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特開2023-179935ベルクランクの連結装置及び連結方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179935
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】ベルクランクの連結装置及び連結方法
(51)【国際特許分類】
   E05B 79/20 20140101AFI20231213BHJP
   E05B 79/08 20140101ALI20231213BHJP
【FI】
E05B79/20
E05B79/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092891
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(72)【発明者】
【氏名】木村 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】時松 英樹
(72)【発明者】
【氏名】原 拓也
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ43
2E250KK01
2E250LL01
2E250MM01
2E250QQ04
2E250QQ08
2E250QQ09
(57)【要約】
【課題】操作装置の操作ストロークをベルクランクを経由して被操作装置に確実に伝達できるようにする。
【解決手段】ベース部材7と、ベース部材7に回動可能に支持され、一端部が操作装置2に連結部材6を介して連結され、他端部が被操作装置4に操作ケーブル5を介して連結されるベルクランク4と、ベルクランク4の他端部に設けられ、操作ケーブル5の一端部に長手方向へ調整可能に連結されるコネクタ9と、ベース部材7に着脱可能に設けられ、ベルクランク4が連結部材6及び操作ケーブル5を介して操作装置2及び被操作装置3に連結されていない状態において、ベルクランク4に対して回転方向への付勢力を付与して予め定めた初期位置に保持可能なホルダ101、201と、を備える。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアパネルに固定されるベース部材と、
前記ベース部材に回動可能に支持され、一端部が前記ドアパネルに取付けられる操作装置に連結部材を介して連結され、他端部が前記ドアパネルに取付けられる被操作装置に操作ケーブルを介して連結されるベルクランクと、
前記ベルクランクの他端部に設けられ、前記操作ケーブルの一端部が前記操作ケーブルの長手方向へ調整可能に連結されるコネクタと、
前記ベース部材に着脱可能に設けられ、前記ベルクランクが前記連結部材及び前記操作ケーブルを介して前記操作装置及び前記被操作装置に連結されていない状態において、前記ベルクランクに対して回転方向への付勢力を付与して予め定めた初期位置に保持可能なホルダと、を備えることを特徴とするベルクランクの連結装置。
【請求項2】
前記ホルダは、舌片状の弾性部を有し、当該弾性部により前記ベルクランクに対して回転方向への付勢力を付与することを特徴とする請求項1記載のベルクランクの連結装置。
【請求項3】
前記ホルダは、前記ベルクランクを前記初期位置に停止させるためのストッパ部を有することを特徴とする請求項1又は2記載のベルクランクの連結装置。
【請求項4】
前記ホルダは、前記操作ケーブルの一端部を前記コネクタに連結する際、前記操作ケーブルの一端部を前記コネクタに設けた嵌合溝に向けて案内する案内部を有することを特徴とする請求項1又は2記載のベルクランクの連結装置。
【請求項5】
前記ホルダは、自体に設けた嵌合軸部が前記ベース部材に設けた切欠部に嵌合することにより前記ベース部材に固定され、前記嵌合軸部を中心に所定角度回動することにより前記嵌合軸部が前記切欠部から外れて、前記ベース部材から取り外し可能となることを特徴とする請求項1又は2記載のベルクランクの連結装置。
【請求項6】
前記操作ケーブルは、
一端部が前記コネクタに連結され、他端部が前記被操作装置の被操作部材に連結されるインナケーブルと、
前記インナケーブルが挿通され、一端部が前記ベルクランクの付近で前記ベース部材に固定され、他端部が前記被操作部材の付近で前記被操作装置のベース部材に固定される可撓性のアウタケーブルと、を含み、
前記アウタケーブルの一端部から突出する前記インナケーブルの一端部に設けた調整軸と前記アウタケーブルの一端部との間にコイルスプリングを設け、当該コイルスプリングの付勢力により前記調整軸を前記アウタケーブルの一端部から突出する方向へ付勢すること特徴とする請求項1又は2記載のベルクランクの連結装置。
【請求項7】
ドアパネルに固定されるベース部材と、
前記ベース部材に回動可能に支持され、一端部が前記ドアパネルに取付けられる操作装置に連結部材を介して連結され、他端部が前記ドアパネルに取付けられる被操作装置に操作ケーブルを介して連結されるベルクランクと、
前記ベルクランクの他端部に設けられ、前記操作ケーブルの一端部が前記操作ケーブルの長手方向へ調整可能に連結されるコネクタと、
前記ベース部材に着脱可能に設けられ、前記ベルクランクが前記連結部材及び前記操作ケーブルを介して前記操作装置及び前記被操作装置に連結されていない状態において、前記ベルクランクに対して回転方向への付勢力を付与して予め定めた初期位置に保持可能なホルダと、を備え、
前記ベルクランクの一端部を前記連結部材を介して前記操作装置に連結した後、前記操作ケーブルの一端部を前記コネクタに連結することを特徴とするベルクランクの連結方法。
【請求項8】
ドアパネルに固定されるベース部材と、
前記ベース部材に回動可能に支持され、一端部が前記ドアパネルに取付けられる操作装置に連結部材を介して連結され、他端部が前記ドアパネルに取付けられる被操作装置に操作ケーブルを介して連結されるベルクランクと、
前記ベルクランクの他端部に設けられ、前記操作ケーブルの一端部が前記操作ケーブルの長手方向へ調整可能に連結されるコネクタと、
前記ベース部材に着脱可能に設けられ、前記ベルクランクが前記連結部材及び前記操作ケーブルを介して前記操作装置及び前記被操作装置に連結されていない状態において、前記ベルクランクに対して回転方向への付勢力を付与して予め定めた初期位置に保持可能なホルダと、
前記操作ケーブルの一端部側に着脱可能に取付けられ、前記操作ケーブルの一端部を前記コネクタに連結する際に用いられるケーブル連結クリップと、を備え、
前記ベルクランクの一端部を前記連結部材を介して前記操作装置に連結した後、前記操作ケーブルの一端部を前記ケーブル連結クリップを用いて前記コネクタに連結することを特徴とするベルクランクの連結方法。
【請求項9】
前記操作ケーブルの一端部を前記コネクタに連結した後、前記ホルダは前記ベース部材から取り外されることを特徴とする請求項7又は8記載のベルクランクの連結方法。
【請求項10】
前記ケーブル連結クリップは、前記操作ケーブルの一端部を前記コネクタに連結した後、前記操作ケーブルから取り外されることを特徴とする請求項8記載のベルクランクの連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置の操作ストロークを中継して、当該中継した操作ストロークを被操作装置に伝達するためのベルクランクの連結装置及び連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両のスライドドアにおいては、スライドドアを閉鎖状態に保持するためのドアロック装置、及びスライドドアを車外から開ける際に操作されるドアハンドル等の各種要素が設けられる。
【0003】
ドアハンドルは、スライドドアのアウタパネルの前部に配置され、ドアロック装置は、ドアハンドル装置から離れたスライドドア内の後端に配置される。したがって、ドアハンドルの操作ストロークをドアロック装置に伝達するためには、ドアハンドルとドアロック装置との間にベルクランクを配置すると共に、ドアハンドルとベルクランク、及びベルクランクとドアロック装置とをそれぞれ連結ロッド、操作ケーブル等により互いに連結する必要がある。
【0004】
しかし、スライドドアのアウタパネルとインナパネルとを互いに接合するヘミング加工は、両者の相対位置が必ずしも一定になるとは限らない。このため、アウタパネル側のドアハンドルとインナパネル側のベルクランクの相対位置関係が正規位置からずれてしまうことに起因して、一定長の連結ロッドでドアハンドルとベルクランクとを互いに連結すると、ドアハンドルの操作に伴うベルクランクの操作回転角が一定にならない場合がある。一方、ドアロック装置のレバーを確実に予め定めた所定角度回転させるためには、ベルクランクの操作回転角に対する操作ケーブルの引張り量が一定量となるように調整する必要があるが、車両毎に変化するベルクランクの操作回転角に応じて操作ケーブルの操作ストロークを一定量に確保するためには要素毎の煩雑な調整が必要となる。
【0005】
そこで、特許文献1においては、操作ケーブルのインナケーブルを可撓性のアウタケーブル(アウターケース)の第2端部から所定量突出した状態で保持部材により保持しつつ、インナケーブルの第1端部をベルクランクに連結するとともに、アウタケーブルの第1端部をインナケーブルの長手方向の適宜位置で固定手段により固定し、その後、保持部材によるインナケーブルの保持を解除して、インナケーブルの第2端部を被操作装置であるレバーに連結するとともに、アウタケーブルの第2端部をベース部材に固定することによって、一定のケーブルストロークが確保された状態で操作ケーブルを取り付けることができるようにした操作ケーブルの取付方法を提案している。
【0006】
特許文献2においては、操作ケーブルの可撓性のアウタケーブルの一端部から突出するインナケーブルの一端部に調整軸を固着すると共に、調整軸とアウタケーブルの一端部との間に、調整軸をアウタケーブルの一端部から突出する方向へ付勢するコイルスプリングを設けて、ベルクランクと被操作装置であるドアロック装置とを、インナケーブルの一端部を調整軸によりベルクランクに接続された長さ調整接続具に対して長手方向の適宜位置で連結することにより、ベルクランクと被操作装置との互いの位置関係のずれを吸収した状態で、インナケーブルの一端部をベルクランクに連結可能として、操作装置であるドアハンドルの操作に伴うベルクランクの作動ストロークを被操作装置に対して確実に伝達可能とした回転部材の連結装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4761273号公報
【特許文献2】特開2021-134816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、2に開示された方法及び装置においては、ベルクランクと被操作装置との間のベルクランク連結経路についての対策を行っているが、ベルクランクと操作装置との間のハンドル連結経路においての対策が不十分であるため、煩雑な調整作業が必要となる。したがって、操作装置の操作ストロークを確実に被操作装置に伝達するためには、ベルクランク連結経路に加えて、ハンドル連結経路の対策を行う必要がある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、煩雑な調整作業を行うことなく、操作装置の操作ストロークをベルクランクを経由して被操作装置に確実に伝達できるようにしたベルクランクの連結装置及び連結方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記技術的課題を解決するために、第1の発明における技術的手段は、ベルクランクの連結装置において、ドアパネルに固定されるベース部材と、前記ベース部材に回動可能に支持され、一端部が前記ドアパネルに取付けられる操作装置に連結部材を介して連結され、他端部が前記ドアパネルに取付けられる被操作装置に操作ケーブルを介して連結されるベルクランクと、前記ベルクランクの他端部に設けられ、前記操作ケーブルの一端部が前記操作ケーブルの長手方向へ調整可能に連結されるコネクタと、前記ベース部材に着脱可能に設けられ、前記ベルクランクが前記連結部材及び前記操作ケーブルを介して前記操作装置及び前記被操作装置に連結されていない状態において、前記ベルクランクに対して回転方向への付勢力を付与して予め定めた初期位置に保持可能なホルダと、を備えることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記ホルダは、舌片状の弾性部を有し、当該弾性部により前記ベルクランクに対して回転方向への付勢力を付与する。
【0012】
好ましくは、前記ホルダは、前記ベルクランクを前記初期位置に停止させるためのストッパ部を有する。
【0013】
好ましくは、前記ホルダは、前記操作ケーブルの一端部を前記コネクタに連結する際、前記操作ケーブルの一端部を前記コネクタに設けた嵌合溝に向けて案内する案内部を有する。
【0014】
好ましくは、前記ホルダは、自体に設けた嵌合軸部が前記ベース部材に設けた切欠部に嵌合することにより前記ベース部材に固定され、前記嵌合軸部を中心に所定角度回動することにより前記嵌合軸部が前記切欠部から外れて、前記ベース部材から取り外し可能とする。
【0015】
好ましくは、前記操作ケーブルは、一端部が前記コネクタに連結され、他端部が前記被操作装置の被操作部材に連結されるインナケーブルと、前記インナケーブルが挿通され、一端部が前記ベルクランクの付近で前記ベース部材に固定され、他端部が前記被操作部材の付近で前記被操作装置のベース部材に固定される可撓性のアウタケーブルと、を含み、前記アウタケーブルの一端部から突出する前記インナケーブルの一端部に設けた調整軸と前記アウタケーブルの一端部との間にコイルスプリングを設け、当該コイルスプリングの付勢力により前記調整軸を前記アウタケーブルの一端部から突出する方向へ付勢する。
【0016】
第2の発明における技術的手段は、ベルクランクの連結方法において、ドアパネルに固定されるベース部材と、前記ベース部材に回動可能に支持され、一端部が前記ドアパネルに取付けられる操作装置に連結部材を介して連結され、他端部が前記ドアパネルに取付けられる被操作装置に操作ケーブルを介して連結されるベルクランクと、前記ベルクランクの他端部に設けられ、前記操作ケーブルの一端部が前記操作ケーブルの長手方向へ調整可能に連結されるコネクタと、前記ベース部材に着脱可能に設けられ、前記ベルクランクが前記連結部材及び前記操作ケーブルを介して前記操作装置及び前記被操作装置に連結されていない状態において、前記ベルクランクに対して回転方向への付勢力を付与して予め定めた初期位置に保持可能なホルダと、を備え、前記ベルクランクの一端部を前記連結部材を介して前記操作装置に連結した後、前記操作ケーブルの一端部を前記コネクタに連結することを特徴とする。
【0017】
第3の発明における技術的手段は、ベルクランクの連結方法において、ドアパネルに固定されるベース部材と、前記ベース部材に回動可能に支持され、一端部が前記ドアパネルに取付けられる操作装置に連結部材を介して連結され、他端部が前記ドアパネルに取付けられる被操作装置に操作ケーブルを介して連結されるベルクランクと、前記ベルクランクの他端部に設けられ、前記操作ケーブルの一端部が前記操作ケーブルの長手方向へ調整可能に連結されるコネクタと、前記ベース部材に着脱可能に設けられ、前記ベルクランクが前記連結部材及び前記操作ケーブルを介して前記操作装置及び前記被操作装置に連結されていない状態において、前記ベルクランクに対して回転方向への付勢力を付与して予め定めた初期位置に保持可能なホルダと、前記操作ケーブルの一端部側に着脱可能に取付けられ、前記操作ケーブルの一端部を前記コネクタに連結する際に用いられるケーブル連結クリップと、を備え、前記ベルクランクの一端部を前記連結部材を介して前記操作装置に連結した後、前記操作ケーブルの一端部を前記ケーブル連結クリップを用いて前記コネクタに連結することを特徴とする。
【0018】
好ましくは、前記操作ケーブルの一端部を前記コネクタに連結した後、前記ホルダは前記ベース部材から取り外される。
【0019】
好ましくは、前記ケーブル連結クリップは、前記操作ケーブルの一端部を前記コネクタに連結した後、前記操作ケーブルから取り外される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、ベース部材にホルダを取付けた状態で、ベルクランクの一端部を操作装置に連結された連結部材に連結することによって、ハンドル連結経路に発生するガタ付き等を吸収した状態で、ベルクランクと操作装置とを連結部材を介して連結できるため、煩雑な調整作業を行うことなく、操作装置の操作ストロークをベルクランクを経由して被操作装置に確実に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明を適用したスライドドアの車外側から見た側面図である。
図2】スライドドアの車内側から見た要部の側面図である。
図3】ベルクランクを含む要部の側面図である。
図4図3におけるIV-IV線断面図である。
図5】ドアロック装置の概略側面図である。
図6】第1実施例におけるホルダとベース部材とを分離した状態のベルクランクの連結装置の斜視図である。
図7】同じく、ホルダをベース部材に取付けた状態のベルクランクの連結装置の斜視図である。
図8】同じく、ベルクランクの連結装置の側面図である。
図9】同じく、ベルクランクを操作装置に連結した状態のベルクランクの連結装置の側面図である。
図10】同じく、操作ケーブルをベルクランクに連結した状態のベルクランクの連結装置の側面図である。
図11図10におけるXI-XI線断面図である。
図12】第2実施例におけるベルクランクの連結装置の斜視図である。
図13図12におけるXIII-XIII線断面図である。
図14】第2実施例において、ベルクランクを操作装置に連結した状態のベルクランクの連結装置の側面図である。
図15】同じく、操作ケーブルをベルクランクに連結した状態のベルクランクの連結装置の斜視図である。
図16】同じく、ベルクランクを操作装置に連結した状態のベルクランクの連結装置の側面図である。
図17図16におけるXVII-XVII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るベルクランクの連結装置及び連結方法を車両のスライドドア1に適用した実施形態について説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではなく、以下の実施形態から当業者が自明の範囲内で適宜変更したものも含む。
【0023】
(スライドドア1に組み付けられる要素の説明)
先ず、図1~5に基いて、スライドドア1に組み付けられる要素について説明する。図1、2に示すように、車両のスライドドア1には、ドアハンドル(操作装置)2、ドアロック装置3(被操作装置)、ベルクランク4及び操作ケーブル5等の要素が組み付けられる。
【0024】
ドアハンドル2の操作は、連結ロッド6(連結部材)、ベルクランク4及び操作ケーブル5を介してドアロック装置3のオープンレバー31に伝達される。これにより、ドアハンドル2が操作されると、オープンレバー31が解除方向(図2において時計方向)に予め定めた所定角度回転してドアロック装置3に設けられる噛合機構33を解除作動させて、スライドドア1を開けることができる。
【0025】
ドアハンドル2は、スライドドア1の外側面を形成するアウタパネル(ドアパネル)11の前部に固定されたハンドルベース21に、上下方向の軸廻りに回転可能に枢支される。ハンドルベース21の裏側(スライドドア1の内部を向く側)には、ドアハンドル2の操作に連動する操作部材をなす操作レバー22が設けられる。操作レバー22は、ハンドルベース21に前後方向の軸回りに上下方向へ回転可能に枢支される。なお、操作レバー22は、ドアハンドル2に一体的に形成しても良い。
【0026】
操作レバー22の端部には、下端部がベルクランク4に連結された上下方向の連結ロッド6の上端部が連結される。これにより、ドアハンドル2がスプリング23(図3参照)の付勢力に抗して操作されると、図3に示すように、操作レバー22が下方へ所定角度回転して、連結ロッド6が押し下げられる。押し下げられた連結ロッド6の動作、すなわちドアハンドル2の操作ストロークは、ベルクランク4に伝達される。
【0027】
ベルクランク4は、スライドドア1のインナパネル(ドアパネル)12の表面(室内側を向く面)に図示略のボルトにより固定されるベース部材7に左右方向を向く回転軸8により回転自在に支持される。好ましくは、ベルクランク4は、ベース部材7の表面側(室内側)に配置される第1レバー41と、ベース部材7の裏面側に配置される第2レバー42とに分割して、第1レバー41と第2レバー42とを回転軸8を介して一体回動するように互いに連結する。
【0028】
第1レバー41の端部には、コネクタ9が回動可能に接続される。コネクタ9は、操作ケーブル5における後述のインナケーブル52の一端部に設けた調整軸53に操作ケーブル5の長手方向へ調整可能に連結される。
【0029】
第2レバー42は、ベース部材7の裏面側に回転可能に配置されると共に、インナパネル12に設けられた図示略の開口部を通ってスライドドア1内(アウタパネル11とインナパネル12との間の空間)に配置される。第2レバー42の端部には、上端部が操作レバー22に連結された連結ロッド6の下端部が連結される。
【0030】
図3、4、11に示すように、コネクタ9は、合成樹脂製であって、第1レバー41の端部に回動可能に嵌合される軸部9aと、横断面形状が半円状の嵌合溝9bを設けた座部9cと、薄肉部9dを介して座部9cに対して折り曲げ可能に連設される蓋部9eとを有する。嵌合溝9b及び蓋部92に設けた嵌合溝9fの内周面には、調整軸53の外周に設けた螺合突条部に係合可能な螺合溝9g、9hが設けられる。
【0031】
図4に示すように、調整軸53は、蓋部9eを折り畳むことにより、嵌合溝9b、9f間に挟み込まれてコネクタ9に連結される。これにより、インナケーブル52の一端部を、調整軸53及びコネクタ9を介して、長手方向の任意の位置でベルクランク4の第1レバー41に連結することができる。
【0032】
操作ケーブル5は、円筒状で、かつ可撓性のアウタケーブル51と、アウタケーブル51内に長手方向(軸線方向)へ移動可能に挿通されるインナケーブル52とを含んで構成される。
【0033】
図3、4に示すように、アウタケーブル51の一端部51aは、ベルクランク4の近傍にあって、ベース部材7に設けた支持部7aに固定される。アウタケーブル5の一端部51aから突出するインナケーブル52の一端部には、インナケーブル52の長手方向に所定の長さを有する前述の調整軸53が固着される。調整軸53は、外周面に設けた螺旋突条部がベルクランク4に接続されたコネクタ9の嵌合溝9b、9fの螺旋溝9g、9hに係合することで長手方向に任意の位置に調整可能に連結される。
【0034】
アウタケーブル51の一端部51aから突出する部分のインナケーブル52の周囲にあって、かつ調整軸53とアウタケーブル51の一端部51aとの間には、調整軸53をアウタケーブル51の一端部51aから突出させる方向へ付勢するコイルスプリング54が設けられる。好ましくは、調整軸53に作用する突出方向のコイルスプリング54の付勢力は、ドアロック装置3のオープンレバー31に作用する後述のスプリング35(図5参照)の付勢力よりも小さくなるように設定される。
【0035】
図5に示すように、アウタケーブル51の他端部(後端部)51bは、ドアロック装置3のオープンレバー31の近傍にあって、ドアロック装置3のベース部材32に固定される。アウタケーブル51の他端部51bから突出するインナケーブル52の他端部に設けた連結部52aは、オープンレバー31に設けた長孔31a内に摺動可能に連結される。
【0036】
図5に示すように、ドアロック装置3は、スライドドア1内の後部のインナパネル12に固定されるベース部材32と、当該ベース部材32内に収容され、車体側に固着される図示略のストライカと係合することによりスライドドア1を閉鎖位置に保持する噛合機構33と、ベース部材32に回動可能に支持されるオープンレバー31を有する。
【0037】
オープンレバー31は、ベース部材32に左右方向の枢軸34により所定角度回転可能に枢支されると共に、スプリング35による反時計方向への付勢力が付与されることにより、非作動時にはベース部材32に設けたストッパ部32aに反時計方向から当接した初期位置に保持される。
【0038】
オープンレバー31の長孔31aには、インナケーブル52の連結部52aが摺動可能に連結される。なお、インナケーブル52の連結部52aは、図4に示すように、操作ケーブル5のインナケーブル52に作用するコイルスプリング54の付勢力により、図5に示すように、オープンレバー31の長孔31aの前端縁に当接した状態で連結される。
【0039】
上述のように、ドアハンドル2の操作レバー22とベルクランク4とを連結ロッド6、またベルクランク4とドアロック装置3のオープンレバー31とを操作ケーブル5によりそれぞれ連結することで、ドアハンドル2が操作されると、当該操作の操作ストロークは、連結ロッド6、ベルクランク4、インナケーブル52を経由して、オープンレバー31に伝達される。これにより、オープンレバー31は、スプリング35の付勢力に抗して初期位置から解除方向(時計方向)へ予め定めた所定角度回転することにより、噛合機構33の一部を構成する図示略の噛合解除レバーを作動させて、噛合機構33とストライカとの噛合を解除してスライドドア1の開きを可能にする。
【0040】
しかし、アウタパネル11とインナパネル12との接合精度、ドアハンドル2、ベルクランク4の取り付け位置、連結ロッド6の長さのバラツキ及びドアハンドル2とベルクランク4とを連結するハンドル連結経路に発生するがた付き等を考慮しないで、調整軸53をベルクランク4に接続されたコネクタ9に連結すると、ドアハンドル2の操作に基づいて、ベルクランク4が回転してインナケーブル52が引っ張られても、オープンレバー31の作動ストロークが不足して、オープンレバー31を予め定めた所定角度回転させることができないという現象が発生して、噛合機構33の噛合解除が不能となり、スライドドア1を開けることができない事態が発生する虞があるため、従来の構造では煩雑な調整作業が必要となっていた。
【0041】
そこで、本発明においては、下記に説明するベルクランクの連結装置及び連結方法を用いて、ドアハンドル2とベルクランク4、及びベルクランク4とドアロック装置3のオープンレバー31とをそれぞれ連結することによって、ドアハンドル2の操作による操作ストロークをベルクランク4に確実に伝達して、オープンレバー31を予め定めた所定角度回転させることができるようにしたものである。
【0042】
(ベルクランクの連結装置及び連結方法)
<第1実施例>
図6~11を参照して、本発明に係る第1実施例について説明する。
第1実施例の連結装置100は、ドアハンドル2とベルクランク4、及びベルクランク4とドアロック装置3のオープンレバー31とをそれぞれ連結する場合に用いられるものであって、前述のベース部材7、ベルクランク4及びコネクタ9に加えて、さらにベース部材7に着脱可能に取付けられるホルダ101を備える。ホルダ101は、ベルクランク4がドアハンドル2及びドアロック装置3のオープンレバー31にそれぞれ連結された後、ベース部材7から取り外されて再利用される。
【0043】
ホルダ101は、合成樹脂製であって、ベース部材7に着脱可能に固定される基部101aと、基部101aに連設される舌片状の弾性部101b及びガイド部101cと、を一体形成する。
【0044】
基部101aは、後斜め上部に設けた嵌合軸部101eと、中央付近に設けた嵌合孔101fとを有し、嵌合軸部101eがベース部材7に設けた第1折曲部7bの切欠部7c、また嵌合孔101fがベース部材7に設けた第2折曲部7dにそれぞれ嵌合することによって、ホルダ101をベース部材7に着脱可能に固定する。基部101aの前斜め下端部には、ベルクランク4を予め定めた初期位置(図8に示す位置)に停止させるためのストッパ部101dが設けられる。
【0045】
弾性部101bは、弾性変形可能であって、基部101aがベース部材7に固定された状態において、第1レバー41に設けた当接部41aに弾性変形した状態で当接することにより、ベルクランク4に対して回転方向(図8において反時計方向)への付勢力を付与する。
【0046】
ベルクランク4は、第1レバー41がインナケーブル52、また第2レバー42が連結ロッド6にそれぞれ連結されていない状態において、弾性部101bにより回転方向への付勢力が付与されることで、図7、8に示すように、ストッパ部101dに当接する初期位置に保持される。好ましくは、ベルクランク4の初期位置は、第2レバー42と操作レバー22とを連結ロッド6により互いに連結した際に、取付け対象となる車両毎に決定される後述の最適な連結位置よりも反対方向側(図8において反時計方向側)に位置するように設定される。
【0047】
案内部101cは、調整軸53をコネクタ9の嵌合溝9bに嵌合する場合、調整軸53を嵌合溝9bに向けて案内する機能を有するものであって、最適な連結位置にあるベルクランク4に接続されたコネクタ9に近設する位置に設けられて、図11に示すように、コネクタ9の嵌合溝9bに向けて下り傾斜するように形成される。
【0048】
次に、第1実施例のベルクランクの連結装置100を用いて、ベルクランク4をドアハンドル2のハンドルレバー22及びドアロック装置3のオープンレバー31にそれぞれ連結する際の連結方法について説明する。
【0049】
連結装置100を用いて、各要素を連結する際には、連結装置100のベース部材7をインナパネル12に固定し、ドアハンドル2をアウタパネル11に取付け、連結ロッド6の下端部を第2レバー42に連結し、操作ケーブル5のインナケーブル52の連結部52aをオープンレバー31に連結すると共にアウタケーブル51の他端部51bをドアロック装置3のベース部材32に固定した状態で行われる。この状態においては、ベルクランク4は、ホルダ101の弾性部101bにより反時計方向へ付勢されているため、図8に示すように、第1レバー41がホルダ101のストッパ部101dに当接した初期位置に保持されている。
【0050】
先ず、作業者は、インナパネル12に設けた作業孔12b(図2参照)からスライドドア1内に手を入れて、連結ロッド6の上端部をハンドルレバー22に連結する。この場合、ベルクランク4は、ホルダ101の弾性部101bの付勢力により初期位置に弾性保持されているため、弾性部101bの付勢力に抗して、図8に示す初期位置から操作回転方向(図8において時計方向であって、ストッパ部101dから離れる方向)へ若干回転した図9に示す最適な連結位置に回転して、当該連結位置に保持される。
【0051】
ベルクランク4が最適な連結位置に保持された状態にあっては、ホルダ101の弾性部101bが第1連結レバー41の当接部41aに当接して、ベルクランク4に対して反時計方向への付勢力を付与しているため、連結ロッド6がハンドルレバー22と第2レバー42とを連結するハンドル連結経路に発生するがた付きを片側に寄せた状態(がた付きを吸収した状態)で、ベルクランク4は最適な連結位置に保持される。
【0052】
なお、ベルクランク4の最適な連結位置とは、アウタパネル11とインナパネル12との接合、連結ロッド5の長さ、ドアハンドル2及びベルクランク4の相対位置関係のバラツキ、及びハンドル連結経路のがた付きの大小等を吸収して、取付対象の車両にとって最適な位置を意味する。
【0053】
次に、図10に示すように、操作ケーブル5のアウタケーブル51の一端部51aをベース部材7の支持部7aに固定し、その後に、調整軸53を最適な連結位置に保持されたベルクランク4に接続されたコネクタ9に連結する。調整軸53をコネクタ9に連結する際は、コネクタ9の蓋部9eを開いた状態で、調整軸53を嵌合溝9bに嵌合し、次いで蓋部9eを折り畳んで、調整軸53を座部9cと蓋部9fとの間に挟み込むことで行われる。なお、調整軸53をコネクタ9の嵌合溝9bに嵌合する場合は、図11に示すように、調整軸53をホルダ101のガイド部101cに乗せた状態で押し込むことで、調整軸53がガイド部101cにより嵌合溝9bに向けて案内されるため、調整軸53を嵌合溝9bに簡単に嵌合させることができ、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0054】
なお、調整軸53をコネクタ9に連結する際は、インナケーブル52に作用するコイルスプリング54の付勢力により、図5に示すように、インナケーブル52の連結部52aがオープンレバー31の長孔31aの前端縁に接触した状態に保持されると共に、インナケーブル52の一端部側のアウタケーブル51の一端部51aからの出代が自動的に調整されているため、連結作業の度に、出代を調整する必要がなく、速やかに調整軸53をコネクタ9の螺合溝9bに連結することができる。この結果、各要素の取り付け位置、長さのバラツキ及び各連結部位のがた付きを吸収した状態で、連結作業を効率的に行うことができる。
【0055】
最後に、ホルダ101をベース部材7から取り外す。ホルダ101をベース部材7から取り外す場合には、後述する第2実施例と同様な方法で、ホルダ101全体を嵌合軸部101eを中心に所定角度回動させることで、嵌合孔101fがベース部材7の第2折曲部7dから外れると共に、嵌合軸部101eが第1折曲部7bの切欠部7cから外れる。これにより、ホルダ101をベース部材7から簡単に取外すことができる。
【0056】
上述により、図3に示すような状態で、ベルクランク4をドアハンドル2及びドアロック装置3にそれぞれ連結することができる。この結果、取付け対象となる車両毎に異なるアウタパネル11とインナパネル12との接合、連結ロッド5の長さ、ドアハンドル2及びベルクランク4の相対位置関係のバラツキ、及びハンドル連結経路のがた付きの大小等の影響を受けることなく、ドアハンドル2の操作による操作ストロークを連結ロッド6、ベルクランク4及び操作ケーブル5を経由して、ドアロック装置3のオープンレバー31に確実に伝達することが可能となる。
【0057】
(第2実施例)
図12~17を参照して、本発明に係る第2実施例について説明する。
第2実施例の連結装置200は、ベルクランク4をドアハンドル2及びドアロック装置3のオープンレバー31にそれぞれ連結する場合に用いられるものであって、前述のベース部材7、ベルクランク4及びコネクタ9に加えて、さらにベース部材7に着脱可能に取付けられるホルダ201と、操作ケーブル5をベルクランク4に連結される際に使用されるケーブル連結クリップ202とを備える。ホルダ201は、ベルクランク4がドアハンドル2及びドアロック装置3のオープンレバー31にそれぞれ連結された後、ベース部材7から取り外されて再利用される。ケーブル連結クリップ202は、操作ケーブル5をベルクランク4に連結した後、操作ケーブル5から取り外されて再利用される。
【0058】
ホルダ201は、合成樹脂製であって、ベース部材7に着脱可能に固定される基部201aと、基部201aに連設される舌片状の弾性部201b及び摘み部201cと、を一体形成する。
【0059】
基部201aは、後斜め上部に設けた嵌合軸部201eと、中央付近に設けた嵌合孔201fとを有し、嵌合軸部201eがベース部材7に設けた第1折曲部7bの切欠部7c、また嵌合孔201fがベース部材7に設けた第2折曲部7dにそれぞれ嵌合することによって、ホルダ201をベース部材7に着脱可能に固定する。基部201aの前斜め下端部には、ベルクランク4を予め定めた初期位置に停止させるためのストッパ部201dが設けられる。
【0060】
弾性部201bは、弾性変形可能であって、基部201aがベース部材7に固定された状態において、第1レバー部41に設けた当接部41aに弾性変形した状態で当接することにより、ベルクランク4に対して回転方向(図14において反時計方向)への付勢力を付与する。
【0061】
ベルクランク4は、第1レバー41がインナケーブル52、また第2レバー42が連結ロッド6にそれぞれ連結されていない状態において、弾性部201bにより回転方向への付勢力が付与されることで、図12に示すように、第1レバー41がストッパ部201dに当接する初期位置に保持される。ベルクランク4の初期位置は、前記第1実施例と同様に、取付け対象となる車両毎に決定される最適な連結位置よりも反対方向側に位置するように設定される。
【0062】
摘み部201cは、作業者が摘み易い形状を呈して、ホルダ201をベース部材7から取り外す際に用いられる。好ましくは、ホルダ201の嵌合軸部201e及びベース部材7の切欠部7cは、ホルダ201が図17に実線で示す固定位置にある場合には、嵌合軸部201eがベース部材7における第1折曲部7bの切欠部7cに離脱不能に嵌合し、ホルダ201が図17に2点鎖線で示す位置に回転した場合には、嵌合軸部201eが切欠部7cから離脱可能になるように形成される。これにより、ベース部材7に固定された状態のホルダ201の摘み部201cを摘んで、ホルダ201を嵌合軸部201eを中心に図17に示す矢印方向へ回動させることで、ホルダ201をベース部材7から簡単に取り外すことが可能となる。
【0063】
ケーブル連結クリップ202は、操作ケーブル5をベルクランク4に連結する際に使用されるものであって、特に図12、13から理解できるように、合成樹脂材により形成されて、操作ケーブル5の長手方向に沿って所定の長さを有する形状を呈すると共に、切欠き状の第1保持部202a、第2保持部202b、第3保持部202c、第4保持部202d、及びリング状のグリップ部202eを有して、調整軸53の先端部を第1保持部202a、調整軸53の根元部を第2保持部202b、アウタケーブル51の一端部51aを第3保持部202c、またアウタケーブル51の一端部51aから所定距離離れた部分を第4保持部202dにそれぞれ緩く嵌合することで、操作ケーブル5の一端部側に着脱可能に取付けられる。
【0064】
インナケーブル51の一端部側の調整軸53をコネクタ9に連結する場合には、操作ケーブル5の一端部側に予め取付けられたケーブル連結クリップ202のグリップ部202eを掴んだ状態で、調整軸53をベルクランク4に接続されたコネクタ9に連結すると共に、アウタケーブル51の一端部51aをベース部材7の支持部7aに固定し、その後に、ケーブル連結クリップ202を操作ケーブル5の一端部側から取り外す。このように、調整軸53をコネクタ9に連結することによって、作業者は、調整軸53に塗布されたグリスに直接触ることなく、連結作業を行うことが可能となる。
【0065】
次に、第2実施例の連結装置200を用いて、ベルクランク4をドアハンドル2のハンドルレバー22及びドアロック装置3のオープンレバー31にそれぞれ連結する際の連結方法について説明する。
【0066】
なお、ベルクランク4をハンドルレバー22及びドアロック装置3にそれぞれ連結する際には、第1実施例と同様に、連結装置200のベース部材7はインナパネル12に固定され、ドアハンドル2はアウタパネル11に取付けられ、操作ケーブル5のアウタケーブル51の他端部51bはドアロック装置3のベース部材32に固定され、インナケーブル52の連結部52aはドアロック装置3のオープンレバー31に連結され、第2レバー42には、連結ロッド6の下端部が連結されている。
【0067】
先ず、作業者は、インナパネル12に設けた作業孔12bからスライドドア1内に手を入れて、連結ロッド6の上端部をハンドルレバー22に連結する。この場合、ベルクランク4は、ホルダ201の弾性部201bの付勢力により、図12に示す初期位置に弾性保持されているため、弾性部201bの付勢力に抗して、初期位置から操作回転方向(図12において時計方向であって、ストッパ部201dから離れる方向)へ若干回転した図14に示す最適な連結位置に回転して、当該連結位置に保持される。
【0068】
ベルクランク4が最適な連結位置に保持された状態にあっては、ホルダ201の弾性部201bが第1連結レバー41の当接部41aに当接して、ベルクランク4に反時計方向への付勢力を付与しているため、連結ロッド6がハンドルレバー22と第2レバー42とを連結するハンドル連結経路に発生するがた付きを片側に寄せた状態(がた付きを吸収した状態)で、ベルクランク4は最適な連結位置に保持される。
【0069】
次に、操作ケーブル5の一端部側に予め取付けられたケーブル連結クリップ202を用いて、図15、16に示すように、調整軸53を最適な連結位置に保持されたベルクランク4に接続されたコネクタ9に連結し、アウタケーブル51の一端部51aをベース部材7の支持部7aに固定する。調整軸53をコネクタ9に連結する際は、コネクタ9の蓋部9eを開いた状態で、調整軸53を嵌合溝9bに嵌合し、次いで蓋部9eを折り畳んで、調整軸53を座部9cと蓋部9fとの間に挟み込むことで行われる。なお、調整軸53をコネクタ9に連結する作業は、ケーブル連結クリップ202を用いて行われるため、作業者は、調整軸53に付着したグリスに直接触ることなく行うことができる。
【0070】
なお、調整軸53をコネクタ9に連結する際は、インナケーブル52に作用するコイルスプリング54の付勢力により、インナケーブル52の連結部52aがオープンレバー31の長孔31aの前端縁に接触した状態に保持されると共に、インナケーブル52の一端部側のアウタケーブル51の一端部51aからの出代が自動的に調整されているため、連結作業の度に、出代を調整する必要がなく、速やかに調整軸53をコネクタ9に連結することができる。この結果、各要素の取り付け位置、長さのバラツキ及び各連結部位のがた付きを吸収した状態で、効率的に連結作業を行うことができる。
【0071】
最後に、ホルダ201をベース部材7から取り外す。ホルダ201をベース部材7から取り外す場合には、ホルダ201の摘み部201cを摘んで、図17に示すように、嵌合軸部201eを中心に実線で示す固定位置から矢印A方向へ所定角度回動させた後、矢印B方向へ移動させることで、嵌合孔201fがベース部材7の第2折曲部7dから外れると共に、嵌合軸部201eが第1折曲部7bの切欠部7cから外れる。これにより、ホルダ201をベース部材7から簡単に取外すことができる。
【0072】
上述により、ベルクランク4をドアハンドル2及びドアロック装置3にそれぞれ最適な状態で連結することができる。この結果、第2実施例においても、取付け対象となる車両毎に異なるアウタパネル11とインナパネル12との接合、連結ロッド5の長さ、ドアハンドル2及びベルクランク4の相対位置関係のバラツキ、及びハンドル連結経路のがた付きの大小等の影響を受けることなく、ドアハンドル2の操作による操作ストロークを連結ロッド6、ベルクランク4及び操作ケーブル5を経由して、ドアロック装置3のオープンレバー31に確実に伝達することが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1 スライドドア 11 アウタパネル(ドアパネル)
12 インナパネル(ドアパネル) 12a 開口部
12b 作業孔 2 ドアハンドル(操作装置)
21 ハンドルベース 22 ハンドルレバー(操作部材)
23 スプリング 3 ドアロック装置(被操作装置)
31 オープンレバー(被操作部材) 31a 長孔
32 ベース部材 32a トッパ部
33 噛合機構 34 枢軸
35 スプリング 4 ベルクランク
41 第1レバー 41a 当接部
42 第2レバー 5 操作ケーブル
51 アウタケーブル 51a 一端部
51b 他端部 52 インナケーブル
52a 連結部 53 調整軸
54 コイルスプリング 6 連結ロッド(連結部材)
7 ベース部材 7a 支持部
7b 第1折曲部 7c 切欠部
7d 第2折曲部 8 回転軸
9 コネクタ 9a 軸部
9b 嵌合溝 9c 座部
9d 薄肉部 9e 蓋部
9f 嵌合溝 9g、9h 螺合溝
100 連結装置 101 ホルダ
101a 基部 101b 弾性部
101c ガイド部 101d ストッパ部
101e 嵌合軸部 101f 嵌合孔
200 連結装置 201 ホルダ
201a 基部 201b 弾性部
201c 摘み部 201d ストッパ部
201e 嵌合軸部 201f 嵌合孔
202 ケーブル連結クリップ 202a 第1保持部
202b 第2保持部 202c 第3保持部
202d 第4保持部 202e グリップ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17