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▶ 株式会社オメガの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179920
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】二酸化炭素の低減方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20231213BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20231213BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20231213BHJP
   C02F 1/28 20230101ALI20231213BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
C01B32/50
B01D53/78
C02F1/28 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092862
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
4D002
4D624
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC04
4D002BA02
4D002BA05
4D002BA08
4D002BA09
4D002DA35
4D002DA51
4D624AA04
4D624AB14
4D624BA02
4D624CA01
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC25
4G146JC29
(57)【要約】
【課題】地球温暖化傾向を抑制することができる二酸化炭素の低減方法を提供しようとするもの。
【解決手段】二酸化炭素を水中に溶解させて電気分解するようにした。二酸化炭素を水中に溶解(溶解度:水100ccに0.145g/25℃)させて電気分解するようにしたので、大気中の二酸化炭素を水中に移行させて電気分解により低減することができる。前記水をオゾンの共存下で電気分解するようにしてもよい。前記水をアルカリ性にするようにしてもよい。前記二酸化炭素を水中で活性炭に吸着させるようにしてもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を水中に溶解させて電気分解するようにしたことを特徴とする二酸化炭素の低減方法。
【請求項2】
前記水をオゾンの共存下で電気分解するようにした請求項1記載の二酸化炭素の低減方法。
【請求項3】
前記水をアルカリ性にするようにした請求項1又は2記載の二酸化炭素の低減方法。
【請求項4】
前記二酸化炭素を水中で活性炭に吸着させるようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の二酸化炭素の低減方法。
【請求項5】
前記電気分解に紫外線照射を併用するようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の二酸化炭素の低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地球環境負荷の軽減に寄与することができる二酸化炭素の低減方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、二酸化炭素回収装置に関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、二酸化炭素(CO)の濃度が、大気温の上昇や、台風、洪水などの自然災害の機会が上昇する地球温暖化との強い相関性を示すことが広く知られている。発電所、石油精製所、セメント工場及び鉄鋼生産プロセスなどの産業では、各プラントから多量のCOを放出しており、このようなCOの放出量を如何にして低減させるかは、大きな問題となっている。
上記の問題を解決する方法として、放出するCOを捕捉し、貯蔵することが、以前より研究、検討されている。上記の方法は、実質的にCO排出量を減少させることができる点で優れており、基本プロセスに大きな変更を行わない種々の方法が検討されている、というものである。
これに対し、地球温暖化傾向を抑制することができる二酸化炭素の低減方法の要望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-67482
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、地球温暖化傾向を抑制することができる二酸化炭素の低減方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の二酸化炭素の低減方法は、二酸化炭素を水中に溶解させて電気分解するようにしたことを特徴とする。
電気分解は、食塩(NaCl)の存在下で行って次亜塩素酸(HOCl)を生成させたり、酸素ラジカルやOHラジカルを生成させたり、直接電極との電子のやり取りをすることを例示でき、瞬発力を発揮することができる。
この二酸化炭素の低減方法では、二酸化炭素を水中に溶解(溶解度:水100ccに0.145g/25℃)させて電気分解するようにしたので、二酸化炭素を水中に移行させて電気分解により低減することができる。
そして、C=Oの二重結合の結合エネルギーである190kcal/molに対し、電気分解する際に5倍等のエネルギーを投入して、二酸化炭素の分子結合を分離することができる。
例えば、廃棄物、廃プラスチックその他の焼却処分場の燃焼ガスについてこの二酸化炭素の低減方法を適用することができる。
【0006】
(2)前記水をオゾンの共存下で電気分解するようにしてもよい。
このように、水をオゾン(O3)の(圧入)共存(混在)下で電気分解するようにすると、酸素ラジカル(・O×3)が生成して二酸化炭素の低減率を向上させことができる。
具体的には、オゾン(O3)の酸化電位2.07V に対し、電気分解後は酸素ラジカル(酸化電位2.42V)が3つになるので2.42V×3=7.26Vに増大することとなり、この増大したエネルギーを二酸化炭素の低減に用いることができる。
【0007】
(3)前記水をアルカリ性にするようにしてもよい。
このように、前記水をアルカリ性に(pH調整)するようにすると、水に対する二酸化炭素の溶解度を向上させて効率的に処理することができる。
【0008】
(4)前記二酸化炭素を水中で活性炭に吸着させるようにしてもよい。
このように、二酸化炭素を水中で活性炭に吸着させるようにすると、二酸化炭素の低減度をより向上させることができる。
【0009】
(5)前記電気分解に紫外線照射を併用するようにしてもよい。
このように、電気分解に紫外線照射を併用するようにすると、相互の相乗効果により低減効率を向上させることができる。
ここで、253.7nm のUV照射によりO3→O2+・Oに分解し(解離エネルギー 113kca/mol)、184.9nm のUV照射によりO2→・O+・Oに分解(解離エネルギー 155kca/mol)するものであるが、この紫外線解離エネルギーと電気分解エネルギーとを組み合わせることにより二酸化炭素の結合エネルギーを解離することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
大気中の二酸化炭素を水中に移行させて電気分解により低減することができるので、地球温暖化傾向を抑制することができる二酸化炭素の低減方法を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を説明する。
(実施形態1)
この実施形態の二酸化炭素の低減方法は、二酸化炭素を水中に溶解させて電気分解(電流密度 10A/dm2)するようにした。
【0012】
また、前記水をアルカリ性にpH調整(pH8)しており、水に対する二酸化炭素の溶解度を向上させて効率的に処理することができた。
さらに、二酸化炭素を水中で活性炭に吸着させるようにしており、二酸化炭素の低減度をより向上させることができた。
【0013】
次に、この実施形態の二酸化炭素の低減方法の使用状態を説明する。
この二酸化炭素の低減方法では、二酸化炭素を水中に溶解させて電気分解するようにしたので、大気中の二酸化炭素を水中に移行させて電気分解により低減することができた。
【0014】
そして、C=Oの二重結合の結合エネルギーである190kcal/molに対し、電気分解する際に5倍のエネルギーを投入して、二酸化炭素の分子結合を分離することができた。
【0015】
(実施形態2)
次に、実施形態2を上記実施形態との相違点を中心に説明する。
この実施形態では、前記水をオゾン(O3)の圧入共存混在下で電気分解するようにした。したがって、酸素ラジカル(・O×3)が生成して二酸化炭素の低減率を向上させことができた。
【0016】
具体的には、オゾン(O3)の酸化電位2.07V に対し、電気分解後は酸素ラジカル(酸化電位2.42V)が3つになるので2.42V×3=7.26Vに増大することとなり、この増大したエネルギーを二酸化炭素の低減に用いることができた。
【産業上の利用可能性】
【0017】
地球温暖化傾向を抑制することができることによって、種々の二酸化炭素の低減方法の用途に適用することができる。