(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179934
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10N 52/00 20230101AFI20231213BHJP
【FI】
H01L43/06 P
H01L43/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092889
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 勇士
【テーマコード(参考)】
5F092
【Fターム(参考)】
5F092AA15
5F092AB01
5F092AC02
5F092BA03
5F092BA12
5F092BA19
5F092BA23
5F092BA32
5F092BE03
5F092CA02
5F092CA08
5F092CA11
5F092CA13
5F092CA19
5F092CA20
5F092CA25
5F092EA06
(57)【要約】
【課題】磁界の検知の感度のバラつきが抑制された縦型のホール素子を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1主面及び第2主面を有する半導体基板と、不純物がドープされている第1ポリシリコン層及び第2ポリシリコン層とを備える。半導体基板は、不純物がドープされている拡散層を有する。拡散層は、第1主面と第2主面との間にある。第1主面には、平面視において第1方向に沿って間隔を空けて並んでいる第1溝及び第2溝が形成されている。第1溝及び第2溝の各々は、平面視において第1方向に直交している第2方向に沿って延在しており、かつ第2方向に直交している断面視において拡散層に達するように第2主面側に向かって延在している。第1ポリシリコン層及び第2ポリシリコン層は、それぞれ、第1溝及び第2溝に埋め込まれている。第1ポリシリコン層の下端及び第2ポリシリコン層の下端は、拡散層により互いに電気的に接続されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び第2主面を有する半導体基板と、
不純物がドープされている第1ポリシリコン層及び第2ポリシリコン層とを備え、
前記半導体基板は、不純物がドープされている拡散層を有し、
前記拡散層は、前記第1主面と前記第2主面との間にあり、
前記第1主面には、平面視において第1方向に沿って間隔を空けて並んでいる第1溝及び第2溝が形成されており、
前記第1溝及び前記第2溝の各々は、平面視において前記第1方向に直交している第2方向に沿って延在しており、かつ前記第2方向に直交している断面視において前記拡散層に達するように前記第2主面側に向かって延在しており、
前記第1ポリシリコン層及び前記第2ポリシリコン層は、それぞれ、前記第1溝及び前記第2溝に埋め込まれており、
前記第1ポリシリコン層の下端及び前記第2ポリシリコン層の下端は、前記拡散層により互いに電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項2】
前記第1ポリシリコン層及び前記第2ポリシリコン層の各々において、不純物濃度の最小値及び最大値は、それぞれ、不純物濃度の平均値の0.8倍以上及び1.2倍以下である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1主面上に配置されている層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜中に配置されている第1コンタクトプラグ、第2コンタクトプラグ、第3コンタクトプラグと、第4コンタクトプラグ、第5コンタクトプラグ及び第6コンタクトプラグと、
第1配線及び第2配線とをさらに備え、
前記第1コンタクトプラグの下端、前記第2コンタクトプラグの下端及び前記第5コンタクトプラグの下端は、前記第1ポリシリコン層の上端に電気的に接続されており、
前記第3コンタクトプラグの下端、前記第4コンタクトプラグの下端及び前記第6コンタクトプラグの下端は、前記第2ポリシリコン層の上端に電気的に接続されており、
前記第1コンタクトプラグ及び前記第2コンタクトプラグは、それぞれ、前記第5コンタクトプラグの前記第2方向における一方側及び他方側にあり、
前記第3コンタクトプラグ及び前記第4コンタクトプラグは、それぞれ、前記第6コンタクトプラグの前記第2方向における一方側及び他方側にあり、
前記第1配線は、前記第1コンタクトプラグ及び前記第4コンタクトプラグに電気的に接続されており、
前記第2配線は、前記第2コンタクトプラグ及び前記第3コンタクトプラグに電気的に接続されており、
前記第1コンタクトプラグから前記第1ポリシリコン層に流入する電流は、前記拡散層及び前記第2ポリシリコン層を流れて前記第2コンタクトプラグから流出する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1溝の深さ及び前記第2溝の深さは、10μm以上30μm以下である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
不純物がドープされている第3ポリシリコン層及び第4ポリシリコン層をさらに備え、
前記第1主面には、前記第1方向に沿って間隔を空けて並んでいる第3溝及び第4溝が形成されており、
前記第2溝は、前記第1方向において前記第1溝と前記第3溝との間にあり、
前記第3溝は、前記第1方向において前記第2溝と前記第4溝との間にあり、
前記第3溝及び前記第4溝の各々は、前記第2方向に沿って延在しており、かつ前記第2方向に直交している断面視において前記拡散層に前記第2主面側に向かって延在しており、
前記第3ポリシリコン層及び前記第4ポリシリコン層は、それぞれ、前記第3溝及び前記第4溝に埋め込まれており、
前記第3ポリシリコン層の下端及び前記第4ポリシリコン層の下端は、前記拡散層により互いに電気的に接続されており、
前記第2ポリシリコン層の上端及び前記第3ポリシリコン層の上端は、互いに電気的に接続されている、請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2005-333103号公報(特許文献1)には、半導体装置が記載されている。特許文献1に記載の半導体装置は、半導体基板を有している。半導体基板は、第1主面と、第2主面とを有している。半導体基板は、第1ウェル領域と、第1コンタクト領域と、第2コンタクト領域と、第2ウェル領域とを有している。第1ウェル領域、第1コンタクト領域、第2コンタクト領域及び第2ウェル領域は、縦型のホール素子を構成している。
【0003】
第1ウェル領域は、第1主面に形成されている。第1ウェル領域の導電型は、p型である。第1コンタクト領域及び第2コンタクト領域は、第1主面に形成されている。第1コンタクト領域の導電型及び第2コンタクト領域の導電型は、n型である。第1ウェル領域は、断面視において、第1コンタクト領域と第2コンタクト領域との間にある。第1ウェル領域の下端は、第1コンタクト領域の下端及び第2コンタクト領域の下端よりも第2主面側にある。第2ウェル領域は、断面視において、第1ウェル領域、第1コンタクト領域及び第2コンタクト領域を取り囲むように第1主面に形成されている。すなわち、第2ウェル領域の下端は、第1ウェル領域の下端よりも第2主面側にある。第1コンタクト領域における不純物濃度及び第2コンタクト領域における不純物濃度は、第2ウェル領域における不純物濃度よりも高い。
【0004】
特許文献1に記載の半導体装置では、電流が第1コンタクト領域から下方に向かって流れる。この電流は、第1ウェル領域の下端と第2ウェル領域の下端との間を流れた後、第2コンタクト領域へと上方に向かって流れる。第1主面に平行な磁界からのローレンツ力により、第1コンタクト領域から下方に向かって流れる電流の経路及び第2コンタクト領域へと上方に向かって流れる電流の経路が曲がる。この電流の経路の曲がりに起因した抵抗値の変化に基づいて、特許文献1に記載の半導体装置は、磁界の検知を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の半導体装置では、第2ウェル領域が、第1主面側にイオン注入を行った後、半導体基板をアニールして注入されたイオンを第2主面側へと熱拡散させることにより形成される。その結果、第2ウェル領域における不純物濃度は、第2主面側に向かうほど低くなる。そのため、特許文献1に記載の半導体装置では、第2ウェル領域の抵抗値が半導体基板の厚さ方向に沿って変化し、磁界の検知の感度も半導体基板の厚さ方向に沿ってバラついてしまう。なお、特許文献1に記載の半導体装置では、上記のアニールにより、第2ウェル領域が第2主面側へと向かう方向のみならず、横方向(第1主面から第2主面へ向かう方向に直交する方向)にも広がってしまうため、縦型のホール素子の面積の縮小が困難である。
【0007】
本開示は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本開示は、磁界の検知の感度のバラつきが抑制された縦型のホール素子を有する半導体装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の半導体装置は、第1主面及び第2主面を有する半導体基板と、不純物がドープされている第1ポリシリコン層及び第2ポリシリコン層とを備える。半導体基板は、不純物がドープされている拡散層を有する。拡散層は、第1主面と第2主面との間にある。第1主面には、平面視において第1方向に沿って間隔を空けて並んでいる第1溝及び第2溝が形成されている。第1溝及び第2溝の各々は、平面視において第1方向に直交している第2方向に沿って延在しており、かつ第2方向に直交している断面視において拡散層に達するように第2主面側に向かって延在している。第1ポリシリコン層及び第2ポリシリコン層は、それぞれ、第1溝及び第2溝に埋め込まれている。第1ポリシリコン層の下端及び第2ポリシリコン層の下端は、拡散層により互いに電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示の半導体装置によると、縦型のホール素子の感度のバラつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】半導体装置100の概略的なブロック図である。
【
図3】
図2中のIII-IIIにおける断面図である。
【
図7】拡散層形成工程S1を説明する断面図である。
【
図8】エピタキシャル成長工程S2を説明する断面図である。
【
図9】第1溝形成工程S3を説明する断面図である。
【
図10】第1絶縁膜形成工程S4を説明する断面図である。
【
図11】ポリシリコン層形成工程S5を説明する断面図である。
【
図12】第1イオン注入工程S6を説明する断面図である。
【
図13】第2溝形成工程S7を説明する断面図である。
【
図14】第2絶縁膜形成工程S8を説明する断面図である。
【
図15】ゲート絶縁膜形成工程S9を説明する断面図である。
【
図16】ゲート形成工程S10を説明する断面図である。
【
図17】第2イオン注入工程S11を説明する断面図である。
【
図18】サイドウォールスペーサ形成工程S12を説明する断面図である。
【
図19】第3イオン注入工程S13を説明する断面図である。
【
図20】層間絶縁膜形成工程S15を説明する断面図である。
【
図21】コンタクトプラグ形成工程S16を説明する断面図である。
【
図23】
図22中のXXIII-XXIIIにおける断面図である。
【
図24】
図22中のXXIV-XXIVにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る半導体装置を説明する。第1実施形態に係る半導体装置を、半導体装置100とする。
【0013】
<半導体装置100の構成>
以下に、半導体装置100の構成を説明する。
【0014】
図1は、半導体装置100の概略的なブロック図である。
図1に示されるように、半導体装置100は、ホール素子10と、電源回路21と、抵抗測定回路22と、信号処理回路23とを有している。電源回路21は、ホール素子10に定電流を供給する(
図1中の矢印参照)。抵抗測定回路22は、後述するポリシリコン層31及びポリシリコン層32の抵抗値を測定する。信号処理回路23は、抵抗測定回路22において測定されたポリシリコン層31及びポリシリコン層32の抵抗値の変化に基づいて、ホール素子10に加わる磁界の検知を行うための信号処理を行う。
【0015】
図2は、半導体装置100の平面図である。
図2中では、層間絶縁膜40の図示が省略されている。
図3は、
図2中のIII-IIIにおける断面図である。
図4は、
図2中のIV-IVにおける断面図である。
図5は、
図2中のV-Vにおける断面図である。
図2から
図5に示されるように、半導体装置100は、半導体基板30と、ポリシリコン層31及びポリシリコン層32と、絶縁膜33と、ゲート絶縁膜34と、ゲート35と、サイドウォールスペーサ36と、絶縁膜37とを有している。
【0016】
半導体装置100は、層間絶縁膜40と、コンタクトプラグ51、コンタクトプラグ52、コンタクトプラグ53、コンタクトプラグ54、コンタクトプラグ55及びコンタクトプラグ56と、コンタクトプラグ57、コンタクトプラグ58及びコンタクトプラグ59と、配線71、配線72、配線73、配線74、配線75、配線76及び配線77とをさらに有している。
【0017】
半導体基板30は、例えば単結晶シリコン(Si)で形成されている。半導体基板30は、導電型が例えば第1導電型となるように不純物がドープされている。第1導電型は、例えばp型である。半導体基板30は、主面30aと主面30bとを有している。主面30a及び主面30bは、半導体基板30の厚さ方向における端面である。主面30bは、主面30aの反対面である。
【0018】
半導体基板30は、拡散層30cを有している。拡散層30cは、導電型が例えば第2導電型となるように不純物がドープされている。第2導電型は、第1導電型とは反対の導電型である。第1導電型がp型である場合、第2導電型はn型である。拡散層30cは、主面30aと主面30bとの間にある。拡散層30cは、半導体基板30の厚さ方向に直交する面内に延在している。拡散層30cは、例えば、平面視において矩形状である。
【0019】
主面30aには、溝30d及び溝30eが形成されている。溝30d及び溝30eは、平面視において、第1方向DR1に沿って間隔を空けて並んでいる。なお、平面視とは、半導体装置100を主面30a側から主面30aの法線方向に沿って見た場合をいう。溝30d及び溝30eの各々は、平面視において、第2方向DR2に沿って延在している。第2方向DR2は、第1方向DR1に直交する方向である。第2方向DR2に直交する断面視において、溝30d及び溝30eの各々は、主面30b側に向かって延在している。溝30dの下端及び溝30eの下端は、拡散層30cに達している。
【0020】
溝30dの深さを深さD1とし、溝30eの深さを深さD2とする。深さD1及び深さD2は、好ましくは、10μm以上30μm以下である。深さD1及び深さD2は、10μm以上20μm以下であってもよい。
【0021】
半導体基板30は、ソース領域30fと、ドレイン領域30gと、ウェル領域30hとを有している。ソース領域30f及びドレイン領域30gは、互いに間隔を空けて主面30aに形成されている。ソース領域30fは、第1部分30faと、第2部分30fbとを有している。第1部分30faは、第2部分30fbよりもドレイン領域30g側にある。ドレイン領域30gは、第1部分30gaと、第2部分30gbとを有している。第1部分30gaは、第2部分30gbよりもソース領域30f側にある。ウェル領域30hは、ソース領域30f及びドレイン領域30gを取り囲むように主面30aに形成されている。
【0022】
ソース領域30f及びドレイン領域30gは、導電型が互いに同一となるように不純物がドープされている。ウェル領域30hは、導電型がソース領域30f及びドレイン領域30gとは逆となるように不純物がドープされている。例えば、ソース領域30fの導電型及びドレイン領域30gの導電型は第2導電型であり、ウェル領域30hの導電型は第1導電型である。第1部分30faにおける不純物濃度は、第2部分30fbにおける不純物濃度よりも高い。第1部分30gaにおける不純物濃度は、第2部分30gbにおける不純物濃度よりも高い。すなわち、ソース領域30f及びドレイン領域30gは、LDD(Lightly Doped Diffusion)構造になっている。
【0023】
主面30aには、溝30iが形成されている。溝30iは、平面視においてウェル領域30hを取り囲んでいる。溝30iは、溝30iの延在方向に直交する断面視において、主面30b側に向かって延在している。なお、溝30iの深さは、例えば、深さD1及び深さD2よりも小さい。
【0024】
ポリシリコン層31及びポリシリコン層32は、それぞれ、溝30d及び溝30eに埋め込まれている。ポリシリコン層31及びポリシリコン層32には、導電型が例えば第2導電型となるように不純物がドープされている。ポリシリコン層31の下端及びポリシリコン層32の下端は、拡散層30cに電気的に接続されている。
【0025】
ポリシリコン層31及びポリシリコン層32の各々において、不純物濃度が均一になっている。すなわち、ポリシリコン層31及びポリシリコン層32の各々において、不純物濃度の最小値及び最大値は、それぞれ不純物濃度の平均値の0.8倍以上及び1.2倍以下になっている。拡散層30c、ポリシリコン層31及びポリシリコン層32は、ホール素子10を構成している。ホール素子10は、主面30aに平行な方向の磁界を検知可能な縦型のホール素子である。なお、ポリシリコン層31及びポリシリコン層32における不純物濃度は、例えば、拡散層30cにおける不純物濃度よりも低い。ポリシリコン層31及びポリシリコン層32における不純物濃度は、例えばSCM(Scanning Capacitance Microscope)分析により測定される。
【0026】
ポリシリコン層31の上端には、コンタクト領域31aが形成されている。ポリシリコン層32の上端には、コンタクト領域32aが形成されている。コンタクト領域31aにおける不純物濃度は、コンタクト領域31a以外における不純物濃度よりも高い。コンタクト領域32aにおける不純物濃度は、コンタクト領域32a以外における不純物濃度よりも高い。溝30dの内壁面とポリシリコン層31との間及び溝30eの内壁面とポリシリコン層32との間には、絶縁膜33が介在されている。絶縁膜33は、例えばシリコン酸化物で形成されている。
【0027】
ゲート絶縁膜34は、ソース領域30fとドレイン領域30gとの間にある主面30aの部分の上に配置されている。ゲート絶縁膜34は、例えばシリコン酸化物で形成されている。ゲート35は、ゲート絶縁膜34上に配置されている。このことを別の観点から言えば、ゲート35は、ソース領域30fとドレイン領域30gとの間にあるウェル領域30hの部分(すなわち、チャネル領域)と絶縁されながら対向している。ソース領域30f、ドレイン領域30g、ウェル領域30h、ゲート絶縁膜34及びゲート35は、トランジスタを構成している。なお、このトランジスタは、電源回路21、抵抗測定回路22及び信号処理回路23の一部をなしている。
【0028】
サイドウォールスペーサ36は、ゲート35の側面と接するように、第1部分30fa上及び第1部分30ga上に配置されている。サイドウォールスペーサ36は、例えば、シリコン窒化物で形成されている。絶縁膜37は、溝30iに埋め込まれている。絶縁膜37により、1つのトランジスタは、他のトランジスタから絶縁分離されている。すなわち、溝30i及び絶縁膜37は、STI(Shallow Trench Isolation)構造になっている。但し、トランジスタの素子分離構造として、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)構造が用いられてもよい。
【0029】
層間絶縁膜40は、ゲート35及びサイドウォールスペーサ36を覆うように、主面30a上に配置されている。層間絶縁膜40は、例えばシリコン酸化物で形成されている。コンタクトプラグ51、コンタクトプラグ52、コンタクトプラグ53、コンタクトプラグ54、コンタクトプラグ55、コンタクトプラグ56、コンタクトプラグ57、コンタクトプラグ58及びコンタクトプラグ59は、層間絶縁膜40に形成されているコンタクトホールに埋め込まれている。コンタクトプラグ51、コンタクトプラグ52、コンタクトプラグ53、コンタクトプラグ54、コンタクトプラグ55、コンタクトプラグ56、コンタクトプラグ57、コンタクトプラグ58及びコンタクトプラグ59は、例えばタングステン(W)で形成されている。
【0030】
ポリシリコン層31は、第2方向DR2における一方側(
図2中の下側)の端部である端部31bと、第2方向DR2における他方側(
図2中の上側)の端部である端部31cとを有している。ポリシリコン層32は、第2方向DR2における一方側の端部である端部32bと、第2方向DR2における他方側の端部である端部32cとを有している。
【0031】
コンタクトプラグ51の下端は、端部31bにあるポリシリコン層31の上端に電気的に接続されている。コンタクトプラグ52の下端は、端部31cにあるポリシリコン層31の上端に電気的に接続されている。コンタクトプラグ53の下端は、端部32bにあるポリシリコン層32の上端に電気的に接続されている。コンタクトプラグ54の下端は、端部32cにあるポリシリコン層32の上端に電気的に接続されている。
【0032】
コンタクトプラグ55の下端は、端部31bと端部31cとの間にあるポリシリコン層31の上端に電気的に接続されている。コンタクトプラグ56の下端は、端部32bと端部32cにあるポリシリコン層32の上端に電気的に接続されている。このことを別の観点から言えば、コンタクトプラグ51及びコンタクトプラグ52はそれぞれコンタクトプラグ55の第2方向DR2における一方側及び他方側にあり、コンタクトプラグ53及びコンタクトプラグ54はそれぞれコンタクトプラグ56の第2方向DR2における一方側及び他方側にある。
【0033】
コンタクトプラグ57の下端及びコンタクトプラグ58の下端は、それぞれソース領域30f(第2部分30fb)及びドレイン領域30g(第2部分30gb)に電気的に接続されている。コンタクトプラグ59の下端は、ゲート35に電気的に接続されている。
【0034】
配線71、配線72、配線73、配線74、配線75、配線76及び配線77は、層間絶縁膜40上に配置されている。配線71、配線72、配線73、配線74、配線75、配線76及び配線77は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている。配線71は、コンタクトプラグ51の上端及びコンタクトプラグ54の上端に電気的に接続されている。配線72は、コンタクトプラグ52の上端及びコンタクトプラグ54の上端に電気的に接続されている。配線71及び配線72は、抵抗測定回路22に電気的に接続されている(
図1参照)。
【0035】
配線73及び配線74は、それぞれコンタクトプラグ55の上端及びコンタクトプラグ56の上端に電気的に接続されている。配線73及び配線74は、電源回路21に電気的に接続されている(
図1参照)。配線75、配線76及び配線77は、それぞれコンタクトプラグ57の上端、コンタクトプラグ58の上端及びコンタクトプラグ59の上端に電気的に接続されている。
【0036】
<半導体装置100の動作>
以下に、半導体装置100の動作を説明する。
【0037】
ポリシリコン層31には、配線73及びコンタクトプラグ54を介して電源回路21から電流が供給される。この電流は、ポリシリコン層31中を下方に向かって流れる(
図4中の実線矢印参照)。拡散層30cに達した電流は、ポリシリコン層32側に向かって流れる(
図4中の実線矢印参照)。ポリシリコン層32に達した電流は、ポリシリコン層32中を上方に向かって流れる(
図5中の実線矢印参照)。
【0038】
外部の磁界が主面30aに平行である場合(
図4に示される例では、外部の磁界の方向は、第1方向DR1に沿っている)、ポリシリコン層31中を下方に向かって流れる電流の経路及びポリシリコン層32中を上方に向かって流れる電流の経路は、当該磁界からのローレンツ力を受けて曲がる(
図4中及び
図5中の点線矢印参照)。この電流経路の曲がりは、ポリシリコン層31の抵抗値及びポリシリコン層32の抵抗値を変化させる。ポリシリコン層31の抵抗値の変化及びポリシリコン層32の抵抗値の変化が抵抗測定回路22において検知されるとともに信号処理回路23において所定の演算が行われることにより、半導体装置100に加わる外部の磁場が検知される。
【0039】
<半導体装置100の製造方法>
以下に、半導体装置100の製造方法を説明する。
【0040】
図6は、半導体装置100の製造工程図である。
図6に示されるように、半導体装置100の製造方法は、拡散層形成工程S1と、エピタキシャル成長工程S2と、第1溝形成工程S3と、第1絶縁膜形成工程S4と、ポリシリコン層形成工程S5と、第1イオン注入工程S6と、第2溝形成工程S7と、第2絶縁膜形成工程S8と、ゲート絶縁膜形成工程S9と、ゲート形成工程S10と、第2イオン注入工程S11と、サイドウォールスペーサ形成工程S12と、第3イオン注入工程S13とを有している。半導体装置100の製造方法は、シリサイド工程S14と、層間絶縁膜形成工程S15と、コンタクトプラグ形成工程S16と、配線形成工程S17とをさらに有している。
【0041】
図7は、拡散層形成工程S1を説明する断面図である。
図7に示されるように、拡散層形成工程S1では、主面30aに拡散層30cが形成される。拡散層30cは、主面30a側にイオン注入が行われた上で、イオン注入により導入された不純物をアニールで熱拡散させることにより形成される。なお、イオン注入に代えて、不純物が塗布することが行われてもよい。
【0042】
図8は、エピタキシャル成長工程S2を説明する断面図である。エピタキシャル成長工程S2では、
図8に示されるように、主面30a側において半導体基板30がエピタキシャル成長される。半導体基板30のエピタキシャル成長は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)により行われる。これにより、主面30aと主面30bとの間の距離が大きくなり、拡散層30cが主面30aと主面30bとの間に位置するようになる。
【0043】
図9は、第1溝形成工程S3を説明する断面図である。
図9に示されるように、第1溝形成工程S3では、溝30d及び溝30eが形成される。第1溝形成工程S3では、第1に、主面30a上にハードマスク80が形成される。ハードマスク80は、例えば、主面30a上に配置されている第1層81と、第1層81上に配置されている第2層82とを有している。第1層81及び第2層82は、それぞれシリコン酸化物及びシリコン窒化物で形成されている。第2に、ハードマスク80が、ハードマスク80上にフォトレジストで形成されたレジストパターンをマスクとするエッチングによりパターンニングされる。第3に、パターンニングされたハードマスク80を用いたエッチングにより、溝30d及び溝30eが形成される。このエッチングは、異方性エッチングにより、溝30d及び溝30eが拡散層30cに達するように行われる。
【0044】
図10は、第1絶縁膜形成工程S4を説明する断面図である。第1絶縁膜形成工程S4では、
図10に示されるように、溝30d及び溝30eの内壁面上に、絶縁膜33が形成される。第1絶縁膜形成工程S4では、第1に、熱酸化により、溝30dの内壁面上、溝30dの内壁面上並びに溝30d及び溝30eから露出している拡散層30c上に、絶縁膜33が形成される。第2に、異方性エッチングが行われることにより、溝30d及び溝30eから露出している拡散層30c上の絶縁膜33が除去される。
【0045】
図11は、ポリシリコン層形成工程S5を説明する断面図である。
図11に示されるように、ポリシリコン層形成工程S5では、溝30d及び溝30eが、ポリシリコン層31及びポリシリコン層32でそれぞれ埋め込まれる。ポリシリコン層形成工程S5では、第1に、例えばCVDにより、溝30d及び溝30eに不純物のドープされたポリシリコンが埋め込まれる。第2に、溝30d及び溝30eからはみ出したポリシリコンが、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去される。溝30d及び溝30eからはみ出したポリシリコンの除去は、エッチバックにより行われてもよい。この後、ハードマスク80は、除去される。このように、ポリシリコン層31及びポリシリコン層32が不純物のドープされているポリシリコンをCVDにより埋め込むことにより形成されるため、ポリシリコン層31及びポリシリコン層32における不純物濃度は均一になる。
【0046】
図12は、第1イオン注入工程S6を説明する断面図である。
図12に示されているように、第1イオン注入工程S6では、ウェル領域30hが形成される。ウェル領域30hは、主面30a上に配置されており、フォトレジストで形成されているレジストパターン83をマスクとするイオン注入により形成される。なお、レジストパターン83は開口部83aを有しており、開口部83aから露出している半導体基板30の部分にウェル領域30hが形成される。
【0047】
図13は、第2溝形成工程S7を説明する断面図である。
図13に示されるように、第2溝形成工程S7では、主面30aに溝30iが形成される。溝30iは、溝30d及び溝30eと同様の方法により形成される。
図14は、第2絶縁膜形成工程S8を説明する断面図である。
図14に示されるように、第2絶縁膜形成工程S8では、絶縁膜37が溝30iに埋め込まれる。絶縁膜37は、絶縁膜37の構成材料を例えばCVDにより溝30iに埋め込むとともに、溝30iからはみ出した絶縁膜37の構成材料を例えばCMPで除去することにより形成される。
【0048】
図15は、ゲート絶縁膜形成工程S9を説明する断面図である。
図15に示されるように、ゲート絶縁膜形成工程S9では、例えば熱酸化が行われることにより、主面30a上にゲート絶縁膜34が形成される。
図16は、ゲート形成工程S10を説明する断面図である。
図16に示されるように、ゲート形成工程S10では、ゲート絶縁膜34上にゲート35が形成される。ゲート35は、ゲート35の構成材料を例えばCVDによりゲート絶縁膜34上に成膜するとともに、成膜されたゲート35の構成材料をフォトレジストで形成されたレジストパターンをマスクとしてエッチングすることにより形成される。
【0049】
図17は、第2イオン注入工程S11を説明する断面図である。
図17に示されるように、第2イオン注入工程S11では、ゲート35、絶縁膜37及びフォトレジストで形成されたレジストパターン84をマスクとするイオン注入が行われることにより、第1部分30fa及び第1部分30gaが形成される。
図18は、サイドウォールスペーサ形成工程S12を説明する断面図である。
図18に示されるように、サイドウォールスペーサ形成工程S12では、サイドウォールスペーサ36の構成材料を例えばCVDで成膜するとともに成膜されたサイドウォールスペーサ36の構成材料をエッチバックすることで、ゲート35に接するように第1部分30fa上及び第1部分30ga上にサイドウォールスペーサ36が形成される。
【0050】
図19は、第3イオン注入工程S13を説明する断面図である。
図19に示されるように、第3イオン注入工程S13では、ゲート35、サイドウォールスペーサ36、絶縁膜37及びフォトレジストで形成されたレジストパターン85をマスクとしてイオン注入が行われることにより、第2部分30fb及び第2部分30gbが形成される。なお、レジストパターン84にはポリシリコン層31及びポリシリコン層32を露出させる開口部84aが形成されているため、この際に、コンタクト領域31a及びコンタクト領域32aも形成される。
【0051】
シリサイド工程S14では、第2部分30fbが形成されている主面30aの部分、第2部分30gbが形成されている主面30aの部分、ゲート35の上面、ポリシリコン層31の上端及びポリシリコン層32の上端が、シリサイド化される。シリサイド工程S14では、第1に、チタン、コバルト等の金属材料が、ポリシリコン層31、ポリシリコン層32、ゲート35、サイドウォールスペーサ36及び絶縁膜37を覆うように、主面30a上に成膜される。第2に、熱処理を行うことにより、成膜された金属材料とシリコンとが反応し、第2部分30fbが形成されている主面30aの部分、第2部分30gbが形成されている主面30aの部分、ゲート35の上面、ポリシリコン層31の上端及びポリシリコン層32の上端がシリサイド化される。この後、未反応の金属材料はエッチングにより除去される。
【0052】
図20は、層間絶縁膜形成工程S15を説明する断面図である。
図20に示されるように、層間絶縁膜形成工程S15では、ポリシリコン層31、ポリシリコン層32、ゲート35、サイドウォールスペーサ36及び絶縁膜37を覆うように主面30a上に層間絶縁膜40が形成される。層間絶縁膜形成工程S15では、第1に、ポリシリコン層31、ポリシリコン層32、ゲート35、サイドウォールスペーサ36及び絶縁膜37を覆うように、主面30a上に層間絶縁膜40の構成材料が例えばCVDで成膜される。第2に、成膜された層間絶縁膜40の構成材料が、例えばCMPで平坦化される。
【0053】
図21は、コンタクトプラグ形成工程S16を説明する断面図である。
図21に示されるように、コンタクトプラグ形成工程S16では、層間絶縁膜40中にコンタクトプラグ51(図示せず)、コンタクトプラグ52(図示せず)、コンタクトプラグ53(図示せず)、コンタクトプラグ54(図示せず)、コンタクトプラグ55、コンタクトプラグ56、コンタクトプラグ57、コンタクトプラグ58及びコンタクトプラグ59が形成される。コンタクトプラグ形成工程S16では、第1に、層間絶縁膜40中にコンタクトホールが形成される。なお、コンタクトホールは、層間絶縁膜40上にフォトレジストで形成されたレジストパターンをマスクとする異方性エッチングを行うことにより形成される。第2に、コンタクトホールに、コンタクトプラグの構成材料が例えばCVDで埋め込まれる。第3に、コンタクトホールからはみ出したコンタクトプラグの構成材料が、例えばCMPで除去される。
【0054】
配線形成工程S17では、配線71、配線72、配線73、配線74、配線75、配線76及び配線77が形成される。配線71、配線72、配線73、配線74、配線75、配線76及び配線77は、これらの配線の構成材料を例えばスパッタリングにより層間絶縁膜40上に成膜するとともに、成膜された構成材料をフォトレジストで形成されたレジストパターンを用いてエッチングすることにより形成される。以上により、
図2から
図5に示される構造の半導体装置100が製造される。
【0055】
<半導体装置100の効果>
以下に、半導体装置100の効果を説明する。
【0056】
半導体装置100では、溝30d及び溝30eに不純物がドープされているポリシリコンを例えばCVDで埋め込むことによりポリシリコン層31及びポリシリコン層32が形成されているため、ポリシリコン層31及びポリシリコン層32における不純物濃度のバラつきが小さい。そのため、半導体装置100では、ポリシリコン層31及びポリシリコン層32における不純物濃度のバラつきが小さくなることに起因して、ホール素子10の感度のバラつきが抑制されている。
【0057】
半導体装置100によると、ホール素子10の感度の調整が容易である。すなわち、半導体装置100では、溝30dの深さ(深さD1)及び溝30eの深さ(深さD2)を大きくすることにより(例えば、10μm以上とすることより)、ポリシリコン層31中を流れる電流経路及びポリシリコン層32を流れる電流経路を長くすることができるため、ホール素子10の感度を高めることができる。
【0058】
また、半導体装置100では、ポリシリコン層31及びポリシリコン層32における不純物濃度を増減させることにより、ホール素子10の感度を調整することができる。ポリシリコン層31及びポリシリコン層32における不純物濃度は、溝30d及び溝30eにポリシリコンを埋め込む際の当該ポリシリコンへのドープ量を調整することにより、容易に調整可能である。
【0059】
半導体装置100では、ホール素子の平面視における面積が、溝30d及び溝30eの幅や間隔を狭めることにより、縮小可能である。溝30d及び溝30eの幅や間隔は、ハードマスク80のパターンニングが可能であり、かつ溝30d及び溝30eの底から拡散層30cを露出させることが可能な範囲内なら、特に制限はない。そのため、半導体装置100によると、ホール素子10の平面視における面積を縮小可能である。
【0060】
半導体装置100において、配線71が端部31bにあるポリシリコン層31の上端及び端部32cにあるポリシリコン層32の上端に電気的に接続されているとともに配線72が端部31cにあるポリシリコン層31の上端及び端部32bにあるポリシリコン層32の上端に電気的に接続されている場合、ポリシリコン層31への磁界による抵抗値変化の影響及びポリシリコン層32への磁界による抵抗値変化の影響が足し合わされることになる。そのため、この場合には、ホール素子10の感度を高めることが可能である。
【0061】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体装置を説明する。第2実施形態に係る半導体装置を、半導体装置200とする。ここでは、半導体装置100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0062】
<半導体装置200の構成>
以下に、半導体装置200の構成を説明する。
【0063】
図22は、半導体装置200の平面図である。
図23は、
図22中のXXIII-XXIIIにおける断面図である。
図24は、
図22中のXXIV-XXIVにおける断面図である。
図22から
図24に示されるように、半導体装置200は、半導体基板30と、ポリシリコン層31及びポリシリコン層32と、絶縁膜33と、ゲート絶縁膜34と、ゲート35と、サイドウォールスペーサ36と、絶縁膜37とを有している。半導体装置200は、さらに、層間絶縁膜40と、コンタクトプラグ51、コンタクトプラグ52、コンタクトプラグ53、コンタクトプラグ54、コンタクトプラグ55、コンタクトプラグ56、コンタクトプラグ57、コンタクトプラグ58及びコンタクトプラグ59とを有している。
【0064】
半導体装置200は、さらに、配線71と、配線72と、配線73と、配線75と、配線76と、配線77とを有している。これらの点に関して、半導体装置200の構成は、半導体装置100の構成と共通している。
【0065】
半導体装置200では、主面30aに溝30j及び溝30kがさらに形成されている。溝30j及び溝30kは、第1方向DR1に沿って間隔を空けて並んでいる。溝30eは第1方向DR1において溝30dと溝30jとの間に配置されており、溝30jは第1方向DR1において溝30eと溝30kとの間に配置されている。すなわち、溝30d、溝30e、溝30j及び溝30kは、第1方向DR1において、間隔を空けてこの順で並んでいる。溝30j及び溝30kは、第2方向DR2に沿って延在している。溝30j及び溝30kは、第2方向DR2に直交する断面視において、拡散層30cに達するように主面30b側に向かって延在している。
【0066】
半導体装置200は、さらに、ポリシリコン層38と、ポリシリコン層39とを有している。ポリシリコン層38及びポリシリコン層39において、不純物濃度が均一になっている(すなわち、不純物濃度の最小値及び最大値がそれぞれ不純物濃度の平均値の0.8倍以上及び1.2以下になっている)。ポリシリコン層38及びポリシリコン層39は、それぞれ溝30j及び溝30kに埋め込まれている。ポリシリコン層38と溝30jの内壁面との間及びポリシリコン層39と溝30kの内壁面との間には、絶縁膜33が介在されている。ポリシリコン層38の下端及びポリシリコン層39の下端は、拡散層30cに電気的に接続されている。
【0067】
ポリシリコン層38の上端及びポリシリコン層39の上端には、それぞれコンタクト領域38a及びコンタクト領域39aが形成されている。ポリシリコン層38は、第2方向DR2における一方側の端部である端部38bと、第2方向DR2における他方側の端部である端部38cとを有している。ポリシリコン層39は、第2方向DR2における一方側の端部である端部39bと、第2方向DR2における他方側の端部である端部39cとを有している。
【0068】
半導体装置200は、さらに、コンタクトプラグ60と、コンタクトプラグ61と、コンタクトプラグ62と、コンタクトプラグ63と、コンタクトプラグ64と、コンタクトプラグ65を有している。コンタクトプラグ60、コンタクトプラグ61、コンタクトプラグ62、コンタクトプラグ63、コンタクトプラグ64及びコンタクトプラグ65は、層間絶縁膜40中に配置されている。コンタクトプラグ60の下端は端部38bにあるポリシリコン層38の上端に電気的に接続されており、コンタクトプラグ61の下端は端部38cにあるポリシリコン層38の上端に電気的に接続されている。コンタクトプラグ62の下端は端部39bにあるポリシリコン層39の上端に電気的に接続されており、コンタクトプラグ63の下端は端部39cにあるポリシリコン層39の上端に電気的に接続されている。
【0069】
コンタクトプラグ64の下端は端部38bと端部38cとの間にあるポリシリコン層38の上端に電気的に接続されており、コンタクトプラグ65の下端は端部39bと端部39cとの間にあるポリシリコン層39の上端に電気的に接続されている。コンタクトプラグ60、コンタクトプラグ61、コンタクトプラグ62、コンタクトプラグ63、コンタクトプラグ64及びコンタクトプラグ65は、例えばタングステンで形成されている。
【0070】
半導体装置200では、配線71が、コンタクトプラグ51の上端及びコンタクトプラグ54の上端に加え、コンタクトプラグ60及びコンタクトプラグ63の上端にも電気的に接続されている。半導体装置200では、配線72が、コンタクトプラグ52の上端及びコンタクトプラグ53の上端に加え、コンタクトプラグ61の上端及びコンタクトプラグ62の上端にも電気的に接続されている。半導体装置200は、配線74に代えて配線78を有しており、配線79をさらに有している。配線78は、コンタクトプラグ56の上端及びコンタクトプラグ64の上端に電気的に接続されている。これにより、ポリシリコン層31の上端及びポリシリコン層32の上端が、互いに電気的に接続されている。配線79は、コンタクトプラグ65の上端に電気的に接続されている。
【0071】
半導体装置200では、配線73及び配線79が、電源回路21に電気的に接続されている。これにより、ポリシリコン層31、拡散層30c及びポリシリコン層32を流れた電流が、配線78を介してポリシリコン層38に供給される。この電流は、ポリシリコン層38中を下方に向かって流れた後、拡散層30c中を流れてポリシリコン層39に達する。この電流は、ポリシリコン層39中を上方に向かって流れる。この電流の経路は、主面30aに平行な外部の磁界からローレンツ力を受けることにより曲げられる。これらの点に関して、半導体装置200の構成は、半導体装置100の構成と異なっている。
【0072】
なお、上記の例では、ポリシリコン層の数及びポリシリコン層が埋め込まれる溝の数が4つとされたが、ポリシリコン層の数及びポリシリコン層が埋め込まれる溝の数はこれに限られるものではない。
【0073】
<半導体装置200の製造方法>
以下に、半導体装置200の製造方法を説明する。
【0074】
半導体装置200の製造方法は、半導体装置100の製造方法と同様に、拡散層形成工程S1と、エピタキシャル成長工程S2と、第1溝形成工程S3と、第1絶縁膜形成工程S4と、ポリシリコン層形成工程S5と、第1イオン注入工程S6と、第2溝形成工程S7と、第2絶縁膜形成工程S8と、ゲート絶縁膜形成工程S9と、ゲート形成工程S10と、第2イオン注入工程S11と、サイドウォールスペーサ形成工程S12と、第3イオン注入工程S13と、シリサイド工程S14と、層間絶縁膜形成工程S15と、コンタクトプラグ形成工程S16と、配線形成工程S17とを有している。
【0075】
半導体装置200の製造方法では、第1溝形成工程S3において、溝30d及び溝30eに加えて、溝30j及び溝30kが形成される。半導体装置200の製造方法では、ポリシリコン層形成工程S5において、ポリシリコン層31の溝30dへの埋め込み及びポリシリコン層32の溝30eへの埋め込みに加えて、ポリシリコン層38及びポリシリコン層39がそれぞれ溝30j及び溝30kに埋め込まれる。半導体装置200の製造方法では、第3イオン注入工程S13において、第2部分30fb、第2部分30gb、コンタクト領域31a及びコンタクト領域32aに加えて、コンタクト領域38a及びコンタクト領域39aがさらに形成される。
【0076】
半導体装置200の製造方法では、シリサイド工程S14において、第2部分30fbが形成されている主面30aの部分、第2部分30gbが形成されている主面30aの部分、ゲート35の上面、ポリシリコン層31の上端及びポリシリコン層32の上端に加えて、ポリシリコン層38の上端及びポリシリコン層39の上端が、シリサイド化される。
【0077】
また、半導体装置200の製造方法では、コンタクトプラグ形成工程S16において、コンタクトプラグ51、コンタクトプラグ52、コンタクトプラグ53、コンタクトプラグ54、コンタクトプラグ55、コンタクトプラグ56、コンタクトプラグ57、コンタクトプラグ58及びコンタクトプラグ59に加えて、コンタクトプラグ60、コンタクトプラグ61、コンタクトプラグ62、コンタクトプラグ63、コンタクトプラグ64及びコンタクトプラグ65が形成される。半導体装置200の製造方法では、配線形成工程S17において、配線71、配線72、配線73、配線75、配線76及び配線77に加えて、配線78及び配線79が形成される。これらの点に関して、半導体装置200の製造方法は、半導体装置100の製造方法と異なっている。
【0078】
<半導体装置200の効果>
以下に、半導体装置200の効果を説明する。
【0079】
半導体装置200では、電流がポリシリコン層31及びポリシリコン層32に加えてポリシリコン層38及びポリシリコン層39にも流れるため、電流の経路が長くなる。そのため、半導体装置200によると、主面30aに平行な外部の磁場から電流が受けるローレンツ力の影響がさらに大きくなり、ホール素子10の感度がさらに高まる。
【0080】
以上のように本開示の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0081】
10 ホール素子、21 電源回路、22 抵抗測定回路、23 信号処理回路、30 半導体基板、30a,30b 主面、30c 拡散層、30d,30e 溝、30f ソース領域、30fa 第1部分、30fb 第2部分、30g ドレイン領域、30ga 第1部分、30gb 第2部分、30h ウェル領域、30i 溝、30j,30k 溝、31 ポリシリコン層、31a コンタクト領域、31b,31c 端部、32 ポリシリコン層、32a コンタクト領域、32b,32c 端部、33 絶縁膜、34 ゲート絶縁膜、35 ゲート、36 サイドウォールスペーサ、37 絶縁膜、38 ポリシリコン層、38a コンタクト領域、38b,38c 端部、39 ポリシリコン層、39a コンタクト領域、39b,39c 端部、40 層間絶縁膜、51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65 コンタクトプラグ、71,72,73,74,75,76,77,78,79 配線、80 ハードマスク、81 第1層、82 第2層、83 レジストパターン、83a 開口部、84 レジストパターン、85 レジストパターン、85a 開口部、100,200 半導体装置、S1 拡散層形成工程、S2 エピタキシャル成長工程、S3 第1溝形成工程、S4 第1絶縁膜形成工程、S5 ポリシリコン層形成工程、S6 第1イオン注入工程、S7 第2溝形成工程、S8 第2絶縁膜形成工程、S9 ゲート絶縁膜形成工程、S10 ゲート形成工程、S11 第1イオン注入工程、S12 サイドウォールスペーサ形成工程、S13 第2イオン注入工程、S14 シリサイド工程、S15 層間絶縁膜形成工程、S16 コンタクトプラグ形成工程、S17 配線形成工程、DR1 第1方向、DR2 第2方向、D1,D2 深さ。