(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179932
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】車両用懸架装置
(51)【国際特許分類】
B60G 11/107 20060101AFI20231213BHJP
B60G 11/04 20060101ALI20231213BHJP
F16F 1/18 20060101ALI20231213BHJP
F16F 1/26 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B60G11/107
B60G11/04
F16F1/18 G
F16F1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092887
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑介
(72)【発明者】
【氏名】飯野 信次
(72)【発明者】
【氏名】佐野 孝充
【テーマコード(参考)】
3D301
3J059
【Fターム(参考)】
3D301AA72
3D301AA76
3D301CA22
3D301DA04
3D301DA46
3D301DA47
3D301DB60
3J059BA11
3J059BB01
3J059BC02
3J059BC04
3J059BD03
3J059CA06
3J059CB12
3J059CB19
3J059DA03
3J059DA22
3J059GA02
(57)【要約】
【課題】板ばねと保持部材との間の摩擦による耐久性の低下、および、異音の発生を抑制することができる車両用懸架装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る車両用懸架装置は、板ばねと、板ばねの一端が係止される係止部材と、板ばねの他端を保持する保持部材と、を備える懸架装置であって、保持部材は、板ばねの他端を保持するとともに、当該板ばねの他端の変位に追従して回転自在なローラと、ローラと対向する押さえ部材と、を有し、ローラと押さえ部材との間に板ばねの他端が設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板ばねと、
前記板ばねの一端が係止される係止部材と、
前記板ばねの他端を保持する保持部材と、
を備える懸架装置であって、
前記保持部材は、
前記板ばねの他端を保持するとともに、当該板ばねの他端の変位に追従して回転自在なローラと、
前記ローラと対向する押さえ部材と、
を有し、
前記ローラと前記押さえ部材との間に前記板ばねの他端が設けられる、
ことを特徴とする車両用懸架装置。
【請求項2】
前記板ばねの他端は前記ローラおよび前記押さえ部材により挟まれて保持される、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用懸架装置。
【請求項3】
前記ローラおよび前記押さえ部材を互いに近付く方向に付勢する付勢部材、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用懸架装置。
【請求項4】
前記押さえ部材は、前記板ばねの他端の変位に追従して回転自在なローラである、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用懸架装置。
【請求項5】
前記ローラの外周面には、少なくとも一つの凹部が形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用懸架装置。
【請求項6】
前記ローラおよび前記押さえ部材の少なくとも一方の外周面には、少なくとも一つの凹部が形成される、
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用懸架装置。
【請求項7】
前記ローラは、
軸部と、
前記軸部の外周に設けられ、該軸部に対して回転自在な回転部と、
を有し、
前記回転部は、弾性材料を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用懸架装置。
【請求項8】
前記ローラの軸方向の少なくとも一端側には、前記軸方向と交差する方向に突出する突起部が形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用懸架装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の懸架装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等に設けられ、路面の凹凸による振動が車輪を経て車体に伝わらないようにする緩衝機能を有し、車両の乗り心地や操縦の安定性などを向上させる懸架装置が知られている。懸架装置のうち、リーフスプリング式の懸架装置は、板ばねを用いて構成される(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に記載の板ばねは、一端が車体に固定され、他端がスライドシートを介して摺動自在に保持されている。この板ばねは、長手方向の中央部において車軸等からの荷重が加わり、この荷重によって変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、スライドシートによって板ばねの端部を保持する場合、スライドシートと板ばねとの間の摩擦による摩耗に起因した耐久性の低下や、摺動時の摩擦による異音が発生することがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、板ばねと保持部材との間の摩擦による耐久性の低下、および、異音の発生を抑制することができる車両用懸架装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両用懸架装置は、板ばねと、前記板ばねの一端が係止される係止部材と、前記板ばねの他端を保持する保持部材と、を備える懸架装置であって、前記保持部材は、前記板ばねの他端を保持するとともに、当該板ばねの他端の変位に追従して回転自在なローラと、前記ローラと対向する押さえ部材とを有し、前記ローラと前記押さえ部材との間に前記板ばねの他端が設けられることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る車両用懸架装置は、上記発明において、板ばねはローラおよび押さえ部材により挟まれて保持されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る車両用懸架装置は、上記発明において、ローラおよび押さえ部材を互いに近付く方向に付勢する付勢部材、をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る車両用懸架装置は、上記発明において、押さえ部材が板ばねの他端の変位に追従して回転自在なローラであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る車両用懸架装置は、上記発明において、前記ローラの外周面には、少なくとも一つの凹部が形成される、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る車両用懸架装置は、上記発明において、前記ローラおよび前記押さえ部材の少なくとも一方の外周面には、少なくとも一つの凹部が形成される、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る車両用懸架装置は、上記発明において、前記ローラは、軸部と、前記軸部の外周に設けられ、該軸部に対して回転自在な回転部と、を有し、前記回転部は、弾性材料を含む、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る車両用懸架装置は、上記発明において、前記ローラの軸方向の少なくとも一端側には、前記軸方向と交差する方向に突出する突起部が形成される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、板ばねと保持部材との間の摩擦による耐久性の低下、および、異音の発生を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に係る懸架装置を含む車両の一部の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施の形態に係る懸架装置の板ばねの構成を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本発明の変形例1に係る懸架装置のローラの構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の変形例2に係る懸架装置のローラの構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の変形例3に係る懸架装置の把持部材の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、図面は模式的なものであって、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なる場合があり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0018】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係る懸架装置を含む車両の一部の構成を示す図である。
図1に示す懸架装置1は、車両の車体に設けられ、車輪101を支持する車軸100を支持する。なお、
図1では、左側を車両の前方、右側を後方とする。懸架装置1は、板ばね2と、板ばね2の一端が係止される係止部材3と、板ばね2の他端を進退自在に保持する保持部材4とを備える。
【0019】
係止部材3および保持部材4は、フレーム110に取り付けられる。具体的には、係止部材3は、フレーム110に固着される前方取付部120に固着される。保持部材4は、フレーム110に固着される後方取付部130に固着される。前方取付部120および後方取付部130は、ねじ等の締結部材によってフレーム110に固定される。また、前方取付部120には、溶接等によって係止部材3が取り付けられる。また、後方取付部130には、溶接等によって保持部材4が取り付けられる。なお、係止部材3および保持部材4は、前方取付部120および後方取付部130に対してそれぞれ一体的に形成されてもよい。
【0020】
板ばね2の長手方向の中央、および座金140の中央には、挿通孔(図示略)が形成される。板ばね2および座金140は、各挿通孔に挿通されたセンタボルト140aをナット140bに締結することによって固定されてなる板ばねアッセンブリを形成する。板ばねアッセンブリは、Uボルト150によってハウジング160に固定される。
ハウジング160は車軸100に固定される。
【0021】
図2は、本発明の一実施の形態に係る懸架装置の板ばねの構成を説明するための図である。板ばね2は、帯状の部材の一端を湾曲させてなる本体部20と、本体部20の一端側に設けられる鉤状の第1端部21と、本体部20の他端側に設けられる第2端部22とを有する。本体部20は、長手方向の中央部において、当該本体部20の下方に車軸100が配置される。第1端部21は、係止部材3に巻き付くことによって係止される。板ばね2は、金属材料(例えばばね鋼)、樹脂材料、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics:FRP)を用いて形成される。
【0022】
保持部材4は、対をなす二つのローラ(第1ローラ41および第2ローラ42)からなる。
第1ローラ41は、後方取付部130に接続する第1軸部41aと、第1軸部41aに対して回転自在な第1回転部41bとを有する。第1回転部41bは、第1軸部41aに対して、例えばベアリングを介して接続され、第1軸部41aの中心軸N1のまわりに回転する。
第2ローラ42は、後方取付部130に接続する第2軸部42aと、第2軸部42aに対して回転自在な第2回転部42bとを有する。第2回転部42bは、第2軸部42aに対して、例えばベアリングを介して接続され、第2軸部42aの中心軸N2のまわりに回転する。
第1ローラ41および第2ローラ42の間の距離(隙間)は、板ばね2の厚さと同等である。このため、ローラ間に板ばね2が配置された状態では、第1ローラ41および第2ローラ42がそれぞれ板ばね2に接触して該板ばね2を把持する。なお、ここでいう同等は、製造上の誤差等を含む。
第1軸部41aおよび第2軸部42aは、例えば金属材料を用いて形成される。また、第1回転部41bおよび第2回転部42bは、例えば金属材料、樹脂材料、ゴム等を用いて形成される。回転部を、ゴムや軟性樹脂等の弾性材料を用いて形成することによって、ダンパ効果を得ることができる。さらに、第1軸部41aおよび第2軸部42aの間の距離を調整することで、ダンパ効果を調整することができる。
なお、第1ローラ41および第2ローラ42は、互いに対向し、その間に板ばね2の端部が設けられるローラおよび押さえ部材に相当する。
【0023】
板ばね2は、路面の凹凸等による車軸100の振動に応じて、変形する(
図2の破線参照)。また、第2端部22は、第1ローラ41および第2ローラ42によって挟み込まれることによって、保持部材4に保持される。板ばね2の変形によって第2端部22が保持部材4に対して変位した際、板ばね2の係止部材3と保持部材4との間の長さ、すなわち板ばね2の有効スパンが変化するため、板ばね2の荷重特性が変化する。また、この際、第1回転部41bおよび第2回転部42bが第2端部22の変位に応じて回転することによって第2端部22との間の摩擦の発生を抑制することができる。
【0024】
以上説明した本発明の実施の形態では、車軸100の振動に応じて変形する板ばね2において、一端側が車体(ここではフレーム110)に係止され、他端側が第1ローラ41および第2ローラ42によって把持されるようにし、変形による他端側の端部の変位に応じて第1ローラ41および第2ローラ42が回転する。本実施の形態によれば、ローラの回転によって板ばね2と保持部材4との間の摩擦の発生が抑制され、板ばねと保持部材との間の摩擦による耐久性の低下、および、異音の発生を抑制することができる。
【0025】
ここで、スライドシートによって板ばねの端部を保持する場合、板ばね2が車軸よりも前方側で折損すると、板ばね2本体が後方側の端部接続部のまわりに回転して、車軸が車体側に近付くため、車高が大幅に低下してしまう。これに対し、本実施の形態のように、ローラによって板ばね2を挟み込む場合、板ばね2が前方側で折損しても、後方側では挟み込みによる反発力が発生するため、車高の大幅な低下を抑制することができる。
【0026】
また、本実施の形態によれば、ローラによって板ばね2を保持することによって、従来のような主ばねと副ばねを積層した板ばねと比して、簡易な構造で、板ばね2に非線形特性をもたせることができる。
【0027】
また、本実施の形態において、回転軸に対する回転部の厚さを均一にして、板ばねがローラから受ける抵抗を均一にし、防振性および耐久性を向上させることができる。
【0028】
(変形例1)
次に、本発明の実施の形態の変形例1について、
図3を参照して説明する。
図3は、本発明の変形例1に係る懸架装置のローラの構成を示す図である。変形例1に係る懸架装置は、保持部材4の第1ローラ41および第2ローラ42に代えてローラ43を備える。その他の構成要素は、実施の形態と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0029】
ローラ43は、後方取付部130に接続する軸部43aと、軸部43aに対して回転自在な回転部43bとを有する。回転部43bは、軸部43aに対して、例えばベアリングを介して接続され、軸部43aの中心軸N3のまわりに回転する。
【0030】
回転部43bは、中空円柱状をなして軸部43aが挿通される本体部431と、本体部431の一端側に設けられ、該本体部431の外周面に対して突出する第1突起部432と、本体部431の他端側に設けられ、該本体部431の外周面に対して突出する第2突起部433とを有する。
第1突起部432および第2突起部433は、対をなす他のローラの突起部と干渉しない程度に突出する。なお、この突起部は、中心軸N3方向と交差する方向に突出していればよい。
板ばね2の第2端部22は、第1突起部432と第2突起部433との間を通過する。
【0031】
以上説明した本変形例1では、実施の形態と同様に、車軸100の振動に応じて変形する板ばね2において、一端側が車体(ここではフレーム110)に係止され、他端側が二つのローラ43によって把持されるようにし、変形による他端側の端部の変位に応じてローラ43が回転する。本変形例1によれば、ローラ43の回転によって板ばね2と保持部材4の間の摩擦の発生が抑制され、板ばねと保持部材との間の摩擦による耐久性の低下、および、異音の発生を抑制することができる。
【0032】
また、変形例1によれば、第1突起部432および第2突起部433の間に板ばね2が通過しているため、板ばね2が中心軸N3方向へ変位することを抑制できる。
【0033】
なお、変形例1において、一方のローラをローラ43、他方のローラを第1ローラ41または第2ローラ42によって構成してもよい。
【0034】
また、変形例1において、ローラ43の一端側のみに突起部を設けて、組をなすローラの突起部が互いに反対側に位置するように配置して、板ばね2の離脱を抑制するようにしてもよい。
【0035】
なお、変形例1において、突起部はローラ43の中心軸N3方向の端部に設けられているが、板ばね2をローラで把持しつつ、板ばね2の中心軸N3方向への変位が抑制できる位置であれば、端部である必要はない。
【0036】
(変形例2)
次に、本発明の実施の形態の変形例2について、
図4を参照して説明する。
図4は、本発明の変形例2に係る懸架装置のローラの構成を示す図である。変形例2に係る懸架装置は、保持部材4の第1ローラ41および第2ローラ42に代えてローラ44を備える。その他の構成要素は、実施の形態と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0037】
ローラ44は、後方取付部130に接続する軸部44aと、軸部44aに対して回転自在な回転部44bとを有する。回転部44bは、軸部44aに対して、例えばベアリングを介して接続され、軸部44aの中心軸N4のまわりに回転する。
【0038】
回転部44bは、中空円柱状をなして軸部44aが挿通される本体部441と、本体部441の一端側に設けられ、該本体部441の外周面に対して突出する第1突起部442と、本体部441の他端側に設けられ、該本体部441の外周面に対して突出する第2突起部443とを有する。板ばね2の第2端部22は、第1突起部442と第2突起部443との間を通過する。
第1突起部442および第2突起部443は、対をなす他のローラの突起部と干渉しない程度に突出する。なお、この突起部は、中心軸N4方向と交差する方向に突出していればよい。
【0039】
本体部441は、外周面において、複数の凹部444が形成される。凹部444は、本体部441の周方向に延びて周回してなる。
【0040】
以上説明した本変形例2では、実施の形態と同様に、車軸100の振動に応じて変形する板ばね2において、一端側が車体(ここではフレーム110)に係止され、他端側が二つのローラ44によって把持されるようにし、変形による他端側の端部の変位に応じてローラ44が回転する。本変形例2によれば、ローラ44の回転によって板ばね2と保持部材4との間の摩擦の発生が抑制され、板ばねと保持部材との間の摩擦による耐久性の低下、および、異音の発生を抑制することができる。
【0041】
また、変形例2によれば、本体部441に凹部444が形成されているため、外部からローラ44に異物が進入したり、板ばね2に付着した異物がローラ44に付着したりした際に、凹部444に異物を収容することによって、板ばね2とローラ44との接触状態を維持し、異物による板ばね2の損傷を抑制することができる。
【0042】
なお、変形例2において、一方のローラをローラ44、他方のローラを第1ローラ41、第2ローラ42、ローラ43によって構成してもよい。
【0043】
また、変形例2において、ローラ44が突起部を有しない構成としてもよい。
また、変形例2では、周方向に延びる複数の凹部444の例について説明したが、これに限らず、例えば、一つの凹部444が形成される構成であってもよいし、軸N
4を軸として螺旋状に延びる凹部が形成される構成であってもよいし、穴形状をなす複数の凹部(例えばエンボス加工)が形成される構成であってもよい。
なお、
図2に示す構成において、変形例2の構成を適用する場合、凹部は一方のローラのみに形成される構成であってもよいし、一方のローラおよび他方のローラの双方に形成される構成であってもよい。
【0044】
(変形例3)
次に、本発明の実施の形態の変形例3について、
図5を参照して説明する。
図5は、本発明の変形例3に係る懸架装置のローラの構成を示す図である。変形例3に係る懸架装置は、保持部材4に代えて保持部材4Aを備える。また、保持部材4Aのローラ41及びローラ42は相対的に移動可能にフレーム100に取り付けられる。その他の構成要素は、実施の形態と同じ構成であるため、説明を省略する。なお、同じ構成要素には、同一の符号が付してある。
【0045】
保持部材4Aは、二つのローラ(第1ローラ41および第2ローラ42)と、二つのローラの軸方向の一端側の端部同士を接続する第1ばね部材45と、二つのローラの軸方向の他端側の端部同士を接続する第2ばね部材46とを備える。
第1ばね部材45は、第1軸部41aの軸N
1(
図2参照)方向の一端側と第2軸部42aの軸N
2(
図2参照)方向の一端側とを伸縮自在に接続する。
第2ばね部材46は、第1軸部41aの軸N
1方向の他端側と第2軸部42aの軸N
2方向の他端側とを伸縮自在に接続する。
【0046】
本変形例3では、第1ローラ41および第2ローラ42が、付勢部材であるばね部材によって互いに近付く方向に付勢される。例えば、ばね部材に重力以外の荷重が加わっていない自然状態とした場合のローラ間の距離(隙間)は、板ばね2の厚さと同等以下となる。このため、ローラ間に板ばね2が配置された状態では、第1ローラ41および第2ローラ42がそれぞれ板ばね2に接触して該板ばね2を把持する。
【0047】
以上説明した本変形例3では、実施の形態と同様に、車軸100の振動に応じて変形する板ばね2において、一端側が車体(ここではフレーム110)に係止され、他端側が第1ローラ41および第2ローラ42によって把持されるようにし、変形による他端側の端部の変位に応じてローラが回転する。本変形例3によれば、各ローラの回転によって板ばね2と保持部材4Aとの間の摩擦の発生が抑制され、板ばねと保持部材との間の摩擦による耐久性の低下、および、異音の発生を抑制することができる。
【0048】
また、変形例3によれば、ばね部材によって板ばね2の変位に追従してローラ間の距離を変化させるため、板ばね2がローラから過度に荷重を受けることが抑制され、板ばねのスムースな変形挙動が阻害されるのを防止する。
【0049】
なお、変形例3において、ローラの間隔を調整する部材としてばね部材を用いる例について説明したが、これに限らず、例えばアクチュエータによってローラ間の間隔を電気的に制御する構成としてもよい。
【0050】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。上述した実施の形態および変形例では、Uボルト150を介して車軸100と板ばね2とを接続する構成について説明したが、Uボルトを有しない、例えば車軸100と板ばね2とが直接接続する構成としてもよい。また、上述した実施の形態および変形例では、板ばね2を車軸100よりも上側に配置する構成としたが、板ばね2を車軸100よりも下側に配置する構成としてもよい。
【0051】
また、実施の形態において、後方取付部130に第1ローラ41および第2ローラ42を支持する回転テーブルを設け、第1ローラ41および第2ローラ42が、回転テーブルの回転軸のまわりに回転(公転)する構成としてもよい。
【0052】
また、実施の形態において、係止部材3に代えて保持部材4を設け、板ばね2の両端をローラで把持する構成としてもよい。
【0053】
また、実施の形態において、一方のローラを、非回転の保持部材(押さえ部材に相当)としてもよい。例えば、第2ローラ42に代えて保持部材とし、第1ローラ41と押さえ部材とによって板ばね2を保持する。この際、保持部材は、板ばね2が接触する側の表面を曲面としてもよいし、板ばね2と接触する側の表面に凹部を形成してもよい。
【0054】
また、実施の形態において、第1ローラ41および第2ローラ42をシャックルで支持する構成としてもよい。
【0055】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【0056】
以上説明したように、本発明に係る車両用懸架装置は、板ばねと保持部材との間の摩擦による耐久性の低下、および、異音の発生を抑制するのに好適である。
【符号の説明】
【0057】
1 懸架装置
2 板ばね
3 係止部材
4、4A 保持部材
41 第1ローラ
42 第2ローラ
43、44 ローラ
41a 第1軸部
41b 第1回転部
42a 第2軸部
42b 第2回転部
43a、44a 軸部
43b、44b 回転部
45 第1ばね部材
46 第2ばね部材
100 車軸
101 車輪
110 フレーム
120 前方取付部
130 後方取付部
140 座金
150 Uボルト
160 ハウジング
431、441 本体部
432、442 第1突起部
433、443 第2突起部
444 凹部