結部23d、及び固定部23eを有している。
【0028】
分割片主部23bは、綱車15の外周に重ねられている。複数のシーブ溝23aは、分割片主部23bにおける綱車15とは反対側の面に設けられている。また、分割片主部23bの正面形状は、綱車15の外周に沿う円弧状である。
【0029】
一対の突出部23cは、分割片主部23bから、追加綱車本体21の径方向外側へ突出している。即ち、一対の突出部23cは、分割片主部23bから、綱車15とは反対側へ突出している。追加綱車本体21の径方向は、追加綱車本体21が綱車15に装着された状態において、綱車15の回転中心線に直交する方向である。各突出部23cには、第1ピン孔23fが設けられている。
【0030】
一対の連結部23dは、分割片主部23bから、追加綱車本体21の周方向へ突出している。追加綱車本体21の周方向は、追加綱車本体21が綱車15に装着された状態において、綱車15の回転中心を中心とする円周に沿う方向である。
【0031】
各連結部23dは、隣の分割片23における突出部23cの外面に重ねられる。各連結部23dには、第2ピン孔23gが設けられている。
【0032】
各分割片23は、一対の連結部23dにおいて、2本の連結ピン24によって隣の分割片23に連結されている。各連結ピン24は、第1ピン孔23fと第2ピン孔23gとに挿入されている。
【0033】
固定部23eは、分割片主部23bから、追加綱車本体21の径方向内側へ突出している。また、固定部23eは、固定具22によって綱車15に固定されている。固定部23eには、固定具孔23hが設けられている。固定具22は、固定具孔23hに通されて、綱車15に固定されている。
【0034】
このようなエレベータ巻上機12では、追加綱車装置16が、追加綱車本体21と、複数の固定具22とを有している。追加綱車本体21は、複数の分割片23と、複数の連結ピン24とを有している。複数の分割片23は、綱車15の外周に沿って円環状に並べられている。複数の連結ピン24は、それぞれ隣り合う分割片23を連結している。各分割片23には、シーブ溝23aが設けられている。各連結ピン24は、綱車15の軸方向に平行である。各分割片23は、隣の分割片23に対して2本の連結ピン24を中心として回転可能に連結されている。
【0035】
このため、工場内において、円環状の追加綱車本体21を製作した後、追加綱車本体21を帯状に展開して現場に搬送することができる。そして、現場において、追加綱車本体21を綱車15の外周に巻き付けて円環状に戻すことができる。これにより、隣り合う分割片23間におけるシーブ溝23aのずれを抑制することができる。
【0036】
また、各分割片23は、一対の連結部23dにおいて、2本の連結ピン24によって隣の分割片23に連結されている。また、各分割片23における一対の連結部23dは、隣の分割片23における一対の突出部23cに重ねられている。このため、各分割片23を隣の分割片23に対して回転可能に連結しつつ、隣り合う分割片23間におけるシーブ溝23aのずれをより確実に抑制することができる。
【0037】
また、各分割片23において、固定部23eは、分割片主部23bから、追加綱車本体21の径方向内側へ突出しており、固定具22によって綱車15に固定されている。このため、綱車15に対して追加綱車本体21をより強固に固定することができる。これにより、追加綱車装置16の回転時にも、隣り合う分割片23間におけるシーブ溝23aのずれをより確実に抑制することができる。
【0038】
また、実施の形態1の追加綱車装置16は、帯状の追加綱車本体21と、複数の固定具22とを有している。追加綱車本体21は、複数の分割片23と、複数の連結ピン24とを有している。複数の分割片23は、綱車15の外周に沿って円環状に並べられる。複数の連結ピン24は、それぞれ隣り合う分割片23を連結している。各分割片23には、シーブ溝23aが設けられている。各連結ピン24は、追加綱車本体21が綱車15に巻き付けられときの綱車15の軸方向に相当する方向に平行である。各分割片23は、隣の分割片23に対して一対の連結ピン24を中心として回転可能に連結されている。
【0039】
このため、工場内において、円環状の追加綱車本体21を製作した後、追加綱車本体21を帯状に展開して現場に搬送することができる。そして、現場において、追加綱車本体21を綱車15の外周に巻き付けて円環状にすることができる。これにより、隣り合う分割片23間におけるシーブ溝23aのずれを抑制することができる。
【0040】
実施の形態2.
次に、図7は、実施の形態2による追加綱車装置16が綱車15に装着された状態を示す正面図である。図8は、図7のVIII-VIII線に沿う断面図である。図9は、図7の分割片23を拡大して示す正面図である。図10は、図9の分割片23を示す側面図である。図11は、図9の分割片23を示す平面図である。
【0041】
各分割片23における固定部23eには、一対の貫通孔23iが設けられている。各分割片23において、一対の貫通孔23iは、綱車15の回転中心を中心とする同一の円周上に互いに間隔をおいて設けられている。
【0042】
各貫通孔23iには、固定ボルト25が通されている。各固定ボルト25は、綱車15の軸方向に平行に、綱車15にねじ込まれている。各固定ボルト25の向きは、各固定具22の向きと同じである。
【0043】
追加綱車装置16は、複数の調整ボルト26をさらに有している。調整ボルト26の本数は、分割片23の数と同じである。
【0044】
各分割片23における分割片主部23bには、追加綱車本体21の径方向に沿って、ねじ孔23jが設けられている。各調整ボルト26は、対応するねじ孔23jにねじ込まれている。各調整ボルト26の先端は、綱車15の外周に当たっている。
【0045】
実施の形態2における他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0046】
このようなエレベータ巻上機12及び追加綱車装置16では、各分割片23に調整ボルト26が装着されている。このため、追加綱車本体21の径方向における各分割片23の位置を微調整することができる。これにより、追加綱車本体21を、より精確に綱車15の回転中心に対して同軸に配置することができる。
【0047】
また、各分割片23における複数のシーブ溝23aの偏心状態の調整を行うことができる。
【0048】
また、各分割片23は、固定具22と一対の固定ボルト25とによって綱車15に固定されている。このため、追加綱車装置16の回転時にも、隣り合う分割片23間におけるシーブ溝23aのずれをより確実に抑制することができる。また、各固定具22にかかる荷重を低減することができる。
【0049】
なお、実施の形態2において、各分割片23には、一対の固定ボルト25及び調整ボルト26のいずれか一方のみが設けられてもよい。
【0050】
また、実施の形態1、2において、追加綱車本体21に含まれる分割片23の数は、適宜変更可能である。但し、追加綱車本体21をより直線に近い状態に展開するためには、追加綱車本体21に4つ以上の分割片23が含まれることが好ましい。
【0051】
また、追加綱車装置16が装着されるエレベータ巻上機12は、追加綱車装置16を取り付けるスペースを確保できれば、減速機付きの巻上機であっても、ギヤレスタイプの巻上機であってもよい。
【0052】
また、エレベータ巻上機12が設置されるエレベータ全体のレイアウトは、特に限定されない。例えば、ローピング方式は、1:1ローピング方式であっても、2:1ローピング方式であってもよい。
【0053】
また、エレベータは、機械室レスエレベータ、ダブルデッキエレベータ、ワンシャフトマルチカー方式のエレベータ等であってもよい。ワンシャフトマルチカー方式は、上かごと、上かごの真下に配置された下かごとが、それぞれ独立して共通の昇降路を昇降する方式である。
【符号の説明】
【0054】
12 エレベータ巻上機、14 巻上機モータ、15 綱車、16 追加綱車装置、17 懸架体、21 追加綱車本体、22 固定具、23 分割片、23a シーブ溝、23b 分割片主部、23c 突出部、23d 連結部、23e 固定部、23j ねじ孔、24 連結ピン、26 調整ボルト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
綱車、
前記綱車を回転させる巻上機モータ、及び
前記綱車に装着されており、前記綱車と一体に回転する追加綱車装置
を備え、
前記追加綱車装置は、
前記綱車の外周を覆い、懸架体が掛けられる円環状の追加綱車本体と、
前記追加綱車本体を前記綱車に固定する複数の固定具と
を有しており、
前記追加綱車本体は、
前記綱車の外周に沿って円環状に並べられている複数の分割片と、
それぞれ隣り合う前記分割片を連結している複数の連結ピンと
を有しており、
各前記分割片には、前記懸架体が挿入されるシーブ溝が設けられており、
各前記連結ピンは、前記綱車の軸方向に平行であり、
各前記分割片は、隣の前記分割片に対して前記連結ピンを中心として回転可能に連結されており、
各前記分割片は、
前記綱車の外周に重ねられており、かつ前記シーブ溝が設けられている分割片主部と、
前記分割片主部から、前記追加綱車本体の径方向外側へ突出している突出部と、
前記分割片主部から、前記追加綱車本体の周方向へ突出しており、隣の前記分割片における前記突出部に重ねられる連結部と、
前記分割片主部から、前記追加綱車本体の径方向内側へ突出しており、前記固定具によって前記綱車に固定されている固定部と
を有しており、
各前記分割片は、前記連結部において、前記連結ピンによって隣の前記分割片に連結されているエレベータ巻上機。
【請求項2】
綱車、
前記綱車を回転させる巻上機モータ、及び
前記綱車に装着されており、前記綱車と一体に回転する追加綱車装置
を備え、
前記追加綱車装置は、
前記綱車の外周を覆い、懸架体が掛けられる円環状の追加綱車本体と、
前記追加綱車本体を前記綱車に固定する複数の固定具と
を有しており、
前記追加綱車本体は、
前記綱車の外周に沿って円環状に並べられている複数の分割片と、
それぞれ隣り合う前記分割片を連結している複数の連結ピンと
を有しており、
各前記分割片には、前記懸架体が挿入されるシーブ溝が設けられており、
各前記連結ピンは、前記綱車の軸方向に平行であり、
各前記分割片は、隣の前記分割片に対して前記連結ピンを中心として回転可能に連結されており、
前記追加綱車本体には、前記追加綱車本体の径方向に沿うねじ孔が設けられており、
前記追加綱車装置は、前記ねじ孔にねじ込まれている調整ボルトをさらに有しており、
前記調整ボルトの先端は、前記綱車の外周に当たっているエレベータ巻上機。
【請求項3】
エレベータ巻上機の綱車の外周を覆うように前記綱車に巻き付けられ、懸架体が掛けられる帯状の追加綱車本体と、
前記追加綱車本体を前記綱車に固定する複数の固定具と
を備え、
前記追加綱車本体は、
前記懸架体が挿入されるシーブ溝が設けられており、前記綱車の外周に沿って円環状に並べられる複数の分割片と、
それぞれ隣り合う前記分割片を連結する複数の連結ピンと
を有しており、
各前記連結ピンは、前記追加綱車本体が前記綱車に巻き付けられときの前記綱車の軸方向に相当する方向に平行であり、
各前記分割片は、隣の前記分割片に対して前記連結ピンを中心として回転可能に連結されており、
各前記分割片は、
前記シーブ溝が設けられており、かつ前記綱車の外周に重ねられる分割片主部と、
前記分割片主部から、前記追加綱車本体が前記綱車に装着された状態における前記追加綱車本体の径方向外側へ突出している突出部と、
前記分割片主部から、前記追加綱車本体が前記綱車に装着された状態における前記追加綱車本体の周方向へ突出しており、隣の前記分割片における前記突出部に重ねられる連結部と、
前記分割片主部から、前記追加綱車本体が前記綱車に装着された状態における前記追加綱車本体の径方向内側へ突出しており、前記固定具によって前記綱車に固定される固定部と
を有しており、
各前記分割片は、前記連結部において、前記連結ピンによって隣の前記分割片に連結されている追加綱車装置。
【請求項4】
エレベータ巻上機の綱車の外周を覆うように前記綱車に巻き付けられ、懸架体が掛けられる帯状の追加綱車本体と、
前記追加綱車本体を前記綱車に固定する複数の固定具と
を備え、
前記追加綱車本体は、
前記懸架体が挿入されるシーブ溝が設けられており、前記綱車の外周に沿って円環状に並べられる複数の分割片と、
それぞれ隣り合う前記分割片を連結する複数の連結ピンと
を有しており、
各前記連結ピンは、前記追加綱車本体が前記綱車に巻き付けられときの前記綱車の軸方向に相当する方向に平行であり、
各前記分割片は、隣の前記分割片に対して前記連結ピンを中心として回転可能に連結されており、
前記追加綱車本体には、前記追加綱車本体が前記綱車に装着された状態における前記追加綱車本体の径方向に沿うねじ孔が設けられており、
前記ねじ孔にねじ込まれている調整ボルトをさらに有しており、
前記調整ボルトの先端は、前記綱車の外周に当てられる追加綱車装置。