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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179938
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】光学素子及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20231213BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20231213BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20231213BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231213BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20231213BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20231213BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231213BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20231213BHJP
   B32B 7/03 20190101ALI20231213BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
G02B5/30
G02F1/13363
G02F1/1335 510
H05B33/14 A
H05B33/02
H01L27/32
G09F9/00 313
G09F9/00 324
B32B7/023
B32B7/03
B32B9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092894
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松島 寿治
【テーマコード(参考)】
2H149
2H291
3K107
4F100
5G435
【Fターム(参考)】
2H149AA13
2H149AA18
2H149AB01
2H149BA02
2H149BA11
2H149DA02
2H149DA12
2H149EA02
2H149EA05
2H149EA17
2H149EA19
2H149FA21Y
2H149FA38Y
2H149FA39Y
2H149FD05
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA30Z
2H291FA71Z
2H291FA81Z
2H291FB05
2H291FD09
2H291FD12
2H291HA06
2H291HA08
2H291HA11
2H291HA15
2H291LA26
2H291PA04
2H291PA42
2H291PA64
2H291PA67
2H291PA84
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC37
3K107EE26
3K107FF06
3K107FF15
4F100AS00B
4F100AS00C
4F100AT00B
4F100AT00C
4F100BA04
4F100GB31
4F100GB41
4F100JN06
4F100JN10A
4F100JN10D
4F100JN18B
4F100JN18C
5G435AA01
5G435BB12
5G435CC09
5G435FF05
5G435KK07
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、特定の方向での明るさを抑制することができる光学素子及び表示装置を提供する。
【解決手段】光学素子は、第1吸収軸を有する第1偏光板と、第1偏光板と対向し、第2吸収軸を有する第2偏光板と、第1偏光板と第2偏光板との間に設けられた第1液晶フィルム及び第2液晶フィルムと、を有し、第2偏光板、第2液晶フィルム、第1液晶フィルム及び第1偏光板の順に積層され、第1液晶フィルム及び第2液晶フィルムは、それぞれ、液晶分子が法線方向に沿ってハイブリッド配向された状態で固定化されており、第1液晶フィルム及び第2液晶フィルムの正面位相差は、200nm以上である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1吸収軸を有する第1偏光板と、
前記第1偏光板と対向し、第2吸収軸を有する第2偏光板と、
前記第1偏光板と前記第2偏光板との間に設けられた第1液晶フィルム及び第2液晶フィルムと、を有し、
前記第2偏光板、前記第2液晶フィルム、前記第1液晶フィルム及び前記第1偏光板の順に積層され、
前記第1液晶フィルム及び前記第2液晶フィルムは、それぞれ、液晶分子が法線方向に沿ってハイブリッド配向された状態で固定化されており、
前記第1液晶フィルム及び前記第2液晶フィルムの正面位相差は、200nm以上である
光学素子。
【請求項2】
第1吸収軸を有する第1偏光板と、
前記第1偏光板と対向し、第2吸収軸を有する第2偏光板と、
前記第1偏光板と前記第2偏光板との間に設けられた複数の第1液晶フィルム及び複数の第2液晶フィルムと、を有し、
前記第2偏光板、前記第2液晶フィルム、前記第1液晶フィルム及び前記第1偏光板の順に積層され、
複数の前記第1液晶フィルム及び複数の前記第2液晶フィルムは、それぞれ、液晶分子が法線方向に沿ってハイブリッド配向された状態で固定化されており、
複数の前記第1液晶フィルム及び複数の前記第2液晶フィルムのそれぞれの正面位相差は、110nm以上である
光学素子。
【請求項3】
前記第1液晶フィルムの前記液晶分子の、前記第1液晶フィルムの表面に平行な平面に対する傾斜角は、前記第1偏光板に対向する面側で、前記第2液晶フィルムに対向する面側よりも小さく形成され、
前記第2液晶フィルムの前記液晶分子の、前記第2液晶フィルムの表面に平行な平面に対する傾斜角は、前記第2偏光板に対向する面側で、前記第1液晶フィルムに対向する面側よりも小さく形成される
請求項1又は請求項2に記載の光学素子。
【請求項4】
前記第1液晶フィルムの前記液晶分子の、前記第1液晶フィルムの表面に平行な平面に対する傾斜角は、前記第1偏光板に対向する面側で、前記第2液晶フィルムに対向する面側よりも大きく形成され、
前記第2液晶フィルムの前記液晶分子の、前記第2液晶フィルムの表面に平行な平面に対する傾斜角は、前記第2偏光板に対向する面側で、前記第1液晶フィルムに対向する面側よりも小さく形成される
請求項1又は請求項2に記載の光学素子。
【請求項5】
平面視で、前記第1液晶フィルムの前記液晶分子の長軸に沿った方向である第1配向方向は、前記第1偏光板の前記第1吸収軸と直交又は平行であり、
前記平面視で、前記第1偏光板の前記第1吸収軸は、前記第2偏光板の前記第2吸収軸と平行であり、
前記平面視で、前記第1液晶フィルムの前記第1配向方向は、前記第2液晶フィルムの前記液晶分子の長軸に沿った方向である第2配向方向と直交し、
前記第2液晶フィルムの前記第2配向方向は、前記第2偏光板の前記第2吸収軸と直交又は平行である
請求項1又は請求項2に記載の光学素子。
【請求項6】
平面視で、前記第1液晶フィルムの前記液晶分子の長軸に沿った方向である第1配向方向は、前記第1偏光板の前記第1吸収軸と直交又は平行であり、
前記平面視で、前記第1偏光板の前記第1吸収軸は、前記第2偏光板の前記第2吸収軸と非平行であり、
前記平面視で、前記第1液晶フィルムの前記第1配向方向と、前記第2液晶フィルムの前記液晶分子の長軸に沿った方向である第2配向方向とがなす角度は、90°よりも小さく、
前記第2液晶フィルムの前記第2配向方向は、前記第2偏光板の前記第2吸収軸と直交又は平行である
請求項1又は請求項2に記載の光学素子。
【請求項7】
複数の前記第1液晶フィルムの前記液晶分子の長軸に沿った方向である第1配向方向は、前記平面視で平行方向であり、
複数の前記第2液晶フィルムの前記液晶分子の長軸に沿った方向である第2配向方向は、前記平面視で平行方向である
請求項2に記載の光学素子。
【請求項8】
前記第1液晶フィルムの正面位相差は、前記第2液晶フィルムの正面位相差と異なる
請求項1又は請求項2に記載の光学素子。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の光学素子と、
前記光学素子と積層された表示パネルと、を有する
表示装置。
【請求項10】
前記第1偏光板又は前記第2偏光板の一方は、前記表示パネルの偏光板と共用される
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示パネルと前記光学素子との間に設けられた偏光回転素子を有する
請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
視野角を制御する光学素子を備えた表示装置が知られている。視野角制御技術として、バックライトのプリズム構造や、光を吸収する層と透過する層とが交互に配置されたルーバーフィルムが知られている。
【0003】
また、視野角制御機能を備えた表示装置では、特定の方向で表示が見えなくなるように視野角を制御する要求がある(特許文献1から特許文献3参照)。例えば、特許文献1、3には、車載用の表示装置において、フロントガラスやフロントドアガラスへの映り込みを抑制し、ドライバーの視認性を向上させることができる光学素子及び表示装置が開示されている。特許文献1の光学素子では、2枚の偏光板の間に傾斜フィルムと非傾斜フィルムとを挟む構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-104008号公報
【特許文献2】特開2017-190017号公報
【特許文献3】国際公開第2017/175627号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
視野角制御技術において、プリズム構造は左右非対称の輝度分布を実現することが困難であり、特定の方向で光の透過を抑制することが困難である。ルーバーフィルムは、望ましい配光が得られるものの全体の明るさが低下する可能性がある。特許文献1では、異なる種類の位相差フィルム(傾斜フィルムと非傾斜フィルム)を用いている。このため、より簡易な構成で、特定の方向で光の透過を抑制することができる光学素子が要求される。
【0006】
本発明は、簡易な構成で、特定の方向での明るさを抑制することができる光学素子及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の光学素子は、第1吸収軸を有する第1偏光板と、前記第1偏光板と対向し、第2吸収軸を有する第2偏光板と、前記第1偏光板と前記第2偏光板との間に設けられた第1液晶フィルム及び第2液晶フィルムと、を有し、前記第2偏光板、前記第2液晶フィルム、前記第1液晶フィルム及び前記第1偏光板の順に積層され、前記第1液晶フィルム及び前記第2液晶フィルムは、それぞれ、液晶分子が法線方向に沿ってハイブリッド配向された状態で固定化されており、前記第1液晶フィルム及び前記第2液晶フィルムの正面位相差は、200nm以上である。
【0008】
本発明の一態様の光学素子は、第1吸収軸を有する第1偏光板と、前記第1偏光板と対向し、第2吸収軸を有する第2偏光板と、前記第1偏光板と前記第2偏光板との間に設けられた複数の第1液晶フィルム及び複数の第2液晶フィルムと、を有し、前記第2偏光板、前記第2液晶フィルム、前記第1液晶フィルム及び前記第1偏光板の順に積層され、複数の前記第1液晶フィルム及び複数の前記第2液晶フィルムは、それぞれ、液晶分子が法線方向に沿ってハイブリッド配向された状態で固定化されており、複数の前記第1液晶フィルム及び複数の前記第2液晶フィルムのそれぞれの正面位相差は、110nm以上である。
【0009】
本発明の一態様の表示装置は、上記の光学素子と、前記光学素子と積層された表示パネルと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る光学素子の構成例を示す分解斜視図である。
図3図3は、第1実施形態に係る光学素子の、各偏光板の吸収軸の方位と各液晶フィルムの配向の方位との関係を説明するための説明図である。
図4図4は、第1液晶フィルム及び第2液晶フィルムの液晶分子の配向を説明するための説明図である。
図5図5は、実施例1及び比較例に係る表示装置における、液晶フィルムの平面位相差を示す表である。
図6図6は、実施例1及び比較例に係る表示装置の、明るさと極角との関係を示すグラフである。
図7図7は、第2実施形態に係る光学素子の構成例を示す分解斜視図である。
図8図8は、実施例2及び比較例の液晶フィルムの積層構成及び平面位相差を示す表である。
図9図9は、実施例2及び比較例に係る光学素子の、明るさと極角との関係を示すグラフである。
図10図10は、比較例に係る表示装置の、明るさの視野角依存性を示す図である。
図11図11は、実施例2-1に係る表示装置の、明るさの視野角依存性を示す図である。
図12図12は、実施例2-2に係る表示装置の、明るさの視野角依存性を示す図である。
図13図13は、実施例2-2及び実施例1-4に係る光学素子の、明るさと極角との関係を示すグラフである。
図14図14は、実施例2-3に係る液晶フィルムの積層構成及び平面位相差を示す表である。
図15図15は、実施例2-3に係る表示装置の、明るさの視野角依存性を示す図である。
図16図16は、第3実施形態に係る光学素子の、第1液晶フィルム及び第2液晶フィルムの液晶分子の配向を説明するための説明図である。
図17図17は、実施例3及び実施例2-2に係る光学素子の、明るさと極角との関係を示すグラフである。
図18図18は、第4実施形態に係る光学素子の、各偏光板の吸収軸の方位と各液晶フィルムの配向の方位との関係を説明するための説明図である。
図19図19は、実施例4及び実施例2-2に係る光学素子の、各偏光板の吸収軸及び各液晶フィルムの配向の方位角を示す表である。
図20図20は、実施例4及び実施例2-2に係る光学素子の、明るさと極角との関係を示すグラフである。
図21図21は、実施例4に係る表示装置の、明るさの視野角依存性を示す図である。
図22図22は、第5実施形態に係る光学素子の、液晶フィルムの液晶分子の配向を説明するための説明図である。
図23図23は、第1変形例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
図24図24は、第2変形例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
図25図25は、第3変形例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0012】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す断面図である。図1に示すように、表示装置100は、光学素子10と、表示パネル50と、第3偏光板23と、照明装置60と、制御回路70と、を有する。
【0014】
光学素子10は、表示パネル50の表示面に垂直な方向(第3方向Dz)で、照明装置60と表示パネル50との間に配置される。言い換えると、第3方向Dzで、照明装置60、光学素子10、表示パネル50、第3偏光板23の順に積層される。光学素子10は、第1偏光板21と、第1液晶フィルム11と、第2液晶フィルム12と、第2偏光板22と、を有する。光学素子10は、第3方向Dzで、照明装置60から表示パネル50に向かって、第2偏光板22、第2液晶フィルム12、第1液晶フィルム11、第1偏光板21の順に積層される。光学素子10の詳細な構成については、図2以下で後述する。
【0015】
なお、以下の説明において、第1方向Dxは、光学素子10の表面(すなわち、第1偏光板21の表面)と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、光学素子10の表面と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向である。第3方向Dzは、光学素子10の表面の法線方向である。第3方向Dzは、表示パネル50の表示面の法線方向と言い換えることもできる。また、「平面視」とは、光学素子10の表面と垂直な方向から見た場合の位置関係をいう。
【0016】
表示パネル50は、例えば、アレイ基板と、対向基板と、表示機能層としての液晶層と、を備える液晶表示パネルである。対向基板は、アレイ基板と対向して配置され、液晶層はアレイ基板と対向基板との間に封止される。液晶層は、通過する光を電界の状態に応じて変調するものであり、例えば、FFS(Fringe Field Switching:フリンジフィールドスイッチング)を含むIPS(In-Plane Switching:インプレーンスイッチング)等の横電界モードの液晶が用いられる。本実施形態では、アレイ基板に設けられた画素電極と共通電極との間に発生する横電界により、液晶層が駆動される。
【0017】
ただしこの態様に限られず、表示パネル50は、縦電界型の液晶表示パネルであってもよい。この場合、画素電極はアレイ基板に設けられ、共通電極は対向基板に設けられる。縦電界型の液晶表示パネルは、いわゆる縦電界が液晶層に印加される、TN(Twisted Nematic:ツイステッドネマティック)、VA(Vertical Alignment:垂直配向)及びECB(Electrically Controlled Birefringence:電界制御複屈折)等がある。
【0018】
照明装置60は、バックライトユニットである。照明装置60は、どのような構成であってもよいが、例えば、エッジライト型バックライトや、直下型バックライトを適用可能である。エッジライト型バックライトは、LED(Light Emitting Diode)等の光源と、導光板とを有し、導光板の端部にLEDが設けられる。直下型バックライトは、拡散板の直下にLEDが設けられる。
【0019】
制御回路70は、表示パネル50及び照明装置60のそれぞれに電気的に接続され、表示パネル50及び照明装置60のそれぞれの駆動を制御するように構成されている。
【0020】
本実施形態の表示装置100において、照明装置60は、光学素子10に向けて拡散光を出射する。光学素子10は、照明装置60から入射された光の視野角依存性を調整して、特定の方向で光の透過を抑制する視野角制御素子である。言い換えると、光学素子10を透過した光は、照明装置60からの光よりも指向性が高い。光学素子10を透過した光が表示パネル50に入射される。これにより、表示パネル50は、特定の方向で明るさが抑制された画像を表示する。
【0021】
以下の説明において、極角θは、第3方向Dzに平行な方向に対してなす角度である。第3方向Dzに平行な方向の極角θは、0°とする。また、図1において第3方向Dzに対して右側(第1方向Dxの一方)の極角θを正(+θ)と表し、第3方向Dzに対して左側(第1方向Dxの他方)の極角θを負(-θ)と表す場合がある。
【0022】
光学素子10の各層、表示パネル50及び第3偏光板23は、透光性を有する接着層(図示しない)により接着されている。ただし、これに限定されず、光学素子10の各層、表示パネル50及び第3偏光板23の層間に接着層が設けられず、空気層を介して積層されていてもよい。
【0023】
本実施形態では、光学素子10の第1偏光板21は、表示パネル50の背面側の偏光板と共用される。すなわち、表示パネル50と、光学素子10の第1液晶フィルム11との間には、1つの第1偏光板21が配置される。これにより、表示パネル50の背面側で、光学素子10の第1偏光板21に加え、表示パネル50用の偏光板が設けられた構成に比べて、光の透過率を向上させることができる。
【0024】
次に、光学素子10の詳細な構成について説明する。図2は、第1実施形態に係る光学素子の構成例を示す分解斜視図である。図3は、第1実施形態に係る光学素子の、各偏光板の吸収軸の方位と各液晶フィルムの配向の方位との関係を説明するための説明図である。
【0025】
図2及び図3に示すように、第1偏光板21及び第2偏光板22は、直線偏光板である。第1偏光板21は、方位角φ=45°方向に延在する第1吸収軸AX1を有する。第2偏光板22は、第1偏光板21と対向し、方位角φ=45°方向に延在する第2吸収軸AX2を有する。平面視で、第1偏光板21の第1吸収軸AX1は、第2偏光板22の第2吸収軸AX2と平行である。なお、図示は省略するが、第1偏光板21は、第1吸収軸AX1に直交する第1透過容易軸を有する。また、第2偏光板22は、第2吸収軸AX2に直交する第2透過容易軸を有する。
【0026】
なお、表示パネル50の表示面側に設けられた第3偏光板23(図1参照)は、第3吸収軸及び第3吸収軸と直交する第3透過容易軸を有する。表示パネル50の表示モードに応じて、第3偏光板23の第3吸収軸及び第3透過容易軸は、平面視で所定の方向に設けられる。
【0027】
なお、方位角φは、第1方向Dxに平行な方向に対してなす角度である。第1方向Dxの一方(図3において右側)の方位角φは、0°とする。第1方向Dxの他方(図3において左側)の方位角φは、180°とする。第2方向Dyの一方(図3において上側)の方位角φは、90°とする。第2方向Dyの他方(図3において下側)の方位角φは、270°とする。なお、第1方向Dxの一方に対して反時計回りの方位角φを正(+φ)と表し、第1方向Dxの一方側に対して時計回りの方位角φを負(-φ)と表す場合がある。
【0028】
第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12は、第1偏光板21と第2偏光板22との間に設けられる。第1液晶フィルム11は第1偏光板21側に配置され、第2液晶フィルム12は第2偏光板22側に配置される。
【0029】
図4は、第1液晶フィルム及び第2液晶フィルムの液晶分子の配向を説明するための説明図である。図4に示すように、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12は、それぞれ棒状の液晶分子13を有する。なお、図4では理解を容易にするために、平面視で、液晶分子13が同一方向(第1方向Dx)に配向する場合を示す。ただし、後述するように、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12の液晶分子13の平面視での配向方向は異なっている。
【0030】
液晶分子13は、屈折率異方性を有し、液晶分子13の長軸LAに沿った方向の屈折率ny(=ne)は、長軸LAに直交する方向の屈折率nx、nz(nx=nz(=no))と異なる。本実施形態では、液晶分子13の屈折率は、ny(=ne)>nx=nz(=no)の関係を満たす。ただし、屈折率noは、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12を通過する常光線の屈折率であり、屈折率neは、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12を通過する異常光線の屈折率である。
【0031】
第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12は、それぞれ液晶分子13が第3方向Dzに沿ってハイブリッド配向された状態で固定化されている。ここでハイブリッド配向とは、一対の基板間に挟持された長軸LAを有する液晶分子13が、該長軸LAの方向が、一方の基板側では該基板に対して平行になり、他方の基板側では該基板に対して垂直になるように配向されている状態をいう。図4に示すように、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12において、液晶分子13の長軸LAの、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12の表面に平行な方向(例えば第1方向Dx)に対してなす傾斜角は、第3方向Dzに沿って連続的に変化する。
【0032】
第1液晶フィルム11の液晶分子13の傾斜角は、第1偏光板21に対向する面側では比較的小さく形成され、第1液晶フィルム11の表面に平行な方向とほぼ平行となるように配向している。これに対し、第1液晶フィルム11の液晶分子13の傾斜角は、第2液晶フィルム12に対向する面側では、比較的大きく形成され、第1液晶フィルム11の表面に平行な方向とほぼ垂直となるように配向している。このように、第1液晶フィルム11の液晶分子13の、第1液晶フィルム11の表面に平行な平面に対する傾斜角は、第1偏光板21に対向する面側で、第2液晶フィルム12に対向する面側よりも小さく形成される。
【0033】
第2液晶フィルム12の液晶分子13の傾斜角は、第1液晶フィルム11の表面に平行な方向を基準軸として、第1液晶フィルム11の液晶分子13の傾斜角と線対称となるように配向している。すなわち、第2液晶フィルム12の液晶分子13の傾斜角は、第2偏光板22と対向する面側では比較的小さく形成され、第2液晶フィルム12の表面に平行な方向とほぼ平行となるように配向している。これに対し、第2液晶フィルム12の液晶分子13の傾斜角は、第1液晶フィルム11と対向する面側では、比較的大きく形成され、第2液晶フィルム12の表面に平行な方向とほぼ垂直となるように配向している。第2液晶フィルム12の液晶分子13の、第2液晶フィルム12の表面に平行な平面に対する傾斜角は、第2偏光板22に対向する面側で、第1液晶フィルム11に対向する面側よりも小さく形成される。
【0034】
このように、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12は、ハイブリッド配向された液晶分子13を有しているので、それぞれ、明るさの視野角依存性を有する。具体的には、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12は、平面視での液晶分子13の配向方向に平行な方向を基準線としたときに線対称となる明るさの視野角依存性を有する。また、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12は、平面視での液晶分子13の配向方向に垂直な方向を基準線としたときに非対称となる明るさの視野角依存性を有する。
【0035】
図2及び図3に戻って、平面視で、第1液晶フィルム11の第1配向方向HX1は、第1偏光板21の第1吸収軸AX1と平行である。また、平面視で、第2液晶フィルム12の第2配向方向HX2は、第1液晶フィルム11の第1配向方向HX1と直交し、かつ、第2偏光板22の第2吸収軸AX2と直交する。なお、第1配向方向HX1は、平面視での第1液晶フィルム11の液晶分子13の長軸LAに沿った方向である。また、第2配向方向HX2は、平面視での第2液晶フィルム12の液晶分子13の長軸LAに沿った方向である。
【0036】
具体的には、第1液晶フィルム11の第1配向方向HX1の方位角φは、φ=+45°である。第2液晶フィルム12の第2配向方向HX2の方位角φは、φ=-45°である。平面視で、第1液晶フィルム11の第1配向方向HX1は、第2液晶フィルム12の第2配向方向HX2と直交する。また、平面視で、第1液晶フィルム11の第1配向方向HX1は、第1偏光板21の第1吸収軸AX1及び第2偏光板22の第2吸収軸AX2と平行である。平面視で、第2液晶フィルム12の第2配向方向HX2は、第1偏光板21の第1吸収軸AX1及び第2偏光板22の第2吸収軸AX2と直交する。
【0037】
以上のような構成により、光学素子10は、所定の基準軸に対して非対称となる明るさの視野角依存性を実現できる。所定の基準軸は、例えば第2方向Dyに平行な方向である。この場合、光学素子10は、所定の基準軸(第2方向Dy)に対して右側(極角+θ側)と左側(極角-θ側)とで非対称となる明るさの極角依存性を有する。なお、平面視で、第1液晶フィルム11の第1配向方向HX1は、第1偏光板21の第1吸収軸AX1と平行であり、第2液晶フィルム12の第2配向方向HX2は、第2偏光板22の第2吸収軸AX2と直交する構成について説明したが、これに限定されない。平面視で、第1液晶フィルム11の第1配向方向HX1は、第1偏光板21の第1吸収軸AX1と直交し、第2液晶フィルム12の第2配向方向HX2は、第2偏光板22の第2吸収軸AX2と平行であってもよい。
【0038】
(実施例1)
図5は、実施例1及び比較例に係る表示装置における、液晶フィルムの平面位相差を示す表である。図6は、実施例1及び比較例に係る表示装置の、明るさと極角との関係を示すグラフである。
【0039】
図5及び図6に示す実施例1-1から実施例1-6及び比較例に係る光学素子10の積層構成は、いずれも図1から図4に示した例と同様である。図5に示すように、実施例1-1から実施例1-6及び比較例に係る光学素子10は、それぞれ液晶フィルム(第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12)の正面位相差の値を異ならせている。また、各実施例及び比較例では、第1液晶フィルム11の正面位相差と第2液晶フィルム12の正面位相差は、同等の値としている。
【0040】
ここで、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12の正面位相差は、それぞれの面内での直交する軸に対応した屈折率をnx、nyとし、厚さをdとしたときに、正面位相差Re=(nx-ny)×dで定義される。第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12の面内での屈折率nyは、それぞれ第1配向方向HX1及び第2配向方向HX2に対応する屈折率である。また、面内での屈折率nxは、第1配向方向HX1及び第2配向方向HX2に直交する方向に対応する屈折率である。
【0041】
図5に示すように、比較例に係る光学素子の、第1液晶フィルム及び第2液晶フィルムの正面位相差は140nmである。実施例1-1、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6に係る光学素子10の、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12の正面位相差は、それぞれ207nm、276nm、345nm、400nm、483nm、552nmである。
【0042】
図6に示すグラフ1は、横軸が極角θ(°)であり、縦軸が明るさ(a.u.)である。図6は、各実施例及び比較例の正面方向(極角θ=0°)での明るさを同等とした場合の、相対的な明るさの極角依存性のシミュレーション結果を示している。
【0043】
図6に示すように、比較例に係る表示装置(正面位相差140nm)では、極角θ=0°に対して、ほぼ対称性を有する明るさの極角依存性を示す。これに対し、実施例1-1に係る表示装置(正面位相差207nm)では、明るさの極角依存性の非対称性が示された。具体的には、実施例1-1は、比較例に比べて正の極角θ側で明るさが抑制される。例えば矢印A1、A2に示すように、正の極角θ側(例えば極角θ=50°)での、比較例に対する実施例1-1の明るさの差(矢印A1)は、負の極角θ側(例えば極角θ=-50°)での、比較例に対する実施例1-1の明るさの差(矢印A2)よりも大きい。
【0044】
実施例1-2から実施例1-6に示すように、光学素子10が有する第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12の正面位相差をそれぞれ276nm以上とすることで、正の極角θ側で負の極角θ側に比べて明るさが抑制される。実施例1-2に係る表示装置(正面位相差276nm)では、正の極角θ側(例えば極角θ=50°)での明るさは、負の極角θ側(例えば極角θ=-50°)での明るさよりも暗い。
【0045】
実施例1-3に係る表示装置(正面位相差345nm)では、実施例1-2に比べて、負の極角θ側(例えば極角θ=-50°)での明るさは同等であるものの、正の極角θ側(例えば極角θ=50°)での明るさがより抑制される。実施例1-4、1-5、1-6では、(正面位相差400、483、552nm)では、実施例1-3に比べて正の極角θ側(例えば極角θ=50°)での明るさが抑制される。ただし、実施例1-4、1-5、1-6の正の極角θ側での明るさの極角依存性は、いずれも同様の傾向を示している。
【0046】
以上のように、光学素子10を有する表示装置100は、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12の正面位相差が200nm以上552nm以下の範囲で、特定の方向(例えば極角θ=50°)で明るさを抑制できることが示された。より好ましくは、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12の正面位相差が270nm以上552nm以下の範囲で極角θ=50°で明るさを抑制することができる。言い換えると、光学素子10は、特定の方向(例えば極角θ=50°)で光の透過率を抑制することができる。
【0047】
このような明るさの極角依存性を有する表示装置100を、車載用の表示装置に適用した場合、運転手側(例えば極角θ=-50°)及び助手席側(例えば極角θ=0°)での明るさを確保しつつ、助手席側の窓ガラス(例えば極角θ=50°)での映り込みを抑制することができる。
【0048】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る光学素子の構成例を示す分解斜視図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0049】
図7に示すように、第2実施形態に係る光学素子10Aは、複数の第1液晶フィルム11a、11b、11cと、複数の第2液晶フィルム12a、12b、12cと、を有する。複数の第1液晶フィルム11a、11b、11cの第1配向方向HX1は、平面視で平行方向であり、方位角φはいずれもφ=+45°である。複数の第2液晶フィルム12a、12b、12cの第2配向方向HX2は、平面視で平行方向であり、方位角φはいずれもφ=-45°である。また、複数の第1液晶フィルム11a、11b、11c及び複数の第2液晶フィルム12a、12b、12cの平面位相差は、いずれも同等の値(例えば140nm以上)である。
【0050】
また、第1偏光板21の第1吸収軸AX1、複数の第1液晶フィルム11a、11b、11cの第1配向方向HX1、複数の第2液晶フィルム12a、12b、12cの第2配向方向HX2及び第2偏光板22の第2吸収軸AX2の、平面視での方位角φの関係は、上述した第1実施形態(図3参照)と同様であり、繰り返しの説明は省略する。
【0051】
なお、図7に示す例では、光学素子10Aは、3層の第1液晶フィルム11a、11b、11c及び3層の第2液晶フィルム12a、12b、12cを有しているが、あくまで一例であり、適宜変更できる。第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12は、それぞれ2層設けられていてもよいし、あるいは、それぞれ4層以上であってもよい。
【0052】
(実施例2)
図8は、実施例2及び比較例の液晶フィルムの積層構成及び平面位相差を示す表である。図8に示すように、比較例に係る光学素子は、1層の第1液晶フィルム11a及び1層の第2液晶フィルム12aを有し、それぞれの正面位相差は140nmである。図8に示す比較例は、上述した実施例1における比較例と同等の構成及び明るさの極角依存性を有する。
【0053】
実施例2-1に係る光学素子は、2層の第1液晶フィルム11a、11b及び2層の第2液晶フィルム12a、12bを有し、合計4層の液晶フィルムが積層される。実施例2-1の第1液晶フィルム11a、11b及び第2液晶フィルム12a、12bの正面位相差は、それぞれ140nmである。
【0054】
実施例2-2に係る光学素子は、3層の第1液晶フィルム11a、11b、11c及び3層の第2液晶フィルム12a、12b、12cを有し、合計6層の液晶フィルムが積層される。実施例2-2の第1液晶フィルム11a、11b、11c及び第2液晶フィルム12a、12b、12cの正面位相差は、それぞれ140nmである。
【0055】
図9は、実施例2及び比較例に係る光学素子の、明るさと極角との関係を示すグラフである。図10は、比較例に係る表示装置の、明るさの視野角依存性を示す図である。図11は、実施例2-1に係る表示装置の、明るさの視野角依存性を示す図である。図12は、実施例2-2に係る表示装置の、明るさの視野角依存性を示す図である。
【0056】
図10から図12では、各極角及び各方位角について、等しい明るさを示す領域を結ぶ等光線を示している。図10から図12において、方位角φは、第1方向Dxに平行な方向に対してなす角度である。図10から図12各図で、円の中心に対して右側が方位角φ=0°であり、円の中心に対して左側が方位角φ=180°である。円の中心に対して上側が方位角φ=90°であり、円の中心に対して下側が方位角φ=270°である。また、円の中心が表示装置100(光学素子10A)の法線方向(極角θ=0°)に相当し、法線方向を中心とした同心円(点線で示す)は、それぞれ極角θ=20°、40°、60°、80°に相当する。
【0057】
なお、明るさの視野角依存性の説明において、極角θ=0°に対して方位角φ=0°方向及び方位角φ=180°方向を左右方向と表す場合がある。また、極角θ=0°に対して方位角φ=90°方向及び方位角270°方向を上下方向と表す場合がある。
【0058】
図9に示すように、1層の第1液晶フィルム11及び1層の第2液晶フィルム12を有する比較例に係る表示装置では、明るさの極角依存性は、極角θ=0°に対して対称性を有している。また、図10に示すように比較例に係る表示装置では、極角θ=0°を通り第2方向Dyに平行な基準線に対して、実質的に左右対称となる明るさの視野角依存性を有する。また、比較例に係る表示装置では、極角θ=0°を通り第1方向Dxに平行な基準線に対して、実質的に上下対称となる明るさの視野角依存性を有する。
【0059】
図9図11及び図12に示すように、複数の第1液晶フィルム11及び複数の第2液晶フィルム12を有する実施例2-1及び実施例2-2に係る表示装置では、明るさの極角依存性が非対称となり、比較例に比べて正の極角θ(方位角φ=0°)側で明るさが抑制されることが示された。
【0060】
具体的には、図9に示すように、実施例2-1は、矢印A3に示すように、正の極角θ側(例えば極角θ=50°)での明るさが、比較例に比べて抑制される(暗くなる)。また、実施例2-1は、矢印A4に示すように、負の極角θ側(例えば極角θ=-50°)での明るさが、比較例に比べて明るくなる。
【0061】
図9に示すように、実施例2-2では、正の極角θ側(例えば極角θ=50°)での明るさが、比較例及び実施例2-1に比べて抑制される(暗くなる)。また、負の極角θ側(例えば極角θ=-50°)での明るさが、比較例に比べて明るくなる。また、負の極角θ側では、実施例2-1と実施例2-2とで、明るさの極角依存性が異なる傾向を示す。より詳細には、正面側(極角θ=-55°以上極角θ=-10°以下程度)の範囲では、実施例2-2が実施例2-1よりも明るく、高極角側(極角θ=-55°以下)では、実施例2-1が実施例2-2よりも明るくなる。
【0062】
また、図11に示すように、実施例2-1に係る表示装置では、極角θ=0°を通り第2方向Dyに平行な基準線に対して、右側(方位角φ=0°側)で明るさが抑制され、左側(方位角φ=180°側)で明るさが向上する。すなわち、実施例2-1に係る表示装置では、明るさの視野角依存性が左右方向で非対称となる。また、実施例2-1に係る表示装置では、極角θ=0°を通り第1方向Dxに平行な基準線に対して、実質的に上下対称となる明るさの視野角依存性を有する。
【0063】
図12に示すように、実施例2-2に係る表示装置では、極角θ=0°を通り第2方向Dyに平行な基準線に対して、右側(方位角φ=0°側)で明るさが抑制され、左側(方位角φ=180°側)で明るさが向上する。すなわち、実施例2-2に係る表示装置では、明るさの視野角依存性が左右方向で非対称となる。また、実施例2-2に係る表示装置では、図11に示す実施例2-1に比べて、相対的に明るい領域を示す視野角範囲が大きくなり、方位角φ=0°側で明るさが抑制される(暗くなる)領域の方位角の範囲が小さくなる。つまり、実施例2-2に係る表示装置は、比較例及び実施例2-1に比べて、特定の視野角領域で明るさを抑制し、それ以外の領域での明るさを向上させることができる。また、実施例2-2に係る表示装置では、実施例2-1に比べて、極角θ=0°を通り第1方向Dxに平行な基準線に対して、明るさの視野角依存性が上下方向で非対称となる領域が大きくなる。
【0064】
以上のように光学素子10Aを有する表示装置100は、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12がそれぞれ複数積層されることで、特定の方向(例えば極角θ=50°)で明るさを抑制できることが示された。より好ましくは、複数の第1液晶フィルム11及び複数の第2液晶フィルム12のそれぞれの正面位相差が140nm以上の範囲で極角θ=50°以上での明るさを抑制することができる。また、本実施例では、上述した第1実施形態及び実施例1に比べて、特定の方向(例えば極角θ=50°)で明るさを抑制しつつ、反対側の方向(例えば極角θ=-50°)で明るさを向上させることができる。
【0065】
このような明るさの極角依存性を有する表示装置100を、車載用の表示装置に適用した場合、運転手側(負の極角θ側、例えば極角θ=+50°)での明るさを向上させるとともに、助手席側の窓ガラス(正の極角θ側、例えば極角θ=-50°)での映り込みを抑制することができる。
【0066】
図13は、実施例2-2及び実施例1-4に係る光学素子の、明るさと極角との関係を示すグラフである。図8で上述したように、実施例2-2に係る光学素子は、3層の第1液晶フィルム11a、11b、11c及び3層の第2液晶フィルム12a、12b、12cを有し、それぞれの正面位相差は140nmである。また、図5で上述したように、実施例1-4に係る光学素子は、1層の第1液晶フィルム11及び1層の第2液晶フィルム12を有し、それぞれの正面位相差は400nmである。
【0067】
実施例2-2の、3層の第1液晶フィルム11a、11b、11cの合計の正面位相差は420nmであり、実施例1-4の1層の第1液晶フィルム11の正面位相差は400nmと近い値である。また、実施例2-2の、3層の第2液晶フィルム12a、12b、12cの合計の正面位相差は420nmであり、実施例1-4の1層の第2液晶フィルム12の正面位相差は400nmと近い値である。つまり、図13では、正面位相差の合計の値をできるだけ近づけた場合に、3層ずつ計6層の液晶フィルムを積層した実施例2-2と、1層ずつ計2層の液晶フィルムを積層した実施例1-4と、について比較して示すグラフである。
【0068】
図13に示すように、実施例2-2及び実施例1-4の明るさの極角依存性は、正の極角θ側(極角θ=50°以上)では実質的に同等の値となる。これに対し、負の極角θ側では、実施例2-2は実施例1-4よりも明るくなる。実施例2-2は、極角θ=-70°以上極角θ=-10°以下程度の範囲で実施例1-4よりも明るさが向上する。
【0069】
このように、実施例2-2及び実施例1-4のいずれも特定の方向(極角θ=50°以上)での明るさを抑制できる。また、複数の第1液晶フィルム11a、11b、11c及び複数の第2液晶フィルム12a、12b、12cを有する実施例2-2では、同等の平面位相差を有する実施例1-4に比べて、負の極角θ側での明るさを向上させることができる。例えば、実施例2-2を車載用の表示装置に適用した場合、実施例1-4に比べて、助手席側の窓ガラス(正の極角θ側、例えば極角θ=-50°)での映り込みを抑制しつつ、運転手側(負の極角θ側、例えば極角θ=+50°)での明るさを向上させることができる。
【0070】
上述した実施例2-1及び実施例2-2では、複数の第1液晶フィルム11a、11b、11cの正面位相差は、複数の第2液晶フィルム12a、12b、12cの正面位相差と同じである例を示したが、これに限定されない。
【0071】
図14は、実施例2-3に係る液晶フィルムの積層構成及び平面位相差を示す表である。図14に示すように、実施例2-3に係る光学素子は、3層の第1液晶フィルム11a、11b、11c及び3層の第2液晶フィルム12a、12b、12cを有し、合計6層の液晶フィルムが積層される。複数の第1液晶フィルム11a、11b、11cの正面位相差は、複数の第2液晶フィルム12a、12b、12cの正面位相差と異なる。具体的には、実施例2-3の第1液晶フィルム11a、11b、11cの正面位相差は、それぞれ140nm、140nm、140nmであり、第2液晶フィルム12a、12b、12cの正面位相差は、それぞれ110nm、120nm、120nmである。
【0072】
図15は、実施例2-3に係る表示装置の、明るさの視野角依存性を示す図である。図15に示すように、実施例2-3に係る表示装置では、上述した実施例2-2(図9、12参照)と同様に、極角θ=0°を通り第2方向Dyに平行な基準線に対して、右側(方位角φ=0°側)で明るさが抑制され、左側(方位角φ=180°側)で明るさが向上する。また、上述した実施例2-2に係る表示装置では、最も暗い領域が方位角φ=0°に配置されるのに対し、実施例2-3に係る表示装置では、最も暗い領域が方位角φ=6°に配置される。
【0073】
実施例2-3に示すように、複数の第1液晶フィルム11及び複数の第2液晶フィルム12のそれぞれの正面位相差が110nm以上の範囲で特定の方向での明るさを抑制することができる。また、複数の第1液晶フィルム11a、11b、11cと、複数の第2液晶フィルム12a、12b、12cとで正面位相差を異ならせることで、明るさが抑制される領域を正の方位角φ側に調整することができる。
【0074】
このような明るさの極角依存性を有する表示装置100を、車載用の表示装置に適用した場合、助手席側(あるいは運転手側)の窓ガラスが傾斜して設けられる場合において、助手席側(あるいは運転手側)の窓ガラスでの映り込みを効果的に抑制することができる。
【0075】
(第3実施形態)
図16は、第3実施形態に係る光学素子の、第1液晶フィルム及び第2液晶フィルムの液晶分子の配向を説明するための説明図である。なお、図16では、図面を見やすくするために、1層の第1液晶フィルム11及び1層の第2液晶フィルム12の液晶分子13の配向を示している。ただし、1層の第1液晶フィルム11についての説明は、複数の第1液晶フィルム11a、11b、11cのそれぞれに適用できる。また、1層の第2液晶フィルム12についての説明は、複数の第2液晶フィルム12a、12b、12cのそれぞれに適用できる。
【0076】
図16に示すように、第3実施形態に係る光学素子10Bでは、上述した各実施形態及び実施例に比べて、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12の、第3方向Dzでの液晶分子13の配向(傾斜角の変化)が各層同等になるように積層される。
【0077】
より詳細には、第1液晶フィルム11の液晶分子13の傾斜角は、第2液晶フィルム12に対向する面側では比較的小さく形成され、第1液晶フィルム11の表面に平行な方向とほぼ平行となるように配向している。これに対し、第1液晶フィルム11の液晶分子13の傾斜角は、第1偏光板21に対向する面側では、比較的大きく形成され、第1液晶フィルム11の表面に平行な方向とほぼ垂直となるように配向している。このように、第1液晶フィルム11の液晶分子13の、第1液晶フィルム11の表面に平行な平面に対する傾斜角は、第1偏光板21に対向する面側で、第2液晶フィルム12に対向する面側よりも大きく形成される。
【0078】
第2液晶フィルム12の液晶分子13の傾斜角は、第2偏光板22に対向する面側では比較的小さく形成され、第2液晶フィルム12の表面に平行な方向とほぼ平行となるように配向している。これに対し、第2液晶フィルム12の液晶分子13の傾斜角は、第1液晶フィルム11に対向する面側では、比較的大きく形成され、第2液晶フィルム12の表面に平行な方向とほぼ垂直となるように配向している。第2液晶フィルム12の液晶分子13の、第2液晶フィルム12の表面に平行な平面に対する傾斜角は、第2偏光板22に対向する面側で、第1液晶フィルム11に対向する面側よりも小さく形成される。
【0079】
(実施例3)
図17は、実施例3及び実施例2-2に係る光学素子の、明るさと極角との関係を示すグラフである。実施例3に係る光学素子10Bは、上述したように、複数の第1液晶フィルム11a、11b、11c及び複数の第2液晶フィルム12a、12b、12cの液晶分子13のチルト角の変化が各層同等である。実施例2-2に係る光学素子10Aでは、複数の第2液晶フィルム12a、12b、12cの液晶分子13のチルト角は、第1液晶フィルム11の表面に平行な方向を基準軸として、複数の第1液晶フィルム11a、11b、11cの液晶分子13のチルト角と線対称となっている(図4参照)。
【0080】
図17に示すように、実施例3に係る光学素子10Bを有する表示装置100は、実施例2-2に係る光学素子10Aを有する表示装置100と同等の明るさの極角依存性を示す。実施例3では、正の極角θ側(例えば極角θ=50°)での明るさが、負の極角θ側(例えば極角θ=-50°)に比べて抑制される。また、実施例3は、高極角側(極角θ=-50°以下、極角θ=50°以上)で、実施例2-2に比べてわずかに明るくなる。
【0081】
以上のように、第3実施形態及び実施例3では、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12の液晶分子13の配向(チルト角の変化)を異ならせた場合でも、特定の方向(例えば極角θ=50°)で明るさを抑制できることが示された。
【0082】
なお、第3実施形態及び実施例3では、光学素子10Bが複数の第1液晶フィルム11a、11b、11c及び複数の第2液晶フィルム12a、12b、12cを有する構成について説明したが、これに限定されない。第3実施形態及び実施例3は、1層の第1液晶フィルム11及び1層の第2液晶フィルム12を有する構成、すなわち上述した第1実施形態と組み合わせることができる。
【0083】
(第4実施形態)
上述した各実施形態及び各実施例では、第1偏光板21の第1吸収軸AX1は、第2偏光板22の第2吸収軸AX2と平行であり、かつ、第1液晶フィルム11の第1配向方向HX1は、第2液晶フィルム12の第2配向方向HX2と直交する例を示したが、これに限定されない。
【0084】
図18は、第4実施形態に係る光学素子の、各偏光板の吸収軸の方位と各液晶フィルムの配向の方位との関係を説明するための説明図である。なお、図18では、図面を見やすくするために、1層の第1液晶フィルム11及び1層の第2液晶フィルム12の配向方向を示している。ただし、1層の第1液晶フィルム11についての説明は、複数の第1液晶フィルム11a、11b、11cのそれぞれに適用できる。また、1層の第2液晶フィルム12についての説明は、複数の第2液晶フィルム12a、12b、12cのそれぞれに適用できる。
【0085】
図18に示すように、第4実施形態に係る光学素子10Cにおいて、第1偏光板21の第1吸収軸AX1は、方位角φ=45°方向に延在する。第2偏光板22の第2吸収軸AX2は、方位角φ=55°方向に延在する。すなわち、平面視で、第1偏光板21の第1吸収軸AX1は、第2偏光板22の第2吸収軸AX2と非平行である。
【0086】
また第1液晶フィルム11の第1配向方向HX1の方位角φは、φ=+45°である。第2液晶フィルム12の第2配向方向HX2の方位角φは、φ=-35°である。すなわち、平面視で、第1液晶フィルム11の第1配向方向HX1は、第1偏光板21の第1吸収軸AX1と平行である。また、平面視で、第1液晶フィルム11の第1配向方向HX1と、第2液晶フィルム12の第2配向方向HX2とがなす角度は、90°よりも小さい。
【0087】
また、平面視で、第1液晶フィルム11の第1配向方向HX1は、第2偏光板22の第2吸収軸AX2と非平行である。平面視で、第2液晶フィルム12の第2配向方向HX2は、第1偏光板21の第1吸収軸AX1と直交しないで交差する。第2液晶フィルム12の第2配向方向HX2は、第2偏光板22の第2吸収軸AX2と直交する。
【0088】
言い換えると、第4実施形態に係る光学素子10Cは、第1実施形態の光学素子10A(図7参照)のうち、第2液晶フィルム12及び第2偏光板22をひとまとまり(1セット)の光学機能層として、方位角φ=+10°だけ回転させた配向関係を有する。
【0089】
(実施例4)
図19は、実施例4及び実施例2-2に係る光学素子の、各偏光板の吸収軸及び各液晶フィルムの配向の方位角を示す表である。図9に示すように、実施例4に係る光学素子10Cの、第1偏光板21の第1吸収軸AX1、第1液晶フィルム11の第1配向方向HX1、第2液晶フィルム12の第2配向方向HX2及び第2偏光板22の第2吸収軸AX2の方位角φは、それぞれφ=45°、φ=+45°、φ=-35°、φ=55°である。
【0090】
実施例2-2に係る光学素子10Aの、第1偏光板21の第1吸収軸AX1、第1液晶フィルム11の第1配向方向HX1、第2液晶フィルム12の第2配向方向HX2及び第2偏光板22の第2吸収軸AX2の方位角φは、それぞれφ=45°、φ=+45°、φ=-45°、φ=45°である。
【0091】
図20は、実施例4及び実施例2-2に係る光学素子の、明るさと極角との関係を示すグラフである。図20に示すように、実施例4に係る光学素子10Cを有する表示装置100は、実施例2-2に係る光学素子10Aを有する表示装置100とほぼ同等の明るさの極角依存性を示す。すなわち、実施例4では正の極角θ側(例えば極角θ=50°)での明るさが、負の極角θ側(例えば極角θ=-50°)に比べて抑制される。また、実施例4は、高極角側(極角θ=-50°以下)で、実施例2-2に比べてわずかに明るくなる。
【0092】
図21は、実施例4に係る表示装置の、明るさの視野角依存性を示す図である。図21に示すように、実施例4に係る表示装置では、上述した実施例2-2(図12)と同様に、極角θ=0°を通り第2方向Dyに平行な基準線に対して、右側(方位角φ=0°側)で明るさが抑制され、左側(方位角φ=180°側)で明るさが向上する。また、実施例4に係る表示装置では、最も暗い領域が方位角φ=6°に配置される。
【0093】
このように、第1偏光板21及び複数の第1液晶フィルム11(11a、11b、11c)と、第2偏光板22及び第2液晶フィルム12(12a、12b、12c)と、の平面視での配向関係を調整することで、明るさが抑制される方位角φを調整することができる。
【0094】
なお、図18図19に示す各層の方位角φは、あくまで一例であり、適宜変更することができる。また、第4実施形態及び実施例4では、3層の第1液晶フィルム11(11a、11b、11c)及び3層の第2液晶フィルム12(12a、12b、12c)を有する例について説明したが、これに限定されない。第4実施形態の構成は、上述した第1実施形態、第2実施形態の各実施例及び第3実施形態と組み合わせることができる。
【0095】
(第5実施形態)
図22は、第5実施形態に係る光学素子の、液晶フィルムの液晶分子の配向を説明するための説明図である。図22に示すように、第5実施形態に係る光学素子10Dにおいて、第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12は、円盤状の液晶分子14(ディスコティック液晶分子)を有する。第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12は、それぞれ円盤状の液晶分子14が第3方向Dzに沿ってハイブリッド配向された状態で固定化されている。
【0096】
液晶分子14は、屈折率異方性を有し、液晶分子13の長軸LAに沿った方向の屈折率ny(=ne)は、長軸LAに直交する方向の屈折率nx、nz(nx=nz(=no))と異なる。本実施形態では、屈折率nxは液晶分子13の面内方向の屈折率であり、屈折率nzは液晶分子13の法線方向の屈折率である。
【0097】
第5実施形態では、円盤状の液晶分子14を有する第1液晶フィルム11及び第2液晶フィルム12を用いた場合であっても、上述した各実施形態と同様に、特定の方向で光の透過を抑制することができる。また、第5実施形態の構成は、上述した各実施形態及び各実施例と組み合わせることができる。
【0098】
(変形例)
光学素子10と表示パネル50との積層構造や、表示パネル50の種類は、図1にて上述した構成に限定されない。図23は、第1変形例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。図23に示すように第1変形例に係る表示装置100Aにおいて、光学素子10は、表示パネル50の表示面側に配置される。すなわち、第3方向Dzで、照明装置60、第3偏光板23、表示パネル50、光学素子10の順に積層される。
【0099】
第1変形例に係る表示装置100Aにおいて、表示パネル50からの表示光は、光学素子10に入射する。光学素子10は、表示パネル50から入射された光の視野角依存性を調整して、特定の方向で光の透過を抑制する。これにより、表示装置100Aは、特定の方向で明るさが抑制された画像を表示する。
【0100】
また、第1変形例では、光学素子10の第2偏光板22は、表示パネル50の表示面側の偏光板と共用される。すなわち、表示パネル50と、光学素子10の第2液晶フィルム12との間には、1つの第2偏光板22が配置される。これにより、表示パネル50の表示面側に第2偏光板22とは別の偏光板が設けられた構成に比べて、光の透過率を向上させることができる。
【0101】
図24は、第2変形例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。図24に示すように、第2変形例に係る表示装置100Bにおいて、光学素子10は、第3方向Dzで、照明装置60と表示パネル50との間に配置される。表示パネル50の背面側(光学素子10側)には第4偏光板24及び偏光回転素子30が設けられる。言い換えると、偏光回転素子30は、第3方向Dzで、表示パネル50の第4偏光板24と、光学素子10の第1偏光板21との間に設けられる。
【0102】
偏光回転素子30は、例えばλ/2の位相差を有する複屈折フィルムである。表示パネル50の第4偏光板24の吸収軸と、光学素子10の第1偏光板21の吸収軸とが、非平行で配置されている場合、偏光回転素子30により光の利用効率の低下を抑制することができる。偏光回転素子30は、平面視で、表示パネル50の第4偏光板24の吸収軸と、光学素子10の第1偏光板21の吸収軸との中間に遅相軸が配置される。
【0103】
図25は、第3変形例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。図25に示すように、第3変形例に係る表示装置100Cにおいて、表示パネル50Aは、有機EL表示パネル(OLED:Organic Light Emitting Diode)である。表示パネル50Aは、自発光型の表示パネルであり、表示装置100Cは、照明装置60を有さない。また、第3変形例では、光学素子10は、表示パネル50Aの表示面側に配置される。
【0104】
上述した例では、液晶表示パネル、有機EL表示パネルを示したが、これに限定されず、無機EL表示パネル(マイクロLED、ミニLED)、或いは、電気泳動型表示パネル(EPD:Electrophoretic Display)であってもよい。
【0105】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0106】
10、10A、10B、10C、10D 光学素子
11、11a、11b、11c 第1液晶フィルム
12、12a、12b、12c 第2液晶フィルム
13、14 液晶分子
21 第1偏光板
22 第2偏光板
23 第3偏光板
24 第4偏光板
30 偏光回転素子
50、50A 表示パネル
60 照明装置
70 制御回路
100 表示装置
AX1 第1吸収軸
AX2 第2吸収軸
HX1 第1配向方向
HX2 第2配向方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16
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図19
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図21
図22
図23
図24
図25