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特開2023-179926グリース、軸受、グリースの製造方法、及び軸受の製造方法
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  • 特開-グリース、軸受、グリースの製造方法、及び軸受の製造方法 図1
  • 特開-グリース、軸受、グリースの製造方法、及び軸受の製造方法 図2
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  • 特開-グリース、軸受、グリースの製造方法、及び軸受の製造方法 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179926
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】グリース、軸受、グリースの製造方法、及び軸受の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10M 169/06 20060101AFI20231213BHJP
   F16C 33/66 20060101ALI20231213BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20231213BHJP
   C10N 40/02 20060101ALN20231213BHJP
   C10N 50/10 20060101ALN20231213BHJP
【FI】
C10M169/06
F16C33/66 Z
C10N30:06
C10N40:02
C10N50:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092869
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】萩原 信行
【テーマコード(参考)】
3J701
4H104
【Fターム(参考)】
3J701AA02
3J701CA31
3J701CA40
3J701EA01
3J701EA63
3J701FA31
3J701GA31
3J701GA55
4H104LA03
4H104PA01
4H104QA18
(57)【要約】
【課題】バイオ技術を活用し、性能を更に高める。
【解決手段】グリース5は、微生物50を含んでいる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物を含む、グリース。
【請求項2】
前記微生物は、潤滑対象物のクラックの新生面に生じた生成物を取り込む特性を有する、請求項1に記載のグリース。
【請求項3】
前記微生物は、金属粉を分解する特性を有する、請求項1に記載のグリース。
【請求項4】
前記微生物は、前記グリースに含まれる物質を取り込み、泡の元となる泡生成物を生成する特性を有する、請求項1に記載のグリース。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のグリースを含む軸受。
【請求項6】
軸受において使用された請求項1~3のいずれか一項に記載のグリースを回収する工程と、
回収した前記グリース中に含まれる前記微生物の変異状態に基づいて、前記微生物を選択する工程と、
選択された前記微生物を培養する工程と、
培養した前記微生物を新たなグリースに混入させる工程と、を含むグリースの製造方法。
【請求項7】
内輪と外輪との間に形成された、転動体を収容する空間内に、請求項6に記載の製造方法において製造されたグリースを充填する工程を含む、軸受の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリース、軸受、グリースの製造方法、及び軸受の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、バイオ技術を適用した軸受が記載されている。この軸受は、自然環境への影響を抑制するため、バイオ技術を用いることによって得られた、生分解性に優れた部品を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5605152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された軸受のように潤滑を行う場合において、部品の生分解性の観点以外にも、バイオ技術を活用することが考えられる。そこで、本発明は、バイオ技術を活用し、性能を更に高めることが可能なグリース、軸受、グリースの製造方法、及び軸受の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のグリースは、[1]「微生物を含む、グリース」である。ここで、グリースに微生物を含ませることにより、微生物の存在に起因する特性をグリースに対して付与することができる。つまり、微生物が含まれていない場合には得ることができない性能を、グリースに付与することができる。このように、このグリースでは、バイオ技術を活用し、性能を更に高めることができる。
【0006】
本発明のグリースは、[2]「前記微生物は、潤滑対象物のクラックの新生面に生じた生成物を取り込む特性を有する、上記[1]に記載のグリース」であってもよい。この場合、潤滑対象物のクラック部分に微生物が集まる。そして、生成物を取り込んだ微生物によってクラックが埋められる。このように、このグリースは、潤滑対象物のクラックを埋めることができ、クラックの進展を抑制できる。
【0007】
本発明のグリースは、[3]「前記微生物は、金属粉を分解する特性を有する、上記[1]又は[2]に記載のグリース」であってもよい。この場合、グリースは、例えば潤滑対象物の使用によってグリース内に金属粉が発生しても、微生物によって金属粉を分解できる。これにより、このグリースは、金属粉の混入による潤滑対象物のクラックの発生を抑制し、潤滑対象物を適切に潤滑できる。
【0008】
本発明のグリースは、[4]「前記微生物は、前記グリースに含まれる物質を取り込み、泡の元となる泡生成物を生成する特性を有する、上記[1]~[3]のいずれかに記載のグリース」であってもよい。この場合、グリースは、軸受等の潤滑対象物が使用等されることによって、グリースから泡を発生させることができる。これにより、このグリースは、発生させた泡によって潤滑対象物の振動を抑制し、音の発生を抑制できる。また、このグリースは、潤滑対象物の隙間を泡によって埋めることができ、隙間に異物が入り込むことを抑制できる。
【0009】
本発明の軸受は、[5]「上記[1]~[4]のいずれかに記載のグリースを含む軸受」である。この場合、軸受は、上述したグリースを含むことによって、バイオ技術を活用して、性能を更に高めることができる。
【0010】
本発明のグリースの製造方法は、[6]「軸受に使用された上記[1]~[3]のいずれかに記載のグリースを回収する工程と、回収した前記グリース中に含まれる前記微生物の変異状態に基づいて、前記微生物を選択する工程と、選択された前記微生物を培養する工程と、培養した前記微生物を新たなグリースに混入させる工程と、を含むグリースの製造方法」である。ここで、グリースに含まれる微生物は、軸受において実際に使用されることによって、その軸受の使用環境に適するように変異することがある。このため、本方法では、このような変異した微生物を培養して新たなグリースに混入することで、その軸受の使用環境に適したグリースを提供することができる。このように、本方法では、バイオ技術を活用し、性能を更に高めることができる。
【0011】
本発明の軸受の製造方法は、[7]「内輪と外輪との間に形成された、転動体を収容する空間内に、上記[6]に記載の製造方法において製造されたグリースを充填する工程を含む、軸受の製造方法。」である。ここで、グリースに含まれる微生物は、軸受において実際に使用されることによって、その軸受の使用環境に適するように変異することがある。このため、本方法では、このような変異した微生物を含むグリースを充填して軸受を製造することで、その軸受の使用環境に適したグリースを含む軸受を製造することができる。このように、本方法では、バイオ技術を活用し、性能を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バイオ技術を活用し、性能を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、各実施形態に係グリースが適用される軸受の正面図である。
図2図2は、第1実施形態に係るグリースが充填された軸受の外輪の軌道面周りの断面図である。
図3図3は、図2のクラックの新生面に生成物が生成された様子を示す軌道面周りの断面図である。
図4図4は、図3の生成物に微生物が集まる様子を示す軌道面周りの断面図である。
図5図5は、変形例に係るグリースが充填された軸受の外輪の軌道面周りの断面図である。
図6図6は、第1実施形態に係るグリース及び軸受の製造工程を示すフローチャートである。
図7図7は、第2実施形態に係るグリースが充填された軸受の外輪の軌道面周りの断面図である。
図8図8は、図7の軸受内に泡が生じた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1に示されるように、実施形態に係るグリースは、軸受1の潤滑を行う。軸受1は、内輪2と、内輪の外側に配置された外輪3と、内輪2と外輪3との間に配置された複数の玉(転動体)4とを備えている。なお、軸受1は、転動体として玉4を備えることに限定されず、玉以外の転動体(例えば、ころ)を備える構成であってもよい。軸受1は、さらに、玉4の周り(内輪2と外輪3との間の空間)に充填されたグリースを含んでいる。実施形態に係るグリースは、微生物を含んでいる。微生物としては、微生物の存在に起因する特性をグリースに対して付与することができるものを用いることができる。以下、微生物を含むグリースの詳細について説明する。
【0016】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係るグリースについて説明する。第1実施形態に係るグリースは、軸受1に生じるクラックの進展を抑制し、軸受1(潤滑対象物)の長寿命化を図るものである。ここでは、図2に示されるように、グリース5によって、軸受1の外輪3の軌道面3aに生じたクラックKの進展を防止する場合を例に説明する。図2に示されるようにグリース5には、潤滑成分の他に、微生物50が含まれている。この微生物50は、軌道面3aに生じたクラックKの進展を抑制するためのものである。なお、外輪3は、鉄等の金属によって形成されている。
【0017】
より詳細には、軌道面3aの表面には、製造時等に空気中の酸素に触れることによって酸化膜3cが形成されている。軸受1が組み立てられてグリース5が充填された後、軌道面3aの表面(酸化膜3cの部分)は、グリース5によって覆われる。グリース5が充填された状態で軸受1が使用され、軌道面3aにクラックKが生じると、酸化膜3cに覆われていない新生面3b(酸化していない金属表面)が生じる。新生面3bは、表面のエネルギー量が高い。
【0018】
このため、図3に示されるように、新生面3bがグリース5に含まれる成分51と反応し、新生面3bに生成物52が生成される。生成物52は、金属成分(鉄成分)を含むものとする。また、後述するように、生成物52は、微生物50によって取り込まれ得る物質とする。新生面3bに反応する成分51としては、生成物52を生成可能な種々の成分を用いることができる。
【0019】
新生面3bに生成物52が生成されると、図4に示されるように、グリース5に含まれる微生物50が生成物52を取得しようとして新生面3b(生成物52)に集まる。このように、微生物50としては、外輪3のクラックKの新生面3bに生じた生成物52を取り込む特性を有するものを用いる。なお、微生物50は、生成物52が生成される前の状態では休眠状態となっており、生成物52が生成された状態では休眠状態から覚めて生成物52を取り込むために生成物52に向って移動する性質であるとよい。
【0020】
新生面3bに集まった微生物50は、クラックK内において生成物52を取り込んで固まる。上述したように、生成物52は、金属成分を含んでいる。このため、生成物52を取り込んで固まった微生物50は硬度が高い。つまり、クラックK(新生面3b)は、金属のように固まった微生物50(金属化(鉄化)した微生物)によって埋められる。このように、微生物50としては、生成物52を取り込んで固まる特性を有するものを用いる。
【0021】
以上のように、このグリース5は、微生物50を含んでいる。ここで、グリース5に微生物50を含ませることにより、微生物50の存在に起因する特性をグリース5に対して付与することができる。つまり、微生物50が含まれていない場合には得ることができない性能を、グリース5に付与することができる。このように、このグリース5では、バイオ技術を活用し、性能を更に高めることができる。
【0022】
また、微生物50は、軸受1(図2等の例では外輪3)のクラックKの新生面3bに生じた生成物52を取り込む特性を有している。この場合、クラックKの新生面3bに生じた生成物52を取り込むため、クラックK部分に微生物50が集まる。そして、クラックKは、生成物52を取り込んだ微生物50によって埋められる。このように、このグリース5は、潤滑対象物のクラックKを固まった微生物50によって埋めることができ、クラックKの進展を抑制できる。
【0023】
なお、グリース5は、図5に示されるように、微生物50に加えて、微生物50とは特性の異なる微生物53を更に含んでいてもよい。微生物53は、クラックKの発生を抑制することによって、軸受1の長寿命化を図るものである。ここで、軸受1の使用とともにグリース5内に金属粉(例えば、鉄の粉体、アルミナの粉体等)が発生する。このような金属粉は、クラックKの原因となる。このため、微生物53としては、グリース5に含まれる金属粉を分解する特性を有するものを用いる。例えば、微生物53は、金属粉を取得して溶かす特性を有していてもよい。
【0024】
これにより、グリース5は、例えば軸受1の使用によってグリース5内に金属粉が発生しても、微生物53によって金属粉を分解できる。従って、このグリース5は、金属粉の混入による軸受1のクラックKの発生を抑制し、軸受1を適切に潤滑できる。なお、グリース5は、微生物50及び53の両方ではなく、微生物50に代えて微生物53を含んでいてもよい。
【0025】
(グリース及び軸受の製造方法)
次に、軸受1の使用により適したグリース5を製造する方法及びこのグリース5を含む軸受1を製造する方法と共に、ユーザーの使用環境に適した軸受1を提供するまでの各工程について説明する。ここでは、グリース5として、微生物50を含むグリース5を製造する場合を例に説明する。微生物53を含むグリース5、並びに、微生物50及び微生物53の両方を含むグリース5を製造する場合も、同様の方法で製造することができる。
【0026】
例えば、軸受1の使用環境(温度、金属粉の発生量等)は、様々である。グリース5に含まれる微生物50は、軸受1において実際に使用されることによって、その軸受1の使用環境に適するように変異することがある。本方法では、このような変異した微生物を培養して新たなグリースに混入することで、その軸受1の使用環境に適したグリース5を提供することができる。
【0027】
より詳細には、グリース5を製造する軸受メーカーは、図6に示されるように、実際にユーザーによって使用された軸受1をユーザーから回収する(S101:ユーザーから軸受を回収する工程)。軸受メーカーは、回収した軸受1から、実際にユーザーに使用されたグリース5を回収する(S102:グリースを回収する工程)。次に、軸受メーカーは、回収したグリース5中に含まれる微生物50の変異状態に基づいて、微生物50を選択する(S103:微生物を選択する工程)。
【0028】
ここで、例えば、微生物50は、グリース5内で分裂した際に、ユーザーによる軸受1の使用環境に適応して変異することがある。これにより、ユーザーが求める効果をより発揮することができる微生物50が生成されることがある。ここでは、軸受メーカーは、ユーザーによる軸受1の使用環境に適応し、ユーザーが求める効果をより発揮することができる微生物50を選択する。つまり、選択される微生物50は、ユーザーによる軸受1の実際の使用環境下において、ユーザーが求める効果をより発揮することができるように変異した微生物である。例えば、軸受メーカーは、変異した微生物50の遺伝子等を調べることで、選択対象とする微生物50を特定することができる。
【0029】
次に、軸受メーカーは、選択された微生物50(ここでは、求める効果をより発揮することができるように変異した微生物)を培養する(S104:微生物を培養する工程)。そして、軸受メーカーは、培養した微生物50を新たなグリースに混入することにより、微生物50を含む新たなグリース5を製造する(S105:微生物をグリースに混入させる工程)。
【0030】
このように、このグリース5の製造方法では、軸受メーカーが使用後のグリース5をユーザーから回収して、ユーザーによる軸受1の使用環境により適した微生物50を培養し、新たなグリース5を製造する。そして、製造した新たなグリース5を軸受1の内輪2と外輪3との間の空間(複数の玉4を収容する空間)に充填し、新たなグリース5を含む軸受1を製造する(S106:軸受を製造する工程)。そして、軸受メーカーは、製造した軸受1を、グリース5の製造のために軸受1を回収したユーザーに提供する(S107)。これにより、ユーザーは、実際の使用環境に適した軸受1を得ることができる。このように、このグリース5及び軸受1の製造方法では、バイオ技術を活用して、グリース5及びこのグリース5を含む軸受1の性能を更に高めることができる。
【0031】
なお、上記ではグリース5の製造方法の各工程を軸受メーカーが行う場合を例に説明したが、各工程の全部又は一部は、具体的には軸受メーカーの作業者、もしくは製造装置等によって行われる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るグリースについて説明する。第2実施形態に係るグリースは、軸受1に生じる振動を抑制し、音の発生を抑制するものである。ここでは、図7に示されるように、軸受1に充填されたグリース5Aによって、振動等を抑制する場合例に説明する。図7に示されるようにグリース5Aには、潤滑成分の他に、微生物54が含まれている。
【0033】
この微生物54としては、グリース5Aに含まれる物質55を取り込み、泡の元となる泡生成物56を生成する特性を有するものを用いる。泡生成物56は、軸受1の使用時(玉4の転動時)にグリース5Aがかき混ぜられることによって、空気を含んだ泡となる。微生物54は、物質55を取り込み、例えば泡になり易い長鎖の有機物(界面活性材等)を排出する(作り出す)。グリース5Aには、微生物54に取り込まれることによって泡生成物56を生成することができる物質55が、予め混入されている。
【0034】
軸受1の使用時には、微生物54が泡生成物56を生成し、グリース5Aがかき混ぜられる。これにより、図8に示されるように、泡生成物56が空気を含んだ泡57となる。この泡57は、玉4を包むように内輪2と外輪3との間を埋める。
【0035】
なお、微生物54は、軸受1が使用されていない状態では休眠状態となっており、軸受1が使用されることによって休眠状態から覚めて物質55から泡生成物56を生成する性質であるとよい。この場合、物質55の消費を抑えることができ、長期にわたって泡57を発生させ得る状態を作り出すことができる。
【0036】
このように、このグリース5Aは、発生させた泡57によって軸受1の振動を抑制し、音の発生を抑制できる。また、このグリース5Aは、軸受1の隙間(内輪2と外輪3との間)を泡57によって埋めることができ、この隙間に異物が入り込むことを抑制できる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、グリース5及び5Aが軸受1に適用される場合を例に説明したが、グリース5及び5Aは軸受1以外の潤滑対象物を潤滑する構成であってもよい。例えば、グリース5及び5Aは、転動体とグリースとを備える、リニアガイド、及びボールねじ等に適用されてもよい。また、グリース5及び5Aは、転動体を備えておらずグリースのみを備える、滑り軸受、及びギア等に適用されてもよい。
【0038】
上述した第2実施形態に係るグリース5Aの微生物54は、第1実施形態に係るグリース5に含まれていてもよい。また、第2実施形態では、グリース5Aに含まれる微生物54が泡生成物56を生成する場合を例に説明した。これに限定されず、もともとグリース内に泡生成物56が含まれており、玉4の転動によってグリースが泡57を発生させる構成であってもよい。つまり、泡生成物56は、グリースに含まれる微生物によって生成されることに限定されない。
【0039】
また、以上に記載された各実施形態及び変形例の少なくとも一部が任意に組み合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…軸受(潤滑対象物)、2…内輪、3…外輪、3b…新生面、4…玉(転動体)、5,5A…グリース、50,53,54…微生物、52…生成物,55…物質,56…泡生成物,K…クラック。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8