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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179944
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20231213BHJP
   B62D 49/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B60R11/02 A
B62D49/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092905
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】西久保 拓也
(72)【発明者】
【氏名】三谷 俊貴
(72)【発明者】
【氏名】川西 大輔
(72)【発明者】
【氏名】坂元 亮宥
(72)【発明者】
【氏名】徳安 陽一
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA13
3D020BB06
3D020BC18
3D020BD01
(57)【要約】
【課題】位置検出装置の位置を容易に変更することができる作業車両を提供する。
【解決手段】車体の位置を検出可能な位置検出装置100と、前記位置検出装置100を支持すると共に、キャビン10が有する左右のピラー12に亘るように配置される支持フレーム300と、前記支持フレーム300を左右の前記ピラー12のそれぞれに対して回動可能に連結する連結部(第一連結部400、第二連結部500)と、を具備する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の位置を検出可能な位置検出装置と、
前記位置検出装置を支持すると共に、キャビンが有する左右のピラーに亘るように配置される支持フレームと、
前記支持フレームを左右の前記ピラーのそれぞれに対して回動可能に連結する連結部と、
を具備する作業車両。
【請求項2】
前記支持フレームは、
両端が、左右の前記ピラーよりも外側に位置するように配置される、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記連結部は、
前記ピラーに固定される固定部材と、
前記固定部材に取り付けられると共に、前記支持フレームを回動可能に支持する支持部材と、
を具備する、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記連結部は、
前記支持フレームの一端部を左右の前記ピラーのうち一方に対して回動可能に連結する第一連結部と、
前記支持フレームの他端部を左右の前記ピラーのうち他方に対して回動可能に連結する第二連結部と、
を含み、
前記第一連結部は、
前記支持フレームの一端部が挿通されると共に、前記支持フレームの一端部を回動可能に支持する第一支持孔を具備し、
前記第二連結部は、
前記第一支持孔の内径よりも大きい内径を有し、前記支持フレームの他端部が挿通されると共に、前記支持フレームの他端部を回動可能に支持する第二支持孔を具備する、
請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記連結部に設けられ、前記支持フレームの回動に摩擦力を付与する摩擦力付与機構を具備する、
請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
前記摩擦力付与機構は、
前記第一連結部及び前記第二連結部のうち、前記第一連結部にのみ設けられる、
請求項5に記載の作業車両。
【請求項7】
前記第一連結部及び前記第二連結部のうち、前記第二連結部にのみ設けられ、前記支持フレームの回動を所定の位置で規制する規制部を具備する、
請求項6に記載の作業車両。
【請求項8】
前記キャビンに設けられ、前記位置検出装置と接続される配線を前記キャビンの内部から外部へと取り出す取り出し口を具備し、
前記取り出し口は、
前記支持フレームの回動軸の近傍に配置される、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の作業車両。
【請求項9】
前記支持フレームに設けられ、前記配線の少なくとも一部を覆うカバー部材を具備する、
請求項8に記載の作業車両。
【請求項10】
前記支持フレームは、
左右非対称形状に形成される、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の作業車両。
【請求項11】
前記支持フレームは、
棒状の部材により形成される本体部を具備し、
前記本体部は、
マフラとの接触を回避するように屈曲されている、
請求項10に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体の位置を検出可能な位置検出装置を具備する作業車両の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、衛星測位システムを構成する測位衛星からの電波信号を受信することで車体の位置を検出可能なアンテナユニットを備えるトラクタが記載されている。上記アンテナユニットは、キャビンの左右方向中央に位置するように取り付けられている。また、上記アンテナユニットは、キャビンのルーフよりも上方に突出する正規使用位置と、ルーフよりも低い非使用位置と、の間で回動可能に取り付けられている。
【0004】
上記特許文献1に記載されたトラクタでは、アンテナユニットの位置を変更する際には、作業者の手によりアンテナユニットを回動させ、変更後の位置でアンテナユニットを固定する必要がある。ここで、上記アンテナユニットは、キャビンの左右方向中央に位置しているため、トラクタの側方に立つ作業者からは手が届き難い位置にある。このため、位置変更の作業を行う際には、作業者は脚立等を用いて作業を行う必要があるなど、アンテナユニットの位置の変更作業が困難であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6640767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一態様は、以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、位置検出装置の位置を容易に変更することができる作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本開示の一態様に係る作業車は、車体の位置を検出可能な位置検出装置と、前記位置検出装置を支持すると共に、キャビンが有する左右のピラーに亘るように配置される支持フレームと、前記支持フレームを左右の前記ピラーのそれぞれに対して回動可能に連結する連結部と、を具備するものである。
本開示の一態様によれば、位置検出装置の位置を容易に変更することができる。
【0009】
本開示の一態様に係る前記支持フレームは、両端が、左右の前記ピラーよりも外側に位置するように配置されるものである。
本開示の一態様によれば、位置検出装置の位置を容易に変更することができる。
【0010】
本開示の一態様に係る前記連結部は、前記ピラーに固定される固定部材と、前記固定部材に取り付けられると共に、前記支持フレームを回動可能に支持する支持部材と、を具備するものである。
本開示の一態様によれば、支持フレームを回動させ易くすることができる。
【0011】
本開示の一態様に係る前記連結部は、前記支持フレームの一端部を左右の前記ピラーのうち一方に対して回動可能に連結する第一連結部と、前記支持フレームの他端部を左右の前記ピラーのうち他方に対して回動可能に連結する第二連結部と、を含み、前記第一連結部は、前記支持フレームの一端部が挿通されると共に、前記支持フレームの一端部を回動可能に支持する第一支持孔を具備し、前記第二連結部は、前記第一支持孔の内径よりも大きい内径を有し、前記支持フレームの他端部が挿通されると共に、前記支持フレームの他端部を回動可能に支持する第二支持孔を具備するものである。
本開示の一態様によれば、支持フレームを回動させ易くすることができる。
【0012】
本開示の一態様に係る前記連結部に設けられ、前記支持フレームの回動に摩擦力を付与する摩擦力付与機構を具備するものである。
本開示の一態様によれば、位置検出装置の位置を調節し易くすることができる。
【0013】
本開示の一態様に係る前記摩擦力付与機構は、前記第一連結部及び前記第二連結部のうち、前記第一連結部にのみ設けられるものである。
本開示の一態様によれば、摩擦力の付与を好適に行うことができる。
【0014】
本開示の一態様に係る前記第一連結部及び前記第二連結部のうち、前記第二連結部にのみ設けられ、前記支持フレームの回動を所定の位置で規制する規制部を具備するものである。
本開示の一態様によれば、位置検出装置の位置を調節し易くすることができる。
【0015】
本開示の一態様に係る前記キャビンに設けられ、前記位置検出装置と接続される配線を前記キャビンの内部から外部へと取り出す取り出し口を具備し、前記取り出し口は、前記支持フレームの回動軸の近傍に配置されるものである。
本開示の一態様によれば、位置検出装置の位置の変更に伴って、配線に負荷が加わるのを抑制することができる。
【0016】
本開示の一態様に係る前記支持フレームに設けられ、前記配線の少なくとも一部を覆うカバー部材を具備するものである。
本開示の一態様によれば、配線を保護することができる。
【0017】
本開示の一態様に係る前記支持フレームは、左右非対称形状に形成されるものである。
本開示の一態様によれば、作業車両の設計の自由度を向上させることができる。
【0018】
本開示の一態様に係る前記支持フレームは、棒状の部材により形成される本体部を具備し、前記本体部は、マフラとの接触を回避するように屈曲されているものである。
本開示の一態様によれば、支持フレームとマフラとの干渉を避けることができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一態様によれば、位置検出装置の位置を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の一態様に係るトラクタの全体的な構成を示した側面図。
図2】トラクタのキャビン、位置検出装置及び支持機構を示した斜視図。
図3】支持機構の右側部分を示した拡大斜視図。
図4】支持機構の左側部分を示した拡大斜視図。
図5】位置検出装置及び支持機構を示した平面図。
図6】位置検出装置及び支持機構を示した分解斜視図。
図7】支持機構の右側部分を示した拡大分解斜視図。
図8】支持機構の左側部分を示した拡大分解斜視図。
図9】使用位置の位置検出装置及び支持機構を示した左側面図。
図10】非使用位置の位置検出装置及び支持機構を示した左側面図。
図11】ビーム、配線、位置検出装置及び支持機構を示した右側面図。
図12】ビームの取り出し口及び支持フレームを模式的に示した右側面図。
図13】変形例に係るトラクタのキャビン、位置検出装置及び支持機構を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0022】
まず、本開示の一態様に係るトラクタ1の全体構成について説明する。
【0023】
図1に示すトラクタ1は、主として機体フレーム2、エンジン3、ボンネット4、ミッションケース5、前輪6、後輪7、フェンダ8、昇降装置9、キャビン10、座席20及びステアリングホイール21等を具備する。
【0024】
機体フレーム2は、複数の板材を適宜組み合わせて形成される枠状の部材である。機体フレーム2は、平面視略矩形状に形成される。機体フレーム2は、その長手方向を前後方向に向けてトラクタ1の前部に配置される。機体フレーム2の後部にはエンジン3が固定される。エンジン3は、ボンネット4に覆われる。エンジン3の後部には、ミッションケース5が固定される。ボンネット4の右側方には、エンジン3の排気ガスを排出するマフラ4aが配置される。
【0025】
機体フレーム2の前部は、フロントアクスル機構(不図示)を介して左右一対の前輪6に支持される。ミッションケース5の後部は、リアアクスル機構(不図示)を介して左右一対の後輪7に支持される。左右一対の後輪7は、概ね上方からフェンダ8によって覆われる。
【0026】
ミッションケース5の後部には、昇降装置9が設けられる。昇降装置9には、各種の作業装置(例えば、耕運機等)を装着することができる。昇降装置9は油圧シリンダ等のアクチュエータによって、装着された作業装置を昇降させることができる。当該昇降装置9には、図示せぬPTO軸を介してエンジン3の動力を伝達することができる。
【0027】
エンジン3の動力は、ミッションケース5に収容された変速装置(不図示)で変速された後、前記フロントアクスル機構を経て前輪6に伝達可能とされると共に、前記リアアクスル機構を経て後輪7に伝達可能とされる。エンジン3の動力によって前輪6及び後輪7が回転駆動され、トラクタ1は走行することができる。またエンジン3の動力によって、昇降装置9に装着された作業装置を駆動させることができる。
【0028】
エンジン3の後方にはキャビン10が設けられる。キャビン10は車体(ミッションケース5等)に載置される。キャビン10の内部には、運転者が搭乗する居住空間が形成される。
【0029】
図2に示すように、キャビン10は、前部においてルーフ11を支持する左右のピラー(フロントピラー)12を有する。左右のピラー12の上下方向中途部には、後述する第一連結部400及び第二連結部500を固定するための固定片部12aがそれぞれ設けられる。固定片部12aは、厚さ方向を概ね前後方向に向けた略板形状に形成される。
【0030】
また、図5に示すように、キャビン10は、左右のピラー12の上端部同士を連結するビーム13を有する。なお、図5では、キャビン10のルーフ11等の図示を省略している。ビーム13及び左右のピラー12により形成された枠内には、フロントガラスが設けられる。ビーム13には、後述する位置検出装置100と接続される配線110を、キャビン10の内部から外部へと取り出す取り出し口13aが形成される。取り出し口13aは、ビーム13を前後方向に貫通するように形成される。取り出し口13aは、ビーム13の右側部分に形成される。また、取り出し口13aは、左右方向に間隔を空けて複数(図例では2つ)形成される。
【0031】
図1に示すように、キャビン10の略中央には、運転者が着座するための座席20が配置される。また、キャビン10には、座席20に対する乗り降りのための補助ステップ20aが設けられる。補助ステップ20aは少なくともキャビン10の左側に設置される。なお、補助ステップ20aはキャビン10の両側に設置可能である。また、キャビン10の前部には、前輪6の切れ角を調節するためのステアリングホイール21が配置される。
【0032】
図2に示すように、トラクタ1は、車体の位置を検出可能な位置検出装置100と、位置検出装置100を支持する支持機構200と、を具備する。以下では、図2から図8までを用いて、位置検出装置100及び支持機構200の詳細について説明する。
【0033】
図2に示す位置検出装置100は、GPS等の衛生測位システムを利用して、車体の位置(緯度、経度を含む位置情報)を検出可能な装置である。位置検出装置100は、略直方体の箱形状に形成される。位置検出装置100は、衛星から送信された衛星信号を受信する適宜の受信手段を有する。位置検出装置100は、キャビン10の外部に位置するように設けられる。具体的には、位置検出装置100は、ルーフ11の前部における左右方向略中央に位置するように配置される。
【0034】
図5に示すように、位置検出装置100は、キャビン10の内部から取り出し口13aを介して取り出された配線110と接続される。図例では、位置検出装置100の右部に配線110を接続させている。配線110は、複数設けられている。配線110を介して、位置検出装置100と、トラクタ1の走行を制御可能な適宜の制御装置と、を通信可能に接続することができる。
【0035】
トラクタ1は、位置検出装置100が検出した位置情報に基づいて、車体の操舵を自動で行う制御を実行可能である。上記制御には、例えば、設定された所定の走行基準ラインに平行に直進するように、車体の操舵を自動で行う制御が含まれる。
【0036】
支持機構200は、キャビン10に取り付けられると共に、位置検出装置100を支持するものである。支持機構200は、支持フレーム300、第一連結部400及び第二連結部500を具備する。
【0037】
図5から図8までに示す支持フレーム300は、位置検出装置100を支持すると共に、左右のピラー12に亘るように配置されるものである。支持フレーム300は、ルーフ11の前方に位置するように配置される。支持フレーム300は、後述する第一連結部400及び第二連結部500を介して、左右方向に向く中心軸(後述する回動軸322、336)回りに、左右のピラー12に対して回動可能に設けられる。
【0038】
具体的には、支持フレーム300は、位置検出装置100がルーフ11(ルーフ11の上端部)の上方に位置する使用位置(図9を参照)と、位置検出装置100がルーフ11よりも下方に位置するように、使用位置から左側面視反時計回り方向に回動した非使用位置(図10を参照)と、の間で回動操作可能である。なお、支持フレーム300の回動操作の詳細な説明は後述する。以下では、使用位置を基準として、支持フレーム300の構成を説明する。支持フレーム300は、本体部310、第一端部320、第二端部330、支持プレート340及びカバー部350を具備する。
【0039】
図5及び図8に示す本体部310は、支持フレーム300の主たる構造体である。本体部310は、左右方向に長尺な棒状(丸棒形状)の部材を屈曲することで形成される。本体部310としては、例えば中空形状の丸棒(パイプ)を採用可能である。図5に示すように、本体部310は、左右方向両端部(後述する第三部分313の端部)が、左右のピラー12(ピラー12のうち、支持フレーム300と概ね同高さの部分)よりも左右方向外側に位置するように形成される。本体部310は、第一部分311、第二部分312及び第三部分313を具備する。
【0040】
第一部分311は、本体部310の左右方向中央側の部分である。第一部分311は、左右方向に延びるように形成される。図5に示すように、第一部分311は、位置検出装置100が使用位置にある状態で、左右方向中央部が後方に向けて凹むように形成されている。より詳細には、第一部分311は、左右方向中央部が左右方向両端部に対して斜め後下方に向けて凹むように形成されている(図11を参照)。また、第一部分311は、左右方向中央部を除いて、直線状に形成されている。
【0041】
第二部分312は、第一部分311の左右方向両端部から、それぞれ左右に延びる部分である。第二部分312は、斜め下後方向に向かって延びるように形成される。図5に示すように、本実施形態では、左右の第二部分312のうち、マフラ4a側(右側)の第二部分312を、マフラ4aとの接触を回避するように屈曲させている。すなわち、本実施形態では、右側の第二部分312を、反マフラ4a側(平面視において斜め左後側)に向けて凹むように屈曲した形状に形成している。また、右側の第二部分312は、図11に示すように、右側面視斜め後上方に向けて凹むように形成されている。これにより、支持フレーム300(第二部分312)とマフラ4aとの干渉を避けることができる。
【0042】
第三部分313は、第二部分312の左右方向両端部から、それぞれ左右に延びる部分である。第三部分313は、左右方向に直線状に延びるように形成される。左右の第三部分313は、互いに略同軸上に位置するように形成される。
【0043】
上述の如き本体部310は、左右非対称形状に形成されている。具体的には、本体部310は、右側の第二部分312を、マフラ4aとの接触を回避するように屈曲させる一方、左側の第二部分312については屈曲させず、直線状に延びる形状に形成している。このように、本実施形態では、他の部材との干渉を避けるように本体部310(第二部分312)の形状を任意に変更している。本実施形態のように、本体部310のうち、左右の第三部分313が互いに略同軸上に位置していれば、中途部(第一部分311及び第二部分312)の形状や大きさ等を任意に変更することができる。これにより、トラクタ1の設計の自由度を向上させることができる。
【0044】
図3及び図7に示す第一端部320は、支持フレーム300の右側の端部を構成するものである。第一端部320は、厚さ方向を左右方向に向けた略板形状に形成される。第一端部320は、側面視において略円形状に形成される。第一端部320は、本体部310(第三部分313)の右端部に固定される。第一端部320は、軸取付孔321及び回動軸322を具備する。
【0045】
軸取付孔321は、後述する回動軸322が取り付けられる部分(ねじ孔)である。軸取付孔321は、第一端部320を左右方向に貫通するように形成される。軸取付孔321は、第一端部320の側面視中心に形成される。軸取付孔321は、側面視において、第三部分313の中心と概ね一致するように形成される。
【0046】
回動軸322は、支持フレーム300の右側の回動中心となるものである。回動軸322は、軸線方向を左右方向に向けて配置される。回動軸322は、適宜のボルト(スタッドボルト)により形成される。回動軸322は、軸取付孔321に嵌合される。
【0047】
図4及び図8に示す第二端部330は、支持フレーム300の左側の端部を構成するものである。第二端部330は、厚さ方向を左右方向に向けた略板形状に形成される。第二端部330は、側面視において一部(後述する突部334)が突出した略円形状に形成される。なお、第二端部330は、一部が突出している点を除いて、第一端部320と概ね同様な形状に形成される。第二端部330は、軸取付孔331、第一固定孔332、第二固定孔333、突部334、規制ピン335及び回動軸336を具備する。
【0048】
軸取付孔331は、後述する回動軸336が取り付けられる部分(ねじ孔)である。軸取付孔331の構成は、第一端部320の軸取付孔321の構成と概ね同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0049】
第一固定孔332は、使用位置で支持フレーム300を固定する際に、後述する第二連結部500に対して第二端部330を固定するための部分である。第一固定孔332は、第二端部330を左右方向に貫通するように形成される。第二端部330は、軸取付孔331を挟んで一対形成される。
【0050】
第二固定孔333は、非使用位置で支持フレーム300を固定する際に、後述する第二連結部500に対して第二端部330を固定するための部分である。第二固定孔333は、第一固定孔332と同様、第二端部330を左右方向に貫通するように形成される。第二端部330は、軸取付孔331を挟んで一対形成される。第一固定孔332及び第二固定孔333は、軸取付孔331を中心とする円周上に並ぶように形成される。
【0051】
突部334は、第二端部330の略円形状の部分から、略上方(斜め上方)に向けて突出する部分である。
【0052】
規制ピン335は、突部334の先端部から、左方に向けて突出する部分である。規制ピン335は、軸線方向を左右方向に向けた略円柱形状に形成される。
【0053】
回動軸336は、支持フレーム300の左側の回動中心となるものである。回動軸336は、軸線方向を左右方向に向けて配置される。回動軸336は、軸取付孔331に嵌合される。回動軸336は、右側の回動軸322と同一の外径となるように形成されている。
【0054】
図6に示す支持プレート340は、位置検出装置100を支持するものである。支持プレート340は、本体部310の左右方向中央部(第一部分311の左右方向中央部)に設けられる。支持プレート340は、位置検出装置100が使用位置にある状態で、厚さ方向を上下方向に向けた略板形状に形成される。支持プレート340は、本体部310に対して、例えば溶接により固定される。また、支持プレート340は、位置検出装置100の底面に対して、ボルト等の止具を用いて固定される。
【0055】
図3及び図7に示すカバー部350は、本体部310に設けられ、配線110の少なくとも一部を覆うものである。カバー部350は、平面視において、左右方向に長尺な略矩形状に形成される。カバー部350は、本体部310の右側部分に設けられる。より詳細には、カバー部350は、本体部310の第一部分311のうち、支持プレート340よりも右側の部分に設けられる。また、カバー部350は、第一部分311の後側に設けられる。カバー部350は、下カバー部351、カバー固定部352及び上カバー部353を具備する。
【0056】
下カバー部351は、本体部310(第一部分311)の下部に設けられる部分である。下カバー部351は、位置検出装置100が使用位置にある状態で、厚さ方向を上下方向に向けた略板形状に形成される。より詳細には、下カバー部351は、板形状の部材の後端部を上方に折り曲げた形状に形成される。下カバー部351は、第一部分311の下面に対して、例えば溶接により固定される。
【0057】
カバー固定部352は、後述する上カバー部353を固定するための部分である。カバー固定部352には、ボルト等の止具を上下に挿通可能なねじ孔が形成される。カバー固定部352は、本体部310(第一部分311)の上面に、左右方向に間隔を空けて複数(図例では3つ)設けられる。カバー固定部352は、第一部分311の上面に対して、例えば溶接により固定される。
【0058】
上カバー部353は、本体部310(第一部分311)の上部に設けられる部分である。上カバー部353は、位置検出装置100が使用位置にある状態で、厚さ方向を上下方向に向けた略板形状に形成される。上カバー部353は、本体部310とは別体に形成される。上カバー部353は、カバー固定部352に対して、ボルト等の止具を用いて取り付けられる。
【0059】
図3及び図7に示す第一連結部400は、支持フレーム300の右端部を右側のピラー12に対して回動可能に連結するものである。第一連結部400は、右側のピラー12の固定片部12aに設けられる。第一連結部400は、固定部材410、支持部材420及び摩擦力付与機構430を具備する。
【0060】
固定部材410は、ピラー12の固定片部12aに固定されると共に、後述する支持部材420が取り付けられるものである。固定部材410は、板形状の部材を略L字形状に折り曲げて形成される。固定部材410は、第一固定片部411及び第二固定片部412を具備する。
【0061】
第一固定片部411は、固定片部12aに固定される部分である。第一固定片部411は、厚さ方向が概ね前後方向に向くように形成される。第一固定片部411は、後面が固定片部12aの前面に当接した状態で、固定片部12aに対してボルト等の止具を用いて固定される。
【0062】
第二固定片部412は、支持部材420が取り付けられる部分である。第二固定片部412は、第一固定片部411の上端部から、略後方に向けて延びるように形成される。第二固定片部412は、厚さ方向が概ね上下方向に向くように形成される。
【0063】
支持部材420は、固定部材410に取り付けられると共に、支持フレーム300の右端部を回動可能に支持するものである。支持部材420は、板形状の部材を略L字形状に折り曲げて形成される。支持部材420は、第一支持片部421及び第二支持片部422を具備する。
【0064】
第一支持片部421は、固定部材410の第二固定片部412に固定される部分である。第一支持片部421は、厚さ方向が概ね上下方向に向くように形成される。第一支持片部421は、下面が第二固定片部412の上面に当接した状態で、第二固定片部412に対してボルト等の止具を用いて固定される。
【0065】
第二支持片部422は、支持フレーム300の右端部(第一端部320)を回動可能に支持する部分である。第二支持片部422は、第一支持片部421の右端部から、上方に向けて延びるように形成される。第二支持片部422は、厚さ方向が左右方向に向くように形成される。第二支持片部422は、側面視において略矩形状に形成される。第二支持片部422は、上端部の左右方向中央部が、上方に向けて突出する円弧形状に形成されている。第二支持片部422は、支持孔422aを具備する。
【0066】
支持孔422aは、支持フレーム300の回動軸322が挿通されると共に、支持フレーム300の右端部を回動可能に支持するものである。支持孔422aは、第二支持片部422を左右方向に貫通するように形成される。支持孔422aの内径は、回動軸322の外径よりも大きく形成される。支持孔422aは、第二支持片部422の側面視略中央に形成される。
【0067】
摩擦力付与機構430は、支持フレーム300の回動に摩擦力を付与するものである。摩擦力付与機構430は、第二支持片部422の右面側に設けられる。摩擦力付与機構430は、摩擦板431、座金432、ばね部433、ばね受け部434及びケース435を具備する。
【0068】
摩擦板431は、第二支持片部422の右面との間で摩擦力を発生させるためのものである。摩擦板431は、略円環状に形成される。摩擦板431は、回動軸322に外嵌される。
【0069】
座金432は、後述するばね部433の付勢力を摩擦板431へ伝達するものである。座金432は、略円環状に形成される。座金432は、回動軸322に外嵌されて、摩擦板431の右面に当接する。
【0070】
ばね部433は、座金432及び摩擦板431を左方へ付勢するためのものである。ばね部433は、圧縮コイルばねにより形成される。ばね部433は、回動軸322に外嵌されて、座金432の左面に当接する。
【0071】
ばね受け部434は、ばね部433を受けるためのものである。ばね受け部434は、略円環状に形成される。ばね受け部434は、回動軸322に外嵌されて、ばね部433の、右面に当接する。また、ばね受け部434は、回動軸322に締結されるナット322aによって、回動軸322に保持される。ナット322aの締結位置を適宜変更することで、支持フレーム300が回動する際に付与される摩擦力を調節することができる。
【0072】
ケース435は、摩擦力付与機構430を構成する他の部材(摩擦板431、座金432、ばね部433、ばね受け部434)及び回動軸322を覆うものである。ケース435は、左方に開口する略箱形状に形成される。
【0073】
図4及び図8に示す第二連結部500は、支持フレーム300の左端部を左側のピラー12に対して回動可能に連結するものである。第二連結部500は、左側のピラー12の固定片部12aに設けられる。第二連結部500は、固定部材510、支持部材520を具備する。
【0074】
固定部材510は、ピラー12の固定片部12aに固定されると共に、後述する支持部材520が取り付けられるものである。固定部材510は、第一固定片部511及び第二固定片部512を具備する。なお、固定部材510(第一固定片部511及び第二固定片部512)は、左右方向に対称な形状に形成されている点を除いて固定部材410(第一固定片部411及び第二固定片部412)と概ね同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0075】
支持部材520は、固定部材510に取り付けられると共に、支持フレーム300の左端部を回動可能に支持するものである。支持部材420は、板形状の部材を略L字形状に折り曲げて形成される。支持部材520は、第一支持片部521及び第二支持片部522を具備する。
【0076】
第一支持片部521は、固定部材510の第二固定片部512に固定される部分である。第一支持片部521は、厚さ方向が概ね上下方向に向くように形成される。第一支持片部521は、下面が第二固定片部512の上面に当接した状態で、第二固定片部512に対してボルト等の止具を用いて固定される。
【0077】
第二支持片部522は、支持フレーム300の左端部(第二端部330)を回動可能に支持する部分である。第二支持片部522は、第一支持片部521の左端部から、上方に向けて延びるように形成される。第二支持片部522は、厚さ方向が左右方向に向くように形成される。第二支持片部522は、側面視において略矩形状に形成される。第二支持片部522は、上端部の左右方向中央部が、支持孔522aを中心とする円弧形状に形成されることで、上方に向けて突出している。第二支持片部522は、支持孔522a、固定孔522b、第一規制部522c及び第二規制部522dを具備する。
【0078】
支持孔522aは、支持フレーム300の回動軸336が挿通されると共に、支持フレーム300の左端部を回動可能に支持するものである。支持孔522aは、第二支持片部522を左右方向に貫通するように形成される。支持孔522aは、第二支持片部522の側面視略中央に形成される。支持孔522aの内径は、第一連結部400の支持孔422aの内径よりも大きく形成される。これによって、支持孔422aと当該支持孔422aに挿通された回動軸322との隙間より、支持孔522aと当該支持孔522aに挿通された回動軸336との隙間の方が大きくなる。
【0079】
固定孔522bは、支持フレーム300(第二端部330)を使用位置又は非使用位置で固定する際に用いられる部分である。固定孔522bは、側面視において、使用位置の支持フレーム300(第二端部330)の一対の第一固定孔332とそれぞれ重複すると共に、非使用位置の支持フレーム300(第二端部330)の一対の第二固定孔333とそれぞれ重複するように、一対形成される(図9及び図10を参照)。一対の固定孔522bは、支持フレーム300の回動中心(回動軸336の軸心)を円心とした円の円周に沿って延びる長孔形状に形成される。固定孔522bと、第一固定孔332又は第二固定孔333と、に挿通された固定用のボルト及びナットにより、使用位置又は非使用位置の支持フレーム300と、支持部材520と、が固定される。
【0080】
第一規制部522cは、支持フレーム300の回動を使用位置で規制するものである。第一規制部522cは、第二支持片部522の後部(円弧形状の部分の後方の部分)における上面に形成される。第一規制部522cに、支持フレーム300の規制ピン335が当接することで、使用位置の支持フレーム300の左側面視時計回り方向への更なる回動が規制される(図9を参照)。
【0081】
第二規制部522dは、支持フレーム300の回動を非使用位置で規制するものである。第二規制部522dは、第二支持片部522の前部(円弧形状の部分の後方の部分)における上面に形成される。第二規制部522dに、支持フレーム300の規制ピン335が当接することで、非使用位置の支持フレーム300の左側面視反時計回り方向への更なる回動が規制される(図10を参照)。
【0082】
次に、図9及び図10を用いて、支持機構200(支持フレーム300)を回動させて、位置検出装置100を、使用位置と非使用位置とに変更する動作について説明する。
【0083】
まず、使用位置の位置検出装置100を、非使用位置へ変更する動作について説明する。
【0084】
図9は、位置検出装置100が使用位置に位置している状態を示している。この状態では、使用位置の支持フレーム300の第二端部330が、第二連結部500に対して、固定用のボルト及びナットにより固定される。なお、図9及び図10では、ボルト及びナットの図示は省略している。
【0085】
使用位置に位置している状態では、支持フレーム300に固定されている位置検出装置100の上端部は、キャビン10のルーフ11の上端部(最も高い部分)よりも上方に位置している(図1を参照)。使用位置においては、支持機構200は、車体の位置を好適に検出可能な位置(姿勢)で、位置検出装置100を支持することができる。
【0086】
上記位置検出装置100を非使用位置へ変更する際には、作業者は、まず支持フレーム300の第二端部330を第二連結部500に対して固定しているボルト及びナットを外す。これにより、支持フレーム300の非使用位置への回動が許容される。
【0087】
次に、作業者は、キャビン10の左側(規制ピン335等が設けられている側)に立って、支持フレーム300の左側部分(例えば第二部分312)を把持する。上記支持フレーム300はピラー12よりも左方に延びているので、作業者は、キャビン10の側方(左側)から支持フレーム300を把持し易い。
【0088】
次に、作業者は、把持した支持フレーム300を非使用位置へ回動させる。この際、支持フレーム300には、摩擦力付与機構430による摩擦力が付与される。これにより、自重による支持フレーム300の回動(意図しない回動)を抑制することができる。支持フレーム300の回動に伴い、規制ピン335は、第二支持片部522の円弧形状の部分に沿って移動する。
【0089】
また、支持フレーム300の回動に伴い、第一端部320及び第二端部330は、それぞれ第二支持片部422及び第二支持片部522に対して摺動する。本実施形態では、第一端部320及び第二端部330を側面視略円形状に形成しているので、各端部を異形(円形以外)に形成した場合とは異なり、第二支持片部422及び第二支持片部522の摺動面は、第一端部320及び第二端部330により常時(支持フレーム300の回動位置に関わらず)覆われる。これにより、第一端部320及び第二端部330の摺動に伴い第二支持片部422及び第二支持片部522の塗装が剥がれた場合でも、塗装が剥がれた部分を目立ち難くすることができる。
【0090】
図10に示すように、支持フレーム300を、非使用位置まで回動させれば、支持部材420の第二規制部522dに支持フレーム300の規制ピン335が当接することで、非使用位置の支持フレーム300の左側面視反時計回り方向への更なる回動が規制される。
【0091】
本実施形態では、支持フレーム300を左側から操作することで、当該支持フレーム300の回動の操作性を向上させることができる。すなわち、支持フレーム300の左側には、規制ピン335や第一規制部522c及び第二規制部522dが設けられているため、支持フレーム300を左側から操作した際には、第一規制部522c及び第二規制部522dに対する規制ピン335の当接を目視により確認し易い。
【0092】
次に、作業者は、非使用位置の支持フレーム300の第二端部330を、ボルト及びナットを用いて第二連結部500に対して固定する。これにより、位置検出装置100の非使用位置への位置変更が完了する。
【0093】
図10は、位置検出装置100が非使用位置に位置している状態を示している。非使用位置に位置している状態では、支持フレーム300に固定されている位置検出装置100の上端部は、キャビン10のルーフ11の上端部よりも下方に位置する。非使用位置においては、支持機構200は、トラクタ1の上下方向のコンパクト化を図るように、位置検出装置100を支持することができる。これにより、トラクタ1の車庫等への格納や運搬が行い易くなる。
【0094】
また、次に、非使用位置の位置検出装置100を、使用位置へ変更する動作について説明する。
【0095】
作業者は、まず支持フレーム300の第二端部330を第二連結部500に対して固定しているボルト及びナットを外す。これにより、支持フレーム300の使用位置への回動が許容される。
【0096】
次に、作業者は、支持フレーム300の本体部310(例えば第二部分312)を把持して、支持フレーム300を使用位置へ回動させる。この際にも支持フレーム300には、摩擦力付与機構430による摩擦力が付与される。
【0097】
図9に示すように、支持フレーム300を、使用位置まで回動させれば、支持部材420の第一規制部522cに支持フレーム300の規制ピン335が当接することで、使用位置の支持フレーム300の左側面視時計回り方向への更なる回動が規制される。
【0098】
次に、作業者は、使用位置の支持フレーム300の第二端部330を、ボルト及びナットを用いて第二連結部500に対して固定する。これにより、位置検出装置100の使用位置への位置変更が完了する。
【0099】
本実施形態では、支持フレーム300の左側のみ(第二端部330及び第二連結部500)をボルト及びナットで固定する構成としているので、支持フレーム300の回動のための一連の動作を左側のみで行うことができる。これにより、作業者が支持フレーム300の左右両側に移動して固定を行う必要がなく、作業の負担を軽減することができる。また、左右のうちの一方を固定し忘れるようなことを抑制することができる。
【0100】
また、本実施形態では、第二端部330に、使用位置用の固定孔(第一固定孔332)と、非使用位置用の固定孔(第二固定孔333)を形成し、第二支持片部522には、使用位置及び非使用位置で共通の固定孔(固定孔522b)を形成している。これにより、第二支持片部522側に使用位置用及び非使用位置用の固定孔を形成した場合とは異なり、ボルト及びナットの固定位置が使用位置と非使用位置とで共通となる。これによれば、ボルト及びナットの固定作業の作業性を向上させることができる。
【0101】
また、以下では、図5図11及び図12を用いて、位置検出装置100の配線110と、キャビン10の取り出し口13aと、支持フレーム300と、の関係について説明する。
【0102】
ビーム13の取り出し口13aを介してキャビン10の外部へと取り出された配線110は、図5に示すように、支持フレーム300の本体部310(第一部分311)に沿って配置されて、位置検出装置100の右部に接続される。なお、配線110は、適宜の結束バンド等を用いて、本体部310に対して固定可能である。
【0103】
支持フレーム300のカバー部350には、下カバー部351及び上カバー部353により、左右方向に貫通する空間が形成される。カバー部350は、本体部310(第一部分311)に沿って配置される配線110を、上方から覆ったり、上記空間に挿通させることで保護することができる。
【0104】
また、図11に示すように、取り出し口13aは、支持フレーム300の回動軸322、336の近傍に配置される、具体的には、側面視において、取り出し口13a及び回動軸322、336は、ともに少なくとも一部が第二連結部500の支持部材420(第二支持片部422)と重複する位置に配置されている。
【0105】
また、図12では、回動軸322、336の軸心P1と、使用位置の支持フレーム300の第一部分311(第一部分311の左右方向中央部)の側面視中心P2と、を結ぶ仮想線L1を示している。また、軸心P1と、非使用位置の支持フレーム300の第一部分311の側面視中心P3と、を結ぶ仮想線L2を示している。本実施形態では、取り出し口13aは、側面視(右側面視)において、軸心P1の後方における仮想線L1と仮想線L2との間の領域内に位置するように配置されている。
【0106】
これにより、位置検出装置100の位置の変更に伴って、配線110に負荷が加わるのを抑制することができる。すなわち、配線110の取り出し口13aを支持フレーム300の回動軸322、336の近傍に設定することで、支持フレーム300の回動に伴って配線110に過剰な張力が加わるのを防止することができる。
【0107】
以上の如く、本実施形態に係るトラクタ1(作業車両)は、
車体の位置を検出可能な位置検出装置100と、
前記位置検出装置100を支持すると共に、キャビン10が有する左右のピラー12に亘るように配置される支持フレーム300と、
前記支持フレーム300を左右の前記ピラー12のそれぞれに対して回動可能に連結する連結部(第一連結部400、第二連結部500)と、
を具備するものである。
【0108】
このように構成することにより、位置検出装置100の位置を容易に変更することができる。すなわち、キャビン10の左右のピラー12に亘るように支持フレーム300を配置したことによって、キャビン10の側方から支持フレーム300に触れ易くなり、支持フレーム300を回動させる(位置検出装置100の位置を変更する)作業が行い易くなる。
【0109】
また、前記支持フレーム300は、
両端が、左右の前記ピラー12よりも外側に位置するように配置されるものである。
【0110】
このように構成することにより、位置検出装置100の位置を容易に変更することができる。すなわち、支持フレーム300の両端が左右のピラー12よりも外側に位置するように配置することで、支持フレーム300を回動させる作業がより行い易くなる。
【0111】
また、前記連結部は、
前記ピラー12に固定される固定部材410、510と、
前記固定部材410、510に取り付けられると共に、前記支持フレーム300を回動可能に支持する支持部材420、520と、
を具備するものである。
【0112】
このように構成することにより、支持フレーム300を回動させ易くすることができる。すなわち、連結部(第一連結部400、第二連結部500)を固定部材410、510と支持部材420、520とに分割することで、固定部材410、510に対する支持部材420、520の取付位置を微調整することができる。キャビン10の左右に亘る支持フレーム300の両端部の軸心のズレに応じて支持部材420、520の取付位置を微調整することで、支持フレーム300を回動させ易くすることができる。
【0113】
また、前記連結部は、
前記支持フレーム300の一端部を左右の前記ピラー12のうち一方に対して回動可能に連結する第一連結部400と、
前記支持フレーム300の他端部を左右の前記ピラー12のうち他方に対して回動可能に連結する第二連結部500と、
を含み、
前記第一連結部400は、
前記支持フレーム300の一端部が挿通されると共に、前記支持フレーム300の一端部を回動可能に支持する第一支持孔(支持孔422a)を具備し、
前記第二連結部500は、
前記第一支持孔(支持孔422a)の内径よりも大きい内径を有し、前記支持フレーム300の他端部が挿通されると共に、前記支持フレーム300の他端部を回動可能に支持する第二支持孔(支持孔522a)を具備するものである。
【0114】
このように構成することにより、支持フレーム300を回動させ易くすることができる。すなわち、第二支持孔(支持孔522a)の内径を第一支持孔(支持孔422a)の内径より大きく形成することで、キャビン10の左右に亘る支持フレーム300の両端部の軸心のズレを許容し、支持フレーム300を回動させ易くすることができる。
【0115】
また、前記連結部(第一連結部400、第二連結部500)に設けられ、前記支持フレーム300の回動に摩擦力を付与する摩擦力付与機構430を具備するものである。
【0116】
このように構成することにより、位置検出装置100の位置を調節し易くすることができる。すなわち、支持フレーム300の回動に摩擦力を付与することで、自重による支持フレーム300の回動(意図しない回動)を抑制することができる。
【0117】
また、前記摩擦力付与機構430は、
前記第一連結部400及び前記第二連結部500のうち、前記第一連結部400にのみ設けられるものである。
【0118】
このように構成することにより、摩擦力の付与を好適に行うことができる。すなわち、第一連結部400及び第二連結部500のうち、第一支持孔(支持孔422a)の内径が比較的小さく形成された第一連結部400に、摩擦力付与機構430を設けている。これにより、摩擦力付与機構430が設けられた側では、内径が比較的小さく形成された第一支持孔(支持孔422a)により、支持フレーム300を精度よく回動させることができる。これによれば、摩擦力付与機構430が設けられた側で軸がぶれるようなことを抑制し、摩擦力の付与を好適に行うことができる。
【0119】
また、前記第一連結部400及び前記第二連結部500のうち、前記第二連結部500にのみ設けられ、前記支持フレーム300の回動を所定の位置で規制する規制部(第一規制部522c、第二規制部522d)を具備するものである。
【0120】
このように構成することにより、位置検出装置100の位置を調節し易くすることができる。すなわち、支持フレーム300の回動を所定の位置で規制することで、位置検出装置100を予め定められた位置に調節し易くすることができる。また、例えば、規制部(第一規制部522c、第二規制部522d)を左右両側に設けた場合とは異なり、左右の規制部の位置が互いにずれて、支持フレーム300の規制位置がずれるようなことを抑制することができる。
【0121】
本実施形態では、作業者が操作を行う側である左側に、規制部(第一規制部522c、第二規制部522d)を設けている。これにより、作業者が支持フレーム300を操作した際に、第一規制部522c及び第二規制部522dに対する規制ピン335の当接を目視により確認し易い。
【0122】
また、トラクタ1(作業車両)は、
前記キャビン10に設けられ、前記位置検出装置100と接続される配線110を前記キャビン10の内部から外部へと取り出す取り出し口13aを具備し、
前記取り出し口13aは、
前記支持フレーム300の回動軸322、336の近傍に配置されるものである。
【0123】
このように構成することにより、位置検出装置100の位置の変更に伴って、配線110に負荷が加わるのを抑制することができる。すなわち、配線110の取り出し口13aを支持フレーム300の回動軸322、336の近傍に設定することで、支持フレーム300の回動に伴って配線110に過剰な張力が加わるのを防止することができる。
【0124】
また、前記支持フレーム300に設けられ、前記配線110の少なくとも一部を覆うカバー部材(カバー部350)を具備するものである。
【0125】
このように構成することにより、配線110を保護することができる。
【0126】
また、前記支持フレーム300は、
左右非対称形状に形成されるものである。
【0127】
このように構成することにより、作業車両(トラクタ1)の設計の自由度を向上させることができる。すなわち、他の部材との干渉を避けるように支持フレーム300の形状を任意に変更することができる。
【0128】
また、前記支持フレーム300は、
棒状の部材により形成される本体部310を具備し、
前記本体部310は、
マフラ4aとの接触を回避するように屈曲されているものである。
【0129】
このように構成することにより、支持フレーム300とマフラ4aとの干渉を避けることができる。
【0130】
なお、本実施形態に係るトラクタ1は、本発明に係る作業車両の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る支持孔422aは、本発明に係る第一支持孔の一形態である。
また、本実施形態に係る支持孔522aは、本発明に係る第二支持孔の一形態である。
また、本実施形態に係る第一規制部522c、第二規制部522dは、本発明に係る規制部の一形態である。
また、本実施形態に係るカバー部350は、本発明に係るカバー部材の一形態である。
【0131】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0132】
例えば、上記実施形態では、支持フレーム300の両端を、左右のピラー12よりも外側に位置するように配置した例を示したが、このような態様に限定されない。例えば、支持フレーム300の両端を、左右のピラー12よりも内側(例えば左右のピラー12の近傍)に位置するように配置してもよい。
【0133】
また、上記実施形態では、第一連結部400及び第二連結部500を、互いに別部材である固定部材410、510及び支持部材420、520により構成した例を示したが、このような態様に限定されない。例えば、固定部材410、510及び支持部材420、520を一体的に形成してもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、第二連結部500の支持孔522aの内径を、第一連結部400の支持孔422aの内径よりも大きく形成した例を示したが、このような態様に限定されない。例えば、支持孔422a及び支持孔522aの内径を互いに同寸法に形成してもよい。また、第一連結部400の支持孔422aの内径を、第二連結部500の支持孔522aの内径よりも大きく形成してもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、支持機構200のうち、右側の第一連結部400のみに摩擦力付与機構430を設けた例を示したが、このような態様に限定されない。例えば、左側の第二連結部500のみに摩擦力付与機構430を設けてもよい。このように、作業者が回動操作を行う側(左側)のみに摩擦力付与機構430を設けた場合には、支持フレーム300の左側の回動操作に、(摩擦力付与機構430が設けられていない)支持フレーム300の右側を追従させ易くすることができる。これによって、支持フレーム300の両端部の回動に差が生じるのを抑制することができる。また、第一連結部400及び第二連結部500のいずれにも、摩擦力付与機構430を設けないようにしてもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、支持機構200のうち、左側の第二連結部500のみに第一規制部522c及び第二規制部522dを設けた例を示したが、このような態様に限定されない。例えば、第一連結部400のみに第一規制部522c及び第二規制部522dを設けてもよく、第一連結部400及び第二連結部500の両方に第一規制部522c及び第二規制部522dを設けてもよい。この場合には、第一端部320にも、突部334及び規制ピン335を設けるものとする。また、第一連結部400及び第二連結部500のいずれにも、第一規制部522c及び第二規制部522dを設けないようにしてもよい。この場合は、第二端部330に突部334及び規制ピン335を設けないものとする。
【0137】
また、上記実施形態では、配線110の取り出し口13aを、支持フレーム300の回動軸322、336の近傍に配置した例を示したが、このような態様に限定されない。配線110の取り出し口13aとしては、キャビン10の任意の位置に配置可能である。
【0138】
また、上記実施形態では、支持フレーム300の本体部310を、マフラ4aとの接触を回避するように屈曲させた例を示したが、このような態様に限定されない。例えば、本体部310を上述のように屈曲させないようにしてもよい。この場合は、支持フレーム300(本体部310)を左右対称形状に形成してもよい。
【0139】
また、上記実施形態では、第二端部330に、使用位置用の固定孔(第一固定孔332)と、非使用位置用の固定孔(第二固定孔333)を形成し、第二支持片部522には、使用位置及び非使用位置で共通の固定孔(固定孔522b)を形成した構成としたが、このような態様に限定されない。例えば、第二端部330に共通の固定孔を形成し、第二支持片部522に使用位置用の固定孔と、非使用位置用の固定孔と、をそれぞれ形成してもよい。
【0140】
また、上記実施形態では、支持フレーム300の左側のみ(第二端部330及び第二連結部500)をボルト及びナットで固定する構成としたが、このような態様に限定されない。例えば、支持フレーム300の両側(第一端部320及び第二端部330)を、第一連結部400及び第二連結部500に対してボルト及びナットで固定するようにしてもよい。また、支持フレーム300の右側のみ(第一端部320及び第一連結部400)をボルト及びナットで固定する構成とすることも可能である。
【0141】
また、上記実施形態では、支持フレーム300の第一端部320及び第二端部330を略円形状に形成したが、このような態様に限定されない。例えば、第一端部320及び第二端部330を異形状(例えば多角形状)に形成してもよい。
【0142】
図13には、本開示の他の態様(変形例)を示している。当該変形例では、本実施形態(図2等参照)とは異なり、摩擦力付与機構430を左側の第二連結部500のみに設けている。また当該変形例では、本実施形態(図2等参照)とは異なり、支持フレーム300の第一端部320及び第二端部330を略多角形状(略三角形状等)に形成している。また当該変形例では、本実施形態(図2等参照)とは異なり、支持フレーム300の両側(第一端部320及び第二端部330)を、第一連結部400及び第二連結部500に対してボルト及びナットで固定するように構成している。
【0143】
また、上記実施形態では、作業車両として、トラクタ1を例示したが、このような態様に限られない。例えば作業車両は、その他の農業車両、建設車両、産業車両等であってもよい。
【符号の説明】
【0144】
1 トラクタ
100 位置検出装置
300 支持フレーム
400 第一連結部
500 第二連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13